中国検索大手Baiduのスマートボイス部門が3100億円の評価で単独資金調達へ

中国最大の検索サービスを提供し、また人工知能研究のリーダーでもあるBaidu(バイドゥ)はスマートボイス分野へと活動範囲を広げている。同社のスマートリビング部門はポストマネーバリュエーション200億元(約3100億円)で単独資金調達を行う構えだ。

資金調達の動きはスマートリビング部門が今後スピンオフする可能性があることを示している。同部門はAmazon Alexaと同じ音声アシスタントであるDuerOSで最もよく知られている。DuerOSは2019年初め時点で、バイドゥの自前ブランドのスピーカーやさまざまなサードパーティのガジェットを含め、計2億台のデバイスで使用されていた(未訳記事)。

マーケットリサーチ会社のIDCによると、バイドゥは2019年にXiaoduスピーカーを約1500万台出荷した。中国ではAlibaba(アリババ)に次ぐ大手であり、Xiaomi(シャオミ)よりも出荷台数は多い。

国有投資会社Citicの資産運用会社であるCitic Private Equity Funds Management(CPE)、バイドゥのベンチャー部門バイドゥ Capital、IDG Capitalを含む投資家は、金額は非公開ながらスマートリビンググループのシリーズAラウンドに投資する正式契約を結んだ。

中国では近年、インターネット企業、そして不動産やヘルスケア、教育、金融といった部門のデジタルソリューションを欲している企業との間での協力が増えている

バイドゥによると、資金調達は今年第4四半期のクローズが見込まれる。完了すればバイドゥは大株主になり、多議決権を持つ。そして引き続きスマートリビンググループの決算を統合する。

音声知能における競争はハードウェアメーカーとの提携を確保するレースだ。音声知能は消費者の使用やデータに貢献し得る。スピーカーの販売はさておき、車メーカーがオープンソースの自動運転プラットフォームApollo(未訳記事)を使っていることが好影響で、バイドゥはコネクテッドカーへの音声アシスタント導入で優位に立っている。言うまでもなくアリババはスマートボイスシステムとスピーカーを展開するのに小売での支配力を活用できる。一方シャオミは音声能力の取得で恩恵を受けるかもしれないIoT部門を席巻している。

バイドゥのAIにおける取り組みは、近年同社がリクルートしたAndrew Ngアンドリュー・ン)氏やLu Qi(ルー・チー)氏といった一連の有名なサイエンティストによるものだ。同社は早くからAIの将来に賭けてきた。しかしまだ初期段階にあるAI関連事業は大した売り上げをげていない。創業20年のバイドゥは広告売上を伸ばすのに引き続き検索に頼っているが、広告主に最近もてはやされているTikTok(ティクトック)の親会社ByteDance(バイトダンス)との競争激化に直面している

画像クレジット: バイドゥ

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(翻訳:Mizoguchi

知識データベースのGoldenが約15.3億円調達、最新技術に関してWikipediaより強いと主張

知識ベースのGoldenが、シリーズAで1450万ドル(約15億3000万円)を調達したことを明らかにした。このラウンドをリードしたのは既存投資家Andreessen Horowitzで、そのトップであるMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏がGoldenの取締役会に加わった。

Goldenが昨年ローンチしたとき、創業者でCEOのJude Gomila(ジュード・ゴミラ)氏は「目標はWikipediaが弱い分野、特に最新技術とスタートアップに関する知識ベースを作ること」だと語った。

今週ゴミラ氏は「企業とテクノロジーと、これらの分野の人々」に関してはGoldenはいまでも強い、と述べた。その意味では、Crunchbaseと競合するかと思われるが、しかし企業や人に関する基本データを集めるだけでなく、量子コンピューティング新型コロナウイルスのような重要な話題は、説明と情報の「クラスタリング」(多様な情報の集積)に力を入れている。ところで、TechCrunchこの記事の筆者の私もGoldenにプロフィールページがあるが、特に後者は空っぽで悲しい。

ゴミラ氏によると、コミュニティのエディターに依存しているWikipediaと違って、Goldenは人工知能と自然言語処理を利用してデータの多くを集めている。そのAIは、ニュースやウェブサイト、公開データベースなどから情報を取り出している。

それを人間のスタッフが補うが、外部から間違いやより新しい情報があることを指摘してもいい。なお、以前TechCrunchの編集部にいたHolden Pageホールデンページ)氏がGoldenの調査チームを率いている。このような、人力にも頼る編集工程の例としてゴミラ氏は、誰かが記事のリンクをペーストしたら、自動的にその記事の要約を作るツールを挙げた。

同氏氏は「今後できるだけ多くを自動化していきたいと考えていますが、現状ではこのハイブリッド方式が最も効果的な方法です」と語る。

Goldenは、有料顧客との共同事業も開始した。提携の対象はプライベートエクイティ企業やヘッジファンド、VC、バイオテクノロジー企業、企業のイノベーション推進部門、政府の省庁などだ。同社によると実際に今年は、米空軍と100万ドル(約1億500万円)の契約を結んだ。有料顧客は同社のQuery Toolなど、Goldenのリサーチエンジンを利用でき、また同社に特定の話題に関する調査をリクエストできる。

同社はこれまでに1950万ドル(20億5600万円)を調達した。今回の投資にはDCVCやHarpoon Ventures、Gigafundなどが参加している。

アンドリーセン氏は声明で「Goldenの知識データベースとリサーチエンジンは、最新技術とその背後の企業や投資家、製作者に関する情報を集積しています。人間と機械知能の協働により、Goldenのプラットホームは人々に意思決定のための最先端の知識を与え、不確定性の海を正しく航行できるようにしています」とコメントしている。

関連記事:ウィキペディアの弱点を補完するGoldenは最新技術やスタートアップに強い

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

脳血管内手術の安全性を向上させる手術支援AI開発のiMed Technologiesが資金調達

脳血管内手術の安全性を向上させる手術支援AI開発のiMed Technologiesが資金調達

脳血管内手術の手術支援AIを開発するiMed Technologiesは10月1日、第三者割当増資として、資金調達を実施したと発表した。引受先は、SBIインベストメントが運営するファンド、グロービス経営大学院(G-GROWTHファンド)、三井住友海上キャピタルが運営するファンド。

今回の資金調達により、研究開発体制を強化し、脳血管内手術の手術支援AIを少しでも早く臨床現場に届けるべく、事業を加速させる。

同社は、「世界に安全な手術を届ける」というビジョンのもと、動画解析を活用し脳血管内手術の安全性を向上させる手術支援AI(特許出願中)の開発を行うスタートアップ企業。2019年4月の創業以来、東大IPC 1stRoundやNVIDIA Inception Programなどの支援を受け、開発を進めている。

脳血管内手術は、脳梗塞やくも膜下出血などを治療する手術方法のひとつ。脳血管内手術は、従来の開頭手術と比較して患者への負担が少ない手法で、手術件数は年率10%以上で増加している。

また、新型コロナウイルスに感染すると脳梗塞に約7倍かかりやすいとの報告が出ており(The New England Journal of Medicine, 2020 ; 382:e60)、ウィズコロナ時代には脳梗塞が増える可能性があるとしている。

ただ、この脳血管内手術を行う際には、複数の部位を同時に見ながら繊細な操作をする必要があり、わずかな操作の遅れやずれが合併症につながる。脳は最も重要な臓器のひとつであり、合併症が起こった際には命に関わるような重篤な状況におちいる。

CEOの河野健一氏は脳神経外科医師として16年間医療現場で手術を行い、医療現場で経験してきたこの課題を解決するために、ディープラーニングを用いた手術支援AIの開発に着手したという。

テルアビブ拠点のソフトウェア自己修復のAurora Labsが豊田通商やポルシェから約24億円調達

自動車業界は複雑になるばかりのソフトウェアシステムに取り組んでいる。そこには、かなり費用のかかる危険な混乱、信頼性へのダメージを起こしうる欠陥という大きなリスクが伴う。

