FacebookとInstagramがトランプ大統領のアカウントを「少なくとも政権交代が完了」までブロック

Facebook(フェイスブック)のMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOは、Donald Trump(ドナルド・トランプ)氏が「権力の平和的な移行が完了するまで、少なくとも次の2週間」はFacebookとInstagram(インスタグラム)の使用をブロックされることになると、自身のプラットフォームで発表した。同社はトランプ氏のフォロワーに暴力を煽る投稿を受け、米国時間1月6日に一時的に彼のアカウントをブロックしたが、これを「無期限」に延長し、少なくともJoe Biden(ジョー・バイデン)氏が大統領に就任するまで解除しないと、ザッカーバーグ氏は述べた。

FacebookとInstagramは米国時間1月6日、トランプ氏の動画投稿を削除した。この動画は、大統領がワシントンの米国議会議事堂の建物を包囲した暴徒に帰宅するように呼びかけたものだが、その中でトランプ氏は同じ暴力的なテロリストに向かって「我々はあなた方を愛している」ともいっている。この行為を受け、FacebookとInstagramはトランプ氏のアカウントを24時間ロックし、その間は同氏が投稿することを防止した。

ザッカーバーグ氏は、過去にトランプ氏の投稿がそのポリシーに違反していることが判明すると、ラベル付けされたり削除されたりしながらも、「我々独自の規定に沿って、我々のプラットフォームを使用すること」ができたと認めた。しかし、トランプ氏が「民主的に選出された政府に対する暴力的な反乱を扇動するために我々のプラットフォームを使用した」ため、現在、それを変更したとザッカーバーグ氏は述べている。

ここでは慎重にPRされた言葉が多く使われている。ザッカーバーグ氏は注意深く、トランプ氏の現在までの使用がプラットフォームの規定に沿ったものであり、例外として扱ってはいないと述べており、トランプ氏が直接暴力的な反乱を扇動したとはいわないように気をつけている。それでも今のところ、トランプ氏のアクセスを制限する最も強硬的な行動といえるだろう。

Facebookが大統領のアカウントを一時的にでも停止するという決断をしたことは、その世界のリーダーに対する長年の態度を考えれば衝撃的な逆転である。もちろん、そのリーダーが権力を握っているのはあと数日だけだ。トランプ氏が米国時間1月20日に退陣すれば、Facebookはジョー・バイデン次期大統領と、同社のビジネスに規制を課そうとする議会と政府を相手にすることになる。

これまでFacebookは、そのプラットフォームにおけるトランプ氏の悪行に対して非常に寛容だった。おそらく最も有名なのは、トランプ氏が反人種差別デモの参加者に対する州兵の武力的制圧を求めたとき、Facebookが大統領のアカウントに何もしなかったということだろう。その際、トランプ氏が投稿した「略奪が始まると、銃撃が始まる」という言葉は、1960年代に人種差別主義者のマイアミ警察署長によって有名になった発言を繰り返した(NPR記事)ものだった。

この状況はFacebookの社内を混乱に陥らせ、社員たちはトランプ氏に対する同社の態度に反発した。米国時間1月6日、BuzzFeed NewsはFacebookが議会議事堂で暴動を起こしたトランプ支持者に関する社内の会話をシャットダウンし、プラットフォームからトランプ氏の排除を求めるコメントスレッドを凍結したと報じた。

トランプ氏の政権時代を通じて、Facebookは同氏のプラットフォーム利用に対応するために力を尽くしてきた。2019年、より道徳的なスタンスを取るようにという圧力に直面したマーク・ザッカーバーグ氏は、ジョージタウン大学における演説で反抗的な姿勢をとり(Daily Beast記事)、Facebookには危険な政治的コンテンツを削除する責任がないという考えを倍加させた。

「我々は表現の自由のために立ち上がるか【略】それともコストが大きすぎると判断するかのどちらかです」と、ザッカーバーグは語った。「我々は表現の自由のために 戦い続けなければなりません」。

以下はザッカーバーグ氏の投稿全文だ。

この24時間の衝撃的な出来事は、ドナルド・トランプ大統領が任期中の残りの時間を利用して、選出された後継者ジョー・バイデン氏への平和的かつ合法的な権力移譲を阻もうとしていることを明確に示しています。

議会議事堂における彼の支持者の行動を非難するのではなく、むしろ容赦するためにFacebookのプラットフォームを使用するという彼の決定は、米国および世界中の人々を当然のことながら動揺させました。その効果が、そしておそらくその意図が、さらなる暴力を誘発すると私たちは判断したため、昨日これらの発言を削除しました。

議会による選挙結果の認定を受け、国全体の優先事項は今、残りの13日間と就任後の数日間が、確立された民主主義の規範に沿って平和的に過ぎるようにすることです。

ここ数年、私たちはトランプ大統領が当社の独自のルールに沿って我々のプラットフォームを利用することを許可してきましたが、時にはコンテンツを削除したり、我々のポリシーに違反する投稿にラベルを貼ったりすることもありました。私たちがそうしてきたのは、民衆は政治的な言論に、たとえ議論を呼ぶような言論であっても、可能な限り広くアクセスする権利を持っていると信じているからです。しかし、現在の状況は根本的に異なっており、民主的に選出された政府に対する暴力的な反乱を扇動するために、私たちのプラットフォームが使用されました。

私たちは、大統領がこの期間中に我々のサービスを利用し続けることを許可するリスクは、あまりにも大きいと考えています。従って、私たちは彼のFacebookとInstagramのアカウントに施したブロックを無期限に、少なくとも次の2週間、権力の平和的な移行が完了するまでは延長します。

そして以下は、Instagramを率いるAdam Mosseri(アダム・モセリ)の投稿だ。

例外的な状況と、大統領が首都での昨日の暴力を非難するのではなく、むしろ容赦することに決めたという事実から、我々は彼のアカウントに施したブロックを無期限に、少なくとも次の2週間は延長します。

一方、Twitter(ツイッター)は米国時間1月7日、トランプ氏が3つの違反ツイートを削除し、アカウントのアクセスを復活させるための要件を遵守していることを明らかにした。これはつまり、削除から12時間後となる7日には、トランプ氏のアカウントのロックが解除される(未訳記事)ことを意味する。

【訳者注】日本時間1月8日現在、Twitterはすでに解除されている。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

イーロン・マスク氏が米議会議事堂での暴動受けてFacebookの代わりにセキュリティ重視のSignalを推薦

テクノロジー業界の億万長者であるElon Musk(イーロン・マスク)氏はまもなく世界で最も裕福な人物になる見込みであり、テクノロジー企業家の中で最も影響力のある人物の1人でもある。米国時間1月7日の夜遅く、米議会議事堂でトランプ大統領支持者の暴徒による反乱未遂を受け、マスク氏はFacebook(フェイスブック)への批判を繰り返した。同氏はフェイスブックの設立が、この悲惨で恥ずべき出来事につながったことを示唆するミームを共有した

マスク氏は自身の巨大な影響力(彼はツイッターに約4250万人のフォロワーがいる)を利用し、特に新型コロナウイルス(COVID-19)とその重要性について多くのフォロワーに誤報を広めてきた(未訳記事)が、米国時間1月8日の朝にはWhatsAppからFacebookへのデータ共有をユーザー全員に義務付ける新しい利用規約とプライバシーポリシーに、驚きを隠せないことを表明した。

Tesla(テスラ)とSpaceX(スペースX)を率いるマスク氏は、Signalというデフォルトで暗号化されたメッセージングクライアントを使うことを推奨した(もし同氏のアドバイスに従うのなら、アプリの「消滅メッセージ」機能を有効にして、両者の会話の保護を追加すべきだ)。

マスク氏はCambridge Analyticaスキャンダルの発覚を受けて、2018年に独自の#deletefacebookキャンペーンとして自身の個人ページだけでなく、TeslaとSpaceXの両方のページを削除するなど、フェイスブックの利用に反対してきた長い歴史がある。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

Facebookが米国議事堂乱入を称賛する投稿をブロック、トランプ大統領を24時間投稿禁止に

Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領が支持者集団による米国議会議事堂の襲撃を賛美する動画を削除したFacebook(フェイスブック)は、米国時間1月6日の衝撃的な出来事を受けて新たなルールを公開。さらに同社は、トランプ氏のアカウントによるFacebookへの投稿を24時間禁止することも合わせて発表している。

トランプ大統領のページで2件のポリシー違反を発見したため、24時間の機能停止措置をとります。これはその期間同氏が本プラットフォームに投稿する資格を失うことを意味しています。

Facebookによると、1月6日に議会議事堂に突入した一団は「危険な個人および団体」に関する同社ポリシーの適用対象となった。これはテロリストや大量虐殺者、および暴力的ヘイトグループに対してルールを強制するために使われる分類である。2020年6月、同社は反政府ブーガルー行為(未訳記事)を同じリストに加えた。支持者が武器を取るよう仕向け、内戦に備えさせあるいは駆り立てる行為だ。

「本日の国会議事堂での暴力的抗議は侮辱的です」とFacebook広報担当者がTechCrunchに話した。

FacebookとInstagram(インスタグラム)はいずれも、「#StormTheCapitol(国議会議事堂に突入せよ)」のハッシュタグで投稿されたコンテンツのブロックを開始した。Facebookによると米国議会議事堂に侵入したトランプ支持者を称賛するコンテンツをすべて削除するとともに、1月6日の出来事を「煽り立てたりけしかけたり」するコンテンツも削除していくと語っている。これには個人が撮影した写真と動画も含まれる。

「現時点で彼らの行動は犯罪行為を奨励するものであり、我々のポリシーに反しています」と公正化担当副社長のGuy Rosen(ガイ・ローゼン)氏とグローバルポリシー管理責任者のMonika Bickert(モニカ・ビッカート)氏がブログ記事で述べた。ローゼン氏とビッカート氏は1月6日の出来事を、プラットフォームの「緊急事態」と呼んでいる。

「私たちの多くが感じていることを、経営チームに代わってお話します。私たちは本日、議事堂で起きた暴力行為に愕然としています。一連の事件は緊急事態であると受け止めています。当社の選挙対策センターはジョージア州の選挙および議会による選挙結果認定投票に備え、当プラットフォーム上の活動をリアルタイムで監視しています」。

さらに同社は、ワシントンD.C.で新たに制定された外出禁止令に違反するあらゆる抗議行動を組織化する者を、たとえ平和的集会であっても厳重に取り締まる。「暴力を再現しようとする」コンテンツもすべて削除される。

Facebookは「ワシントンだけでなく米国内のいかなる場所であれ」人々に武器を持って集まるよう呼びかける投稿はプラットフォームから排除すると語った。

Facebookは同社が米国選挙に適用する「緊急措置」にも多少手を加え、グループ投稿に管理者レビューを必須とし、「大量」のヘイトスピーチを誘発、あるいは暴力を奨励するグループ投稿へのコメントを自動的に無効にするようにした。

Facebookのブログの記事は、以前の民兵組織Proud Boys(プラウド・ボーイズ)、「暴力を誘発する」QAnon(キューアノン)陰謀の取締りにも言及している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Color of Changeら活動家団体や企業家グループがトランプ大統領の排除をTwitterとFacebookに要請

トランプ支持者の暴徒が米国議会議事堂を襲撃し、議会の封鎖と議員の避難を引き起こした抗議と暴動の混沌とした1日を受け、非営利の公民権擁護団体であるColor of Change(カラー・オブ・チェンジ)は、他の団体とともに、Twitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)などのソーシャルメディア企業に対して、Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領をプラットフォームから排除するよう呼びかけた。

カラー・オブ・チェンジなどの活動家団体は、大手テック企業や金融サービス企業がワシントンD.C.での暴動に加担しているとし、ソーシャルメディアに行動を起こすよう呼びかけている。ツイッターはトランプ大統領のツイッターアカウントをロックし、3つの違反ツイートを強制的に削除したが、このソーシャルメディアが同氏をプラットフォームから完全に削除したわけではない。ツイッターアカウントのロックは少なくとも12時間は続く

カラー・オブ・チェンジのRashad Robinson(ラシャド・ロビンソン)会長は米国時間1月6日、「もうたくさんだ。フェイスブックとツイッターがトランプ氏をプラットフォームから追い出す時がきた。我々はこの件について@Facebookと@Twitterのリーダーと連絡を取っているが、あなたの助けが必要だ」と、ツイートした。

同団体はまた、人々がツイッターのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)CEOに直接訴えるために使用できる嘆願書を立ち上げた。この嘆願書には、次のように書かれている。

親愛なるジャック・ドーシーCEOへ

ドナルド・トランプはこれまで何の咎めもなく、あなた方の利用規約に違反してきました。そして彼の高揚と共起表現は、暴徒達が上院議場を襲撃するという本日の混乱を引き起こす結果となり、議員や報道関係者、職員が生命の危機にさらされました。トランプ氏のツイートは、白人至上主義者を応援する暴言から、今や警察の殺害に抗議する米国人に対して州兵が致命的な力を行使することの提唱まで、何百万人もの米国人の命を危険にさらしてきました。この危険なユーザーがあなたのプラットフォームを悪用することを許すいい訳はできません。今こそ #KickTrumpOffTwitter(ツイッターからトランプを追い出せ)の時です。

他にも数多くの活動家団体やビジネスグループ、テックのリーダーたちがソーシャルメディアを使って米国時間1月6日の出来事を非難している。倫理団体であるAccountable Tech(アカウンタブルテック)は同日、今回の暴動事件は心を痛めるものだったが、まったく予想できなかったわけでもないとツイートした。「悲しいことに、ツイッターとフェイスブックの準備と対応は極めて不十分だった。単に暴力扇動のレッテルを貼るだけでは十分ではない」。

他にも米国旅行産業協会、Jewish Council for Public Affairs(ユダヤ人公共問題評議会)、Business Roundtable(ビジネスラウンドテーブル)などの団体が、今回の出来事について独自に非難の声を上げたが、ソーシャルメディアの関与を直接批判することはなかった。

米国の主要企業の最高経営責任者がメンバーとなっているビジネスラウンドテーブルは、トランプ氏に働きかけ、混乱に終止符を打ち、平和的な政権交代を求めた。他にも全米製造業協会のような団体は、より強い言葉を使い、トランプ氏を支持するデモ隊の行為は「治安妨害」と「暴民支配」に当たると指摘し、Mike Pence(マイク・ペンス)副大統領に修正第25条の発動(すなわち大統領の即時免職および権限と義務の引き継ぎ)を「真剣に検討する」ように促している。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

テック界のリーダーたちが米議事堂暴動でSNSの役割に対して声を上げる

トランプ大統領支持の過激派たちが米国議会議事堂を激しく襲撃した後、多くのテック企業幹部や業界リーダーがTwitter(ツイッター)のCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏とFacebook(フェイスブック)のCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏に、大統領のメッセージの拡散と暴力支持をより積極的に抑制するよう求めている。

トランプ大統領が過激派たちのことを「とても特別」と呼んで家に帰るよう促すビデオを公開したあと、FacebookTwitterはコンテンツを削除した。Twitterは同社ルールの「将来の違反」はアカウントの永久停止につながると警告し、トランプ大統領のTwitterアカウントを少なくとも12時間凍結する措置を取った。

長い精査を経て、TwitterとFacebookはようやく今回の暴動によってトランプ大統領の扇動的なツイートやメッセージに対応することになった。この件はまだ続いており、テック界の一部の有名な人物は暴動の原因は選挙に関する誤情報を無視して拡散させたプラットフォームにあるとしている。誤情報の拡散はトランプ政権が終わろうとしている現在、暴力的なレトリックの動きを制御不能にした。

Twitterの初期投資家の1人であるChris Sacca(クリス・サッカ)氏は「(ジャック)そしてザック、あなたたちに責任があります。4年間、あなたたちはこの恐怖の種を正当化してきました。暴力的な反逆を扇動することは言論の自由ではありません。もしあなたがそうした企業で働いているのなら、これはあなたの責任でもあります。アカウントを閉鎖しなさい」。

Reddit(レディット)の共同創業者、Alexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏はサッカ氏の発言にこう付け加えた。「子どもたちのために答えなければならない、難しい疑問がたくさんあります」。オハ二アン氏は2020年のBlack Lives Matter(黒人の命も大切だ)抗議活動をきっかけに役員を退いた。

Facebookの元セキュリティ最高責任者のAlex Stamos(アレックス・スタモス)氏は「ラベリングは意味をなさず」、TwitterとFacebookは「トランプを排除しなければならない」として両社とも行動を起こす必要があると書いている。

テックプラットフォームは、誤情報の発信と陰謀論で結びついているグループの問題を野放しにしているとして、これまでに幾度となく集中砲火を浴びてきた。Twitterの直近の対応は誤情報の可能性があるツイートにフラッグを立てるという措置の導入だった。

テック投資家でRedditの元CEOであるEllen Pao(エレン・パオ)氏は、今日のカオスはドーシー氏が行動を起こさなかったことに直接つながっていると主張している。パオ氏と、テック企業の元創業者でCEOのLaura Gómez(ローラ・ゴメス)氏は2020年11月、トランプ大統領が「クーデター」を扇動するのにTwitterを使用していると明確に非難し、ドーシー氏にトランプ大統領のツイッター上での影響力を制限するよう求めていた。

「我々は正しいことをするよう彼らに伝えました。彼らはしませんでした。そして今こういう事態になっています」とパオ氏は本日Twitterに書いている。

このほどGoogle(グーグル)のAIチームから解雇されたトップの研究者であるTimnit Gebru(ティムニット・ゲブル)氏はFacebookとTwitterを厳しく非難したが、より厳しい非難の矛先をYouTubeに向けた。同氏はYouTubeがヘイトスピーチを促進していることに関して「注目を浴びないよう完全に逃れてきた」としている。

暴動者たちのことを「特別な人々」と呼び、家に帰るよう促しているトランプ大統領の最新の動画はTwitter、Facebook、YouTubeから削除された。

Facebookのインテグリティ担当バイスプレジデントのGuy Rosen(ガイ・ローゼン)氏は、暴動は「緊急事態であり、トランプ大統領の動画削除を含め、適切な緊急措置を取っています。動画は現在も続いている暴力のリスク抑制に貢献しないと判断して削除しました」とツイートした。Facebookは公式な声明文も出している

大統領就任式まで2週間となり、プラットフォームは引き続き平和的な政権交代を守るという点で重要な役割を果たす。本日の事件は転換点のようだ。テロリズムにより、シリコンバレーのテック業界の人たちは業界で最もパワーがあるリーダーたちを非難し、さらなる暴力沙汰が起こる前に行動するよう促すことになった。

「@jack、@vijaya、@kayvz、単刀直入にいわせてもらいます。少なくとも明日はドナルド・トランプのアカウントを停止させなければ、この議事堂暴動はあなたたちの責任にもなります。残念ながらトランプはここ数日、主にあなたたちのツールを使って暴動を扇動してきました。あなたたちはいま行動する必要があります」とテックジャーナリストのKara Swisher(カラ・スウィッシャー)氏はTwitterへの投稿に書いた。

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

FacebookとYouTubeが過激派を特別扱いするトランプ大統領の動画を削除

Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領が、議会を襲った暴徒たちに「we love you」と呼びかけた動画を、Facebook(フェイスブック)とYouTubeが削除した。数分前にTwitter(ツイッター)は同じ動画を、視聴できるが共有できないようにしている。

すでにワシントンD.C.の騒乱に関する大量の動画やその他のコンテンツがソーシャルメディア上に存在するが、トランプ氏自身のコメントは少なかった。暴徒たちが米連邦議会議事堂の建物に侵入し、連邦議会が空になってからも、彼の投稿は「平和的に」と示唆していた。

東部時間1月6日午後5時頃、トランプ大統領は動画を投稿し、その中で選挙が「盗まれた」と繰り返したが、「もう家に帰るべきだ。あなたがたを愛している。あなたがたは特別な存在だ」と述べている。

Twitter上でこれはすぐに制限がかけられ、「このツイートには暴力の危険性があるため、リプライもリツイートも『いいね』もできない」という大きな警告が表示された

Facebookのインテグリティ担当副社長であるGuy Rosen(ガイ・ローゼン)氏は「これは緊急事態でありFacebookも現在、トランプ大統領の動画を削除するなど、緊急時対応を取っている。動画を削除したのは、それが現在、行われている暴力のリスクを減らすというよい、むしろ助長すると思われるからだ」とツイートしている。

Facebookには、トランプ大統領の投稿を削除した前例がある。2020年8月に同社は、新型コロナウイルスに対して「ほとんどの子どもに免疫がある」とトランプ氏が述べた動画を削除したが、これは科学的に裏付けのない危険で偽りのある主張だ。

TwitterとFacebookが特別のポリシーまで設けて2020年11月の選挙に影響する脅威に対応しようとしていたのに対して、YouTubeは静かだった。しかし選挙の1カ月後の2020年12月初めにYouTubeは、選挙が「広範な詐欺行為と誤謬」によって曲げられたという虚偽の主張をしているコンテンツの削除を開始した(未訳記事)。大統領の動画を削除するYouTubeの米国時間1月6日の決定は、そのときのポリシーに沿っている。

YouTubeの広報担当者は「ドナルド・トランプ大統領のチャンネルに、本日午後投稿された弊社ポリシーに違反している動画を削除した。我々のポリシーは、広範な詐欺と誤謬が2020年の選挙の結果を変えたと主張するコンテンツに対するものだ」と述べている。さらに広報担当者は、その動画に教育的な価値のある正しいコンテキストがあれば、認められたであろう、と述べている。

この記事の現状は未定稿だ。

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画像クレジット:Bloomberg/Contributor/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Facebookが「ページ」をリニューアル、「いいね!」ボタンが消えニュースフィードが追加される

Facebookページ」がリニューアルされる。米国時間1月6日、Facebook(フェイスブック)は「ページ」のメジャーアップデートを公開することを発表した。レイアウト、ナビゲーションが一新され、専用ニュースフィード、ファンを惹きつけるためのQ&Aフォーマットなどが導入されるなどFacebookページの体験が大幅に変更される。準備中のバージョンで目立つのは「いいね!」ボタンが削除され、現在、何人がページをフォローしているかという直接の測定値に焦点が移されることだ。

TechCrunchはFacebookページのオーバーホール計画を確認し、この夏記事にしている(未訳記事)。これはハリウッドスター、作家、クリエイターなどの著名人を対象に新バージョンのテストが行われたことを知ったのがきっかけだった。Facebookは続いて英語版の企業ページのアップデートもテストした。

FacebookはFacebookページの新バージョンが今後数カ月にわたって順次正式公開されると発表している。

画像クレジット:Facebook

上で触れたように、新しいページデザインにおける最大の変更点の1つは、「いいね!」がなくなることだ。これは、「いいね!」数がページの人気を正しく伝えていないという反省から生まれた。これまでFacebookユーザーがページを「いいね!」すると、自動的にフォローすることになる。ところがテーマに関心が薄れたり、ニュースフィードにページからの投稿が頻繁に表示されるのがわずらわしくなったなどの理由でフォローを解除するユーザーが多数現われていた。「いいね!」のリクエストを受け取った後、義理で「いいね!」したものの、ページからの更新情報を受け取ることは選択しなかったユーザーも多い。

もう1つの大きな変更は、独自のニュースフィードだ。ページ自体が公人・著名人ないしブランドとして会話に参加し、トレンドを追跡し、ファンと交流することができる。この専用のニュースフィードには、ぺージが会話する相手として他の公人・著名人、ページ、グループ、トレンドのコンテンツなどが提案されている。

ユーザーがページをフォローすると、他ユーザーの投稿コメント欄のトップにページからのコメントが目立つように表示される。またそのページをフォローしていることを示す青いチェックマークが付加される。このコメント投稿はユーザー自身のニュースフィードにも表示されることがある。

Facebookによると、ユーザーはコメントや推薦された投稿から直接ページをフォローできるようになるという。

また、Facebookはページがファンとの交流を深めることができる新しいQ&Aフォーマットを準備している。クリエイターがファンから質問を受けストーリーで答えるというInstagramに似た方式だ。Facebookページの場合、フォロワーは特定のトピックについて質問することができる。ページが回答したQ&Aはスワイプしてすばやくブラウズすることが可能で、ユーザーが情報を得るのに便利だ。これは特定のクリエイターのことをさらによく知りたいファンが質問してくる場合に、そうしたファンを楽しませるようなカジュアルなスタイルで回答した場合、特に便利だろう。

画像クレジット:Facebook

こうした大きな変更に加えて、Facebookページの管理者向けのバックエンドのアップデートもある。たとえば管理者のアクセス許可のオプションが増える。これによりページインサイト、広告、コンテンツ、コミュニティ活動、一般メッセージなどそれぞれの活動に対して適正なレベルのアクセスを割り当てることができる。

Facebookはテスト時のフィードバックを参考にして、権限の管理、管理者の追加、管理者のページインサイトへのアクセスコントロールなどを可能にする管理ツールを構築した。これはページの「管理」ボタンから直接利用できる。またモバイルアプリがCクリエータースタジオをフルサポートするようになる。

Facebookは「ヘイトスピーチ、暴力的、性的、スパム的コンテンツ、なりすましアカウント、フィッシング」を検出してフィルタリングする機能を強化し、モデレーションも改善したとしている。さらに詳細を取材したがFacebookは回答を避けた。

テストが始まって以降、新バージョンに対するユーザーの評価は好意的だった。ユーザーに好まれたのはインターフェイスのシンプル化、実際のプロフィールと公開プロフィール、またページ間の切り替えが簡単になったこと、ファンのエンゲージメントをアップするための機能の追加などだ。

Facebookでは「ページのアップデートは今後数カ月で行われる」としている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebook

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Facebookが政治広告をジョージア州決選投票後に全米で禁止

ジョージア州は現在、Facebook(フェイスブック)が政治広告の掲載を許している唯一の州だが、米国時間1月5日の選挙が終わるとそれが変わる。

フェイスブックが広告ポリシーの変更を説明するサイト、そしてAxiosの記事によると、同社はジョージア州を含め、米国における政治および社会問題の広告を米国時間1月6日以降一切許可しない。

フェイスブックはTechCrunchに対して、ジョージア州における政治広告ポリシー再変更の決定によって社会問題、選挙および政治に関する広告の「全米での中止」という現在の方針に同州も従うことになると語った。フェイスブックの広報担当者はいつ政治広告を再び許可するのか、あるいは永久禁止が検討されているかについて発言を拒否した。

同社が初めてこの分野の広告を禁止したのは2020年11月4日で、米国大統領選挙の誤情報を減らすための事前対策だった。12月16日、同社はジョージア州での政治広告を再び許可し、熱心な選挙陣営が金を払ってフェイスブックのユーザーにメッセージを送れるようにした。Ted Cruz(テッド・クルーズ)上院議員(共和党・テキサス州)をはじめとする(The Daily Beast記事)一部の政治家は、フェイスブックのジョージア州での抜け穴に飛びついて制約に関わらず自身の資金を集めた。

政治広告がジョージア州民の前に再び溢れた結果、主流のニュースソースが徐々に追いやられていったとThe Markupの最新記事は伝えている。この結果は十分直感的ではあるが、フェイスブックの情報エコシステムにおけるターゲットされた政治広告の莫大な影響力が改めて強調された。

多数の政治家や政治団体が、フェイスブック上での資金集め復活を熱望するに違いない。同社の中止継続の決定は、将来政治広告をどう扱うか、そもそも扱うべきかを未だに検討していることをうかがわせる。しかしフェイスブックは、2020年11月の長期化した開票プロセスを悩ませた誤情報問題に照らし、嵐が去るのを待っているかもしれない。

同社の広告公正化責任者であるRob Leathern(ロブ・レザーン)氏は2020年12月に会社を去り(Twitter投稿)、2020年の米国選挙における彼のグループの仕事を「数年にわたる膨大な量の努力の賜物」と称していたことは注目に値する。レザーン氏は政治広告を巡る同社ポリシーの改訂に尽力した。その決定は有料の誤情報が2020年を通じてプラットフォームを席巻したことで、しばしば議論を呼んだ。

その結果が上院の支配を決することから、大統領選で青(民主党)に転じた同州の異例な2つの決選投票は、両政党どちらにとっても大きな勝負だ。民主党が上院を支配すれば、ジョー・バイデン政権の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策や気候変動危機などの意欲的計画が現実になる可能性は高まる。そして次期大統領の政策優先順位を阻止しを目論む共和党にとって、上院支配が続けばバイデン政権の道筋に強力な障壁を置くことになる。

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画像クレジット:NurPhoto / Contributor / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookが一度消えた「Instagram Lite」アプリをリニューアル、インドでテスト開始

Facebookが世界的にInstagram Liteアプリの提供を終了したのは数ヶ月前になるが、同社はこのライト版アプリを復活させる取り組みを続けている。

ソーシャルメディアのコングロマリットである同社は、 後々アプリの 「グローバル展開 」が起こる前に、新サービスについての 「貴重な洞察を得ること」を期待しているインド市場で、刷新されたInstagram Liteアプリをテストしていると水曜日に述べた。

リニューアルされたInstagram Liteアプリは、容量2MB未満ながらソーシャルサービスの「速く、確実で、反応性の良い」体験を提供するという。Androidアプリは、バングラ語,、グジャラート語、ヒンディー語、カンナダ語、マラヤーラム語、マラーティー語、パンジャブ語、タミル語とテルグ語に対応しているが、現在のところ、リール(Reels)やショッピング、IGTVを含むInstagramのコア機能をいくつか欠いている。

Facebookは今年初め、Instagram Liteの前バージョンを静かに終了している。7月に、Instagramのプロダクト担当副社長Vishal Shah(ヴィシャール・シャー)氏がTechCrunchに語ったところによると、同社はアプリ内のいくつかの問題を特定し、それらの解決に取り組んでいるとのことだった。9月には、Facebookはそれを認めなかったが、新しいLiteアプリが野放しになっているのが目撃された

ライト版アプリは、大多数のユーザーが高機能のスマートフォンや高速で安価なモバイルデータにアクセスできない新興市場で特に人気がある。TechCrunchの取材に答えた業界幹部がモバイルデータ分析企業のApp Annieから得たデータによると、例えば、Facebook Liteアプリは先月インドで約4000万人の月間アクティブユーザー、Messengerのライト版アプリは約1300万人の月間アクティブユーザーに達したという。(Instagramアプリのユーザー数は約1億6400万人だった。)

マーク・ザッカーバーグ氏やインド事業を担当する副社長Ajit Mohan(アジト・モーハン)氏を含むFacebookの幹部が揃って、世界第2位のインターネット市場のために同社が取り組んでいる他のプログラムの数々を概説した水曜日のイベント「Facebook Fuel for India」で、シャー氏は刷新されたInstagram Liteアプリについて発表した。

Instagramはまた、コンテンツ制作者が互いに協力し、マネタイズの機会を探り、理解・活用するため1年前に構築されたプログラム「Born on Instagram」の第2弾を発表した。

Instagram Liteのテストと次世代の「Born on Instagram」で、インドのより多くの人々のために表現と創造性を民主化することを目指しています」とシャー氏は述べた。

イベントでは、WhatsAppインド代表のAbhijit Bose(アビジット・ボーズ)氏が、同社は今月中に、インドのユーザーにミニ健康保険の提供を開始するよう取り組んでいると述べた。WhatsAppは7月、同メッセージングアプリの最大市場であるインドにおいて、今後1年半の間にクレジット、保険、年金サービスを試験的に開始する準備を進めていることを明らかにしていた

「WhatsAppは、すべての成人がモバイルデバイスを通じ、最も基本的で重要な金融・生活サービスにアクセスできるようにするため、いくつかのパイロット事業に積極的に取り組んできました。今年末までには、人々がWhatsAppを通じて手頃な小額の健康保険を購入できるようになることを期待しています」とボーズ氏は述べた。保険の補償のため、WhatsAppはSBI General社と提携し、年金分野では、HDFC Pensionと提携するという。

ユーザー数からするとインドを最大の市場と認識するFacebookは、また、数千万に及ぶ中小企業のオンラインプレゼンスを確立し、デジタル販売を支援するために、通信大手のJio Platformsと提携している。Facebookは今年、Jio Platformsに57億ドル(約5900億円)を投資し、Jio Platformsが提供するeコマースサービス「JioMart」をWhatsAppで利用できるようにするため協力している。同イベントでFacebookとRelianceの幹部は、いくつかの新機能がJioMartのWhatsAppチャンネルに「近日中に」登場する予定だとほのめかした。

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タグ:Facebook Instagram SNS

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(翻訳:Nakazato)

ニューヨーク・タイムズが拡張現実を使ったクロスワードパズルをInstagramで公開

The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)が、名物のクロスワードゲームを拡張現実(AR)に持ち込んだ。同メディア会社は米国時間12月22日朝、AR対応の新しいゲーム「Shattered Crosswords」をInstagramで発表。プレイヤーは回転する砕けたクロスワードの破片をARで見つけて、手がかりを解くことができる。正しい視点に到達すると、プレイヤーはパズルの上にある破片の中に隠された単語を見つけることができる。

このコンセプトは「Polysphere」のような他の3Dパズルに見られるものと似ている。Polysphereは、表示されている破片をスワイプして回転させ、1つの絵を完成させるというものだ。しかし、ニューヨーク・タイムズの場合は、ゲーム体験全体を拡張現実で見ることができる。

この新しいゲームは、Facebook(フェイスブック)のARプラットフォーム「Spark」の技術を使って開発されており、ニューヨーク・タイムズがARゲーム体験を作るのはこれが初めてだと同社は述べている。

しかし、ニューヨーク・タイムズがAR技術を使うのはこれが初めてではない。

今秋、ニューヨーク・タイムズはFacebookとの複数年にわたる提携を結び、Instagram上でARを活用した一連のリポートを公開することに注力する(The New York Timesリリース)と発表した。このレポートは、AR技術を使って、よりビジュアルでインタラクティブな方法でストーリーを伝えるものだ。この新しい取り組みをサポートするために、ニューヨーク・タイムズは独自のARラボを設立。その十数人のスタッフがニュースルームの専任チームと協力して、ARジャーナリズムのコンテンツを開発している。

このARラボはこれまでに、女性参政権100周年フェイスマスクの有効性の裏にある科学カリフォルニアの山火事の報道などに関連したビジュアルストーリーの制作を支援してきた。

Facebookとの提携とは別に、ニューヨーク・タイムズは以前にもARを使った実験を始めている。たとえば2018年には、独自のiOSとAndroid向けアプリで、ストーリーを語るために拡張現実を使い始める(The New York Timesリリース)と発表した。

これまでニューヨーク・タイムズは、ソーシャルメディア上でプレイヤーを惹き付けるための方法として、Twitter(ツイッター)やFacebookなどのSNSプラットフォームで、クロスワードの「ライブ解答」を行ってきた。しかし、これらは独立したゲームでも、AR技術を使って作られたものでもなく、単なる視聴体験(Twitter投稿)に過ぎなかった。

とはいえ、この新しいゲーム自体には、ニューヨーク・タイムズによる興味深いARのデモということ以上の魅力は、限られているかもしれない。

パズルは小さくて単純すぎて、本格的なクロスワードファンにはアピールできないし、破片の中からヒントを見つけるにはジェスチャーや動きが必要で、時間が経つとイライラしてくる。また、Polysphereのようにスムーズに動かないことも気になった。

従来のモバイルゲームや一般的なクロスワードパズルと比較して、この手のパズルを度々楽しみたいという人がどれだけいるかはわからない。

この「Shattered Crosswords」ゲームは、Instagramアプリでニューヨーク・タイムズ(@nytimes)のプロフィールページを見ると、同社の他のARリポートと並んで「Effects」タブの下にある。iOSとAndroidの両プラットフォームで動作する。

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:The New York Times拡張現実ゲームFacebookSpark ARInstagram

画像クレジット:The New York Times

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(翻訳:TechCrunch Japan)

フェイスブックがスモールビジネスを前面に出してアップル批判を強化、アプリの追跡と広告ターゲティング制限に対して

Facebook(フェイスブック)は、Apple(アップル)が予定しているアプリの追跡と広告ターゲティングの制限に対して喜んでいないことをすでに表明しているが、その公開バトルは米国時間12月16日に新たな段階に突入した。

2020年の夏、アップルはiOS 14以降デベロッパーは広告ターゲティングにIDFA(広告識別子)を使うためにはユーザーに許可を求めなくてはならなくなると発表した。これは、ユーザーに選択権を与えるだけだともいえるが、オプトインが必要になるということは、アプリによる追跡やターゲティングの対象が劇的に減少することが予想される。

実際の変更時期は2021年初めまで延期されたが、フェイスブックはこれについて、iOSにおけるAudience Network(フェイスブックのデータを使って他のウェブサイトやアプリの広告でターゲットを行う)の終わりを意味することを示唆した。

そしてこの日の午前、フェイスブックはThe New York Times、The Wall Street Journal、The Washington Postの3紙に印刷広告を掲載し、ブログ公式サイトでも同じ主張を展開した。

一連の行動をフェイスブックの広告ビジネスを守るための広報キャンペーンに同情的側面を加えようとするだけだと見るのは簡単だが、本日、同社の広告・ビジネス製品担当副社長であるDan Levy(ダン・レヴィ)氏は、記者からの質問に答えて異なる見解を示した。

画像クレジット:Facebook

たとえば同氏は、広告ビジネスが「多様化」しているフェイスブックは、小企業ほど強い影響を感じないだろうと話していて、広告ターゲティングの潜在的問題については直近の決算報告ですでに認めている。

「当社はすでにこの要因を本事業の予測に織り込んでいます」と同氏は語った。

対照的に、小企業は効率よく広告キャンペーンを打つために、ターゲティングに依存している。そして予算が少ないためにその効率を必要としている、とレヴィ氏は語る。もしアップルが現在の計画を推し進めると、「小企業は生き残るために苦闘し、多くの意欲的な起業家がスタートを切ることもできなくなるだろう」と予言した。

レヴィ氏に2人の小企業オーナー、サウスカロライナ州のCharleston Gourmet Burger CompanyのMonique Wilsondebriano(モニーク・ウィルソンデブリアーノ)氏と、サンフランシスコのHenry’s House of CoffeeのHrag Kalebjian(フラグ・カレブジャン)氏が加わった。カレブジャン氏は、コーヒーショップ事業が前年から40%減少するなか、彼のオンライン売上は3倍に増え、フェイスブックのターゲティング広告のおかげで、家族のアルメニアンコーヒーへ愛にまつわる彼の個人的な話を伝えることができると語った。

一方、ウィルソンデブリアーノ氏は、彼女と夫のChevalo(シェバロ)氏が自家製マリネバーガーを売るビジネスを始めた時のことについて、「ラジオやテレビCMを流す選択肢はありませんでした、そんな予算はなかったので」、そこで彼らはフェイスブックとInstagramに目を向けた。マリネが50州、17カ国で販売されているいま、「もし改定が行われると、多くの小企業はChevalと私のときと同じチャンスを得られないでしょう」とウィルソンデブリアーノ氏はいった。

レヴィ氏はさらに、アップルの損益は変更の恩恵を受けるかもしれないといった。もしデベロッパーがフェイスブックや他のプラットフォームの広告で得られる収入が減れば、サブスクリプションやアプリ内課金(アップルがよく問題にされる手数料を取っている)への依存度が高くなった、アップル自身のターゲティング広告を利用することになるかもしれないからだ。

いくつかの広告業界団体もアップルのポリシーに反論したが、アップルのCraig Federighi(クレイグ・フェデリギ)上級副社長は、あるスピーチでアドテック業界の主張について「奇妙」で「誤り」であると批判(未訳記事)した。スピーチの中でフェデリギ氏は、アップルのApp Tracking Transparency(アプリがユーザーから広告IDを取得するための承認を得る仕組み)について、「私たちのユーザーが、アプリにどんな時に自分を追跡することを許すか、を決める力を与えるものであり、その情報は他社のアプリやウェブサイトを横断して共有することもできます」と語った。

【更新】アップルから以下の声明が送られてきた。

これは私たちのユーザーを守る、という単純なことだと信じています。ユーザーは、自分たちのデータがいつ集められ、他のアプリやウェブサイトと共有されるかを知るべきであり、それを許すか否かの選択権をもつべきです。iOS 14のApp Tracking Transparencyは、フェイスブックがユーザーを追跡してターゲット広告を送る方法を変えることを必要としていません。単に、ユーザーに選択肢を与える必要があるだけです。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookApple

画像クレジット:Adam Berry / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

英国のEU離脱を受けFacebookが同国の個人データをEU個人情報保護法の管轄外へ移転

英国の欧州連合(EU)離脱による取引条件の変更が迫る中、Facebook(フェイスブック)は、先行したGoogle(グーグル)に倣って(未訳記事)、英国の数千万人にのぼるユーザーの個人データを、EUの個人情報保護法の管轄外となる米国(そのような包括的な個人情報保護の枠組みを持たない)に2021年に移動させることになっていると、米国時間12月15日にReuters(ロイター)が報じた

この切り替えを認めたフェイスブックは、ロイターに次のように述べている。「他の企業と同様に、フェイスブックはBrexit(英国のEU離脱)に対応するための変更を行う必要があったので、フェイスブックアイルランドから(米国の)Facebook Inc.(フェイスブック・インク)に、英国のユーザーのための法的責任と義務を移転することになります」。

「プライバシー管理やフェイスブックが英国の人々に提供するサービスに変更はありません」とフェイスブックは付け加え、EUから米国への移行は、データとプライバシーの法的保護において大幅な格下げを必然的に伴うという事実を無視した表現を用いている。

ロイターによると、フェイスブックは今後6カ月以内にこの切り替えについてユーザーに通知するという。この法的な変更に不満がある場合、ユーザーはInstagram(インスタグラム)やWhatsApp(ワッツアップ)も含むフェイスブックが提供するサービスの使用を停止する「選択肢」が与えられる。

グーグルが2月に(未訳記事)英国のユーザーに関して同様の法的移行を発表したときにお伝えしたように、EU子会社から米国に移動させるという動きは、EUの基準から離れることを決めた英国の国民投票の結果を受けてのものだ。そのEUの基準の中には、長年維持されてきたデータ保護の枠組みも含まれる。

Brexit移行期間の終了まであと数日となった現在、英国がEUとの貿易協定を得るのか、それとも協定なしで離脱するのかはまだ不明だ。後者の場合、英国はEUからデータの適切性に関する協定も得られない可能性が高まり、データ保護基準に関する将来の乖離が生じやすくなる(EU・英国間における摩擦のないデータフローの維持に向け、継続的な協力を行うための「ニンジン」がないため)。

英国はまた、データを活用した経済復興を望んでいることを明らかにし、9月に(未訳記事)「国家データ戦略」を発表した。これは新型コロナウイルス感染拡大時におけるデータ共有を、復興後の新たな基準とするものだ。

この文書で、英国政府は「国内のベストプラクティスを推進し、国際的なパートナーと協力して、データが国境や分断された規制体制によって不適切な制約を受けないようにして、その潜在能力を最大限に活用できるようにする」ことを計画していると述べている。これはデータ保護の概念全体に影を落とすものだ。

それ以来、プライバシーの専門家たちは、(EU離脱後の)日英貿易協定が英国の既存のデータ保護体制(これはいまのところ、転換されたEUの規定に基づいている)を弱体化させており、Open Rights Group(オープン・ライツ・グループ)が2020年11月に警告した(Open Rights Groupブログ)ように、「データ保護の取り決めが弱い、または自主的に行っている」国への個人データの流出を可能にするおそれがあると、懸念を表明している(Open Rights Groupブログ)。

米国は、データ保護のための包括的な枠組みを欠いている国の1つだ。カリフォルニア州は独自の消費者プライバシー法を可決し、11月には住民投票でこの制度を強化することを決めている。しかし、連邦レベルではGDPR(EU一般データ保護規則)に相当するものはまだない。

英国のEU離脱後の基準がどこに向かっているのかという不確実性が非常に強いため、グーグルやフェイスブックのような大手テック企業が、EUのプライバシー規則の下における責任を軽減する機会を得ようとしていることは不思議ではない。フェイスブックの場合、ダブリンにある子会社の管轄から4500万以上の英国ユーザーを削除することになる。

ヨーロッパの最高裁判所が下した最近の「シュレムスII」判決(未訳記事)もまた、個人データをEUから米国へ転送することに関する法的リスクと不確実性を増大(未訳記事)させており、フェイスブックにその英国における契約条件を再構築するためのもう1つの潜在的な理由を与えている。

もちろん、英国のユーザーが失うプライバシー保護を考えれば、これはあまり良いことではない。

しかし、今回問題なのは、巨大テック企業ではなくBrexitの方だ。Brexitはこの場合、英国のユーザーは2021年から、自分たちの政府が米国のような国と貿易取引を結ぶために、国家のプライバシー基準を廃棄すると決めないように祈らなければならないことを意味する。フェイスブックが自分たちのプライバシーの利益に気を配ってくれると信じつつ(未訳紀伊J)。

そう、英国のデータ保護法は適用され続ける。幸運(未訳記事)にも英国個人情報保護監督機関(未訳記事)があなたの権利のために立ち上がってくれたらだが。

しかし、EUの法律によって定められている包括的な保証は2021年に消え失せる。

2018年に成立した米国のクラウド法(未訳記事)では、すでにインターネットサービスの利用者に関するデータを、捜査目的などで英米の機関が容易にやり取りできるようになっている。

その一方で英国政府には、監視社会(未訳記事)や暗号化への攻撃(未訳記事)に対する憂慮を巻き起こした実績もある。

英国が新たに打ち出した、インターネットサービスを規制する「子供の安全に焦点を当てた(未訳記事)」計画では、コンテンツ監視やIDチェックを義務づけるため、強力な暗号化を使用しないようにデジタルサービスに圧力をかけているようにも見える。

つまり、Brexitとは、簡単にいえば、英国人のプライバシーとオンラインの自由を速やかに減らし、データの分野におけるコントロールを取り戻すことの反対を意味するようになっているということだ。

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タグ:イギリスEUFacebookGoogleプライバシー個人情報GDRPBrexit

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Facebookがユーザーを監視するVPNアプリ「Onavo」を使用したと豪州が提訴

Facebook(フェイスブック)にまたも頭痛の種ができた。オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)は、商業目的でユーザーを監視するOnavo(オナボ)のVPNアプリを2016年と2017年に使ったとしてフェイスブックを提訴する。

ACCCは、フェイスブックがOnavo Protectアプリを奨励し、多くのオーストラリアの消費者に対して虚偽、ミスリーディングあるいは欺瞞的な行動を取ったと主張している。同アプリは、フェイスブックの事業をサポートするためにデータを集めていたとき、ユーザーの個人アクティビティデータをプライベートに保って保護し、他の目的では使わないとうたっていた。

「Onavo Protectを通じてフェイスブックは何千人ものオーストラリアの消費者のかなり詳細で価値ある個人アクティビティデータを商業目的で収集し、使っていました。これは、フェイスブックがこのアプリ奨励の中心に据えた、保護と秘密保持、プライバシーという約束に完全に反しています」とACCC会長のRod Sims(ロッド・シムズ)氏は声明文で述べた。

「消費者はオンラインプライバシーを気にかけているため、往々にしてVPNサービスを使います。これはフェイスブックのプロダクトが提供するといっていたものです。しかし実際は、Onavo Protectはかなりの量の個人アクティビティデータをそのままフェイスブックに送っていました」。

「そうした行為は、フェイスブックとOnavoが個人アクティビティデータを収集して使用していると知らされる機会をオーストラリアの消費者から奪ったと確信しています」とシムズ氏は付け加えた。

ACCCは、2016年2月1日から2017年10月までフェイスブックと同社の子会社Facebook Israel Ltd、Onavo, Incがダウンロード無料のOnavo Protectアプリの機能を偽って表示することでオーストラリアの消費者をミスリードしたと主張している。

裁判上の命令と罰金を模索していると当局は話している。

裁判についてフェイスブックの広報担当は「人々がOnavo Protectをダウンロードしたとき、当社は収集する情報について、そしてどのように使用するかについて常にクリアにしていました」と述べた。

そして「当社はこの件についてのACCCの調査にこれまで協力してきました。ACCCの訴状をレビューし、この件に対する当社の考えを引き続き主張していきます」と語った。

フェイスブックは2019年、ユーザーを詮索するために2013年に買収したOnavo Protectアプリをいかに使用してきたかについて激しい反発を浴びたのちに、同アプリを閉鎖すると発表した。

合法の証拠収集で入手されたフェイスブックの内部資料では、フェイスブックのユーザーがどのサードパーティのアプリをダウンロードして使っているかを知ろうと、商業目的の情報分析ソースとしてOnavoのチャートをフェイスブックが使っていたことが示されている。この資料は英国議会がオンライン誤情報についての調査の一環として押収し、2018年に開示された(未訳記事)。

Onavo経由で集められたデータでは、WhatsApp(ワッツアップ)がフェイスブックのMessenger(メッセンジャー)アプリの脅威となりそうなことが明らかになった。このマーケット洞察を得て間もなく、フェイスブックはライバルのWhatsAppを買収するために190億ドル(約1兆9700億円)という大金を払った(未訳記事)。

フェイスブックは現在、米国で膨大な独禁法訴訟に直面している。2020年12月初めに46州が独占的な事業慣行を通じて競争を抑制していたとしてフェイスブックを提訴した。独占的な事業慣行の主な例としてInstagram(インスタグラム)とWhatsAppの合併を挙げた。

米連邦取引委員会と議員らはそうした合併の解消とフェイスブックのソーシャル帝国の解体が不可欠だと要求している。

このほか、フェイスブックはドイツでも訴訟を抱えている。連邦カルテル庁(FCO)は、所有するサービス間でフェイスブックがいかにデータを統合できるか、制限を設けることを検討している(未訳記事)。

FCOはまた、新規のOculusユーザーはキットを使うためにフェイスブックアカウントを持っていなければならないと指摘したうえで、フェイスブックが最新のOculus VRキットの使用をFacebookアカウントと紐付けている件も調査していると2020年12月に発表した。今夏、フェイスブックは既存のOculusアカウントのサポートを2023年までに終了すると明らかにしている。

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タグ:FacebookOnavoオーストラリアプライバシー訴訟

画像クレジット:Onavo Protect

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(翻訳:Mizoguchi

Facebookが音楽動画をコラボ制作できるアプリCollabを正式リリース、まずは米App Storeで

音楽動画をコラボ制作できるFacebook(フェイスブック)の実験的なアプリCollab(コラブ)が米国時間12月14日、ベータテストを経てApp Storeで正式リリースされた。このアプリは同社のR&DグループであるNPEチームが手がける数多くのアプリの1つだ。同チームはフェイスブックのソーシャルメディアにおける次の策に最終的に影響を及ぼし得る新しいアイデアの試験を専門としている。Collabそのものは、パンデミックによりユーザーが在宅を余儀なくされ、オンラインで楽しむ新しい方法を探さなければならなくなった2020年5月下旬に登場した。

ミュージシャンにとって、パンデミックはファンとつながる主要な方法だったライブコンサートの消失を意味した。ミュージシャンたちもまた、そうしたつながりを維持するためにコンサートやジャムセッションをライブストリームするという実験を行うためにオンラインプラットフォームに目を向けた。と同時に、TikTok(ティックトック)を中心にショート動画の提供も盛んになった。TikTokにはduetやStitchといったコラボ機能があり、これを使って面識のないユーザーたちは互いのコンテンツで協力することができる。

Collabはショート動画と現代のソーシャルメディアのコラボという要素とともにこの分野に参入したが、主に音楽にフォーカスしている。

アプリでは「collab」は長さ15秒の3つの動画を選んだもので、互いにシンクする。たとえばそれぞれの動画の中で演奏したり歌ったりするギタリスト、ドラマー、そしてシンガーで構成されるcollabがある。ユーザーは誰かの動画に合わせて演奏してcollabを制作することができる。もし音楽の経験がなければ、利用可能なものの中から異なる動画を選ぶのに3列のうちの1つをスワイプすればいい。

Collabを立ち上げると、こうした「collab」の終わりなきスクローリングフィードが表示される。ジョインしたりミックスしたりしたいものが見つかるまでスワイプできる。もし一緒に演奏したいミュージシャンが見つかったら、そうしたミュージシャンが新しいクリップを投稿したときに通知を受け取れるようお気に入りに加えることが可能だ。こうしてメインフィードをパーソナライズする。

インディーポップのアーティストであるmorgxnは2020年初めに展開されたベータ版Collabに参加したミュージシャンの1人だ。

「今年、Billie Eilish(ビリー・アイリッシュ)が彼女の曲『Bad Guy』は私の曲『Home』にインスパイアされたと投稿した(Pop Crave記事)その日に、私はレコード会社に契約を打ち切られました。隔離生活に入るときにその惨事が起こりましたが、その一方でインターネットは私に自信を与えてくれました」。

morgxnはCollabで曲「Wonder」をリリースすることを決め、ファンに一緒に演奏して動画を制作しようと呼びかけた。この曲はいまでは4300万回再生されている。Collabのおかげでスペイン語版すらある。

「あらゆるものが崩壊した今年に得たことといえば、すべてのことを行う新しい方法を見つけるようインスパイアされたことです」と同氏は話す。「ジャンプすればとんでもなくエキサイティングで目新しいものを見つけるかもしれません。それがCollabで学んだことであり、興奮しています」。

ベータ版の間、フェイスブックはアプリのオーディオシンク能力やテクニカル面を改善した。

Collabアプリは、ユーザーのクリップを列に入れ込むことができるようにするツールをアプリ内で提供することでオーディオや動画のシンクの複雑な部分を引き受ける。結果としてCollabは完全にシンクする。フェイスブックはまた、さまざまな状況でCollabを最適化するために何十ものヘッドセットやコンフィギュレーションをテストした。いまユーザーはキーボードやギター、ドラムキットといった電子楽器の音楽をレコーディングに取り込むのに外部のオーディオインターフェースを使うこともできる。

このアプリは、直接フェイスブックに統合されていない。しかしミュージシャンは、フェイスブックやInstagramのプロフィールやページを含む自身のソーシャルメディアアカウントページへのリンクを案内するのにプロフィールを使っていると話す。ただ、Collabで制作する動画はiOSシェアを通じて他の場所にエクスポートできる。つまりInstagram Storiesや、ライバルのTikTokで公開することも可能だ。動画が幅広く配信される場合、エクスポートされたものには誰のものかがわかるように透かしが入る。

Collabのシステムでは将来、さまざまな種類の合成動画が可能になるかもしれない。ダンスやユーモアなどの動画がベータ版でもみられた。しかし差し当たってはフェイスブックは音楽にフォーカスしているとCollabの開発を率いたBrittany Mennuti(ブリタニー・メヌッティ)氏は話す。

画像クレジット:Facebook

大学で芸術とビジネスの両方を学んだメヌッティ氏はアーティストやミュージシャンを含むクリエイティブな人々と作ったで小さなグループをフェイスブックで率いている。

「このプロダクトを構築するためにミュージシャンや音楽愛好家のコミュニティに本当に入り込まなければならないことはわかっていました。そして実行しました。ベータテスターのためにフェイスブックグループをつくり、毎日そのグループ内でコミュニケーションを取りました、とメヌッティ氏は話す。グループではミュージシャンは質問や提案をし、自身の音楽を共有しました。彼らのニーズを理解するのに役立ったことは別として、このグループでの美点は実際互いにコネクトしたことです。一緒に音楽をつくることはなかったかもしれない人々によって本当のコミュニティが生まれました」。

正式展開にともない、Collabでのフェイスブックの目標はショート動画分野においてTikTokのクローン以上のものを提供するニッチな存在になることだ。しかしそれがうまくいったとして、Collabがフェイスブックの大きなプロダクトの1つに統合されるのではなく、どの程度独立してサービスを展開できるのかは今後明らかになる。

Collabは米国のApp Storeでダウンロードできる。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:CollabFacebookアプリ

画像クレジット:Facebook

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(翻訳:Mizoguchi

米国人は結局ビッグテックはそれほど悪くないと考えている

政府内でBig Tech(ビッグテック、大手テクノロジー企業)の解体について党派を超えて意見が一致することはめったにない。

16カ月の調査を終え、民主党が支配する下院委員会は最近、Amazon(アマゾン)、Apple(アップル)、Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)を競争と革新を吹き消す独占企業として特定し、ビッグ4を19世紀後半の石油王や鉄道王と同一視した。

わずか数日後、トランプ政権はGoogleを訴えた。「違法な独占の維持」(米司法省声明)を阻止するため、解体の可能性も視野に入れて裁判所命令を求めている。

そして12月9日、青い州と赤い州の48人の弁護士と連邦取引委員会はいずれも、Instagram(インスタグラム)とWhatsApp(ワッツアップ)による「略奪的」で「違法」な買収の取り消しへFacebookを訴えた。次期大統領ジョー・バイデン氏が来月就任した後は、同政権がGoogleとFacebook両社に対する連邦反トラスト訴訟を進めることが広く期待されている(未訳記事)。

両党は、ビッグテックは我々に利益があるとはいえ大きくなりすぎたという点で一致している。

典型的な米国人はビックテックをいつも同じように見ているわけではない。米国人の評価は、問題をどの観点から見るかによって変化する。

ハリス世論調査の、Amazon、Apple、Facebook、Googleは競争と革新を制限する独占企業だと思うかとストレートな質問に対し、米国の成人は下院司法委員会の調査結果に圧倒的な賛意を示した。また、ほとんどの人はGoogleを解体すべきだと言い、Facebookを解体することもイノベーションを促進し消費者を保護すると答えている。「奴らを捕まえろ」と応援しているように見える。

だが、ビッグ4がリードするデジタルサービスのカテゴリー(ウェブ検索、eコマース、ストリーミングサービス、ソーシャルメディア)について広く質問する(The Harris Poll Solu記事)と、圧倒的な数の米国人が自身のお気に入りのプロバイダーはまったく独占企業ではないと回答する。

ほとんどの米国人の目には、デジタル市場全体に豊富な競争と選択肢があると映る。ビッグテック(big tech)と小文字で見せられた場合、大多数はそれがイノベーションを促進し、世界の中で国家の地位を高めると言う。言い換えれば「Big」が自動的に「悪い」を意味するわけではない。

もちろんほとんどの米国人は、独占企業を探し出し市場への影響を定量化するマクロ経済学者や独禁法の弁護士ではない。米国人はビッグテックを主に消費者の視点から見ている。法廷で説明できるデータではなく自分の経験や感情に基づいて判断している。我々の研究によると、米国人は消費者の視点では一般的にテクノロジーをポジティブなものと見ている。

米国の2069人の代表的な成人を対象とした調査では、ほぼ3分の2が、毎日Googleなどの検索エンジンを使用し、Facebookなどのソーシャルメディアにアクセスしていると答えた。ほぼ半数が少なくとも週に1回、Amazonまたは他のオンライン店舗で買い物をし、3分の2がGoogleのYouTube、Apple TV+、Amazon Prime Videoなどのアプリで動画をストリーミングしている。

新型コロナウイルスのパンデミックは彼らの忠誠心を高めただけだ。閉じ込められた毎日を送る中で、例えば米国の成人の半数は1年前よりも多くの動画をストリーミングし、3分の1はオンラインで買い物をしていると回答した。消費者がビッグテックにひどい扱いを受けていると感じているとしても、そして実際、半数以上がビッグテックは常に顧客に対し正しいことをしているとは限らないと回答しているものの、消費者は手当たり次第クリックするほど怒ってはいないということだ。

米国の消費者は選択肢のない捕虜のように感じてもいない。モバイルデバイスでのインターネット検索におけるGoogleの市場シェアはstatistaデータ)は94%であり、これはおそらく誰が定義しても独占だ。米国人の55%は、Googleの力が強すぎるためYouTubeとGmailから切り離すことに賛成しているが、5人中4人は適切な代替手段があると述べている。

実際、調査において検索エンジンの選択肢が多すぎる(19%)と答えた人は、少なすぎる(11%)のほぼ2倍だ。米国人は、ソーシャルメディア、ビデオとオーディオストリーミング、eコマース、Apple PayやGoogle Payなどの他のデジタルサービスの市場にも同様に競争が存在すると判断している。

その市場での優位性にもかかわらず、米国の消費者はビッグテックがライバルを害しているとは考えていない。米国人の4分の3はAmazon、Apple、Google、Facebookを独占企業と見ているが、5人中4人はテクノロジーの巨人が業界のイノベーションを促進し、3分の2はそうした企業が競争を促進し米国の世界的な評判を高めていると回答している。

大卒者と45歳以上では、ビッグテックをイノベーションと競争の推進力と見る傾向がわずかに高くなるが、すべてのグループで同じような見方がみられる。

筆者はマクロ経済学者でも独占禁止法の弁護士でもないため、ビッグテックに対する超党派の合法的十字軍が正当化されるかどうかについて発言する立場にはない。だが、議会や規制当局がビッグテックによる支配を減らすために裁判や他の措置に訴えようとしている今、我々の調査に基づき、米司法省のGoogleに対する独禁法訴訟に米国人がどう反応するのかついて洞察を提供することはできる。

米国人の個々の企業に対する狭い見方を、消費者が日々過ごすデジタル領域に対する彼らの認識から切り離すと、連邦政府がビッグテックを吹き飛ばしてしまう理由がほとんどわからなくなる。我々の世論調査におけるもう1つの注意すべき発見事項は、企業が大きすぎるかどうかを判断する適切なグループが規制当局や議員だと考えているのは、米国の代表的な成人のほぼ半分にすぎないということだ。

ただし、それらの企業が最終的に縮小されるとしても、信頼できるアプリ、検索エンジン、ショッピングサイト、ストリーミングサービス、ソーシャルメディアサイトが自由に、そして心理的に十分に利用できるなら、一般的な米国の消費者は結果として生じる「それほど大きくないビッグテック」について悲しいと思うことはないと考えられる。

【編集部注】著者のWill Johnson(ウィル・ジョンソン)氏は、世界有数の世論調査会社の1つであるThe Harris Poll(ハリス世論調査)のCEO。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Google、Apple、Aamzon、Facebook

画像クレジット:Maskot / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

インド政府が大規模な公衆Wi-Fiネットワークの展開を承認

近年の低価格なAndroidスマートフォンの普及や、世界中で最も利用料が安いモバイルデータプランのおかげもあって、現在インドでは10億人以上の人々がモバイル回線を利用している。

この規模は、インドに電話機が250万台にも満たなかった30年前には想像もできなかったことだ。インドで電話の普及を実現した最も初期の、そして最も重要な取り組みの1つは、1980年代後半に行われた。

インド政府が、都市や町のあちこちに公衆電話を設置するというアイデアを支持したのである。もはや人々は高価な電話機を買ったり、法外な料金を支払う必要はなかった。近所の商店に行けば、数セントで電話を掛けることができるようになったのだ。

インド政府は現地時間12月9日、世界第2位のインターネット市場でWi-Fiを民主化するという、数十年前の戦略とその成功を再現しようとする提案を承認した。

インドのRavi Shankar Prasad(ラビ・シャンカール・プラサド)IT相は、政府がPM WANI(Prime Minister Wi-Fi Access Network Interface、首相Wi-Fiアクセス・ネットワーク・インターフェース)を立ち上げ「国内で大規模なネットワークを解き放つ」と語った。

公衆電話局として機能していた近所の店は、今では公衆データオフィスになり得ると彼は言う。同相によれば、このプログラムを成功させるために、政府はライセンス料や登録料を徴収しないという。

これらの公衆データオフィスは、中小の通信会社や大規模な通信会社との提携を任務とする公的なデータアグリゲータと連携することで、その光ファイバーネットワークを利用することが可能になる。

このプログラムは「国内に何百万もの相互運用可能なWi-Fiホットスポットを作り出し、何百万もの人々が手頃な料金で利用できるように、コンテンツ配信とブロードバンドアクセスを民主化する」と、インド通信規制当局(TRAI)の元会長であるR.S. Sharma(シャルマ)氏は述べている。同氏はこのプログラムを、UPI(インド決済公社が開発した、現在インドで最も人気が高いデジタル決済インフラ)に例えた。

インドでは過去10年で何億人もの人々がオンラインになった。しかし、まだそれと同じくらい多くの人がインターネットに接続できないでいる。インド政府の新しいプログラムは、このギャップを埋めることを目的の1つとしている。

「ビジネスをしやすくするための取り組みに沿った、よりビジネスに適したものになることが期待されます。新型コロナウイルスの感染拡大により、4G携帯電話網がカバーできていない地域を含め、国内のますます多くの利用者に安定した高速ブロードバンドインターネット(データ)サービスを提供する必要があります。これは公衆Wi-Fiの展開によって達成できます」と、インド内閣は声明で述べている。「さらに、公衆Wi-Fiの普及は、雇用を創出するだけでなく、中小企業家の可処分所得を向上させ、国のGDPを押し上げるでしょう」と付け加えた。

9日の発表は、インドでより多くの人々をオンラインにするための最新の取り組みだ。国際的大企業のGoogle(グーグル)とFacebook(フェイスブック)は、成長を維持するためにインドのような新興市場を頼りにしており、これまでにもインドでより手頃な料金のインターネットアクセスを実現しようと試みてきた。フェイスブックの主要な取り組みである無料ネットサービス「Free Basics」は、インドではネット中立性違反を理由に禁止された(未訳記事)。Googleはインドで400の鉄道駅に無料Wi-Fiを設置するプログラム「Google Station(グーグル・ステーション)を、今年になって自主的に終了した

インドを含む多くの市場でモバイルデータ料金が安くなったため、Google Stationは必要なくなったと、GoogleのペイメントおよびNext Billion Users(次の数十億人のユーザー)を担当するCaesar Sengupta(シーザー・セングプタ)副社長は当時語っていた。

コンサルティング会社Convergence Catalystの創設者でチーフアナリストのJayanth Kolla(ジャヤント・コーラ)氏は、インド政府は7~8年前にこのプログラムを開始すべきだったとTechCrunchに語った。

モバイルデータ料金の低価格化により、わずか4年でインド最大の通信事業者となった(未訳記事)Jio Platformsの設立は、PM WANIが対処しようとしている課題の多くを既に解決したと、同氏は述べている。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

フェイスブックが全米46州からの大型反トラスト訴訟に直面

米国時間12月9日、膨大な数の州が反トラスト法(独占禁止法)訴訟を起こし、Facebook(フェイスブック)が独占的ビジネス手法で競合を抑圧していると主張している。46の州とグアム地区およびワシントンD.C.の各司法長官48名が本訴訟を形成しており、参加していないのはサウスダコタ、サウスカロライナ、アラバマ、およびジョージアの4州のみだ。

本訴訟はフェイスブックの創業以来の行動に注目し、同社が成長し市場支配力を維持するために、競合他社を「違法」かつ「略奪的方法」によって買収したと主張している。顕著な例としてフェイスブックによるInstagramおよびWhatsAppの買収が挙げられている。

原告団はコロンビア地区裁判所に対し、「今後、フェイスブックが原告州に事前に通知することなく1000万ドル(約10億4000万円)以上の価値の買収を行うことを抑制する」よう求めた。本訴訟はさらに、「法廷が適切と認めるあらゆる追加の救済命令、たとえば違法に買収された企業、あるいは現在のフェイスブックの資産もしくは事業分野の分割あるいは再構成」を裁判所に求めている。

訴訟はカリフォルニア、コロラド、フロリダ、アイオワ、ネブラスカ、ノースカロライナ、オハイオ、テネシーおよびワシントンD.C.の司法長官からなる委員会が中心となり、ニューヨーク州のLetitia James(レティシア・ジェームズ)司法長官が陣頭指揮する。

「国のほぼすべての州がこの超党派の訴訟に参加しており、それはフェイスブックの市場を支配するやり方が違法かつ有害だったからです」とジェームズ氏はいう。「本日の訴訟はフェイスブックだけでなく、競争を抑制、革新を阻害、あるいはプライバシー保護を軽視するあらゆる企業に対して、我々司法当局が全力で立ち向かうことを伝える明快なメッセージです」。

フェイスブックに対するこの国レベルの反トラスト訴訟は、ソーシャルの巨人に対してFTC(連邦取引委員会)が自ら反トラスト訴訟を起こすことを決議した同じ週に具体化した。委員会の決議はフェイスブックに対する20カ月に及ぶ捜査(POLITICO記事)を約束するものであり、2つ独立したアプリをソーシャルの巨人のビジネスに吸収した、WhatsAppとInstagramの買収についても追求する。

フェイスブックは、その並外れた影響力について常に批判を受けており、関連する問題について議会で幾度も証言してきたが、今回の国と州レベルの組織的反トラスト行動は、同社に新たな課題を突きつけるものだ。

関連記事:Facebookの独占禁止法違反を米連邦取引委員会が主張、買収した企業を切り離すよう要求

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画像クレジット:BRENDAN SMIALOWSKI/AFP / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Faccebookの独占禁止法違反を米連邦取引委員会が主張、買収した企業を切り離すよう要求

米国連邦取引委員会(FTC)は米国時間12月9日、Facebook(フェイスブック)に対する新たな反トラスト法(独占禁止法)違反訴訟を発表した。このソーシャルネットワークが「深刻な競争上の脅威を抑圧し、無力化し、抑止する目的で」独占的地位を利用していると主張し、これを破棄しなければならないとしている。なお、この訴訟とは別だが、全米48州・地域の司法当局の1つも協調して調査を行ったと同日に発表した(未訳記事)。

どちらの訴訟も、Facebookが違法な行為に関与していると主張しており、州と連邦政府の調査官が協力してその特徴を明らかにした。しかし、州訴訟は州法レベルでの違反に関係しているが、FTCは連邦法の違反を主張している。そのため2つの訴訟は、Facebookによる同じ行動に異議を唱えながらも、別々に追求され、裁かれることになる。

どちらの申し立ても似たようなものだ。すなわち、FacebookによるWhatsApp(ワッツアップ)とInstagram(インスタグラム)の買収は、新興他社の競合を封じる違法な反競争的行為に等しく、Facebookはそのプラットフォームを、競合他社の台頭を防ぐために利用しているというものである。

FTCと州の訴訟はいずれも、InstagramとWhatsAppの買収を遡って違法と判断し、それらの企業のFacebookの本体から切り離すように求めている。

この分割に加えて、Facebookは今後のすべての合併・買収について、FTCと州当局の両方に事前通知と承認を求めることが義務づけられ、競合機能を提供しないようにAPIアクセスを停止させることなど、さまざまな行為も禁止されることになる。

Facebookはツイートで今回の訴訟について調査中と述べているが、「政府は現在、この前例が広範なビジネスコミュニティに与える影響を考慮せずにやり直しを望んでいる」と、この訴訟を軽蔑している。

確かに当然の疑問である。政府がInstagramとWhatsAppの買収を承認し、さらにそれらを遡及的に不承認するとなれば、FTCと他の規制機関の監視メカニズム全体に対する疑問を呼び起こすことになるだろう。

FTCがこの訴訟に関するQ&A(FTCリリース)で指摘しているように、これは実際には前例がないわけではないし、予想外のことですらない。ある企業が他の企業に買収されることを承認するプロセスは、その時点では明らかな違法性を感じさせないかもしれないが、裏では多くの違法性が絡んでいる可能性がある。たとえば承認されて完結した合併が、後になって偽りの口実で実行されたことが判明した場合、あるいは今回のケースのように、後になって違法行為のパターンの一部であることが判明した場合には、承認されて完結した合併が取り消される可能性があるのだ。

「我々の執行措置は、買収だけでなく、それ以上のことに異議を唱えるものです」と、FTCは説明する。「我々はパーソナルソーシャルネットワーキング市場の独占を構成する複数年に及ぶ行為に異議を唱えているのです。【略】FTCは、消費者取引が法律に違反している場合には異議を唱えることができるし、しばしば異議を唱えています。実際、反競争的な消費取引を特定することは、2019年2月にテクノロジー・タスクフォースとして執行部が設立されて以来、その任務の重要な部分となっています」。

今回の訴訟は、ほぼ確実に複数年におよぶプロセスの最初の一部に過ぎない。それは2つの政権にまたがることになり、そのため手続きが遅くなることは間違いない。次のステップはおそらく、無実を説明するFacebookからのPR攻勢になるだろう。

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タグ:FacebookFTCInstagramWhatsApp裁判独占禁止法

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Facebook、AIによる誤報やヘイトスピーチの検出に関する最新情報を公表

誤報対策に取り組むFacebookの戦いが終わりを告げることはないだろうが、だからといって同社は諦めたわけではない。それどころが、自動化されたシステムに絶え間なく改善を加えているおかげで、ヘイトスピーチや誤報をある程度は減少させることができている。CTOのMike Schroepfer(マイク・シュロープファー)氏は米国時間11月20日、一連の記事の中でこれら改善点の最新情報を公表した

今回の変更は、スパムや誤解を招くニュース、人種差別的中傷などを未然に防ぐために同社が利用しているAI関連システムに対するものだ。Facebookのコンテンツモデレーターさえもが目にする前の時点で阻止してしまうというものである。

改善点として、Facebookがヘイトスピーチなどを検出するために採用している言語分析システムが挙げられている。シュロープファー氏の説明によると、これは同社が細心の注意を払うべき分野の1つだという。広告スペースで誤検知(何か詐欺っぽいというような)された場合のリスクは低いが、ヘイトスピーチと誤解されて記事を削除される場合の誤検知は深刻な問題だ。そのため決断を下すときにはしっかりした確信を持つことが重要である。

残念ながら、ヘイトスピーチやそれに近いコンテンツは非常に微妙なものである。議論の余地なく人種差別主義者と思われるようなものでさえ、たった一言の言葉で意味が反転したり、ひっくり返ったりすることがある。言語の複雑さと多様性を反映した機械学習システムを構築するというのは、想像を絶するほどの計算資源を必要とするタスクである。

「linear」+「transformer」からの造語であるLinformerは、1日に何十億もの投稿をスキャンすることで膨れ上がるリソースコストを管理するためにFacebookが作った新しいツールだ。正確に計算するのではなく、トランスフォーマーベースの言語モデルのセントラル・アテンション・メカニズムを概算するものだが、性能におけるトレードオフはほとんどない(この意味をすべて理解できる読者がいたら拍手を送りたい)。

これは言語理解の向上につながるが、計算コストはわずかに高くなるだけで、例えば、最初のウェーブに悪いモデルを使用して、疑わしいアイテムに対してのみ高価なモデルを実行する必要はない。

同社の研究者らは、画像内のテキスト、画像、テキストの相互作用を理解するという、やや形のはっきりしない問題にも取り組んでいる。テレビやウェブサイトの偽スクリーンショットやミームなど、投稿によく見られるものはコンピューターにとって驚くほど理解しにくいものだが、膨大な情報源となっている。また、視覚的な詳細がほとんど同じでも、たった1つ言葉が変更されただけで意味を完全に反転させてしまうこともある。

外観がわずかに異なる、同じ誤情報の2つのケースの例。左側を認識したシステムが右側を認識した。画像クレジット:Facebook

 

Facebookは無限大の種類の誤情報を検出できるようになってきているとシュロープファー氏は説明する。まだ困難さを極めてはいるものの、例えばCOVID-19の誤報画像、マスクが癌を引き起こすといったような偽ニュース報道でそれを掲載している人々が、たとえデザインを操作したり変えたりしても検出することができ、そういった意味で大きな進歩を遂げているという。

これらのモデルの展開と維持も複雑で、オフラインでのプロトタイピング、デプロイメント、オンラインテスト、そしてそのフィードバックを新しいプロトタイプに反映させるという作業を絶えず繰り返す必要がある。レインフォースメント・インテグリティ・オプティマイザー(RIO)には新しいアプローチを採用しており、ライブコンテンツに対する新しいモデルの有効性を監視し、その情報を週間レポートなどではなくトレーニングシステムに常に伝えている。

Facebookが成功していると言えるかどうかを判断するのは容易ではない。しかし、同社が発表した統計によると、ヘイトスピーチや誤報が削除される割合は増加しており、前四半期に比べるとヘイトスピーチや暴力的な画像、児童搾取コンテンツが何百万件も多く削除されているという朗報が伝えられている。

Facebookがどのようにして成功や失敗をより正確に追跡することができるのかについてシュロープファー氏に尋ねてみた。数字の増加は、削除のためのメカニズムが改善されたか、あるいは単にそのコンテンツが同じ速度で大量に削除されたためかもしれないからだ。

「ベースラインは常に変化するため、これらすべてのメトリックを同時に確認する必要があります。長い目で見たとき、念頭におくべきものはまん延率です」と同氏は説明し、あるタイプのコンテンツが先制して削除されたかどうかではなく、実際にユーザーが遭遇する頻度について言及した。「誰も見ることのないコンテンツを1000個削除しても、あまり有効とはいえません。バイラルになろうとしていたコンテンツを1つ削除すれば、それは大成功です」。

Facebookはヘイトスピーチのまん延率について四半期ごとの「コミュニティ標準実施報告書」に含め、次のように定義している。

まん延率とは、当社のプラットフォーム上で違反コンテンツを目にする回数の割合を推定したものです。ヘイトスピーチのまん延率は、Facebook上で見られているコンテンツのサンプルを選択し、その中でどれだけのコンテンツが当社のヘイトスピーチポリシーに違反しているかをラベル付けすることで算出します。ヘイトスピーチは言語や文化的背景に大きく関係するので、私たちはこれらの代表的なサンプルを異なる言語や地域のレビュアーに送っています。

この新しい統計の最初の測定値は次のようなものだ。

2020年7月から2020年9月までは0.10%から0.11%となりました。つまり、Facebookのコンテンツ閲覧数1万件のうち、10から11件がヘイトスピーチだったということです。

この数字が間違っていなければ、現在Facebook上にある1000のコンテンツのうち1つがヘイトスピーチに該当することを意味し、これは少し確率的に高いように感じられる(Facebookにこの数字をもう少し明確にするよう求めた)。

この数字の完全性を問う必要もあるだろう。エチオピアのような戦争で荒廃した地域からの報告によると、ヘイトスピーチがまん延しているにも関わらず十分に検出や報告がなされず、取り除かれていないことが多いと伝えられている。一方、Facebook上の白人至上主義者や民族主義者などによる爆発的なコンテンツは適切に記録されている。

シュロープファー氏は、自身の役割は物事の「実装」側にあり、ソーシャルネットワークの巨大なオペレーションにおけるポリシーやスタッフの配置、その他の重要な部分は多かれ少なかれ彼の管轄外であることを強調している。率直に言って、世界で最も影響力のある企業に属するCTOが言う言葉としてはガッカリなものである。この問題に深刻に取り組んでいるはずなのだから尚更だ。しかし、同氏とそのチームが上記のような技術的な救済策を追求することにそれほど熱心でなかったなら、Facebookは不意打ちで撃墜されたというより、ヘイトとフェイクで完全に埋もれてしまっているのではないかとも思う。

関連記事:YouTubeが投稿前にユーザーに再考を促す機能を導入、悪意的なコメント対策で

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Facebook ヘイトスピーチ
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(翻訳:Dragonfly)

Facebookが過去最大1000億円でKustomerを買収、カスタマーサービス事業の強化を目指す

米国時間12月7日、Facebook(フェイスブック)は、ビジネス向けサービス構築のためとして過去最大の買収を行った。新たにフェイスブックの傘下に入ったKustomer(Facebookリリース)は、カスタマーサービスに根本的な変化をもたらすことを目指すスタートアップだ。同社は顧客のソーシャルメディアその他のチャネルでの活動及び顧客とユーザー企業との間の関係を総合し、顧客の全体像を得て企業に優れたデータを提供するアプローチを採用している。

詳細は明らかにされていないが、事情に通じた情報源はTechCrunchの取材に対して、買収価格が10億ドル(約1040億円)程度だったことを確認した。この取引の記事(と10億ドルという価格)は12月7日のWSJに掲載されている。

Kustomerの共同ファウンダーはCEOのBrad Birnbaum(ブラッド・バーンバウム)とJeremy Suriel(ジェレミー・スリエル)の2人で、これまでにAirtime、AOLなどで一緒に仕事をしてきた。Kustomer以前のスタートアップはSalesforceへの売却に成功している。Kustomerへの投資家はCoatue、Tiger Global Management、Battery Ventures、Redpoint Ventures、Cisco Investments、Canaan Partners、Boldstart Ventures、Social Leverageの各社で総額1億7400万ドル(約181億円)を調達している(未訳記事)。PitchBookのデータによれば、最新の会社評価額は7億1000万ドル(739億円)だった。

フェイスブックの買収の動機はわかりやすいが、同時に、戦略的な方向性を示す非常に重要なサインでもある。

フェイスブックは、プラットフォーム上の企業にカスタマーサービスを提供するビジネスを着実に構築してきた。Kustomerの買収はこのサービスの一層の強化を目指していることを示すものだが、将来はこれを有料化して収入の柱の1つとなるサービスとしていきたいのだろう。

現在、フェイスブックのビジネス利用者は約1億7500万人だ。これには独自のホームページやアプリではなくフェイスブックを主要なオンラインのアイデンティティ(身元)としている企業へのアクセスとフェイスブックグループのアプリ(Instagram、Messenger、WhatsAppなど)を顧客との会話のチャンネルの1つ(唯一という場合もある)としている企業へのアクセスの双方を含む数字だ。

20億人以上というフェイスブックの全ユーザー数と比べれば、1億7500万人はさほど大きな数字に感じられないかもしれない。

しかしSnapchat、TikTok、その他のサービスとの競争が次第に激しさを増すにつれて、優れたビジネス向けプロダクトを持つことは企業とそこにアクセスするユーザーをフェイスブックのエコシステムに囲い込んでおくために重要となる。また同社では現在も広告収入が他を大きく引き離して同社の収入のメインだが、企業向けサービスは広告を補完する新しい収入分野となる道を開くだろう。

実際、カスタマーサービスはフェイスブックにとって非常に興味深い方向だ。これまでもメッセージングアプリ上に企業向けの機能を追加(未訳記事)するために多大の投資をしてきた。たとえば最近では、企業がWhatsAppアプリ内に簡単にショッピングその他の機能を追加できるようにしている。カスタマーサービスは、これまでのフェイスブックの閉鎖的なエコシステムの外に広がる広大な分野だ。

実際、Kustomerを始めCRM(顧客関係管理)企業が最近何をしているかを説明するために多用されている用語は「オムニチャンネル」だ。つまりアプリ、ソーシャルメディア、ウェブサイト、チャットボット、電子メールなど顧客との会話が発生するさまざまなチャンネルを総合し、ユーザー企業が顧客の全体像を把握できるようにする。これによりカスタマーサービス要員の仕事が効率化され、ある顧客はどのチャネルから企業に連絡する可能性が高いかなどが的確に示せるはずだという論理だ。コンテキストに基づいた顧客の全体像が把握できれば、企業のカスタマーサポートにとって極めて有益だ。

フェイスブックの場合、これまでCRMプロファイルは、サービスの登録ユーザーに関するものに限られていた。しかしカスタマーサポートの強化はプラットフォームを超えて広く顧客関係を把握し、コントロールすることを目的としている。

偶然だが、ライバルのSnapがカスタマーサポートのための音声チャットのボットを作るVoca.aiの買収(未訳記事)を発表したのが2020年12月初めだった。

SnapがVocca.aiのテクノロジーをどのように利用するのかはまだわからない(Spectaclesに、音声コマンドなど音声ベースのテクノロジーを導入するのかもしれないという推測も出ている)が、我々はこの買収は理に適っていると評価した。私自身「Snapchatをセールスツールに利用している企業にさらに多くのサービスを提供し、プロダクトのポートフォリオを拡大することは適切な方針だ」と書いている。

今回のフェイスブックのKustomer買収は、いろいろな意味で極めてタイムリーな動きだと感じる。

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タグ:FacebookKustomerCRMカスタマーサービス買収

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(翻訳:滑川海彦@Facebook