ボーイングの有人宇宙飛行船Starlinerの軌道飛行テスト中の船内映像

2019年末、Boeing(ボーイング)は同社の商業有人宇宙船、Starliner(スターライナー)の軌道飛行テストを行った。これは実際に宇宙飛行士を乗せて飛ぶ前に行われる最重要なイベントだ。しかしテストは計画通りには進まず、スターライナーは国際宇宙ステーションと実際のミッションで指示されているドッキングができなかった。失敗はミッションタイマーのエラーが原因だったが、大部分のテストは成功し、搭載カメラは飛行の全貌を捕らえた。

ボーイングは、カプセルの窓に設置された外部を観察するカメラと、内部で本物の人間がどんな行動をするかを見るために使われたダミー宇宙飛行士を写したカメラの両方からフライトの各部分ごとの映像(タイマー故障の直後を含む)を編集でつなぎ合わせた。キャビン内には固定された貨物と「ゼロGインジケーター」の役目を果たすスヌーピー人形も見ることができる。

最終的にはミッション中に撮影された映像すべてを公開する予定だとボーイングは語った。これは同社の商業有人宇宙船が、初の軌道飛行に搭乗する宇宙飛行士たちにとって絶対安全であることをNASAと一般市民に納得させるためには是非とも必要な透明性であり、正しい行動だ。有人飛行は今年中の実施が期待されている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ロケット・ラボが本部とミッションコントロール、生産設備を統合した新施設をロングビーチに開設へ

Rocket Lab(ロケット・ラボ)は、米国バージニア州のワロップス島に初となる発射場を開設するとともに、米国での事業を拡大する。この宇宙開発スタートアップは、カリフォルニア州ロングビーチに新しい本社を開設する。同センターは、ニュージーランドの既存の施設を補完する、第2のミッションコントロールセンターとして機能する。

ロケット・ラボによると、新施設の建設はすでに始まっており、今年の第2四半期(4月〜6月)に完成する予定だという。施設では年間12機以上のElectronロケットを生産でき、ワロップス島の発射場からの月間1回というロケット発射サイクルに見合うという点で、同社のニーズを満たすであろう。

Electronにくわえて、ロングビーチの施設はロケット・ラボのオプションサービスとなる、人工衛星も生産する予定だ。同社は昨年、単に顧客に打ち上げサービスを提供するだけでなく、エンドツーエンドのミッションサービスを提供すると発表した。これには、小型衛星をさまざまな目的に利用したい顧客のニーズにあわせてカスタマイズできる、衛星のハードウェアも含まれる。

ロケット・ラボはこのロングビーチに、アメリカでは初となるミッションコントロールセンターを設置する予定で、ここからワロップスでの打ち上げが管理できる。ニュージーランドのLC-1(打ち上げ施設)とワロップスのLC-2、そして最終的にはニュージーランドのマヒア半島に設置される第2の打ち上げ施設にて、増加するロケット打ち上げを管理するのに役立つだろう。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Satellogicが2機の地球観測衛星を打ち上げ、画像・分析サービスを拡大

地球観測ビジネスを手がける宇宙開発企業のSatellogic(サテロジック)は、米国時間1月15日に中国の長征2Dロケットで打ち上げる2機の新型衛星を使って、軌道上の衛星群(コンステレーション)を拡大する。同社は2010年に設立され、現在軌道上で8機の衛星を運用しており、今回の打ち上げでマルチスペクトルおよびハイパースペクトルカメラを搭載し、高解像度での地上撮影を実現する2機のNewSat Mark IV衛星を追加する。

Satellogicの最終的な目標は、地上の画像を顧客に提供するだけでなく、衛星が収集したデータを基にした分析や洞察を提供することだ。同社のデュアルカメライメージング衛星は、マルチスペクトルレベルで1メートル、ハイパースペクトルレベルで30メートルの解像度を実現する。マルチスペクトルカメラはより詳細な画像を撮影できるが、ハイパースペクトルイメージングでは、例えば地上に存在するさまざまな鉱物のような見えない情報を顧客に提供できる。

Satellogicは今後2年間で80機以上の衛星を打ち上げる計画で、すでに契約も結んでいる。そして衛星の打ち上げによりコンステレーションを構築し、衛星画像サービスの範囲と頻度を拡大する。同社はまた、ウルグアイの組立・試験施設を拡大し増加する従業員に対応する予定だと発表しており、また最近は継続的な事業拡大のために5000万ドル(約55億円)の新規資金調達を完了した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

宇宙開発企業Blue Originが新本社と研究開発センターをワシントン州に開設

eff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が創設した宇宙開発企業のBlue Origin(ブルー・オリジン)は、ワシントン州ケントに新たな本社および研究開発施設を開設し、正式にリボンカットを行った。Amazon(アマゾン)の本社の近くにある23万平方フィート(約2万1368平方m)の新施設は、30エーカー(約12万1406平方m)以上の土地の中に建設され、最終的には1500人のBlue Originの従業員の拠点となる。

新本社はプリンストン大学の物理学者であるGerard O’Neill(ジェラード・オニール)氏にちなんで、O’Neill Buildingと名付けられた。O’Neill氏は1970年にNASAと共同研究を行い、長期滞在者や宇宙船内での農業のため、地球の重力を再現するために回転するよう設計された、いわゆるO’Neillシリンダーを含む、宇宙で人間が持続的に活動するための未来技術を考案したことで知られている。

ベゾス氏は2019年、オニール氏のビジョンの実現について議論し、地球上の人類の住み家を拡張するために、1つの宇宙ステーションで100万人もの人々が居住する方法を詳しく語った。

