従業員コンディション分析のラフールが12.3億円調達、BtoE・BtoC事業展開を加速

従業員コンディション分析のラフールが12.3億円を調達、BtoE・BtoC事業への展開加速

「心理的安全性」と「エンゲージメント」を可視化する組織診断ツール「ラフールサーベイ」(Android版iOS版)を提供するラフールは12月28日、第三者割当増資による12.3億円の資金調達を発表した。引受先は、i-Lab3号投資事業有限責任組合、 Aslead Capital Pte. Ltd.、AGキャピタルをはじめとしたVC、ゼンリンデータコムなどの事業会社、個人投資家。累計資金調達額は約20億円となった。

調達した資金により、ラフールサーベイのプロダクト開発やセールスマーケティング活動、カスタマーサクセス体制、コーポレート機能をさらに充実させ、中期ビジョンである「BtoE」「BtoC」事業への展開を加速する。

ラフールサーベイは、企業の「健康経営」や従業員の心身の健康状態を可視化可能な、「個人が変われば、組織が変わる」組織診断ツール。約3000社の従業員18万⼈以上のメンタルヘルスデータから、⼤学や臨床⼼理⼠の知⾒を取り⼊れた独⾃の調査項⽬を従来のストレスチェックに加えることにより、多⾓的な分析が行える。組織エンゲージメント・ハラスメントリスク・離職リスクなども含めた包括的な診断が可能。

ラフールは、個人(働く従業員)、管理職、組織、あらゆる角度の意識を変え、寄り添うことではじめて、組織の健全化、良くしていくことができると考えているという。また、通常のストレスチェックだけでは見えづらい心の状態が可視化されることで、社員が安心して働ける職場環境をつくり、人材の定着と組織改善につなげられるとしている。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:新型コロナウイルス(用語)資金調達(用語)メンタルヘルス(用語)ラフールラフールサーベイ日本(国・地域)

新型コロナで需要が高まる技能習得のコンテンツを提供するEdTechのAceableが52億円調達

州公認クラスのためのモバイルエドテックサービスを展開しているオースティン拠点のAceable(エシーブル)は、プライベートエクイティファームのHGGCから再び5000万ドル(約51億7000万円)を調達し、投資家から「お墨付き」を得た。

創業8年になるAceableは運転免許筆記試験の準備サービスとして始まり、今では運転免許と不動産エージェント向けのオンライントレーニングツールとなっている。

AceableがFloodgate CapitalやSilverton Partnersなどの投資家から400万ドル(約4億1000万円)を調達したのは4年前のことだ。

そしていま、銀行口座に5000万ドルを追加し、累計調達額は1億ドル(約103億6000万円)になった。Aceableは提供する認証の数を増やすことを目指していて、特に職能開発にフォーカスしている。

同社は組織的、非組織的に成長する道を今後模索すると話した(これは買収の可能性を検討することもあり得るという、洗練されていない表現だ)。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が発生し、米議会が零細事業者のサポートを十分に提供しなかったために解雇された米国人が新しい仕事を探すのにともなって、「新しい技能の習得」や「技能の向上」は、バズワードになりそうだ。

エドテックはパンデミックの間に利用がかなり増加し、何百万人という米国人が新たなスキルや商売を学んだり、すでに持っているスキルを磨いたりするためにオンラインクラスに目を向けている。

「キャリアを変更したり磨きをかけたりすることで人生の目標に向かって新たな機会を手にすることができます。当社のビジョンは、誰でも好きな職業、しかも給料のいい職業に就けるよう技能や認証を習得可能にすることです」とAceableの創業者でCEOのBlake Garrett(ブレイク・ギャレット)氏は話した。「HGGCは当社の戦略的パートナーであり、長期的な金融パートナーであります。同社は、人生を変えるために誰でもアクセスできるようにしている比類ない教育経験を作り出すという当社のビジョンを受け入れ、実現に向けて加速させています」。

技能の習得や技能の向上に向けられた新たな関心をつかむために、他のスタートアップも何百万ドルもの資金を調達している。Degreedは2020年6月にEdTechマーケットで独自展開するために3200万ドル(約33億1000万円)を調達した。しかし誰がこうした新しいプラットフォームの恩恵を受けるのかについては疑問が残る。

Aceableが他のいくつかのプラットフォームと連携してエグジットしたり、現在マーケットにあるオプションで解決されていないコミュニティにサービスを提供することは可能だ。

Aceableが指摘するように、専門的な職業に就いている4人に1人がライセンスや認証のトレーニングを受ける。そしてこうしたクラスは往々にして、これまでよりも収入が高い職業につながる。

「我々はAceableのミッションとモバイルファーストの教育テクノロジーの開発における長期的な成功を信じています」とHGGCのパートナーであるJohn Block(ジョン・ブロック)氏は述べた。「今回の投資はAceableのチームに対する自信をさらに深めていることを意味し、また人々が教育を続けることでほしい人生を手に入れられるようにしつつAceableが次のレベルへと成長できるようにします」。

Aceableは現在プラットフォームで2200時間分の教育コンテンツを提供していて、36州の1300万人を訓練するのに使われた。同社はCapital Factoryアクセラレータープログラムから始まり、Sageview Capital、Silverton Partners、Floodgate Fund、Next Coast Venture Partners、Wildcat VC、Nextgen Partners、そしてHGGCを含む投資家から資金を調達した。

カテゴリー:EdTech
タグ:Aceable資金調達

画像クレジット:nonchai

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(翻訳:Mizoguchi

自動車修理業者の業務をデジタル化するAutoLeap、顧客との関係性「修復」を支援

自動車修理工場に行くのが好きな人はいないだろう。クルマを預けた後に何が起こるかのか、透明性はほとんどなく、請求書は大抵の場合、読みにくい箇条書きの連続に過ぎない。まるで混沌とした試練のように感じられることがある。

トロントを拠点とするスタートアップ企業のAutoLeap(オートリープ)は、6カ月前に設立されたばかりだが、9月にはひっそりとシードファンディングで500万ドル(約5.2億円)の資金を調達した。このチームは、自動車修理工場をようやく21世紀に持ち込むことで、この崩壊した経験を修復する方法が見つけ出せると考えている。彼らの大きなアイデアは、自動車修理業者が業務を整理し、仕事のスケジュールを立て、部品を注文し、デジタル検査を実施し、透明でシームレスな方法で顧客に請求書を発行するのを支援するというものだ。

自動車修理のプロセスを近代化しようしたのは、彼らが初めてではない。他のスタートアップ企業の中では、シアトルを拠点とする5年前に設立されたWrench(レンチ)が、その目的に向けて既に4000万ドル(41.4億円)の資金を調達(GeekWire記事)している。2年前にLAで創業した自動車修理・整備サービス業のRepairSmith(リペアスミス)は、ダイムラー社から支援を受けている。

だが、世界の自動車修理市場は現在7000億ドル(約72.5兆円)と評価されており、まだ新たな企業とアプローチの参入する余地があることは明らかだ。そしてAutoLeapにはいくつか有利な点がある。

まず第一に、有益なコネクションのある投資家ベースを持っていることが挙げられる。AutoLeapのシードラウンドを主導したThreshold Venturesは、10月に逆さ合併で株式公開(Insurance Journal記事)した自動車販売プラットフォームのShift(シフト)への投資を含め、自動車業界とのつながりを持っている。

他にもMaple VC、Liquid2 Ventures、Global Founders Capital、Codename Venturesなどのベンチャー投資家が投資しているが、AutoLeapはさらに、自動車業界に影響力を持つ何人かの著名人からも支援を受けている。Shiftの共同創業者George Arison(ジョージ・アリソン)氏、元ゼネラルモーターズCEOのRick Wagoner(リック・ワゴナー)氏、元ブリヂストン上級幹部のNed Aguilar(ネッド・アギラール)氏などだ。

さらに重要なのは、AutoLeapの創業者たちが以前にも一緒に、退屈な事業に活気を取り戻すために働いていた経験があるということだ。AutoLeapを立ち上げる前、共同CEOのRameez Ansari(ラミーズ・アンサリ)氏とSteve Lau(スティーブ・ラウ)氏は、スモールビジネスの経営を支援するSaaS企業、FieldEdge(フィールドエッジ)の共同CEOとして4年間を過ごした。

トロント大学で出会った大学時代の友人である2人が、この会社を立ち上げたわけではない。ラウ氏がウォートンで、アンサリ氏がスタンフォードで、それぞれMBAを取得した後、2人はいわゆるサーチファンド(個人投資家から支援を受けたチームが会社を探して買収し、一定期間それを経営した後、売却してさらに多くの利益を得るという仕組み)を利用して放置されていたビジネスを買収し、成長させるために力を合わせた。

それは関係者全員にとって生産的な経験だった。ソフトウェアがすでに30年前から存在していたFieldEdgeを2000万ドル(約20.7億円)で買収した後、ラウ氏とアンサリ氏は同社の製品を劇的に改善したため「この会社が従来の製品で得ていた金額の7倍も請求することができるようになった」とラウ氏は言っている。

その後、彼らは2018年に投資会業のAdvent(アドヴェント)に、会社を「1億ドル(約103.5億円)より多い金額」で売却(Adventリリース)したとラウ氏。

それは堅実な退陣だった。その2000万ドル(約2070億円)の投資を差し引いても、チームはFieldEdgeの売却益のうち30%を得て、残りはサーチファンドの投資家に回った。

それでもラウ氏によると、「資金調達に夢中になった」ライバルのServiceTitan(サービスタイタン)がいなかったら、彼とアンサリ氏は続けていたかもしれないという。7年前に設立された同社は、投資家から合計4億ドル(約414億円)を調達している。

ServiceTitan の膨大な軍資金と「これが私たちにとって最初の退陣になる」ことを考え、「私たちは撤退しました」とラウ氏は語る。

今日では、ラウ氏もアンサリ氏も、このシナリオをAutoLeapで繰り返したくないと考えている。実際、ラウ氏によると、同社はシード資金を確保した今、「頭を下げて」おり、投資家との話し合いは「一切していない」とのことだが、この状況が変わるまでにはそう時間は掛からないと想像する向きもある。

