ServiceNowがユーザーエクスペリエンスを一新、ネイティブのRPAと組み合わせて使えるAutomation Engineも登場

ServiceNow(サービスナウ)は米国時間3月23日、まったく新しくなったアプリのデザインを公開し、企業がオートメーションを短時間で作れるように開発されネイティブのRPAとも統合できるツールのAutomation Engineも発表した。どちらも米国時間3月23日に公開された新しいSan Diegoリリースに含まれている。

ServiceNowの最高イノベーション責任者であるDave Wright(デイブ・ライト)氏は、今回のリリースは効率とシンプルさを狙ったと説明している。同氏は「新しいデザインで重要なポイントの1つは『次世代エクスペリエンス』のコンセプト、つまりユーザーエクスペリエンスのあり方の刷新です」と述べた。

ServiceNowのSVP兼デザイン担当グローバル責任者であるAmy Lokey(エイミー・ローキー)氏は2年半前に入社し、同社のツールをデザインの観点から体系的に見直した。同氏はモバイルに関しては良い感触を持ったが、ウェブアプリはしばらくアップデートされていなかったため効率化とモダン化をしようと考えた。

ローキー氏は「当社のプラットフォームは多数のツールとアプリを含むウェブベースのアプリですが、深く探っていくうちにこのエクスペリエンスには革新とモダン化の両方について大きなチャンスがあると強く感じました」と語った。

同氏によれば、細心の注意をはらってデザイン全体を変更する必要があったという。ユーザーがServiceNowを使う際の中心であり、長く使っているユーザーを戸惑わせることなく使いやすくしたいと考えたからだ。

画像クレジット:ServiceNow

ローキー氏は「これはIT、人事、カスタマーサービス部門にわたって担当者が使うものです。ユーザーは業務のために1日8時間以上このアプリを使うこともあります。そのため、生産性を向上し、エクスペリエンスにインテリジェンスが組み込まれ、一体感があり簡単に使えて、使う人の力になると感じられるように変更する必要がありました」と説明する。

こうした考えから、デザイン変更には3つの重点が置かれた。操作の効率化、インテリジェントな検索、シンプルなパーソナライズだ。仕事のやり方に影響を与えることなく、仕事の効率を上げてもっとスマートにすることを目指してデザインが変更された。

また、ワークスペースの高度なカスタマイズ、メニュー操作による目的の機能への移動、そしてサービス技術者にとって優れたエクスペリエンスとなりそうな夜間や暗い環境で仕事をするためのダークモードもある。

今回のリリースにおけるもう1つの大きな変更点はAutomation Engineだ。これは以前に発表されたIntegrationHubと、2021年のIntellibot(インテリボット)買収で獲得したRPA機能をまとめるものだ。ライト氏は「Automation EngineはIntegrationHubとRPA Hubの組み合わせです。これにより標準的な統合に加え、統合した上でbotのプロセスを実行することもできます」と述べている。

Automation Engineにより、人間が介在しない、またはタスクの一部に人間が必要なbotが可能になるだろう。このツールはオートメーションを追加することでServiceNowのワークフローをシンプルにするために設計されているが、実装には組織のワークフローを理解して構築できる専門知識を有する人、あるいは適切に構築できる他社コンサルタントの助けが必要かもしれない。

画像クレジット:Eugene Mymrin / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

RPAソフト市場の成長は2023年から横ばいになるとフォレスターが予測

2021年、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は大人気で、マーケットリーダーのUiPathが大きな評価額で上場し、また大きな安定企業が小さなベンダーの買収を始めるなど、話題も多かった。しかしそれでも、RPAは以前から常によりインテリジェントでノーコードな方法へと移行していく前にレガシーのプロセスを扱う、過渡期的な自動化ソリューションと考えられてきた。

Forrester Researchの最新データもそんな説を支持し、RPAの市場は2025年に65億ドル(約7560億円)に達するが、しかしその頃から企業はAIを本格的に導入したオートメーションのソリューションへ移行していくため、RPAの成長は横ばいになると予想している。

RPA市場に関する最新の報告で、同社は次のように述べている。「2021年のすごい成長は2022年も続くと予想される。それはパンデミックを契機とする自動化の需要や目下進行中のデジタルトランスフォーメーションの事業によるものだ。しかし2023年以降は、成長率は横ばいになっていくだろう」。

2018年の報告書は、2019年の市場を11億ドル(約1280億円)と予想しているため、2025年の65億ドルという予想は確かに大きいが、しかしSalesforce1社の直近の四半期の売上が70億ドル(約8143億円)であるため、それに比べればまだかなり小さい。

複雑なソリューションの実装を助けるサービスの市場は、RPAのソフトウェアの売上に比べて相当堅調な成長が予想されている。Forresterによると、RPA関連のサービスの売上は2025年に160億ドル(約1兆8614億円)に達して、それらに実装を助けてもらうRPAソフトウェア本体の売上のほぼ3倍になる。サービスとソフトウェアを合わせれば、2025年は250億ドル(約2兆9085億円)という、はるかに大きな市場規模になる。

画像クレジット:Forrester Research

ForresterのアナリストであるLeslie Joseph(レスリー・ジョセフ)氏による、サービスの売上の定義は「サービスのベンダーが、プロダクトに関するコンサルティングや開発、実装、メンテナンス、サポートなどのサービスを提供して得る売上」だ。サービスベンダーとは、AccentureやIBMやEYのような、システムインテグレーターやコンサルティングやアドバイスを提供する企業だ。彼らが、RPAソフトウェアのパートナーやリセラーのこともある。

Forresterの予想では、これまでRPAソフトウェアへ行っていたお金の一部が広義のAIオートメーションソリューションへ行くようになる。なお、RPAの「R」はロボティクスだが、それは本当の意味のAIではない。この場合のロボットとは、一連の高度な手作業に多くを依存していたタスクをを完遂する、スクリプトのようなものだ。それと比較するとノーコードのオートメーションによるソリューションは、ワークフローを容易に作れて、おそらくコンサルティングの助けが要らないものだ。AIがタスクをインテリジェントに実装する方法を提供し、これまでのように本格的で高度なコーディングによって定義された一連のワークを次々こなしていくのではなく、データに基づくステップを踏んでいく。

UiPathが2021年に350億ドル(約4兆707億円)の評価額で、IPOの前の最後のプライベートな資金調達として7億5000万ドル(約872億円)を調達したとき、投資家たちは熱狂したが、しかしそれでもこの下落が起こっている。米国時間3月9日の同社の時価総額は150億ドル(約1兆7438億円)ほどで、2021年は年間を通してソフトウェア企業が株式市場で不振だったことを考慮に入れたとしても、確かに急落だといえる。

一方、SAPがSignavioを買収し、ServiceNowがIntellibotを買収、そしてSalesforceがServicetraceを持っていくといった重要な整理統合もあった。RPA専業ベンダーのトップスリーの1つであるBlue Prismは、Vista Equityのパートナーたちからの申し出を断った後で、SS&Cからの16億ドル(約1860億円)を受け入れた。この取引は今月後半に完了すると予想されている。

RPA市場について2021年に5社の投資家にアンケートした際、特にRPAという技術の有意性が長期的にはいかにして担保されるかを聞いた。投資家たちの答えは、市場が今後も継続的に大きくなる、というものだったが、Forresterが正しければ、顧客が最新のAIによるオートメーションサービスを求めるにともなって、市場は変わっていくかもしれない。

画像クレジット:Sean Gladwell/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

RPAソフトAutomation AnywhereがFortressIQを買収、プロセスディスカバリー分野に進出

ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)ソフトウェアで知られるAutomation Anywhere(オートメーション・エニィウェア)が、プラットフォームの拡大を計画している。同社は米国時間12月23日朝、プロセスディスカバリーのスタートアップ企業であるFortressIQ(フォートレスIQ)を買収する意向であると発表した。両社は買収金額を明らかにしていない。

FortressIQは、Automation Anywhereに不足していたプロセスディスカバリーのコンポーネントを提供することになる。これによって、AIを搭載したソフトウェアで自動的に内部プロセスをマッピングすることが可能になり、高額なコンサルタントが不要になる。

「Automation AnywhereとFortressIQは一緒になって、自動化の未来を再形成し、デジタルトランスフォーメーションのイニシアチブを追求するお客様の自動化、適応、加速の方法を変えていきます」と、Automation AnywhereのCEO兼共同創業者であるMihir Shukla(ミヒル・シュクラ)氏は、声明の中で述べている。

この発言には、幹部ならではの大げさな言葉が少なからず含まれているものの、この買収が同社の能力を拡大することは確かだ。PitchBook(ピッチブック)のデータによると、FortressIQは2017年の創業以来、4600万ドル(約52億6000万円)を調達しているという。TechCrunchでは、2018年に1200万ドル(約13億7000万円)を調達したシリーズAと、2020年の3000万ドル(約34億3000万円)を調達したシリーズBを記事にしてきた。

しかし、これに対して市場リーダーのCelonis(セレニス)は、Crunchbase(クランチベース)のデータによると、6月に110億ドル(約1兆2600億円)の評価額で10億ドル(1143億円)の大規模なシリーズBを実施するなど、これまで14億ドル(約1600億円)の投資を集めている。4月には大規模な組織内でそのサービスを販売するためにIBMと重要な契約を結んだ

FortressIQの創業者兼CEOであるPankaj Chowdhry(パンカジ・チャウドリー)氏は、シリーズBラウンドの際に、同社は自動化されたプロセスディスカバリーを支援するコンピュータービジョンを用いたソリューションに注力していると語っていた。

「私たちはプロセスディスカバリーの、主にプロセスを自動化する部分を支援するために、このようなクールなコンピュータビジョンを開発しています。しかし、私たちが見てきたのは、人々が当社のデータを活用して変革戦略を推進しているということであり、結局その中で自動化はかなり小さな要素になっています」と、チャウドリー氏は当時、語っていた。Automation Anywhereの一部として、自動化はより大きな役割を果たすことになるはずだ。