Blue Originの従業員数は、米国のフロリダ州ケープ・カナベラル、テキサス州西部のバンホーン、アラバマ州ハンツビルの施設を含めれば2500人を超える。今年3月には、アラバマ州にてエンジン製造の専用施設を開設する計画だ。そして2020年にはサブオービタルロケットのNew Shepardにて、初の有人飛行を実施する。New Shepardは有人飛行の認証の獲得に向けて順調に開発が進んでおり、さらに翌年には大型ロケットのNew Glennの運用を始める予定だ。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

SpaceXのドラゴン補給船が科学実験機器とともにISSから帰還

SpaceX(スペースX)は国際宇宙ステーション(ISS)への19回目の商用補給(CRS)ミッションを成功させ、使用されたDragon補給船が米国時間1月7日の朝早く、太平洋に着水した。今回使用されたDragon補給船は、SpaceXのCRSミッションで、すでに2回もISSを往復している。

12月5日にCRS-19ミッションで打ち上げられたDragon補給船は、12月8日にISSにドッキングし、約1カ月間係留されている間に宇宙飛行士が約5700ポンド(約2.6トン)の物資や実験機器を含む、その内容物を積み降ろした。そしてDragon補給船は、地上の研究者が研究するための実験素材を持ち帰っている。

その中には「ワムシ類」と呼ばれる微小な水生動物やマウスが含まれており、どちらも微小重力がさまざまな生物に及ぼす影響を研究するために利用された。またもう1つの実験は、宇宙飛行士が長期の宇宙滞在中に受ける、放射線被曝の解決策を科学者が開発するのを支援するというものだ。これはほんの一例にすぎず、学術機関やNASA、そして民間のパートナーによる、何百もの実験が行われている。

今後、Dragon補給船は太平洋から回収され、地上にて内容物が回収される。SpaceXは3月上旬にも補給ミッションを予定しており、ISSへの有人宇宙飛行を実現するためのCrew Dragonのミッションも継続している。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

ヴァージン・ギャラクティックの商業旅行用宇宙船、2号機の建造進む

Virgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)の宇宙船は規模を拡大しており、同社の2番目の商用宇宙船は、初号機のSpaceShipTwoよりもはるかに早く、建造プロセスにおける重要なマイルストーンを達成した。2号機となるSpaceShipTwoは初号機の「VSS Unity」に加わり、商業宇宙旅行を提供する予定だが、現在は機体が自立することで組み立てにおける重要な成果に到達している。

この新型のSpaceShipTwoの名前はまだ公表されていないが、現段階では機体の約80%が完成しているという。一方、ヴァージン・ギャラクティックはVSS Unityの飛行テストも実施しており、さらに3号機の建造も開始している。その完成度は約50%に到達しており、作業はカリフォルニア州モハベにある本社で、2号機とともに進められている。

この2号機の次の目標は、飛行制御、出力、高度調整などを提供する、すべての統合システムを接続することだ。組み立ては多くのモジュラーコンポーネントを使用するなど、建造プロセスの効率が大幅に向上したため、初号機よりもはるかに高速化された。同社は2021年の収益化を目指しており、最終的には宇宙旅行のチケットの価格を下げたいと考えているため、複数の宇宙船の建造はそれに貢献することになる。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

NASAの惑星ハンティング衛星が生命存在の可能性がある新しい地球サイズの惑星を発見

NASATransiting Exoplanet Survey Satellite(トランジット系惑星探索衛星:TESS)は、地球サイズで生命が存在する可能性のある新たな惑星を発見した。この惑星は、地表に液状の水をたたえられる条件を満たす距離で恒星の軌道を巡っている。

パサデナにあるNASAのジェット推進研究所(JPL)の声明によれば、科学者たちはNASAのスピッツァー宇宙望遠鏡を使用して「TOI 700 d」と呼ばれるこの惑星を確認した。

この新しい惑星は、TRAPPIST-1(トラスピット1)星系を初め、NASAのケプラー宇宙望遠鏡で発見されたその他の領域のいくつかの地球サイズの惑星の仲間に加わることとなったと、JPLでは話している。

「TESSは、近隣の恒星系を周回する地球サイズの惑星を探すために、特別に設計され打ち上げられました」と、ワシントンD.C.のNASA本部に所属する天体物理学部門長のPaul Hertz(ポール・ハーツ)氏は声明の中で述べている。「近隣の恒星を巡る惑星は、宇宙と地上の大型望遠鏡を使うことでもっとも容易に追跡できます。TOI 700 dの発見は、TESSにとって非常に重要な科学的成果となりました。スピッツァーでこの惑星のサイズと生命居住可能領域の状態を確認できたことも、この1月に科学観測の運用を終えようとしているスピッツァーの新たな功績です」

TESSは、空のひとつのセクターを27日間にわたって観測する。それにより、恒星の手前を横切る惑星の影による明るさの変化を追跡調査できる。

JPLによれば、TOI 700は小型のM型主系列星(いわゆる赤色矮星)で、地球から100光年以上離れた南天のかじき座の中にあると科学者たちが断定した。

緑の部分が生命居住可能領域

TESSが調査したこの恒星は、質量が太陽の40パーセントほどで、表面温度は太陽よりも低く、太陽の半分の摂氏5500度ほどだ。惑星は3つある。この恒星は、現在考えられているよりも大きく高温だと思われていたが、これはTESSのデータベースの分類ミスによるもので、太陽によく似た恒星であるとのレッテルが貼られていたのだ(この誤りは、高校生のアルトン・スペンサー君を含む研究者チームによって指摘された)。

