Twitchが誤情報を頻繁に共有するストリーマーを禁止処分に、ストリーム以外での行為も対象

Twitchが誤報に対するポリシーを変更し、虚偽を頻繁にシェアする者を出入り禁止にする。新ルールの下において、このプラットフォームは「有害な誤報の常習的拡散者、すなわちTwichの中や外で誤報を絶えずシェアしている者」をブロックするとThe New York Timesが最初に報じた。

Twitchはブログで「多くの人が毎日のようにTwitchに集まってコミュニティを作り、いろいろな関心や情熱や才能を話題にしている。Twitchに人が集まることは誇らしいことですが、オンラインサービスを嘘や有害な情報を広めるために使う人の場所は、私たちのコミュニティにはない。そんな人がTwitchに多いわけではないが、でも許していると大きな害をもたらすでしょう」と述べている。

Twitchによると、このポリシーに引っかかるようなチャネルは当初で100に満たないだろうという。同社は、これはあくまでも予防措置だと考えている。これらのルールに触れたため同社が何かをしなければならなくなったようなチャネルは、今後いくつかの規準を満たす必要がある。ポリシーでは「正しいと認められていないが、広く共有されている有害な誤報やその話題を絶えず共有しようとしているユーザーは削除します」と述べられている。

Twitchのルール「有害な誤報の提示した者の定義」では、新型コロナウイルスのワクチンに関する嘘や、選挙の不正行為、危険な医療措置に関連した陰謀理論などを対象としている。またこのポリシーは、暴力や暴力の扇動と結びついた陰謀理論ネットワークが宣伝している誤報を人に押し付けたり、緊急の危機において公共の安全を損なう虚偽をシェアする者は、このプラットフォームから追放される。

Twitchによると、同社は誤報に関する独立のエキスパートであるGlobal Disinformation Indexなどや、選挙管理委員会、市民による誤報の主張(選挙詐欺や票の書き変えなど)を評価する議会の承認部門などと協力している。

同プラットフォームがThe Timesに述べたところによると、このポリシーは、嘘を広めているロシアの国営メディアのチャネルにも適用されるが、これまでそのようなチャネルは1つしか見つかっていない。その他のFacebookTwitterYouTubeSpotifyそしてRedditといったプラットフォームも先週の同国のウクライナ侵攻の最中に、ロシア国営メディアからのコンテンツを広めるポストを禁じたり罰したりした。

ここで注目すべきは、このポリシーが、Twitchのストリーム以外の場所で行われた行為も対象にしていることだ。Twitchの外で違反をしているストリーマーのことを知ったら、メールで報告することができる。2021年このサービスは、オフラインや他のプラットフォームで重大な違反行為をしたユーザーを禁止するという。

Engadgetは現在、Twitchにコメントを求めている。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者Kris HoltはEngadgetのライター。

画像クレジット:Anadolu Agency/Getty Images

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(文:Kris Holt、翻訳:Hiroshi Iwatani)

コンテンツクリエイターに無料の音楽を提供する英国のUppbeatが約7億円を調達

英国を拠点とする音楽プラットフォームのUppbeatは、コンテンツクリエイターがYouTubeやTwitch、TikTokなどのプラットフォームで公開する動画に使用できる無料で高品質の音楽を簡単に見つけられるサービスを構築し、現在50万人以上のユーザーが利用している。同社はビジネスを成長させるためにシリーズAで460万ポンド(約7億500万円)を調達したと発表した。

Uppbeatを構築したのは、英国を拠点とする音楽ライセンス企業のMusic Vineを共同で創業したLewis Foster(ルイス・フォスター)氏とMatt Russell(マット・ラッセル)氏だ。2人は、自分たちの専門性を活かしてクリエイターの間で高まっている無料の音楽リソースのニーズに応えるチャンスがあると考えた。現在、1億人以上がソーシャルプラットフォームでコンテンツを共有しているが、無料でありながら高品質の音楽の選択肢は多くないと2人は確信していた。

Uppbeatは2021年1月にサービスを開始し、費用のかかる音楽ライセンスプラットフォーム、あるいはYouTubeのオーディオライブラリやクリエイティブ・コモンズの音楽といった無料の音楽に代わる選択肢を提供することで、クリエイターが作るコンテンツで使われる音楽の著作権に関する頭痛の種を取り除いている。

Uppbeatはフリーミアムのモデルを活用して、クリエイターがアカウントを作成するとサイトのカタログの約50%にアクセスでき、1カ月に10件ダウンロードできるようにしている。プレミアムのサブスクリプション(月額6.99ドル、約800円)ではすべてにアクセスし、無制限にダウンロードできる(3年間と永続のサブスクリプションも用意されている)。

2021年9月にはサイトを拡張して、音楽だけでなく「ミームスタイル」のコンテンツに適した効果音とクリップのライブラリも提供している。

画像クレジット:Uppbeat

曲にはライセンスのない使用への対抗策としてフィンガープリントが必要であるため、Uppbeatの音楽を使う際に著作権の主張が発生することもある。しかしおよそ5分以内でシステムが必要なクレジットを確認してから主張を自動で処理する。無料ユーザーはYouTubeの動画の説明にクレジットを追加して著作権の主張をクリアすればよい。YouTubeを利用するプレミアムユーザーは自分のチャンネルをホワイトリストに登録して自動で著作権の主張から保護することができる。

このシステムはYouTube限定ではない。音楽と効果音はストリーマー、ポッドキャスター、ブロガー、その他のソーシャルメディアクリエイターが利用する、ほぼすべてのプラットフォームで動作する。

一方、Uppbeatのアーティストは音楽の所有権をすべて保持し、レベニューシェアベースで報酬を受け取る。

Uppbeatによれば、毎月7万5000人以上の新規ユーザーを獲得し、サイトへのトラフィックは月間100万セッションを超えるという。リテンションは高く直帰率は10%未満の低さであると、同社はTechCrunchに対して語った。セッションタイムの平均は5分以上だという。

Uppbeatのカタログはサービス開始時の1000曲から3000曲以上へと増えている。2500種類の効果音とクリップも追加された。同社は、年間収益ランレートは71万8000ドル(約8300万円)で、Music Vine全体としてはおよそ240万ドル(約2億7600万円)と発表している。

同社は、シリーズAの投資家は戦略的支援者でありこの分野のリーダーで、当人が公表を望まないため発表できないと述べた。

今回の資金調達により、Uppbeatは同社の音楽をYouTubeで公開してブランドのプレゼンスをさらに高め、オンラインのコミュニティとこれまで以上に直接関わっていくとしている。バックエンド全体を見直して、パーソナライズ機能を備えたスマートなユーザーインターフェイスの構築も予定している。

さらにクリエイター向け新機能を公開する計画もある。例えばクリエイターが独自のプレイリストを作成して共有する機能が挙げられる。これによりUppbeatのアーティストの露出が増え、クリエイターの収益化につながる可能性もある。すでに同社はユーチューバーと連携し、厳選された「パートナーのプレイリスト」を公開してユーチューバーが自分のチャンネルでよく使う音楽を紹介している。

従業員も現在の9人から増員し、新しいオフィスに移る予定だ。

共同創業者でCEOのフォスター氏は次のように述べた。「Uppbeatの公開以来、クリエイターコミュニティの反応はまさにすばらしいものです。クリエイターの積極性とフィードバックによりこのプラットフォームは現在の地位を得ることができました。Uppbeatがエキサイティングな新しい展開を始めるにあたり多額の投資を受けられたのはクリエイターのみなさんのおかげです。今回の調達はUppbeatが目指す成長戦略の資金となるゲームチェンジャーであるだけでなく、クリエイターコミュニティにとってエキサイティングな出来事であり誰もが自由に創作活動ができるようにするという我々の道のりにおける大きなマイルストーンです」。

画像クレジット:Uppbeat

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

マイクロソフト、XboxダッシュボードにTwitchストリーミングの統合を復活

Microsoft(マイクロソフト)は、すべてのXbox Series X/SとXbox Oneユーザーを対象に、XboxダッシュボードにTwitch(トゥイッチ)ストリーミングの統合を復活させると、米国時間2月23日に発表した。同機能は2021年10月からテストされていた

Microsoftは、Xbox Oneのダッシュボードに初めてTwitchを追加してから数年後の2017年に、Twitchとの統合を削除していた。その間、XboxからTwitchへのストリーミングを希望する消費者は、Twitchアプリからそれを行うことができた。

ストリーミングを開始するために、ゲーマーは、Xboxガイドの「capture and share」タブに移動し、Xbox Series X/SまたはXbox Oneコンソールで「live streaming」を選択することができる。iOSまたはAndroidモバイルデバイスでQRコードをスキャンするか、PCまたはモバイルデバイスのいずれかでURLにナビゲートして、Twitchアカウントをリンクする必要がある。アカウント連携が完了したら「go live now」ボタンを選択し、コンソールにダウンロードしたゲームのライブ配信を開始することができる。

次に、ヘッドセットとウェブカメラを接続し、ストリームのタイトルを設定することができる。Xboxは、ユーザーがオプションパネルからゲームとマイクのオーディオレベルを管理する機能を搭載している。また、パーティチャットを管理し、解像度とビットレートを手動で設定するオプションもある。ストリーミングの途中でゲームを交換したい場合は、ゲームをプレイしていないときに一時停止画面が表示され、その後、コンソールが自動的にTwitchでプレイしているゲームを更新する。

画像クレジット:Xbox

Xboxは、Twitchにアクセスするために使用するどのデバイスでも、ストリームを視聴することができると述べている。Xbox本体では、あなたをフォローしているプレイヤーは、あなたがTwitchでライブを行ったときに通知を受け取るように選択することができる。Xboxの通知に移動して、ライブストリーミングの設定を調整することで、これを有効にすることができる。

「世界であらゆることが起こっている今、私たちは友人、家族、コミュニティとつながっていることがこれまで以上に重要なっています」と、Xboxプラットフォームサービスのソフトウェアエンジニア、Brenna Duffitt(ブレナ・ダフィット)氏は、この発表についてのブログ投稿で述べている。「私たちは、みなさまからのフィードバックを受け、このファンに人気のある機能を再設計し、これまで以上に優れたものとして復活させることができ、とてもうれしく思っています。今日から、XboxとTwitchは、あなたのXboxからライブストリーミングをこれまで以上に簡単にするために提携します」。

Twitch統合の復活は、2016年のBeam Interactive(ビーム・インタラクティブ)の買収に基づいた自社のゲームストリーミングサービスであるMixer(ミキサー)を放棄したことを受けてのことだ。Mixerは2020年に閉鎖され、Microsoftは代わりにFacebook Gaming(フェイスブック・ゲーミング)のサービスにユーザーを誘導した。

Microsoftは、Twitch統合の開始に加えて、ユーザーのフィードバックに基づく新機能を近日中にリリースする予定だと述べたが、その内容は明らかにしていない。

画像クレジット:Xbox

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

著作権問題に積極的に取り組むTwitch、インディーズ音楽ライセンス団体Merlinと提携

Twitch(ツイッチ)は、インディーズ系デジタル音楽ライセンスグループのMerlin(マーリン)とパートナーシップを結ぶ。Amazon(アマゾン)傘下のライブストリーミングプラットフォームであるTwitchがレコード業界と密接に連携するための最新の取り組みだ。

この契約は、Merlinのインディーズ系アーティストがTwitchのライブストリーミングエコシステムをどのように活用できるか、ひいてはそうしたアーティストが、ゲーム以外のコンテンツにさらに進出するというTwitchのビジョンをどのように強化するかを強調している。

MerlinとTwitchは、提携によって「世界中のライブ体験が解放され」、Twitchのミュージシャン向けインキュベーター「The Collective」などを通じて、Merlinのメンバーに新しいマーケティングチャネルが開かれることになる、と述べている。

Merlinは、Anjunabeats、Armada Music、Beggars Group、Empire、MNRK Music Group、Epitaph Records、Lex Records、Mad Decent、Secret City、Sub Popなど世界の数万ものインディーズレーベルを代表している。

ここ数カ月でTwitchは、著作権執行に対する同社の甘いアプローチを批判していた大手レコード会社数社との関係を強固なものにしている。無策という評判が広まった後、Twitchは方向転換し、ライブストリームでライセンス許可されていない音楽を再生するユーザーを厳しく取り締まっている。

Twitchは現在、完全な音楽ライセンス契約には至らないものの、予備的な契約を締結して中間的な立場を模索しているようだ。両社は、この提携の金銭条件については明らかにしなかった。

MerlinのCEO、Jeremy Sirota(ジェレミー・シロタ)氏はTechCrunchに「Merlinと当社のメンバーは、Twitchとこのパートナーシップを締結し、我々の関係を発展させることに興奮しています。どんなパートナーシップにも出発点があり、TwitchとMerlinのメンバー、そのアーティストの間に長く実りある関係を築くことを楽しみにしています」と述べた。

パンデミック発生に伴い、多くのDJやミュージシャンがオーディエンスを構築し、引きつけるためにTwitchに目を向けた。両社は、今回の契約により、アーティストがTwitchで成長するための新たな道が開かれ、プラットフォーム上で「献身的なサポート」を提供することになると指摘した。

「Merlinとの提携により、Merlinの会員であるインディーズ系アーティストに、献身的で熱心なTwitchコミュニティへの参入の道が開かれます」と、Twitchの音楽部門責任者Tracy Chan(トレイシー・チャン)氏は声明で述べた。

AmazonとUniversal Music((ユニバーサルミュージック)は1月24日の週に、Amazon MusicのユーザーがUniversalの膨大なカタログでより多くのHD音楽にアクセスできるようにする契約を発表した。この契約の一環として、TwitchはUniversalと協力し、同社のアーティストにファンと関わる「商業的機会」を提供するとともに、Twitchプラットフォーム上にアーティストとレーベルのチャンネルを開設する。

Twitchは2021年9月にもWarner Music Group(ワーナーミュージックグループ)と同様の契約を結び、Warnerやその他の音楽権利者に、ライセンスを受けていない音楽を共有するストリームに対処する新しいシステムも提供すると発表している。今のところ、TwitchとMerlin、Warner、Universalとの契約は、クリエイターが利用できるライセンス音楽のカタログを広げてはいないが、そうした踏み込んだ動きはより深い関係への道を開く可能性がある。

2年前、Twitchはストリーマーがライセンス供与された音楽を見つけるのを助けるSoundtrackというツールを立ち上げたが、当時は主要レコードレーベルとの関係がまったくなかった。このツールは、ストリーマーを限られた数のライセンス供与楽曲に誘導し、ミュートあるいは削除されたVOD(ビデオオンデマンド)アーカイブ、未認可のオーディオを使用したユーザーのアカウントに対する警告などの事例を減らすように設計されている。

2020年以降、Twitchはクリエイターのストリームに無許可の音楽が現れると、DMCA(デジタルミレニアム著作権法)に基づく取り締まりを行ってきた。同社の対応に関しては、警告なしに突然アーカイブされた動画を削除したTwitchにストリーマーが反発しており、論争の的になっている。2020年後半、このようなDMCAの取り締まりを受けたTwitchのストリーマーたちは、通知を受けた後、どのコンテンツが音楽ライセンス規則に抵触した可能性があるかを特定する方法がないと不満を述べていた。

この積極的な姿勢は、音楽業界の主要プレイヤーからの圧力の高まりに対応するものだった。アメリカレコード協会(RIAA)のCEOであるMitch Glazier(ミッチ・グレイザー)氏は2020年に、Twitchとメジャーレーベルの緊張が高まる中「Twitchは、同じユーザーが繰り返し法律に違反していることに目をつぶり続け、一方で録音音楽の大量の無断使用による収益を懐に入れている」と指摘した。

Twitchは2021年9月に、全米音楽出版社協会(NMPA)と協定を結び、権利を所有していない音楽を意図的に使用していないストリーマーを報告するための「より柔軟で寛容な」システムを確立し、代わりにコンサートのライブ配信のような「明白な」違反に重点を置いた。新システムでは、ストリーマーは不注意による違反でアカウントレベルの制裁を受ける前に警告を受ける。

画像クレジット:MARTIN BUREAU / Contributor / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

Twitch創業者ジャスティン・カン氏がソラナ基盤のゲーム系NFTマーケットプレイス「Fractal」を発表

OpenSea(オープンシー)がすでにNFTマーケットプレイスのトラフィックの大半を占めているように見えるが、競合するストアフロント各社はまだニッチを見つけようと努力しており、NFTが取引可能なJPG以上の意味を持つ未来に備えている。

Fractal(フラクタル)は、シリアルアントレプレナーのJustin Kan(ジャスティン・カン)氏が共同設立した新しいNFTマーケットプレイスで、新興のネットワークであるSolana(ソラナ)ブロックチェーン上でその機会を捉えようとしている。

このプラットフォームは、ゲーミングおよびいわゆるPlay-to-earn(ゲームして稼ぐ)タイトルにおける機会を中心に構築されており、ユーザーはアバターやデジタルグッズを購入することができる。同プラットフォームはローンチに先立ち、既存の暗号ゲームのサポートを強化することに重点を置いているが、カン氏とFractalのチームは、このプラットフォームをブロックチェーンゲームのキックスターターのようなものにしたいと考えている。そのモデルでは、ユーザーはプレセールで独占的なNFTを購入することができ、その収入はゲームの制作資金になる。

カン氏をはじめとする同社チームは、今後数週間のうちにFractalプラットフォームを公開したいと考えている。

暗号分野の他の多くのネットワークと同様に、Solanaにとっても過去1年は良い年だったが、同ネットワークに結びついた通貨の価値が2021年2ドル(約227円)以下から250ドル(約2万8395円)以上に膨れ上がるのを見てきたこのブロックチェーンの支持者にとっては、他の多くの人よりもさらに良い年だった(ただし、この通貨はここ数カ月で大幅に調整されている)。このネットワークは、Ethereum(イーサリアム)ネットワークのモジュール性と動きの鈍い中央基盤が、Web3のユーザーベースのニーズに追いつけない未来に賭けるものだ。推進派は、低料金で広帯域な構造がNFTプロジェクトを構築するのに理想的な場所だと考えている。

「私はSolanaがゲーミングの未来であると信じています」とカン氏はTechCrunchに語っている。

カン氏はTwitch(ツイッチ)の共同設立者であり、Amazonへの売却によりエグジットしたことでも有名だ。最後のスタートアップであるAtriumを閉鎖して以来、同氏は、起業家精神に特化したYouTubeチャンネルやポッドキャスト、パートナーのRobin Chan(ロビン・チャン)氏と共同で設立したインキュベーター / 投資ファンドのGoat Capitalに注力してきた。Fractalは、このインキュベーターから生まれた製品であり、カン氏は共同設立者兼社長として参加することで、創業者スターパワーを吹き込みたいと考えている。また、チャン氏は、Fractalの他の共同設立者であるMike Angell(マイク・アンゲル)CTOとDavid Wurtz(デビッド・ウルツ)CPOとともに、事業開発の責任者を務める。

Fractalはある意味、消費者に優しいブロックチェーンとスケーリングソリューションにより、手数料や出品の摩擦が解消されるブロックチェーンの未来において、キュレーションが果たす重要性に賭けている。その一方、これまで、Ethereumの高価なリスティング費用は、スパマーが既存のマーケットプレイスに何千もの低労力のNFTを氾濫させるのを阻止する数少ない要因の1つだった。

画像クレジット:Fractal

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

Twitchの最新モデレーションツールはチャンネルBANを回避しようとするアカウントを検知

Twitchは米国時間11月30日、ストリーマーがチャンネルレベルのBANを逃れようとするアカウントと戦うための新しい方法を導入した。この自動化されたツールは「Suspicious User Detection(不審なユーザーの検出)」と呼ばれ、BANを逃れようとするユーザーを検出することができるものだ。これにより、Twitchのチャンネルをモデレートする人たちは、破壊的な行為が始まる前に対処する手段を得ることができる。Twitchは8月に、この新しいBAN回避検出ツールが登場することを発表していた。

同社によると、このツールは、BANされた後に新しいアカウントで現れたユーザーを処理するための、より強固なモデレーションオプションを求めるコミュニティからの声に直接応えて開発されたものだ。これにより、あるアカウントが「BAN回避の可能性がある」または「BAN回避の可能性が高い」と判定された場合に、チャンネルのモデレーターはそのアカウントに対して手動でアクションを起こすことができる。

画像クレジット:Twitch

違反の可能性が高いとフラグが立てられたアカウントから送信されたメッセージは、モデレーターによるレビューを待って、自動的にチャットからスクリーニングされることとなる。より積極的にモデレーションを行いたいチャンネルでは、BAN回避の可能性があるとフラグが立てられたアカウントに対しても、同様の設定を行うことができる。また、モデレーターは、ユーザーを手動で「疑わしいアカウント」リストに追加して、より詳細に監視することもできる。

Twitchは、一般的な自動化されたモデレーションツールと同様に、誤検知の可能性があることも指摘しているが、機械学習システムによるプロアクティブな検知と人間による介入のバランスを取りたいと考えている。同社はブログで「自分のコミュニティに関して、あなたが専門家であり、誰が参加できるかを最終的に判断すべきです」と述べ、システムは人間のモデレーターからのフィードバックを学習することで、時間をかけて改善されていくとも語っている。

Twitchは、この新しいBAN回避検知システムを、モデレーターがチャット中の有害な可能性のあるメッセージを確認する方法を提供する「AutoMod」機能や、2021年10月に追加した、ユーザーがチャットをする前に自分のアカウントを確認することを義務づけるオプション「電話認証済みチェット」機能と並ぶモジュール式のソリューションだと考えている。Twitchのユーザーは、1つの電話番号で5つのアカウントに登録することができるのだが、今ではチャンネルのBANは、その電話番号にリンクされたすべてのアカウントに影響するため、プラットフォームのポリシーを回避しようとする人にとって最も簡単な回避策の1つを封じている。

Twitchのストリーマーたちは、クリエーター、特にオンラインハラスメントの被害に遭いやすいクリエーターを保護するための対策を講じるよう、長い間同社に働きかけてきた。2021年に入ってからは「#ADayOffTwitch」や「#TwitchDoBetter」などのキャンペーンによって、Twitch上で広範なハラスメント行為に直面している社会的に疎外されてきたクリエイターたちの存在が明らかになり、同社はこれに対応するよう求められた。

「ボット化、ヘイトレイド、その他のハラスメントなど、社会から疎外されてきたクリエイターを標的にした行為について多くの話題が寄せられています。みなさんは私たちに、もっとしっかり対策を講じるよう求めています。そして、私たちもこのような問題に対処するためには、もっと多くのことを行う必要があると理解しています」と同社は当時ツイートしていた。

Twitchでは、長年にわたってディスカバリーツールが不足していたため、社会的弱者のクリエイターがプラットフォームで成功することは困難だったが、ターゲットを絞ったハラスメントキャンペーンによって、問題はさらに悪化した。10月に漏洩してしまったTwitchの支払いデータの数々は、トップクリエイターがほぼ全員白人男性であるという、ストリーミング成功の上層部における多様性の厳しい状況を示していた。

関連記事:クリエイターの報酬データが大量流出、Twitchのストリーマーの反応は

5月、Twitchは350以上のタグを追加し、ユーザーが性別、セクシュアリティ、人種、能力などの識別子でストリーマーを見つけられるようにした。このアップデートは、ストリーマーの発見を促進し、プラットフォーム上でより多様なクリエイターを発掘するための遅きに失した措置だったが、適切なモデレーションツールがないため、多くのユーザーは、このシステムが彼らのコミュニティを標的とした嫌がらせを助長しているのではないかと懸念していた。9月には、Twitchは、大量のハラスメント行為を行う何千ものボットに関連する2人のユーザーを提訴するという異例の措置をとっていた。

画像クレジット:MARTIN BUREAU / Contributor / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Nintendo SwitchでTwitchが視聴可能に

Nintendo SwitchでTwitch(ツイッチ)を観たくてたまらないと思ったことはあるだろうか?11月12日に配信が始まり、現在ニンテンドーeショップで無料ダウンロードできる「Twitch」アプリは、携帯モードでは外出先で、Switchをドッキングさせれば大画面で、ライブとVOD両方のコンテンツを視聴することができる。

Twitchはゲームのライブストリーミングで最もよく知られているので、Nintendo Switchプレイヤーの多くが、おそらくTwitchの視聴者でもあることは理にかなっている。Twitchアプリを使って自分がプレイしているゲームを配信することはできないが(ストリーミングの設定は複雑で、帯域幅を大量に消費するため)、ストリームの閲覧や検索は簡単にできる。Twitchのアカウントにサインインすると、お気に入りのストリーマーをチェックすることができるが、アプリ内でチャット機能は使えない。ジョイコンでタイプしようとしながらTwitchのチャットについていくのは難しいだろうから、それは大したロスではない。代わりに、スマホでQRコードをスキャンしてチャットに参加することもできる。ただその時点で、テレビ画面にドッキングしていないのなら、単にiOSアプリを使えばいい気もするが。

Nintendo Switchでは、Hulu(フールー)やYouTubeなど、人気のエンタテインメントアプリがダウンロードできるようになっている。しかし、多くの任天堂ファンは、Wii Uや3DSなどの古い任天堂ゲーム機にあったNetflix(ネットフリックス)を視聴できるオプションを熱望している。しかし、任天堂は2021年1月にこれらのゲーム機でのNetflixアプリのサポートを終了しており、SwitchにNetflixを搭載する計画は明らかにされていない。また、AmazonプライムビデオやDisney+(ディズニープラス)など、他の人気ストリーミングサービスのアプリもSwitchにはない。

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

【コラム】Twitchのハッキング、「強奪」は新しいランサムウェアのかたちなのか

先に発生したTwitchの大規模なハッキングは、セキュリティ業界を騒然とさせた注目される侵害事件の最新例だ。誰もが「なぜこんなことが起きたのか」と疑問に思っている。大量の重要なデータ、しかもソースコードまでもが、アラームを出されることなくどうやって盗めるのか。セキュリティが充実しているはずのAmazonの企業が、4chanで噂が広まるまで被害に気づかないなんて、どういうことなのだろうか。

Threat Postによると、セキュリティ担当者たちは、ハッカーたちの「第2弾」となる暴露の内容を理解するために、不安な気持ちで待っているが、おそらくパスワードやユーザーのEメールが次にくるのではないかということが明らかになってきている。

Twitchにとって、PRの悪夢は始まったばかりだ。今や数百万のプレーンテキストによるユーザーの個人情報が、ハッキングで公開されたデータの山を利用しようと待ち構えているセキュリティの常習犯たちに広まっていくだろう。

まず、Twitchのユーザーは、すぐにパスワードを変更し、まだ変更していない場合はアカウントの多要素認証を有効にすべきだ。Twitchは、「慎重を期して」すべてのストリームキーをリセットし、危機的状況下でもプラットフォームをオンラインに保つことができた。そのこと自体が、このような大規模な事件の中では印象的であり、特筆すべきことだ。

変化を続ける犯行手口

クリエイターへの多額の支払いからAmazonのCEOであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏への荒らしなど注目すべき部分もあるが、今回の攻撃の性質や、身代金を要求するのではなく強奪にシフトしたことには深刻で重要な意味がある。

自分のデータのコントロールを失った被害者企業にできることは、高額を払って解読鍵を手に入れるか、バックアップからデータを再構築するかという二択ではない。犯人の目的が単純な身代金の支払いではなく脅迫が目的となった場合、企業の危機対応も飛躍的に複雑になる。

Twitchは、この新しくて厄介な戦術の最後の被害者ではない。その勢いは増しているように見える。

先手必勝

仮に、Twitchのセキュリティ対策が今日の標準から見て成熟度が高いものだったとしても、同社も含め現在の企業は、セキュリティの運用とインシデント対策の計画化に十分な投資をしていない。そこで往々にして、対策が遅すぎたことに事後、後悔するという事態になる。

自覚すべきは、企業があらゆることを正しくやっていたとしても、100%完璧なセキュリティ対策はなく、犯人たちは、たった1つの脆弱性を見つけるだけで十分という事実だ。必要なのは、十分にテストされ、十分に文書化された計画があることと、万一のときの対応が確立していることだ。

セキュリティ事故の際、最高位の意思決定者は誰なのか?シャットダウンをするためには何をいつやるべきか?誰に何をどんな順序で命じるべきか?まだ事故も犯行もなく余裕が十分あるときに、これらを決めておくべきだ。事が起きてからでは何もできないからだ。そして実際に何かが起きたときには、対策が十分にテスト済みでなければならない。

Twitchの被害の全貌はまだ明らかでないが、そこから私たちが学ぶべきことは大きい。成熟した、リソース(物、金、人)に恵まれたシステムでも侵入されるし、最近の犯人たちはランサムウェアに固執することなく大混乱を惹き起こし、データをコントロールしようとする。

企業に必要なのは、計画を立て、正規に文書化し、そのプロセスを公式の内規として規則化して、被害を検出し最小化するために必要十分な保護対策が常時行われている状態を維持することである。元々アンフェアなゲームであり、しかもますます複雑化していることを自覚しよう。

編集部注:本稿の執筆者Ian McShane(イアン・マクシェーン)氏は、Arctic WolfのフィールドCTO。

関連記事:クリエイターの報酬データが大量流出、Twitchのストリーマーの反応は

画像クレジット:Anadolu Agency/Getty Images

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(文:Ian McShane、翻訳:Hiroshi Iwatani)

クリエイターの報酬データが大量流出、Twitchのストリーマーの反応は

ストリーミングプラットフォームのTwitchは米国時間10月6日、クリエイターの報酬を含む膨大な内部データが流出し、オンラインで公開されてしまったことを認めた。同社はブログ記事で、流出の原因はTwitchのサーバー構成を変更した際のエラーであり、悪意のある第三者がそのデータにアクセスしたと述べた。今回の漏洩は、多くのストリーマーにとって、ストリーミングにおける給与の透明性とTwitchにおける安全性を巡るこれまでの緊張を悪化させるものだ。

今回の漏洩は、この数カ月間に起こった。TwitchはAmazon傘下のプラットフォームだ。2021年初めの時点で、ゲームのライブストリーミング視聴者数の72.3%を占め、Facebook GamingやYouTube Gamingなどのプラットフォームに比べ、圧倒的な強さを誇る。疎外されたクリエイターが憎しみに満ちたボット攻撃の標的にされたことから、一部のストリーマーは9月1日「#ADayOffTwitch」と称してプラットフォームをボイコットした。その結果、ピーク時の同時視聴者数は平均を100万人下回った。その後、Twitchは新たな安全機能を追加したが、コミュニティの緊張感は依然として高いままだ。

「このようなことが起こるのは時間の問題だったと思います」と、#ADayOffTwitchのボイコット主催者の1人であるトランスジェンダーのストリーマー、Lucia Everblack(ルシア・エバーブラック)氏は話す。「Twitchの活動において、そもそも安全性やセキュリティが最優先されていなかったことが明らかになりました」。

流出したのは、ソースコード、独自のソフトウェア開発キット(SDK)、Amazon Game Studiosが準備中のSteamと競合するサービスなどの未発表データだった。日中はソフトウェアエンジニアとして働くエバーブラック氏にとって、今回のクリエイターへの支払いデータの流出は、同氏が感じていることを裏付けたにすぎない。それはTwitchが、最も金を引き寄せられるストリーマーに報いることを優先しているということだ。Reddit(レディット)の投稿によると、今回流出した2019年から現在までのストリーマーのデータを分析したところ、Twitchの上位1万人のストリーマーのうち10%が、ストリーマー全体の収益の49%を占めているという。約2000人のストリーマーが、同期間にTwitchで10万ドル(約1100万円)以上稼いだ。

「Twitchのあらゆる機能がこの仕組みの上に成り立っていますが、これではプラットフォームの他の部分が成長できません」と同氏はTechCrunchに話した。「このことが他の人すべてにとって大きなブレーキになっています。特にBIPOC、LGBTQI+、障害者にとってです」。

Twitchパートナーであり、9年以上にわたってtehMoragの名で配信しているScott Hellyer(スコット・ヘリヤー)氏も、Twitchが稼げるユーザーを優先していると感じている。

「Twitch全体では、ディスカバリーが常に問題となってきました」とヘリヤー氏はTechCrunchに話した。「YouTubeにはとてもクールなアルゴリズムがあり、コンテンツを見たいと思う人と繋がる方法をコンテンツの作者が探すのを手伝ってくれます。Twitchも同じことを試みていますが、十分に努力しているとは思えません。今、人々は『ああ、ディスカバリー機能を高めようとしないのは当然だ、Twitchは人々を上位のストリームに押し込むだけだ。彼らはすでにTwitchにとって必要なお金を稼いでいるのだから』と言っています。その方が投資効果は高いし、それは理解できます」。

4chanのスクリーンショット

漏洩した情報によると、トップストリーマーの大半は白人男性で、ゲーム業界の多様性の欠如を大きく反映している。リストの中で最も高い報酬を得ている女性ストリーマーであるPokimane39位にすぎない。しかし、探索しやすい機能があれば、Twitchはより多様なクリエーターを増やすことができるだろう。エバーブラック氏をはじめとする社会から疎外されたストリーマーらはTwitchに対し、アイデンティティベースのタグをストリームに追加するよう働きかけた。そうすればユーザーは、支持したい多様なクリエイターを見つけることができる。Twitchは5月にこのタグを追加したが、エバーブラック氏はその前にPeer2Peer.liveを立ち上げた。これは、疎外されたストリーマーと視聴者がお互いを見つけるためのオプトインの探索ツールだ。ユーザーの中には、このタグが悪意ある人たちによるヘイト・レイド(差別的コメントによる荒らし)のためのターゲット探しを助長するのではないかと心配する人もいるが、エバーブラック氏は、このタグによって大きな成長が見られたと語る。一方、Twitchは、これらのユーザーを攻撃の標的となる危険性から守るため、電話による認証が必要なチャット機能を追加した。

関連記事:Twitchが電話認証付きチャット機能の追加とメール認証設定を拡大、ハラスメント抑制のため

しかし、ストリーマーがいったん視聴者を獲得したとしても、Twitchでそれなりの収入を得ることは難しい。収入上位者が稼ぎ得る金額にもかかわらずだ。ストリーマーが十分な人気を得ると、Twitchパートナープログラムへの参加を申請することができる。プログラムからクリエイターに多くのツールや収益化の選択肢が提供される。だが、TechCrunchが話を聞いた複数のストリーマーは、すべてのTwitchパートナーが同じ給与体系ではないことは公然の秘密だとした。2017年にInsiderは「パートナーは人気に応じて、サブスクリプション収入の2〜6割を受け取る」と報じた。サブスクリプション収入は、TwitchパートナーとTwitchが折半するのが標準だが、一部のストリーマーが主張するところでは、クリエイターらが最近、より有利な6〜7割の受け取りの交渉に成功し、勢いを増すYouTube Gamingの標準的な支払いと肩を並べた。CouRage、DrLupo、Valkyraeなどの人気ストリーマーの中には、YouTubeとの独占契約のためにTwitchを離れた人もいる。

JessGOATの名でストリーミング配信を行っているJess Bolden(ジェス・ボールデン)氏はInputに対し「Twitchと50対50の割合で契約しているLGBTQIAや女性のストリーマーの数と、広告契約でおそらく75対25の割合で契約している男性(私は違うが)の数を比較したら、とてつもなく大きな問題に発展しそうです」と語った。

Twitchは、一部のパートナーの契約条件が他のパートナーよりも良いという主張について、コメントを控えた。

ヘリヤー氏は、情報漏洩後にTwitterで、Twitchでの報酬についてもっと話したいとずっと思っていたが、パートナー契約によってそれができなかったと投稿した。

「情報漏洩があるまで、Twitchは契約の種類ごとの分け前について決して明らかにしませんでした。ですが、生の数字が出てきたことで、本当に頭のいい人たちは、そうしたストリーマーのCPM(cost-per-mile、広告視聴1000回あたりの支払金額)がいくらなのか、Bitsをどれだけ稼いでいるのか、サブスクリプション収入はどうなのか、といったことを把握できます。こうした情報を追跡するサイトはありますが、いったいストリーマーはどれだけ稼いでいるのかという部分は除外されています」とヘリヤー氏はTechCrunchに話した。「実際に稼いでいるお金について話すことはできませんが、購読者数のような代替値を示すことはできます。しかし、そこには透明性がありません。私の購読者は、私が50対50で分け前をもらっているかどうか知りません」。

テクノロジー業界では、給与の透明性を高めるための大きな動きがある。これは、例えば、同じ仕事を担当する2人のエンジニアの給与が大きく異なっていないことに関する説明責任を企業に負わせるものだ。

「Twitchは社会を反映しています」とRekItRavenはTechCruchに語った。Ravenは、#ADayOffTwitchのボイコットを主導し、#TwitchDoBetterのハッシュタグを始めた。「給料やお金の話をしてはいけないことになっていますが、それを正当化できる理由はまったくありません」。

ただし、Twitchからの支払い額は、テック企業がエンジニア1人1人に支払う金額より複雑だ。Twitchはパートナーの契約条件を設定しているが、すべてのチャンネルが同じように作られているわけではない。

Critical Roleは2019年8月以降、962万6712ドル(約10億6000万円)を稼いだとされ、高額所得ストリーマーの中でトップに立った。2位はxQcOWで、845万4427ドル(約9億3000万円)を稼いだ。しかし、ダンジョンズ&ドラゴンズのショーを31人のチームメンバーで制作するCritical Roleの費用は、eSportsのストリーマーであるxQcOWよりも多いだろう。さらに、すべてのストリーマーがTwitchの総収入から同じ割合を得ているわけではない。多くのクリエイターは、スポンサー契約やPatreonページ、直接の寄付、その他のプロジェクトなどのために、それぞれ収入源が異なる。

「Twitchは私の実際の収入の40%にすぎません」とヘリヤー氏はいう。「今回のようなことが起こっても大丈夫なように、収入源を多様化しなければなりませんでした」。

エバーブラック氏は、数百万ドル(数億円)を稼ぐクリエイターよりも、小規模なクリエイターの方が、流出した報酬額について非難されやすいのではないかと心配する。同氏は、小規模なストリーマーが安心してチャンネルを成長させられるようなコミュニティ主導の機能をTwitchが実装すれば、情報が流出したかどうかにかかわらず、疎外されたクリエイターにとってTwitchがより良いものになると考えている。同氏が提案する追加機能は、コミュニティの優れたメンバーとなっている視聴者にストリーマーが報いる手段や、大規模なストリーマーが1人の無防備なストリーマーに何千人もの人々を送り込むのではなく、複数のストリームに小規模なレイドを送り込むツールだ。

「Twitchコミュニティにおいて、マージナライズド・ボイス(阻害された人々の声)は非常に重要です。もしTwitchが彼らを正直に招き入れ、彼らの声に耳を傾けるならば、彼らが遭遇し続けている多くの状況を回避することができると思いますし、実際に人々のためになる機能を積極的に追加することもできるでしょう」とエバーブラックは語る。「Twitchは、一部の大規模なクリエイターに光を当てすぎて、プラットフォームに参加していない巨大なネットワークを間違いなく見逃していると思います。プラットフォームが本当に気にかけているのはゲームをする白人の男性だからです」。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

Twitchが電話認証付きチャット機能の追加とメール認証設定を拡大、ハラスメント抑制のため

Twitch(トゥイッチ)は米国時間9月29日、プラットフォーム上でのハラスメント行為を抑制するため、チャンネルレベルのセキュリティ機能を新たに追加することを発表した。これにより、クリエイターやモデレーターは、メッセージを送信する前に、チャッターに電話や電子メールの認証を求める「認証済みチャット」機能を有効にすることができる。これらの設定は、すべてのアカウント、初めてのチャッター、一定のアカウント年歴以下のチャッター、もしくは特定の期間ストリーマーをフォローしていないチャッターに対して認証済みチャットを適応するように切り替えることができる。これらの設定は、チャンネル自らが選択するまで、デフォルトではオフになっている。また、VIP、登録者、モデレーターが検証を回避できるような設定もある。二段階認証とは異なり、ユーザーは一度だけ電話や電子メールを認証するだけで、すべてのチャンネルで認証されたとみなされる。

Twitchのユーザーは、同じ電話番号に最大5つのアカウントを結びつけることができるが、1つでもチャンネルからBANされると、その電話番号または電子メールアドレスで認証されたすべてのアカウントもBANされることとなる。これは、1つの電話番号や電子メールで複数のヘイト用アカウントを作成することを防ぎ、ストリーマーが5回ではなく1回だけ誰かをブロックすればよいようにするためのものだ。サイト全体では、電話認証されたアカウントが停止されると、リンクされたアカウントも停止される。Google Voiceアカウントのように別の電話番号を使うこともできるが、悪質なユーザーにとっては追加の手間となるだろう。

Twitchコミュニティでは、特に黒人やLGTBQ+などの代表的なクリエイターが、Twitchのレイドシステムを通じた標的型の嫌がらせに直面しており、緊張感が高まっている。あるストリーマーがオフラインになると、他のストリーマーを驚かせるために、彼らのファンを「レイド」と称して別のチャンネルへ誘導することがある。この機能は、既存のストリーマーが新進気鋭のストリーマーをサポートするためのものだ。しかし、過去数カ月の間に、悪質なユーザーがレイド機能を利用してボットを送り込み、ストリーミング中のクリエイターを標的とした嫌がらせを吹き込むという事件が発生した。しかし、TwitchはTechCrunchに対し、このような大規模な標的型攻撃のほとんどは、実際にはレイドツールによって促進されたものではなく、プラットフォームはこの表現を口語的な誤称とみなしていると述べた。

Twitchは5月、性別、性的指向、人種、能力に関する350のチャンネルタグを新たに導入した。これは、より自分たちを代表するクリエイターを発掘したいというユーザーの要望によるものだ。しかし、タグを武器にして社会的に疎外されているストリーマーをターゲットにする人もおり、Twitchはこのハラスメントを抑制するための包括的なツールを十分に備えていなかった。一部のクリエイターは、一連のチャットコマンドを起動する「パニックボタン」など、独自の安全ツールを開発していたほどだ。これらのストリーマーは「#TwitchDoBetter」というハッシュタグでTwitchに対策を求めた。そして今月初め、LuciaEverblackShineyPenRekItRaven(このタグを始めた人)などのストリーマーが、1日かけてTwitchをボイコットする「#ADayOffTwitch」を開始した。

この#ADayOffTwitchアクションにはいくつかの要求が含まれていた。

参加したストリーマーたちは、入ってくるレイドをコントロールする機能を求め、Twitchに対して、年齢制限、Eメールの登録制限、包括的なハラスメント防止ツールの導入時期の共有などを求めた。その直後、Twitchは、ヘイトレイドに使用された何千ものボットアカウントに関連する2人のユーザーに対して法的措置を取った

今日の発表は、これらの要求の1つに応えるものだが、TechCrunchへのメールでTwitchは、ヘイトレイドがこれほど頻繁に起こるようになるずっと前から、電話を用いて検証されたチャットを開発、テスト、改良してきたと述べている。しかし、UserVoiceやAmbassadors Discordからのコミュニティのフィードバックも、今回の追加のきっかけとなった。Twitchはブログ記事の中で、他のチャンネルレベルのBAN回避ツールを近日中に展開すると語っている。また、ストリーマーには、友人やチームメイト、フォローしているチャンネルからのレイドのみを受け入れるオプションがすでに備わっているとも触れている。安全機能の導入時期は公表されていない。これは、Twitchが何を計画しているのか、どうすればそれを回避できるのかという情報を、悪質なユーザーに与えてしまう可能性があるためだ。

クリエイターは、「ダッシュボード」→「設定」→「モデレーション」と進み、これらの新しい設定にアクセスできる。モデレーターは、チャットの「モデレーション設定の管理」からアクセスできる。

画像クレジット:Kiyoshi Ota/ Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Akihito Mizukoshi)

米国人の半数はSNSが情報源、ただしその割合は減少

Pew Research(ピュー・リサーチ)の最新レポートによると、米国成人の約3分の1は、現在もFacebook(フェイスブック)から定期的に情報を得ているが、割合は2020年の36%から2021年の31%に減っている。この減少は、情報を何らかのソーシャルメディアから得ていると答えた米国人の全体的数字のわずかな減少を反映している。その割合も2020年の53%から2021年の48%へと5ポイント下がっている。

ここでいう「定期的に」は、調査回答者が「often(頻繁に)」あるいは「sometimes(時々)」情報をデジタルニュースから得ていると答えたという意味で、他の選択肢は「rarely(まれに)」「never(一切ない)」、および「don’t get digital news(デジタルニュースを見ない)」だ。

この変化は、テック企業が自社プラットフォームで誤情報の拡散を許していることについて厳しい監視下にある状況の中で起きている、とPewは指摘している。こうした批判はパンデミック期間中に増加し、ワクチンの忌避や拒否につながり、その結果誤情報を受け入れた多くの米国人の健康状態の悪化を招いた。

こうした問題に関わらず、さまざまなソーシャルメディアから定期的に情報を得ている米国人の割合は前年からさほど大きくは変わっておらず、ネットで日々のニュースを見る一部の人たちの習慣を反映している。

画像クレジット:Pew Research

定期的にFacebookで情報を得ている米国成人の3分の1に続いて、22%がYouTube(ユーチューブ)から定期的に情報を取得している。Twitter(ツイッター)とInstagram(インスタグラム)はそれぞれ13%および11%の米国人の定期的情報源だ。

しかし、多くのサイトにおいて自身のサイトを定期的情報源としているユーザーの数字がわずかに減少している、とPewは指摘している。これは、各サイトをニュース源として使っている米国成人のずっと小さな割合とは意味が異なり、サイト自身のユーザーベースがどう認識しているかを示している。ある意味でこれは、具体的には概して若いソーシャルメディア・ユーザーのニュース消費行動の変化を測ったものだと言える。

現在Twitterユーザーの55%が同プラットフォームから定期的に情報を得ており2020年は59%だった。一方Reddit(レディット)ユーザーの情報源としての同サイトの利用は42%から39%に減少した。YouTubeは32%から30%、Snapchat(スナップチャット)は19%から16%に減少した。Instagram(インスタグラム)はほぼ変わらず2020年が28%、2021年が27%だった。

今回、唯一ニュース源として成長したソーシャルメディアプラットフォームは、TikTok(ティックトック)だ。

2020年、ショートビデオプラットフォームのユーザーで定期的にそこで情報を取得している答えた人は22%だった。2021年には29%に増加した。

しかし全体的に見ると、これらのサイトのほとんどが米国の成人人口全体にごくわずかしか掴んでいない。米国人でReddit(7%)、TikTok(6%)、LinkedIn(4%)、Snapchat(4%)、WhatsApp(3%)、Twitch(%)を情報源としている人はいずれも10人に1人以下だった。

画像クレジット:Pew Research

サイトを利用しているユーザーの人口属性による違いもある。

白人成人は情報源としてFacebookとRedditに目を向ける傾向がある(それぞれ60%と54%)。黒人およびラテンアメリカ系成人は、Instagramを定期的情報源としている人の割合がかなり大きい(それぞれ20%と33%)。若年成人はSnapchatとTikTokに頼る傾向が強く、LinkedInを情報源とする人の過半数が四年制大学の学位を持っている。

もちろん、2021年7月26日~8月8日に実施されたPewの最新調査は個人の申告データに基づいている。つまり、被験者の答えはさまざまなサイトを情報源として使っていることに関するその人自身の認識に基づいている。これは、現実世界でユーザーがどれほど頻繁にニュースを読みにサイトに訪れるかの測定値とは異なる結果を生むことがある。利用の割合を過小評価する人も過大評価する人もいるからだ。

また、人はソーシャルメディアでニュースを読むことの予期せぬ影響を正しく理解できていない。見出しや投稿は扇動的なクリックベイト(クリックを誘う餌)に隠されてリアクションやコメントによるエンゲージメントを誘発しようとしている。そうした手口はしばしば強いリアクションを誘うことがあるが、必ずしも聞く価値のある人によるものではない。Pewによる最近の調査で、ソーシャルメディアニュース利用者は、選挙や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの重要な話題に関する事実の知識が少ない傾向があるという結果が出た。そしてソーシャルメディア消費者は過激な陰謀論に接する機会が多い(コメントを読んでいる人にとっては実に明らかだ)。

今回の調査の全標本数は、回答者1万1178名で、標本誤差範囲はプラス・マイナス1.4パーセンテージ・ポイントとなる。

関連記事:米国成人の大半はニュースをソーシャルメディアに頼っていることが明らかに

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Twitchがボットを使ったハラスメントでユーザー2人を提訴

Twitch(ツイッチ)は米国時間9月6日の週に、同社のプラットフォーム上で自動化されたヘイト・ハラスメントキャンペーンを展開していたとして、2人の人物を提訴した。

往々にして黒人とLGBTQのストリーマーをターゲットにしているハラスメントはTwitchでは「ヘイトレイド」という独特の現象として現れる。Twitchではクリエイターは自身のストリームでオーディエンスを楽しませた後に他のフレンドリーなアカウントへとオーディエンスをよく誘導する。これは「レイド」として知られている慣行だ。ヘイトレイドはこの図式が逆向きになっているもので、嫌がらせの流入を阻止するために自由に使える十分なツールを持っているストリーマーを悩ませるためにボットを送り込む。

ヘイトレイドはTwitchの新しいタグ付けシステムを活用している。このシステムは簡単にコミュニティを構築したり、共感を呼ぶコンテンツを発見できるよう、多くのトランスジェンダーが要望してきたものだ。5月にTwitchは視聴者がストリームを「ジェンダー、性的指向、人種、国籍、能力、メタルヘルスなど」で区分けできるよう、350以上の新しいタグを加えた。嫌がらせを拡散しているアカウントは現在、人種的・性的差別、トランスジェンダーや同性愛に対する差別をストリーマーに送るためにそれらのタグを使っていて、明らかにクリエイターを支援するためのツールの不幸な誤った使用例だ。

訴状でTwitchはヘイトレイドを行う人のことを、プラットフォームの利用規約を回避する新しい方法を行き当たりばったりで試す「かなり強く動機付けられている」悪意ある個人、と表現した。同社は訴状でユーザー2人の名前「CruzzControl」と「CreatineOverdose」を挙げたが、本名を入手することはできなかった。このユーザー2人はオランダとオーストリアを拠点としていて、8月から行為は始まった。CruzzControlだけでヘイトレイドに関わっている3000ものボットアカウントにつながっていた、とTwitchは主張する。

Twitchが最近のハラスメントキャンペーンを影で操る個人の身元を特定することはできないかもしれない一方で、訴訟はTwitchで嫌がらせを送りつけている他のアカウントに対する抑止力となるかもしれない。

「我々はここ数週間で何千というアカウントを特定して禁止措置にしてきましたが、こうした悪意ある人たちは引き続き、当社の改善を回避するためのクリエイティブな方法に懸命に取り組んでいて、やめる気配はみられません」と訴状にはある。「この提訴がこうした攻撃と、他のユーザーを食い物にするツールの背後にいる個人の身元を明るみ出し、当社のコミュニティのメンバーに対する卑劣な攻撃に終止符を打つことにつながることを望みます」。

「この提訴は標的型攻撃を解決するために取られる唯一のアクションでは決してなく、また今回が最後になるわけでもありません」とTwitchの広報担当はTechCrunchに語った。「先回りした感知システムをアップデートしつつ出てくる新しい動きを解決し、また開発に何カ月も費やしてきた先回りの新しいチャンネルレベルの安全ツールを仕上げるために、当社のチームは休むことなく懸命に取り組んできました」。

Twitchの提訴に先立ち、一部のTwitchクリエイターはヘイトレイドの標的となったユーザーのためにソリューションを示さなかったと同社に抗議するために#ADayOffTwitchを組織した。この抗議に参加している人々は、ヘイトレイドからのストリーマー保護のために、クリエイターが流入してくるレイドを拒否したり、新しく作られたアカウントでのチャット参加者をスクリーンから追いしたりできるようにするなど、Twitchに決定的な措置を取ることを要求していた。抗議参加者はまた、1つの電子メールアドレスにリンクできるアカウントの数に制限を設けていないTwitchの規則にも注目した。これは抜け穴となっていて、簡単にボットアカウント軍団をつくって展開できる。

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画像クレジット:Gabby Jones/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

ソーシャルプラットホームはタリバンの扱いで歩調揃わず

20年間駐留したアフガニスタンから米軍が性急に撤退して、ソーシャルメディアのプラットホームには、そのポリシーをめぐる複雑な意思決定課題が残された。

タリバンは長年、ソーシャルメディアと親しかったが、ソーシャルメディア企業は、粗暴と抑圧で悪名高い集団が自分をアフガニスタンの合法的な統治主体として世界に示そうとしているとき、新たな疑問に直面するだろう。ソーシャルメディアは今やあらゆる政治的指導者や政府に知られ利用されているが、タリバンが権力を固めて統治に乗り出そうとするときにはなお一層、中心的な役割を演ずることになるだろう。

Facebookは、タリバンが権力を握ったときにありうる報復からユーザーを守るための予防措置を、早くから講じてきた。FacebookのNathaniel Gleicher氏はTwitterで、先週同社が講じた一連の対策を発表した。同社はアフガニスタンの人びとが「ワンクリックで」自分のアカウントをロックしてタイムライン上のポストを隠し、友だち(フレンド)でない人が自分のプロフィールの画像をダウンロードや共有できないようにした。

[Nathaniel Gleicher: 3/これらの多くは活動家やジャーナリストや市民社会団体が報告している。さらに私はここに、市民社会活動のエキスパートが提供しているジャーナリストや活動家のための有益なオンラインセキュリティガイドのリンクも入れている。4/アフガニスタンにいる人びとが自分のアカウントを素早くロックできる、ワンクリックツールをローンチした。プロフィールがロックされると、その人のフレンドでない人はプロフィールの写真のダウンロードや共有ができないし、またその人のタイムラインのポストを見ることもできない。]

Facebookはまた、アフガニスタンにいる人の友だちのリストを見たり検索したりできないようにした。Instagramではポップアップが出て、アフガニスタンにいるユーザーに、アカウントを素早くロックダウンする方法を教える。

Talibanは前から、同社の危険な団体のルールに反するとしてFacebookの利用を禁じられている。Facebookの広報担当がBBCの取材に対してこう述べている: 「タリバンは米国の法律ではテロリスト団体として制裁対象になっている。私たちは、タリバンによって、あるいはタリバンに代わって維持されているアカウントを削除し、彼らを称賛し支持し代表することも禁じている」。

実際にはアフガンのタリバンは合衆国国務省によって外国のテロリスト組織と指定されていないが、パキスタンを拠点とするタリバンは2010年以来、そう指定されている。また、外国のテロリスト組織のリストに載っていなくても、アフガニスタンを拠点とするタリバンは、合衆国が9/11以降行っている経済制裁によると、テロ集団と定義されている。

タリバンはFacebookが保有するWhatsAppからも禁じられているが、このプラットホームはエンドツーエンドの暗号化を行っているのでユーザーの特定が困難だ。WhatsAppはアフガニスタンでも広く普及していて、近年ではアフガン軍とタリバンの両方がこのチャットアプリを使ってコミュニケーションしている。Facebookは自社のプラットホーム上でタリバンを許容していないが、しかしタリバンは、その意外なほど急速で摩擦のない権力奪回のあと、WhatsAppを使って支配の計画をアフガンの人びとにコミュニケートし、抵抗を諦めさせている。さらにアフガニスタンの人びとは、タリバンがWhatsApp上に作ったヘルプラインの番号に、暴力や犯罪を報告できる。しかしFacebookは直ちに、そのアカウントを閉鎖した