今日の乗用車、トラック、SUVを10年前のものと比べてほしい。組み立てラインから出てきたばかりの新車には数千万ものコードが搭載されていて、自動車メーカーがソフトウェアにさらに投資するにつれてコードの数は増え続けている。

こうした傾向は自動車メーカーにとってリスクを生んでいる。と同時に、Aurora Labs(オーロラ・ラボ)のようなスタートアップに機会を提供している。同社は車のソフトウェアに問題を見つけてすぐさま修正するプラットフォームを開発した。ソフトウェアは共有されているモビリティ、都市、家などで中心的な役割を果たしているため、同社は現在、オペレーションを自動車以外の業界にも拡大すべく準備を進めている。

Aurora Labsは問題を検知・予測し、リアルタイムに問題を修復するプラットフォームを開発した。このプラットフォームにより車メーカーは車両に搭載したソフトウェアをワイヤレスでアップデートできる。これはTeslaによって普及した無線(Over-The-Air、OTA)ソフトウェアアップデートと呼ばれている機能だ。OTAを行えると、自動車メーカーは車オーナーにディーラーショップに行ってサービスを受けるよう依頼することなくすぐさま変更を加えることが可能になる。

テルアビブ拠点のAurora Labsは、LGグループの投資部門であるLG Technology VenturesとCheck Point Software Technologiesの共同創業者であるMarius Nacht(マリウス・ナハト)氏が共同でリードしたシリーズBラウンドで2300万ドル(約24億円)を調達した。フォルクスワーゲングループの持株会社のPorsche SE、トヨタグループの豊田通商、安全認証企業ULのベンチャー部門も本ラウンドに参加し、Porsche SEは250万ドル(約2億6000万円)、豊田通商は150万ドル(約1億6000万円)を出資した。

調達した資金は、顧客の車メーカー2社の量産をサポートすべく、Aurora Labsの現在30人のチームを倍増させるのに使われる予定だ。同社はグローバル展開する車メーカー4社、そしてエレクトロニクス企業1社と協業している。

Aurora Labsの主要顧客ベースは車業界だが、複数の産業でプロダクトを展開しているPorsche SEや豊田通商、LG Tech Ventures、UL Venturesといった投資家からのサポートを得て、コネクテッドホームやスマートシティといった新たなマーケットへの参入を準備中だとAurora Labsは話している。

画像クレジット: franckreporter / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

在宅勤務中のセキュリティ確保を支援するAxis Securityが約34億円を調達

昨年創業したAxis Security(アクシス・セキュリティ)の構想は、顧客の請負業者やサードパーティーが顧客のシステムにリモートから安全にアクセスできるようサポートすることだった。新型コロナウイルスの感染蔓延後は同社のロードマップにもう1つのユースケースが加わった。自宅から仕事をする従業員がいてもシステムを安全に保つことだ。

同社は9月29日、Canaan Partners(カナンパートナーズ)がリードした3200万ドル(約34億円)のシリーズBラウンドについて発表した。既存投資家からTen Eleven VenturesとCyber​​startsが参加した。同ラウンドで調達総額は4900万ドル(約52億円)になったという。

共同創業者でCTOのGil Azrielant(ギル・アズリラント)氏は、同社が「在宅勤務に対応するセキュリティー」というシナリオに極めて迅速に移行できたのは、結局はこのビジョンを支える製品をゼロから構築したためだと述べた。新型コロナウイルスの感染蔓延がそのアプローチをさらに加速させた。

「最初はサードパーティーと請負業者を対象にしようと決めた。だが、(アイスホッケーの)パックがどこに向かっているのかを確認してからは、本格的で安全なアクセスのための製品になるようインフラを設計することにした。だからインフラはすでにあったわけだが、後になって計画していたいくつかの機能を追加する必要があった」とアズリラント氏はTechCrunchに語った。

同社の製品は「ゼロトラスト」の概念を基盤としていると同氏は言う。ゼロトラストとは、その名の通りシステム上の誰も信用できない、従ってそのような環境では作業できないことを前提とする。顧客はルールベースエンジンを使って、ユーザーの役割に基づき安全な環境を用意することができる。

「ユーザーが見たり、実行したり、ダウンロードまたはアクセスしたりする対象は、Application Access Cloudがすべて管理する。管理は、使用するデバイス、場所、ユーザーの役割、ユーザーが通常行うことと行わないことによって決まるアクセスのレベルに基づいて行われる」と同氏は説明する。

カリフォルニア州で新型コロナウイルスの感染蔓延によるシャットダウンが始まってからわずか3日後の今年3月、Axis Securityがステルスモードから姿を現したとき、同社の主要な顧客はホテルチェーンと製薬会社の2つだった。CEOのDor Knafo(ドール・ナフォ)氏によると、新型コロナウイルスの感染が拡大してからは「必要が採用の母となった」。

「その2社は当社に対し、すべての従業員が(システムに)どうアクセスしているかを調べるよう依頼した。その結果は当社にとって驚くべきものだった。調査により、当社と同じように彼らにもリモートアクセスのビジョンが鮮明に見えたからだ」とナフォ氏は語る。現在、同社には最初の顧客2社に加え、正確な数は教えてもらえなかったが、数十の顧客がいるということだ。

同社の38人の従業員はカリフォルニア州サンマテオとイスラエルのテルアビブにほぼ同数分かれており、来年は100人まで雇用を進める計画だ。ナフォ氏は、会社の規模拡大に伴い来年採用を増やす際には、よりダイバーシティ(多様性)に富むグループを構築したいと述べた。

「現在当社では、ダイバーシティを高める採用を進めるために社内でインセンティブを設けている。これには重点的に投資しており、社内のすべての人のためにそれを続けている」とナフォ氏は語った。

アズリラント氏は「新型コロナウイルスの感染蔓延で今年の大半はオフィスが閉まっていることになるため、従業員がオフィスの近くに住んでいる必要はない。どこからでも採用できるため、より多様なチームを構築する可能性が広がる」と付け加えた。

高い有用性がある製品を持つ同社は、新しく得た資金を利用して販売とマーケティングのオペレーションを構築し、北米以外での販売を拡大する予定だ。

「新型コロナウイルスが拡がり、どこからでも仕事ができるようになるにつれ、在宅勤務という喫緊の課題に直面する多くの企業への製品提供に全力を挙げる」とナフォ氏は述べた。

画像クレジット:MoMo Productions / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

「渇きを殺せ」などヘビーメタルっぽい名前のミネラルウォーターなどを販売するLiquid Deathが24.3億円を調達

ある種のおかしな、ひねくれマーケティングとして始まり、人びとの興味を引いてきたサンタモニカ拠点のほぼ創業3年のスタートアップが、ラウンドBで2300万ドル(約24億3000万円)を調達した。同社はオーストラリアアルプスの水をLiquid Death(リキッド・デス)というブランド名で販売している。ラウンドの参加者は、匿名の家族事務所、ペルノリカールグループのベンチャー部門であるConvivialité Ventures(コンヴィヴィアリテ・ヴェンチャーズ)、Fat Mike(ファット・マイク)として知られるミュージシャン、そして以前からの支援者であるVelvet Sea Ventures(ベルベット・シー・ベンチャーズ)だ。

もともとロサンゼルスを拠点とするスタートアップスタジオであるScienceの助力を受けて設立された同社は、これで合計3400万ドル(約35億9000万円)強を調達したことになる。

私たちはLiquid Deathの創業者であり、元West Coastエージェンシーの幹部だった、Mike Cessario(マイク・セサリオ)氏から、創業後まもなく話を聞いた(未訳記事)。その当時の彼は、もし彼の缶入りの水をヘビーメタルっぽい名前にすれば、Rockstar(ロックスター)、Monster(モンスター)、Red Bull(レッドブル)といった甘いエネルギードリンクたちに対抗できるだろうと主張していた。

確かに、私たちがこの製品で気に入っている点の1つは、「murder your thirst.(渇きを殺せ)」というそのキャッチフレーズだ。(なんといっても、これはアルミ缶に詰められた水に過ぎないので、他の差別化要素を探すのは難しいのだ)。

明らかに、Whole Foods(ホールフーズ)も含め、世間の人たちの多くが、製品を売る同社の独創的なマーケティングを十分におもしろがっているようだ。Velvet Seaが2020年2月に、Liquid Deathの900万ドル(約9億5000万円)のシリーズAラウンドを主導したのとほぼ同時に、Whole Foodsはこれらの缶を棚に並べ直した。

Liquid Deathは、カリフォルニアの1000店を超えるセブン-イレブンの店舗でも販売されており、また当然のように消費者への直販も行われている。顧客はオンラインストア上で、ミネラルウォーターあるいはスパークリングウォーターを選ぶことが可能で、他の品目も充実しつつあるストアでは、Tシャツやパーカーも購入することができる。

ロング缶12本パックは16ドル(約1690円)だ。また「Hydrate or Die(潤すか死か)」Tシャツは26ドル(約2750円)だ。

カテゴリー:VC / エンジェル

タグ:Liquid Death 資金調達

画像クレジット:Liquid Death

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(翻訳:sako)

ハニカム構造などメタマテリアル活用設計アルゴリズム開発の東大発スタートアップが9000万円を調達

ハニカム構造などメタマテリアル活用設計アルゴリズム開発の東大発スタートアップが9000万円を調達

ハニカム構造などメタマテリアル活用の設計アルゴリズム「DFM」を開発するNature Architectsは9月30日、シリーズAのエクステンションラウンドにおいて、第三者割当増資として合計9000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は三菱マテリアルCVC(MMCイノベーション投資事業有限責任組合)、ニフコ、PKSHA SPARX アルゴリズム1号ファンド。2020年5月に完了した資金調達と併せて、シリーズAラウンドとしては累計4.15億円の調達となった。

また今回、同社DFM技術を社会実装するために事業面での協業を見据えたパートナー企業と資本提携を行った。三菱マテリアルCVCとは材料面で、ニフコとは製品開発面で、さらにPKSHA SPARXアルゴリズム1号ファンドとは設計アルゴリズムおよびライセンスビジネス面において協業を目指す。

東京大学発スタートアップのNature Architectsは、2017年5月に設立。メタマテリアル活用により、従来のモノづくりとは根本的に異なる製品設計が可能になる設計アルゴリズム「DFM」(Direct Functional Modeling)の開発を手がけている。メタマテリアルとは、ハニカム構造など、人工的な構造によって素材を超える特性(弾力・変形など)を付与されたものを指す。可動部など機構的な動きを弾性変形によって生み出す構造(コンプライアントメカニズム)なども含む。

従来のモノづくりでは、ボルト・フレームヒンジなどの「硬い」部品を組み立てることで製品設計をを行う。これに対してDFMでは、各パーツのあるべき「硬さ」を計算し、それを実現するメタマテリアルを生成・割当て可能にする設計アルゴリズムとなっている。メタマテリアルを活用できれば、部品ごとの「硬さ(柔らかさ)」を自在に制御することが可能になるという。

その結果、硬い部材に振動吸収機能を付与するなど、従来実現できなかった新機能をパーツに付加したり、フレーム・稼働部など部位ごとに必要な様々な機能を部品に分けることなく一体で設計・製造することが可能になるとしている。

DFMの適用範囲は、ロボティクス・自動車・航空宇宙など動きを明示的に扱う最終製品はもとより、レバー・スイッチ・ファン・バネなどの部材も対象としている。

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貨物業界向けクラウドベースの決済・融資サービスを提供するPayCargoが約37億円調達

海運業は、商業の世界では物理的な面から見ても、古くて技術的に最も遅れている分野の1つだ。扱うのは、巨大な貨物タンカー、航空機やトラックの巨大な車両群、連結された列車コンテナなど、超アナログな事業特性がある。

この事実はスタートアップにとっては好機だ。米国時間9月29日、貨物業界向けにクラウドベースの決済・融資サービスを構築したPayCargoは、新型コロナウイルスの感染蔓延を受けて事業を拡大するため、3500万ドル(約37億円)の資金調達を発表した。

今回の投資は、単一の投資家であるInsight Partnersが実施した。Insight Partnersは、4月に95億ドル(約1004億円)の巨大なファンドを発表(未訳記事)し、世界的な健康に対する関心の高さを受けて、投資先企業の支援はもちろん、それに伴って現れる新たな機会を探している。

PayCargoは後者に当たるようだ。同社CEOのEduardo Del Riego(エドゥアルド・デル・リエゴ)氏は、貨物業界が新型コロナウイルスの感染蔓延によって多くの混乱に直面した一方で、一部の場所では生産が停止し、社会的な距離を隔てるルールが荷主の仕事や現物の移動方法に新たな課題を生み出した」とコメントしている。なおPayCargoは、COOのJuan Carlos Dieppa(フアン・カルロス・ディエッパ)氏と会長のSergio Lemme(セルジオ・レム)氏が共同で設立したスタートアップだ。

「新型コロナウイルスの感染蔓延は、世界的なサプライチェーンへの影響について大きな不確実性を生み出しました」とリエゴ氏はインタビューで語っている。

世界経済が縮小している現在、多くの人がさらなる影響に備える一方で「PayCargoは利益を上げており、設立当初から成長を続けている」と同社は述べている。同社の業績自体が、生産が実際にどのように回復しているかについての肯定的なシグナルになるかもしれない。

PayCargoは、支払者が支払いを送信するためのツール、ベンダーがそれらを受信するためのツール、既存のITにツールを統合するためのAPI、および出荷のための前払いをしたくない人のための融資サービスを提供するプラットフォームを提供している。これらはすべて、この分野で働く人の大多数にとっては、いまだにペーパーワークで固定化されている業務で、解決するのに数週間かかることもあり、電子サービスで取り組むべき最優事項となっている。

現在、PayCargoは1万2000社の荷送人や運送業者、4000社のベンダーから年間約40億ドル(約4227億円)の支払いを処理している。顧客には、陸・海・空にまたがるKuehne + Nagel、DHL、DB Schenker、BDP、Seko Logistics、UPS、YUSEN Logistics、そしてHapag-Lloyd、MSC、Ocean Network Express、Alliance Ground、Swissport、エールフランスなどが名を連ねている。PayCargoはAPIを介して、国際航空運送協会(IATA)、カーゴネットワークサービス(CNS)、CHAMP Cargosystems、IBS、Accelya、Unisys、Kale Logisticsなどの多くのパートナーと連携して、顧客にサービスを提供している。

TechCrunchでは以前にも、非常に断片化されたアナログな貨物業界について書いたことがあるが、未だに多くの取引のベースとなっているのは、ファックスや当事者間で物理的にやり取りされる実際の紙書類、そして商品だけでなく書類を手渡しでやり取りする人々だ。それを支える決済インフラについても同じことが言える。

そのため、テクノロジーを駆使して市場に取り組もうとする多くのスタートアップが生まれた。Emergeはトラック業界、Cargo.comは航空貨物を対象としている。また、欧州のZencargo、FreightHub、Sennderはクラウドベースのインフラを貨物輸送に導入することに注力している。なお、Sennderはこの市場での統合者としての立ち位置を確保しており、最近ではUberの欧州事業を買収したばかりだ。そのほかFlexportは、物流の出荷管理SaaSにおいて、注目すべき企業の1つだ。

PayCargo自身も多くの競合他社を抱えており、その中にはより大きなサービスを構築している企業も含まれているかもしれない。これまでに取り上げたものに加えて、GlobalTranz、CloudTradeなどがある。ちなにみリエゴ氏は、競合他社の名前を直接挙げることを拒否し「PayCargoは市場で最も優れた、最も堅牢なソリューションです」と語るのみだった。

CrunchBaseの推定によると、出荷関連のテック企業には全体で約55億ドル(約5815億円)が投資されており、最終的には非常に物理的なビジネスに、最新のプロセスを導入しようとしている。

しかし、業界の規模はそれよりもはるかに大きく、ある試算では米国の海運ロジスティクス市場だけでも2023年までに1兆3000億ドル(約137超5000億円)の価値がある(InXpress記事)と予測されており、これの処することがいかに有益な機会になるかがわかる。

Insight Partnersでマネージングパートナーと務めるRyan Hinkle(ライアン・ヒンクル)氏は「貨物業界が急速に電子決済に移行する中、PayCargoは支払いプロセスの自動化に成功し、支払い者とベンダーの双方に効率性を確保することで、ビジネスを行うための市場をリードするプラットフォームとしての地位を確立しています。私たちはPayCargoと協力して、PayCargoのグローバルな決済ネットワークを拡大し続け、ScaleUpと運用の専門家で構成されるInsight Onsiteチームを通じて、同社の素晴らしい顧客リストに追加のリソースを提供できることに興奮しています」とコメントしている。同氏は今回のラウンドでPayCargoの取締役会に参加している。

画像クレジット:GettyImages

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(翻訳:TechCrunch Japan)

自動洗浄ウォーターボトルのLARQが10億円超を調達、ブリタ式浄水器もクラウドファンディング中

2018年に最初のボトルを発売したLARQ(ラーク)は、ペットボトルを使わないようにしたい消費者の間でかなりの関心を集めた。このベイエリア拠点のスタートアップは、Nordstrom(ノードストローム)やBloomingdale’s(ブルーミングデールズ)などの販売パートナーの力を借りて、2019年だけで7万5000本のボトルを販売した。その業績をいっそう引き立たせているのが、95ドル(約1万円)という水筒としてはかなりの高額商品だという事実だ。

LARQの価値提案は、そのUV(紫外線)キャップによる殺菌機能だ。学生時代のNalgene(ナルゲン)ボトルの時代から再利用可能な水筒を持ち歩いている1人として、私はボトルの中で成長するカビの森に関する恐ろしい話をいくつか知っている。口の狭い容器では、入念な洗浄が極めて困難だからだ。

同社の製品は投資家の関心も集めている。米国時間9月29日、LARQはSeventureのリードで1000万ドル(約10億5000万円)のシリーズAラウンドを行い、DCMも参加したことを発表した。同社は2019年7月に初期のシードラウンドを行っている。このほどLARQは重要な株主も多数獲得し、Capricorn Investment Group、Heuristic Capital、Augment Ventures、さらにはNBAのゴールデンステート・ウォリアーズのパワーフォワードであるDraymond Green(ドレイモンド・グリーン)氏も名を連ねた。今回のシリーズAで同社の調達資金の総額は1570万ドル(約16億6000万円)になった。

「LARQでは、あなたにとっても地球にとってもふさわしい、新時代の水分補給を提案している」とCEOのJustin Wang(ジャスティン・ワン)氏はTechCrunch宛の声明で語っている。「消費者中心のデザインに最先端技術を組み合わせることで、健康的で持続可能ないつでもどこででも簡単に使える製品を目指している。このビジョンを実現するために、LARQは持ち運べるボトルから家の蛇口まで、そしてその間のあらゆる水分補給の場面で消費者のニーズに答える必要がある」。

LARQのボトルは現在16カ国、88の小売業者が扱っているが、このラウンドによって世界進出をさらに広げることができるだろう。2020年9月に同社は、自社の浄水テクノロジーをBrita(ブリタ)スタイルのフィルターに応用した製品のクラウドファンディングを開始した。本稿執筆時点で目標の5万ドル(約530万円)の13倍以上を集めている。外出する人が少なくなり、ホーム市場がますます重要になっている現在、同社にとって最適な製品に違いない。

 画像クレジット:LARQ

LARQは、このテクノロジーを製品化するまで開発に10年かかったという。低価格商品が次々と参入する市場でどうやってこの会社が進化を続けるのか注目だ。

カテゴリー:EnviroTech

タグ:LARQ 資金調達

画像クレジット:LARQ

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

デジタルマーケティングのAViCが3.3億円を調達、独⾃ツール開発や新規事業の⽴ち上げ推進

デジタルマーケティングのAViCが3.3億円を調達、独⾃ツール開発や新規事業の⽴ち上げ推進

デジタルマーケティング事業を展開するAViCは9月30日、総額3.3億円の資金調達を発表した。引受先はみずほキャピタル、モバイル・インターネットキャピタルなど。

今回調達した資⾦は、独⾃ツールの開発をはじめ、新規事業の⽴ち上げ、新規顧客開拓のための営業⼒強化、優秀な⼈材の採⽤、上場を⾒据えたコーポレート体制の強化などにもあてる予定。

2018年3月設立のAViCは運⽤型広告、SEOコンサルティングをはじめとするデジタルマーケティングサービスを展開。過去2年間における累計クライアント数は約50社となっているという。

同社はデジタルマーケティング業界の課題として、スキル・ノウハウの属⼈化、アウトプット創出までの⾮効率なプロセスなどの課題が存在し、⼤⼿事業者であっても解決に向けた⼗分な取り組みができていない点を指摘。

そこで、独⾃ツールの開発によりこのような課題の解決を実現し、より⼀層の競争⼒・⽣産性の向上を達成することで、「デジタルマーケティング業界のDXカンパニー」となることを展望しているという。

アジアの旅行予約プラットフォームのKKDayがステイケーションに注目して約79億円を調達

世界中でロックダウンが発令され、旅行業界が新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックから受けている影響は特に厳しい。しかしアジアでは、海外旅行ではなく国内での活動(ステイケーション)に的を絞ってこの状況に対応しているスタートアップがいくつかある。台北に拠点を置くKKdayもそのひとつだ。米国時間9月29日、同社は7500万ドル(約79億2000万円)のシリーズCの完了を発表した。このラウンドを主導したのはクールジャパン機構と台湾のNational Development Fund(行政院国家発展基金)で、以前に投資していたMonk’s Hill VenturesとMindWorks Capitalも参加した。

2014年に創業したKKDayは今回の新たな資金を、2020年3月に日本と台湾で試験運用を始めた予約管理プラットフォームのRezioに役立てる。

Rezioは旅行会社とアクティビティ事業者、特にこれまで主にオフラインで営業していた業者のために作られている。このRezioを利用すると、さまざまな決済ゲートウェイと連携する予約用ウェブサイトをユーザーがセットアップして運営コストを削減し、さまざまなチャネルからの予約を追跡して空き状況を管理することができる。後者の空き状況の管理は、多くのスポットで定員が制限されているため、感染が収束しないうちは特に重要だ。

KKDayによれば、Rezioはこれまでに15万社以上の顧客にサービスを提供しており、今後はシリーズCの資金で日本と台湾以外のアジアのマーケットに進出する計画だ。同社のプラットフォームのユーザーは現在500万人を超え、これまでに92カ国、3万件以上のツアーやアクティビティが掲載された。

2020年5月にKKDayは、日本や台湾、香港では国内旅行の需要があると考え始めた。これはステイケーションを予約する需要が増え、アジアでの感染拡大初期に旅行業界が受けたダメージからの回復を助けるというKlookの見方と共通している。

発表の中でクールジャパン機構マネージングディレクターの佐野一士氏は同機構がKKDayに投資した理由について「KKDayの強い実行力と革新的なマインドセットが、逆風の中でも日本の旅行業界を牽引すると考えている」ためと述べている。

カテゴリー:ネットサービス

タグ:KKday Rezio 台湾 資金調達

画像クレジット:KKDay

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(翻訳:Kaori Koyama)