2021年は、RPA、ローコードのワークフローツール、プロセスマイニングが一体となって過剰なほど市場を活発化させており、確かにプロセスオートメーションは最近注目を集めている

RPA市場のリーダーであるUIPath(UIパス)は、4月に株式を公開して大きな反響を呼び、最終的な非公開評価額は350億ドル(約4兆円)に達したが、その後は株価が冷え込んでいる

それでもなお、IT調査会社のGartner(ガートナー)は、UIPath、Blue Prism(ブルー・プリズム)、Automation Anywhereの3社をRPA市場のリーダーと見なしている。今回の買収はAutomation Anywhereにとって、業界に遅れを取らないようにそのプラットフォームと同社の自動化能力を拡大するためのものだ。

画像クレジット:Nataliia Nesterenko / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

人の意思決定が必要なワークフローをより簡単に構築できるようにするIkigaiが約15億円調達

MITの研究をベースにしたスタートアップIkigai(イキガイ)は、人間が関与するワークフローの構築をシンプルにしたいと考えている。従来のロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)が反復的な作業のためのボットを構築するものであるのに対し、同社はプロセスの一部として人間が意思決定をしなければならないワークフローを簡単に構築しようとしている。

同社は米国時間12月9日、Foundation Capital、8VC、Underscore VC、およびさまざまな業界のエンジェル投資家から集めた1300万ドル(約15億円)のシードラウンドを発表した。

同社の共同創業者でCEOのVinayak Ramesh(ヴィナヤク・ラメシュ)氏は、MITでの研究や、2021年12月に買収したデジタルヘルスケアのスタートアップであるWellframe(ウェルフレーム)での研究で、RPAでは対応できない複雑なワークフローが存在することを発見したと話す。

「ユースケースがあることを目の当たりにしました。基本的には人間がデータに基づいて判断や意思決定を行い、データやルールが頻繁に変更されるために自動化が非常に困難な、組織でのマニュアルプロセスなどです」とラメシュ氏は筆者に説明した。

日本語で「あなたの目的」を意味するIkigaiはこの問題を解決するためのツールで、異なるデータソースを含むドラッグ&ドロップのワークフローを作成し、その一方で人間が判断するステップを組み込み、その結果をダッシュボードやスプレッドシートで表示することができる。ラメシュ氏らは、これを「AI-Charged」スプレッドシートと表現している。

画像クレジット:Ikigai

しかしラメシュ氏らは、Power BIやAirtableといった他の超高機能スプレッドシートのアプローチとは異なると考えている。「(それらのツールは)ワークフローに人間を必要としますが、意思決定やデータに基づくワークフローではありません」とラメシュ氏は述べ、決定ループを構築できることが自社製品の重要な差別化要因だとする。

現在、同社の従業員はエンジニアを中心に20人で、2022年には倍増させる計画だ。創業者たちは、会社の規模を拡大するにあたり、多様性のある包括的なチームを構築する必要性を確実に認識しているようだ。

「多様性があることで、さまざまな視点を持ち、さまざまなタイプの人たちが毎日出社してくるので、すべてが働きやすい環境になります」とラメシュ氏は話す。また、初期の従業員の多くが移民であり、彼らが米国で働くためのビザを取得するという困難なプロセスを乗り越えるための支援を行ってきたことも指摘する。

この会社のアイデアは、ラメシュ氏がMITの学生時代に行っていた研究から生まれた。実は、共同創業者でCTOのDevavrat Shah(デバブラット・シャー)氏は、MITのコンピュータサイエンスの教授で、ラメシュ氏の教授でもあった。シャー氏は、2019年にNike(ナイキ)が買収したCelect(セレクト)という別の会社も立ち上げている。

Wellframeの設立に協力した後、ラメッシュ氏は大学院に戻り、そこでシャー氏とつながった。このような製品のアイデアは時間の経過とともに顕著になるばかりで、彼らはさらに研究を始め、2020年に製品を作った。

画像クレジット:Sean Gladwell / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

ローコード / ノーコードアプリの安全性確保を支援するZenityが約5.8億円調達

基幹業務のアプリケーションの構築にローコード / ノーコードのツールを採用する企業が増えており、そのエコシステム内にツールのセキュリティにフォーカスした新たなサービスが登場しているのも当然かもしれない。テルアビブのZenityはそんな企業の1つで、同社は現地時間11月23日、ステルスを抜けて500万ドル(約5億8000万円)のシードラウンドを発表している。そのラウンドはVertex VenturesとUpWestがリードし、GoogleのCISOだったGerhard Eschelbeck(ゲルハルト・エッシェルベック)氏や、SuccessFactorsのCIOだったTom Fisher(トム・フィッシャー)氏といった多くのエンジェル投資家が参加している。

Zenityによると、従業員たちが自分でアプリケーションを作るようになり、RPA(ロボットによる業務自動化)などのツールを採用するようになると、新たなアプリが、ハッキング行為やランサムウェアなどに対して、これまでなかったようなドアを開いてしまうこともある。

Zenityの共同創業者でCEOのBen Kliger(ベン・クリガー)氏は、このような状況について「企業は現在、大々的にローコード / ノーコードを採用していますが、そのリスクやリスクに対して自分たちが共有すべき責任について理解していません。弊社はCIOやCISOたちをサポートし、彼らがローコード / ノーコードアプリケーションをシームレスに統括できるようにし、不意のデータ漏洩や事業への妨害、コンプライアンスのリスク、悪質な侵害などを防ぐ」と述べている。

Zenityのプラットフォームは、企業にその組織内のローコード / ノーコードアプリケーションのカタログを作らせ、問題の可能性を減らし、彼らの組織のための自動的に施行できるガバナンスのポリシーをセットアップする。同社によると、従来的なセキュリティサービスの方法はローコード / ノーコードのアプリケーションに適用できないにもかかわらず、そんなツールへのニーズだけが独り歩きで増えている。しかもそれを使っているデベロッパーにセキュリティの経験や知識がない。中にはソフトウェア開発の経験知識のないデベロッパーもローコード / ノーコードの世界にはいるだろうという。

画像クレジット:Zenity

同社はCEOのクリガー氏とCTOのMichael Bargury(マイケル・バーガリー)氏が創業した。2人とも、それまではAzureに在籍し、Microsoftのクラウドセキュリティチームで仕事をしていた。

Zenityのアドバイザーで元OracleとQualcommのCIO、そしてeBayのCTOでもあるTom Fisher(トム・フィッシャー)氏は次のように述べている。「ビジネスを邪魔せずローコード / ノーコードのソリューションにありがちなリスクとセキュリティの脅威を減らすことが難題です。Zenityには、ガバナンスとセキュリティツールの完璧な組み合わせと、ビジネスに対するプロのアプローチが備わっているため、企業のデベロッパーは安心してともにセキュリティを構築できます」。

画像クレジット:Zenity

[原文]

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

業務プロセスを自動化するRPAを「自動化」するMimicaが6.8億円のシリーズA調達

RPA(ロボットによる業務プロセス自動化)導入を自動化するMimica(ミミカ)が、Khosla VenturesからシリーズAで600万ドル(約6億8000万円)を調達した。同社は今回の資金を、米国での販売チームの設立と製品の開発に使う予定だ。これまでのシード投資家には、英国のアクセラレーターEntrepreneur FirstやEpisode 1 VCなどがいた。

Mimicaの最初の製品であるMapper(マッパー)が対象とするのは「プロセス・ディスカバリー」の領域だ、すなわち「従業員のクリックやキーストロークからパターンを学習する」ことで、通常はビジネスアナリストが手作業で数カ月かけて作成する業務プロセスマップ(業務プロセスの見取り図)を生成するのだ。つまり「プロセスを自動化するための作業」を自動化するということだ。

MimicaはRPAチームを持っていて、データ入力、フォームへの入力、クレームやチケットの処理などの反復的な作業を行うソフトウェアボットを開発している。こうした市場規模は2027年までに1070億ドル(約12兆2000億円)に達すると予想されている。しかし、Mimicaによれば、UiPath(ユーアイパス)のようなRPAの巨人が提供するシステムを実際に導入することは難しく、Mimicaのシステムを使うことで導入を加速することができるという。

Mimicaのチーム

MimicaのAIは「自動化できる局面」を自動的に発見し、開発を加速できるボット用のプロセスマップを生成することで、導入のためのボトルネックを取り除くのだ。

CEOのTuhin Chakraborty(トゥヒン・チャクラボルティ)氏とCTOのRaphael Holca-Lamarre(ラファエル・ホルカ=ラマール)氏が、2017年にMimicaを共同創業した。ホルカ=ラマール氏は、計算論的神経科学と機械学習で博士号を取得た。チャクラボルティ氏は、スタンフォード大学で機械学習を学び、LinkedInで開発した教師付き学習モデルで特許を取得した。

2020年のローンチ以来、MimicaはDell(デル)、AT&T、Hexaware(ヘクサウェア)、Experis(エクペリス)、Ironbridge(アイアンブリッジ)と仕事をしてきた。

チャクラボルティ氏は次のようにいう「RPAは当社の技術を売り込むための最適な足がかりとなります、なぜならRPAを導入した企業はどこも大変な苦労を重ねているからです。手作業で自動化できる局面を探したり、プロセスマップを構築したりするのは拷問のようなものですし、不必要なものなのです」。

Khosla Venturesの創業者であるVinod Khosla(ビノッド・コースラ)氏は次のように語る「私たちがMimicaに投資したのは、彼らのチームがAIシステム構築の深い技術的専門知識を持ち、企業がプロセスを管理する際に直面する課題を十分に理解している、というすばらしい組み合わせだったからです」。

Mimicaの競合相手は、米国のFortressIQ(フォートレスIQ)やSkan(スキャン)だ。なおUiPathやCelonis(セロニス)のような他のプレイヤーも、競合するソリューションを開発している最中だ。

画像クレジット:charles taylo / Getty Images

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(文:Mike Butcher、翻訳:sako)

AIを活用したエンジニアリング卓越性プラットフォームのPropeloがシリーズAで約13.6億円を調達

ここ数年、DevOpsツールの数は飛躍的に増加しており、それにともない、企業がソフトウェア開発プロセスを改善するためにそうしたツールが生み出すデータの量も増加している。しかし、ほとんどの場合、これらのデータは単にダッシュボードの中でばらばらに分析されている。Propelo(旧社名:LevelOps)は、この混沌とした状況に秩序をもたらしたいと考えており、機械学習(ML)を活用した分析サービスとノーコードのロボティックプロセスオートメーション(RPA)ツールを組み合わせた「AI駆動のエンジニアリング卓越性プラットフォーム」を構築し、ユーザーがこれらのデータポイントを実用的なものに変えられるようにすることを目指している。

同社は米国時間11月4日、Decibel Partnersが主導するシリーズAラウンドで1200万ドル(約13億6000万円)の資金調達を実施したと発表した。このラウンドには、Fike Ventures、Eniac Ventures、Fathom Capitalも参加した。

Propeloの創業者兼CEOであるNishant Doshi(ニシャント・ドーシ)氏は、2015年にPalo Alto Networks(パロアルトネットワークス)が買収したSaaS型セキュリティサービス、CirroSecureを共同創業した経験がある。その後、Palo Alto Networksに数年間在籍し、シニアディレクターやエンジニアリング担当VPとして、DevOpsツールの爆発的な普及を身をもって体験した。開発プロセスをよりよく把握するために、チームはJira、GitHub、Salesforceなどのソースからデータをつなぎ合わせる必要があった。

画像クレジット:Propelo

「これは手作業が多く、多大なリソースを必要とします」と同氏は語る。「ビジネスの核心にフォーカスしていないのに、解決策を探そうとすると、いつも別のツールが必要になってしまうのです。また、それらのツールを手に入れても、何を測定すればよいのかわかりません。当社のような専用のソリューションがもたらす進歩にアクセスできず、さらに重要なのは、行動可能性がないということです」。

画像クレジット:Propelo

そして、最後の部分がキーポイントだとドーシ氏は強調する。優れたデータや分析結果があっても、その情報に基づいて実際に行動を起こすことができなければ、開発プロセスを改善することはできない。PropeloのRPAツールを使えば、ユーザー(同社によれば、主にエンジニアリング・リーダーシップ・スタックのユーザーを対象としている)は、企業内のDevOpsプロセスを改善するための多くのタスクやワークフローを簡単に自動化することができる。

このサービスは現在、Jira、GitHub、GitLab、Jenkins、Gerrit、TestRailsなど、約40種類のDevOpsツールと連携している。Propeloは、AIを活用することで、ユーザーが隠れたボトルネックを発見したり、スプリントが失敗しそうなタイミングを予測したりできる。実際、データの衛生管理やJiraチケットの更新は、ほとんどの開発者があまり考えたくないことなので、Propeloは定期的に開発者にそれを促すことができる。

現在のPropeloのユーザーには、Broadcom(ブロードコム)やCDK Globalなどがいる。Broadcomでセキュリティ技術とエンドポイントソリューションを担当するエンジニアリングVPのJoe Chen(ジョー・チェン)氏はこう述べている。Propelo は、DevOps の摩擦を減らし、無駄な動作を減らす方法について、スクラムチームごとの非常に細かいレベルで、データに基づいた洞察を提供してくれます。これは、追加技術投資の効率を最大化し、エンジニアのペインポイントを取り除くのに役立ちます」。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

中小企業向けHRプラットフォームPersonioが約306億円調達、人事業務プロセスの自動化にも進出

この20カ月間でHRテクノロジーはスポットライトを浴びてきた。新型コロナウイルス(COVID-19)で私たちの働き方が変わったことで、仕事環境において人を管理する方法も変わらなければならなかったからだ。米国時間10月11日、中小企業に特化してこの問題に対処する方法を提供し大きなビジネスを構築してきた、ミュンヘンを拠点とするスタートアップ企業であるPersonio(ペルソニオ)が、同社のサービスに対する強い需要を受け、次のステップに向けて2億7000万ドル(約306億円)の資金調達を発表した。今回のシリーズEにより、Personioの評価額は63億ドル(約7140億円)に跳ね上がり、現在ヨーロッパで最も価値のある人事関連のスタートアップ企業の1つとなっている。

今回の資金調達は、Greenoaks Capital Partners(グリーンオークス・キャピタル・パートナーズ)が主導し、新たな投資家であるAltimeter Capital(アルティメット・キャピタル)とAlkeon(アルキオン)も参加している。このラウンドには、Index Ventures(インデックス・ベンチャーズ)、Accel(アクセル)、Meritech(メリテック)、Lightspeed(ライトスピード)、Northzone(ノースゾーン)、Global Founders Capital(グローバル・ファウンダーズ・キャピタル)など、以前からの支援者も参加している。IndexとMeritechは、2021年1月に行われたばかりの同社の前回のラウンドを主導した。当時のシリーズDラウンドの評価額は17億ドル(約1920億円)で、10カ月で3.7倍に成長したことになり、Personioの成長の速さを物語っている。

関連記事:中小企業にHRプラットフォームを提供する独Personioが約130億円調達

Personioは現在、ヨーロッパの中小企業(通常、従業員数10~2000人)を対象に、採用・入社手続き、給与計算、欠勤管理などの主要な人事機能をオールインワンのプラットフォームで提供している。1月の時点では3000社だった顧客数は、現在5000社に達している。Personioは、今後もさまざまなツールを拡充していく一方で、CEOのHanno Renner(ハンノ・レナー)氏が「ピープルワークフローオートメーション(人事業務プロセスの自動化)」と表現する分野にも進出していく予定だ。

基本的にこれは、Personio以外のアプリケーションで行う人事関連の作業において、人事情報を自動入力したり、それらのアプリケーション内でアクションを起こしたりすることで、手作業では時間がかかっていた作業をスピードアップすることを目的としている。例えば、雇用契約書の作成・発行や、入社や退職時に特定のアプリへのアクセス権を切り替えるといったことが可能だ。

Personioのプラットフォームが、企業が大規模で多面的なプラットフォームを用意するのと同じように、中小企業のニーズに合わせて連携する一連のHRツールであり「中小企業のためのWorkday」と捉えられるとすれば、同社が現在追加している自動化ツールは、中小企業向けのUiPath(ユーパス)やServiceNow(サービスナウ)に対する答えだと捉えられるかもしれない。つまり、機械学習やロボティック・プロセス・オートメーションなどの技術を使って、人事関連のタスクに関わる忙しい反復業務を取り除くことができる。

「12ヵ月間取り組んできましたが、今では5000人のお客様にプロダクトをそのまま使っていただいて、そこから学んでいます」とレナー氏はインタビューで答えている。この問題の核心は、異なる領域にあるソフトウェアをより迅速に連携させることにある。例えば、内定者に契約書を発行する必要があるときに、ここで時間をかけてその内定者が別の会社で契約するようなことにならないに、また、解雇された従業員が会社のITシステムに侵入できるようなことがないようにする必要がある。「人事プロセスは人事部だけではありません。人事プロセスは人事にとどまらず、他の機能や部門にも影響を与えます。遅延は時間を無駄にするだけでなく、有害な結果をもたらす可能性があるのです」。

Personioはこれまで、中小企業向けの製品を開発することで、中小企業という収益性の高い顧客層を開拓してきた新興企業グループの一員であることをアピールしてきた。中小企業は、ヨーロッパだけでも2500万社以上あり、全企業の99%以上を占めている。しかし、中小企業はさまざまな業種や関心事によって細分化されており、IT予算も非常に少なかったり、もしくはまったくなかったりするため、見過ごされがちだ。

人事の世界では、それがさらに深刻な状態だったとレナー氏はいう。ほとんどの中小企業は、人事関連のデータをエクセルのスプレッドシートや、ただの紙で管理していたりする。「私たちが日々目にするのは、中小企業の70%が何らかのHRソリューションを持っていないという状況です」と彼はいう。

しかし、デジタルトランスフォーメーションが中小企業を完全に見過ごしていたわけではなく、先進的な中小企業は販売、財務、CRMソフトウェアを徐々に導入していきている。そしてその流れが人事に関する考え方にも「波及」してきていると彼はいう。

Personioは、このことが顧客に自動化を売り込む際にも役立つと考えている。一般的な中小企業では、平均して約40種類のアプリを使用しており、その多くが人事システムからのデータを必要としていると同社は推定している。Personioは、これらのアプリケーションに連動性を提供することで、これらのアプリケーションの動作を高速化することができると考えている。

同社にはまだまだ多くの成長余地が残っている。Personioが対象としている中小企業(従業員数10〜2000人)の数は170万社であり、これはまだ市場のごく一部に過ぎないからだ。

つまり、新しい自動化製品が軌道に乗るかどうかにかかわらず、Personioにはまだ成長の可能性が高いということであり、同社が必要とする前に都合よく調達された今回の資金は役に立つだろう。新技術の導入により、将来的には人事部門以外の中小企業にも自動化サービスを提供できる可能性が出てきたため、今回の評価額の大幅な上昇は、中小企業に人事部門を進出させるための大きなチャンスであると同時に、その多様化にも関係していると考えられる。

「小規模企業は欧州経済を支える存在ですが、従来の企業では長い間、十分なサービスを受けられず、見過ごされてきました。Personioは、従業員のライフサイクル全体にわたって人事業務プロセスを簡素化し、大手企業がもっていた機能を広く普及させ、生産性を一段階向上させてくれました」とGreenoaks(グリーンオークス)の創業者兼マネージングパートナーであるNeil Mehta(ニール・メータ)氏は語っている。「私たちは、世界有数のプライベート・テクノロジー企業の多くとパートナー関係にあることを幸運に思っていますが、Personioのチームは、まだ彼らのミッションに着手したばかりだと確信しています。「人事業務プロセス自動化」のカテゴリーを立ち上げることで、ヨーロッパ中の企業にさらに多くの価値を提供することができるでしょう。私たちは、Personioのスリリングなステージに参加できることを誇りに思うとともに、今後も末永くパートナーであり続けたいと思っています」。