投資家が資金を提供するのは、紙のチラシやぼろぼろになったファックス機や請求書の山をなくすことを目的とした、急成長中のソフトウェアプラットフォームだ。そのためには修理業者にこのソフトウェアを十分に時間を掛けて試すように説得しなければならない。

だが、そうなるのは当然のことだとラウ氏は認めている。「それはオンボーディングに向けた取り組みになります。なぜなら、それが彼らのビジネスの生命線になるからです」とラウ氏は述べた。AutoLeapの販売プロセスでは、修理業者に既存のデータを共有させ、時間を掛けてその使い方を学ぶように説得しなければならない。

その説得力がラウ氏にあることは明らかだ。同氏によると、新規顧客がオンボーディングするまでの期間は1~2週間で、「顧客が価値を見出し始めると、『ああ』という瞬間が訪れる」とのこと。実際、AutoLeapはトロントの数店舗、ラスベガスの1店舗、ボストンの1店舗など、すでにいくつかの業者と提携しているという。

同社の拡大計画について、ラウ氏によると、シード資金の一部はデジタルマーケティングに使われる予定だが、口コミにも大きく依存しているという。修理業者の工場は一部の地理的なエリアに集中していることが多く、これがAutoLeapの迅速な普及を可能にすると彼は考えている。

その仮定を裏付ける「多くのデータ」はありません、とラウ氏は言う。しかし、AutoLeapがこのままやり方を貫けば、普及するまで長い時間は掛からないだろう。

写真はAutoLeapの共同CEOのラミーズ・アンサリ氏(左)とスティーブ・ラウ氏(右)。新型コロナウイルス流行のため、ラウ氏自らフォトショップで合成したものを提供してくれた。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:資金調達、自動車

画像クレジット:AutoLeap

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(翻訳:TechCrunch Japan)

企業のインフラセキュリティを向上させるPerigeeがシードで約1.5億円調達

Perigee(ペリジー)の創業者でCEOのMollie Breen(モリー・ブリーン)氏にとって今年の秋は忙しかった。米国家安全保障局(NSA)の職員だったブリーン氏は9月にTechCrunch DisruptのStartup Battlefieldに参加した。そして同氏は自身にとって初のシードラウンドをサンクスギビングの日にクローズした。これにより会社を興すための150万ドル(約1億5000万円)を手にした。

シードラウンドはOutsiders Fundがリードし、Westport、Contour Venture Partners、BBG Ventures、Innospark Ventures、そして何人かの個人投資家が参加した。

Perigeeは、企業のネットワークと連携しているHVACシステムやエレベーターといった分野を安全なものにしたいと考えている。しかしこれらは往々にしてネットワークセキュリティモニタリングの外に置かれている。ブリーン氏は、同社のバリュー・プロポジションはネットワークセキュリティとオペレーションセキュリティの間の橋渡しをすることだと話す。Perigeeは企業のセキュリティチームが脆弱なエリアについて把握できるようにする一連の分析を提供している。

9月にTechCrunchが開催したStartup BattlefieldでTechCrunchがブリーン氏と話した時、同社のソリューションではネットワークと相互作用するなかでオペレーションシステムから通常の動作を学習し、どのシステムや個人が普段アクセスするのかといったデータを集める、と同氏は説明した。そして何かがオフになったとみられるときや異常行為を遮断するときを判断する。こうした異常な動きはハッカーがネットワークに侵入する前の活動を示している可能性がある。

資金調達する女性の創業者がいかに稀有な存在なのかをブリーン氏は痛感している。今回の資金調達を公表したかったのは、女性にとってまだ難しいものだとしても、やろうと思えばできる起業を考えている他の女性に自身の例を示したかったからだ。

ブリーン氏は今後12カ月で同社を従業員6人の規模に育てる計画だ。多様性のある組織にすることを真剣に考えているとも話す。このことは投資家たちとともに始め、ジェンダーや人種、年齢という点において多様性を検討することを含む。最初の従業員から多様性を取り込んでいくことが重要だと同氏は考えていて、幅広い人材のリクルーティングに積極的に取り組んでいる。

「私は特に採用に関してたくさんの冷たい電子メールを書きます。これは部分的には求人情報では必ずしも多様性に富んだ構成になることを保証できないからです。冷たい電子メールを書くことで、そしてそうした人たちをフォローアップして会話をすることで、私はそれぞれの視点を持つ人と話していることを実際に確認する方法を見つけました」とブリーン氏は話した。

同氏は2021年を見据え、オフィス勤務vsリモート勤務に対する最善のアプローチを検討している。おそらく大半はリモート、一部がオフィスでの勤務になるだろうと話す。「この点に関しては、バランスをとっています。どうやって従業員間のコネクションを築き、関わり合いを強固かつ信頼を伴う正真正銘のものにするか、またリモートという要素とのバランスを取りながらそうしたことをいかに達成するか。それは業界が今後向かう方向であり、ポスト2020年に会社を経営するなら、おそらくリモートワークの要素をある程度受け入れる必要があるでしょう」とブリーン氏は述べた。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:資金調達

画像クレジット: owngarden / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

ライドシェアから食品の配達まで、Boltが欧州やアフリカでの事業拡大に向け190億円調達

欧州全域で新型コロナウイルス感染の大規模な第二波が広がる中、食品や人々を自動車やスクーター、そして最近では自転車で移動させるオンデマンドネットワークを構築しているエストニアのスタートアップ企業が、資金調達の大規模なラウンドを発表した。

ライドシェアから食品の配達まで、交通サービスを40カ国200都市で展開しているBolt(ボルト)は、エクイティラウンドで1億5000万ユーロ(約190億円)の資金を調達した。同社CEO兼共同創業者のMarkus Villig(マーカス・ヴィリグ)氏は、この資金が事業地域の倍増と、欧州で最大の電動スクータープロバイダになるために使われるとインタビューで語っている。

現在は約5000万人の顧客がBoltのサービスを利用しており、ヴィリグ氏は世界各地のUber(ウーバー)との差別化を図るために、主に2つの分野を中心に事業を構築してきた。1つは強力な資本効率、同氏がいうところの「倹約」。そしてもう1つは、ロンドンやパリ、そして近々事業が開始されるベルリンなどの都市とともに、新興市場向けのサービスに重点を置いていることだ。

「今回のラウンドは、新型コロナウイルスの圧力にもかかわらず、まだ前回のラウンドで調達した資金のほとんどが銀行に残っている状態で初めて行った資金調達でした」と、ヴィリグ氏は語っている。「これは当社の倹約家ぶりを示しています。ロックダウンのため、我々は望んでいたほど攻めることはできませんでしたが、財務的には2021年に向けて非常に良い状態になっています」。

今回のラウンドはD1 Capital Partnersが主導し、Darsana Capital Partnersも参加した。D1は2020年になってから、超大手スタートアップ企業の成長ラウンドで大きな活躍を見せている。メガネ大手のWarby Parker(ワービー・パーカー)、ゲームエンジンメーカーのUnity(ユニティ)、自動車販売ポータルのCazoo(カズー)、フィンテック企業のTransferWise(トランスファーワイズ)などに投資しており、その評価額は合計で数十億ドル(数千億円)に達している。

ヴィリグ氏はBoltの評価額を明らかにしなかったが、GMV(総流通額、Boltのプラットフォーム上で取引された総額)の1.5倍の倍数に近いと述べ、GMVの0.5倍に近い評価額と見られる「他の」輸送分野の企業よりも、最近上場したDoorDash(ドアダッシュ)に近いと語った。

彼はまた、Boltが現在、年間約20億ユーロ(約2530億円)のGMVを上げていることを認めた。彼のほのめかした計算によれば、評価額は35億ユーロ(約4420億円)程度ということになる。私が上げたこの数字に対し、ヴィリグ氏はコメントしなかったが、異を唱えることもなかった。

参考までに挙げると、2020年の5月にBoltは1億ドル(約104億円)あまりの資金を調達した後、19億ドル(約1970億円)と評価された。当時は3000万人のユーザーを抱えていると言っていたので、約半年で2000万人のユーザーを加えたことになる。

同社の成長は、Uberのように短期間で積極的に、そしてその結果として、非常に多くのコストをかけて、事業を構築してきた企業と比べると対照的で興味深い。Uberは複数の市場や製品分野で成長を遂げてきたが、最近ではその中のいくつかが売却されている。他の例としてはこれこれこれをご覧いただきたい。

当初はTaxify(タクシファイ)として設立されたこの企業は、比較的規制が緩い新興市場で数年間、配車送迎サービスを中心としたビジネスをゆっくりと成長させてきた。2019年にBoltと社名やサービス名を変更した同社は、ロンドンのような都市での事業開始や、主に電動スクーターを中心としたマイクロモビリティへの移行など、その戦略をより高いギアへと蹴り上げた。現在、同社にとって最大の市場となっている国名のリストには、それらのミックスが反映されている。ヴィリグ氏によれば、それは英国、フランス、南アフリカ、ナイジェリアであるという。

とはいえ、その積極的すぎる動きがすべて順調に進んだわけではない。最初の起ち上げに失敗したロンドン(Wired記事)は、ライセンスを取得するために抜け道を利用しようとしたら規制当局が早急に対応し、会社はすぐに焦げついてしまった。そしてこのことは、ヴィリグ氏にとって今後も肝に銘じるべき教訓となった可能性もある。

このような事業の変化があっても、新たな投資や成長の方法を検討する際に、ヴィリグ氏が目指していることは、変わらぬ質素な精神で会社を運営し続けることだと、同氏は語っている。そしてこれはBoltがスクーターの新型モデル(Boltブログ)を発表、炭素削減に取り組む(Boltブログ)というニュースに、潜在的に異なる役割を与えることになる。

彼は、特にユーザー数と使用量の大幅な減少が見られた大企業では、非常に多くの雇用が失われた年に、Boltは誰も解雇していないことを指摘した。

それは確かに興味深い。多くの企業が「ジグ」を選択するとき、どの企業がどのように「ザグ」を選択するのだろうか。

フードデリバリー事業はその一例である。UberがPostmates(ポストメイツ)を買収したり、Just Eat Takeaway(それ自体が大きな合併)がGrubhub(グラブハブ)を買収したりと、この業界では現在多くの統合が進行中だ。それと並行して、規模を拡大しようとするとあまりにもコストがかかることを発見した多くの小さな企業が、次々と撤退している。そのような状況の中で、Boltは16カ国33都市でBolt Foodsを展開しており、2021年にはさらに多くの都市での展開を計画している。

「ほとんどの人が気づいていないのですが、食品の分野は私たちが最も楽観視しているところです」とヴィリグ氏はいう。「現在、私たちは毎日のようにレストランを追加しています。ドライバーが乗客だけでなく食べ物を運ぶという供給側を含め、多くの面でコストの相乗効果があります。これまでは自動車をベースにしたサービスだったため、自動車運転免許を持たない人はお断りしなければなりませんでしたが、今では自動車運転免許を持っていない人にも、スクーターや自転車で商品を運ぶ仕事を提供できるようになりました。今までできなかったことを、提供できるようになる。それが意味するものは、ドライバーを見つけるためにお金を使う必要がないということです」。

ヴィリグ氏によれば、2019年以降でさえも、Boltは食品業界に参入して「ラッキー」だったという。すでに人気のあったレストランにも、ウイルスの流行による新たな波が押し寄せ、店内で食事する客が全体に減少したり、閉鎖を余儀なくされているからだ。「彼らはみんな、副収入を得ることに熱心で、新しいプラットフォームを試してみたいと思っていました」とヴィリグ氏はいう。

濁っていたり厳しいように見える市場でも、先を見通そうとするその意欲こそが、今回の投資家を呼び寄せたのだ。ヴィリグ氏は、すでに多くの投資家と話をしていたので、2021年に備えてラウンドを閉じることは理に適っていたと述べている。

D1 Capitalの創設者Dan Sundheim(ダン・サンドハイム)氏は声明の中で次のように述べている。「欧州とアフリカで市場をリードするモビリティ・プラットフォームを構築し続けているBoltとパートナーを組むことに興奮しています。チームは困難な1年の間に信じられないほどの成果を上げ、何百万人ものユーザーに安全性、柔軟性、そして優れた価値を提供し続けています。我々は新型コロナウイルス流行後のBoltの成長機会を楽観視しており、今後数年間にわたるイノベーションへの投資としてチームをサポートすることを楽しみにしています」。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Bolt資金調達ライドシェアフードデリバリー

画像クレジット:Bolt

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(翻訳:TechCrunch Japan)

ランナー向けSNSアプリを中心にメディア/ECサービスを運営するラントリップが6000万円を調達

ランナー向けSNSアプリを中心にメディア/ECサービスを運営するラントリップが6000万円を調達

ランナー向けSNS「Runtrip」(ラントリップ。Android版iOS版)を中心にメディア「Runtrip Magazine」/ECサービス「Runtrip Store」を展開するラントリップは12月25日、第三者割当増資による6000万円の資金調達を発表した。引受先はFFGベンチャービジネスパートナーズ、元ラグビー日本代表キャプテンの廣瀬俊朗氏(HiRAKU)、および既存投資家。累計調達総額は約2億円となった。調達した資金は、サービスのさらなるユーザー体験向上のための機能開発や、事業規模の拡大に向けた人材採用に活用していく。

コロナ禍において、世界中で「健康維持」や「リフレッシュ」などを目的にランニングを始める人が増加。これまで以上に「ココロ」と「カラダ」の健康に対する世の中の意識が向上し、ランニングをはじめスポーツの価値が改めて見直された1年となった。

一方ラントリップによると、ランニングは手軽に始められる反面「継続することが難しい」といった課題を抱えているという。同社はこうした課題を解決し、ひとりでも多くのランナーが楽しく走り続けられるよう「もっと自由に、楽しく走れる世界へ。」というビジョンを掲げてサービスを展開してきた。

2020年は多くのマラソン大会やイベントの中止が相次ぎ、オンライン上でランニングのモチベーションを維持するニーズが増加したことから、同社ランナー専用SNSアプリ「ラントリップ」では、ユーザーがお互いの走行履歴を賞賛する「Nice Run!」が毎月160万回以上送り合われた。また、新規ユーザーの約4割がアプリダウンロード後に運動頻度が向上しているそうだ。

10月提供開始の「オンラインランニングイベント」では、累計約2万9000人が参加する国内最大規模のイベントへと成長。同社ブランドを中心に取り扱うECサイト「Runtrip Store」ではコロナ前の平均売上げの26倍以上の規模に急拡大し、アパレルの観点からもランナーのモチベーション向上に寄与しているとした。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:資金調達(用語)新型コロナウイルス(用語)スポーツ(用語)フィットネス / エクササイズ(用語)ラントリップ日本(国・地域)

旅先地域の困りごとを手伝い報酬・寝床・食事を獲得できるマッチングサービス「おてつたび」が資金調達

旅先地域の困りごとを手伝い報酬・寝床・食事を獲得できるマッチングサービス「おてつたび」が資金調達

マッチングプラットフォーム「おてつたび」を運営するおてつたびは12月25日、プレシリーズAにおいて、第三者割当増資による資金調達を発表した。引受先は、リードインベスターのNOW(Founder Foundry 1号投資事業有限責任組合)、栖峰投資ワークス(イノベーションディスカバリー1号投資事業有限責任組合)、地域創生ソリューション(ALL-JAPAN観光立国ファンド投資事業有限責任組合)、kemuri ventures(食の未来1号投資事業有限責任組合)、第一勧業信用組合、フューチャーベンチャーキャピタル(かんしん未来第2号投資事業有限責任組合)、小林俊仁氏。

おてつたびは、旅先における地域の困りごと(人手不足など)をお手伝いすればするほど旅費がリーズナブルになるというサービス。調達した資金により、今後のWITH/AFTERコロナを見据えサービスの拡大および機能追加を積極的に行う。

旅先地域の困りごとを手伝い報酬・寝床・食事を獲得できるマッチングサービス「おてつたび」が資金調達

おてつたびは、日本各地の素敵な地域へ行く人が増えてほしいという想いから生まれたサービスであり、収穫時の農家やハイシーズン時の宿泊施設はじめ地域の人手不足などの困りごとをお手伝いする事で報酬を得ながら旅行をすることが可能になるという。

行きたかった地域に旅行する際ボトルネックになりがちな旅費を軽減できることを特徴としており、旅行者が自分のスキルや得意分野を活かせるとしている。

また、お手伝いを通じて地域の方と関係性を作り、再び同じ地域へ訪れる旅行者も全体の6割と非常に高くなっており、関係人口拡大の一助を担っているという。引き続き人手不足を人と人との出逢いに変え、地域の関係人口(ファン)創りに努めるとしている。

「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のことを指す(総務省「関係人口ポータルサイト」)。

旅先地域の困りごとを手伝い報酬・寝床・食事を獲得できるマッチングサービス「おてつたび」が資金調達

おてつたびは、「日本各地にある本当にいい人、いいもの、いい地域がしっかり評価される世界を創る」をビジョンに「誰かにとっての”特別な地域”を創出する」をミッションに立ち上げたHR×トラベルテックのスタートアップ企業。現在、おてつたびに登録する旅行者は広告宣伝費を一切かけずに口コミ中心に拡大しており、受入先である農家や旅館といった地域の事業者も全国の自治体や農協、ANAや小田急電鉄、JTBなどの大手企業と連携しながら44道府県まで拡大した。

新型コロナウィルスの影響を受け、短期的には地域へ移動がしにくい状況が続いたものの、東京は4ヵ月連続で転出者が多い転出超過年になっており、地域への注目度は今後益々拡がっていくと考えているとした。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:おてつたび資金調達(用語)マッチングサービス日本(国・地域)

企業がデータウェアハウスからより多くの価値を引き出せるよう支援するHightouchが2.2億円調達

Hightouchは、企業内のさまざまな営業やマーケティングのツール全体に対して顧客データを同期するSaaSのサービスだ。このほど同社は、ステルス状態を脱して210万ドル(約2億2000万円)のシードラウンドを発表した。このラウンドをリードしたのはAfore CapitalSlack Fundで、これに多くのエンジェル投資家が参加した。

HightouchはY Combinatorの2019年夏季に参加し、今多くの企業が直面している顧客データの統合という問題の解決を目指している。

Hightouchの共同創業者であるTejas Manohar(テハス・マノハール)氏とJosh Curl(ジョシュ・カール)氏は、Segmentにいたとき、SnowflakeやGoogleのBigQuery、そしてAmazon(アマゾン)のRedshiftなど、データウェアハウスの成長を目にしてきた。顧客データのハブでもあるSegmentのデータも結局そこへ収まるのだ。企業がデータウェアハウスを採用すると、そこにはすべての顧客データが集まる中心的なリポジトリがある。しかし通常、その情報は分析のために使われるだけだ。そこでHightouchのチームは、Bessemer Venturesの投資家だったKashish Gupta(カシシュ・グプタ)氏とともに、データウェアハウスというトレンドにイノベーションを持ち込み、企業がそのすべての情報を活用できるようにしたい、と考えた。

HighTouchの共同創業者であるカシシュ・グプタ氏、ジョシュ・カール氏、テハス・マノハール氏

「データウェアハウスにはすべての顧客データがあるけど、それを分析目的だけに使っているのはあまり意味がない。たとえば企業にはさまざまな事業チームがあるのに、各チームがデータを有効利用していない。データは、マーケティングキャンペーンや製品の個人化にも活かせるはずだ。Hightouchは、そこに着目した。それは、データウェアハウスの爆発的な成長を見て、技術の進歩やアクセシビリティ、それに採用の面から着想したことだ。私たちの目標は、ウェアハウスが分析のためだけでなく、企業経営の多様なユースケースに奉仕できるようにすることだ」とマノハール氏はいう。

ビッグデータのデータウェアハウスプラットホームのすべてが、標準のクエリ言語としてSQLを使っていることが幸いした。それにウェアハウスのサービスはすでに、多様なデータの取り込みという問題を解決している。そこでHightouchは、テクノロジースタックのこの部分で苦労する必要がない。また、カール氏によると、Snowflakeやその競合企業はどこも、分析というユースケースを超えるものを提供していない。

画像クレジット:Hightouch

プロダクトとしてのHightouchは、ユーザーにSQLのクエリを作らせ、そのデータをさまざまなデスティネーションに送る。それはSalesforceのようなCRMシステムかもしれないし、あるいはMarketoのようなマーケティングのプラットホームかもしれない。クエリとデータは、事前にデスティネーションが期待する形式に変換される。

SQLクエリの名人がいる企業も少なくないが、Hightouchは一般社員がクエリを作れるために、GUIを提供している。そして中心的なユーザーはデータ担当チームであるため、彼らもクエリの結果をGUIで見て仕事をはかどらせたい。「ウェアハウスで使われているデータのモデルや集積構造がなんであっても、一般のビジネスユーザーがそれに十分アクセスできるようにしたい」とグプタ氏は説明する。

データがどのように利用されるかに関してはHightouch自身は関知しないが、現在、最も多いのはB2C企業だ。そこではマーケティングのチームがデータを利用することが多く、またB2B企業の営業も顧客データをよく利用する。

画像クレジット:Hightouch

「データウェアハウスの上にネイティブに構築されるツーリングという、新しいカテゴリーが生まれてきたと感じている。これまでは標準的なSaaSツールがまずあって、独自のデータストアがあり、ユースケースに応じて二次的なデータストアを管理していた。しかし我々が作ろうとしているのは、データウェアハウスに接続して、そのデータをさまざまな経営目的に利用するソフトウェアカテゴリーだ。それにはまだ正式の名前がないが、データエンジニアリングが向かう未来の方向性はそれだと信じている。SnowflakeやBigQueryのような今ある中央集権的なプラットホームに対して、構築されるものだ」とカール氏はいう。

またマノハール氏によると、新カテゴリーの名前は「ウェアハウスネイティブ」がいいのではないか、という。それが定着するか、見守ろう。

HightouchはY Combinatorのデモデーに参加した後に資金を調達したが、そのことはまともなプロダクトと市場適性を確立してから公表しようという話になった。現在の顧客はRetool、Proof、Stream、Abacusなどだ。そのほかの大企業も多いが、名前は公表できない。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:HightouchSaaS資金調達データウェアハウス

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

顧客に合わせたウェブページを作成しリモートセールスをスムーズにするWalnutが3.6億円調達

パンデミックによりリモートの販売が増加している中で、「営業チームのためのWix」を自称するWalnutが、Ron Conway(ロン・コンウェイ)氏とTopher Conway(トファー・コンウェイ)氏のSV Angel、およびロン・コンウェイ氏と元a16zのパートナーたちによるA.Capitalから350万ドル(約3億6000万円)を調達した。これで同社の調達総額は600万ドル(約6億2000万円)になる。そのほかの投資家はNFX、Joe Montana(ジョー・モンタナ)氏、WixのCEOであるImmad Akhund(イマド・アクフンド)氏そしてKenny Stone(ケニー・ストーン)氏だ。

Walnutは営業とバックエンドチームの間の摩擦と、商談に結びつかない営業のデモという問題を解決する。営業は自分が売ろうとしている製品のダッシュボードにログインし、Walnutを使ってページと機能を選ぶ。それらはバックエンドからはアクセスできず、Walnutのクラウド上でフロントエンドとして現れる。そしてそれを、特定のクライアントにマッチするようエディットする。ウェブページの作成に似ているが、これセールスの売り込みだ。

現在、VaronisやAdobeなどが同サービスのエンタープライズの顧客となる。営業ツールとしてはGong.ioと競合するが、Walnutはテクノロジーを利用してフロントエンドとバックエンドを切り離すので進捗を助けると期待している。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Walnut資金調達

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オムニチャネル小売ソフトウェアのBrightpearlが業務拡大で34億円調達

小売業者が売上アップを図るために業務を合理化することができるようサポートするオムニチャネル小売ソフトウェアBrightpearl(ブライトパール)が業務拡大のために3300万ドル(約34億円)を調達した。このシリーズCラウンドはSageがリードし、Brightpearlに2300万ドル(約24億円)を投資した。既存投資家のCipio Partners、Notion Capital、そしてVerdaneも参加し、計1000万ドル(約10億円)を投じた。

英国ブリストル拠点のスタートアップBrightpearlは財務管理、CRM、フルフィルメント、在庫・受注管理、購買・サプライヤー管理、倉庫管理、ロジスティックのためのプラットフォームを展開している。

Sageは今回、Brightpearlに役員1人を送り込んだ。声明文の中で同社は以下のように述べている。「SageとBrightpearlはともに、小売とeコマースの顧客がクラウドファイナンスや小売管理ソリューションのベスト・オブ・ブリード(最適なものの組み合わせのこと)を最大限活用できるようにしてデジタル化をサポートします。Brightpearlとの提携は、Sageの高成長中のクラウドベースのソフトウェアアプリケーションに補完的に投資するための広範な戦略に合ったものです」。BrightpearlはShopify、eBay、Amazon(アマゾン)とも提携している。

BrightpearlのCEOであるDerek O’Carroll(デレック・オキャロール)氏は以下のような声明文を出した。「小売業の顧客を一層サポートし、SageとBrightpearlが英国と米国で持つ強固な基盤をさらに確固たるものにするために、Sageと新たな提携を結ぶことをうれしく思います。Brightpearlのソリューションは、小売プロセスを自動化することで大きなメリットをもたらし、世界中の業者は時間を節約し、実に優れた、そして迅速なエンド・トゥー・エンドの顧客エクスペリエンスを提供することができます」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Brightpearl資金調達

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(翻訳:Mizoguchi

自分だけのAIライフパートナーと対話できる「PATONA」アプリのCapexが総額1億円を調達

自分だけのAIライフパートナーと対話できる「PATONA」アプリのCapexが総額1億円を調達

Capexは12月24日、第三者割当増資および融資による合計1億円の資金調達を2020年7月までに発表した。引受先は東京大学エッジキャピタル(UTEC)。借入先は日本政策金融公庫。調達した資金をもとに人材採用、プロダクト開発、および自然言語処理を活用した対話エンジンの研究開発を行っていく。

また、ライフパートナーアプリ「PATONA」の提供開始を明らかにした。iOS版のみ公開しており、Android版もリリース予定。

自分だけのAIライフパートナーと対話できる「PATONA」アプリのCapexが総額1億円を調達

PATONAは、自分だけのライフパートナーAI「パトナ」を提供するスマホアプリ。パトナは話せば話すほどユーザーについて学び、どんどんユーザーに合った存在になっていくという。どんな時でもそばにいて、いつでもどこでもユーザーを支えるとしている。

PATONAの主な機能は、AI対話機能、着せ替え機能、コース機能の3点。AI対話機能では、話せば話すほどユーザーについて学び、最適な対話を行う。着せ替え機能は、ユーザーの好みにパトナの見た目を変更できるというもの。コース機能では、メンタルヘルスや日常生活に役立つオリジナルコンテンツを提供する。

自分だけのAIライフパートナーと対話できる「PATONA」アプリのCapexが総額1億円を調達

コロナ禍によりコミュニケーションが減少やメンタルヘルスの課題が浮き彫りになる中、Capexは、ユーザーの方々がより安心した日常生活を送れるよう、ユーザーの気持ちに寄り添い、支えることができる存在の実現を目指しPATONAの開発・提供を行っている。引き続き、対話体験の向上および、機能・コンテンツを拡充し、ユーザーの方々の生活に役立てるよう開発していくとしている。

UTECは、「Science/Technologyを軸に、資本・人材・英知を還流させ、世界・人類の課題を解決するためのフロンティアを開拓する」というミッションを掲げるベンチャーキャピタル。東京大学が承認する「技術移転関連事業者」として、スタートアップ企業を通じ大学の「知」を社会に還元すべく、優れた知的財産・人材を活用するスタートアップ企業に対して投資を行う。

2019年設立のCapexは、「人とシステムの共生を実現、普及し、人類の機能を拡張する。」というビジョンのもとパートナーAIアプリ「PATONA」の企画開発を行うスタートアップ。独自のAI対話エンジンおよびキャラクター構築基盤を有しており、引き続き人とシステムの共生を実現、普及するためのプロダクト開発を推進している。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Capex資金調達(用語)新型コロナウイルス(用語)PATONAメンタルヘルス(用語)日本(国・地域)

フラッシュカード方式で日本語他9カ国語の言語学習を助けるFluent Foreverが5.1億円を調達

オンライン言語学習システムのFluent ForeverはデンバーのベンチャーキャピタルであるStout StreetCapitalがリードしたラウンドで490万ドル(約5億1000万円)の資金を調達した。このスタートアップは新しい学習システムを開発して短期間で効率的に新しい外国語をマスターできるようにすることを狙っている。このラウンドにはThe Syndicate、LAUNCH、Mana Ventures、Noveus VC、Flight.VC、Insta VC、UpVentures、Firebrand Ventures、Cultivation Capital、Spero Ventures、LoftyVenturesが参加している。

Fluent ForeverのライバルにはDuolingoやBabbelを始めとして多数のオンライン言語学習サービスがある。Fluentが主張する特長はユーザーごとにカスタマイズされたリスニングのトレーニングが提供されることだ。またビジュアル、間隔反復法的な反復によって単語やフレーズを覚えるのを助ける。Fluentは有料サブスクリプション(14日間の無料トライアルがある)で、料金は月額10ドル(約1040円)からとなっている。長期契約すれば割引が適用される。

ファウンダーでCEOのGabriel Wyner(ガブリエル・ワイナー)氏は、語学学習のために広く利用されているフラッシュカード式暗記アプリのAnkiを使い、このアプローチによる言語学習法について本を書いた。またAnkiシステムを利用した言語学習のワークショップも開催した。しかしワイナー氏が指摘するとおり、Ankiは高度なツールであり、利用方法を学ぶためだけでも相当の時間とエネルギーが必要だ。

画像クレジット:Fluent Forever

ワイナー氏は取材に対して「大勢の人々が言語学習に失敗しています。そしてまず『うん、やり方がまずかったんだ。オーケー、ではこのオンライン学習ならどうだろう?』と考える。そしてもっと効果的にできそうなツールを発見して興奮する。ところがまた失敗するのです。その理由はテクノロジー上の問題です。そんなことで学習者がまた失敗するのを見るのは非常にいらだたしい」と述べた。

Fluent Foreverは全体的にワイナー氏のフラッシュカード方式を利用する。学習用フラッシュカードデッキをユーザーが自分の作成する。これが学習システムの中核であり、作成されたデッキはユーザーのニーズに適合した使いやすいアプリケーションとなる。

「ユーザーが望むのはボタンを1つ押すだけで学習できるツールでしょう。しかしそういう近道はありません。これに対しては断固としていわねばならない。声を大にしますが、答えはノーです。絶対にない。適切なツールはユーザー自身が構築しなければならないのです。これが私が一番強調したい点です」とワイナー氏は述べている。

ワイナー氏は言語学習に対する自分のアプローチをDuolingoと比較して「(母国語の単語と対照させる)2言語翻訳的な手法は、長期的には実際に使える言語スキルを生みません」と主張する。Duolingoのユーザー体験、ゲーム化等々の出来栄えはFluentよりもはるかに優れていることを認めるが、Fluentのシステムのほうが学習者ははるかに良い結果を得る確信している。

画像クレジット:Fluent Forever

「我々は ユーザーに『Fluentを使う理由は何ですか Duolingoなら無料なのになぜFluentにお金を払うのですか?』と尋ねることがあります。すると『このサービスはあちこち荒削りだ。いろいろ修正してほしい部分がある。しかしFluentのおかでたった2週間でスペイン語で考えることができるようになった』という答えが返ってくるのです。Fluent Foreverは現在、日本語、フランス語、ロシア語、スペイン語(メキシコ、スペイン)、イタリア語、韓国語、ドイツ語、ブラジル・ポルトガル語の9言語をサポートしています。現在、チームが取り組んでいるのはオランダ語です」とワイナー氏。

ワイナー氏が語ったところではFluentは2019年に資金調達に苦しんだ。当時Fluentの規模が横ばいだったことも一因だった。「残念ながら投資家は言語学習に非常に懐疑的です。いわゆる『セクシー』な分野ではない。言語学習サービスは好かれていません。その上、市場を支配しているように見えるDuolingoがライバルになるというのでは魅力的な投資対象ではありませんでした」という。しかし2020年に入ると新型コロナウイルス(COVID-19)によるリモートワーク化の進展以前に成長が回復し始めた。同時にFluent Foreverは著名なエンジェル投資家であるJason Calacanis(ジェイソン・カラカニス)氏のLaunch Acceleratorに参加した。

ワイナー氏のビジョンは、Fluent Foreverが言語を教える講師をライブでシステムに登場させることだった。オンライン上のライブ個別指導は以前から行われており、Preplyのようにこれに特化している会社もある。しかしFluentが目指していたのはオンライン言語学習サービスに短いライブセッションを組み込みんで、ある種のコンポーネントを作成することだった。間隔伸張反復法の手法により、ユーザーは一定時間後にまたそのセッションに戻ることができる。ライブサービスを利用するのは原則として有料のサブスクリプションユーザーであり、ライブ指導の時間を使用してそれぞれのニーズに合わせた独自の文章を作ることができる。Fluentのシステムは、この文章を多くのユーザーが共有できるコンテンツにすることができるわけだ。これがFluentの手法の大きな利点の1つだという。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Fluent Foreverm言語学習資金調達

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ソーシャルな株式取引サービスのPublicがシリーズCで6500万ドルを調達

ソーシャルに特化した無料株式取引サービス、Public(パブリック)がシリーズCで6500万ドル(約67億円)を調達した。これは同社がシリーズBで1500万ドル(約15億4000万円)を調達してからわずか1年足らずのことである。

今年連続してラウンドを調達したのは同スタートアップだけではなく、Welcome(ウェルカム)やSkyflow(スカイフロー)などもこの偉業を成し遂げている。将来性のあるスタートアップに賭けるという投資家の最近の傾向が、PublicのシリーズCを実現させたのだろう。

パンデミック初期の数ヶ月間は動きがなかったものの、その後ベンチャーキャピタリストやその他の投資家は後期段階のスタートアップに小切手を切るペースを加速させている。PublicのシリーズCはこの傾向を代表するもので、これまでの同社の総資金調達額の72%強を占めている。

また、投資先企業の次のラウンドを既存投資家が先取りするという、ベンチャー界のもう一つのトレンドをPublicの今回のラウンドが例証している。このケースでは、Accel(アクセル)が新規投資を主導しているが、同社はPublicのシリーズAおよびシリーズBラウンドも主導している。

しかしトレンドだけでラウンドは調達できない。そこでTechCrunchはPublicを共同で創設したJannick Malling(ジャニック・マリング)氏とLeif Abraham(リーフ・エイブラハム)氏に電話で話す機会をもらい、投資家らがフィンテックスタートアップに何を見出しているのかについて話を伺った。

成長

同社は2020年、急成長を遂げており、年初から10倍数でユーザー数を拡大してきた。

エイブラハム氏によると同社の成長には一貫性があり、毎月約30%のペースで拡大を続けている。同氏はまたPublicのユーザーのほとんどがそのサービスを有機的に見つけていることを強調しており、同社のマーケティングコストはさほど高額なものではく、成長が人為的に押し上げられたものではないことを伝えている。

ユーザー数の成長がさらなる資金調達を可能にしたのは分かったが、なぜユーザー数が成長したのか。

創業者の2人は、前ラウンドからの資金はまだ十分に銀行に残っていたが、今回の資金調達は同社のモデルを強化するための手段として考えていたとTechCrunchに語っている。

Publicの競合他社の多くもゼロコスト取引を謳っているが、同社のモデルはソーシャルに焦点を当てたものだ(例えばTechCrunchはPublicのソーシャルプラットフォームの要素をこの記事で取り上げている)。より多くの人がPublicを利用すればするほど、Publicが優れたものになっていくというのが創業者2人の考えだ。

したがって同社は新たな資本を使い、安定性を保ちつつも製品に投資を続けていくというわけだ。

このダイナミックな自己強化型モデルの仕組みは次の通りだ。同社は投資家が無料で取引について話し合い実行できる場を提供する。こういった投資家が同社のことを友人に伝えると、その友人らも後に会話に参加するようになる。これらの会話は新たな参加者によってより豊かなものとなり、そのプロセスは延々と繰り返される。ちなみにPublicは有価証券を扱っているので、荒らしを制限するために登録したユーザーだけが参加できることになっている。

これまでのところ同モデルは順調のようだ。しかし、同社やRobinhood(ロビンフッド)、M1(エムワン)、Wealthfront(ウェルスフロント)やその他の競合が今後どのくらいの期間、彼らのプラットフォームに純新規投資家を追加し続けることができるかは知る由もない。

収益

鋭い読者は上記の段落で、筆者がPublicの成長をユーザーの視点からのみ論じたことに気がついただろう。収益に関してはどうなのか。

無料の株式取引を提供している多くの企業と同様、同社は「Payment for order flow(PFOF)」と呼ばれるものから利益を得ている。これは異なるマーケットメーカーへの取引ルーティングであり、例えばRobinhoodはこの仕組みから莫大な利益を得ている

Publicと話をする前、筆者はPFOFの額について学ぶために同社の取引パートナーであるApex(アペックス)の提出書類を掘り下げてみた。合計金額はApexが収集したクライアントを考えるとやや控えめである。したがって総額の一部であるPublicの収益指標はなおさら控えめであるということだ。

当然我々は、同社がビジネスモデルを変更し、外部資料からは見抜けないような収益が新たな投資に向かっているのではないかと気になっていた。しかし創業チームはTechCrunchにモデルは変えていないと語っており、同社は目先の収益目標よりもユーザーの成長を重視しているという。

これはある程度理にかなっている。同社はユーザーのほとんどが長期保有者であることを強調している。ユーザーが証券を保有している期間が長ければ長いほど、取引をする可能性は低下する。するとPFOFのような取引収入がそれにより限られてしまうため、同社の利益率の成長にはつながらない可能性が高い。

同社の収益化計画は不透明なままだ。つまり同社が手に入れた新たな小切手は、ソーシャル体験という点でのプロダクトワークだけでなく、将来の収益創出のための資金にもなるのではないかと推測される。

フィンテック市場を見て回れば、同社がユーザーベースを収益化するための方法例を見つけることができる。

Publicの収益が全く伸びていないと言っているわけではない。事実成長はしているのだ。筆者が一般的に取引量がユーザーの成長に比例するのかどうかを同社に尋ねると、相関関係はあると創業者は伝えている。つまり今もなお成長を続けている同社のユーザーベースは、時間をかけてより多くの取引を実行することになるだろう。

Publicが次に何を構築するのかを楽しみに待つことにしよう。そして同社がいつ、ユーザーから十分な収益を得ることができるようになるのかも乞うご期待である。

関連記事:クラウドファンディングプラットフォームのCAMPFIREが総額40億円超を資金調達

カテゴリー:フィンテック
タグ:投資 資金調達

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(翻訳:Dragonfly)

提携銀行3400行、ユーザー数2億5000万人を抱えるまでに成長したスウェーデンのオープンバンキング企業Tinkが約107億円を調達

オープンバンキングプラットフォームは、これまで同じ場所で提供されていなかったサービスをAPIによって連携させたもので、ここ数年で台頭してきたトレンドの1つになっている。そして本日、欧州でこの分野をけん引する企業が、事業拡大のための資金調達ラウンドを完了した。

Tink(ティンク)は、APIで統合させた多くの銀行や金融サービスにユーザーが新しいチャネルを使ってアクセスできるようにする、スウェーデン、ストックホルム発のスタートアップだ。同社はこの度、8500万ユーロ(約107億円)を調達し、資金調達後の評価額は6億8000万ユーロ(約857億円)となった。今回の資金は、欧州での銀行ネットワークと決済サービスの拡大に充てられる予定だ。ティンクはすでに3400の銀行と提携しており、そのユーザー数は約2億5000万人に達している。提携先にはPayPal(ペイパル)、NatWest(ナットウエスト)、ABN AMRO(ABNアムロ)、BNP Paribas(BNPパリバ)、Nordea(ノルデア)、SEBなどがあり、その中には戦略的投資家も含まれている。一方、ティンクには同社のAPIを使用する開発者が約8000人いる。

今回のラウンドは、新たに加わった投資家であるEurazeo Growth(ユーラゼオ・グロース)とDawn Capital(ドーン・キャピタル)が共同でリードして実施された。他にも、PayPal Ventures(ペイパル・ベンチャー)、HMI Capital(HMIキャピタル)、Heartcore(ハートコア)、ABN AMRO Ventures(ABNアムロ・ベンチャー)、Poste Italiane(ポステ・イタリアーネ)、BNPパリバのベンチャー部門Opera Tech Ventures(オペラテック・ベンチャー)が参加している。

2020年1月に9000万ユーロ(約113億円)のラウンドを発表してから1年もたたないうちに行われた今回の資金調達は、言ってみれば、前回のラウンドの延長線上にある。ちなみに前回ラウンド時の同社の評価額は4億1500万ユーロ(約524億円)だった。同社の銀行ネットワークはその後も着実に成長を続け、今年1月の時点で提携銀行数は2500に達していた。同社はこれで累計1億7500万ユーロ(約220億円)を調達したことになる。

世界中がパンデミックに襲われたここ1年の間に、より多くのサービスがオンライン化されクラウドに移行された。そのおかげで、人々も企業も、銀行取引や販売・ショッピングなど対面では行えなくなった活動を今でも続けることができている。サービスのオンライン化やクラウド化は、金融サービスの世界で間違いなく大きな役割を果たしており、銀行や、銀行と競合する企業、その技術パートナーは、柔軟性の高いデジタルチャネルへの需要が急増していることを実感している。

ティンクの共同創設者兼CEOのDaniel Kjellén(ダニエル・ケレン)氏は次のように語る。「2020年は、困難な状況にも関わらずティンクが大きく成長できた1年だった。今年はオープンバンキングによる決済取引が急増した。2021年には特に英国でオープンバンキングが拡大し、欧州全体へと広がっていくと予想している。今回の追加資金調達により、オープンバンキング技術を基盤とした新しいデータ製品を顧客に提供しながら、決済指図サービスの開発を欧州全域でさらに促進していきたい」。

オープンバンキングに資本を投入しようとしているのはティンクだけではない。今週初めに、突然姿を現した別のスタートアップUnit(ユニット)が1860万ドル(約19億円)を調達した。同社は、銀行機能や銀行を、これまで銀行が存在しなかった環境に統合させるという野望を抱いている。その他にもPlaid(プレイド)やRapyd(ラピッド)などの企業が、金融サービスを連携させ、他のプラットフォームやアプリに統合させることに取り組んでいる。

プレイドは現在、53億ドル(約5477億円)でVisa(ビザ)に買収される手続きの最中なのだが、この買収取引が現在、独占禁止法違反の疑いで調査されている。ラピッドは引き続きVCの支援を受けており、前回の評価額は13億ドル(約1344億円)だった。こうしたサービスの普及と成長は、プレイドによって市場が独占されるわけではないことを示す強固な論拠になるかもしれない。しかし1つの決済サービス大手がプレイドを所有すれば、市場の進化の仕方は間違いなく変わるだろう。

ユーラゼオ・グロース代表取締役のZoé Fabian(ゾーエ・ファビアン)氏は次のように述べている。「オープンバンキングの動きは加速し続けており、2021年には、実績があり信頼できるパートナーとともにオンラインサービスを顧客に提供したいフィンテックと大企業とがさらに広く提携するようになるだろう。8年前の創業以来、ティンクは欧州において業界をけん引するオープンバンキングプラットフォームとなってきた。当社の投資は、ティンクとオープンバンキングに対する当社と業界の信頼の証しであり、当社はティンクの取り組みを引き続きサポートすることを楽しみにしている」。

ティンクのビジネスは、既存の銀行サービスへの容易な統合を実現し、統合後に行われる取引から手数料を得られる決済指図テクノロジーをベースとしている。同社によると、現在5つの市場で毎月約100万件の決済取引を処理しているという。

同社は取引高や収益に関する具体的な数字を公表してはいないが、既存顧客の中に、スウェーデンで400万人のユーザーを擁するデジタルメールボックスプロバイダーKivra(キブラ)が含まれていることに言及している。また、今年前半の時点で、500万人以上の顧客を擁する決済フィンテックLydia(リディア)もティンクの顧客に含まれていた。ティンクのサービスは、スウェーデン、英国、フランス、スペイン、ドイツ、イタリア、ポルトガル、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、ベルギー、オーストリア、オランダで提供されており、2021年にはさらに10の市場に拡大する予定だ。

同社は、今回調達した資金で提携ネットワークとフットプリントの拡大に注力すると同時に、無機的成長も積極的に進めている。同社は今年、事業拡大を目的として3社を買収した。このことは、すべての企業が現在の市場で成長するためのスケールや資産を有するわけではないため、今後もさらに統合が進む可能性が高いことを示している。ちなみにティンクが今年、信用リスク商品の拡大を目的として買収したのは、スウェーデンの信用決定ソリューション企業Instantor(インスタントア)、アカウントアグリゲーションプロバイダーEurobits(ユーロビット)、英国のアグレゲーションプラットフォームOpenWrks(オープンワークス)の3社である。

ドーン・キャピタルのジェネラルパートナーであるJosh Bell(ジョシュ・ベル)氏は次のように述べている。「ティンクは欧州を代表するオープンバンキングプラットフォームとして登場し、急速に金融テクノロジーインフラストラクチャの重要な戦略的要素になりつつある。今年は、プラットフォーム全体でオープンバンキングの製品とサービスが数多く採用、導入され、ティンクのネットワーク全体での活動が急激に加速した。我々は、今回の資金調達ラウンドをサポートできたことを嬉しく思っている。来年、ティンクのチームと協力して、すでにかなりの大きさになっている銀行ネットワークの幅と深さを拡張し、口座間の決済指図ソリューションの展開を加速させ、急成長する顧客ベースに卓越した価値を引き続き提供していけることをとても楽しみにしている」。

関連記事:中小企業向けの組み込み融資業者Liberisがさらに97.9億円を負債で調達

カテゴリー:フィンテック
タグ:ヨーロッパ 資金調達

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(翻訳:Dragonfly)

中国の自動運転技術スタートアップ、WeRideがバスメーカー宇通から207億円を調達

中国で自律運転技術を開発しているスタートアップの中でも、最も多くの資金を集めている会社の一つであるWeRideは水曜日、中国のバスメーカーYutong(宇通客車)からストラテジックラウンド資金2億ドル(約207億円)を調達したと発表した。

WeRideのように次世代のレベル4運転基準を開発している企業では、大規模な投資は珍しくないが、これは車が人間の介入なしに大部分の運転状況を独立して処理できることを示している。

同社の広報担当者がTechCrunchに語ったところによると、WeRideはシリーズBラウンドの第一トランシェである今回のラウンドのバリュエーションを公開していない。

今回の新たな資金提供により、WeRideは創立57年の宇通客車と提携し、自律走行ミニバスや市営バスの製造に加え、研究開発、車両プラットフォーム、モビリティサービスの共同開発を行う。両社はすでに量産用の前置き型無人運転ミニバスを共同開発している。ハンドル・アクセル・ブレーキのないこのモデルは、都市部の公道での運行を想定して設計されているとWeRideは述べている。

中国の顔認証大手SenseTimeが一部を出資したシリーズAラウンドの完了を受けて、ルノー・日産・三菱の戦略的ベンチャーキャピタル部門であるAlliance Venturesは、2018年にWeRideのストラテジックインベスターとなった。

中国の自動運転スタートアップは軒並み、支出ばかりの事業のために資金を誘致しようと、競ってその進歩を披露している。例えば、アリババの出資を受けたAutoXは、大胆な動きで深圳の道路に無人運転車を配備し始めた。WeRideとそのライバル企業は、地方政策が未来志向の交通技術を支援している米国と中国の主要都市の両方で、さまざまなレベルの自律走行車をテストしている。

「(中国での)COVID-19のパンデミックを受けて、首府の態度は変化しており、自動運転とその商業的な将来にますます強気になっています。投資家は自動運転の潜在的なリーダーを逃したくないため、この分野では多くの投資が行われています」とWeRideの広報担当者は述べている。「当社のシリーズBラウンドは、多くの関心を集めています。」

WeRideの競合他社には、距離的にも近い広州のPony.ai、深圳のAutoXとDeeproute.ai、蘇州のMomenta、北京のBaiduなどが挙げられる。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:資金調達 自動運転 中国

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(翻訳:Dragonfly)

中小企業向けの組み込み融資業者Liberisがさらに97.9億円を負債で調達

英国を拠点とするフィンテックで、従来の銀行融資や当座貸越の代わりとなる方法(未訳記事)で中小企業に融資するLiberis(リベリス)が財源として7000万ポンド(約97億9000万円)の資金を補充した。同社は内訳の開示を拒否したが、このラウンドはベンチャーとそれ以外からの負債のミックスだった。したがって、Liberisが実行する融資を賄うための負債と考えてよいと思われる。

融資したのは以前からの投資家であるBritish Business Investments、Paragon Bank、BCI Europe、そして新しいパートナーであるSilicon Valley Bank(SVB)だ。Liberisが調達した資金の累計は2億ポンド(約279億6000万円)となった。この中には株式による調達額が5000万ポンド(約68億9000万円)超が含まれる。「新しい資金は会社の成長促進、新製品と新市場の立ち上げ、新しい顧客融資ソリューションを提供するために使用されます」と同社は述べた。

2007年創業のLiberisは、これまで欧州、米国、英国の1万6000の中小企業に5億ポンド(約699億2000万円)以上を融資してきた(このプロダクトは米国、フィンランド、スウェーデン、チェコ共和国、スロバキアの5つの新しい国で利用可能)。しかし最近、貸し付けはますます増加しており、過去2年間だけで2億5000万ポンド(約349億6000万円)が貸し出された。

Liberisはクレジットカードとデビットカードの予想売上高に基づき、中小企業に1000ポンド(約14万円)から30万ポンド(約4200万円)を融資する。ただしスマートなところは、融資の返済が事業のデジタルトランザクションのうち事前に合意した割合となる点だ。いい換えれば、合意された最低月額支払い額を除き、返済スケジュールはカード取引の規模とペースに直接リンクしている。

注目すべきことに、同社の市場戦略はB2B2B、つまり「組み込み融資」にシフトしている。同社は現在、主にマーケットプレイス、ソフトウェアプロバイダー、FISのWorldpayやGlobal Paymentsなどのアクワイアラ(加盟店契約会社)と提携している。こうしたパートナーはLiberisと一体となり、借入する1社1社にあわせ事前承認された売上ベースの融資をエンドカスタマーに対し実行する。

「Liberisのコアビジネスはパートナーが顧客に対し組み込み融資を実行できるようにすることです」とLiberisのCEOであるRob Straathof(ロブ・スターソフ)氏はTechCrunchに語った。「2015年に、FISのWorldpayと世界初の1つとなる法人向け組み込み融資パートナーシップを開始しました。そしてGlobal Payments、Opayo(Sagepay)、EPOS Now、Worldpay U.S.など、過去数年間で世界中にパートナーシップを大幅に拡大してきました」。

スターソフ氏は、Liberisの法人向け融資プラットフォームをパートナーの既存のエコシステムとカスタマーエクスペリエンスに統合することで、同社がパートナーおよびサポートする中小企業に対し「即座に価値」を提供できると述べる。

「当社は単一のAPI統合を通じてパートナーから守秘性の高いデータを受け取り、中小企業1社1社にしっかり合わせた事前承認融資を提供できるようにします」と同氏は説明する。「融資を中小企業にとって直感的でアクセスしやすく、1社1社にあったものにします。それにより、エンゲージメント、満足度、ロイヤルティを向上させ、パートナーがより大きな顧客価値を引き出すことができるようになり、解約率を減らします。究極的には誰にとってもメリットがあります」。

SVBのEMEAウェアハウスファイナンスの責任者であるFolake Shasanya(フォレイク・シャサーニャ)氏は次のようにコメントした。「Liberisの新しい資金調達パートナーになり、テクノロジープラットフォーム、決済プロバイダーなどにファイナンスソリューションを組み込むことができる同社の能力に感銘を受けました。SVBのDNAにはイノベーションへのサポートが組み込まれています。当社のウェアハウスファイナンスとベンチャーデットプロダクトを通じてこのグローバルな成長の機会をLiberisに提供できることをうれしく思います」。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Liberis資金調達

画像クレジット:Liberis

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(翻訳:Mizoguchi

健康保険スタートアップ、OscarがIPO前らしきラウンドで145億円を追加調達

医療費負担適正化法(Affordable Care Act; ACA)をきっかけにベンチャーキャピタルによるヘルスケア投資の波が押し寄せている中、ニューヨークを拠点とする健康保険のスタートアップであるOscarは、1億4,000万ドル(約145億円)の資金を追加調達した。

この新たな資金調達は、2020年を通じて、同社が1日につき100万ドル(約1億円)相当の額を調達したことを意味する。

同社の前回の資金調達ラウンド、2億2500万ドル(約230億円)の大口投資は、わずか数ヶ月前の今年6月だった。

Tiger Global Managementが主導し、Dragoneer、Baillie Gifford、Coatue、Founders Fund、Khosla Ventures、Lakestar、Reinventなどを含む今回のラウンドの投資家リストを考えると、最終的に株式を公開する前に非公開市場を利用する最後の機会の一つになると思われる。

「2017年以来、Oscarは年率70%以上の会員数増加を記録しています」と、Oscarの共同設立者兼最高経営責任者であるMario Schlosser(マリオ・シュロッサー)氏は声明で述べている。「事業を急速に拡大させていく中で、この資本金は、全国のより多くのOscar会員に、手頃な価格でアクセス可能な医療を提供するというコミットメントを実現するのに役立ちます。」

新年に向けて、同社は、個人・家族プラン、メディケア・アドバンテージ、少人数グループの各商品において、18州と286郡で利用できるようになると述べている。同社によると、2020年9月30日現在、Oscarの会員数は15州で約42万人に上るという。

Oscarは、バーチャルケアサービスをいち早く提供した保険会社の1つだ(早くも2014年にオンライン診療を開始している)。現在では、Oscar会員のプライマリケア医への受診の半数近くが、Oscar推奨の医師との受診となっている。同社によれば、1回以上の受診経験がある加入会員の約38%が、バーチャルケアサービスを利用しているという。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:資金調達 保険

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(翻訳:Dragonfly)

データ統合APIを開発するStepZenが約8.3億円のシード資金を調達

StepZenは、2016年にGoogleに6億2500万ドル(約646億9000万円)で買収(未訳記事)されたApigeeのメンバーが立ち上げた新しいスタートアップで、Apigeeとは違うビジョンを持っていた。StepZenは別々のソースからデータを取り出す単一のAPIを開発し、開発者が複雑なカスタマーエクスペリエンスをオンラインで提供できるようにしている。

米国時間12月22日、StepZenはステルスから出現し、Neotribe VenturesWing Venture Capitalから800万ドル(約8億3000万円)のシード資金を調達したと発表した。

CEOで共同創業者のAnant Jhingran(アナント・ジングラン)氏は、創業者たちはAPIに取り組んできた長年の経験からさらに前進したいと考えていたという。「StepZenは、フロントエンドの開発者がバックエンドにある必要なデータをすべて扱える1つのAPIを簡単に作り利用できるようにするプロダクトです」と同氏は説明する。

これはスムーズで一貫性のあるカスタマーエクスペリエンスを提供するためのサービスだ。eコマースのサイトで注文履歴を見るにしても、バンキングアプリで現在の残高を調べるにしても、さまざまなバックエンドのデータリソースからデータを取り出す必要がある。こうしたリソースに接続するのは手間のかかるタスクであり、StepZenは開発者がシンプルに接続できるようにすることを目指している。

「開発者は、バックエンドにアクセスするコードをデプロイし管理するのに膨大な時間を費やしています。StepZenはその時間を取り戻したいのです」とジングラン氏はいう。

手でコードを書いてデータを引き出すのではなく、StepZenを使えば開発者は構成と認証の情報を設定するだけでバックエンドのデータソースに接続できる。その後、必要な時にデータを取り出して表示するという大変な作業をすべて扱う1つのAPIが作成される。

ジングラン氏は顧客に未処理の注文のリストを提示する例を挙げて説明する。単純なことのように思えるが、データがCRMシステム、注文システム、配送業者にあるとすると、少なくとも3つのまったく異なるシステムにアクセスすることになる。StepZenのAPIはこうしたデータをまとめて引き出し、スムーズにユーザーに提示する。

StepZenには現在、創業者の3人を含め11人の従業員がいる。2021年中には8人程度を新たに雇用する予定だ。CBOで共同創業者のHelen Whelan(ヘレン・ウェラン)氏は、新たな雇用を通じて多様でインクルーシブな企業にしたいと述べる。創業チーム自体が多様だが、さまざまなバックグラウンドや考え方を持つ従業員を雇用して完璧なプロダクトと企業を作りたいと考えている。

ウェラン氏は次のように語る。「最初の10人ほどの従業員は、一緒に働いた人のネットワークを活用して、素晴らしい仕事ができる人を雇用しました。その後は意図を持って拡大し、意図を持って候補者を見つけるルートを探り幅を広げる時間を取る必要があると考えています」。

StepZenは創業してまだ9カ月で、2020年の大半はソリューションを構築してプレアルファユーザーに使ってもらうことに費やしてきた。現在のプロダクトはアルファ版で、2021年前半にソフトウェアサービスとしてリリースする計画だ。

ステルスから出現した同社は、プロダクトの開発を継続し、できるだけ複雑さを取り除こうとしている。ウェラン氏は「我々はバックエンドで難しいことをする方法は知っています。データベースの技術とAPIの技術をメインにすることは止め、開発者が外部で簡単に使えるようにシンプルにしようとしています」と述べた。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:StepZen資金調達

画像クレジット:Andrey Suslov / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

職場の人の密度などを分析するサービスVergeSenseがシリーズBで約12.4億円を調達

VergeSenseはマシンビジョンを使って企業がオフィススペースの利用状況を把握できるようにするスタートアップだ。同社は米国時間12月22日、Tola Capitalが主導するシリーズBで1200万ドル(約12億4000万円)を調達したと発表した。

同社は2020年5月のシリーズAで900万ドル(約9億3000万円)を調達しており、調達金額の合計は2260万ドル(約23億4000万円)となった。これまでにJLL Spark、Allegion Ventures、MetaProp、Y Combinator、Pathbreaker Ventures、West Venturesが投資している。

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が拡大している状況で、VergeSenseが自社のサービスやセンサーに多くの需要があると見込んでいるのは当然だろう。同社は2017年の創業以来着実に成長してきたが、新型コロナ感染拡大によりオフィススペースをスマート化する動きは加速している。VergeSenseのCEOで共同創業者のDan Ryan(ダン・ライアン)氏は筆者に対し、ソーシャルディスタンスを保ったり、オフィスで清掃を強化しなくてはならない場所を把握したりするのに役立つ新機能をここ数カ月で追加したと説明する。

VergeSenseのセンサー

今後感染拡大が抑えられても、オフィススペース、そしてオフィスワークは根本的に変化することが明らかになりつつある。ライアン氏は「仕事の仕方は、ハイブリッドモデルのようなかたちになっていくでしょう。感染拡大前にもすでにそのような兆しはあり、企業は実験をしていましたが、今はそれが急激に加速しています。我々はこのような事態をまったく予想していませんでしたが、現実の世界をほとんどプログラムできるインテリジェントなインフラがあらゆる場所に整備されれば役に立つという可能性を示す良い例だと思います」と語る。

2020年にVergeSenseがリリースした新機能として、今は誰も座っていなくてもバッグが置いてあるといったそのデスクが使用中であることを示唆する目印を探し、席がふさがっているようだとツールに登録する機能がある。

同社の顧客は現在29カ国に広がっている。その中にはShell、Quicken Loans、Roche、Cisco、Telusなどがある。同社のツールが監視している面積の合計は、4000万平方フィート(約371.6万平方メートル、112.4万坪)以上におよぶ。

画像クレジット:VergeSense

ライアン氏が筆者に語ったように、VergeSenseは2020年に投資家からインバウンドの関心が高く、現在の傾向を利用したいと考えている。「我々は2021年に期待しています。特に現在、アジャイルなハイブリッド座席モデルへの移行はますます加速しているため、我々はその分野でも成長できるように準備し、計画を立ててきました。そのため、Tola Capitalとともにチームが次のレベルへ進むためにうかがっていたある種のチャンスとなりました」と同氏は説明する。

VergeSenseは新たに得た資金で、同社のコアであるコンピュータビジョンの機能とハードウェアに引き続き取り組んでいくが、ライアン氏が述べたように2021年に同社が力を入れる領域には新しいパートナーシップとデスクや部屋を予約するツールの統合、オートメーションシステムの構築も含まれている。そのために同社は全部門で人材を雇用し、従業員数を2倍にする計画だ。

このような分野の企業はもちろんVergeSenseだけではない。たとえばスイスのスタートアップのLocateeは2020年前半にシリーズAの資金調達を実施した。Locateeは、VergeSenseが開発しているような専用のセンサーなどを使うのではなく、ネットワークのデータからオフィスの利用状況を測定する。他にもDensityBaskingSteerPathなどがこの分野に取り組んでいる。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:VergeSense資金調達

画像クレジット:VergeSense

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(翻訳:Kaori Koyama)

ゲームチャットDiscordが145億円調達、月間アクティブユーザーは1.4億人

ソーシャルディスタンスの強制が続くことも大きな要因となってあらゆるコミュニケーションのリモート化は我々の社会、経済活動においてますます重要な地位を占めている。そこから利益を得ている企業には資金も集まってくるようだ。ゲーマーをはじめ多くの人に使われている人気チャットのプラットフォームであるDiscordがさらなる資金調達で1億4000万ドル(約144億8000万円)を調達し、月間アクティブユーザー数も1年前の2倍となる1億4000万人に達するという。

Discordに近い複数の情報源は今回のラウンドの会社評価額が70億ドル(約7238億円)だったと明かした。これはわずか6カ月前の評価額の2倍にあたる。

我々はDiscordがシリーズHラウンドの調達総額1億4000万ドル、評価額は70億ドルに達する見込みだと書いている。これは同社がデラウェア州当局提出した会社情報によるもので、最初に発見したのはPrime Unicorn Indexだった。つまりDiscordがすでに調達した1億ドル(約103億4000万円)にさらに4000万ドル(約41億4000万円)を調達する(そしておそらくはすでに調達した)ことを意味する(我々はアップデートでこの部分を確認した)。

Discordの共同創業者でCEOのJason Citron(ジェイソン・シトロン)氏は声明でこう述べた。

信じられないほど多様なコミュニティがDiscordを集まる場所に選び、驚くほどの成長を達成できたことを光栄に思い、また身の引き締まる思いをしています。2021年に向けて、無料サービスと有料のサブスクリプション、Nitrの双方をさらに改善するために調達した資金役立てる予定です。

今回のラウンドはGreenoaks Capitalがリードし、Index Venturesも参加していることを複数の情報源が確認している。Greenoaks Capitalの創業者でマネージングパートナーであるNeil Mehta(ニール・メタ)氏は次のように述べている。

(Greenoaksは)ゲームをプレイするにも、レシピを共有するにも、ビジネス上で共同作業するにもコミュニティが集まるのに最適な場所がDiscordだと信じています。これは人々の交流の方法が限りなくイノベーションを続け、成長し、最終的には世界中の何十億もの人々をつなぐ場所となるはずです。Discordチームとのパートナーシップを長期的な続けることができることは幸運です。

PrimeUnicornのレポートは、数週間前のTechCrunchの記事を裏づけてる。情報源は同社が2020年11月末に最大70億ドルの評価額でラウンドを実施中だと確認した(我々はこの評価額が事実かどうか確認しようとしている)。

今回のラウンドの情報はしばらく前から流れており、一部では「未公開のスタートアップの上場を準備する「プレIPOラウンド」だとしていた。Prime UnicornはDiscordの今回のラウンドでの1株あたりの評価価格は280.2487ドルで、シリーズGでは144.1809ドルだったとしている。

同社の既存投資家はGreylock、IVP、Spark Capital、Tencent、Benchmarkなどだ。ラウンドHの1億4000万ドルを含めてスタートアップが調達した総額は4億2000万ドル(約434億3000万円)になる。

これほど大規模な資金調達は、コミュニケーションのためのバーチャルチャンンルが現在の我々の生活の重要な部分だというの証であるのはもちろんだが、Discord自体の急成長をも意味する。

Discordはもともと人気オンラインゲームをプレイする際のコミュニケーションチャネルだった。簡単にいえば、誕生当初はゲームの副産物だ。ジェイソン・シトロン氏とStanislav Vishnevskiy(スタニスラフ・ヴィシュネフスキー)氏はHammer&Chiselゲームスタジオの一部として、ゲーム(自身で開発したものはもちろん、サードパーティーのゲームも含めたすべてのゲーム)をプレイしながら戦術その他の情報を共有するツールとしてスタートした。

Amazon(アマゾン)が提供するゲームストリーミングサービスのTwitchやeスポーツののプラットフォームでは、プレイヤーと観客の双方が「今画面で何が起きてきるのか」についてリアルタイムで解説が得られる場所を持つことが特に重要になる。

今や本格的ゲームだけでなくカジュアルゲームも、マスマーケットをターゲットとしなければならない。そこでゲーマーのコミュニケーションツールも大規模化が自然の流れとなる。事実、Discordの成長は爆発的で、月間アクティブユーザー数は2020年は2倍の1億4000万人に達し、1日あたりのダウンロード数は80万に上るという。

DiscordはAmongUsのようなバイラルに人気が出たゲームで使われており、ゲーム以外の用途にも拡張されている。こうしたことが追い風の要因だろう。

同社は2020年初めに35億ドル(約3618億7000万円)の評価額で1億ドル(約103億4000万円)を調達しており、その時点でシトロン氏とヴィシュネフスキー氏は、Discordのプラットフォームがすでにゲームという分野を超えた存在になっていることを示唆した。両氏はこう述べている。

多くのユーザーにとってDiscordはもはやビデオゲームの付随サービスではないことが判明した。これは情報の交換にせよ、充実した時間を過ごすためにせよ、 単に親しい友だちと居心地よく会話するためにせよ、Discordが最適なツールとなっている。

しかしながら、ゲーム世界の外への成長は同時に痛みをともなうものでもあった。Discordは、プラットフォームで白人至上主義のような不快なメンバーと戦わざるを得なかった。同社はこうした戦いは峠を過ぎており、プラットフォーム上にBlack Lives Matterの主催者もいるし、そもそも非政治的なソーシャルメディアのインフルエンサーも多いと主張している。ただしすべての批判者を納得させるところまではいっていないようだ。まだ過去の話ではなく引き続き取り組むべき課題なのだろう。しかしこれは他のソーシャルプラットフォームも同じだ。

Data & Society Research Instituteのメディアバイアスの上席研究員であるJoan Donovan(ジョーン・ドノヴァン)氏は、数年前にSlate のインタビューで「Discordはが暴露や嫌がらせキャンペーンの組織化の中心」になっていると非難した。

ラウンドGの直後にラウンドHで1億4000万ドルもの資金調達が実施できたことは興味深い。同社とその投資家はDiscordがゲーマーだけでなく、オンラインに参加している多くの々のために優れたコミュニケーションのプラットフォームとなる明確な野心を持っていまる。ただしこれは巨額の資金を要する野心だ。

しかし野心の一部はすでに実現されている。Discordの画面共有機能がデスクトップからiOSとAndroidアプリに拡張されるという最近のニュースがいい例となる(Twitterが最近Squadを買収したことに似ている)。

ラウンドHの1億ドルの資金調達をリードしたIndexVenturesのDanny Rimer(ダニー・リマー)氏、「Facebookのように投稿をそのまま表示するのではなく、(Discordは)コンテキストを含めたコミュニティにおける有体験を提供します。Slackがビジネスチャットで果たしている役割をDiscordはソーシャル分野の会話で果たすでしょう」と述べている。

なおPrime Unicorn は、シリーズHラウンドでは「精算時に残余財産があった場合の分配をすべてのラウンドの参加者を同一権利として扱うパリパス方式によるものとしていることに注意するよう」促している。

Prime UnicornIndex_Discord_COI_12112020(デラウェア州提出文書・PDF)

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Discord資金調達ゲーム

画像クレジット:Discord

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(翻訳:滑川海彦@Facebook