今週初めにFacebookのコンテンツポリシー担当副社長Monika Bickert氏が、国がタリバンを制裁対象のテロリスト集団のリストから外したとしても、Facebookは独自の評価と決定を行なう、と述べた。Bickert氏はこう言った: 「実際に彼らが弊社の危険な団体のポリシーに違反しているか否かに関しては、あらためてポリシーの分析を行なう必要がある」。

Facebookと同じくYouTubeもタリバンを禁じている。YouTubeのその決定は経済制裁の決定に沿っているようなので、タリバンへの合衆国のアプローチが変われば、並行して変わるかもしれない。

YouTubeの広報は本誌にこう語った: 「YouTubeの方針は適用可能なすべての制裁と通商準拠法に準拠している。したがってアフガンのタリバンが保有し運用していると信じられるアカウントを見つけた場合には、そのアカウントを終結する。さらにまた、弊社のポリシーは暴力をそそのかすコンテンツを禁じている」。

Twitterの上では、タリバンの広報担当であるZabihullah Mujahid氏が、カブールにおける同団体の活動について頻繁にアップデートを続けている。もう一人のタリバンの代表者であるQari Yousaf Ahmadi氏も、気の向くままにTwitterにポストしている。FacebookやYouTubeと違ってTwitterは、同団体を一律に禁ずるのでなく、個々のポストごとにポリシーを適用するつもりだ。

ソーシャルメディア上でタリバンの足跡が今後も増えるようなら、他のプラットホームも同様の決定を迫られるだろう。TikTokは本誌のコメント要請に応じなかったが、以前NBCに対して、タリバンはテロリスト集団だと思うから、同団体の宣伝になるようなコンテンツは許可しない、と言っている。

今のところタリバンの足跡が目立つのは、いわゆるメジャーなソーシャルネットワークだけだが、しかし無理のない予想としては、現状の反乱が常態に転ずるときには、全世界の注視の下で、FBなどに代わる独自のプラットホームを利用して新しいイメージ作りに努めるだろう。

Twitchは、タリバンが利用したらどうするか、という問いには答えなかったが、同社には関連するポリシーとして「サービス切断行為」というものがあり、それで特定ユーザーを禁じている。それは、Twitchのストリーマーたちの間に虐待やセクハラの報告があったときの対応だ。

その新ルールは、暴力的な過激主義やテロなどの深刻な脅威にリンクしているアカウントにも適用される。そういう行為がTwitchの外で行われていても、対象になる。この独特の定義により、タリバンを最初から排除することも可能だろう。米国が将来、制裁を外してテロリストの指定を変えても、Twitchでは許されないかもしれない。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Photo by WAKIL KOHSAR/AFP via Getty Images)/Getty Images

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StreamlabsがTwitchクリップをTikTok / Instagram / YouTubeに共有できる新ツール「Crossclip」を発表

今やユビキタスなライブストリーミングソフトウェアとなったStreamlabsの開発元が、ストリーマーがゲームのハイライトをTwitch(ツイッチ)以外のプラットフォームで共有するための新しい方法を発表した。Streamlabsは、この新しいツールを「Crossclip」と名付け、現在、iOSアプリと軽量のウェブツールとして提供している。

Crossclipを使えば、クリエイターはTwitchのクリップを、TikTok(ティックトック)、Instagram リール、YouTube ショート、Facebook(フェイスブック)ビデオに適したフォーマットに簡単に変換することができる。クリップのURLを入力し、出力フォーマット(ランドスケープ、バーチカル、スクエア)とあらかじめ用意されたレイアウトを選択するだけで、Twitchから共有したいスニペットを簡単に適応させることができる。

Crossclipでは、クリップの長さをクロップしたり、背景の一部をぼかしたり、フレームをさまざまな場所に配置するレイアウトを選択することができる(例えば、フェイスカムビューとストリームビューを一緒に並べて縦向きに表示するなど)。

Crossclipのコア機能は無料だが、プレミアムサブスクリプション版(月額4.99ドル / 年間49.99ドル、月額約550円 / 年間約5500円)を購入すると、ブランドロゴのウォーターマークが取り除かれ、1080P・60fpsでのエクスポート、より大容量のアップロード、レイヤーの追加が可能になり、編集内容が処理キューの先頭にプッシュされる。

Twitchで発見されるのは難しい。確立されたストリーマーは簡単にオーディエンスを増やすことができるが、スタートしたばかりのユーザーは、数少ない視聴者がたまに挨拶に来るだけの孤独な「Stardew Valley(スターデューバレー)」のセッションを何度も延々と続けなければならない。Crossclipのアイデアは、このプロセスの苦労を減らすよう、ストリーマーがサブコミュニティやタグなど、コンテンツを発見しやすい機能がより充実している他のソーシャルネットワークでオーディエンスを構築しやすくすることだ。

Streamlabsの製品責任者であるAshray Urs(アシュレイ・ウルス)氏は、TechCrunchにこう語った。「クリエイターにとって、自分のコンテンツをより発見しやすくすることは大きなメリットです。最も人気のあるTwitchストリーマーを考えてみると、彼らは非常に人気のあるYouTubeチャンネルを持ち、Twitter(ツイッター)、Instagram(インスタグラム)、TikTokに積極的に投稿していることに気づくでしょう。さまざまなプラットフォームでコンテンツを共有し、オーディエンスを構築していなければ、自分の状況をより難しくしていることになります」。

ウルス氏は、TikTokのアルゴリズムによるディスカバリー機能を利用して視聴者を増やすクリエイターが増えていると指摘している。TikTokが最近追加した3分間のより長い動画フォーマットは、ゲーマーやTwitchストリーマーなど、TikTokの活用に興味を持つさまざまなクリエイターにとって有益なものだ。

既存のオーディエンスを持つユーザーにとってもCrossclipは使いやすく、ゲームのハイライトやJust Chattingクリップを、フォロワーを増やしたい場所で簡単に共有することができる。平均的なクリップの変換には2~3分かかり、ワンクリックで簡単に処理できる。似たような機能を持つツールはいくつかあり、独立系ウェブツールであるStreamLadderが最も有名だが、Streamlabsは同じアイデアをさらに改良し、モバイルアプリを追加している。

現在はLogitech(ロジテック、日本法人はロジクール)の傘下にあるStreamlabsは、ここ数カ月でいくつかの便利な製品をリリースしている。同社は2021年2月には、チップ機能を組み込めるリンクインバイオ(link in bio)ツール「Willow」を発表した。Streamlabsは2021年5月、あらゆる種類のゲームコンテンツの新興ハブとなったTikTokとの関係を深め、中核となるライブストリーミングプラットフォームStreamlabs OBSにTikTokでの「ライブ配信開始」機能を追加した。

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タグ:StreamlabsTwitchTikTokInstagramYouTubeライブストリーミングゲーム実況動画配信

画像クレジット:Gabby Jones/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Aya Nakazato)

TwitchがセクシーなASMR配信で人気女性クリエイター2人を一時停止に

Twitchの人気ストリーマーAmouranth氏とIndiefoxx氏は、性的すぎるコンテンツに関する独自の混乱したルールを実施しようとするTwitchの継続的な戦いにおいて、新たな犠牲者となった。

2人のクリエイターは、Twitchのコミュニティガイドラインで禁止されている「性的コンテンツ」の範囲を超えたASMR配信を行ったことで活動を停止された。Amazonが所有するTwitchは、禁止期間やその原因についてはコメントを避けているが、TechCrunchには性的コンテンツに関するルールを示している。

Amouranth(Kaitlyn Siragusa、ケイトリン・シラグサ)氏とIndiefoxx(Jenelle Dagres、ジェネル・ダグレス)氏の2人が、金曜日に禁じられてから72時間後となる米国時間6月21日に復活することはありうるが、本稿を書いている時点(米国時間6月21日午前11時)ではそれはない。シラグサ氏はPolygonで、ヨガのポーズをしてマイクに向かって人の耳を舐めるような音を立てていたら停止されたと語っている。

Twitch上のいわゆる「ASMR-meta」は、マイクロフォンの近づいて囁いたり、舐める音を立てたりする背景音がともなうコンテンツで、画面がヨガのポーズになることもある。それらは2021年5月に爆裂したホットタブ(大型浴槽)に関する論争の続編となる。一部のTwitchクリエイターによると、いずれも禁止は一律でなく選択的に適用されているという。

シラグサ氏は次のようにツイートしている。「ASMR metaやクレイジーなヨガのポーズは、私の知ってるかぎりでも、他の2人の女の子が2000から5000のビューを稼いでいた。私があの悪名高いASMR metaを止めた何カ月も前からだ。しかも私以外のストリーマーは、未だに禁じられることなく続けている。私の場合、Twitchの怠慢を黙認だと誤解したのが間違いだった。秘密がばれたら3万ビューワーが犠牲者になってしまった」。

ASMR metaもhot tub metaも全員女性であるため、状況そのものもTwitchのコミュニティにいる女性差別主義者たちをさらに多く惹きよせている。Twitchは、女性のストリーマーがセクハラで追い出されることの多いプラットフォームだ。

「暴力的なビデオゲームが銃犯罪を増加させた」という説と戦っている世代(私もそう思う)が「hot tubやASMRの女の子たちが変態的な犯罪者を作り出し他の女性クリエイターを困らせている」という説に尻尾を振るなんて、すごい皮肉ね。

プールやhot tubからの女性のストリーミングが増加しているときTwitchはブログで「他の人が見てセクシーと思うことはルール違反ではない。そしてTwitchは、女性やこのサービス上の誰かが魅力的と思われることに、反対するアクションをとることはない」と述べている。同社は例として、寝室における水着姿は「状況的に不適切」な水着は許されていないからルールに反するという。

Twitchはまた、同社の解釈が難しいルールの複雑性を自らも認めている。

「性を示唆している」ようなコンテンツに対する私たちのポリシーの意図は、過度に、あるいは露骨に、性を感じさせるコンテンツに対して一線を引くことであり、性的と見られるものなら何でも禁じるというものではない。しかし私たちは、私たちのルールがまだ十分に明確ではないことを認める。

それっぽいと解釈されうるあらゆる形式のコンテンツを禁止すると、ビデオゲームや有料コンテンツの極めて多くのものを禁止することになるだろう。特にそうしたコンテンツでは、女性キャラクターが、おかしな形で、性の対象として提示されることもあるからだ。

その際の同社の解決策は「プール、ホットタブ、ビーチ」というカテゴリーをつくり、そんなコンテンツをそこに入れることだった。Twitchのカテゴリーは、その多くが特定のゲームに結びついている。しかもこのプラットフォームのゲームではないストリームは、人気の何でもありの「チャット中」カテゴリーにそのほとんどがある。

ASMRというカテゴリーもあり、240万のフォロワーがいる。耳をくすぐるようなASMRは、Twitchのルールに触れないものや、もっと触れるものもある。現在のところTwitchは、性的なコンテンツを囲い込むもっとスマートな方法を考案するよりも、同社が一線を超えていると判断したものは何でも罰するというやり方を選んでいる。しかし、それががらっと変わる可能性もある。2021年5月、Twitchは性を示唆するコンテンツに対するルールをもっと明確にするために、新しいポリシーを開発中だと発表した。

耳をなめるような配信が氾濫していることから、Twitchにとっても、そしてその偏ったポリシーによって不均衡な影響を受けている女性クリエイターにとっても、わかっているのは新ポリシーができるまで同社は、自分が作った曖昧な領域に無理やり線を引くという同じ形の判断を何度も何度も繰り返すことだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Twitch

画像クレジット:Gabby Jones/Bloomberg via Getty Images/Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Twitchがプラットフォーム10周年でアニメーションEmotesを導入

Twitch(ツイッチ)は米国時間6月4日、サービス開始10周年祝いとして2021年6月、Emotesに大幅なアップデートを加えると発表した。新しい機能はAnimated Emotes、Follower Emotes、Emotesライブラリーだ。

ゲーマーのためのライブストリーミングプラットフォームとして始まって以来、Twitchの絵文字であるEmotesはTwitchカルチャーの重要な要素だった。小さなミームでKappa、TriHard、PogChampといった画像はより広範なゲームの世界、Twitchプラットフォーム外ですら使われるようになった。

「Emotesは国を超えたランゲージです」とTwitchのコミュニティプロダクト担当シニアディレクターのIvan Santana(イヴァン・サンタナ)氏は話す。「世界中どこにいてもEmotesは同じ意味を持ちます」。

Amazonが所有するTwitchは定期的に新しいグローバルEmotesを加えていて、あらゆるストリーマーのチャンネルで使うことができる。個人クリエイターは自分のコミュニティ用にカスタムEmotesを作ることができ、有料購読者はそれらをプラットフォームで使用することが可能だ。しかしアニメーション化されたgifをEmotesとして加えられるようにするのは、サンタナ氏の記憶ではずっとコミュニティから要望されていたものだ。

「私はTwitchで4年働いていますが、私がTwitchに加わる前から要望されていたものです」とサンタナ氏はTechCrunchに話した。「確かに、とても長い間です」。

アニメーションのスキルを持っていなくても心配は無用だ。テックに詳しい人はカスタムgifをアップロードできる一方で、Twitchは既存のEmotesをアニメーション化できる6つのテンプレートをストリーマー向けに用意する。これらのアニメーション化はShake(振動する)、Rave(色が変化する)、Roll(横に動く)、Spin(回転する)、Slide In(横から登場)、Slide Out(横へ消える)だ。アニメーションにセンシティブなビューワーはチャット設定でこの機能をオフにできる。

TwitchはFollower Emotesも試験している。こちらは選ばれたパートナーとアフィリエイトのみが使えるようになる。この機能は、ビューワーが初めてチェックするチャンネルにあるフォローのボタンをクリックするよう、ビューワー向けの楽しい無料のインセンティブを作る。ビューワーがチャンネルをフォローすると、クリエイターがストリーミングするときにその旨が通知され、これはゆくゆくはサブスクにつながる。Twitchはストリーマーのサブスク売上の50%を取り、これは同社にとって価値ある収入源となる。

2021年第1四半期にTwitchの視聴率は過去最高を記録し、前四半期から16.5%増となった。Twitchのビューワーは第1四半期にコンテンツを63億4000万時間視聴し、マーケットシェア72.3%となった。この視聴時間は前年同期の倍だ。Facebook GamingとYouTube Gamingのマーケットシェアはそれぞれ12.1%、15.6%だった。

「クリエイターは新しいビューワーを引きつけて歓迎する、さらに良い方法を長い間求めていました。コミュニティで多くの楽しみを、そして最高のコミュニティフィーリング作り出す方法です」とサンタナ氏は話した。

ベータ版にアクセスできるクリエイターはフォロワー向けに最大5つのEmotesをアップロードできる。しかしSubscriber Emotesと違ってフォロワーは他のチャンネルでこれらのEmotesを使うことはできない。Follower Emotesがずっと続くという保証はない。「実験」している機能であるためだが、すべて順調にいけば2021年後半に広く展開する、とサンタナ氏は語った。

最後に、ライブラリーの機能では、クリエイターは毎回削除したり再アップロードしたりすることなく簡単にサブスク内でEmotesを取り替えることができるようになる。これは、チャンネル特有のアイコンをクリエイター・ダッシュボード上のEmotesタブに集めるようになった、2021年1月のアップグレードをベースにしている。いつものように、新しいEmotesは使用前にTwitchに承認される必要がある。ライブラリーはすべてのパートナーとアフィリエイト向けに間もなく展開され、新しいEmotesがあふれるようになるまでには数カ月かかる見込みだ。

「Twitchの規模は拡大し、世界中のさまざまなカルチャーに何百万ものコミュニティを抱えています。コミュニティがこれまで以上にEmotesランゲージをコントロールできるようにし、最終的にはユニークに機能する、我々が想像もできなかった方法でEmotesを進化させられます」とサンタナ氏は述べた。

Twitchは公式10周年セレブレーションなど、プラットフォームの10年を祝うためにその他にも取り組んでいることをほのめかした。

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バーチャルミュージシャンが曲をその場で作っていくコンサートを4月14日にAuthentic ArtistsがTwitchで開催

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Twitchライブストリーミング

画像クレジット:Twitch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

バーチャルミュージシャンが曲をその場で作っていくコンサートを4月14日にAuthentic ArtistsがTwitchで開催

Facebook(フェイスブック)のOculus(オキュラス)でミュージックインテグレーションを担当していたChris McGarry(クリス・マクギャリー)氏は、自身のスタートアップ企業であるAuthentic Artists(オーセンティック・アーティスツ)で、バーチャルな世界に音楽を導入するための新しいアプローチを展開している。

マクギャリー氏は、Lil Miquela(リル・ミケーラ)のようなバーチャル・セレブリティや、Travis Scott(トラヴィス・スコット)氏がFortnite(フォートナイト)で行った巨大イベントのようなバーチャルコンサートを、Authentic Artistsの舞台として挙げている。ある意味では、このスタートアップはこれらのアイデアを組み合わせたものであり、バーチャルミュージシャンを生み出して、それ自身がコンサートを行い、観客のリクエストに応えることを目指している。

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「私たちは意図的に、すでに存在するもののデジタルな複製を作ろうとはしていません」と、マクギャリー氏はいう。「新しいツールを使って新しいアート、新しい体験、新しい文化を創造したいのです。アーティストが観客とのコラボレーションを行うための手段となり、それによって観客はライブショーを選択的に形作ることが可能になる。それが魅力です」。

実際、Authentic ArtistsはすでにTwitch(ツイッチ)でいくつかの試験的なコンサートを行っており、平均視聴時間は35分だった。チームは「率直に言って、その反応に驚かされました」と、マクギャリー氏は言っている。

米国時間4月14日にTwitchで行われるコンサートでは、次世代のバーチャルアーティストが公開される予定だ。このコンサートでは、(人間の)Twitchストリーマーが共同で司会を務め、観客にこのコンセプトを紹介する。マクギャリー氏によると、将来的にはバーチャルと人間のスターによるさらなるコラボレーションの可能性もあるという。

Authentic Artistsのプラットフォームにはさまざまな要素が含まれている。アニメーションによるバーチャルミュージシャンが、音楽を生成し、さらに観客からのフィードバックに応えて、曲の強弱やテンポを変えたり、次の曲に早送りすることなどが可能だ。

「音楽は我々のビジョンの生命線であり、そのためにコアとなるオーディオエンジンに多大な投資をしてきました」と、マクギャリー氏はいう。このプラットフォームは人間が作曲した音楽ループを単純に組み替えるのではなく、それ自体が音楽を生み出すことを、マクギャリー氏は強調している。「私たちは、バーチャルアーティストに自律性を持たせ、リアルな存在にしたいと考えています」。

新しいアーティストについては、まだチームが最終調整を行っている段階のようで、筆者が実際にコンサートを体験することはできなかった。その代わりにマクギャリー氏と彼のチームは、これらのアーティスト(半分人間のサイボーグや巨大なイグアナなど)とバーチャルな会場のレンダリングを行い、さまざまなパラメーターを調整することによってその場で新しい曲を作り出す音楽エンジンのデモンストレーションを披露してくれた。「これらはすべてオリジナルの楽曲であり、人の手を加えることなく、私たちがここに座っている間に生成・制作されたものです」と、マクギャリー氏は語る。

Authentic Artistsは、OVO Fund(オーブイオー・ファンド)、James Murdoch(ジェームズ・マードック)氏のLupa Systems(ルパ・システム)、Mixi Group(ミクシー・グループ)、Linkin Park(リンキン・パーク)のMike Shinoda(マイク・シノダ)氏などの投資家から支援を受けている。マクギャリー氏は、今のところビジネスモデルよりもプロダクトマーケットフィットを見つけることに注力しているが、将来的にはブランド音楽や分散型金融 / NFT(非代替性トークン)などの手段で収益を上げる機会があると考えているという。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Authentic Artists音楽Twitchバーチャルイベント

画像クレジット:Authentic Artists

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

動画配信サービスTwitchがプラットフォーム外でのユーザーの悪質な行為にルール適用へ

Twitch(ツイッチ)はストリーマーをより高い水準に保つための行動に出る。同社はルールを破る行為、結果としてTwitchの使用禁止となるかもしれない悪態の種類を詳細に明示してヘイトとハラスメントに関する規約を拡大した。

同社がプラットフォーム上、そして社内での虐待行為やセクハラの報道に引き続き取り組んでいる中での今回のニュースだ。2020年12月にTwitchは女性や有色人種、LGBTQ+のコミュニティがプラットフォーム上の「不釣り合いな」量の悪意ある行為の影響を受けてきたこと認めた上で、ハラスメントや虐待にこれまで以上に真剣に取り組むためのアップデートしたルールを発表した

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Twitchのポリシーは現在、安全上の脅威をもたらし得る重大な犯罪を含めている。そうした犯罪が完全にTwitch外で起こったとしてもだ。脅威には暴力的な過激主義、テロ、集団暴行の脅し、性的暴行、ヘイトグループとのつながりが含まれる。

同社はまたTwitchで起こったものが、たとえばTwitterやFacebookでのハラスメントにつながるような場合、プラットフォーム外の行動も引き続き審査する。

「この規約は新しいものですが、当社はこれまでもTwitch外で起こった重大で、明らかな不正行為に対し行動をとってきました。しかし今まで、拡大したアプローチは持っていませんでした」と同社はブログ投稿で述べている。そしてプラットフォーム外での行動の調査は、こうしたケースにともなう複雑さを解決するための追加のリソースを要すると付け加えた。

規約拡大によるレポートに対処するため、Twitchは専用の電子メールアドレス(OSIT@twitch.tv)を作り、Twitch外での行動についてのレポートに対応する。同社は受け取ったレポートを精査するためにサードパーティーの調査法律事務所と提携したと話す。

Twitchはプラットフォーム外の行動がルール適用につながった最も著名な人の例としてDonald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領に対して取った行動を挙げた。Twitchは米議事堂襲撃を受けてトランプ前大統領のアカウントを使用不可とし、後に前大統領が暴力を扇動するためにTwitchを使っていた恐れがあるとして無期限の使用停止とした。

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大統領以上に有名な人物を探すのは難しい。しかしトランプ前大統領はTwitchユーザーの中で使用禁止になった唯一の有名人ではない。2020年6月、Twitchは決定の理由を説明することなくTwitchで最も有名なストリーマーの1人を追放した

それから1年後、なぜDr. DisrespectがTwitchから追放されたのか誰も知らないようだ。しかし同社の「証拠の優越」をともなうケースだったとの主張は、Dr. Disrespectの違反が重大で十分に裏づけられていたことをうかがわせる。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

Twitchがトランプ大統領のチャンネルを任期終了まで停止、政権移行への「危害を最小限」に

主要オンラインプラットフォームが次々と一時的、永続的な禁止を行ったのに続き、人気動画ストリーミングサービスのTwitch(トゥイッチ)は米国時間1月7日、米国大統領のアカウントを凍結したことを正式発表した。同サイトの広報担当者がTechCrunchに次のように話した。

昨日の議会議事堂でのショッキングな襲撃を考慮し、当社はトランプ大統領のTwitchチャンネルを無効化しました。現在の異常な状況と大統領の扇動的な表現を踏まえ、私たちのコミュニティを守りTwitchがさらなる暴力誘発に使用されることを防ぐために、これが必要な措置だと私たちは信じています

今回のトランプ氏の利用停止は永久だ。「私たちは、政権移行の準備への危害を最小にすることを重視しています。彼のアカウントは大統領を辞めた後に再検討します」とTwitch広報担当者がTechCrunchに話している。

Twitchは2020年6月にも大統領のチャンネルを一時停止している。当時同サービスはTechCrunchに、「ヘイトに満ちた振る舞いは、Twitchでは認められない。ストリームでの発言を受け、私たちのポリシーに従いトランプ大統領のTwitchチャンネルを一時的に停止し、違反コンテンツを削除しました」と語った。

1月6日に同社は、ゲーマーのRyan Gutierrez(ライアン・グティエレス)氏の顔をあしらった「PogChamp」エモートを削除した(Polygon記事)。同氏が親トランプ暴徒の支持を表明したためだ。

Twitchの措置は、Facebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、Snapchat(スナップチャット)らによる同様の対応に続くもので、各社とも前日の出来事を受けてトランプ大統領のアカウントに新たな制限を加えた。Facebookはさらに、大統領のアカウントを任期末の2021年1月20日まで停止するという異例の措置をとった。

ソーシャルプラットフォーム各社は、大統領が議会議事堂での暴動で支持者グループを扇動したことに対して行動を起こした。トランプ氏は「盗まれた」選挙に関して虚偽の主張を繰り返した6日の集会後、議会に向かってデモ行進するよう集団をけしかけた。

議事堂では、群衆が膨れ上がり警察が設置した柵を容易に乗り越え、建物内に殺到して議員の事務所から略奪し、4名の死者と多数の負傷者を出した。当時議事堂内にいた議員らは避難を余儀なくされ、後に再集結して選挙結果を認証した。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:ドナルド・トランプアメリカ米国大統領選挙SNSソーシャルメディアTwitch

画像クレジット:MARTIN BUREAU / BRENDAN SMIALOWSKI/AFP / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Twitchが自社の不品行を指摘されたことを受け、ヘイトコンテンツとハラスメントを規制するポリシーを改定

今年、有害な職場や嫌がらせが多数報告されたことを受けて、Twitch(ツイッチ)は、ストリーマーコミュニティに対しヘイトコンテンツやハラスメントを規制する新しいポリシーを導入すると発表した。このポリシーは2021年1月22日から施行される。ツイッチのセーフティーチームは、この新しいガイドラインに基づき、ポリシーに違反している可能性のあるコンテンツの評価方法を変更する。同社によると、今後は、ストリーマーの文言や行為の意図よりも、コンテンツ自体とコンテンツが及ぼす影響のほうをより重視していくという。また、ヘイト行為やハラスメント(セクシャルハラスメントを含む)に関するガイドラインを拡張、明確化、強化するという(セクシャルハラスメントについては今回から独自のセクションが設けられた)。

新しいポリシーについて詳細に説明したブログ記事でも触れられているとおり、「言葉や行為は、人を傷つけたり害を及ぼしたりする意図がなくても、意味を持ち影響を及ばす」。

ツイッチは、ストリーマーとハラスメントのターゲットになっている人が起こったことを苦にしていない場合でも、ツイッチコミュニティ内の他の誰かが苦にしているかもしれない、と説明する。つまり今後は、ストリーマーの行為を、その意図のみに基づいて評価するのではなく、その行為が他者を虐待するものでガイドラインに違反しているかどうかという観点から評価することになる。

また、罰則措置を取るかどうかを決定する際には、他の要因も考慮するという。たとえば、ターゲットとなったユーザーまたはモデレーションチームからの報告、チャンネルタイムアウトや発言禁止など、その行為が嫌がられていることを示す指標などが考慮される。

また、新しいポリシーでは、特定の行為がハラスメントとみなされ禁止されることがより明確に記載されている。たとえば、十分に裏付けのある暴力的悲劇の餌食となるのは、クライシスアクターだと主張している。つまり、嘘をつく行為のほか、別の人にDDoS攻撃、ハック、ドキシング(他人の個人情報をインターネット上にさらすこと)、スワッティングを行うよう他者を仕向ける、別の人のソーシャルメディアアカウントを悪意をもって急襲するようあおるといった行為だ。つまりプラットフォーム外の行為であっても新しいガイドラインの適用範囲に含められることになる。

また、「カースト」、「肌の色」、「移民ステータス」が、ヘイトコンテンツかどうか判断するために使用するアイデンティティー特徴リストに追加される。このリストには、保護対象となる特徴として、人種、民族、国籍、宗教、性別、ジェンダー、ジェンダー・アイデンティティー、性的指向、身体障害、重度の病状、退役軍人ステータスなどがすでに含まれている。

ツイッチではヘイトスピーチとヘイトシンボルはすでに禁止されているが、今回のガイドラインでは、ヘイトグループ、ヘイトグループのメンバーであること、ヘイトグループのプロパガンダを共有することも明示的に禁止されている。また、「明示的に教育的なコンテキスト」で使う場合を除き、黒人/褐色人/黄色人/赤ら顔などの表現も禁止されている(これは新たに変更されたものではなく、文言がより明確になったという意味だという)。

別の注目すべき変更点として、歴史的かつ象徴的に奴隷制と米国の白人至上主義グループを連想させるという理由で、南部連合国旗が禁止されることになった点が挙げられる。

ハラスメントははっきり分からないことがあるため、新しいポリシーでは、テキストではなくエモートを使って不正行為と判定されるのを免れようとするさまざまな方法についても目を光らせている。改定されたポリシーでは、セーフティーチームが悪意のあるコンテンツをレビューしているときに、エモートの組み合わせ方も(たとえテキストが含まれていない場合でも)チェック対象となる。

また、セクシャルハラスメントに対する規制が手ぬるいというコミュニティからの批判を受けて、新しいポリシーでは、セクシャルハラスメントを独立したセクションに移し、女性を性的対象とみなす行為や嫌がらせ行為であると判断する基準を下げ、より厳しくしている。

セクシャルハラスメントに関する注目すべき変更点として、女性の魅力について繰り返し言及することも、たとえ褒め言葉であったとしても、相手から不快であると示唆された場合(発言者がすでに発言停止、タイムアウト、チャンネル入室禁止などの措置を受けている場合)には、セクハラ行為とみなされるようになった点が挙げられる。また、誰か(著名人も含む)の性的特徴や容貌についてわいせつな発言や明示的な発言をすることも禁止される。相手が要求していないヌード画像やビデオのリンクを送信することも禁止される。

ツイッチによると、新しいポリシーを施行する前に、近々3回のライブセッションを別々の日に開催して、クリエーターたちにさまざまな変更点を案内し、質問する機会も与えるという。セッションの内容は後でオンデマンドで観ることもできる。1回目は12月11日午前10時からCreatorCampで、2回目は12月16日午前10時から/twitch上セッションで、最後は2021年1月1日正午から/CreatorCamp上セッションで開催する。

ツイッチはさまざまな禁止行為に課せられる罰則規定については必ずしも変更するつもりはないようだ。ただし、新しいポリシーはより詳細に記述されているため、違反の重大度に合わせて罰則措置を適切なレベルに調整できると考えているという。たとえば、軽度の違反であれば警告か短期の利用停止、重度の違反行為であれば初犯であっても無期限利用停止にするといった具合だ。

ブロクの記事ではポリシーの実施に関する質問にも回答している。たとえば、古いコンテンツの扱いはどうなるのか、報告が提出されていないのハラスメントの処理はどうするのか、といったことだ(新しいポリシーは、1月22日以降に作成された新しいコンテンツにのみ適用される。ツイッチが措置を講じるには誰かからの報告が必要だ。というのは、冗談を言い合ったり相手をからかったりすることが許される状況でユーザーを罰するのを避けたいからだ)。

もちろん、ツイッチがこの新しいガイドラインをどの程度適切に実施できるのかについては多くの人が疑問に思うかもしれない。ツイッチという会社自体、その企業文化が、有害で虐待的であるとして最近指摘されたからだ。

ツイッチの現社員や前社員からの報告には、ツイッチの幹部やスタッフが、職場と広範なツイッチコミュニティの両方で、性差別、人種差別、ハラスメント、その他の不正行為を実際に行っていたか無視していたと書かれている。こうした話を聞くと、男性が女性ストリーマーを「おっぱいストリーマー」と呼んだり、同僚の女性社員を暴行したりすると言われているような会社が、果たしてセクシャルハラスメントポリシーを適切に実施できるだろうかという疑問が湧いてくる。ツイッチでは、男性社員が女性の同僚にCワードを発したりツバを吐いたりすると、女性社員はマネージャーに「一体君は何をやったのかね」と聞かれる、とある報告には書かれている。また、多くの女性が、痴漢行為、強制的なキス、不快なマッサージなど、職場で受けた性的暴力について説明している

ツイッチには、他の領域でも選択を誤った前歴がある。Gamesindustry.bizの報告によると、Black Lives Matterを支持するビデオを特集しておきながら黒人ストリーマーには1行しかしゃべらせないとか、プライド・セレブレーション(サンフランシスコで毎年ゲイやAIDS患者の人権を訴えて開催される祭)ビデオで”G”は”gamer”(ゲーマー)の略語でもあると言ってみたり、ヒスパニック文化遺産月間でユーザーがソンブレロやマラカスをエモートに追加できるようにするなど、いろいろと物議を醸している。

同社によると、ポリシーの改定は今年始めから行われていたものだが、性的不品行に関する疑惑も含め最近のコミュニティとの対話は、変化の証だ。

今年始め、ツイッチのCEO Emmett Shear(エミット・シアー)氏は、この件については広く人々の声を聞いてきたし、会社は変わることを目指しているとする社員へのメモを公開した。このポリシーはその第一歩だが、ツイッチには証明すべきことがまだたくさん残されている。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Twitch 

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(翻訳:Dragonfly)