サブスク向けLTV・解約率改善ツールのKiZUKAIが総額8000万円を資金調達

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AI活用のLTV(Life Time Value)・解約率改善ツールを提供するKiZUKAIは7月13日、STRIVE(ストライブ)とReality Acceleratorから、総額8000万円の資金調達を実施したと発表した。

同社は、LTV・解約率を改善するための専門ツール「KiZUKAI」(キヅカイ)を提供。AIにより「解約の可能性が高い顧客」を抽出し、対象顧客に先読みしたアプローチを行うことで、解約率の改善に取り組める。データ分析のリテラシーがなくても簡単に高度分析が行えるという。

KiZUKAIのAIアルゴリズムは、顧客行動から顧客の解約傾向(顧客ニーズ)を自動分析するとともに、同様傾向の顧客リストを自動作成。それぞれに適したコミュニケーション施策の検討・実施が可能になる。また解約の要因も把握できるので、サービス改善にも有効としている。

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サブスクリプションサービスにとって継続率(=解約率)は非常に重要なテーマとなっており、膨大な顧客データの分析・要因把握を行った上で、顧客との関係構築をしていく必要がある。しかし顧客分析には、高度なシステムおよびそれを扱うハイスペック人材が必要となり、なかなか企業活動に根付かないというボトルネックがあった。

KiZUKAIを利用することで、高度な分析の自動化、顧客の状態の可視化が可能となり、分析にかかる時間を低減し、継続率(解約率)改善に注力可能となるという。

ARMベースMacは13インチMacBook Proからスタートか

Apple(アップル)情報に詳しいアナリストのMing-Chi Kuo(ミン^チー・クオ)氏の新しいレポートは、最近発表されたばかりのアップルのARMベースの独自プロセッサ導入に向けたロードマップの可能性について重要な詳細を伝えている。

クオ氏によれば、今年の第4四半期(10月〜12月)にはアップルの独自プロセッサを搭載した13.3インチのMacBook Proが登場すると改めて指摘している。さらにこれに続いて、最近独自のアップグレードが行われたMacBook Airの新バージョンが2020年第4四半期から2021年第1四半期(1月〜3月)に登場すると報告している。

さらに興味深いのは、14.1インチと16インチの新型MacBook Proが登場すると報じられていることだ。これは、年末までにアップデートされた16インチモデルが13インチモデルと同時に登場するという以前のレポートから変化している。なおMacRumorsが指摘しているように、再設計されたiMacはこのレポートでは言及されていない(MacRumors記事)。

多くの報道によると、新型iMacは年内までに再設計され登場する予定だが、これにはIntel(インテル)製プロセッサが搭載されるという。Apple Siliconを採用したバージョンがデスクトップ向けに登場するのは早くて来年になる可能性が高く、新型iMacは登場してもすぐに時代遅れになるかもしれない。

今のところ公式に発表されているシステムは、開発者向けに特別に設計されたMac miniだけだ。同社はWWDCを利用して、今後のハードウェアのアップグレードに向けて十分な時間をアプリ開発者に与えるために、将来の技術についての貴重な初期情報を提供した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

マイクロソフトが中国製チャットボットXiaoiceをスピンアウト

Microsoft(マイクロソフト)は、共感的チャットボットのXiaoice(シャオアイス)を独立した組織にしようとしている。同社は中国時間7月13日にこの発表を行い、6月に中国のニュースサイトChuhaipost(チューハイポスト)が行っていたレポートを追認した。

この発表に先立ち、数ヶ月前の昨年末には、Microsoftは音声アシスタントのCortana(コルタナ)を中国で閉鎖することを発表していた

Xiaoiceは長年にわたり、人工知能の最優秀な人材を採用し、中国内に留まらず、日本やインドネシアなどの国々へも進出していた。Microsoftはこのことを、Xiaoiceの「ローカライズされたイノベーション」とチャットボットの「商用エコシステム」の開発を加速するための宣言だと述べている。

スピンオフ会社は、Xiaoiceにおける今後の研究と開発のために、Microsoftからの新しい包括的技術ライセンスを使い、Xiaoiceブランド(日本では「りんな」)を引き続き使用する。一方Microsoftは、新会社の株式の持分を保持し続ける。

2014年、MicrosoftのBing研究者たちの小さなチームがXiaoiceを発表した。これは中国語で「Little Bing」(小冰=Xiǎobīng)を意味する。このボットは、すぐに中国でセンセーションを巻き起こし、多くの人たちからバーチャルガールフレンドと見られるようになった。このチャットボットが登場したのは、Microsoftが中国内でCortanaを展開してから、わずか数週間後のことだった。Xiaoiceは、10代の少女をパーソナリティのモデルとしており、同社はチャットボットに対して、人間的で社会的な要素をさらに追加することを目指している。Microsoft自身の言葉によれば、彼女はユーザーの友達になりたいと思っているということだ。

すべての外国企業と同様に、Microsoftは中国の検閲にしっかりと取り組む必要がある。2017年にXiaoiceは、政治的に問題を含む発言の疑いで、Tencent(テンセント)のインスタントメッセンジャーQQから削除された。

このプロジェクトには、AIの世界で最も権威のある科学者たちが参加していた。例えばLu Qi(ルー・チー)氏はその後Baidu(バイドゥ)に最高執行責任者として移籍して、Y Combinatorを中国に連れて来たし、Jing Kun(ジン・クン)氏は検索大手Baiduのスマートデバイス部門の責任者となり、またMicrosoftの名高い人工知能および研究部門の元幹部であるHarry Shum(ハリー・シャム)氏は、現在新進のニュースアプリNews Break(ニュースブレイク)のボードメンバーとなっている。

シャム氏は、今回Xiaoiceから生まれる新しい独立企業の会長を務める。 またXiaoiceのゼネラルマネージャーであるLi Di(リー・ティー)氏が最高経営責任者(CEO)を務める。 日本版のチャットボット「りんな」の開発者であるChen Zhan(チェン・サン)氏は、日本オフィスのゼネラルマネージャーになる。

新会社は、「Xiaoice」および「りんな」ブランドを使用する権利を保持し、中国語圏、日本、インドネシアの顧客基盤をさらに発展させることを使命とする。

Microsoftは、Xiaoiceは世界中で、6億6千万人のユーザーと4億5000万台のサードパーティスマートデバイスに使われていると述べている。またそのチャットボットは、金融、小売、自動車、不動産、ファッションなどの分野に応用を見出し、そこでは「テキストからコンテキスト、雰囲気、感情を抽出して、数秒でユニークなパターンを作成できる」と 主張している。

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(翻訳:sako)

ZOZO研究所のファッションコーデ関連論文がコンピュータービジョンの国際会議ECCVで採択

ZOZOテクノロジーズ ZOZO研究所 ECCV 深層集合マッチング

ZOZOテクノロジーズの研究開発組織「ZOZO研究所」は7月13日、同研究員らが執筆した論文「Exchangeable Deep Neural Networks for Set-to-Set Matching and Learning」(置換不変ニューラルネットワークによる深層集合マッチング)が、コンピュータービジョン分野における世界3大国際会議のひとつ「European Conference on Computer Vision(ECCV)2020」に採択されたと発表した。ZOZO研究所は、8月24日~27日にオンライン開催のECCV 2020本会議でポスター発表(プレゼン・ディスカッション)を行う。

この研究成果は、同研究員の斎藤侑輝氏、中村拓磨氏、共同研究者・和歌山大学講師の八谷大岳氏、統計数理研究所・総合研究大学院大学教授 福水健次氏(斎藤の博士課程指導教員)によるもの。

ECCVは、CVPR(Computer Vision and Pattern Recognition)・ICCV(International Conference of Computer Vision)と並ぶ国際会議(トップカンファレンス)。隔年ごとに開催されており、第16回目となる今回は、5025本の投稿から1361本の論文が採択された。

今回採択の論文では、ファッションアイテムの推薦から1歩先んじて、ファッションコーディネートの推薦について研究。例えば、ユーザーが持つアイテム群(下図左)と推薦候補のアイテム群(下図右)が複数あるとき、どのアイテム群がユーザーのアイテム群に一番マッチし、2つの群を合わせたときにコーディネートとして適切かを考えるものとしている。

ZOZOテクノロジーズ ZOZO研究所 ECCV 深層集合マッチング

それぞれのアイテム群は集合として表現でき、アイテム群のマッチングは集合マッチングの問題設定として定式化できる。さらに、このように異なるアイテムカテゴリーを持つ集合同士のマッチングには、強力な特徴学習の仕組みとなる深層学習が必要になるという。しかし、集合マッチングと深層学習を組み合わせた研究は、ほとんど行われてこなかった。

そこで同論文では、独自のニューラルネットワークアーキテクチャ、効率的な学習法、学習データ作成手段を提案。特に集合マッチングには「集合内のアイテムや集合同士を入れ替えても出力が不変であること」と「集合間インタラクションに基づく特徴変換」とを備えた手法が重要であると提起。それらを満たすアーキテクチャを考案した。

