Google CloudがIntelのベテランをカスタムチップ開発チームに招く

近年、本来半導体企業ではない大企業が自社独自のチップを開発するトレンドがある。米国時間3月22日、はGoogleが同社のカスタムチップ事業部門を率いる人物として、長年Intelに役員として在籍したUri Frank(ウーリー・フランク)氏を副社長に迎えた。

Googleのフェローでシステムインフラストラクチャ担当の副社長Amin Vahdat(アミン・ヴァーダット)氏は、この新規雇用を発表するブログ記事で次のように述べている。「クラウドインフラストラクチャーの未来は明るく、そしてそれは急速に変化している。私たちが世界中からのコンピューティングの需要に応え続けようと日々努力している中で、ウーリー・フランク氏をサーバー用チップの設計を担うエンジニアリング担当副社長として迎えることができたのは、とても喜ばしいことだ」。

フランク氏の雇用でGoogleが得るのは、チップ業界の経験豊富な執行役員だ。彼は20年ほどをIntelで過ごし、技術者から副社長にまで昇進して、2021年3月に同社を去るまでDesign Engineering Group(設計工学集団)を率いてきた。

フランク氏はGoogleの一員として、イスラエルにあるカスタムチップ部門を率いる。彼はLinkedInに発表した声明で、これはカスタムシリコンの開発で長年の履歴を有する企業に加わるという大きな一歩だ、と述べている。

「Googleは、世界最大で最も効率の良いコンピューティングシステムを設計し構築してきました。長年、カスタムチップはこの戦略の重要な一部でした。ここイスラエルでチームを育てていくことと、コンピュートインフラストラクチャーにおけるGoogleクラウドのイノベーションを加速することが、今から楽しみです」とフランク氏はいう。

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Googleのチップ内製の歴史は2015年にさかのぼり、そのとき同社は最初のTensorFlowチップを立ち上げた。2018年には動画処理用チップに進出してOpenTitanを加え、セキュリティを重視するチップを2019年にローンチした。

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フランク氏の仕事は、これまでの同社の経験をベースとする開発の継続であり、顧客やパートナーと協力して新しいカスタムチップのアーキテクチャーを作っていくだろう。Googleは、さまざまなベンダーからマザーボードを手に入れていくやり方から卒業して、独自の「system on a chip」すなわちSoCを作る方向へ向かおうとしている。それにより効率が大幅に向上する、と同社はいう。

「マザーボードの上に部品を集積するこれまでのやり方では、各部品が数インチずつ離れることになる。そこで私たちは『Systems on Chip(SoC)』に目を向け、複数の機能が1つの同じチップの上にあり、複数のチップが1つのパッケージに収まっているアーキテクチャーを目指した。つまり、SoCは新しいマザーボードだ」とヴァーダット氏は語る。

Googleは早期から「Build Your Own Chip(自分のチップは自分で作ろう)」運動を推進してきた。現在では、AmazonやFacebook、Apple、Microsoftといったその他の大企業も自分たち独自のニーズを満たし、ハードウェアとソフトウェアの関係をより精密にコントロールするために、チップの内製を始めている。

フランク氏の仕事は、Googleのカスタムチップチームを率いて、それを次の高いレベルへと引き上げることだ。

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タグ:GoogleSoC半導体

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

「次の10億ユーザー」イニシアチブ責任者・決済サービスVPがグーグルを去ることに

Google(グーグル)の「Next Billion Users(次の10億ユーザー)」イニシアチブの責任者を長年務めてきたCaesar Sengupta(シーザー・セングプタ)氏が、2021年4月末に同社を退社することをインド時間3月22日に発表した。セングプタ氏は他にも過去3年間、同社のGoogle Pay決済サービス事業も担当しており、約15年間勤めた同社を去ることになる。

インドやブラジル、そしてインドネシアで開催されるGoogleのイベントには欠かせない存在だったセングプタ氏(写真)は、発展途上市場のユーザーがインターネットやサービスをより利用しやすくするための取り組みであるNext Billion Users部門を率いていることで社外でもよく知られている。

Next Billion Usersイニシアチブの一環としてGoogleは、インドやその他の市場の何百もの鉄道駅やその他の公共の場所にWi-Fiを通じてインターネット接続をもたらし(その後Stationプログラムは閉鎖)、インドでGoogle Payを開始し(米国のGoogle Payとは異なり、クレジットカードを前提に開発されたものではない)、Android Go、Datally、Kormo JobsFilesアプリなどの製品を構築した。

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セングプタ氏はNext Billion Users部門の前には、Chromebookに搭載されているデスクトップOSであるChromeOSのVP兼プロダクトリードを務めた。

Googleの広報担当者は声明の中でこう述べている。「シーザー・セングプタは、Googleでの15年にわたるキャリアの後、当社を離れ、Googleの外で起業することを個人的に決断しました。シーザーはGoogleではChromeOS、Next Billion Users、Google Payなどのイニシアチブの立ち上げ、構築、主導に重要な役割を果たしてきました。私たちは、彼が次に何を構築するかを楽しみにしており、彼の新しい旅での成功を願っています」。セングプタ氏の現職は、Next Billion UsersおよびPayments担当のVP兼GMだ。

「アフリカ、APAC、LATAM(中南米)、MENA(中東・北アフリカ)で働いている多くのGoogler(グーグラー)のみなさん、みなさんの声がGoogleの製品により反映されるようになったことに感動しています。やるべきことがまだたくさんあることはわかっています」と、セングプタ氏は同僚に宛てたメールの中で述べ、それを公開した

「しかし、私たちはほんの少し前に比べて何光年も進歩しています。みなさんは、経済のデジタル化に貢献し、Googleを地元に根づかせ、Googleの各国への投資を前例のないレベルにまで高めてくれました」と、アジアを拠点とする同氏は続けて書いた。セングプタ氏は、今後の計画については語らなかった。

また同氏のリーダーシップの下、Googleはアジアのスタートアップ企業にいくつかの投資を行った。これらの投資の中には、バンガロールを拠点とする配送サービスのDunzo、Androidのロック画面を開発するGlance、人気のニュースソーシャルアプリDailyhuntなどがある

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

グーグルの社内インキュベーターArea 120が一口サイズビデオで会話するチームコラボツールThreadItを発表

Google(グーグル)の社内スタートアップインキュベーターArea 120のチームによると、「ThreadIt」のアイデアは、新型コロナウイルスによって世界中の人々がリモートワークを必要とするようになるずっと前からあったという。もちろんパンデミックが起きたことで、この製品に対するチームの関心が高まったのは確かだ。

ThreadItのゼネラルマネージャー兼創業者であるKeller Smith(ケラー・スミス)氏は、TechCrunchにこう語った。「私たち誰もが、ものの見方を調整せねばなりませんでした。コロナ禍の前からその傾向は強まっていましたが、ご存知の通り、世界全体が一夜にして変わりました」。

ブラウザでアクセスできるサービスとChromeのプラグインとして米国時間3月18日に公開されたThreadItは、認識されている市場の穴を埋めようとする試みだ。ユーザーが短いビデオメッセージを録画できるこのシステムは、長時間のライブビデオ会議と短いテキストやメールの中間に位置している。

使い始める手順はとても簡単だ。ユーザーは:

  1. 自分が話しているところを録画する(最初に失敗しても録り直すことができる)
  2. そのビデオを選んだ同僚に送信する。

このアプリのインターフェイスは、他のGoogle製品の主要機能を参考にしている。例えば、受信者がビデオをどのように操作するかを決めるためのドロップダウンメニューがあり、ただ見るだけでなく、自分のクリップを追加することもできる。このアプリは、ショートビデオをスレッドとしてつなぎ、物事を時系列に整理して1つのビデオ会話にする。アプリを開発したチームは実際に一度も会ったことがないそうで、ThreadItをドッグフードしてきたという。

確かにこれは、時代のムードを映し出している。パンデミックが徐々に弱まった後も、多くの人々にとってリモートワークはリアリティーであり続けるだろう。そしてもちろん、ショートビデオクリップは再びブームになっている。短い情報ビデオを作ったり見たりするのをよりストレートなアプローチにした、仕事用のTikTokかVineと思えばいいかもしれない。

「ちょっとした構造を加えて、作品を分割し一口サイズにして見せられるようにすることで、より短いメッセージで、よりポイントを押さえたものになることがわかりました」とスミス氏はいう。「それが、今日のビデオ(アプリ市場)に見られた一つのギャップでした」。

米国時間3月18日からアクセス可能になった同アプリは、Area 120の慣例に従い、パブリックベータモードとなっている。チームはこれからフィードバックを集めてアプリへの関心をくみ取り、プロジェクトを継続する価値があるかどうかを確認する。これまでにArea 120から卒業したサービスには、コード教育ツールであるGrasshopperや、旅行アプリのTouring Birdなどがある。

つまりこのプロジェクトは、まだ初期段階にあるということだ。そのため、望んでいた機能がまだ実現されていないことも多々あるだろう。例えば筆者の場合、今年初めに健康上の問題で話すことが難しくなったため、カメラに映ることができない、あるいは映りたくない人のために、直接テキストで返信する機能が欲しいと思った。

