アマゾンの最新Echo Buds 2は恥知らずなアップルの模造品

これがAmazon(アマゾン)の最新ハードウェア製品で、デザインを一新したAlexa(アレクサ)のワイヤレスイヤフォンだ。TechCrunchはこの発表を取り上げ、スペックと機能を紹介した。もちろん動作も問題ないだろうが、そのケースのデザインはApple(アップル)のAirPod Proをそっくり真似ている。

これはただの怠慢だ。

アマゾンは長い間、他の製品の類似品、模倣品、クローンを販売し宣伝してきた。同様に、アマゾンは同じ行為をしたとしてサードパーティーの販売業者を訴えている。同社はまた、企業に投資し後にその製品のクローンを作ったとして非難されている。2020年にJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)CEOは議会の公聴会でこの件について証言したが、同社がこのプロセスを終わらせる保証はない。多くの場合、アマゾンがコピーする製品は同社のような巨大企業と戦うためのリソースを持たない、小さなスタートアップのプロダクトだ。

関連記事:アマゾンのAlexaイヤフォンの新モデルEcho Buds2はさらに小型化、ワイヤレス充電対応

2021年3月、カリフォルニアに拠点を置くPeak Design(ピークデザイン)は、アマゾンがピークデザインのトップ製品の1つを堂々とコピーしたことをYouTubeで抗議した。同社が指摘しているように、アマゾンのコピー商品は低品質な素材で作られた安価な模造品であり、ピークデザインのように倫理的な製造方法を採用していない。動画は瞬く間に拡散し450万回以上視聴され、アマゾンのいかがわしい慣行を浮き彫りにした。

最新のEcho Budsでは、アマゾンは小さなスタートアップではなく、マーケットリーダーをコピーした。要約すると、1兆ドル(約110兆円)以上の企業価値を持つ同社が2兆ドル(約220億円)の企業価値を持つアップルのベストセラー製品と、本質的に同じように見える製品をリリースしたということだ。

Echo Budsはアップルの250ドル(約2万7000円)のAirPod Proよりもずっと安い。標準のEcho Budsは100ドル(約1万1000円)、ワイヤレス充電機能つきのEcho Budsは120ドル(約1万3000円)だ。アマゾンがコピーしたのは、どこにでもあるAirPod Proケースだけだ。

ここでは消費者が敗者となる。多くの国よりも多くの資源を持っているため、アマゾンは世界レベルの製品を生産することができるが、ライバルの市場をリードする製品をコピーすることにした。結局のところトレンドを作るよりも、トレンドを追う方が簡単(かつ安価)なのだ。

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画像クレジット:Amazon

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(文:Matt Burns、翻訳:塚本直樹 / Twitter

アマゾンのAlexaイヤフォンの新モデルEcho Buds2はさらに小型化、ワイヤレス充電対応

Amazon(アマゾン)が最初のEcho Budsを発売してから、約1年半になる。TechCrunchは製品をレビューしたが、その評価はそれなりだった。Echo Budsは若干安かったものの、この分野では厳しい競争に晒されており、正直なところ、Alexa(アレクサ)を頭部に装着するというアイデアは、私にとってあまりエキサイティングなものではなかった。

しかし、この分野での最初の試みとしては悪くなかった。そしてアマゾンは今回、最初の製品にいくつかの微調整を加えて、2度目の挑戦をしている。1番のポイントは、20%の小型化と軽量化を実現した新デザインだ。ノズルが小さくなりイヤーチップが4サイズになったことで、より長時間快適に装着できるはずだ。また、イヤフォンはIPX4の耐汗性と耐候性を実現している。

画像クレジット:Amazon

アマゾンは前モデルに採用されていたBose(ボーズ)のノイズキャンセリング機能から独自の技術に移行し、初代モデルと比較して2倍の効果があるとしている。また、AirPodsのようにQiによるワイヤレス充電に対応したケースも、オプションで用意されている。特に白いケースは、かなり見覚えがある。

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このケースは120ドル(約1万3000円)と、USB-Cケースよりも20ドル(約2200円)高い。なお、アマゾンは標準ケースを100ドル(約1万1000円)、ワイヤレス充電ケースを120ドルで販売するキャンペーンを実施している。また、Amazon Music UnlimitedとAudible Plusを6カ月利用できる特典も付属する。新型イヤフォンにはホワイトカラーも用意されている。製品は米国時間4月14日から予約受付を開始し、5月に出荷が開始される。

画像クレジット:Amazon

今後のソフトウェアアップデートでは、ヘッドフォンに新しいVIPフィルターが搭載される予定だ。Echo Frameでも導入されたこの機能では、ユーザーは特定の送信者からの通知をフィルタリングできる。またAlexaだけでなく、SiriやGoogle アシスタントにもアクセスできるように設定できる。

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タグ:AmazonAmazon Alexaイヤフォン

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(文:Matt Burns、翻訳:塚本直樹 / Twitter

アマゾンの労組結成賛否を問う従業員投票結果を受け米労組会長が「再選挙の可能性が高い」と語る

Amazon(アマゾン)のアラバマ州ベッセマー倉庫で行われた労働組合結成の賛否を問う従業員投票で、米国時間4月9日に明らかになった開票結果がどうであれ、AmazonとRWDSU(小売・卸売・百貨店労組)の戦いに終わりがないことだけは確かだった。圧倒的にAmazon有利となった開票結果を受け、組合はすぐにその結果に異議を唱えた。

RWDSUは、賛成も反対も50%を超える票がなかったことを受け、Stuart Appelbaum(スチュアート・アッペルバウム)会長の声明をいち早くTechCrunchに提供し「我々は、この選挙を腐敗させたAmazonの行動について包括的な調査を要求する」と述べている。

Amazonは、当然のことながら、すぐに勝利宣言を行った。「Amazonスタッフ」とクレジットされたブログ記事の中で、同社は次のように書いている。

アラバマ州のBHM1フルフィルメントセンターの従業員のみなさん、選挙に参加していただきありがとうございました。この数カ月間、さまざまな意見が飛び交っていましたが、最終的にみなさんの総合的な声が聞けたことをうれしく思います。結局、BHM1の従業員のうち、RWDSUの組合に加入する方に投票した人々は16%以下でした。この選挙でAmazonが勝利したのは、私たちが従業員を威嚇したからだと組合側がいうだろうことは容易に想像がつきますが、それは事実ではありません。

会社側は選挙が「終わった」と言っている一方で、RWDSUは、将来的にベッセマー倉庫で労働組合が結成される可能性と、この運動が今後のAmazonにおける組合結成活動にどのような意味を持つことになるかという両面において、まだ希望を持っている。

アッペルバウム会長は、米国時間4月9日早朝に行われた記者会見で、Amazonが労働者に対し、職を失いたくなければ組合に反対票を投じる必要があると伝えていたことを示唆した。

「私たちは、再選挙の可能性が非常に高いと考えています」と、組合長はメディアに対して語った。「Amazonがこれを勝利と考えるならば、考え直した方がいいと思います。せいぜい、ピュロスの勝利に過ぎません。この期間に何が起こったかを見てください。私たちはAmazonの非道な労働環境を、誰もがわかるように暴露したのです」。

アッペルバウム氏の発言の一部は、ノルマの厳しさを懸念して労働者が飲料水用ボトルに排尿していたという数々の報道について言及していると思われる。Amazonは、明らかにJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)CEOの指示で積極的なソーシャルメディア・キャンペーンを展開する中で、当初は上述のような報道を否定していた。しかし、数々の反論的報道を受け、一部のドライバーに該当する可能性があることを認めた。そしてすぐに、だがそれは広範な業界の問題であるとして責任を転嫁した。

「Amazonが勝ったのではなく、社員が組合加入に反対するという選択をしたのです」と、同社は投稿の中で続けている。「従業員はAmazonの心であり、魂です。私たちは常に従業員の声に耳を傾け、彼らのフィードバックを受け、継続的な改善を行うことに懸命に取り組み、安全で包括的な職場で優れた給与と福利厚生を提供するために多額の投資を行ってきました。私たちは完璧ではありませんが、我々のチームと自分たちが提供しているものを誇りに思っています。そしてこれからも日々向上するために努力を続けていきます」。

RWDSUの異議で鍵となりそうなカ所は、Amazonが全米労働関係委員会(National Labor Relations Board)の規定に反して、USPS(米郵便公社)に圧力をかけて設置させたという投票箱だ。アッペルバウム氏は、この投票箱が「監視されているような印象を従業員に与えた」と述べている。

同氏は、RWDSUがすでにAmazonの他の施設で働く従業員と連絡を取り合っていると付け加え「この選挙の前に、すでに他の施設の労働者とも話し合いを始めています」と説明した。

その後、Amazonは投票箱について次のような声明を出した。「我々は最初から、すべての従業員に投票して欲しいと言っており、簡単に投票できるようにするためにさまざまなオプションを提案しました。しかし、RWDSUはあらゆる場面でこれらに対抗し、郵送のみによる選挙を推し進めましたが、それでは投票率が下がることが、NLRB自身のデータからわかっていました。USPSだけがアクセスできる郵便箱を設置することは、従業員が簡単に投票できるようにするための、シンプルで安全な、完全に任意の方法であり、それ以上でも以下でもありません」。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Amazon労働組合労働問題

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アマゾンが労働組合結成をめぐる投票で勝利確定、RWDSUは結果に異議

Amazon(アマゾン)のアラバマ州ベッセマー倉庫における労働組合結成に向けた取り組みは、開票2日目に大差で敗北したことがわかった。3215票のうち半数以上が会社を支持する結果となったのだ。この投票が可決された場合、労働組合の役割を果たすことになっていた小売・卸売・百貨店連合(RWDSU)は、この結果にいち早く異議を唱えた。

RWDSUのStuart Appelbaum(スチュアート・アッペルバルム)会長は、TechCrunchに提供された声明の中で次のように述べている。

Amazonは、自社の従業員をガスライティングするためにあらゆる手段を講じてきました。私たちは、Amazonの嘘、ごまかし、違法行為を許すことはできないため、組合投票の際にAmazonが行ったひどい違法行為のすべてを正式に告発します。Amazonは、たとえ違法行為であっても、できる限りのことをしなければ、労働者が組合結成を支持し続けるだろうということを十分にわかっていたのです。

だからこそ、Amazonは、全従業員に虚偽と嘘に満ちた説明を何度も行う必要があり、労働者は会社から組合反対要求を聞かされることになりました。また、だからこそ、Amazonは、インターネットや電波、ソーシャルメディアを利用して、誤った情報の宣伝を流したのです。だからこそ、Amazonは、何十人もの外部の人間や組合潰しの人間を連れてきて、倉庫の床を歩かせたのです。だからこそ、Amazonは、施設内のいたるところに看板を設置し、従業員にテキストメッセージを送り、自宅には電話をかけてきたのです。そして、だからこそ、Amazonは、労働権が認められている州で、組合費が毎月給料から徴収されると嘘をついたのです。Amazonの行為は卑劣なものです。

この最初の敗北は、Amazonの27年の歴史の中で組合結成に向けた最大の取り組みが、大きく後退したことを意味する。これは小売業の巨人とブルーカラーの技術労働者の双方にとって大きな変化をもたらす可能性があったが、今のところ、圧倒的な敗北を喫している。

当然ながらAmazonは、労働者を適切に扱っているため、このような組合活動は必要ないと、長いこと主張してきた。その論拠として、同社は時給15ドル(約1640円)の最低賃金などの基準を挙げているが、これも当初は抵抗していたものの、最終的には議員からの圧力を受けて導入したものだ。

今回は双方にとって厳しい戦いとなった。Bernie Sanders(バーニー・サンダース)氏からMarco Rubio(マルコ・ルビオ)氏まで、多くの議員が党派を超えて組合結成のために力を貸した。後者の保守派のフロリダ州上院議員は、同社の「独自で悪質な企業行動」を指摘した。また、Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領も労働者側に立ち、自らを「史上最も組合びいきの大統領」と称した。

Amazonがこの結果を正当なものと主張することは疑う余地がない。同社は以前の声明で「我々の従業員は賢明で、時給15ドル以上の初任給を得て、初日から健康管理が受けられ、そして安全で包括的な職場という真実を知っています。すべての従業員に投票をお勧めします」と述べていた。

このニュースを受けたブログ記事で、同社は次のように述べている。

この選挙でAmazonが勝ったのは、私たちが従業員を威圧したからだと組合がいうだろうことは容易に想像できますが、それは真実ではありません。当社の従業員は、我々から聞いたメッセージよりも、組合や政策立案者、メディアから反Amazonのメッセージを聞くことの方がはるかに多かったのです。そして、Amazonが勝ったわけではありません。私たちの従業員が、組合への加入に反対するという選択をしたのです。従業員はAmazonの心であり、魂です。私たちは常に従業員の声に耳を傾け、彼らのフィードバックを受け、継続的な改善を行うことに懸命に取り組み、安全で包括的な職場で優れた給与と福利厚生を提供するために多額の投資を行ってきました。私たちは完璧ではありませんが、我々のチームと自分たちが提供しているものを誇りに思っています。そしてこれからも日々向上するために努力を続けていきます。

労働委員会の規約に違反してアマゾンが設置したとされる投票箱に対する疑念も残っており、これについても組合からの異議申し立てが予想される。

「倉庫の敷地内に投票箱を設置するというAmazonの要求をNLRB(米労働関係委員会)が明確に拒否したにもかかわらず、Amazonは自分たちが法律を超えた存在であると感じ、ともかく郵便公社と協力して投票箱を設置した」と、RWDSUは書いている。同社がこのようなことをした理由は、それが労働者を威嚇する明確な手段を提供するからです」。

約6000人の労働者を雇用するAmazonのベッセマー倉庫は、ロックダウンが差し迫る中、同社が必要不可欠な労働者の運用を拡大するため、2020年3月末に開設したものだ。この件に関する報道では、厳しい就業基準を満たすために従業員が飲料水用ボトルに放尿しているという多数の報告をはじめ、同社のブルーカラー労働者の扱いをめぐるさまざまな長年の不満が表面化している。

Amazonは当初、ソーシャルメディア上でこれらの主張を否定していたが、後に謝罪の意を表したものの、業界全体の問題に責任を転嫁するような姿勢を示した。また、同社は子会社のストリーミング・プラットフォームであるTwitch(ツイッチ)で、反組合的な広告を流していたが、Twitchは「掲載を許可すべきではなかった」との声明を出し、広告を取り下げたこともある。

開票された3215票は、アラバマ州の倉庫で働く労働者の半数以上を占める。Amazonがその半数以上を獲得したにもかかわらず、集計は継続される。労組結成の挑戦は数週間にわたり続く可能性がある。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Amazon労働組合労働問題

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アマゾンの倉庫労働者による組合員投票は圧倒的に会社有利に

アラバマ州ベッセマーにあるAmazon(アマゾン)の倉庫労働者のための組合投票が終わってから1週間あまりが経過した。その間は、台風の目のように何事も静かだった。しかし米国時間4月8日、本格的に開票が始まったことで状況は変わった。これまでのところ、激しい反組合運動の結果、劇的に会社有利に展開している。にはかなり劇的な好材料となっている。

4月8日の時点で反対票は賛成票の倍以上の1100対463となっている。4月9日に集計は再開され、終了する見込みだが、労働組合の役割を果たす可能性のあるRWDSU(小売・卸売・百貨店労組、Retail, Wholesale and Department Store Union)はAmazon側の戦術を非難している。

RWDSUのStuart Appelbaum(スチュアート・アペルバウム)理事長は「システムが壊れており、Amazonはそのことを最大限に利用した。私たちは州労働委員会に訴えて、キャンペーンにおける同社の違法で悪質な行為について、Amazonの責任を求めるつもりだ」とTechCrunch宛の声明で述べている。「しかし、誤解のないように言っておくが、これはそれでもなお労働者にとって重要な瞬間であり、彼らの声は聞かれるだろう」。

このコメントは、Amazonが選挙期間中にとった行動と、結果に対する異議申し立てに備えてのものであるようだ。この数字は、現在集計中の3215票のうちの約半分に相当し、同社にとっては、組合活動の敗北まであと500票というところまできている。

Amazonにアペルバウム氏のコメントに対する返答を求めたが、まだ得られていない。1カ月前にTechCrunchにくれたコメントで同社は、アペルバウム氏にあまり良い言葉を与えず、彼のことを「偽情報最高責任者(Chief Disinformation Officer)と呼び、「長年衰退している組合を救うために、(彼は)オルタナティブファクトのレベルを未曾有の高いレベルに上げてしまった」と述べている。

集計の最終結果に関わらず、このプロセスは長引くことになりそうだ。苦情の中には、同社がUSPS(米郵政公社)に違法な投票箱を設置させ、その過程で全米労働関係委員会の裁定を破ったという報道もある。

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画像クレジット:PATRICK T. FALLON/AFP/Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

【コラム】頻繁に耳にする「巨大テック解体論」はまちがっている

本稿の著者T. Alexander Puutio(T・アレクサンダー・プーティオ)氏はレナード・N・スターン・スクールの非常勤教授であり、トゥルク大学での研究をAI、技術、国際貿易、開発の相互作用に捧げている。本稿で表現された意見はすべて彼のものだ。

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Big Tech(ビッグテック、巨大テック企業)との蜜月時代は、表向きは終わったと言ってもよさそうだ。

疑わしいデータ処理手続き、恣意的なコンテンツ管理ポリシー、明白な反競争的慣行が長年にわたり続いてきたのだ。ここで少し立ち止まってビッグテック業界との関係を考え直すのは当然のことだろう。

残念なことに、ビッグテックの解体を求める声をはじめとする、大方の注目を集めている意見のほとんどは、健全な経済学的思考というより、報復的な妄想から生まれている。

我々は、扇動的で成功の見込みが限りなく低い計画やゼロサム的解決策を追いかけるのではなく、スタートアップや競合他社独自のデジタル市場にとって公平な競争の機会を設け、ビッグテックが規模の拡大と同時により優れた企業に成長していくよう取り組むべきだ。

関連記事:EU競争政策担当委員の提言「巨大ハイテク企業を分割してはいけない、データアクセスを規制せよ」

大方の注目を集めている意見のほとんどは、健全な経済学的思考というより、報復的な妄想から生まれている。

20世紀の議員たちが、産業の寵児から停滞をまねく破壊的勢力へと変貌した鉄道独占企業をどのように抑制したかを見れば、その取り組みのヒントが得られるだろう。

問題は変わらない

100年以上前、急速に工業化が進む米国は、テクノロジーディスラプション(創造的破壊)がもたらした想定外の事態に直面していた。どこかで聞いたことがあるような話だ。

本格的な蒸気機関車が初めて登場したのは1804年だが、より強力で貨物に適した米国式の蒸気機関車が導入されたのは1868年になってからだ。

効率性が高く貨物に適した機関車は、野火のように急速に広がり、やがて鋼と鉄が山を貫き、ほとばしる川を飛び越えて、全米各地を結び付けた。

すぐに鉄道の走行距離は3倍になり、全都市間交通の実に77%、旅客事業の98%で鉄道が利用されるようになった。これにより、コスト効率のよい大陸横断旅行の時代が到来し、国全体の景気に大きな変化が訪れた。

画期的な技術の黎明期にはよく見られることだが、成功の初期段階には大きな人的損失がともなうものだ。

鉄道業界では当初から虐待や搾取が横行し、例年、労働者の3%近くが負傷したり死亡したりしていた。

やがて鉄道信託の所有者は、世間から広く非難を浴びる実業家グループの大部分を占めるようになり、いわゆる「悪徳資本家」と呼ばれるようになった。そして、そのような企業は行く手にあるものすべてを搾取し、競合他社、特に新規参入者を困窮させた。

鉄道会社の経営者たちは、慎重に構築されたウォールドガーデン(顧客の大規模な囲い込み)を維持することで自らの利益を確保し、強要や排除といったあらゆる手段を使って競合他社を破産に追い込んでいった。

鉄道の所有者から見れば、こうした方法は大成功を収めたが、競争が阻害され、消費者重視の視点が完全に欠落した世間には停滞ムードがただよった。

歴史は繰り返す

人間は過去の経験から学ぶことが苦手なようだ。

実際、ハイテク産業に対して我々が抱く懸念のほとんどは、20世紀の米国人が鉄道信託に対して抱いていた反対感情と同じである。

当時の悪徳資本家と同じように、Alphabet(アルファベット)、Amazon(アマゾン)、Apple(アップル)、Facebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)などは、競合他社やスタートアップが入る余地をほとんど残さず、取引の大動脈を支配するようになった。

ビッグテックは2桁のプラットフォーム料金を導入し、決済プロトコルに厳しい制限を設け、独自のデータやAPIを専有することで、人工的な参入障壁を築き、競合他社がビッグテックの成功を事実上まねできないようにした。

ここ数年、大手テクノロジー企業はAmazonBasics(Aamzonベーシック)のようなプライベートブランドを提供することで、サードパーティーソリューションのカニバリゼーション(共食い)に取り組んできた。その結果、ビッグテックの顧客は、プラットフォーム所有者に競争力を弱められ、完全に先手を打たれていることに気づくことになった。

以上を踏まえると、米国におけるテック系スタートアップの創業ペースが何年も前から低下しているのは当然の流れだ。

実際、Albert Wenger(アルバート・ウェンガー)氏のようなVC界のベテランたちは、ビッグテック周辺にある「キルゾーン」に注意するよう呼びかけており、もし我々が大規模なハイテク複合企業の競争的周辺部を再活性化する方向に向かっているなら、早急に何らかの手を打つが必要がある、と警告している。

ビッグテック解体論を止めるべき理由

20世紀に独占的な鉄道信託を管理するために策定された戦略から、ビッグテックに対処する上で役立つ教訓を読み取ることができる。

戦略の第1段階として、議会は1887年に州際通商委員会(ICC)を設立し、合理的かつ公正な価格で専用鉄道網を利用できるように管理する任務をICCに与えた。

しかし、ICCの活動は政党主導であったため、ICCにはほとんど権限が与えられなかった。1906年に輸送機能と貨物の所有権を分離するヘボン法が議会で可決され、本当の意味での進展がようやく見られるようになった。

議会は、独自のプラットフォームで私的金融取引や二重取りを行うことを禁止し、既存の競合他社と新規参入企業の両方が同じ条件でプラットフォームを利用できるようにした。つまり、複雑に絡み合って抜け出せなかった搾取的な慣行が排除され、現在の米国の繁栄を支える根幹が形成されたのだ。

これは、鉄道信託を細かく解体するだけでは決して実現できなかったことだ。

実際のところ、プラットフォームやネットワークは大きい方が関係者全員にとって有利だ。大きい方がより高いネットワーク効果を得られるし、小規模なプラットフォームを凌駕するその他の要因もいくつかある。

最も重要なことは、アクセスと相互運用性のルールを適切に設定すれば、より大規模なプラットフォームでより幅広いスタートアップやサードパーティを支えられるようになるため、経済のパイの縮小ではなく拡大が可能になるということだ。

デジタル市場をスタートアップの味方につける

パンデミック後の経済活動では、テックプラットフォームを縮小するのではなく、規模の拡大に合わせて優れたプラットフォームに成長させることに注目すべきだ。

第1段階で必要なことは、スタートアップと競合他社が公正な条件と適正価格でこれらのプラットフォームにアクセスできるようにすることだ。

現在、政策立案者が実施できる具体的な措置は他にも多数ある。例えば、データ可搬性に関するルールの書き換え、プラットフォーム間のより広範な標準化と相互運用性の推進、ネットの中立性の再導入は、今日の業界の問題に対処するのに大いに役立つだろう。

Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領が最近、連邦取引委員会(FTC)の次期委員として、「アマゾンを反トラストだと主張する急先鋒」 Lina Khan(リナ・カーン)氏を指名したことで、こうした変化が実現する可能性は突如として高まった。

最終的には我々全員が、巨人の肩の上に立ち(先人たちの知恵を借りながら)、巨人が作ったプラットフォームの上で力強く成長するさまざまなスタートアップや競合他社から恩恵を享受できるようになるだろう。

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画像クレジット:Martin Poole / Getty Images

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(文:T. Alexander Puutio、翻訳:Dragonfly)

「Amazonではない」小売業者の即日配達を可能にするSwyftが19.2億円を調達

Amazon(アマゾン)やWalmart(ウォルマート)のような大手サービスのおかげで、私たちは翌日発送や即日発送に慣れてしまった。しかし、パンデミックはもっと小さな店や会社から買うことの価値をを再認識させている。

つい最近シリーズAで1750万ドル(約19億2000万円)を調達したSwyft(スウィフト)は、どんな規模の小売店でも即日発送できるようにする会社だ。ラウンドをリードしたのはInovia CapitalとForerunner Venturesで、他にShopifyと既存出資者のGolden VenturesとTrucks VCが参加した。
Swyftは運送業者とメーカーをつなぐマーケットプレイスだ。しかしこの会社は、輸送業者が効率を上げるためのソフトウェアを提供することで巨大な輸送ネットワークを構築し、各自がインフラに手を加えることなく、もっと荷物を扱えるようにする。

つまり、地域の運送業者は、本来の経路を大きく変更したり運転手やトラックを追加したりすることなく、Swyft経由で発送される荷物の配達に加わることができる。

これまでは配送、小売両方の大手企業がこの分野を支配してきたが、それは迅速な配達能力によるところが大きい。Swyftは家族経営の小売店、ベンダーから小さな地域運送業者まで、スモールプレイヤーだけからなる軍団を作ろうとしている。ソフトウェアを通じて結束することで、これらの運送屋と店は大金を使うことなく、巨人たちの規模と影響力に対抗することができる。

SwyftはCEOのAadil Kazmi(アーディル・カズミ)氏、技術責任者のZeeshan Hamid(ジーシャン・ハミッド)氏、営業責任者のMaraz Rahman氏(マラズ・ラーマン)の3名が共同設立した。カズミ氏とハミッド氏はAmazonで働いた経験があり、データおよびラストマイル運用の仕事を担当していた。ラーマン氏は、Y Combinatorが支援する不動産テックスタートアップの初期社員だった。

3人は2020年初めに、なぜ小売店は即日発達できないのかを自問し、そこで見つけたギャップに取り組むことを決めた。

Swyftの目玉は集約した運送業者そのものではなく、彼らに提供するソフトウェアだ。Swyftは集まった運送業者の需要を増やすので、彼らの効率を高めることも必要になる。バックエンドソフトウェアは、運送業者が伝統的に手作業で行っていたことの大部分をデジタル化あるいは自動化する。

カズミ氏によると、Swyftは伝統的方法と比べて25~30%安く利用できるという。

「みなさんの買い物の何パーセントがAmazonからなのかは知りませんが、私の場合は150%みたいなものです」とForerunner VenturesのEurie Kim(ユーリー・キム)氏はいう。「パンデミック下にどこか他のところで買い物をして地域や個人のブランドを応援したいのですが、Amazonは私たちをスピードと送料無料に慣れさせてしまいました。消費者の選択肢が狭まり、商売人の負荷が著しく重くなっているこの状態には、チャンスがあると感じています」。

現在、Swyftには16名の正規従業員がいて、12%が女性で75%は有色人だと会社はいう。

2020年4月以来、Swyftは18万件の荷物を扱い、粗利益率は78%から82%に伸びた。これはソフトウエア部門の売上と設備を持たないゼロアセットモデルによるところが大きい。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Swyft資金調達eコマース配送Amazon

画像クレジット:Swyft

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(文:Jordan Crook、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アマゾンのスマートディスプレイ「Echo Show 10」がZoomとAmazon Chimeをサポート

アマゾンのスマートディスプレイ「Echo Show 10」第3世代がZoomとAmazon Chimeをサポート米アマゾンの首振りスマートディスプレイ「Echo Show 10」で、会議アプリのZoomが利用できるようになりました。

Echo Show 10は、10インチディスプレイを搭載したスマートディスプレイ。日本では14日に発売予定です。音声アシスタント「Alexa」と組み合わせることで、音声だけでなく画面表示でも天気予報やニュースなどを知ることができます。インカメラ内蔵。本体には回転機構を採用しており、ユーザーがいる方向へ自動で回転してくれます。

今回のZoom通話機能では、カレンダーをAlexaアプリに紐付けることで、ミーティングIDとパスワードを利用してZoom会議に参加することができます。またAlexaに直接ログイン情報を伝え、Zoomへの参加を音声でお願いすることも可能です。

さらに、アマゾンのビデオ会議ツール「Amazon Chime」も、ZoomとともにEcho Show 10へと配信されています。これまでも利用可能だったAlexa通話やSkype(スカイプ)とともに、Echo Show 10で外部と動画で繋がれる手段がまた増えることになります。

(Source:SlashGearEngadget日本版より転載)

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タグ:Amazon / アマゾン(企業)Amazon Echo Show 10(製品・サービス)Amazon Chime(製品・サービス)Skype(製品・サービス)スマートディスプレイ(用語)Zoom(製品・サービス)ビデオチャット / ビデオ会議(用語)リモートワーク / テレワーク(用語)日本(国・地域)

全米労働関係委員会がアマゾンを批判した元社員の解雇を「違法な報復行為」と認定

Amazon(アマゾン)は2020年、Emily Cunningham(エミリー・カニンガム)氏とMaren Costa(マレン・コスタ)氏を解雇した。この2人は、環境や労働の問題について公然とAmazonを批判してきた、最も率直な社員だった。

全米労働関係委員会(NLRB)は先週、2人の解雇が違法な報復行為であるとの判断を下した。カニンガム氏は、The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)によるインタビューの中で、もしAmazonがこの問題に対処する措置を取らないのであれば、委員会はさらに公然とAmazonの行動に対する批判を発するだろうと指摘した。

AmazonはTechCrunchに対し、今回の決定は2人の批判が直接の原因ではなく、公表されていない社内ポリシーによるものだと述べている。「私たちは、すべての従業員が雇用主の労働条件を批判する権利を支持していますが、それはあらゆる社内ポリシーに対する全面的な免除をともなうものではありません」と、同社の広報担当者は語る。「当社は、これらの従業員が社内規定に繰り返し違反したため、解雇しました」。

一方、カニンガム氏はこの決定を「道徳的勝利」と呼んでいる。

このニュースは、2020年4月に新型コロナウイルス感染症が米国を襲った際、オンライン大手企業のAmazonが不可欠なサービスと謳われ、大規模な増強を行っていた最中に報じられたものだ。その2週間前、同社はアラバマ州ベッセマーに巨大なフルフィルメントセンターを開設している。このセンターは同社にとって新たな労働争議の焦点となった。

この倉庫では現在、労働組合結成に向けて同社の歴史上最大の活動が行われているところだ。NLRBは、3月30日に開始された労働組合結成の賛否を問う投票の集計を担当している。投票の最終日に、Amazonはソーシャルメディアで組合に対する攻撃的な呼びかけを行ったが、その後、同社の従業員が厳しいノルマを達成するためにしばしばペットボトルに排尿しているという報道にまつわるコメントにやんわりと謝罪するなど、一部を撤回している。

NLRBは、カニンガム氏とコスタ氏に加え、Amazonians United(アマゾニアンズ・ユナイテッド)の共同設立者であるJonathan Bailey(ジョナサン・ベイリー)氏についても、不当解雇であったとの決定を下した。

その後、Amazonから次のような追加声明がTechCrunchに送られてきた。「私たちはこれらの暫定的認定に同意しません。当社は、すべての従業員が雇用主の労働条件を批判する権利を支持していますが、それはあらゆる社内ポリシーに対する全面的な免除をともなうものではありません。また、我々の社内ポリシーはすべてが合法的なものです。当社がこれらの従業員を解雇したのは、暫定的認定で指摘された理由ではなく、社内規定に繰り返し違反したためです」。

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タグ:Amazon労働組合労働全米労働関係委員会(NLRB)

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アマゾンがトイレに行く時間もなく「ペットボトルに排尿」を否定したツイートについて謝罪と釈明

Amazon(アマゾン)は、歴史的な労働組合結成の賛否を問う投票の終盤に展開したソーシャルメディアによる攻勢をわずかに後退させて、この週末の連休を迎えた。以前のコメントは、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏がより攻撃的な戦略を推し進めているときに出たものだと報じられている。

Amazon News(アマゾン・ニュース)のTwitter(ツイッター)アカウントは、Bernie Sanders(バーニー・サンダース)上院議員とElizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)上院議員に加えて、Mark Pocan(マーク・ポーカン)下院議員とも対決することになった。このウィスコンシン州選出の民主党議員は、Amazonの顧客部門でCEOを務めるDave Clark(デイブ・クラーク)氏のコメントに反応して、Amazonの従業員がトイレに行く時間もなく、仕方なくボトルに小便をしているという、過去に報道された話を引用した。

すると、Amazon Newsのアカウントは「ボトルにおしっこをするという話を本当に信じているわけではないですよね?もしそれが本当なら、誰も私たちのために働かないでしょう。真実は、世界中で100万人以上のすばらしい従業員が、自分たちの仕事に誇りを持ち、初日からすばらしい賃金と健康管理を受けています」と、ツイートした。

デイブ・クラーク

(労働組合結成に向けた投票を行っているAmazonの従業員に会うために、サンダース氏がアラバマ州バーミンガムを訪れるという報道に対し)サンダース氏をバーミンガムに歓迎し、進歩的な職場を求める同氏の姿勢に感謝します。私はよく、我々は雇用主のバーニー・サンダースだと言っていますが、実際には我々は進歩的な職場を提供しているので、それは正しくありません。https://businessinsider.com/bernie-sanders-visiting-amazon-workers-unionizing-alabama-2021-3

マーク・ポーカン

労働者に時給15ドル(約1660円)を支払っても、労働組合を潰したり、労働者にペットボトルに小便をさせたりしているようでは「進歩的な職場」とは言えないでしょう。

Amazon News

ボトルにおしっこをするという話を本当に信じているわけではないですよね?もしそれが本当なら、誰も私たちのために働かないでしょう。真実は、世界中で100万人以上のすばらしい従業員が、自分たちの仕事に誇りを持ち、初日からすばらしい賃金と健康管理を受けています。

議員の最初の反応は、簡潔で的を射たものだった。「そうです。私はあなた方の従業員の話を信じています。あなた方は信じていないのですか?」。

その後、これらの話をさらに強化する報道が続いた。ある報道では、Amazonのドライバーの間で排尿の問題が「広範囲に渡っている」としており、さらに「排便も問題になっている」と付け加えた。これらを受け、Amazonは米国時間4月2日「ポーカン議員に謝罪しなければなりません」と述べ、ある種の非を認めた。

だが、そこから先は少々様子が変わってくる。アマゾンの謝罪文では、労働者がボトルに排尿していたことを認めているが、それはドライバーに限ったことで、今回の大規模な組合活動の中心となっている配送センターのスタッフには当てはまらないと、暗に示しているように思われた。さらに、ドライバーがボトルに排尿するのは「業界全体の問題であり、Amazonに限ったことではない」と付け加えている。

同社は親切にも、ギグエコノミーの告発やブルーカラー労働者の扱いを非難するリンクやツイートのリストを掲載している。基本的にAmazonは、自社に問題の一部があることを認めつつ、その責任を明らかにシステムに欠陥のある業界全体に分散させようとしているのだ。

労働者がボトルに小便をするという話は、ドライバーだけでなく、倉庫で働く従業員も厳しいノルマをこなすために行っていたという報告もある。

Amazonは、この個人名が表記されていないスタッフによる投稿の中で「典型的なアマゾンのフルフィルメントセンターには、何十ものトイレがあり、従業員はいつでも自分の仕事場から離れることができます。もしフルフィルメントセンターの従業員が異なる経験をした場合は、上司に相談することをお勧めします。我々は解決に向けて努力します」と書いている。

同社のアラバマ州ベッセマー倉庫では、先週から労働組合結成に向けた投票が行われている。この結果は、Amazonと業界全体に広範な影響を与える可能性がある。

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タグ:Amazon労働組合物流倉庫労働問題

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アマゾンがAWSの宇宙スタートアップアクセラレーターでSeraphimと提携

AmazonはまもなくKuiperプロジェクトで衛星コンステレーションによるインターネット接続ビジネスの重要な部分を担うことになる。一方、地上ではもう少し地味だが同じくらい重要な宇宙ビジネスのアクセラレーターを立ち上げることを目指している。Amazonは宇宙ビジネスを専門とするベンチャーキャピタルであるSeraphim Capitalと提携して4週間のプログラムを提供する。参加のインセンティブとして10万ドル(約1100万円)分のAWSクレジットの提供が含まれる。

関連記事:アマゾンのProject Kuiperは3236基の衛星打ち上げに複数企業の参加を期待

AWS Space Acceleratorは現在募集中だ。応募条件は宇宙分野を目指したビジネスでありAWSの利用を予定していることだけだ。募集枠は10組み、4月21日まで受け付けている。

プログラムは比較的標準的な仕組みだ。分野は「テクノロジー、ビジネス、メンターシップ」であり、特色としてはAWSの適切な使用方法を学ぶ。AWSパートナーネットワークをはじめ、宇宙分野に焦点を当てたテクノロジー、法的規制、セキュリティについて専門家から優れたコーチングを得ることができる。またベンチャーキャピタリストと直接資金調達ラウンドについて交渉できる(Seraphim参加チームが最初の投資契約を得ることができるのは間違いなさそうだが、事前の厳密な投資約定はないようだ)。

「選定されたスタートアップは、最大10万ドルのAWS Activateクレジットを獲得できる可能性がある」と発表されている。「可能性」というような若干あいまいな表現になっているのはおそらく法的な配慮からだろう。

宇宙に特化したプログラムは数多いが、いずれも資金需要は十分に満たされているとはいえない。宇宙関連のスタートアップは、高度な技術を必要としユーザーは国家などの公共機関が多い。企業向けSaaSと比較してさえより多くの資金を必要とするという特殊な分野だ。

プログラムの具体的な詳細については、最初のバッチの参加メンバーが発表されてからになるだろう。これは少なくとも1〜2カ月後になる見込みだ。

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(文:Devin Coldewey、翻訳:滑川海彦@Facebook

アマゾンがインド小売業者のデジタル化を支援する同国スタートアップを買収

Amazon(アマゾン)はオフラインの店舗がオンライン店舗を展開するのをサポートするインドのスタートアップを買収した。オフライン店舗が小売販売の95%超を占め、そして人口が世界第2位のインドに食い込もうというAmazonの最新の試みだ。

Amazonは現地時間3月30日、創業4年のPerpule(パーピュール)を買収したと発表した。規制当局へ提出した書類には、Amazon Technologiesがインドのスタートアップを買収するのに現金1470万ドル(約16億円)を支払ったとある。そしてPerpuleの従業員への補償として追加で500万ドル(約5億5300万円)拠出するはずだ。

これまでに636万ドル(約7億円)を調達したPerpuleはオフラインの小売業者がデジタル決済を受け付け、そPaytmやPhonePe、Google Payなどがインドで展開しているさまざまなミニアプリストアで出店できるようにするためにモバイル決済デバイス(POSマシーン)を提供している。

「Perpuleは、インドのオフラインの小売店舗が在庫や精算プロセス、全体的な顧客エクスペリエンスをうまく管理できるようにする、イノベーティブなクラウドベースPOSを構築しました」とAmazonの広報担当は声明で述べた。

「インドの顧客のために買い物エクスペリエンスの水準を引き上げながら、あらゆる規模の事業者への成長機会の提供に注力すべく、Perpuleのチームに加わってもらうことを喜んでいます」。

2016年に創業されたPerpuleの最初のプロダクトは、Shoppers Stop、Spar Hypermarket、Big Bazaarといったスーパーチェーンでの行列を顧客が回避できるようにすることにフォーカスしていた。しかし、PerpuleのCEOであるAbhinav Pathak(アビナブ・パタック)氏が最近のインタビューで語ったところによると、同社はそのプロダクトを展開しようとしたが、広がらなかったという。

Prime Venture Partners、Kalaari Capital、Raghunandan G(ラグナンダン・G)氏(ネオバンクZolveの創業者)などから出資を受けているバンガロール拠点のPerpuleは近年、事業者がグループ注文に対応できるようにするStoreSEのようなプロダクトを立ち上げるなど、事業を拡大してきた。

そして2020年は事業地域も拡大し、インドネシアやマレーシア、タイ、シンガポール、ベトナムなど東南アジアマーケットでサービスの提供を開始している。

Amazonは近年、デリバリーネットワークや倉庫を拡大するために、実在(オフライン)店舗のインドでの圧倒的な存在感を出し、販売促進のために実在店舗の在庫に頼るなど、積極的に実在店舗を取り込もうとしている

Amazonの実在店舗への接近は、Flipkart、そして2020年(FacebookやGoogleなどから)200億ドル(約2兆2100億円)超を調達したReliance Jio Platformsがこのマーケットを支配しようと競っている中でのものだ。Perpuleの買収は、Googleがが似たようなプロダクトを展開しているDotPeへ出資してから1週間も経っていない。

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あらゆるものを売っている零細の小売店は、家族経営で賃金は安く、家賃がほとんどない。どこにでもあるため(業界推定ではインドには3000万の零細小売店がある)、より迅速な配達を提供できている小売大手はない。その上、そうした零細小売店の経営状態は往々にして大半のデジタル店舗よりも良好だ。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

Amazonの歴史的な労働組合投票はまもなく開票

Amazon(アマゾン)アラバマ州ベッセマー配送センターの労働組合結成に向けた歴史的投票の開票作業が米国時間3月30日に始まる。ちょうど1年前に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で急増した需要に応じるために操業が始まったこの倉庫は、近代米国史の中でも有数の労働運動の中心地となった。

投票は2月8日に郵便で開始されたが、それまでにAmazonは、投票を遅らせようとしたり、パンデミックの制約にもかかわらず、直接投票させようとした。状況は、予想どおり、日々ヒートアップを続け、3月29日の投票締切日を迎えた。Amazonの積極果敢な広報戦略の基準を踏まえても、驚くほど事態は進んでいる。

中でも、3コマース巨人はTwitterを活用して積極的アンチ組合戦略を展開した。さらに同社は、現在の労働環境のイメージを宣伝しようと試み、一方でバーモント州上院議員であるBernie Sanders(バーニー・サンダース)氏のような進歩派/左翼政治家と対決した。同議員は倉庫労働者の最低賃金時給15ドル(約1660円)をAmazonに認めさせる中心的役割を演じた人物だ。

報道によると、サンダース議員とマサチューセッツ州のElizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)上院議員に対する焦土作戦は初めから過熱した。ファウンダーのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏(2021年CEOを辞任する予定)は、攻撃を推進したと言われている。

Amazon News Twitterは、反論するツイートを発信し、配達員がノルマ不達を恐れてペットボトルで用を足しているとする広く根強い報道を否定したが、その後前向きなアプローチへと転じた。しかし、投票を巡っての行動は続けられており、投票箱を監視するビデオカメラの設置を提案したが、全国労働関係委員会(NLRB)に却下された。

票集計は米国時間3月30日から始まるが、すぐに結果が出ることを期待しないように。プロセスは系統的かつ慎重だ。どちらの側からも文句の出ない方法がとられる。これが現在、ベッセマー配送センターで働いている6000人ほどの労働者よりはるかに大きい問題であることを会社が十分認識していることは、Amazonの最近の行動からも明らかだ。もし会社が勝利すれば、この決定を同社の労働条件の妥当性を証明するものだと位置づけるだろう。一方、もし労働者が組合結成に賛成すれば、会社全体に連鎖反応をもたらす可能性がある。

米国時間3月5日、アラバマ州バーミンガム。議員団がAmazon BHM1施設の組合結成活動関係者と2021年3月5日に会談した後、トラックが走り去る。Amazon施設で働く人々は現在時給15ドルを得ているが、ノルマ軽減の要求は経営陣に聞き入れられていないと感じている(画像クレジット:Megan Varner/Getty Images)

今週Amazonの ドイツ事業者の労働者はストライキを4日間決行する予定であり、先週イタリアでも同様の動きがあった。

「これはアラバマ州の労働者だけではありません。ジェフ・ベゾス氏に、もうたくさんだと言っている世界中の労働者です。話す言語は違っても、世界中のAmazon労働者はみんな、あまりにも長い間我慢を強いられてきたこの労働条件に耐えるつもりはありません」と小売・卸・百貨店労働組合(RWDSU)のStuart Applebaum(スチュアート・アップルバウム)プレジデントは声明で語った。

票集計はNLRBが管理する。もし労働者が組合結成を支持すれば、ベッセマーの労働者はRWDSUに加入する。同組織もAmazonの抵抗にあっている。先週、AmazonはTechCrunchに次のように語った。

RWDSUの最高誤情報責任者、スチュアート・アップルバウム氏は、自らの凋落しつつある組合を救うために、もう1つの事実をまったく新しいレベルに引き上げました。しかし、当社従業員は賢明であり真実を知っています。時給15ドル以上、入社初日からの健康保険、そして安全で包括的な職場。会社は全従業員に投票を推奨します。

投票用紙はNLRBのバーミンガム事務所に送られた。どちらの側もいくつかの理由でも結果に異議を唱えることができる。投票した人物が実際にAmzon従業員であることを証明する署名もその1つだ。票集計が終わったあとでも、何かが起きるに違いない。法廷闘争になる可能性も高い。最終的に数週間、数カ月間を要するかもしれない。

この戦いは超党派の政治的同盟が作られる稀な状況になっている。一方にMarco Rubio(マルコ・ルビオ)氏、他方にバーニー・サンダース氏、エリザベス・ウォーレン氏、Joe Biden(ジョー・バイデン)氏といった政治家が並ぶ出来事は滅多にない。労働組合のような伝統的に対立する事象ではなおさらだ。

「すでにこの運動はさまざまな意味で勝利です」とアップルバウム氏が先週の声明で述べた。「投票結果がどうなるにせよ、この国全体で組合結成のドアを開いたと私たちは信じています」。

関連記事:アマゾンの倉庫労働者が組合結成へ向け郵便投票を開始

カテゴリー: パブリック / ダイバーシティ
タグ:Amazon労働組合

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amazon上のブランドの買収と成長を目指すBenitago Groupが債務と株式を合わせて約60億円調達

Benitago Groupは、Amazon(アマゾン)上のブランドの大きなポートフォリオを作ることを目指している。同社はこのほど、5500万ドル(約60億円)の資金を調達したことを発表した。そのほとんどが買収資金のためのクレジットラインで、さらに株式投資も行っている。

共同創業者のSantiago Nestares(サンティアゴ・ネスタレス)氏は「私たちはこれらのブランドを成長させ、より効率的に運営していきたい」と語っている。

スタートアップもAmazon FBA(Fulfillment by Amazon)ビジネスを立ち上げるために多額の資金を調達しているが、ネスタレス氏によるとBenitagoは「金融裁定」だけに焦点を当てているのではないため、他とは違っているという。むしろ同社は、これらのビジネスを成長させ続けるための詳細で反復性のある青写真を描いている。

ネスタレス氏と共同創業者のBenedict Dohmen(ベネディクト・ドーメン)氏は、ダートマス大学の学生だったときに、腰痛治療具のSupportibackでBenitagoを始めた。ちなみに社名は2人の名前を合わせたものだ。同社はその後、美容、マタニティ、栄養などのカテゴリーに拡大したが、Nestaresによると、これまでは外部からの資金調達はあまりなかったが、収益で成長を支えたという。

その結果、チームのメンバーは整形外科などのエキスパートではないにもかかわらず、主にAmazon上でブランドを成長させることに注力して成功し、ネスタレス氏が「Amazonネイティブ」と呼ぶものになっていった。

関連記事:アマゾンなどの「プラットフォーム経済」上で成立するスタートアップを支援するCrossbeamが26億円調達

ブランドを買収する過程はまず、その製品の市場の競争状況を見極めることから始まり、また顧客によるレビューを調べる。そして「足りない機能や余計な機能はないか、包装の色はこのままで良いか、パッケージはAmazonのボックスにちょうど収まるかなど、あらゆることをAmazon向けに最適化します。」とネスタレス氏はいう。

同社がブランドを買収するとき、そのプロセスはわずか数週間で終わり、前のオーナーもブランドの所有権の一部を保有して、ブランドの継続的成長から利益を得る。

「これは受け身の財務的処理ではなくて、成長へのインパクトを生み与えるやり方です」とネスタレス氏はいう。

Amazonがeコマースの支配を失うことは当分ないと思われるが、それでもネスタレス氏はBenitagoのビジネスをたった1つのプラットフォーム上に築いている現状は「最大のリスク」だと認めている。しかしながらそのリスクは、企業にとってGoogleの検索のアルゴリズムがいつどう変わるかわからない、というタイプのリスクといったものとは違う。

「Amazonは違うと思います。Amazonもあなたと同じ目標、『顧客にできるだけたくさん売る』という目標を持っています」と彼はいう。

Benitagoは現在、5つのブランドを経営し、製品数は100種以上ある。今回獲得した資金でその数を大きく増やすことができる。ネスタレス氏によると、現在、商談が進んでブランドは12あり、年内にはさらに25かそれ以上のブランドを買収したい、という。

CoVentureが株式投資をリードし、融資枠にも参加している。

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タグ:Benitago GroupAmazon買収資金調達eコマース

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)

TableauのCEOアダム・セリプスキー氏がAWSの経営者として論理的な選択だった理由

AWSのCEOであるAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏が米国時間3月23日、Tableau(タブロー)のCEOであるAdam Selipsky(アダム・セリプスキー)氏がAWSのトップとして復帰することを社員へのメールで発表したとき、それはおそらく多くの人が考えた選択肢ではなかっただろう。しかし、この2、3日の間に話を聞いた業界ウォッチャーにとっては、考えてみれば完全に納得のいく動きだった。

Gartner(ガートナー)のアナリストであるEd Anderson(エド・アンダーソン)氏は、ジャシー氏にとって組織カルチャーとの相性は見逃せない適性だったのだろう、と語る。セリプスキー氏は11年間、この部門の構築に貢献した。彼はジャシー氏がよく知る人物であり、10年以上一緒に仕事をしてきた仲間だ。彼なら新しい役割に難なくステップアップして、収益性の高い事業を構築し続けることを任せられるだろう、とも。

関連記事:Tableauのアダム・セリプスキー氏が古巣AWSに戻りAmazonの新CEOジャシー氏に代わりに同社を率いる

アンダーソン氏は、AWSが160億ドル(約1兆7500億)のランレートで1年を締めくくった2016年にセリプスキー氏が去った後、AWSの事業規模と範囲は大きく変化したかもしれないが、組織の文化的ダイナミクスはそれほど変わっていないという。

「この役割で成功するには、AWSの将来の成長に対するビジョンに加えて、Amazon(アマゾン) / AWSの文化を深く理解することが必要です。アダム(・セリプスキー)は、以前AWSにいたことから、すでにAWSの文化を知っています。確かに、彼が辞めた時にはAWSは今より小規模なビジネスでしたが、基本的な構造や戦略は整っていましたし、文化も当時から目立って進化したわけではありません」とアンダーソン氏は筆者に話してくれた。

Madrona Venture GroupのマネージングディレクターであるMatt McIlwain(マット・マキルウェイン)氏は、セリプスキー氏がAWSを離れた後に得た経験は、戻ってきたときに貴重なものになるだろう、と述べている。

「アダム(・セリプスキー)は、Tableauをデスクトップ型のライセンスソフトウェア企業から、クラウド型のサブスクリプションソフトウェア企業へと変革し、成功させました。彼は営業・マーケティングのリーダーとして、スタートアップの顧客から突破してAWSをパブリッククラウドの主要なエンタープライズソリューションに成長させるのに貢献した人物です。その文化にリーダーとして戻ってくるわけです」と同氏は語った。

Constellation ResearchのアナリストであるHolger Mueller(ホルガー・ミューラー)氏は、セリプスキー氏のビジネス経験が他の候補者よりも有利に働いたという。「(内部候補である)Matt Garman(マット・ガーマン)氏やPeter DeSantis(ピーター・デサンティス)氏よりも、彼のビジネス感覚が勝っていた。また、Salesforceがどのように機能しているかについての見識も役に立ち、評価されているかもしれません」とミューラー氏は指摘している。

Tableauとそれを2019年に157億ドル(約1兆7000億円)で買収したSalesforceから離れることについて、CRM Essentialsの創設者兼主席アナリストであるBrent Leary(ブレント・リアリー)氏は、このように買収された企業のCEOが他のことをするために離れるのは時間の問題だったと考えている。実際、それがもっと早く起こらなかったことに驚いているという。

「Salesforceは数々の有名企業を買収してきたことで一流のCEOを次々と集めていますが、その全員が永遠に残るとは考えられません。また、アダム・セリプスキー氏がTableauのCEOになる前にAWSに在籍していたことを考えると、今回の動きは非常に理にかなっています。Amazonは仲間の1人を呼び戻すことができ、しかも彼は自らの力で大成功を収めたCEOでもあるのですから」とリアリー氏は語った。

セリプスキー氏は良い選択だというのが共通の意見だが、彼はこれから重責を担うことになる。AWS事業部は現在、500億ドル(約5兆5000億円)を超えるランレートで大企業のような成長を続けている。そのような実績を引き継ぎ、ジャシー氏も近くで見守る中、セリプスキー氏は部署が今まで通り回っていくよう仕事を任せながら、独自のポジションも確立していかねばならない。

それが何であれ、変化というものは不安を呼び起こす。顧客や社員に安心感を与え、未来を切り開いていけるかどうかは、彼にかかっている。ミッションは同じ、新しいボスだと。

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(文:Ron Miller、翻訳:Aya Nakazato)

Tableauのアダム・セリプスキー氏が古巣AWSに戻りAmazonの新CEOジャシー氏に代わりに同社を率いる

2021年2月、Amazon(アマゾン)がJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が取締役会長になり、AWSのCEOであるAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏がAmazonの経営全体を統轄すると発表した際、ジャシー氏の後任をめぐる憶測が始まった。

そこで挙がってきた有力な内部候補は、AWSのグローバルインフラストラクチャ担当副社長であるPeter DeSantis(ピーター・デサンティス)氏や、営業とマーケティング担当副社長であるMatt Garman(マット・ガーマン)氏らだった。外部候補はあまり話題にもならず、TableauのCEOであるAdam Selipsky(アダム・セリプスキー)氏を挙げた人は多くない。ところがなんとセリプスキー氏が、2016年に去った古巣にトップとして戻ってくるのだ。

関連記事:ジェフ・ベゾス氏が2021年後半にアマゾンCEOを退任し会長へ、後任はAWSのアンディ・ジャシー氏

ジャシー氏は1秒の時間も無駄にせず社員宛にメールを送り、彼がセリプスキー氏を選んだことを告げ、元社員であるセリプスキー氏が2005年に雇用されたときに、AWSの立ち上げを手伝ったことを述べた。彼はその後の11年間、ジャシー氏を助けて事業の構築に献身し、その後Tableauの仕事を引き受けた。このようにみると、その選択は完全に合理的なものだ。

「アダム(・セリプスキー)は、極めて強力なAWSのリーダーシップチームに、強力な判断と揺るぎなき顧客重視、チームビルディング、需要の生成そしてCEO体験を持ち込む。しかも、過去11年間、AWSでそのような上級職を務めてきた彼は、私たちの企業文化と事業をよく知っている」とジャシー氏はメールで述べている。

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ジャシー氏はAWSを初期から統轄し、ストレージとウェブサービスを動かす社内実験のようだったささやかな始まりを、現在の年商が510億ドル(約5兆5471億円)の巨大な事業部に育て上げた。セリプスキー氏がこれから統轄するのはそんな怪物だが、彼はその仕事に適しているようだ。

セリプスキー氏はベテラン経営者であり、これから巨大化していくというタイミングでAWSを去ったが、その文化を熟知しており、十分スムーズにその役割に踏み込めるだろう。同時に彼はTableauを去るが、彼は一介のデスクトップソフトウェア企業を堅固なクラウド企業に一変させている。

2019年6月、Salesforceは157億ドル(約1兆7078億円)という結構な価格でTableauを買収した。セリプスキー氏はトップの座に残ったが、AWSを経営するという魅力には勝てず、新しい職務に跳び移ることを決めたのだろう。

2020年の終わりにTechCrunchがSalesforceの豊富な役員人材について書いたとき、取り上げたCEOの1人がセリプスキー氏で、SalesforceのCEOで会長のMarc Benioff(マーク・ベニオフ)が下りたときに打席に立つのは彼しかいない、と指摘している。しかしながら、もっとありそうなベニオフ氏の後任はCOOのBret Taylor(ブレット・テイラー)氏のようで、セリプスキー氏は別のチャレンジに備えていたのだろう。

セリプスキー氏のAWSへの帰還は公式には5月17日になる。それから数週間の移行期間をジャシー氏とともに過ごし、その後、AWSのハンドルを1人で握る。ジャシー氏はAmazon本体のCEOになるため、2人の緊密な協働関係が続くことは明らかだ。かつて10年以上そうだったように。

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Amazon Echo Show 10レビュー、「回転するスクリーン」モーション機能は無効化していい

新しいスマートホームデバイスが登場するたびに、新たな疑問が湧く。利便性を得るためにはプライバシー、セキュリティ、そして他には何を諦めればいいのかという疑問だ。新製品を自宅に導入し、こうした話題を持ち出して評価するのは、アンチテクノロジー派だからというわけではない。

筆者について言えば、自宅のスマートホームテクノロジーは大したことはない。大型のスマートスピーカーを2台と、もう1つ小型のスマートスピーカーを持っているが、主に、各部屋に音楽をストリーミング配信するのにネットワーク接続が便利なためだ。安心のために、インターネットに接続された煙感知器を使用していて、以前長期間家を離れていた頃は火事になっていないことを確認していた。それから、スマートライトもいくつか使用している。理由は言うまでもないだろう。

Google(グーグル)がファーストパーティーのスマートスクリーンであるGoogle Home Hub(現在のGoogle Nest Hub)を発表した時、カメラを搭載していないことは賢明な判断だと思った。もちろん、同社は大型のMaxモデルにカメラを搭載しているため、望めばカメラのオプションはある。こうした製品の大半にとって、ビデオカメラはあって当たり前の機能だ。そして当然のことながら、新しいEcho Show 10(エコーショー10)のようなスマートスクリーンは、仕事と家庭の境界がかなり曖昧になってきている多くの人のために、電話会議の機能も備えている。

画像クレジット:Brian Heater

その点、Amazon(アマゾン)はよくわかっているようだ。デバイスの上部に大きな物理的な目隠しのボタンを追加している。ボタンを右にスライドさせると、右上のカメラは白いレンズカバーで覆われる。黒いスクリーンフレームとはコントラストになるため、離れたところからでもカメラが隠されていることが簡単にわかる。カメラを覆うと「カメラオフ / モーション機能無効」といったポップアップ通知が表示される。

この「モーション」とは、アマゾンの最新Echo Showの代表的な機能である回転するスクリーンのことだ。同社は、この新しいテクノロジーをこのカテゴリーでのゲームチェンジャーとして位置づけている。正確で静かなモーション機能を実装したことは良い仕事と言えるが、一方でこの追加機能は、間違いなくプライバシーの問題を再燃させるだろう。

画像クレジット:Brian Heater

周囲に溶け込むようなホームデバイスを作るというコンセプトは、この機能には当てはまらない。Echoは、人物追跡を使用して、ディスプレイが常にユーザーの方を向いているようにするとともに、ユーザーの意識をEcho自体にも向けさせる。デバイスが人物追跡に画像処理とAIを使用していることに薄々気づき、なんとなく理解していても、実際のところ大抵は気にならなくなってしまうだろう。どのみち、今ではほとんどすべてのものにカメラがついている。そういったデバイスはもはや、日常的に使用しているソーシャルメディアやサービスの一部だ。しかし、デバイスが部屋の中にいるユーザーの動きに物理的に追従すれば、ユーザーはこのデバイスを意識せざるを得ない。

数日間Echo Showを使用した限りでは、この機能を必要と感じたことはあまりなく、ギョっとさせられたことさえある。机の上で、この記事を執筆しているパソコンと並べてEcho Showを置いているが、この機能は普段無効にしている。そのうち慣れるものかもしれないが、この機能を使う時は比較的限られているし、必要ならば手でディスプレイをこちらに向けて、スクリーンの角度を調節すればいいので、固定した状態で使おうと思っている。スクリーンの調整はいつもしていることだ。何の問題もない。

アマゾンは、デフォルトでスクリーンをどの方向に向けておきたいか、左右にはそれぞれどの程度回転させたいかなど、セットアップの過程でこの機能についてひと通りの説明と設定の機会を提供している。留意すべきことは、Echo Showのシステムは、ユーザーが設定スライダーで調節するまで、実際に何が「真っすぐ」に相当するのか認識していないということだ。この設定は後からでも調節できる。「モーション設定」オプションもある。このオプションでは、ユーザーを追跡させて使うアプリケーションを制限したり、音声で確認しないとモーション機能を使用できないようにしたり、またはこの機能を完全に無効にしたりすることができる。

関連記事:アマゾンの新しいEcho Show 10は利用者の動きをカメラで追跡する

もちろん、筆者は使用していない間はカメラのカバーを閉じておきたい性分なので、このカバーはなかなかいい具合だ。カメラが覆われた状態で、デバイスのモーション機能を作動させることはできない。デバイスは追いかけている対象を視認しておく必要があるからだ。スクリーンのモーション機能には、カメラを無効にし忘れたことを気づかせてくれるという、思いがけない副次的効果があることも付け加えておく。

アマゾンは当然のことながら、そしてありがたいことに、Echo Show 10の発表にともないプライバシーについても言及している。製品ページには「プライバシー」について8つの記載事項があるが、以下はそのキーメッセージだ。

マイク / カメラのオン / オフボタンや内蔵カメラを覆うためのカメラカバーなど、アマゾンは、何重ものプライバシー保護対策を用いてAlexa(アレクサ)およびEchoデバイスを設計しています。モーション機能は声やデバイス上、またはAlexaアプリからでも無効にできます。モーション機能を提供するための情報処理はすべてデバイス上でのみ行われるため、取得された画像や映像がクラウドに送信されることはありません。

画像クレジット:Brian Heater

特筆すべきは、追跡機能は顔認識のような類ではなく、人の漠然とした輪郭を使用していることだ。処理に使われる画像は、個人としてはもちろん、通常では人の識別に使われるものではなく、まだらなヒートマップのように見える(ただし、ペットと人間の区別はできる)。特にこの点は、同社にとって政治的な論争を呼ぶ話題となっている。

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モーション機能は、主にユーザーのストレスを減らすためのものだ。アマゾンは、既存のEcho Showのユーザーが、例えば料理中にキッチンで使う時、デバイスの向きを変えなければならないことを例に挙げている。音声の指向性も、スクリーンの動きに連動する。これは、最近のEchoのモデルで360度オーディオから距離を置く同社の動きと一致している。モーション機能は、デバイスの用途や、どれだけデバイスの周りに人がいるかにより一長一短がある。また、ビデオ通話中のユーザーの動きに追従させるためにも使用できる(競合企業がズームとトリミングを組み合わせて実現している機能だ)。

アマゾンは、スマートスピーカーの「スピーカー」の部分を重視し、最近の世代のデバイスのオーディオを改善するために苦労していた。新しいEcho Showは確かにその恩恵を受けている。筆者はメインのサウンドシステムとしては使わないだろうが、机の上に鎮座するこのデバイスは、前面がスクリーンに覆い隠されていても、サイズのわりにはすばらしい豊潤なサウンドを提供してくれる。

10.1インチのスクリーンも手頃なサイズだ。筆者はテレビやラップトップの代わりとしてこのデバイスを使うことはないだろうが、動画を手早く観るにはちょうど良いサイズだ。YouTube(ユーチューブ)はこのフォームファクターに完璧にフィットする短尺動画で市場を独占しているので、アマゾンがグーグルとここで提携できないのは残念だ(その気になれば、内蔵ブラウザを介してYouTubeにアクセスすることもできるが、それでは到底エレガントなソリューションとは言えない)。

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アマゾンのPrime Video(プライムビデオ)は確かに良い長編のコンテンツやシリーズ物のシェアを持っている(大量の駄作も含まれているが、時にはそれがおもしろかったりする)。しかし、アマゾンが最も得意とするところは、サードパーティーと提携し、自社の製品を強化することだ。そして、それはアマゾンがEchoでのエクスペリエンスを向上させてきたもう1つの手法でもある。動画の面ではNetflix(ネットフリックス)とHulu(フールー)がデバイス上で利用できるようになり、音楽の面ではApple Music(アップルミュージック)とSpotify(スポティファイ)が追加された。

追加されるとうれしいサードパーティー製のアプリはまだいくつかあるが、これらのラインナップはかなり堅実な出発点だ。いうまでもなく、スポティファイのようなサービスは音楽再生のデフォルトとして設定できる。スポティファイに対応していることで、かなり使い勝手が良くなる。正直なところ、Amazon Music(アマゾンミュージック)は、現時点ではプライムビデオほど魅力のあるサービスとは言えないからだ。そして、スポティファイのような使い勝手を良くしてくれる追加サービスは他にもある。

ソフトウェアの観点から見て間違いなく最も魅力的な追加サービスであるZoom(ズーム)は、後日サポートされる。今のところ、通話は他のAlexaデバイスとSkype(スカイプ)に限定されている。ズームや他のサードパーティー製の電話会議ソフトウェアには、特に、前述した家庭と仕事の境界の曖昧さも手伝って、ウェブ会議ツールの新境地を切り拓くチャンスがある。

実際のところ、現在筆者の机の上に陣取るEcho Showは、パソコンで仕事をしながら通話をするのに最適だ。Echo Showの導入については、用心すべき点もあるものの、楽観的に捉えている。少なくとも、13メガピクセルのカメラを定期的に活用するための妥当な理由ぐらいは思いつくだろう。

画像クレジット:Brian Heater

差し当たって、カメラとスクリーンのモーション機能の両方を活かすのにふさわしい使用例は、簡易的な防犯カメラだろう。防犯カメラは「近日リリース予定」の機能の1つであり、実現するにはGuard Plus(ガードプラス)に加入する必要がある。ガードプラスを使用することでEcho Showにスマートセキュリティカメラの役目も果たさせ、外出時にジオフェンスを設定できる。つまり、留守中の家に誰かがいることが検出された場合、Echo Showはアラートを送信する。

2021年2月には、アマゾンが壁かけ型のスマートホームハブに取り組んでいるという噂が流れている。基本的に、さまざまなコネクテッドデバイスのためにAlexa対応のタッチスクリーンコントロールとして機能する、そのフォームファクターは確かに理に適っている。今のところ、Echo ShowとAlexaモバイルアプリの間に割って入る余地はほとんどないが、確かにまあ、壁かけ型のスマートホームハブのようなデバイスがあれば、空間によりプレミアムな雰囲気を醸し出すことができるだろう。

適切に配置されたEcho Showは、多くの人のニーズに応えてくれるだろう。実際、Echo Showは筆者のワンベッドルームのアパートで良い仕事をしている。音声やタッチで照明をコントロールすることができ、当然のことながらスクリーンでは、アマゾンが販売するRing(リング)などのセキュリティカメラからの映像を監視できる。リングのような付加的なサービスにより、スマートスクリーンのカテゴリーは極めて魅力的で機能性に優れたものとなってきた。

Echo Show 10は249ドル(日本では税込2万9980円)で、2018年のEcho Showよりも20ドル(約2200円)高い。新しい機械的な回転機構がこの増額にどの程度影響しているか推し量るのは難しい。しかし、アマゾンはモーション機能がない安いモデルも提供している。筆者なら上に概説した理由により、ほぼ確実にこのモデルを選ぶ。繰り返すが、誰もが筆者と同じ不安を抱くとは限らない。

全体的に見て、これはShowファミリーへのよく練られたすばらしい追加モデルだ。そして筆者について言えば、従来通り自分で向きを変えながらEcho Showを使っていこうと思う。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:AmazonレビュースマートディスプレイEcho Show 10

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

アマゾンがRivian製の配達EVテストをサンフランシスコでも開始

Amazon(アマゾン)は電気貨物車両を使った顧客への配達をサンフランシスコにも拡大する。同社は2021年に計16都市でRivian(リビアン)製EVを導入する予定であり、その中でベイエリアは2番目の実施となった。

テストを行う2番目の都市としてサンフランシスコを選んだいくつかの理由の1つは、その特徴ある道路と天候だと同社は説明した。Rivianとの提携でデザイン・製造されたAmazonのEVはフル充電で最大150マイル(約241km)走行可能だ。

同社はClimate Pledgeの一環として、2021年2月初めにロサンゼルスで電気貨物車両のテストを開始した。Climate Pledgeにはカスタム電気配達車両10万台の購入が含まれている。同社は2020年10月に初めてこの車両を披露し、2022年までに10万台展開することを目指していると述べた。

ベイエリアでの配達はまずはカリフォルニア州リッチモンドにある同社のステーションから始まる。同ステーションはAmazonが新型EV車両に合うように再設計している多くのステーションの1つだ。サンフランシスコ中心部に立地する新しい配達ステーションへの直近の2億ドル(約218億円)の投資は、同市での配達を大幅に増加させるという同社の意図を示している。

「すでに目にしてきたことから、これは最速の現代商業電動化プログラムの1つであり、非常に誇りに思っています」と同社のグローバル車両・プロダクト担当ディレクターであるRoss Rachey(ロス・レイチェイ)氏は声明で述べた。

街中での短距離配達向け車両の電動化の理論を理解している企業はAmazonだけではない。DHLは展開する車両の20%がすでにゼロエミッションのタイプだと話し、UPSはEV1万台を発注済みだ。そしてFedExは全車両を2040年までにEVに換えることを約束している。

カテゴリー:モビリティ
タグ:AmazonRivian電気自動車配送トラック

画像クレジット:Amazon

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンがオンデマンドの医療サービス「Amazon Care」を米国の他の企業にも提供すると発表

Amazon(アマゾン)は、シアトルで実施した「Amazon Care(アマゾンケア)」の試験運用の成果に満足しているようだ。2021年夏にはこのサービスを全米に拡大し、自社の従業員だけでなく、あらゆる規模の企業にも開放すると、米国時間3月17日朝に発表した。Amazon Careは、オンデマンドと対面式のケアを組み合わせた医療サービスで、雇用者負担のヘルスケアに不足している要素を補うためのソリューションとしてアマゾンが提供するものだ。

Amazon Careは、専用のアプリを使って、看護師や医師に直接オンラインで医療相談を受けられる。そのリモートによるテキストチャットやビデオ通話の機能によって、従業員とその家族がケアを受けるまでの時間を短縮できると、アマゾンは今回の事業拡大を発表したブログ記事の中でアピールしている。対面でのケアが必要な場合には「往診」にも対応し、医療従事者を自宅に派遣して、血液検査や胸部検査などを行ったり、処方箋も自宅に届けてくれる。

今回の拡大は、リモートと対面では展開が異なる。リモートによる医療相談サービスは、アマゾンの自社従業員だけでなく、顧客として契約した他の企業にも、2021年夏から提供を開始する。対面ケアの方は、よりゆっくりと展開していく予定で、まずはワシントンD.C.、ボルチモアで提供を開始し「今後数カ月のうちに他の都市にも拡げる」とのこと。

米国時間3月17日の時点では、Amazon Careは同社の本拠地であるワシントン州で、他の企業にサービスの提供を開始。これは、他の企業がAmazon Careを従業員のための総合的な福利厚生パッケージの一部として契約することを目指している。アマゾンはこのサービスの大きな強みとして、検査におけるスピードの優位性を謳っている。それは例えば、新型コロナウイルスをはじめとする検査結果の迅速な通達などが含まれる。

Amazon Careの仕組みには、アマゾンならではの工夫が凝らされている。対面ケアのオプションを利用すると、アプリを通じて医師や医療従事者の到着予定時刻が提供されるが、これはアマゾンのアプリが荷物の配送でやっていることと不気味なほどよく似ている。

ワシントン州におけるAmazon Careの試験運用は1年半前に開始されたばかりだが、アマゾンは以前から企業ヘルスケア業界を変革することを念頭に置いていた。同社は2018年の初めに、Berkshire Hathaway(バークシャー・ハサウェイ)およびJPMorgan(JPモルガン)との提携を発表し、民間企業のヘルスケアプロバイダー市場に見られるギャップに対処するための合弁会社を設立すると発表した。

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この財布の厚いオールスターチームは、その間の3年間で多くのことを成し遂げた後、2021年の初めに正式に解散することになった。アマゾンとパートナー企業が提携を解消した理由の1つは、それぞれが直面していた問題を独自に解決したことにある。その点におけるバークシャー・ハサウェイとJPモルガンの取り組みは目立たないものの、アマゾンは明らかにAmazon Careのことに言及していた。

関連記事:アマゾン、バークシャー・ハサウェイ、JPモルガンのヘルスケア合弁事業が正式に終了

バランスシートに潤沢な現金を持ち、優秀な人材を確保する必要のある大手ハイテク企業が、従業員のために独自の医療保険制度を立ち上げることは珍しくない。例えば、Apple(アップル)やGoogle(グーグル)は、医療専門家が常駐するウェルネスセンターを構内に設置している。しかし、アマゾンの野心は明らかに同業他社のそれを上回っており、自社の従業員ケアサービスを向上させるために行った作業を、事業化しようとしているように思われる。ちなみに、この戦略はAWSで行われたことと大して違わない。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:AmazonヘルスケアAmazon Care

画像クレジット:Amazon

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米共和党のマルコ・ルビオ上院議員が労組結成を目指すアマゾン倉庫従業員を「支持する」と発言

アラバマ州ベッセマーにあるAmazon(アマゾン)の物流倉庫で働く従業員たちは、すでにBernie Sanders(バーニー・サンダース)上院議員からJoe Biden(ジョー・バイデン)米大統領まで、民主党の政治家たちから公に支持されている。後者は2020年末には「今まででもっとも労組寄りの大統領になる」と約束していた。そして今、多くの労働者が組合結成を目指す中、チームは意外なところから政治的支持を得た。

米国時間3月12日、共和党のMarco Rubio(マルコ・ルビオ)上院議員はUSA Today紙に寄稿した論説で「労働組合の無制限な影響力がもたらす危険性」はあるものの、労働者たちを支持すると述べた。フロリダ州選出の上院議員であるルビオ氏は、歴史的に共和党は経営者側に味方する傾向があることを指摘しつつ「保守派がビジネス界に当然視される時代は終わった」と付け加えている。

この記事は、伝統的に左派と同盟してきた労働組合を全面的に支持するというには程遠いものだ。ルビオ氏は冒頭で、労働組合と経営者の対立は「労働者にとっても、国の経済的競争力にとっても間違っている」と述べ若干の含みを持たせた上で「独特の悪質な企業行動」を挙げている。

ルビオ氏はこう書いている。

これが私の基準です。働く米国人と、リーダーが労働者階級の価値観に対して文化戦争をしかけようと決めた会社との間で対立が生じた場合、選択は容易です。私は労働者を支持します。ですから私は今日、Amazonのベッセマー倉庫にいる人たちを支持するのです。

同記事は、Amazonの職場環境に対する長年の不満だけでなく、文化戦争に関する共和党の不平も取り上げている。「今日は職場環境かもしれませんが、明日は、経営者が今はやりの『ウォークな(woke、人種差別などの社会的不公正の問題に高い意識を持つこと)』人事を労働者に受け入れさせる要求かもしれません」と同氏は述べた。

政治と労使関係は、奇妙な同志をもたらすようだ。オーガナイザーは左派であることが多いが、組合の目的は(実際にはどうであれ)、政治的立場に関係なく労働条件を守ることだ。

関連記事:アマゾンの倉庫労働者が組合結成へ向け郵便投票を開始

Cori Bush(コリ・ブッシュ)下院議員、Jamaal Bowman(ジャマール・ボウマン)下院議員、Andy Levin(アンディ・レビン)下院議員、Terri Sewell(テリ・シーウェル)下院議員 、Nikema Williams(ニケマ・ウィリアムス)など、多くの議員がアラバマ州を訪れ、同倉庫の従業員への支持を表明している。約6000人を雇用している同倉庫の従業員は、2月7日に郵便による投票を開始した。投票は2021 年3月末に終了する。

究極のところ企業に圧力をかける上で、知名度の高い政治家の支持は労働者にとってプラスになるかもしれない。しかし、このようなコメントを鵜呑みにしてはいけないと、組合オーガナイザーは釘を刺すこともある。

ニューヨーク大学(NYU)フェローのClarissa Redwine(クラリサ・レッドウィン)氏は、先日TechCrunchのパネルセッションでバイデン氏の支持について聞かれこう述べた。「何よりもまず、権力者がいうことは重要ではないと覚えておくことが大切です。あなたが持っているすべての力は、トップにいる人たちが与えてくれるものではありません。隣にいる人々と腕を組み団結して、その力や影響力を自分のものにすることで得られるのです」。

【更新】小売・卸売・百貨店労組(Retail, Wholesale and Department Store Union、RWDSU)のStuart Appelbaum(スチュアート・アペルバウム)会長は、TechCrunchに次のようなコメントを送った。「我々はあらゆる方面からの支持を歓迎します。ルビオ上院議員の支持は、働く人々が職場で尊厳と敬意を得るための最良の方法は、組合結成であることを示しています。これは党派的な問題であってはなりません」。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Amazon労働組合

画像クレジット:Scott R. Galvin / AP

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)