中国の報復関税と米大統領の攻撃的な対中ツイートで株式市場が一斉暴落

今週わずかに上がった株価だが、中国が750億ドル(7兆9000億円)相当の報復関税を発表した8月23日には主要な株価指数のすべてが急落した。

中国外務省によると、米国の自動車と自動車部品の輸入に対する関税を再開し、また、大豆やコーヒー、ウィスキー、シーフードなどの農林水産および食料品に対する関税を5または10%上乗せする。

事態はドナルド・トランプ大統領のTwitterアカウント上の声明によって、さらに悪化した。彼は、米国は早急に「中国に代わるものを探すべき」とツイート。さらに、中国は「我々の知的財産を毎年数千億ドル相当盗んでいる」と非難した。

我が国は愚かにも、中国で何年にもわたって数兆ドルを失っている。彼らは、我々の知的財産を1年に数千億ドルずつ盗んできた。しかもそれを、今後も続けるつもりだ。そうはさせない!我々に中国は要らない。そして率直に言って関係は遠くなるだろう…

この攻撃的なツイートで、市場は暴落した。ダウ・ジョーンズ工業平均は終了前に700ポイントも下がり、その日は結局623ポイント下げの2万5628.60ドルで終わった。一方S&P 500インデックスは75.84ポイント下げの2847.11ドルでその日を終え、Nasdaqは239.62ポイント下げて7751.77ドルで終わった。

今週は、米国の各種経済報告も落ち込んだ。週の初めには、米国の過去1年の新規雇用数が50万人に下方修正された。一方、国の債務は予想を上回るペースで急増し、2020年の国の赤字は1兆2000億ドルと予想される。

関連記事:Trump adds tariffs to $550 billion of Chinese imports in trade war reprisal(トランプが中国製品に5500億ドルの追加関税、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

東急ストアもPayPayで最大10%還元、消費税10%を前にソフトバンク包囲網が強固に

QR/バーコード決済サービスを提供しているPayPayは、東京急行電鉄(東急)沿線の東京と横浜、川崎を主な営業地域とするスーパーマーケットである東急ストア全84店舗でPayPayのQRコード決済が可能にしてなることを発表した。東急ストアでのコード決済の導入はPayPayが初。決済方式は、店舗側に設置されたQRコードを、ユーザーが読み込んで決済金額を入力する「ユーザースキャン方式」となる。

現在PayPayは「ワクワクPayPay」と呼ばれる月替わりの還元キャンペーンを実施中で、一定条件を満たせばスーパーマーケットやコンビニなどで8月は10〜20%、9月は5〜10%の還元を受けられる。還元対象となる時間帯は、8月が11〜14時、9月は10〜14時。専用ウェブサイトやアプリなどで事前エントリーする必要はない。なお東急ストアでは、9月からワクワクPayPayの対象となる。

適用条件はほかのコード決済に比べると複雑なので注意してほしい。金融機関の口座もしくはYahoo!マネー、Yahoo!カードからチャージした場合は5%の還元を受けられるが、Yahoo!カード以外のクレジットカードからチャージした場合はたった0.5%しか還元が受けられない。

最大の還元を受けられるのは、PayPay残高を金融機関の口座かYahoo!マネーからチャージしつつ、月額498円のYahoo!プレミアム会員に入っている場合か、ソフトバンクもしくはワイモバイルの回線を利用している場合に限られる。この条件に適合すれば10%還元だ。

東急ストアには、200円の決済で1ポイント(1円相当)が貯まる「TOKYU POINT CARD」のほか、東急のクレジットカードの一部では100円の決済で1ポイント貯まるゴールドカードもあるが、諸条件を満たせば通常で3%の還元を受けられるPayPayのほうが割引率は高いので注目だ。

懸念点は、昨日PayPay対応が発表された西友と同様に、決済方式がユーザースキャン方式であること。決済がユーザースキャン方式の場合は店舗側の確認が必要なため、有人レジの利用が必須となるだろう。PayPayの導入によってレジがさらに混乱することが予想される。店舗側でユーザーのバーコードを読み込む「ストアスキャン方式」の早急な導入を期待したい。

西友とサニーが9月からPayPay対応、キャンペーン併用で10〜20%還元に

QR/バーコード決済サービスを提供しているPayPayは、9月1日からスーパーマーケットの西友とサニーの全331店舗でPayPayのQRコード決済が可能になることを発表した。両スーパーともコード決済の導入はPayPayが初。決済方式は、店舗側に設置されたQRコードを、ユーザーが読み込んで決済金額を入力する「ユーザースキャン方式」となる。

現在PayPayは「ワクワクPayPay」と呼ばれる月替わりの還元キャンペーンを実施中で、一定条件を満たせば10〜20%の還元を受けられる。9月もキャンペーンは続行され、11〜14時の間に西友やサニーでPayPayで決済すると還元が受けられる。専用ウェブサイトやアプリなどで事前エントリーする必要はない。

適用条件はほかのコード決済に比べると複雑なので注意してほしい。金融機関の口座もしくはYahoo!マネー、Yahoo!カードからチャージした場合は10%還元を受けられるが、Yahoo!カード以外のクレジットカードからチャージした場合はたった0.5%しか還元受けられない。また最大の20%還元を受けるには、PayPay残高を金融機関の口座かYahoo!マネーからチャージしつつ、月額498円のYahoo!プレミアム会員に入っている場合か、ソフトバンクもしくはワイモバイルの回線を利用している場合に限られる。

西友では、年会費無料のクレジットカード「ウォルマートカード セゾン・アメリカン・エキスプレス・カード」を利用することで、毎日3%還元、毎月2〜4回の特定日(土曜が多い)には5%の還元を受けられるという最強カードがある。なお、この特定日は、通常のセゾンカードでの決済も5%オフになる。

新たな決済方法としてPayPayが加わることで、ウォルマートカード セゾン・アメリカン・エキスプレス・カードなくても常時3%還元、キャンペーン期間中は10〜20%の還元が受けられることになる。クレジットカードを作りたくない・作れないユーザー層にはかなりのインパクトだ。

懸念点は、決済方式がユーザースキャン方式であること。西友は地域密着店舗が多く、時間帯によってはレジに大行列ができる。都市部では混雑回避のためにセルフレジの導入も進んでいるが、決済がユーザースキャン方式の場合は有人レジの利用が必須となる。ただでさえ混み合うレジがPayPay導入によってさらに混み合うことが予想される。店舗側でユーザーのバーコードを読み込む「ストアスキャン方式」の早急な導入を期待したい。

LINE上で株式や投資信託を売買できるLINE証券始まる、まずはAndroidから

LINE証券は8月20日、スマートフォン上で株式や投資信託の取引を可能にするサービスを発表した。本日、LINE上デAndroid版が先行リリースされ、iOS版は近日リリース予定。

LINE証券は、LINE Financialと野村ホールディングスが金融事業における業務提携の一環として締結した合弁契約書に基づいて設立されたLINE証券設立準備株式会社が前身。第一種金融商品取引業登録を終え、6月24日にLINE証券に商号変更していた。

月間利用者数8100万人超のLINEをインフラとして、これまで株式投資の経験がないユーザーでも手軽に始められるのが特徴だ。同社が選んだ日本企業100社と国内ETF(上場投資信託)をLINE上で1株もしくは1口、数百円から取引できる。平日21時まで即時注文・即時約定取引を可能とした点に注目だ。

ETFは、TOPIX、不動産(東証REIT)、NYダウ、NASDAQ、金、原油などの指数に連動するETFを9種類を1口ごとに購入できる。株やETFは数百円から3000円以下で購入可能となっている。

初心者でもわかりやすいように「3000円以下で買える」「お気に入り数が多い」「前日比値上がり率」「業種別」などの分類から銘柄を選べる。さらに銀行口座振り込みだけでなく、金融機関の口座からチャージしたLINE Pay残高からの入出金も可能だ。

なお、残念ながら証券口座の開設は即時とはいかず、LINE上で手続きを済ませたあと、4営業日ほどで郵送されてくる簡易書留ハガキに印刷されているバーコードを読み取ることで口座を利用可能になる。

売買できる株式は、安定した業績の国内大企業の株のみなのでローリスク、ローリターン。ちなみに、セブン&アイ・ホールディングスも株価で見ると、昨年からは値を下げてはいるものの7月上旬に発生した7payの大失態は株価それほど影響を与えていない。年利が0.2%程度しかない定期預金に比べると少しは高い利回りを期待できそうだ。

ETFの場合はNasdaqとNYダウと連動する米国株のほか、米国債を選べるが、個人的には投資信託で人気のあるS&P500連動が選べないのは残念だ。実際のところ、投資信託を本格的に始めるなら、LINE証券に比べて口座開設の手間はかかるものの、売却益と配当への課税額が一定期間非課税になるほか、選べる投資信託の数も豊富なNISAやつみたてNISAのほうがメリットは大きいだろう。

とはいえ、月間利用者数8100万人超のLINEユーザーすぐに利用できる環境にあり、少額かつ簡単に株や投資信託の取引ができるLINE証券のサービスは、金利がものすごく低い定期預金などに集中している国内の資金を流動化させるパワーを秘めている。

  1. LINE証券_取り扱い銘柄例

  2. LINE証券_メイン

  3. LINE証券_ETF

  4. LINE証券_購入フロー

  5. LINE証券_口座開設申込フロー

TransferWiseのデビットカードがオーストラリアとニュージーランドでスタート

国際送金のスタートアップTransferWiseのデビットカードが、オーストラリアとニュージーランドで利用可能になった。同社のアジア太平洋地域での拡大に伴い、今年末までにはシンガポールも利用可能になることが計画されている。安くて透明性の高い手数料と為替レートを特徴とするTransferWiseデビットカードは、まず昨年英国と欧州で開始されたあと、今年6月には米国でも開始された。同社は、そのデビットカードが導入以来1500万回の取引に利用されてきたと主張している。

オーストラリアおよびニュージーランドの顧客は、TransferWise PlatinumデビットMastercardが利用できるようになる(ビジネスデビットカードも利用可能)。カードは複数の国の銀行口座に対応するTransferWiseのアカウントにリンクされるため、所有者は複数の通貨を簡単に安くやり取りすることができる。同社によれば、過去1年間で、顧客は100億ドル以上を口座に預けているということだ。

TransferWiseのデビットカードを使用することで、利用者は40以上の通貨を実際の為替レートで利用できる。共同創業者でCEOのKristo Käärmann(クリスト・ケルマン)氏は、TechCrunchに送ってきた電子メールの中で、TransferWiseがオーストラリアとニュージーランドでデビットカードを開始することにしたのは同地でもビジネスが既に急速に拡大していたからだと語った。「顧客の皆さまからのご要望にお応えすることに加えて、オーストラリアとニュージーランドでのカードの開始は、両国の方々が海外でご自身のお金を使おうとする際に、過剰に高い手数料を請求されているという事実に後押しされました。デビットカード、旅行カード、クレジットカードを、支払いや引き出しに使用するのには高い費用がかかっているからです」と語る。

ケルマン氏はさらに次のように付け加えた。「Capital Economicsによって行われた独自の調査によれば、オーストラリアの方々はただ銀行カードを海外で使うためだけに昨年1年に21億4000万ドル(約2267億円)を失っているのです。これは、銀行やその他のプロバイダーが、誰かが海外でカードを使用するたびに取引手数料を請求し、さらに為替レートが過大になっているからです。同様にニュージーランドの方々は、カードを海外で使用しただけで10億ドル(約106億円)を失っています」。

TransferWiseの競争上の利点の1つは、ほとんどのレガシーバンキングおよび送金サービスとは異なり、そのアカウントとカードが最初から国際的に利用されるようにデザインされていることだ。「オーストラリアとニュージーランドには既存のマルチ通貨カードがありますが、それらの利用は法外に高額です。例えばオーストラリアでは、TransferWise PlatinumデビットMastercardは、ほとんどの旅行、デビット、プリペイド、そしてクレジットカードより平均で11分の1の手数料なのです」ケルマン氏は言う。

TransferWiseカードには取引手数料や為替レートへの上乗せはなく、カード所有者は世界中のATMで、30日ごとに無料で最大350オーストラリアドルを引き出すことができる。

同社は現在、アジアの数カ国の規制当局と話し合っている最中だが、1件のプロセスには最大2年ほどの期間が必要だとケルマン氏は語っている。最近では、マレーシアで送金ライセンスが付与されたため、今年末までに送金サービスをマレーシアで利用できるようにする予定だ。

画像クレジット: TransferWise

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(翻訳:sako)

TRUSTDOCKのeKYCサービスが国内でMastercard Awardを受賞、ドバイでの最終選考会へ

TRUSTDOCKは、Mastercard主催の「Mastercard Start Path」の日本地区大会で、同社のeKYC身分証アプリ&API群が「Mastercard Award」を受賞、ドバイで開催される最終選考会(グローバルセレクション)へ参加することを発表した。

eKYC(electronic Know Your Customer)とは、スマートフォンとそのカメラ機能を活用したオンライン経由の個人認証サービス。免許証やマイナンバーカードなどの公的証明書や自撮り画像などスマホで撮影してネット経由で送信することで本人確認が完了し、金融機関の口座の開設や本人確認が必要な各種サービスを利用可能になる。TRUSTDOCKのeKYCサービスは、公的証明書の厚みを撮影したり、任意の文字を読み上げさせた状態で本人を撮影したりと、不正登録を防ぐ仕組みが取り入れられている。

eKYCについては、すでにLINEが日本電気(NEC)が開発・提供する「Digital KYC」を「LINE Pay かんたん本人確認」を導入しているほか、メルカリも独自のeKYCによる「アプリでかんたん本人確認」によって、本人確認サービスを実施している。LINEはLINE Pay、メルカリはメルペイというキャッシュレス決済サービスを提供しており、LINE Payでは他人への送金や受け取り、メルペイでは「メルペイあと払い」という少額ローンなどにeKYCを役立てている。

なぜeKYCが必要なのか。eKYCは、犯罪収益移転防止法(犯罪による収益の移転防止に関する法律)の目的である資金洗浄(不法に得た資金の出所を消す違法行為)を防ぐための手段として有望視されている。これまでも金融機関での口座開設時などに本人確認書類が必要だったが、運転免許証のコピーなどを貼り付けて郵送で送るというやり取りが一般的だった。eKTCのように本人確認書類を写真で撮影して申請できる金融機関もあったが、目視確認のための人員確保なども必要なため、資金力のある大手など一部での導入に限られていた。

こういった一連のクラウド認証システムを汎用的に使えるようにしたのが、TRUSTDOCKが開発したeKYC身分証アプリ&API群。日本だけでなく今後は世界各国でのアカウント開設やデジタル取引の際に必要な本人確認に対応する予定だ。もちろん、犯罪収益移転防止法だけでなく、携帯電話不正利用防止法、古物営業法、労働者派遣法、出会い系サイト規制法、民泊新法などにかかわる犯罪行為を、厳格な本人確認による事前回避を期待できる。

「Mastercard Start Path」は、次世代のコマースソリューションの開発を目指し、スタートアップを支援するためのプログラム。2014年にスタートしたプログラムで、選ばれたスタートアップは、Mastercardの専門チームによるグローバルネットワークの活用、Mastercardのパートナー企業へのアクセス、Mastercard のソリューションを活用することができる。2015年には、参加した世界200社以上から日本のMoneytreeが4社の中の1社としてMasterCard Start Path Global第一期に選ばれている。Moneytreeは、金融機関の口座やクレジットカードの支払履歴など個人資産の管理を行えるアプリ「Moneytree」や、このMoneytreeを基にした金融インフラプラットフォームとしてMT LINK by Moneytreeをさまざな金融機関にて提供している2012年設立のスタートアップだ。

eKYCがアプリやサービスに手軽かつ低コストで導入できるようになれば、ネット経由の商取引での不正行為や犯罪に未成年を巻き込むことを未然に防げるようになるはずだ。

Venmoが銀行口座への即時送金サービスをローンチ

PayPalが所有する決済アプリのVenmoは米国時間8月13日、米国の銀行口座への即時送金をサポートすると発表した。この機能は、通常1日から3日営業日ほどかかる銀行送金サービスのオプションとなる。一方でInstant Transferを使えば、Venmoアカウントからの資金を数分以内に銀行口座に入金することができる。

2018年1月の段階で、VenmoはInstant TransferにてVISAとMastercardのデビットカードを使用した少額の即時送金を提供していた。ローンチ時の手数料は一律0.25ドルだったが、昨年10月には送金金額の1%へと引き上げられた。現在の最低手数料は0.25ドル、最高手数料は10ドルとなっている。もちろん、この便利な即時送金を利用したくない場合には、通常の送金オプションも利用できる。

デビットカードへの送金はVemnoに保管された現金に素早くアクセスするのに役立つが、誰もがデビットカードを持っているわけではないし、自分の資金がいつもそのカードに送られるのを望んでいるわけではない。銀行振込は通常の支払いや家賃、その他の自動引き落とし処理のために、Venmoの現金をメイン口座に移すことで、中小企業やギグエコノミーの従業員にとって役立つ。

VenmoによるInstant Transferサービスの拡大のニュースは、SquareのCash Appや、銀行が運営しVenmonのライバルとなるZelleとの競争の激化と同時に登場した。内部顧客と米国の銀行アプリとの統合のおかげで、Zelleは2019年第2四半期に1億7100万件の取引で440億ドル(約46000億円)を送金し、米国最大のピアツーピア支払いアプリとなった。一方、Venmoの第2四半期の支払額は240億ドル(約2兆5000億円)だった。

しかし4000万件以上のアクティブアカウントを持つVenmoは、アメリカの一部大手銀行よりも多くのユーザーを抱えている。そして、その成長は続いているのだ。

手数料ベースのInstant Transferサービスを顧客に提供することでVenmoは収益を上げ、独自のクレジットカードのローンチなどその他の計画とあわせて、サービスを収益化することができる。

Venmoの親会社であるPayPalも、2017年に最初に発表されていた銀行口座への即時送金を今年3月に提供している。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

8月後半のコード決済はd払い一択から変化あり、1000円未満のセブン決済はLP→MP→PPの順に週1使い分け

8月もそろそろ後半に差し掛かるが、コード決済各社の熾烈な戦いは続いている。既報のとおり、8月後半はコンビニエンスストアで20%還元キャンペーンを実施しているd払いを優先的に使えばいい。しかし、少しだけ風向きが変わってきた。

関連記事:8月に使うべきコード決済、前半はメルペイ70%還元、後半はd払い20%還元

d払いという名称からドコモ回線のユーザーしか使えないと思われがちだが、他キャリアやMVNOのユーザーでもdアカウントを登録すれば利用可能だ。チャージ元は各種クレジットカードを使える。還元上限は5000円相当(5000ポイント)で、2019年9月30日以降にdポイントとして付与される。ドコモ回線を使っている場合は、月々の利用料金とのまとめ払いも可能だ。ほかのコード決済とは異なり、d払いアプリで事前にエントリーしないと還元が受けられない点だけは注意。

一方、d払いに対応していないセブン-イレブンに関しては、11~14時のランチタイム時に10%の還元が受けられるPayPayの「ワクワクPayPay」キャンペーンを使うのが常道だ。

ただし、ワクワクPayPayの適用条件はほかのコード決済に比べると複雑なので注意してほしい。金融機関の口座もしくはYahoo!マネー、Yahoo!カードからチャージした場合は10%還元を受けられるが、Yahoo!カード以外のクレジットカードからチャージした場合はたった0.5%しか還元受けられない。また最大の20%還元を受けるには、PayPay残高を金融機関の口座かYahoo!マネーからチャージしつつ、月額498円のYahoo!プレミアム会員に入っている場合か、ソフトバンクもしくはワイモバイルの回線を利用している場合に限られる。

とはいえ、これら諸条件をクリアしている利用者なら、d払いよりもPayPayをメインに使うのがお勧めだ。セブン-イレブン以外のコンビニや飲食店、スーパーマーケットなどでも、毎日11~14時の間に最大20%の還元を受けられる。首都圏在住者は、低価格の商品が数多く揃っているOKストアやロピアで使えるのは大きなアドバンテージだろう。20%還元の条件をクリアしている場合、還元上限は1回あたり2000円、期間合計上限は3万円なので、ワクワクPayPayのキャンペーンをスーパーでの買い物に限定すれば、家庭のエンゲル係数が凄まじく低下するはずだ。主夫や主婦は特に要チェック。

なおセブン-イレブンでは、8月12日の月曜から毎週100円オフのクーポンがもらえるキャンペーンも始まった。こちらはPayPayのほか、LINE Payとメルペイも加わった3社合同企画で、8月12日から1週間ごと5週にわたって実施され、9月15日の日曜に終了する。各社のコード決済でそれぞれ支払うごとに毎週100円がお得になるというキャンペーンだ。つまり、1週間で合計300円ぶん、5週間合計で総額1500円が還元される。

少額だが101円以上の決済で使えるので、セブン-イレブンで1000円未満の買い物をするならワクワクPayPayよりも実質お得だ。ワクワクPayPayの20%還元の条件を満たしている場合でも500円未満の決済なら100円オフクーポンのほうが還元率は高い。

100円オフの条件は各社で異なる点には注意。PayPayは金融機関の口座やYahoo!マネー、Yahoo!カード、セブン銀行ATMからのチャージの場合のみ100円オフクーポンがもらえる。Yahoo!カード以外のクレジットカード経由のチャージは対象外だ。100円オフは翌月20日前後にPayPayボーナスとして付与される。そのほかPayPayの場合、「ペイペイチャンス」の対象にもなり、20回の1回の確率で最大1000円の還元も受けられる。

メルペイでは「本人確認」を完了した利用者のみが対象だが、金融機関の口座からのチャージ、もしくはメルペイあと払いでの決済で翌日に100円ぶんがメルペイポイントとして付与される。

LINE Payは3社の中で唯一、事前に100円引きのクーポンがもらえる。期間中の毎週月曜に100円クーポンが配布されるので、これを取得して101円以上の決済の際に利用すればいい。注意したいのは、クーポンは自動発行されず、専用サイトにLINE Payを利用するスマートフォンでアクセスして手動発行する必要がある点。

100円ぶんが付与されるタイミングを考慮すると、LINE Pay→メルペイ→PayPayの順に使うのがお勧めだ。

そのほか忘れてはならないのは、Origami Payが8月18日まで実施しているビックカメラグループでの最大3000円オフキャンペーン。実際には10%還元のキャンペーンで、3万円以上の買い物で最大3000円の割引が受けられる。こちらはOrigami Payを初めて使う店舗であれば何度でも3000円割引となるので、ビックカメラやコジマ、ソフマップのグループ各店を回って3万円以上を決済すればそのぶん3000円がお得になる。

Origamiでは、同じく8月18日までサーティーワンアイスクリームのレギュラーシングルが何度でも半額(最大250円引き)になるキャンペーンも実施中だ。

Origami Payがビックカメラグループ限定の最大3000円引きクーポン配布、買い物マラソン可能

コード決済サービスを提供しているOrigamiは8月9日、ビックカメラとコジマ、ソフマップの全店舗で使える最大3000円引きのクーポンを8月10日から配布する。クーポンは8月18日まで利用可能だ。

最大3000円の割引となるのは、Origami Payを初めて利用するビックカメラグループの店舗で税込3万円以上を決済した場合のみ。税込3万円未満の場合は決済金額の10%が即時還元される。つまり2万の決済だと割引額は2000円になる。

このクーポンの注目は、Origami Payを初めて使う店舗なら何度でも使えること。合計金額が3万円を超える家電などを購入する際は、複数の店舗に分けて決済したほうが割引額が増える。ビックカメラでは日用品や酒類を販売している店舗もあるのでで、家電以外のでも有効に活用できる。

ユニクロ・GUがコード決済導入、8月8日からPayPayを利用可能に

ユニクロは8月7日、国内124カ所のユニクロ店舗でコード決済に対応することを発表した。8月8日からPayPayが利用可能になる。2018年8月期の時点で国内のユニクロ店舗は、フランチャイズを除くと784店舗。まずは16%程度の店舗への導入となる。

今後は、それ以外の店舗、そしてジーユー(GU)の店舗にも導入される予定だ。PayPayの発表によると、ユニクロで利用できる国内のコード決済サービスは年内はPayPayのみとのことなので、2020年以降はそのほかのコード決済サービスが利用可能になると考えられる。

年内はPayPayがユニクロのコード決済を独占することになるため、なんらかのキャンペーン施策が実施される確率は高いだろう。ユニクロのコラボ企画としては、直近では今年3月にauと組んで「三太郎の日」にau STAR会員に向けてAIRismを無償配布するというキャンペーンが行われた。

フェイスブックの国際デジタル通貨Libraはプライバシー対策が曖昧だと監視団体が警告

米国、欧州、アフリカ、オーストラリアから集まったプライバシー・コミッショナーたちは、計画中の暗号通貨プロジェクトLibraに組み込まれるデータ保護のための安全措置をFacebook(フェイスブック)が明確に示していないことを憂慮する共同声明文に署名した。

Facebookは、ブロックチェーン技術を利用した国際デジタル通貨を作るという大きな計画を6に公式発表した。これはFacebookを創設メンバーとするLibra Associationによって運営される。その他の創設メンバーには、Mastercard、PayPal、Uber、Lyft、eBayなど、決済や技術の巨大企業も含まれている。ベンチャー投資企業には、Andreessen Horowitz、Thrive Capital、Union Square Venturesなどが名を連ね、Kiva、Mercy Corpsといった非営利団体も参加している。

同時にFacebookは、この事業を執り行う子会社Calibraの新設も発表した。この会社は、メッセージアプリのMessengerとWhatsAppに来年組み込まれることを想定したスタンドアローンのウォレット・アプリを提供するなど、Libraネットワークのための金融サービスの開発を行うという。しかし、独自のウォレットを埋め込むつもりでいる同族のソーシャルプラットフォームの支配的地位を思うと、「オープンな」デジタル通貨ネットワークと表現されているものを、それが一気に独占してしまうのではないかとの懸念が浮かび上がる。

Calibraを大きく持ち上げた公式ブログ記事では、Facebookは、世界220億人以上のユーザーにそのウォレットを推奨できる能力を使って、どれだけの市場支配力を手にするかについて明言を避けている。だが、プライバシーに関しては、たしかに触れていた。こう書かれている。「私たちは、お客様のプライバシーを守る手順も踏んでいきます」。その根拠は、「アカウント情報と金融データは、Facebookにも第三者にも、お客様の同意なくして」渡すことはないという主張だ。

ただし、「限られた状況」においてはユーザーのデータを渡すこともあると同じ段落に書かれているように、例外を認める場合もある。それは、「お客様の安全確保のための必要性、法律の遵守、Calibraを利用される方への基本的な機能の提供を熟慮」した状況だとブログ記事には書かれている(顧客への誓約を記したCalibra Customer Commitmentには、「詐欺や犯罪行為の防止」などの具体例に加え、もう少し詳しい説明がある)。

これらはすべて、表面的には十分に安心できる説明かも知れないが、Facebookは、ユーザーの「安全」を守るために必要だとする曖昧な見解を、たとえばFacebookユーザーでないユーザーを主要なインターネット空間全域にわたってFacebookユーザーでないユーザーを主要なインターネット空間全域にわたってトラッキングするための正当化の隠れ蓑として利用している。

企業が何かをやるやらないと主張するときは、ほんの小さな部分に悪魔が宿っているものだ。

だからこそ、プライバシーとデータ保護へのLibraの取り組みに関する詳細が示されないことに、世界の監視のプロたちは疑念を抱いているのだ。

「世界中の無数の人々のプライバシーの強化を連帯して担う、データ保護とプライバシーの施行当局からなる国際的なコミュニティの代表者として、私たちは結集し、デジタル通貨Libraとそのインフラがもたらすプライバシーへのリスクに関する共通の懸念を表明します」と彼らは書いている。「その他の行政機関、民主的な政治家もこの計画に懸念を表明しています。Facebook社が関与しており、同社が数億人にものぼるユーザーから幅広い分野のデータを収集していることを考慮すると、そのリスクは金融上のプライバシーの問題に留まらず、さらなる懸念が浮上します。データ保護を担当する行政機関は、他の規制当局と密接に連携していきます」。

この声明文に署名したコミッショナーには、米連邦取引委員会(FTC)のロヒト・チョプラ(Rohit Chopra)氏も含まれている。先月、FTCで行われた採決で、Facebookの50億ドルでの和解命令案が賛成3反対2で可決されたが、そのとき反対票を投じた一人だ。

さらに世界の対象地域では、Libraをプライバシー関連の法律や人々の期待に添わせるにあたり、次の人たちがFacebookの透明性に対して懸念を表明している。カナダのプライバシーコミッショナーのDaniel Therrien(ダニエル・セリアン)氏、欧州連合データ保護監督官Giovanni Buttarelli(ジョバンニ・バタレリ)氏、英国情報コミッショナーのElizabeth Denham(エリザベス・デナム)氏、アルバニア情報およびデータ保護コミッショナーのBesnik Dervishi(ベスニク・デルビシ)氏、ブルキナファソ情報技術および市民の自由のための委員会委員長のMarguerite Ouedraogo Bonane(マグリート・ウートラウゴ・ブナン)氏、オーストラリア情報およびプライバシー・コミッショナーのAngelene Falk(アンジェリーン・ファルク)氏。

共同声明の中で、彼らは「Libraネットワークのグローバルなプライバシーに期待すること」として、次のように書いている。

今日のデジタル時代においては、組織は透明性を保ち、個人情報の取り扱いに責任を負うことがきわめて重要です。適切なプライバシーの管理とプライバシーバイデザインは、イノベーションとデータ保護を実現する鍵であり、そらは互いに排斥し合うものではりません。今日までに、FacebookとCalibraは、プライバシーに関する公式声明を公表しましたが、個人情報の厳重な管理と保護に用いられる情報の取り扱い方法に関しては、明確に述べてはいません。さらに、LibraとCalibraを性急に実施しようとする現在の計画を見るにつけ、私たちはいまだ詳細情報が提示されないことに驚き、不安を募らせています。

Libra Associationの創設メンバーとしてFacebook社が参加しているため、これは世界中の消費者の間に急速に普及する可能性があり、それにはデータ保護の法律が施行されていない国々の人たちも含まれます。ひとたびLibra Networkが稼働し始めれば、それは即座に無数の人々の個人情報の管理者となります。金融情報を含む膨大な個人情報と暗号通貨が組み合わされば、Libra Networkの構造や、データ共有に関する取り決めのプライバシー上の心配は増幅します。

彼らがLibra Networkに提示した質問のリストを下に転載する。「提案やサービスの内容に進展があったとき」に各機関が質問を追加することになっているため、彼らはこれを「すべてではない」と記している。

ユーザーのデータが何に使われるのか、その使われ方をユーザーはどこまで管理できるかを明らかにすることが、彼らが答として求めている詳細情報に含まれている。

また、ユーザーのプライバシー保護の力を弱め侵害するようなダークパターンが使われる危険性が、別の懸念として示されている。

コミッショナーたちは、ユーザーの個人情報の共有について、どのタイプのデータが共有されるのか、どのような非特定化技術が使われるのかを明確にすることも求めている。非特定化技術に関しては、たとえば、売買された匿名の個人情報から、わずか一握りのデータ点を使ってクレジットカードの利用者の再特定が可能になることを実証する研究が数年前から公表されている。

以下が、Libra Networkに送られた全質問のリストだ。

1. 国際的なデータ保護とプライバシーの施行機関が、Libra Networkはネットワークユーザーの個人情報を守る頑強な手段を持っていると確信できるようになるには、どうしたらよいか?特にLibra Networkは、参加者が以下のことを求めてきたときにどう対処するか?

a.個人情報がどのように使われるかに関する明確な情報(プロファイリングとアルゴリズムの使い方、Libra Networkのメンバーと第三者との間で共有される個人情報を含む)を、その件に特定された納得の上での同意をユーザーが適宜できるよう提示してほしい。

b.個人情報を第三者へ提供するよう促す、またはプライバシー保護を弱体化するナッジやダークパターンを使用しない、プライバシーを守るためのデフォルト設定がほしい。

c.プライバシー管理のための設定を目立たせ、簡単にできるようにしてほしい。

d.製品またはサービスに必要となる最低限の個人情報だけを、使用目的を明示した上で収集・処理をしてほしい。また処理の合法性を確保してほしい。

e.すべての個人情報を適切に保護してほしい。

f.アカウントの削除や要求を誠実に適時引き受けることを含む、プライバシーの権利を行使するための簡単な手段を人々に与えてほしい。

2. Libra Networkは、インフラ開発の際にプライバシーバイデザインの原理をどのように組み込むのか?

3. Libra Associationは、どのようにしてLibra Network内のすべてのデータ処理を確実に特定し、それぞれのデータ処理の規定に従わせるのか?

4. Libra Networkは、データ保護の影響調査をどのように実行するつもりなのか。そしてLibra Networkは、その調査をどのようにして確実に継続的に実施するのか?

5. Libra Networkは、データ保護とプライバシーに関する方針、基準、管理を、すべての対象地域で、どのようにしてLibra Networkの運用全体に一貫して適用させるのか?

6. Libra Networkのメンバー同士でデータを共有する場合、

aどのようなデータ要素が含まれるのか?

b.どの程度まで非特定化され、どのような手法で非特定化されるのか?

c.誰のデータが共有されたかを法的な強制力のある契約上の手段の使用を含め、データが再特定化されないことをLibra Networkはどのように保証するのか?

私たちはFacebookにコメントを求めている。

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(翻訳:金井哲夫)

オンライン貸付投資「Funds」運営のクラウドポートがシリーズBで7億円調達へ

貸付ファンドのオンラインマーケット「Funds(ファンズ)」を運営するクラウドポートは8月5日、VCや事業会社などから、7月31日時点で総額6.3億円の資金調達を実施したことを明らかにした。引き続き調達を進め、現在のシリーズBラウンド全体で総額約7億円の調達を予定しているという。

「行列ができる金融商品」になったFunds

クラウドポートは2016年11月、代表取締役の藤田雄一郎氏と共同創業者の柴田陽氏により設立された。藤田氏はソーシャルレンディングサービス「クラウドバンク」の立ち上げに携わった人物。柴田氏はポイントアプリ「スマポ」など複数のサービスを立ち上げ、売却した経験のある連続起業家だ。

写真前列中央がクラウドポート代表取締役の藤田雄一郎氏、その右隣が共同創業者の柴田陽氏。

クラウドポートでは創業後、ソーシャルレンディング事業者の情報を横断で比較できるサイト「クラウドポート」を2017年2月に公開し、運営していた。ソーシャルレンディングサービスが注目を集める一方で、不適切な貸付審査やファンド募集などが問題視されることもあり、「第三者的な立場でソーシャルレンディングの魅力とリスクを伝えていきたい」(藤田氏)として立ち上げられたサービスだ。

その後、クラウドポートは自ら第二種金融商品取引業の登録を行い、個人向けの投資サービスとしてFundsを2019年1月からスタート。比較サイトのクラウドポートは主とする事業のスイッチにともない、1月17日付で金融メディア「ZUU online」を運営するZUUへ事業譲渡されている。

現在のメイン事業であるFundsは、個人が1円から貸付ファンドの取引ができるマーケットプレイスだ。「資産形成したい個人」と「事業資金を借りたい企業」とを結び、スマホで貸付ファンドの取引ができる。このサービスでは、金融業者であるクラウドポートが資金を集め、定められた基準を満たすファンド組成企業へ送金。ファンド組成企業が自社グループ内で事業資金を必要とする会社に貸付を行うというスキームになっている。

1月23日の正式ローンチ時には、3つのファンドで募集が行われ、募集開始から約15分で総額8000万円超の申し込みを完了。その後も1億円のファンドが募集開始1分39秒で満額申し込みを達成するなど、7社10ファンドで即日完売が続いている。このためユーザーからは「せっかく口座を開いたのに申し込みができない」との声も上がっており、6月からは一部のファンドの投資申込に抽選方式を導入することとなった。

Fundsに登録する投資家は、正式ローンチから半年の6月時点で1万人に達した。ユーザーは20〜40代の男性、年収300万円〜600万円のビジネスマンが中心という。藤田氏は「株やFXと比べて、忙しい人が片手間ででき、1円から投資できる点が評価されている」と分析していて「『行列ができる金融商品』になった」と述べている。

抽選方式のファンド申し込みでは、1億円分のファンドに3億円の応募が集まるなど「プロダクト・マーケット・フィットが成立している」と藤田氏。「老後資金への不安などから、資産形成の意識は高まっており、それを支えるためのサービスにもなる。自分事として投資ができる点も特徴。国民総資産運用時代に、貯蓄から資産運用への流れを後押しするサービスを提供していきたい」と語る。

ポストIPO企業に成長資金の調達手段を

今回の資金調達は、2018年3月に実施した総額3.1億円の調達に続くものとなる。今回調達に参加した投資家は、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、グローバル・ブレイン、三菱UFJキャピタル、VOYAGE GROUPが米SV FRONTIERと組んで立ち上げたSV-FINTECH FundなどのVCと事業会社だ。

「出資企業とは海外ノンバンク事業などの分野で連携を期待している。また、各社が持つさまざまな企業とのつながりを生かして、資金を調達したい企業に新しい手段が提供できるのではないかと思う。三菱UFJグループについては、銀行との連携を強くしたい思いがある。銀行は預金を背景にしていることから企業への出資がしづらい立ち位置にある。我々と一緒に連携して投資できれば」(藤田氏)

先日、神戸で開催された招待制のスタートアップイベント「Infinity Ventures Summit 2019 Summer KOBE」では、ピッチコンテスト「IVS LaunchPad」でFundsが優勝を勝ち取った。藤田氏は「この勢いに乗ってサービス認知、利用者拡大を図りたい。まずは投資家を増やし、事業者も募っていく」として、調達資金をマーケティング強化に充てる考えだ。またサービス強化のための人材獲得にも力を入れるという。

現状は「投資家の投資意欲が旺盛で、事業資金に大きな額を必要とする不動産関連事業へのファンドが多くなっている」というFundsだが、藤田氏は「幅広い産業を取り入れたい」と話している。今後、ポストIPOスタートアップを対象にしたファンドも手がけたいという。

「上場することで運転資金の獲得はできるが、逆にファイナンス手段が限定的になるスタートアップも多い。成長資金がなかなか獲得できないということで、ニーズはある」(藤田氏)

実際に具体的な話が進んでいるポストIPOスタートアップもあるとのこと。実現すれば「投資家も公開株によるものだけでなく、応援などユニークな体験ができるようになる」と藤田氏は話していた。

Apple Cardで仮想通貨は買えない

いよいよ登場間近となったApple(アップル)のクレジットカードを使って、仮想通貨を買い漁ろうと狙っていた人は、ちょっとがっかりだろう。Apple Cardは、仮想通貨だけでなく、宝くじ、現物であろうが仮想であろうがカジノのギャンブルチップの類、外貨、トラベラーズチェック、などを購入するのに使うこともできない。

ロイターは、Apple Cardのカード発行会社であるゴールドマンサックスのウェブサイトに掲載された約定の詳細を確認し、「キャッシングや現金に相当するもの」には使えないという制限事項を発見した。

その契約では、Apple Cardが使えない対象を、以下のように定義している。「キャッシングサービスや現金相当物との取引、たとえばトラベラーズチェックや外貨、暗号通貨、郵便為替、個人間の送金、電信送金およびその他の現金相当物との取引、宝くじ、カジノのゲームチップ(物理的なものでもデジタルでも)、レースの掛け金、および同様の賭け事のための取引」。

暗号通貨の価値の変動が激しいことを考えれば、そうした不安定なものに大金を注ぎ込もうとするカード所有者に対して、はっきりと「ノー」を突きつけるアップルとゴールドマンサックスの意図は、十分うなずけるものだ。

Appleは、この3月にクレジットカード業界に参入すると発表した。Apple Payを使って購入した場合には、2%のキャッシュバックが受けられるという。ただし、物理的なカードの場合には、デジタルカードほどの気前の良さは示されず、キャッシュバックは1%になる。一方、Appleから直接商品を購入する場合には、3%のキャッシュバックが受けられる。

入金の遅れに対する延滞料や、懲罰的な金利もない。Apple Cardの金利は、ユーザーの信用度に基づき、13〜24%の範囲となっている。

Apple Payと同様、プライバシーの保護も約束されている。Appleカードの取引記録データは、Apple、ゴールドマンサックス、あるいは他のパートナーのいずれによっても、広告やマーケティング用として販売されることはないと誓約されている。ただし、そうしたデータは、財務報告などのために、規制当局に提供される可能性があるとされている。

Apple Cardは、米国内では来月から利用可能となる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

8月に使うべきコード決済、前半はメルペイ70%還元、後半はd払い20%還元

7月はセブン&アイ・ホールディングスの独自コード決済である7payが、別の話題で大いに盛り上げてくれたQR/バーコード決済。セブン-イレブンを皮切りにデニーズやイトーヨーカドーなどのグループ店舗に7payが波及すれば大きな勢力になると期待されたが、早々に自滅してしまった。とはいえ7payが導入されたおかげで長らくコード決済を静観していたセブン&アイ・ホールディングスがようやく動き、セブン-イレブン各店でPayPayとLINE Pay、メルペイが利用可能になったのは7payの大きな功績だ。

7月はキャンペーン系だと、d払いほぼ一択だったので迷う場面は少なかった。d払いもしくは(ドコモのdカードに紐付いた)iDの決済で通常20%還元、金土曜は25%還元、ドコモユーザーで諸条件をクリアすればさらにプラス最大7%還元という大盤振る舞いのキャンペーンだった。では、8月はどう戦えばいいのか。

8月11日まではメルペイあと払いで最大70%還元

既報のとおり、メルペイは8月11日まで「あと払い」限定ながら還元上限1500円の最大70%の還元キャンペーンを実施中だ。ただし対象は18歳以上に限られ、あと払いの手数料が月額300円必要になる。。メルペイ加盟店では通常50%だが、吉野家(一部店舗を除く)、マクドナルド、セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン、デイリーヤマザキ、ミニストップ、ポプラグループでは70%の還元となる。

関連記事:メルペイ70%還元の対象店舗拡大、主要コンビニやマクド、吉野家も

吉野家なら牛丼並盛が実質114円、マクドナルドではバリューランチのダブルチーズバーガーセットが実質165円で食べられる。iPhone 7以降のスマートフォンを使っている場合は、コード決済のほかApple Payに登録したメルペイのiD(iDプリペイド)も利用可能だ、iDは、イオングループやイトーヨーカドーなどのスーパーマーケットやショッピングモール、やまやなどの酒類販売の専門店などでも使えるので、惣菜やアルコール類なら実質の代金はコンビニより安いこともあるので、使い分けるのがいいだろう。

メルペイあと払いの還元上限に達したらPayPayでランチタイム最大20%還元

メルペイあと払いによる50〜70%還元キャンペーンの還元上限金額は1500円相当(メルペイ残高1500ポイント)なので、2100〜3000円ぶんを使うとそれ以上の還元は受けられない。メルペイの還元上限額を使い切ったあとはPayPayを利用しよう。11時〜14時の時間限定となるが、金融機関の口座からのチャージなど10%還元、ソフトバンク/ワイモバイルユーザー、もしくはYahoo!プレミアム会員なら20%還元となるキャンペーンを実施中だ。1回の還元上限額は10%還元の対象者で1000円ぶん、20%還元の対象者で2000円。1カ月の累計還元上限額はいずれも3万円ぶんだ。

対象店舗は、PayPayでの支払いが可能な全国の飲食店やスーパーマーケットなど。飲食店については、グルメ検索サービス「Retty」を利用すれば見つけやすい。ちなみに対象となるスーパーマーケットでは、首都圏ではOKストアやロピアが入っている。両社とも低価格をウリにしたスーパーなので、10%、20%の還元は家計を多いに助けるはずだ。

対象店舗は少ないが楽天ペイで10%還元も

楽天ペイは9月2日まで10%の還元キャンペーンも実施している。対象店舗は、スギ薬局/ジャパン、JR博多シティ(アミュプラザ博多、アミュエスト、デイトス、デイトス アネックス、いっぴん通り)、東急ハンズ、島村楽器、ジャンカラ、サンキュードラッグ、ファーストキッチン/ウェンディーズ・ファーストキッチン、サイクルスポット、東京駅一番街(東京キャラクターストリート、東京おかしランド)と限られているのが残念。なお、楽天カードを所持している場合は、これ以外の対象店舗で常時5%の還元を受けられる(内1%は楽天カード側の還元)。いずれも事前にキャンペーンサイトでのエントリーが必要なのをお忘れなく。

ウエルシアグループのドラッグストアなら8月7日までOrigami Payで計1000円割引

ドラッグストアチェーンのウエルシアグループ各店、ウエルシア、ハックドラッグ、ダックス、B.B.ON、ハッピー・ドラッグ、マルエドラッグ、MASAYA、金光薬品(一部店舗を除く)であれば、8月7日までOrigami Payで最大500円の割引クーポンが2回使える。具体的には税込み10円以上の決済で利用できる50%還元のクーポンなので、1000円程度の買い物にOrigami Payを使うと合計1000円の割引となる。

8月12日はPayPayか楽天ペイで5〜20%還元

メルペイのキャンペーンが終了した翌日は、いまのところ大型のキャンペーンは告知されていない。前述した、11時〜14時限定で10〜20%還元を実施しているPayPayか、10%還元を実施している楽天ペイを利用しよう。

8月13日以降のコンビニ利用はd払いで20%還元

d払いは7月に続き、8月13日からも20%還元を敢行する。還元上限は5000円相当(5000ポイント)で、有効期限3カ月限定の特別ポイントとなる。今回はコンビニ利用に限られるが、セブン-イレブン以外の大手コンビニが対象だ。なお、アプリにからの事前エントリーが必須なので忘れないように。なお、ドコモ回線の料金をdカードで支払う、dマーケットを利用する、DAZN for docomoやDisney DELUXEに加入するなどの条件をクリアすれば、最大7%、計27%還元を受けられる。利用できるコンビニは、ローソン、ローソン100、ファミリーマート、ポプラ、生活彩家、くらしハウス、スリーエイト、ミニストップ。

8月13日以降のコンビニ以外の利用はPayPayと楽天ペイ

8月はLINE Payがまだキャンペーンを発表していないので、いまのところ8月13日以降にコンビニ以外でコード決済を利用するなら、前述のPayPayと楽天ペイだろう。

なおau PAYは、3日、13日、23日の3が付く日に還元上限額5000円ぶんの最大20%還元を受けられるが、税別月額499円のauスマートパスプレミアム会員でないと適用されないうえ、そもそもau PAYはau回線を契約していないと使えないなど、だれでもすぐに使える条件ではないので除外した。

Apple Cardは8月に提供開始、ティム・クック氏が発表

Appleの発売予定日は確実からほど遠くなってきた。例えばAirPower。しかし、Apple Cardは発表通りこの夏には提供されそうだ。

Apple CEO Tim Cook氏は同社の四半期決算会見で、Apple Card(ゴールドマン・サックスとの提携による)を8月に提供開始すると発表した。

「数千人のApple社員がベータテストで毎日Apple Cardをつかっている。8月にはApple Cardの提供を開始する予定だ」とCook氏は言った。

Cook氏の発言は、先週Bloombergが、Appleは8月始めを目標ににカードを提供すると報じていたこととも一致する。

関連記事:

Apple Cardの詳細、米国で今夏から使えるアップル製クレジットカード

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

メルペイ70%還元の対象店舗拡大、主要コンビニやマクド、吉野家も

コード決済サービスを提供中のメルペイは8月1日、最大70%の還元が受けられる「ニッポンの夏!最大70%ポイント還元!キャンペーン」を開始した。期間は8月11日までの11日間。対象になるのは「メルペイあと払い」のみで、金融機関の口座からのチャージやメルペイ売り上げ金であるメルペイ残高での決済は対象外。期間中の還元額の上限は1500円相当(1500ポイント)。

通常は50%還元。コード決済とiD決済の両方が使えるので、イオンなどのスーパーマーケットでも50%還元が受けられる。

セブン‐イレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、デイリーヤマザキ、ポプラグループ、吉野家、マクドナルドの各店頭でメルペイを使った場合に限り70%還元となる。

メルペイのキャンペーン施策などで、親会社のメルカリは連結決算で大幅な赤字を計上している中、戦闘力高めの還元キャンペーン。コード決済に対するメルカリグループの本気度がうかがえる。

現在、メルペイはコード決済プレイヤーで唯一、「メルペイあと払い」という名称の、実質的な個人向けの少額融資サービスを提供している。この融資を実現するため、メルペイではメルカリやメルペイでの取引実績を与信情報として信用スコア化し、あと払いの上限金額を決めている。

前回に引き続き、あと払い限定の大型キャンペーンにより、少額融資を気軽に受けられる環境が広まるのか注目だ。

米金融大手キャピタル・ワンで1億人の個人データが流出

米金融大手でクレジットカード発行者でもあるCapital Oneが侵入をを受けたことを公表した。侵入行為が最初に発覚したのは7月19日だった。

現在同社のウェブページにデータ侵害に関する告知が掲示されている。

現在TechCrunchで把握していることは以下のとおり。

  • Capital Oneは、2005年から2019年の間に登録されたクレジットカード申請データが漏洩したと認識している。
  • 同社によると、約1億人の米国ユーザーおよび600万人のカナダユーザーが対象になっている
  • 漏洩した可能性のあるデータには「氏名、住所、郵便番号、電話番号、メールアドレス、生年月日、および自己申告による年収」のほか「信用スコア、貸し出し限度額、残高、支払履歴、連絡先情報」が含まれる。
  • Capital Oneの推測によると、米国ユーザー約14万人の社会保障番号と8万件の銀行口座番号が盗まれた。カナダでは約100万人の社会保険番号が侵害された。
  • 2016年、2017年、2018年にわたる延べ23日分の取引データが何者かに取得された。

司法省の告示によると、シアトルのエンジニア、Paige A. Thompsonが本データ侵害の疑いで米国時間7月29日に逮捕された。 起訴状の内容はここで読める。告示には、Capital Oneは、他のユーザーが同社サイトについて投稿したのを見たGitHubユーザーから侵害の知らせを受けたと書かれている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

フィンテックのZetaが初の外部資金調達で企業価値325億円に

金融サービスの事業拡大を模索しているスタートアップは投資家から熱視線を浴び続けている。100%デジタルの銀行プラットフォームを運営し、支払いソリューションを企業に提供しているフィンテック企業Zeta(ゼータ)は今日、初の社外資金調達を行い、企業価値が3億ドル(約325億円)に達した、と発表した。

Sodexo BRS(Benefit & Rewards Services)が、Zetaの少数株を引き受けるためにZetaのシリーズCラウンドに出資した。Zetaの幹部は資金調達の規模は明らかにしなかったが、この件に詳しい情報筋によると調達額は6000万ドル以下とのことだ。

Zeta、またはCEOで創業者のバヴィン・ターアクヒア(Bhavin Turakhia)氏が外部から資金を調達したのは今回が初めてだ、とターアクヒア氏はTechCrunchとのインタビューで語った。

39才のターアクヒア氏はこれまでに多くのウェブ企業を共同設立し、2014年にはチームコラボと生産性のアプリ「Flock」を1億6000万ドルで売却した。Flockもまたこれまで外部からの資金調達は行なっていない。

Zetaはアジアと南米で事業を展開していて、この2地域には小売りや法人フィンテック商品の扱いを模索している企業や銀行など潜在的なクライアントを抱える。Zetaのフルスタックのクラウドネイティブ銀行プラットフォームは、クレジットやデビット、プリペイド商品の発行をサポートしている。企業向けソリューションでは、TnEカード、Pカード、経費管理、給与支払い、法人ギフトなどに対応している。

Zetaはすでにユーザー200万人超、Sodexoを含む3つの銀行・金融機関、Amazonを含む1万4000社超の法人クライアントを抱えている。インドの複数の銀行はZetaの法人ギフトサービスを活用している。

新たに調達した資金は同社の米国、英国、欧州、東南アジアでの事業拡大にあてられる、とターアクヒア氏とZetaのCTOで共同創業者のラムキ・ガディパティ(Ramki Gaddipati)氏はインタビューで語った。今後6カ月で事業拡大するためにZetaは多くのパートナーとすでに契約を結んでいる。

現在約450人を雇用しているZetaはまた、チームを拡大し、世界中により多くのオフィスを設ける計画だ。

「過去20年、銀行エコシステムにおいてはイノベーションがなかった」とターアクヒア氏は語る。「銀行業界をみると、旧態依然とした組織からのライセンス契約されたソフトウェアに独占されてきた。こうした企業の多くがいまだに世界中の銀行やノンバンクに支払いシステムの多くを提供している」。

企業の数が増えるにつれ、Zetaはいま、こうした事態をディスラプトする重要なときだと考えている。「これがZetaを興すことになった発端だ。銀行、そしてクレジットやデビット、プリペイドのプロダクトを発行し、顧客により多くの機能を提供したいと考えている銀行系の金融機関のために、面白いユースケースを可能にする新しくてイノベイティブなテクノロジーを構築する」と語った。

そうした機会を見出したことで、ターアクヒア氏は外部の資金を模索することになったという。「5〜7年以内にZetaをこれまでの20〜30倍大きな企業にしたい」と彼は話した

加えてZetaは、グローバル展開するSodexoがZetaのプラットフォームに何かしら好影響を与えるとみている。

SodexoのBRS部門のCEO、アウレリアン・ソネット(Aurelien Sonet)氏は発表文の中で「Sodexoは2017年からZetaの戦略的パートナーだ。今回の出資でSodexoグループはZetaの包括的ソリューションの恩恵を受けることができ、我々の顧客にシームレスな支払い体験を提供できる。ZetaとSodexoはすでに、Zetaのプラットフォームをさまざまな地域にあるSodexoの子会社に展開すべく共に取り組んでいる」と述べている。

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(翻訳:Mizoguchi)

株取引アプリのロビンフッドが350億円調達し企業価値8200億円に

人気の株取引アプリRobinhood(ロビンフッド)は米国時間7月22日朝、DST Globalが主導した3億2300万ドル(約350億円)という巨額のラウンドを発表した。

今回のシリーズEラウンドにより、カリフォルニア・メンローパークに本部を置くRobinhoodの企業価値は76億ドル(約8200億円)になり、シリーズD時の企業価値50億ドル超から大幅に増えた。

Ribbit Capital、NEA、Sequoia、そしてThrive Capitalも今回のラウンドに参加し、Robinhoodが調達した資金は「全ての人のためにファイナンスの民主化を引き続き追求する」のに使うと話している。

2013年創業のRobinhoodは、自前の決済システムClearing by Robinhoodを含むいくつかの新機能を昨年プラットフォームに加えた。また同社は金融ニュースの短い記事を提供するRobinhood Snackを立ち上げるためにメディアスタートアップを買収した。

Robinhoodはこれまでにベンチャーキャピタルで8億6000万ドル(約930億円)超を調達している。

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(翻訳:Mizoguchi)

Facebookが直接答えるLibraの税金と詐欺対策の仕組み

Facebook(フェイスブック)は、Libra(リブラ)が合法であることを示す新たな情報をTechCrunchに提供した。トランプ大統領がLibraは「違法な活動」を助長する可能性があると指摘したことを受けたもの。FacebookとLibra Associationの幹部は、Libraでは売上税と、キャピタルゲインに対する税金を負担することになると主張している。Facebookが一般のコンビニエンスストアや両替所とも協議して、Libraを一般の通貨と交換する際に、資金洗浄を防ぐためのチェックが可能となるよう、検討していることも明らかにした。またQRコードによって、個人がLibraを購入したり、売却したりもできるようにするという。

Facebookの広報担当者は、トランプ氏のツイートに直接反応するつもりはないと述べたが、Libra Associationは消費者とやりとりしたり、銀行として機能することはないとしている。また、Libraは既存の金融システムを補完するものになるはずだと付け加えた。

トランプ氏は、以下のようにツイートした。「規制されていない暗号資産は、麻薬取引やその他の違法行為など、非合法な活動を助長する可能性がある。したがって、FacebookのLibraという『仮想通貨』が、地位や信頼を築くとも考えにくい。もしFacebookや他の企業が銀行になりたいのであれば、銀行の設立許可を取得して、国内外の他の銀行と同じように、すべての銀行規制の対象とならなければならない」。

Libraの仕組みを理解するための入門資料としては、TechCrunchのビデオを観るか、以前に掲載した「Facebook announces Libra cryptocurrency: All you need to know」の記事をお読みいただきたい。

今回の広範囲に渡ったインタビューの中で、Libra Associationの政策責任者であるDante Disparte氏、Facebookのブロックチェーン担当の主任エコノミストChristian Catalini氏、およびFacebookのブロックチェーンプロジェクトの子会社Calibra(キャリブラ)の副社長、Kevin Weil(ケヴィン・ワイル)氏が、Libraの規制に関する質問に答えてくれた。それによって分かったのは以下の通り(明瞭さのために答えを短縮した場合もあるが、編集は加えていない)。

もし米国での規制によってFacebookのCalibra Walletが禁止された場合でも、どこか他の国で公開するということはあるのか?

ワイル氏:私たちは、スマホさえあれば利用でき、誰にとっても安い手数料で、かなり広範囲からアクセスできる金融エコシステムを構築することが、人々にとって有益だと信じています。そして、そのシステムを世界中の、できるだけ多くの人に届けたいのです。しかし、保管ウォレットとしての規制があり、それに準拠することになるので、認可が得られる市場でのみ営業することになります。

それでも、できるだけ多くの市場で営業したいと考えています。そのために、実際に製品として公開するかなり前に発表したのです。規制当局との交渉には長くかかりますから。人々が安全に利用できるものにするために努力していること、そしてどこでもわずかな手数料で利用できる金融サービスの登場によって、各国の人々に価値がもたらされることを理解してもらうため、私たちは規制当局との話し合いを続けています。

TechCrunch:でも、もし米国で禁止されたらどうなりますか?

ワイル氏:それについて包括的な答えを出すのは気が引けます。しかし、一般的に言って、Libraは人々にとって有益だと信じているので、できるだけ広範囲で使えるようにしたいと考えています。もし米国が禁止することになれば、他の国の規制当局も懸念を抱かざるを得ないと思っています。これを実現するために、私たちが渡らなければならない橋だと考えています。しかし、これまでのところ、規制当局とは率直でオープン、かつ誠実な議論ができています。そして間違いなく来週には、Davidの証言があります。私としては、Libraが禁止されてしまうようなことにはならないことを願っています。なぜならLibraは多くの人にとって、多くのメリットをもたらすことができると考えているからです。

TechCrunchの分析:米国下院の小委員会は、規制当局が慎重に検討して行動を起こすことができるようになるまで、LibraとCalibraの開発を中止するよう要請する書簡を、すでにFacebookに送付している。Facebookは、米国がLibraやCalibraを禁止するようなことになれば、他の主要な市場でも、ドミノ倒しのように同様の動きが広がると懸念しており、そうなれば公開を正当化するのは難しいと考えているようだ。そのため、米国時間7月16日と17日に行われるLibraについての議会公聴会の成り行きが、FacebookのCalibraの責任者であるDavid Marcus(デヴィッド・マーカス)氏にかけるプレッシャーは、かなり大きなものとなる。

ユーザー個人は、どのようにしてLibraに入金したり、逆に引き出したりするのか?

すでに分かっているのは、CalibraというFacebook独自のLibra用ウォレットがあり、MessengerとWhatsAppに組み込まれる。さらに専用の独立したアプリも用意されること。そこでは、接続された銀行口座と政府発行のIDを持っている人は、KYC(Know Your Customer=顧客確認)による不正取引と資金洗浄を防止するためのチェックを受け、Libraを売買できる。しかしLibraの最終的な目標は、銀行口座を持たない人々を、最新の金融システムに取り込むことなのだ。それをどうやって実現するのだろうか?

ワイル氏:Libraはオープンなエコシステムなので、両替業者や起業家は、Libra Associationの関係者や同協会のメンバーから許可を得たりすることなく、現金の出し入れをサポートする業務を始めることができます。ただ始めさえすればよいのです。今日、新興市場には、LocalBitcoins.comのように、暗号通貨を現金に、またはその逆に交換する相手をマッチングするサービスがいろいろありますが、そうしたサービスはLibraにも登場すると思います。

2番目に、地元の両替商、コンビニエンスストア、あるいは入出金を扱う他の業者と協力することで、Calibraとのやり取りを容易にして、促進することができます。Calibraアプリや、Messenger、WhatsAppを使った交換の方法は簡単です。現金を出し入れしたい場合、まずその付近で交換可能な場所を示す地図をポップアップ表示させます。その中から、近くのものを選択し、金額を設定すると、QRコードが表示されます。後はそれを提示するだけで、取引することができるのです。

そうした協力関係にある業者のほとんどは、Libraの扱いを広範囲に拡めてくれるものと期待しています。そうした取引が実際に始まれば、Calibraだけでなく、Libraを扱うすべてのウォレット、エコシステム全体に利益をもたらすでしょう。

TechCrunch:Western Union、MoneyGram、Walgreens、CVS、7-Elevenといったコンビニエンスストアの運営会社や、両替業者との取引を開拓しているのでしょうか?すでに交渉を始めているのですか?

ワイル氏:個別の取引についてはコメントを控えますが、考えていらっしゃるようないろいろな人たちと話をしています。なんと言っても、Libraと各国の通貨の間で自由に交換できることは、初期の普及と有用性を推進する上で非常に重要だからです。銀行預金との間なら、話は簡単です。私たちが本当にLibraを使ってほしいのは、銀行預金ではなく現金でやりとりしたい人たちですが、そうした人にとっても手続きが簡単になるよう、懸命に取り組んでいるのです。

TechCrunchの分析:Calibraは、こうしたアプローチによって、複雑で誤りの発生しやすい人手によるKYCや、直接現金を支出するプロセスの大部分を避けることができる。責任と負担を外部の業者に丸投げにできるからだ。

Libraは、IDや銀行口座を持たないユーザーにも対応しながら、どうやって詐欺や資金洗浄を防ぐことができるのか?

ワイル氏:IDを持っていなくても、非常に重要な集団に属する人がいます。たとえば、難民キャンプの人たちがそうです。私たちはLibraを、そうした人たちにも役立つものにしたいのです。Libraのエコシステムに参加したいと考えている人にとって、Calibraが唯一の選択肢ではない、ということは重要ですが、これがその理由の1つです。そうしたものには、各国、各所の業者によって運営されるものもあるでしょう。そうした業者は顧客と個別に面接してサービスを提供したり、KYCを実行することもあります。そうしたことを、私たちがすることはないでしょう。私たちは唯一のウォレットになるつもりはありませんし、そうなりたいとも思っていないのです。

これは、当初から複数のNGOがLibra Associationのメンバーになっていた理由の1つです。というのも、私たちは身元確認のプロセスを収益化することを推奨したいと考えているからです。そのためには、政府が発行した認証情報を利用する場合も多いのですが、身元確認や認証のために新たなタイプの情報を使うことも想定しています。このプロセスが、いわゆる最後の1マイルの問題を解決することを願っています。

非保管ウォレットの場合、ユーザーは誰も信用していません。規制当局が対応してきた方法ですが、話し合いを続けているうちに、どんどん進展しています。暗号通貨の世界に入ったり、そこから出たりすることは規制の対象となり、そうした業者は顧客と直接やりとりします。そのため、ユーザーをKYCする義務があります。私たちの場合は、保管ウォレットになります。KYCも行います。BitcoinやEthereumのエコシステムには、複数のウォレットがあります。それらはユーザーと直接の関係を持たない非保管ウォレットです。彼らは、どうにかしてBitcoinを手に入れなければなりません。通常は、交換によるものです。またそのプロセスの一環としてKYCの確認を受けています。

多くの新興市場には、LocalBitcoins.comがあります。そこでは、どのような市場であっても対面して現金をBitcoinに交換してくれる代理店や仲介業者を見つけることができます。そして彼らは、全員に対して確実にKYCを実行するようにし始めたところだと思いますが、本人と対面して確認しています。そして今やっているのとは違う方法が、いくらでも考えられるはずです。それを実現するための方法はたくさんあると思います。そしてLibraはオープンなエコシステムなので、それに関して何かしらの新規事業を起こす余地は十分にあるでしょう。

政府発行のIDを持っていても、今日の金融エコシステムから、十分な恩恵を受けることができないでいる人は非常に多いのです。そのため、全員にKYCプロセスによる確認を要求するとしても、現在の金融エコシステムではカバーできない多くの人にサービスを提供できるはずです。私たちは、KYCできない人たちをサポートする方法を見つけたいと考えています。そこで重要なのは、Calibraが他のウォレットと完全に相互運用できるようになるということです。そこには、ローカルな市場にいる人たちも含みます。その方が各自のニーズにうまくマッチするからです。

TechCrunch:その相互運用性を利用して、非保管ウォレットを持っている人がLibraを受け取り、それをCalibraウォレットのユーザーに送った場合、それはKYCを通っていないユーザーからCalibraにLibraが送金されたということになるのではないでしょうか。それによって資金洗浄ができるのではないのでしょうか?

ワイル氏:それは話し合いが進むにつれて持ち上がってきた、規制の対象となる検討項目の1つです。トラベルルールと呼ばれているものがあります。一定の金額を超える送金の場合には、送り手と受け手の両方が誰なのかを明らかにしなければならないというものです。送金者が保管ウォレットを利用している場合には、当然明らかになるわけです。規制は徐々に厳しくなりつつありますが、規制の内容が固まれば、もちろんそれに確実に準拠するつもりです。

TechCrunchの分析:Calibraは、最良のアプローチを手探りで探すような規制ではなく、厳密に遵守することができるような規制を求めているようだ。しかし、非保管ウォレットと保管ウォレットとの間の送金、あるいは対面での現金化などについて、具体的な規則がいつ制定されるのかが明確になっていないことを考えると、FacebookとCalibraは独自の強固なプロトコルを確立する必要があるのではないだろうか。さもなくば、トランプ大統領が言う「違法行為」を許したとして罪に問われる可能性がある。

Libraは、どのように課税されるのか?

LibraのDante Disparte(ダンテ・ディスパート)氏:デジタル資産への課税は、地方レベルおよび司法レベルの両方で、現在設計中となっています。私たちの世界観では、どんな形のお金でも、どんな形の支払いや銀行業務でも、税制度を遵守するという責務は、個人のユーザー、そして消費者について回るものです。そしてここにも広く同じことが当てはまるでしょう。

私たちは、Libraブロックチェーン上で何らかのソリューションを開発している多くのウォレットや金融サービスの提供者が、今よりもはるかに簡単に使えるツールを提供してくれることに期待しています。デジタル資産や暗号通貨に関する税金を計算して申告できるようなツールです。今から、Libraが市場に登場するまでには、まだかなりの時間があります。そのときまでには、サービスの提供者の間で、司法レベルでのより厳密な取り決めができるでしょう。

TechCrunchの分析:やはりここでも、Facebook、Calibra、Libra Associationは、納税に対するすべての責任を負うことを避けたいと望んでいる。取引の際にVisaカードで支払おうが、銀行の小切手を使おうが、あなた自身が率先して税金を支払わなければならないのだから、Libraについても税金を払うのはあなた自身だ、というのが彼らの考え方なのだ。

TechCrunch:米国では、政府がLibraの取引に課税するように要求するのは理にかなっていると思いますか?

ディスパート氏:デジタル資産に対する税務上の取扱いは、世界中のどこを見ても、広く完全に明確にされているわけではありません。このプロジェクトと、それを取り巻くエコシステムが、その部分を明確にするのに役立つことを、私たちも願っています。

税務当局は、Libraからは消費レベル、および家計レベルで恩恵を受けますが、一部の暗号通貨には、実際に現金化するまでは税の支払いを回避しているものもあります。しかし、その性格、投機性の低さ、その設計からすれば、伝統的な通貨に対するものと同じような、軽微な課税措置を適用すべきだと考えています。

FacebookのChristian Catalini(クリスティアン・カタリーニ)氏:暗号通貨は、今でも売却時の損益に基づいて、毎回課税されています。Libraは交換のための媒体として設計されているため、そうした利益や損失は、身近な通貨に比べてかなり小さいものになる傾向があります。売上税は、Libraに対しても、現在クレジットカードで支払う場合とまったく同じように課税されるはずです。

公開時に現在の規制のままだとすると、Calibraウォレットは米国のユーザーのすべての購入と売却を追跡しなければならないでしょう。そしてその差額は、申告時に報告しなければなりません。BitcoinのCoinbaseアカウントを持っている人が今日していることと同じように、損失を取り扱うことができます。米ドルに対比して考えると、それが非常に小さな損益だとしても。

私が思うに、売上税については、今日のいろいろなデジタルの支払いとまったく同じように適用されるでしょう。違いはないはずです。Libraを使って商品やサービスを購入すれば、別の支払い方法を選択した場合と同じように、売上税を支払うことになります。今日と同じように、購入の合計金額に対する比率で、売上税がかかるのです。

ディスパート氏:おそらく、世界中で税金というものがどのように機能しているかを把握する最良の方法は、それを決めるのがLibraでも、Calibraでも、Facebookでも、それ以外の会社でもない、ということを理解することでしょう。それは規制当局と官庁に委ねられているのです。

TechCrunch:Calibraでは、売上税の扱いについては、すでに計画を立てているのでしょうか?

ワイル氏:それについても、ちょうど今、規制のエコシステムの中で、かなり急激に進展している部分です。今まさに進行中の議論なのです。私たちは、規則当局が必要だと指摘することは、何でもするつもりです。

TechCrunchの分析:こうして私たちは、今回のインタビューから確かな答えを得ることができた。Facebook、Calibra、Libra Associationが考える税金に対する適切なアプローチとは、まずLibraの取引には国の伝統的な売上税が適用されること、そしてウォレットに保管しているLibraにも、Libraのステーブルコインとしての米ドルに対する価値に応じて課税されなければならない、というものだ。ちなみにLibraステーブルコインの価格は、複数の国際通貨のバスケットに連動する。

もしLibra Associationが、すべてのウォレットと取引に関して、こうしたルールの適用を推奨し、Calibraがその際の税金を簡単に処理する機能を意識して開発されるなら、政府は少なくとも、Libraは税金を回避する手段であると難癖をつけることはできないし、誰もが公平に支払を分担することになるだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)