巨大テック企業を規制する米国の新たな独占禁止法案の方針

民主党は議会両院の支配を固め、党の立法の優先順位が明らかになってきた。これまでのところ、テック規制状況再考への議員の関心は未だ健在のようだ。

Amy Kobuchar(エイミー・クロブシャー)上院議員(民主党・ミネソタ)は反トラスト法改革の新たな提案として、大型合併の障壁を増やし、国の反トラスト法執行要員を強化することを謳っている。クロブシャー氏の法案、Antitrust Law Enforcement Reform Act(反トラスト法執行改革法)は、さまざまな業界にわたる統合を対象とし、特に「支配的デジタルプラットフォーム」に重点を置いている。

「かつて米国は世界有数の反トラスト法を有していましたが、現在我が国の経済は深刻な競争問題に直面しています」とクロブシャー氏はいう。「もうこれ以上この問題を見ないふりをして既存の法律が適切であると願うことはできません」。

現在、クロブシャー氏は上院の反トラスト・競争政策および消費者の権利小委員会の長を務めている。これまでにも巨大テック企業に影響を与える改革に関心を示している議会の一角である。

新法案は、1914年に制定され競争に関わる法律の枠組みを作り現在も適用されているクレイトン反トラスト法を強化するものだ。具体的には、反競争的合併の評価基準を標準化し、「競争を大きく損なう重大なリスクを生む」契約を防ぐよう現在の文言を変更する。

目的は反トラスト行為の可能性を早期に発見することで、これは政府が現在、抱えている難問であり、現在国の規制当局は、合併後何年も経ってから独占状態に発展した案件の再評価を行っている。

また同法案は、競争を減少させる危険が生じないことの証明を、合併する企業に義務付けることによって政府の負担を軽減する。これらの規則が適用されるのは、時価総額50億ドル(約5269億4000万円)以上で50%以上の市場シェアを持ち、現在あるいは将来の競合相手を買収しようとしている会社だ。

さらにクロブシャー氏の提案は、クレイトン法を修正して、競合相手を不利に陥れる行為を禁止する条項も加えようとしている。直接的合併、買収のみならず、一部曖昧な領域のトラスト行為についても対象とする。

執行予算の欠如を掲げる同法案は、3億ドル(約316億2000万円)の追加予算を司法省反トラスト部門およびFTC(連邦取引委員会)につぎ込む。FTCでは、委員会内に市場と合併を調査する部門を設置するためのその資金を使用する。

法案は、全員が民主党上院議員で反トラスト小委員会のメンバーでもあるCory Booker(コリー・ブッカー)氏、Richard Blumenthal(リチャード・ブルーメンソール)氏、Brian Schatz(ブライアン・シャーツ)氏、およびEd Markey(エド・マーキィー)氏が共同発起人となる。また現在は一党による取り組みだが、反トラスト改革は共和党ミズーリ州選出のJosh Hawley(ジョシュ・ホーリー)上院議員の支持も得られる可能性がある。同議員は巨大テック企業を標的にした反トラスト改革に今週になって関心を示した。ホーリー氏も上院の反トラスト小委員会のメンバーである。

クロブシャー氏は、Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)といった大型テック企業の解体までは求めていないが、それはここ数年Elizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)上院議員とBernie Sanders(バーニー・サンダース)上院議員の支持を得ている行動だ。大型テック企業をターゲットにした複数州による訴訟の最中、FTCはFacebookに対する独自の訴訟を2020年末に提起し、同社の分割を要求している。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

グーグルが給与差別の申し立ての決着で社員らに対し2.7億円近くを支払う

Google(グーグル)は、その給与や雇用に見られる体質的な差別への訴えに関する米国労働省との決定事項の一環として、5500名あまりの現社員およびこれまでの求職応募者に対し259万ドル(約2億7000万円)の支払いを行うことで合意に達した。またGoogleは、向こう5年間、1年につき25万ドル(約2600万円)の公正給与調整予備金(給与の不平等を調整するお金)を留保することでも合意した。これでGoogleの財務的負担額は380万ドル(約4億円)となるが、親会社Alphabetの時価総額が1兆2800億ドル(約134兆4000億円)の同社にとっては大海の一滴でしかない。

この決定は、労働省のOffice of Federal Contract Compliance Programs(OFCCP)が、マウンテンビューにあるGoogleのオフィスおよびワシントン州シアトルとカークランドで、女性のソフトウェアエンジニアに対する給与の格差を見つけたことによる。OFCCPの調査は、2014年9月1日から2017年8月31までをカバーしている。

決定の一環としてGoogleは、同社2565名の女性ソフトウェアエンジニアに、遡及賃金と利息で135万ドル(約1億4000万円)、1人あたり527.5ドル(約5万5400円)を払うことで合意した。また、雇用されなかった1757名の女性と1219名のアジア系求職者には、計125万ドル(約1億3000万円)、1人あたり414ドル(約4万3500円)が支払われる。

最後にGoogleは、Googleのマウンテンビュー、カークランド、シアトル、およびニューヨークのオフィスの米国人エンジニアのために、今後5年間で総額125万ドルの公平給与調整金を留保する。

Googleの広報担当者はTechCrunch宛の声明で次のように述べている。「給与は、その人が誰であるかによってではなく、その人が行った仕事に応じて支払われるべきであり、また雇用と報酬のプロセスを公正不偏にするために重点的投資をすべきだと信じている。これまでの8年間、私たちは毎年、給与の公平性に関する分析を行って、乖離齟齬の発見と対応に努めてきた。2014年から2017年にかけての監査に由来する申し出に関してこの問題が解決し、また私たちが多様性と公平性への誠意ある関与を維持し、弊社の人々が最良の仕事ができるよう、そのサポートを日々続けていることを喜んでいる」。

また、上記OFCCPの地域部長であるJane Suhr(ジェーン・サー)氏はリリースで次のように述べている。「米労働省は、議論の決着と初期的解決への到達に対するGoogleの積極性を歓迎する。テクノロジー産業はこの地域の最大、最速で成長している雇用者であり続ける。その労働者の複雑性や規模を問わず、私たちは今後も平等機会法の執行に精力的に臨み、労働者における無差別と公平性の確立に努めていきたい」。

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(文:Megan Rose Dickey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

インドが21/22年度予算案でギグワーカーへの社会保障給付を提案、最低賃金の保証も

インドのNirmala Sitharaman(ニルマラ・シタラマン)財務相は現地時間2月1日、同国が新型コロナウイルスの流行で深刻な打撃を受けた経済を復活させようとする中、予算演説でスタートアップのエコシステムとデジタルサービスの成長を加速させるための援助をいくつか提案した。

シタラマン氏は、政府はデジタル決済の採用を奨励するために1500クロール・インドルピー(2億5,530万ドル、約268億円)を確保していると述べた。市場のリーダーであるPaytm、Google Pay、PhonePeは、インドの人々のデジタル支払いを促進するために激しい戦いを演じているが、それと同時にこれらの企業は、中核となる決済サービスの実行可能なビジネスモデルを見つけるのに苦労している

多くの企業は、加盟店に対し取引手数料を請求することを防ぐために、加盟店割引率(merchant discount rate、MDR)を廃止するよう政府に求めていた(インドの企業は、支払いを処理する際に個人には課金しないことを合意しているが、加盟店に対しては課金できるようにする必要があると合意している)。この点についての発表はなかった。

今回の予算案はまた、ギグワーカーやその他のプラットフォーム・ワーカーに社会保障給付金を拡大適用し、これらの労働者の就職を支援するウェブサイトを立ち上げることも提案している、とシタラマン財務相は述べた。これらの労働者は最低賃金で保護されると、同氏は演説の中で述べている。さらに、女性はすべてのカテゴリーで働くことが許され、夜勤中も十分な保護を受けながら働くことができる、とも。「同時に、登録・免許の一元化、オンラインでの申告により、事業主のコンプライアンス負担も軽減されます」。

予算案の中で、シタラマン氏はまた、スタートアップの従業員が株式を売却する際に適用される、いくつかの減税措置を提案した。

「スタートアップは、その形成期には、一般的に従業員株式所有制度(Employee Stock Option Plan、ESOP)を利用して、優秀な従業員を惹きつけ、維持します。ESOPは、これらの従業員の報酬の重要な構成要素となっています。現在ESOPは、行使時に特典として課税されています。これは、すぐに株式を売却せず、長期的に保有し続ける従業員にとっては、キャッシュフローの問題につながります。スタートアップ企業のエコシステムを後押しするために、そして従業員の税金の負担を軽減するために、納税義務を5年間延期するか、または退社するか、株式を売却するかのいずれか早い方まで課税を延期することを提案します」と同氏は述べた。

同国はまた、中小企業の定義を拡大し、資本金の基準値を現行の50ラッハ・インドルピー(約68750ドル、約721万円)から2クロール・インドルピー(約275000ドル、約2885万円)に引き上げることを提案している。これにより、より多くの企業が中小企業の傘の下に入り、税制上の優遇措置などの関連する恩恵を受けられるようになる。

「また、初期の数年間は、スタートアップ企業がこの控除を利用するのに十分な利益を出していない可能性があるという事実を考慮して、控除対象期間を従来の7年から10年に延長することを提案します」とシタラマン氏は言った。

予算案はまた、一人会社の設立のためのインセンティブを提案し、シタラマン氏は、企業が「払込資本金と売上高に制限されることなく成長し、いつでも他のタイプの会社への転換することを可能にし、インド国民が一人会社を設立するための居住制限を182日から120日に削減し、また、非居住者の国民がインドで一人会社を法人化することを可能にする」動きを支援すると述べた。

業界の幹部たちはここ数週間、インドが昨年から外国企業に課し始めたデジタルサービス税に対処することも期待していると述べていた。これは新予算では取り上げられなかった。

シタラマン氏はまた、インド政府は国内製造業を強化し、エレクトロニクスのバリューチェーンへの大規模な投資を誘致することを目的とした計画を策定する予定だと述べた。同氏は「ここでは、携帯電話、エレクトロニクス、半導体パッケージングの製造を促進することに焦点を当てた計画を提案します。詳細は後日発表されます」と述べている。2021/22年度予算案の完全な要約はこちらで読める。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nakazato)

中国のSNSで盛んな「自媒体」セルフメディアの独立系ニュースを当局が新ルールで抑制

中国では厳しいメディア規制が行われてきた歴史があるにもかかわらず、Tencent(テンセント)のWeChat(ウィーチャット、微信)やByteDance(バイトダンス)のToutiao(トウティァオ、今日頭条)のようなソーシャルメディアプラットフォームでは、組織化されていない個人メディアの産業が栄えている。これらのセルフパブリッシャーは、中国のネット用語では「We Media」(中国語では「自媒体」)と呼ばれ、市民ジャーナリストやコンテンツクリエイターの独立した力を表している。

一方で、セルフメディアの発信者は常に投稿内容に注意を払わなければならず、内容を違法または不適切と判断する検閲者のターゲットになる危険性がある。

彼らが扱うトピックは、ファッションや食べ物から、政治や時事問題まで多岐にわたる。自媒体の主要な行き先であるWeChatは、昨年7月に2000万人の「公開アカウント」を保有していることを示唆したが、これは個人がコンテンツを発信し、企業の場合は顧客にリーチするためのプラットフォームだ。2020年には3億6000万人のユーザーがWeChatの公開アカウントで発信された記事を読んだと、WeChat創業者のAllen Zhang(アレン・チャン)氏は最近明らかにした

中国のTwitterに相当するSina Weibo(新浪微博)は、長い間、市民ジャーナリストを引き付けてきた。新型コロナウィルス(COVID-19)の初期には何百万人もの中国のユーザーが、武漢での経験を記録した作家のFang Fang(方方)のようなアカウントから発信される事実を求めてWeiboに殺到した。

そして今、中国のインターネット規制の新たな展開が、中国の数千万人の自媒体、セルフパブリッシャーをさらに制限しようとしている。

中国のインターネット監視機関である中国サイバースペース管理局(Cyberspace Administration of China、CAC)が現地時間1月22日に発表した新規則(英文翻訳はこちら)によると、「国民にオンラインニュースサービスを提供する公開アカウントは、インターネットニュース情報許可証およびその他の関連メディアの認定を取得しなければならない」とのこと。

その後、WeChat、Baidu、Sohuなどのオンライン情報サービスは、新ルールの告知を開始した。「あなたのアカウントが関連する認定を欠いている場合は、政治、経済、軍事、外交情勢、その他の主要な時事問題に関するニュースの編集、報道、公表、コメントをしないように推奨いたします」とWeChatから送られた通知にはある

「WeChat公開アカウントプラットフォームは、ユーザーのみなさんに地球に優しく健全なオンライン環境を提供することを常に約束します」 とそのメッセージは付け加えている。

ニュース機関認定の要件は、ジャーナリストとしての役割を担ってきた独立系のソーシャルメディアパブリッシャー、特に政治を取材しているパブリッシャーにとっては弔いの鐘となるだろう。「公式の報道機関や、他に類を見ないリソースと背景を持つ組織でない限り、簡単に取得できるものではない」と、あるWeChatアカウントの自媒体パブリッシャーはTechCrunchに語った。

米中関係などのセンシティブな話題を避けるのは常に当たり前だが、プラットフォームごとに越えてはならない一線は微妙に異なると、金融に特化した自媒体パブリッシャーは語った。「時には自分で試してみる必要があるでしょうね」と、その人物はいう。

中国のニュース規制はインターネットの隅々にまで及んでおり、マイクロブログやライブストリーミングなどの新しいメディアの発展のスピードに、規制当局は常に追いつこうとしている。

2017年から2018年にかけて、サイバースペース管理局は合計761件の「インターネットニュースサービス」に報道許可を与えており、これらは合わせて、743のウェブサイト、563のアプリ、119のフォーラム、23のブログ、3つのマイクロブログ、2285の公開アカウント、1つのインスタントメッセンジャー、13のライブストリーミングサービスを運営していた。言い換えれば、これらのカテゴリーのインターネットサービスでは、ニュースライセンスを持たずに運営されている場合、ハードニュースは禁止ということになる。WeChatやWeiboのようなプラットフォーム運営者がどのようにこのルールを実施していくのか、注目されるところだ。

オンライン情報の監視を強化することは、誤報との戦いという面ではメリットがあるかもしれない。新規則はまた、フェイクニュースを根絶するために、クリエイターのブラックリストのようなメカニズムを設定することを事業者に求めている。しかし、この規制は全体的に中国の表現の自由に悪影響を及ぼす可能性があると、国際ジャーナリスト連盟(International Federation of Journalists、IFJ)は警告している

「曖昧に定義された新規則は、中国で『セルフメディア』が大流行し、ジャーナリストがそうしたプラットフォームを利用して、所属組織によって出版を止められた著作物を発表し始めていた中で施行されました」と、IFJは中央ヨーロッパ時間1月28日に発表した声明で述べている。

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(文:Rita Liao、翻訳:Nakazato)

Human Capital:Alpha Globalが全世界のAlphabet社員の労働組合を結成

Human Capital(ヒューマン・キャピタル)では、ここ1週間に起きたテック業界における多様性、平等、インクルージョンなどの労働関連ニュースをお送りする。

Alphabetの全世界の社員が労働組合、Alpha Globalを結成

Alpha Global(アルファ・グローバル)は先週、全世界のAlphabet(アルファベット)社員が集う労働組合を結成したことを発表した。米国内のAlphabet Workers Unionのメンバーも含まれる。The Vergeが報じた。Alpha Globalは労働組合の国際組織であるUNI Global Union(ユニ・グローバル・ユニオン)の関連団体として、共通の労働者戦略を策定し同志たる労働者の支援などを行う。

「Alphabetだけでも私たちの民主主義と社会のために幅広い可能性をもっています」とAlpha Globalが声明で語った。「だからこそ私たちは団結してAlphabet事業所の全労働者の基本的人権を要求するのです。組合の結成と参加および集団交渉の権利もその一部です」。

画像クレジット:Apple

Apple Watchがブラック・ユニティ・コレクションを発売

黒人歴史月間を祝福して、Apple(アップル)はApple WatchのBlack Unity Collectionを発売した

この時計には何か違和感を覚えるが、それが何なのか私にはよくわからない。たぶん黒人カルチャーのコモディティ化がそうなのだろう。

チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブがJustice Acceleratorファンドを設立

The Chan Zuckerberg Initiative(チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブ)は新たな刑事司法改革団体を作った、とRecodeが先週報じている

今後5年間にわたって3億5000万ドル(約367億2000万円)を新ファンドに投じる予定の同団体は、犯罪司法擁護に焦点を当てる。イニシアチブの犯罪司法責任者のAna Zamora(アナ・サモラ)氏がファンドを指揮する。

全国労働関係委員会に新たな法務顧問代理が就任

バイデン大統領は、全国労働関係委員会の法務顧問代理にPeter Sung Ohr(ピーター・ソン・オーア)氏を指名した。ViceのLauren Kaori Gurley(ローレン・カオリ・ガーリー)氏の記事によると、オーア氏の指名はギグワーカーや労働者の権利全般にとって大いに期待できるという。

ServiceNowが人種公平性ファンドを設立

エンタープライズソフトウェア会社のServiceNow(サービスナウ)は、1億ドル(約105億円)を用意して、「より持続可能な財産形成を推進するために、全米10カ所の黒人コミュニティの住宅保有、起業、および地域活性化のための資金援助」を行うことを目的とする人種公平性ファンドを設立したとプレスリリースで発表した

その仕組みは次のとおりだ。

ServiceNow Racial Equity Fund(サービスナウ・人種公平性ファンド)は小規模なコミュニティ融資を購入することで、地元銀行の融資能力を拡大する。資産、投資の利用を増やすことで、黒人コミュニティにおける持ち家や起業を促進し、雇用創出とより広い経済成長をもたらす。この種の投資はServiceNowにとって初めてであり、当初はボストン、シカゴ、ダラス、ヒューストン、ニューヨーク、オーランド、サンディエゴ、サンフランシスコ・ベイエリア、シアトルおよびワシントンD.C.への投資に焦点を当てる。いずれもServiceNowの事業が運営され、コミュニティにおける存在感のある都市だ。

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画像クレジット:Artur Widak/NurPhoto / Getty Images

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(文:Megan Rose Dickey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

UCLAの研究者が大量投獄と警察に関するデジタルアーカイブを構築するために3.8億円の助成金を獲得

UCLAの研究者たちが、警察の活動や大量投獄(現在、米国は世界的に見ても際立って多い投獄者を抱えている)に関連する膨大な資料を収集し、文脈とともにデジタルアーカイブとして保存するために、365万ドル(約3億8000万円)の助成金を獲得した。それは歴史家や人類学者の役に立つものになるだろう、だがもっと根本的な意義は、多くの人が忘れてしまうような時代を、それが徹底的に文書化するということだ。

この「Archiving the Age of Mass incarceration(大量投獄時代をアーカイブする)」プロジェクトを率いるのは、UCLAのアフリカンアメリカン研究所であるBunche Center(バンチ・センター)のディレクターであり、ロサンゼルスにおける投獄の人的コストの文書化プロジェクトであるMillion Dollar Hoods(ミリオン・ダラー・フード)の創始者でもあるKelly Lytle Hernandez(ケリー・ライトル・ヘルナンデス)氏だ。助成金はAndrew W. Mellon(アンドリュー・W・メロン)財団から提供される。

ライトル・ヘルナンデス氏は、私に対して、波乱万丈だったが変革の可能性を見せた2020年を引き合いに出しながら「私たちは、米国の歴史の転換点にいるのでしょう。おそらく新しいものを構築している最中なのです」と語った。「もし私たちが何が起きたのかの記録を本気で残していきたいとするのなら、私たちがするべきことは、大量投獄の影響を受けた人たちの記録、記憶、体験そして可能ならばそのままでは破棄されてしまう国家の記録を残しておくことなのです」。

学生たちの多くがもうすぐ卒業します。そのうちの1人はハーバードのPhD課程に進学します。他の学生もロースクールに進学して研究員を続けます。全員が何かをなしとげてくれるでしょう。私たちは単に投獄の記録を行っているのではありません。リーダーを育成しているのです。

このコレクションの核となるのは、情報一般開示とコミュニケーションに関する2019年の合意の一部として、LAPD(ロサンゼルス市警察)がライトル・ヘルナンデス氏に開示した一連の文書である (合意が行われたのはヘルナンデス氏がMacArthur奨学金を得た直後だ)。彼女によれば、それは1980年代から2000年代初頭までの「麻薬戦争」、移民の取り締まり、その他多くのトピックを詳述した177箱分の紙の記録だという。また当局との合意に基づき、さらに多くの文書が提供される予定だ。

彼女がいうには、こうした公文書を、反対側からの文書や証言に対置することで「釣り合いをとる」ことがプロジェクトの目的だという。

「不釣り合いな罪で投獄されたり逮捕されたりしている人たちがいます。 私たちはしばしば立ち退きによって記録を失うことがあります、記録を保管していた場所の家賃を払うことができず、差し押さえられてしまう場合もあります。そして逮捕されたときにそうしたものが差し押さえられてしまうことなどもあります」と彼女は説明する。「何世代にもわたる損害を元に戻す必要があるとすれば、その損害はもともとどこで起こったのでしょうか?それは誰に起こったのでしょうか?私はこのアーカイブプロジェクトをそうした解明作業の一部だと思っています」。

今後数年間、ライトル・ヘルナンデス氏は、紙文書のスキャンや索引づけといった従来型の作業に加えて地域社会を訪問し、保釈金の領収書(司法制度との接触を記録した唯一の品かもしれない)のような収監関係のペラ紙ものや、個人的な話やメディアを収集するといった取り組みを、アーカイブの構築に向けて率いていく予定だ。

警察や州の機関から記録を取得することは困難であり、時には法的または政治的な緊張をともなうプロセスだ。できるだけ多くの情報を、できるだけ多くの情報源から、できるだけ迅速に入手することが重要だと彼女はいう。これまでの人種差別解消の歴史における大きな転換点は、怠慢もしくは故意の両方の理由から、十分に文書化されていない。

「もし国家が、口述歴史家やその学生の一群を送り出して、そうした記録を収集保存していたとしたら?想像してみて下さい。もし奴隷制を経験した人々と話をできていたとしたら、私たちは奴隷制とその犠牲について何を知ることができたのか、そしてそれがこの国を作る上で何を意味していたのかということを。そして過去の記録と取り組み、そこから離れて行くため役に立つ、どのようなアーカイブが残され得たのかということを想像してほしいのです」とライトル・ヘルナンデス氏は語る。「でも、私たちが十分な仕事をしていなかったために、奴隷制度の多くの記録は忘れ去られてしまいました。ネイティブアメリカンの強制移住問題、戦時中の抑留問題、移民問題も同じことです」。

現在、LAだけではなく全国各地に大量投獄の時代に対して行えることがあるのだと、彼女は注意深く指摘した。それだけではなく、たとえば公民権運動の時には不可能だったやり方で、現代の技術を駆使することができるのだ。

彼女はMillion Dollar Hoodでの経験から、偽のデータによって裏打ちされて来た人種差別主義者や階級主義者の政策によって、歴史的に差別されたり標的にされたりしてきた地域社会の中に、状況を逆転させることに対する真剣な関心があることを知っている。

「私たちが会議を開くと、データ分析やデータサイエンスを学びたい黒色や褐色の肌の学生たちが、部屋に詰めかけて廊下にまであふれているのです」と彼女はいう。「そのドアを開放することもこのプロジェクトの一部です。最も影響を受けた人をその会議室に連れてくると、学生たちのデータの見方が変わり、異なるストーリーを見るようになってくるのです」。

アーカイブは完全に公開される予定だが、どのような文書が含まれるのか、どのように分類され、記述されるのかなどに関する正確な範囲はまだ検討中だ。その詳細がどうであれ、このアーカイブは、ライトル・ヘルナンデス氏が期待する変化が始まるにつれて、今後数十年にわたって学生、研究者、そして好奇心旺盛な一般の人々にとってかけがえのない貴重なものとなることは間違いないだろう。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
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画像クレジット:Joseph C. Justice Jr.

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(文:Devin Coldewey、翻訳:sako)

Facebookの監督委員会は4件の削除を無効と決定、コミュニティ基準に対し9項目を勧告

Facebook(フェイスブック)が自主的に設置した監督委員会(FOB)は、投稿の削除などで争われていたFacebookによるモデレーションの審査を始めてからほぼ2カ月後に最初のケースについての決定を公表した。

Facebookが投稿の削除などのモデレーションを行った場合、抗議を呼ぶことが多い。FOB(Facebook監督委員会)はノーベル平和賞受賞者を含む世界の有識者20人で構成され、コンテンツの削除が引き起こす抗議の一部を処理するための評価期間だ。成立までに長い時間がかかったが、モデレーションにともなう悪影響からFacebook自身を守るための危機管理努力の一部でもある。FOBは2020年10月に不服申立ての受付を開始した 。そしてすぐに「結果を出すのが遅い」という批判に直面することとなった。

FOBは米国時間1月28日に最初の決定を発表した。これによると、Facebookが以前に行った投稿削除決定のうち1つだけを維持し、他の4つの決定を無効とした。

FOBによればこの決定は問題となった国・地域から少なくとも1名のメンバーが含まれる男女5名の委員会によって行われた。決定は監督委員会の全員に回付されパネルの所見が検討され、その後、全委員の過半数の承認を得て正式決定となった。

Facebookのモデレーションが維持されたのは「ヘイトスピーチに関するコミュニティ基準」に該当すると認められて「тазики(タジク)」というロシア語を使用した投稿が削除されたケース(2020-003-FB-UA) だ。投稿者はアルメニアと比べてアゼルバイジャンには歴史がないと主張するために「タジク」と呼んだという。

他の4つのケースは「ヘイトスピーチ」「アダルトヌード」「危険な個人および組織」「暴力と扇動」に関するポリシーに関連するものだったが、委員会はFaceookの投稿削除決定4件を覆した(それぞれのケースの概要は、同社のウェブサイトで読むことができる)

これらの決定はFacebookの特定のポリシーに関連したものだが、FOBは全体的ポリシーに関して9項目の勧告を出している。

勧告は以下の通りだ(強調はTechCrunch)。

医療上の誤った情報に関する新しいコミュニティ基準を作成し、既存の基準も統合して明確化する。これには「誤情報(misinformation)」などの重要用語の定義が含まれるべきだ。

「健康上の誤情報」のモデレーションにあたっては、投稿内容がFacebookが設定する「差し迫った身体的危険」のレベルに達していない場合、強制が少ない手段を採用する

健康に関する誤報の拡散防止について透明性を高める。新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックに関してコミュニティ基準がどのように適用されてきたか透明性報告書を公表することを含めて透明性を高める必要がある。この勧告は、監督委員会に寄せられたパブリックコメントに基づいている。

ユーザーに対してFacebookのコミュニティ基準が適用された場合、その理由ならびに適用されたのがどの基準であるかが常に当該ユーザーに対し通知されるようにする(FOBは、審査したケース2件に関連して勧告を出しおり、「コミュニティ基準の適用に関して透明性を欠いたことにより『Facebookはユーザーの見解に反対であるために投稿を削除した』という誤った非難が生じた」と指摘している)。

「危険な個人および組織」のコミュニティ基準の重要用語がどのような場合に適用されるのか例を挙げて説明する必要がある。「賞賛する」「支援する」「代表する」などの用語の意味を明確化すべきだ。またコミュニティ基準では、「危険な個人や組織」に言及した場合、ユーザーが意図を明確にするための方法についてさらに詳しいアドバイスを提供すべきだ。

「危険な個人および組織」のコミュニティ基準では「危険」と指定された組織および個人のリストを公開すべきだ。最低限でも実例を挙げたリストの提供が必要だ

コンテンツのモデレートがアルゴリズムによって自動化されている場合、その事実をユーザーに知らせ、またコンピューターによる決定に不満があるユーザーがそれを人間に訴えることができるようにする。また画像の自動検出フィルターも改善される必要がある。たとえば乳がんの初期症状に対する啓発目的の投稿が誤って「アダルトヌーディティ」フラグを立てられないようにすべきだ。Facebookはまたアルゴリズムによる自動モデレーションの実行に関する透明性報告を改善すべきだ。

Instagramのコミュニティガイドラインを改正する必要がある。乳がんへの意識を高める目的であれば女性の乳首を表示することができることを明記する。またInstagramのコミュニティガイドラインとFacebookのコミュニティ基準との間に矛盾がある場合はFacebookの基準が優先されることを明確にする。

Facebookの削除決定を覆したことに関連してFOBは「7日以内にFacebookがコンテンツの削除された部分を復元することを期待している」とした。

さらに、FOBは「Facebookは当委員会が審査したケースと同一文脈のコンテンツの当否も検討することになる」と述べている。またFacebookに対して「勧告の各項目に対し30日以内に正式に回答しなければならない」と期限を示した。

Facebookが勧告されたポリシー再調整に対してどういう態度をとるか、特に透明性を高めるための諸勧告(AIが自動的にコンテンツを削除した場合にユーザーに通知するという勧告など)関する部分に対する反応は興味深い。Facebookが自主規制機関から勧告に完全に従うか否かが注目される。

Facebookは監督委員会の憲章を決定しメンバーを選定したが、Facebookから「独立している」という点を強調してきた。もちろんFOBの運営経費はFacebookから出ているが、特にこのために設立された財団を通すかたちになっている。

また委員会は「審査決定はFacebookを拘束する」としているが、コミュニティ基準の改善はあくまで勧告であってFacebookを拘束するものではない。

また今回のFOBの審査はFacebookによる投稿削除に絞られている。Facebookがプラットフォーム上で表示する内容選択の当否について委員会は取り上げていない。

影響する要素が多すぎることもあり、FacebookがFacebook監督委員会にどれだけの影響力をおよぼせるのか数値化することは不可能だろう。Facebookが上で紹介した勧告をすべて受け入れるかどうか不明だが、最もありそうなのは「極めて複雑な領域へのFOBの思慮深い 提言を歓迎し将来の改善に当たって十分に考慮していく」といった広報コメントを出すことだ。なんといっても監督委員会を作り、資金を出しているのは他ならぬFacebook自身だ。

つまり、FOBは最高裁というわけではない。

今後数週間でFOBは非常に大きな注目を集めることになるだろう。つまり2021年1月初めにFacebookはDonald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領が「ワシントンで暴動を扇動した」と認定してFacebookアカウントを無期限に停止した。FOBはこの件を審査することになる。

監督委員会はこのケースについてのパブリックコメントを「近日中に」受付開始する予定だと述べている。委員会は声明にこう書いている。

米国をはじめ世界中で起きた最近の出来事は、インターネットサービス企業によるモデレーションが人権や表現の自由に与える影響が非常に大きいことを浮き彫りにした。投稿内容に対するモデレーションにおける現在の手法とその諸問題が明らかになった。このためFacebookのような影響力ある企業による決定に対する独立した監督の必要性に注目が高まっている。

とはいえ「独立委員会」は、組織を創設したFacebookから完全に独立しているというわけにはいかない。

【更新】FOBの決定に対する純粋に独立した回答として、Facebookによって選ばれていないメンバーで構成される非公式の「Real Facebook Oversight Board」は、判決は「深い矛盾」で両極端に分かれており、「人権の厄介な前例」を設定していると、厳しい評価を下した。

「Oversight Boardの裁定は、Facebookが隠していた最悪の秘密、つまりモデレーション戦略に明確な基準も一貫した基準もないことを裏付けている」とReal Facebook Oversight Boardは付け加えている。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:滑川海彦@Facebook

米司法省、2016年に「テキスト投票」誤情報を流した親トランプ派のTwitter発信者を逮捕

かつて影響力のあった親トランプ派アカウントの背後にいた男が、2016年にTwitter(ツイッター)で投票に関する偽情報を広めた選挙妨害の容疑で告訴されている。

米連邦検察官は、Twitterで「Ricky Vaughn(リッキー・ヴォーン)」という名前を使っていたDouglass Mackey(ダグラス・マッキー)容疑者が、人々にテキストやソーシャルメディアを通して投票するよう促し、騙すことにより事実上それらの人々の票を棄てさせたと主張している。

米司法省によると、4900にのぼる固有の電話番号が、マッキー容疑者が宣伝した電話番号に「テキストで投票する(vote by text)」ためにテキストメッセージを送ったという。BuzzFeedニュースは当時、テキストによる投票をうたう詐欺を報じ、その画像の多くが、ヒラリー・クリントン氏の大統領選挙運動の公式グラフィックに似せてフォトショップで加工されたものであることを指摘した

これらの画像のいくつかは、特に黒人とスペイン語を話すクリントン支持者をターゲットにしているように見えた。その動機は、白人至上主義と反ユダヤ主義のコンテンツを投稿していた同アカウントの実績と一致している。このアカウントは2016年11月に停止された

当時、この謎のアカウントはすぐに政治的な偽情報のエコシステムの中で注目を集めた。ハフポストは、このアカウントがロビイストの息子であるマッキー容疑者によって運営されていたことを2年後に明らかにした。

「極右のプロパガンダと保守的メッセージをTwitter上でブレンドする彼の才能は、彼を共和党の有権者への過激な見解の重要な発信者とし、トランプ氏の威光に便乗するオルタナ右翼の白人至上主義運動の中心人物のひとりにのし上げた」とハフポストのLuke O’Brien(ルーク・オブライエン)記者は当時報じている。

ウェストパームビーチに住むマッキー容疑者は、フロリダ州で米国時間1月27日に勾留された。

「市民の投票権をだまし取るための嘘や誤情報が公共の場に存在する余地はありません」とニューヨーク市東部地区のSeth D. DuCharme(セス・D・デュシャルム)連邦検事代行は述べた。

「マッキー容疑者の逮捕をもって、このように民主主義のプロセスを踏みにじる者は、インターネットの匿名性を盾に罪を逃れられないということを、我々は警告します」。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:政治 Twitter

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nakazato)

テック業界でのダイバーシティの向上には妥協点を見出すアプローチが必要

著者紹介:

Michelle Ferguson(ミッチェル・ファーガソン)氏はDream Corps(ドリームコープス)の国民共同体関係担当ディレクター。

Kasheef Wyzard(カシーフ・ウィザード)氏は、Dream Corps TECHの全国プログラミングイニシアチブ担当ディレクター。 

ーーー

パンデミックが再び米国を襲っている。昨年の状況から判断すれば、今回も全国的に大きな被害をもたらすだろう。とりわけ、有色人種コミュニティが受ける被害は今回も甚大なものになるだろう。

有色人種の感染者と死者は白人を上回り、有色人種が運営するビジネスとその従業員が受ける経済的打撃も白人経営企業に比べて大きなものになるだろう。

しかし、良いニュースもある。妥協点と具体的な解決策を見出そうとする動きもここへきて加速している。つまり、現在の泥沼的状況から脱する道筋が見えてきたのだ。

現状を見てみよう。パンデミックが長引くほど、現在の傾向に拍車がかかるだろう。新型コロナウイルス感染症が拡大する前から、オートメーションと先進のコンピューター技術は我々の働き方を変え、暮らしを弱体化させていた。2030年までには、テクノロジーとオートメーションは現存する何十万という仕事を絶滅の危機に追い込むだろう。

有色人種たちの場合、状況はもっと厳しい。オートメーションの対象となる職種では有色人種の割合が高いため、McKinsey(マッケンジー)の調査によると、アフリカ系アメリカ人の23.1%、ヒスパニック系アメリカ人の25.1%が、今後10年で自分たちの仕事が消滅したり大転換を遂げたりするのを目の当たりにすることになるという。パンデミックの前から見通しは暗かったのだ。

こうした変化によって、新しいハイテク系の仕事が生み出されるのだろうか。上記の有色人種たちは未来の経済環境で再教育を受け、新しいツールを習得して、仕事を見つけることができるのだろうか。

実際には、それはかなり難しい。2019年の時点で、オンラインのコーディングブートキャンプ(短期集中プログラマー養成サービス)の平均受講料は1人あたり14623ドル(約151万7501円)と高額だ。ローンや分割払い、所得分配契約(卒業後に一定期間受講料が給与から天引きされる)を利用したとしても、今の仕事が消えてしまう多くの人たちにとって手の届かない額だ。

パンデミックによって状況はさらに悪化している。低所得世帯の約80%が3か月暮らせるだけの貯蓄がなく、米国人の3分の1が今月の支払いにも窮することになるだろう。

良いニュースもなくはない。資金が豊富で高い利益を出している米国の大手企業は多様性のある人材を雇用し維持するのに苦戦している。良いニュースとは、そうした大手企業がそのことを自覚しているという点だ。彼らは、レプリゼンテーションの低い(過小評価された)コミュティに隠れている天才的な人材なくしては競争に勝ち残れないこと、そしてそうした人材の確保が現時点ではうまくいっていないことを認識している。

多くの企業がIT部門の1人の人材の採用活動に平均2万ドル(約207万円)を費やす用意があるが、多様性のあるコミュニティからIT部門の人材を雇用するにはその3倍の費用がかかる。そして採用後も、定着率という大きな問題が待ち受けている。2016年以来、大手テック企業における黒人およびラテン系社員の定着率は7%から5%に低下している。大手テック企業では多様性のある人材の入退社が日常茶飯事となっている。

言い換えると、多くの有能でクリエイティブな人材がハイテク職を求めており、その一方で、革新的な大手企業の多くがそうした人材を雇用し維持することに躍起になっているということだ。

このように相思相愛の状態から妥協点を見出すことができる。その1つのモデルが、今月開催されたドリームコープスのTECH Town Hallだ。TECH Town Hallでは、レプリゼンテーションの低いコミュニティ出身の活動家や教育者が業界のリーダーたちとパネルディスカッションを行う。彼らは互いに、単に質問や意見をぶつけ合うのではなく、双方が直面している問題と双方が協力する方法について話すために集まる。

たとえば、業界と教育界のリーダーが、奨学金とトレーニングプログラムに資金を出して、その後の仕事を保証することもできる。また、このパンデミックで子どもたちが学習の機会を奪われている最中、活動家とCEOたちは世界的なブロードバンドアクセス環境を推進して次世代のプログラマーに成功のチャンスを与えることができる。

企業はレプリゼンテーションの低いコミュニティに眠ったままの人材を採用することで、バイアスのあるアルゴリズムを排除し、多様性のあるグローバルな世界で競争を繰り広げ、パンデミック後に経済が変化する中、人々の暮らしを改善できる。

こうした妥協点を見出すアプローチを進めるには、成功のためにお互いが必要であることを双方が認識する必要がある。このアプローチは、そのほかの難題についても、必要な解決策を生む出すためのモデルになり得る。パンデミックの第二波が襲ってきていると同時に、妥協点を見出すことも緊急の課題となっている。どのように対応するかは我々次第だ。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:コラム

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(文:Michelle Ferguson、Kasheef Wyzard 翻訳:Dragonfly)

Facebook Newsが英国でサービスを開始、キュレーションニュースポータルを初めて国際市場へ展開

英国が、大手テック企業をどのように規制すべきかの準備を整える中、Facebook(フェイスブック)は、英国の一般市民にメディアを提示する際の役割や、同国のメディア業界との連携方法について、大きなステップアップをとろうとしている。

英国時間1月25日、Facebookが、専用キュレーションニュースポータルのFacebook News(フェイスブック・ニュース)を英国でローンチした。米国以外では初のこととなるが、米国版と同様にAndroidまたはiOSのアプリメニューからアクセスすることになる。

ポータルは、多数のローカルメディアや、Channel 4 News(チャンネル4ニュース)、Daily Mail Group(デイリー・メール)、DC Thomson(DCトムソン)、Financial Times(ファイナンシャル・タイムズ)、Sky News(スカイ・ニュース)、Telegraph Media Group(テレグラフ・メディア)などの全国メディアを含む形でローンチする。昨年の早い時期に発表されたパートナーリストには、The Economist(エコノミスト)、The Guardian(ガーディアン)、The Independent(インデペンデント)、 STV、そしてArchant(アーチャント)、Iliffe(イリフ)、JPI Media(JPIメディア)、 Midlands News Association(ミッドランド・ニュース・アソシエーション) 、Reach(リーチ)といったローカルニュースサイト、そしてGQ、Cosmopolitan(コスモポリタン)、Glamour(グラマー)、Vogue(ヴォーグ)その他の「ライフスタイル」タイトルが含まれていた。

これも米国版と同様に、ユーザーにはその日のキュレーショントップストーリーリスト、すでにユーザーがフォローしているニュースソースや興味のあるニュースソースに基くパーソナライズされたストーリーのリスト(まだ自分がフォローしていないソースからのものも含まれる)、スポーツ、エンターテイメント、健康、科学、技術のための専用ニュースセクションが提供される。ユーザーは、ニュースを読みたいときや隠したい場合を指示することで、アルゴリズムをより良く訓練することができる。

Facebookは、Newsに表示されるストーリーをキュレーションするために、Upday(アップデイ)というサービスと連携することを認めた。「このプロダクトが提供するのは、キュレーションされたトップストーリーと、アルゴリズムによって選ばれたパーソナライズされたリンクのミックスです」と広報担当者は述べている。 Upday は、ドイツの出版社 Axel Springer(アクセル・スプリンガー)とSamsung(サムスン)による共同事業のようだ。Samsungはその事業によるニュースサービスを、自社のスマートフォンの上でも提供している

FacebookとUpdayの間に取り交わされた財務条件がどのようなものであるかははっきりしない。だが伝えられるところでは、FacebookがNewsに出版社のコンテンツを配置するためにライセンスする額は合計数千万ポンド(数十億円)に及ぶということで、最大の出版社が契約によって得る額は、1年で数百万ポンド(数億円)にも及ぶという。こうした数字は、Facebookが世界的な広告収入で稼いでいる額(四半期ごとに数百億ドル(数兆円)に達する)には及ばないかもしれないが、苦境にあえぐ英国のメディア業界にとってはかなりの金額となる。

人びとは長い間、Facebookや他のソーシャルサイトのニュースフィードを使用してニュースを読みながら、友人やグループ、フォローしているページからの投稿を閲覧してきた。Facebook Newsが目指すのは、それを一歩進めて、その時々の最新ニュースを、モバイルアプリユーザーが、国内の何百もの出版物からのキュレーションリンクや注目ニュースを、一箇所で読むことができる場所として提供することだ。

ソーシャルメディアは、消費者にとっての主要なニュースソースであり続けているが、私たちが気付いているように、そうした目的のためには、非常に偏って欠陥のあるソースだ。

Facebookは、そうした文脈の中におけるFacebook Newsの意図は、ユーザーの興味に合わせた調整を行いながらも、個人のニュースフィードでたまたま出会う可能性のあるものを超えて、よりバランスのとれた専用ニュースミックスを人びとに提供することだと述べている。

Facebook Newsはまた、個人のニュースフィードに飽きてきた人たちのために、ビデオや、エンターテインメントコンテンツ、 メンタリングや就職活動、近隣型コミュニティリスティング、ピアツーピア販売といった多様化を進めてきたFacebookを、また別の形で助けることになるだろう。これからは、ユーザーがニュースを読むためにFacebookアプリを開いてくれるようになるのだ。

とはいえ、この機能の国際展開には長い時間がかかった。Facebook Newsの米国でのテスト運用が始まったのは1年以上前の2019年10月であり、全米のユーザーに展開されたのは昨年6月のことだった

米国版Facebook Newsが、どれ位の数のユーザーを集めているのかに関してはFacebookからのコメントは得られていない。ただ広報担当者によれば、それは「着実に増加している」とのことだ。

米国での最初の取り組みから今日の英国でのローンチまでに、なぜこのような長い期間が必要だったのかは明らかではないが、Facebookはこの市場で展開を行うためのライセンス契約の確保に加えて、さらに多くのことを行ってきた。

Facebookが欧州での規制当局の標的にされていることを考えると、出版社を「助ける」ためにデザインされているというメッセージが添えられた新しいニュースポータルの立ち上げは、新たな次元へと踏み込むものだ。規制当局は大規模なハイテク企業の社会的な影響を精査するための長期的な使命を負っている。英国の場合、その動きは、FacebookやGoogleのような企業が広告やメディアなどで果たす役割を再検討する、新しい「競争推進型」Digital Market Unit(デジタルマーケットユニット)の形を取りつつある。

こうした規制の動きが、どのようにFacebook Newsのようなサービスに影響するのか、あるいは収益や利用データの、ニュースパートナーとの共有にどのような影響を与えるのかは、まだわからない。

一方で、それはさらなるスケーリングのために猛スピードで進んでいる。Facebookは昨年、ブラジル、フランス、ドイツ、インドなどを含む、国際的なFacebook News拡大のための、長期的な計画を持っていることを認めている。最新のブログ記事では、Facebookの欧州ニュースパートナーシップディレクターのJesper Doub(ジェスパー・ダブ)氏が、Facebook Newsの次のローンチは、期日は未定であるものの、フランスとドイツであることを発表している。

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch
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(翻訳:sako)

Human Capital:Instacartが約2000人を解雇へ、GitHubの人事責任者が辞任

1週間の労働、多様性、インクルージョンに関する最新情報をお伝えするHuman Capitalへようこそ。先週は議会議事堂暴動の日にワシントンD.C.の社員にナチスに関する警告を発した社員を解雇したGitHubの公開謝罪で始まった。

その後Google(グーグル)は、AI倫理研究者であるMargaret Mitchell(マーガレット・ミッチェル)氏の会社情報アクセスを停止し、Timnit Gebru(ティムニット・ゲブル)博士に対する扱いを彷彿とさせると一部でささやかれた。一方、Instacart(インスタカート)はプラットフォームの改訂を行い、その結果雇用の喪失が発生した。

GitHubの人事責任者が辞任、会社は解雇したユダヤ系社員に復職を提示

GitHubは内部調査の結果、米国議会議事堂暴動の日にワシントンD.C.地区にナチスがいると同僚に警告を与えたユダヤ系社員を解雇したことについて「判断と手続きに重大な過失」があったことを認めた。

GitHub COO(最高執行責任者)のErica Breascia(エリカ・ブレシア)氏は公式ブログで、同社の人事責任者が事態の全責任を負って前日辞任したことを明らかにした。GitHubは退社した人物の名前を公表しなかったが、GitHubの人事部門の長がCarrie Olesen(キャリー・オレセン)氏であることは広く知られている。

GitHubは、「当該社員を退社させた決定」を覆し、そのこと代理人に伝えると語った。

「ご本人には公の場で、私たちが心よりお詫びしたい気持ちを伝えたく思います」とブレシア氏はブログに書いた。しかし、解雇された社員は以前私に、復職ではなく別のかたちの和解を望んでいると語っていた。

GoogleのAI倫理学者が取り調べを受ける

GoogleはAI倫理研究者であるマーガレット・ミッチェル氏が、ティムニット・ゲブル博士虐待の事例を見つけるために自動化スクリプトを使っていたことについて調査している、とAxiosが報じた。ゲブル氏は、自分はGoogleに解雇されたが会社は彼女が辞職したと主張していると語った。Axiosに向けた声明で、Googleはミッチェル氏のアカウントをロックしたと述べている。

当社のセキュリティシステムは、従業員の社内アカウントが認証問題のために危険に曝されていることを発見した場合、および機密データに関する自動化されたルールが発動された場合、自動的にアカウントをロックします。今般の件で、当社システムは昨日、あるアカウントが数千件のファイルを不当に持ち出し複数の外部アカウントと共有したことを検知しました。本日これを当事者に説明しました。

最近結成されたAlphabet Workers Union(AWU、アルファベット労働組合)は、ミッチェル氏のアカウント停止を憂慮する声明を発表した。

「会社の調査結果に関わらず、本組織のリーダーに対する現在進行中の措置は、GoogleのAIおよびビジネス慣行における倫理に対する姿勢に疑問を投げかけるものです。倫理AIチームのメンバーの多くはAWUのメンバーであり、当組合は彼らの職務の重要性を認識し、彼らのために連帯して立ち上がります」。

Googleのサンダー・ピチャイ氏がHBCUのリーダーらと面会

HBCU(歴史的黒人大学)の代表者5名以上が、Google CEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏および多様化最高責任者のMelonie Parker(メロニー・パーカー)氏と2021年1月中に面会し、最近起きた同社における人種などの差別問題について意見を交わす。CNNによる。この会談の目的は、HBCUがGoogleと良好な関係をもち、同社がHBCUの学生や卒業生に対して良い環境を提供することだ。

Amazonがアンチ組合ウェブサイトを立ち上げ

Amazon(アマゾン)のアラバマ州倉庫労働者が組合結成の是非を問う投票を行うのに先立ち、同社はアンチ組合ウェブサイトを立ち上げた。Do It Without Duesと呼ばれるそのサイトは、社員が組合結成に賛成投票しないよう説得することを目的としている。

Instacartが2000人近くを解雇する計画

Instacartは2000近くの従業員を解雇する計画で、その中には2020年に労働組合を結成したKroger傘下のスーパーマーケットMariano’sの社員10名も含まれている。Viceが報じた。対象の従業員は店舗内の接客と商品梱包を担当している。

Viceの記事によると、影響を受ける社員10名が、イリノイ州ストーキーのUnited Food and Commercial Workers(全米商業食品労働組合)Local 1546を結成した。しかし、彼らはまだInstacartとの契約交渉をしていない、とViceは伝えている。Instacartは同組合に対して変更計画を通知した。Instacartは書簡で、Kroger傘下の店舗(ストーキーのMariano’sストアを含む)で販売員の雇用を中止する計画であり、時期は2021年の第1四半期および第2四半期だが、3月中旬以降であると述べている。

カテゴリー: パブリック / ダイバーシティ
タグ:GithubInstacartAmazonGoogle

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ボストン・グローブ紙が記事内の実名や顔写真の削除を求める人々の要望を検討する委員会設置

The Boston Globe(ボストン・グローブ)紙は、新聞の記事が自分の評判を害していると感じた人が、その記事の更新や匿名化を求めることができる新しいプログラムを開始している。これはEUの「忘れられる権利」を連想させるが、物議を醸す可能性は少ないだろう。同紙の編集部のみに関係することで、コンテンツにとらわれない検索エンジンとは違うからだ。

この「Fresh Start(フレッシュスタート)」と名づけられた取り組みは、レストランの悪いレビューや重大な犯罪の報道を削除するためのものではなく、むしろ、ごく一般的な犯罪事件記事のためのものだ。たとえば「誰々が無秩序な行為で逮捕され、逮捕に抵抗した」と100語程度で書かれた顔写真つきの記事などである。

もちろん、このような記事は、読者に地域の犯罪を知らせるという目的を果たしている。しかし、グローブ紙の編集者であるBrian McGrory(ブライアン・マクグローリー)氏は、次のように指摘する。

短くて比較的重要ではないグローブ紙の記事が、その対象となった一般の人々の未来に影響を与えることは、決して我々の意図ではありませんでした。

刑事司法制度を考えると、これは有色人種に過度な影響を与えているというのが私たちの感覚です。このプログラムの背後にある考え方は、それに対処を始めるというものです。

警察官の偏見による証言が、報道で遺伝的な偏見に変わる。これは深刻な問題であり、米国が何十年にもわたって取り組んできた問題だ。しかし、それはデジタル記録の性質によって悪化している。

応募書類を見る雇用主は、名前や他のいくつかの詳細を検索するだけで、顔写真付きの犯罪記録のような目立った情報を見つけることができる。また、メディアは低所得層の逮捕者についてよく取り上げるが、低所得層者が無罪判決や不起訴処分になったことはほとんど取り上げない。結局、誰もそんな記事をクリックしないからだ。そのため、報道は不完全なものになり、記事に書かれた人にとって潜在的に不利益な情報となることが多い。

検索エンジンのレベルでこれを修正しようとする欧州での試みは、反対と困難に直面している。検索エンジンはそれ自体が索引を作成する情報に関わっているわけではないし、検索エンジンが何を削除するべきか、または削除するべきではないかを決定する立場に置かれるべきではないという意見もあるからだ。さらに、1つの記事が複製されたり、何十回、何千回と引用されたり、インターネットアーカイブのようなサイトにバックアップされたりすることがあるので、タスクは複雑になるだろう。では、どうすればいいのだろうか?

同時に、出版物の削除や内容の変更を求めるよりも、検索エンジンの検索する可能性に制限を求める方が、言論の自由を脅かすものではないことは確かだ。議論は現在も続いている。

グローブ紙のアプローチは、Google(グーグル)に人の記録を「忘れさせる」ほど包括的なものではないが、ずっと単純で反対意見も受けにくい。グローブ紙はもちろん自身の記事に対する編集権を行使しており、問題は情報の一部を消し去ることではなく、そもそもそれがニュース価値のあるものであったかどうかを再検討することだ。

グローブ紙の新しい試みの発表の中で、デジタル版担当のJason Tuohey(ジェイソン・トーヘイ)編集長は次のように述べている。「フレッシュスタート委員会でそんな記事を変更したとしても、我々はなぜ、来週も同じような記事を載せるのか?」

グローブ紙は、記事の更新を求める人々からの嘆願を審査するために10人の委員会を設置した。「更新」であり、決して「削除」されることはない、とつけ加えておくことが重要だ。以前のCleveland Plain Dealer(クリーブランドのプレイン・ディーラー紙)による同様の取り組みでは、人々は裁判所の記録抹消命令を提示する必要があったが、グローブ紙の場合は法的なハードルはない。

フレッシュスタートのチームは、これが複雑なものになるだろうということはすぐに認めている。自動化された要求や詐欺的な要求が確実に押し寄せてくるだろうし、公人はとりあえず要求してみるだろう。出来事や身元を確認するために証拠が必要な場合、それが何であるかについては意見が分かれるだろう。そして最後に達成されるのは、1本の記事、あるいはその1行だけが、変更されることになるだろう。そしてそれは、おそらくインターネット上で散々複製されたりアーカイブされた後のことになる。しかし、これはスタートだ。

1つの新聞だけがこれをやっても大きな効果はないかもしれないが、プログラムが成功すれば、他の新聞社も注目するかもしれない。そして、トーヘイ氏が指摘したように、実際に司法制度がどれほど凋落しているかを知ると、そもそも報道機関の英知が揺らいで見えるようになる。新たに発見した懐疑論を、人々が過去の出来事にも適用したくなるのは当然だろう。

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タグ:メディアプライバシー

画像クレジット:terekhov igor / Shutterstock

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(翻訳:TechCrunch Japan)

愛国者の拠点となったソーシャルメディアParlerのAWS復帰要求を裁判所が却下

連邦裁判所は保守系ソーシャルネットワークのParler(パーラー)が、自社サービスをAWSでホストするようAmazon(アマゾン)に強制しようとする訴えを却下した。Parlerの貧弱な法的主張を見た人なら大方想像がつくように、法廷は本訴訟を「おぼろげで事実と異なる憶測」にすぎず介入を正当化する理由はないと裁定した。

ワシントン州西連邦地方裁判所に提出された訴訟でBarbara Rothstein(バーバラ・ロススタイン)判事は、ParlerによるAmazon(アマゾン)とTwitter(ツイッター)が反トラスト行為を共謀し、AWSが契約を破ったとする主張を支持する材料がいかに貧弱であったかを説明した。

反トラストに関して、Parlerは何ひとつ提示することができず、シャーマン法に反する共謀についても同様だった。

主張を裏付けるために提出された証拠は薄弱であり、AWS側は異議を唱えている。重要なのは、Parlerは、取引制限のためにAWSとTwitterが意図的に、あるいはそもそも、行動をともにしたという証拠を提出していないことである。

【略】

実際、ParlerはTwitterがAWSから優遇措置を受けているという不安を募らせる以上のことをしていない。

AmazonはAWSはTwitterをホストしていることさえなく、その計画はあるもののクライアントについて、他のクライアントに話すことを防ぐ厳格なルールが定められていると説明した。これだけでParlerの浅薄な主張を疑うに十分である、とロススタイン氏は指摘した。

契約違反について、Parlerは本訴訟の中で、自分の側が契約に違反したことを事実上認めているが、カスタマーサービス契約第7.2節(b)(i)に定められている問題の修復に30日の猶予を与えるという取引条件をAmazonが破ったと主張している。しかしそれはそもそも無関係だった。

Parlerは、直後に続く第7.2節(b)(ii)で、AWSが契約を「通知直後に」終了し認められており修正の機会を与えなくてよいことを、争うどころか認識もしていなかった。

つまり30日間の猶予は、Amazonが望まなければ適用されない。この条項は緊急性のない事象にに関するものだと思われる。契約違反の主張は否定された。

Parlerによる、「Amazonは政治的敵意に動機づけられた」という主張も、同様に筋が通っていない、と判事はいう。

Parlerは、この主張のいくつかの要素を裏づけるための基本的事実を提示していない。最も致命的なのが、上で延べたようにAWSの行為が不適切な目的あるいは不当な手段によるという不十分な憶測しか提起していないことである。

【略】

反対に、現在得られている証拠は、AWSによるカスタマーサポート契約の終了は、Parlerの重大な違反に対応した結果であることを示唆している。

Parlerはほかにも、もしAWSのサービスが復帰しないと「修復不可能な損害」を受けると主張しており、実際ロススタイン氏には、一連の出来事の結果Parlerが「消滅」に直面する可能性があるという同社の主張を否定する理由がない。ただし「Parlerの修復不可能な損害に関する主張は、『損害の大部分は金銭的に補償可能』であるとParlerが認めていることで著しく弱まっている」とだけ語った。

つまり金で解決する、すなわちそれは「修復不能」ではないという意味だ。

その他の法的、技術的側面についてロススタイン氏は、Parlerの主張は根拠がなく、Amazonの主張の方がはるかに強力であると述べた。たとえば暴力的で憎悪に満ちたコンテンツを強制的にホストさせられることはAWSの評判を傷つけ、おそらく、修復不可能でさえある。

同じくこの種の訴訟で重要なのは、判事は訴訟全体の価値に基づいて裁定を下すのではなく、サービスを復旧するための差止請求に示された主張と証拠のみに基づいて判断することだ。

「誤解のないようにいうと、裁判所はこの時点でParlerによる実質的な基本的主張を棄却していない」。つまりこれは主張の内容を否定するものでも、それが実質的であることを仮定するものでもない。しかしParlerは、この種の法的介入の根拠を示すために必要なものを提示する には「程遠かった」。

本訴訟は次期日程に継続される、もしParlerが自身で警告した「消滅」にその時点で直面していなければだが。

Rothstein Order on Parler i… by TechCrunch

関連記事:AWSが愛国者の拠点となったソーシャルメディアParlerに対し日本時間1月11日午後のサービス停止を通告

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ParlerAmazonAWSソーシャルメディア

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

バイデン新大統領の労働政策とギグワーカーの未来

オバマ-バイデンの選挙戦で事務局長を務め、ホワイトハウスでは主席補佐官代理だった私は今、サンフランシスコに住んでテクノロジー分野の仕事をしている。そんな私がバイデン-ハリス政権に対して、スマートな政策と規制の安定性を導入することで、業界の大きな可能性をさらに引き出す能力を持っていることに期待している。もちろん、彼らの冷静で思慮あるリーダーシップによる、経済の拡大にも大いに期待したい。

新政権は、シリコンバレーが直面している最も重要な問題の多くに新しい展望をもたらす。確かに、イノベーションの経済とオバマ-バイデン政権のコンビは米国に繁栄をもたらしたが、今やテクノロジー分野は米国人の生活のほとんどあらゆる面に関わっている。

その結果として生じている緊張は、新政権が規制者としての役割を真剣に演じるべきだということを意味しており、投資家と企業はともにバイデン大統領の早急でタイムリーな政策執行を見逃してはならない。とりわけそれは、仕事の未来と米国経済の復興に関わっているからだ。

2020年がギグカンパニーにとって豊年だったことには、疑いの余地がない。ライドシェアの利用は大幅に減ったが、料理や食料品などあらゆるものがデリバリーされ、しかもカリフォルニアの州法Proposition 22の勝利により時価総額は跳ね上がり、多くのスタートアップが上場を目指した。ウェストコーストは大喜びしたが、ワシントンは別のことを考えていた。

議会は何カ月も前から、ギグワーカーの身分を法制化するPRO Actと呼ばれる法案を検討してきた。その法案は、カリフォルニアで叩かれた州議会下院の法案California Assembly Bill 5(AB 5)と酷似していたが、内容のほとんどはProposition 22によって否定された。しかしながらそれは、労働者から広く支持され2021年に息を吹き返す可能性もある。労働者側はすでに、さまざまな議会連合からの支持獲得に奔走しており、同時にギグエコノミーの企業は、彼らの豊かな財力でそれと戦う用意を整えている。

残る問題は、バイデン大統領はどうするかだ。かなり前に彼はAB 5の支持を表明し、選挙戦中にも労働者の分類の間違いを解決する計画を披露していたが、彼は政権スタッフに、テクノロジーに明るい人々を任命している。バイデン大統領は、ほとんどのスタートアップ創業者の年齢よりも長く政治と関わり、妥協の図り方をはじめとしたワシントンの力学を熟知している。法案をめぐる論争において、実際に議論されているのが、その法律の施行方法であることを彼はよく知っている。

法案の多くが何千ページもあるが、それでも具体的な規定は乏しい。詳細は省庁の仕事だ。バイデン大統領は米労働省を監督していたが、PRO Actが成立したら、中身をまとめるのは省の担当だ。

バイデン政権が労働省と業界を召集して、企業による労働者保護の制度化を実現する方法を検討しても意外ではない。バイデン大統領が労働長官に指名したボストン市長のMarty Walsh(マーティ・ウォルシュ)氏は、労働者の強力な支援者であると同時に、企業からは協力し合えるし、妥協に到達することも可能な人物として好感を持たれている。

そのような状況になりそうな理由は、州を見ればわかる。ギグカンパニーはすでに6つの州でProposition 22のような作戦を展開しているし、すでに州法が実効化している州も同程度ある。2021年内におよそ3分の1の州で、Proposition 22をモデルとする労働者保護が法制化されるだろう。

このような時代の勢いというものは無視できないし、労働者もそのことを知っている。労働者はPRO Actの支持では一致しているが、州のアクションに対しては曖昧だ。たとえば北東部の州の多くでは何十年も前からブラックカーとタクシーが参観だ。

したがって、たとえばニューヨーク州とニュージャージー州では、ギグの法律における労働者の位置づけがワシントン州やイリノイ州とはまったく異なる。後者の州ではギグワーカーというものが比較的新しくて、ほんの数年前にUberやLyftが支持した規制が書かれたインクもまだ乾いていない。労働者はPRO Actの支持に関しては一致しているが、全国的な運動はなく、妥協の余地を残している。

これはテクノロジー業界にとっては良いニュースだ。ギグエコノミーの原動力である労働者を、規制が最終的に保護することはないだろうと考えるのは夢物語だ。そしてそれは良いことだ。テクノロジー業界には労働者が正しく行動する道義的責任がある。しかしながら、そういう規制が簡単にテクノロジーに課せられることはありえない。むしろ何週間も、何カ月も運動と法案の審議が各州と議会で行われて、最後に交渉と妥協に辿り着くのだ。

あるいは、何年もかかって規制のプロセスが刷新されることもあるだろう。それらの過程のすべてを、新大統領が監督する。彼は自らの全キャリアを通じて、イノベーションが国を成長させ正常化することを目撃したきた人だ。

4年間続いたトランプ氏の頑固な否定主義と呪術的思考と経済的損害の後を継いだバイデン大統領は、革新的なソリューションに向けて協働するために、厳正な政策と公共の精神、そして民間部門の創意工夫を推し進めるだろう。それは困難な仕事で、しかも決してきれいごとにならないだろう。それでも私たちは、米国のテクノロジー主導のダイナミズムという新しい時代の幕開けを期待すべきだ。

【Japan編集部】本稿著者のJim Messina(ジム・メッシーナ)氏は政治と企業経営のアドバイザーで、The Messina GroupのCEOだ。2009年から2011年までBarack Obama(バラク・オバマ)大統領のもとで大統領主席補佐官代理を務め、2012年にオバマ氏が再選された選挙戦ではキャンペーンマネージャーを務めた。

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核融合技術で新エネルギー開発に取り組む「京都フュージョニアリング」が約1.2億円調達

核融合技術で新エネルギー開発に取り組む「京都フュージョニアリング」が約1.2億円調達

京都フュージョニアリング(KF)は1月20日、第三者割当増資による総額1億1600万円の資金調達を発表した。引受先は、Coral Capitalおよび個人投資家、創業メンバーなど。累計調達額は総額3億4400万円となった。

調達した資金は、市場展開力の強化と、人材の追加採用を中心に使用。先進的な研究成果の実用化と事業化を通じ、社会への貢献を進めていく。

2019年10月設立のKFは、京都大学エネルギー理工学研究所の小西哲之教授が中心となって開発した、核融合装置とエネルギー利用に関する事業を手掛けるエンジニアリング企業。日本発の核融合テクノロジーで新しいエネルギー産業を切り拓くことを目的としているという。

クリーンで持続的なエネルギーを生み出す核融合炉は、「地上の太陽」とも呼ばれ、世界をリードする研究開発が本邦で進められてきた。現在、2025年稼働を目指し、日本も参加する7極の国際共同プロジェクトにおいて「熱核融合実験炉」(ITER)の建設が進められ、核融合炉からのエネルギーの取り出しが現実味を帯びてきているという。

同時に、米・英・加などでは、より早期の核融合炉の実現を目的として、すでに複数のベンチャー企業が設立されており、2020年代の実証炉実現に向けた装置の開発・建設が加速しているとした。

KFでは、これら欧米の大学関連企業や国際共同で建設が進められている複数の核融合炉プロジェクトに対して、主要機器であるブランケットやダイバータ、ジャイロトロンなどを提供したり、プラントの設計を支援したりすることで、世界のエネルギー環境問題の根本的な解決に貢献する。

ブランケットは、核融合で生じた熱を炉外に取り出し、燃料となる三重水素を生産する装置。ダイバータは、核融合で生じたヘリウムなどの不純物を炉内から取り出す装置のこと。またジャイロトロンは、核融合炉の起動時にプラズマを発生させ、加熱し、電流を駆動する電磁波発生装置という。

核融合エネルギーは、今後爆発的に増加する途上国のエネルギー需要に応えつつ、高レベル放射性廃棄物が発生しないため、パリ協定の求める温室効果ガス削減に対応し得る技術として、近い将来大きく成長する可能性を持つ市場としている。

調達した資金は、これらの先進機器への研究開発を通じた市場展開力の強化と、海外営業人材およびエンジニア人材の追加採用を中心に使用する。さらに、これらの先進的な研究成果の実用化と事業化を通じて、社会への貢献を進めていく。

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SNS上でのオンラインハラスメントや虐待に対抗するBlock PartyがTwitterでサービス開始

PinterestのエンジニアだったTracy Chou(トレイシー・チョウ)氏によって設立された、ソーシャルメディア上で人々がより安全に感じられるようにすることを目的としたアンチハラスメントのスタートアップBlock Partyが米国時間1月15日にローンチされた。現在はTwitter(ツイッター)でのみ利用可能で、Block Partyは、人々が自分が見たくないコンテンツをフィルタリングして、同社が「ロックアウトフォルダ(Lockout Folder)」と呼ぶものに保存するサービスを提供する。それは、ユーザーが後でそれを確認したい場合にフィルタリングされたコンテンツのすべてを見つけられる場所となる。

「(そうしたくなくても)これらの人々が存在することを認めるのは重要だと考えています」とチョウ氏はTechCrunchに語った。

存在しないふりをしていると、有益な情報や本物の人脈を逃してしまうかもしれない。

「そこには、失われてしまうかもしれない良いものがたくさんあり得ます」と彼女は言う。「私たちが、Twitterのような公共のプラットフォームを使うのには理由があります」。

よりネガティブな側面があるとすれば、と彼女は説明を続けた。それでもあなたは、あなたの物理的な安全を脅かす誰かがいるかどうかを確認するために定期的にチェックする必要があるかもしれない、と。

「ヘルパー」は、Block Partyのユーザーエクスペリエンスの中で大きな役割を果たしている。ユーザーは信頼できるヘルパーにロックアウトフォルダへのアクセスを許可して、彼らはそこに何か役に立つ情報があるかどうかを知らせたり、単にトロールをブロックしたりすることができる。

「誰か他の人が処理するのを助けてくれたり、懸念される情報にフラグを立ててくれたりすることは、とても気が楽になります。その負担を共有できるのは良いことです。ほとんどのプラットフォームの現在の設計では、虐待を受けている人だけに対処の負担を強いることになっていますから」と彼女は語った。

ロックアウトフォルダは、会社や弁護士などにハラスメントの証拠を提示する必要がある場合に記録を残すツールとしての役割も果たしている。

Image Credits: Screenshot/Block Party

「人々の生活をより楽にしようとしているのです」とチョウ氏はいう。「報告書を提出するたびに、再び虐待を見なければならないのは、とてもつらいことです」。

Block Partyは、Facebook(フェイスブック)やQuoraのようなプラットフォーム企業で働いていたチョウ氏自身の経験そして、テック業界における多様性とインクルージョンのため積極的に発言する活動家としての彼女の経験から生まれた。Quoraでは、ブロックボタンは、プラットフォーム上で嫌がらせを受けた後、彼女が最初に作ったものの一つだったとチョウ氏は筆者に話してくれた。

「内部にいて、製品やエンジニアリングチームがどのように動いているかを見てきたという視点もあります。」とチョウ氏は語る。「しかし、DEI(Diversity・Equity・Inclusion、多様性・公平・インクルージョン)の活動家としての経験から、チームがマイノリティーを欠く場合に製品の決定にどのように影響を与えるかを見てきました」。

Block Partyは今のところTwitterユーザーだけが利用できるが、目標は他のプラットフォームを追加して、複数のプラットフォームで自分をターゲットにした嫌がらせに対処できるようにするという。Block Partyは現在無料だが、サブスクリプション層を導入する予定だ。それでも, チョウ氏は、無料版が常に存在することを想定していると述べた。

現在までにBlock Partyは150万ドル(約1億5000万円)弱の資金調達を行っている。プレシードラウンドは、Precursor VenturesのCharles Hudson(チャールズ・ハドソン)氏が主導した。他の投資家には、元TechCrunch共同編集長のAlexia Bonatsos(アレクシア・ボナトソス)氏、元RedditのCEOであるEllen Pao(エレン・パオ)氏、Facebookの元セキュリティ最高責任者Alex Stamos(アレックス・ステイモス)氏などがいる。

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先週の労働問題:GitHubがナチス発言社員を解雇、Facebookが公民権担当幹部を採用、Dropboxが315人を解雇

今週は、ワシントンD.C.の同僚に議会議事堂暴動の中、ナチスに近づかないよう警告したGitHub(ギットハブ)社員が解雇されたニュースで始まった。一方Facebook(フェイスブック)では、公民権担当幹部を新たに採用し、カリフォルニアのProposition 22は初めての訴訟を起こされた。

Facebookが市民権担当副社長を採用

Facebookは初めての市民権担当副社長兼次席法務顧問としてRoy Austin(ロイ・オースティン)氏を指名し、社内に市民権部門を新設した。オースティン氏は1月19日から職務を開始し、ワシントンD.C.に拠点を置く。

オースティン氏は最近まで、Harris, Wiltshire & Granis LLPで市民権弁護士を務めた。それ以前に同氏はビッグデータと市民権に関する報告書を共同執筆し、Barack Obama(バラク・オバマ)大統領の「21世紀の警察タスクフォース」と共同作業を行った。

Proposition 22が違憲を巡る訴訟に直面

カリフォルニア州のライドシェアリングドライバーの団体とサービス従業員国際組合は、Proposition 22がカリフォルニア州憲法に違反していると主張する訴訟を提出した。目的は、カリフォルニア州のギグワーカーを個人事業主に分類するProposition 22を覆すことだ。

カリフォルニア州最高裁判所に提出された同訴訟は、Proposition 22によって州議会はギグワーカーのための労災補償を設立、適用することが困難になると主張している。さらに、Proposition 22は住民投票法案を単一争点に限定するルールを破り、法案の修正に相当ものを憲法に反して定義したと指摘している。現状でProposition 22は、法案を修正するために議会の8分の7という大多数の合意を必要としている。

Glassdoorが選ぶ働きがいのある会社ランキング

Glassdoor(グラスドアー)は 2021年働きがいのある会社ランキングを発表した。本誌記事では大企業(従業員1000人以上)および中小企業のリストからテック企業トップ10を紹介した。

最近の不当解雇疑惑や、労働条件の改善要求にも関わらず、Google(グーグル)はベストテック企業ランキングの3位に入った。Facebookは5位だった。

Netflixが初の多様性レポートを発表

Netflix(ネットフリックス)がこの種のデータを公表したのはこれが初めてではないが、正式な発表はこれが初めてだ。

全世界で、Netflix従業員の47.1%を女性が占めている。2017年以降、白人およびアジア系従業員の比率はゆっくりと下がり、ヒスパニック・ラテンアメリカ系、黒人、混血および原住民の割合は増えている。米国内でNetflixは、8.1%がラテンアメリカ、8%が黒人、5.1%が混血、1.3%がアメリカ原住民、アラスカ原住民、ハワイ原住民、太平洋諸島出身、中東あるいは北アフリカ出身だ。

Githubがナチスに関する発言をしたユダヤ人社員を解雇して反発を買う

トランプ支持者が連邦議会議事堂に乱入する暴動の起きた日、GitHubの従業員がワシントンD.C.地区で働く同僚の安全を心配して警告した。本誌のインタビューに答えた元従業員は、現地の同僚を純粋に心配したのであり、自分のユダヤ人家族のことも心配だったと答えた。

本人と家族の安全が脅かされないよう、TechCrunchは解雇された従業員の身元を明かさないことに同意した。

Slack(スラック)で「気をつけろ、ナチスがいるぞ」と彼が書いた後、腹を立てた同僚に、職場でそういういい方はよくないといわれた、と元従業員が私に語った。2日後、彼は解雇され、人事担当者から「会社の方針にそぐわない行動様式」が解雇の理由であると申し渡された、と彼は述べた。

解雇された従業員は、家族の安全および被害あるいは何らかの補償を受けられないかを弁護士とともに探っている。同氏は、GitHubが社内調査のための協力を彼に依頼してきたが、会社と関わるのは法的代理人が確定するまで待っていると語った。

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Dropboxが315人を解雇

Dropbox(ドロップボックス)は全世界従業員の11%にあたる315人を解雇した。社員宛のメールでCEOのDrew Houston(ドリュー・ヒューストン)氏は、リモートワークへのシフトの結果オフィス内のサポートは以前ほど必要がなくなったので、「そのための投資を減らし、リソースを積極的なプロダクト展開の強化に再配置します」と語っている。

ヒューストン氏はコメントの中で、この変化によって2021年のDropboxはより効率的で敏捷になると語った。

Appleが人種公平性と正義のためのプログラムを開始

Apple(アップル)は人種の公平性と正義のために1億ドル(約104億円)を投じる公約の重要プロジェクトをいくつか発表した。

第1がHBCUs(アフリカ系米国人を主要な対象とした高度教育のための組織)のためのイノベーションと学びのハブである、Propel Center(プロペルセンター)への2500万ドル(約25億9000万円)の投資だ。Propel Center投資の一環として、Apple社員はカリキュラムの開発と学生のメンター派遣を支援する。

Appleは、ミシガン州デトロイトで若き黒人起業家のためのデベロッパーアカデミーをミシガン州立大学と協同設立する。Appleはデトロイトで毎年1000人の学生と接することを目標にしている。

さらにAppleは、ベンチャーキャピタルのHarlem Capitalに1000万ドル(約10億4000万円)、Siebert Williams Shanks(シーバート・ウィリアムズ・シャンクス)氏のClear Vision Impact Fundに2500万ドルを投資し、King Centerに非公開の金額を寄付した。

Amazonの倉庫労働者が2021年2月から組合結成の投票を開始へ

The National Labor Relations Board(全国労働関係委員会)は、アラバマ州ベッセマーのAmazon倉庫労働者のための郵便投票を2月8日から3月29日まで行う。同施設の従業員は、Retail, Wholesale and Department Store Union(小売・卸売・デパート組合)に加入するか否かを決断する。この交渉単位には6000人の労働者が該当し、時間給フルタイムおよび通常フルタイムの倉庫作業者のほか、Amazonの季節労働者数百人などが含まれている。

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アップルが104億円を投じる「人種の公平性と正義のためのイニシアチブ」関連の新たな取り組みを発表

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GitHub人事部長が「ナチス」という言葉を使ったユダヤ人社員が解雇された問題の責任で辞任

米連邦議会議事堂で暴動が起きた日に、GitHub(ギットハブ)のユダヤ人社員が「ナチス」という言葉を使って同僚に注意を促したために解雇された問題について、同社が「判断と手続きの重大な誤り」を犯したことが、内部調査で明らかになった。

GitHubのCOO(最高執行責任者)であるErica Brescia(エリカ・ブレシア)氏は、米国時間1月17日のブログ記事で、今回起きたことについて同社の人事部長が全責任を取り、16日に同社を辞職したと述べた。GitHubは辞任した人物の名前を公表していないが、同社ではCarrie Olesen(キャリー・オルセン)氏が最高人事責任者を務めていたことは広く知られている。

16日夜のツイートの中で、GitHubのグローバル人事サービス担当シニアディレクターであるGia Colosi(ジア・コロシ)氏が、会社や人事について発言していた。そのツイートはその後削除されているが、スクリーンショットを以下に掲載する。

画像クレジット:Screenshot/Twitter

GitHubは私の永遠の仕事でしたが、今は違います。私は人事部に酷使されて終わり。

だから人事は大変。私たちは、バックアップを見つけない限り、魔法のように人を解雇したりはしません。そして幹部が命じない限り。はっきりさせたいのは、なぜ人事部が責めを負わなきゃならないの?

その後のツイートで、コロシ氏は「女性は男性の尻拭いをするために人事部にいる。疲れたわ」と述べている。

一方、GitHubは「件の従業員と別離する決定を覆した」と述べ、その人物の代理人と話し合っていることを明らかにした。

「その従業員へ私たちは公にいいたい。私たちは心からお詫びします」と、ブレシア氏はブログ記事の中で述べている。

解雇されたこの従業員は、Slack(スラック)で「気をつけろ、ナチスがいるらしい」とコメントした後、仲間の従業員が怒って、そのような言葉は職場に相応しくないといったと、その元従業員は以前私に語った。その2日後に彼は解雇され、人事担当者は解雇の理由として「会社の方針に資するものではない行動パターン」を挙げたという。

先週初めのTechCrunchによるインタビューで、その元従業員は、自分のユダヤ人の家族に加え、この地域にいる仕事仲間のことを純粋に心配していると話していた。そのインタビューの中で、彼は仕事を取り戻すことに興味がないが、他のかたちでの和解なら興味を持つだろうと語った。

関連記事:GitHubで暴動の際「ナチス」について警告し解雇されたユダヤ系社員が弁護士を募集(更新:GitHubが解雇を撤回)

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(翻訳:TechCrunch Japan)

新たな景気刺激法案、新エネルギー政策に352億ドル

TechCrunchが入手した要約文書によると、議会で承認された新たな景気刺激策案には、エネルギー政策のための約352億ドル(約3兆6420億円)が含まれている。

「これはおそらくこの10年間で最大のエネルギー法案です」と語るのは、カリフォルニア大学サンタバーバラ校ブレン環境科学・マネジメント研究科で助教授を務める政策アナリスト、Leah Stokes(リア・ストークス)博士だ。

支出は2020年エネルギー法と環境エネルギー法に分かれており、どちらも大規模な技術イニシアチブのための新規資金を含む。

「『2020年エネルギー法』は、超党派的な二院制によるエネルギー革新パッケージであり、DOEのポートフォリオ全体で350億ドルを超えるRD&D活動を認め、市場への新技術の進出に不可欠なプログラムを強化または創設する」と同法案の概要文書には記されている。

この支出パッケージには、新しい技術イニシアチブのための41億ドル(約4240億円)以上が盛り込まれている。

最大の恩恵を受けるのは、太陽光発電、新しい輸送技術、エネルギー効率化技術だ。

モジュール、集光型太陽電池技術、新しい太陽光発電技術、太陽電池の製造とリサイクル技術を拡大するための取り組みなど、新規太陽電池技術に15億ドル(約1550億円)が割り当てられている。また、輸送技術のために26億ドル(約2690億円)が確保され、エネルギー効率化プログラムと気象改善プログラムは気象改善支援プログラムの17億ドルの再承認により引き続き支援される形だ。

エネルギーグリッド技術は、短期、長期、季節的および輸送用エネルギー貯蔵技術を支援するための10億8000万ドル(約1118億円)と、スマートユーティリティおよびエネルギー配給技術を支援するための23億6000万ドル(約2442億円)により、34億4000万ドル(約3560億円)の増加を得た。

さらに6億2500万ドル(約647億円)が、陸上および洋上風力技術のための新しい研究、開発、商業化に充てられる。地熱技術開発には8億5000万ドル(約880億円)、海洋エネルギーと水力発電技術には9億3300万ドル(約965億円)が割り当てられている。水力発電機のアップグレードには1億6000万ドル(約166億円)、既存の連邦インフラのアップグレードとして連邦エネルギー管理プログラムに1億8000万ドル(約186億円)が充てられている。

脱炭素化が技術的に最も困難な産業であり、確実な資金とイノベーションの推進に向けて、鉄、鉄鋼、アルミニウム、セメント、化学のような業界のステークホルダー、また脱炭素化を目指す海運、航空、長距離輸送など輸送関連企業に5億ドル(約517億円)を確保している。

報告書の概要によると、2020年エネルギー法はこうした重要な投資を今行うことで「我が国の温室効果ガス排出量を削減し、米国に高賃金の雇用をもたらし、これらの技術を今後何年にもわたって海外の成長市場に輸出することを可能にする」とされている。

すでに広く商業的に支持されている次世代技術が後押しを受けている分野であるとすれば、まだ商業規模での実用性が実証されていない技術の商業化を支援するためには、さらに多額の資金が必要となる。

その中には炭素回収利用および貯蔵の技術が含まれており、産業やエネルギー分野での展開に向けた支援が62億ドルとなる見込みだ。連邦議会はまた、大規模な商業用二酸化炭素除去プロジェクトのための4億4700万ドル(約463億円)の研究開発プログラムを承認しており、年間少なくとも5万トンの二酸化炭素を回収する施設における直接空気回収の競合に1億ドル(約103億円)の研究助成金が提供される。

既存の原子力発電所の近代化と先進的な原子炉の開発に66億ドル(約6830億円)の資金を提供したおかげで、原子力技術も全盛期を迎えている。また、基礎研究と応用研究への投資を掘り起こしたことで、新興の溶融技術産業は利用可能な資金にさらに47億ドル(約4860億円)を加えることができる。

これらの支出には、先進テクノロジーを排除しないための資金も含まれている。29億ドル(約3000億円)の予算が割り当てられたARPA-Eは、インターネットに関する技術の開発を支援してきたDARPAプログラムに似た構造の政府のエネルギー高度研究機関である。また、多くの技術を商業化したNASAの戦略に倣い、国立研究所のパートナーシップを推進するOffice of Technology Transitions(OTT)を設置し、空軍と国防総省が広く効果的に利用しているマイルストーンベースのプロジェクトを採用している。

新エネルギー法案には、太陽光、風力、地熱による25ギガワットの公共発電を2025年までに達成するという内務省への指令が明記されている。

「私の理解では、彼らは連邦政府が太陽光発電と風力発電に何をしてきたかに目を向け、他の技術にどうすればそれが活用できるか検討しようとしています」とストークス氏は語る。

彼女にとって、景気刺激策の他の部分も気候の観点から同じように重要だ。地球温暖化と気候変動の大きな原因となっているハイドロフルオロカーボンの使用を2035年まで段階的に削減するという目標が掲げられている。冷蔵やその他の用途におけるこれらの化学物質の使用を世界的に段階的に削減することで、温暖化を0.5℃抑えることができる。これは大きな取り決めだ。

ストークス氏は、期間延長が比較的短い一部の税額控除の期間や、電気自動車に対する税額控除がないことに異議を唱えた。「EVの税額控除は、導入に不可欠な消費者向けのメリットになります。EVと内燃エンジン車の均衡を十分に保てたはずです」とストークス氏は述べている。

景気刺激策のこの部分に組み込まれたものはすべて気候活動家にとって喜ばしいニュースではあるものの、ストークス氏は地球規模の気候変動への懸念について楽観的になるべきではないと指摘する。

「このパッケージは気候危機を完全に解決するものではありません」とストークス氏は続ける。「来年、共和党が主導権を握り、新しく就任する議長はそこまで寛大ではないかもしれません。ここでの達成を祝い、称賛することも大切ですが、何が欠けているかを認識する必要があります。それは多く存在します」。

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(翻訳:Dragonfly)

Netflixが従業員の多様性について最新の統計を発表、公式レポートとしては初

Netflix(ネットフリックス)は米国時間1月13日、同社初のダイバーシテ&インクルージョンレポートを発表した。しかし、Netflixがこの種のデータを公表するのは初めてではない。同社は2013年から従業員の統計を公表してきたが、それをレポートとして認識するのはこれが初めてとなる。

世界的に見ると、Netflixの全従業員の47.1%を女性が占めている。2017年以降、白人とアジア系社員の割合は緩やかに減少をたどっており、ヒスパニック系、ラテン系、黒人、複合人種、先住民族系の割合は増加している。米国では、Netflixの全従業員のうち8.1%はヒスパニック系・ラテン系、8%は黒人、5.1%は複合人種で、従業員の1.3%がネイティブアメリカン、アラスカネイティブ、ネイティブハワイアン、パシフィックアイランダーおよび / または中東・北アフリカ出身者のいずれかである。

Netflixの管理職レベルにおける有色人種の割合は完璧ではないが、テック業界全体で有色人種が占める割合よりも高いことは間違いない。Netflixのリーダー層はアジア系15.7%、黒人9.5%、ヒスパニック系4.9%となっており、同社の上層部の4.1%が複合人種だという。

Netflixは具体的な目標を明らかにしていないが、概して、よりインクルーシブな雇用を行い、採用ネットワークを構築することでマイノリティーの比率を高めたいと考えていると、同社のインクルージョン&ダイバーシティ担当副社長であるVernā Myers(バーナー・マイヤーズ)氏は報告書の中で述べている。さらに、Netflixは、また、同社が「インクルージョンヘルス」と呼ぶものを測定する方法を見つけ、米国外の人々のインクルージョンと雇用の向上にもっと力を入れたいと述べている。

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画像クレジット:Sam Wasson / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)