Googleのプロダクティビティアプリとの連携を深めることもおそらく理にかなっているが、アプリを成長させるためには、どれだけスタンドアローンにするかを決めることも重要ではないだろうか。例えば、Gmailとの連携を強化するのは良いことだが、Gmailが提供していない機能を増強するアプリであるならば、そのプラットフォームに依存する状況は避けたいものだ。

このサービスは現在、スマートフォンではモバイルChromeブラウザを介してアクセスできるが、将来的にはスタンドアローンのアプリも必要になるだろう。「それは今後の課題として検討したいと思っています」とスミス氏はいう。「関心や反応を見て、そこからさらに深く掘り下げることができるという好例ですね」。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Google ビデオチャット

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

フェイスブックとインスタグラムが「最も個人情報をかき集めるアプリ」トップに、第三者と多くの個人データ共有

フェイスブックとインスタグラムが「最も個人情報をかき集めるアプリ」トップに、広告主と最も多くの個人データ共有

SOPA Images via Getty Images

アップルは2020年末から新規およびアップデートするApp Storeアプリに、収集しているプライバシー情報(プライバシーラベル)の表示を義務づけています。FacebookGoogleなどは何らかの事情から遅れていましたが、ようやくトップアプリのほとんどが表示を実装しています。

そのプライバシーラベルに基づいて、スイスのクラウドストレージ企業pCloudがユーザーから最も多くの個人データを集めて第三者と共有する「侵略的な」アプリのランキングを発表し、InstagramとFacebookの2つがトップに位置づけられました。

InstagramとFacebookアプリはサードパーティ広告主(第三者)と最も多くのデータを共有しており、購入や位置情報、連絡先の詳細やユーザーコンテンツ、検索履歴から閲覧履歴まであらゆる情報を対象にしているとのこと。その事実は別のメディアが確認しており、両アプリを運営するFacebookのプライバシーに配慮の薄い印象から言っても全く意外ではありません。

フェイスブックとインスタグラムが「最も個人情報をかき集めるアプリ」トップに、広告主と多くの個人データ共有

pCloud

しかしInstagramは個人データの79%を収集し、Facebookは57%と数値化されると、やはり圧倒的ではあります。それに続くのはビジネスSNSのLinkedInとUber EATSで50%と並んでいます。また本調査はGoogleがGoogle検索アプリとChromeのプライバシーラベルを公開する前に行われましたが、それでもYouTubeとYouTubeMusicも43%を叩き出してトップ10入りを果たしています。

第三者との個人データの共有とは、たとえばYouTubeが動画を検索するたびにデータがアプリ外に送信され、他のSNSで個人をターゲットにしている業者などに販売されるということです。特にpCloudは、月間アクティブユーザー数が10億人を超えるInstagramが自覚のない人々のデータを大量に共有するハブ化していることに懸念を示しています。

かたや、ほとんど個人データを集めていないアプリの顔ぶれはSignalやClubhouse、NetflixやShazam、SkypeやTelegramといったところです。インストール時に「連絡先をぜんぶ吸い上げる」仕様を廃止したばかりのClubhouseですが、ログイン後の挙動はプライバシー重視だった模様です。

(Source:pCloud、via:MacRumorsEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:セキュリティ
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グーグルが7インチディスプレイの新型Nest Hub発表、Soliレーダーが睡眠トラッキング用途で復活

驚きの復活だ。Google(グーグル)は米国時間3月16日朝、第2世代となる新型「Nest Hub(ネストハブ)」の発売を発表した。2018年に「Google Home Hub(グーグル ホーム ハブ)」という名前で登場したこのスマートディスプレイは、2019年にリブランディングされたにもかかわらず、これまで大きな変更はあまり見られなかった。今回登場した第2世代モデルも、先代から大幅にアップグレードされたわけではないが、見覚えがある(そしてほとんど忘れられていた)機能が搭載されている。

2019年末にPixel 4(ピクセル4)の発表とともに導入された「Project Soli」という技術について、その後あまり耳にすることはなかった。動きを感知するこの小型のレーダー技術は、発表から約4年を経てようやくデバイスに搭載され、大きなセールスポイントとして位置づけられていた。だが、これを利用するアプリケーションは非常に少なく「Motion Sense(モーション センス)」と呼ばれるジェスチャー検知機能や、専用に作られた奇妙なポケモンアプリなどがあったくらいだ。

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そして、Soliは消えてしまった。2020年に発売されたPixel 5には、Motion Senseが搭載されていなかったのだ。家電製品では一度採用された機能が廃止されることは確かに珍しくないが、Googleが間違いなく時間とリソースを費やして開発した技術としては奇妙に思われた。

画像クレジット:Google

新型Nest HubでSoliが再登場したことは確かに予想外だったが、かつてモバイルアプリケーションで行った試みよりも、今度はようやくその意義が活かせるかもしれない。新型Nest HubにおけるSoliの主な用途は、初代Nest Hubからの最も大きな変更点である睡眠トラッキングだ。なぜSoliが使われたのかというと、Googleが既存の技術の新たな使い途を探していたからという理由だけではない(間違いなくそれもあるだろうが)。

新型Nest Hubには、初代と同様にカメラが搭載されていない。Googleがデバイスにカメラを搭載しないと決めたことは、新しいAmazon Echo(アマゾン エコー)が人の追跡機能を使って実際に部屋の中であなたの姿を追いかけるようになった今、この世界における一服の清涼剤のようにも感じられる。カメラが重要だと思うのであれば、これまでと同様に「Nest Hub Max(ネスト ハブ マックス)」を選択することもできる。しかしGoogleは、初代Nest Hubがベッドサイドに置かれることが多かった件に正しく言及している。

それはつまり、

1. ネットワークに接続されたデバイスにカメラを搭載することは、プライバシーに関する重大な懸念を生じさせる。

2. 睡眠トラッキングをするには理想的な場所である。

そこで考えたのが、

  1. カメラを使わずに睡眠トラッキングを行うにはどうすればいいのか?

それに対する簡単な答えは、ウェアラブルデバイスを使うことだ。Googleは、Fitbit(フィットビット)の買収を完了させたことで、その分野における足場をより強固なものにした。しかし、この買収が完全に定着するまでには、まだ時間がかかるだろう。また、筆者はこれまで多くのウェアラブルデバイスを試してきた者として、どんなに快適な製品であっても、手首に装着していない方がよく眠れると断言できる。睡眠トラッカーのせいで眠れないというのも確かに皮肉な話だが、だからといって気にしないようにすることも難しい。

Soli技術についての簡単な復習(Googleによる説明)

Soliは、超低電力の電波を発射し、対象となる場面から反射された信号を測定するFMCW(周波数連続変調)方式のミリ波レーダートランシーバーで構成されています。反射信号の周波数スペクトルには、場面内における物体の距離と速度が集約されています。この信号を処理することで、ユーザーの睡眠領域など特定の範囲を分離し、その領域内における大きな体の動作からセンチメートル以下の呼吸まで、幅広い動きを検出して特徴付けることができます。

画像クレジット:Google

つまり、基本的には、カメラによるセンシングをベッドサイドの小型レーダーと交換するという話だ。確かに、頭では理解しにくいかもしれない。ここで最も重要なことは、レーダーによるモーション・トラッキングでは、画像を収集するのではなく、動きに基づいたデータのみを収集しているということだ。

このSoliを使ったGoogleの「Sleep Sensing(スリーブ センシング)」システムは、10万時間以上の睡眠データを基に学習したもので、データの解析にはTensorFlow(テンソルフロー)が使われているという。これによって、最初の調整プロセスが完了した後は、シーリングファンのような人体以外の動きを排除することができる。睡眠トラッキングだけでなく、画面が徐々に明るくなるSunrise Alarm(目覚ましディスプレイ)やジェスチャーで目覚ましをスヌーズする機能など、従来のNest Hubにソフトウェアアップデートで展開された睡眠に関わるその他の機能も活用されている。

他にも、新しいスマートホームインターフェースなど、ソフトウェア面のアップデートが行われてる。しかし、全体的には、睡眠トラッキング以外の改善点は多くない。しかし、実際にはそれで全然構わない。初代Nest Hubは市場で最も優れたスマートディスプレイの1つだったからだ。

スピーカーは低音が向上するなどの改良が施されたというが、ほどんど変わっていない。画面サイズは初代と同じ7インチだが、デバイス全体のフットプリントは、スピーカーの改良に合わせて少し大きくなっている。また、本体の54%にポストコンシューマーリサイクル(消費者が製品を使用した後に回収された)プラスチックが使用されているという。

99ドル(約1万800円)という価格は、確かに適切だろう。Googleは初代Nest Hubから49ドル(約5350円)値下げした。米国では16日に予約受付が始まっており、30日に販売開始となる。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:GoogleGoogle Nestスマートディスプレイ睡眠

画像クレジット:Google

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Google Playの手数料が30%から15%に値下げ、2020年のAppleに倣って

Googleによると、同社の人気ストアであるGoogle Playにおけるアプリ内デジタルグッズやサービスを販売する開発者に対して、ライバルであるAppleの2020年後半の動きに倣い、その手数料を全世界で引き下げるという。

AndroidのメーカーであるGoogleは米国時間3月16日、開発者がGoogle Playの課金システムで毎年火星だ最初の100万ドル(約1億1000万円)については、2021年7月1日から手数料を従来の30%から15%に下げると発表した。つまり同社は、開発者が1年間にGoogle Playにおける収益の100万ドルを超える部分に関しては30%の手数料を徴収する。

関連記事:AppleがApp Store手数料率を15%に削減、年間収益約1億円以内の小規模事業者対象

Googleは自社の試算を引用して、Playで商品やサービスを販売する開発者の99%は手数料が50%引き下げられることになるという。また、全世界のアプリの97%はデジタルグッズを販売しておらず、サービス料金を支払っていないと述べている。

Googleのやり方はAppleとやや異なる。2020年、Appleは同社のプラットフォームで売上が100万ドルを超えていない企業からは30%でなく15%を徴収すると発表した。Appleのプラットフォーム上の売上が100万ドルを超える開発者には、低料率が適用されない。

GoogleのAndroidとGoogle Play担当副社長であるSameer Samat(サミアー・サマット)氏はブログで「年間200万ドル(約2億2000万円)、500万ドル(約5億5000万円)さらには1000万ドル(約10億9000万円)を稼ぐパートナーから、彼らのサービスはまだ自立軌道に乗っていないと聞いた」と述べている。

「我々が『総売上』ではなく、その大きさに関わりなく手数料値下げの対象を『売上のうち100万ドルまで』にしたのはそのためだ。これは、すべてのデベロッパーの成功を支援するというGoogleのミッションに適った公正なやり方だと信じている」。

この決定の数カ月前、Googleの課金方式の変更がインドでスタートアップたちの騒動を引き起こした。2020年にGoogleが、Androidアプリにおける特定のアプリ内購入にはその代金の30%を徴収すると発表し、150社あまりのスタートアップが共同で反意を表明している。

関連記事:インドのスタートアップが集結しグーグルの「独占」に対抗するアプリストアを計画

Googleはこの反発を受けて、インドにおけるPlay Storeの決済ルールの変更を2022年4月に遅らせ、また情報筋によるとGoogleはここ数カ月で、数社の開発者から彼らの不満や懸念の聞き取り調査を行ったという。

インドで評価額が最も高いスタートアップのモバイル決済サービスPaytmの創業者でCEOのVijay Shekhar Sharma(ヴィジャイ・シェカール・シャルマ)氏は、今回のGoogle発表を「PRのための曲芸」と無視する。

TechCrunchのインタビューでシャルマ氏は、企業の開発者は現在でも、Googleに法外な額の手数料を払っていると述べた。そして、Googleには、本格的なインターネット企業が抱く疑問に答える気はあるのかと疑問を呈した。なおPaytmのアプリは、Play Storeの課金システムを使ったデジタルグッズの販売を行っていない。

彼によると、今日の企業が直面している最大の懸念は、アプリ内からの決済にサードパーティーの決済サービスを使えないことだ。「彼らが言うのは、100万ドルというとても低いバーを超えたら30%の手数料を払えということだ。課税後には44%になる」とシャルマ氏はいう。Paytmアプリは、インドではGoogle Payと競合している。

売上の30%カットと、サードパーティーの課金徴収システムを利用できないことが、多くの開発者とAppleやGoogleといったアプリストアの運営者との間の争点だ。「Fortnite」を開発するEpic GamesとiPhoneのメーカーとの2020年の例のように、訴訟に発展することもある。Epic GamesのCEOであるTim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏によると、Appleが小規模な開発者のためにApp Storeが行った料金の引き下げは、アプリ製作者たちの間に分裂を起こすために仕組まれたものだという。

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「Googleのアプリ税減税は、開発者の肩の荷を少しだけ減らすかもしれないが、問題の根っこを放置している。15%でも30%でも、Gooble Playから入手するアプリは、開発者がGoogleのアプリ内決済サービスを使うよう強制される。Androidは、もっと完全にオープンに競合すべきであり、プラットフォーム企業とアプリのクリエイターとサービスのプロバイダーの全員が、本当にフラットな球技場でプレイすべきだ。公正なアプリのマーケットプレイスを実現するためには、決済方法とアプリの流通方式に競争があることが絶対条件だ」とEpic Gamesの声明で述べている。

シャルマ氏によると、インドのような途上国では、Googleはその他の配慮も必要だという。「我々には、オペレーティングシステムや流通プラットフォームの選択肢がない。このような国では、Googleといった少数の大企業がアプリ開発者の命運を握る」。

調査会社Counterpointによると、インドではAndroidがスマートフォン市場の90%を支配している。シャルマ氏「最初、インドはAndroidで動いていた。次に我々はAndroidに依存するようになった。そして今では、Androidにコントロールされている」という。

Googleのサマット氏は「私たちは、Android上の企業が今よりもっと大きくなり、インドの開発者コミュニティとの議論を深められ、技術と経営が一体となって、新たに企業を作るときの技術的および経済的な支援ができるようにしたい」と語る。

「対象となるアカウントなど、私たちの助けになる基本的な情報を提供してもらえれば、私たちは確実に15%を正しく適用し、そのディスカウントは1年ごとに更新される」とサマット氏はいう。Appleの場合も、手数料率の引き下げは開発者からの申請が必要となる。

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画像クレジット:Lyu Liang/VCG/Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

5万800円の2 in 1タイプChromebook「ASUS Detachable CM3」発売、ペンも収納可能

5万800円の2 in 1タイプChromebook「ASUS Detachable CM3」発売、ペンも収納可能

ASUS

ASUSは3月17日、キーボードが着脱する2-in-1スタイルのChromebook、「ASUS Chromebook Derachable CM3」を発売しました。価格はストレージが128GBの一般販売モデルが5万800円(税込)。64GBの教育・法人向けモデルは4万4980円(税込)で4月中旬の発売を予定しています。

キーボードのほか、背面のスタンドも着脱式になっており、すべて外せば10.5インチのタブレットとして利用可能。LenovoのIdeaPad Duetと同様の作りです。

マグネット着脱式の背面スタンド(フレックスアングルスタンドカバー)は、スタンドの出し方を変えることで縦置き、横置きのどちらにも対応します。

5万800円の2 in 1タイプChromebook「ASUS Detachable CM3」発売、ペンも収納可能

ASUS

キーボードは、Surfaceと同じく折曲げにより角度が付けられるタイプです。キーピッチは17.5mm、ストロークは1.5mm。なお、日本販売モデルは日本語キーボードとなります。

5万800円の2 in 1タイプChromebook「ASUS Detachable CM3」発売、ペンも収納可能

ASUS

また、4096段階の筆圧検知に対応するスタイラスペンASUS USI Penに対応しており、ペンは本体に収納可能です。収納する都合上、一般的なペンと比べると細く持ちにくい可能性もありますが、使いたいときにペンを探さなくて済むのは、大きなメリットでしょう。

5万800円の2 in 1タイプChromebook「ASUS Detachable CM3」発売、ペンも収納可能

ASUS

また、Chromebook Detachable CM3は、日本市場で流通するChromebookとしては初めて「ゼロタッチ登録」に対応します。これは、企業や学校などでセットアップする際に、僅かな操作だけで組織向けの必要な設定やアプリが適用される機能です。

このほか、主な仕様としては、ディスプレイが10.5インチ TFT液晶で解像度は1920×1200(16:10)。CPUはMediaTek MT8183 (2.0GHz オクタコア)。RAM4GB、ストレージは128GB(教育・法人向けは64GB)。バッテリー駆動時間は単体で約12.3時間、キーボード接続時には約12時間。

インターフェースは、USB Type-C(USB 2.0)が1ポートと3.5mmジャックで、データ転送や給電もこのUSBポートで行います。外部への映像出力も可能ではあるものの、最大でも1440×900と解像度は低めです。

カメラは、アウトカメラが800万画素、インカメラが192万画素。1W x 2のステレオスピーカーとマイクも搭載しており、ビデオチャットを利用可能です。なお、無線関連は、IEEE802.11 a/b/g/n/ac(2.4GHz/5GHz)とBluetooth 4.2に対応します。

サイズは255.44 x 167.2 x 79mmで重さは約506g。キーボードとスタンドカバーを装着すると約915gで、MIL規格に準拠した高い堅牢性も備えます。

発売を記念した数量限定1万8000円オフのキャンペーンも実施中。

(Source:ASUSEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:ASUS(企業)ガジェット(用語)Chrome OS(製品・サービス)Chromebook(製品・サービス)Google / グーグル(企業)日本(国・地域)

グーグルのファミリーリンク機能が保護者の考え方の変化を反映してアップデート

Google(グーグル)はペアレンタルコントロールシステムであるファミリーリンクを変更する。子どもが画面を見る時間に対する保護者の考え方の変化を反映するのが目的だ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大する前は、保護者はスクリーンタイムを制限すべきものと考える傾向があった。おそらく、画面を見るよりも外へ出て友だちと遊ぶほうが良いと思っていたのだろう。しかしロックダウンされバーチャル学習へと移行した困難な状況が、保護者の考え方に影響を与えた。グーグルによれば、保護者は最近、子どもがデバイスを「何時間」使うかよりも「どう」使うかを心配しているという。

感染拡大を防ぐために家に留まり、親戚や友人と会うことを制限され、学校は閉鎖され、遊ぶ約束やパーティは中止になった。こうした家族にとってデバイスはある種の救世主となった。保護者の考え方の変化は、このような世界に対する譲歩だ。保護者は、画面を見ている時間自体は必ずしも避けるべきものではなく、使い方を制御したいだけだと認識するようになった。

ファミリーリンクがアップデートされ、保護者はリモート学習アプリを「常に許可」できるようになったため、リモート学習アプリはスクリーンタイムの1日の制限に含まれなくなる。学校の授業を受けたり先生とコミュニケーションを取ったりするアプリだけでなく、子どもが学んだり遊んだりするアプリも許可することになるかもしれない。例えば学校が推奨する補習用の教材や、バーチャル授業の合間に遊ぶことを保護者が認めたアプリなどだ。

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保護者はこれまで以上に詳しい日、週、月ごとのアクティビティレポートも見られるようになる。レポートには子どものアプリ利用時間の概要、週や月単位での利用時間の変化「常に許可」したアプリの利用時間が表示される。これにより保護者は学習と遊びでどのように使われているかを詳しく把握できるようになる。

Androidでは、米国で13歳未満の子ども向けに教員が推薦しているGoogle Playのアプリも見られるようになり、スクリーンタイムの制限を子どものデバイスから直接設定することもできる。

画像クレジット:Google

こうしたアップデートは新型コロナウイルス感染症が収束した後でも保護者がスクリーンタイムを細かく見られるので有用だが、感染拡大の中でグーグルがこの変更を公開するまでにこれほど時間がかかったのは残念だ。米国では多くの人がワクチンを接種し、多くの場所で学校が再開されるなど制限が緩和されている。したがって、子どもが画面を見る時間が長くなるという保護者の心配は、直になくなるだろう。デバイスから対面の学習に移行し、画面を見る時間はまた悪者扱いされるようになるかもしれない。

今回の発表に関連して、グーグルはテクノロジーを使い始めた子どもがいる家庭向けに新しいウェブサイトを公開した。さらに同社は子どものいる家族が一緒に瞑想を練習するのに役立つアプリのHeadspaceを紹介する新しいコンテンツのシリーズも公開した。繰り返しになるが、こうしたリソースは世界が再度動き始めた今ではなく、2020年の感染状況が最悪だった時期にこそ必要だった。

コロナ禍で家族が子どものスクリーンタイムやデバイスのエクスペリエンスをこれまで以上に考える事態となった。保護者の監視が強まった結果、TikTokやInstagramなどのソーシャルアプリは、スクリーンタイムで真っ先に制限されるのではなく保護者から好意的に見てもらうためにファミリー向けの安全機能を公開している(Instagramについてはちょうど今日、記事を公開した)。スクリーンタイムで制限されないエデュテインメントアプリの新しいカテゴリーを確立しようと、新しいハイブリッド学習や教育のスタートアップも現れている。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

Chromeで「シークレットモードでも個人情報を収集」発覚、Googleが約5000億円の集団訴訟に直面

Chromeで「シークレットモードでも個人情報を収集」発覚、Googleが約5000億円の集団訴訟に直面

Mateusz Slodkowski/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

Chromeのシークレットモードは、閲覧履歴などを残さずWebサイトを閲覧できるとうたっています。しかし昨年(2020年)6月、Googleが本モード使用中も個人情報を集めているとの集団訴訟が米連邦地裁に提起されていました。

Googleの親会社であるAlphabetは本訴訟を取り下げるよう求めていましたが、地裁判事はこれを退け、Googleに対する集団訴訟を認定したと報じられています。

訴状によれば、ユーザーがGoogleの提供する広告をクリックするかどうかに関係なく、GoogleアナリティクスやGoogleアドマネージャー、スマートフォンアプリを含む他のアプリやWebサイトのプラグインが個人データを収集しているとのこと。原告の3人は、この行いが米国の盗聴法とカリフォルニア州のプライバシー法に違反していると主張しています。

Googleは原告らがプライバシーポリシーに同意したとして、本訴訟の却下を求めていました。裁判所に提出された書類では「“シークレット“とは『目に見えない』という意味ではなく、そのセッション中のユーザーの行動は、訪れたWebサイトや、そこで使用されているサードパーティの分析サービスや広告サービスから見える可能性があることを明示しています」と述べられています。

しかし連邦地裁のルーシー・コー判事は、Googleが「ユーザーがプライベートブラウジングモードにある間、Googleが疑惑のデータ収集を行っているとユーザーに通知していなかったと結論づけた」との判断を語っています。

原告の主張では、本訴訟は2016年6月1日以降、シークレットモードを使ってインターネットを閲覧したGoogleユーザーの「数百万人」が対象になる可能性が高いとのことです。そして1人あたり5000ドルの損害賠償が求められており、合計額は少なく見積もっても50億ドル(約5450億円)に達します。Googleがこの訴えに対して「強く異議を唱え、積極的に弁護していく」と全面対決の姿勢を示しているのも当然でしょう。

またGoogle広報は米Engadgetに「明確に記載されているとおり、新しいシークレットタブを開くたびにWebサイトがセッション中に閲覧アクティビティに関する情報を収集できる場合があります」との声明を出しており、引き続きユーザー追跡を行う模様です。

GoogleはChromeにおけるサードパーティCookieを2022年までに段階的に廃止していくと発表した一方で、それに代わりターゲティング広告の新たな基礎となるFLoC技術のテストを行う予定です。しかしGoogle本体は「ファーストパーティ」として引き続きユーザーを追跡でき、競合他社を排除して自らの優位を強める狙いとのOracleからの批判もありました。

つまりサードパーティCookie完全廃止についても「ただしGoogleによる個人情報の収集は続く」の構図は今回の件と共通しており、こちらでも集団訴訟が起こされる可能性もあるのかもしれません。

(Source:BloombergEngadget日本版より転載)

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グーグルがインドで7000万人以上いるGoogle Payユーザーのデータを収益化する道を開く

インドでGoogle Pay(グーグルペイ)の決済サービスを開始して3年半になるGoogle(グーグル)は、ユーザーの取引データを収益化のために利用する道を開きつつある。ただし、ユーザーには十分な警告とオプトアウトの選択肢を与える予定だ。

Googleは米国時間3月11日、Google Payのアップデートを来週に配信開始すると発表した。このアップデートにより同アプリは、データを同社と共有するかどうかユーザーに選択を求める。

現在Googleは、アプリ上でのユーザーの行動に基づくデータを限定的に利用している。例えば、関連するオファーを目立つように表示するなどだ。だが同社はこれまで、ユーザーの取引データを金銭的な目的では使用していなかった。

来週からはそれが変わる。ユーザーは取引を伴わないデータであっても、Googleによるデータの利用を防ぐことができるという。またデフォルトでは、ユーザーは自分のデータをGoogleと共有することをオプトアウトしているものとみなされるという。

しかしGoogleとデータを共有することに同意したユーザーに対しては、パーソナライズされたオファーを提供するためにデータを使用するという。同社は、Google Payユーザーに広告を表示することはないとした上で、ユーザーのデータを誰かに売却することはなく、取引履歴を他のGoogle製品と共有して広告ターゲティングに使うこともないと繰り返し述べている。

Google社のプロダクトマネジメント担当副社長であるAmbarish Kenghe(アンバリッシュ・ケンゲ)氏は、TechCrunchの取材に対し、Googleは新規・既存を問わずすべてのユーザーにこのオプションを提供することで、ユーザーがGoogleと共有するデータについて理解を深められるようにしていると述べた。

ユーザーは後から選択を変えることも可能で、特定の取引の記録を削除することもできる。Googleとのデータ共有に同意しなかった場合でも、Google Payアプリの機能の一部にアクセスできなくなるというようなことはない、と同社は述べている。

今回の動きはインド中央政府からの規制通知に反応したものではない、とケンゲ氏はいう。参考までに付け加えると、インドでは多くのアプリがユーザーの取引履歴を利用してお得な情報を提供しており、時には極端なことも行っている。そして、Googleとは異なり、透明性の高いアプリはほとんどない。

「当社は、ユーザーの皆様がGoogle Payでどのような選択をしても、自分のデータがどのように使用されているかを簡単に確認・管理でき、快適な製品体験を楽しんでいただけることを心から願っています」と、ケンゲ氏はブログ記事で書いている

「インドがデジタル決済を導入する中で、当社は最先端のデータセキュリティとプライバシー対策を導入し、データの使用方法をユーザーが管理できるようにする基準を高め続けるために、業界全体の発展に貢献していくことをお約束します」。

インドでGoogleはWalmart(ウォルマート)傘下のPhonePe(フォンペ)やSoftBank(ソフトバンク)が出資しているPaytm(ペイティーエム)と競合しており、同社の決済アプリで7000万人以上のユーザーを獲得している。

しかしその規模にもかかわらず、Google Payはユーザー間のP2P取引では収益を上げることができない。これは、基盤となるUPI(Unified Payments Interface、統合決済インターフェース)がビジネスモデルをサポートするものではないからだ

関連記事:Googleトラベルでホテル予約リンクが無料掲載可能に、アフターコロナでの成長を見込んで

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Google インド

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

Googleトラベルでホテル予約リンクが無料掲載可能に、アフターコロナでの成長を見込んで

Google(グーグル)は2020年、それまで有料広告の商品で占められていたGoogleショッピングタブの仕様を大幅に変更し、オンライン小売事業者が無料でそれを利用して商品を販売できるようにした。また、Googleフライトに参加しているパートナー企業に課していた料金も無料化した。同社は米国時間3月9日、Googleトラベルに掲載されるホテル予約リンクでも同じようにすると発表した。

今週から、世界中のホテルや旅行会社が無料でGoogleトラベルにホテル予約リンクを掲載できるようになった。これによってユーザーは、旅行の計画を立てたり下調べしたりする際に、ホテルをより包括的に探せるようになる。

新型コロナウイルス感染が収束し、旅行者の数が戻ることを見越して、Googleはこの変更をより消費者のニーズに応えるためと位置づけている。

「旅行が本格的に再開されたら、人々が探している情報を見つけて、オンラインで旅行会社と簡単につながるようにすることが重要になります」と、Googleトラベルのプロダクトマネジメント担当VPを務めるRichard Holden(リチャード・ホールデン)氏は書いている。

実際には、このGoogleトラベルにおける無料リスティングの採用も、以前は有料広告で占められていた多くのリストに無料で掲載できるように変えていくGoogleで進行中の大規模な取り組みの一環である。電子商取引の最前線において、この変更は増大するAmazon(アマゾン)からの脅威に対抗するため、戦略的に意図されたものだ。Amazonはeコマースにおける広告ビジネスを、長年にわたって着実に成長させてきた。今では多くのユーザーが、商品を探す際に、完全にGoogleを飛び越えて、最初からAmazonで直接検索するようになってきている。これはGoogleのコアビジネスである広告事業に対する懸念すべき脅威だ。

画像クレジット:Google

商品の無料リスティングを始めた直後に、ショッピングタブのクリック数(2020年6月時点で70%増)とショッピングタブにおけるインプレッション(130%増)が増加したと、Googleは述べている。これはつまり、時間が経つに連れて、Googleはより多くのブランドを自社の電子商取引プラットフォームに引き込むことができ、競争が激化するという考えに基づく。多くの商品で市場の争いが激しくなれば、これまで無料リスティングの恩恵を受けていたブランドの中には、露出度を高めるために有料広告に転向するものも出てくるだろう。

航空券やホテルなどの旅行関連は、新型コロナウイルス収束後に、ウェブトラフィックの面で、Googleが成長を見込める分野の1つだ。だが、これまで過去数年間、ホテルの予約リンクは、特定の旅行日の料金と空室状況をリアルタイムで表示する有料広告としてGoogle上で提供されていた。

これらの掲載が無料になることで、消費者はさらに選択の幅を広げることができる。そしてGoogleは、ホテルの予約を検索するための場所として、より信頼性が高まるだろう。そうなればGoogleにとって、新型コロナウイルス収束後にブームとなることが予想される旅行予約アプリやサービスの数々と競争する際に役立つ可能性がある。ウイルスの感染流行はまだ終わっていないが、米国ではもうすでに収束に向かっていると捉えている兆候が見られる。例えば、いくつかの州ではマスク着用の義務が解除され、春休みの学生たちは例年のようにフロリダのビーチへ旅行を計画している。旅行の分野でコロナ禍が終わった効果はまだ完全には現れていないが、ロックダウンとステイホームで1年間を過ごした消費者が、欲求を抱えていることは明らかだ。

Googleは、今回の無料リスティングの追加により、そのプラットフォーム上で予約トラフィックとユーザーのエンゲージメントが増加すると主張している。そして次にこれは、広告主にとって、ホテル広告展開へのリーチが拡大することにつながるだろう。

一方で、この変更はホテルや旅行会社が、GoogleのHotel Centerアカウントを取得すれば無料でリスティングできるようになるため、潜在的な新しい広告主を引き寄せることにも役立つだろう。今後は掲載までのプロセスがもっと容易になり、ホテルのリスティングを提供するためのツールの複雑さが軽減されるとGoogleは述べている。すでにGoogleのHotel Prices APIやホテル広告に参加している既存のホテルパートナーは、無料の予約リンクに表示されるために何かアクションを起こす必要はないことも、同社は言及している。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Googleeコマース旅行

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

グーグルがChromebookの10周年を記念しChrome OSに多数の新機能を追加

グーグルがChromebookの10周年を記念しChrome OSに多数の新機能発表

Googleは3月9日(現地時間)、2011年に初めて発売されたChromebookが10周年を迎えるあたり、それを記念して多数の新機能を追加したChrome OS M89をリリースしました。

まず、カバンの中や手の届かない場所にあるAndroidスマートフォンをChromebook上から操作できるPhone Hub機能が追加されます。バッテリー残量や電波強度を確認できるほか、テキストメッセージに返信したり、テザリングを開始したりがChromebook側から可能になります。また、Android上で最後に開いたChromeブラウザのタブも表示できます。Windowsで利用できる、スマホ同期のChromebook版といった機能です。

また、同じGoogleアカウントでログインしている場合に、Androidなどで接続しているWi-Fiにパスワードなど入力することなく接続できるWi-Fi同期の対象デバイスも拡張されます。

さらに、今後数ヶ月でChromebookでもNearby Shareが利用できるようになります。Chromebook同士のほか、Androidデバイスとも簡単にファイルの共有を行えます。

Android版 AirDrop こと「周辺ユーザーとの共有」Nearby Share 提供開始、オフラインでも高速転送。使い方と設定

スクリーンキャプチャ機能も強化され、ショートカットを利用しなくても使えるよう、クイック設定メニューにメニューが追加され、この機能では動画として記録するスクリーンでコーディングも利用できます。キャプチャしたものは、トートと呼ばれるエリアに表示されます。このエリアはキャプチャのほか、直近でダウンロードしたファイルなどが自動的に表示され、よく使うファイルなどを固定しておくことも可能です。

また、クリップボードもアップデートされ、直近5つまでの内容を保持可能となります。クリップボードは、Everythingボタン+Vでアクセスできます。

仮想デスクも強化され、最大8つのワークスペースに対応。再起動しても、すべてのウィンドウがもとのデスクに復元されるようになったとのことです。

これらの新機能含むChrome OS M89はすでにリリースされており、対応デバイスには準備アップデートが配信されます。

Chromebookは、日本ではいまひとつ盛り上がりに欠けていましたが、文部科学省のGIGAスクール構想や、コロナ禍による在宅学習の増加なども受け、教育シーンを中心に徐々に導入が増えてきているようです。

Androidとの連携強化や、クリップボート、トート機能など使い勝手の改善も図ってきた今回のアップデートにより、さらに勢力を拡大できるのか、今後に注目したいところです。

(Source:Google(1)(2)Engadget日本版より転載)

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グーグルがFlutterツールキットをバージョン2に、デストップとウェブアプリをサポート

Googleはオンラインイベントでモバイルアプリ構築のためオープンソースUIツールキットのリニューアルを発表した。Flutterは2年前にモバイル分野をターゲットとしてスタートしたが、今回のバージョン2ではウェブとデスクトップのアプリをサポートするようになった。これにより、FlutterのユーザーはiOS、Android、Windows、MacOS、Linuxに加えてウェブでも同じコードベースでアプリを構築できることとなった。

Flutterの開発責任者であるTim Sneath(ティム・スニース)氏は私のインタビューに対してこう述べている。

バージョン番号が2にアップしたわけですが、これはウェブとデスクトップがサポートされるというピボットに対応したものです。1つのジャンルで確立しているプロダクトがこのように大きな機能追加をすることは滅多にありません。

 

画像クレジット:Google

スニース氏は「オープンソースであるということから、Flutterはコミュニティによってしばらく前からウェブとデスクトップのサポートが開発されていたので、こうしたエンドポイントが今回正式に追加されたことは驚くべきものではありません」と述べている。2.0のリリースでは新しいプラットフォームにおけるパフォーマンスを従来のものと同等にするためには困難な作業が多数あった。

しかしFlutterのデスクトップサポートで注意すべきなのは、これがまだ安定版ではないという点だ。公式リリースチャンネルではデスクトップサポートにはアーリーリリースのフラグが立っている。Googleのエンジニアは「ベータ版のスナップショット」的機能と考えてもらいたいとしている。一方、ウェブサポートはベータ版から安定版に移行しており、Flutterを使ってアプリを構築するための正式なターゲットになっている。

画像クレジット:Google

スニース氏はウェブプラットフォームについて「チームは標準化を強く意識して伝統的なDOMベースのアプローチで開発を始めました」と述べた。それは正常に作動したがパフォーマンス、特に高度な機能のパフォーマンスが大きく低下した。そこでの1年ほど前からチームはCanvas Kitの開発を始めた。これはバイナリにコンパイル可能なWebAssemblyをベースにしたプロジェクトで、AndroidやChrome自体を動かすのと同じSkiaグラフィックエンジンを採用し、ウェブアプリから利用できるようにした。スニース氏はこういう。

簡単にいえばウェブアプリがHTMLをバイパスできるようになったということです。HTMLはウェブアプリの中でテキスト処理を中心とする部分です。WebAssemblyを利用してさまざまなテキスト処理、入力の自動補完、パスワード、認証などインターネット独特のさまざまな作業が従来どおりできます。

画像クレジット:Google

デスクトップでは、GoogleはCanonicalがFlutterを全面的に支持し、今後のデスクトップおよびモバイルアプリのデフォルトの選択肢としてFlutterを採用することを発表した。

MicrosoftもFlutterのサポートを拡大し、Googleと協力してWindowsの Flutterサポートを進めていいる。MicrosoftがAndroidに強い関心を寄せていることを考えればこれは驚きではない。実際、MicrosoftはAndroidが折りたたみ可能なデバイスをサポートするためのFlutterエンジンへの貢献を発表している。

GoogleによればAmazon、Microsoft、Adobe、Huawei、Alibaba、eBay、Squareなどの主要テクノロジー企業からFlutterとDart用のパッケージが1万5000以上提供されているという。

通常どおり、2.0へのアップデートにはマイナーな修正や改良が多数加えられている。

スニース氏は、Flutterチームは組み込みデバイスやその他のやや伝統的ではないプラットフォームのフレームワークとして、Flutterにもっと多くの時間を割く予定だと述べている。また、Flutterがアンビエントコンピューティング体験の強化にどのように役立つかにも興味を持っていると述べた。

将来の展望についてスニース氏は「Flutterチームは、組込みデバイスその他の主流からやや外れるプラットフォームのフレームワークとしてFlutterを拡張するために時間を割く予定です」と述べている。またFlutterがユーザーが操作を意識することなく実行できるアンビエントコンピューティングの強化にFlutterが役立つかのではないかとしている。

スニース氏はこう説明している。

アンビエントコンピューティングの世界の背景にはいくつなの条件があると思います。アプリは簡単に検索できるか?作ったアプリで金を稼げるか、それらが責任ある方法でできるかなどです。我々は、アンビエントサービスへのサポートも構築しています。アナリティクス、広告のフレームワーク、FirebaseやGoogle Cloudなどへの接続性なども改良し、Flutterの機能を利用するだけでなく、Googleが提供する幅広いエコシステム全体が利用できるようにしていきたいと考えています。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:滑川海彦@Facebook

Googleが女性と少女のエンパワーメントを支援する27億円の補助金を発表、全世界から応募可

Google(グーグル)はインド時間3月8日、女性と女児のエンパワーメントに取り組む非営利団体や社会事業の活動に資金を提供するため、さまざまな支援プログラムとともに2500万ドル相当(約27億円)の補助金を発表した。

国際女性デーに発表されたGoogle.orgの新しい「Impact Challenge」プログラムは、女性の経済的な平等・自立、そして起業家精神を追求する機会へのアクセスを支援し、システミックな障壁や不公平に対処することを目的としている、とGoogleのCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏はバーチャルイベントで述べた。

「これらのチームが何を必要としているにせよ、我々は彼らの傍に寄り添い、ビジョンの実現を支援する所存です」と、Google.orgの代表理事であるJacquelline Fuller(ジャクリーン・フラー)氏は同イベントで述べた。同社によると、4月9日まで世界中のチームから応募を受け付けるという。

フラー氏はまた、Google.orgがインドの十分なサービスを受けていない女性を支援するために100万ドル(約1億円)を追加投資することも発表した。インドは世界第2位のインターネット市場であるにもかかわらず、女性のネットユーザーの割合は少ない。

5年前、Googleはインドの農村部の女性にネットリテラシーをもたらすために、「Internet Saathi」と呼ばれるプログラムを開始した(Saathi:ヒンディー語で苦楽を共にするパートナー、仲間)。同社によると、このプログラムはインドのコングロマリットであるTata(タタ)社と共同で実施したもので、インドのインターネットへの女性の参加を大幅に向上させることができたという。

現在ではインドの農村部におけるネットユーザーの10人中4人が女性になった、とGoogleは述べている。2015年にはその数字は10人に1人だった。同社独自の調査結果によれば、Internet Saathiプログラムはインドで3000万人以上の女性に恩恵をもたらしたという。同じミッションを継続するために他の取り組みに注力していくということで、同社はこのプログラムを終了すると述べた。

「このプログラムは連鎖的な効果を生み出しました」と、Google IndiaのトップであるSanjay Gupta(サンジャイ・グプタ)氏はイベントで述べた。

しかし、単にインターネットに接続しただけでは「十分な進歩とはいえません」と、インド・東南アジアのGoogleシニアマーケティングディレクター、Sapna Chadha(サプナ・チャダ)氏は述べている。「インドの女性は伝統的に経済参加を妨げられてきました」。

同社は、影響力のあるインドの業界団体NASSCOM(National Association of Software and Services Companies)の社会事業部門であるNASSCOM Foundation(ナスコム財団)と提携し、インドの10万人の女性農業従事者にデジタル・金融リテラシーをもたらし、さらに100万人の女性による起業を実現し、支援するための「Women Will」というプログラムを立ち上げるという。

Women Willプログラムの一環として、チャダ氏は、英語とヒンディー語でのチュートリアル、事業アイデア、その他の機会を特集するリポジトリのウェブサイトを発表した

Googleはまた、起業家が無料でGoogle Payアプリ内にビジネスページを表示できるようになる新機能の展開に取り組んでいる、とチャダ氏は述べた。そして女性起業家はこれから、Google検索とGoogleマップのリスティングを通して、彼女らのビジネスは女性が主導していると強調することも選択できます、と同氏は語った。

インド政府の女性子供開発省のSmriti Irani(スムリティ・イラニ)大臣はこう述べた。「私たちの娘が誰も性別の重荷に縛られることのない、私たち全員が誇りに思える未来を築くために、皆さんの力を結集していただくよう呼びかけます」。

関連記事:女性起業家への米国のVC投資が過去最高を記録

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タグ:Google 女性 インド

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

グーグルがChromeのリリースサイクルを6週から4週に短縮

米国時間3月4日、GoogleはChromeブラウザーのリリースサイクルを現在の6週間間隔(+隔週のセキュリティパッチ)から4週間に短縮すると発表した。それはシンギュラリティを速める1つの方法かもしれないが、Mozillaも2020年、4週間サイクルに移行している。

「Chromeのテストとリリースの工程を改善し、隔週のセキュリティアップデートによってパッチのギャップも解決したため、リリースサイクルを短縮して新機能をより早くお届けできることが確実になった」とChromeの開発チームは説明している。

しかしGoogleは、誰もがこれだけの早さを望んでいるわけでないことも承知している。特に、エンタープライズの世界では。そのためGoogleはエンタープライズ向けにExtended Stableオプション(延長安定版)を提供し、8週ごとのアップデートを届けるという。これを利用できるのはエンタープライズのアドミンとChromiumを組み込み用に使っているユーザーたちだ。そのユーザーたちも隔週のセキュリティは受け取るが、Googleは「これらのアップデートには4週オプションにある新しい機能やセキュリティフィックスはない」と注記している。

新たな4週サイクルが始まるのは、2021第3四半期のChrome 94からだ。これだけ速くなると、Chrome 100の安定版が出るのは2022年の3月29日になる。記念のケーキを期待したいところだ。

カテゴリー:ソフトウェア
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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

グーグルが「Cookie廃止後、それに代わる他のユーザー追跡技術を採用するつもりはない」と発言

これまでTechCrunchでは、複数のウェブサイトにわたるユーザーを追跡するCookie(クッキー)に代わるものを構築する試みについて何度か記事にしてきた。しかし、Google(グーグル)はそのような道をたどるつもりはないと述べている。

関連記事:米広告業界団体がCookieに代わるユーザー追跡方式を提案

この検索の巨大企業は、すでに同社のブラウザ「Chrome(クローム)」でサードパーティ製Cookieのサポートを段階的に廃止することを発表している。米国時間3月3日、Googleはさらにその先の方針を明らかにした。同社の製品管理ディレクターで広告のプライバシーと信頼を担当するDavid Temkin(デイビッド・テムキン)氏は「サードパーティのCookieが段階的に廃止された後、それに代わってウェブをブラウズする個人を追跡する識別子を我々が構築するつもりはありません。また、そのようなものを我々の製品で使用するつもりはありません」と、ブログ記事に書いている。

関連記事:グーグルはChromeでのサードパーティCookieのサポートを2年以内に段階的に廃止

「他のプロバイダーがウェブ上の広告トラッキングのために、例えばeメールアドレスをベースにしたユーザー識別情報のような、当社が提供しないレベルの(ユーザー識別)機能を提供する可能性があることはわかっています」と、テムキン氏は続けている。「私たちはこれらのソリューションが、ますます高まりつつある消費者のプライバシーに対する要望に合致するとは思いませんし、急速に進化しつつある規制に対応できるとも思えません。そのため、長期的に持続可能な投資ではないと考えます」。

これは、Googleが個人をターゲットにした広告を一切行わないという意味ではない。代わりに「集計、匿名化、オンデバイス処理、その他のプライバシー保護技術の進歩」のおかげで「デジタル広告の利点となるパフォーマンスを得るために、もはやウェブ上で個々の消費者を追跡する必要はない」とテムキン氏は主張する。

例としてテムキン氏は、現在Googleによってテストされている「コホートの連合学習(FLoC)」と呼ばれる新しいアプローチを提示した。これは共通の関心に基づくユーザーの大規模なグループをターゲットにした広告を可能にする。テムキン氏によれば、Googleは2021年の第2四半期に、広告主とFLoCのテストを開始する予定だという。

テムキン氏はまた、これらの変更はサードパーティのデータを対象とするもので、パブリッシャーが自サイトの訪問者を追跡してターゲティングする能力には影響しないと述べている。「私たちはパートナー企業がその顧客と直接関係を持てるように、我々の広告プラットフォームで、引き続きファーストパーティとの関係をサポートしていきます」。

しかし、そのFLoCについて、電子フロンティア財団が「プライバシー保護技術の対極」と表現し「行動的信用スコア」と比較していることは注目に値する。

関連記事:グーグルはCookieに代わるターゲット方式による広告収入はほぼ変わらないと主張するもプライバシー面は不透明

Cookieは業界全体で段階的に廃止されているが、英国の競争・市場庁は現在、独占禁止法上の懸念を理由にGoogleのクッキー廃止計画に関する調査を進めている。Googleが市場力を高めるために口実としてプライバシーを利用していると批判する声があるからだ。同様の批判は、近々施されるiOSのプライバシー変更をめぐりApple(アップル)に対しても寄せられている

関連記事:アップルのApp Tracking Transparency機能はデフォルトで有効に、早春にiOSで実装

カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleCookieプライバシー

画像クレジット: Ana Maria Serrano / Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ウェアラブル端末「Fitbit Charge 4」のSuica対応バージョンが3月4日発売

ウェアラブル端末「Fitbit Charge 4」のSuica対応バージョンが3月4日発売

交通系電子マネーSuicaに対応するフィットビットのヘルス&フィットネストラッカー「Fitbit Charge 4」が3月4日に発売されます。Amazonにおける販売価格は税込1万9991円です。

Suica対応の「Fitbit Charge 4」では、Suicaの新規発行や Google Pay によるチャージのほか、残高や利用履歴の表示、払い戻しなどができ、電車やバス、お店での買い物などに利用できます。

再発行や機種変更による残高の引き継ぎ、JRE POINTによるチャージのほか、定期券やSuicaグリーン券の購入などはできません。年会費は無料で、Suicaの発行にかかるデポジットは不要です。

ウェアラブル端末「Fitbit Charge 4」のSuica対応バージョンが3月4日発売

「Fitbit Charge 4」で利用可能なSuica関連サービス

また、これまでに販売された「Fitbit Charge 4」ではSuicaが使えないそうです。

ちなみに腕時計のバンド部分にFeliCaや有機ELディスプレイなどを搭載した「wena 3」や、iPhoneとシームレスに連携できる「Apple Watch」などでもSuicaが使えます。

(Source:JR東日本(PDF)。Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:フィンテック
タグ:Google / グーグル(企業)JR東日本 / 東日本旅客鉄道(企業)SuicaFitbit(企業)日本(国・地域)

GoogleがWorkspaceの新機能を発表、現場で働く従業員向けのWorkspace Frontlineも追加

Google(グーグル)は、かつて「G Suite(ジースイート)」と呼ばれていた(今後もそう呼ぶ人が多いかもしれない)法人向け生産性プラットフォーム「Google Workspace(グーグルワークスペース)」の大規模なアップデートを、米国時間3月1日に発表した。GoogleカレンダーからGoogle Meet(グーグルミート)まで、さまざまな新機能が導入された他、GoogleアシスタントをWorkspaceと組み合わせて使うことが可能になった。

関連記事:G SuiteがGoogle Workspaceにリブランド、チャットルームでドキュメント作成コラボも可能に

画像クレジット:Google

確かに、Googleアシスタントで仕事のカレンダーを確認したり、同僚にメッセージを送ったりできるようになったことは注目に値するだろう。今までこの機能はベータ版として導入されていたが、正式採用となった後も、会社の管理者が「検索とアシスタント」サービスを有効にする必要がある。また、導入はゆっくりとしたペースで進み、モバイルでは一般に利用可能となったものの、スマートスピーカーやGoogle Nest Hub(グーグルネストハブ)のようなスマートディスプレイでは未だベータ版となっている。それでも、Googleがこれらの機能をずっと前に約束していたことを思えば、待望の採用といえるだろう。

日々の仕事に直接影響を与える他の新機能としては、オフィス不在の繰り返しイベントを作成することや、勤務時間をいくつかのセグメントに分割することが可能になった。また、仕事中に気が散るのを最小限に抑えるための新しいイベントタイプ「Focus Time(フォーカスタイム)」も追加された。Focus Timeはカレンダー上で3時間ブロックする機能よりも少し賢く、設定した時間帯には通知を制限することができる。

Googleはまた、会議にどれだけの時間を費やしているか(無駄にしているか)を教えてくれる新しい分析機能も導入した。会議に費やした時間を表示するだけなので、Microsoft(マイクロソフト)の生産性スコアほど充実した(時には不気味さを感じるほどの)機能ではないが、1日どのように過ごしたかを俯瞰して見るには最適な機能だ(すでに自分でわかっているとは思うけれど)。このデータは上司と共有されることはない。

オフィス以外の場所で仕事をすることがあらかじめ決まっている場合のために、GoogleはWorkspaceに位置情報を追加した。いつ、どこで仕事をする予定か、あるいはいつから自宅で仕事をするのか、といった情報を同僚と共有できる。

当分の間は、リモートで会議が行われることも多いだろう。新たに追加される新機能では、自宅でスマートディスプレイのGoogle Nest Hub Max(グーグルネストハブマックス)を使って会議に参加しながら、ノートPCをセカンドスクリーンとして設定することが可能だ。

さらに重要なのは、モバイルで会議に参加する際にピクチャ・イン・ピクチャ・モードが利用できるようになることだろう。これによってスマートフォンでGoogle Meetの会議に参加しながら、同時にウェブやGmailを閲覧したり、ブレインストーミングセッション中に重要な作業を行ったりできるようになる。

今後はモバイルでも背景を変更する機能がサポートされる予定だが、今のところ背景をぼかすことしかできない。また、同様にQ&Aや投票機能もモバイル版に追加される予定だ。

画像クレジット:Google

Googleは最前線の現場で働く従業員のために、このグループのユーザー向け新機能を備えた「Google Workspace Frontline」を追加することも発表した。これを使えば、GoogleスプレッドシートやGoogleドライブから、より簡単にカスタムAppSheetアプリを作成することもでき「現場でのデータ収集、安全リスクの報告、顧客要求の管理など、現場における作業をデジタル化して効率化することができます」と、Googleは述べている。

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タグ:GoogleGoogle Workspace

画像クレジット:Artur Widak/NurPhoto / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

グーグルがアップルのプライバシーラベル表示義務に従いiOS用アプリの更新を再開

Google(グーグル)はこの週末に、多くの主要なiOS向けアプリを更新し始めた。同社はApple(アップル)が新たに義務づけたプライバシーラベルの表示を加えなかったため、長い間これらのアプリは更新されずにいた。2021年初め、Googleはこのラベルを「間もなく」同社のアプリを更新する際に追加すると言っていたが、今のところ、Google検索、Googleフォト、Googleアシスタント、Googleマップ、Google Pay(グーグルペイ)、Chrome(クローム)など多くのアプリはまだ更新されていないままだ。

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Appleのポリシーに従い、開発者はプライバシーラベルを適用するまで、アプリをそれ以上アップデートすることはできない。そのためGoogleは多くの主要アプリを長い間、更新できなかった。特にバグ修正やパフォーマンスの改善を含むマイナーアップデートを定期的に配信しているGoogleのような規模の企業であれば、通常はそのようなことはない。

例えばGmail(ジーメール)は、この週末にアップデートが行われる以前は3カ月間も更新されていなかった。

iOS App StoreにあるGoogleのアプリ情報を見ると、Googleスライド、Googleドキュメント、Googleスプレッドシート、Googleカレンダーは週末にアップデートが配信されている。また、この数週間で、Googleの他のアプリも、新たにラベルを追加して更新が再開された。例えば、YouTube(ユーチューブ)、YouTube TV、YouTube Music(ユーチューブミュージック)、Google ToDo(Google Tasks)、Google ポッドキャストなどだ。

我々はこのスプレッドシートで、Googleアプリの更新を追ってきた(Appfiguresはその独自のデータと照らし合わせて、我々のシートの正確さを確認している)。

2021年にプライバシーラベルの表示が適用されたGoogleのアプリは、週末にアップデートされた一連のアプリだけではない。アプリの中には、アップデートされずにラベルのみが加えられたものもあるため、見つけることが難しい場合もある。

Googleの全iOS向けアプリで、現在プライバシーラベルの表示が適用されているアプリには以下のものが含まれる。

Google One(グーグルワン)、Googleポッドキャスト、Google Stadia(グーグルステイディア)、Google Fit(グーグルフィット)、Google Fi(グーグルファイ)、Google ToDo、Google Chat(グーグルチャット)、Onduo(オンデュオ)、Project Baseline(プロジェクトベースライン)、YouTube、YouTube TV、YouTube Music、YouTube Kids(ユーチューブキッズ)、YouTube Studio(ユーチューブスタジオ)、Google Meet(グーグルミート)、Google Smart Lock(グーグルスマートロック)、Motion Stills(モーションスチル)、Google Fiberr(グーグルファイバー)、Google広告、Wear OS(ウェアオーエス)、Googleカレンダー、Google Classroom(グーグルクラスルーム)、Googleスライド、Googleスプレッドシート、Googleドキュメント、Googleドライブ、Google Play ムービー、Google Home(グーグルホーム)、Fiber TV(ファイバーTV)、Google翻訳、Google Authenticator(Google 認証システム)

Googleは、プライバシーラベルを適用するために、なぜそれほど時間がかかっているのか、理由を述べていない。当初は、毎年恒例のホリデー・コード・フリーズ、つまり多くの人々が休暇を取るため、アプリの更新を一時的に停止しているから、プライバシーラベルの適用が遅れているとしていた。

しかし、アプリの更新が止まっているのが、数週間から数カ月になるにつれて、Googleが他の大手テック企業よりもはるかに慎重で、プライバシーラベルを適用するために方法論的なアプローチを取っていることが明らかになった。その結果、同社のアプリのアップデートへの注目と監視が高まった。

実際、Googleのアプリがプライバシーラベル表示を加えて更新される度、大々的に報じられることになっている

例えば、Engadgetは米国時間3月1日、週末にGmailなどのアプリが更新されたことを報じている。

2021年1月中旬、Googleは公式にその遅延に対する注目に応え、同社のiOS用アプリは次回の更新を受ける際にプライバシーラベルの表示が適用されると、ブログ記事で説明した。しかし「更新」と「プライバシーラベルの適用」は必ずしも同時に行われているわけではない。報道によると、Gmailはすでに2月22日にプライバシーラベルが追加されていたが、今まで更新はされていなかった。

そしてプライバシーラベルの表示が加えられたアプリは、更新されたアプリよりもずっと多い。

Googleはコメントを求められても現時点で回答していない。

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タグ:GoogleAppleアプリiOS

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

インド政府がソーシャルメディアやストリーミングサービス企業に厳しい新規制を発表

インドは現地時間2月25日、ソーシャルメディア企業、ストリーミングサービス、デジタルニュースアウトレットを規制するための抜本的な新ルールを発表し、アジア第3位の経済規模を誇るこの国を重要な海外市場とみなすFacebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、Google(グーグル)、Netflix(ネットフリックス)などの巨大企業に新たな課題を投げかけた。

インドの法務相兼電子情報技術相のRavi Shankar Prasad(ラヴィ・シャンカール・プラサッド)氏は、記者会見で、ソーシャルメディア企業は違法、誤報、暴力的なコンテンツに対する削除要求を24時間以内に受け入れ、15日以内に完全に矯正することが求められることになると述べた。露骨な性的コンテンツのようなデリケートなケースでは、24時間以内に削除することが要求される。

また、これらの企業は法令を遵守することを約束し、現実的な懸念に効果的に対処するため、接点となる連絡窓口と常駐する苦情担当者の名前と連絡先を、インド政府と共有することが求められる。また、企業はインドに現地事務所を設置しなければならない。

この新しい規制は、政府が2018年から取り組んできたものであり、それが発表される数週間前には、インド首都で農民の抗議運動が起きた際、Twitterがインド政府の命令の一部を遵守することを拒否するという出来事があった。インド政府は当時、Twitterは裁判に訴えたり、不遵守を正当化することはできないと述べていた。

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プラサッド氏によれば、ソーシャルメディア企業は、不快なコンテンツの発信者を開示しなければならなくなるという。「我々はコンテンツを知りたいわけではありませんが、企業は誤報やその他の好ましくないコンテンツを広め始めた最初の人物が誰なのかを教えることができる必要があります」と、同氏は語った。WhatsApp(ワッツアップ)は以前、すべてのユーザーのエンド・ツー・エンドの暗号化セキュリティを損なうことなく、このようなトレーサビリティの要求に応じることはできないと述べていた。

また、企業は月ごとに法令遵守報告書を公開して、これまでに受けた要求の数を開示し、実施した措置を明記することも求められる。アカウントの確認を希望するユーザーには、任意選択権を提供しなければならない。

2011年に制定された法律に代わるこの新規則は、小規模な企業には直ちに適用されるが「重要」なサービスには、通達された日(それは「早急」に通達されることになるだろうと、プラサッド氏は述べている)から3カ月の猶予期間が与えられる。

インド政府がこれらのガイドラインをまとめた理由は、市民が「苦情に対処するためのメカニズム」を長い間求めてきたからだ、とプラサッド氏は述べている。インドは2018年から中間業者を対象とした法律に取り組んでおり、2020年にはストリーミングサービスやオンラインニュースの発行にまで対象範囲を拡大した。草案の最終版はこちらで読むことができる。

「インドは世界最大のオープンなインターネット社会であり、政府はソーシャルメディア企業がインドで運営を行い、事業を行い、また利益を得ることを歓迎しています。しかし、彼らはインドの憲法や法律に対し責任を問われることになります」と、プラサッド氏は述べた。

GoogleやFacebookなどの企業が次の10億人のユーザーの獲得を急ぐ中、インドは過去10年の間に米国企業や中国企業の重要な戦場として浮上した。しかし近年、Narendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相の政府は、米国企業に影響を与えるいくつかの規則を施行または立案している。また、2020年にはサイバーセキュリティの懸念を理由に、ByteDance(バイトダンス)のTikTok(ティックトック)をはじめとする200以上の中国製アプリを禁じた。

関連記事:インド政府がTikTokなど中国企業の59のアプリを禁止すると発表

プラサッド氏によると、WhatsAppはインドで5億3000万人のユーザーを獲得しており、同アプリにとって最大の市場であるという。YouTubeは4億4800万人、Facebookは4億1000万人、Instagramは2億1000万人、Twitterは1750万人のユーザーを同国で抱えていると同氏はいう。

Facebookはこの新ルールについて検討しているところだと述べている。Netflixはコメントを拒否した。

ソーシャルメディア企業やその他の中間業者のためのガイドライン全文(出典:インド政府

「この新しい規則の義務化は、インターネットプラットフォームがコンテンツを過剰に検閲し、危険で実証されていないAIベースのコンテンツ規制ツールを必要とし、政府に引き渡すために膨大な量のユーザーデータを保持し、サイバーセキュリティと個人のプライバシーにとって重要なエンド・ツー・エンドの暗号化を弱体化させる結果を引き起こすだろう」と、Access Now(アクセス・ナウ)のアジア太平洋政策ディレクターを務めるRaman Jit Singh Chima(ラマン・ジット・シン・チマ)氏は述べている

ストリーミングプラットフォームに対しては、このルールは「コードの遵守と個守」のための3段階の構造を概説している。これまで、Netflix、Disney+ Hotstar(ディズニー+ ホットスター)、MX Player(MXプレイヤー)などのオンデマンドサービスは、インドではカタログの多くを検閲されることなく運営されていた。

インド政府は2020年、テレビのコンテンツを規制するインド放送省が、今後はデジタルストリーミングプラットフォームも監督することになると発表。これを受けて、国際的な大手を含む人気ストリーミング企業17社が、自主規制コードを考案するために団結した。だが、Prakash Javadekar(プラカシュ・ジャバデカール)情報放送大臣は、業界から提案された解決策は適切ではなく、コードの完全な遵守を保証するために政府による監視機構を設けることになるだろうと述べた。

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ストリーミングサービスは、タイトルにコンテンツのレイティングも付与しなければならなくなる。「OTTプラットフォームは、このルールにおいてはオンライン上のキュレーションされたコンテンツのパブリッシャーと呼ばれ、コンテンツを5つの年齢ベースのカテゴリーに自己分類することになります。U(ユニバーサル)、U/A 7+、U/A 13+、U/A 16+、A(アダルト)です。プラットフォームは、U/A 13+以上に分類されたコンテンツにはペアレンタルロックを、Aに分類されたコンテンツには信頼性の高い年齢確認メカニズムを実装することが求められます」とインド政府は述べている。

「オンライン上のキュレーションされたコンテンツのパブリッシャーは、各コンテンツまたは番組に固有の分類されたレイティングを、コンテンツの性質をユーザーに知らせるコンテンツ記述子とともに、目立つように表示しなければなりません。また、ユーザーが番組を視聴する前に、十分な情報に基づいた意思決定ができるようにするため、すべての番組の冒頭で視聴内容に含まれる描写について(該当する場合は)忠告しなければなりません」。

ジャバデカール氏は、ストリーミングサービスを規制するためのパブリックコンサルテーションを行っていません。ストリーミングサービスのための自主規制コードはすでに存在しています。

政府はストリーミングサービスを規制するための法的根拠を持っていません。政府はIT法やケーブル&テレビ法の下でオンラインコンテンツの規制を行うことはできません。

業界の幹部は、インド政府がこの変更について彼らに相談していないと述べ、新たに提案された規制に懸念を表明している。インドのほぼすべてのオンデマンドストリーミングサービスを代表する強力な業界団体であるIAMAIは、ガイドラインに「当惑している」と述べ、政府との対話を求めている。

記者会見でジャバデカール氏とプラサッド氏は、業界と協議する場を設ける予定はあるのかと尋ねられたが、大臣はすでに業界から十分なインプットを受けていると述べた。

今回のインドの動きと並び、世界中のいくつかの政府は、これらのテクノロジー企業が自国の民衆や産業に与える影響を詳細に調査している。Facebookは2月中旬、オーストラリア政府によるニュース使用料の支払いを義務づける法案に反対し、同国でニュース記事の共有・閲覧を禁止したが、その後に同政府との合意に達したとしてニュース記事を復活させた。オーストラリアのScott Morrison(スコット・モリソン)首相は、ソーシャルメディア企業が政府を「いじめる」ことを防ぐ方法を探るため、インドのモディ首相と会談した。

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インドはオーストラリアの決定について何か思うことはあるかと尋ねられると、ジャヴァデカール氏は、その件について話すには適切な日ではないと答えた。

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画像クレジット:Sanjit Das / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)