Venmoが銀行口座への即時送金サービスをローンチ

PayPalが所有する決済アプリのVenmoは米国時間8月13日、米国の銀行口座への即時送金をサポートすると発表した。この機能は、通常1日から3日営業日ほどかかる銀行送金サービスのオプションとなる。一方でInstant Transferを使えば、Venmoアカウントからの資金を数分以内に銀行口座に入金することができる。

2018年1月の段階で、VenmoはInstant TransferにてVISAとMastercardのデビットカードを使用した少額の即時送金を提供していた。ローンチ時の手数料は一律0.25ドルだったが、昨年10月には送金金額の1%へと引き上げられた。現在の最低手数料は0.25ドル、最高手数料は10ドルとなっている。もちろん、この便利な即時送金を利用したくない場合には、通常の送金オプションも利用できる。

デビットカードへの送金はVemnoに保管された現金に素早くアクセスするのに役立つが、誰もがデビットカードを持っているわけではないし、自分の資金がいつもそのカードに送られるのを望んでいるわけではない。銀行振込は通常の支払いや家賃、その他の自動引き落とし処理のために、Venmoの現金をメイン口座に移すことで、中小企業やギグエコノミーの従業員にとって役立つ。

VenmoによるInstant Transferサービスの拡大のニュースは、SquareのCash Appや、銀行が運営しVenmonのライバルとなるZelleとの競争の激化と同時に登場した。内部顧客と米国の銀行アプリとの統合のおかげで、Zelleは2019年第2四半期に1億7100万件の取引で440億ドル(約46000億円)を送金し、米国最大のピアツーピア支払いアプリとなった。一方、Venmoの第2四半期の支払額は240億ドル(約2兆5000億円)だった。

しかし4000万件以上のアクティブアカウントを持つVenmoは、アメリカの一部大手銀行よりも多くのユーザーを抱えている。そして、その成長は続いているのだ。

手数料ベースのInstant Transferサービスを顧客に提供することでVenmoは収益を上げ、独自のクレジットカードのローンチなどその他の計画とあわせて、サービスを収益化することができる。

Venmoの親会社であるPayPalも、2017年に最初に発表されていた銀行口座への即時送金を今年3月に提供している。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

Sympleは「B2B版のVenmo」を目指す

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VenmoやSquare Cash、そしてSnapcashなどのサービスが存在するいま、友人への送金が難しすぎるなんてことは言えなくなった。

しかし、かつてそれは面倒な作業だった。ひと昔前のデファクトスタンダードは紙の小切手だったのだ ― それは複雑な作業で、時間がかかり、即時送金なんて夢の話だった。小切手を書いてからその資金が相手に到着するまでに1ヶ月かかるなんてこともあった。小切手を書いたことすら忘れてしまった頃、引き落としにビックリしてしまうなんてこともあった。

しかし驚くべきことに、アメリカの多くの小規模ビジネスは今でも他社への送金手段として紙の小切手を使っているのだという。例えば、アメリカの典型的なレストランでは、複数のベンダーへの送金のために、1ヶ月に100枚以上の小切手を切ることもある ― そして、そのベンダーが銀行に持ち込む小切手の枚数を想像してみてほしい!

そこでSympleの出番だ。2017年冬のY Combinatorバッチにも参加した同社は、彼ら自身のことを「ビジネス向けのVenmo」と呼ぶ ― 確かにその通りのサービスだ。

使い方は以下の通り:

小規模ビジネスは受け取ったインボイスの写真を撮って、それをSympleに送信する(Eメールでインボイスが送られてきた場合、そのメールをSympleに転送すればいい)。Sympleはそのインボイスに表記されている金額や締め切り日をパースする ― そして、支払い担当者にそれを通知するという仕組みだ。

その後、支払い担当者はSympleを利用してワンクリックでベンダーの銀行口座に振り込みをすることが可能だ。

もちろん、ベンダーがSympleの会員となって口座情報を登録しておくことは必要だ。しかし、Symple共同創業者のSteve Abrahamによれば、ベンダーたちはこの会員登録の作業を受け入れる傾向にあるという。なぜなら、それによって長期的には売掛金を回収するスピードが上がることになるし、資金回収の安心感も増すからだ。

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Sympleには基本的な分析ツールも備わっている。同社が提供するダッシュボードでは、支払いのトラッキング機能、支払期限の通知機能などが利用できる。また、自分たちのビジネスがどこにお金を費やしているのかを確認することも可能だ。

現在、Sympleの主なターゲットはレストランやバーなどの外食ビジネスだという。外食ビジネスは週ごとに送るインボイスの数が多いからだ。しかしSympleは他の産業にもビジネスを拡大していく予定で、最終的にはすべての産業に利用されるプラットフォームを目指すという。

今のところSympleは無料で利用することができる。しかし同社は今後、プレミアム会員の導入も予定しているようだ。プレミアム会員では、QuickBooksなどの会計サービスとの統合機能など、より高機能なサービスを提供していく。プレミアム会員の料金は最大で月額150ドルで、ユーザー数や処理するインボイスの数によって料金が変動する。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

決算発表後にPayPalの株価が2%上昇、Visaとのパートナーシップが好材料に

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木曜日の株式市場が閉じた後、PayPalは決算発表を行った。アナリストによる今四半期の予測収益が26億ドルだったが、実際には26億5000万ドルだった。調整後株当たり利益は、ウォール街の予想値である36セントと同等だった。

株価は時間外取引で2%上昇した。その1つの要因として決算発表と同時にVisaとの発表があったからだ。Visaとの新しいパートナーシップでは提携を深め、カスタマーがPayPalのアカウントから銀行口座に資金をVisaのデビットカードで簡単に動かせるようにする。このパートナシップではさらに、Visaの非接触決済取引を導入する販売店でPayPalのデジタル・ウォレット決済を受け付けることができるようになるということでもある。

「Visaとの提携で私たちの機能を拡張し、コンシューマーや店舗は新しい文脈で私たちのサービスを活用することができるようになります。そして、さらなるパートナーシップの基盤にもなります」とPayPalのCEOであるDan Schulmanと声明で伝えた。

PayPalのプロダクトのグローバルヘッドであるSVPであるBill Readyは「カスタマーがどこでも、どのようにでも支払うことができるようにすること」が目標だという。Visaとは「障壁の少ないコマース体験を作るために協力します」という。

PayPalは、年間の収益予想を100億7500万ドルから100億8500万ドルの範囲に上方修正した。彼らは今年度の調整後株当たり利益を1.47ドルから1.50ドルに見込んでいるという。

PayPalは前四半期800万の普通株を買い戻すことで、3億ドルを株主に返した。

投資家は、PayPalがVenmoのビジネスのマネタイズに成功するかどうかを気にしている。Venmoはミレニアル世代に人気のモバイルで使えるピア・ツー・ピアの支払いシステムで、同社はその決済ごとに課金はしていない。Venmoは今四半期、39億ドルの支払いを処理した。しかし、収益の配分までは開示していない。

Venmoは最近、店舗支払いを導入した。店舗はPayPalに取引毎に僅かな割合を支払うことで、「Venmoによる支払い」の選択肢をカスタマーに提供することができる。

PayPalの最大のビジネスはBraintreeだ。BraintreeはUberからAirbnbまでホワイトレーベルでモバイル決済ソリューションを提供している。Braintreeは盤石なクライアントリストを獲得し、モバイル決済分野で一大勢力になりつつある。

PayPalの株価は、1年前にeBayからスピンオフした時から13%上昇している。同社の時価総額は490億ドルだ。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

Apple、ピアツーピア支払いに参入か

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本稿の執筆はKatie Roof

Appleがモバイル支払いサービスを立ち上げるべく銀行と協議していると、Wall Street Jounalの記事が伝えた。そのサービスは、PayPalのピアツーピアモバイル支払いサービス、Venmoと競合するようだ。

早ければ2016年に開始されるというそのプラットフォームは、銀行口座をApple端末と結びつける。ユーザーは、当座預金口座から他人の口座へ直ちに送金できる。

記事によると、J.P. Morgan、Capital One、U.S. Bancorp、およびWells FargoがAppleと協議しsた。交渉がどの段階にあるかは不明だが、「開始は差し迫っていない」という。

新サービスは、iPhoneとApple Watchedで提供されているモバイル支払いサービス、Apple Payと協調する可能性が高い。昨年スタートしたApple Payは、Visa、MasterCard、American Expressを始めとする主要クレジットカード会社と提携している。

Venmoの広報担当者はTechCrunchに、「PayPalは噂や臆測についてコメントしないが、友達や家族に現金を送る手続の煩わしさに、人々の注意を向けさせる動きは何であれ歓迎する。われわれはPayPalとVenmoを含め複数のサービスでそれを簡単にしてきた。当社のサービスは複数のデバイスやオペレーティングシステム、およびオンラインのいずれでも利用できる」と話した。

モバイル支払い分野の競争は激化しており、SquareはIPOを間近に控えている。Squareには、Square Cashというピアツーピアサービスがあり、Venmoと類似の機能を持つ。Googleとfacebookも、最近この分野の参入した。

PayPal株はこのニュースを受け2%値を下げた。

Appleはコメントを拒んだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook Messengerには、支払い機能のコードが隠されている

FacebookのMessengerアプリは、友達同士で送金し合うしくみの準備を整えた。あとはFacebookがこの機能のスイッチを入れるだけだ。スタンフォードのコンピュータサイエンスの学生、Andrew Audeが、iOSアプリ解析ツール、Cycriptを使って撮ったスクリーンショットとビデオによる。