「フルスタック」フルフィルメントプロバイダーのHubooがシリーズAで19億円を調達

あらゆる規模のオンライン小売業者に対して、エンドツーエンドのフルフィルメントサービスを提供する英国のHubooが、シリーズAの資金調達で1400万ポンド(約19億円)を調達した。

ラウンドはStride.VCが主導し、Hearst Venturesが参加した。以前からの投資家(未訳記事)であるEpisode 1、Maersk Growth、Ada Ventures、True Capitalも同様に参加した、この結果現在までにHubooの資本は、1800万ポンド(約24億5000万円)に達している。

Martin Bysh(マーティン・ビッシュ)氏とPaulDodd(ポール・ドッド)氏が、eコマースの実験を何回も繰り返した後に、2017年11月に立ち上げたHubooは、ほとんどのオンラインストアが直面するフルフィルメントの問題点を解決することを目指している。自身が「マイクロウェアハウジング」と呼ぶ手法と、包括的なソフトウェアモデルを使用することで、そのフルスタックサービスは在庫を管理し、顧客の注文を受けて自動的に「選択、梱包、発送」を行うことを約束する。

Hubooダッシュボードを通して、在庫管理、注文追跡、および請求情報が提供される。また、Amazon(アマゾン)、eBay、Shopifyなどのサードパーティの販売チャネルやマーケットプレイスとも統合されている。これにより、Hubooは顧客の注文をリアルタイムで直接受け取り、処理することができる。

基本的なアイデアは、フルフィルメントを「大衆化」することで、オンラインショップたちが、顧客サービスや、どんな製品の開発および販売を行うかを選択するなど、ビジネスの最も付加価値の高い部分に集中できるようになるということだ。

「独立小売業者の大多数は現在オンラインに移行しています」と語るのはHubooのCEOであるマーティン・ビッシュ氏だ。「パンデミックは、今後5年間に起きるマルチチャネルコマースへの大規模な移行のきっかけとなりました」。

さらに彼は、消費者との直接取引(D2C)「革命」が急速に加速していて、「従来の小売チャネルを迂回して、消費者と直接関わる新しい種類のアジャイルな若いD2Cビジネス」が伸びていると語った、また同時に、顧客がより迅速な配達を要求し続けることで、小売業のフルフィルメントはより複雑になっている。

「パンデミックによってサプライチェーンの構成は変化しており、小売業者は製品をどこで調達すれば良いかや、どのように堅牢なサプライチェーンを構築すれば良いかに、もっと注意を払う必要があるのです」とビッシュ氏は付け加えた。

このため、Hubooは新しい資金を使用して、CEOが戦略的優先事項として説明している3つの施策を行う。すなわちソフトウェア開発、英国での拡大、そしてBrexitが固まる中でのヨーロッパでのプレゼンスの確立だ。

これにより、Hubooは2021年にはソフトウェア開発チームを10倍に増やし、フルフィルメントソフトウェアプラットフォームの機能をさらに拡張する予定だ。クライアントの成長をサポートするために、スタートアップは2020年10月に英国3番目の倉庫を開設し、2021年1月には4番目の倉庫を開設する予定だ。

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(翻訳:sako)

オンラインコースプラットフォームのThinkificが23.2億円を調達

オンライン学習企業にとって2020年は大きな年となった。それはThinkific(シンキフィック)も例外ではない。バンクーバーを拠点とするこのスタートアップが、2200万ドル(約23億2000万円)の新規資金を調達したことを発表した。

Thinkificは今年、1億ドル(約105億6000万円)を調達したMasterClass(マスタークラス)や6600万ドルを調達(約69億7000万円)したSkillshare(スキルシェア)のようなビジネスとは異なっている。なぜならThinkificは、自分自身ではオンラインクラスの作成、配信、収益化を行っていないからだ。その代わりに同社が提供しているのは、誰でも独自のコースを作成し、自分自身のウェブサイトで販売できるようにするプラットフォームだ。

共同創業者でCEOのGreg Smith(グレッグ・スミス)氏は、人がThinkificでコースを作成するのは、普通「ブランドを自分で管理したいとき、顧客関係を本当に自分のものとして握りたいとき、人びとに自分のウェブサイトに戻ってきてほしいとき……持続可能な自身のビジネスを構築したいときです」と語った。

このモデルだと自身のコースを宣伝するために、コース作成者たちにより負担がかかるのではないかと質問したところ、スミス氏は同社は作成者の成功を支援することを目指しており、プラットフォーム自体を使用して作成者たちのための教育コンテンツを用意していると語った。しかし、彼はまた同時に、Thinkific自身がコースそのものを配信および販売するモデルは避けたいとも語った。

「私たちは収益の一部をいただくことは本当に致しません」と彼はいう。「私たちはコース作成者ご自身に、ビジネスを所有してもらい運営していただきます」。

同社のアイデアは、スミス氏自身がロースクールの学生でかつLSAT(ロースクール入学試験)のインストラクターだった経験から生まれたものだ。彼がLSATのクラスをオンラインで提供しようとしたときに、彼の兄弟であるMatt Smith(マット・スミス)氏がそのシステムの開発を申し出たのだ。最終的に、彼らと他の共同創業者であるMiranda Lievers(ミランダ・リーバース)氏とMatt Payne(マット・ペイン)氏とともにThinkificを開発し、他の人たちが、自分自身のコースを作成できるようにした。

Thinkificの創業者たち。

Thinkificは、今回の資金調達以前には300万ドル(約3億2000万円)を調達しただけであり、2018年には利益を出すようになったと述べている。だが、スミス氏は、今回チームを拡大したくなったため、より多額の資金調達を決心したのだという(計画ではこれから18カ月で350人の雇用を行い、従業員数を3倍にする予定だ)、そして新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが加速したオンライン学習への移行の流れを追うことにしたのだ。

スタートアップによれば、5万以上の起業家や企業がThinkificプラットフォームを使用してコースを作成しており、3月以降に作成されたコース数は200%増加しているという。Thinkificはまた、これらのコースが、2020年これまでにコース作成者たちに合計で6億5000万ドル(約686億6000万円)の収益をもたらしたと述べている。

スミス氏はこの先、対面学習が現在よりも実施できるようになった後も、オンライン学習へのシフトが続くことを期待していると付け加えた。

「あなたが武道の道場を持っていて、そこにオンラインコースを追加したとしましょう」と彼はいう。「その段階でコミュニティで100人に対して教えることから、世界中の数1000人に教えることへ移行したのです。たとえその道場が物理的に再開したとしても、この追加の収入源を維持したいと思うでしょう」。

今回の調達ラウンドは、すでに投資家だったRhino Venturesが主導した。

「過去4年間、Thinkificとの協力は、特別なものという他はありませんでした」とRhinoのマネージングパートナーのFraser Hall(フレイザー・ホール)氏は声明の中で述べている。「そのビジネスモデル、ユーザー数、そして前年比で約150%の収益成長が、現在カナダで最も価値のある公開企業のShopifyに、非常に近いものであることは周知の事実です。これは間違いなく知識起業家精神の新しい世界を形作っているモデルです。そして、教育を新しい収益チャネルとして追加したい個人や組織が使うことのできるモデルなのです」。

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(翻訳:sako)

高校生のためのソーシャルアプリHAGSにGoogleの投資部門らが1億円相当を投資

今や高校もリアルとバーチャルのハイブリッドになってしまい、友だちと実際に会う機会も減り、しかも現在のソーシャルアプリではクラスメートと強い絆を築くことができないようだ。そこでHAGSは、高校のネットワークを軸とするソーシャルネットワークを作り、Google(グーグル)のベンチャー部門であるGVから初期の資金を獲得している。

チームが作っているのは、ジェネレーションZの高校生のソーシャル化にフォーカスした昔ながらのSNSだ。最初彼らは、デジタルの卒業アルバムを構想し、高校生たちが学校生活の最後の週から新型コロナウイルスのパンデミックで引き離されても、バーチャルの卒業アルバムに友だちへのメッセージを残すことができ、思い出をSnapchatで分かち合えるというアプリだった。HAGSという名前は「have a great summer(楽しい夏を過ごしてね)」の頭字語で、クラスメートの卒業アルバムにざっと手早くなぐり書きされることの多いメッセージだ(米国における高校の卒業式は6月初めごろ)。

HAGSの若き創業者チームは全員リモートで、CEOのSuraya Shivji(スラヤ・シヴジ)氏が23歳、彼女の弟である18歳のJameel(ジャミール)氏、そして共同創業者である19歳のJames Dale(ジェームズデール)氏の計3名がプロダクトを作っている。同社によると、ローンチからこれまでに「数万名の高校生」がこのアプリを使ったという。アプリの制作時にTwitter(ツイッター)の上で投資家たちの目に止まり、初期の投資の一部が始まった。

GVのTerri Burns(テリー・バーンズ)氏はTechCrunchに対して「これだけ早い段階の投資では、プロダクトや技術よりもチームを重視することになる。HAGSの現状はまだ本当に早期の段階だが、実験精神に溢れている」と語っている。

HAGSのチーム。(画像クレジット:HAGS)

HAGSのチームが得たのはGVが率いる100万ドル(約1億600万円)の投資で、BoxGroupとひと握りのエンジェル投資家が参加した。彼らの一部にとっては小さな投資だが、チームのプロダクトである10代のためのソーシャルプロダクトには、彼らがよく知っている時宜を得た機会がある。HAGSのアプリは高校のネットワークを利用し、ユーザーには自分の学校にログインするよう促す。チームはすでに、いくつかの高校で「アンバサダー」のネットワークを構築し始めており、彼らからアプリのユーザーを広げたいと考えている。

アプリは、高校生たちがパンデミックのおかげで前例のない困難な社会化を経験しているときに登場した。それは生徒たちを、普段の友だちグループを超えたもっと多くのクラスメート接触させるソーシャルアプリにとってもチャンスだ。

チームは、SnapchatのSnap Kit SDKで卒業アルバムを作るところからスタートしたが、数カ月後にそのアプリに加える予定の次の機能はまだ決めていない。チームはユーティリティの拡張を狙っているが、コアとなる機能の開発も引き続き行いたいと考えている。

「最近は方針も固まってきたが、私たちが作るもののすべての基盤は、楽しいものを作ることだ。そしてそれが社会に必要とされていて、私たちが一番やりたいものでもあることが重要だ。今は、私たちは基本的に高校生のための社会的に親密な空間をどうやって作り上げるかを模索しています」とCEOのスラヤ・シヴジは語る。

カテゴリー:ネットサービス

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

床の上を縦横に移動し棚を上り下りする倉庫用ロボットのExotecが約95億円を調達

フランスのスタートアップExotec(エクゾテック)は、83Northが主導するシリーズCラウンドで9000万ドル(約95億1000万円)を調達した。以前からの投資家であるIrisCapitalとBreegaもラウンドに参加している。その他に、以前からの投資家である360 Capitalも参加している。同社は、eコマースクライアント向けの半自動倉庫に取り組んできた。

そのシステムは、Skypods(スカイポッド)と呼ばれる小さなロボット群をベースにしている。ロボットは床の上を縦横に移動し、棚を上り下りして、標準化された製品の箱をピックアップする。

同社はまた、倉庫全体でこれらすべてのロボットの振る舞いを調整するための物流ソフトウェアも提供している。倉庫拡張時には、ダウンタイムなしでロボットと棚を追加していくことができる。

それでもロボットが持ってきた箱から、商品を取り出してそれを梱包する部分は人間が行わなければならないので、人間が完全に置き換えられることはない。しかしロボットが棚からのピックアップ作業をしている間、人間のオペレーターは作業台の位置で待っていることができる。

作業台では箱から商品を取り出すだけでなく、箱に補充を行うこともできる。基本的なアイデアは、Exotecの管理するエリアに人間が立ち入る必要がないということだ。そこはロボット専用ゾーンなのだ。

生産性の向上に加えて、高い棚と狭い通路を可能にするExotecに切り替えることで、倉庫容量を増やすこともできる。

同社は現在、アトランタと東京にも営業拠点を持っており、2021年までに年間4000台のロボットを生産する予定だ。すべての製造はフランスのリールにある6000平方メートルの工場で行われている。現在世界中の14カ所で同社のシステムが稼働中だ。顧客には、Carrefour(カルフール)、Leclerc(ルクレール)、Cdiscount(Cディスカウント)、ファーストリテイリング(ユニクロ)などが含まれる。

Exotecはこれまでに、2018年には1770 万ドル(約18億7000万円)を(未訳記事)、2016年には380万ドル(約4億円)を調達している。

画像クレジット:Exotec

カテゴリー:ロボティクス

タグ:Exotec 資金調達 フランス

画像クレジット:Exotec

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(翻訳:sako)

ロシアの監視技術スタートアップNtechLabが政府系ファンドから13億円超を調達

10万台の監視カメラで撮影された映像の分析事業を手掛けるモスクワ拠点のスタートアップであるNtechLabは、さらなるグローバル展開のために10億ルーブル(13億2100万円)以上の投資を終えたばかりだ。

5年前に設立されたこの会社は、ビデオに映った顔、シルエット、行動を認識するソフトウェアを販売している。同社の共同創業者であるArtem Kukharenko(アルテム・クハレンコ)氏によると「リアルタイムで大規模に認識できるため、顧客は状況に応じて迅速に対応可能なのが特徴」とのこと。

「例えば100台のカメラを処理できるシステムがあるとしましょう。都市に多数のカメラがある場合、これらのシステムは都市のあるエリアの100台のカメラに接続し、それを切断して別エリアの100台のカメラに接続するので、あまり興味深いものではありません」と同氏は語る。

ロシアの政府系ファンド(Sovereign Wealth Fund、ソブリン・ウェルス・ファンド)、Russian Direct Investment Fund、中東の非公開の政府系ファンドが出資する、NtechLabの最新の資金ラウンドは、財務的な重要性よりも戦略的な重要性を帯びている。同社は昨年、売上高が前年の3倍の800万ドル(約8億4500万円)に達して黒字化を果たし、2020年も同様の成長ペースで成長すると予想されている。

にもかかわらず新しいラウンドで得た資金は、攻撃的な行動の自動検出や車両認識などの新機能を開発するために投下され、中東、東南アジア、ラテンアメリカの主要な市場で新しい顧客を探すことを可能にする。同社の収益の柱は地方自治体との契約だが、エンターテインメント産業、金融、貿易、ホスピタリティなどの非政府系の顧客を開拓する計画も持っている。

同社は現在、独立国家共同体(CIS)圏、中東、ラテンアメリカ、東南アジア、ヨーロッパの15カ国30都市に顧客を持つ。これらの顧客は、画像解析処理のために、さまざまなグラフィックプロセッシングユニット(GPU)を搭載したさまざまなハードウェアをベンダーから調達できる。そのため、NtechLabは常に異なるGPUサプライヤーとの連携を図る必要がある。10年前まではNVIDIA(エヌビディア)が最適なソリューションだった、最近ではIntel(インテル)やHuawei(ファーウェイ)のようなライバルが登場している。

モスクワを拠点とするこのスタートアップは、写真をアップロードすることで、誰かのオンラインプロフィールを見けるコンシューマーソフトウェアとしてスタートした。のちにビデオにも進出し、それ以来、法執行機関に顔認証を導入することに熱心な政府のクライアントを引き付けてきた。例えば、新型コロナウイルスの感染蔓延の際には、ロシア政府はNtechLabのシステムを使用して大規模な集会を監視・管理を実施していた。

世界各地では、同様の公衆衛生監視とウイルス制御のための追跡を急ピッチで実施している。これらのプロジェクトは通常、善意のものでだが、大規模なデータソリューションの奔走がもたらすプライバシー侵害、差別、その他の結果についての議論が必要とされている。NtechLabは「適切に使用された場合、ビデオ監視は一般的に害よりも良い結果をもたらす」という見解だ。