「この恒星のパラメーターを集めてみたところ、サイズは小さくなり、いちばん外側の惑星は地球とほぼ同じサイズで、生命居住可能領域にあることが判明しました」と、シカゴ大学大学院生のエミリー・ギルバート氏。「さらに、11カ月間にわたる恒星フレアのデータから、TOI 700 dの生命の居住可能性が高まり、大気と地表の状態が簡単にモデリングできるようになりました」

JPLによれば、最も内側を回る惑星は、地球とまったく同じサイズで、10日間で軌道を1周するという。中間の軌道を回る惑星は、地球の2.6倍(地球と海王星の間のサイズ)で、公転周期は16日。

生命居住可能領域に位置するのは、いちばん外側を回る惑星だ。地球よりも20パーセントほど大きい。37日間で軌道を1周し、地球が太陽から受けるエネルギー量のおよそ86パーセントを、その恒星から受けている。

どの惑星も自転と公転が同期している。つまり、1回の公転につき1回だけ自転する。TOI 700 dも同期自転しているため、雲の形成や風のパターンなどは地球とは劇的に異なると考えられている。

現在のところ科学者たちは、惑星のサイズと恒星のタイプを使ったコンピューターによるモデリングに依存して、惑星の成り立ちや想像しうる地形を予測している。

あるシミュレーションは、地表全体が海に覆われ、二酸化炭素濃度が高い大気に包まれた世界を描き出した。これは原初の火星がそうであったとされている環境とよく似ている。このモデルでは、大気は恒星に面した側では分厚い雲の層に覆われている。その一方、別の可能性として、地球から雲と海を完全になくしたような世界も予測されている。そこでは、夜の側から吹き付ける風が、恒星に真っ直ぐ面している一地点に収斂するという。

研究者たちは、スペクトル線と呼ばれる信号を利用している。これは、惑星の大気を通過する恒星の光から観測されるもので、惑星表面の姿を示してくれる。

恒星の光が惑星の大気を通過するとき、二酸化炭素や窒素といった分子と干渉して特徴的なスペクトルを示す。それがスペクトル線だ。

「いつか、TOI 700 dの本当のスペクトル線が観測できるようになれば、私たちは元に戻って、シミュレーションで得られた最も近いスペクトルと照合して、モデルにそれを反映できます」と、ゴダード宇宙飛行センターUniversities Space Research Association(大学宇宙研究協会)客員研究助手でモデリングチームのリーダーGabrielle Engelmann-Suissa(ゲイブリエル・エンゲルマンスイサ)氏は言う。「この惑星に関する発見は何もかもが、地球のものとはまったく違うのですから、興奮します」

TESSは、マサチューセッツ州ケンブリッジのMITが主導、運営し、NASAのゴダード宇宙飛行センターが管理するNASA Astrophysics Explorer(天体物理学探検)ミッションのひとつだ。声明によれば、その他のパートナーとして、バージニア州フォールズチャーチのノースロップ・グラマン、カリフォルニア州シリコンバレーのNASAエイムズ研究センター、マサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード・スミソニアン天体物理学センター、MITリンカーン研究所、バルティモアの宇宙望遠鏡科学研究所が名を連ねている。

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(翻訳:金井哲夫)

SpaceXがCrew Dragon宇宙船の脱出装置の空中テストを1月18日に実施

SpaceX(スペースX)とNASAは、Crew Dragon宇宙船にとって重要な飛行中の脱出装置テストのための、公式なスケジュールを決定した。飛行中の脱出装置のテストは、NASAの宇宙飛行士がCrew Dragonに搭乗して飛び立つ前の必須の条件だ。NASAとSpaceXは現在、米国時間1月18日(日本時間1月19日)の土曜日にこのテストを実施する予定となっている。

飛行中の脱出装置のテストはその名のとおり、ミッションにトラブルが発生したことを想定して、実際にCrew Dragonが飛行している最中にそれを中断するものだ。宇宙船のカプセルをロケットから高速で分離することで搭乗している宇宙飛行士の安全を確保する。

これは、SpaceXとNASAの商業乗員輸送プログラムの最終目標に向けた長い道のりの中で、最も重要なステップのうちの1つだ。これにより、米国は独自に宇宙飛行士を打ち上げる能力の再確立を目指す。SpaceXはすでに、Crew Dragonが大気圏に突入した後に安全に降下するための新型パラシュートシステムの一連のテストに成功しており、今回の重要な脱出装置のテストが成功すれば、2020年後半には乗員を乗せたCrew Dragonを初めて打ち上げる予定だ。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

SpaceXがStarlink衛星群打ち上げへ、約180機の運用予定で民間として最大規模に

 

SpaceX(スペースX)は、2020年中に衛星インターネットサービスを開始する準備を進めるために、さらなるStarlink(スターリンク)の衛星群を打ち上げる。打ち上げは米国時間1月6日の東部標準時で午後9時19分(太平洋標準時で午後6時19分)から始まり、ミッションのライブ配信は打ち上げ時間の約15分前(東部標準時で午後9時4分、太平洋標準時で午後6時04)に始まる。

今回の打ち上げは2019年末に打ち上げられた60機と、テストと実験の目的で2019年に打ち上げられた60機のスペースXのStarlinkコンステレーションの合計120機に、60機の衛星を追加するものとなる。スペースXは約180機の衛星(なお、一部の打ち上げ済み衛星は稼働していない)を運用する予定で、これは現在活動している民間の衛星事業者の中で最もアクティブな運用例となる。