Messengerの支払いオプションを使うと、ユーザーは写真を送るのと同じようにメッセージでお金を送ることができる。そのためにデビットカードを登録するか、すでにFacebookに登録したカードを使える。アプリにはPINコードが導入され、支払いにかかわるセキュリティーを強化している。

FacebookがMessengerを収益化するために、少額の送金手数料を徴収するのか、この単体チャットアプリの利用を促進するために無料で提供するのかは不明だ。それは元PayPalのプレジデントで、新たにMessengerの責任者となったDavid Marcusの考え次第だ

これでFacebookがMarcusを引き抜いた理由がはっきりした。Facebook Messengerによる支払いは、Venmo、PayPal、Square Cashその他のピアツーピア送金アプリと競合する。。

FacebookのCEO、Mark Zuckerbergは同社のQ2 収支会見で、「いずれ、Messengerと支払いにはある程度重複する部分ができるだろう・・・支払い機能は、Facebook全体の成功を後押しするものであり、ユーザーがユーザー同士あるいは企業とやり取りするのにも役立つようにになる」と語った。しかし彼は、「必要な基盤作りのためにはまだ山ほど作業が残っている」のでまだ実施には時間がかかると語った。

彼は、アナリストや投資家に対して、これ[支払い機能]がすぐ来ると予想していたならFacebookの収益予測を修正するように、と促した。「もしみなさんの立てたモデルなどに、われわれがこれをやる計画が反映されているなら、修正することを強く推奨する。なぜなら、まだやらないからだ。われわれは複数年をかけて、正しいやり方を探していく」

Messengerのコードに支払い機能があることを先月最初に見つけたのは、セキュリティー研究者のJonathan Zdziarskiだった。Audeは本誌に対して、彼がCycryptを使って、自分のjailbreakしたiPhoneのMessengerアプリのコードに入り込み、支払い機能を有効にしてスクリーンショットとビデオを撮ったことを話した。FacebookにMessenger支払いについて問い合わせたところ、同社はコメントを拒んだ。

Audeはこの機能とコードをいじってみた。彼によると使い方は、ボタンを押して支払い機能を起動し、送金したい金額を入力して送るだけだという。送金取引情報は非公開で、ニュースフィード等には一切流されない。

Audeが解析したバージョンのMessenger支払いでは、デビットカードのみが利用可能で、クレジットカードや銀行口座は使えない。おそらく、デビットカードを利用した方が安上がりで認証手続きも楽だからだろう。Audeは、「デビットカードの取引でFacebookにかかる手数料は0.40~0.50ドル程度だろう。アプリには送金手数料への言及がなかったので、少なくとも当初は無料と思われる。いずれ1ドルの手数料を追加するかもしれない」と語った。しかし、それを確認する術はない。

Messengerの支払いオプションの中にPayPalをなかったが、Audeが発掘したコードの中にはPayPalについての注記があった。Facebookは、ユーザーがメインアプリでゲームまたは広告の支払い設定を行う際に、自動的に支払い方法のリストを表示する。

実際に資金が送られる方法について、Audeは私に、「送金のしくみは、まず一方の口座から引き出し、次に何かの魔法を使って受け手の口座番号とACH[自動決済機関]を割り出して振り込む。これはSquare Cashと同じだ」と言った。

今のところ支払いは個人対個人に限られるが、いずれはグループ支払いもサポートするであろうことが、コードから見てとれる:「当面は単一の支払いのみの添付をサポートする。複数支払いは将来サポートする」

Audeは、Facebookは同機能を数ヵ月以内に米国で有効にし、いずれその他の国でも公開するだろうが、このコードは早期段階の内部テストに向けたものだと考えている。一般公開までにはまだ時間がかかりそうだ。しかし、いつの日かFacebookは、外国人労働者が自国の家族へ送金する際に、10~20%に及ぶ法外な手数料を取っている送金業界に挑戦できるかもしれない。

現在メッセージングでは、Facebook/WhatsApp、Apple iMessage、TencentのWeChat、Line、KakaoTalk、Google Hangouts、Kik、楽天のViber、その他のサービスによる国際戦争が起きている。それぞれがスタンプやゲーム、コマース、ソーシャルネットワーキングなどで差別化をはかっている。

もしMessenger支払いが成功すれば、Facebookのチャットアプりを選ぶ全く新しい理由が増えることになる。友達に送金する、というのは月に何度もあることではないので、そのために専用アプリを使うのは理にかなわない。Facebookは、人々が毎日使うアプリに機能を組み込むことによって、Venmo等の専用アプリと争うつもりだ。

さらには、ピアツーピア支払いだけでなく、この機能によってFacebookはテビットカードやその他の支払い情報を集めることができる。その情報は、これもFacebookが取り組んでいる、ニュースフィードから直接Eコマース購入ができるBuyボタンにとっても非常に有用だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook