「気まぐれな」ツイートを続けるイーロン・マスク氏とそれを監視できないテスラ取締役会を同社株主が提訴

Tesla(テスラ)のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏のツイートが、またしても訴訟の対象となっている。

マスク氏が、米国証券取引委員会(SEC)との間で交わされた和解案に違反する「気まぐれなツイート」を投稿し続けているとして、テスラの投資家の1人がマスク氏とテスラの取締役会を訴えている。この和解案では、同社の取締役会がマスク氏のソーシャルメディア活動を監視しなければならないことになっていた。Bloomberg(ブルームバーグ)が最初に報じたこの訴訟は、マスク氏が規制当局から罰金や罰則を科せられる可能性に会社をさらしており、株価を下落させるおそれがあると主張。取締役会はマスク氏の行動を制御できておらず、会社を危険にさらしていると指摘している。

投資家のChase Gharrity(チェイス・ガリティ)氏によるこの訴訟は、米国時間3月8日にデラウェア州の衡平法裁判所に提出され、3月12日に開示された。コメントを求められたテスラは返答していない。

テスラおよびマスク氏とSECは、先の裁判所命令に違反したとして侮辱罪に問われることなく、マスクCEOに一定の制限範囲内でTwitter(ツイッター)を使える自由を与えることで、2019年4月に合意に達した。この合意により、特定の出来事や財務上のマイルストーンに関する内容を除き、マスク氏は好きなようにツイートすることができるようになった。上記のような内容を含むツイートをする場合、マスク氏は証券弁護士から事前に承認を得なければならないと、マンハッタンの連邦裁判所に提出された契約書にある。

2019年4月の合意は、マスク氏とSECとの数年にわたる法廷闘争の成果だ。両者の戦いは、2018年8月7日にマスク氏が1株420ドル(約4万6000円)でテスラを株非公開化するための「資金を確保した」と述べた悪名高いツイートから始まった。この時、SECはマスク氏が証券詐欺を行ったとする訴状を提出している

マスク氏とテスラは不正行為を認めずにSECと和解した。テスラは2000万ドル(約22億円)の罰金を支払うことに合意し、マスク氏はテスラの会長職を辞任して、少なくとも3年間は復職できないことに同意しなければならなかった。テスラは2人の社外取締役を加えることと、マスク氏のTwitterを含む同社に関する公の場での発言を監視する方法を導入するよう求められた。

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この争いが再燃したのは、マスクが2019年2月19日に、テスラがその年に「およそ」50万台を生産するというツイートを投稿し、数時間後に訂正して、年内に年産50万台のペースに達するという意味だということを明らかにした時だ。

今回の訴訟では、マスク氏のツイートが2019年4月の判決に違反し、自身と取締役会の善管注意義務に背いていると主張。105ページに及ぶ訴状は、マスク氏のアカウントから投稿された複数のツイートを挙げており、その中にはSECの判決から1年以上経った2020年5月1日の「Tesla stock is too high IMO.(私の意見を言わせてもらうと、テスラの株価は高すぎると思う)」というツイートも含まれている。

このツイートによってテスラの株価は急落。マスク氏の株価ツイートから30分後に下落幅は12%近くに達した。このツイートは、同日に矢継ぎ早に発信された数多くのツイートの1つで、さまざまなトピックを取り上げたこれらのツイートの中には「人々に自由を返せ」という要求や、米国国歌の一節、詩人Dylan Thomas(ディラン・トマス)からの引用、そして自分の所有物をすべて売り払うという主張などがあった。その後、マスクはウォール・ストリート・ジャーナル紙に電子メールで、ふざけていたわけではなく、自分のツイートは事前に吟味されたものではないと語っている。

12日に明らかにされた訴訟では、テスラの取締役会が「マスク氏に汚染されていないアドバイスを提供できる」法務統括責任者の確保にも失敗したと主張している。2019年には3人の法務統括責任者が同社を離脱しており、訴状ではこれを、マスク氏の「望む結果」と異なる自主的なアドバイスを行える者がいなかったことの証拠として指摘している。

マスク氏の「気まぐれな」行動は、数十億ドル(数千億円)の時価総額の損失を含む「実質的な損害」をテスラに与えたと、訴状は述べている。

この訴訟は「Gharrity v. Musk, Del. Ch., No. 2021-0199」となる。

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画像クレジット:Yichuan Cao/NurPhoto / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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