「人々をかなり効果的に監視できるのであれば、街のすべての人々を行動を制限する必要はありません。問題は法律を尊重しない人々です。このような人々を監視し、罰則を課すことができれば、状況をよりよくコントロールすることができます」と同社のもう一人の共同創業者であるAlexander Kabakov(アレクサンダー・カバコフ)氏は主張している。

NtechLabのサービスが世界的に拡大するにつれ、必然的にそのアルゴリズムを悪用する顧客に出くわすことになる。同社は、顧客データをすべて非公開にし、自社のソフトウェアがどのように使用されるかは管理していないと主張しているが、「現地の法律に準拠したプロセスを作成するように努めています」とクハレンコ氏。

「私たちは、パートナーを信頼できるように事前に吟味しており、パートナーが私たちの技術を悪い目的に使用しないことを知っています」と締めくくった。

画像クレジット:NtechLab

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(翻訳:TechCrunch Japan)

インドネシア拠点のBukuWarungが10億円超を調達、マイクロマーチャント向け決済機能や信用スコアを提供

Y Combinatorのアクセラレータープログラムを終了して1カ月後、インドネシアの中小企業に金融サービスを提供するフィンテックスタートアップのBukuWarung(ブクワルン)は、DST Global、Soma Capital、20VCを含む著名な投資家から新たな資金調達を行ったと発表した。

資金調達額は非公開だが、情報筋によると1000万ドル(10億5600万円)から1500万ドル(15億8400万円)の間とのこと。新たな資金は、BukuWarungのテクノロジーチームの採用に使われる予定だ。TechCrunchは7月にBukuWarungを初めて取り上げた。

今回のラウンドに参加したエンジェル投資家には、著名な創業者や幹部が数名含まれている。金融テクノロジープラットフォームPlaidの共同創業者であるWilliam Hockey(ウィリアム・ホッケー)氏、Tinderの共同創業者であるJustin Mateen(ジャスティン・マティーン)氏、Superhumanの創業者であるRahul Vohra(ラフル・ヴォーラ)、Adobeの最高プロダクト責任者でありScott Belsky(スコット・ベルスキー)氏、Clearbitの会長兼スタートアップアドバイザーのJosh Buckley(ジョシュ・バックリー)氏、元Uberの最高プロダクト責任者であるManik Gupta(マニック・グプタ)氏、Spotifyの元アジア新市場責任者のSriram Krishnan(スリラム・クリシュナン)、20VCの創業者のHarry Stebbings(ハリー・ステビングス)氏、Bond Capitalの投資家のNancy Xiao(ナンシー・シャオ)氏、Fastの共同創業者であるAllison Barr Allen(アリソン・バー・アレン)氏が名を連ねている。WhatsApp、Square、Airbnbなどに投資したエンジェル投資家もいる。

Chinmay Chauhan(チンメイ・チャウハン)氏とAbhinay Peddisetty(アビネイ・ペディセッティ)氏の共同創業者が二人が昨年立ち上げたBukuWarungは、インドネシアの6000万人の「マイクロマーチャント」(小規模事業者)をターゲットにしており、近所の店またはワルン(小規模な家族経営のビジネス)のオーナーも含まれている。

このアプリはもともとペンと紙の台帳の代わりとして作られたが、今後はクレジット、貯金、保険などの金融サービスを導入する予定だ。8月に同社はBukuWarungのプラットフォームにデジタル決済機能を統合し、商店主がOVOやDANAのような銀行口座やデジタルウォレットから顧客の支払いを受け取ることができるようにした。BukuWarungの目標は、KhataBookやOKCreditがインドで展開しているのと同じ役割をインドネシアの商店主に果たすことだ。

BukuWarungがデジタル決済を開始した理由の1つは、新型コロナウイルスの感染蔓延の間、非接触取引と即時支払い(インスタントペイアウト)を求める顧客の需要に応えたことにある。この機能を導入して以来、同社はすでに年率換算で数百万米ドルの総支払額(TPV)を処理しているという。同社によると、現在ではインドネシアの第2、第3階層の都市を中心に、750拠点で約120万人の加盟店にサービスを提供しているそうだ。

デジタル決済は、BukuWarungの金融サービスを構築するための第一歩でもあり、他の会計サービスとの差別化にも役立つだろう。ペイメント機能は現在無料で、BukuWarungは手数料にわずかなマージンを上乗せするなど、さまざまなマネタイズモデルを実験している。

「BukuWarungが決済サービスを開始した理由もまた、非常に戦略的なものです。なぜなら、市場には多くの需要があるからです。私たちが提供する支払いは、銀行から得るよりも費用効率が良く、より安いので、1カ月未満で数百万の年間TPVを得られました」とチャウハン氏は語った。

「インドのKhatabookのような企業もデジタル決済を始めています。その理由は、それがビジネスを構築し収益化するための非常に重要なステップだからです」と彼は付け加えた。「決済ができなければ、なにもできません」。

「金融サービスプラットフォームを構築することは、簿記台帳に代わるユーティリティアプリを提供することと、最終的には運転資金や貯蓄、保険商品の融資を含む、商人にとって不可欠なサービスになることの違いである」とチャウハン氏。BukuWarungの会計機能は、信用力を評価するためのデータを提供することで金融サービス面に影響を与えるだろう。また、伝統的な銀行から運転資金を確保するのに苦労することが多いマイクロマーチャントが信用枠を利用できるよう支援する。

画像クレジット:BukuWarung

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(翻訳:TechCrunch Japan)

ハイテク創薬技術のXtalPiがソフトバンク主導の巨額シリーズCラウンド336億円を調達

米国と中国を拠点とするAIを活用した創薬バイオテック企業XtalPi(晶泰科技)は、ソフトバンク・ビジョン・ファンド率いる熱烈な投資家たちによるシリーズCラウンドで3億1900万ドル(約336億円)を調達した。明らかに価値が高く魅力的な分野でのこの9桁のラウンドには、他にも多くの投資家も参加している。

XtalPiは、新薬になり得る有望な分子を特定し、それに関するできるだけ多く知識を得る必要性に迫られたPfizer(ファイザー)などの大手製薬会社に協力している。そこはまさに競争の世界。AIでそのプロセスをスピードアップすると主張する企業には、巨額の資金が集中する。だがこの分野では、これといって際立ったブレイクスルーはいまだ見られない。とはいうものの、重要なプレイヤーたちがそれを我慢できるとは、とうてい思えない。

2014年に創設されたこの企業は、目標とする分子の非常にローレベルのシミュレーションと予測の提供を目標としている。どちらも原子レベルでの物理特性のシミュレーションと伝統的なデータ科学に基づく作業により、行き詰まりを回避し、より実りある方向へ探索の道を延ばしている。

こうした進展はデジタル世界でのことだが、結果の検証と前進のためには、どの企業もいまだに大勢の経験豊富の科学者の手と、さらにはそれを支える施設が必要となる。それが、歩みの遅い製薬業界のスピードアップに貢献するのだが、安く簡単に行えるものではない。

AI(実際には機械学習の手法だが)に支えられたバイオテック企業は、製薬大手が賭けを行う中で、巨額の資金調達ラウンドや大きな利益をもたらす(またはその可能性のある)提携を獲得してきた。Insitro(インシトロ)の創設者Daphne Koller(ダフニー・コラー)氏も、ほんの2週間前にDisruptでそんな話をしていた

ご想像に違わずXtalPiは、現在の事業をアルゴリズムの改良し、より多くのデータ、より強力なコンピューターパワーで拡大するために今回の資金を活用する計画だ。

「AIは、製薬の生産性という課題を解決する鍵を握っていると、私たちは確信しています」と、会長で共同創設者のShuhao Wen(温书豪、ウェン・シュハオ)氏は広報資料で述べている。「具体的には、XtalPiのAIを原動力とするプラットフォームは、製薬業界の研究の効率性と成功率を高め、新薬の発見と開発のコストを削減します。私たちはより多くのファースト・イン・クラス(画期的医薬品)をもたらし、飛躍的に進歩した薬を市場に送り出し、未解決の医療問題に対処して全世界規模で患者に恩恵を与えるこのプラットフォームを、クライアントに提供できる日を心待ちにしています」

関連記事:まったく新しい手法で新薬開発を進めるInsitro、「デジタル生物学は素晴らしい分野」と創業者が力説

カテゴリー:バイオテック

タグ:XtalPi ソフトバンク・ビジョン・ファンド 資金調達

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(翻訳:金井哲夫)

ソフトバンクが日本の人手不足のレストランにBear Roboticsの給仕ロボ「Servi」導入へ

 

2020年1月、SoftBank(ソフトバンク)はBear Roboticsに3200万ドル(約33億7600万円)のシリーズAのベンチャー資金を投資した。このサンフランシスコ地区のロボットスタートアップはGoogle(グーグル)の元幹部エンジニアがファウンダーで、ソフトバンクは出資を手始めにBear Roboticsを積極的に支援してきた。

ソフトバンクがロボットにとってブレークスルーとなる時代が来たと考えている理由は容易に推測がつく。人手不足が世界に拡大しているからだ。新型コロナウイルスの蔓延によるパンデミックでソーシャルディスタンスが強制されていることがこれを加速している。

少子高齢化による人口の減少をはじめとするさまざなな要因から、日本における労働力の不足はなかでも深刻だ。これにパンデミックが追い打ちをかけている。今週、ソフトバンクはBearのServi ロボットを日本のレストランに導入する計画(Business Wire記事)を発表した。

報道によれば、ユーザーは月額10万円3年間のリース契約(Business Wire記事)でServiを利用できる。ロボットが実際に日本に登場するのは2021年1月からだ。Serviは自走するテーブル形の給仕ステーションで、レストランのウェイター業務を増強、代替できる。各ロボットは2人分の注文を運ぶことができ、食事後の回収用バケットも備えている。

ソフトバンクロボティクス新事業戦略発表会:2020年9月29日午前9時45分より開始

このロボットは基本的にグーグルの自動運転車のテクノロジーを応用しており、LiDARによって全周の障害物を検知して安全なナビゲーションを行う。床の上に落とされた財布などの障害も避けることが可能。またタブレットのアプリからリモートで操作できる。ユーザーはタッチスクリーンで入力する。Bear Roboticsの発表によれば、各ユニットは8-12時間程度の連続運用が可能だという。

ソフトバンクが投資するBoston Dynamicsの四脚の犬型ロボットはもちろん、ソフトバンク自身の人型のPepperなどと比較してBear Roboticsの給仕ロボットは見たところとてもシンプルだ。しかしロボティクスに関しては最もシンプルなアプローチが最善であることがよくある。

関連記事:ソフトバンクが支援する料理配膳ロボ開発のBear Roboticsとは?

カテゴリー:ロボティックス

タグ:ソフトバンク Bear Robotics Servi 資金調達

画像クレジット: Bear Robotics

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

フィリピンの決済スタートアップPayMongoが約12.6億円を調達、米国の決済サービス大手Stripeがリード

マニラに拠点を置くオンライン決済プラットフォームのPayMongo(ペイモンゴ)は、1200万ドル(約12億6400万円)のシリーズAラウンドを、米国の決済サービス大手のStripe(ストライプ)がリードしたと発表した。

フィリピンの企業向けにオンライン決済APIを提供するPayMongoは、Y Combinatorのアクセラレータープログラムに参加した最初のフィリピン系金融テックスタートアップだ。Y Combinatorと以前にも投資を行ったGlobal Founders Capitalは、あらためてシリーズAのラウンドに参加したほか、新規投資家としてBedRock Capitalも加わった。

PayMongoは金融機関と提携しており、そのサービスにはウェブサイトやアプリに統合できる決済APIが含まれており、銀行カードやGrabPay、GCashなどのデジタルウォレットからの支払いを受け付けることができる。ソーシャルコマースの売り手や、主にメッセージングアプリで商品を販売する人々のためにはPayMongo Linksを提供しており、買い手がクリックするだけで送金できるようになっている。PayMongoのプラットフォームには、詐欺やリスク検知システムといった機能も含まれている。

StripeでAPACビジネスリードを務めるNoah Pepper(ノア・ペッパー)氏は声明でPayMongoに投資した理由を「PayMongoのチームと、彼らがフィリピン全土の多くの企業にデジタル決済をより身近なものにしたスピードに感銘を受けたからです」とコメントしている。

PayMongoは2019年6月に270万ドル(約2億8400万円)のシード資金で立ち上げられた。創業者によると、フィリピンを拠点とするフィンテックスタートアップが調達したシードラウンドとしては過去最大級の規模だったとのこと。PayMongoは現在、総額1500万ドル(約15億8000万円)近い資金を調達している。

共同創業者兼最高経営責任者のFrancis Plaza(フランシス・プラザ)氏によると、PayMongoはサービス開始以来、合計で約2000万ドル(約21億円)の支払いを処理し、今年に入ってから平均60%のペースで成長しており、3月にロックダウンが始まってからは急増しているという。

同氏は「当初は来年の前半にシリーズAの資金調達を開始する予定だったが、新型コロナウイルスの感染蔓延の期間中にサービスに対する需要が高まったため、製品、設計、エンジニアリングチームを雇用し、新機能のリリースを加速させるために、より早い時期にラウンドを開始することになった」と付け加えた。調達した資金は、より多くのオンライン決済オプション、請求書発行やマーケットプレイスの機能、サブスクリプションのようなビジネスモデルのサポート、支払いサイクルの高速化などの開発に投下される。

PayMongoはまた、金融サービスプロバイダーとのパートナーシップを強化し、詐欺やリスク検出システムを改善し、中央銀行からのライセンスをより多く確保して、ほかのタイプの金融商品にも対応できるようにする計画だ。

PayMongoは、新型コロナウイルスの大流行により多くの企業が業務のデジタル化を推進していることから、東南アジアのフィンテック企業の中でも成長が加速している。プラザ氏によると、フィリピンでのデジタル取引全体は、国の封鎖の影響もあり1月から4月の間に42%増加したという。

PayMongoは現在、フィリピンで唯一の決済会社でありオンボーディングプロセスを完全にオンラインで行えるように開発されているため「初めてオンライン決済を受け入れる加盟店にとって魅力的である」と同氏。「我々は、加盟店がすぐに我々のプラットフォームを利用できるように、アプリケーションの迅速な承認のためのコンプライアンス要件をより効率的に審査し、加盟店に迅速な支払いができるようにしています」と続ける。

さまざまな都市でロックダウンが解除されてもこの勢いが続くとすれば、フィリピンの中央銀行が電子決済取引の取引量を国内の総取引量の20%にまで増やすという今年の目標の達成に向けて軌道に乗っていることを意味する。フィリピンではスマートフォンの普及率は高いが、多くの人が従来の銀行口座を持っておらず、高額な手数料がかかることが多いため、政府は経済成長と金融包摂(金融サービスへ取り込むこと)を促進するために、2015年にオンライン決済を奨励する政策を打ち出した。

フィリピンではロックダウンの規制が緩和されたとはいえ「PayMongoはまだ強力な牽引力を発揮している」とプラザ氏。「私たちは、フィリピンのビジネスによるデジタルシフトが続くと信じています。これは主に、商人と顧客の両方が、検疫レベルがより緩やかになったにもかかわらず、家にいてオンラインショッピングを選択するなどの安全対策を実践し続けているからです。オンラインは、商取引の新しい常識となるでしょう」と締めくくった。

画像クレジット:PayMongo

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(翻訳:TechCrunch Japan)