Wikipediaのスペイン語イタリア語ポーランド語ページがEU議会の著作権改定に抗議して黒塗りに

【抄訳】
Wikipediaのイタリア語とスペイン語のページが、著作権の改革に関するEU議会の明日(米国時間7/5)の票決に抗議するために一時的にアクセスを遮断している。

アップデート: ポーランド語のWikipediaも、この黒塗り抗議に参加した。

EU議会の法務委員会が先月決めた‘改革案’には、この抗議活動を惹起した問題箇所が二つある:

[第13条] 著作権物のユーザーが直接的に著作権侵犯者になるので、アップロードされるすべてのコンテンツを事前にフィルタしなければならず、表現の自由を損なう。

[第11条] ジャーナリストのコンテンツの断片(部分引用など)を利用するニューズアグリゲーターのようなビジネスモデルは、著作隣接権侵犯とされる。これは、‘リンク税’と揶揄されている。

EU(やその外)の多くの部分で、Wikipediaの訪問者たちは、EU議会の問題の法案に抗議してオープンなインターネットを守ろうとするバナーを目にする。抗議文は法案を‘検閲マシン’と呼び、‘Wikipediaのベースである価値観と文化とエコシステムを弱体化する’と主張している。

‘call your MEP’(議員に電話しよう)のリンクボタンをクリックすると、第13条反対運動のWebサイトsaveyourinternet.euへ飛び、自分の国の議員を検索したり、彼らに抗議のメールを送ったりできる。この運動は、EFF, Open Rights Group, Center for Democracy & Technologyなど、有力な人権市民権団体も支援している。

スペイン語のWikipediaの説明には、“この法案が承認されたら、ソーシャルネットワーク上でニュースを共有したり、検索エンジンからそれにアクセスすることが、とても難しくなり、Wikipediaも危険にさらされる”、とある。スペイン語Wikipediaは、7月5日の10時(UTC)から始まるEU議会の票決の間、黒いままにされる。

イタリア語のWikipediaは、昨日(米国時間7/3)、黒塗りになった。

なお、これらの抗議的表現は、各国のWikipediaコミュニティの意思によるものであり、Wikipedia全体の決定事項ではない。

【後略】

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

トランプ政権、国境での無令状捜査で訴えられる

国境の壁を巡る戦いが議会で激化する中、もう一つ国境にまつわる戦いが熱を帯びている。水曜日(米国時間9/13)、電子フロンティア財団(EFF)とアメリカ自由人権協会(ACLU)は、国境での無令状捜索で国土安全保障省(DHS)を訴えた。この Alasaad 対 Duke裁判で、上記2団体は米国国境でパソコンやスマートフォンを令状なしで捜査された11名の代理を務める。国土安全保障省のElaine Duke長官代理は、首席補佐官としてホワイトハウスの中核に入ったジョン・ケリー国務長官の後を引き継いだ。

裁判で原告が陳述した内容は実に興味深いものだった。11人中10人は米国市民であり、残る1人は永住者だ。EFFによると、何人かはイスラム教徒および有色人種であり、政府によるこうした人々を標的にした旅行・移民政策の強化によって標的に選ばれた可能性が高い。原告団には、NASAの技術者、学生、ジャーナリスト、および海外旅行から帰国した退役軍人も含まれていた。国境警備員にスマートフォンを数か月間取り上げられた人々もいるが、誰も具体的な罪には問われていない。

NASA技術者のSidd Bikkannavarの場合、休暇をチリで過ごした後帰国したとき、ヒューストン空港の職員に、パスワードを使ってロック解除するよう強制され端末を手渡した。職員は30分間にわたって電話機を調べ、「アルゴリズム」使って内容を調査していると説明した。別のケースでは、ロック解除された電話機を国境警備員に没収されたうえ暴行を受けたと訴えた。EFFのリリース文には原告全員の名前と申し立て内容が書かれている。

「政府は国境をプライベートデータを探るための捜査網に使ってはならない。」とACLU弁護士のEsha Bhandariは言う。「電子機器には、メール、テキスト、連絡先、写真、仕事の書類、医療や財務記録など、われわれの個人生活を詳しく描き出す情報が大量に入っている。憲法修正第4条は、政府が国境でスマートフォンやノートパソコンの内容を捜査するために令状を必要としている」。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

政府のデータ要求からユーザーを保護する(or しない)IT企業はここだ

電子フロンティア財団(EFF)の最新レポート、”Who Has Your Back?” には、IT巨人たちが政府の侵略的データ要求からユーザーを保護するためにしていること ―― あるいはしていないこと ―― が詳しく書かれている。

この年次レポートには、米国4大ワイヤレスネットワーク事業者を始め、IT業界最大手の各社が揃って取り上げられている。勝者と敗者には、読者の予想通りのものもあるが、ちょっとした驚きもいくつかあった。

EFFは以下の5種類の分野についてそれぞれ5つ星で各社を評価した:業界のプライバシー慣習に従っているか、データ要求についてユーザーに通知しているか、ユーザーを第三者に売っているか、口外禁止命令に反抗しているかSection 702に基づく監視の廃止あるいは改訂を支持しているか。このレーティングシステムでは、5つ星はユーザーのデータを売り渡している可能性が最も低いことを意味し、星ゼロは、政府のデータ要求からユーザーを保護する努力を全く行っていないことを意味している。

「われわれは、政府による無制限なデータ利用を阻止する暫定行動を測定する具体的基準をいくつか定めた。このレポートを通じて、私たちのデジタル生活が政府の侵略的・非民主的監視の対象にならないよう、IT企業がポリシーを見直すことを願っている」とEFFは書いている。

5つ星★★★★★:

  • Adobe
  • Credo Mobile
  • Dropbox
  • Lyft
  • Pinterest
  • Sonic
  • Uber(これが入るとは思わなかっただろう!)
  • Wickr
  • WordPress

4つ星★★★★(敢闘賞)

  • Apple
  • Facebook
  • Google
  • LinkedIn
  • Microsoft
  • Slack
  • Yahoo

1つ星★の敗者たちの共通点にお気づきだろうか

  • AT&T
  • Comcast
  • T-Mobile
  • Verizon

2つ星★★(不名誉賞)

  • Amazon
  • WhatsApp

3つ星ランクには、Airbnb、Snap、およびTwitterが入った。なお、このレーティングシステムは「政府要求」によるユーザープライバシーが対象であることに注意されたい。広告主その他に関するユーザープライバシー全般についてではない(FacebookやGoogleのことを言っている)。各社の強みと弱みについては、報告書の会社別詳細を参照されたい。

ご存知でない方のために書いておくと、EFFはプライバシー問題に関する非常に有意義ななまとめを提供している組織だ。数多くのポリシーをこのレポートのようなスコアカードにまとめて毎年公開している。近く公開される2017 Secure Messaging Scorecard[2017年安全なメッセージングアプリ・スコアカード]にも注目されたい。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

それで良いのかGoogle(Not OK, Google)

0108

昨日サンフランシスコで開催されたハードウェアの発表イベントで、Alphabetは、更に幅広く消費者の個人データ(それも、これまで以上に個人的な性質の情報の)収集に向かう野心を表明した。この先コンピューティングが静的なデスクトップやスクリーンを離れ、相互結合したデバイスのクラウドと合体し、更なるデータの生成に向かう動きを加速するためである。

新しい2種類の「Googleデザイン」旗艦Androidスマートフォン(Pixel)と共に、同社のAIアシスタント(Google Assistant)が最初からインストールされたAndroid、そしてユーザーの写真とビデオをGoogleのクラウドに吸い上げる容量無限のクラウドストレージも提供され、また厄介な家庭内のインターネット接続をすべて引き受けるGoogle Wifiルーターもある; Google Homeは常に接続されたスピーカーを通して耳を澄ましていて、Google Assistantを介して声で制御され、またサードパーティ製のIoT機器(たとえばフィリップスのHue電球)を制限付きだがサポートする;新しくなったChromecast(Ultra)は任意の古いTVパネルをインターネット利用可なものにする;そして、Googleの使い捨てではない携帯VR再生機、別名ソフトタッチDaydream Viewヘッドセット がある ‐ 万一消費者の目がデータ収集型スマートホームの外へさまよい出たいと思ったときに、逃げ込むための仮想現実を提供するために。

GoogleブランドのためにAlphabetが描く野望は明快だ:Googleの情報整理頭脳を家庭の中心に埋め込みたいのだ ‐ すなわち、消費者たちにとって高度な個人データを定常的にそこに流し込まない選択肢を選ぶことが不可能になるということだ(もちろん、Google Homeにはミュートボタンがついている、実際にはそれが音量を喋ることを止めるためにボタンを押す必要があるが…)。

言い換えれば、あなたの日々の活動が、Googleの活動そのものなのだ

「私たちはモバイルファーストの世界からAIファーストの世界に移りつつあります」と、昨日のイベントのキックオフでCEOのサンダー・ピチャイは語った。そしてAIは、もちろん、これまでの技術が持っていなかったようなデータへの食欲を持っている。機械学習は、自身の有用性を手に入れるために情報を必要とする。手探りでは機能できない、データ駆動型の領域なのだ。

よってAlphabetのハードウェアのためのビジョン「Made by Google」は、消費者たちに対して利便性の誓いを販売することである。そして、全てを接続するデバイスと共にこの販売ピッチが、パーソナルスペースをユーザー情報データベースへと変容させ、この先何十年にも渡って広告エンジンに燃料を供給し続けることが可能になるのだ。

Made by Google

デジタル消費者の大部分の問い合わせと好奇心が1つのGoogleブランド検索エンジンに注ぎ込まれるようになったとき、私たちは現代の情報社会のはるか奥深くに入り込んでしまったことになる。このため、Alphabet(以前はGoogleのブランド名を身に着けていた)はとても長く険しい道をAndoridを広くそして深く普及させるために突き進み、電話を超えて幅広いハードウェアの世界にたどり着いたのだ。

そして今、Alphabetはそのプロセスを、よりシンプルなデスクトップウェブの時代と同様に、Googleを手放し難くすためのAI駆動の消費者向けサービス層を用いて、加速しようとしている。

ということで、昨日の大規模なコネクテッドハードウェアのお披露目大会は、実際には、IoT時代に向けて、Googleブランドを頼りになるキーワードとして再活性化し、位置付けの再確認を行わせるためのものでもあったのだ。

特に、AmazonのAlexaやAppleのSiriといったライバル仮想アシスタント技術とは異なり、Alphabetはしっかりと消費者向けのAI界面の端にGoogleブランド名を保持している。そのスマートホームやAIアシスタントを購入した者に、Googleブランド名を文字通り、毎日毎時間声で与えることを要求するのだ。

「OK Google、子供の寝室のライトを消して…」

うーん。

個人的にはそれだけで十分不愉快だ。しかし本当の意味で「not OK, Google」なのは、急速に浮かび上がってきたプライバシーに関するトレードオフなのだ。そしてアルファベットが、こうした懸念を無視していくやりかたも。

「私たちは、あなたが身の回りの仕事を片付けることのお手伝いをしたい」というのが、Googleブランドのスマートホーム、そしてGoogle AI一般についてのピチャイのピッチだった。

「誰でも、何処でも役に立てることのできるパーソナルGoogleを構築することに私たちは興奮しています」というのが、なりふり構わぬAIへの突進に話を添える、彼のまた別のマーケティングフレーズだ。

その通り – 彼は文字通り、このように言っている…

彼が言っていないことの方がはるかに興味深い。すなわち、お好みのレストランを予測したり、通勤経路上の支障がどのようなものかを尋ねたりできるような「カスタムな利便性」の約束を果すためには、あなたの個人情報、嗜好、嗜癖、ちょっとした過ち、偏見…そうしたことを限りなく収集し、データマイニングを継続的に行うことになるのだ。

AIが、データの要求を止めることはない。気まぐれな人間が関心を失いがちな点である。

なので、「誰でも、何処でも役に立てることのできるパーソナルGoogle」構築の対価は、実際には「誰でも、何処でもプライバシーゼロ」ということなのだ。

なので、「誰でも、何処でも役に立てることのできるパーソナルGoogle」構築の対価は、実際には「誰でも、何処でもプライバシーゼロ」ということなのだ。

さてそう考えると「OK, Google」という言葉も、それほどOKには響かないような気がしてこないだろうか。

(同僚の1人が以前、Google Assistantの前身であるGoogle Nowをオフしたきっかけを語ってくれた。彼が日曜の夜に時々行くバーへの到着時刻を、頼まないのに教えてくるようになったからだ。彼はこう付け加えたそうだ「おまえにそんなことまで知っていて欲しくない」)。

なので私たちは、ピチャイの「パーソナルGoogle」ピッチの中にセキュリティとプライバシーに関する言及が全く無かったということに驚くべきではないし、消費者がハードウェアと引き換えにプライバシー(と現金を)渡す際に、彼らが実は決心しなければならない巨大なトレードオフについてGoogleが説明し損なったことを見逃すべきではない。

徐々に親密な関係をGoogleとの間に築いていくこととの引き換えに、消費者が期待する巨大な「利便性」に関しては、まだほんのわずかの実体しかない。

「まだほんの初期段階ですが、全てが一体として動作したときに、Google Assistantはあなたが仕事をやり遂げるお手伝いをすることができるようになります。必要な情報を、必要なときに、どこにいたとしても、取り寄せることができるのです」とピチャイは書いている。頼りにならない曖昧な約束ランキングとしては高得点をつけるに違いない。

彼は「次の10年の間に、ユーザーに対して驚くようなことを提供できる」ことに関しては「自信がある」と付け加えた。

言い換えればこうだ、あなたのデータの扱いに関しては私たちを全面的に信頼して欲しい!

ううーん。

今週EFFも、いかにAIがユーザーのプライバシーと衝突するかについてGoogleを非難している、特に最近のプロダクトAlloメッセージングアプリがその対象だ。そのアプリにはGoogle Assistantも組み込まれていて、ディフォルトでAlloはAIを利用するので、アプリはエンドツーエンドの暗号化をディフォルトでは提供しない。単なるオプションとして提供されるだけだ。この理由は勿論、Google AIがあなたのメッセージを読むことができなければ、Google AIは機能することができないからだ。

Alloがエンドツーエンドの暗号化を「めだたない」ところに押し込んでいるやり方が批判の対象になっていて、EFFはそれをユーザーを混乱させ、機密データの漏洩に繋がるものではと考えている。そしてGoogleを「ユーザーに対して暗号化というものは、たまに使えばいいものだという考えを植え付ける」として非難しているのだ ‐ そしてこのように結論付けている:「より責任あるメッセージングアプリは、機械学習とAIではなく、セキュリティとプライバシーがディフォルトであるべきである」。

さて、それがGoogle HomeなのかGoogle Alloなのかはともかく、Googleは消費者たちに比類なく便利なAI駆動の魔法体験を約束している。しかしそのためには厳しい問いに答えなければならない。

このアドテックの巨人は、そのプロダクト体験を支配してきたように、物語を支配しようと努力している。GoogleのCEOは「驚くべきこと」がパイプを下って、皆がGoogleを信頼しデータを委ねる世界にやってくると語っただけで、小説1984のビッグブラザー(監視機能を備えたAI)の世界に迫っていると言ったわけではないが、Googleのプロダクトは同じくらい不誠実なものだ;ユーザーにより多くを共有させ、より考えることを減らすことを促すようにデザインされているという意味で。

そして、それは本当に責任ある態度とは逆のものだ。

だからノー。Not OK Google。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

HP、サードパーティー製インク排除について謝罪なき謝罪

The Hewlett-Packard Co. logo is displayed on a Officejet printer at the Macworld iWorld 2012 conference at the Moscone Center in San Francisco, California, U.S., on Thursday, Jan. 26, 2012. Apple Inc. discontinued its role as the anchor vendor for Macworld following the 2009 conference. Photographer: Tony Avelar/Bloomberg via Getty Images

最近HPは、「セキュリティー・アップデート」を使って、他社製リサイクリインクを同社のプリンターで使えなくしたことを非難された。激しい抗議を受けた結果、同社は折れて復旧オプションを提供した ― しかし、悪事は一切認めていない。

「当社はあらゆるコミュニケーションの透明性を約束しているが、足りない時には自ら声を上げる」と、同社が「最高のプリント体験に専心する」と題した記事に書いている。「プリンターのファームウェアアップデートに関して市場に混乱があるようだ ― 事実はこうだ」

HPは、ユーザーを保護し、できるだけ良い体験を提供しようとしているだけだと言っている。当然そこには、3月にアップデートを発行し、昨日まで使っていたインクが使えなくなる仕掛けを、6ヵ月待ってから何の警告もなく有効にしたことも含まれている。

電子フロンティア財団のCory Doctorowは、この反消費者的振舞いについて、公開の場でHPを非難する書簡を書き、そのDRMの疑わしい使用方法が話題を呼び、HPは〈声を上げる〉羽目になった。

「認証プロセスについて、もっとよい伝え方をすべきだったことを謝罪する。影響を受けた少数のお客様に対しては、セキュリティー機能を取り除くファームウェアアップデートをオプションとして提供する。アップデートは2週間以内に発行する予定だ」とHPの記事は続いた。

ダウンロード用のリンクは、このスレッドに注意しておかれたい。

HPも[コーヒーメーカーの]KeurigもAppleも、その他数多くの会社がいずれも、この手のことが起きると口を揃えて「最高の体験」を与えようとしていると言いたがる。しかし真の目的は、各社が注意深く構築したエコシステムに顧客をいっそう強く縛り付けることにあるのは容易にわかる。通常、それが消費者の利益であるか、不利益であるかは明白だ。後者であれば、恐れることなく声を上げるべきだ。

今回影響を受けなかった人たちも心配はいらない ― きっとHPは次のチャンスであなたを楽しませてくれるだろう:

「今後も当社は、質の高いユーザー体験を保証し、当社のプリンティングシステムの整合性を維持すると共に、認証システムを含め当社の知的財産を保護するために、セキュリティー機能を使用していく。そのために一部のサードパーティー製品が動作しなくなる場合もある」

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「モノのインターネットは、セキュリティの面では悪夢だ」EFFの警告

tcdisrupt_ny16-8764

Disrupt Newyork 2016で開催された、セキュリティとプライバシーのバランスを見つけるためのパネルディスカッションでは、さまざまな複雑なトピックについて触れられた。顧客のデータを守るための戦略や、より多様なデバイスがインターネットに接続されることによって起こる大きなリスクなどである。

どのような方法でスタートアップは顧客データを厳重に管理することができるのだろうか?「まず第一に、そのデータにアクセスする方法を持たないことだ」。そう提案するのは、デジタル社会における権利保護団体のElectronic Frontier Foundationにおいてsenior staff attorneyを務めるNate Carzoだ。

企業は政府機関のことを抵抗勢力だと考える傾向が強くなってきているかと尋ねた。するとCardozoは、メッセージ企業たちは顧客データを大量に保持できるために、特にその傾向が強いと話した。

つい先週ブラジルで、メッセージング分野の巨大企業であるWhatsAppが裁判所命令によって一時的にシャットダウンされるという事態が発生した。同社が、データへアクセスする方法を持たないとして現地の法執行機関にそのデータを引き渡さなかったためだ。

「それは映画「Field of Dreams」のような問題です。データを集めれば、彼らがやってくる(同映画のセリフ”If you build it, he will come”を引用した言葉)」とCardozoは話す。彼は加えて、「彼ら」という言葉は「企業を攻撃する人々、組織的犯罪、法機関や諜報機関」など、そのデータに興味を示すであろう多数の機関を意味すると話した。

データを守るための一つの方法は そもそもデータを集めないことです。

「もしデータがそこに存在すれば、あなたはそれを守らなければなりません。もちろん、それを守るための一つの方法は、そもそもデータを集めないことです。いくつかの企業はこれを実行しています。例えばWhatsAppはデータにアクセスする方法を持っていません。それはデータの内容を守るうえではとても有効な手段なのです」。

セキュリティリスクに対する理解がエコシステムに浸透するにつれて、この「ゼロ知識モデル」はテック企業のあいだで一般化するだろうとパネリストたちは語る。

Cardozaは「その理解が浸透してきているように見えるのがAppleの開発ラインです」と語る。「iCloudが今年中にゼロ知識ベースの解決策を採用する、または少なくともオプションとして取り入れるとしても当然でしょう」。

企業のシステム上の脆弱性を探し出す企業、HackerOneのCEOであるMarten Mickosは、テック業界で加速するプライバシーとセキュリティの闘いは、インターネット上のデータの量と種類において「急激なシフトが起こった」結果であると話す。

「私たちが20年前にインターネットを創り出したとき、そこには人を楽しませる物しか存在しませんでした。それが今では、あらゆる物の価値がソフトウェアに支配され、世界とつながっている状態でインターネット上に存在します。そのため、世界中の犯罪組織はそのソフトウェア・システムやウェブシステムを攻撃するようになり、私たちはそれを守る必要があります。それは急激な時代のシフトなのです」と彼は語った。

  1. tcdisrupt_ny16-8781.jpg

  2. tcdisrupt_ny16-8779.jpg

  3. tcdisrupt_ny16-8772.jpg

  4. tcdisrupt_ny16-8770.jpg

  5. screen-shot-2016-05-09-at-9-37-39-am.png

「私たちの生活のすべてがオンライン上に存在します」と加えたのはCardozoだ。「それに、、、コンピューター・セキュリティに関して言えば、私たちはまだまだ素人なのです。デバイスを守る方法をかろうじて知っているくらいで、それを始めたのも最近のことです。そして、Appleなどの企業がコンピューター・セキュリティに取り組み始めたことで、法執行機関はかつて体験したことのない難題に直面しています」。

パネリストが巨大なリスクとして警告したのは、医療デバイス、投票システム、自動運転システムなどが生まれたことで急に出現した、組み込み型システムにおけるセキュリティの問題だ。

「これまで、それらの企業はセキュリティについて心配する必要がありませんでした。彼らの製品の中にネットワークに接続されたものなど無かったからです」とCardozoは話す。モノのインターネット(もしくは、彼が言うところの「○○○○のインターネット」)の勃興によって生まれたリスクだ。

しかし、それが医療デバイス会社になるとどうか。まったく理解しちゃいないんですよ

「なぜ、あらゆる物にラジオやネットワークを取り入れるのでしょうか?エンジニアを有していてもセキュリティ・チームを持たない企業は、脆弱性に関するレポートにどう向き合えばいいのか理解していないのです。企業内で脆弱性の調査を担当するハッカーやリサーチャーをカウンセリングしていると、私の経験上、巨大なソフトウェア会社の担当者とはすんなりと話が通ります。Appleはそのレポートをどう扱えばいいのか理解しているのです。しかし、それが医療デバイス会社になるとどうか。まったく理解しちゃいないんですよ」。

Mickosは、デジタル・データのセキュリティが一歩進むためには、企業がよりオープンソースを活用することと、外部の助けを借りることでセキュリティ対策の負担を解消することが必要であり、それが今持てる最良の希望だと話した。

「セキュリティに対する古い考え方は、人間こそが問題なのであり、テクノロジーがその解決策になるというものでした。いま私たちが体感しているのは、テクノロジーが問題なのであり、人間こそが解決策なのだということでしょう」と彼は話す。「実際のところ、外部の人々のチカラを借りて、彼らに脆弱性のチェックをしてもらう事こそが、セキュリティ対策の一番の近道なのです」。

パネリストたちは、データのセキュリティと暗号化システムに加わる政治的な圧力についても言及した。それには、先日2人の米国上院議員がソフトウェア企業の製品にバックドアを設けることを義務づける法案を通過させようとした出来事も含まれる。

Cardozoはこう語った。「Burr上院議員とFeinstein上院議員によるバックドア法案を文字通りに受け止めると、あの法案はコンピューターの基本的な目的自体を否定するものだという事になるでしょう。しかし、それが彼らの狙いだったわけではありません。それでは彼らの愚かさを示すだけです。そうではなく、あれは捨て駒による先制攻撃です。彼らは今回の法案を通すつもりなどありませんでした。私たちが本当に心配すべきは、次に出てくる法案なのです」。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Twitter /Facebook

EFFと支持者たちに不快感を与えたT-MobileのCEOが謝罪、正規に会談しよう、と

T-Mobile CEO John Legere introduces JUMP!, the company's new revolutionary device upgrade program during T-Mobile's Un-carrier event at Skyline Studios, Wednesday, July 10, 2013, in New York. Beginning Sunday, July 14, customers can choose to upgrade when they want, not when they are told. (John Minchillo / AP Images for T Mobile)

同社の”Binge On”が反ネット中立的だとEFFに非難されたT-MobileのCEO John Legere は、それに激しく反論したが、このところちょっと態度を軟化したようだ。彼は先週のTwitterのQ&Aで、“EFFって何者だよ?”、とまるで相手を馬鹿にしたような軽薄な質問をしたのだ。

EFFの支持者たちが、大勢(おおぜい)、その質問に答えた。

彼は今日(米国時間1/11)、謝罪文を発表したが、それでもBinge Onを擁護している:

ご覧のとおり私は、いつも口数の多い、口調の激しい、そしてときどき悪態をつくCEOだ。私は自分の発言をフィルタしないし、T-Mobileの誰もが私の発言をフィルタしない(それをトライする者すらいない)。そのため、私の言葉がときどきソーシャルメディアを‘炎上’させることがあるが、通常私は、そのことを謝罪しない。

しかし今回は、EFFとその支持者たちに不快感を与えたことを、謝罪したい。彼らのBinge Onの捉え方の一部は間違っていると思うが、だからといって彼らが消費者のために戦っていることを、私が知らないわけではない。われわれもまた、消費者の権利を保護し、消費者に価値を提供することが重要であることに合意する。われわれは共通の価値を共有し、消費者により多くの力を与えたいと考える。先週述べたように、EFFとは一度会談をもちたい。その会談に、われわれは積極的に臨みたい。残念ながら先週の私の激しい発言によって、Binge Onの真の価値が水面下に隠れてしまった。したがって、この書簡により、事態を再びクリアーにしたい。

Legereは間違った言葉で多くの人を怒らせたが、キャリアというビジネスは醜いビジネスなので、目立つためには曲芸も必要だ。彼はそれを試み、そして成功した。そして今度は、謝罪とともに、Binge Onが消費者の味方か否かを議論しようと言っている。審判を下すのは、あなただ。

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

EFFって何者だよ?…T-MobileのCEOはネット中立活動に対して喧嘩腰

3178105727_12365b9d88_b

ついに起きてしまった。ネット中立性活動家とキャリア/プロバイダの口論が。

T-MobileのCEO John Legereは、同社のストリーミングサービス“Binge On”に関するいろんな質問に答えることにした。それはほんとに良いのか? 帯域制限はしてないのか? EFFは、こう考えている。そして同団体は、LegereのTwitter上のQ&Aに参加することにした。すると、こんなケッ作が:

[EFF: Binge Onはビデオストリームを何らかのやり方で変えていますか? それとも帯域を制限しているだけですか?]

John Legereは、こう答えた: “一体あんたたちは何者だよ、EFFさんよ。なんであんたたちは、トラブルばっかし起こすんだよ? 誰に金もらってんだよ?”

EFFには公式の説明がある: “Electronic Frontier Foundationは国際的な非営利のデジタル人権擁護グループで、合衆国に本部がある”。

でも、これで不十分と感じる人たちのために、EFFはレスの中でみんなの協力を求めている:

[T-MobileのCEOは、EFFが誰であるかを、とても知りたがっている。みなさん、@JohnLegereにハッシュタグ#WeAreEFFでツイートして、彼を啓蒙してやってください。]

おもしろくなりそうだね。続きをお楽しみに。

BCDYv

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

児童生徒のプライバシーに関しGoogleがEFFに返答: “弊社のツールは法律と弊社の約束に適合している”

chromebookinclassroom

昨日(米国時間12/1)EFFは、‘学生に対するスパイ行為’(Spying on Students)と呼ばれるキャンペーンを立ち上げて、学校でテクノロジを利用する場合のプライバシーリスクに対する、人びとの関心を高めようとしている。このキャンペーンは消費者保護のお役所FTC(連邦取引員会)がGoogleに対して提起した苦情を契機とするもので、同社が児童生徒の個人情報(検索の内容など)を集めて分析している、と主張している。

EFFのスタッフ弁護士Nate Cardozoは、こう述べている:

公的な声明とは逆にGoogleは、児童生徒の閲覧データやそのほかの情報を集めて分析し、その結果を同社自身の目的に利用している。公的な約束をしておきながらそれを守らないことは、不正で欺瞞的な企業行為を禁じているFTCの規則に違反している。未成年者は追跡されたり実験動物として利用されたり、あるいはそのデータが企業利益のために取り扱われたりすべきでない。Googleが児童生徒のデータを‘Googleのプロダクトを改良するため’に利用したいのなら、父兄からの明示的な同意を得る必要がある。

具体的な問題は、GoogleがChromebooksとGoogle Apps for Educationを学校に配布し、その際に“sync”機能をデフォルトで有効にしていることにある。それはおそらく、個人データを宿題や、さまざまな活動やコミュニケーションに、結びつけるためだ。EFFによるとGoogleは彼らに、近日中にsync機能をデフォルトで無効にする、と述べた。

Googleは今日(米国時間12/2)、プライバシー遵守共通約定集“Student Privacy Pledge”の協同ファウンダたちに対しても応答した。

当然ながらGoogleがコンピュータを学校や企業や団体等に広めようとしているのは、GoogleとAlphabetの消費者をより多く確保するためだ。“人は若いうちに取り込め”は、マーケティングの原則だ。しかしGoogleは、誤解を正そうとしている。Google Apps for EducationのディレクターJonathan Rochelleはこう述べている:

12月1日にElectronic Frontier Foundation(EFF)が、Google Apps for Education(GAFE)とそのほかのプロダクトとサービス、とりわけChrome Syncに関する苦情を発表した。弊社は、児童生徒のデータのプライバシーをEFFが重視していることは尊重するが、弊社のツールは法律と弊社の約束の両方に適合していると確信している。その約束の中には、弊社が今年署名したStudent Privacy Pledgeの約定も含まれている。

Rochelleは、こう付け加えている: “教師や児童生徒によるGoogleのそのほかの消費者サービスの利用は、学校が管理できる。それらYouTube、Maps、Blogger等々はGAFEのアカウントで利用できる。”

Rochelleのポストの全文はここで読める。EFFが提起した問題の、一つ一つに対して説明している。

“Student Privacy Pledge”の協同ファウンダたちは、EFFは約定を誤解しており、したがって”見当はずれである”、と言っている。

生活のいろいろな側面がネット上のサービスに依存するようになってきた今日では、個人データの慎重な取り扱いがますます重要だ。それを子どもたちのために監視する活動は立派だが、しかしGoogleによれば、EFFのキャンペーンは実際に起きていないシナリオを標的にしている。

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

EFFのアクションアプリはAndroidのみ、Appleのデベロッパ合意事項を”ひどすぎる”と批判

【抄訳】

デジタル世界の人権擁護非営利団体EFFが今朝(米国時間1/8)、人びとが同団体の“アクションセンター”*に、より気軽にアクセスできるためのモバイルアプリをリリースした。しかしこのアプリはAndroidバージョンのみで、iOSバージョンは提供されない。その理由をEFFは、AppleのDeveloper Agreement(デベロッパ合意事項)には問題があり、その“とてつもなくひどい”条項は、“デベロッパとユーザの双方にとってよろしくない”からだ、と説明している。〔*: EFF Action Center, 一般人がEFFの活動(アクション)に(ツイートなどいろんな手段で)参加するための窓口。〕

同団体はデジタル世界のプライバシーや言論の自由、ネットワーク上の監視行為などの問題に対して強硬な姿勢を見せることで知られており、もっぱらフリーでオープンなソフトウェアとテクノロジを支持している。したがって同団体が、デベロッパがアプリケーションをiTunes App Storeに提出する際の制約条項に反発するのも当然だ。

Appleは私企業として当然ながら、自分のストアを自分の方針で管理する。しかし同社がモバイルアプリのエコシステムに対する投資を保護するためにとっている措置の中には、EFFを激怒させるものがある。たとえば、AppleのSDKを使って作ったアプリをほかのアプリストアで流通させてはならない、というルールもその一つだ。一方、そのほかのルール、たとえばAppleはユーザのデバイス上のアプリをいつでも“殺せる”、などの項目は、ユーザをセキュリティの脅威から守るためだ、とされている。

しかしEFFが問題にしているのも、この”キル・スイッチ“(kill switch, 殺しのスイッチ)だ。この殺人ならぬ殺アプリ行為は、たとえばユーザがApp Storeから自機にダウンロードしたアプリにマルウェアが含まれていることが後から分かった、というような場合にはむしろ、ユーザ保護のための行為として正当化されうる。Appleがそのほかの目的で恣意的にアプリをユーザのデバイスから取り去ることはない。

Steve Jobsはこの殺しのスイッチについて、こう言っている: “このスイッチを押す機会が一度もないことを願っているが、そういうスイッチをまったく設けないことは、むしろ無責任だ”。

さらにEFFは、デベロッパ合意事項の中の禁止事項…SDKやiOSをリバースエンジニアリング(分解・解読)してはならない、Apple製品をジェイルブレークしてはならない…にも懸念を表明している。またアプリのバグフィックスやセキュリティアップデートにAppleの承認が必要、という条項も、“Appleはデベロッパやユーザのセキュリティを私物化している”としてEFFは批判している。

“Appleの承認が迅速でなかった場合には、ユーザは長期にわたってアプリの旧バージョンを使うことになり、そのセキュリティが危殆に瀕する”、とEFFは書いている。ユーザの安全性を確保するためには、セキュリティパッチなどはAppleのレビュー過程を経ずに即座に当てられる方式が必要、とEFFは主張している。現状ではデベロッパはAppleにレビューをリクエストできるが、Appleはそのリクエストを承認しなくてもよい。またそのレビュー過程は、遅くはないが、早くもない

EFFはまた、アプリにDRMを含める、という要件も、デベロッパ合意事項のネガティブな側面として指摘している。EFFは、DRM反対運動の先頭に立っている団体の一つだ。

EFFはこのアプリのネイティブiOSバージョンも、またWeb上で*一般的に使えるHTML5バージョンも作っていない。iOSバージョンを作って提出して承認を得るためには、これらの‘悪法’に従うことになるので、EFFとしては作らないのが当然だ。CordovaとIonicを使ってクロスプラットホームなアプリを作ったのだが、それに無承認でAppleのSDKを統合することはできない。〔*: EFFアクションセンターのWebインタフェイスはact.eff.org。〕

むしろ同団体は、Androidアプリをローンチしたことを、AppleのApp Storeの規約を改定せよという陳情運動の支持拡大の一環としたいようだ。

この陳情運動は、その趣旨を次のように述べている: “デベロッパはiPhoneアプリを作るために自己の権利を放棄すべきではない。アプリの作者は良好な契約条項を要求すべきであり、自己のiPhoneを愛する顧客は彼らを支援すべきである”。

【後略】

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


グリーンピースとEFFがNSAの巨大データセンター上空に抗議の気球を飛ばす

なんとまあ大胆な!

政府が巨大なデータセンターを作って、そこに世界中から吸い上げた大量のデータを保存しようとしているとき、何をすべきか? 一日中考えても、名案は浮かばないかもしれない。でもFirefly教えてくれた空(そら)は誰のものでもない、と。

そこでGreenpeace(グリーンピース)とEFFとTenth Amendment Center(憲法修正10条センター)が一緒になって、 気球をデータセンターの周辺に飛ばした。 EFFのブログ記事によると、この飛行は“政府の違法な大量監視事業に抗議する”ために行われた。

このビデオを見てみよう:

ぶざまなつぎあてではあったが、NSAを改革しようとする側の努力は、多少の勝利を勝ち取ることができた。

本日(米国時間6/27)政府が発表したNSAの透明性に関する報告書は、あまり詳細ではなかったけど、ないよりはましだ。下院で成立した修正予算は、バックドアの強制と対外諜報監視法702項による合衆国国民の監視を、予算項目から除去した。NSAを統制するための法案も下院を通過したが、かなり骨抜きになっている。上院や主な改革グループは、再修正を要望している。

NSAの監視活動を阻止したいと願う人びとにとっては、まだまだ多くの不満が残っている。

画像クレジット: Greenpeace

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))