長期的には株式公開も視野に入れているが、ここで強調したいのは、その「長期的には」の部分だ。Personioは現在5億ドル(約560億円)の資金を調達しているが、レナー氏は次のステップを考えるのは少なくとも18〜24ヵ月後だと述べている。「公開を急いでいるわけではありません」と彼は語っている。

画像クレジット:metamorworks / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、Akihito Mizukoshi)

統合が進むRPA業界、Blue PrismがVistaに約1652億円で売却される

2020年来、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)市場は大盛り上がりだが、市場のパイオニアの1つであるBlue Prism(ブルー・プリズム)がVista Equity Partners(ビスタ・エクイティ・パートナーズ)に10億9500万ポンド(約1652億円)で売却されることが、米国時間9月28日の午前、英国での申請により明らかになった。2020年、多くのRPAスタートアップ企業が大手ベンダーに買収されたが、今回の買収は、RPA分野のトップ3ベンダーのうちの1社が関与した初めてのケースだ。

これは込み入った取引で、申請書によればVistaは、Vistaファンドが間接的に所有するBali Bidco Limited(バリ・ビドコ・リミテッド)という企業を設立し、同社がVistaに代わって購入を行う。そのような金融メカニズムを使った理由は不明だが、最終的にはVistaがBlue Prismを買収し、2014年にVistaが43億ドル(約4796億円)で買収していたTibco(ティブコ)に統合する予定だ。

Blue Prismは、申請書内での自己申告によれば、先の3月の年次総会以降厳しい状況に直面し、選択肢を模索していたという。「Blue Prismの取締役会は、当社が直面している戦略上および経営上の逆風、経営上の重大なリスク、および株主のみなさまからのフィードバックを考慮して、さまざまな戦略的選択肢を検討しました」と同社は申請書中で述べている。

そうした選択肢の1つが売却であり、それが会社にとって最善の方法であると判断したのだ。Blue Prism社の会長でCEOのJason Kingdon(ジェイソン・キングドン)氏は、これがより強固な基盤を築くための最良の道であると考えている。

「VistaとTibcoが合併することで、私たちは次世代のインテリジェントオートメーションの最前線に立ち続けることができます。Tibcoの世界に広がる拠点と技術により、お客様に提供する製品の範囲を拡大することができるのです。また、株式非公開企業として、製品への投資やその他のM&Aの可能性を通じて新たな成長機会を追求するために、資金調達を拡大することができるのです」と、キングドン氏は声明で述べている。

私たちは、Blue Prismが売却を決断した理由を探るために、過去の営業成績を調査した。2021年4月30日までの6カ月間の売上高は8040万ポンド(約121億2000万円)で、実質為替レートベースで前年同期比24%増となっている。同じ期間に、Blue Prismは、営業損失を5380万ポンド(約81億円)から2090万ポンド(約31億4700万円)に圧縮した。

赤字の解消は進んでいたものの、不採算の程度に比べて成長が遅れていた。今回の取引が発表される前にBlue Prismの評価額は下落しており、一般投資家がBlue Prismの業績に満足していないことが示されていた。VistaはBidco(ビドコ)を通じてBlue Prismにプレミアムを支払っているが、Blue Prismの評価額は最近の下落が始まる前の2021年の初頭に比べて、さらに低くなっている。

同社の2021年上半期の収益を見て、それを1年分に推定してみると、Blue Prismは収益の約6.8倍で売却されたことになる。これは、Blue Prismのようにゆっくりと成長している企業の、ヨーロッパ市場におけるエグジットバリューを示しているので有益な数字だ。Vistaは、Tibcoとの買収・統合が有益なものになると確信しているようだ。

1997年に設立されたレガシーベンダーのTibcoは、企業内のデータソースを接続するための幅広い自動化サービスを提供しているが、Blue Prismは組織内のレガシーのありふれたタスクを自動化するためのRPAサービスを提供している。Blue Prismは、成長するRPA市場においてTibcoを手助けすることができるので、少なくとも理屈の上では、両社はうまく調和するはずだ。

2020年のガートナーのレポートによると、この分野のベンダーのトップ3には、2020年上場して話題になったUIPath、Automation Anywhere(オートメーション・エニウェア)、Blue Prismがが並んでいた。2020年のレポートでIDCは、RPA市場は2021年20億ドル(約2230億円)に達すると推定しています。これはRPAにまつわる宣伝文句を考えると控えめな金額だが、IDCは2024年までには59億ドル(約6570億円)に達すると予想している。

この業界では統合が進んでおり、2020年は小規模な企業が大規模な企業に買収されてきた。最近では、Salesforce(セールスフォース)がドイツのスタートアップであるServicetrace(サービストレース)を買収してMulesoft(ミュールソフト)と統合したが、これはVistaがBlue Prismを買収してTibco取り込むのと同じような種類の動きだ。MulesoftとTibcoはお互いを競争相手といえるだろう。

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この取引は、Blue Prismの株主総会での承認と、通常の規制当局の手続きを経て行われる。このニュースを受けて、Blue Prismの株価は2.12%下落している。

画像クレジット:mbortolino / Getty Images

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(文:Ron Miller、Alex Wilhelm、翻訳:sako)

Salesforceが熱いRPAに参入、Servicetraceを買収してMulesoftと提携

ここ数年、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の動きが熱くSAPやIBM、ServiceNowなど投資やM&Aが盛んだ。UIPathは2021年4月に大型のIPOを実施し、時価総額は300億ドル(約3兆3000億円)を超えている。Salesforceはいつこの動きに加わるのかと筆者は思っていたが、米国時間8月2日、同社はドイツのRPA企業であるServicetraceを買収する意向を発表し、RPAの世界に足を踏み入れることになった。

Salesforceは2018年に65億ドル(約7104億5000万円)でMulesoftを買収したが、SalesforceはServicetraceをこのMulesoftの一部にする意向だ。両社は買収額を明らかにしておらず、それほど大きな金額ではない模様だ。Servicetraceが加わればMulesoftのAPI統合とは良い組み合わせで、Mulesoftのツールキットにオートメーションのレイヤーを追加できるだろう。

MulesoftのCEOであるBrent Hayward(ブレント・ヘイワード)氏は買収に関するブログ投稿で「MuleSoftにServicetraceが加わることで、優れた統合、API管理、RPAプラットフォームを提供でき、どこからでもつながれるエクスペリエンスを実現するSalesforce Customer 360が大幅に強化されるでしょう。新しいRPA機能はSalesforceのEinstein Automateソリューションを拡張し、サービスや販売、製造などのあらゆるシステムでエンド・ツー・エンドのワークフローオートメーションを可能にします」と書いている。

SalesforceのAIレイヤーであるEinsteinを使うと企業はモダンなツールで特定のタスクを自動化できるが、RPAはもっと旧来型の業務に適している。この買収は、Salesforceが古いオンプレのツールとモダンなクラウドソフトウェアの切れ目を埋めるための新たなステップになるかもしれない。

CRM Essentialsの創業者で首席アナリストのBrent Leary(ブレント・リアリー)氏は、この買収によってSalesforceのDXツールが新たな局面を迎えるという。同氏は次のように説明する。「Salesforceがこれまでの最大規模であるSlackの買収をしてから次の買収までにそれほど時間はかかりませんでした。しかし増加する多様な情報源から得られるリアルタイムのデータによって有効性を発揮するプロセスやワークフローのオートメーションは、DXで成功するための鍵になりつつあります。今回の買収はSalesforceとMuleSoftにとって、このパズルに欠かせないピースです」。

Salesforceの市場参入は遅かったように思えるが、2021年5月にTechCrunchが掲載した投資家に対するアンケート記事の中でCapitalGのゼネラルパートナーであるLaela Sturdy(ラエラ・スターディ)氏は、我々はRPAの可能性について表面をすくっているにすぎないと語っていた。

スターディ氏はアンケートに次のように回答した。「この分野の成熟について考える段階にはまだまだ至っていません。実際、RPAの計り知れない可能性を考えると、採用は始まったばかりです。さまざまな業界に存在する膨大なユースケースを探り始めた企業がほとんどです。RPAを取り入れる企業が増えれば、多くのユースケースが見えてくるでしょう」。

ServicetraceはRPAの概念が生まれるよりもかなり前の2004年に創業した。資金調達についてはCrunchbaseにもPitchBookにも掲載されていないが、同社のウェブサイトからは充実した製品群を有する成熟した企業であることがうかがえる。同社の顧客には富士通、Siemens、Merck、Deutsche Telekomなどがある。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:SalesforceServicetrace買収RPAMuleSoft

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(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

中国版UiPath、RPAスタートアップLaiyeが54億円のシリーズC+を完了

CEOのワン・グアンチュン氏(画像クレジット:Laiye

ここ数カ月、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)が話題になっている。ニューヨークを拠点とするUiPath(ユーアイパス)は、2021年2月に350億ドル(約3兆8000億円)という驚異的な評価額を得た後、新規株式公開(IPO)に向けて動き出した。そして中国では、同国産のRPAスタートアップLaiye(ライヤ、来也)が話題になっている。

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キーボード操作やマウスクリックなどの、職場のありふれた作業を模倣するソフトウェアを開発しているLaiyeが、シリーズC+ラウンドで5000万ドル(約54億円)を調達したことを発表した。今回の資金調達は、北京を拠点とする同社が、シリーズCラウンドの第1回目の資金調達を行ってから約1年後に行われた。

Baidu(バイドゥ、百度)の元従業員たちが率いる設立6年目のLaiyeは、公開情報によれば、これまでに1億3000万ドル(約140億4000万円)以上を調達している。

