次のテック公聴会の標的はSNSのアルゴリズム、YouTubeが初めて証言へ

議会では毎週のように大きなテック関連の公聴会が開かれている。相次ぐ反トラスト改革法案が待っている中、民主党議員らは、世界最強クラスのテック企業を再び呼び出して尋問しようとしている。

米東部時間4月27日午前10時に予定されている次期公聴会で、上院司法委員会のプライバシーおよびテクノロジー小委員会は、アルゴリズムによる誤情報増幅の問題に焦点を絞る。具体的には、いかにアルゴリズムが危険なコンテンツを増幅し、ソーシャルプラットフォームにおけるユーザー行動を変えるかを検討する。

小委員会議長のChris Coons(クリス・クーンズ)上院議員は、以前テックCEOたちを連れてくることを示唆していたが、4月27日の公聴会では、代わりにFacebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、Youtube(ユーチューブ)各社のポリシー責任者が証言台に立つことになった。

この公聴会は、YouTubeに圧力をかけられる稀有な機会になるかもしれない。世界最大級のソーシャルネットワークでありながら、そして、過激思想と誤情報のコントロールに関する再三の失敗に関する透明性を欠いているにもかかわらず、YouTubeは滅多に議会の顕微鏡下に置かれたことがない。YouTubeの公開ポリシー地域ディレクターであるAlexandra Veitch(アレクサンドラ・ヴェイッチ)氏が会社の代表として召喚される。

過去の大きな公聴会では、Google CEOのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏がYouTubeの親会社を代表して登場することが多く、YouTubeのCEOであるSusan Wojcicki(スーザン・ウォジスキ)氏はどういうわけか監視の目を逃れてきた。Googleは巨大な存在であることから、議員はピチャイ氏をGoogleの検索と広告ビジネスを巡る問題で追求することになる結果、YouTubeとそのポリシー特有の問題は紛れてしまいがちだった。

先週の敵対的アプリ・ストア公聴会にAppleだけでなく同社を批判する人々が出席したのと同様、誤情報研究者のJoan Donovan(ジョーン・ドナヴァン)博士と元Googleで大型テック企業を再三批判しているTristan Harris(トリスタン・ハリス)氏も、火曜日に証言する。この緊張感がより深い尋問につながり、議員の技術的知識の不足を補う外部専門家の意見をもたらすに違いない。

これらの会社のポリシー責任者は、見出しを派手に賑わすことはないかもしれないが、各社が毎日行っているコンテンツ選択に関する彼らの知識の深さを踏まえると、より本質的な情報を引き出すチャンスだ。Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏やJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏などのテックCEOは、これまでに数多くの公聴会に引っ張り出された結果、和合が始まり、最高幹部たちははほとんど何も晒すことなく、彼らのプラットフォームで行われている日々の意思決定に関してだんまりを決め込むようになった。小委員会の有力メンバーであるBen Sasse(ベン・サス)議員(共和党・ネブラスカ州)はその点を強調し、公聴会は学ぶ機会であり、ヒアリングショーではないと語った。

民主党はアルゴリズムに関して以前から警鐘を鳴らしてきた。共和党がトランプ政権の後半を費やして、テック企業が削除した投稿をしつこく追い回していたのに対して、民主党は暴力的コンテンツや過激主義、ときには極端な誤情報などが掲載を放置され、さらにはテック企業がめったに明らかにしない秘密のアルゴリズムによって強調さえされるていることに焦点を当ててきた。

アルゴリズムの透明性は、ほとんど明らかにされてこなかったが、それも変わる可能性がある。狙いを絞った上院の改革法案230条は、大企業のアルゴリズムが過激主義を増幅したり、公民権を侵害した時には、法による保護を奪い取るものだ。

Twitter CEOのジャック・ドーシー氏は、別のアプローチを検討中であることを示し、将来ユーザーが好きなアルゴリズムを選べるようになり、サードパーティー・マーケットプレイスのようなものから選べる可能性さえ示唆した。いうまでもないが、Facebookは自分たちのユーザーにアルゴリズムの制御を与える計画を一切示していない。

誰が何を見るかをプラットフォームが決める方法に大きな変更が起きるのはずっと先のことだろうが、4月27日には議員たちがブラックボックスをこじ開けようとするところを見られることを期待しよう。

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画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Taylor Hatmake、翻訳:Nob Takahashi / facebook

試験監督ソフトのProctorioを大学生が提訴「批判を抑えるために著作権法を乱用した」

米国のある大学生が、試験監督ソフトウェアをてがけるProctorio(プロクトリオ)を提訴した。同社が批判に対する「不愉快な活動」を鎮めるために、著作権法を乱用して同社製品に批判的なツイートを削除したと告発している。

電子フロンティア財団(EFF)は、このマイアミ大学の学生でセキュリティ研究も行っているErik Johnson(エリック・ジョンソン)氏の代理人として訴訟を起こし、Proctorioが「DMCAを不当利用してジョンソン氏のコメントを弱体化させた」と非難した。

Proctorioは、ジョンソン氏のツイート3件が同社の著作権を侵害しているとして、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づき削除要請を通知。これを受けてTwitter(ツイッター)はそれらのツイートを非表示にした。

新型コロナウイルス感染流行が拡大する中、学校や大学では学生の試験をリモートで行い、そのバーチャルな監督として試験監督ソフトウェアを用いるケースが増えている。学生は学校が選んだ試験監督ソフトウェアをインストールし、PCのマイクやウェブカメラへのアクセスを許可しなければならない。学校側は、この試験監督ソフトを通じて、学生の不正行為の可能性を発見することが可能になる。しかし、有色人種の学生からは、このソフトウェアが白人以外の顔をきちんと認識できないことについて不満が出ている。また、このソフトウェアには高速インターネットアクセスが必要だが、低所得者層の家庭にはそれがないことも多い。これらのチェックに失敗すると、その学生は試験に落ちてしまうこともある。

このようにソフトウェアが不正を防ぐための監視を行っているにもかかわらず、Viceは2021年3月、Proctorioが監視している試験で簡単に不正行為を行う学生がいると報じた。いくつかの学校では、プライバシーの問題を理由に、Proctorioやその他の試験監督ソフトウェアの使用を禁止または中止している。

Proctorioの試験監視ソフトウェアはChromeの拡張機能であり、一般的なデスクトップ用ソフトウェアとは違って、バグや欠陥がないか、簡単にダウンロードしてソースコードを調べることができる。ジョンソン氏は、このソフトが不正行為の兆候を検出した場合、どのような状況で学生のテストが終了するのか、疑わしい目の動きや異常なマウスクリックをどのように監視しているのかなど、コードを調査して発見した内容をツイートした。

これらのジョンソン氏のツイートには、このChrome拡張機能のソースコードの一部が公開されているPastebin(ペーストビン)へのリンクが含まれていた。

Proctorioは当時、ジョンソン氏が「Proctorioのソフトウェアコードの抜粋をコピーして自身のTwitterアカウントに投稿した」ことで、同社の権利を侵害したと、危機管理会社のEdelman(エデルマン)を通じて主張。しかし、Twitterは、Proctorioの削除要請が「不完全」であると判断し、ジョンソン氏のツイートを復活させた

「ソフトウェア企業は、自社に対する批判者を弱体化させるために著作権法を乱用することはできません」と、EFFのスタッフ弁護士であるCara Gagliano(カーラ・ガグリアーノ)氏は述べている。「自分の研究を説明したり、批判的なコメントを裏づけるためにコードの一部を使用することは、書評で本を引用することと何ら変わりません」。

訴状では、Proctorioの「根拠のないDMCA削除要請のパターン」が「自分の研究結果を報告することでさらなる嫌がらせを受けるのではないか」という不安を抱かせ、ジョンソン氏のセキュリティ研究活動に萎縮効果を与えたと主張している。

「著作権所有者は、批判者が著作権侵害をしていると虚偽の告発をした場合、特にその目的が脅迫や弱体化であることが明らかな場合には、責任を問われるべきです」と、ガグリアーノ氏は述べている。「私たちは、ジョンソン氏が自身のコメントを裏づけるためにコードの抜粋やスクリーンショットを使用したことに対する、さらなる法的脅迫や削除要請を防ぐため、侵害はないという宣言的判決を裁判所に求めています」。

EFFは、これが批判に対応するためにProctorioが広く用いている手法の1つであると主張している。2020年、ProctorioのCEOであるMike Olsen(マイク・オルセン)氏は、学生のプライベートなチャットログを許可なくRedditに掲載した。この事件の後、オルセン氏は自分のTwitterアカウントを非公開にしている。また、Proctorioはブリティッシュ・コロンビア大学の学習技術専門家であるIan Linkletter(イアン・リンクレター)氏が、同社の試験監督ソフトウェアを批判するツイートを投稿したとして提訴している。

今回の訴訟はProctorioの本社があるアリゾナ州で行われている。Proctorioのマイク・オルセンCEOは、コメントの要請に応じていない。

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タグ:Proctoriomデジタルミレニアム著作権法(DMCA)裁判Twitterプライバシー

画像クレジット:Alex Edelman / AFP / Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

インド政府が同国のコロナ対応に批判的なツイートを削除するようツイッターに命令

Twitter(ツイッター)はインド政府からの緊急命令に従って同国で何十ものツイートを削除した。削除されたツイートの一部はインド政府の新型コロナウイルス対応を批判するものだった。

インド政府は50以上のツイートを検閲するようTwitterに緊急命令を出した。同社はその命令内容をハーバード大学のプロジェクトLumenデータベースで公開した。

新たな命令の影響を受けているプラットフォームはTwitterだけではないことをTechCrunchは確認した。Facebookはコメントの求めにすぐには応じなかった。

以前Twitterに政府の政策に批判的なツイートやアカウントを削除するよう命令し、もし命令に従わなければ従業員を逮捕すると脅したインドは、1日に33万人超という過去最多の新型コロナ感染者を出していて、これは世界最悪だ。この数字は過小報告だとする報道もある。

関連記事:Twitterがインド当局のさらなる警告を受け500以上のアカウントを停止

医療崩壊の中で、人々がデータをクラウドソースにして薬や酸素ボンベを探すのに互いに協力するのにTwitterは貴重な希望の光となっていた

Twitterによって公開されたインド政府の命令の1つのコピー

インド政府の新たな命令について最初に報じたMedianamaは、インドでツイートが検閲された人物には国会議員のRevanth Reddy(レヴァンス・レディ)氏、西ベンガル州の大臣Moloy Ghatak(モロイ・ガタク)氏、俳優のVineet Kumar Singh(ヴィニート・クマール・シン)氏、そして映画制作者のVinod Kapri(ヴィノド・カプリ)氏とAvinash Das(アビナッシュ・ダス)氏が含まれるとしている。

Twitterの広報担当は声明で「有効な法的要請を受け取り、当社はTwitterのルールとインドの法律に照らし合わせました。もしコンテンツがTwitterのルールに反していれば、削除されます。そして特定の法律に違反していると判断され、しかしTwitterのルールには反していないのであれば、当社はそのコンテンツへのアクセスをインド国内でのみ保留します。すべてのケースにおいて、当社はアカウントに関連する法的命令を受け取ったことをアカウント所有者に直接通知します」と述べた。

「可能であれば、アカウントに関連する電子メールアドレスにメッセージを送ってユーザーに通知します。当社の法的要請FAQs(よくある質問)を参照してください。当社が受け取った法的要請は半年ごとに出しているTwitter Transparency Reportで詳細に報告され、コンテンツ保留の要求は Lumenで公開されています」。

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タグ:Twitterインド新型コロナウイルスSNS

画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

Twitterが右翼を挑発する政治的な問題を扱うビデオ制作会社のジェームズ・オキーフ氏を偽アカウントに関するポリシー違反で永久停止

Twitterが、右翼の扇動者で政治的教唆ビデオの製作会社Project Veritasを作ったJames O’Keefe(ジェームズ・オキーフ)氏を、彼が非公認の方法で複数のアカウントを利用し、同社の「プラットフォーム操作とスパムに関するポリシー」に違反したとして禁止した。オキーフ氏はすでに、名誉毀損で同社を訴えると発表している。

米国時間4月15日午後にとられたこの禁止措置を、Twitterは「永久停止」としている。Twitterによるとその禁止措置は、彼が「偽のアカウントの運用」を禁じる規則に違反して「複数のアカウントを使って会話を人為的に増幅したり、混乱させたりする」ことを試みた後に生じたという

これは、オキーフ氏が複数のアカウントを使用して禁止されたことを示唆している。通常、職業的アカウントと個人的アカウントなどの場合にのみ、複数のアカウントが認められている。

目ざといユーザーたちは、オキーフ氏の最後のツイートに、Jesse Hicks(ジェシー。ヒックス)記者のなりすましを非難する皮肉な内容が含まれていることに気づいた。ツイートに貼られた画像にはおそらくヒックス氏のものと思われる一部を隠した電話番号が写っており、これも個人情報の投稿を禁じているTwitterの規則に違反している可能性があるが、この件に関するコメントは同社に拒否されている。

【更新】画像は実際に再編集されていた。スクリーンショットを撮った人物が行ったかと思っていたが、元のツイートでは最初の数字が削除されていた。

オキーフ氏の支持者たちによると、彼のアカウントは、同報道機関に政治的偏見があることを認めたCNNの従業員の盗撮記録が関与した直近の「暴露」に対する報復として削除されたという。彼のそのときの話し相手は看護婦のふりをし、彼とTinderで「できて」(マッチして)いた。

一方、オキーフ氏は、彼が偽アカウントを使っていたという非難を名誉毀損としてTwitterを訴えると言っている。彼の法務担当者はTechCrunchに対して「ジェームズ・オキーフのアカウントは1つしかない。彼は偽アカウントを持っていない。Twitterの声明は間違っている」と語っている。

関連記事:Twitterがトランプ大統領のアカウントを永久停止(米議会議事堂暴動から追放までの経緯まとめ)

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タグ:Twitter

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Twitterのアフリカ初進出国はガーナ

TwitterのCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は米国時間4月12日のツイートで、同社がアフリカに進出することを発表した。同氏は「Twitterが大陸に登場します。ガーナ、そしてNana Akufo-Addo(ナナ・アクフォアド大統領)、ありがとう」とツイートした。

このツイートに添付された文書でTwitterは「大陸で活発に日常の会話を交わしている豊かで活気に満ちたコミュニティにもっと深く関わるために」積極的にガーナにチームを作っているところだと述べている。

同社は製品やエンジニアリング、デザイン、マーケティング、コミュニケーションの社員をガーナで募集している。ただしガーナにオフィスを構えるのはまだ先の計画であるため、これらの職に採用された人はリモートで仕事をすることになる。

ガーナのナナ・アクフォアド大統領はこのニュースに喜び「Twitterがアフリカ事業の本拠地としてガーナを選んだのはすばらしいニュースです。政府とガーナ人はこの発表と我が国に対する信頼を大いに歓迎します」と述べた。

大統領は現地時間4月7日にドーシー氏とバーチャル会議をしたことも明らかにした。この場で両者が最終合意に達したと見られる。

大統領は「2021年4月7日に私がジャックにバーチャル会議で述べた通り、これはTwitterとガーナとの間のすばらしいパートナーシップのスタートであり、ガーナにとって極めて重要なテック分野の進歩に重要な意味を持っています。ガーナに進出して事業をするにはエキサイティングなタイミングです」と述べた。

Twitterによれば、ガーナがAfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)に積極的に関わりインターネットに対しオープンであることから、アフリカで最初に同国に進出する決断をしたという。

Twitterは発表の中で「ガーナは民主主義の擁護者として言論の自由、オンラインの自由、そしてTwitterも提唱しているオープンインターネットを支持しています。その上、ガーナがアフリカ大陸自由貿易圏の事務局を開設したことは、アフリカ全域でサービスを向上し適合させていく我々の取り組みを支援し、この地域でのプレゼンスを確立するという我々の包括的な目標と一致するものです」と述べている。

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タグ:Twitterアフリカガーナ

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Kaori Koyama)

米国のプライバシー保護団体が「監視広告」の禁止を米議会に強く要請

米国時間3月25日に、ビッグテックと議会による「映画のような」激しい応酬が行われた。米国議会は、虚偽情報という不快なトピックについて今回もFacebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、Twitter(ツイッター)のCEOに聴聞する予定だ。それに先立ち、プライバシー、反トラスト、消費者保護、公民権の各分野の組織で構成される連合体が「監視広告」の禁止を要求し「ビッグテックの有害なビジネスモデルが民主主義を弱体化させている」という論調を強めている。

「不快な広告」の禁止を要求しているのは、40あまりの組織で構成される強力な連合体だ。このような広告には、行動広告のターゲティングを目的としたウェブユーザーの大規模追跡とプロファイリングが利用されている。この連合体には、American Economic Liberties Project(アメリカ経済的自由プロジェクト)、Campaign for a Commercial Free Childhood(広告のない子ども時代を目指すキャンペーン)、Center for Digital Democracy(デジタル民主主義センター)、Center for Humane Technology(人道的技術センター)、Epic.org(電子プライバシー情報センター)、Fair Vote(フェア・ボート)、Media Matters for America(メディア・マターズ・フォー・アメリカ)、Tech Transparency Project(技術透明性プロジェクト)、The Real Facebook Oversight Board(リアルフェイスブック監視委員会)などの組織が参加している。

同連合体は公開書簡の中で「我々はさまざまな問題や業種を代表しており、コミュニティの安全性と民主主義の健全性に対する懸念を共有している。ソーシャルメディア大手は、情報を吸い取る有害なビジネスモデルのサービスにおいて、合意された現実を侵食し、公共の安全を脅かしている。監視広告の禁止に向けた取り組みで我々が協力しているのはそのためだ」と述べている。

この連合体はまた、より安全な非追跡型の代替手段(コンテキスト広告など)が存在することを指摘している。一方で、アドテックのインフラストラクチャのさらなる透明性とそれに対する監督が、関連するさまざまな問題(ジャンクコンテンツ、陰謀論の増加、広告詐欺、デジタルイノベーションの荒廃など)の解決に役立つ可能性があると主張している。

前述の公開書簡の中には「この危機に対処するための特効薬はない。この連合体のメンバーは、包括的なプライバシー関連の立法、反トラスト法の改正、責任基準の変更など、引き続きさまざまな政策的アプローチを追求していく。しかし全員が同意できることが1つある。それは、今こそ監視広告を禁止すべきときだということだ」と書かれている。

さらに、同連合体は「ビッグテックのプラットフォームは、憎悪、不法行為、陰謀論を増幅している。また、ユーザーにますます極端なコンテンツを提供するようになっている。それによってエンゲージメントと利益を最大化できるためだ」と警告する。

「ビッグテック自身のアルゴリズムツールによって、白人至上主義者のグループ、ホロコースト否認主義、新型コロナウイルス感染症関連のデマ、偽造オピオイド、虚偽の癌治療情報など、あらゆる情報の拡散が促進されてきた。エコーチェンバー現象、急進化、嘘の拡散はこのようなプラットフォームの特徴である。これはバグではなく、ビジネスモデルの中心なのだ」。

また、この連合体は監視広告による従来型ニュースビジネスへの影響についても警告している。プロのジャーナリズムにおける収益が減ってきており、それにより民主主義で取り組むべき(真の)情報エコシステムへの危害が大きくなっていると述べている。

これらの批判にもそれなりの根拠はあるのが、従来型ニュースの終焉をテクノロジー大手のせいにするのは単純化しすぎである。巨大テック企業の存在そのもの、つまりインターネットによってもたらされた産業のディスラプション(創造的破壊)を批判しているのと同じだ。とはいえ、一部のプラットフォーム大手による、プログラムを使用したアドテックパイプラインの支配は、明らかによいことではない(オーストラリアの立法はこの問題に対して判決を下したが、つい最近のことであるため、まだその影響を評価することはできない。しかし、ニュースメディアへの対価の支払いを義務付ける法律の恩恵を受けるのは大手メディアビッグテックだけで、声を上げた両業界全体に利益がもたらされることにはならない、というリスクがある)。

同連合体は次のように警告する。「フェイスブックとグーグルの独占的な力と、データを『収穫』する行為は、両社に不公平なほど大きなメリットを与えてきた。それにより両社はデジタル広告市場を支配し、以前は各地域の新聞が得ていた収益を吸い上げるようになった。そのため、ビッグテックのCEOがさらに裕福になる一方で、ジャーナリストは解雇されている。ビッグテックは現在も差別、分断、迷いを煽っている。標的型の暴力を助長し、暴動の土台を用意することになる場合でも、金銭面でのメリットがある限りこれを行う」。

連合体は、具体的な被害をまとめたリストの中で、フェイスブックとグーグルなどのテクノロジー大手による圧倒的に有利なオンラインビジネスモデルが「医療関連のデマ、陰謀論、過激なコンテンツ、外国のプロパガンダを促進する狡猾な虚偽情報のサイト」の資金源になっていると指摘している。

「監視広告を禁止することで、デジタル広告の表示に対する透明性と説明責任を以前のように戻せる可能性がある。また、虚偽情報のパイプラインにおいて重要なインフラストラクチャとして機能しているジャンクサイトの資金を大きく減らせる可能性がある」と同連合体は主張し、さらに「このようなサイトでは、拡散目的で作られた陰謀論がいつまでも続くことになる。この陰謀論は、ソーシャルメディア上の悪意のあるインフルエンサーや、エンゲージメントに飢えたプラットフォームのアルゴリズムによって拡散が促進される。つまり、監視広告が有害なフィードバックループを加速し、資金源にもなっている」と述べている。

同連合体が指摘する被害には他にも、プラットフォームによるジャンクコンテンツや虚偽コンテンツ(新型コロナウイルス感染症に関する陰謀論やワクチンに関する誤った情報など)の拡散による公衆衛生に対するリスク、不公平に選ばれた、またはバイアスがかかった広告ターゲティング(女性や民族的マイノリティなどを違法に排除する求人広告など)を通じた差別のリスク、コンテンツや広告におけるユーザーエンゲージメントを増加させるために過激なコンテンツや悪意のあるコンテンツを増やす、広告プラットフォームによる道義に反する経済的インセンティブ(これは社会の分断を促進する。また、コンテンツが多く拡散されるほどプラットフォームが財務的に利益を得るという事実の副産物として党派性を促進する)、等がある。

同連合体はまた、監視広告システムが「小規模ビジネスに対して不正な試合を持ちかけている」とも主張している。プラットフォームの独占的状態が監視広告システムに組み込まれるためだ。これは「不快な広告は何らかのかたちで中小企業と大規模ブランドの勝負を公平にする」というテクノロジー大手の自衛的主張に対する妥当な反論である。

「フェイスブックとグーグルは自らを小規模ビジネスのライフラインであるかのように装っている。しかし真実は、単に独占企業としてデジタルエコノミーへのアクセスに対して課金しているだけだ」と同連合体は述べており、独占的状態にある両社による「広告市場に対する監視に基づく拘束により、小規模企業はレバレッジや選択肢を利用できない」と主張している。これはビッグテックによる搾取の余地を生む。

そのため、同連合体は、フェイスブックとグーグルが米国の広告市場の60%近くをコントロールしている現在の市場構造ではイノベーションと競争が抑制される、と断言している。

「監視広告はオンラインパブリッシャーに恩恵をもたらすのではなく、ビッグテックのプラットフォームに対して偏ったメリットをもたらす」と同連合体は述べ、フェイスブックは2020年に842億ドル(約9兆3214億円)の広告収入を、グーグルは1348億ドル(約14兆9231億円)の広告収入を得て「一方で監視広告の業界では詐欺の申し立てが多数あった」と指摘する。

行動ターゲティング広告の禁止を要求するキャンペーンは、今回が初めてではない。しかし、支持している署名者の数を考えると、これは、今の時代を形作り数社のスタートアップが社会と民主主義を弱体化させる巨人に姿を変えたデータ収穫型ビジネスモデルに反対する勢いの大きさを示している。

米国議会がビッグテックの影響に細かい注意を払うようになってきたため、この点は重要だと思われる。また、複数のビッグテックに対する反トラスト法関連の訴訟が進行中である。とはいえ、マイクロターゲティングの悪用の影響と民主的社会へのリスクについて早い段階で警鐘を鳴らしたのは、欧州のプライバシー規制当局だ。

話は2018年にさかのぼる。Cambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)が関与していたフェイスブックデータの不正使用と投票者をターゲットにしたスキャンダルが発生すると、英国のICOは、倫理的な理由から政治キャンペーン目的でのオンライン広告ツールの使用停止を要求した。また「Democracy Disrupted? Personal information and political influence(民主主義は崩壊したのか?個人情報と政治的影響)」というタイトルの報告書を作成した。

その同じ規制当局が、行動ターゲティング広告が制御不能になっているという警告を2019年に受けていながら、アドテック業界によるユーザーデータの違法使用に対してこれまでアクションを起こしてこなかったことは、ちょっとした皮肉では済まされない事態だ。

ICOが行動を起こさないのを見た英国政府は、ビッグテックを監督する専門の部門が必要だと判断した。

英国政府は近年、オンライン広告の分野を独占禁止法関連の懸念事項として挙げており、2019年に競争・市場庁が実施したデジタル広告セクターの市場調査に従い、競争重視の規制機関を作ってビッグテックの支配に対応していくと述べている。この調査では、アドテックによる独占的状況に対する大きな懸念が報告された

一方で、欧州連合のデータ保護監督機関のトップは先月、インターネットユーザーのデジタルアクティビティに基づくターゲティング広告を、停止ではなく禁止することを主張し、各加盟国の議員に対して、デジタルサービスルールの大規模な改正にそのための手段を組み入れるよう求めた。このルールは、運用者の説明責任などの目標達成を促進することを目的としたものである。

欧州委員会の提案がここまで踏み込んだのは今回が初めてだ。しかし、デジタルサービス法とデジタル市場法に関する交渉は現在も継続中である。

2020年、欧州議会でも、不快な広告に対してより厳しい姿勢で臨むことが支持された。ただし、ここでもオンラインの政治広告対応に取り組む委員会のフレームワークでは、あまり過激な内容は提案されていない。そのため、EUの議員はさらなる透明性を求めている。

米国議会が今回のキャンペーンにどう反応するかはまだわからないが、米国では市民社会組織は協力してターゲティング広告に反対するメッセージを広めようとしており、有害なアドテックを一掃すべきだ、という圧力が米国内でも高まっている。

同連合体のウェブサイトに記載されているコメントの中で、フォーダム大学ロースクールの法律学准教授であるZephyr Teachout(ゼファー・ティーチアウト)氏は「フェイスブックとグーグルは、権威主義国家における監視体制とタバコのような依存症ビジネスモデルを組み合わせた、巨大で独占的な力を持っている。議会には両社のビジネスモデルを規制する広範な権威があり、監視広告への取り組みを禁止するためにそれを使用するべきである」と述べている。

Ruby on Rails(ルビー・オン・レイルズ)のクリエイターであるDavid Heinemeier Hansson(デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン)氏は、今回の活動を支持する別の声明の中で次のように述べている。「監視広告は、新聞、雑誌、独立したライターから、生活およびコモディティ化された仕事を奪ってきた。代わりに我々が得たものは、数社の腐敗した独占的企業だった。これは社会にとってよい取引ではない。このやり方を禁止することで、我々は文章、音声、動画の独自の価値を、それを集める者ではなく、それを作る者の手に取り戻すことができる」。

興味深いことに、米国の政策立案者がアドテックにさらに細かく注意を払うようになっている状況を受けて、グーグルは個人レベルの追跡サポートを「プライバシー保護」型の代替策として認知されている方法(FLoC)で置き換える努力を加速させている。

それでも、Privacy Sandbox(プライバシーサンドボックス)でグーグルが提案したテクノロジーでは、ウェブユーザーのグループ(コホート)が引き続き広告主のターゲットになる。ここには引き続き、差別が発生するリスクや、社会的弱者のグループが何らかの標的にされ、社会的規模で操作が行われるリスクが存在する。そのため、議員はグーグルのブランディングではなく「プライバシーサンドボックス」の詳細に注意を払う必要がある。

「要するに、これはプライバシー保護の点では有害なことだ」とEFF(電子フロンティア財団)は2019年の提案について触れながら警告した。「集団の名称は基本的には行動の信用スコアだ。デジタル版の額にタトゥーが刻まれているようなもので、あなたが誰か、何が好きか、どこに行くのか、何を買うのか、誰と関係があるのか、といった情報を提供している」と述べている。

EFFはまた「FLoCはプライバシー保護テクノロジーとは逆のものだ」と付け加え「今日も追跡者はウェブ上であなたを追いかけている。あなたがどのような人間かを推測するためにデジタル環境でコソコソ動いている。グーグルによってもたらされる未来では、追跡者は椅子に座って何もせず、自分の代わりにあなたのブラウザに働かせるだろう」と述べている。

関連記事:EUの主管プライバシー規制当局が行動監視に基づくターゲティング広告の禁止を求める

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画像クレジット:JakeOlimb / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

【コラム】頻繁に耳にする「巨大テック解体論」はまちがっている

本稿の著者T. Alexander Puutio(T・アレクサンダー・プーティオ)氏はレナード・N・スターン・スクールの非常勤教授であり、トゥルク大学での研究をAI、技術、国際貿易、開発の相互作用に捧げている。本稿で表現された意見はすべて彼のものだ。

ーーー

Big Tech(ビッグテック、巨大テック企業)との蜜月時代は、表向きは終わったと言ってもよさそうだ。

疑わしいデータ処理手続き、恣意的なコンテンツ管理ポリシー、明白な反競争的慣行が長年にわたり続いてきたのだ。ここで少し立ち止まってビッグテック業界との関係を考え直すのは当然のことだろう。

残念なことに、ビッグテックの解体を求める声をはじめとする、大方の注目を集めている意見のほとんどは、健全な経済学的思考というより、報復的な妄想から生まれている。

我々は、扇動的で成功の見込みが限りなく低い計画やゼロサム的解決策を追いかけるのではなく、スタートアップや競合他社独自のデジタル市場にとって公平な競争の機会を設け、ビッグテックが規模の拡大と同時により優れた企業に成長していくよう取り組むべきだ。

関連記事:EU競争政策担当委員の提言「巨大ハイテク企業を分割してはいけない、データアクセスを規制せよ」

大方の注目を集めている意見のほとんどは、健全な経済学的思考というより、報復的な妄想から生まれている。

20世紀の議員たちが、産業の寵児から停滞をまねく破壊的勢力へと変貌した鉄道独占企業をどのように抑制したかを見れば、その取り組みのヒントが得られるだろう。

問題は変わらない

100年以上前、急速に工業化が進む米国は、テクノロジーディスラプション(創造的破壊)がもたらした想定外の事態に直面していた。どこかで聞いたことがあるような話だ。

本格的な蒸気機関車が初めて登場したのは1804年だが、より強力で貨物に適した米国式の蒸気機関車が導入されたのは1868年になってからだ。

効率性が高く貨物に適した機関車は、野火のように急速に広がり、やがて鋼と鉄が山を貫き、ほとばしる川を飛び越えて、全米各地を結び付けた。

すぐに鉄道の走行距離は3倍になり、全都市間交通の実に77%、旅客事業の98%で鉄道が利用されるようになった。これにより、コスト効率のよい大陸横断旅行の時代が到来し、国全体の景気に大きな変化が訪れた。

画期的な技術の黎明期にはよく見られることだが、成功の初期段階には大きな人的損失がともなうものだ。

鉄道業界では当初から虐待や搾取が横行し、例年、労働者の3%近くが負傷したり死亡したりしていた。

やがて鉄道信託の所有者は、世間から広く非難を浴びる実業家グループの大部分を占めるようになり、いわゆる「悪徳資本家」と呼ばれるようになった。そして、そのような企業は行く手にあるものすべてを搾取し、競合他社、特に新規参入者を困窮させた。

鉄道会社の経営者たちは、慎重に構築されたウォールドガーデン(顧客の大規模な囲い込み)を維持することで自らの利益を確保し、強要や排除といったあらゆる手段を使って競合他社を破産に追い込んでいった。

鉄道の所有者から見れば、こうした方法は大成功を収めたが、競争が阻害され、消費者重視の視点が完全に欠落した世間には停滞ムードがただよった。

歴史は繰り返す

人間は過去の経験から学ぶことが苦手なようだ。

実際、ハイテク産業に対して我々が抱く懸念のほとんどは、20世紀の米国人が鉄道信託に対して抱いていた反対感情と同じである。

当時の悪徳資本家と同じように、Alphabet(アルファベット)、Amazon(アマゾン)、Apple(アップル)、Facebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)などは、競合他社やスタートアップが入る余地をほとんど残さず、取引の大動脈を支配するようになった。

ビッグテックは2桁のプラットフォーム料金を導入し、決済プロトコルに厳しい制限を設け、独自のデータやAPIを専有することで、人工的な参入障壁を築き、競合他社がビッグテックの成功を事実上まねできないようにした。

ここ数年、大手テクノロジー企業はAmazonBasics(Aamzonベーシック)のようなプライベートブランドを提供することで、サードパーティーソリューションのカニバリゼーション(共食い)に取り組んできた。その結果、ビッグテックの顧客は、プラットフォーム所有者に競争力を弱められ、完全に先手を打たれていることに気づくことになった。

以上を踏まえると、米国におけるテック系スタートアップの創業ペースが何年も前から低下しているのは当然の流れだ。

実際、Albert Wenger(アルバート・ウェンガー)氏のようなVC界のベテランたちは、ビッグテック周辺にある「キルゾーン」に注意するよう呼びかけており、もし我々が大規模なハイテク複合企業の競争的周辺部を再活性化する方向に向かっているなら、早急に何らかの手を打つが必要がある、と警告している。

ビッグテック解体論を止めるべき理由

20世紀に独占的な鉄道信託を管理するために策定された戦略から、ビッグテックに対処する上で役立つ教訓を読み取ることができる。

戦略の第1段階として、議会は1887年に州際通商委員会(ICC)を設立し、合理的かつ公正な価格で専用鉄道網を利用できるように管理する任務をICCに与えた。

しかし、ICCの活動は政党主導であったため、ICCにはほとんど権限が与えられなかった。1906年に輸送機能と貨物の所有権を分離するヘボン法が議会で可決され、本当の意味での進展がようやく見られるようになった。

議会は、独自のプラットフォームで私的金融取引や二重取りを行うことを禁止し、既存の競合他社と新規参入企業の両方が同じ条件でプラットフォームを利用できるようにした。つまり、複雑に絡み合って抜け出せなかった搾取的な慣行が排除され、現在の米国の繁栄を支える根幹が形成されたのだ。

これは、鉄道信託を細かく解体するだけでは決して実現できなかったことだ。

実際のところ、プラットフォームやネットワークは大きい方が関係者全員にとって有利だ。大きい方がより高いネットワーク効果を得られるし、小規模なプラットフォームを凌駕するその他の要因もいくつかある。

最も重要なことは、アクセスと相互運用性のルールを適切に設定すれば、より大規模なプラットフォームでより幅広いスタートアップやサードパーティを支えられるようになるため、経済のパイの縮小ではなく拡大が可能になるということだ。

デジタル市場をスタートアップの味方につける

パンデミック後の経済活動では、テックプラットフォームを縮小するのではなく、規模の拡大に合わせて優れたプラットフォームに成長させることに注目すべきだ。

第1段階で必要なことは、スタートアップと競合他社が公正な条件と適正価格でこれらのプラットフォームにアクセスできるようにすることだ。

現在、政策立案者が実施できる具体的な措置は他にも多数ある。例えば、データ可搬性に関するルールの書き換え、プラットフォーム間のより広範な標準化と相互運用性の推進、ネットの中立性の再導入は、今日の業界の問題に対処するのに大いに役立つだろう。

Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領が最近、連邦取引委員会(FTC)の次期委員として、「アマゾンを反トラストだと主張する急先鋒」 Lina Khan(リナ・カーン)氏を指名したことで、こうした変化が実現する可能性は突如として高まった。

最終的には我々全員が、巨人の肩の上に立ち(先人たちの知恵を借りながら)、巨人が作ったプラットフォームの上で力強く成長するさまざまなスタートアップや競合他社から恩恵を享受できるようになるだろう。

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(文:T. Alexander Puutio、翻訳:Dragonfly)

ツイッターがClubhouseに4400億円規模の買収を持ちかけていたとの報道

Bloombergの報道によると、Twitter(ツイッター)はClubhouseとの間で、このライブドロップインオーディオネットワーキングプラットフォームの買収に向けた話し合いを行ったという。買収額は40億ドル(約4400億円)程度になるとのこと。TechCrunchは、この話し合いに詳しい関係者からの情報も確認した。

買収交渉は過去数カ月わたって行われていたが、終了した理由はわかっていない。つい数日前、BloombergはClubhouseが40億ドル前後の評価額で新たな資金調達を目指していると報じたが、買収交渉の詳細を報じた記事によると、まずTwitterとの話し合いが決裂し、株式投資と引き換えに追加資金を確保する戦略に変更されたという。

TwitterにはClubhouseとよく似た独自サービスである「Spaces(スペース)」がある。Spacesは、ドロップイン式のオーディオチャットルーム機能で、数カ月にわたってユーザーベースに徐々に展開されてきた。一方、Clubhouseは、同社初となる収益化の取り組みである「Clubhouse Payments」をローンチしたばかりだ。この機能は、ユーザーがプラットフォーム上の他のクリエーターに直接支払いが行えるようを送れるようになるものだ。

関連記事:Clubhouseが同社初となるクリエイター用収益化機能をテスト開始

興味深いことに、Clubhouseのマネタイズは自ら収益を得るものではない。クリエイターはユーザーからの支払いを100%受けとることができる。ただし、わずかな手数料としてClubhouseがバーチャルチップを実現するために利用している決済プロバイダーStripeに直接送られる。

TwitterとClubhouseの交渉の詳細については明らかにされていないが、特にSpacesの進捗状況を考えると、40億ドルはTwitterがこのオーディオアプリに支払う額としては非常に高いように思える。Clubhouse初期の牽引力は否定できないが、その持続性についてはまだ多くの疑問が残っている。他のプラットフォームからもクローンが誕生しており、それが機能なのかプロダクトなのかという古くからあるスタートアップの疑問を投げかけている。

何が起きたにせよ、このタイミングで明らかになったことで、Clubhouseが調達しようとしているラウンドの目標評価額について、潜在的な投資家たちとの話に弾みがつきそうだ。いずれにしても、コンシューマー向けソフトウェアの分野が比較的低迷していた数年間を経て、このような活動、話題、注目が集まっていることは非常に喜ばしいことだ。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Katsuyuki Yasui)

米最高裁がトランプ前大統領がTwitterの批判者をブロックしたのは違憲との判決を無効に

米国の連邦最高裁判所は、Trump(トランプ)前大統領がTwitter(ツイッター)で自身に反対する投稿をブロックしたことが合衆国憲法修正第1条に違反するとした過去の判決を無効にした。

2019年にマンハッタンの連邦控訴裁判所は、トランプ氏の行為が違憲であるとの判決を下していた。同裁判所は、トランプ氏がTwitterを「公務の遂行」と「一般市民との交流」のために使用していたことから、ユーザーをブロックするという同氏の決定が憲法修正第1条に反すると判断した。

「憲法修正第1条は、ソーシャルメディアのアカウントをあらゆる公務に利用している公務員が、その公務員に反対する意見を述べたことを理由に、その人物をそれ以外のオープンなオンライン対話から排除することを認めていない」と、3人の裁判官はこの判決で述べている

最高裁が先行判決を無効としたことは、まったく予想されていなかったというわけではない。トランプ氏はもはや大統領ではなく、現時点でTwitterのアカウントを永久停止されているからだ。

関連記事:Twitterがトランプ大統領のアカウントを永久停止(米議会議事堂暴動から追放までの経緯まとめ)

予想外だったのは、Clarence Thomas(クラレンス・トーマス)最高裁判事が出した付随意見で、それは問題の本質をはるかに超えて、大手テックプラットフォームに対する斬新な批判にまで及んでいた。

トーマス氏は12ページの意見書の中で、トランプ氏のTwitterにおける行動から離れ、TwitterやFacebook(フェイスブック)などのデジタルプラットフォームが持つモデレーションの力が本当の問題であるとの主張を展開した。「言論が妨げられないようにすることを目的とするならば、より顕著な問題は、支配的なデジタルプラットフォームそれ自体ということにならざるを得ない」と、トーマス氏は書いている。

さらにトーマス氏は、ひと握りの意思決定者によるデジタルプラットフォームの「集中管理」に対する懸念を示し、デジタルプラットフォームがモデレーションの決定においてあまりにも大きな力を行使していると主張。「通信事業者の場合と同様に、この集中によって一部のデジタルプラットフォームが言論に対して巨大な支配力を持つことになる」と書いている。

米国時間4月5日に発表されたトーマス氏の意見は、通信品位法230条によってデジタルプラットフォームに与えられている保護を、もっと狭義に解釈して「削減」するべきであるというこれまでの同氏の主張を反映したものだった。

民主党が議会で主導権を握る中、一部の共和党員は、ビッグテクノロジーに対する批判を、そのモデレーションの力から、それらのサービスが精神的な健康にどのような影響を与えるかといった別の問題へと移しつつある。しかし、トランプ大統領が就任してから4年の間に醸し出された一連の不満は、最高裁判事のクラレンス・トーマス氏の中で生き続けている。

2021年1月には、トーマス氏の妻であるGinni Thomas(ジニ・トーマス)氏が熱烈なトランプ支持者であり、米国連邦議会議事堂に暴力的に侵入したトランプ支持派の群衆を応援したことで、批判にさらされた。

トーマス氏の意見に他の判事は参加していないが、同氏がテックプラットフォームのモデレーション決定に言及したことは、この問題がまだ枯れていないことを示している。

「我々は近いうちに、デジタルプラットフォームのような高度に集中した民間所有の情報インフラに対し、我々の法理がどのように適用されるかを議論せざるを得なくなるだろう」と、トーマス氏は警告している。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ソーシャルメディアCEO3人が米下院公聴会で反ワクチン誤情報アカウントを削除するか聞かれ言葉を濁す

米国12州の検事総長からなる連合は米国時間3月24日、Facebook(フェイスブック)とTwitter(ツイッター)に対し、両社のプラットフォーム上での新型コロナワクチンに関する誤情報の拡散を減らすため、コミュニティガイドラインの施行を強化するよう求めた。検事総長らは今回の書簡の中で、Facebookと同社の傘下にあるInstagram(インスタグラム)、そしてTwitter上で公開されている反ワクチン情報の65%を占める12の「反ワクチン派」アカウントを特定している。25日に行われた偽情報と過激主義に関する下院公聴会では、TwitterとFacebookのCEO、そしてGoogle(グーグル)のCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏が、これら12のアカウントを削除する意思があるかどうかを直接問われた。

関連記事:ザッカーバーグ氏、ピチャイ氏、ドーシー氏が下院公聴会で情報操作と過激主義について証言

彼らの答えはまちまちだったが、パンデミックを終息させるために予防接種を受けるか否かという米国人の意思決定に大きな影響を与えかねない、ほんのひと握りの意図的誤報のソースを排除するというシンプルな行動を、ソーシャルメディアの経営者たちは取る意思がないことを示していた。

公聴会の中で、ペンシルベニア州選出のMike Doyle(マイク・ドイル)下院議員(民主党)は、55万人近くの米国人が新型コロナウイルスによって命を落としていること、また、独立した調査によると、米国を含む5カ国のFacebookユーザーが新型コロナウイルスの偽情報に38億回さらされていることを指摘した。現在、米国政府はこの致命的なウイルスの蔓延を抑えるためにワクチン接種を急ピッチで進めているが、ソーシャルメディアサイトが人々にワクチン接種を躊躇させるようなコンテンツを宣伝・推奨し続けていることにも続けて対処しなければならない。

「私のスタッフは、YouTube(ユーチューブ)でワクチンを打たないように伝えるコンテンツを見つけ、そのあと似たような動画を勧められました。Instagramでも同じことがいえます。ワクチンに関する偽情報を簡単に見つけられるだけでなく、プラットフォームが似たような投稿を推奨していました」とドイル氏は述べた。「Facebookでも同じことが起こりましたが、そこではさらに反ワクチングループも推奨されていました。ツイッターも同様でした」。

ドイル氏はCEOたちにこう語りかけた。「あなた方は、こうしたコンテンツを削除することができます。(偽情報の)ビジョンを減らすことができます。あなた方はこの問題を解決できるのに、そうしないことを選んでいるのです」。

同氏はその後、検事総長らが書簡の中で偽情報の「super-spreaders(スーパー・スプレッダー)」と呼んだ12のアカウントを削除する意思があるかどうか、CEOたちに直接尋ねた。

連合からの書簡には、FacebookとTwitterの両社が、利用規約に繰り返し違反している12人の著名なワクチン反対派ユーザーのアカウントをまだ削除していないと書かれている。これらのユーザーのアカウント、関連する組織、グループ、そしてウェブサイトは、2021年3月10日の時点で、Facebook、Twitter、Instagram全体で公開されている反ワクチンコンテンツの65%を占めていると、書簡は指摘した。

これらの12のアカウントを削除するかどうかという質問に対して、ザッカーバーグ氏は言葉を濁した。同氏は、まずFacebookのチームが参照されている正確な例を見なければならないと述べ、ドイル氏は彼の答えを遮ることになった。

一方のピチャイ氏は、YouTubeが誤解を招くような新型コロナウイルス情報を含む85万本以上の動画を削除したことを指摘して回答を始めようとしたが、ドイル氏が「YouTubeが12人のスーパー・スプレッダーのアカウントを削除するかどうか」という質問をし直したため、回答がそれによって遮られた。

「当社にはコンテンツを削除するポリシーがあります」とピチャイ氏は述べたが「人々の個人的な体験談であれば、コンテンツの一部は許可されています」と付け加えた。

TwitterのCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は、同じ質問を受けた際「はい、ポリシーに反するものはすべて削除しています」と答えた。より前向きな答えではあるが、Twitterが実際に特定された12のアカウントを削除することを確認するものではない。

ドーシー氏は公聴会の冒頭で、誤情報に対処するためのTwitterの長期的なビジョン「Bluesky」と呼ばれる分散型の未来像についても幅広く語った。同氏は「Bluesky」では、共有されるオープンソースのプロトコルをベースに活用することで「ビジネスモデル、推薦アルゴリズム、モデレーションコントロールなど、私企業ではなく個人の手に委ねられることで、イノベーションが促進される」と説明した。この回答はTwitterのモデレーションに関するビジョンが、最終的には他者に責任を委ねることであると示している。これはFacebookがここ数カ月の間に、最も困難なモデレーションの決定の際に意見を述べる外部機関であるOversight Committee(監督委員会)で行っていることと同じだ。

これらの動きは、ソーシャルネットワークが自分たちだけではコンテンツモデレーションの責任を果たせないと判断したことを示している。しかしその結果、米国政府が実際に規制に乗り出すかどうかは、さらに見ていく必要がある。

関連記事:Twitterが描く分散化の未来、包括的なオープンスタンダードに向けた展望はインターネット極右を追い詰めるか

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タグ:FacebookGoogleTwitter新型コロナウイルスワクチン偽情報

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

Twitterのジャック・ドーシーCEOが公聴会の最中にツイートして議員に咎められる

Twitter(ツイッター)のJack Dorsey(ジャック・ドーシー)CEOは、情報操作と過激主義に関する米国議会の公聴会の最中にツイートしたことで、Kathleen Rice(キャスリーン・ライス)議員(ニューヨーク州選出)に呼び出された。ドーシー氏のツイートは、複雑な質問に対する回答を「はい」か「いいえ」という単純なものにしなければならず、そうしないと回答を打ち切られてしまうという公聴会の形式に不満を示したものと思われる。ドーシー氏は米国時間3月25日の午後「?」というだけの質問に「Yes」または「No」のみで答える投票形式の不可解なツイートを投稿した。

関連記事:ザッカーバーグ氏、ピチャイ氏、ドーシー氏が下院公聴会で情報操作と過激主義について証言

彼の投稿、あるいは社会批判は、注目されなかったわけではない。

ライス議員は、米国の退役軍人や軍属を過激化させるプラットフォームの能力についての質問に入る前に、TwitterのCEOに彼のツイートについて質問した。

「ドーシーさん、あなたのツイートの投票では、YesとNoのどちらが勝っていますか?」とライス氏は尋ねた。彼女は花や蝶、虫、そして蛇(?)で埋められたカラフルな壁紙の前に座っていて、これはその日のウェブ会議で他よりも素敵な背景の1つだった我々は思う。おそらくドーシー氏が彼の家のキッチンからこのZoom会議に参加し、その背後に巧妙にブロックチェーン時計を配置していたことにも負けていなかった(なにしろ、ブロックチェーン時計なのだからもちろん)。

「はい」とだけ答えたドーシー氏は、この聴聞の間、ずっと一本調子に同じ言葉を繰り返した。これは、退屈な政治的見世物にはまったく身が入らないという印象を与えた。

「うーむ」と、ライス氏は警告するように言い「あなたのマルチタスク能力は大したものですね」と、実際に感心しているわけではないような口調で皮肉を言った。

ちなみに、この記事を書いている時点では、総投票数6万5626票のうち65.7%が「Yes」で「No」の34.3%を大きく上回っている。

結局のところ、ソーシャルメディアには楽天主義が残っているということか。

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タグ:Twitterジャック・ドーシー

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ザッカーバーグ氏、ピチャイ氏、ドーシー氏が下院公聴会で情報操作と過激主義について証言

ビッグテックが議会に戻ってきた。

テクノロジー業界で最も著名な3人のCEOが米国時間3月25日午前9時(日本時間3月25日午後11時)、米国下院のエネルギー・商業委員会に出席し、偽情報や過激主義の抑制に失敗した企業の責任を議員たちが追及した。

公聴会の前に公開された冒頭陳述ではFacebook(フェイスブック)のMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏、Twitter(ツイッター)のJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏、Google(グーグル)のSundar Pichai(スンダー・ピチャイ)氏がそれぞれ、望む会話を展開している。

ザッッカーバーグ氏は通信品位法第230条の改正を主張した。これは問題の解決にはつながらないものの、Facebookが小規模な競合他社よりも有利になる可能性がある。Googleは230条を擁護し、選挙に関する誤った情報を封じ込めようとする自社の取り組みが不十分だったり遅れたりすしたことから、最終的には米国連邦議会議事堂への攻撃に発展したと指摘。一方、Twitterは自社のアルゴリズムを透明化し、コミュニティレベルでのモデレーション活動を促進するための取り組みを示し、後ろ向きではなく前向きな姿勢を示した。

今回の議題は大きく、議員たちが公聴会で取り上げる可能性がある方向性はたくさんある。ここ数カ月の間、合同審問を主導した2つの小委員会は、過激派の専門家の間で頻繁に懸念されているアルゴリズムによるグループの推奨についてフェイスブックに質問してきたし、同社が連邦議会の暴動を宣伝する投稿の隣に戦闘装備の広告を出していたと報告している。もっと広くいえばこの委員会は、危険な偽情報を広める上でのソーシャルメディアの役割を探求するだろうが、その過程で我々は反トラスト法や第230条の改革など、規制面での解決策を回り道してしまう可能性がある。

公聴会の模様は上の動画から閲覧できる。

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タグ:FacebookGoogleTwitter

画像クレジット:Win McNamee / Staff / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:塚本直樹 / Twitter

Twitterがフェイスブックのような「ハート」や「顔」の絵文字リアクション導入を検討中

Twitter(ツイッター)が星マーク(「お気に入り」)をハートマーク(「いいね」)に変更した時の騒ぎを覚えているなら、Twitterユーザーがツイートへの関わり方にどれほど強い感情を抱いているかをご存知だろう。現在、Twitterは再び大きな反響を呼びそうな変更を検討している。同社は2021年3月、ユーザーにアンケート調査を実施し、Facebook(フェイスブック)で見られるような絵文字のリアクションを増やすことについてどう思うかと意見を求めている。

Twitterの広報担当者は、この調査について「Twitter上で行われている会話の中で、人々が自分自身を表現するための新たな方法を、私たちは模索しているところです」と述べている。

Twitterの調査で提案されているのは、ハート(「いいね」)、涙を流して笑う顔(「おもしろい」)、考える顔(「興味深い」)、泣き顔(「悲しい」)などの数種類のリアクション絵文字だ。

画像クレジット:@jdm0079 on Twitter

この基本セットに加えて「すごいね」という感情を、目と口を大きく開けた顔の代わりに炎で表現したり「支持する」をハグの顔ではなく万歳の手で表現したバリエーションを提案して、どちらが好みかとユーザーに尋ねている。

さらに議論を呼びそうなのは、ユーザーのツイートに対する一般的な「好き」と「嫌い」という感情の表し方に関して、親指を立てたり親指を下げたり、緑や赤の「100」で示したり、緑の上向き矢印や赤の下向き矢印で示したりして「賛成」と「反対」というかたちで示す方法を検討していることだ。これはReddit(レディット)の「賛成投票」と「反対投票」の仕組みを彷彿とさせる。

画像クレジット:WFBrother on Twitter

この調査による質問は、Twitterが、否定的な感情を意味する絵文字のリアクションを導入する際の難しさについて、認識していることを示している。同社はユーザーに、反対や嫌悪の感情を示すリアクションをどのように利用したいかと尋ねている。例えば、ツイートに返信する代わりにこのリアクションを使うのか、あるいは無関係なツイートや攻撃的なツイートに対して使うのか、ということだ。

さらにTwitterは、自分のツイートに反対や嫌いというリアクションが付けられた場合、それによって今後のツイートを控えるか、それとも自分の投稿に対する「建設的」なフィードバックとして受け止めるかなどをユーザーに尋ねている。

画像クレジット:@jdm0079 on Twitter

Twitterは、リアクションのセットの導入が、人々のTwitterコンテンツに対する関わり方に大きな影響を与える可能性があること、そして潜在的には人々が自分のツイートに「反対」のリアクションが付くことを過度に気にするようになれば、Twitterの利用が冷え込む可能性があることを明確に理解している。

もっとも、親指にしろ矢印にしろ「賛成」と「反対」を表現する仕組みは、ウェブ上の他の場所でも、コンテンツへの関わり方として一般的な方法だ。それはRedditのようなフォーラムサイトのみならず、YouTube(ユーチューブ)や、Imgur(イメージャー)、Pandora(パンドラ)などさまざまなサイトで使われている。一方「いいね!」を示すサムズアップのシグナルは、Facebookの先導によって人気が高まった。しかし現在では、矢印やハートのかたちが使われたり、あるいはAmazon(アマゾン)のユーザーレビューで「参考になった」と評価する際のように単なるクリックするボックスになったりしている。

2015年にFacebookが絵文字リアクションのセットを導入して以来、単なる「いいね!」だけでなく複数の感情も表すことができる拡張された絵文字リアクションの使用が一般的になった。LinkedIn(リンクトイン)のような他のソーシャルメディアも追随し、2020年にはTwitterまでもが、DM(ダイレクトメッセージ)に絵文字リアクションのセットを採用した。

そして今回の調査でTwitterは、絵文字リアクションをどのように表示するべきか、例えばネガティブなリアクション数を表示すべきかどうかなどについて、ユーザーに意見を尋ねている。

画像クレジット:WFBrother on Twitter

TwitterがTechCrunchに語ったところによると、リアクションの領域で行っている作業は探索的なもので、現在この調査を行っているのは、人々が交わしている会話にもっとニュアンスを加える方法を検討しているからであり、そうすることで、読者がその会話にまつわる追加的な文脈を、よりよく理解できるようになるのではないかと考えているからだという。さらに同社は、新しい絵文字のリアクションが「ハート」に取って代わるものではなく、追加的なものであることも強調した。

Twitterは、まだ絵文字リアクションのセットを構築したわけではなく、テストも行っていないが、どうやらその方向に向かっているようだ。

最近、あるユーザーから「ハートだけでなく、絵文字リアクションも試してみたい」という要望が寄せられた時、Twitterの最高デザイン責任者であるDantley Davis(ダントリー・デイビス)氏は「間もなく何かご用意できると思います」と答えている。

TwitterもLinkedInやFacebookのように、ハートだけではなくいくつかのリアクション絵文字を提供すべきだと思い始めています。すべてをカバーする必要はありませんが、5つか6つの選択肢があるといいですね。

このツイートに絵文字を使って反応し、テストしてみましょう。

Arlan

間もなく何かご用意できると思います。

Dantley Davis

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タグ:TwitterSNS絵文字

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

TwitterがAPI刷新のテコ入れためにAPI統合化プラットフォームReshuffleを買収

米国時間3月23日、TwitterはAPI統合プラットフォームReshuffleの買収を発表した。人材の獲得が目的的だという。このスタートアップがオープンソースを商用化して得た技術により、デベロッパーはワークフローを構築し、複数のシステムをさまざまなAPIを使って接続することができる。同社はTwitterの買収により解散するが、共同創業者のAmir Shevat(アミール・シェヴァット)氏とAvner Braverman(アヴナー・ブレイバーマン)氏を含む7名のチーム全員がTwitterに加わり、現在、同社で行われている統一APIの刷新工程を加速していくことになる。

新しいTwitter API 2.0が導入されたのは2020年のことで、2012年以降、初めての完全に新しい再構築となり、会話のスレッド化や投票アンケートの結果、ツイートのピン止め、スパムのフィルタリング、より強力なストリームフィルタリング、検索のクエリ言語などの新機能が加わった。また新たな設計によりTwitterが新しい機能をより早くリリースできるようになり、さらに多くの機能を展開できるようになっている。たとえばこのAPIには、新機能としてリプライを隠すツイートの注釈などが加わった。そして最近ではTwitter自身の開発のペースが速くなり、Twitter Spaces(音声によるツイート)の一般公開や、もうすぐ提供されるSuper Follow(クリエイターとファンのサブスクリプションサービス)など、より多くのプロダクトのローンチが水平線上に見えてきた。

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さらにTwitterのAPIチームは、さまざまなタイプのデベロッパーのニーズを満たすプロダクトの開発に取り組んでいる。たとえば消費者向けアプリのデベロッパーと、企業向けあるいは研究者向けアプリのデベロッパーではニーズが違う。2021年1月にTwitter APIは研究者に公開され、もうすぐさらに多くの機能性が加わることをTwitterは約束している。

関連記事:Twitterが学術研究者向けの新しいAPIプラットフォームを公開

Reshuffleのチームには直ちに、TwitterのAPI加速化努力とデベロッパーツールの開発への参加が求められるだろう。

ReshuffleのCEOであるアヴナー・ブレイバーマン氏には、エンジニアリングと消費者向け技術の両面で20年近い経験があり、スタートアップだけでなくIBMのような大企業でも仕事をしてきた。彼はTwitterのDeveloper Platformのチームに入ることになるが、ReshuffleのCPOであるアミール・シェヴァット氏はこれまで、Twitchのプラットフォーム担当副社長やSlackのデベロッパーリレーションのトップ、Googleの上級デベロッパーリレーションマネージャーなどを務めた人物で、TwitterではDeveloper Platformのシニアメンバーになる。

Twitterの収益事業部とデベロッパープラットフォームのリーダーであるBruce Falck(ブルース・ファルク)氏とSonya Penn(ソーニャ・ペン)氏は、Twitterのブログで次のように述べている。「私たちはReshuffleのチームを仲間に加えることで、投資と意欲を一層強化していく。デベロッパープラットフォームの構築における彼らの体験は、デベロッパーが私たちのプラットフォームに価値を容易かつ迅速に見出すためのツールの構築に寄与し、私たちの仕事を加速し強化するでしょう」。

Reshuffleの既存プロダクトは、この買収の完了から数週間後には閉鎖される。しかしながらチームは、デベロッパーコミュニティ向けのオープンソースプロジェクトのメンテナンスは継続する、とTwitterは注記している。

Reshuffleのプロダクト

Twitterは最近、買収や新規の人材確保に熱心だ。最近のニュースレタープラットフォームRevueの買収はすでに、Twitterのウェブサイトに統合されている日本でも)。他にもTwitterは最近、ソーシャルポッドキャストのBreaker、画面共有のソーシャルアプリSquad、クリエイティブデザインのUeno、そして2020年のストーリー用テンプレートのChroma Labsを買収している。

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Twitterによると、同社はチームの拡大と仕事の加速化のために、今後も人材獲得に努力していくとのこと。なお今回のReshuffle買収の取引の詳細は、公表されていない。

Pitchbookのデータによると、Reshuffleはこれまで635万ドル(約6億9000万円)の資金を調達しており、その主な投資家はCardumen Capital、Cerca Partners、Maverick Ventures、Meron Capital、Dell Technologies Capital、Engineering Capital、そしてLightspeed Venture Partnersとなる。Pitchbookによると、同社の評価額は1185万ドル(約12億9000万円)だった。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Twitter買収API

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

TwitterがiOSアプリのタイムラインで直接YouTubeの動画を視聴できる機能をテスト開始

Twitter(ツイッター)は先日、そのアプリ上における画像の表示の仕方を改善するテストを行っていると発表したが、今度はYouTube(ユーチューブ)の動画についても同様のテストを始めることを明らかにした。Twitterのサポートアカウントに投稿されたツイートによると、同社は米国時間3月18日より、iOS用Twitterアプリのタイムラインから、直接YouTubeの動画を視聴する方法のテストを開始しているという。これによってユーザーは、現在見ているタイムライン上の会話から離れることなく、動画をクリックして再生することが可能になる。

関連記事:Twitterが画像プレビューの改良と写真トリミングの削減をテスト中

この変更が行われる以前には、iOS用TwitterアプリでYouTubeの動画はプレビューが表示されず、リンクをクリックして動画を視聴しなければならなかった。この場合、タイムライン上の会話から一度離れて別の画面に移動して動画を再生するか、もう一度タップしてYouTubeアプリを起動し、視聴することになる。

今回テストが始まった方法では、現在読んでいるタイムラインから目を離すことなく、画面をスクロールして動画を視聴することができる。

みんなに見てもらいたい高解像度の写真をお持ちですか?私たちはAndroidとiOSで4K画像をアップロード・閲覧する方法をテスト中です。

テストに参加されている方は、設定画面の「データ利用の設定」で高画質画像を有効にしてから始めてください。

本日よりiOSでは、Twitterの会話から離れることなく、ホームのタイムラインでYouTubeの動画を直接視聴できる方法をテストしています。

Twitterによると、この機能はまず米国、日本、カナダ、サウジアラビアでテストしてからグローバルに展開していくとのこと。また、現時点ではiOS用アプリのみとなる。すべてのTwitterユーザーがこの機能を利用できるようになる時期については言及していない。

Twitterは2021年3月初め、アプリ上におけるメディア閲覧体験の向上に取り組むことを発表していた。これには写真や動画などの共有と閲覧の両方が含まれる。例えば、先週iOSおよびAndroid用Twitterアプリで開始された画像のプレビューテストでは、タイムライン上で共有された画像がより正確にプレビューできるようになっている。これまでタイムラインに表示される画像は自動的にトリミングされるため、写真の大事な部分が見えないことがよくあった。

関連記事:Twitterが画像プレビューの改良と写真トリミングの削減をテスト中

Twitterは最近、AndroidとiOSの両方で4K画像をアップロードできる機能も発表した。この新機能を利用するには、アプリの「設定とプライバシー」の「データ利用の設定」画面で「高画質画像」の読み込みを有効にする必要がある。

これらの改善は、ユーザーの苛立ちを減らす観点から歓迎すべきことであるだけでなく、Twitterが新たに発表したクリエイターのためのプラットフォームになるという野望にも関連している。同社は近日中に「Super Follow(スーパーフォロー)」と呼ばれるサブスクリプション型の新サービスを導入し、クリエイターがニュースレターなど有料購読者限定のコンテンツをTwitterで公開できるようにするとしており、その中には限定公開の写真や動画も含まれることが予想される。しかし、ウェブ上のさまざまなソーシャルプラットフォームにコンテンツを拡散させていることが多いクリエイターをサポートするためには、Twitterはその写真や動画などのコンテンツを、Twitterアプリ上でシームレスかつネイティブに共有できるようにしなければならない。
Twitterは今後数日から数週間のうちに、この分野でいくつかのアップデートを行う可能性がある。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

「気まぐれな」ツイートを続けるイーロン・マスク氏とそれを監視できないテスラ取締役会を同社株主が提訴

Tesla(テスラ)のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏のツイートが、またしても訴訟の対象となっている。

マスク氏が、米国証券取引委員会(SEC)との間で交わされた和解案に違反する「気まぐれなツイート」を投稿し続けているとして、テスラの投資家の1人がマスク氏とテスラの取締役会を訴えている。この和解案では、同社の取締役会がマスク氏のソーシャルメディア活動を監視しなければならないことになっていた。Bloomberg(ブルームバーグ)が最初に報じたこの訴訟は、マスク氏が規制当局から罰金や罰則を科せられる可能性に会社をさらしており、株価を下落させるおそれがあると主張。取締役会はマスク氏の行動を制御できておらず、会社を危険にさらしていると指摘している。

投資家のChase Gharrity(チェイス・ガリティ)氏によるこの訴訟は、米国時間3月8日にデラウェア州の衡平法裁判所に提出され、3月12日に開示された。コメントを求められたテスラは返答していない。

テスラおよびマスク氏とSECは、先の裁判所命令に違反したとして侮辱罪に問われることなく、マスクCEOに一定の制限範囲内でTwitter(ツイッター)を使える自由を与えることで、2019年4月に合意に達した。この合意により、特定の出来事や財務上のマイルストーンに関する内容を除き、マスク氏は好きなようにツイートすることができるようになった。上記のような内容を含むツイートをする場合、マスク氏は証券弁護士から事前に承認を得なければならないと、マンハッタンの連邦裁判所に提出された契約書にある。

2019年4月の合意は、マスク氏とSECとの数年にわたる法廷闘争の成果だ。両者の戦いは、2018年8月7日にマスク氏が1株420ドル(約4万6000円)でテスラを株非公開化するための「資金を確保した」と述べた悪名高いツイートから始まった。この時、SECはマスク氏が証券詐欺を行ったとする訴状を提出している

マスク氏とテスラは不正行為を認めずにSECと和解した。テスラは2000万ドル(約22億円)の罰金を支払うことに合意し、マスク氏はテスラの会長職を辞任して、少なくとも3年間は復職できないことに同意しなければならなかった。テスラは2人の社外取締役を加えることと、マスク氏のTwitterを含む同社に関する公の場での発言を監視する方法を導入するよう求められた。

関連記事:速報:イーロン・マスク、Tesla会長を辞任――SECと和解、CEOには留まる

この争いが再燃したのは、マスクが2019年2月19日に、テスラがその年に「およそ」50万台を生産するというツイートを投稿し、数時間後に訂正して、年内に年産50万台のペースに達するという意味だということを明らかにした時だ。

今回の訴訟では、マスク氏のツイートが2019年4月の判決に違反し、自身と取締役会の善管注意義務に背いていると主張。105ページに及ぶ訴状は、マスク氏のアカウントから投稿された複数のツイートを挙げており、その中にはSECの判決から1年以上経った2020年5月1日の「Tesla stock is too high IMO.(私の意見を言わせてもらうと、テスラの株価は高すぎると思う)」というツイートも含まれている。

このツイートによってテスラの株価は急落。マスク氏の株価ツイートから30分後に下落幅は12%近くに達した。このツイートは、同日に矢継ぎ早に発信された数多くのツイートの1つで、さまざまなトピックを取り上げたこれらのツイートの中には「人々に自由を返せ」という要求や、米国国歌の一節、詩人Dylan Thomas(ディラン・トマス)からの引用、そして自分の所有物をすべて売り払うという主張などがあった。その後、マスクはウォール・ストリート・ジャーナル紙に電子メールで、ふざけていたわけではなく、自分のツイートは事前に吟味されたものではないと語っている。

12日に明らかにされた訴訟では、テスラの取締役会が「マスク氏に汚染されていないアドバイスを提供できる」法務統括責任者の確保にも失敗したと主張している。2019年には3人の法務統括責任者が同社を離脱しており、訴状ではこれを、マスク氏の「望む結果」と異なる自主的なアドバイスを行える者がいなかったことの証拠として指摘している。

マスク氏の「気まぐれな」行動は、数十億ドル(数千億円)の時価総額の損失を含む「実質的な損害」をテスラに与えたと、訴状は述べている。

この訴訟は「Gharrity v. Musk, Del. Ch., No. 2021-0199」となる。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Teslaイーロン・マスク裁判TwitterSEC

画像クレジット:Yichuan Cao/NurPhoto / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Clubhouse対抗の「Twitter Spaces」が2021年4月一般公開へ、専用ツイートの可能性も

Twitter(ツイッター)は、Clubhouse(クラブハウス)のライバルとなるTwitter Spaces(ツイッタースペース)を2021年4月公開に向けて準備中だ。米国時間3月10日に公開Twitterスペースオーディオルームのコメント欄で同社が発表した。そのスペースのホストであるAlex(アレックス)氏(Twitter名は@akkhosh)は、Twitterは4月中に誰でもTwitter Spacesの自分専用ルームをホストできるようにするつもりだとツイートで語った。

「つまり、もうすぐということ」とTwitter社員は言った。「私たちはそこを目標にしています」。

TechCrunchは直ちにTwitterに連絡を取り、彼の発言の事実確認を行った。1週間前にAndroidのテスター向けに公開したばかりのベータ版(チャットルームへの参加のみ可能)に関するさまざまな会話を踏まえると、アレックス氏の発言はAndroidのベータテスターが4月から自分のスペース(チャットルーム)をホストできるようになる、という意味にもとれる。

関連記事:Twitterの音声ソーシャルネットワーク機能「Spaces」がClubhouseより先にAndroidで利用可能に

それでも、2020年12月に公開テストを始めたばかりのプロダクトとしてはかなり速いペースといえる。

関連記事:Twitterが音声によるソーシャルネットワーク機能「Spaces」のベータテストを開始

しかしTwitterの広報担当者は、アレックス氏の発言は文字どおり受け取って良い、と正式に回答した。

「間違いなくAndroidとiOSの全ユーザー、という意味です。ベータテスターだけではありません」と広報担当者はTechCrunchに伝えた。言い換えると、同社はTwitter Spacesを数週間のうちに一般公開するつもりだ。

現在、Twitterの開発スピードは注目に値する。わずか数カ月の間に、Twitterは独自のオーディオチャットルーム機能の公開テストを開始し、タイトルと説明スケジューリング機能共同ホストとモデレーター参加者リストなどさまざまな要素をすばやくプロダクトに組み込んでいる。次の変更(Androidサポート、共同ホスト、スケジューリング機能など)を発表するときは、何カ月ではなく何週間のうちに公開することを約束していた。

Twitter Spacesセッションではいくつか他のアイデアも話題になった。同社はスペースで音楽を利用することを検討中で、ツイートを統合するもっといい方法についても考えている、と語っている。

前者は、スペースのホストがウェルカムミュージックのようなものをリスナーに聴かせる仕組みを提供するという意味だ。さらに同社はユーザーがスペース内で直接ツイートして、それは公開タイムラインには表示されない、という機能も考えている。実現方法はいくつかある。例えばスペースの中に短期消滅型のチャットルーム(Twitterがかつて提供していたライブビデオアプリのPeriscopeのようなもの)を作れるようにしたり、そのSpace専用のタイムラインを作ることなどが考えられる。後者の開発は複雑になりそうだが。

Twitter Spacesのようなプロダクトを急いで公開することへの懸念はもちろんある。SpacesのライバルであるClubhouseでは、言葉の暴力やこの場を利用して押し売りしたり人や騙そうとする悪人についての通報が相次いでユーザーから寄せられている。

Twitter Spacesがどの程度同様の問題に悩まされるかは、今はまだプロダクトが非公開なのでわからない。しかし、セッションに参加したTwitter Spacesユーザーの1人は、会話を乗っ取ろうとするファングループにスペースがジャックされた話をしていた。この手のハイジャッカーは自身でスペースのセッションを開けるようになれば鎮まるだろうが、組織的にスペースを脱線させようとする行為が出てくることは容易に予想できる。

Twitterは、スペースのテスト開始直後「女性および社会から取り残された経歴の持ち主(「同プラットフォーム上で虐待や危害の著しい影響を受けた」人たちとプロダクトデザイナーは説明している)を最初のテスターにすることで、安全を念頭に開発することに担保すると語った。しかしそれから数週間が過ぎても、Twitter Spacesの反虐待対策やポリシーに関する話題はあまりなく、チームの注意はプロダクトそのものとさまざまな付加機能に向けられている。

アナリストや投資家向けに話をしたときや、インタビューを受けた時でさえ、Twitterの幹部やプロダクト責任者たちは、ツイートすることを恐れている人たちに会話を奨励するために、「なぜ」新しいツール(Stories、Fleets、そして今度のSpaces)を作っているのかを言い繕う傾向が見られた。

事実、多くの人たちが怖がっているのは、Twitterが自社プラットフォームを、ユーザーが嫌がらせや虐待や攻撃を受けない場所にすることにまだ成功していないからだ。

悪用者の責任を追求してユーザーを保護するのに役立つ可能性のある機能の1つは、スペースの会話を録音することだ。以前Twitterは、Spacesの会話を録音する機能を内蔵させるつもりだと語った。録音されていれば、暴言を吐く人は、おそらく減るだろう。それで思慮深い会話が促される可能性はあるが、それでもSpacesを使ってみることを恐れる人たちはいるだろう。

一方、Twitter SpacesやClubhouseの長期的将来性についてはまだ結論が出ていない。パンデミックが収まり世界が再開し、ネットワーキング熱が停滞したとき、この種のプラットフォームの利用は減るのではないかという疑問がある。その意味で、Twitter Spacesには長期的な耐久力があるかもしれない。Twitterのさまざまなプロダクトの結びつきがあり、このプラットフォームをクリエイターが人を集める場にして、いずれは彼らのファン基盤を収益化することを計画しているからだ。

関連記事:Twitterが同社初となる有料クリエイターサブスク機能「スーパーフォロー」発表、サービスの構造が劇的に変わる可能性

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterTwitter Spaces音声ソーシャルネットワーク

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ロシアがTwitterの通信速度を制限、その意図は?

政府が自らコントロールできないオンラインコンテンツに攻撃を加える最新の事例として、ロシアは、Twitter(ツイッター)の通信速度を絞っている。同国のRoskomnadzor(ロスコムナドゾ、通信・情報技術・電子メディア・出版の政策立案および規制監督の総合機関)は、禁止されたコンテンツを削除していないソーシャルメディアに対応する措置を取ったと、現地時間3月10日に発表した。3000以上の違法な投稿が放置されていることを確認したと主張し、サービス全体のブロックを実施する可能性もあると警告している。

しかしながら、ロシアにおけるTwitterの全モバイルとデスクトップユーザーの50%の通信速度を遅くするというこの通信規制当局による行動は、ロスコムナドゾル自身のウェブサイトもしばらくの間、ダウンさせてしまったようだ。

また、ロシア政府のウェブサイトも、kremlin.ruを含め影響を受けたという報告も、ソーシャルメディア上を駆け巡った。

本稿執筆時点では、これらのサイトにはアクセス可能だったが、先程はロスコムナドゾルのサイトにアクセスすることができなかった。

ロスコムナドゾルがブロックしようとしたウェブサイトの代わりに、自分自身をブロックしてしまったことはいうまでもありません(しかし、このツイートから明らかであるように、もちろんTwitterはロシアでオンラインです)。

この件については@CodaStoryに書きましたが、あれからほとんど変わっていないようです。

ディープパケット検査技術でTwitterがブロックされたため、ロシア全体のインターネットの質が低下する可能性があります: https://t.me/itsmymedia/2345

ロシア国家機関とTwitter間の対立は、獄中の野党指導者Alexei Navalny(アレクセイ・ナワリヌイ)氏を支持する反汚職デモ参加者を、ロシアが取り締まろうとした時から始まっている。ナワリヌイ氏は、この数週間、デモ隊に街頭へ出て政権への圧力を強めるよう呼びかけてきた。

ロスコムナドゾルの声明では、政治的な反対意見を検閲するために国家が行っていることについては何も言及しておらず、Twitterの速度を制限したのは、未成年者の自殺、児童ポルノ、薬物使用に関連するコンテンツを削除していないためだと主張。したがって、それは「ロシア市民を保護する」ための行動であるとも主張している。しかし、政治的な反対意見を黙らせようとする言論統制法の厳しい適用は、Putin(プーチン)政権下のロシアでは何も新しいことではない。

ロシアの政権は近年、外国のソーシャルメディアサービスから気に入らないコンテンツを削除しようと何度も試みてきた。時には今回のように、技術的な手段でアクセスを制限しようとすることもある。

最も悪名高いのは2018年、ロシアがメッセージングサービス「Telegram(テレグラム)」へのアクセスをブロックしようとした時のことだ。このブロックが何百万もの(Telegram関連以外の)IPアドレスをダウンさせてしまったため、他のサービスまでも混乱に陥れ、現地のインターネットに大規模な巻き添え被害をもたらした。

2018年にはまた、Facebook(フェイスブック)傘下のInstagram(インスタグラム)が、ロシアからナワリヌイ氏によって投稿されたコンテンツを削除するように要請され、応じたこともあった。このことは現在収監されているナワリヌイ氏のツイートで明らかにされた。

関連記事:ロシアの圧力でコンテンツを削除、Instagramは応じたがYouTubeは見合わせ

ナワリヌイ氏は、2021年2月に執行猶予つきの刑の条件に違反したとロシアが主張したことにより投獄され、現在は獄中にいるが、この著名なプーチン批判者は、彼の公式Twitterアカウントを、汚職を非難するためのメガホンとして使い続けており、2020年自身が毒殺未遂にあったこと(この件はロシアのFSBが関与している)に続き、現在も不正に勾留されていることを訴えている。

ナワリヌイ氏のアカウントから投稿された最近のツイートには、ドイツの新聞社Bild(ビルト)が、ロシア国営メディアであるRussia Today(ロシア・トゥデイ)のドイツ語チャンネル「RT DE」への調査を強めたことなどが含まれている。Bild紙は、ナワリヌイ氏とその仲間を標的にしたドイツ人によるスパイ行為を非難している(当時、ナワリヌイ氏は毒殺未遂事件から回復するため、ベルリンにあるドイツの病院に滞在していた)。

BILDはRT DEがどのようにスパイ活動に利用されたかを伝えています。

この物語には続編があるのでしょうか?いつまでRTはドイツ語の放送局としてライセンスを保持していられるでしょうか?

Twitterのアクセス速度を低下させることは、ロシアがこのプラットフォーム上におけるナワリヌイ氏の批判的な発言にフタをしようとするための1つの方法だ。同氏による最近の投稿には、ロシア市民の税金が2021年の冬、プーチンと彼の取り巻きによって、ヨット、ウイスキー、モルディブの休暇のために使われたと主張する動画のリツイートも含まれている。

ナワリヌイ氏のアカウントはまた、最近数時間の間にツイートしており、ロシア国家が彼を毒殺しようとしたことに続いて、彼を刑務所に入れたことを糾弾し「この状況は殺人未遂と呼ばれるものだ」と言っている。

このような状況は殺人未遂と呼ばれるものです。

ノボシビルスク裁判所のナバルニー氏の入院に関する判決を不服として提訴

本稿執筆時点では、Twitterはロスコムナゾルの措置について、コメントの求めに応じていない。

しかし、2021年2月にインドでも政府に対する抗議運動(この場合は、市場の規制緩和撤回を求める農民によるもの)に関して憂慮すべき事態が発生した。Twitterはインド政府の圧力に屈して、反政府デモに関連したアカウントを含む500のアカウントを停止したのだ。同社また、特定の抗議ハッシュタグの可視性を低下させることにも同意した。

関連記事:Twitterがインド当局のさらなる警告を受け500以上のアカウントを停止

【更新】Twitterから以下の声明が届いた。

当社では、ロシアにおいて、コンテンツ削除の懸念から、Twitterが意図的に広範囲かつ無差別に速度低下の措置を受けているとの報道を認識しています。しかし、ここで明確にしておきたいのは、私たちは児童の性的搾取については、ゼロ・トレランス・ポリシー(一切寛容しない方針)を掲げていることです。自殺や自傷行為を助長したり、美化したり、奨励したりすることはTwitterの規定に違反します。非合法な行為や薬物の売買を含む違法行為のためにTwitterを利用することは認めていません。私たちは、世界中で開かれたインターネットを擁護するために尽力しており、オンラインにおける公共の会話をブロックしたり制限したりする試みが増えていることに深い懸念を抱いています。

関連記事:Twitterがインド政府からの「法的要求」を受け、同地の著名人アカウントを停

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ロシアTwitterSNS

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Twitterが画像プレビューの改良と写真トリミングの削減をテスト中

Twitter(ツイッター)によると、iOSおよびAndroidユーザーの一部を対象に画像を「正確にプレビューできる」ようにするためのテストを実施しているという。現状ユーザーが画像プレビューをクリックせずにスクロールすることが多いタイムライン上では、画像が自動的にトリミングされ、より凝縮されたかたちで表示される。しかし、この方法にはいくつかの問題がある。

最も大きな問題は、画像のどの部分に焦点を当てるかを決めるTwitterのアルゴリズムに、人種的なバイアスが存在することが明らかになったことだ。アルゴリズムは画像のプレビューで黒人よりも白人の顔を優先し、とあるテストでは元大統領の顔を切り取ってしまったこともあった。

関連記事:TwitterとZoomのアルゴリズムに偏見問題が浮上

Twitterの自動画像処理は写真家やアーティストにとっても厄介な問題で、彼らは一般的に画像の表示方法を完全にコントロールすることを好む。画像の切り抜きは写真が注目を集めるか、あるいは完全に無視されるかの分かれ目になる。またTwitterは、とある犬に関するツイートでその画像がクロップされ消えてしまい、物語性のあるツイートが台無しになってしまった例をあげている。

どうやらTwitterは、タイムラインでより多くのフル画像を表示しようとしているようだ。同社のチーフデザインオフィサーであるDantley Davis(ダントリー・デイビス)氏のツイートによると、新しい画像切り取りシステムのテストでは通常のアスペクト比の単一画像のツイートのほとんどがまったく切り取られないことに気づくだろうが、一方で超幅広、または非常に縦長の画像は中央付近でトリミングされるともしている。

Instagram(インスタグラム)では縦長の画像が好まる一方で、Twitterでは横長の画像が好まれるため、その切り替えに手間取っていたフォトグラファーや企業にとっても朗報だ。サンプル画像を見るとわかるように、この変更によってTwitterはより豊かなビジュアルプラットフォームになるかもしれない。複数ツイート分の縦スペースを占める画像のためにスクロール操作が増えるだろうが、画像をクリックする時間でより美しいTwitterのタイムラインを得られるのであれば、それは喜ばしいことだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Twitter

画像クレジット:Twitter

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:塚本直樹 / Twitter

Twitterがカードを利用した新しいオンライン通販機能をテスト中

TwitterはShopifyなどオンライン通販の商品ページにツイートをリンクさせる新しい方法をテストしていることを確認した。実験中の新しいTwitterカードでは商品名、ショップ名、商品価格など商品の詳細に加えてクリックすると購入ページにジャンプする「ショップ」ボタンが表示される。

このテストはソーシャルメディア分野のコンサルタントであるMatt Navarra(マット・ナバラ)氏が発見し、スクリーンショットをツイートした。カタールで活動している同氏はTechCrunchに対し「これをAndroid端末で見た」と述べている。

こうしたツイートは本質的に広告と同様の機能だが、TechchCrunchの取材に対してTwitterは「eコマースに焦点を絞ったオーガニックなプロモーションツイートの実験」だと認めている。

この新しいフォーマットは 最近発表されたスーパーフォローなどTwitterがクリエイター向けプラットフォームになろうとする大きな動きの一環かもしれない。アカウントをスーパーフォローしたユーザーは特別なコンテンツやサポーターバッジ、商品の割引などの特典を得ることができる 。直接ショッピングができるツイート形式によりクリエイターはファンを効果的に商品ページに誘導できるようになるだろう。

関連記事:Twitterが同社初となる有料クリエイターサブスク機能「スーパーフォロー」発表、サービスの構造が劇的に変わる可能性

Twitterは先週のInvestor Dayイベントでeコマースへの今後の注力について簡単に触れたが、具体的な内容は明かさなかった。

Twitterの収益化責任者Bruce Falck(ブルース・ファルク)氏は「Twitterでのeコマースのサポートを強化する方法を検討中です」と述べている

「ユーザーは商品のブランドと会話したり、お気に入りの商品について話すためにTwitterを利用することがよくあります。実際、我々のプラットフォーム上で販売を行うためのクリエイティブな方法を模索している企業もああります」とファルク氏は説明する。

「あるテーマに関する会話をしたいユーザーとリアルタイムのエンゲージメントを統合するTwittetのプラットフォームがいかに大きな可能性を持つか、我々に自信を与えてくれます。ユーザーがブランドのアカウントをフォローしていれば、新しいスキンケア製品や流行りのスニーカーを数回のクリックで簡単に発見し即座に購入できるようになります」とファルク氏はいう。

ただしファルク氏は「Twitterは商業化の可能性を探っている」としながらも「まだ極めて初歩的な段階にある」と投資家に注意を促した。

こここ数カ月通販のソーシャル化が高まってきたこを考えると、この試みはTwitterがeコマースの商品を効率的に発見するチャンネルになるという可能性を示すものとして興味深い。このトレンドはFacebookをはじめInstagram、WhatsAppがいずれもショッピング機能への注力を強めていること、動画でもショッピング体験への注目が高まりっていることなどによっても明らかだ。

関連記事:事業者がFacebookページとInstagramプロフィールから通販が可能に、Shopifyなどとも連携可能に

動画に関しては、製品のデモのライブストリーミング、TikTokのような事前に録画されたショートビデオが特に人気がある。

例えばShopifyは2020年秋、ソーシャルコマースでTikTokと提携した。また、TikTokの米国事業について買収の意向(現在は保留中)をしめしたWalmartは商戦の活発化が期待できる祭日にビデオアプリ上で独自のライブストリーミングによるショッピングイベントを開催した。またここ数カ月、多くのスタートアップがビデオショッピングを事業の柱として資金調達に乗り出している。

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一方、ショートビデオのプラットフォームであるVineをいち早く立ち上げながら閉鎖してしまった(Perisocpeも3月末で終了予定)Twittは、動画への熱意を低下させているのかもしれない。とはいえTwitterは、プラットフォーム上でのショッピングにユーザーの関心を集めるためのツールにこと欠いているわけではない。Twitterには写真、ビデオ、ライブストリーミングをツイートに付加させることができるツールを多数持っている。目立つ「ショップ」ボタンや価格などを含むTwitterカードと組み合わせることで、ツイートをeコマースの活発化に結びつけることができるだろう。

関連記事:動画ライブ配信アプリ「Periscope」の2021年3月末終了をTwitterが発表

商品販売ページに直接ジャンブできるTwitterカードはTwitterのeコマース分野における努力の第一陣なのだろう。

実際Twitter自身、これ以外にもソーシャルコマース分野に多数の野心的計画を持っていると述べている。

「これはオンライン通販ビジネス分野での最初の実験であり、今後も経験を豊富にしていくつもりです」と広報担当者は述べた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Twittereコマース

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:滑川海彦@Facebook