中国検索大手Baiduのスマートボイス部門が3100億円の評価で単独資金調達へ

中国最大の検索サービスを提供し、また人工知能研究のリーダーでもあるBaidu(バイドゥ)はスマートボイス分野へと活動範囲を広げている。同社のスマートリビング部門はポストマネーバリュエーション200億元(約3100億円)で単独資金調達を行う構えだ。

資金調達の動きはスマートリビング部門が今後スピンオフする可能性があることを示している。同部門はAmazon Alexaと同じ音声アシスタントであるDuerOSで最もよく知られている。DuerOSは2019年初め時点で、バイドゥの自前ブランドのスピーカーやさまざまなサードパーティのガジェットを含め、計2億台のデバイスで使用されていた(未訳記事)。

マーケットリサーチ会社のIDCによると、バイドゥは2019年にXiaoduスピーカーを約1500万台出荷した。中国ではAlibaba(アリババ)に次ぐ大手であり、Xiaomi(シャオミ)よりも出荷台数は多い。

国有投資会社Citicの資産運用会社であるCitic Private Equity Funds Management(CPE)、バイドゥのベンチャー部門バイドゥ Capital、IDG Capitalを含む投資家は、金額は非公開ながらスマートリビンググループのシリーズAラウンドに投資する正式契約を結んだ。

中国では近年、インターネット企業、そして不動産やヘルスケア、教育、金融といった部門のデジタルソリューションを欲している企業との間での協力が増えている

バイドゥによると、資金調達は今年第4四半期のクローズが見込まれる。完了すればバイドゥは大株主になり、多議決権を持つ。そして引き続きスマートリビンググループの決算を統合する。

音声知能における競争はハードウェアメーカーとの提携を確保するレースだ。音声知能は消費者の使用やデータに貢献し得る。スピーカーの販売はさておき、車メーカーがオープンソースの自動運転プラットフォームApollo(未訳記事)を使っていることが好影響で、バイドゥはコネクテッドカーへの音声アシスタント導入で優位に立っている。言うまでもなくアリババはスマートボイスシステムとスピーカーを展開するのに小売での支配力を活用できる。一方シャオミは音声能力の取得で恩恵を受けるかもしれないIoT部門を席巻している。

バイドゥのAIにおける取り組みは、近年同社がリクルートしたAndrew Ngアンドリュー・ン)氏やLu Qi(ルー・チー)氏といった一連の有名なサイエンティストによるものだ。同社は早くからAIの将来に賭けてきた。しかしまだ初期段階にあるAI関連事業は大した売り上げをげていない。創業20年のバイドゥは広告売上を伸ばすのに引き続き検索に頼っているが、広告主に最近もてはやされているTikTok(ティクトック)の親会社ByteDance(バイトダンス)との競争激化に直面している

画像クレジット: バイドゥ

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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