今回のシリーズC+ラウンドを主導したのは、中国の金融コングロマリットであるPing An(ピン・アン、平安)のアーリーステージ戦略投資ビークルであるPing An Global Voyager Fundと、政府支援のファンドであるShanghai Artificial Intelligence Industry Equity Investment Fundだ。その他、Lightspeed China Partners、Lightspeed Venture Partners、Sequoia China、Wu Capitalが投資に参加している。

RPAツールは、オフィスでの共同作業に支障を及ぼしてきた新型コロナウイルス(COVID-19)の中で、ワークフローを自動化する方法を探している企業を魅了していいる。とはいえ、この企業向け技術であるRPAは、パンデミックの前からすでに注目を集めていた。私の同僚であるRon Miller(ロン・ミラー)記者は、2021年4月、UiPathがS1(IPO目論見書)を申請した直後に次のように書いている

「このカテゴリーは、その時点ではレガシーな文脈での自動化を扱うことで人気を集めていた。それは、既存技術に深く絡みつかれている企業、すなわち実質的にはクラウド化されていないすべての企業が、古いプラットフォームを大手術したり置き換えたりしなくても自動化することができるというものだ(高価でリスクの高い大工事は普通のCEOならやりたがららないものだ)」。

たとえば一例として、かつて蘭州市の社会保障担当者は、年金受給者の情報を入力し、その内容が正しいかどうかを手作業で確認していたが、LaiyeのRPAソフトウェアを使用することで、口座照合作業時間を75%短縮することができた

また、中国南部のいくつかの都市では、国勢調査の自動化にLaiyeのチャットボットが活躍し、国勢調査員が一軒一軒家を訪問する必要がなくなった。

Laiyeによれば、2020年の第4四半期に、同社のRPAエンタープライズ事業がプラスのキャッシュフローを達成し、チャットボット事業が黒字化したという。その無料版は40万人以上の開発者が使っているが、同時にLaiyeはフリーランス開発者と自動化を必要とする小規模な企業をつなぐボットマーケットプレイスも運営している。

Laiyeはグローバルにサービスを展開しており、現在はアジア、米国、ヨーロッパに展開できているという。

Laiyeの会長でCEOであるWang Guanchun(ワン・グアンチュン)氏は「Laiyeは、今後3年間で、世界最大のソフトウェアロボットの開発者コミュニティを育成し、世界最大のボットマーケットプレイスを構築することを目指しています。そして2025年までには少なくとも100万人のソフトウェアロボット開発者を認定する予定です」と語る。

「より多くの人間の労働者がRPAやAIの知識でアップスキルできるようになれば、デジタル・ワークフォースとインテリジェント・オートメーションがすべての職業に浸透すると信じています」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:LaiyeRPA中国資金調達

画像クレジット: LaiyeCEOのワン・グアンチュン氏)

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(文:Rita Liao、翻訳:sako)

企業向けノーコードツールの米国展開に向けてベルリンのBryterがさらに72.5億円調達

ノーコードスタートアップ企業が、企業の間で多くの支持を集め続けている。ノーコードを使って、従業員たち(まあ非技術者ではあるもののソフトウェアそのものは毎日利用しているような人たち)が、自分の仕事の反復的な部分を実行させるためのアプリを作っているのだ。そうした従業員たちは仕事の世界では「市民コーダー」とも呼ばれている。

ベルリンを拠点とするBryter(ブライター)は、AIを活用したノーコードの新しいスタートアップだ。これまでに約100社のグローバル企業で、約2000のビジネスアプリケーションやワークフローに利用されているプラットフォームを、構築してきたが、今回そのチャンスをさらに拡大するために、新たな資金調達を発表した。今回BryterがシリーズBとして調達したのは6600万ドル(約72億5000万円)で、この資金は、同社のプラットフォームへの投資と、2020年開設したニューヨークオフィスから始める米国全体に向けての事業拡大に充てられる。CEOで共同創業者のMichael Grupp(マイケル・グラップ)氏はインタビューの中で、今回の資金調達は、同社のツールに対する多くの需要があることを受けて行われたものだと語っている。

Micha-Manuel Bues(ミカ=マヌエル・ビュー)氏ならびにMichael Hübl(マイケル・ヒューベル)氏と、共同で会社を創業したグラップ氏は「2020年はローコード、ノーコードのプラットフォームにとってすばらしい年でした」と語る。「みんなが気づいたのは、ほとんどの人は技術に関心がないということです。人びとはユースケースにしか関心がないのです。仕事を終わらせたいだけなのですから」。彼らのサービスを使う顧客には、欧州のMcDonald’s(マクドナルド)、Telefónica(テレフォニカ)、PwC、KPMG、Deloitte(デロイト)をはじめとして銀行、ヘルスケア、そして製造業などが名を連ねる。

今回のラウンドを主導しているのはTiger Globalで、既存の投資家であるAccel、Dawn Capital、Notion Capital、Cavalry Venturesが参加し、そして数多くの個人投資家たち(たとえばDataDog CPOのAmit Agharwal(アミット・アガルワル)氏、Qilkの元CEOのLars Björk(ラーズ・ビョーク)氏、Seal Softwareの創業者でCEOのUlf Zetterberg(ウルフ・ゼッターバーグ)氏、ServiceNowの元グローバルSVPのJames Fitzgerald(ジェームズ・フィッツジェラルド)氏など)も加わっている。

AccelとDawnが共同して主導した1600万ドル(約17億6000万円)のシリーズAが行われたのは、まだ1年も経っていない2020年6月のことだった。この急速な資金調達ペースは、ノーコード / ローコード両分野への関心の高さを示すものであり(Bryterの企業顧客数はそのときの50社に比べて倍増している)、同時にこの分野のスタートアップたちが鉄は熱いうちに打とうとしていることを示している。

この分野を狙うのは1社だけではない。Airtable(エアテーブル)、Genesis(ジェネシス)、Rows(ロウズ)、Creatio(クリエシオ)、Ushur(アッシャー)など、ここ数カ月の間に資金調達を行った「非技術者のためのハンズオンテック」指向のスタートアップ企業は多い。

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自動化が、このような活動を推進する大きなトレンドとなっている。現在、ナレッジワーカーたちは、ほとんどの時間をアプリで過ごすようになっている。これはパンデミック以前から進んでいた状況だが、パンデミックの中でさらに進んでいる。そうした作業の中には、人の手による作業や評価が必要なものもあるが、ソフトウェアによってそれらの作業の大部分が自動化されてきている。

UiPath(UIパス)、Automation Anywhere(オートメーション・エニウェア)、Blue Prism(ブルー・プリズム)などの企業が大きな役割を果たしているRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、そうした活動の大きな部分を占めている。特にフォームの読み取りや大量のデータ入力に関しては顕著だ。しかし、RPAが一般的に使用されていない(少なくとも「まだ」使用されていない)、特定のアプリ内での多くの処理や活動が残されている。そしてそういう場所こそが、技術者ではない人たちが、Bryterのようなノーコードツールが非常に有用な役割を果たしてくれることに気づいている場所なのだ。そうしたノーコードツールは、人工知能を利用して、よりパーソナライズされ、しかも拡張性のある自動化を実現してくれる。

「多くのケースで、私たちはRPAのさらに上にサービスを提供しています」とグラップ氏はいう。

同社のプラットフォームが導入されている分野は、コンプライアンス、法務、税務、プライバシーとセキュリティ、調達、管理、人事などで、そこにバーチャルアシスタント、チャットボット、インタラクティブなセルフサービスツールなどが組み込まれているという。これらは人間に代わるものではないが、情報を処理するための特定の作業に必要な人間の時間を削減してくれる。

そのスケーラビリティの高さと、技術的なアーリーアダプターを超えて急速に顧客を獲得できたことが、今回の資金調達の理由だ。Tiger GlobalのパートナーであるJohn Curtius(ジョン・クルティウス)氏はこう語る「Bryterは、顧客の真の痛みを解決できる高品質の製品、大きな市場機会、世界クラスの創業チームなど、一流のソフトウェア企業の特徴をすべて備えています。私たちの調査によれば、Bryter社の顧客からのフィードバックは圧倒的に肯定的なものでした。今後数年間で同社が新たな高みに到達することを期待しています」。

Dawn CapitalのパートナーであるEvgenia Plotnikova(エブガニア・プロットニコバ)氏はこう付け加える「Bryterは2020年爆発的な成長を遂げ、多くの分野やユースケースですばらしい顧客を獲得しました。しかし、これは驚きではありません。パンデミックの影響を受けた世界では、デジタル化は『あれば便利』なものではなく、もはや『必要不可欠』なものなのです」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Bryterベルリンノーコード資金調達ドイツRPA

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:sako)

無名スタートアップから企業価値3.8兆円のRPAユニコーンに登りつめたUiPath成長の軌跡

TechCrunchが2017年にUiPathのシリーズAを取り上げた時、この会社はロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)と呼ばれるほとんど知られていないエンタープライズソフトウェア分野に取り組むルーマニアの小さなスタートアップだった。

その後、同社は次々と数十億ドル(数千億円)の企業評価額をつけられる成長を遂げた。複数の調達ラウンドを経て、2021年2月の7億5000万ドル(約790億円)のラウンドでの評価額は、驚きのの350億ドル(約3兆8399億5000万円)だった。

米国時間3月27日、UiPath(ユーアイ・パス)は速射砲のような進化過程の次期ステップとして、上場のためのS-1書類を提出した。この会社がどれほどの速さで上昇してきたかを知るべく、これまでの資金調達の歴史を見てみよう。

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画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

RPAは、最近ではSAP(サップ)、Microsoft(マイクロソフト)、IBM(アイビーエム)、ServiceNow(サービスナウ)などの大手エンタープライズソフトウェア会社が参入したことでよく知られている。RPAを導入することで、企業は保険の申請などの面倒な作業を自動化し、業務を自動的に遂行することで、人間は必要不可欠な作業に専念できる。例えば人がメールからスプレッドシートに数字を移し替える代わりに、RPAが自動的にやらせることができる。

2019年6月に大手調査会社のGartner(ガートナー)はRPAについて、エンタープライズソフトウェアで最も急成長している分野であり、年間60%の伸びで投資家だけでなく大手エンタープライズソフトウエア企業もひきつけていることを報じた。RPAの成長スピードは成熟とともに鈍化したものの、2020年9月のGartnerレポートによると、成長率は19.5%と堅調で2021年の売上総額は20億ドル(約2190億円)に達すると予測している。Gartnerは、UIPath、Blue Prism(ブルー・プリズム)、Automation Anywhere (オートメーション・エニウェア)らのスタンドアロンRPAが市場をリードしていると伝えている。

市場規模は、会社評価額と比べてやや小さく感じるが、この分野まだ生まれたばかりだ。この日のS-1申請書類には、獲得可能な市場規模(TAM)は600億ドル(約6兆5713億円)、というバラ色の展望が描かれている。TAMの予測は概して大きめになる傾向があるが、UIPathはこの数字について、純粋なRPAから同社が「Intelligent Process Automation(インテリジェント・プロセス・オートメーション)」と呼ぶものへと変遷することを見込んでいると説明している。そこにはRPAだけでなく、プロセス発見ワークフロー、ノーコード開発などさまざまなかたちのオートメーションが含まれている。

実際、TechCrunchがプロセスオートメーション市場の急成長について書いたように、UiPathがさらに成長するためには、これらの分野へも進出する必要があるだろう。特に、エンタープライズオートメーション市場を巨大企業と競っていることを考えればなおさらだ。

UiPathは上場前の沈黙期間の真っ只中にいる間に、Cloud Elements(クラウド・エレメンツ)の買収を発表した。APIインテグレーションを提供する会社で、エンタープライズのオートメーションにとって重要な要素だ。UiPathの共同ファウンダーでCEOであるDaniel Dines(ダニエル・ダインズ)氏はこの買収について、オートメーションツールのための大型プラットフォーム構築のためだと語った。

「Cloud Elementsの買収は、当社が柔軟でスケーラブルなエンタープライズ向けプラットフォームを構築し、顧客企業を完全オートメーション化する方法の一例にすぎません」と同氏は声明で述べた。

声明の多くはCEOトークだったが、会社がより大きなオートメーションストーリーを描いていることを示す真実もあった。同社は並外れた資金調達で得た現金を使って、独自のビジョンを拡大し、プロダクトロードマップに欠けている部分を埋めるための小さな買収を始められる。

同社が急速に展開する市場で戦うためには、それ以上のことを成し遂げる必要がある。事業のさまざまな部分を多くのベンダーが狙っているからだ。上場への旅を続ける間に、UiPathはより多様なオートメーション分野のさまざまな部分に手を広げ売上を増やす新たな方法を見つける必要があるだろう。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:UiPathRPA新規上場

画像クレジット:Visual Generation / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ロボティック・プロセス・オートメーションのUiPathがIPO申請

米国時間3月26日午前、よく知られたロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)のユニコーンであるUiPath(ユーアイ・パス)が上場申請した。

同社はこのS-1書類提出に至るまでに、非公開企業として数十億ドル(数千億円)の資金を獲得しており、史上有数の資金豊富なスタートアップに数えられている。たとえば2020年だけを見ても矢継ぎ早に資金を調達し、12カ月以内にシリーズEシリーズFを完了している。

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UiPathの申請書類には同社の急成長ぶりが詳しく書かれている。2020年1月31日までの会計年度から2021年1月31日までの会計年度の間に、UiPathの売上は3億3620万ドル(約368億8000万円)から6億760万ドル(約666億6000万円)へと81%近い成長を見せた。この売上増によって、GAAP純利益は2020年1月年度の-5億1990万ドル(約-570億4000万円)から2021年1月の-9470万ドル(約-103億9000万円)へと改善された。

UiPathの非公開市場での企業価値は、2020年7月の102億ドル(約1兆1191億2000万円)から、2021年2月の350億ドル(約3兆8399億5000万円)へと跳ね上がった。

同社に出資している27の投資家にとって、今回のIPO申請は非常に重大な出来事になる。もしもUiPathがその恵まれた非公開評価額を維持できれば、IPOは成功と見ることができる。しかし、最新ラウンドの出資者たち(Alkeon CapitalとCoatue、両者はシリーズEもリードした)は、同社の市場価値がさらに上昇することを望んでいる。

果たして、UiPathの公開市場価値が350億ドルを超えるかどうか、それはまだわからない。

同社の財務状態は、急成長企業らしく会計2020年度の出費は非常に大きかった。UiPathは営業・マーケティングコストから研究開発費、一般管理予算にいたるまで最新年度で切り詰めた。その結果同社の総利益率は費用削減の効果で大きくなった。そしてその結果、収益性と現金創出が劇的に向上した。

S-1書類によると「UiPathの2020年1月末会計年度と2021年1月末会計年度の営業キャッシュフローはそれぞれ、-3億5940万ドル(約-394億2000万円)と292万ドル(約3億2000万円)、フリーキャッシュフローは-3億8040万ドル(約-417億3000万円)と260万ドル(約2億8000万円)」だった。これは著しい好転であり、同社のGAAP純利益率の向上よりも目覚ましいと言えるだろう。

UiPathからはさらに情報がでてくるはずで、中でも4半期決算の詳細は「今後の目論見書の修正」に入ると同社は言っている。

全体を通じて、UiPathは最新会計年度で営業面の大幅な増益を果たした。これは上場するソフトウェア会社の誰もができることではない。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:RPAUiPath新規上場

画像クレジット:Noam Galai/Getty Images for TechCrunch / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

買収ラッシュのServiceNowが今度はインドのRPAスタートアップIntellibotを獲得

ServiceNow(サービスナウ)はインド・ハイデラバード拠点のRPA(ロボットによる業務自動化)スタートアップIntellibot(インテリボット)の買収を発表し、RPAを思い切って取りこむ最新の企業となった。両社は買収価格を公表しなかった。

今回の買収は、企業が組織内の業務の自動化に目を向けていることを受けてのものだ。RPAは往々にして人が退屈な繰り返し作業を行うことをともなう一連の古いプロセスを自動化する方法を提供する。

発表はServiceNowの2021年3月初めのノーコードワークフローの発表に続くもので、同社のクリエイターワークフロープロダクト担当のSVPであるJosh Kahn(ジョッシュ・カーン)氏によると買収は社の広範なワークフロー戦略の一環だという。

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「RPAはローコードツール、ワークフロー、プレイブック、150超の統合、機械学習、プロセスマイニング、予測分析を含むServiceNowの現在の自動化機能を増強します」とカーン氏は説明した。今回の買収で企業はRPAをネイティブのものとしてプラットフォームにもってくることができ、それでも顧客が必要とするなら他のベンダーのRPAボットを使うこともできると同氏はいう。

「ServiceNowの顧客はAutomation Anywhere、UiPath、Blue PrismといったRPA専門のベンダーのボットを組み込んだワークフローを構築でき、また当社は引き続きそうした企業との提携を続けます。顧客がインテリジェントでエンド・ツー・エンドの自動化作業をNow Platformで構築するとき、当社のパートナーのRPA機能とともに当社ネイティブのRPA機能を使いたいというケースが多く出てくるでしょう」とカーン氏は説明した。

この買収は、他のエンタープライズベンダーがRPA市場に参入する中で行われた。SAPは2020年12月末に新しいRPAツールを発表し、1月にプロセス自動化スタートアップのSignavioを買収した。一方、Microsoftは2021年3月初めに無料のRPAツールを発表し、この分野は明らかに大手企業の注意を引きつつある。

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ServiceNowはこの1年ほどで、Element AILoom SystemsPassage AISweagleを含む5社を立て続けに買収した。買収はすべて企業が組織内で自動化を構築するのをサポートするサービスだとカーン氏は話す。

「これらすべてのテクノロジーをNow Platformに持ってくることで、当社はより多くの洗練されたユースケースを自動化する能力を向上させます。手書きのものや電子メール、PDFのような書類の非構造化データのより良い取り扱い、そして大きなデータセットやルーティーンでないタスクのようなより弾力性のある自動化などです」とカーン氏は話した。

Intellibotは2015年に創業され、インドにおける強固な足がかりをServiceNowにおまけとしてもたらす。両社は2021年6月までの買収完了を見込んでいる。

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タグ:ServiceNow買収RPA

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

AIを中心とするプロセス・オートメーション・プラットフォームのDeepSee.aiが24.7億円のシリーズA調達

米国時間3月15日、企業がAIを利用して基幹業務の課題を自動化することを支援するスタートアップ企業のDeepSee.ai(ディープシーAI)が、ForgePoint Capitalの主導する2260万ドル(約24億7000万円)のシリーズAラウンドを実施したことを発表した。今回のラウンドには、前回の投資家であるAllegisCyber CapitalとSignal Peak Venturesも参加していて、ソルトレイクシティを拠点とするDeepSee.aiのこれまでの資金調達総額は3070万ドル(約33億5000万円)に達した。

同社は、これまでとは異なるプロセスオートメーションを、企業に対して提供するのだという。最近の業界のバズワードといえば「ロボティック・プロセス・オートメーション」(RPA)だが、DeepSee.aiはその内容が異なると主張している。私はそのシステムを「ナレッジ・プロセス・オートメーション」(KPA)と形容している。同社自身はこれを「非構造化データを採掘し、AIを活用した知見を運用し、結果を企業のリアルタイムアクションへと自動適用する」システムだと定義している。そして同社はまた、現在世の中で提供されているようなロボットは基本的なタスクの自動化に重点を置いており、高度な機械学習モデルがもたらせるような深い洞察は提供できていないと主張している。また同社は、このシステムがナレッジワーカーの置き換えを目指すものではなく、企業が収集する膨大なデータを実用的な洞察に返還する手助けをAIを活用して行うことを目指すのだと強調している。