スペースXは、Starlinkのためにさらに多くの衛星を打ち上げる計画だ。その目的は、利用エリアが限られていたり、低速だったり、あるいはサービスがまったく提供されていない地域に高速ブロードバンドを提供することだ。Starlinkはまず、2020年末までにアメリカとカナダでサービスを開始し、60機のStarlink衛星をさらに20回打ち上げたいとしている。

スペースXは同社のグローバルインターネットサービスのために、3万機の衛星打ち上げ許可を申請しており、「Starlinkの総ネットワーク容量とデータ密度を、予想されるニーズの増加にあわせて拡張するための対策を講じる」と記している。同社は、Starlinkが天体観測に与える影響のために科学者から批判されてきたが、地球に面した衛星の側面を黒く塗るなど、その影響を最小限に抑えるための対策を講じるとも伝えている。

今回の打ち上げは、スペースXにとって2020年最初のものとなる。1月初旬からの打ち上げは、2020年に同社が計画している積極的なペースでのそれを期待させるものだ。打ち上げにはFalcon 9ロケットが使用される。このロケットは2019年の2回を含め、これまでに3回使用されている。今回の打ち上げにはブースターだけでなく、ロケットのペイロードを保護するフェアリングの半分の回収の試みも含まれている。

 

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Maxarが次世代ロボットアーム開発の子会社MDAを約830億円で売却

Reuter(ロイター)の記事によると、人工衛星分野で大手のMaxar(マクサー)が、同社の宇宙ロボット関連子会社のMDAを10億カナダドル(約8億3000万円)で売却する。買収企業は民間投資会社のNorthern Private Capitalが率いる企業コンソーシアムで、Canadarm(カナダアーム)やCanadarm2(カナダアーム2)といったスペースシャトルや国際宇宙ステーション(ISS)で用いられるロボットアームを開発する、MDAのカナダでの事業全体を買収する。

Maxarの事業売却の目的は、昨年9月時点で31億ドル(約3400億円)に達していた多額の負債の一部を軽減することにある。同社がMDAの買い手を探していることは以前から知られており、それほど驚くことではない。MDAは新所有者の元で引き続き自主的に運営され、現在の計画と契約は継続される。

MDAは、山火事の監視衛星や他社の衛星に使用するナビゲーションアンテナ、さらには月を周回するNASAの月軌道ゲートウェイで使用される次世代ロボットアーム「Canadarm3」(カナダアーム3)の開発など、複数顧客向けの多数のプロジェクトに取り組んでいる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

イーロン・マスクがStarshipの建造と飛行時期に関する詳細を明かす

SpaceX(スペースX)のCEOことElon Musk(イーロン・マスク)氏によると、ホリデーシーズンはテクノロジー業界の多くの企業にとって活動が停滞する時期かもしれないが、同社にとっては最新のStarshipプロトタイプ「Starship SN1」の生産性を強化する時期だったという。飛行可能なStarshipのプロトタイプはテキサス州ボカ・チカにあるSpaceXの開発施設で建設中で、マスク氏は先週末にその製造と組み立てを監督していた。

マスク氏はStarshipの主要部品の中でも「最も難易度が高い」と呼ぶ、完成したStarship SN1(Serial Number 1の略で、オリジナルのプロトタイプに使われていた「Mark」という命名法から離れ、より反復的な命名法に)の上部に位置する湾曲したドームの製作に取り組んでいる、SpaceXチームのビデオを共有した。彼はStarshipのSNは少なくとも20バージョンまで小さな改良が加えられると付け加えており、これはすなわち急ピッチでテストが行われることを意味する。

マスク氏はいつStarshipが実際に打ち上げられるのかについて「2〜3カ月後」と述べており、これは今年にプロトタイプのStarship Mk1が公開された時の、高高度テスト飛行のスケジュールと合致する。このプロトタイプは当初、高高度テスト用に飛行するものと位置づけられていたが、11月のテストでドーム部分が吹き飛ばされて以来、同氏はMk1の修理や再構築を試みるのではなく、新しい設計に移行すると述べている。

マスク氏はまた、Starshipの建設プロセスについての新しい詳細を共有し、2020年1月にSpaceXは将来の宇宙船ことStarship SN2の建設プロセスを、閉鎖された建物内に移行する予定だという。これは主に、ボカ・チカで経験した風の影響を遮断するためではあるが、ステンレス鋼(Starshipの胴体の主要材料)の溶接はアルミニウムよりも、塵や破片に対する危険性がずっと低いとも同氏は述べている。

マスク氏は別のツイートにて、宇宙船開発におけるSpaceXの以前の運用モデルからのもう一つの変更を詳述している。Starshipの開発は現在ボカ・チカに集中しており、一方でケープカナベラルのチームは「Falcon/Dragonに焦点を当てている」という。今まで、SpaceXは両方の拠点で2つのチームが並行してStarshipのプロトタイプ開発に取り組んできた。なお同氏は、ケープカナベラルで現在開発中のもう1つの初期プロトタイプことStarship Mk2の今後の詳細を明らかにしなかった。

そのほか、同氏が所有する採掘会社で2020年にラスベガス地下のトンネルを車両に開放する見通しであるThe Boring Co.(ボーリング・カンパニー)や、2020年または2021年にカリブ海地域の顧客にサービスが提供される可能性があるStarlink(スターリンク)、チョコレートチップマフィン(チワワのネットミーム)に関する最新情報も共有した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

中国版GPSの完成間近、脱米依存へ

中国は12月27日、来年上半期までに米国が運用する全地球測位システム(GPS)ネットワークの競合版を完成させ、米国のテクノロジーからの離脱のペースを加速させると発表した。

「北斗七星」の星座にちなんで名付けられた中国の「北斗」衛星ネットワークは、米国空軍のGPSと競合する最初のサービスとなる。日経アジアンレビューによると、中国のスマートフォンの70%以上がサービスを利用できる機能を有しており、すでに大規模なユーザー基盤を持っているといえる。

北斗ネットワークは、次世代通信サービスを支配するという中国の長期計画に欠かせないピースであり、中国の第5世代無線通信技術の進歩とあわせて、通信インフラをめぐる米国の覇権への大きな挑戦を象徴している。

AP通信によると、プロジェクトのディレクターであるRan Chengqi(ラン・チェンチ)氏が声明で、中国は2020年6月までに北斗システムを稼働させるために必要な最後の2つの衛星を打ち上げる予定だと表明した。

中国のGPSと第5世代の無線ネットワーク技術が連携して動作すれば、中国は新しい通信サービス市場で大きなシェアを占めることができる。

技術が連携して動作するかが武漢で検証されている。武漢では、5Gと北斗のマッピング技術の両方を使用して、28 kmの道路で自動運転の試験車を開発する。

日経によると、北斗はすでに120のパートナーがサービスとの連携に備え登録済みだ。パートナーはすべて、中国が推進する一帯一路構想の下で締結された契約に関連している。

Counterpoint Researchの最新データが示すように、2019年第2四半期の時点で、中国のスマートフォンメーカーは世界の売上の40%以上を占めている。

中国のGPSは段階的にサービスを拡げた。2000年に国内サービスが、2012年にアジア太平洋地域のオンライン地域サービスが始まった。

35の衛星で構成される中国のネットワークは、2020年までに現行の米国のシステムを上回る。

「影響力拡大という側面は確かにあるが、経済安全保障も考慮している可能性が高い」と英国王立防衛安全保障研究所のAlexandra Stickings(アレクサンドラ・スティッキングス)氏は昨年BBCに語った。「独自のシステムを持つ主な利点は、他の国に頼らずにアクセスを確保できる点だ。米国は紛争のときなどは、特定地域のユーザーからのアクセスを拒否できる」

宇宙は中国政府にとって戦略的に重要な分野だ。中国は、宇宙能力を活用した量子通信や世界初の月の裏側の探査など、すでに重要なマイルストーンを達成している。中国の現行の計画では、2020年に火星に探査機を送り、2022年までに宇宙ステーションを完成させる準備を進めている。

宇宙での活動が増加していることから、地上で緊張が高まるリスクがあるにも関わらず、米国は軍の一部門として「宇宙軍」を創設した。

日経は、中国国営メディアの報道として、2020年までに北斗に関連する商品とサービスの価値が570億ドル(約6兆3000億円)に達すると報じた。数字自体は漠然としているが、中国が新しい衛星測位サービスで生み出したい一種の経済力を示している。

中国による代替インターネット開発が現実味を帯びてきたことは非常に重要な意味をもつ

Googleの元最高経営責任者で、中国のテック企業に馴染みのあるEric Schmidt(エリック・シュミット)氏が、昨年のプライベートディナーで以下のように述べた(CNBCが最初に報道した)。

「中国のインターネットは、中国のGDPの大きな割合を占めており、その数字は大きい。米国のGDP比よりも大きいが、その数字も大きい。中国を『そう、あの国のインターネットはいい』くらいに考えているならポイントがわかっていない。グローバリゼーションとは、中国も恩恵を受けられるものだ。中国の製品やサービスも素晴らしいリーダーシップを発揮すると思う。本当に危険なのは、製品やサービスに加えて、検閲や統制など、政府主導のリーダーシップ体制が出現することだ。60を超える国々が関わっている一帯一路の現状を見てほしい。それらの国々が、ある程度の自由を失ってでも、中国が保有するインフラを採用し始めるのはほぼ間違いない」。

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(翻訳:Mizoguchi)

SpaceXが10回連続でパラシュートのテストに成功し安全性へのクエストをまた1つクリア

SpaceX(スペースX)は、2020年に予定されている同社宇宙船に宇宙飛行士を乗せて飛ばす計画を、今後も十分に続けていけるほどの成果で今年を終えようとしている。Elon Musk(イーロン・マスク)氏が率いるこの宇宙企業は、米国時間12月22日、これまで何度も成功してきたパラシュートシステムのテストに成功。これで10度めの成功となるこのテストは、安全なシステムに向けての重要なマイルストーンであり、最新の設計が宇宙飛行士による実際の使用に耐えうるものであることを示している。

このパラシュートシステムは、宇宙飛行士が乗るSpaceXの商用宇宙船、Crew Dragonが地球への帰還時に大気圏に突入して以降の下降を遅くするために用いられる。現在の設計はメジャーなアップグレードとしては三度目のものでで、素材も縫い方も信頼性と強度を優先して改良されている。

[SpaceX: 昨日チームは、Crew DragonのパラシュートMark 3の一連の設計アップグレードテストの一環として、10度めの複数パラシュートによる着地テストに成功した。NASAの宇宙飛行士の安全な打ち上げと着陸に、一歩近づいた。]

2019年にマスク氏は、カリフォルニア州ホーソーンのSpaceX本社で行われたイベントで、来場したメディアやファンに向けて、Mark 3パラシュートシステムが実際に有人飛行に使用できると確信を持つためには、少なくとも10回連続でテストに成功する必要があると述べた。その再、NASAの管理官であるJim Bridenstine(ジム・ブリデンスティン)氏は、2019年中に10回連続で成功できるだろう、と言った。そして、そのとおりになった。

現在SpaceXは、有人飛行に向けての次の重要なステップを1月11日に予定している。それは「飛行中での飛行中止テスト」で、緊急時に機能すべき安全システムをテストする。そのシステムは打ち上げ途中で起動され、クルーを安全に打ち上げ船から離して安全なところへち運ぶ。それにより、異常事態に乗員を危機から救う。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

インターステラテクノロジズが観測ロケット「MOMO5号機」を12月29日に打ち上げへ、小型ロケット用航法センサを搭載

インターステラテクノロジズは12月23日、自社開発の観測ロケット「MOMO 5号機」を12月29日に打ち上げることを発表した。同社は堀江貴文氏が創業者の宇宙開発スタートアップ。これまでMOMO 1〜4号機を春や夏に打ち上げてきたが、冬の打ち上げは5号機が初となる。なお2号機、4号機は打ち上げに失敗しているが、2019年5月4日に打ち上げられた3号機は、日本の民間ロケットとしては初めて宇宙空間に到達している。

今回は、北海道広尾郡大樹町字晩成にある同社の公式ロケット打上げ見学場である「SKY-HILLS」での見学者を募集しているほか、大樹町生涯学習センターでの無料のパブリックビューイングを予定している。SKY-HILLSでの見学には、打ち上げ協力金として18歳以上は7000円、小学生以上は3500円が必要(小学生未満は無料)。なお、札幌駅から現地まで往復バス成温泉での昼食がセットになった日帰りバスツアーも用意されている。打ち上げの概要が以下のとおり。なお、気象条件や打ち上げ準備状況、その他複合的要因により、打ち上げを予備日以降に延期する可能性もある。

  • 打ち上げ予定日時:2019年12月29日 6時45分
  • 打ち上げ予定時間帯:05時15〜7時40分、11時10〜12時20分、16時10分〜17時10分
  • 打ち上げ予備日:2019年12月30日、31日、2020年1月1日、2日、3日(12月30日以降の打上げ予定時間帯は、29日のものと同様)
  • 打上げ場所:インターステラテクノロジズ 大樹ロケット射場(北海道大樹町)

従来機と同様にMOMO 5号機も、協賛企業などから託されたペイロード(積載物)を宇宙に運ぶミッションに挑戦する。同機は企業8社、個人1名から機体スポンサーからの支援を受けており、今回新たに三菱プレシジョン製の「小型ロケット用航法センサ」の搭載が決定した。

同センサは、誘導制御用、飛行安全用の2種類の用途があり、ロケットの位置や速度、姿勢、加速度、角速度などを計測できる。小型ロケット用航法センサは、インターステラテクノロジズが開発中の超小型人工衛星の軌道投入用ロケット「ZERO」への搭載も計画されており、今回の実証実験が成功すれば「ZERO」の開発を前進させるものとなるという。

そのほかのスポンサーとペイロードは以下のとおり。

  • なにわ:お好み焼き北九州伝統の味なにわのロゴ
  • IMV:大阪拠点の振動試験装置メーカーのロゴ
  • 平和酒造:日本酒(紀土 純米大吟醸 宙へ!!)
  • 高知工科大学:インフラサウンドセンサ(超低周波音マイク)
  • チル:シーシャ(水タバコ)フレーバー&吸い口
  • サザコーヒー:超高級パナマ・ゲイシャコーヒー
  • 超電磁P(個人):自作の電子工作製作物

さらに、たこ焼きスイーツ「たこパティエ」を製造販売する瓢月堂が、MOMO5号機の打ち上げの際に噴出されるロケットの炎でたこパティエを焼き上げる地上ミッションも開催される。

ボーイングのStarliner宇宙船、米国製有人カプセルとして初の砂漠着陸に成功

米国から新たに宇宙飛行士を運ぶ宇宙船の一つとなるBoeing(ボーイング)のCST-100 Starlinerが、軌道から帰還しニューメキシコ州ホワイトサンズにある目標地点に無事着陸した。米国時間12月21日の記者会見で説明されたミッションスケジュールのとおり、カプセルは東部標準時7時58分に着陸した。

Starlinerには誰も搭乗していなかったが、その代わりに打ち上げ、国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキング、地球への帰還を目的とした、最初のテスト飛行を実施した。しかし、予定どおりには飛行できなかった。ISSとのドッキングは宇宙船に搭載されていたミッションタイマーのエラーが原因で、初期の軌道飛行中に過剰な燃料を消費し、その後にミッションパラメータの変更を余儀なくされた。

しかし今回のミッションでは、着陸を含む計画されていた操作を実行し、宇宙船の飛行に関する多くのデータを収集できたので、ボーイングにとっては多くの収穫があった。さらに今回の着陸は、海上に着水したマーキュリー計画やジェミニ計画、アポロ計画とは異なり、米国製のカプセルが宇宙から帰還し地上(砂漠)に着陸した初めてのケースでもあることから、重要な意味を持つ。

Starlinerは、東部標準時7時23分ごろ(日本時間12月21日21時23分)に軌道を離脱する燃焼を開始し、地球の大気圏に再突入し、計画どおりに3つの降下制御パラシュートをすべてを展開した。宇宙船はボーイングとNASAが回収し、搭載コンピューターからさらにデータを収集して調査する。カプセルには 「Rosie」(ロージー)と呼ばれる飛行テスト用のダミーも搭載されており、開発チームは人間が搭乗した場合の着陸に関する影響を予測できる。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

ボーイングのStarliner乗員カプセルが軌道に乗り損ねてISSとドッキングできず

【抄訳】
Boeing(ボーイング)の乗員輸送宇宙船Starliner CST-100は、米国時間12月20日に初めての国際宇宙ステーション(ISS)への打ち上げを大成功させたが、しかしロケットと打ち上げ機は期待通り動作したにも関わらず、Starliner宇宙船自体は、打ち上げ後、自分のミッションを開始する際に思わぬ障害にぶつかった。

Starlinerのカプセルは、二段目のロケットULA Centaurからの切り離しに成功し、宇宙の軌道外ターゲットに到達したが、Starlinerが自らのエンジンに点火して目的の軌道へと進もうとした際、必要な噴射が起こらなかった。ボーイングによると、同機は太陽電池を安定して充電できる位置の確保はできており、地上チームが、宇宙船を必要な位置に到達させるために次にどのような操作をすればよいかを検討しているという。

NASAの管理官Jim Bridenstine(ジム・ブリデンスティン)氏は、東部時間午前8時45分のツイートで、そのエラーに関する中身のある最初の最新情報を投稿した。それによると、何らかの出来事により宇宙船Starlinerが「そうではなかったのに、自分は軌道投入噴射をしていると思った」という。

[Jim Bridenstine: Mission Elapsed Time(MET、ミッション経過時間)が異常を起こし、そのせいで宇宙船は自分が軌道投入噴射をしていると信じたが、しかしそうではなかった。次の情報は東部時間午前9時にご報告する。]

ミッション用の時計は何らかのバグかエラーに遭遇して、Starlinerのシステムに実際のミッションの段階ではなく、違う段階にあると伝えた。その結果、宇宙船は予定外に燃料で噴射し、計画されていた軌道投入点を通り過ぎてしまった。その後、Starlinerは二目の噴射を行い安定した軌道をとるが、状況では計画どおりに国際宇宙ステーションへ到着することはできない。

【後略】

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AppleがiPhoneの常時接続化に向けて通信衛星の技術を開発中か

Bloombergの報道によると、Apple(アップル)は、数名の航空宇宙技術者を雇用してチームを作り、衛星やアンテナの設計者らとともに人工衛星技術の開発を行なっている。それは、廃棄される可能性もある初期的段階の秘密プロジェクトだが、チームの目的はデータを直接iPhoneなどのユーザーに送受する通信衛星の技術開発であり、Appleのデバイスをサードパーティのネットワークを必要とせずにインターネットに接続することを目的にしている。

さらにBloombergによると、必ずしもAppleは人工衛星そのものを内製しようとしているのではない。むしろ、開発しているのは送信機や地上局が軌道上の通信装置へのデータ送信に用いる機器装置類のようだ。それによりAppleからのデータがAppleのデバイスへ直接送られるようになったり、デバイス同士の接続が携帯電話キャリアのデータネットワークを使わずに実現する。また、位置サービスもより正確になり、地図や案内情報が改善されるという。

Appleは航空宇宙および人工衛星の業界から技術者と役員を雇用した、と言われる。その中にはかつてSkybox ImagingにいたMichael Trela(マイケル・トレラ)氏とJohn Fenwic(ジョン・フェンウィック)氏も含まれ、両人がチームを引っ張る。2人は以前Googleの人工衛星と宇宙船部門を率いたことがある。新たな被雇用者の中には、Aerospace Corporation(エアロスペース・コーポレーション)の役員Ashley Moore Williams(アシュリー・ムーア・ウィリアムズ)氏や、ワイヤレスネットワーキングとCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)の業界における重要人物たちがいる。

データネットワークを宇宙からデバイスへ直接提供するという考え方は、一見すると馬鹿げているようにも思える。データ通信衛星の多くは、情報をエンドポイントのデバイスにリレーする地上局との通信を要する。でもそれは、初耳のコンセプトではない。例えば、今年、2019年に本誌が取り上げたUbiquitilink(今のLynk)は、電話機と直接通信する新しい種類の低地球軌道通信衛星コンステレーションを作ろうとしている。

Lynkの初期目標は、衛星通信ネットワークによる直接接続の方がiPhoneの通常、利用するキャリアサービスよりも優れている、と主張している。同社はユーザーが利用している地上局ベースのネットワークよりも、圧倒的に速い接続が可能なグローバルローミングを提供したいと考えている。しかもそれは、ローカルなインフラに依存しない。また、予備機としても機能するので、メインのネットワークが落ちたときでも、テキストメッセージのやりとりや通話といったデータ集約的な使い方でなければ十分に使用できる。

Appleが現在行っていることには未知の要素が多すぎるが、それがiPhoneに事故や災害に強い常時接続の能力を持たせるものなら非常に興味深い。どんなときでもiMessageや音声通話やナビが使えて、何もない平常時にはキャリアのデータプランでストリーミングなどを楽しむ、というモバイルライフが想像される。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ボーイングによるISS向け新宇宙船の初打ち上げをライブ配信

Boeing(ボーイング)は新しい宇宙船の国際宇宙ステーション(ISS)への最初の飛行という、重要な打ち上げを準備している。CST-100 Starlinerはボーイングにとって、スペースシャトル計画が終了して以来初めて、米国から宇宙飛行士を打ち上げるというNASAの商業乗員輸送プログラムに対する貢献である。

米国時間12月20日の打ち上げは、フロリダのケープカナベラル空軍基地から東部標準時6時36分(日本時間同日20時33分)に実行された。StarlinerのカプセルはULA(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)のAtlas Vロケットに搭載され、宇宙にて分離され、ISSとのドッキングに必要な軌道に向けて飛行する。

これは有人飛行に向けた重要な打ち上げだが、今回は宇宙飛行士は搭乗していない。これは「軌道飛行試験(OFT)」と呼ばれるもので、ISSステーションへの実際のフライトで使用されるすべてのシステムをテストし、すべてを有人ミッションと同じように実施するものだ。

すべてが計画通りに進めば、OFTの成功は来年前半のいずれかの時点に実施される有人試験飛行という目標に向けた、重要なマイルストーンになるだろう。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

小型衛星群でブロードバンド接続を提供するKuiperプロジェクトにアマゾンが本腰

Amazonは、目下開発中の人工衛星星群による高速インターネットサービスであるKuiperのプロジェクトに、専用の本社オフィスとR&Dセンターを用意した。このプロジェクトでは小さな衛星の集団を低地球軌道に乗せてインターネットへの接続を提供し、世界中のどんな僻地でも良質な通信を可能にする。

ご存知の方も多いと思うが、このようなプロジェクトはほかにもいろいろある。例えばSpaceXは、そのStarlinkコンステレーションのための衛星の打ち上げをすでに始めている。そのサービスは最初は北米地区、そして最終的には地球全域で供用される。ソフトバンクなどがパートナーになっている。OneWebもやはり、衛星群を打ち上げて1月の供用開始を目指している。そしてGoogle、というか親会社のAlphabetは、上層大気気球のLoonによって、接続困難地域への接続を提供しようとしている。

Amazon Kuiperは、何千もの衛星を複数年にわたり何回にも分けて低地球軌道へ打ち上げる方式だ。複数の小さな衛星を使うやり方は、従来一般的だった1つまたは少数の静止衛星を打ち上げる方式に比べて、サービスの質がいい、リーチが広い、最終的にローコストであるなどの利点がある。

今度のオフィス施設や研究開発施設はシアトルのAmazon本社に近いワシントン州レドモンドに置かれ、まだ何もタイムラインが発表されていないKuiperプロジェクトに対してAmazonが本腰であることを示している。施設の総面積は約2万平米で、2つの建物にR&Dのラボとオフィス、そして衛星ハードウェアのプロトタイピングを行う製造施設まで置かれる。 Kuiperチームの引っ越しは来年のようだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

NASAが有人宇宙飛行再開に向け12月20日にテスト機を打ち上げへ

NASAとボーイング、ボーイングとロッキード・マーティンの合弁宇宙事業であるULAは12月20日に、米国の有人宇宙飛行再開に向けた重要な打ち上げを予定している。OFT(軌道飛行テスト、Orbital Flight Test)はボーイング製のCST-100 Starlinerと呼ばれる乗員カプセルをULAのAtlas Vロケットで打ち上げ、ISS(国際宇宙ステーション)にドッキングさせる。これは有人宇宙飛行に向けた最後のテストの1つだ。

今週のミッションの目的

気象条件その他が許せば、現地時間で12月20日にULAのAtlas VがボーイングのCST-100カプセルを打ち上げる。このテストは簡単にいえば、来るべき有人飛行テストCFT(Crew Flight Test)のためのドレスリハーサルだ。OFTはもちろん極めて重要な打ち上げだが、ボーイングのStarlinerカプセルが実際の有人飛行を行うにあたっては、パラシュートシステムの信頼性テストをクリアしなければならない。また今回の打ち上げで得られたデータがすべて予期どおりであることを確認する必要がある。

【略】

今回のミッションではStarlinerカプセルはAtlas Vロケットの先端に取り付けられて高度180kmまで上昇し、そこでロケットから切り離され、カプセル自身のエンジンでISSに向かう。ISSの宇宙飛行士がカプセルをモニターし、ロボットアームでドッキングの最後の段階を助ける。ミッションとしては二次的重要性だが、カプセルには270kgの補給物資、装置が搭載されている。ペイロードがISSに移された後、カプセルはドッキングを解かれ、地球に帰還する。

ローンチ・ウィンドウ

打ち上げは米国東部時間12月20日午前6時36分(日本時間12月20日午後8時36分)にケープカナベラル空軍基地のSLC-41から発射される。天気予報は「80%程度可能」ということだ。

ローンチ・ウィンドウと呼ばれる打ち上げ可能な時間は予定時刻のみに限られており、この時刻になんらかの支障が起きれば21日ないし23日の予備日に切り替えられる。予定どおりに打ち上げられた場合、カプセルは翌日朝にISSにドッキングする。切り離しは28日に予定されている。帰還も今回のミッションでは重要な部分だ。

近づく有人飛行再開

すべてが計画どおり順調に進めばStarliner CST-100カプセルは有人宇宙飛行に向けて大きく前進する。上で述べたようにパラシュート・システムは安全規定をクリアするためにさらにテストが必要だが、各種のシステムの安全性が確認されれば、最初の有人飛行であるCFTミッションは「2020年の早い時期」に行われる予定だ。

米国時間12月18日に、ULAは移動式発射台をロールアウトし、Atlas Vロケットを発射予定地点に運んだ。NASA、ボーイング、ULAのエンジニアは発射のための最終調整に入っている。発射準備は2週間前からスタートしており、実際の発射を除くすべての手順がリハーサルされた

TechCrunchでも発射のもようをライブで中継する予定だ。またその結果についても情報を得しだい記事を公開する。

【Japan編集部追記】CST-100カプセルの着陸はニューメキシコ州ホワイトサンズ空軍基地をはじめ、米国本土西部の5カ所が候補となっており、9月に着陸テストが実施されている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook