テスラが電動SUVのModel Yを値下げ、長距離四輪駆動バリエーションが5万ドルを切る

Tesla(テスラ)がさらに車両価格を下げた。今回は同社が2020年3月に出荷を開始した電動SUVの「Model Y」だ(未訳記事)。同モデルの長距離四輪駆動バリエーションは現在、購入価格が4万9990ドル(約540万円)となっており、以前より3000ドル(約32万円)安くなっている。この値下げは先週末にElectrekが最初にレポートしている

2020年5月にテスラは、セダンのModel SやSUVのModel Xなどの高級車を含むいくつかの車両価格を引き下げた。新しい価格設定は米国の自動車メーカーが新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより経済的な影響を受け、消費者を引き付けようとしていることに由来している。

関連記事:テスラが主要製品を大幅値下げ、Model SとModel Xの無料充電は廃止に

Ford(フォード)やGM、Fiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)といった伝統的な米国の3大自動車メーカーは、ローンの据え置きまたは長期の支払いオプションに加えて金利0%のプランを提供しているが、他の自動車メーカーも新規購入者へのアピールとして、既存の所有者がローンを滞納しないようにするためのインセンティブや支払いプランを発表している。

2020年7月初め、テスラは第2四半期(4月〜6月)に9万650台の車両を出荷したと発表したが、新型コロナウイルスと米国の主要工場の生産が数週間停止したため4.8%の減少となったものの、アナリストの予想を上回っていた。納入台数の大部分(8万50台)はModel 3とModel Yで、残りの1万600台は高級車のModel SとModel Xだった。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ウォンテッドリーが社内報サービス「Internal Story」のベータ版を公開、コメント機能や社内ポータル機能を追加

人材採用や社内の情報共有などに活用できるビジネスSNS「Wantedly」を運営するウォンテッドリーは7月14日、社内報サービス「Internal Story」のベータ版をWantedlyの有料プラン利用企業に向けて無償公開した。

Internal Storyは、作成した記事やお知らせなどを自社メンバー限定で公開できるのが特徴。会社のビジョンやミッション、それに伴うバリューなどを社員に浸透させるために活用できるとしている。一般的なイントラネットでの社内の情報共有ページと異なるのは、従業員のアカウントを個別に作成することで双方向のコミュニケーションが生まれやすい環境を構築できる点だ。

またベータ版では、一部の企業に先行提供していたアルファ版の機能に加えて、記事に対してコメントを付けられるコメント機能や投稿を一覧できる社内ポータル機能が加わっている。

ウォンテッドリーでは現在、Internal Storyのほか、従業員特典サービス「Perk」、コンディション・マネジメントサービス「Pulse」などのサービスも展開している。Internal Storyについてはアルファ版のリリースから2カ月程度で機能強化したベータ版を投入するなど、主力事業の転職・採用事業に加えて従業員とのエンゲージメントを強化する事業に力を入れている。

大阪大学発スタートアップPGVが1.5億円の調達、小型軽量な脳波センサー・脳波AIモデルを開発

大阪大学 PGV 脳波センサー 脳波AIモデル ニューロマーケティング

大阪大学発のスタートアップ企業PGVは7月14日、第三者割当増資として総額約1.5億円の資金調達を発表した。引受先は大阪大学ベンチャーキャピタル(OUVC)。

2016年9月設立のPGVは、大阪大学産業科学研究所・関谷教授の研究成果を基に「小型で軽量な脳波センサー」を開発し、脳波AIモデル開発・サービス事業に取り組んでいる。同社脳波センサーは、額に貼れるほど小型で装着感を感じさせない形状でありながら医療機器と同程度の高い計測精度を実現できているなど、優れた技術性を有しているという。

また、同社では得られた脳波データから脳波モデルを生成する解析アルゴリズムの開発も進行。様々な状況下での脳波を計測・析を通した多くの脳波モデルのカタログ集積を行い、「PGV=脳波モデルの総合図書館」としての位置づけを目指すという。取得した脳波データを利用したニューロマーケティングビジネスをはじめ、疾患の早期検知、睡眠ステージの判定といったヘルスケア分野への展開など、脳波データを活用した様々な分野でのビジネス展開を進めている。

大阪大学 PGV 脳波センサー 脳波AIモデル ニューロマーケティング
OUVCを無限責任組合員とするOUVC1号投資事業有限責任組合(OUVC1号ファンド)は、PGV対して2016年11月に5000万円、2017年8月に2億円、2020年1月に5000万円の投資を実行しており、今回は4回目の投資実行にあたる。OUVCとしては、PGVが2020年1月に調達した資金を活用し、一定の事業開発が進んだことが確認できたため、追加投資を決定した。

自律型ドローンのスタートアップSkydioが約107億円を調達、初の商用ドローン「X2」を発売

SkydioがシリーズCのラウンドで1億ドル(約107億円)を調達した。ラウンドをリードしたのはNext47で、新たな投資家としてLevitate CapitalとNTTドコモ・ベンチャーズが参加、また既存の投資家であるa16z、IVP、およびPlaygroundらも参加した。新たな資金は、製品開発の迅速化と消費者向けアプリケーションだけでなく企業や公共部門向けドローン技術に市場開拓に充当される。またSkydioは、米国時間7月13日に商用利用向けに設計されたドローンであるX2ファミリーを発表した。

2014年に創業されたSkydioは、これまでに総額1億7000万ドル(約182億円)を調達し、消費者向けドローンを2機種発売している。どちらも人工知能技術による自律的なナビゲーション機能を有している。これはドローンが人や物体を追跡するだけでなく、木や送電線といった障害物などを回避できるというものだ。それにより、プロの撮影クルーがヘリコプターから撮ったような映像を、一般消費者市場で1000ドル(約10万7000円)足らずで提供している。

2018年に登場した初代ドローンであるR1(未訳記事)は、2499ドル(約27万円)だった。そのインテリジェンスと追跡能力は印象的で、その後のソフトウェアのアップデートや2019年に発売された現在でも注文可能な第2世代のハードウェアによって改良は進んでいる。

Skydioの新しいドローンプラットフォーム「X2」は企業向けで、2020年の第4四半期に出荷される予定とのこと。X2ドローンは360度のスーパーズームカメラとFLIR 320×256解像度の赤外線サーマルカメラを搭載し、バッテリー駆動時間は35分、最大航続距離約10kmとなっている。またドローン用のSkydio Enterprise Controllerもありタッチスクリーン、ハードウェアコントロール、そしてまぶしさを防ぐ保護フードを避けるための日よけフードがある。

コンシューマーからエンタープライズへの移行は、Skydioにとってとても理に適ったものだ。まず、コンシューマーの世界で賞賛を受けてきた衝突回避や容易な操縦性は、エンタープライズでもそのまま使える。同社によると、その衝突回避機能は精度が高く、相当な近接撮影が可能なので、リモートでのインフラや機器装置類の点検に適しているという。人が乗ったヘリでは、危険すぎてそれだけの近接撮影はできないだろう。

X2は、自身の真上180度を撮影できるので、橋の下部のような頭上にある構造物をさまざまな角度から調べるのに適している。これは従来のドローンでは難しかった。また赤外線撮影を利用すれば昼夜連続の観察も可能であり、目的物のヒートマップを記録することもできる。

Skydioは今後もコンシューマー市場にもサービスを提供していくだろうが、同社の短い歴史の中での変化進歩は、投資家にとってとても魅力的なようだ。最初は高価だが高機能で、限られた人しか手を出せないコンシューマー製品から、その後、高度な機能のまま買いやすい価格の製品を出し、そして今度は同社がその技術で実現した経済性を、はるかに利益を生む可能性があるエンタープライズ向けハードウェアとソフトウェアへ転換しているようだ。

画像クレジット: Skydio

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

今からWebマーケティングを強化したい企業がやるべきことは何か?

これからWebマーケティングに力をいれるとなったとき、まずどこから手を付ければよいのか?ナイルのデジタルマーケティング戦略顧問であり、日本法人ではなくUS現地のAdobe本社でAdobeAnalyticsの開発にも携わった清水誠氏と、ナイルのアナリストユニットリーダー・清水拓也に話を聞きました。

この記事では、

  • 今までWebマーケティングをしていなかった企業が、最初に着手することはユーザーの理解。まず手軽にできるのは、Google アナリティクスのユーザーエクスプローラーの活用
  • データはアウトプットではなく、インプット。これからデータ活用をしたい企業は、どんなツールを入れればよいか?
  • 数字成果を求められる現場で、ユーザー理解に時間を使うことが難しい場合は?

などをお話しています。

ユーザーがサイト内をどう動いているか、どのくらい知っていますか?

――企業サイトは持っていても、更新や分析、SEOなどを行っていない企業も多いかと思います。そうした企業が「これからWebマーケティングに力を入れたい」となったとき、最初にするべきことは何でしょうか。

清水誠:そのサイトは、誰にどうなってもらうために作られたのか、改めて考え直すことだと思います。分析ツールを入れれば、ページビュー(PV)がいくつあった、1日平均何人が来た、という数字はわかります。しかし、目的があやふやなままでは、数字をどう解釈すればいいか分からず、有効に活用できないんです。

清水拓也:確かに、「なぜかアクセスが下がった、どうしよう」と相談されるお客様のなかには、目先の数字に一喜一憂しているケースも少なくないですね。ECサイトなら明確なゴールを設定しやすいですが、そうではないサイトは「もっとアクセスしてほしい」「お問合せをしてほしい」といった企業視点で数字を語りがちです。まずは、サイトの訪問者にどう変わってほしいのか、目的を捉え直すべきかと思います。

 

――ユーザーの視点を得るために、具体的にはなにから着手すればよいでしょうか。

清水誠氏

写真:清水誠氏

清水誠:ユーザーがサイト内をどのように動いているのか、実際に追いかけてみるといいでしょう。例えば、無料で導入できるGoogle アナリティクス(GA)には「ユーザーエクスプローラー」という機能があり、ユーザーがサイト内でどういう行動をしているのか、時系列で追いかけることができます。誰か一人の行動に着目すると、こんな使われ方をしていたのか、とか、この辺りは使い勝手が悪そうだ、という発見がある。10人も追いかければ、お客様ひとりひとりの顔が浮かんできて、ここでこうしたほうがいいんだろうな、と考えられるようになります。こうして顧客像をつかむところからスタートするといいと思いますね。

 

――たしかにユーザーエクスプローラーなら、GAで分析をしたことがない人も、すぐに触ってユーザーのサイト内の動きを確認できます。

Google Analyticsの「ユーザー」→「ユーザーエクスプローラー」→一覧表示されるクライアントID

※GAで「ユーザー」→「ユーザーエクスプローラー」→一覧表示されるクライアントIDをクリックすると、そのIDのユーザーがサイト内でどのように動いたのかを、時系列で確認できる

データはアウトプットではなく、インプットに使うもの

――GAの話が出ましたが、ユーザーを知るためにはどんなツールを使うとよいでしょうか。

清水拓也:アナリティクスのツールとしては、大半が無償版のGA、次いでAdobe Analytics(AA)、有償版のGA 360の順に利用が多いです。AAは大量のデータをリアルタイムにさばくのに長けているので、ビッグデータを扱う企業でよく導入されています。個人的には、有償版のGAを使うならAAのほうがいいですね。GAは有償版であっても、データ量が多いとサンプリング(データから一部を取り出して推定すること)が発生するので、ビッグデータで精度を求めるならAAでしょう。

清水誠:その代わり、AAはデータの持ち方などがかなりテクニカルな作りなんですよね。よく分からないまま使うと、違うデータを元に誤った分析をしてしまいがち。データ取得などの部分は外部に委託して、自分たちは分析などに専念するのがよさそうです。

清水拓也:そうですね。GAやAAのスキルはかなり専門的ですし、専任を置けないのであれば外部に任せたほうがスピード感を出せると思います。

清水誠:あと、最近はKARTEのようなWeb接客ツールも出ています。KARTEは、サイト内をどんな人がどう動いたか見ることができますし、訪問者によってコンテンツを出し分けることもできます。今から何か導入するのなら、GAなどの分析ツールではなく、最初はこうしたツールを入れるのもありでしょうね。

 

――GAやAAといった分析ツールとは、だいぶ種類が違うツールにも感じますが?

清水誠:「アナリティクス=分析」ではないんです。アナリティクスはあくまでデータを取得するための装置であって、取り出したデータを活用しなければ意味がありません。アナリティクスから取得したデータは、レポートにまとめて終わらせるものではなく、ユーザーとのコミュニケーションの起点となるべきもの。言わば、データはアウトプットではなく、インプットだと考えるべきです。例えばAAであれば、Web上の出し分けはAdobe Target、MAツールはAdobe Campaignといった連携サービスが用意されています。

清水拓也:その意味で接客ツールは、データ取得からコミュニケーションまでの一連の流れを体験できますね。他にも、広告におけるリマーケティング/リターゲティングなんて、まさにデータをインプットとして活用するもの。データからニーズを把握すれば、お客様に寄り添った接客ができます。これもユーザー視点として大切なことでしょう。

ツールの使い方よりも勉強した方がよいこと

――既に企業サイトが公開されている場合、そのサイトが構造的に分析しやすいものか否かも大事なのかと思います。分析しやすいようにディレクトリ構造などを改善したほうがいいのか、それとも分析ツールを現在のサイトに合わせてカスタマイズしたほうがいいのか、悩むところだと思うのですが。

清水拓也:検索意図が異なるのに、同じディレクトリにたどり着くようになっていたりすると、ユーザーの行動が推測しづらいんですよね。分析しようとしても社内でGAがうまく設定できなくて、私たちに依頼が来ることもよくあります。

清水誠分析しにくい、データが取りにくいサイトって、結局使い勝手が悪いと思うんですね。

清水拓也氏

写真:清水拓也氏

清水拓也:なるほど、それはありますね。

清水誠:情報が分かりやすく整理されていれば、データも取りやすいはずなんです。例えば銀行のサイトは、「法人」と「個人」が区別され、「貯める」「借りる」「増やす」といった用途の異なるコンテンツが混じり合ってはいませんよね。お客様にどう使ってもらいたいかを整理すると、必然的にサイトも分かりやすくなり、データも取りやすくなります。

 

――裏を返せば、分析がしにくいサイトはユーザー視点ではなく、企業視点で作られていることになりますね。

清水誠:そういうことですね。そうなるとサイト自体を直すべきでしょうし、そもそもWebサイトがどのように製作・開発されるかも知っておいたほうがいいと思います。

 

――それはなぜでしょうか?

清水誠:HTMLもJavaScriptもCookieも分からない状態だと、どんなデータがどう取れているのか、また、どんなデータが取れる可能性があるかも分からないんです。リアルな店舗に例えるなら、店内のどこにどんな商品があるか、お客様の導線はどうなっているか、店員はどんな対応をしているのか……など、ある程度実情を把握していないと、データの見方なんてわからないですよね。それと一緒で、サイトの作りを理解しておかないと、得られたデータを正しく見ることができません。

清水拓也:うちのチームにも「数字だけを最初に見ず、サイトから見るように」とは伝えていますね。ツールに慣れると数字遊びが楽しくなって、目的から離れてしまったりするんです。まずサイトの理解からですね。

 

――数字だけ追い求めてしまうと「店のことは知らないけど、とにかく人を呼んでこい」みたいなことになるわけですね。

清水誠:そうですね。とにかく人を呼んで、来た人には無理やりにでも商品を買ってもらおうとする。また人が来なくなると、なんとなくボタンの色を緑から赤に変えてみたりする
いくら企業視点を押しつけても、うまくいくわけがないですよね。

 

数字成果を求められる現場で、ユーザー理解に時間を使うことが難しい場合は?

――「数字ではなく、ユーザーやサイトの理解こそ本質である」と理解しましたが、社内で数字のプレッシャーを受けている方も多くいるのではと思います。そうした層を説得するために、お二人はどんな施策から着手されているのでしょうか。

清水誠:「コンセプトダイアグラム」のようなワークショップを通じて、そもそもどういう人にどうなってもらうのがビジネスにとって望ましいのか、最初に整理してもらうところから始めています。簡単ではないですが、一度整理できると「○○に力を入れよう」など、社内で共通言語が生まれるので、そのあとの施策が実現しやすくなります。

▼コンセプトダイアグラムの例

引用:コンセプトダイアグラムでわかる [清水式]ビジュアルWeb解析 (Web Professional Books)ー清水誠著 100ページ目

コンセプトダイアグラムサンプル

コンセプトダイアグラムの例

※コンセプトダイアグラム:企業が望むゴールに顧客が到達するまでの過程を、縦と横の軸を用いて表現する図法。「売上」「単価」といった企業視点ではなく、「こだわりの強さ」「自己理解」といった顧客視点の心理的な要因を設定するのが特徴。

※参考記事1:カスタマー視点とアナリティクスでSEOはこう変わる | ナイルのSEO相談室

※参考記事2:ユーザーの検索体験を「SEO成果指標」として可視化する方法(概念と準備編)|ナイルのSEO相談室

清水拓也:訪問数などの数字が増えても、コンバージョン(CV)につながるとは限りませんので、流入経路や継続状況、CV傾向などの行動パターンについてPDCA調査を行います。必ず定量分析のあとに定性分析をやるようにしていますね。

清水誠:両方大事ですよね。定量分析で当たりをつけたあと、ユーザーエクスプローラーで訪問者の動きを追った定性分析をして、さらにこのパターンがあるなら……と定量分析に戻って。グルグル回していくと、いくらでも発見がありますよね。

清水拓也:定性分析はやればやるほど仮説が生まれるので、キリが無いんですよね(笑) 定量分析と定性分析を行ったり来たりすれば、SEO施策やコンテンツのネタは尽きないと思います。

清水誠:そうなんです。なぜ定量分析と定性分析を行き来すれば施策のアイデアが尽きないのかというと、顧客理解が進んでいるからですよ。数字だけを見て、パフォーマンスチューニングや最適化をしても、顧客理解は全く進みません。むしろ「騙される客がこの辺にいる」という変な理解が進んでしまう。

清水拓也:サービスや顧客を理解していないと、的外れな改善施策に取り組んでしまいますよね。それこそ「ボタンの色を目立つ色に変えたら押してくれるのでは」みたいな。それも企業視点ですから。

清水誠:コロナウイルスという危機的状況下で、そうした企業の姿勢が浮き彫りになってきたと感じます。こんな時に目先の数字に焦った施策をするのか、自分たちに貢献できる事を考えてユーザーとコミュニケーションを図るのか、どちらがより良い動きなのかは明白です。顧客視点が抜けたサイトは、もう増えてほしくないですね。世の中を良い方向に導くのが、本来の企業活動だと思いますから。

――Webマーケティングは施策成果やユーザーの動きをデータで見ることができるので、データの「数字」を良くすることを意識してしまうのかもしれません。データを読み解くことでユーザーを理解し、それが結果としてアクセス数やCV数といった数字成果や、成果をもたらす施策に繋がっていくのですね。本日はお忙しい中、ありがとうございました!

今からWebマーケティングを強化したい企業がやるべきことは何か?ナイル株式会社 - ナイルのSEO相談室で公開された投稿です。

Microsoft Flight Simulator 2020は8月18日に発売、使用可能な飛行機と空港数が異なる3エディション

一連のアルファテストを経て米国時間7月13日、Microsoft(マイクロソフト)のXbox Game Studios(エックスボックス・ゲームスタジオ)とAsobo Studio(アソボ・スタジオ)は次世代Microsoft Flight Simulator 2020(マイクロソフト・フライトシミュレーター2020、FS2020)を8月18日に発売することを発表した。現在予約受付中のFS2020には、スタンダードエディション(59.99ドル、日本版税込7450円)、デラックスエディション(89.99ドル、日本版税込1万700円)、プレミアムデラックスエディション(119.99ドル、日本版税込1万3100円)の3種類があり、上位バージョンほど飛行機の種類と特別にモデリングされた国際空港が多くなっている。

最後の部分はちょっとした驚きかもしれない。マイクロソフトとAsoboはBing Maps(ビング・マップ)の資産とAzure(アジュール)のAIマジックを使って、Filght Simulator 2020では事実上地球(全空港を含む)全体を再現しているからだ。それでも開発チームは一部の大型空港を特にリアルに再現するためにさらに時間をかけたに違いない。その大型空港の1つをFlight Simulator XやX-Planeのアドオンとして購入する場合でも、30ドル(約3200円)以上を使うことになる。

スタンダードエディションには20種類の飛行機と、30カ所のハンドメイド空港が利用可能で、デラックスエディションでは25機と35カ所、プレミアムデラックスエディションでは30機と40カ所になる。

ちなみに、スタンダードエディションでこの特別なモデリングで作られていない空港はアムステルダム・スキポール、シカゴ・オヘア、デンバー、フランクフルト、ヒースロー、サンフランシスコとなる(特別なモデリングされていないだけで空港自体は存在する)。

飛行機についても同様で、787はデラックスエディション以上でしか使用できない。ただし、Asoboがこれまで発表してきた情報によると、スタンダードエディションで使用可能な20機も、これまでのバージョンよりもはるかに詳細にモデリングされていて、現在のアドオン以上かもしれない。

画像クレジット: Microsoft

マイクロソフトとAsoboが開発しているシステムの大部分はクラウド技術を使用しており、例えば詳細な景色はオンデマンドでコンピューターにストリーミングされるため、コンテンツのアップデートが定期的に行われる可能性が高いが、詳細はまだ明らかになっていない。

「飛行機の種類や詳細にモデリングされた空港は、どのエディションでも発売当日からすべて利用可能であり、今後のコンテンツアップデートによってフライトシミュレータープラットフォームは発展と拡大を続ける」とマイクロソフトはいう。

Flight Simulator 2020はまもなくクローズドベータフェーズに入るため、近々詳細が発表されるはずだ。

画像クレジット: Microsoft

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Analog DevicesによるライバルMaxim Integrated買収で巨大チップメーカーが誕生

複数の報道によれば(Reuters記事)、米国時間7月13日にAnalog Devices(アナログ・デバイセズ)はライバルのチップメーカーであるMaxim Integrated Productsを209億1000万ドル(約2兆2400億円)で買収したことを発表した。同社の時価総額は7月10日の終値で170億9000万ドル(約1兆8300億円)だった。

この取引は両社の取締役会がすでに承認しており、Analog Devicesによると企業価値680億ドル(約7兆2900億円)の巨大チップメーカーが誕生することとなる。両社ともに狙いは企業規模の拡大だ。

両社の組み合わせは、互いに重複する製品が少ない点でも好ましいものだ。Maximは自動車業界とデータセンターの分野に強く、Analogは産業用やヘルスケアに集中している。

ADI(Analog Devices, Inc.)の社長でCEOのVincent Roche(ヴィンセント・ロシュ)氏は、買収がもたらす統合された組織の可能性について意欲的だ。ロシュ氏は声明で「ADIとMaximは、顧客の最も複雑な問題を解決する情熱を共有している。両社の技術と人材が合わさることでその幅と深さを増せば、より完全で最先端のソリューションを開発できる」と語っている。

Maximは1983年に創業され、1988年に株式を公開した。Crunchbaseによると、同社は2002年から2013年までに9回の買収を行い、直近の買収は2013年のVolteraだった。

この種の買収は例によって規制当局の承認を得る必要があるが、両社とも2021年夏には完了すると考えている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Superstrataが3Dプリントで作られたカーボン製ユニボディ自転車Ionの予約注文の受け付けを開始

Superstrata(スーパーストラタ)を見るたびに、どれだけ早く盗まれてしまうのだろうか、とどうしても考えてしまう。それはこの自転車の責任ではない。実際は逆で、そこが長所だ。たぶん、ニューヨークという街に長く住みすぎたために蓄積された経験が、私にそう思わせるのだろう。

SuperstrataのIon(イオン)は、4000ドル(約43万円)の自転車だ。だが、そこらの4000ドルの自転車(何を指しているかは、ここでは省く)とは訳が違う。滑らかな外観も目を引くが、Ionはなんと3Dプリントされたカーボンファイバー素材のユニボディ自転車なのだ。この製造法により、乗る人の体型に合わせたカスタム自転車を作ることが可能になっている。びっくりするような価格ではあるが、1万2000ドル(約130万円)以上もする従来のカーボンファイバー製自転車に比べたら、Ionは安い。

Superstrataブランドで発売されるのは2車種。前述の電動アシスト自転車Ionと、2800ドル(約30万円)の非電動自転車Terra(テラ)だ。どちらもまだ、完全には商品化されていない。現在、クラウドファンディングのIndiegogoで予約注文の受け付けを開始したところだ(キャンペーンはすでに当初の目標額10万ドルの5倍の資金を集めている)。このキャンペーンは、Alabaster(アラバスタ)やMisfit(ミスフィット)の創設者であり、ここ数年の消費者向け電子機器の動向に詳しい人にはお馴染みのSonny Vu(ソニー・ブー)氏が主催している。

画像クレジット:Superstrata

3Dプリント自転車の長所ははっきりしている。同社の説明によると、身長140cmから225cmの人まで車体を対応させることができるという(そこじゃない、均整美などのもっと楽しい面があると指摘される方もいるだろうが、話のポイントはわかってもらえると思う)。Superstrataでは、18の部分の長さを調整してユニボディのフレームを作っている。そうすることで、重量1.3kg(非電動モデルの場合)にも満たないフレームの強度が格段に上がる。同社がTechCrunchに話してくれたところによると、重複のない組み合わせは25万通りにのぼるという。プリントが完了すると、あとは人の手で仕上げられる。

Superstrataは、ただの新しい自転車スタートアップではない。サンフランシスコ湾岸地区を拠点とする積層造形スタートアップであるArevo(アレボ)傘下の新ブランドだ。Superstrataは、Arevoのサービスと複合積層製造技術を製造業界に売り込むためのデモンストレーションの役割も担っていると、ブー氏はTechCrunchに述べた。

その大きな目標を達成するために、Arevoは大規模なシステムを完備したプリント工場をベトナムに建設しているとブー氏はいう。

「ただ何かをプリントして、『ほら、こんなこともできますよ』というだけの話ではありません」とブー氏は最近のインタビューで話してくれた。「名前から色、ブランド、フォント、工業デザイン、ユーザーエクスペリエンスに至るまで製品全体を、B to C(企業対消費者間取引)のすべてを作ろうということです」。

Superstrataの製品がいかに早く開発されたかを自分の目で見て理解してもらえれば、将来の顧客が夢中になってくれるとブー氏は目論んでいる。設計から製品化直前のプロトタイプまで、全工程に要した時間は約2カ月だったとブー氏はいう。その時間の大半は、各自転車ごとに大量のカスタマイズを可能にするためのプリント工程の設計に費やされた。

ブー氏は、Superstrataが自立した高級品メーカーになることを目指しているが、同社は今回の2車種の設計を、自転車の専門家とデザイナーに大きく頼ってきた。賛否が分かれるところだが、デザイン的に興味深い点としてシートチューブを廃止したがある。

「たしかにデザインはちょっと派手なもにになっています」とブー氏はいう。「これも強度を誇示したくて、このようなデザインにしました。もちろん、シートチューブを付けようと思えば付けられました。しかし全体がカーボンファイバーで作られているので、かなりの重量に耐えられるという点を見て欲しいのです」。

注目すべきは、この2車種は大幅なカスタマイズが可能であっても、ハンドルバーや車輪などが固定された閉鎖的システムではないということだ。車輪やその他の部品は他社製品に交換することができる。Superstrataがそうした柔軟性を持たせたのは、いずれにせよハードコアなサイクリストは、余計なものを取り払ってフレームとフォークだけにしてしまうであろうことを想定しているからだ。

今ならさらにお得なポイントがある。どちらの車種も、クラウドファンディングのキャンペーンで早期に支援した人は割引価格で購入することができる。出荷予定は12月となっている。

画像クレジット:Superstrata

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(翻訳:金井哲夫)

AIスタートアップの登竜門「HONGO AI 2020」参加企業の募集開始、12月4日のライブ配信にて最優秀賞を決定

東京大学の本拠地である本郷をAIスタートアップの拠点としてコミュニティ形成や活性化を目指す団体であるHONGO AIは7月14日、AIスタートアップのピッチイベント「HONGO AI 2020」を12月4日15時〜19時にオンラインで開催することを発表した。

HONGO AI 2020では、コンサルティングファームの経営共創基盤、ソフトバンク系でAI系スタートアップへの投資を進めるVCであるディープコア、Deep30投資事業 有限責任組合、東京大学エッジ キャピタルパート ナーズ(UTEC)、東京大学協創プラッ トフォーム開発、独立系VCのANRIが代表幹事を務める。

昨年に第1回としてHONGO AI 2019を開催。応募32社から14社がファイナリストとして選出され、データ解析により材料開発を効率化するMI-6が最優秀賞に輝いた。

HONGO AI 2020は本日から参加スタートアップを募集し、締め切りは8月28日を予定。最終選考委員には2019年と同様に、東京大学 大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻 教授・産学協創推進本部副部長を務める各務茂夫氏、東京大学 大学院工学系研究科 人工物工学研究センター 技術経営戦略学専攻・教授を務める松尾 豊氏、Mistletoeファウンダーの孫 泰蔵氏などが決まっている。

グーグルがインドの教育事業を強化、100万人以上の教員を対象にツールの提供と訓練の計画も発表

米国時間7月13日、Google(グーグル)はインドの公私立学校を束ねる政府機関であるCBSEとの提携を発表した。2020年中に世界第2位のインターネット市場であるインドの2万2000の学校に「blended learning experience(融合された学習体験)」を提供する。

同じ日に検索の巨人は、インドに1兆円超の投資を5~7年かけて行い、この国の100万人以上の教員を対象に、G Suite for Education(Gスイート・フォー・エデュケーション)、Google Classroom(グーグル・クラスルーム)、YouTubeなどのツールの提供、訓練を行う計画も発表した。 インドは他の国々と同様に新型コロナウイルス(COVID-19)の拡大防止のために学校が閉鎖され、教育のデジタル化が求められている。

グーグルは、インドの教育システムには課題が3つあると語った。インド言語のデジタルコンテンツの質、教員のデジタルツール対応、および端末とインターネットの普及だ。

「誰もがインターネットを利用できるわけではないことを認めざるを得ない」とグーグルのインド・東南アジア担当マーケティングディレクターであるSapna Chadha(サプナ・チャダ)氏は13日のオンラインイベントで語った。同社はパートナーと協力して上記の課題に取り組み、インターネットを利用できない生徒でもテレビ、ラジオなどのメディアを通じてつながることができるよう努力していると同氏は語っている。

関連記事:Education technology is a global opportunity(未訳記事)

最近数カ月間でグーグルは、Googleミート、Google Classroomなどの教育ツールをPodar、Kendriya Vidyalaya、Nehru World、GD Goenkaなどインドのさまざまな学校に無料で提供してきた。

グーグルの13日の発表は、世界のライバルFacebook(フェイスブック)の同様の取り組みに続くものだ。フェイスブックは2020年7月始めにCBSEと提携し、デジタル安全性と適切なオンライン利用、拡張現実などの認定カリキュラムを学生および教育者向けに提供する。

グーグルはまた、パートナーと協力して恵まれない子どもたちに教育機会を与えるインドの基金であるKaivalya Education Foundation(KEF)に、グーグルの慈善部門であるGoogle.orgから100万ドル(約1億1000万円)の助成金を提供することも発表した。

「このファンドを使って、Kaivalya Education FoundationはCentral Square FoundationおよびTeacherAppと協力して、脆弱な子どもたちが在宅学習できるように70万人の教員にバーチャル教育を訓練する」とチャダ氏は語った。

ほかにもグーグルは、インド最大の国営放送機関であるPrasar Bharatiとも提携して、新型コロナウイルスと戦う企業オーナーが他の企業から学び、長期的未来を計画する手助けをする一連のエデュテイメントシステムを提供すると語った。

そしてグーグルは、2019年にインドで公開した生徒の読書や理解のスキルを開発する教育アプリのBolo(未訳記事)をRead Alongブランドで9言語、180カ国に展開することも発表した。同社は2020年5月にRead Alongの世界展開計画を発表している。

関連記事:グーグルが世界最後の成長マーケットであるインドに1兆円超を投資

画像クレジット:Sanjeev Verma / Hindustan Times / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ブログ感覚で業務マニュアルなどを作成できる「toaster team」の正式版が登場、Slackなどとの連携も視野に

nacoは7月14日、これまでベータ版として提供していたチームコラボレーションツール「toaster team」を正式ローンチした。2020年2月に提供を開始したベータ版の導入企業は700社を突破しており、2020年度中に2000社への導入を目指す。

利用料金がかからないがデータ上限のある無料プランのほか、1チーム(11名以上)あたり月額800円の有料プランを提供する。今後は、SlackやMicrosoft Teamなどの法人向けメッセンジャーサービスとの連携も進めていく。

toaster teamの特徴は、独自テンプレートに従うだけで業務マニュアルや手順書を作成できる簡便さ。トリミングなどの簡単な画像編集もtoaster team上で操作できるほか、GoogleドキュメントやGoogleスプレッドシート、Googleスライド、SNSなどのコンテンツを張り付けることも可能だ。

ベータ版からの機能強化としては、業務マニュアル・手順書(ナレッジ)を作成・共有のほか、作成したナレッジをチェックリスト化して管理・運用できるタスク機能が加わった。

黒人ミレニアル世代の到来が大きなチャンスとなるメディア企業Blavity

「Black Lives Matter」は米国史上最大の社会運動かもしれない。ニューヨークタイムズ紙が最近引用した4つの異なるアンケートによると、米国で1500万から2600万人の人たちが、5月末のGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏の死以降、同氏のやその他の人たちの死に抗議するデモに参加したという。

Blavity(ブラビティ)は黒人文化にフォーカスしたメディア企業だ。ロサンゼルスを拠点とし、創業6年になる。激怒した米国民がこれまでの出来事を正しく理解できるよう助けるのに、ブラビティほど適任の企業はないだろう。ブラビティの創業者Morgan DeBaun (モーガン・デボーン)氏によると、同社には黒人に対する残虐な行為を撮影した動画が毎週少なくとも4~5本は届くが、この状況は2014年以来変わっていないという。2014年当時Intuit(イントゥイット)に勤めていたデボーン氏は、故郷ミズーリ州で18才の丸腰の少年Michael Brown(マイケル・ブラウン)君が警官に撃たれた事件の後、ブラビティを創業した。

ブラビティは主要メディアがほとんど見逃してしまう事件を取り上げるが、それだけではない。ますます多くの黒人ミレニアル世代が、文化や政治に関する斬新な見方、ブラック・ハリウッド旅行に関する情報(ブラビティが運営する他の2つのブランドで取り扱っている)、大規模なネットワーキングイベント(昨年1万人を集めたイベントもあった)などに関心を持つようになっているが、ブラビティはそんな彼らの中で人気サイトとなっている。

TechCrunchは先週、デボーン氏に、ブラビティがどのようにこの機会を捉えようと考えているのか、投資家は同社への出資をチャンスだと考えているのか、といった点について詳しく話を聞いた(ちなみに同社は現在までに、GV、Comcast Ventures(コムキャスト・ベンチャーズ)、Plexo Capital(プレクソ・キャピタル)といったVCから比較的控え目の1100万ドル(約11億8000万円)を調達している)。以下がインタビューの内容だ。限られた字数で分かりやすく伝えるために編集してあるが、インタビュー全体はここから視聴できる

TC:ブラビティを創業した目的の1つは、マイケル・ブラウン君の死後、他の黒人たちとつながりたいというニーズがあるのを感じ、それに応えるためだったと聞いています。当時はどんなメディアを読んでいたのですか。

MD(デボーン氏):期待外れの答えになってしまいますが、実は何も読んでいなかったのです。地元や地域の問題、黒人の問題を常に把握しておく必要があると心底感じたのは、自分のコミュニティから離れてカリフォルニアに引っ越してからです。その時に初めて「一体何がどうなっているの」と自問している自分に気づきました。

黒人コミュニティはこれまでも、独自のネットワーク、プラットフォーム、ブランドを創り上げてきました。Essence(エッセンス)、Jet(ジェット)、Ebony(エボニー)、最近ではThe Root(ザ・ルート)など、アフリカ系アメリカ人向けの新聞がさまざまな都市で発行されています。ですが、大半のメディアは相変わらずエンターテイメントやハリウッド関連の話題ばかりを取り上げており、必ずしもニュースを重視しているわけではありません。ですから、私が知りたいと思っていた情報とのギャップがとても大きいと感じていました。

これはツイッターが本格的な情報源になる前のことで、多くの人たちにとってそれが現実でした。セントルイスの街で自分が目撃したことや現場にいた友人とテキストメッセージやメーリングリストでやり取りする情報と、大手メディアに掲載される情報との間には大きなギャップがありました。私は何か大切なことを見落としているように感じました。変化を起こすには、常に正しい情報とつながっていることが大切だとかつてないほど強く感じていたからです。

TC:ブラビティは多くの社会的不公正を取り上げています。現在、サイトで最もよく読まれている記事は、サクラメントの警官が12才の子どもの頭にビニール袋をかぶせたこと関する記事と、警官が妊娠中の女性の腹をテーザー銃で撃ち、逮捕、起訴されたことに関する記事です。こうした記事は、ブラビティが読者の情報源となるのに重要な役割を果たしているのですか。

MD:我々は黒人が体験していること、実際の心情をありのままに伝えたいと思っています。他のメディアでは取り上げられない事件やニュースも掲載します。最近よく「今回の件はこれまでとは違うと感じていますか」とか「これまでとは異なる事件なのですか」という質問を受けるのですが、「こうした事件はマイケル・ブラウン事件以来、毎週のように取り上げてきました」とお答えしています。黒人コミュニティで起こった事件を伝え、現実に起こっている不公正に光を当てることは、我々が発行するメディアとその精神にとって必要不可欠な部分です。

もちろん、喜ばしく幸福な出来事、お祝いごと、偉業達成の瞬間、地元のヒーローなどの記事もあります。しかし今は、懸命に取材に励んで今この瞬間に最も重要な事件を取り上げることが大事だと思っています。

TC:最近、Forbes(フォーブス)誌の取材で、「広告主やマーケティング担当者は、黒人の死や暴力を伝える記事の隣の広告スペースにお金を払いたくないと思っている」と答えていましたね。こうした記事を掲載するのは、それがブラビティの使命だからだと思いますが、その一方で両刃の剣のようなところがあるような気がします。

MD:組織としてのブラビティには5つの異なるブランドがあります。ですから収入源も多岐にわたり、ニュース記事の隣に広告を表示することだけに依存しているわけではありません。他のメディア企業が広告収入に依存し過ぎて苦しむところを我々は見てきました。同じ失敗を繰り返したくはありません。当社のフェイスブックのページは、投稿内容があまりに暴力的過ぎるとしてブロックされたことさえあります。しかし、黒人に対する暴力は現実です。脚色なしの本当の出来事なのです。

ブラビティにとって真実を伝えることは絶対条件ですが、それと同時に、クライアントや広告主、あるいはフェイスブックに抵抗してでも確実にコンテンツを配信し続けることができることを示すことも必要です。奇妙ですが、ブラビティはこの両者のバランスを取りながら運営しています。ただ、全体的に見て、最も収益を上げているのはニュース部門ではありません。コンファレンス事業と5つのブランド(ライフスタイルブランドを含む)全体の広告表示事業が最も利益を上げています。

あまり大々的に宣伝してはいませんが、当社は自前のアドネットワーク(複数の広告媒体にまとめて広告を配信できる仕組み)も所有しています。ただし、当社は基本的に、営業チーム、広告技術やエンジニアといった類の人材を自社で抱えられる規模にまだなっていない有色人種経営の中小メディア企業のために、広告営業・販売業務を行っています。同じく自社アドネットワークを持つVice(ヴァイス)やRefinery 29(リファイナリ29)と競合しているため、そのような競合相手にも勝てることを示すためにも当社は巨大な需要を確保しておく必要がありました。そして、この広告事業からの収益によって、他の部門へ再投資する余裕が生まれました。

TC:有料会員制のプロフェッショナル向けネットワークも開始するそうですね。

MD:特に若い黒人のプロフェッショナルたちが集まって学んだり仕事を探したりできる新しいプラットフォームを数週間後に開始する予定で、当社一同とても楽しみにしています。このようなプラットフォームは当社がコンファレンスビジネスで培ったコア・コンピテンシーの1つであるという背景もありますが、最大の目的は、今トレンドを形成している重要な問題やトピックについて議論する場を作ることです。ブラビティはすでに、Facebook Live(Facebookライブ)、YouTube(ユーチューブ)、およびInstagram Live(Instagramライブ)を使って会話する場を毎日提供していますが、そうした既存のプラットフォームにはない、安心して会話できるプライベートな空間と、さらに深いレベルでつながることができる場を提供していきたいと考えています。

TC:最近の数か月間、シリコンバレーや投資家たちについて明らかに変わったと感じた点はありますか。以前はまったく問い合わせもなかったような会社が興味を示しているといったことはありますか。

MD:注目しているVCはかなりいると思いますが、偏見があまりに強いため、彼ら自身それを打破する方法が分からないのではないかと思います。

確かに当社への問い合わせは増えました。ただ、それによって投資額やファンドへの出資額が増えたかというと、そうでもありません。私は見せかけだけの「注目」は信用できないと思っています。VCにとって最も重要な成功の尺度は、投資を回収できるかどうかです。ベンチャーの出資は寄付でも義援金でもありません。VCは彼らの成功尺度を満たす企業を探しているのです。そしてそれはおそらく私の尺度とは異なります。これだけ成功しているにもかかわらず慢性的に資金不足の状態ですから。

TC:もう少し詳しく説明していただけますか。

レイターステージの投資家たちは、シリーズAやシリーズBで投資対象になる企業はそんなに多くないと考えていると思います。でも、投資対象となり得る企業、つまり当社のような収益基準と目標基準を持ちイグジットの可能性がある企業は数多くあるのです。しかし、そのような企業は自社がスタートアップだとは考えていないし、スタートアップには見えない。ですから資金を調達するためにもっと結果を出す必要があるのです。

現在、資金を調達する人たちが本当に増えています。初回ラウンドのファンドで資金調達に成功し、今はこうしてダイバーシティへの意識が高まる中でセカンドラウンドに臨んでいる。これはとても勇気づけられることですし、シードステージやアーリーステージの創業者には本当に有利だと思います。

私も今、シードラウンドで資金調達している創業者だったら、と思います。1000万ドル(約10億7000万円)くらい調達できる可能性がありますから。資金はあふれているのです。

TC:複数のブランド資産があり、将来性もある会社を実際に経営されているあなたが資金面で不利な立場にいるとは驚きです。先ほどおっしゃったように、この国はあと10年でマイノリティー(少数派)人種が白人の人口を上回ってマジョリティー(多数派)になると予想されています。アフリカ系ラテンアメリカ人など、黒人以外のコミュニティ向けのサービスを提供する予定はありますか。

MD:膨大なオーディエンスを抱えて急成長するサブコミュニティがつながるスペースまたは場を持っていないことについては、いろいろと考えてきました。ブラビティは設立当初から、まずは自社のテックプラットフォームを確立し、その後UIを変更してさまざまなアイデアに対応できるようにし、ニッチレベルでさまざまな人種やコミュニティにサービスを提供するブランドを集めた場所を作ることを目指していました。具体的には、Z世代、黒人、LGBT、アフリカ系ラテンアメリカ人、米国にいる多くのカリブ人、ナイジェリア系アメリカ人といった人たちが対象です。移民たちの世界には本当に多くのサブコミュニティが存在します。

そのうち、このやり方を繰り返すことで間接費や管理業務が発生するのはあまり効率的ではないことに気づきました。そこで、運営サイドの仕組みを作る必要がありました。自社の広告ネットワークに資金を投入したのはそのためです。そうすれば、例えば、ブリックリンに素晴らしいクリエーターがいる場合に、「あなたの実績は素晴らしいですね。サイトへのユニーク・ビジター数(重複しない訪問者数)が毎月100万人もいる。ブルックリンにあるメディア企業の発行部数の半分以上に相当する数字です。でも広告販売チームをお持ちでないようですね。当社と提携しませんか」と声をかけることができます。それが最初のソリューションでした。

次のソリューションとしてソーシャルネットワーキングプラットフォームを構築しました。ブラビティを創業した当時にフラストレーションや緊張を感じたのは、私のような人間は他にいないと感じていたからです。大企業を作ってテクノロジーで世界を変えたいと考えていた黒人女性は皆無でした。マウンテンビューを歩いていても自分と同じような人は誰もいなくて、どこへ行けばいいのかさえ分からなかった。まさにそうした状況をテクノロジーで、つまり、人々が知り合いたい相手を互いに簡単に見つけることができるプラットフォームによって変えていきたいのです。そうして人々がつながるようになれば、起業して独自の組織を創り上げる人も出てくるはずです。そうなることを願っています。

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タグ:Blavity ミレニアル メディア

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評価額35億ドルのDiscord、ビデオゲーム縮小の方針でさらに1億ドルを調達

Discordは今後単なるゲーマーのための場としてだけでなく、Slackのソーシャルライフ版として大成するべく取り組んでいる。

新たな1億ドル(約107億円)の資金調達ラウンドが完了し、35億ドル(約3760億円)の評価額となった同社は、新しい売り込み内容と共にゲーマーのための場所(および白人ナショナリストのためのバーチャルな集いの場)としての過去を払拭しようとしている。

現在同社はユーザーベースを監視したり、同社のサービスがゲーマーのためだけのものではないというイメージを促進したりするための自由な資金を手に入れた。「多くのユーザーにとって、弊社のサービスはもはやビデオゲームのためだけのものではないことがわかりました」と、共同創設者のJason Citron(ジェイソン・シトロン)氏とStanislav Vishnevskiy(スタニスラフ・ヴィシュネフスキー)氏はブログにて述べている

二人の創設者は同社を「自分のコミュニティや友達と共に遊び、話し合うためにデザインされた場所」であり、かつ「何かを学んだりアイデアを共有するなど、人々と共に誠実な会話を交わし質の高い時間を過ごせる場所」だと説明している。

同社のサービスはこれまでもずっとこのような場であったわけではない。3年前、同社は多くの人種差別主義ユーザーを追放しようと試みたのだが、ヘイトスピーチを広めるためにプラットフォームを使用するユーザーは依然として根深く残り続けた。2019年半ばまで白人ナショナリストたちは、極右ネオナチサイトDaily Stormerの創設者、Andrew Anglin(アンドリュー・アングリン)氏のメッセージを正当化するためにこのサービスを存分に利用しており、アングリン氏が彼のフォロワーに向けて同社のサービス使用を止めるよう促したほどである

Data & Society Research Instituteのメディア操作主任研究員であるJoan Donovan(ジョアン・ドノヴァン)氏はオンラインマガジンSlateにて「Discordは常に極右グループの中に存在しています。彼らがドクシングや嫌がらせのキャンペーンの組織化を行う場所となっているのです」と述べている。

Discordによると、これらのユーザーは同社のユーザーベースの中でもごく一部であり、次第に人数も減少していると言う。今ではゲーマーの他、Black Lives Matterの主催者、ソーシャルメディアのインフルエンサーも含まれるようになったとのことだ。

同社によると、今ではこのサービスを利用するアクティブユーザーは1億人を超え、670万台のアクティブサーバーで40億分が会話に費やされていると言う。

Discordの成功は、ソーシャルゲームとソーシャルメディアの急速な成長がもたらしたものである。同社のサーバーはゲームプラットフォーム間でのリアルタイムのコミュニケーションを可能にし、世代を超えたプレーヤーにとっての主要なソーシャルエクスペリエンスの場となった。また、さまざまなソーシャルメディアプラットフォームのインフルエンサーが、ファンとより直接的な関係を持つことができるようにしたのだ。

Taylor Lorenz(テイラー・ローレンツ)氏が、ソーシャルメディアの起業家や有名人の間でDiscordが新たに獲得したファン層について次のような記事を書いている

昨年3月、世界で最も人気のあるビデオゲームライブストリーマーの1人であるNinja(ニンジャ)が、フォートナイトをプレイしながらDiscordの使い方をラッパーのDrake(ドレイク)に教えました。Philip DeFranco(フィリップ・デフランコ)氏、Grace Helbig(グレース・ヘルビッヒ)氏、Try Guys(トライガイズ)などのYouTubeの大物は皆独自のサーバーを持っており、「The Bachelor」や「The Real Housewives」についての話し合いに特化されたサブレディットにも独自のDiscordグループがあります。2億人以上がこのサービスを利用しているのです。

「我々は単に話しをするためにDiscordをデザインしたのです。延々とスクロールしたり、ニュースフィードを見たり、いいねを集めたりするためのものはありません。表示すべきものを算出するアルゴリズムもありません。コミュニティや友人と一緒に過ごす、という感覚や経験を再現するためにDiscordを設計したのです。自分のサーバーに自分が招待した人を集め、個人的な空間を作り出し、自分が設定したトピックについて話し合うのです」と創設者らは言う。

より親切でフレンドリーになったDiscordは、同社の社名とルーツを良い意味で裏切るものとなった。これは投資家の認識をシフトし、潜在的な新ユーザーをサービスに呼び込むための努力の証である。

新たな資金に加え、同社は新しいユーザーエクスペリエンスを強化し、ユーザーがより簡単にコミュニケーションできるようにするためサーバービデオを追加した。ユーザーがサーバーを作成する際に役立つテンプレートを揃え、また音声と動画の容量を200%増やしている。

Discordは製品における新たなフォーカスの一環として、同社の規則や規制を明確に定義し、ヘイトスピーチやスペースの乱用が生じた際にサービスの使用を監視、管理するためにユーザーが実行できるアクションを明確にした「Safety Center」と呼ばれる取り組みを開始した。

「私たちは白人至上主義者、人種差別主義者、そして悪のためにDiscordを使用しようとする人々に対して断固たる行動をとります」と創設者らは述べている。

Discordへの最新の1億ドル(約107億円)の資金注入のため投資家グループを率いたIndex Ventures(インデックスベンチャーズ)の共同創設者であるDanny Rimer(ダニー・ライマー)氏は、Discordがビジョンを広げたことに対し賛同の意を表明している

「Discordはしっかりと責任を持って管理されたサイトなら、共通の関心を持つ人々に安全なスペースを提供できるということを示しており、これこそがプラットフォームの未来であると感じています。Facebookのように単に生のコンテンツを投ずるのではなく、自分と友人が共に体験できるものを同社は提供しています。Slackがプロフェッショナルな会話のために作り出されたものなら、Discordはソーシャルな会話のために生み出されたものだと認識しています」とライマー氏は声明を出している。

Slackと同社の類似点は興味深いもので、両社は共に通信サービスに転換する以前にゲームスタジオとして事業を開始したという背景がある。

ライマー氏はIndex Venturesの最新の投資について説明した文中で、「今年フランスでは、政府公式の試みが失敗した後にDiscordが遠隔学習の主要なアプリとして採用されました。その結果、同社はフランスで3月にアプリダウンロード数のトップ10に達し、現在でもアメリカとイギリスではトップ50に入っています。Discordは次の成長段階に向けた計画を立案中です。今後同社は新たなユーザーやコミュニティにとってさらに包括的で快適なものとなり、また当初から発展に寄与してきたユーザーによって引き続き導かれていくことでしょう」と言及している。

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カテゴリー:ゲーム / eSports

タグ:Discord 資金調達

オフィスビルの賃料をAIで正確に判定するestieが2.5億円調達、ゼンリンとの提携で都内20万件の入居企業情報も取得

オフィスビルを借りたい法人、管理事業者や仲介事業者などを対象にした不動産データプラットフォームを開発・運営するestieは7月14日、プレシリーズAラウンドで2億5000万円の資金調達を明らかにした。第三者割当増資による調達で、引受先はグロービス・キャピタル・パートナーズ、東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)。今回調達した資金は、プロダクト開発、人材採用、マーケティングなどに投下する。

estieは、不動産の公開情報を基に独自のAIアルゴリズムによって各地域のオフィスビルの推定賃料を算出する技術を擁する2018年12月設立のスタートアップ。賃貸マンションなどとは異なり、オフィスビルの賃料はネット上に集約されておらず、これまでは地域の不動産会社などに問い合わせて賃料などの情報を入手するのが一般的だった。

同社のサービスによって各地域のオフィスビルのおおよその賃料を調べられるほか、全国7万棟の基礎物件情報、2万件の空室情報、東京23区のビル入居テナント情報なども収集・解析。今回の資金調達にあわせたリニューアルによって、50社を超える不動産デベロッパーや管理会社、仲介会社の独自情報を集約してデータの精度をより高め、市場予測や業務プロセスの改善を進める。

同社のサービスは、オフィスビルを借りる法人向けのestie、ビルのオーナーや管理会社向けのestie proの2つがある。estieは、都道府県や市区町村、最寄り駅を指定すると、条件に合ったオフィスを検索できるというサービス。検索結果から内覧したい物件を問い合わせることも可能だ。

オフィスビルのオーナーや管理会社向けのestie proは、周辺地域のオフィスビルの賃料の推移を見ながら自社ビルの賃料を決められるというメリットがある。その地域で適正な賃料の設定が可能になり、結果的には空室期間の短縮につながるわけだ。

同社代表取締役CEOの平井 瑛氏は「estieではこれまで不動産業者同士の会食に席などでやり取りしていた非公開情報などを集めて、データの精度を高めています」と語る。不動産業者側は当初、独自情報を公開することにネガティブな印象を持っていたそうだが、各業者が提供する独自情報以上のものをestie上で得られることがわかったことで、データ提供について前向きになったという。具体的には、これまでの事業活動では入手が難しかった東京23区内では20万社のビル入居テナントの情報などがestie proを利用することで手軽に手に入る。なお、20万社のビル入居テナントの情報については、独自のデータ収集のほか、ゼンリングループとの連携で実現したもの。どのビルにどういった企業が入居しているのかを簡単に調べられる。

「大手不動産デベロッパーは、競合の大手不動産デベロッパーが建てたビルの賃料の情報は喉から手が出るほど欲しいわけですが、これまでは懇意の仲介業者などから情報を仕入れる必要があり、手間と時間がかかっていました」と平井氏。さらに「新型コロナウイルスの蔓延により、実際に会って情報を引き出すことが難しくなった現在、estie proの重要度は高まっている」と続ける。

Qualcommがインド通信大手Reliance Jio Platformsに約100億円出資へ

Qualcomm(クアルコム)は、創業4年目になるReliance Jio Platforms(リアイアンス・ジオ・プラットフォームズ)の最新の著名な投資家となった(未訳記事)。同社は多数の投資家から過去12週間で157億ドル(約1兆6800億円)以上を調達した

Qualcomm Ventures(クアルコムベンチャーズ)は米国時間7月12日の夕方、インドの大手通信事業者であるReliance Jio Platformsに9700万ドル(約100億円)を出資し「完全希薄化ベース」で0.15%の持ち分を取得すると発表した。Qualcommは、Jio Platformsによる「インドユーザー向けの高度な5Gインフラストラクチャとサービスの展開」を支援すると述べた。

インドのBharti Airtel(バーティ・エアテル)およびVodafone Idea(ボーダフォンイデア)と競合しているReliance Jio Platformsは、通話およびデータプランの料金割引でインドの通信市場に新風を吹き込んだ。約4億人の加入者を集め、4年足らずで世界第2位のインターネット市場でトップのキャリアになった。

Reliance Jio Platformsはインドで最も価値の高い企業であるReliance Industries(リライアンス・インダストリーズ)の子会社だ。競合他社のARPU(ユーザーあたり平均収益)と同水準を維持しつつインドの通信事業者として優位性を確立し、名だたる投資家から注目を集めた。Facebook(フェイスブック)、Silver Lake(シルバーレイク)、General Atlantic(ジェネラルアトランティック)、Intel(インテル)などが、世界的なパンデミックの中でJio Platformsに投資した。Jio Platformsは、過去12週間で25.24%に相当する株式を発行した。

Reliance Industriesのデジタルユニットは、音楽、ライブTVチャンネル、映画、テレビ番組のストリーミングサービスなど多くのデジタルサービスを運営している。2020年7月初めにはそのラインナップに新しいサービスを追加した。ビデオ会議サービスだ。

Qualcommの最高経営責任者であるSteve Mollenkopf(スティーブ・モレンコフ)氏は、Reliance Jio Platformsが将来的に「インドの消費者に新しいサービスとエクスペリエンスをセットで提供する」と確信していると語った。

「5Gは比類のない速度と新たな利用方法により、今後数年間であらゆる業界を変革することが期待されている。Jio Platformsは広範なデジタルとテクノロジーの能力を通じてインドのデジタル革命をリードしてきた。当社はインドで長年の存在感を持つ投資家および支援者として、インドのデジタル経済にさらに革命を起こすJioのビジョンに貢献できることを楽しみにしている」とモレンコフ氏は声明で述べた。

関連記事:India’s richest man built a telecom operator everyone wants a piece of(未訳記事)

一部の投資家らはTechCrunchに対しこの数カ月間、Reliance Jio Platformsのオーナーであるインドで最も裕福な人物のMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏がインドの与党に近いことも、多くの投資家がReliance Industriesのデジタルユニットに魅せられる重要な理由だと語った。

投資家らはJio Platformsの株式を購入すれば、彼らが現在インドで直面している規制上の負担が軽くなると考えている。彼らは政治的な関わりについて公に語ることを望まないため匿名を希望した。

Reliance Jio Platformsに投資した12社のうち1社の情報筋は同社の魅力について、グローバル企業にとって中国への依存や接点を減らす手段となることだと語った。

インドと米国はこの数カ月、中国企業への依存を制限するための措置を講じている。インド政府は2020年6月に、中国企業が開発したTikTokを含む59のアプリとサービスを禁止した。Reliance Jio Platformsは興味深いことに、これまで中国の投資家から資金を調達していない。

「Qualcommは数年にわたる重要なパートナーであり、堅牢で安全なワイヤレスおよびデジタルネットワークを構築することと、デジタルコネクティビティの利点をインドの全国民へ広げることにより、すべてを繋げるという共通のビジョンを持っている」とアンバニ氏は声明で述べた。

画像クレジット:PUNIT PARANJPE / AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

米国が国家安全リスクを理由にTikTokに続きWeChatの使用禁止を検討

米国で国家安全保障リスクとなっている可能性があるとして、TikTokに厳しい精査の目が向けられている中、中国の人にとってなくてはならないメッセージングアプリのWeChatも米政府から非難を浴びている。

ホワイトハウスの通商アドバイザーであるPeter Navarro(ピーター・ナバロ)氏は米国時間7月12日に「TikTokとWeChatが中国本土で最大の検閲場所となっている。ゆえに断固たる措置を視野に入れている」とFox Businessに述べた

ナバロ氏は「子供が楽しみ、便利そうなモバイルアプリに集まるデータはすべて中国にあるサーバーに保存される。つまり中国軍、中国共産党、我々の知的財産を盗みたがっている中国当局の管理下におかれる」と主張している。

WeChatは、この発言に対するコメントを控えた。TikTokはTechCrunchへの声明で「ユーザーのプライバシーを守ることは当社にとって重要な優先事項だ」とし、「TikTokユーザーのデータを中国政府と共有したことはなく、共有するよう依頼が行わない」と述べた。

この2つのアプリの使用制限に関する最大の違いは、影響を受ける場所だ。中国外では、WeChatは主に四散している中国人、そして中国で事業を展開していたり中国と何らかのつながりがある企業が使用している。一方のTikTokのメインユーザーは世界中の若者だ。

WeChatは中国において、レストランでの支払いや診察の予約まで日々のさまざまな活動に活用されているが、中国外でのWeChatの機能はメッセージだけにほぼ制限されている。その他の機能は外国の競合相手が提供している。

もし米政府による制限が導入されればの話だが、制限がどのようなものになるのかは不透明だ。WeChatユーザーはすでに、中国にいる家族や帰国した友人と連絡を取り合うための他の方法を検討している。Tencent(テンセント)所有のメッセンジャーアプリであるWeChatがAppleのApp StoreやGoogle Playから削除されても、米国拠点のユーザーは他の地域で展開されているストアからアプリをダウンロードすることはできる。IP制限がかかっても、ユーザーはVPNを通じてアプリにアクセスできるかもしれない。VPNは中国の多くの人にとって、中国政府のグレート・ファイアウォールでブロックされているオンラインサービスにアクセスするのになじみのあるツールだ。

VPNは検閲との戦いのためだけのものではない。海外居住の中国人が、ライセンス制限のために海外では利用できない中国のビデオプラットフォームの番組をストリーミングするためにIPアドレスを中国に設定するのは珍しくはない。

ナバロ氏のメッセージは、米政府がTikTokを禁止することを検討していると米国務長官Mike Pompeo(マイク・ポンペオ)氏が明らかにしてすぐのものだ。中国のインターネット新興企業であるByteDance(バイトダンス)が展開しているTikTokは、データを米国とシンガポールに保存したり、企業構造を徹底的に見直すなどして、中国企業と一線を画してきた。

声明の中でTikTokは「当社で情報安全を担う米国人の担当者は何十年も米国の法執行当局での経験があり、セキュリティに関する経験も持つ。TikTokの親会社は最も知られている米国の投資家の支援を受けている私企業であり、役員5人のうち4人がそうした投資家から送られている」と強調した。

にもかかわらず、米国の企業は安全上の懸念を理由とする政治家のTikTokボイコットの呼びかけに応じている。Wells Fargo(ウェルズファーゴ)は従業員にスマホからTikTokを削除するよう求め(Bloomberg記事)、Amazon(アマゾン)も同様の対応を従業員に指示したが、その後すぐに撤回した(The NewYork Times記事)。

画像クレジット:WeChat

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(翻訳:Mizoguchi

ヘイトに満ちた投稿で停止されていたトランプ大統領のTwitchアカウントが復活

RedditとTwitchが利用約款に違反する政治的投稿だとしていくつかのアカウントを停止してから2週間が経った。この重要な決定ではトランプ大統領のTwitchの公式アカウントも対象となっていた。ただし同社は「(停止は)一時的なもの」だと述べていた。

すでに報道されている(The Verge記事)が、我々の取材に対してTwitchは「大統領のアカウントが復活した」ことを認めた。

同社の広報担当者はこの問題に対する最初の声明を繰り返し「Twitchではヘイトスピーチは禁止されている。利用約款に基づき、Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領のチャンネルからのストリーミングは一時的に停止されたが、当該の問題あるコンテンツは削除された」と述べた。

アカウント停止の原因となったのは2つのコンテンツで、1つは大統領選キャンペーンの開幕を告げるコンテンツに含まれていた「メキシコは一番優れた人々は送ってよこさない。……連中はドラッグを持ちこむ。犯罪を引き起こす。強姦魔もいる」という悪名高い部分だ。

もう1つはその後のタルサのキャンペーン集会における発言で「おい、今は明け方の1時で非常に嫌な時間だ(と想像してくれ)。ときどきこの『hombre(スペイン語で男)』という言葉を使うのだが、非常にタチの悪いヤツが夫がセールスマンか何かで出張中の若い女性の家の窓を破って入りこんでいる」というものだ。

Twitchは当時「政治家も他のユーザー同様に、我々の利用規約とコミュニティガイドラインを守る必要がある。政治的価値または報道価値があっても例外は認められない。違反が報告されたコンテンツに対しては(規約に基づく)措置を取る」と述べていた。

Twitterその他のソーシャルメディアと政権の激しい対立の中でこの問題が発生した。逆に共和党議員らは ユーザーコンテンツに関する訴訟からプラットフォーム運営者を免責する通信品位法230条を無効化することを要求している。これについては大統領行政命令も出ている。

選挙集会とオンラインメディアの双方でトランプ陣営の主張がヒートアップしているため、2020年11月の選挙に向けてこうしたトラブルが繰り返される可能性は高い。

画像クレジット:Brian Heater

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

グーグルが世界最後の成長マーケットであるインドに1兆円超を投資

Google(グーグル)は米国時間7月13日、今後5〜7年でインドに100億ドル(約1兆700億円)を投資すると発表した。主要海外マーケットでデジタルサービスの浸透加速サポートを模索する中での動きだ。

グーグルのCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は同日、新設するファンド「Google for India Digitization Fund」を通じてインドに投資すると明らかにした。「株式投資、提携、運用、インフラとエコシステムへの投資などの組み合わせで投資する。インドや同国のデジタル経済の将来に対する我々の確信を反映するものだ」とピチャイ氏はインドにフォーカスした同社の年次イベントでのビデオ会議で述べた。

投資は下記の4つのエリアに焦点を当てる。

  • 全インド国民がヒンディー語やタミル語、パンジャーブ語、その他の言語など自分の言語でアクセスし、情報を得られるようにする
  • インド特有のニーズに応える新たなプロダクトやサービスを構築する
  • デジタルトランスフォーメーションに取り組む企業のサポート
  • 医療や教育、農業など公益性のある分野へのテクノロジーとAIの活用

インドはグーグルにとって鍵を握る海外マーケットだ。同社の検索、YouTube、Androidなどを含む一連のプロダクトやサービスは同国のネット使用者の多くを取り込んできた。インドの人口は13億人となり、おそらく米国や中国の大企業にとって手が付いていない最後の大きな成長マーケットだ。

現在ではインドの5億人以上がネットを、4億5000万台のスマホが使用されている。「インターネットを10億人ものインド人にとってリーズナブルな価格、そして使い勝手のいいものにするためには、すべきことがたくさんある。音声入力の改善、インドで使用されている全言語向けのコンピューティング、新世代の起業家の育成などだ」とインド生まれのピチャイ氏は述べた。

他の米国テック大企業と同様、世界最大のインターネットマーケットであるインドでのグーグルの売上高はわずかなものだ。しかし米国企業、そして中国企業にとってインドにおいては売上高が最優先事項ではないようだ。企業は発展中のマーケットで何億人もの新たなユーザーを探している。

インドでグーグルやAmazon(アマゾン)のライバルとなっているFacebook(フェイスブック)は2020年4月に、インドの6000万もの零細ストアをデジタル化するために、インド最大の通信会社Reliance Jio Platforms(リライアンス・ジオ・プラットフォーム)に57億ドル(約6100億円)を投資した。

インドで最も価値の大きな会社Reliance Industries(リライアンス・インダストリーズ)の子会社で創業4年のReliance Jio Platformsは4月以降、著名な12名もの投資家から157億ドル(約1兆7000億円)超を調達した。

アマゾンのCEOであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は2020年初めにインドを訪問した際、同国に追加で10億ドル(約1100億円)を投資すると述べた。これにより同社のインドでの累計投資額は65億ドル(約7000億円)となる。

グーグルの13日の発表はまた、インドが中国企業を締め出す動きを見せている中でのものだ。インド政府は2020年6月に、中国企業が開発した59のアプリやサービスを禁止した。禁止されたものにはByteDance(バイトダンス)のTikTok、Alibaba Group(アリババグループ)のUC Browser、Tencent(テンセント)のWeChatなどが含まれる。一部の業界人は、この禁止措置で競合相手が減った米国のテック企業はインドでさらに触手を伸ばせる(未訳記事)と確信している。

2020年4月に、Narendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相率いるインド政府は、中国を含むインドと国境を接する国からの直接投資に政府の承認を義務付けるよう規則を変更した。

中国の投資家が最大の株主となっているZomato(ゾマト)、Swiggy(スウィギー)、Paytm(ペイティーエム)のようなインドのユニコーン企業数十社にとって、政府の対応は将来の資金調達難を招く可能性が高い。

インドでの足がかり構築は、中国でのビジネスから大方締め出されている米国のテック大企業にとって重要性を増している。2020年7月初めにグーグルは、中国で新たなクラウドサービスを提供する計画をキャンセルしたと述べた。

インドの電子情報技術相のRavi Shankar Prasad(ラヴィ・シャンカール・プラサッド)氏は、グーグルが「インドのデジタルトランスフォーメーションに相当な額を投資をしようと臨機応変に対応している」と述べた。「グーグルがインドのデジタルイノベーションとさらなる機会を創造する必要性を認識していることを嬉しく思う」とも話した。

グーグルはこれまでインドにおいてバンガロール拠点の超ローカル配達サービスのDunzo(ドゥンゾー)を含むひと握りのスタートアップを支援してきた。ファイナンシャル・タイムズ紙は2020年5月に、インド第2位の通信会社Vodafone Idea(ボーダフォン・アイデア)の株式5%取得でグーグルがVodafone Ideaと協議中(未訳記事)だと報じた。

インドグーグルのトップであるSanjay Gupta(サンジャイ・グプタ)氏は、グーグルの新たな100億ドルもの投資がインドにおける未来のプロダクトやサービスを形成する、と述べた。「真のデジタル国家になるという点においてインドと再び深く提携し、サポートする」と話した。

2004年からインドで事業を開始したグーグルが同国でリーチを広げてきた手法の1つが、地元のスマホベンダーとの提携を通じての低価格スマホの生産・販売だ。これらの低価格スマホはタイムリーかつ頻繁にソフトウェアがアップデートされる。

詳細は明らかにしなかったが、グーグルの決済とNext Billion Users構想を担当する副社長Caesar Sengupta(シーザー・セングプタ)氏は「より多くの人が学習し、成長・成功することができるよう、高クオリティ・低コストのスマホを提供する」ことにフォーカスすると述べている。

画像クレジット: Pradeep Gaur/Mint / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

評価額1.1兆円超に急増した業務自動化のUIPathがシリーズEで約241億円を追加調達

2019年に、ガートナーがRobotic Process Automation(RPA)をエンタープライズソフトウェアで最も急成長しているカテゴリであるとレポートした(未訳記事)。こうした事情を考えれば、この分野の先頭を走るスタートアップであるUIPathが、米国時間7月13日に102億ドル(約1兆1000億円)という驚異的な評価額のもと、2億2500万ドル(約241億円)のシリーズE調達を発表したのは驚くに値しないことだろう。

ラウンドを主導したのはAlkeon Capitalで、そこにAccel、Coatue、Dragoneer、IVP、Madrona Venture Group、Sequoia Capital、Tencent、Tiger Global、Wellington、T. Rowe Price Associatesが参加した。Crunchbaseのデータによれば、今回の投資により調達総額は12億2500万ドル(約1313億円)に達した。

なおWellingtonのような機関投資家が参加していることは、しばしばある時点での株式公開を検討している可能性があることを示していることを指摘しておきたい。CFOのAshim Gupta(アシム・グプタ)氏は、共同創業者でCEOのDaniel Dines(ダニエル・ダインズ)氏が、この数カ月その構想と公開の条件を議論していることを隠そうとはしなかった。

「私たちは市場の状況を評価している最中です。候補がないとは申しませんが、この日が公開日だといえる日はまだ選んでおりません。私たちは、市場の準備が本当に整ったときに向けて、備えておくべきだという考えです。それが12〜18カ月後であったとしても不思議ではありません」と彼は語る。

投資家の関心を非常に引き付けている要因の1つは成長率だ。その勢いは企業が自動化する方法を模索する中で、たとえパンデミックの間でも上昇を続けているとグプタ氏はいう。実際、彼は過去24カか月で経常収益が1億ドル(約107億円)から4億ドル(約429億円)に増加したと語った。

RPAは、企業が手動の既存業務に一定レベルの自動化を追加し、既存のシステムを破棄することなく近代化をもたらす手助けをする。このアプローチは、デジタルトランスフォーメーションのもたらすある程度の利点を手にするために、既存のシステムを完全に置き換えてしまうことを望まない多くの企業にとって魅力的なやり方だ。今回のパンデミックによって、企業がより迅速に自動化する方法を模索するようになったため、この種のテクノロジーが最前線へと押し出されることとなった。

同社が70億ドル(約7500億円)の評価額で5億6800万ドル(約609億円)を調達してから(未訳記事)わずか6カ月後の2019年秋に、400人の従業員を解雇すると発表したときには周囲を驚かせた。だがグプタ氏は、そのレイオフはそれまで2年間急成長してきた会社の一種のリセットだという。

「2017年から2019年まで、私たちはさまざまな分野に投資してきました。そのことについて考えたのは2019年10月でした。自分たちの戦略に自信が持てるようになるになったため、一度立ち止まってみたのです。そして削減したい分野を再評価し、そのことが10月のレイオフの決定を後押ししたのです」。

関連記事:Gartner finds RPA is fastest growing market in enterprise software(未訳記事)

なぜ会社がそこまで多額の現金を必要としているのかと問われて、グプタ氏は成長する市場でできる限り多くの市場シェアを獲得するためには多くの支出をしており、そのためには多くの投資を必要としているのだと答えた。さらに、パンデミックによる経済的な不確実性に対するリスクヘッジとして、銀行にたくさんのお金を置いておくことは害にならないとも答えた。グプタ氏は、UIPathは製品ロードマップ上の穴をより早く埋めるために、今後数カ月以内の戦略的買収もあり得ると語った。

同社は2017年と2018年に経験したような成長を期待はしていないものの、今後も採用を続ける予定である。そして幹部チームは、組織のすべてのレベルで多様なチームを構築することに力を注いでいるとグプタ氏は語る。「私たちは最高の人材を求めていますが、最高の人材と最高のチームを持つということは、多様性もその一部でなければならないと確信しています」と彼は語った。

同社は、自動化ライブラリとソフトウェアのアウトソーシング企業として、2005年にルーマニアのブカレストで設立された。2015年にRPAへのピボットが始まり、それ以来飛躍的な成長を続けている。最終的には2億6500万ドル(約284億円)に膨らんだ(未訳記事)が、2018年9月に行われた2億2500万ドル(約241億円)のシリーズC(未訳記事)のころ、私たちは同スタートアップに話を聞いているが、そのときの顧客数は1800社だった。現在その数は7000社になり成長が続いている。

関連記事:UiPath nabs $568M at a $7B valuation to bring robotic process automation to the front office(未訳記事)

画像クレジット:simon2579 / Getty Images

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(翻訳:sako)

EAGLYSが東芝と協業検討、リアルタイムビッグデータ分析にセキュリティ・秘密計算を適用へ

秘密計算 EAGLYS 暗号化 ビッグデータ 準同型暗号

秘密計算技術のEAGLYS(イーグリス)は7月13日、東芝が新規事業創出を目指し開催した「Toshiba OPEN INNOVATION PROGRAM 2020」において、協業検討企業として選抜されたと発表した。

EAGLYSは、秘密計算技術で常時暗号化したデータ操作が可能なデータベース向けプロキシソフトウェア「DataArmor Gate DB」と、東芝のIoT・ビッグデータに適したデータベース「GridDB」との製品連携の実証を重ね、ビッグデータのリアルタイム分析における高セキュリティ・秘密計算機能の実現と価値創出に向け協業検討を進めるという。

Toshiba OPEN INNOVATION PROGRAM 2020は、東芝グループが持つローカル5G、IoT、ビッグデータ、画像認識などの技術を活用し、共に新規事業の創出や協業検討を行うプログラム。EAGLYSは、プログラム採択企業として2020年9月25日の成果発表会までに実証実験を重ねて検討をブラッシュアップ、より本格的なビジネスソリューションとしての事業化を目指す。

秘密計算技術とは、データを暗号化したまま復号することなく任意のデータ処理ができる暗号技術の総称。ゼロトラスト時代のデータセキュリティには、ネットワークなどの境界に依存したセキュリティ対策ではなく、「データそのもの」を守るアプローチが求められ、それを実現する基盤技術として期待されている。

秘密計算 EAGLYS 暗号化 ビッグデータ 準同型暗号

EAGLYSの秘密計算技術は、格子暗号をベースとする準同型暗号を採用。暗号処理に伴う計算量の増加が準同型暗号実用化の課題となっていたが、IEEEをはじめ各種国際学会に採択された同社秘密計算エンジン「CapsuleFlow」(カプセルフロー)関連の研究成果によって、大幅な高速化と省メモリー化を達成。業界に先駆けて準同型暗号の実用化に成功した。

DataArmor Gate DBは、EAGLYSが開発・提供するセキュアコンピューティング・プラットフォーム「DataArmor」シリーズのデータベース向けの高機能暗号プロキシーソフトウェア。このソフトウェアでは、データを暗号化したまま透過的に検索・集計クエリなどのデータベース操作が可能。データベース側に鍵をもたない設計により、通信中・保管中・処理中(検索・集計などのクエリ)を常時暗号化し、セキュリティレベルの向上と高パフォーマンスを両立している。

また、プロキシー型で提供しているため、データベースの種別に依存しない連携が行える。同製品にはデータを暗号化したまま計算可能な秘密計算機能も搭載しており、IoTなどセンシングデータの計算処理などのユースケースにも適用可能。

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