モデルナが既存の新型コロナワクチンも変異株に効果ありと発表

Moderna(モデルナ)が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こす新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異型に対しても、同社のワクチンが引き続き有効であるようにするために、行っているステップの詳細を説明した。そこで説明されている内容は、既存の新型コロナワクチンを使って、3回の接種でどのようにブースター効果を得るかの検証方法や、英国と南アフリカで初めて確認された新しい変異ウイルスの、スパイクタンパク質を標的とするようにデザインされた、系統特異的なワクチンの開発についてだ。

Modernaはプレスリリースの中で、こうした手段を「念には念を入れて」追求していると語っている。なぜなら初期の研究では、既存のワクチンがこうした新しい系統に対しても(南アフリカで確認されたB.1.351系統に対しては多少有効性は損なわれるものの)、変わらず有効であることが示されているからだ。とはいえ、同社がウイルスの変異に対して迅速に対応していることは心強い。なぜなら今後、現在のパンデミックが一度収束したとしても、新型コロナウイルスを長期的に制御下に置き続けるためには、すばやい対応を続けていくことが必要になるからだ。

さらにModernaは、同社の次のワクチン候補や既存のワクチンが、市場に出回っている「すべての主要なワクチン候補」と組み合わせて使用されることによって、追加の免疫導入能力を提供できるのではと述べている。つまり、同社は自社のワクチンを、オックスフォードやPfizer / BioNTech(ファイザー / ビオンテック)のワクチンと組み合わせて、免疫力を高めるために使用することができると考えているということだ。このことによって自社もしくは他社のワクチンが不足した際に、ブースター効果をタイミングよく与えるための緊急需要を満たすことができる。

もちろん、この中で最もすばらしいニュースは、Modernaが現在世界中の人々に提供しているmRNAベースのワクチンが、この先もSARS-CoV-2ひいては新型コロナウイルスに対する保護を、引き続き提供できることを示唆する証拠が出てきたことだ。特に英国の変異株に対しては、ワクチン接種を受けた患者の免疫力の低下は見られないという研究データが出されている。南アフリカの変異株については、その有効性の低下は、主に注射によって提供される免疫がより早く減衰していることに起因している可能性がある。つまり、単に追加の注射を、予定されていた期間よりも短い間隔で行えば良いだけなのかもしれない。とはいえ少なくとも初期段階では、これは世界的なワクチン接種アプローチに大きな変更を強いるものではないだろう。

カテゴリー:バイオテック
タグ:Moderna新型コロナウイルスワクチン

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(翻訳:sako)

Uberと米製薬会社Modernaがなかなか進まない新型コロナワクチン接種の啓発、促進で提携

Uber(ウーバー)と製薬会社Moderna(モデルナ)は新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンに関してさまざまな取り組みを含む提携を発表した。さしあたって決定しているのは、新型コロナワクチンの安全性について信頼できる事実に基づく情報をUberの消費者向けアプリを通じてユーザーに提供することだ。しかし両社は、ワクチン接種予約プロセスにUberを通じた乗車のスケジューリングを直接組み込む「オプション」も検討した。

米国の新型コロナワクチン接種プログラムは、まだ初期段階ではあるが難題に直面している。ここには、ワクチンを最も必要としている人々にタイムリーにワクチンへのアクセスを提供することが含まれる。ワクチン接種プログラムはまた、ワクチンの安全性に関するソーシャルメディア上でのかなりの誤情報拡散とも戦わなければならない。Uberのような利用者が多いアプリは前向きなメッセージと正確な情報を多くの人の目に触れさせることができるため、この取り組みはいいニュースだ。

しかし効果的なワクチンキャンペーンを展開する上でかなり難題となっているものの1つはロジスティックであり、Modernaワクチンの1回目と2回目の接種の予約をとるよう促すことは多くの人が考えていた以上に大きな課題だ。筆者はHealthvanaのCEO、Ramin Bastani(ラミン・バスタニ)氏にロサンゼルス郡との取り組みについて聞いた。同社は患者にタイムリーな情報とワクチン予約についてのリマインダーを提供するためにApple Walletを活用してワクチン接種記録を作るという取り組みを展開している。だが、大半のユーザーがすでにスマホにダウンロードしているUberアプリに乗車予約サービスや予約リマインダーを直接組み込むことは、1回目と2回目のワクチン接種率を高めるのにかなり有効な別の方法となり得る。

Uberはすでに、実際に出かけてワクチン接種を受けるのにともなう壁を下げようと、無料あるいは割引運賃での乗車を提供している。プロダクトレベルの統合は、簡単でユーザーフレンドリーなアクセスを提供することでより効果があるかもしれない。前述の通り、これはまだ協議中のオプションの1つにすぎないが、もしUberとModernaが積極的に実行するとすれば、それは少なくとも両社が方法を見つけるのに真剣であることを意味する。TechCrunchは両社の動きをマークし、このコラボレーションの進展についてはフォローアップするのでご安心を。

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(翻訳:Mizoguchi)

米モデルナが季節性インフルエンザ、HIV、ニパウイルス向けに3種の新しいmRNAベースワクチンを開発中

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を止めるために、現在世界的に2種類のmRNAベースのワクチンが展開されている。そのうちの1つを開発しているバイオテクノロジー企業であるModerna(モデルナ)が、2021年には3種の新しいワクチン候補を中心に開発プログラムを進めることを発表した。それらはHIV、季節性インフルエンザ、ニパウイルスのためのワクチン候補だ。モデルナの新型コロナウイルスワクチンの開発と臨床試験は史上最速のペースで行われており、これまでのところ、その結果は非常に有望なものであり、初めてヒトの臨床への応用が行われるこの技術を用いた他の予防治療の有効性も大いに期待されている。

mRNAワクチンは従来の典型的なワクチンとは異なる。なぜならそれは体の自然な防御システムを起動するための特定のタンパク質を、どのように生産すればよいかという指示を人体に与えるものだからだ。そのmRNAによる指示は一時的なものであり、人体のDNAには影響を与えない。単に、ウイルスが細胞に取りついて感染する際に使うタンパク質の生産を、人体の細胞に対して促すだけだ。生み出されたタンパク質は、その後人体の自然免疫反応によって排除されるが、そのことによって、ウイルスが人間に取りついて感染するのを助けるタンパク質やその類似タンパク質を撃退する方法についての、永続的な教育が人体の防御系に対して行われることになる。

モデルナの新しいプログラムは、季節性インフルエンザだけでなく、通常のインフルエンザとCOVID-19を引き起こす新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の両者を対象とする複合ワクチンも目標とする予定だ。またAIDS Vaccine Initiative(AIDSワクチンイニシアチブ)ならびにBill and Melinda Gates Foundation(ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団)との協力のもとに開発されたHIVワクチン候補は、2021年中に第一相臨床試験が開始される予定だ。ニパウイルスは、呼吸器症状や神経症状を引き起こす致死性の高い病気で、特にインド、バングラデシュ、マレーシア、シンガポールで脅威となっている。

mRNAベースのワクチンは、その柔軟性とプログラミングが可能である点、また活性ウイルスや休眠ウイルスなどを使用しないために直接的な感染症を引き起こすリスクが低いという点から、未来のワクチン開発手段として可能性を長年期待されてきた。新型コロナウイルスのパンデミックが、この技術への多額の投資と、規制・健康・安全性への投資に拍車をかけ、モデルナ社による新しいワクチン候補試験を含む、他の分野での利用への道を切り拓いたのだ。

関連記事:米国がモデルナの新型コロナワクチン緊急使用を承認、ファイザーに続き2例目

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(翻訳:sako)

米国がモデルナの新型コロナワクチン緊急使用を承認、ファイザーに続き2例目

米食品医薬品局(FDA)はModerna(モデルナ)の新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンに対し緊急使用許可(EUA)を出した。今週初めに諮問委員会が許可を推奨していたことを受けてのものだ。EUAで米国での使用が認められたコロナワクチンは、Pfizer(ファイザー)とBioNTech(ビオンテック)が共同開発し、先週承認されたものに続き2例目となる。

Anthony Fauci(アンソニー・ファウチ)博士がNBC番組Todayでのインタビューで語ったところによると、Modernaのワクチンの接種は12月21日か22日には始まりそうだ。この承認から接種までのタイムラインは、PfizerのEUAから実際に最初の接種が先週始まるまでのものと同じだ。

Pfizerのワクチンと同様、ModernaのワクチンもmRNAタイプだ。つまり、ウイルスそのものは含まず、人体に特定のタンパク質をつくるよう伝える遺伝子情報だけを含んでいる。そのタンパク質は新型コロナウイルス感染症を引き起こすウイルスSARS-CoV-2が持つものとほぼ同じだ。Modernaのワクチンでは人体がそれ自体は無害なタンパク質を作るようにするだけで、免疫システムによる自然免疫能がタンパク質に反応してウイルス防御法を構築する。防御システムは体に記憶され、その一方でワクチンそのものはほどなくして自然に消失し、人に免疫だけを残す。

米国での使用はまだ承認されていないオックスフォード大学とAstraZeneca(アストラゼネカ)が共同開発したワクチンは、接種した人の体の中でタンパク質を急増させないよう弱毒化され、組み替えられた普通の風邪のウイルスを使っている。結果として人体は免疫反応をつくることができる。これはワクチン開発の過程でより確立されている方法だ。しかしModernaとPfizerのmRNAベースのワクチンは大規模なフェーズ3治験の予備データでかなりの有効性を示した。

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タグ:Modena、新型コロナウイルス、ワクチン、米国

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(翻訳:Mizoguchi

モデルナの新型コロナワクチンの予防効果94.1%、重症化ケース100%予防、緊急使用許可申請へ

製薬会社Moderna(モデルナ)が新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン治験の初期分析を完了し、94.1%の予防効果が確認されたと結論づけた。治験には3万人が参加し、うち196人で感染が確認された。分析ではまた、(入院が必要になるなど)重症化ケースを100%予防でき、治験中に重大な安全性の懸念はなかったことも確認された。こうした結果を踏まえ、同社は11月30日に米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)を申請する。

EUA申請は実際の新型コロナワクチン供給開始に向けた次のステップだ。EUA申請が承認されれば、ヘルスケア監視当局からの正式かつ最終的な承認を待たずして、新型コロナによる死亡者数を減らせるような状況において医療従事者のような高いリスクを抱えている人にワクチンを提供できる。同社は欧州医薬品庁にも条件付きの承認を申請し、認められれば欧州内でも米国同様の緊急使用が可能になる。

ModernaのワクチンはmRNAベースで、新型コロナウイルスが人体に影響を及ぼすのを許すレセプター部位をブロックする働きのあるパワフルな抗体を作るのを促進するよう、遺伝子による指示を体に出す。人体への使用では新しい治療アプローチで、新型コロナに対し自然抗体よりもより強い抵抗を得ることができる可能性もある。免疫反応を引き起こすために実際にウイルスを体内に入れるワクチンにはリスクがつきまとうが、mRNAベースのものにはそうしたリスクはない。

Modernaは11月中旬に暫定結果での同社のワクチンの有効性は94.5%だったと発表した。同じデータを使った最終分析の結果は暫定結果とほぼ同じで、効果的なソリューションが早く利用できるようになることを願っている人にとって期待できるニュースだ。このデータはまだ専門団体のレビューを受けていない。しかし同社はフェーズ3の治験で得られたデータを科学専門誌に提出するところだと話している。

Modernaのワクチンは、前代未聞のグローバルパンデミックを受けて2020年初めに始まった新型コロナワクチンの開発・生産・供給を促進するための米国のOperation Warp Speedプログラムの一環だ。Pfizer(ファイザー)がパートナー企業BioNTech(ビオンテック)と共同で開発したワクチン、オックスフォード大学とAstraZenecaが共同開発したものなどもフェーズ3治験を進め、緊急承認と供給の準備を進めている。Pfizerはすでに緊急使用をFDAに申請した。一方、オックスフォード大学のワクチンでは、驚くほどの効果が得られた治験でワクチン接種量に誤りが見つかったため、新たな治験を完了するまでは米国で緊急使用の申請は行わない見込みだ。

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カテゴリー:バイオテック
タグ:Moderna新型コロナウイルスCOVID-19ワクチン

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(翻訳:Mizoguchi

Modernaの新型コロナワクチン、治験で94.5%の有効性確認

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの有効性についてのPfizer(ファイザー)の発表に続き、Moderna(モデルナ)も米国11月16日にフェーズ3治験で得られた良好な結果を明らかにした。同社はワクチン候補が初期暫定データ分析で94.5%の有効性を示した(Modenaリリース)としている。治験参加者95人の新型コロナ感染が認められ、うち90人は偽薬を投与されていて5人のみが同社のmRNAベースのワクチンを接種していた。そして重症になったのは11人で、ここにはワクチン候補を投与された人は含まれなかった。

今回の発表も、2021年のどこかでまとまった量のワクチンを実用化できる可能性があるという有望なものとなった。上記の通り、今回の発表は暫定分析結果ではあるが、米国立衛生研究所が指名した治験を監督する安全委員会によるデータだ。同研究所はModernaとは関連のない独立した機関であるため、最終的な分析に期待をかけられる信頼できる結果だ。

Modernaは今後数週間内に判明する結果を元に、ワクチン候補の緊急使用許可を申請すると話している。最終的な承認の前に緊急状況で使用できるよう、米食品医薬品局(FDA)からの使用許可取得を目指す。緊急使用許可は、フェーズ3の治験参加者グループ(計3万人が参加)で感染者151人が確認されたデータと、感染後平均2カ月のフォローアップのデータに基づいて下りる見込みだ。

最終的な全データは独立したレビューのために専門団体に提出されることになる。これは最終ワクチン治験と承認のプロセスでは標準的なものだ。

Modernaのもの、そしてPfizerBioNTechとの提携で開発したものはともにmRNAベースのワクチンだ。このタイプは人に使用するのは初めてで、接種を受けた人の細胞に免疫反応を起こすよう指示するメッセンジャーRNAを活用しているという点で従来のワクチンとは異なる。従来のワクチンでは、抗体を作り出すためにかなり少量のウイルスを使って免疫反応を起こすが、mRNAベースのワクチンでは実際に人体をウイルスにさらすことはない。

関連記事:ファイザーの新型コロナワクチンの効果は90%、年末までに大規模な接種開始か

カテゴリー:バイオテック
タグ:Moderna新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:David L. Ryan/The Boston Globe / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Modernaの新型コロナワクチン、治験で94.5%の有効性確認

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの有効性についてのPfizer(ファイザー)の発表に続き、Moderna(モデルナ)も米国11月16日にフェーズ3治験で得られた良好な結果を明らかにした。同社はワクチン候補が初期暫定データ分析で94.5%の有効性を示した(Modenaリリース)としている。治験参加者95人の新型コロナ感染が認められ、うち90人は偽薬を投与されていて5人のみが同社のmRNAベースのワクチンを接種していた。そして重症になったのは11人で、ここにはワクチン候補を投与された人は含まれなかった。

今回の発表も、2021年のどこかでまとまった量のワクチンを実用化できる可能性があるという有望なものとなった。上記の通り、今回の発表は暫定分析結果ではあるが、米国立衛生研究所が指名した治験を監督する安全委員会によるデータだ。同研究所はModernaとは関連のない独立した機関であるため、最終的な分析に期待をかけられる信頼できる結果だ。

Modernaは今後数週間内に判明する結果を元に、ワクチン候補の緊急使用許可を申請すると話している。最終的な承認の前に緊急状況で使用できるよう、米食品医薬品局(FDA)からの使用許可取得を目指す。緊急使用許可は、フェーズ3の治験参加者グループ(計3万人が参加)で感染者151人が確認されたデータと、感染後平均2カ月のフォローアップのデータに基づいて下りる見込みだ。

最終的な全データは独立したレビューのために専門団体に提出されることになる。これは最終ワクチン治験と承認のプロセスでは標準的なものだ。

Modernaのもの、そしてPfizerBioNTechとの提携で開発したものはともにmRNAベースのワクチンだ。このタイプは人に使用するのは初めてで、接種を受けた人の細胞に免疫反応を起こすよう指示するメッセンジャーRNAを活用しているという点で従来のワクチンとは異なる。従来のワクチンでは、抗体を作り出すためにかなり少量のウイルスを使って免疫反応を起こすが、mRNAベースのワクチンでは実際に人体をウイルスにさらすことはない。

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カテゴリー:バイオテック
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画像クレジット:David L. Ryan/The Boston Globe / Getty Images

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