画像クレジット:DeepSee.ai

DeepSee.aiのCEOであるSteve Shillingford(スティーブ・シリングフォード)氏は「経営者のみなさまは、科学的なプロジェクトではなく、ビジネス上の成果が必要なのだとおっしゃいます」と書いている。「そして現在、大企業の中でのAIを中心にした展開の多くで、急増している不満は、それらが理論的にはすばらしいものでありながら、本番ではほとんど失敗するということなのです。私たちはその理由を、現在の『AIアプローチ』には全体的なビジネスコンテキストへの関連性が欠けているからだと考えています。思慮に欠け、硬直していて、現場の専門家の文脈に沿った意見も取り入れられていません。私たちは、強力なテクノロジーと基幹業務の間のギャップを、適用可能なソリューションでつなぐために、DeepSeeを創業致しました。そのソリューションをお使いいただくことで、お客さにAIを活用した自動プロセスを運用していただくことが可能になります。すなわちより速く、より良く、そしてより安価な結果がもたらされるのです」。

DeepSee.aiは、顧客企業がそのプラットフォームを使い始めることができるように、3つのコアツールを提供している。まず、構造化されていないデータを取り込み、ラベリング、モデルレビュー、そして分析の準備を行うDeepSee Assembler(ディープシー・アセンブラー)がある。その後、DeepSee Atlas(ディープシー・アトラス)がこのデータを使用して、企業のビジネスプロセスを理解できるAIモデルを訓練する。そして対象業務の専門家が、企業の内部プロセスを自動化するためのテンプレート、ルール、ロジックを定義する手助けを行う。そして、それらとは並行して、企業がビジネスプロセスをよりよく理解し評価することができるように、3つ目のツールであるDeepSee Advisor(ディープシー・アドバイザー)がテキスト分析に焦点を当てる。

現在、同社はこれらのツールを保険会社、公共事業関係、資本市場に提供することに重点を置いている。たとえば保険分野では不正行為の検知、保険請求の予測と処理、大量の非構造化データを利用して代理店監査のためのパターンを特定するといったユースケースがある。

これは1つのスタートアップとしては比較的限られた数の業界だが、同社は今回の資金調達で製品開発を加速させ、新たな業界にも進出していくと語る。

ForgePoint CapitalのマネージングディレクターであるSean Cunningham(ショーン・カニンガム)氏は「KPAを使うことで、基幹業務の責任者の皆さまは、データサイエンスと企業の成果を結びつけ、AI / ML(人工知能 / 機械学習)を活用した自動化を大規模に運用し、予測的な洞察をリアルタイムに利用して収益の拡大、コストの削減、リスクの軽減を図ることができるのです」と語る。「ForgePointは、一流のサイバーセキュリティ投資家として、インサイダーの脅威、データの可視化、コンプライアンスといった、セキュリティに関わる日々の課題を認識しています。今回のDeepSeeへの投資は、ビジネスオートメーションのリスクを低減させる能力を加速させ、お客さまたちが実装に必要となさるAIの透明性を実現します」。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:DeepSee.aiRPA資金調達

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:sako)

Infinitusが医療企業を対象とした「新世代のロボコール」で22.6億円獲得

ロボット・プロセス・オートメーション(RPA)は、人がより複雑な作業に集中できるよう、AIやその他のテクノロジーを効果的に活用して反復的な作業を自動化することで企業のIT分野を支えてきた。Infinitusというスタートアップがこの概念を医療分野に適用し、分断された米国の医療業界における音声通信プロセスを高速化すべく、これまでの沈黙を破り忽然と姿を現した。

例えば、医療提供者や薬局が保険会社へ電話する場合、支払い承認や手続きの前に通常一般的な質問を相手側の人間に尋ねるが、Infinitusは「音声RPA」を用いて音声を機械で生成することでこのプロセスを代行するというサービスを提供している。これらの会話はその後Infinitusのプラットフォームに取り込まれ、関連情報を解析して適切なフィールドに入力され、必要なアクションへと繋げられる。

同スタートアップは「ステルスモード」から脱したところだが、実はすでに数年前から存在しており、医薬品卸大手のAmerisourceBergenなど多くの大手ヘルスケア企業と契約を結んでいる。また、現在のパンデミックをめぐる公衆衛生のための取り組みにもその技術を社会貢献として無償で提供しており、ある組織では現在、ワクチンの入手可能性についての情報を得て最も早くワクチンを必要としている層により早く接種できるようにするため、複数の州にまたがる大規模な通話システムを自動化すべくこの技術を活用している。

同社のシステムは2021年1月だけで1万2000の医療提供者に代わって7万5000件の電話をかけている。

Infinitusは大規模な資金調達とともに公に姿を表した。同社はビジネス構築のため、大物投資家グループからシリーズAの資金調達で2140万ドル(約22億6000万円)を得ている。

同ラウンドはKleiner PerkinsとCoatueが共同でリードしており、Gradient Ventures (Googleの初期AIファンド)、Quiet Capital、Firebolt Ventures、Tau Venturesの参加の他、Ian Goodfellow(イアン・グッドフェロー)氏、Gokul Rajaram(ゴクル・ラジャラム)氏、Aparna Chennapragada(アパルナ・チェンナプラガダ)氏、Qasar Younis(カサル・ユニス)氏などAIおよびビッグテック界で活躍するエグゼクティブからの個人投資も受けている。

CoatueはRPA分野において大規模な投資家になろうと目論んでおり、2月初めにはこの分野の有力企業であるUiPathへの最新の投資を共同で主導したことを明らかにしている。同社は前ラウンドにも参加している。

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「InfinitusのシリーズAをリードすることができ大変光栄です。私たちは、RPAとエンタープライズオートメーションの変革力を大いに信じています。Infinitusの音声RPAソリューションは医療機関にとってコストのかかる手動の電話やファックス作業を自動化し、エンドツーエンドでのプロセス自動化のメリットを発揮してくれることでしょう」とCoatueのジェネラルパートナーYanda Erlich(ヤンダ・アーリック)氏は述べている。

Infinitusが取り組んでいる課題は、特に民営化が進んだ米国市場の医療分野でありがちな、わかりにくく時間がかかるお役所的な手続きの煩わしさである。そしてそのプロセスの中で最も煩わしいのが、エコシステム内の異なる段階での重要なコミュニケーションの基礎となる電話での通話にあることが多い。

電話は、重要な情報を入手したり書類や前回の会話を確認したり、データを渡したり支払いの手続きをしたりと、ほとんどのプロセスを始める際に使用されている。

米国ではこの種の通話が約9億件あり、1回の長さは平均35分となっている。こういった電話をかける必要のある事務職の医療従事者は、1日に平均して約4.5時間を電話に費やすことになる。

そしてこれが結果的に、サービス提供の遅れのみならず、米国の法外な医療コストや領収書上の謎の手数料の数々につながるわけだ(そして同社が取り組んでいるのは、こうした課題のほんの一部である)。

共同設立者兼CEOのAnkit Jain(アンキット・ジェイン)氏は、幾度となく起業家として活躍してきたGoogle出身者で、エンジニアリングの上級職や検索大手Gradientの創業パートナーを務めた経験を持つ。同氏はTechCrunchとのインタビューで、同氏がまだGradientにいた数年前にInfinitusのアイデアを初めて思いついたと教えてくれた。

「当時、テキストを音声に、音声をテキストにする音声通信技術に大きな改善が見られるようになっていました。機械が誰かと完全な会話を行えるような通話の自動化が、そのうち可能になると確信しました」。

実際、その頃にはGoogleがDuplexという同じ原理で作られたサービスを開始していたが、これは消費者を対象としたもので、レストランやその他さまざまなサービスなどの予約のために利用されることを目的としていた。

特殊な専門用語や特定のシナリオが多々ある医療業界のエンタープライズアプリケーションでは、人間のように自然な言葉を話せて理解できるかどうかだけが問題なのではないと同氏は判断した。

「医療分野のために誰かがこれを作るとしたら、医療業界は変わると思いました」と同氏。そして自身でそれを実行に移したのである。

ジェイン氏は、同氏が以前設立したQuettraの他、GoogleやSnapでも勤めた経験を持つShyam Rajagopalan(シャム・ラジャゴパラン)氏とともに同社を共同設立した。同氏によるとInfinitusはパブリッククラウドの音声テキスト化システムを利用しているが、会話から得た情報を格づけして利用するための自然言語処理やフローは社内で構築しているという。

コンテンツやインタラクションの特殊性も、同社が少なくとも今現在はRPA界の大手他社との競合をさほど気にしていない理由の1つだろう。

しかしジェイン氏はこのテクノロジーも競争と無縁ではないと述べている。つまり同社が医療以外の分野にも拡大していく可能性があるということを示唆するのと同時に、他の企業も同社の製品と戦えるようなものを作り出す可能性があるということだ。

まるで「人間のように」聞こえる、いわば新世代のロボコールともいえるこのようなサービスは、消費者向け製品が長らく目指してきたものだ。その試みはあまり順調ともいえないが、例えばDuplexは初期の頃、データを利用しながら回答を記録している機械と話しているということがユーザーには明らかではなかったため、優れた品質がむしろ詐欺的に聞こえると批判を受けていた。しかしInfinitusはロボットらしい声を意図的に選び、電話の受け手にその事実を明確にしているとジェイン氏は説明する。

これはまた「雑談を減らす」役割もあり、ユーザーが内容に集中できるようにするためでもあると同氏はいう。

同社のサービスも他社の音声RPAサービスと同じように動作し、会話が複雑になった場合には生身の人間が通話を引き継ぐことができるものの、実際にはあまり必要でないという。

「我々のシステムは十分に高い成功率を見せているので、人間が関わる必要はありません」と同氏は語る。

医療業界での電話による通話自体を廃止してしまえば良いのではとお考えの読者もいることだろう。通話の行為が時代遅れといわれるような、データ交換の新たな方法が他にいくらでもあるだろう。しかしジェイン氏によると、少なくとも今のところはこれがすぐに変わることはないという。

その理由の1つは、市場が断片化されているため、無数の保険金支払者、医療提供者、製薬グループ、請求書発行および回収組織などに対する新しい基準を全面的に導入することが困難であるということにある。

そして結局のところ、何百種類もの決済会社などを扱う事務職員にとっては、電話での通話が最も簡単な手段なのだ。

「認知的な負荷が高いため、電話をかけるのが結局は一番楽な方法なのです」とジェイン氏はいう。

Infinitusのような音声RPAの導入は、大規模なシステムのアップデートに向けた長期戦のほんの一部である。

「どちらか一方が自動化することで、もう片方の側にも自動化が可能だということを示すことができます。今はあまりにも多くの関係者がいるため同じ基準を採用するよう説得するのは大変な作業ですが、少しずつ成功させていく以外ありません。最終的な着地点は従来の音声による通話ではないはずです。そして大多数が何か別のものを基準とすることに合意できた場合、世界は前進するはずです」とジェイン氏は語る。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:RPAInfinitus資金調達

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

業務自動化のUiPathが約790億円調達、IPOもまもなく

急成長中のロボット・プロセス・オートメーション(RPA)分野におけるリーダーの1社であるUiPathは米国2月1日、350億ドル(約3兆7000億円)という驚くべきポストマネーバリュエーションで7億5000万ドル(約790億円)のシリーズFラウンドをクローズしたと発表した。

既存投資家のAlkeon CapitalとCoatueが共同で本ラウンドをリードし、Altimeter Capital、Dragoneer、IVP、Sequoia、Tiger GlobalそしてT. Rowe Price Associatesのアドバイスを受けたファンドや個人投資家も参加した。Crunchbaseによると、ニューヨーク拠点のUiPathの累計調達額は20億ドル(約2100億円)近くになった。

UiPathは2005年に設立されたが、2015年まで機関投資家から資金を調達しなかったとCrunchbaseにある。2020年12月にCNBCはUiPathの年間売上高が約3億6000万ドル(約380億円)で、 Amazon(アマゾン)やBank of America、Verizonなどを含む6300もの顧客を抱えていると報じている

自らのミッションは「Fully Automated Enterpriseを使えるようにし、そして自動化を通じて労働者に力を与えることで人間の創造性と工夫を解き放つこと」だとUiPathは謳う。同社のオートメーションプラットフォームは、さまざまな部門でオートメーションを構築して動かす方法を企業に提供することで「人間の働き方を変革する」のが目的だ。

同社は「世界中の企業や行政組織のために何百万回も繰り返される気が遠くなるようなタスクを自動化し、生産性や顧客エクスペリエンス、従業員の働きがいを改善する」のに人工知能(AI)と機械学習を使っている。最終目標は労働者により複雑な業務にフォーカスするための精神面でのエネルギーと時間を与えることだ。競合相手としてはMicrosoft Power Automate、Blue Prism、Automation Anywhereなどがある。SAPも最近この分野に進出した。

UiPathは信じられないほど成長してきた。筆者が2019年4月に5億6800万ドル(約600億円)のシリーズDについて記事を書いたとき、同社は200カ国に40万ものユーザーを抱えていた。当時、同社は2017年4月に800万ドル(約8億4000万円)だった年間経常収支(ARR)が2億ドル(約210億円)に増えたと語った。その後同社は、従業員数を2年間で16倍の2500人超に増やしたと明らかにした。またIPOを検討していることも匂わせた。

言葉どおり、同社は証券取引委員会にIPOのためのドラフトを提出した。そのため、大きな資金調達をこのタイミングで行ったというのはなおのこと興味深い。

UiPathの上場は2021年版のSnowflakeのIPOとなるかもしれない。後払い決済サービスを提供するAffirmも最近、IPO申請前に5億ドル(約520億円)を調達するという似たようなアプローチを取った。

UiPathは今回のラウンドについてプレスリリースにある以上のコメントは拒否している。

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タグ:UiPath資金調達RPA

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi)

業務自動化のUiPathが新規上場のための書類を米証取委に非公開で提出

ものすごい勢いで成長しているロボットプロセスオートメーション(RPA)のスタートアップUiPath(ユーアイパス)が、今後予想されているIPOに先立ち、米国時間12月17日米国証券取引委員会(SEC)に非公開で書類を提出した。

同社は声明の中で「UiPath,Inc.は本日、米国証券取引委員会(SEC)にA種普通株式の公開に向けた登録届出書の草案を、非公開で提出したことを発表しました。A種普通株式の売出株式数および公開時の売出価格帯は未定です。UiPathは、SECによる審査プロセスの完了後、市場やその他の条件を勘案して、公募を開始する予定です」と述べている。

同社はこれまでAccel、CapitalG、Sequoiaなどの投資家から、12億ドル(約1240億円)以上の資金を調達している。これまで最大の調達額は70億ドル(約7230億円)という印象的な評価額で2019年4月にCoatueが主導した5億6800万ドル(約586億9000万円)だった(未訳記事)。2020年7月に評価額が102億ドル(約1兆500億円)に急騰した際には、Alkeon Capitalが主導して2億2500万ドル(約233億円)を調達した

7月の増資時には、CEOで共同創業者のDaniel Dines(ダニエル・ダインズ)氏は、IPOの考えを包み隠さず私に話した。

市場の状況を評価している最中ですし、漠然としたことはいいたくないのですが、この日に上場するという日はまだ選んでいません。市場の機が熟したときには自分たちの準備が整っているべきだというのが本心ですが、それがこれから12~18カ月後のことになっても不思議ではありません。

今回の動きは間違いなくその予想された期間の中に入っている。

RPAとは、企業が反復性の高いマニュアルタスクを取り込んで自動化する作業を支援する。たとえば請求書から数字を取り出して、スプレッドシートにその数字を記入し、買掛金としてメールを送信するタスクを、人間が触れることなく行うことができるようにするサービスだ。

企業が既存システム(レガシーシステム)を、崩したりリプレースしたりすることなく、自動化を活用することができるので、現在大きな魅力を持っている技術なのだ。同社は多くの資金を調達し、その評価額が急上昇してきたが、Airbnb、C3.ai、Snowflakeのような企業と同じように、好意的な市場の反応を得られるかどうかは興味深いところだ。

関連記事:評価額1.1兆円超に急増した業務自動化のUIPathがシリーズEで約241億円を追加調達

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:UiPathRPAIPOSEC

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(翻訳:sako)

マイクロソフトが反復の多い作業のワークフローを効率化するPower Automateの機能を強化するProcess Advisorを公開

Power Automateは、企業における反復の多い作業のワークフローを効率化することを目的とするMicrosoft(マイクロソフト)のプラットフォームだ(以前のMicrosoft Flow)。こうしたRPA(ロボット化によるプロセスオートメーション)ツールの市場は現在活況を呈しており、マイクロソフトがこの分野の強化に力を入れるのは驚くにあたらない。数カ月前、マイクロソフトのチームはSoftomotiveを買収し、同社のテクノロジーでPower Automate Desktopを立ち上げた。これは、ユーザーがレガシーのデスクトップアプリケーションのワークフローを自動化するのを助ける。

今回のニュースの目玉(Microsoftリリース)は、マイクロソフトがProcess Advisorという新ツールをプレビュー公開したことだ。これは業務のさまざまなアクティビティを可視化するプロセスマイニングツールの一種だ。デベロッパーと業務のユーザーが協力して自動化プロセスを作成できるコラボレーション環境が提供される。

業務を実施している企業は、特定のプロセスがどのように機能するのか最もよく知るユーザーだ。デベロッパーはオートメーションの専門家であっても特定企業における特定業務プロセスの詳細は知らない。Process Advisorを使用すると、たとえば払い戻し処理にあたってどんな活動が行われたかログを取得してデベロッパーに送信できる。

同様に重要なのはこのシステムが既存プロセスのボトルネックを特定できる点だ。その部分を自動化することにより既存のワークフローを大幅にスピードアップすることができる。

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マイクロソフトのローコードアプリケーション担当コーポレートバイスプレジデントのCharles Lamanna(チャールズ・ラマンナ)氏は取材に答えてこう述べている。

Power Platformについて以前から強調してきたことに戻りますが、困難な作業ですが開発はチームの努力だという点です。これがマイクロソフトの努力の焦点の1つです。デベロッパーとビジネスの現場は通常、接点がありません。こうした人々の間にコラボレーションできる環境を作り、スムーズに共同作業できるようにすることが目的です。ロボットを構築して自動化を行う専門家と、毎日プロセスを実行するビジネスユーザーを実際に結び付けることがオートメーションに素晴らしい結果を産みます。

このツールはPower Automateのバックエンドで作動し、ユーザーが何をどのように使っているか、あらゆる操作を正確にキャプチャーする。次にこの情報はすべてクラウドにアップロードされる。払い戻しのような単純な作業であれば動作を5〜6回記録するだけでPower Automateのシステムはプロセスをマッピングできる。ワークフローが複雑、特異である場合にはプロセスを構築にあたって何度も記録を得ることが必要になる場合もある。

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ラマンナ氏が指摘するように、企業がワークフローとプロセスマップを構築することは自動化のROI(投資効果)を正確に把握するのにも役立つ。

ワークフローマップは自動化を構築するために必須ですが、各ステップでどのくらいの時間がかかった把握し、各自動化のROIを把握するのにも役立ちます。Process Advisorは、今後登場するこれらすべてのローコード / ノーコードテクノロジに採用される最も重要なエンジンの1つになると考えています。企業はリソースを振り向ける価値がある箇所、つまスタッフをトレーニングし、アプリを構築し、AIを利用する価値がある作業を特定できます。効率化を要する部分がわかれば引き続きPower Automateを利用してプロセス・ロボット化していくことができます。

ラマンナ氏は、これをマーケティングにおいてROI(投資効果)を初めて定量化できるようになったデジタル広告の出現に例えた。

PowerAutomateのプロセスマイニング機能は現在プレビュー版として利用できる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook