現代自動車が「衛生的なインテリア」を備えた電気自動車SUVのコンセプトカー「SEVEN」を公開

Hyundai(ヒョンデ、現代自動車)は、ロサンゼルスオートショー2021で、新しいSUV型電気自動車のコンセプトカーを発表した。「SEVEN(セブン)」と名づけられたコンセプトカーは、回転式のラウンジシートから、同社が「衛生的」と呼ぶインテリアまで備えている。新型コロナウイルス感染流行が始まってから3年目を迎えた今の時代に、それは相応しい機能といえそうだ。

コンセプトカーというものは、その名のとおり、未来のクルマの可能性を示す創造性と技術の習作だ。だから、モーターショーでコンセプトカーとして発表されたクルマが、将来必ずしも販売店に並ぶとは限らない。しかし、ヒョンデは今回、フルサイズSUVのコンセプトを、実際にディーラーで購入できるプラットフォーム上で実現して見せた。

コンセプト:衛生的なインテリア

完全な自動運転車が、実際に大衆のものとして実現する日に備えて、ラウンジのようなインテリアや360度回転するシートを備えたコンセプトカーを、ヒョンデのみならず多くの自動車メーカーが披露している。だが、SEVENコンセプトのユニークな特徴は、衛生的なインテリア機能にある。

まず「Hygiene Airflow(ハイジーン・エアフロー)」システムが、前席と後席の乗員間の空気の流れを分離する。ルーフレールに設けられたインテークから取り入れた空気が、車内で上から下へ流れ、リアホイール後方のベントから排出されるという仕組みで、ヒョンデでは「バーティカル(垂直)モード」と呼んでいる。これを「ホリゾンタル(水平)モード」、つまり我々が一般的な自動車の換気と考えているモードに切り替えると、空気は前方から後方へと移動する。ヒョンデによると、このシステムは航空機に採用されている先進的なシステムからヒントを得たもので、走行中でも停車中でも作動するという。

画像クレジット:Abigail Bassett

将来的に自動運転車は複数の人々で共有することになるため、ヒョンデは空気の流れを調整するだけでなく、乗客が入れ替わる間に車内を清潔にするコンセプトも披露した。新型コロナウイルスは、呼吸器系の飛沫やエアロゾルを介して感染し、布地を含むあらゆる表面で何時間も生存できるため、ウイルス感染流行時代においては、非常に現実的な懸念といえるだろう。

SEVENには、乗客がクルマから降りた後に実行されるUV-C除菌サイクルが備わっている。UV-C(紫外線C波線)は、空気、水、非多孔質表面を殺菌できる効果があり、新型コロナウイルス感染症の原因ウイルスであるSARS-CoV-2ウイルスを死滅させると、FDA(アメリカ食品医薬品)から報告されている。ただし、UV-C光は目や皮膚を焼く可能性があるため、プログラムを実行する前にすべての乗員を車外に出す必要がある。

垂直エアフローとUV-C殺菌に加えて、ヒョンデは将来のウイルスの拡散をさらに防ぐために、内装に抗菌機能を持つ銅や、衛生加工された生地を使用するなどの興味深い工夫も施している。

さらにSEVENには、乗客の靴の洗浄と消臭を行う「シューケアコンパートメント」も装備されている。

実際の充電と航続距離

 

このSEVENコンセプトは、ヒョンデの電気自動車用プラットフォーム「Electric Global Modular Platform(E-GMP、エレクトリック・グローバル・モジュラー・プラットフォーム)」をベースに作られている。このプラットフォームは、ヒョンデのクロスオーバー電気自動車「Ioniq 5(アイオニック・ファイブ)」をはじめ、KIA(起亜、キア)の新型電気自動車「EV6」など、Hyundai Motor Group(現代自動車グループ)の他の車両にも採用されているものだ。同グループの高級車ブランドであるGenesis(ジェネシス)から将来登場する電気自動車の基盤にもなる。

このプラットフォームでは、400Vと800Vの両方の急速充電に対応できるようになっており、実際に市販されているIoniq 5の場合、350kWのDC急速充電器を使えば20分以内にバッテリーを10%から80%まで充電することができる。ヒョンデによれば、同社が提供する77.4kWhの大型バッテリーパックによって、一度の充電で300マイル(約483km)以上の航続距離を得ることが可能だという。

コンセプトカーはそのほとんどがベーパーウェアではあるものの、ヒョンデのSEVENコンセプトは、想像と現実が融合した興味深いデザインで、同社が考える未来の交通手段を示唆するものになっている。

画像クレジット:Abigail Bassett

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

エアタクシー離陸に向けたロサンゼルスの取り組み

配車サービスやeスクーターなどの製品を提供している企業は、発生する問題の数を超えるペースでさまざまな問題を解決していくと約束してはいるものの、米国中の都市の交通は混乱状態だ。ロサンゼルスは、CO2排出量ゼロの交通機関を導入しようと躍起になっており、エアタクシーの導入では過去の過ちを繰り返さないようにしたいと考えている。


ロサンゼルスでのエアータクシー導入の準備を進めるため、ロサンゼルス市長Eric Garcetti(エリック・ガーセッティ)氏の肝いりで設立された非営利組織が、2020年代後半に予定されている商業運転の開始に先立ち、エアタクシーの開発元および地元住民と協力して、ポリシーツールキットの開発に取り組んでいる。

しかし、その前に多くの問題を解決する必要がある。第一に、エアタクシーは、連邦航空局の認可を受ける必要がある。これ自体、大変な仕事だ。しかも認可を受ける前に、サービス提供企業はインフラの構築計画を立てる必要がある。つまり、エアタクシーのバーティポート(垂直離着陸機用の離発着ターミナル)の建設だ。ところが、これには騒音、都市計画法などの現実の問題がともなう。これらは、市民だけでなく交通網にも影響を及ぼす可能性のある問題だ。

Urban Movement Labs(UML)は、2020年に市長の経済開発局からスピンアウトして設立され、市のモビリティの未来を形成するという目的で、501c(3)非営利独立組織となった。2021年、同組織は市長室およびロサンゼルス運輸局と都市航空モビリティ(UAM)の推進で提携し、UAMを市の既存のインフラおよび交通網に統合し、なおかつ公平性とアクセス性が最大化されるようにするための具体的な取り組みを進めている。

このパートナーシップに資金を供給したのは、Archer AviationとHyundaiの都市エアモビリティ部門だ。

「HyundaiとArcher Aviationからは、このポリシーツールキットの開発支援を重視するという確約をいただいています」とUMLのエグセクティブディレクターSam Morrissey(サム・モリシー)氏は、最近行われたインタビューに答えて語った。「このポリシーには、エアタクシーの飛行区域、飛行経路、民間機専用空港以外で着陸が許可される場所についてのポリシー、その他バーティポートの計画に関連するポリシーが含まれます」。

Joby Aviationは設立当初からUMLと協力を続けている。また、ドイツのUAM開発企業Volocopterが2021年10月初め、最新のパートナーとして新たにUMLに参加した。

「私たちの役割は、ロサンゼルスへの新しいテクノロジーの導入を促進することです」とモリシー氏はいい、Uber、Lyft などの輸送企業およびスクーターレンタルサービス登場後の状況のように、新しい輸送テクノロジーが導入されてから慌てて規制を整備するようなことは避けたいと考えていると付け加えた。

「2016年にUber Elevateが米国の各都市でエアタクシーを巡航させるという話を始めたとき、ロサンゼルス市は「この問題に注力できる別の組織が必要だ」と述べている。

インフラストラクチャの課題

UMLは、自身を、ロサンゼルス市、民間企業、そして何より、ロサンゼルス市民の三者間の橋渡し役と考えている。この三者の展望は必ずしも一致していない。特に、電気エアタクシーの導入には、火災の危険性、飛行区域、騒音、利害関係者間で意見の食い違いが生じるさまざまな問題など、解決すべき特殊な課題がある。

バーティポートについて考えてみよう。航空機の認可は完全にFAAの管轄だが「新しいインフラをゼロから構築する必要がある場合は、地方自治体と市の問題であることは明らかです」とJoby Aviationの政府業務関連担当主任GregBowles(グレッグ・ボウルズ)氏は説明する。「(エアタクシーの)利用方法、アクセス、許可はすべて自治体の問題です」。

モリシー氏によると、各企業は飛行経路の策定を、例えばUberのプレミアムサービスであるUber Blackが現在主にどこで利用されているかを見るという具合に、マーケットの観点から考えているが、UMLは、これを地域計画のアプローチに重ね合わせることで、UAMが既存の交通網を長期的にどのような形で支えるようになるのかを説明したいと考えている。

敷地と都市区画法の問題もある。かつてバーティポートの敷地候補となった場所が突如として浮上してくるニンビー主義についてはすぐに想像できるが、その他にも、航行速度や1時間あたりのフライト数なども、特定の敷地を利用できるエアタクシー業者の数に影響を与える可能性がある。

Archer AviationとJoby AviationはどちらもREEF Technologyとの民間提携を宣言して、立体駐車場などの資産をバーティポートとして再利用することを考えているが(UMLも立体駐車場はいろいろな意味で極めて合理的だという認識を示している)、エアタクシーが実際に顧客を乗せて飛行するには、市自体の規制も考慮に入れる必要がある。

「立体駐車場の屋上階を歳利用するのは良いアイデアですが、最終的にはビルの安全性部門が、こうした立体駐車場はエアタクシーを支えるだけの強度があるのかとか、消化設備は十分に備わっているのかといった問題を調査する必要があります」とモリシー氏はいう。

バーティポートを専用利用にするのか企業間で共有するのか、また専用と共有の割合をどくらいにするのかというのも大きな問題だ。エアタクシーの離着陸サイトとしては、空港ゲート型(均一的ですべての航空会社によって共有される)、ガソリンスタンド型(ブランド化されており、競争が激しく、施設も異なる)などが想像できる。この点も、市、住民、エアタクシー企業の間で対立が生じる可能性がある。

とはいえ、少なくとも最初は、大半の企業が、(例えば騒音や料金などについて標準を設定するなどして)連携するほうが、各企業で個別に取り組むよりも全体的な商業化と採用への近道になると考えるだろう。

「私たちはバーティポートを競合スペースとしては見ていません」とJoby Aviationのバーティポート標準化作業についてボウルズ氏はいう。「バーティポートは絶対に必要ですから、他の多くのOEM業者や将来のエアタクシー事業者と協力して取り組んでいます」。

画像クレジット:Joby Aviation

最後の質問はもちろん、誰が費用を支払うのかという永続的な問題だ。

「将来のバーティポートについて考える場合は、さまざまな課題について検討する必要があります。建設費用と運営費用の負担、バーティポートを利用できる人についての市との話し合い、自由にアクセス可能にするかどうかについてのコミュニティ側から見た賛否両論などです」とArcher Aviationの事業開発担当主任Andrew Cummins(アンドリュー・カミンズ)を氏はTechCrunchによる最近のインタビューで語った。

UMLの都市エアーモビリティ担当フェローClint Harper(クリント・ハーパー)氏もカミンズ氏と同意見だ。ロサンゼルス市は「OEMあいまい性」を好んでいることを明言してきたものの、最終的な交通網の大半は、バーティポートが完全に民間によって建設されるのか、官民連携で建設されるのかによって大きく異なってくる。「完全な民間と官民連携とでは、インフラを現実化するための財源モデルも異なります」と同氏はいう。「どのような財源モデルを採用するかによって、複数事業者の共有施設になるのか、単一事業者の専用施設になるのかが決まります」。

Volocopterの最高商務責任者Christian Bauer(クリスチャン・バウアー)氏は、すべてのOEMにとって「オープンなシステムが必要」だというのが同社の考えであると語った。「私たちは不動産には投資したくありません」と同氏は付け加えた。

市との協力体制と今後

以上の問題の多くは大きな問題であり、妥協案が成立するまでに数年を要するだろう。というのは、各都市はまだ連邦規制のガイダンス待ちの状態だからだ。ハーパー氏は、FAA、National Fire Protection Association(全国防火協会)、International Code Council(国際基準評議会)の建築基準法の推奨事項の変化に柔軟に対応していくと語った。

エアタクシーOEM業者も自分たちの意向を反映してもらうために連邦レベルでポリシーの策定作業を進めている。Archer Aviation、Joby Aviation、およびVolocopterはすべて連邦の規制担当機関および都市と協力して作業を行っている。

UMLは、2021年の残りと来年を見据え、交通支援グループ(歩行者や自転車の安全支援組織など)およびホームレス問題などを注視している社会問題グループにも接触して、都市航空モビリティ計画の策定方法を把握するつもりだという。過去の過ちを繰り返さないためには、交通計画には公平性がとりわけ重要となる。例えばUnion of Concerned Scientists(憂慮する科学者同盟)によると、有色および低所得のカリフォルニアの住民は排ガスにさらされる度合いが異常に高いという。

市側の作業の大部分は、市の関連部門がバーティポートの建設に関する最新の動向を常に把握している状態にすることだ。具体的には、建設、安全、火災関連部門などが、バーティポートおよび新しいインフラの建設準備のためにフルタイムの職員を割り当てられるようにすることなどがある。

結局のところ、UMLは、順序立てて事を進めていくつもりだ、とモリシー氏は述べた。

「エアタクシーはおそらく現実のものとなるでしょう。私たちはそのためにあらゆる準備を怠らず、ハイプ・サイクルに陥らないようにしたいと考えています」。

画像クレジット:Patrick T. Fallon/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Dragonfly)

現代自動車が独自の半導体チップ開発を計画、世界的不足対策で

Hyundai Motor(現代自動車)のグローバルCOOであるJosé Munoz(ホセ・ムニョス)氏によると、同社は半導体メーカーへの依存度を下げるため、独自の半導体チップ開発計画を発表する。

パンデミックの影響で自動車の販売台数が減少し、自動車メーカーは一時、受注を停止した。同時期に、電子機器メーカーは、ノートパソコンやゲーム機などの需要増に対応するために生産を拡大しており、チップを買い漁っていた。消費者が再び自動車購入に向かうと、自動車メーカーは世界的な半導体不足に見舞われ、Tesla(テスラ)とトヨタを除くほとんどのOEMメーカーが生産ラインを休止し、自動車販売の低迷を招いた。また、ほとんどの自動車メーカーが電気自動車への移行を積極的に計画しているため、チップの必要性がかつてないほど高まっている。現代自動車以外では、TeslaGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)が自社でチップを生産し、中間業者を排除する計画を発表した。

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ロイター通信によると、現代自動車の前四半期の販売はそれほど苦戦しなかったものの、ムニョス氏は「最も厳しい月」は8月と9月だったという。同社は2021年、複数の工場で一時的な閉鎖に追い込まれたが、同氏は、Intel(インテル)が生産能力拡大に向けた大規模な投資を行ったため、チップ不足の最悪の事態を脱したと述べた。

だが、同氏は記者団に対し、現代自動車は再び半導体供給不足に直面することを望んでおらず、この分野で自給能力を高める必要があると述べた。同氏は、チップの自社開発には多大な時間と投資が必要であることを認めた上で、これは「我々が取り組んでいること」であり、おそらく現代自動車の部品関連会社であるHyundai Mobis(現代モービス)と共同で取り組むことになるだろうと述べた。

「供給を確保できるかどうかが、今後の業界再編・統合を生き抜き、成功するOEM企業の特徴になるかもしれません」とソフトウェア開発会社Real-Time Innovationsのコマーシャルマーケット担当シニア・マーケット・ディベロップメント・ディレクターであるBob Leigh(ボブ・リー)氏はTechCrunchの取材に対して述べた。「OEM企業が供給を確保できる企業を買収したり、そうした企業と提携する可能性は高くなりそうです。しかし、供給不足により、業界はより経済的に生産できる新しいチップ技術を採用するようになるでしょう。チップメーカーは、自動車メーカーが求めるような従来のチップを作りたがらないのです」。

リー氏はまた、多くの自動車メーカーがチップの自社開発へと進むだろうが、専門知識がないため実現可能とは限らず、規模も大きくならないと考えている。

ムニョス氏は、現代自動車が自社で半導体を生産しないとしても、2022年に米国で電気自動車を製造する予定は変わらず、アラバマ工場を強化して生産能力を高める計画もあると話す。Hyundai Motor North America(現代自動車ノースアメリカ)の社長でもある同氏は、米政府から提案を受けた4500ドル(約51万円)の電気自動車税額控除の優遇措置を、労働組合がある工場だけでなく、ない工場で生産された車にも適用するよう働きかけた。現代自動車の米国工場以外では、Rivian(リビアン)、Tesla、トヨタ自動車の工場が組合に加入していない。

画像クレジット:DIRK WAEM/AFP / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

ボストン・ダイナミクスを買収した現代自動車が4足歩行ロボットを工場の安全監視に活用

Hyundai(現代自動車)がBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)の買収を完了させたのは2021年6月のこと。この韓国の巨大自動車メーカーは、マサチューセッツ州に本拠を置くロボット企業の技術を、将来を見据えた多くのコンセプトモビリティ車に統合させるという壮大な計画を持っていることは間違いない。しかし現時点では、既存のロボットを活用することに、より力を入れているようだ。

現代自動車は米国時間9月17日「Factory Safety Service Robot(工場安全サービスロボット)」と名付けられたロボットを発表した。同社は発表文書の中で、簡潔にするためにすぐにこのユニットを「the Robot(このロボット)」と呼び始めたが「Factory Safety Service Robot」と何十回もタイプする時間がある人はいないだろうから、私もそうしたいと思う。

このロボット(わかるよね?)は基本的に、工場の安全点検用に開発された「Spot(スポット)」を改造したものだという。当然ながら、現代自動車は身近なところから始めることにしたようで、子会社であるKia(起亜自動車)のソウル工場で最初の試験運用を開始した。

Spot…ではなくこのロボットには、LiDARと熱検知カメラが搭載されており、空間内の高温になっている場所や火災の危険性、開いているドアなどを検知できる。何か異常を感知すると、安全確認用のウェブページを通じて警告を送信し、リアルタイムでその画像やデータを共有することができる。Spotと同様に自律的に動作することも、人間が遠隔操作することも可能だ。

「Factory Safety Service Robotは、ボストン・ダイナミクス社との最初のコラボレーション・プロジェクトです。このロボットは、産業現場における危険性を検知し、人々の安全を確保するのに役立ちます」と、現代自動車のDong Jin Hyun(ドン・ジン・ヒョン)氏はリリースで述べている。「私たちはボストン・ダイナミクスとの継続的な協業を通じて、産業現場の危険を検知し、安全な労働環境を支えるスマートサービスを、これからも作り出していきます」。

画像クレジット:Hyundai

全体的には、Spotに何ができるかを知っている人なら、センサーが追加されているとはいえ、このロボットの要点をほぼ理解できるだろう。ボストン・ダイナミクスは先週、このロボットにデータ収集機能を追加することを発表している。

画像クレジット:Hyundai

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

現代自動車グループが2028年までに全商用車に水素燃料電池モデルを投入へ

Hyundai Motor Group(現代自動車グループ)は持続可能性のための最優先エネルギーソリューションとして水素を支持している。今後数年内に展開する新しい燃料電池システムで、韓国の自動車メーカーである現代自動車グループは2028年までに同社の全商用車に水素燃料電池バージョンを提供すると明らかにした。

同グループは米国時間9月7日、同社のHydrogen Waveカンファレンスのライブストリームで水素を活用した未来戦略を発表した。同グループの代表取締役副社長で燃料電池センター責任者のSaehoon Kim(セフン・キム)氏は、2030年までにEV(電気自動車)バッテリーに匹敵するコスト競争力を獲得するのが目標だ、と述べた。

同社はまた、高性能で後輪駆動の水素スポーツカーVision FKの詳細も明らかにした。Vision FKは停止した状態から時速100kmに達するまで4秒もかからない500kWの燃料電池システムを搭載し、航続距離は600kmだ。生産開始時期については明らかにしなかった。

大半の自動車メーカーが乗用車EVと商用車EVの展開を始めているが、水素タイプはまだニッチなマーケットだ。しかし欧州、中国、米国が野心的な二酸化炭素排出削減目標を設定したのに伴い、成長中のマーケットでもある。トヨタ自動車、BMW 、Daimler(ダイムラー)も程度の差こそあれ、EVの開発を続けながら燃料電池テクノロジーを受け入れ始めた。この点において、現代自動車の水素への傾倒はEVへの傾倒を阻んでいない。現在のような気候状況では、あらゆるソリューションが必要だ。最高の燃料が選ばれるといい。

イベントでキム氏はまた、2023年に2種の水素燃料電池パワートレインを立ち上げる、と発表した。同社は2040年までに水素を主流にしたいと考えている。現代自動車の水素燃料スタックの第3世代は、乗用車向けが出力100 kW、商用車向けは200kWとなる。

現代自動車、Kia(起亜自動車)、Genesis(ジェネシス)を傘下にもつ現代自動車グループは現在、燃料電池バス「Elec City Fuel Cellバス」を展開していて、韓国で115台が走っている。また燃料電池トラック「Xcient Hyundai」も展開中で、こちらは45台が2020年スイスで導入された。

現代自動車は燃料電池SUVの「NEXO」を誇っていて、水素で駆動する多目的車両モデルとともに次のモデルを2023年に投入する計画だ。同社はミュンヘンで開催中のIAAモビリティカンファレンスで、大型の燃料電池で走るSUVを2025年以降に発売し、2030年までにさらに4種の商用車を投入する、とも発表した。同社は緊急車両や船舶、貨物トラック、トラム、フォークリフト、その他にも産業で使用される車両など異なるユースケース向けに燃料電池テクノロジーを提供することを目指している。

「燃料電池は水素のメリットをさまざまな分野の世界中の人に届けることができる実証済みのテクノロジーです」とキム氏は述べた。「基本的に燃料電池はエンジンのような発電機です。電気を蓄えるバッテリーとは異なります。燃料電池システムは発電する燃料電池スタック、水素供給システム、空気供給システム、熱管理システムで構成されます。水素と酸素を合わせることで発電し、内燃機関車両のエンジンと似ていますが、二酸化炭素を排出しません」。

同氏は続けて、燃料電池システムが化学反応を通じてエネルギーを生み出し、受動的にエネルギーを蓄えるだけのバッテリーと違って水素燃料が供給される限りエネルギーを生み出し続ける、とも説明した。現代自動車は生産、貯蔵、燃料電池テクノロジー、インフラなど、水素分野で成功するために必要なエコシステムの構築に取り組んでいる、と述べた。インフラの多くは、水を酸素と「グリーン」な水素に分解するためのクリーンパワーを生み出すのに必要な再生可能エネルギーを生産する太陽光と風力の発電施設となる。

独自のR&Dに加えて、現代自動車グループはH2Proのような水素スタートアップにすでに投資していて、政府が協力的で再生可能エネルギーリソースが豊富な国でグリーンな水素インフラを確立する計画も発表している。

この分野における取り組みの多くは、2040年までに二酸化炭素排出レベルを2019年の75%以下に削減し、2045年までにカーボンニュートラルになるという発表に続くものだ。現代自動車グループは全車両の30%が2030年までにゼロエミッションになり、全車両の80%が2040年までにバッテリー電気自動車と燃料電池車になると見込んでいる。

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画像クレジット:Hyundai Motor Group

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

​​現代自とAptivの自律運転合弁会社Motionalが「Hyundai IONIQ 5」電動ロボタクシーを公開

Motional(モーショナル)は米国時間8月31日、同社が計画しているロボタクシーの最初の画像を公開した。Hyundai(現代自動車、ヒョンデ)の電気自動車「IONIQ 5 SUV(アイオニック・5)」をベースにした車両は、MotionalがLyft(リフト)アプリを通じて、2023年から顧客に利用してもらいたいと考えているドライバーレス配車サービスの目玉となるものだ。

現代自動車により組み立てられるこの専用車両には、Motionalの自律走行技術が搭載されており、LiDAR、レーダー、カメラなど30以上のセンサーが車室内外のいたるところに見られる。そのセンシングシステムは360度の視界を確保し、300メートル先まで見通すことができるとMotionalは説明している。

自動運転車の商業化を目的とするAptiv(アプティブ)と現代自動車の40億ドル(約4400億円)規模の合弁事業として生まれた同社は、意図的に数多くのセンサーを入れて披露していると、会長兼CEOのKarl Iagnemma(カール・イアグンマ)氏は最近のインタビューで語っている。

「多くの競合他社は、このセンサー群を隠そうとして、大きなプラスチックケーシングの中に隠そうとしています」とイアグンマ氏はTechCrunchに語った。「ですが実際のところ、センサーを隠すことはできません。センサーはクルマの重要な部分であり、テクノロジーの重要な部分でもあります。ですから当社の戦略は、センサーを好ましいものととらえ、車両のデザイン言語を適応させて、統合されたセンサー群のデザインに反映させることでした」。

Motionalは、最初のドライバーレスロボタクシーサービスをどこで立ち上げるか発表していない。ボストン、ラスベガス、ロサンゼルス、ピッツバーグなど、同社が現在テストを行っている都市のいずれかでサービスを開始すると思われる。

関連記事:2023年から米国主要都市でロボタクシー展開へ、MotionalとLyftが提携

画像クレジット:Motional

Motionalのロボタクシーのベースとなるのは、2021年2月に発表されたEV「Hyundai IONIQ 5」で、2021年後半には市販モデルの発売が予定されている。一般消費者向けバージョンには、Motionalの自律走行技術は搭載されない。Motionalは、他のAV開発企業とは異なり、最初のロボタクシーにシャトルバスデザインや大型バンを選択しなかった。

同社が調査したところ、タクシーや配車サービスの利用者の大半は2人以下の乗客であるとわかったという。IONIQ 5は、Motionalのユースケースに適したサイズの車両だとイアグンマ氏は付け加えた。

IONIQ 5は、Electric Global Modular Platform(E-GMP)と呼ばれる同社の電気自動車専用プラットフォームを初採用したモデルだ。市販仕様とロボタクシー用の両方に、800ボルトの電気システムを搭載している。この高電圧システムは、一般的な400ボルトと同等の電力をより少ない電流で供給することが可能だ。800ボルトシステムは、ポルシェ初の量産電気自動車であるTaycan(タイカン)でデビューしたが、より軽く、より効率的で、充電時間を短縮できる。

この高速充電は、Motionalのロボタクシーサービスにとって重要なメリットとなるだろう。

画像クレジット:Motional

IONIQ 5のロボタクシーバージョンは現代自動車で組み立てられるが、これは注目すべきディテールだとイアグンマ氏はいう。

「この車両は、写真でご覧になったとおりの外観で組立ラインから出荷されます」と同氏はいう。「これは、ベース車両を別のラインに移動させ、部品を外して再統合したり、(センサーなどを)後付けするというようなシナリオではありません」。

ロボタクシーの内部にはディスプレイが設置されており、それを使い乗客は乗車中にロボタクシーに追加の停車を指示するなど、車両との対話が可能だという。

このロボタクシーには、人間が運転する従来の車両と同様に、ステアリングホイールなどの機能が備わっている。なお、乗客が運転席に座ることは許されない。

関連記事:自動運転Motional CEOが示唆する物流業界の自律的な未来
画像クレジット:Motional

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

ヒュンダイ傘下となったBoston Dynamicsが人型ロボット「Atlas」出演の新たなパルクール動画を公開

Boston Dynamicsが人型ロボット「Atlas」出演の新たなパルクール動画を公開

Boston Dynamics

ヒュンダイ傘下に生まれ変わったBoston Dynamicsが、ヒューマノイドロボット「Atlas」の新たなパルクール動画を公開しています。Atlasロボットはカメラの前でSASUKEよろしく五段跳びを軽くクリアし、平均台の上を走り、華麗なバク転も2連続でキメています。

ロボットメーカーいわく、この一連の動作は数か月かけてプログラムされ、ロボットが身体のバランスを取りつつ異なる動作に移行したり、強調動作させるための知見を得るのに有効だったとのこと。つまりすべてがシーケンス的な動作なのではなく、視覚的に得た情報から判断してコースに合わせた動きをさせているということ。

ヒュンダイ傘下となったBoston Dynamicsが人型ロボット「Atlas」出演の新たなパルクール動画を公開

Boston Dynamics

その証拠と言えるかはわかりませんが、動画では一連の動作の終盤で2体のうち片方のAtlasロボットが台の上に飛び乗る際に一瞬、台に蹴つまずいているのが確認できます。ここでAtlasはバランスを崩すも、すぐに立て直して再びもう一体とタイミングを合わせての動作に戻っています。

(Source:Boston DynamicsEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:Atlas(製品・サービス)ヒュンダイ / 現代自動車(企業)Boston Dynamics / ボストン・ダイナミクス(企業)

現代自動車がソフトバンクからBoston Dynamicsの支配権取得を完了「歩くクルマ」に向け前進

Hyundai(現代自動車グループ)は現地時間6月21日、Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)の買収を完了したと発表した。この取引は革新的なロボットメーカーを11億ドル(約1210億円)で評価するもので、2020年末に発表されていた。両社は、今後の財務的な詳細については明らかにしていない。

韓国の自動車大手である現代(ヒュンダイ、2020年よりヒョンデに表記変更)は、これまでソフトバンクグループ(SBG)が所有していたBoston Dynamicsの支配的利権を持つことになった。3年強にわたってBoston Dynamicsを所有していたGoogle(グーグル)から前者を購入したSBGは、実質的に過渡期のオーナーだった。

ソフトバンク傘下にあった期間はGoogle / Alphabet X時代に比べてそれほど長くはなかったが、Boston Dynamicsは約30年前に設立されて以来、初めて2つの製品を商品化した。同社は、四足歩行ロボット「Spot」を市場に投入し、2021年には、倉庫用ロボット「Handle」のアップデート版である「Stretch」のローンチを発表した(発売日はまだ未定)。

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現代自動車のErnestine Fu(アーネスティン・フー)氏は、TechCrunchのMobilityイベントに最近出演した際、Boston Dynamicsの80%経営支配権を取得する計画について語った。フー氏は、現代自動車のUMV(Ultimate Mobility Vehicle、究極の移動手段)開発に特化したユニットであるNew Horizon Studiosが、数十年にわたるBoston Dynamicsの研究を基にした「歩く」自動車のコンセプトを複数プレビューしていることに言及した。

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「New Horizon Studiosでは、ロボット工学と、歩行ロボットや歩行車両などの従来の車輪付き移動手段とを組み合わせたときに何ができるかを再考することが課題となっています」とフー氏はTechCrunchに語った。「当然、Boston Dynamicsが開発してきた技術は、そのようなコンセプトを実現する上で重要な役割を果たします」とも。

Boston Dynamicsはこれまでの変遷の中で、独自の研究部門を維持することにこだわり、ヒューマノイドロボット「Atlas」のような商業的ではない技術を生み出してきた。現代自動車の傘下でどのように機能するかは未知数だが、現代は少なくとも将来を見据えたアプローチを維持することに強い関心を持っているようだ。

Boston DynamicsのCEOであるRob Playter(ロブ・プレイター)氏は、今回の買収が発表された際にこう述べていた。「当社と現代自動車はモビリティがもたらす変革力という視点を共有しており、最先端のオートメーションで世界を変える計画を加速させ、両社の顧客のために世界で最も困難なロボティクスの課題を解決し続けられるよう、協業することを楽しみにしています」。

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タグ:Boston DynamicsHyundaiソフトバンク買収

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

ヒュンダイの全電動車IONIQ 5は決済システムを搭載

Hyundai(ヒュンダイ)が開発した車載決済システムは、次期電動クロスオーバー「IONIQ(アイオニック) 5」に搭載され、EVの充電や食事、駐車場などの料金を払えるようになる。これは、自動車メーカーが収益を上げるための新しい方法として、通常はスマートフォンに付随する機能を顧客に提供していうる最新の例だ。

IONIQ 5の北米地区発売は2021年秋を予定しているが、米国時間5月24日に行われた同社発表によると、決済システムに最初から登録されているマーチャントはDominoes(ドミノ・ピザ)と電子駐車サービスのParkWhizと充電サービスのChargehubだ。IONIQ 5の北米デビューではさまざまな機能が搭載されるが、車載決済もその1つとなる。

決済システムはヒュンダイ自身の車載インターネット接続システムBluelinkから利用する。Bluelinkからさまざまなクルマの機能やサービスをコントロールできるが、サブスクリプション契約が必要だ。3種類のパッケージがあり、それぞれクルマのメンテナンスとアラート、リモート天気予報、アンロックとロック、目的地検索などのサービスにアクセスできるようになる。またBluelinkでユーザーのスマートフォン上のGoogleアシスタントの機能にリンクして、情報をクルマに送ることもできる。

この車載決済システムは今後、課金をともなうその他の企業にも拡張される。ドライブスルーの食べ物やコーヒー、駐車などがその候補だ。ヒュンダイの広報担当者によると、新しいマーチャントの登録はXevo Marketplaceから今後定期的に行われるという。

IONIQ 5は、E-GMP (Electric-Global Modular Platform) という新プラットフォーム上に構築された同社初のバッテリー電気自動車だ。このプラットフォームはKia(起亜自動車)と共有されており、新しいEV 6のプラットフォームにもなっている。

聞いたことがある名前だ、と思う方もいるかもしれないが、それは「IONIQ」という名称が以前から存在するからだ。ヒュンダイは2016年に、IIONIQと名づけたハッチバックを、ハイブリッド、プラグインハイブリッドそして電気自動車という3つの型式で発売した。この韓国の自動車メーカーは、その車種を新たなEVブランドへの跳躍台として使っていた。

今後IONIQブランドの車種はすべて、E-GMPのプラットフォームが使われる。IONIQ 5はヒュンダイのConcept 45がベースで、それは同社が2019年にフランクフルトの国際モーターショーで公開されたモノコック風ボディのクロスオーバーだ。コンセプト45のデザイナーは「ヒュンダイの最初のコンセプトである1974年の『Pony Coupe(ポニー・クーペ)』のラインや特徴の一部を参考にしました。『45』という名称は、車両のフロントとリアの角度が45度であることにも由来しています」と語っている。

ヒュンダイはまだ、IONIQ 5の価格を発表していない。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Hyundai電気自動車決済

画像クレジット:Hyundai

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ヒュンダイの電気自動車IONIQ 5がMotionalとLyft初のロボタクシーに

Motionalは同社の自動運転技術を現代自動車の新型完全電動SUVに統合し、Motional初のロボタクシーを開発する。2023年初頭には一部の市場の顧客かLyftアプリを介してこの完全電動・完全自動運転タクシーを予約できるようになる。

2021年2月に公開され、2021年後半に一般発売が予定されているHyundai IONIQ 5は、Motionalの無人運転システムに完全に統合される。LiDAR、レーダー、カメラなど、レベル4の自動運転機能に必要なハードウェアとソフトウェアが装備され、車両のセンシングシステムは360度の視界を提供し、300メートル先まで見通すことができる。このレベルの無人運転技術は、人間が運転を引き継ぐ必要がなくなることを意味する。

Motionalの広報担当者によると、車内の居住空間は民生用モデルと同様だが、ロボタクシーの運転に必要な機能が追加されているという。同社は車両にハンドルが搭載されているかどうかは明らかにしておらず、またロボタクシーの画像も公開していない。

MotionalのIONIQ 5ロボットタクシーはすでに公道とクローズドコースでテストを開始しており、Lyftのプラットフォームに導入される前に、さらに何カ月ものテストと実世界での経験を経なければならない。Motionalはロボットタクシーが人間のドライバーよりも安全であると確信した時点でテストを完了するとしている。

MotionalはAptivと現代自動車が40億ドル(約4400億円)を投じて設立したジョイントベンチャーで、2020年12月にLyftとの提携を発表し、その計画にLyftが主に関与することを示した。Motionalは最近、ラスベガスの公道で無人運転技術のテストを開始したとも発表している。現代自動車のIONIQ 5はMotionalが公道で無人運転を行う2番目のプラットフォームだ。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:MotionalLyftHyundaiロボタクシー

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:塚本直樹 / Twitter

現代自動車が荷物運搬用でドローンに取り付けられる小型の「ウォーキングカー」ロボットを発表

Hyundai Motor Group(ヒュンダイ、現代自動車グループ)が新しい「ウォーキングカー」ロボットで帰ってきた。このロボットは車輪で道を走り、足で立ち上がって険しい場所を進む。荷物を運ぶ設計で、小さくてドローンで運べるというのが今回のコンセプトだ。

このTIGERは、現代自動車グループのUMV(Ultimate Mobility Vehicle、究極のモビリティビークル)開発の拠点であるカリフォルニア州マウンテンビューのNew Horizons Studioから生まれた、初の「無人」UMVコンセプトだ。名前のTIGERは、Transforming Intelligent Ground Excursion Robot(変形するインテリジェント地上移動ロボット)の頭文字をとっている。同社は2019年にCESで車輪走行と四足歩行で人間を運ぶコンセプトカーのElevateを発表したが、TIGERはこれに続くものでElevateより小さい。

画像クレジット:スクリーンショット / Hyundai

コンセプトが実際の製品になるとは限らないが、New Horizons Studio責任者のJohn Suh(ジョン・スー)氏はTechCrunchに対し、TIGERを「できるだけ早く」実用化したいと述べ、おそらく5年ほどかかるだろうと補足した。

スー氏によれば、今後2年間は核心となる技術的な問題の解決に取り組んで基本設計を固める。2023年と2024年にはベータプロダクトの段階に到達して、最終的に市販する前の高度なテストを開始するという。

TIGERの現時点でのバージョンは、大型のElevateと同様のモジュラープラットフォームアーキテクチャに基づいている。このロボットには足と車輪で移動するシステム、360度の方向制御、荷物を積載するストレージベイ、そしてリモートで観測するためのさまざまなセンサーが搭載される。ドローンに取り付けられる設計で、目的地まで飛行している間にロボットを充電できる。

TIGERは地形に応じて2つのモードで移動する。複雑でない平坦な地形ではロボットの足が格納され4つの車輪で移動する。TIGERが動けなくなったり、小さな壁や盛り土、丸太といった障害物を前方に見つけたりすると立ち上がり、車輪をロックして歩き出す。

今回発表されたのは、実験用のX-1と呼ばれているTIGERの初のバージョンで、今後New Horizonsから別バージョンが登場すると思われる。今回のTIGERは、エンジニアリングデザインソフトウェア企業のAutodeskとコンセプトデザイン企業のSundberg-Ferarの協力で作られた。

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画像クレジット:スクリーンショット / Hyundai

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Kaori Koyama)

AppleとのEV提携の可能性に関する報道で現代自動車の株価が20%以上アップ

韓国の現代自動車(ヒュンダイ)は、自動運転電気自動車の生産に向けた協議をApple(アップル)と行っていると報じられたが、現代自動車はその協議はまだ「初期段階」で、何も決まったことはないと軽く扱う姿勢を崩していない。しかし、公表前には固い秘密主義を貫くことで知られたAppleとの協業の可能性に触れたそのニュースは、韓国時間1月8日、Korea Exchange(韓国証券取引所)における現代自動車の株価を20%以上押し上げた(Yahooファイナンス記事)。

協議が最初に報じられたのはKorea Economic Daily(コリア・エコノミック・デイリー)紙上で、その内容は韓国の自動車大手である現代自動車自らがBloomberg(ブルームバーグ記事)に対して以下のように認めている。「Appleと現代自動車は協議中です、しかしそれはまだ初期段階で、何も決定されていません」。また、同社はCNBCに対しては「Appleが現代自動車を含むさまざまな世界的な自動車メーカーと協議中であることは知っています。議論は始まったばかりなので、何も決まってはいません」と語っている。

現代自動車の広報担当者はTechCrunchへのコメントを拒否した。また、Appleにはコメントを求めている最中である。

2020年12月、Reuters(ロイター)が報じたところによれば、Appleの自動車構想Project Titan(プロジェクト・タイタン)はまだ続いており、自動運転式の電気乗用車の開発が計画されているという。だがこの車の発売は2024年以降になると考えられている。

現代自動車は2020年8月に独自の電気自動車ブランドであるIoniq(イオニーク)を立ち上げた。今後4年間の間に3種類の完全電気自動車を市場に投入する予定だが、これは2025年までにバッテリー式電気自動車を100万台販売し、EV市場で10%のシェアを取る戦略の一環である。また、現代自動車は自動運転技術企業のAptiv(アプティブ)との合弁会社を設立し、2022年までにレベル4とレベル5の量産可能な自動運転システムを、ロボタクシー、車両運用業者、自動車メーカーに提供することを目標としている。Aptivとの提携は2019年に発表されている。

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タグ:現代自動車Apple自動運転電気自動車

画像クレジット:DIRK WAEM/AFP / Getty Images

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(翻訳:sako)

現代自動車がBoston Dynamicsを買収、ソフトバンクから80%の株式取得へ

正式に発表された。Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は現代自動車グループの一員になる(当然のことながら当局の承認次第ではある)。マサチューセッツ州ウォルサムに拠点を置くロボットメーカーの Boston Dynamicsは12月11日付けのプレスリリースで、韓国のテック企業が経営支配権を獲得すると明らかにした。Boston Dynamicsの企業価値を11億ドル(約1140億円)としたこのディールでは、現代自動車グループがBoston Dynamicsの株式の80%取得し、残り20%はソフトバンクが保有する。

この買収は、Boston Dynamicsにとってわずか7年の間に3回目の親会社変更となる。研究会社として四半世紀近く前に設立され(米国防高等研究計画局のような組織から資金援助を受けた)、2013年のGoogleによる買収で時のAndy Rubin(アンディ・ルービン)氏が率いる新しいロボティック部門の一部になった。

Google X Roboticsの大部分が解体された後、Boston Dynamicsは2017年に親会社が変わり、ソフトバンク傘下に入った。奇妙な組み合わせであり、ソフトバンクにとって厳しい年だったこともあって状況は改善しなかった。最も知られているロボットは人型ロボットPepper(ペッパー)であるソフトバンクに所有された後では、少なくとも現代自動車はBoston Dynamicsにとってより論理的な「ホーム」だ。

今回の買収についての初期の噂を報じる記事で指摘したように、現代自動車はロボット分野に大きな投資をしてきた。ここには、自動運転システム商業化のためのAptivとの合弁会社設立が含まれる。またUMV(ultimate mobility vehicles、脚を持つサイエンスフィクションのような乗り物)も発表した。

「繰り返しの作業や危険な作業を人間レベルのモビリティで自動で行うことができる最初のロボットをマーケットに投入し、Boston Dynamicsの商業事業は急速に成長してきました」とCEOのRob Playter(ロブ・プレイター)氏は買収に関するリリースで述べた。「当社と現代自動車はモビリティの変革力という視点を共有していて、最先端のオートメーションで世界を変え、引き続き顧客のために世界で最も困難なロボティクスの問題を解決する計画を加速させるために協業することを楽しみにしています」。

もちろんBoston Dynamicsはこの数十年、サイエンスフィクションと現実の境界線を曖昧にしてきた。しかし直近では、同社の高度な技術を商業化することに注力してきた。ソフトバンクのもとで、Boston Dynamicsはアイコン的存在のBig Dogを含め、何年もかけてロボティックのイノベーションに取り組み、四つ足ロボットSpotを立ち上げた。

Spotは昨年数量限定で発売された。現在は米国内で7万4500ドル(約770万円)という価格で販売されている。同社は、倉庫や仕分け作業関連目的のための車輪付きハンドルロボットの商業化も進めている。こちらは来年発売される見込みだ。ロボットの高度化と最終的な価格はかなりの懐疑論を巻き起こしたが、新型コロナウイルスによって企業が一時閉鎖を余儀なくされたことを受けて、投資家たちのロボットやオートメーションの企業に対する関心は高まった。

「現代自動車グループは、Boston Dynamicsがグループの製造能力やスケールメリットによる費用対効果にアクセスできるようにする戦略的パートナーとなります」とリリースにはある。「Boston Dynamicsは新たな資本、テクノロジー、関連顧客、そしてBoston Dynamicsのロボット製品の商業化機会を促進する現代自動車グループのグローバルマーケットへのアクセスの恩恵を受けるでしょう」

買収は来年6月までにクローズする見込みだ。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Boston Dynamics

画像クレジット: Boston Dynamics

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(翻訳:Mizoguchi)

ヒュンダイとAptiveの合弁会社がドライバーレス自動運転車両のテスト許可をネバダ州で取得

Aptive(アプティブ)とHyndai(ヒュンダイ)が自動運転車の商業化を目的に計40億ドル(約4165億円)を投資して設立した合弁会社Motional(モーショナル)は、完全無人の自動運転車両を公道で走らせる準備をしている。ネバダ州から走行許可を取得した。

同社の会長でCEOのKarl Iagnemma(カール・イアグンマ)氏は米国時間11月17日、安全ドライバーが乗り込まない自動運転車両のテストをネバダ州が許可した、とブログへの投稿で発表した。

といっても、そうした車両が明日からラスベガスの通りを走るわけではない。自身のAVスタートアップであるnuTonomy(ヌートノミー)が2017年にAptivによって買収されたイアグンマ氏はその後Motionalに移ったが、Motionalが今後数カ月を同氏がいうところの「自ら課した厳しいテストと評価の期間」の完了に費やすと話した。目下進行中のテストと評価の期間には、公道・私道での自動運転車両のパフォーマンス・安全の研究が含まれる。そうしたタイムラインに基づくと、ドライバーレス車両の公道でのテストは2021年初めに始まりそうだ。

イアグンマ氏はまた、Motionalが「世界で最も尊敬されている安全評価者」の1人と協業していることも明らかにした。その人物の名前は明かさなかったが、安全と評価の進展度合いについての詳細が数週間内に発表されるとTechCrunchに語った。

Motionalはラスベガスを多少は知っている。Aptiv Autonomous Mobility GroupとしてMotionalは、バックアップドライバーが運転席に乗り込んだ自動走行車両のテストをラスベガスで数年間行った。同社は2018年1月、CES期間中にロボタクシーサービスをテストするためにLyft(リフト)と1週間のプログラムを展開した。ドライバーが乗り込んでの一時的な実験は延長され、現在も展開されている。2020年2月時点で、LyftアプリのためのAptivの自動運転車両で10万回超の有料の乗車があった。

Aptivのラスベガスでの投資は乗車数が増えるにつれ拡大した。同社は2018年12月に自動運転車両、そしてソフトウェアとハードウェアのシステムのR&Dと認証、マッピングを行うエンジニアチームを収容するため、13万平方フィート(12万平方メートル)のテクニカルセンターを同市に開所した。

イアグンマ氏によると、完全ドライバーレスのテストは、ラスベガスにおけるLyftネットワーク上での同社の自動運転車両の展開とは別となる。

Motionalと命名されたヒュンダイとの合弁会社が、ラスベガスそしてピッツバーグなど米国内の他都市、そしてシンガポールや韓国など海外でも取り組みを進めている。目的は、左側走行や右側走行、炎天下、大雨、高速道路、街中の通り、環状交差点、制御されていない交差点などさまざまな国の道路環境でナビゲートできるAVテクノロジーを構築することだ、とイアグンマ氏は話す。

不明なのは、こうしたドライバーレスの車両がどこで展開され、いつ一般利用が可能になるのかということだ。もしMotionalが、ドライバーレスのサービスをフェニックスエリアで広く展開し始めたWaymo(ウェイモ)に続くのであれば、プロセスはゆっくりしたものになり、テストは数カ月続くことになりそうだ。

もう1つわからないのは、Motionalがドライバーレスのサービスを展開するのにLyftや他の企業と提携するかどうかだ。2020年10月、MotionalとオンデマンドシャトルのVia(ヴィア)は一般向けの共有ロボタクシーサービスを2021年上半期に米国の都市で立ち上げる計画を発表した。両社はその際、オンデマンド共有ロボタクシーサービスの「青写真」を描き、こうした車両がどのように大量輸送に組み込まれるかを理解することが目的だと述べた。Viaとの提携はまずセーフティドライバーが乗り込んだ車両で始まる。

提携とサービスについての詳細は乏しい。MotionalとViaはサービス展開都市を特定せず、 サービスを展開する地理的範囲、使用される車両の台数やタイプも明らかにしなかった。ただ、サービスはMotionalがすでに展開している米国の都市の1つで立ち上げられると述べた。つまりボストン、ピッツバーグ、ラスベガス、サンタモニカのいずれかになると考えられる。

関連記事:Via、現代自動車、Aptivが米国でロボタクシーサービスを2021年上半期に展開

カテゴリー:モビリティ
タグ:MotionalAptivヒュンダイ自動運転

画像クレジット:Motional

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(翻訳:Mizoguchi

ヒュンダイがBoston Dynamics買収でソフトバンクと交渉中と報道

Boston Dynamicsのオーナーがまた変わるかもしれない。Bloombergの記事によれば「事情に通じた筋」がそう語ったという。

韓国の大手自動車メーカーHyundai(ヒュンダイ)がBoston Dynamicsの買収に成功すれば三代目のオーナーとなる。この7年間でGoogle(グーグル)、次にSoftBank(ソフトバンク)グループが同社を買収してきた。Boston Dynamicsは4脚のBigDog、人間型のAtlasなどを含め、先進的なロボティクステクノロジーで世界に知られている。

TechCrunchではヒュンダイ、ソフトバンク、Boston Dynamicsの各社にコメントを求めている。回答があれば記事をアップデートする予定だ。

Boston Dynamicsは25年の間、主に開発研究と軍事用の応用に集中していたが、2017年にソフトバンクグループの一員となって以後、ロボットの商用化を積極的に推進し始めた。例えば同社は2019年に四足歩行ロボットSpotの販売を開始したが、チェルノブイリの放射能汚染の除去(The Telegraph記事)、ニューヨーク市警察のパトロール(New York Post記事)、新型コロナウイルス(COVID-19)治療のための遠隔医療など極めて広い用途で利用されている。

同社はまた車輪で移動するアームを持つHandleをフルフィルメントセンターなどの倉庫におけるパッケージ処理向けに提供している。これはパンデミックによって人手不足が生じている中で注目を集めているプロダクトだ。しかしながら、こうした先進的テクノロジーを用いたロボットは複雑かつ高価となり、量産・販売には困難な課題がある。また利用者側にも、十分なノウハウと多額の投資に耐える体力が必要だ。オーナーのソフトバンクはWeWorkへの投資失敗などもあり、2020年は波乱の年だった。

ソフトバンクのロボティクスに対する取り組みは、Aldebaran Roboticsが開発したPepperロボットでわかるように比較的シンプルな応用を主としているのに対して、ヒュンダイのビジョンはBoston Dynamicsのこれまでの歴史に近いといえる。ヒュンダイが2019年に発表したコンセプトカーであるElavate(Business Insider記事)は通常は4輪で走行するが、必要に応じて4脚に変身してどんな悪路も走破できることを目標としていた。つまり非常に高度なロボティクスを利用するものだった。

ヒュンダイは、2019年から自動走行車とロボティクスのテクノロジーに関心を示し始めた。同社は自動走行車開発のためにAptivと持ち分50%ずつのジョイントベンチャーでMotionalを創立(未訳記事)した。新会社の目標はレベル4からレベル5の段階の高度な自動走行テクノロジーの開発で、Hyndaiはこうしたテクノロジーを最終的に量産に結びつけようと狙っている。同社は2022年までに自動走行車の量産だけでなく、これを利用したロボタクシーの運用も目標としている。

Aptivとヒュンダイのジョイントベンチャーへの投資総額(研究開発費用や知財の価値を含む)は40億ドル(約4200億円)に上る。両社は当初、完全自動走行テクノロジーのテストは2020年までに開始され2022年の商業化を目指すとしていた。

実はヒュンダイはこれまで自動走行車にはさして多額の投資をしていいなかった。2019年10月には、次世代移動テクノロジー開発のために2025年までに41兆ウォン(約3兆8600億円)を投資するという計画を発表した。この資金の大部分は同社の自動車ラインナップのEV化に向けられるものだが、自動走行を含む各種の次世代テクノロジーにも強い興味があると述べている。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:ヒュンダイBoston Dynamicsソフトバンクグループ買収

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

後付け自動運転システムを開発する中国のスタートアップPony.aiが276億円の資金調達、評価額5476億円に

中国のスタートアップ、Pony.aiが自動運転車ビジネスに参入したのは比較的新しいが、2億6700万ドル(約276億円)のベンチャー資金の調達に成功して53億ドル(約5472億円)の会社評価額を達成した。

今回のラウンドはカナダの教員年金基金を運用するTIPがリードした。画期的なテクノロジーを持つ後期スタートアップの成長を助けることを主な目的としている。ラウンドには中国のFidelity China Special Situations PLC、5Y Capital(以前のMorningside Venture Capital)、ClearVue Partners、Eight Roadsもパートナーとして参加している。資金は主として同社の研究開発に使われるという。

Pony.aiは創立以来4年の間に投資家、OEM、一次下請メーカーの支持を得ることに成功した。中国とカリフォルニアに拠点を持つ同社は、2020年初めのトヨタ自動車からの4億ドル(約413億円)を含めて(Pony.aiリリース)総額10億ドル(約1033億円)以上の資金を調達している。Ponyはトヨタ、Hyundai、Boschなどの著名な自動車メーカー、部品メーカーと提携している。

Ponyが開発している「バーチャルドライバー」は自動車というハードウェアに依存せず、乗用車からトラックまでモデルを問わず後付けできる自動運転システムだ。これは自家用車からライドシェアリング、ロジスティックスまで広い利用範囲を狙っている。同社によればすでに2019年に自動車関連メーカーに長距離輸送トラック向けのテクノロジーを提供していたという。しかし一般に最もよく知られているのは自動運転車によるタクシーサービス、いわゆるロボタクシーだろう。

Ponyはカリフォルニア州フリーモントとアーバイン、中国の広州でライドシェアリングと通勤システムのテストを開始している。Ponyによれば2019年にHyundaiの電動車、KonaとViaのロボタクシー、BotRideに同社の自動運転システムが搭載され公道で通勤用タクシー業務をテストした。これは完全な無人運転ではなく安全確保のために運転席には常に人間のドライバーがいた。BotRideのパイロットプログラムは2020年1月に終了した。

この後、Ponyはカリフォルニア州アーバイン地区でPonyPilotというロボタクシーの公開テストを始めている。新型コロナウイルスによるパンデミックに対応してPonyのロボタクシーも通勤などのシャトルサービスから企業向けパッケージサービスに重点を移している。2020年4月にPony.aiは通販プラットフォーム、Yamibuyに協力し、アーバイン地区で宅配業務の戸口配達部分、いわゆるラストワンマイルを実施することを発表した。Pony.aiは「パンデミックによりオンライン通販の需要が急増し、配送能力が逼迫している中、私たちのサービスは宅配能力の拡大を助けます」と述べている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Pony.ai資金調達

画像クレジット:Pony.ai

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Via、現代自動車、Aptivが米国でロボタクシーサービスを2021年上半期に展開

Hyundai(ヒュンダイ、現代自動車)とAptiv(アプティブ)の合弁企業Motional(モーショナル)と、オンデマンドシャトルスタートアップのVia(ビア)は2021年上半期に米国の都市の公道でロボタクシーサービスを展開する計画だ。オンデマンドシェアリングロボタクシーの「青写真」を描き、こうしたドライバーレスの車両をどれくらい大量輸送機関に統合できるかを調べるのが目的だ、と各社は話した。

今回の提携とサービスについて、詳しいことはまだわかっていない。詳細は後日明らかにすると語り、サービスを展開する都市、サービスの対象となる地理的範囲、使用される車両の台数やタイプについての情報はなかった。明らかにしたのは、Motionalがすでに事業を展開している米国の都市の1つでサービスを立ち上げる予定で、ボストン、ピッツバーグ、ラスベガス、サンタモニカから絞り込むということだ。

画像クレジット:Via

提携によりMotionalの自動走行車両は、Viaのプラットフォームにコネクトする。Viaのプラットフォームは予約、ルート案内、乗客と車両の割り当て、身元確認、顧客エクスペリエンス、車両管理などに対応する。今回の提携は、MotionalがラスベガスでLyft(リフト)と結んでいるものと似ている。

提供しようとしているロボタクシーはまだ「ドライバーレス」サービスではない。すべての自動走行車両の運転席にはセーフティオペレーターが乗り込む。しかし、商業展開の開始を目指していると周知した上で、MotionalとViaはサービス提供でユーザーに料金を請求できる。ユーザーは一般市民に提供されているViaのプラットフォーム経由でロボタクシーサービスを利用できる。このプラットフォームでは、Waymoのアーリーライダープログラムで採用されているプラクティスと同様、ユーザーがあらかじめ審査されたり、秘密保持契約にサインしなければならないということはない。

トランジットネットワークの一環であるオンデマンドのシェアリングロボタクシーサービスの商業展開に向けてはハードルだらけだ。車両はオンデマンドで、最適なルートを選択し、複数の乗客とシェアされるものでなければならない、とMotionalとViaはいう。新型コロナウイルスのパンデミックが事態をさらに複雑なものにしているが、ただチャンスでもあるとMotional社長兼CEOのKarl Iagnemma(カール・イアグネマ)氏は指摘する。

「新型コロナが交通機関についてのとらえ方や消費者需要をよりフレキシブルにし、またさまざまなオプションをともなものへと変えているという特殊な時期にこのパートナーシップは結ばれた」とイアグネマ氏は発表文で述べた。同氏は、調査対象となった米国人の70%が新型コロナ感染リスクが交通手段の選択に影響を与えてると答え、5人に1人がパンデミック以前よりも自動運転に関心がある、とするMotionalが最近行った調査(Medium投稿)に言及した。

ViaとMotionalは、パーテーション、マスクのような個人防護具、頻繁な消毒、車両利用者の健康と安全を確保するための接触追跡など幾重もの安全策を講じてサービスが提供されると述べた。

自動走行車両を配車するためにプラットフォームをどのように使うことができるか、Viaはすでにテストとデモンストレーションを行った経験がある。2019年10月にVia、現代自動車、中国AV企業のPony.aiはカリフォルニア州アーバインでBotRideサービスを提供すべく提携した。このサービスでは、Pony.aiの自動運転システムとViaの配車サービスプラットフォームを活用した現代自動車の電動自動走行車Konaクロスオーバーを展開した。またViaはNavyaとAurrigoとともに、豪州ニューサウスウェールズ州での「BusBot」AVサービスでデモンストレーションも行った。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Via現代自動車AptivMotional自動運転

画像クレジット:Motional

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(翻訳:Mizoguchi