実験では、各アイテムの画像特徴量を抽出する畳み込みニューラルネットワークと、特徴量の集合を扱う提案手法をEnd-to-endに学習し、マッチする集合の候補を正しく選べるかを調査。その結果、提案手法は比較手法(Set TransformerとBERT)よりも精度が高いことが明らかになり、上述の特性が同論文の提唱する集合マッチングにおいて重要であると確認した。提案手法や実験の詳細については、同社技術ブログ「ZOZO Technologies TECH BLOG」でも、一部紹介している。

論文では、集合マッチングのベースとなる特性を数理的に捉え、集合データに適したアーキテクチャを考案。提案手法は様々な分野での集合マッチングのベースラインとなる可能性を秘めているため、今後さらなる発展を目指すという。

また、現在は研究段階であるものの、具体的にどのようなユースケースに導入し、ユーザーエクスペリエンス向上につなげられるかも検証しており、今後も研究開発に努めるとしている。

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静岡銀行が国内地銀で初めて融資審査をAIで高度化、不動産テックのリーウェイズと共同開発

リーウェイズ 静岡銀行 Shizugin Investment Planner

不動産テック開発・運営のリーウェイズは7月13日、融資を求める顧客に対する情報提供や融資審査の高度化を目指し、賃貸不動産の将来の賃料・価格・空室率などを予測する、投資用不動産AIシミュレーション「Shizugin Investment Planner」(SIP)を静岡銀行と共同開発したと発表した。また静岡銀行は、資産形成サポートの現場でSIPの本運用を開始した。

リーウェイズは、不動産価値分析AIクラウドサービス「Gate. Investment Planner」(ゲイト・インベストメント・プランナー)のシステム基盤を静岡銀行に提供。Gate. Investment Plannerは、過去10年間で蓄積された1億件以上の物件データから、全期間利回り・賃料査定・物件価格査定・空室率の推移・賃料下落の推移・50年先まで分析したキャッシュフロー・LTV(Loan to Value。資産価値に対する負債比率)などの詳細な不動産分析が可能という。

SIPは、リーウェイズ保有の不動産ビッグデータを学習したAIによる将来価値の査定モデルと、静岡銀行独自のロジックとを活用する形で開発。SIPは、収益不動産の将来的な稼働率・賃料の下落など、物件所有者にとっての運用リスク、返済の安定性を可視化した資料の提供が可能なため、収益不動産のパフォーマンスに関する客観指標を基にしたアドバイスを行えるという。また、融資審査において市場データに基づく客観的な参考値を取り入れることで、無理のある投資計画から顧客を保護する。

今後さらなるAI査定の精度向上、蓄積情報の活用、顧客への提示情報の拡充を予定しており、国内の資産家をリスクから保護し、より計画的で堅実な資産形成のサポートを行う。

リーウェイズ保有の不動産ビッグデータとAI技術、静岡銀行が保有する独自の融資審査ノウハウを活用し、全国の不動産取引および融資業務の効率化・高度化・標準化を推進するとした。

リーウェイズと静岡銀行は、2019年6月締結の資本業務提携を皮切りに、AI技術などのテクノロジーを取り入れた、不動産関連融資における顧客保護体制の強化と融資審査の厳格化を通じた新たなビジネスモデルの構築に取り組んできた。

リーウェイズは、過去10年以上に渡って蓄積した全国1億件超の不動産物件データをはじめとする不動産取引情報や、人口動態・地価情報などのビッグデータを基に、不動産の将来価値を予測する不動産価値分析AIクラウドサービス「Gate.」(ゲイト)を開発。不動産関連企業や金融機関に提供している。

静岡銀行では、「事業領域の開拓・収益化による地方銀行の新たなビジネスモデルの構築」を推進。異業種との連携を通じ、従来の枠組みや発想にとらわれない新たな収益基盤となるビジネスを創造し、持続可能なビジネスモデルの構築に取り組んでいる。

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エン・ジャパンが中小企業のDX化に向け100億円規模のスタートアップ投資を発表

エン・ジャパンは7月13日、国内の中堅・中小企業の営業やバックオフィスなどのデジタル化を支援するDXソリューション事業を展開することを発表した。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、テレワークや電子署名などをはじめとするデジタルトランスフォーメーション(DX)のニーズが高まっている一方で、同社の主要顧客である約15万社の中堅・中小企業は資金不足や人材不足で、DX化になかなか踏み切れない状況を打破するのが狙い。

エン・ジャパン単独で顧客のDX化を進めるわけではなく、スタートアップ企業などとの協業によって実現していく点が特徴だ。投資規模は100億円を想定している。なお直近では6月に、経営者マッチングプラットフォーム運営のオンリーストーリーに出資。XTech Ventures(XTech1号投資事業有限責任組合)とともに共同リード投資家を務めた。

同社はテレビCMなどでもおなじみの転職サービスや、Engageなどの採用支援ツールなど、HRテック事業の知名度が高い企業。現在では、入社後のオンボーディングフォローアップサービス、動画面接ツール、タレントマネジメント、EラーニングなどのHR系のサービスを拡充している。

その一方で2020年3月に、外資コンサルタント会社や投資銀行出身のメンバーを中心としたベンチャー、スタートアップ企業とのアライアンス・出資を推進する社長直轄の部署を新設。8月にはITコンサルティングファーム出身者などで構成されるDXソリューションチームの設置も決まっている。

同社社長の鈴木孝二氏は今回のDX事業立ち上げについて「エン・ジャパンは3年前からオンラインセールス課を設け、社内のDX化を進めてきました」と語る。オンラインセールス課の成果やノウハウをを同社の顧客に対してセミナー形式で公開しており「テックドリブンで事業を進めているIT系企業にこういった営業ノウハウは意外にも喜ばれる」とのこと。

また新型コロナウイルスの影響もあり採用事業は一変し、「人をどんどん採用して成長させるだけでなく、さまざななツールを駆使してスタッフを増やさずに事業を成長させたり、守ったりすることも重要になってきた」と同氏。

今回100億円規模の資金をスタートアップに投資することについて鈴木氏は「エン・ジャパンの財務体力を考慮した枠は200億円ぐらいですが、その半分をHR領域以外に投資していきたい」とのこと。オンリーストーリーへの投資で共同リードとなったことからもわかるように「張って当たればいいという出資ではなく、出資比率高めで各スタートアップ企業にコミットしていく」と鈴木氏。HR事業に並ぶ柱として同社は、スタートアップ企業との協業やM&Aなどにより中小企業のDX化を強力に進めていく方針だ。

関連記事:経営者マッチングプラットフォーム運営のオンリーストーリーが約3.45億円を調達

メルペイが送金機能を実装、メルカリ売上金や有償ポイントを1円単位で送れる

メルペイは7月13日、メルカリの売上金や有償ポイントを1円単位で家族や友人などに送金できる機能を発表した。「メルカリ」アプリの「メルペイ」機能から各種メッセージサービスを利用して送金が可能だ。

受け取り側はメッセージサービス内に記載されたリンクを開くことで受け取れる。不正使用を防ぐために、送金側、受け取り側とも本人確認が必須となる。

メルカリは現在、月間のアクティブユーザー数が1650万人超、メルペイの利用者数は600万人超、メルペイ対応加盟店はコード決済、iD決済の合算で170万カ所となっている。

6月からはNTTドコモのdポイントの連携を開始。9月にはd払いとのQRコード共有化を進める予定だ。

ベルリン拠点の新たな生産性向上アプリを開発するAmie、有名欧州VCのCreandumが支援

フィンテックスタートアップのN26でプロダクトマネージャーを務めていたDennis Müller(デニス・ミュラー)氏が手がける新しい生産性向上アプリの「Amie」が、プレシードで130万ドル(約1億4000万円)を調達し、製品開発と人材の雇用に弾みをつける。

23歳のミュラー氏を支援するのは、Spotifyの初期の投資家として有名なヨーロッパのVCであるCreandumで、Tiny.VCや多数のエンジェルも支援している。支援者には、元AccelのLaura Grimmelmann(ローラ・グリメルマン)氏、米N26のCEOのNicolas Kopp(ニコラス・コップ)氏、Dubsmash共同創業者のRoland Grenke(ローランド・グレンケ)氏、米チャレンジャーバンクChimeのプロダクト担当シニアバイスプレジデントのZachary Smith(ザカリー・スミス)氏などがいる。

ベルリンを拠点とするAmieは2020年前半に創業し、2021年前半に生産性向上アプリの公開を計画している。Amieが開発しているアプリは個人のカレンダーとTo Doリストを1カ所にまとめるもので、以前はcocoという名前だった。すべてのデバイスにわたって使え、「思いどおりに動作する」インターフェイスになると予告されている。

ミュラー氏は筆者に対し「以前はオフィスの壁にカレンダーがかけてあり、To Doリストはノートに書き留めていた。To Doリストを持ち出すことはできても、カレンダーはできなかった。こうしたことが、フローを再考することなくデジタル化された。生産性向上アプリはたいてい極めてピンポイントな問題を解決するもので、新たな問題が発生し、しかもユーザーが必要とするツールが多くなりすぎる」と述べた。

Amieのプレリリースアプリのスクリーンショット

Amieは「To Doや習慣、イベントはすべて時間を要するものであり、すべて同じところに属する」という原則のもとに作られているとミュラー氏は言う。多くの人はすでにTo Doのスケジュールを立てているが、Amieは最も素早くTo Doを作成し、イベントのスケジュールを決め、カレンダーをチェックし、さらに「Zoomの会議に参加する」ことまでをも実行するツールを提供しようとしている。

リリース予定のアプリを少し見てみたところ、AmieではTo Doを日付にドラッグ&ドロップしたり、リンクやスクリーンショットをTo Doにしたりすることができる。「AmieはランチャーアプリのAlfredのようなアプリで、ほかのアプリを起動する間にイベントを作成し、別のタイムゾーンの人を招待できる」と同社は説明する。

もっと広く言えば、ブラウザのタブを新たに開くとそれに伴って「脈絡の切り替え」が発生してしまうが、Amieはワークスペースの中心となって、そうした切り替えなしにビデオ会議に参加したりメモを取ったりメールを扱ったりできるようにすることも目指している。

さらにミュラー氏は「Amieには統合機能があるので、現在Googleカレンダーを使っているプロフェッショナルがターゲットになるだろう。ウェイトリストにはすでに数千人のユーザーが登録していて、そのほとんどがデザイナーや開発者、事業開発などテック業界で働いているプロフェッショナルだ」と述べた。

トップ画像:Daniel Farò

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

Z世代からシリコンバレーへのメッセージ「 👁👄👁」が意味するものとは

編集部注:本稿を執筆したRavi Mehta(ラヴィ・メータ)は、消費者向けテック企業のリーダーで最近までTinder(ティンダー)の最高製品責任者を務めていた。その前は、Facebook(フェイスブック)、TripAdvisor(トリップアドバイザー)、Xbox(ゼロックス)で製品担当リーダーを務めた経験を持つ。

多様性に富む若い起業家や技術者で構成されるあるグループが、有色人種やLGBTQコミュニティを支援する3つの慈善団体―Okra Project(オクラ・プロジェクト)Innocence Project(イノセンス・プロジェクト)Loveland Foundation(ラブランド・ファウンデーション)―への寄付金として20万ドル(約2151万円)をわずか36時間で調達した。

どうやって、そして何の目的で、そんなことができたのだろうか。

この質問に対する答えは、テック業界の未来を理解する上で重要である。今回の出来事はZ世代が起業する方法とその理由を示す最初の実例だからだ。「 .fm」とその仕掛け人たちは、今の若者文化に広く見られるトレンドを反映している。

VCは注目すべきだ。なぜなら、この若者たちこそ次のFacebook(フェイスブック)を創り出す者たちだからだ。

VCでなくとも、誰もがこうした動きを喜ぶべきだろう。若い技術者たちが、新しい価値観のもとに新しい未来を創り出そうとしているのだ。彼らの価値観は、過去のソーシャルメディアにあふれる屈折した動機とオンラインでもオフラインでもより良い世界を作りたいという純粋な欲求が交錯する中で成長してきた経験によって培われたものだ。

今回の一連の出来事は米国時間6月25日木曜日の夜、あるグループが仲間内でとあるTikTok(ティックトック)ミーム動画を繰り返したところから始まった。今の世界では、言葉は常に変化している。「 」は「これが現実(It is what it is)」というフレーズの特殊な解釈として出現した。 「 は自分たちの周りに広がる混沌した現実の中で何もできず、逃げ道もない状況を表している」とJosh Constine(ジョッシュ・コンスティン)氏は説明する。

このグループは次に、「 」をTwitter(ツイッター)のハンドルに追加して、架空の招待制ソーシャルアプリ「 .fm」についてツイートし始めた。これが意外にもどんどん拡散し、内輪ネタのジョークが次々と投稿されて制御不能の状態となった。さらに、グループのDiscordサーバーでは次に何をやるかという話題で盛り上がった。そこで、瞬発的に生み出されたこのエネルギーを社会貢献につながる方向に向かわせることはできないだろうか、と皆が考え始めたのだ。

同期型ソーシャルアプリRealtime(リアルタイム)の創設者で「 .fm」の「筆頭仕掛け人」でもあるVernon Coleman(バーノン・コールマン)氏は次のように話してくれた。「ミームとして始まったことが、あっという間に盛り上がった。これはチャンスだと思った。この勢いを社会貢献に変えていく責任があると感じたんだ。スキルのある創造的な人たちが集まって、リアルタイムにコラボレーションしたときのパワーは本当にすごいと思う」。

何にフォーカスすべきか、という問いに対する答えは明白だった。6月26日金曜日にこのグループは次のように投稿した。「難しく考える必要はなかった。今、ようやく多くの人たちが構造的な人種差別主義や黒人差別主義に気づき始めている。この火を消さないようにもっと大きなうねりを起こしていく必要がある」。

6月25日木曜日以来、このグループは2万件のメール登録と1万を超えるツイッターのフォロワーを獲得し、20万ドル(約2151万円)の寄付金を集めた。

これを「うまく考えられたマーケティングキャンペーンだ」と皮肉る者もいる。悪意のあるいたずらだという意見もある。すべてが完璧に運んだわけではないし、失敗した部分もあったことはチームも認めている。しかし、彼らが行ったこととその理由を矮小化したり過小評価したりすべきではない。

このチームは、排他性をマーケティング戦略として使うシリコンバレーのやり方を非難し、次の新しい波にいつも一番乗りしようとしているVCをうまく釣り上げ、ツイッターが持つ爆発的な拡散力を巧みに利用して世間の意識を高め、それを、しばしば見過ごされがちな慈善団体に本当の意味で役立つ寄付金という形に変えたのだ。しかも、これらすべてを一瞬で成し遂げてみせた。

60人の若いテックだ系リーダーで構成されるこのグループは、自分たちのメッセージを伝える際に大手プラットフォームのツールを巧みに使って大きなインパクトを残した。

彼らは決してツイッターのヘビーユーザーではない。大半のメンバーはフォロワー数も数百人程度で、フォロワー数が数十万人の有名アカウントの所有者ではない。しかし、テックエリートと同じくらいこれらのツールを熟知している。

今回の動きはZ世代のリーダーや活動家たちによる一連の動きの中で最新のものだ。Z世代は、ミレニアル世代やX世代の生息領域と考えられているツイッターやフェイスブックといったプラットフォーム上でも、自分たちの発言を増幅させることができる。

このような動きが最初に目撃されたのは、フロリダ州パークランドの高校で銃乱射事件が発生したときだった。高校の生徒がツイッターやフェイスブック、さらにはケーブルニュースさえも乗っ取って銃規制に関する理性的な意見を発信したのだ。そしてそれが、銃規制を求める動きへと発展していった。

この3年間、筆者は若いユーザーや製品開発者との対話に何十時間も費やしたが、これはTinder(ティンダー)の最高製品責任者、フェイスブックのユース・チーム製品ディレクターを務め、エンジェル投資家でもある筆者の仕事の重要な部分となってきた。 .fmチームによって表現される感情の多くは、Z世代全般が持つ感情を反映していると思う。

Z世代は、より良い形で次世代に渡すことなど考えもせずに現世界から最後の1滴まで利益を搾り取ることばかり考えているように見えるベビーブーム世代にうんざりしている。

Z世代は、排他的な集団や仮想的な立ち入り禁止ロープに嫌気が差している。最近の例では、招待制のソーシャルアプリClubhouse(クラブハウス)がある。クラブハウスは創業からわずか数か月で評価額1億ドル(約107億円)で資金を調達し、黒人の著名人であるOprah(オプラ・ウィンフリー)氏やKevin Hart(ケヴィン・ハート)氏をはじめとする数千人の限られたユーザーにのみサービスを提供している。

テック業界内部の人間から見ると、クラブハウスはまさに最高の場所である。しかし、部外者であるZ世代から見ると、白人ばかりの創業者や投資家たちを金持ちにするために黒人の著名人が利用された最新の例にすぎない。

Z世代の起業家やテック業界のリーダーたちは、テック業界がインクルーシブ(包含的)であることの重要性を主張しながら、その実、それをマーケティングの策略として使っている事実にうんざりしている。このやり方を最初に行ったのはGmail(Gメール)だ。Gメールは招待制を大規模に利用した最初のアプリで、その後、招待制は戦略として広く利用されるようになっていった。

今、シリコンバレー内部の人間は、2文字か3文字のメールアドレスを法外な料金(2文字のアドレスは年間999ドル、3文字のアドレスは375ドル)で提供するHEY(ヘイ)という最近リリースされたメールアプリからの招待を受けたくて仕方がないらしい 。テクノロジーに対してより公平で共感を呼ぶアプローチを取ると主張しているJason Fried(ジェイソン・フリード)氏とDavid Heinemeier Hansson(デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン)氏が創業した会社が、このような短い名前で高い料金を取るという収益スキームを採用しているのは皮肉なことだ。同社のビジネスは、意図的ではないにせよ短い名前をつける伝統を持つ民族をターゲットにした不公平なものだという批判的な声もある。

最後に、Z世代はダイバーシティを説きながらそれを実践しないテック業界にも嫌気が差している。黒人やヒスパニック系の社員は相変わらず大手テック企業(とりわけリーダーレベル)で過小評価されている。こうした過小評価は起業家になるとさらにひどくなる、ベンチャーの支援を受けた創業者のうち黒人が占める割合はわずか1%にすぎない。

シリコンバレーは努力が足りない。

「テック業界のVCと雇用者数には、パイプライン問題があるという話をよく聞くが、まったくのでたらめだ。我々はプロフィールにミームを入れた人からまったくランダムに選択するという方法で、年齢、文化的背景、スキル、性別、居住地区などが異なる人たちを集めることができた。シリコンバレーの企業は、まったくランダムに採用すればそれでダイバーシティは実現できることを理解すべきだ。テック業界がアクションを起こす気なら、我々が力を合わせたら実現できるであろう魔法のような変化について想像してみてほしい」とコールマン氏は語る。

.fmのストーリーは重要な真実を語っている。たとえZ世代が望むような未来を創造する気がテック業界になくても、Z世代が自分たちで創っていくだろうから心配には及ばないということだ。

彼らに支援を。

Make the hire. Send the wire.(もっと雇用を。もっと投資を。)- The Human Utility(ザ・ヒューマン・ユティリティ)創業者兼エグゼクティブディレクター、Tiffani Ashley Bell(ティファニー・アシュレイ・ベル)氏

「 .fm」を仕掛けたチームが支援している団体:

  • Okra Project – 黒人のトランジェンダーが直面している世界的な危機に対処することを目的とする慈善団体。黒人トランスポートジェンダーの人たちにその文化独自の健康的な家庭料理と支援金を提供している。
  • Innocence Project – 無実の罪で収監されたままでいる驚くほど多くの人たち(黒人が圧倒的に多い)を解放し、そうした不当な収監の原因となっている制度を改革することをミッションとする慈善団体。
  • Loveland Foundation – 黒人の女性と少女が米国全体でセラピー療法を受けられるようにすることを目的とする慈善団体。黒人の女性と少女はセラピー治療を受ける資格があり、その治療はすべての世代にインパクトを与える。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ

タグ:差別 コラム

インドネシアの零細ショップ向け簿記アプリ「BukuWarung」

インドネシアには、約6000万人の「マイクロマーチャント」がいる。彼らは食品やその他の生活必需品を販売する零細商店の店主であり、顧客と親しい関係にあることが多い。彼らはよく顧客にツケ払いを認めるが、財務追跡の多くは依然としてペンと紙の台帳で行われている。BukuWarung(ブクワルン)の共同創設者Chinmay Chauhan(チンマイ・チョウハン)氏とAbhinay Peddisetty(アブヒナリ・ペディセッティ)氏はこのプロセスをインドネシアの小規模な企業向けにデザインされた財務プラットフォームでデジタル化したいと考えている。彼らの目標は、簿記ツールから始め、運転資本へのアクセスなどへサービスを拡大していくことだ。

BukuWarungは現在、Y Combinatorのスタートアップ・アクセラレータ・プログラムに参加している。またBukuWarungは、East Ventures(イーストベンチャーズ)、AC Ventures(ACベンチャーズ)、Golden Gate Ventures(ゴールデンゲートベンチャーズ)、Tanglin Ventures(タングリンベンチャーズ)、Samporna(サンポルナ)、ならびにGrab(グラブ)、Gojek(ゴジェック)、Flipkart(フリップカート)、PayPal(ペイパル)、Xendit(エクセンディット)、Rapyd(ラピッド)、Alterra(アルテラ)、ZEN Rooms(ZENルームズ)、およびその他の企業の戦略的エンジェル投資家からシード資金を調達している

チョウハン氏とペディセッティ氏は、シンガポールに拠点を置くピアツーピアのマーケットプレイスであるCarousell(カルーセル)で働いているときに知り合った。ここで彼らは販売者向けの収益化製品を開発していた。チョウハン氏はさらに、東南アジアにおける配車サービスとオンデマンドデリバリーの最大手Grabで、商店主向け製品開発にも取り組んでいた。しかし、BukuWarungを思い付いた背景には本人たちが育った環境も関係している。チョウハン氏とペディセッティ氏の家族はどちらもご近所向けの小規模商店を経営しているのだ。

「GrabやCarousellで商店主向けの収益化製品を開発していた経験から、どうやればいいのかはよくわかっています。またインドネシアには大きなポテンシャルがあるのもわかっています。6000万人の商店主がオンラインを利用しデジタル化を遂げるのを支援することができるのです。マクロレベルで見ると、これは大きなビジネスチャンスであり、また個人レベルでも、何百万という商店主に影響を与えられるという可能性を感じています」とチョウハン氏は語っている。

紙での簿記の場合、財務追跡に手間がかかるだけでなく、顧客のツケがどれくらいあるのかがわかりづらい。チョウハン氏とペディセッティ氏はTechCrunchに対し、彼らの目標は、KhataBookやOKCrediがインドで行っているのと同様のことをインドネシアで行い、彼らの会社を財務サービスも扱う会社に拡張することだと述べた。

BukuWarungは昨年サービスを開始して以来、インドネシアの750の市町村で60万人の商店主が契約しており、現在月平均ユーザーは20万人に上る。チョウハン氏とペディセッティ氏は、インドネシアの6000万人に上る零細・中小規模の商店主たちにサービスを利用してもらうことが目標だと言う。彼らはすでにインドネシア初のクレジット追跡アプリの1つであるLunasbos(ルナスボス)を買収している。

Image Credits: BukuWarung

BukuWarungのサービス開始準備を進める中で、2人はインドネシアを旅しておおよそ400人の商店主と、簿記、クレジット追跡、会計の問題点について話し合った。このときの商店主たちとの会話から、2人はまずは簿記アプリに焦点を当てることにし、簿記アプリサービスを10ヶ月前に開始した。

4月から6月にかけてインドネシアでは部分的なロックダウンが行われたが、BukuWarungのユーザーの大部分は食料品など生活必需品を扱う商店主であるため、アプリは成長を続けている。小さな都市や村では、人々のキャッシュフローが非常にタイトで、またその多くは月々の定期収入を持たないため、商店主はよく顧客にツケ払いを認める。チョウハン氏は「みなツケで売り買いしているということを、私たちは調査で突き止めました」と述べている。

そこへ来て、多くの商店主は顧客と親しい関係にあるという地域的特色がある。

チョウハン氏によると「これは地域によって異なるのですが、商店主はご近所のたくさんの人々のことを昔から知っていて、通常、500インドネシアルピーから最大約100万インドネシアルピー(約7500円)を貸し付けています」ということだ。しかし、顧客の自宅を回って支払いを求める回収時期になると、多くの商店主はためらいを感じるのだという。

「私たちが開発したアプリを使用すれば、彼らは顧客を探したり電話をしたりしなくてもすみます。アプリが顧客に自動的に貸付回収通知を送るからです。この『ソフトなメッセージ』のおかげで、ためらいを感じることなく、商店主として確実に顧客に通知を届けることができるのです」と同氏は付け加えている。

商店主たちと話すうちに、BukuWarungの創設者は、多くの商店主が従量課金制のデータプランとローエンドのスマートフォンを使用していることにも気付いた。そのためユーザーがいつでもそれぞれの記録にアクセスしアップデートできるよう、アプリは可能な限り軽量で、オフラインでも機能する必要があった。アプリの開発においてデータと容量をできるだけ少なくすることに重点を置いた結果、他の簿記アプリとの差別化を図ることができ、このことがインドネシアで契約数とユーザー数を維持することに役立っていると2人は述べている。

チョウハン氏とペディセッティ氏は、ユーザーがデジタルウォレットやファイナンスなどのオンライン決済システムへアクセスできるよう、同社の成長に合わせ金融テクノロジー企業と提携するつもりであると語った。

Y CombinatorのパートナーであるGustaf Alströmer(グスターヴ・アルストレーマー)氏は、TechCrunchへの声明で「新興経済圏向けのデジタルインフラストラクチャ開発は、特にCOVID後の世界においては大きなビジネスチャンスとなります。BukuWarungはこの課題に取り組むことができるチームであると信じています。私たちはインドでのKhatabookやOkCreditの取り組みを見てきましたが、BukuWarungが同様に成長し、インドネシアにおいて零細企業に力を与えることになると考えています」と述べている。

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タグ:インドネシア BukuWarung

HBO Maxが映画「ザ・バットマン」とのタイアップで「ゴッサム市警察」シリーズを制作

本日(米国時間7月13日)WarnerMedia(ワーナーメディア)傘下のストリーミングサービスで5月にスタート(未訳記事)したHBO Maxは、映画 “The Batman”(ザ・バットマン/2021年公開予定)とタイアップしたテレビ番組シリーズの制作を発表した。

舞台はゴッサム市警察。制作チームには劇場版の共同脚本家・監督であるMatt Reeves(マット・リーヴス)氏に、”Boardwalk Empire”(ボードウォーク・エンパイア 欲望の街)を企画したTelence Winter(テレンス・ウィンター)氏らが加わる。

これはお馴染みの領域だ。ある町の警察署がさまざまな犯罪者に蹂躙される、といえばコミックの“Gotham Central”(ゴッサムセントラル/作:Ed Brubaker氏、Greg Rucka氏、絵:Michael Lark氏)にいちばんよく出てくる設定だが、最近の(不評の)Fox TV番組 “Gotham” (ゴッサム)の焦点でもある。

しかしHBO Maxの発表では、この作品は劇場映画の延長であり、「最終的にマルチプラットフォームで新しいバットマンの世界を展開する」ことを強調した。同社は、近日上映の映画 “Dune”(デューン)とタイアップした“Dune: The Sisterhood”(未訳記事)でも同じアプローチをとっている。

これはすばらしいチャンスであり、私が映画で作っている世界のビジョンを広げるだけでなく、TVシリーズの長編フォーマットでのみ可能な深淵さと詳細さも追求できる。そして、驚くべき才能をもつテレンス・ウィンター氏による犯罪と腐敗の世界を洞察力をもって描いた脚本を得られたことを夢のように感じている」とReeves氏が声明で語った。

作品が現在進行中の人種不平等への抗議の影響を何からのかたちで受けているかどうかも注目される。現実世界の政治問題をコミック原作のテレビ番組と結びつけるのはばかげている、と思えるかもしれないが、この抗議運動によって、映画やテレビがいかに警察を美化してきたかをハリウッドが見直す(未訳記事)ことにつながっている。たとえば、”Brookly Nine-Nine”(ブルックリンナインナイン)の脚本家や出演者は、「誰もが倫理的に問題ないと思える」番組にするよう考え直そうとしている、とAndy Samberg(アンディー・サムバーグ)氏が最近語った(未訳記事)。

画像クレジット:FOX Image Collection / Getty Images

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HBO Max launches today; here’s what you need to know(未訳記事)

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

皮膚に貼り付け可能な極薄スキンディスプレイをフルカラー化、東京大学と大日本印刷が共同研究

東京大学 染谷隆夫博士 大日本印刷 スキンディスプレイ

東京大学染谷隆夫博士(大学院工学系研究科長・教授)の研究チームと大日本印刷(DNP)は、独自の伸縮性ハイブリッド電子実装技術を進化させた、薄型で伸縮自在なフルカラーのスキンディスプレイの製造に成功したと発表した

同研究成果は、東京大学大学院工学系研究科とDNP研究開発センターの共同研究によるもの。フルカラースキンディスプレイは、皮膚上に貼り付けた状態で外部から送られた画像メッセージを表示可能。曲面形状に追従できる独自の伸縮性ハイブリッド電子実装技術で、12×12個(画素数144)のカラーLEDと伸縮性配線をゴムシートに実装し、フルカラー化に成功。9000色以上の色表現が可能となった。

また、表示部・駆動回路・BLE(Bluetooth Low Energy)通信回路・電源を一体化。表示部の駆動電圧は3.7Vで、表示スピードは60Hz、最大消費電力は平均100mW(ミリワット)となっている。

制御回路とバッテリーは表示エリアの外周近傍に実装しており、配線ケーブルが不要。手の甲に貼り付けたスキンディスプレイに外部からBLE通信で表示内容を制御できる。

東京大学 染谷隆夫博士 大日本印刷 スキンディスプレイ

染谷隆夫博士の研究チームとDNPは、伸縮性を備え、曲面に自由に追従できる電子回路基板を目指して研究開発を進めている。

同チーム独自の伸縮性ハイブリッド電子実装技術は、柔軟な基材を曲げ伸ばししても抵抗値が変わらない電極配線が可能。さらに、剛直な部品を実装しても伸縮時に断線しにくい工夫を盛り込んでいるという。信頼性を向上させた結果、比較的大きな部品を使っても壊れにくい回路が作れるようになった。

この実装技術の有効性の実証を兼ねて開発したスキンディスプレイには、12×12個(画素数144)の1.5mm角サイズのフルカラーLEDを薄いゴムシートに2.5mmの等間隔で埋め込んでる。全体の厚みは約2mmで、130%までの伸縮を繰り返しても電気的・機械的特性が損なわれない。薄型・軽量で伸縮自在なため、皮膚に直接貼り付けても人の動きを妨げることがなく、装着時の負担が大幅に低減されるとしている。

曲がるだけのディスプレイはすでに商品化されているが、伸び縮みするディスプレイや皮膚に貼り付ける可能なレベルの極薄ディスプレイは、研究開発段階の試作品が数件報告されているだけという。同チームは、2009年5月に世界初となる伸び縮みする16×16個の有機ELディスプレイ、2016年8月に厚さが1μm(マイクロメートル)の極薄の有機EL素子で7セグメントのディスプレイ、2018年2月には、同研究の先駆けとなる単色スキンディスプレイを発表した。

同研究では、発光素子として無機半導体を発光材料としたLEDと独自の伸縮性ハイブリット電子実装技術を駆使することで、従来の伸縮性ディスプレイよりも圧倒的な大気安定性と機械的耐久性を同時に達成。伸縮自在なディスプレイを皮膚にフィットさせ、かつ人の動きに追従させた状態で、数百個のLEDが1画素の故障もなくフルカラー動画を表示できたのは世界初としている。

DNPは、間もなくスキンエレクトロニクスの実用化検証を開始するという。

【無料Webセミナー】「ゼロから理解しなおすSEOの基本と、抑えておくべきポイント」を開催いたします

SEO Japan編集部の石戸です。

7/27(月)の15:00~16:00に、ZoomにてWebセミナーを開催いたしますので、本記事にて告知させていただきます。

「SEOは何から始めるべきか?」

これはお客様からよくいただくご質問のひとつです。

一口にSEOといっても、ユーザー調査・キーワード調査・コンテンツ制作・内部施策・アクセス解析と、やるべきことは数多く、「何から始めるべきか」を決めるのは簡単なことではありません。

また、SEOの情報は巷に溢れており、正しい情報を精査するのも一苦労です。

SEOの優先度を決めるには情報が必要であるのに対し、正しい情報を精査するのにも苦労する。なかなかにハードルが高い状況といえます。

そのような背景を踏まえまして、今回開催するセミナーでは、これからSEOに注力されたい企業様向けに、「ゼロから理解しなおすSEO」というテーマで、SEOの基本からファーストアクションまでお話しします。

  • これからSEOに取り組みたいが、何から始めるべきかわからない
  • 自社でSEOに取り組んできたが、行き詰まりを感じている
  • SEOコンサルタントの話を聞いてみたい

このような思いをお持ちの方は、ぜひご参加ください。

セミナーの概要

目次

  • SEOにおける3つの評価軸
  • かつて効果があったが、今は効果のないSEO施策
  • 検索市場の動向と今後のSEOに求められる考え方
  • SEOは何から始めるべきか

※当日までに内容は変更となる可能性がございます。

登壇者

アイオイクス株式会社Webコンサルティング事業部
石戸 翔麻

アイオイクス株式会社のコンサルタント/セールス。
「ユーザー理解に基づくWebマーケティング」をモットーに年間100以上のサイトを分析、Webマーケティングの課題解決の提案・コンサルティングを行っている。
また、海外の最新SEO情報を届けるメディア「SEO Japan」の運用も担当。

Twitter:@idist_410

日時

2020年7月27日(月) 15:00~16:00

タイムテーブル

  • 14:50~15:00:配信準備
  • 15:00~15:35:セミナー
  • 15:35~15:40:休憩
  • 15:40~16:00:質疑応答

※ご質問がなくなり次第、終了となります。

参加人数

80名まで
(応募者多数の場合は、抽選を行います。)

対象となる方

  • 企業のマーケティング担当の方
  • 今後Webマーケティングへの取り組みを検討されている企業の方

※恐れ入りますが、同業他社の方・個人の方・広告代理店の方の応募はご遠慮ください。

参加費

無料

会場

Zoomによるオンライン配信となります。
当選された方には、視聴可能なリンクをお送りいたします。

その他

後日、個別相談会もご用意しております。
ご希望の方は、別途お送りするアンケートよりお申し込みください。

お申し込みフォーム

お申し込みは、以下のフォームよりお願いいたします。
当選された方には、後日視聴用のURLおよびアンケートをお送りいたします。

プライバシーポリシーをご覧の上、ご応募ください。

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【特集】プライバシーと接触者追跡

新型コロナウイルスの脅威に対抗するために生まれた「接触者追跡アプリ」。簡単に説明すると、接触者追跡アプリは、これまでの接触履歴からウイルス感染のリスクが高い人を発見するとともに、その人と接触した人には通知を送るというアプリだ。しかし、各国がこの接触者追跡アプリの開発を進めるにつれて、世界中で「プライバシー」に対する意識が高まることにもなった。

今週の特集では、コロナ禍で注目を浴びた接触者追跡アプリに関連する記事を振り返るとともに、プライバシーについて扱ったコラム記事を通して、プライバシーについてもう一度考えてみよう。

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企業ウェブサイトの脆弱性をAIが発見・可視化するエーアイテキュリティラボがANRIから資金調達

既存のウェブサイトの脆弱性などを可視化するサイバーセキュリティ事業を展開するエーアイセキュリティラボは7月13日、第三者割当増資による資金調達を発表した。引受先は独立系ベンチャーキャピタルのANRIで、調達額は数千万円規模とのこと。

同社はこれまで受託型でのウェブページ向けサイバーセキュリティ自動診断サービスを提供していたが、 今回の資金調達に併せて法人向けサービス「AeyeScan」の開発に着手、今年10月の提供を目指すとのこと。AeyeScanは、正常遷移の再現にAIを活用することで、これまで人力で処理していたテストをツールによる自動巡回・診断を実現。提供価格などはまだ決まっていないが、安価で簡単な自動化ツールを目指すとのこと。

同社がまずターゲットにしているのは、ログインや決済などの機能を備えない企業のウェブサイトや一期間限定で公開されるキャンペーンサイトなど。https通信かどうかなどの基礎的な項目はもちろん、入力フォームやウェブページ内で稼働しているJavaScriptの脆弱性などをチェックする。利用しているCMSがWordPressの場合は、その脆弱性も判別してくれる。

診断結果がわかりやすいの同社のサービスの特徴だ。現場のエンジニアだけが理解できる情報ではなく、ウェブサイトのセキュリティについて詳しくない経営陣などにも理解しやすいレポートを生成してくれる。

同社のツールで現在テストできるのは以下の項目。今後はECサイトやログインが必要な有料サイト、SaaSサービスなどの脆弱性チェック機能も開発していきたいとしている。

新型コロナの感染拡大で深刻化するカリフォルニアのデジタル格差

もし十分なインターネット接続環境にないカリフォルニアの学生を集めて州をつくるとしたら、住民の数はアイダホ州やハワイ州よりも多くなる。

カリフォルニアの幼稚園生から高校生まで、計152万9000人(Common Sense MediaのPDF)が遠隔教育を十分受けるのに必要なネット接続を持たない。

非営利団体Common Sense Media(コモン・センス・メディア)はまた、ネットに十分に接続できる環境にない学生は一般に、デバイスも十分に持たないと指摘している。ネットに十分接続できる学生と、デジタル格差で反対の側にいる学生を隔てるホームワーク・ギャップ(学生が自宅でネットに接続できず宿題をできないこと)は、大胆で早急な介入がなければ深い淵となる。

いまものすごいスピードで広がっているデジタル格差に対する注意を喚起するために、筆者はサンフランシスコでNo One Left Offline(NOLO)を始めた。スタッフ全員がボランティアの非営利団体で、学生や高齢者、身障者に高速で手ごろ料金のインターネットアクセスを提供することに取り組んでいるベイエリアの組織の協力体制を作っている。

7月27日の週に、NOLO連合はデジタル格差の隅にいる家庭のブロードバンド料金を直接カバーするのに使われる資金5万ドル(約534万円)を調達するためのBridge the Divideキャンペーンを立ち上げる。

新型コロナウイルス(COVID-19)への対応として、現時点では緊急策はホームワーク・ギャップがさらに深刻になるのを阻止しただけだ。これこそが、学生の十分なインターネット接続とデバイスの欠如を解決する新たな方法が必要な理由だ。デジタルを「使える状況にあること」は、ブロードバンド費用をカバーし、そして「使えない状況にある人」が必要とするアップグレードに対応できることであるべきだ。直接提供するこの形は、インターネット接続を最大限利用するためにあらゆる学生に高速インターネットとデバイスを提供する最も効果的で効率的な方法だ。

しかしデジタル格差の間違った側の暮らしがいかに悲惨なものかを認識している人はあまりにも少ない。だからこそ筆者は、デジタルを「持てる者」である読者に、筆者と共に7月17日にオフ(ライン)を取ることを希望する。より多くの米国市民が安定したインターネット、デバイス、十分なレベルのデジタルリテラシーなしに成功するのはもちろん、生き残ることすらいかに難しいかを認識するのに、デジタルなしで1日過ごすことが必要だと確信している。

このデイオフ(ライン)で引き出すデジタル格差への注意の高まりは、ホームワーク・キャズム(宿題の隔たり)の形成阻止に向けて、より全体的で目覚ましい対応に駆り立てるはずだ。

ホームワーク・ギャップを埋めるためのこのところの取り組みは称賛すべきものだったが、限定的だった。たとえば、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)による料金の抑制や、延滞料金の免除、データ上限の撤廃などは称賛に値する。しかしそうした取り組みは、学校が始まる数カ月前、そして経済的危機が増大する最中の6月末で終了した。

多くのISPが助けを必要としている人々をサポートしようとこれまで以上に取り組んでいる。Verizon(ベライゾン)が、ホームレスとなっている人が愛する人と連絡を取れるよう非営利団体のMiracle Messagesに電話を寄付しているのがいい例だ。しかし、こうした一時的な取り組みは、何十万ものカリフォルニア州民がかつてない経済不安を体験しているという事実に十分に対応するものではない。人々は、パンデミックの最中に終わるような任意の貢献ではなく、デジタル面のニーズに対する長期的なソリューションを必要としている。

同じように、ベイエリアの多くの教育委員会が、助けを必要としている学生や家庭に無線インターネットやデバイスをすぐさま貸与した。実際、新型コロナの前ですらオークランド統一学区と1Million Projectは必要とする学生に無線インターネットを提供していた。ただ、こうした種の取り組みは、ホームワーク・ギャップの間違った側にいる学生に、反対側の学生に与えられているものと同じデジタル・リテラシーを高めるための機会を与えられるものではない。反対側の学生は自分のデバイスを所有し、宿題をやる以上のことができるだけの十分なインターネット接続を有している。

全ての学生が自分のデバイス、そして安全かつスムーズにインターネットを使用する点においてエキスパートとなれるようなネット接続を手にする権利がある。

直接の提供はソリューションとなる。ベイエリアの経済的ゆとりのある個人は、助けが必要な家庭のためにインターネット契約とデバイスを「支援」することができるし、そうすべきだ。家庭の高速インターネット契約を1年もしくはそれ以上支援することで、支援者はパンデミック中の暮らしに伴う他の困難に注意を振り向ける必要のある学生や保護者に安全のようなものを提供することになる。しかも、提供されるデバイスは縛りや「お古」のラベルなしだ。

学生は自分のものにできるフル装備の主要機能を備えたラップトップを手にすることになる。これは寄付デバイスでは一般的なことだ。

インターネットへのアクセスは人権であり、政府はホームワーク・ギャップを解決すべきだ。これまでのところ、この課題に十分に向き合っていない。そのため、民間でのソリューションが当面必要となる。我々が全体としてこのタスクに向き合っているというのは素晴らしいことだ。Fidelityによると、ほとんどの慈悲深い支援者は今年、そうした取り組みを維持するか増やす計画だ。

ミレニアル世代の46%が慈善行為を増やすつもりであることを考えて欲しい。残念ながら、慈善行為を阻害する要因は、新型コロナによる惨禍を解決するための取り組みを効果的にサポートするのに必要な情報を持っているというふうに多くの提供者が感じていないという事実だ。

だからこそ、NOLOや他の組織がこの問題に取り組み、注意喚起している。行政はホームワーク・ギャップを埋めていない。子供たちが成功するのに必要なネット接続とデバイスを確保できるかどうかは我々にかかっている。NOLOはまた、Bridge the Divideキャンペーン中にこの問題に取り組む手段を提供している。支援者は、サンフランシスコ・テック・カウンシル、BMAGIC、そしてMission Merchants Associationの組織がサービスを提供しているコミュニティのブロードバンド費用を肩代わりすることができる。

全体的な課題としてはホームワーク・ギャップが最優先事項だ。期日が迫っている。最初のタスクは7月17日にオフ(ライン)を取ること。そして7月27日の週に Bridge the Divideキャンペーンに寄付することだ。

共に取り組もう。

【編集部注】筆者Kevin Frazier(ケビン・フレイザー)氏はハーバード・ケネディ・スクールで公共政策を学ぶ大学院生。カリフォルニア大学バークレー校法科大学院にも在籍し、より良い行政について考えている)

画像クレジット: Catherine Delahaye / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

“普通”のショップの越境ECを支援するジグザグが3億円調達、米欧のAmazon Payにも対応

日本のECサイトを対象に、越境ECの支援サービス「WorldShopping BIZ(ワールドショッピングビズ)」を提供するジグザグは7月13日、モバイル・インターネットキャピタルを引受先とした第三者割当増資および、みずほ銀行、日本政策金融公庫からの借入により、総額約3億円の資金調達を実施したことを明らかにした。今回の調達は同社にとってシリーズAラウンドに当たる。

カートから決済・配送まで越境ECを支援

ジグザグの越境EC支援サービスWorldShopping BIZは、国内ECサイトに専用タグを1行挿入するだけで、多言語対応・海外決済・海外配送が可能になる、というものだ。

実は日本で運営されているECサイトのアクセスは、2〜8%が海外からのものだという。ジグザグ代表取締役の仲里一義氏はこれを「ウェブインバウンド」と呼び、「リアルではインバウンド客をもてなしているのに、ネットのインバウンド客に対しては日本は冷たい」と語る。

「課題は、サイトの翻訳ではない。海外からアクセスしたユーザーも、Google翻訳などを使って翻訳はできるので、商品ページの翻訳はそれほど重要ではない。問題はカートから先。カートで、かな入力欄や住所の都道府県プルダウン、形式や桁の違う郵便番号欄などによって海外ユーザーは弾かれて、買い物ができないのがこれまでの状況だった」(仲里氏)

そこで、ジグザグでは「日本のサイトで買いたい」というユーザーに、サイトの「海外にも売りたい」を届ける仕組みとしてWorldShopping BIZを開発。カートだけでなく、購入者からの問い合わせ対応や、海外配送のための書類作成、便の手配、梱包など、物流・言語・決済の一連の対応をすべて、ショップに代わって担う。

WorldShopping BIZを利用するショップがサイトにJavascriptタグを設置すると、海外からのアクセスに対しては、自動で購入代行サービス「WorldShopping」の案内がポップアップで表示される。表示は国の判別だけでなく、ブラウザの使用言語に合わせて言語を判定。例えばアメリカから中国語設定のブラウザでアクセスすれば、中国語が表示される。

商品ページでは、海外ユーザー専用のカートをフロート表示。ユーザーが多言語対応の入力フォームにより住所入力を行い、購入を確定すると、WorldShoppingにリダイレクト遷移して決済が完了できる。

決済はクレジットカード、PaypalやAlipay、銀聯カードなどに対応。7月13日からは、米国と欧州のAmazonアカウントを持つユーザーがAmazon Payを利用することも可能になったばかりだ。ユーザーは購入代金と配送料のほか、購入代行の手数料として10%をWorldShopping(ジグザグ)に支払う。

ジグザグが決済を確認してサイトでの購入を代行するので、ショップ側はジグザグが持つ国内の物流センターへ商品を発送するだけ。商品の検品や海外向けの再梱包、配送などはすべてジグザグが行う。ショップ側から見れば、国内販売と同じ手続きをすればよい。タグを設置するだけで、手早く海外販売ができ、後の対応も不要。初期費用3万円、月額5000円の固定額でサービスを利用することができる。

海外からの購入データでマーケティング支援も視野に

ジグザグ代表取締役 仲里一義氏

ジグザグは2015年6月の設立。仲里氏はもともと広告畑を歩んできたが、2004年に入社したオプトで新規事業を担当することになり、2010年には韓国groowbits(グロービッツ)の日本法人設立に参画。国際物流を軸とした越境EC事業に携わった。「国際物流については対応できるようになった。あとは言語と決済でイノベーションが必要」として、起業したジグザグではWorldShopping BIZを中心とした越境EC事業を手がける。

WorldShopping BIZは現在、国内約480のショップが利用。「コロナ禍で店舗営業が壊滅的打撃を受けており、導入が増えている」と仲里氏は話している。オーダーは90カ国以上から入っているとのこと。クレジットカードも使えなかったローカルな釣具屋サイトにロシアを含めた世界36カ国からオーダーが来たり、326万円もするサプリのECサイトに香港、中国からオーダーが入ったりという例もあるそうだ。

「一度WorldShoppingのカートを見たことがあるユーザーは、別のサイトでも同じカートが表示されるので、ショップが増えれば増えるほど安心感が生まれる。また僕らがロジスティクスを担っているので、違うショップで買ったものを1つにまとめて配送することもできる。ネットワーク効果が出てくれば、ついで買いによる利用も増える」(仲里氏)

ジグザグとしては海外からのEC購買のビッグデータを蓄積することで、今後ショップをまたいだ関連商品の紹介とショップへの送客など、マーケティングへの活用も計画しているそうだ。

ジグザグは、ショップの獲得やユーザー獲得を図ったうえで、プロダクトの強化やマーケティング強化に乗り出す予定。特にプロダクトについてはインターフェイス改善や対応言語追加のほか、「1年以内でEC事業者向けのマーケティングダッシュボードを提供したい」と仲里氏は述べている。

「これから、ショップはこれまで気づいていなかったウェブインバウンドを意識し始める。僕らが代行購入していることで海外からのニーズがあることは分かるが、どの地域からの購入かは分からないので、海外マーケティングを意識し始めると、データを欲しがるはず。そのデータをダッシュボードで提供しようとしている」(仲里氏)

ジグザグは「Amazon Pay」との協業も7月13日に発表。米国と欧州のAmazonアカウントで決済できるAmazon PayをWorldShopping BIZに実装した。これまで日本のアカウントのAmazon Payしか使えなかったショップでも、これにより、米欧アカウントでの買い物ができるようになった。

3月から25サイトで実施したクローズドβテストでは、北米・ヨーロッパだけでなく、南米やオセアニア、アジアなど20カ国から、Amazon Payでの利用があったそうだ。ジグザグでは今回のAmazon Pay協業をはじめ、決済パートナーやそのほかの提携パートナーも増やしていくとしている。

「言語や情報のハードルは下がっているが、ECの場合、モノが存在する点でハードルが残っていて、売り手の課題になっている。将来的には日本から世界各国への越境ECだけでなく、海外から別の海外の各国への越境EC支援も実現して行きたい」(仲里氏)

海外対応では、これまでの購入代行、配送対応といったサービスに加え、季節物アパレルで、在庫が余っているものを南北逆半球の顧客へプッシュするなど、マーケティング支援も充実させたいと仲里氏は話している。

「2年前の統計で、BtoCのEコマース市場が9.3兆円と言われていて、仮にそのうちの4%が『買えていない』体験だとすると、4000億円弱がロスしている計算になる。これはもったいないことだ。コロナ禍で巣ごもり消費が海外からもあるようだが、インバウンド消費のニーズがこの市場にさらに加わり、今後ユーザーが『日本のものが簡単に買えるようになった』と分かれば、さらに増えていくはず。僕らは、そこを加速させようと思っている。真っ当に正しい情報をユーザーに伝えてあげて、正しいショップでオーダーできるようにすることが僕らの使命だ」(仲里氏)

米国でのナンバープレート監視回避は「非現実的」と米税関・国境警備局

米税関・国境警備局(CBP)は、最新のプライバシー評価の中で、同局のナンバープレートリーダーによる車の追跡を米国人が回避する現実的な方法はないと認めた。

CBPは、最初の評価の後3年を経て新しい評価を発表した。その中で国境取締りの一環として、民間と公共の両方のソースからのナンバープレートデータを集約する商用データベースを利用予定だと公表した。

米国には、通常路肩に設置されるナンバープレートリーダーの大規模なネットワークがあり、通過する車両のナンバープレートを収集・記録している。ナンバープレートリーダーは、毎分数千のナンバープレートを捕捉することができる。記録されたナンバープレートは大規模なデータベースに保存され、それを利用して警察や法執行機関は全国数百万台の車両を追跡できる。

CBPがナンバープレートデータを収集できることを米国人が「気付いていない可能性がある」ため、同局はプライバシー評価を一部更新した。

「CBPは、管轄外のさまざまなソースから取得したナンバープレートの読み取り結果についてタイムリーに通知することはできない」とプライバシー評価は述べている。「多くの公共または私有の敷地内には監視下にあることを個人に警告する標識が設けられている。ただし標識にはデータが誰とどのように共有されるのかについて常に説明が付されているわけではない」

しかし文書の中でCBPはこう認めている。「そうした監視を免れる唯一の方法は、影響を受ける地域を避けることだ。これは非常に難しく、一般的には非現実的だ」

CBPは米国から出発した米国人旅行者の顔を撮影した件に関する2017年の裁判でも同様のトーンだった。当時、市民の自由に関する市民団体から怒りを買った。CBPは、顔の撮影を避けたい旅行者は「旅行を控える」必要があると述べた。

この文書は、CBPが通常運用している100マイル(約161キロメートル)国境地帯の外を含め、同局が「米国内のどこで捕捉したライセンスプレートデータであってもアクセスできる」ため、米国人にとってプライバシーのリスクが「高まる」と付け加えている。

CBPは追加調査を必要とする「状況証拠または裏付けとなる証拠」がある場合にのみナンバープレートデータにアクセスすることでリスクを軽減しており、しかも検索日から5年以内のデータにのみアクセスできると述べた。

CBPのスポークスパーソンであるMatthew Dyman(マシュー・ダイマン)氏はプライバシー評価について聞かれ、次のように答えた。「ナンバープレートリーダーを避けるにはどうすればよいのか。ここワシントンDCでスピードカメラを避けることはできるのか」

CBPのナンバープレートデータに関する業績は優れているとはいえない。CBPは昨年、下請け業者のPerceptics(パーセプティクス)が南部国境にある米国の出入国所で1カ月半にわたり「10万件未満」のナンバープレートデータを不適切にコピーしたと認めた。その後、代理店はPercepticsとの契約を停止した。

画像クレジット:Pablo Martinez Monsivais / AP

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(翻訳:Mizoguchi

アプリ購入やサブスクリプションを提供するFringeのライフスタイル型福利厚生

Fringe(フリンジ)は、従来の福利厚生パッケージに加え、その代わりになるライフスタイル型福利厚生サービスを雇用主に売り込む新しい企業だ。

「従業員が福利厚生からの恩恵を受けるために、病気や身体障害、死亡、あるいは65歳以上にならなければいけないというのは理にかなっているとは思えませんでした」と電子メールに書いてきたのはFringeのCEOであるJordan Peace(ヨルダン・ピース)氏だ。

米国バージニア州リッチモンドに拠点を置くこの会社は、ピース氏と同社の戦略および財務責任者を務めるJason Murray(ジェイソン・マレー)氏を中心とした、バージニア工科大学卒業の5人の友人が集まって創業された。中心となった2人の男性は、以前Greenhouse Money(グリーンハウス・マネー)という名の、財務プランニング会社を経営していた。この会社は、中小企業と協力して福利厚生パッケージや退職金口座を提供していた。

その企業を経営する中で、2人はあることに気付いた。そうした零細企業や中小企業で働く従業員たちは、退職金や医療給付だけを欲しているわけではなく、日常生活により適した特典を求めていたのだ。例えば、Netflix(ネットフリックス)、Amazon(アマゾン)あるいはHulu(フールー)のサブスクリプション、Uber(ウーバー)の乗車、Grubhub(グラブハブ)での注文、またはInstacart(インスタカート)の配達といった、柔軟な福利厚生パッケージを提供する会社が存在しないことに気がついたマレー氏とピース氏は、自分たちでそうした会社を起業することにした。

彼らはビジネスを成長させる過程で、パートナーシップの担当副社長としてIsaiah Goodall(イザヤ・グドール)氏、業務の副社長としてChris Luhrman(クリス・ラーマン)氏、そして製品の責任者としてAndrew Dunlap(アンドリュー・ダンラップ)氏を始めとする大学の友人たちを引き込んだ。

ピース氏とマレー氏は、2018年に事業を開始し、現在では100以上のデリバリーサービス、エクササイズアプリ、クリーニングサービス、その他の特に便利なアプリを提供している。

雇用主は、従業員1人当たり月5ドル(約530円)を支払い、従業員がサブスクリプションサービスに使うことができる50ドル(約5300円)から200ドル(約2万1400円)の間の給付金(福利厚生パッケージの総額から差し引いても差し引かなくてもいい)を設定する。

「新型コロナウイルスのパンデミックに伴う大規模なオフィス閉鎖と主要米国企業の在宅勤務命令によってオフィスカルチャーが変化したために、雇用主に対して売り込みやすいものとなったのだ」とピース氏は語る。

「オフィス内での特典や、ジム、マッサージスパなどのほとんどの『オフィス外』の特典もすべて無効になり使えなくなっています」とピース氏は書く。「多くのCEOの方々が『WFH(在宅勤務)をずっと続ける』と表明している中では、ポストコロナとなっても、そうした既存のオフィスカルチャーの重要性は減っていくことでしょう。つまり企業はオフィスカルチャーをパッケージ化して、自宅へと発送する方法が必要であることを意味しています。Fringeはこれに完全に対応できる立場であり、ソリューションを提供しようとする際に真っ先に頭に浮かぶ名前になることを決心しています」。

ピース氏はこれを、従業員向けの福利厚生サービスの進化における次のステップと考えている。彼はその起源を、民間による健康保険と401k退職金制度の開発まで遡って語った。「それから40年が経って、ライフスタイルに目を向けた福利厚生が最新のブレークスルーとなりました。そしてこれまでのプランと同様に、この新しい福利厚生は今後5年の間にほぼ普遍的に採用されるようになるでしょう」とピース氏は書いている。
画像クレジット: Bryce Durbin / TechCrunch
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(翻訳:sako)

Surface Book 3はiPad ProとMacBook Proがライバルの2 in 1 PC

日本マイクロソフトは、モバイルPCのフラッグシップであるSurface Book 3を5月7日に発表、6月5日に販売開始した。2 in 1 PCにはキーボードカバー型、ディスプレイ回転型などがあるが、Surface Bookシリーズは、CPU含むメインボードを内蔵するタブレット部、ディスクリートGPU(dGPU)とセカンドバッテリーを内蔵するキーボード部で構成。3Dゲームやクリエイティブ系アプリを快適に動作させられるパフォーマンスを備えている。

Surface Book 3には13.5型と15型が用意されているが、今回はSurface Book 3 13.5インチを試用して、それぞれのスタイルでどのぐらいの処理性能を発揮するのかをチェックしていく。

Surface Book 3 13.5インチの価格は、19万800円~(一般向け)、18万8800円(法人向け)

タブレット部だけでも利用可能だが、当然その場合はdGPUを利用できない

Core i5モデルにはdGPUが搭載されていない点に要注意

Surface Book 3 13.5 インチには下記の4モデルがある。Core i5版のCPUは第10世代(Ice Lake)のCore i5-1035G7(4コア8スレッド、1.20~3.70GHz)、Core i7版のCPUはCore i7-1065G7(4コア8スレッド、1.30~3.90GHz)が採用されている。なお一般向けには、Windows 10 HomeとOffice Home & Business 2019、法人向けはWindows 10 Proがプリインストールされている。

  • Core i5、メモリー8GB、SSD256GB(一般向け19万800円、法人向け18万8800円)
  • Core i7、メモリー16GB、SSD256GB、GeForce GTX 1650(一般向け23万8800円、法人向け23万6800円)
  • Core i7、メモリー32GB、SSD512GB、GeForce GTX 1650(一般向け28万7800円、法人向け28万5800円)
  • Core i7、メモリー32GB、SSD1TB、/GeForce GTX 1650(一般向け31万800円、法人向け30万8800円)

プロセッサー以上の大きな違いがCore 1i5版にdGPUが搭載されていないこと。最新の3Dゲームやクリエイティブ系アプリを快適に動作させるためにはdGPUは必須なので、購入を検討するなら特に注意してほしい。

なお15インチモデルも同じくCore i7-1065G7が搭載されているが、dGPUは上位のGeForce GTX 1660Tiが採用されており、また、法人向けにはQuadro RTX 3000搭載モデルも用意されている。13.5インチと15インチモデルでは、画面やボディーの大きさだけでなく、グラフィックス性能も異なる点に留意しておこう。

本体天面。背面には800万画素カメラ、前面には500万画素カメラとWindows Hello対応顔認証カメラが内蔵されている

ボディーはマグネシウム合金製。本体サイズは、Core i5版が幅312×奥行き232×13~厚さ23mm、多さは1534g、Core i7版が幅312×奥行き232×厚さ15~23mm、1642g

キーボードは日本語仕様のみ。キーピッチは実測19mm前後、キーストロークは実測1.5mm前後

本体前面に電源ボタンとボリュームボタンが配置されている

インターフェースは、右側面に3.5mmヘッドフォンジャック×1、USB Type-C 3.1 Gen 2×1(USB Power Delivery revision 3.0対応)、Surface Connectポート×1、左側面にUSB Type-A 3.1 Gen 2×2、フルサイズSDXCメモリーカードリーダー×1を用意

タブレット部の下部にSurface Connectポートがもうひとつ配置されている

利用スタイルでパフォーマンスが大きく変わる

今回3つのベンチマークを実施した。CPUベンチマークのCINEBENCH R20.060のCPUスコアは1655pts、3DゲームベンチマークのFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.2(標準品質/2560×1440ドット/フルスクリーン)のスコアは3013、ストレージベンチマークのCrystalDiskMark 7.0.0のシーケンシャルリードは2075.96MB/秒、シーケンシャルライトは807.44MB/秒という結果だ。3Dゲームやクリエイティブ系アプリを快適に動作させられるだけのパフォーマンスを備えていると言えよう。

CINEBENCH R20.060のCPUスコアは1655pts

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.2(標準品質/2560×1440ドット/フルスクリーン)のスコアは3013

ストレージベンチマークのCrystalDiskMark 7.0.0のシーケンシャルリードは2075.96MB/、シーケンシャルライトは807.44MB/秒

ただし注意点がある。今回、クラムシェルモードとタブレットモードそれぞれで、ACアダプターに接続しているとき、バッテリーで駆動しているときのパフォーマンスを計測してみたが、タブレット部単体ではdGPUを利用できないため、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.2のスコアが約25%に相当する743にまで落ち込んだ。その一方で、バッテリー駆動時には極端な違いは見られなかった。Surface Book 3は、dGPUに依存するゲームやアプリはクラムシェルモードで動作させるべきだ。

CINEBENCH R20.060
・クラムシェルモード
電源接続:1655
バッテリー動作:1699

・タブレットモード
電源接続:1269
バッテリー動作:1163

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.2
(標準品質/2560×1440/フルスクリーン)
・クラムシェルモード
電源接続:3013
バッテリー動作:3048

・タブレットモード
電源接続:743
バッテリー動作:582
※電源モードはそれぞれ最も高いモードに設定した

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.2を実行中の表面温度は、タブレット部背面が最大48.6度、キーボード部表面が最大43.6度、キーボード部裏面が最大42.5度。ノートPCは一般的にキーボード裏面が最も温度が高くなるが、Surface Book 3はCPUが内蔵されているタブレット部背面が最も高温となっている

iPad ProとMacBook Proの領域をまとめてカバーできる1台

Surface Book 3は、iPad ProとMacBook Proをまとめてライバルに据えた2 in 1 PCだ。もちろんモバイルデータ通信機能、タブレットに特化したアプリの充実度、macOSならではの使い勝手を重視するなら両機種のいずれか、もしくは両方を選ぶべきだ。しかし、両機種の領域を1台でカバーしたいという方には最も理想に近い1台と言える。

Surface Book 3 15インチで実測した色域はsRGBカバー率96.8%。ディスプレイの色域は、残念ながらiPad Pro、MacBook Proに及ばない。クリエイティブ向けにはもっと広い色域を期待したいところだ