組み込み融資の独スタートアップ「Banxware」がシード資金5.1億円調達

エンベデッドファイナンス(組み込み型金融)とは、すでに汎用ソリューションとAPIでシステムを構築している顧客に融資機能を提供する仕組みであり、まったく新しいコンセプトというわけではない。実際、POSクレジットはシリコンバレーのベンチャーキャピタル / メディア会社であるAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)が大騒ぎするずっと前から存在したコンセプトだ。しかし、クラウド技術に加えて山ほどのフィンテックや「サービスとしてのバンキング」スタートアップが出現したことによって、組み込み型金融のトレンドは間違いなく加速している。

そこに最近参加したのが、ドイツ・ベルリン拠点のBanxwareで、中小企業向けローンやマーケットプレイス、決済プロバイダーなどとの提携というかたちで組み込み型金融を提供している。2020年12月に開業し、シード資金400万ユーロ(約5億1000万円)を調達したことを2月2日に発表した。

ラウンドをリードしたのはForce Over MassとVR Venturesで、ほかにHTGFおよびバンキング、決済、Eコマースの個人投資家が参加した。

Banxwareはこの資金を、同社の組み込みホワイトレーベル融資サービスの開発と成長、およびチーム拡大のために使うという。融資に加えて、近くカードベースの商品やその他の金融サービスも提供する予定だ。

Banxwareの技術とインフラを使えば、どんな会社でも中小企業向けに融資その他のバンキングサービスを提供できるようになる。つまりは、銀行(貸し手)とデジタルプラットフォームと売り手を繋ぐ役目を果たすということだ。銀行は手の届きにくい中小企業ユーザーと繋がる機会を得られる。プラットフォーム、たとえばオンラインマーケットプレイスなら自社の中核製品に加えて金融商品のアップセリング(より高額な商品を売る)が可能になる。そして売り手は運転資金をすばやく手にすることがきる。

「中小企業は必要なときに資金を得ることが難しく、設立3年以内の会社や信用履歴のない会社は特にそうです」と共同ファウンダーでCEOのJens Röhrborn(イェンス・ラーボルン)氏が説明した。「しかも融資申請、つまり融資の決定と支払いまでには数週間かかるのがほとんどです」。

「デジタルプラットフォームを使って商品の販売やデジタル支払いの処理を行う売り手は益々増えています。プラットフォームから提供される売り手の最近の履歴データを使うことで、私たちは会社の将来の売上を見込んで融資することができるのです」。

これまでにBanxwareは、AML(アンチ・マネーロンダリング)とKYC(顧客を知ること)の規則を遵守した即時融資ツールと、プラットフォームの履歴データに加えて口座情報プロバイダーや外部スコアリングサービスなどのサードパーティーから得たデータを分析するスコアリングエンジンを作ってきた。

「融資に関して私たちは、直接融資するバランスシートレンダーと、事前に融資条件と融資判断基準を合意した上で当社が代わって融資判断をする融資サービスの両方を取り扱っています」とラーボルン氏はいう。「売り手は融資の返済を、プラットフォームが将来の売上から一定の割合を差し引くかたちで行います」。

ラーボルン氏は自社の即時融資ツールについて、「まだ始まったばかり」であり、Banxwareは今後も組み込み型金融サービスを拡張し、海外にも進出するつもりだと語った。

ちなみこのドイツのフィンテックは現在、同社プラットフォーム経由で処理された融資ごとの一時手数料と、1回限りのカスタマイズ費用を受け取っている。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:Banxware資金調達

画像クレジット:Banxware

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Nob Takahashi / facebook

検索する度にアイデアを集めるウェブブラウザーを開発するBeamが約10億円調達

BeamがシリーズAで950万ドル(約9億9800万円)を調達した。同社はユーザーがウェブのセッションを開始してからブラウズした軌跡を完全にたどることができる新しいウェブブラウザーを開発している。Dom Leca(ドム・レカ)氏とSébastien Métrot(セバスチャン・メトロ)氏がBeamを創業した。レカ氏は以前、独創的な設計のメールアプリのSparrowを開発していた。

今回の資金調達ラウンドはPace Capitalが主導した。Christan Reber(クリスチャン・リーバー)氏、Harry Stebbings(ハリー・ステビングス)氏、Albert Wenger(アルバート・ウェンガー)氏などのビジネスエンジェルも参加した。これまでに投資していたSpark、Amaranthine、C4V、Alven も再び投資した。

BeamはSafari向け広告ブロッカーのRadBlockを買収することも発表した。

Beamをご存じない方は、以前に筆者が同社について投稿した記事をお読みいただきたい。この記事でプロダクトの動作やその背後にある考え方を紹介した。

要約すると、Beamはナレッジに着目したウェブブラウザーだ。多くの人が漫然とウェブをブラウズして長時間すごしている。最後のタブを閉じたときに、自分は大して学んでもいないしメモも取っていなかったことに気づく。

ブックマークすることもできるが、ブックマークは使わないし、まったくチェックしないかもしれない。何かをもう一度見つけたいと思っても、結局はGoogleに検索語句を入力して最初から探すことになる。

Beamはユーザーが何かを検索するたびに新しいセッションを作成する。各セッションはメモのカードとして表わされる。ブラウズを終えると、見たものがメモのカードにまとめられている。検索語句がカードのタイトルになり、最も重要なサイトがメモの上部に表示される。関係性の低いコンテンツはメモの最後に記録されている。

そのカードに対してテキストの追加、リンクの削除、内容の整理、きちんとしたメモの記入をすることができる。基本的には自分で意識しなくても網羅的なメモが作成される。

Beamは野心的なプロジェクトで、同社はこの当初のアイデアを繰り返さなければならないだろう。しかし子供の頃にウェブを使い始めるには良い方法であるように思われる。ウェブでの自分の行動によって、自分が夢中になっていることに気づくようになる。

現在、Beamでは7人が働いている。同社は機械学習と自然言語処理の専門家や開発者を雇用する予定だ。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Beamウェブブラウザー資金調達買収

画像クレジット:Luca Bravo / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Kaori Koyama)

インドネシアの中小企業をデジタル化するBukuWarungがRocketship.vcから新たな資金を調達

米国時間2月2日、インドネシアで国内6000万の小規模事業者のデジタル化に取り組むスタートアップのBukuWarungが、Rocketship.vcおよびインドネシアの小売コングロマリットから新たに資金を調達したと発表した。

金額は明らかにされていないが、情報筋によるとBukuWarungのこれまでの調達金額の合計は2000万ドル(約21億円)だという。BukuWarungの直近のラウンドは2020年9月に発表されたもので、1000万〜1500万ドル(約10億5000万〜15億7500万円)だった。2019年にChinmay Chauhan(チンメイ・チャウハン)氏とAbhinay Peddisetty(アビネイ・ペディセッティ)氏が同社を創業し、2020年にはY Combinatorに参加した

Rocketship.vcは、インドのスタートアップであるKhatabookにも投資している。Khatabookは直近の資金調達ラウンドでバリュエーションが2億7500万〜3億ドル(約288億7500万〜315億円)に達した。Khatabookと同様にBukuWarungも、ワルンと呼ばれる町の商店のような小規模事業者が紙の帳簿に頼っていたのをデジタル簿記とオンライン決済に移行できるよう支援している。BukuWarungは最近、Tokokoというサービスも開始した。これは商店がアプリでオンラインストアを開設できるShopifyのようなツールで、すでに50万の商店がTokokoを利用しているという。

BukuWarungの社長であるチャウハン氏は、決済ソリューションで収益が出始めたと語る。同社は、インドネシアの750の都市で350万以上の商店がBukuWarungに登録したと公表している。同社プラットフォーム上で150億ドル(約1兆5700億円)相当を超える取引が記録され、取引量では5億ドル(約525億円)以上を処理しているという。

インドネシアのGDPの約60%は中小企業が占め、国内労働力の97%を中小企業が雇用している。しかし中小企業の多くは、成長につながる金融サービスをなかなか利用できない。BukuWarungのようなサービスで財務記録をデジタル化すれば、中小企業は信用枠や運転資金の融資などを利用しやすくなる。東南アジア最大の経済大国であるインドネシアで中小企業向けに同様のサービスを提供している企業には、BukuKasやCrediBookがある。

BukuWarungは新たに調達した資金でインドネシア、インド、シンガポールの技術チームと製品チームを増強する。2021年はクレジットなど収益化できるプロダクトをさらに公開し、決済ソリューションを成長させる計画だ。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:BukuWarungインドネシア資金調達

画像クレジット:Selective Focus/Willy Sebastian / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Kaori Koyama)

医療機関向けAIチャットボットのBot MDがアジア市場拡大のため5.3億円を調達

医療従事者は時間と闘っている。新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の状況ではさらに厳しい。シンガポールに拠点を置くBot MDは、時間の節約に役立つAIベースのチャットボットを提供している。このチャットボットで、医師は病院関係者に電話をかけたりイントラネットにアクセスしたりすることなく、スマートフォンで重要な情報を調べられるようになる。米国時間2月2日、Bot MDはMonk’s Hill Ventureが主導するシリーズAで500万ドル(約5億2500万円)を調達したと発表した。

SeaX、XA Network、SG Innovateのほか、エンジェル投資家のYoh-Chie Lu(ヨーチー・ルー)氏、Jean-Luc Butel(ジャン=リュック・ブテル)氏、Steve Blank(スティーブ・ブランク)氏も支援した。Bot MDはY Combinatorの2018年夏学期に参加していた。

調達した資金はインドネシア、フィリピン、マレーシア、インドネシアなどアジア太平洋地域での拡大と、コロナ禍における病院や医療機関からの要望に応える機能の追加に使われる。Bot MDのAIアシスタントは現在、英語に対応しているが、2021年後半にはインドネシア語とスペイン語に対応する予定だ。現在はChangi General Hospital、National University Health System、National University Cancer Institute of Singapore、Tan Tock Seng Hospital、Singapore General Hospital、Parkway Radiology、National Kidney Transplant Instituteといった医療機関でおよそ1万3000人の医師がBot MDを利用している。

共同創業者でCEOのDorothea Koh(ドロシア・コー)氏はTechCrunchに対し、Bot MDは一般に複数のシステムに保管されている院内の情報を統合しアクセスしやすくすると説明した。

画像クレジット:Bot MD

Bot MDがなければ、医師は病院関係者に電話をかけてスタッフの状況を聞き、連絡先を教えてもらう必要があるかもしれない。薬の情報が必要なら今度は薬局に電話をかけることになる。最新のガイドラインや臨床のプロトコルを確認する必要がある場合には、院内のイントラネットに接続されているコンピュータを見つけなくてはならないことが多い。

コー氏は「Bot MDの役割は、医師が必要とするコンテンツを365日24時間検索できる単一のインターフェイスに統合することです」という。

たとえばこのコロナ禍で、医療従事者がチャットボットに「体温を記録」と入力すると、その人の情報があらかじめ入力されたフォームが表示される新機能がBot MDに導入された。多くの場合、医療従事者は自分の体温を記録するために1日に2回、所属組織のイントラネットにアクセスしていたが、コー氏によればBot MDでフォームを使えるようになりコンプライアンスが大幅に強化されたという。

Bot MDの導入にかかる時間は統合する情報システムやコンテンツ量によって異なるが、独自の自然言語処理チャットエンジンによりAIのトレーニングは比較的短時間でできるとコー氏は説明する。たとえば最近Bot MDを導入したChangi General Hospitalでは、10日もかからずに利用を開始した。

Bot MDは電子医療記録(EMR)、請求とスケジューリングの統合、アラート、慢性疾患の追跡などの新しい医用アプリをプラットフォームに追加する計画だ。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Bot MD資金調達シンガポールチャットボット

画像クレジット:Bot MD

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(文:Catherine Shu、翻訳:Kaori Koyama)

患者の負担を軽減する液体生検を用いた白血病遺伝子検査提供のLiquid Mineが資金調達

患者の負担を軽減する液体生検を用いた白血病遺伝子検査提供のLiquid Mineが資金調達

Plug and Play Japanは2月3日、東京大学医科学研究所発のスタートアップLiquid Mineへの出資を発表した。

Liquid Mineは、「最先端の遺伝子解析により、より多くのがん患者一人ひとりに最適な治療環境を提供する。」をミッションに、リキッドバイオプシー(液体生検。Liquid Biopsy)を用いたゲノム検査「MyRD」を提供する東京大学医科学研究所発のスタートアップ。患者個人に合わせたテーラーメイド医療(オーダメイド医療)を通じて、白血病患者の長期生存率向上、がんの克服を目指している。

白血病の検査としては、骨髄生検という手法が一般的なものの、非常に強い痛みを伴うため患者の肉体的・精神的・経済的負担が大きいという課題がある。一方Liquid Mineの提供するソリューションは、患者モニタリング期の骨髄生検を侵襲性の低いリキッドバイオプシーに代替することで、これら患者の負担軽減に貢献するという。

市場展開として、日本のみならず海外でもがん検査の新たなスタンダードとなる可能性を持つことから、世界に事業展開できるスタートアップに投資しているPlug and Play Venturesは、同社が目指すがんゲノム医療のポテンシャルを感じ、出資を決定した。

Plug and Playの投資部門Plug and Play Venturesは、世界にビジネスを拡大していく可能性を持つ日本のスタートアップに対し、事業領域を問わず投資を行っている。投資件数において世界で最も活発なベンチャーキャピタルのひとつでもあり、DropboxやPaypal、Lending Clubなど多数のユニコーン企業を輩出してきた。

2020年は162社のスタートアップに投資を実施したほか、ポートフォリオ企業から12社がExitを果たし、新たに4社がユニコーンとなった。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:医療(用語)オーダメイド医療がん / がん治療(用語)ゲノム医療資金調達(用語)東京大学(用語)VC / ベンチャーキャピタル(用語)Liquid MinePlug and Play Japan(企業)日本(国・地域)

モバイルファーストの住宅ローンサービスプラットフォームValonが約52.5億円調達

あなたが住宅ローンを申し込んだことがあるなら、それが最も苦痛をともなう手続きの1つであることは知っているはずだ。ローンの間、遅延することなく支払いし、顧客サービスに対応することはいずれもピクニックのようなものではない。

なのでこのプロセスをより簡単なものに、そしてデジタル化して透明性のあるものにするという目標の下に、この分野に大金が注ぎ込まれるのは驚きではない。

そのためにテックを駆使した住宅ローンサービスのValon Mortgage(バロン・モーゲッジ)は米国時間2月2日にシリーズAラウンドで5000万ドル(約52億5000万円)を調達したと発表した。今日の基準においてこのステージでの規模としては大きい。

以前Peach Streetという社名だったニューヨーク拠点のValonの本ラウンドはAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ、a16z)がリードした。既存投資家の中からJefferies Financial Group、Fortress Investment Group LLC傘下のNew Residential Investment Corporation 、166 2nd LLC(WeWorkの共同創業者Adam Neumann[アダム・ニューマン]氏のファミリーオフィス)もラウンドに参加した。

Valonはこれまでに連続起業家Kevin Ryan(ケビン・ライアン)氏のAlley Corp、Soros、Kairos、Zigg Capitalといったシード投資家から320万ドル(約3億4000万円)を調達していている。

Andrew Wang(アンドリュー・ワン)氏、Eric Chiang(エリック・チャン)氏、Jon Hsu(ジョン・スー)氏は、米国の住宅ローンの半分以上を支配している「最大のローンサービスソフトウェア企業」による「マーケットの寡占」なるものを打破しようと、2019年6月にValonを創業した。

「我々は、2008年に匹敵する住宅ローン差し押さえ危機の境界線にいます。そしてローンの支払いに苦しんでいる住宅所有者の大半は、自身が持つ選択肢に気づいていません」とValonのCEOであるワン氏は話した。「この締め付けは過去10年で250%近くのサービスコストアップにつながりました。そして手数料は直接借り手に跳ね返ってきます」。

資金調達と時期を同じくして、 Valonは最近、Fannie Mae(ファニーメイ、連邦住宅抵当公庫)から政府支援の住宅ローン扱いの許可を受けた(知らない人のために説明すると、ローンの提供は貸し手に代わって支払いを回収するようなことを意味する)。ワン氏によると、許可はValonが引き続き急成長するのに貢献する。

「1年で契約ゼロから100億ドル(約1兆500億円)の住宅ローンを扱うまでに成長しました」とワン氏はTechCrunchに話した。

Valonは49州でサービスを提供しており、2021年ニュヨークにも進出する。

住宅ローンサービス業界の元投資家として、ワン氏は他のローン回収業者が提供する「サービスの欠如」が不満だった。そして同氏はValonを立ち上げるために、Google(グーグル)、Twilio(トゥイリオ)でプロダクトとエンジニアリングの経験があったチャン氏、スー氏とチームを組んだ。

Valonのクラウドネイティブのプラットフォームは借り手志向のエクスペリエンスと表するものを提供するのが目的だ。貸し手もまた借り手のパフォーマンスを閲覧したりトランザクションデータを照合したりするのにリアルタイムのAPIデータフィードへのアクセスを要望できる。

借り手に金を貸すローン原債権者と異なり、ローン回収業者は15年から30年の間となるローン期間について借り手と話し合う。

「貸し手の代理としてのローン回収、そしてストレスのかかるときに借り手へのサポートとガイダンスの提供のようなものも含まれます」とワン氏は述べた。「従来の住宅ローン回収業者は時代遅れのテクノロジーを使っていて、借り手にそれほど良くないサービスを提供しています。Valonは住宅所有者に透明性とフルサービス能力を提供することでその点を大幅に変えようとしています」。

同社のテクノロジーは全プロセスの垂直統合によりローンサービスコストを最大50%削減する可能性がある、と同社は主張する。同社のプラットフォームは、暗号のデフォルトや侵入感知などの機能を備えるなどセキュリティを「第一原則」としてGoogle Cloud上で構築されている、と同社は述べた。

何百万という米国人が2020年に新型コロナウイルスパンデミックの経済負担のために住宅ローン支払いを停止した。これは支払猶予の要望と抵当物件差し押さえの一時停止につながった。

「パンデミックはマーケットにあるストレスを際立たせ、新時代のローン回収業者の必要性を大幅に加速させました」とワン氏は述べた。「住宅所有者はかなりの経済ストレスに直面し、正しい選択と既存サービスからのサポートを得るのに苦労しました。既存サービスの時代遅れのテクノロジーとリクエスト処理能力のなさのためです。2021年に支払猶予と差し押さえ免除が終わると、ニーズはより差し迫ったものになります」。

2020年半ばにValonの役員会に加わったAndreessen HorowitzのゼネラルパートナーであるAngela Strange(アンジェラ・ストランジ)氏は、Valonがモバイルファーストのローン回収サービスをゼロから立ち上げたと話す。

「住宅所有者は騒々しいウェブサイト、コールセンター、そして往々にして誤情報に直面します。Valonはクリアで透明性のある法規制に則った情報を提供できるソフトウェア駆動の信頼できるアドバイザーを抱えています。電話をかける必要はありません」と同氏は声明文で述べた。

ファニーメイの許可は、Valonが構築したプラットフォームにお墨付きを与えた、と同氏は付け加えた。

Valonは調達した資金を従業員の増加にあて、年末までに3倍の100人にするつもりだ。また、より多くのサービシング権利(MSR)契約を獲得するのにも資金を注入する。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Valon Mortgage住宅ローン資金調達

画像クレジット:Valon Mortgage

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi)

現代アートEC運営のTRiCERAが1.15億円調達、80超の国・地域2400名以上のアーティストが参画

現代アートEC運営のTRiCERAが1.15億円調達、80超の国・地域のアーティストが参画し総出品数1万7000点以上

現代アートのノーボーダーEC「TRiCERA.NET」を運営するTRiCERA(トライセラ)は2月3日、第三者割当増資および融資による総額1億1500万円の資金調達を発表した。引受先は、エンジェル投資家の有安伸宏氏、複数の投資家。

調達した資金により、参画するアーティストと世界中のユーザーのマッチングをより促していくために、「TRiCERA.NET」におけるUI/UXの改善や、同社ブランドや認知向上にむけたアートフェア東京2021への参加など、プロモーションの強化を実施予定。

「創造力に国境なんてない」という理念の下、アートを好きな人たちのボーダーを取り払い、より快適で安全なアートの流通を支援できるプラットフォームの実現を目指す。

2018年11月設立のTRiCERAは、「創造力に国境なんてない」を理念に、日本やアジア諸国をはじめ、世界中のアーティストが自由形式にアート作品を発表・販売できるノーボーダーEC「TRiCERA.NET」を2019年3月より運営。

TRiCERA.NETは、80超の国・地域から、2400名を超えるアーティストが参画。総出品数1万7000点以上、流通総額は前期比の5倍、TRiCERA.NET上に登録されている作品の流通度合いも増加しているという。

現在のアート市場は約7兆円と推定されているものの、実際に作品販売によって生計を立てられているアーティストはごくわずかという。また、アーティスト個人で海外への販売などを試みても、販売やプロモーション、海外配送などが複雑であることから、販売自体を断念しているのが現状としている。

TRiCERAでは、TRiCERA.NETを通じてオンラインによる作品紹介の機会を提供することで、これまで海外マーケットにアクセスできなかったアーティストの認知、販売機会の拡大を支援していく。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:アート(用語)コマース資金調達(用語)TRiCERA日本(国・地域)

急成長する中小企業向けERPのHoldedがVC企業Elaiaなどから約19億円調達

中小企業向けERP(Enterprise Resources Planning、企業資源計画)プラットフォームであるHoldedは、VC企業のElaiaが主導しLakestarやNauta Capital、Seedrocketが参加するシリーズBラウンドで1500万ユーロ(約19億円)を調達した。

Holdedのシステムでは請求書発行、会計、販売、プロジェクト管理、在庫管理、人事管理を1つのダッシュボードで行うことで、中小企業はERPスタイルの事業プランが利用できる。また、同社はこれまでに8万人の顧客を獲得している。今回調達した資金は、Holdedの技術とビジネスチームの成長のために使用される。同社の製品は、会計事務所がビジネスをデジタル化し、付加価値の高いリセーラーになるためにも使用されている。なお、同社はパリにオフィスを開設する予定だ。

共同設立者のJavi Fondevil(ジャヴィ・フォンデヴィル)氏は声明の中で、「すべてのビジネスを1カ所に集中させるというアイデアが非常に強力であることはわかっていましたが、これまで誰もそうしなかった唯一の理由は、中小規模企業向けの直感的なセルフサービスERPを設計するのが非常に難しいことでした」と述べた。

ElaiaのパートナーであるPauline Roux(ポーリン・ルー)氏は「私たちは、中小企業向けのソリューションを構築するチャンスは非常に大きいと確信しています。ERPの場合、ソリューションは非常に複雑なモジュール製品になる傾向があり、中小企業は独立した部門を持たないため、統合された非常に直感的なソリューションが必要です。新しいERPのほとんどは、既存の企業と同じことをクラウド上で行っているだけです。Holdedはモジュールや長い実装時間、コンサルタントも必要ないERPを開発し、全体の経験を大きく変化させてきました」と述べている。

ERPのスタートアップ分野は急成長している。2021年1月には、平均的なオンライン中小企業向けにさまざまなバックオフィス機能をカバーするエンタープライズリソースプランニングソフトウェアを開発しているドイツのスタートアップXentralが、2000万ドル(約21億ドル)のシリーズAを調達している

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:HoldedERP資金調達

画像クレジット:Holded founders

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(文:Mike Butcher、翻訳:塚本直樹 / Twitter

機械学習の実用ツールで急成長中のWeights&BiasesがシリーズBで47.2億円調達

機械学習の実用ユーザーのためのツールを開発するWeights&Biasesが、シリーズBで4500万ドル(約47億2000万円)を調達したことを発表した。

Weights&BiasesはLukas Biewald(ルーカス・ビーワルド)氏とChris Van Pelt(クリス・ヴァン・ペルト)氏、Shawn Lewis(ショーン・ルイス)氏の3人が創業した。ビーワルド氏とヴァン・ペルト氏は以前、CrowdFlower / Figure Eightを創業したが、同社はAppenが買収されてされている。Weights &Biasesはすでに200社以上の顧客、7万名以上のユーザーがいるという。

ビーワルド氏は大学で私と同級だったが、彼は「機械学習の実用ユーザーはある面ではエンジニアというよりもサイエンティストだ」といい、ソフトウェアの開発者に似ているという。

その工程の中には、数多くの実験がある。そしてWeights&Biasesのコアプロダクトは、実用ユーザーによるそれらの実験の追跡を助ける。またそれと同時に、同社はデータセットのバージョニングやモデルの評価、パイプラインの管理などのためのツールも提供している。

「たとえば自動運転車と衝突事故をコントロールするモデルがあるとすると、実際に何が起きたのかを知る必要がある。それが数年前に作ったモデルで、いろんな実験をやってきたのなら、何が起きたのかを体系的にたどることが困難なこともある」とビーワルド氏はいう。そうなるのを防ぐためには、実験の追跡をするツールが必要だ。

彼によると、Weights &Biasesはこの市場における「初期のリーダーだ」という。競合するツールが出回ってくると、それはトップダウンの企業のセールスではなく「MLの実用ユーザーに完全にフォーカス」して、他の製品から差別化しているという。同様に、機械学習が多くの分野で利用されてくるにつれて、Weights&Biasesもときどき「高度な問題」にぶつかることがあるとのことだ。

画像クレジット:Weights&Biases

「機械学習のために機械学習をやってるような企業に販売していくことに関心はありません。たとえばCEOの命令で会社のあちこちに機械学習をばらまいているような企業もあります。そういう企業には何のインパクトもないため、見てるだけで憂鬱になります。しかし、我々が話をしているような企業のほとんどは、何か有益なことのためにMLを利用しています」。

彼が挙げる大手農業企業のJohn Deereは、Weights&Biasesのプラットフォームを利用して、継続的にロボットによる肥料撒布方式を改良している。雑草や害虫を殺す農薬ではない。また一部の製薬企業はWeights&Biasesを使って、さまざまな分子の振る舞いをモデル化する方法を研究している。

Weights&Biasesはこれまで、2000万ドル(約21億円)の資金を調達している。今回のラウンドはInsight Partnersがリードし、Coatue、Trinity Ventures、Bloomberg Betaが参加した。またInsightのGeorge Mathew(ジョージ・マシュー)氏が、取締役会に加わる。

マシュー氏は、Weights&Biasesについて次のように述べている。「これだけNPS(ネット・プロモーター・スコア)が高く、カスタマーフォーカスの深いMLOpsのカテゴリーリーダーは他に見たことがありません。Insightによる最初の投資が、MLの実用ユーザーのユーザーベースに貢献するスタートアップであることを誇りに思います。この分野は、ここ2年間で60倍に成長しています」。

同社によると、今回の資金はエンジニアリングと成長、営業、そしてカスタマーサクセス方面の新規雇用に使われるという。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Weights&Biases資金調達機械学習

画像クレジット:Weights&Biases

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)

中小企業の従業員にもパーソナライズされた福利厚生を届けるBenが約2.6億円調達

ロンドンを拠点とする従業員向け福利厚生・リワードプラットフォーム「Ben」が、250万ドル(約2億6000万円)の資金調達を行った。今回のシードラウンドは、Cherry VenturesとSeedcampが主導した。

また、フィンテックやHRテックのバックグラウンドを持つエンジェル投資家も多数参加している。Paul Forster氏(Indeedの創業者)、Taavet Hinrikus氏(TransferWiseの創業者)、Carlos Gonzalez-Cadenas氏(以前はGoCardlessの幹部だったが、現在はIndex Venturesのパートナー)、Philip Reynolds氏(Workdayのエンジニアリング担当副社長)、Matt Robinson氏(Nestedの創業者)などだ。

その半分はフィンテック、半分はHRの役割を果たすBenは、中小企業が従業員によりパーソナライズされた柔軟な福利厚生を提供できるようにするための福利厚生プラットフォームを構築した。同社は、福利厚生マーケットプレイスを含む福利厚生管理のためのSaaSと、Mastercardを利用した従業員ごとのデビットカードを組み合わせてこれを実現している。

このアイデアは、従業員がどの福利厚生を選択するかについて、より個人的な選択ができるようにすると同時に、追加のプロバイダーを簡単に導入できるようにすることを目的としている。プロバイダーの導入は、マーケットプレイスを介して、または雇用主が発行したマスターカードを介して加盟店や業者カテゴリーをホワイトリストに登録することで可能になる。

「ほとんどの企業が、チームメンバーを惹きつけ、エンゲージメントを高め、最終的には生産性を向上させるために福利厚生を提供していますが、大部分のソリューションは期待通りの成果をもたらしていません」と、Benの共同創業者兼CEOであるSebastian Fallert(セバスチャン・ファラート)氏は語る。「インパクトを与えるためには、提供される内容は個々の従業員にとって役立つものである必要があります。つまり、何かが40代半ばの在宅勤務者には有益な『ベネフィット』であっても、20代の新入社員にはほとんど役に立たないかもしれないということです」。

ファラート氏によると、ほとんどの中小企業にとって、必要なレベルの個人別ベネフィットを提供することは、パーソナライズされたプログラムの作成と管理に「高いコストと複雑さ」があるため、従来不可能であったという。そのため、従業員が様々な選択肢から選択できる柔軟な福利厚生プログラムを提供できるのは大企業に限られていた。Benはこの問題を解決することを目指しているという。

「Benのソフトウェア・プラットフォームを利用することで、企業は資金を投入し、その使用方法について個別の支出ルールを設定することができます」とファラート氏は説明する。「従業員は、民間の医療保険、メンタルヘルスサービス、デンタルプランなどのグループベネフィットから選択することができますが、さらに従業員ごとの実際のマスターカードは、幅広い商品やサービスの利用を可能にしつつも、節税効果が高くコンプライアンスに準拠した方法です」。

その結果、「ウィンウィン」が実現する、と同氏はいう。「従業員はカスタマイズされた福利厚生を得られ、企業は使用された分だけを支払い、管理を合理化しながら免税や優先的な価格設定を利用することができます」。

Benのプラットフォームは現在、中小企業、特にチームが分散している企業で利用されている。「特にこれらの企業では、より多様化し、遠隔勤務や分散化が進む従業員に対応するために、プログラムの複雑化に対応しなければなりません」とファラート氏は語る。

一方、Benには3つの収益源がある。SaaS料金、カードが使用されるたびに発生するインターチェンジ収入、そしてもちろん、マーケットプレイスからのアフィリエイト収入だ。

ファラート氏は次のように付け加えた。「当社サービスのコアとなる仮説の1つは、借金整理や不妊治療など、多くの場合すべての従業員には関係がないことでも、企業には浸透していない素晴らしいサービスがたくさんあるということです。Benを使うことで、これらのサービスは標準的な商業条件で簡単に配布され、企業は追加支出なしにより多くのベネフィットを提供することができます」。

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カテゴリー:HRテック
タグ:資金調達

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Nakazato)

業務自動化のUiPathが約790億円調達、IPOもまもなく

急成長中のロボット・プロセス・オートメーション(RPA)分野におけるリーダーの1社であるUiPathは米国2月1日、350億ドル(約3兆7000億円)という驚くべきポストマネーバリュエーションで7億5000万ドル(約790億円)のシリーズFラウンドをクローズしたと発表した。

既存投資家のAlkeon CapitalとCoatueが共同で本ラウンドをリードし、Altimeter Capital、Dragoneer、IVP、Sequoia、Tiger GlobalそしてT. Rowe Price Associatesのアドバイスを受けたファンドや個人投資家も参加した。Crunchbaseによると、ニューヨーク拠点のUiPathの累計調達額は20億ドル(約2100億円)近くになった。

UiPathは2005年に設立されたが、2015年まで機関投資家から資金を調達しなかったとCrunchbaseにある。2020年12月にCNBCはUiPathの年間売上高が約3億6000万ドル(約380億円)で、 Amazon(アマゾン)やBank of America、Verizonなどを含む6300もの顧客を抱えていると報じている

自らのミッションは「Fully Automated Enterpriseを使えるようにし、そして自動化を通じて労働者に力を与えることで人間の創造性と工夫を解き放つこと」だとUiPathは謳う。同社のオートメーションプラットフォームは、さまざまな部門でオートメーションを構築して動かす方法を企業に提供することで「人間の働き方を変革する」のが目的だ。

同社は「世界中の企業や行政組織のために何百万回も繰り返される気が遠くなるようなタスクを自動化し、生産性や顧客エクスペリエンス、従業員の働きがいを改善する」のに人工知能(AI)と機械学習を使っている。最終目標は労働者により複雑な業務にフォーカスするための精神面でのエネルギーと時間を与えることだ。競合相手としてはMicrosoft Power Automate、Blue Prism、Automation Anywhereなどがある。SAPも最近この分野に進出した。

UiPathは信じられないほど成長してきた。筆者が2019年4月に5億6800万ドル(約600億円)のシリーズDについて記事を書いたとき、同社は200カ国に40万ものユーザーを抱えていた。当時、同社は2017年4月に800万ドル(約8億4000万円)だった年間経常収支(ARR)が2億ドル(約210億円)に増えたと語った。その後同社は、従業員数を2年間で16倍の2500人超に増やしたと明らかにした。またIPOを検討していることも匂わせた。

言葉どおり、同社は証券取引委員会にIPOのためのドラフトを提出した。そのため、大きな資金調達をこのタイミングで行ったというのはなおのこと興味深い。

UiPathの上場は2021年版のSnowflakeのIPOとなるかもしれない。後払い決済サービスを提供するAffirmも最近、IPO申請前に5億ドル(約520億円)を調達するという似たようなアプローチを取った。

UiPathは今回のラウンドについてプレスリリースにある以上のコメントは拒否している。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:UiPath資金調達RPA

画像クレジット:Noam Galai/Getty Images for TechCrunch / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi)

株取引アプリRobinhoodが週末だけで合計3566億円の資金を獲得

厳しい監視下にある人気株取引アプリのRobinhood(ロビンフッド)が、株主らから得た24億ドル(約2516億円)をバランスシートに加えた。Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)が報じた後、同社が正式に認めている。非上場のスタートアップは米国時間1月29日に10億ドル(約1048億円)を調達したばかりであり、多数の民間投資家が個別株に投資しようとRobinhoodのアプリに殺到するのに対応するべく、これで同社はわずか数日の間に34億ドル(約3566億円)を手に入れた。Redditユーザーが空売り人たちを困らせようとGameStopに投資したことが大きな要因だ。

Robinhoodによると、新たな調達ラウンドは「Ribbit Capitalのリードで、既存出資者のICONIQ、Andreessen Horowitz、Sequios、Index Ventures、NEAが参加し、最終条件は調整中」という。未確定の調達ラウンドについて発表するのはかなり異例だが、早く心を落ち着けたいRobihoodが、手続き完了前に資金について叫ぶのは理に適っている。

新たな資金は、2021年にIPOを実施する可能性のあるユニコーンにとって厳しい時期にやってきた。しかし、同時に世間の大きな関心を集めやすいときでもあり、多くの潜在新規ユーザーを引きつけるに違いない。

先週Robinhoodは、GameStop(ゲームストップ)やAMCといった、いわゆるミーム株に投資しようとする新たな投資家の需要に圧倒された。厳格な資金要件に答えるために、Robinhoodは一時的にこれらの株の取引を中止せざるを得なかった。現在RobinhoodユーザーはGameStopなどの株をわずかしか買うことができない。GameStopの爆走が始まった後、Robinhoodは追加資金を獲得したが状況は変わっていない。

TechCrunchはRobinhoodにメールを送り、24億ドルの資金調達の詳細を尋ねた。会社の第一次資本として調達したのか、上場時に転換可能な転換社債なのか、それとも別の方法なのか。

【更新】Robinhoodは正式なコメントを拒んだ。しかし事情に詳しい筋が、資金はConvertible Note(コンバーチブルノート)のかたちで調達されたとTechCrunchに語った。Forbesは資金調達がコンバーチブルノートで行われたことを最初に報じていている

「今週の株式市場における異常な状況の中、本日当社は一部株式の購入を一時的に制限する苦渋の決断を下しました。証券会社として、当社にはSECの資本準備義務や清算預託金など数多くの財務要件があります。要件の中には市場変動に応じて変動するものがあり、現在の環境下では著しい金額になりえます。これらの要件は投資家と市場を保護するために存在するものなので、私たちは規則に従う義務を果たしており、本日の措置もその1つです」と同社がブログに書いている。

言い換えると、Robinhoodは資金が底をつき、そのために同社アプリの狂った活動を制限せざるを得なかった。Robinhoodによる制限の理由は手続き的なものだが、多くの投資家たちはこの締めつけをヘッジファンドを優遇する仕打ちだと受け取っている。米国時間1月29日、Robinhoodは新たなブログ記事を投稿し、この同社の軌道における重大な週とも見られている期間に起きたことを詳しく説明した。

「私たちのゴールは、このプラットフォームであらゆる銘柄を購入できるようにすることです。これは活動的で変化の多い市場であり、私たちはこれまで通り仲介業者としての要求に答える行動を継続し、長期に渡ってお客様にサービスを提供していきます」と声明に書かれている。

この日の新たな資金はRobinhoodが切望していた緩衝となるもので、顧客である投資家たちを喜ばせる手助けになるだろう。

関連記事:RobinhoodがGameStopなどのユーザー保有株数を1株に制限

カテゴリー:フィンテック
タグ:Robinhood資金調達

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Mascarenhas、Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

英語学習アプリのELSAが約15.7億円を調達、日本などのアジア諸国やラテンアメリカでの事業拡大を目指す

新しい言語のスピーキングを学ぶのは難しい。定期的に練習する相手がいない場合は、特にそうだ。ELSAは音声認識技術を活用して発音を良くするのに役立つアプリだ。米国時間1月31日、サンフランシスコとホーチミンに拠点を置くELSAは、VI(Vietnam Investments)グループとSIGが主導するシリーズBで1500万ドル(約15億7000万円)を調達したと発表した。これまでにも投資していたGoogle(グーグル)のAIに特化したファンドであるGradient Ventures、SOSV、Monk’s Hill Venturesのほか、Endeavor CatalystとGlobant Venturesも参加した。

調達した資金はラテンアメリカ事業の拡大と、企業や教育機関がこのアプリのサービスを従業員や学生に提供するスケーラブルなB2Bプラットフォームの構築に使われる。ELSAは2015年に設立された。社名は「English Language Speech Assistant」の頭文字をとったものだ。同社は利用者が1300万人を超えていると公表している。前回の資金調達は2019年に発表されたシリーズAで700万ドル(約7億3000万円)だった。

ELSAはラテンアメリカ以外に、2020年に需要が多かったベトナムやインド、日本にも事業を拡大しようとしている。同社は最近、IELTS試験を運営しているIDPおよびBritish Councilと提携し、IDPとBritish CouncilIがELTSの試験対策としてELSAを推奨するようになった。ELSAはIMAPやSpeak Upなどのベトナムの語学スクール、オンライン学習プラットフォームのYOLA、Kimberly ClarkやIntel、ATADといった法人顧客とも提携している。

ELSAの共同創業者でCEOのVu Van(ヴ・ヴァン)氏はTechCrunchに対し、就職に生かし収入を増やすチャンスを得るために英語のスピーキングを上達させたいと思っている人は多いと語った。ベトナムやインド、ブラジルでは英語のスピーキングが上手な人は同僚に比べ2〜3倍の給与を得られると同氏はいう。

ヴァン氏は「このような動機があるため、ベトナムやインド、ブラジルで我々に対する英語学習者の需要が高まっています。新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が広がってからは、ラテンアメリカからも大きな関心が寄せられるようになりました」と付け加えた。

ELSAの英語の発音に関するフィードバック

ヴァン氏の出身国であるベトナムでは、英語学習者はオンラインやオフラインでの英語のトレーニングに可処分所得の多くを払っている。「しかし英語学習者の大半はスピーキングのスキルがなかなか上達しません。他人に通じなかったり、話す勇気がなかったりするのです」とヴァン氏はいう。ELSAは発音を学び、自信を持って英語を話せるようになるための利用しやすいリソースを提供することを目的に開発された。

英語の発音に特化したアプリには、ほかにFluentUやSay Itなどがある。ヴァン氏によれば、ELSAの強みは自社の音声認識AI技術だという。

同氏は次のように説明する。「我々のAI独自の特徴は、多くのユーザーからさまざまな発音の英語の音声データを大量に集め、このデータを使って数年にわたってAIモデルをトレーニングしてきたことです。これにより、世界中の非ネイティブの人が話す英語を高精度で認識し、理解できます。ほかの音声認識技術ではネイティブの人の英語は理解できても、非ネイティブで発音に癖のある学習者の英語はなかなか理解できません」。

ELSAでは単語ごとにフィードバックを返すだけでなく響きに関しても指摘することができ、発音を良くするための詳細な情報がユーザーに提供される。「イントネーション、リズム、流暢さといった極めて高度なスピーキングの韻律的な特徴に関して情報を提供できるので、ユーザーはもっと自然な英語を話せるようになります。これは競合他社では提供していないことです」とヴァン氏は述べた。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:ELSA語学学習資金調達ベトナム

画像クレジット:ELSA

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(文:Catherine Shu、翻訳:Kaori Koyama)

飲食店向けテイクアウトの予約・決済サービス「TakeEats」運営のランプが約1億円調達

飲食店向けテイクアウトの予約・決済サービス「TakeEats」運営のランプが約1億円調達

飲食店向けテイクアウトの予約・決済サービス「TakeEats」(テイクイーツ)を運営するランプは2月1日、第三者割当増資、金融機関からの借入、事業譲渡を実施し、総額約1億円の資金調達を発表した。引受先は独立系VCのANRIほか、個人投資家。

TakeEatsは、初期費用・月額費用が無料、飲食店向けのテイクアウトに特化した予約・決済システム。最短1営業日からスマホ事前予約の受付をスタートできるとしている。2020年6月のリリースから7カ月間で全国500店舗の飲食店に導入済み。

調達した資金により、TakeEatsの新機能追加、バージョンアップ、優秀な人材の採用などを加速する。ウィズコロナ、アフターコロナの中で人々の「食」の生活様式が変わる中、地域社会・飲食店業界・タクシー業界のデジタル化に貢献するべくスピード感を持って事業の拡大に注力するとしている。

飲食店向けテイクアウトの予約・決済サービス「TakeEats」運営のランプが約1億円調達

ランプは、2011年創業以来「デジタルの力で地域社会を灯す」というビジョンを掲げ、これまで京都の企業や自治体を中心に300社以上のウェブマーケティング支援を実施。コロナ禍の中、地域に貢献したいという想いと、代表取締役河野匠氏自身が不便に感じたアナログな部分を解決すべくTakeEatsをリリースしたという。

同社によると、飲食店にとって、テイクアウト営業は「商品の手数料が高い」「サイトやシステム導入に初期費用がかかる」「電話予約による受注ミス」などの負担やリスクが多いという。

また消費者にとっては「メニューや値段がわからない」「電話がつながらない」など、デジタル化が遅れていることで購入に至らない、機会損失が多いという現状もあるそうだ。このような飲食店の負担と消費者の不便を解決するのが、テイクアウトに特化したTakeEatsとしている。

また同社は、地域社会に貢献すべく、タクシー会社と連携をした[タク配]サービスも展開。京都のMKタクシーと連携した「MKタク配」、大垣市のスイトタクシー連携の「スイトタク配」などにより、利用者の自宅までのデリバリー配達も受け付け可能という。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:資金調達(用語)モバイルオーダーランプ日本(国・地域)

自宅でできる郵送ホルモン検査サービス「canvas」のVitalogue Healthが資金調達

自宅でできる郵送ホルモン検査サービス「canvas」のVitalogue Healthが資金調達

自宅でできる郵送のホルモン検査サービス「canvas」(キャンバス)を展開するVitalogue Health(バイタログヘルス)は2月1日、第三者割当増資による資金調達を発表した。引受先はジェネシア・ベンチャーズ、赤坂優氏、森本千賀子氏、石倉壱彦氏。今後、プロダクトのさらなる拡充、各種プロモーション、採用活動を行う。

Vitalogue Healthは、代表取締役CEOの長谷川彩子氏自身の経験から女性が自分の身体と向き合い、人生の選択肢を広げるきっかけを増やしてほしいという思いから、2020年4月に設立。canvasをファーストプロダクトとして展開し、ウェブサイトを通じた事前登録を開始しているほか、法人利用・アライアンスでの活用も予定。

自宅でできる郵送ホルモン検査サービス「canvas」のVitalogue Healthが資金調達

canvasは、自分の手で人生を描き続けたいと願うすべてのひとの、あらゆるライフスタイルを叶えるための「ホルモンケア」サービス。PMS(月経前症候群)や生理痛、妊娠、更年期と、女性は一生を通してホルモンに大きな影響を受けて生きているという。

同社は、canvasの第1弾として、妊娠を見据えた健康チェックができる「Women’s Fertility Check」、更年期を見据えた健康チェックができる「Menopause Check」の2種類の検査キットへの事前登録を、2020年1月よりcanvas公式サイトで開始している。

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カテゴリー:フェムテック
タグ:資金調達(用語)生理痛妊娠(用語)Vitalogue HealthPMS / 月経前症候群日本(国・地域)

「ブレインケア」という新分野に向けてサプリメントを販売するHeightsが、2.4億円の資金を調達

新しいウェルネス系スタートアップ企業のHeights(ハイツ)は先週、「ブレインケア」というカテゴリーに焦点を当て、正式にローンチすることになった。このスタートアップは、科学的なデータに基づくという「脳に栄養を与える、超高品質で持続可能な植物ベースのサプリメント」を販売する予定だ。

同社はクラウドファンディングのSeedrs(シーダーズ)を通じて170万ポンド(約2億4000万円)のシード・ファンディング・ラウンドを調達しており、これには機関投資家のForward Partners(フォワードパートナーズ)も参加している。エンジェル投資家には、New Look(ニュールック)の創設者Tom Singh(トム・シン)氏、WeTransfer(ウィートランスファー)のDamian Bradfield(ダミアン・ブラッドフィールド)氏、Shazam(ジャザム)のDhiraj Mukherjee(ディラジ・ムカージー)氏、Planet Organic(プラネットオーガニック)のRenee Elliot(リニー・エリオット)氏、イングランド代表のマンチェスター・ユナイテッド所属プロサッカー選手で投資家でもあるChris Smalling(クリス・スモーリング)氏などが名を連ねている。

この資金は、プロバイオティクス(有用菌)の一種で認知と精神的な健康を目的としたサイコバイオティクス(腸内細菌)サプリメントを間もなく発売するなど、顧客拡大と新製品開発のために使用される予定だ。

Heightsの顧客は最初に「脳の健康」の調査を受け、その後、1カ月、3カ月、または1年間の定期購入に申し込むことになる。

これは1日に2つのカプセルを摂取するだけで、定期的にビタミンを摂取する煩わしさを大幅に減少させることができる。

製品は郵便受けに入る形状の変わったボトルに入っており、これは有名なプロダクトデザインエージェンシーのPentagram(ペンタグラム)がデザインしたものだ。サブスクリプションに含まれているコンテンツとコーチングプログラムが顧客を支援し、1カ月後にもう一度、脳の健康調査が行われる。Heightsは使用者の「93%」が1カ月以内に脳の健康スコアを改善したと主張している。

「デザイナービタミン」と表現されることもあるこの新しい市場にいるのはHeightsだけではない。既にHims / Hers(ヒムズ/ハーズ)、Motion(モーション)、Vitabiotics(ビタバイオティックス)、Bulletproof(ブレットプルーフ)などの企業が参入している。

これらの企業は一般的に「ヌートロピックス(向知性)」と呼ばれるカテゴリーに分類される。これは健康な人の認知機能、記憶力、創造性、モチベーションを向上させるように設計されたビタミンやミネラルなどのことだが、市場は小さくない。「セルフケア」、「ヘルスケア」、「自己開発」といった市場は、1兆ドル(約104兆7000億円)以上の価値があり、サプリメントだけで少なくとも1000億ドル(約10兆4700億円)以上の価値がある。

Heights創業者のダン・マレー=サーター氏とジョエル・フリーマン氏、アドバイザーのタラ・スワート博士

しかし、Heightsは前述のプレイヤー達とは違うことをやろうとしていると、共同創設者のDan Murray-Serter(ダン・マレー=サーター)氏は言う。

テキストベースのインタビューで、同氏は次のように語った。「ヌートロピックスと呼ばれるカテゴリーは、実際のところ応急治療に焦点を当てています。それが私たちが『ブレインケア』というカテゴリーの創出に取り組んでいる理由です。なぜなら、人生に「応急治療」なんてないからです。また、この用語とカテゴリーは、人々に「一攫千金」のような誤った希望を抱かせてしまいます。私たちはそれとは違うやり方、つまり科学的に研究された記事やジャーナルの参照から始めています」。

彼は、Heightsがスキンケアやヘアケアのブランドのような位置づけになるだろうと述べている。「人々は、毎日の習慣と実践が長期的な効果を作るものであり、一日だけの奇跡ではないと理解しているからです」。

マレー=サーター氏によれば、科学的には私たちの脳が活性化するために20の重要な栄養素が必要だという。これらは主にマルチビタミン、オメガ3、そして「ヌートロピックス」を組み合わせて購入することで得ることができる。Heightsは、それを体が吸収しやすくする特許を取得したカプセルに入れて、最も「生物学的に利用可能な形」で「最高品質の」成分を供給すると、同氏は語っている。

「ビタミン剤を飲む習慣が定着しない最も一般的な理由の1つは、ボトルが食器棚の中に入ってしまい、無視されてしまうことです。だから私たちは、品質と同時にデザインから始めました」と彼は言う。Heightsのビタミンは独自の、リサイクル可能なボトルに入っており、ユーザーがそれを送り返せば、Heightsもそれをリサイクルして使う。

以前、モバイルコマースのスタートアップ企業であるGrabble(グラブル)を設立したマレー=サーター氏は、慢性的な不安と6カ月間の不眠症に苦しんだ後、Heightsのアイディアを思い付いたという。この問題を解決したのは、通常1日に推奨される最低レベルのビタミンしか入っていない標準的なサプリメントではなく、高品質で高密度のビタミンとサプリメントだった。

共同設立者のJoel Freeman(ジョエル・フリーマン)氏と、認識能力の最適化をテーマにしたニュースレターを開始すると、2人は6万人の読者を獲得した(www.yourheights.com/sundays)。

そして、実際の製品を発売することを思い付いた。

現在、同社のポッドキャスト「Braincare(ブレインケア)」は、ダウンロード数が10万を超えており、重要なチームの一員として最高科学責任者のTara Swart(タラ・スワート)博士(写真)も加わった。

現在の2つの状況がHeightsにとって追い風となる可能性がある。まず第一に、この新型コロナウイルスが流行している時代、世界中の公衆衛生当局や政府は、体の免疫システムを高めるためにビタミンDを摂取することを患者に推奨している。Heightsのカプセル2個には、他の多くのサプリメントと同様、ビタミンD3の「栄養基準値」(旧称:推奨摂取量)の400%が含まれていることは注目に値する。理論的に、これは通常の錠剤の4錠分で接種できるが、Heightsが提供する顧客体験や追加で含まれている他のビタミンは、多くの人にアピールするだろう。2つめは、メンタルヘルスへの意識と良好なメンタルヘルスを維持することへの関心が高まっており、公の場で日常的に話題となっていることだ。Heightsはこれら2つの波に乗るための良い位置にいるように見える。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

生産性を重視したTeamflowの仮想HQプラットフォームが390万ドルを獲得

ビデオ通話やSlackによるメッセージが主なコミュニケーション手段となってから約1年。ここにきて再び働き方や職場のあり方が変化を遂げようとしている。Teamflow(チームフロー)の創設者Florent Crivello(フロレント・クリベロ)氏は、オフィス勤務を再開する人やリモートワークを続ける人など多種多様なポストコロナの世界で仕事の効率化を図るための、非常に有益なアイデアを生み出したとして高額の資金調達に成功した。

以前はHuddle(ハドル)として知られていた同社は、様々な場所から働くチームメンバーが単一のプラットフォームから共同作業やコミュニケーションをできるようにする仮想本社を構築している。過去6か月間プライベートベータテストを行ってきた同スタートアップは、本日Menlo Ventures(メンロ・ベンチャーズ)のNaomi Ionita(ナオミ・イオニータ)氏が率いるシードファイナンスラウンドで390万ドル(約4億円)を調達したと発表した。

競争が「過熱」しているこのタイミングでの資金調達にクリベロ氏は満足しているようだ。現在HQプラットフォームは市場に溢れかえっており、ベンチャー企業に支援されているものや独自開発のものなどがあるが、どれもゲーミフィケーションと生産性を組み込んだサービスとなっている。

「シリコンバレーのエンジニアや技術者の多くがこの1年、この課題を肌で感じてきたかと思います」とクリベロ氏。

以前はUber(ウーバー)でチームを率いていたクリベロ氏によると、競合他社のプラットフォームがソーシャル的な要素に注力する中、Teamflowのフォーカスは仕事そのものであるという点で他社と差別化を図ることができているという。競合他社には、よりソーシャル的な要素が強いBranch(ブランチ)や、最近20億ドル(約2080億円)で評価されたプラットフォームで、デジタル会議をプロデュースするHopin(ホップイン)などがある。

「ポケモン的な楽しみ方が製品の強みではありません。仕事自体が我々のフォーカスです」と同氏は言う。

Teamflowをひと目見てみると、デザイン性よりも生産性を重視しているということが見て取れる。仮想空間に入るとホワイトボードやカウントダウンタイマーなどのサイドバーが用意されており、さらには近々NotionやGoogle Docsとの統合も追加されるようだ。

現在のリモートワークがもたらした「アプリ中心」の世界で、Teamflowがその中心的な存在になれたらとクリベロ氏は考えている。アプリだらけの混沌とした状況を整理し、コラボレーションレイヤーとして一箇所に集約させるプラットフォームになろうというわけだ。

従業員がより自然な体験を得られるようにするための空間技術が使用されており、同僚の横を通り過ぎると会話に参加することができ、そこから遠ざかると会話の音量も徐々に小さくなっていく。また個室空間も用意されているため、招待制の会議を行うことも可能だ。

同製品はベータ版を開始して以来すでに成長の兆しを見せている。プラットフォームの利用時間は週ごとに30%増加しており、プラットフォーム体験において計5万時間以上のユーザーテストを達成。さらに待機リストには1000人ものユーザーがいる。

「朝から一日中開けっぱなしで使用するような製品になってくれるのではないでしょうか」とクリベロ氏は言う。

いくら生産性を重視しているからといっても、消費者にこのアプリを終日使ってもらえるようにするためにはデザインの良し悪しも無視できない。より多くの時間を同プラットフォームで過ごしてもらうには、仮想本社の雰囲気をユーザーがより深く感じられるようにするための投資がTeamflowには必要である。競合他社がゲーム的機能を前面に押し出している理由はここにある。

どんなバーチャルHQ企業であれ、毎日の貴重な時間をプラットフォームでおとなしく過ごしてもらえるようユーザーを納得させる必要がある。

うまくいけばTeamflowはSlackやZoomに取って代わるリモートワーク・ソリューションになれるかもしれない。クリベロ氏によると既にこの2つのアプリの使用を中止した「企業が複数いる」とのことで、Teamflowは現在Slackに匹敵する社内チャット機能を構築中だという。

最新の価格情報によると、1か月あたりのサブスクリプションコストは1人につき15ドル(約1560円)からとなっている。

「コミュニケーションの方法以外にも、リモートワークの共同作業において必要なことはたくさんあります」とクリベロ氏は述べている。SlackとZoomが主に従業員同士をつなげることを重視している一方で、Teamflowを使用すれば仕事も会話も全てを一箇所で済ませられるようになるというのが同氏の考えだ。

言うまでもなく、遠隔で働くチームに向けたプラットフォームを広く普及させることができればその利益は絶大だ。コロナ禍か否かにかかわらず、時代は分散型ワークの主流化に向けての転換点を迎えたとTeamflowは考えている。創業者らはチームの幸福度と生産性を高く保つためのソリューションを模索することになるだろう。

「今後リモートワークを選択肢としない企業は、競争上不利になるのではないでしょうか」とクリベロ氏。

アーリーステージのスタートアップというのは、長期的な成功が初めから明らかでなくても多少許されるものだ。しかしTeamflowやその他多くの仮想HQプラットフォームに関して言えば、成功の行方はパンデミック後の消費者習慣が顕在化した瞬間すぐに、明確に見えてくることだろう。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:リモートワーク 資金調達

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Dragonfly)

AI・ディープラーニング技術のコンサルティングと開発を手がけるリッジアイが7.8億円を調達

AI・ディープラーニング技術のコンサルティングと開発を手がけるリッジアイが7.8億円を調達

AI・ディープラーニング技術のコンサルティングと開発を行うリッジアイ(Ridge-i)は2月1日、第三者割当増資による7億8000万円の資金調達を発表した。引受先は、オリックスと、グローバル・ブレイン、スパークス・グループ(スパークス)。累積資金調達額は約15億3000万円となった。

同社は、今回の資金調達は、これまで培ってきたAI技術と導入知見を、より多くのニーズへ届けられるように、プロダクト・AIエンジンの開発体制の強化およびその販売体制を構築するための事業戦略ラウンドと位置づけ。また、社会課題・SDGsに対する宇宙開発・衛星解析事業は投資フェーズであり、今回の調達により財務基盤を強化することで、より積極的な発信と研究開発を加速し、ニーズの創出を狙う。

調達した資金の投資先

  • 高度なカスタムAIの開発・提供の加速化:AIプロダクトの開発体制の拡充、販売展開の強化、計算資源の強化、少数データによる精度向上技術などAIのコア技術の研究開発、パートナー企業との強みを活かしたAI×αの共同ソリューション開発
  • 社会課題解決に向けた、衛星画像解析AIを中心とした技術・サービスの開発:衛星画像を使ったAI解析のポータルサービスの提供、土砂崩れや海の汚染など自然災害リスクに対する環境モニタリングAIの開発、人流動向や行動分析など社会活動モニタリングAIの開発、衛星画像解析に特化した、画像処理・信号処理技術の研究、衛星とドローンを組み合わせた、統合的な画像解析ビジネスの展開
  • 優秀な人材採用による組織力強化およびR&D研究の推進:採用活動の強化、点群データ処理、マルチモーダル技術など、AIの次を見据えた新たな研究開発の加速、大学との共同研究(東京大学と建築情報学について連携)

リッジアイは、AI・ディープラーニング領域において、社会課題・顧客課題に向き合い、最先端の技術を駆使して解決し、新しい社会を創造するテックイノベーションファーム。

特に、画像やセンサーデータの解析について、様々な技術とディープラーニングを始めとするAIを組み合わせた開発能力に強みを持ち、投資対効果が高く技術面において最適化されたソリューションの提供により、課題解決に取り組んでいる。

顧客課題だけでなく、多くの社会課題に取り組み、JAXAより受託した土砂崩れ解析ディープラーニングでは第4回宇宙開発利用大賞 経済産業大臣賞を受賞。今後も技術の実用と研究の両立を追求し、社会・顧客が持続的に効果を実感できる最高のソリューションを提供するとしている。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:資金調達(用語)ディープラーニング / 深層学習(用語)リッジアイ日本(国・地域)

ブラジルの新進フィンテックNubankが2.6兆円の評価額で420億円調達

パンデミックで資金不足に陥るスタートアップがある時代を、実にふさわしい名前をしたブラジルのネオバンクNubank(ヌーバンク)はかきわけて進んでいる。同社は米国時間1月28日、シリーズGラウンドで4億ドル(約420億円)を調達し、累計調達額は12億ドル(約1260億円)になったと発表した。しかし、250億ドル(約2兆6200億円)という新たなバリュエーションに加え(2019年の100億ドル、約1兆500億円から増加している)、さらに注目すべきはユーザー3400万人という顧客ベースで、同社はこの数字を2013年のフィンテック立ち上げから築き上げた。

「顧客の数は2019年の1200万人からほぼ口コミだけで3400万人に増えました」と同社の共同創業者でCEOのDavid Velez(デイビッド・ベレズ)氏は話した。2020年9月まで同社は1日あたり4万1000人の新規顧客を獲得していた。同社は顧客を獲得するのにコストがかかっていないことを誇りにしている。ベレズ氏は、同社がマーケティング費用を「いい給料」と優れた顧客サービスに充てていると述べた。優れた顧客サービスはブランドに対する好感を他人と共有する「熱狂的」な顧客につながる。

新たなバリュエーションにより、Nubankは南米で4番目に価値の大きな金融機関に、そして顧客数とアプリダウンロード数では世界で最も大きなデジタルバンクになった。

シリーズGラウンドは既存投資家であるシンガポールのGIC、Whale Rock、Invescoなどを含むプライベートとパブリックの投資家がリードした。他の既存投資家からはTencent、Dragoneer、Ribbit Capital、Sequoiaが参加した。ベレズ氏はSequoiaの前パートナーで、コロンビア出身。スタンフォード大学で学び、米国で何年も働いた。

南米の金融首都であり1280万人が暮らすサンパウロに拠点を置くNubankはコロンビアとメキシコに事業を拡大した。ブラジルで新サービスを構築しつつも、今回調達した資金はそうしたマーケットでの事業にあてる。

同社はクレジットカード会社として始まり、今やフルサービスを提供する銀行となっているが、支店は持たない。そのため同社は資金を主に成長に充てることができた。

ブラジルの悪名高い官僚的で恐ろしい銀行体験について、「人々はひどい扱いを受けたり高い手数料を払ったりするのに本当にうんざりしていました」とベレズ氏は話した。これまでブラジルで毎月の請求の支払いをするには、銀行の支店に足を運び、往々にして暑い中、銀行の外に並んで順番がくるまで待たなければならなかった。この順番待ちは、最新iPhoneのリリースのときにApple Storeの外にできる列のように長かった。

「銀行は口座を開くことであなたの願いに応え、その後、年間金利450%を課します」とベレズ氏は述べた。「人々は本当に人間として扱われたいのだと我々は思っていました」と付け加えた。

1994年にブラジルレアル通貨が導入されたとき、米ドルに対し1:1と固定された。しかし近年は、3人の大統領が続けざまに投獄や弾劾され、有罪になるという同国史上最大のスキャンダルがあり、ブラジルの経済は急激に悪化した。そして新型コロナウイルスももちろん状況を悪化させた。為替レートはいま1米ドルに対し5.40ブラジルレアルだ。ブラジル、コロンビア、メキシコの低い為替レートにより、特にNubankのブラジル事業のキャッシュフローがポジティブになった2018年以降、4億ドル(約420億円)の投資はかなりのランウェイ(会社の資金がなくなるまでの期間のこと)を生み出した。

同社はブラジルで銀行サービスを十分に受けられていない人々、特にクレジットカードを入手できるような経済状況にない人々にリーチしていることで知られている。従来の銀行はブラジルの市町村の80%に存在するが、Nubankのアプリベース型プロダクトは場所にとらわれず、あらゆる市町村からアクセスできる、と同社は話した。加えて、同社はブラジル人が信用を築くのをサポートしてきた。同社の紫色のBarneyクレジットカードは1カ月あたりの限度額が50レアル(おおよそ10ドル、1050円)からとなっている。顧客が最初の月に期限内に支払えば、信用はその後増す。

多数のプロダクトを展開しているなかで、Nubankはデビットカードと普通預金口座も提供しており、自前の支店は持っていないものの米国でも一般的なようにお金はATMのネットワークから引き出せる。

「Nubankは、人々がより良いもので透明性があり、そして自分のお金や将来をコントロールすることが可能になる人間的な金融サービスを受ける権利があるという信念の下に生まれました。当社は7年前に、世界で最も凝縮した銀行部門を持つブラジルで始まり、何百万という人を官僚主義と苦痛から解放することができました。テクノロジーと人間的な顧客サービスを通じて、当社は人々の日々の暮らしにポジティブな影響を与えることができました」とベレズ氏は述べた。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Nubank資金調達ブラジル

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(文:Marcella McCarthy、翻訳:Nariko Mizoguchi)

積層造形によるロケット燃料の商業化を目指すFirehawk Aerospaceがシード資金2.6億円調達

画像クレジット:Firehawk Aerospace

ロケット燃料テクノロジーのスタートアップFirehawk Aerospaceは、新ラウンド120万ドル(約1億3000万円)を調達し、既存のシード資金と合計して250万ドル(約2億6000万円)のベンチャー資金を得た。ラウンドはColby Harlowが運営するダラスを拠点とするベンチャーキャピタルのHarlow Capital Managementがリードした。投資を機に同社はFirehawkの取締役会に加わる。

2020年9月のTC Disruptは初めて完全にリモートで開催されたが、Firewhawkはそのスタートアップバトルフィールドの最終選考に残った。積層造形(簡単にいえば高度な3Dプリント)を利用して開発された新種のハイブリッド燃料は、ロケット打ち上げの安全性や製造・輸送コストを大幅に向上させるのが狙いだ。ハイブリッド燃料は液体燃料と固体固体燃料を組み合わせたもので、アイデアとしては新しいものではない。しかし従来のテクノロジーでは、既存の完全固体、完全液体燃料の代替となるだけのメリットを実現できなかった。

同スタートアップの最高科学責任者であるRon Jones(ロン・ジョーンズ)氏は、2種類の新しいアプローチで制限を突破したという。1つは硬質ポリマータイプの燃料を使用すること、もう1つは液体を型に注入して硬化を待つという現在の方法に代わって、積層造形を使用して燃料構造を作成することだった。

現在、Firehawkはシード資金を利用して商業化に必要な規模でテクノロジーをテストし、パートナーシップと潜在顧客を発見していく予定だ。また、テキサス州とオクラホマ州の両施設で研究開発と製造事業を拡大していく予定だという。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Firehawk Aerospace資金調達ロケット

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(文:Darrell Etherington、翻訳:滑川海彦@Facebook