Facebookがパーソナライズされた広告の利点を訴えるキャンペーンを展開

オンライン広告は、Facebook(フェイスブック)のブランドマーケティング責任者を務めるAndrew Stirk(アンドリュー・スターク)氏が認めたように「不毛な話題」になりがちだ。だが、この巨大ソーシャルネットワーク企業は、その新しいキャンペーンで、中小企業にとって「パーソナライズされた広告がどれほど競争の場を平等化するか」ということを盛り上げようとしている。

この「Good Ideas Deserve To Be Found(見つけられる価値のある良いアイディア)」キャンペーンは、テレビ、ラジオ、デジタル広告で展開される。各企業は、新しく用意されたInstagram(インスタグラム)ステッカーや、Facebook上の#DeserveToBeFoundハッシュタグを使用して、プロモーションを行うことができる。

このキャンペーンでは、Facebook上で特定の中小企業が強調表示される。ハンドバッグや旅行用バッグ・メーカーのHouse of Takuraもその1つで、同社創業者のAnnette Njau(アネットンジャウ)氏は、米国時間2月24日に開催されたプレス向けイベントで、デジタル広告の利点について次のように語った。

「このようなプラットフォームが私たちに可能にしてくれることは、私たちがストーリーを語ることができるようになるということです。私たちのような企業は、テレビや大手雑誌でストーリーを語ることができません。なぜなら非常に費用が高く、そしてそれをどんな人が見るのか、私たちにはわかりません」。

このような考え方は、2020年Facebookが、Apple(アップル)のApp Tracking Transparency機能に反対して起ち上げたキャンペーンと似たものだ。このAppleが今後導入を予定している機能では、ユーザーが許可しない限り、アプリは広告ターゲティングのためにユーザーデータを共有することができなくなる。Facebookはこれに反応し「すべての中小企業のためにAppleに抗議する」と主張。とはいえ、このような変更は、2021年直面することが予想される「広告に対する著しい逆風」の1つになるだろうと指摘した。対照的にAppleのTim Cook(ティム・クック)氏は、これらの変更は消費者が求めている制御を提供するものだと述べている)。

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今回のキャンペーンは、Appleとの論争を拡大するものになるのかと尋ねられたスターク氏は、Facebookは公にAppleの変更に反対しているが、このキャンペーンは同社が中小企業のために行っている長期的なサポートの一部であると語った。

「実際にある程度の緊急性があります。中小企業は今、苦しんでいるのです」と同氏は述べた。

Facebookのビジネスプロダクト責任者を務めるHelen Ma(ヘレン・マ)氏は、これは「新型コロナウイルス感染流行のごく初期から我々が製品サイドで行ってきた取り組みの延長そのもの」であると付け加えた。その取り組みには、他に「Businesses Nearby」機能の導入や、#SupportSmallBusinessのハッシュタグなどが含まれる。

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Facebookは同日、このキャンペーン開始に加えて、製品におけるいくつかの仕様変更も発表した。広告マネージャを使いやすく簡素化したことや、レストランがその食事体験に関してさらに詳細な情報を提供できる新しいオプションを設定したこと、そしてFacebookのBusiness Resource hub(ビジネスリソースハブ)とInstagramのProfessional Dashboard(プロフェッショナルダッシュボード)で、パーソナライズされた広告に関する詳細情報を提供することなどだ。

また、同社はFacebook Shops(Facebookショップ)のCheckouts機能を通じた取引手数料の免除を2021年6月まで延長し、少なくとも2021年8月までは有料オンラインイベントで支払われた料金についても同様の措置を取ることも発表した。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebook広告Apple

画像クレジット:Facebook

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Apple TV+がGoogle TVデバイスにやってくる、まずはChromecastから

Googleの米国時間2月18日の発表によると、Google TV対応Chromecastにより、Apple TV+のストリーミングサービスがGoogle TVでも観られるようになる。Googleによると今後数カ月後には、SonyとTCLのGoogle TVや、その他のAndroid TV対応のデバイスでも利用できるようになる。

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Google TVは2020年9月に、GoogleがChromecastのインターフェイスを参照する新しい方法として導入された。それにより、ストリーミングサービスやYouTubeからのライブTV、およびGoogleのその他のコンテンツサービスが1つのユーザーインターフェイスにまとまり、AppleやAmazonといった類似サービスとの競争力を強めた。現在、同プラットフォームはDisney+、Netflix、HBO Max、Peacock、Prime Video、CBS All Access、Hulu、Soing、そしてもちろんYouTubeなど、多くのメジャーストリーミングサービスをサポートしている。

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Apple TV+のサポートが追加され、すでに会員であるユーザーはオリジナル番組が観られるようになった。映画やドキュメンタリー、そして「Ted Lasso(テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく)」「For All Mankind(フォー・オール・マンカインド)」「Servant(サーヴァント ターナー家の子守)」「The Morning Show(ザ・モーニングショー)」「Dickinsonディキンスン 〜若き女性詩人の憂鬱〜」などのコンテンツも楽しめるようになっている。また、Appleで購入した映画や番組などのライブラリーにもアクセスできる。Family Sharing(ファミリー共有)も可能で、最大6名の家族がApple TV+とApple TVのチャンネルを共有することができる。

Google TVでのローンチに続き、米国のユーザーはGoogle TVのパーソナライズされたレコメンドでApple Originalを閲覧し、そのコンテンツを検索結果に表示することができる。ユーザーはGoogleアシスタントを使ってApple TVアプリを開いたり、Apple Originalのタイトル名でリクエストすることもできる。Apple TV+の番組もGoogle TVのウォッチリストに加えることができる。Googleによると、これらの機能はローンチ時ではなく「数カ月後」に登場するとのことだ。

今回の対応によりGoogle TVは、Appleのストリーミングサービスをサポートする最後の主要なストリーミングデバイスプラットフォームとなった。

Apple TV+は2019年にAppleの顧客向けにデビューし、その後、その同じ年も含めて、RokuデバイスAmazonのFire TVなど、Apple以外のプラットフォームにも展開した。今日ではそれは、SamsungやLG、Vizio、SonyなどのスマートTVと、PlayStation(PS4とPS5)やXbox(One、X、S)などのゲーム機、そしてWebでも利用できる。

Apple TV+は2019年11月にAppleユーザー向けに登場し、その後RokuデバイスAmazonのFire TVプラットフォームなど同社以外のプラットフォームでも展開された。本日からSamsung、LG、Vizio、SonyなどのスマートTVでも利用できるようになった。プレイステーション(PS 4およびPS 5)、Xbox(One、Series X、Series S)などのゲーム機、そしてウェブでも楽しめるようになる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Apple TV+Google ChromecastAppleGoogle

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

元NSAのセキュリティ研究者がAppleシリコン「M1」Mac搭載でネイティブ動作する初のマルウェア発見

元NSAのセキュリティ研究者がAppleシリコン「M1」Mac搭載でネイティブ動作する初のマルウェア発見

アップル独自開発のAppleシリコンことM1チップ搭載Macが発売されてからわずか数か月ですが、早くもネイティブ動作するマルウェアが発見されました。

この発見は、元NSA(米国家安全保障局)所属のセキュリティ研究者であるパトリック・ウォードル氏が、自らのブログObjective-Seeにて報告しているもの。M1 Macではインテル製チップ向けバイナリをRosetta 2で翻訳して動かすこともできますが、ウォードル氏が見つけたのはM1向けに再コンパイルされたArm64コードが含まれるものです。

具体的には以前からインテルMacを標的としているアドウェア「Pirit」をM1ネイティブ対応にした「GoSearch22.app」だったとのこと。このバージョンは大量の広告を表示し、ユーザーのブラウザからデータを収集することを目的としていると推測されています。

ワードル氏がこのマルウェアを発見したのは、Alphabetが所有するウィルス対策サイト(ファイルやWebサイトのマルウェア検査を行う)VirusTotalでした。さらにワードル氏は、GoSearch22は2020年11月23日にアップル開発者IDで実際に署名されていることも指摘。アップルはその時点で証明書を失効させていますが、野良で見つかったことからmacOSユーザーが感染した可能性があると述べられています。

それに加えてワードル氏は、VirusTotal上でx86(インテル製チップを標的としたもの)版を検出できたウィルス対策ソフトのうち、15%しかM1版のGoSearch22をマルウェアだと判定できなかったと報告しています。すなわち、ほとんどのアンチウイルスソフトはM1向けに設計されたマルウェアに対応する準備が整っていない、ということ。

この報告につき、別のセキュリティ研究者トーマス・リード氏はWiredに(既存のマルウェアを)M1向けにコンパイルすることは「プロジェクトの設定でスイッチを入れるのと同じぐらい簡単にできます」とコメントしています。

かつて「MacはWindowsよりもマルウェアの危険性が低い」との通説がありましたが、2019年にはMacがWindowsを上回ったとの調査結果もありました。一般にプラットフォームの普及が進むほど攻撃の対象となりやすくなり、かつM1 Macは順調な売れ行きを示していることもあり、今後はアップルもセキュリティ対策に頭を痛めるのかもしれません。

(Source:mObjective-See、via:9to5MacEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:Apple / アップル(企業)Apple M1(製品・サービス)Appleシリコン / Apple Silicon(製品・サービス)VirusTotal(製品・サービス)マルウェア(用語)

Apple Payがベイエリアの交通機関でようやく使えるようになる

サンフランシスコでバスに飛び乗ったら、(ニューヨークや北京その他の主要都市と違って)Apple Payを使えなかったという人にグッドニュース!それが変わる。Apple(アップル)は、Clipper(BART、Muni、Caltrain、AC Transitをはじめとするベイエリアの多くの交通機関が利用している決済システム)を近くサポートすることを発表した。もうすぐiPhoneやApple Watchをカードリーダーにかざせば出発できる。

AppleはApple PayがClipperに対応している全24交通機関で利用可能になるとのことなので、以下の交通機関で使えるはずだ。

  • AC Transit
  • BART(ベイエリア高速鉄道)
  • Caltrain
  • City Coach
  • County Connection
  • Dumbarton Express
  • FAST
  • Golden Gate Ferry
  • Golden Gate Transit
  • Marin Transit
  • Muni
  • Petaluma Transit
  • SamTrans
  • San Francisco Bay Ferry
  • Santa Rosa CityBus
  • SMART
  • SolTrans
  • Sonoma County Transit
  • Tri Delta Transit
  • Union City Transit
  • Vine
  • VTA
  • WestCAT
  • Wheels

AppleはWalletに組み込まれた 「Express Transit(エクスプレスカード)」 機能を使えるといっているので、比較的少額の運賃決済をFace IDやTouch IDによる認証を必要とせずに行うことができる。後ろに10人並んでいて、自分のiPhone相手に本当に自分であると説得したくない時にうれしい機能だ。

いつから正式に使えるのか?良い質問だ。Appleはまだそれに答えていない。Clipperの近日中のサポートを発表したメールで、Appleは「近日公開」としただけで、それ以上詳しく述べていない。@BayAreaClipperアカウントのツイートは、「今春」までと範囲を狭め、Google Payのサポートも近日公開であることを繰り返している。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleApple Pay

画像クレジット:Michael Fraley / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Nob Takahashi / facebook

iOS版Microsoft OfficeアプリがiPadに対応、ワード・エクセル・パワポが1アプリで利用可能に

iOS版Microsoft OfficeアプリにiPad対応、ワード・エクセル・パワポが1アプリで利用可能に

Microsoftは2月16日(現地時間)、iOS版のMicrosoft Officeアプリをアップデートし、iPadに対応させました。Microsoft OfficeはWord、Excel、PowerPointを1つのアプリで利用できるようにするもので、iPhoneとAndroid向けには2019年11月からプレビューを開始、2020年2月に正式リリースしていました。

スマートフォン向け「Office」アプリのプレビュー版公開。iOS版は登録終了、Android版は利用可能

これまでもiPadにインストールは可能でしたが、iPad向けに最適化されておらず、iPhone向けの小さな画面で表示される状態でした。しかしアップデート後は、iPadに最適化されたフルスクリーンで利用できます。また、新しい機能として、日付、図形、画像、メモを PDF に簡単に挿入できるようになりました。

なお、これまで通り、WordやExcel、PowerPointを個別にインストールもできます。こちらでは、マウスやトラックパッドのサポートも追加されています。

注意点として、10.1インチ以上のiPadでMicrosoft Officeを利用する場合、ドキュメントの新規作成や編集にはMicrosoft 365サブスクリプションが必要です。9.7インチのiPad / iPad Proと7.9インチのiPad miniは無料で新規作成・編集が可能ですが、全機能を利用するにはやはりサブスクリプションが必要となります。

(Source:App StoreEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:iPad(製品・サービス)Apple / アップル(企業)Microsoft / マイクロソフト(企業)日本(国・地域)

個人の位置情報をブローカーに売っていたX-Modeはアプリがストアから排除されてもユーザーの追跡を継続

これまでの発表よりもはるかに多い、何百ものAndroidアプリがユーザーの詳細な位置データをX-Mode(エックスモード)に送信していたことが判明した。X-Modeは位置データを米軍の請負業者に売ることで知られているデータブローカーである。

新たな調査によれば、そうしたアプリにはメッセージアプリ、無料の動画、ファイル変換ソフト、さまざまな出会い系サイト、宗教と礼拝用のアプリが含まれている。どれも、これまでに数千万回もダウンロードされているアプリである。

ExpressVPN Digital Security Labの主席調査員Sean O’Brien(ショーン・オブライエン)氏と、Defensive Lab Agency(ディフェンシブ・ラボ・エージェンシー)の共同創設者Esther Onfroy(エスター・オンフロイ)氏は、ここ数年のある期間にX-Modeのトラッキングコードが埋め込まれているAndroidアプリを200近く発見した。

一部のアプリは、つい2020年12月にAppleとGoogleがアプリからX-Modeを削除しないとアプリストアから排除することを開発者に通達した時点でも、まだ位置データをX-Modeに送信し続けていた。

しかし、排除が通達されてから数週間経っても、米国のある交通地図アプリは、依然として位置データをX-Modeに送信していたにも関わらずGoogle Playからダウンロード可能だった。このアプリは人気があり、すでに数十万回もインストールされている。

公開された新たな調査は、X-Modeと連携したアプリについて今までに行われた調査の中で最も大規模なものであると考えられている。通常の携帯電話用アプリから収集された位置データの利用権売買は数十億ドル(数千億円)規模の産業になっており、X-Modeはその産業で商売している数十社の企業の1つである。そうした位置データはたいていターゲティング広告を提供するために使用される。

先に米国諜報機関が商用の位置データの利用権を買い取り、米国人の過去の行動を、令状を取得する前に調査したことが報じられたばかりであるため、X-Modeには、政府の仕事との関係を疑う厳しい調査の目が向けられることになった。

X-Modeは、アプリ開発者にお金を払ってソフトウェア開発キット(SDK)と呼ばれる追跡用コードを使ってもらい、その代わりにユーザーの位置データの収集と引き渡しを請け負う。この追跡に関するユーザーのオプトインは、アプリの利用規約とプライバシーポリシーを承諾することにより成立する。ただし、位置データが最終的にデータブローカーの手に渡る可能性や軍の請負業者に販売される可能性があることを、X-Modeを使用しているすべてのアプリがユーザーに開示しているわけではない。

X-Modeが軍の請負業者(広い意味でとらえると米軍)と関係していることを最初に公表したのはMotherboard(マザーボード)だ。その報告では、世界中で9800万回以上ダウンロードされている有名な礼拝用アプリが詳細な活動データをX-Modeに送信したことが明らかになった。

2020年11月、Motherboardはさらに、これまで報告されていないイスラム教の礼拝用アプリQibla Compass(キブラ・コンパス)がX-Modeにデータを送信していたことを発見した。この発見はオブライエン氏の調査結果でも裏づけられており、さらにいくつものイスラム教徒向けのアプリにX-Modeが組み込まれていることが指摘された。Motherboardは、ネットワークトラフィックを分析することで、そうしたアプリの少なくとも3つはある期間にX-Modeに位置データを送信していたことを確認した。ただし、Google Playにある最新バージョンではすべて改善されている。Motherboardの記事全文はこちらで読むことができる

2020年、X-Modeの最高経営責任者Josh Anton(ジョシュ・アントン)氏は、CNNに対して、データブローカーは米国で2500万台のデバイスを追跡しており、Motherboardによって指摘されたSDKは約400のアプリで使用されていると説明した。

アントン氏はTechCrunchに次のように語っている。

X-Modeがほとんどの広告用SDKと同じようにモバイルアプリデータを収集していたことを考えると、X-ModeのSDKの排除はエコシステムに大きな影響を与えることになる。AppleとGoogleは、パブリッシャーの大部分が位置データの収集と使用に関する二次的同意を得ていたとしても、モバイルアプリデータの収集と使用に関するいち企業の能力をプラットフォームが決定できるという先例を作った。

最近、当社は、この問題に協力して解決する最善の方法を理解するためにAppleとGoogleに公式文書を送った。命を救うための位置データの使用と、位置データを活用した製品を開発するテックコミュニティの機能強化を両方とも継続して行うためである。当社は、AppleとGoogleが位置データの収集と使用に関して自分たちに当てはめている同じ基準をX-Modeにも適用することが重要であると考えている。

調査員は、X-ModeのSDKを使用しているアプリとの通信が行われたことが判明している新しいエンドポイントも公表した。オブライエン氏は、これが、ユーザーの位置データをX-Modeに送信しているアプリや送信履歴のあるアプリのさらなる発見に役立つことを期待している。

オブライエン氏は「私たちは、こうしたロケーショントラッカーのターゲットになっているかどうかを利用者が識別できるようになることを望んでいる。さらに重要なこととして、こうしたスパイのような行為を止めるよう強く求める。調査員は公共の利益のために調査結果を精査し、プライバシー、セキュリティ、権利への脅威を明らかにする必要がある」と語った。

TechCrunchは、調査結果に含まれていたアプリの中から、ダウンロード数の多い20数個のAndroidアプリを選び、そのネットワークトラフィックを分析した。既知のX-Modeのエンドポイントと通信していたアプリを探し、ある期間に位置データをX-Modeに送信していたアプリを確認するためである。

また、調査員によって特定されているエンドポイントを使用し、X-Modeと通信している可能性がある有名なアプリが他にもないか探すことにした。

その結果、Googleアプリストアの排除から抜け落ちているアプリを少なくとも1つ特定できた。

Googleによって削除される前にGoogle PlayにあったNew York Subway(画像クレジット:TechCrunch)

New York Subway(ニューヨーク・サブウェイ)はニューヨーク市の地下鉄網を案内する人気アプリで、これまでに25万回ダウンロードされ、Sensor Tower(センサー・タワー)によって提供されるデータを使用している。このアプリは、本記事の執筆時点でもまだGoogle Playに掲載されており、アプリストアが排除を通告してから更新されていないため、依然として位置データをX-Modeに送信していた。

アプリを読み込むと、広告、分析、市場調査のためにX-Modeへのデータ送信に同意するようユーザーを求めるスプラッシュスクリーンがすぐに表示されるが、アプリにはX-Modeの政府関係の活動については少しも説明されていなかった。

イスラエルに拠点を置くアプリメーカーDesoline(デソリン)に何度かコメントを求めたが、回答はなかった。ただ、問い合わせを行った少し後にこのメーカーはプライバシーポリシーからX-Modeに関する記載を削除した。本記事の執筆時点では、このアプリはGoogle Playから消えたままである。

Googleの広報担当者は、この会社がGoogle Playからアプリを削除したと説明している。

また、TechCrunchは、調査員が提供しているアプリの一覧を使用して、非常に人気のある2つのアプリMoco(モコ)とVideo MP3 Converterの旧バージョンを発見した。これまで累計1億1500万回以上ダウンロードされているが、いまだにユーザーの位置データをX-Modeに送信している。Google Play以外からAndroidアプリをインストールし、データをX-Modeに送信する古いアプリを実行しているユーザーにプライバシーリスクをもたらしている。

どちらのアプリメーカーにもコメントを求めたが回答はなかった。Googleは、同様の問題がある他のアプリが削除されたかどうかや、位置データをX-Modeに送信する古いバージョンのアプリを実行しているユーザーを保護するためにどんな対策を講じるかを、たとえその方法があるとしても説明しないだろう。

AppleのiOS用の対応するアプリや同じ名称のアプリについても調査したが、X-Modeのエンドポイントとの通信が検出されたものは1つもなかった。Appleに問い合わせたところ、排除を実施した後にいずれかのアプリをブロックしたかどうかについてのコメントは拒否された。

オブライエン氏は「スマートフォンのセンサーは、不当に利用すれば、私たちの活動、自由な表現、自主性を制限しかねない多くのデータを提供している。位置データの密かな収集は、人権に関わる重大な脅威をおよぼしている。生活の中で特にセンシティブな部分や、誰と一緒にいるかといったことを観察できるからだ」と語る。

最近公開された調査によって、一般的なスマートフォンアプリから何百万もの米国人の個人データが(ほとんどの場合、ユーザーの明示的な同意なく)収集・販売されている方法に関する新たな事実が明らかになる可能性がある。

米政府の監視機関は現在、事前に令状を取得することなくさまざまなデータブローカーから位置データを買い取って使用することに関して、米内国歳入庁(IRS)や米国土安全保障省(DHS)をはじめとするいくつかの連邦政府機関に対して捜査を行っている。先週、国防情報局の諜報分析官が米国人の位置データを保存している商用データベースの利用権を購入したことが明らかになった。

評論家は、政府が2018年の最高裁判決の抜け穴を使っていると指摘している。その判決は、法執行機関が令状なしで携帯通信会社から直接、携帯電話の位置データを取得することを禁止するものだった。

現在、政府は、ブローカーから直接購入できるものに対して令状が必要だとは考えていないという見解を示している。

厳しいプライバシー評論家として知られるRon Wyden(ロン・ワイデン)上院議員の事務所では以前、データブローカー産業について詳しく調べ、データブローカーを取り締まって罰金を科すために連邦取引委員会に新たな権限を付与する法律を過去に草案したことがある。

ワイデン氏は「米国人は位置データがクレジットカードと一緒にデータブローカーから誰かに売られている話にうんざりしている。業界の自主規制が機能していないのは明らかだ。連邦議会は、私が提出した『Mind Your Own Business Act』のような強力な法案を通して、データの販売を防ぐのに効果がある方法を利用者に提供し、米国人のプライバシーを侵害した企業に説明責任を求める権限を連邦取引委員会に与える必要がある」と語る。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:X-Mode位置情報アプリAppleGoogleApp StoreGoogle Play

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Dragonfly)

Appleは蔓延するアプリの評価詐欺を根絶するよう開発者に迫られている

Apple(アップル)は、偽のレビューや評価詐欺に対する取り締りを強化せよとの要求に直面している。ことの経緯は、App Storeでの詐欺行為がテクノロジー大手企業Appleによって根絶されなかった結果、ある開発者が、不正商慣習に立ち向かわざるを得ない状況をソーシャルメディアで明るみにしたことにある。

Fleksyキーボードアプリを開発するFleksy(フレクシー)社の創業者の1人であるKosta Eleftheriou(コスタ・エレフセリウ)氏(2016年にPinterestが獲得)は、2018年3月以来、オートコレクトアルゴリズムの専門知識を活用して、Apple Watchの小さなディスプレイでのタイピングを可能にするだけでなく、Forbes(フォーブス)のレビュアーが言うところの「シンプルで楽しく、非常に効果的」にタイピングできるようにしてきた。

エレフセリウ氏が開発したFlickType(フリックタイプ)は、アプリのレビュアーからも「驚くほど正確」「基本的な機能が優れたキーボード」とAppleがネイティブでサポートしている一字一字のフリーハンド方式よりも「かなり速い」と評されている。

ユーザーレビューには5つ星の非常に好意的な評価も多いが、多数の低スコアが平均を引き下げたため、ユーザーの総合評価は現在3.5だ。しかし時間をかけて調べてみると、フリックタイプの開発者は、低いスコアを残したユーザーから提起された問題に一貫して前向きに対応しているのがわかる。

ときとして、エレフセリウ氏がコントロールできないApple Watchのプラットフォームの問題について苦情が出ることもある(Appleはサードパーティーアプリによるテキスト入力へのアクセス方法を制限しているため)。機能の不足もよくある問題であり、エレフセリウ氏は、多くの回答の中で、ユーザーが求めていた設定(自動補正を無効にする機能など)を追加したと答えたり、「タイピングが簡単になる新しいルック&フィール」を紹介したりして、問題に対応している。また、バグを指摘してくれたユーザーに感謝し、修正完了を報告することもある。

それぞれの苦情が具体的にどのように対処されているかを知っている人なら、フリックタイプの開発者が顧客の期待を満たせるよう懸命に取り組んでいることを確信するだろう。総合評価では、他のApple Watchキーボードアプリの方が全体的に高いとしてもだ。

エレフセリウ氏にとっての問題は、模倣アプリメーカーが彼の大変な努力を搾取していることだ。模倣アプリメーカーは、App Storeの取り締まりが弱いことに付け込んで、同氏を踏み台にして不当に利益を得ることができる。

詐欺の手口はこうだ。フリックタイプと同じような洗練された機能を持っていると称するApple Watchキーボードアプリが多数公開され、ユーザーは目を見張るような高いサブスクリプション料金を支払うように仕向けられる。しかしその機能は、見劣りのする模倣品にすぎない。

模倣アプリに対して品質はApp Storeの最上位だという期待を持つかもしれない。しかしその裏では、模倣アプリに偽レビューや評価のスコアがつけられ、そのアプリに対して多くのユーザーから寄せられた本物の評価が締め出されている。

偽のレビューは本物のレビューよりも多い。時間をかけてじっくりコメントを読まなければ、偽物は見分けられない。

「購入する前にレビューを読めばよかった。自分のApple Watchでは動作しません」とコメントされているのは、エレフセリウ氏が抗議しているライバルアプリの1つWatchKey(ウォッチキー)の1つ星レビューである。それにもかかわらず、このアプリは5つ星レビューの割合が非常に高いため、彼のアプリよりも全体的な評価が高い。

ウォッチキーは1つ星レビューに対してたいてい「ご迷惑をおかけして申し訳ございません。できるだけ早くサポートできるように、メールで状況を詳しくお知らせください」と回答している。

別の1つ星レビューのコメントには「最悪だ」という言葉に続いて、次のように書かれている。「Apple WatchでT9を使うためにこのアプリを購入しましたが、T9は動きませんでした。また、アプリに記載されているカスタマーサービスにもメールを送りましたが返信がありません。別のアプリを探すことをお勧めします」。

ウォッチキーのソフトウェアに対する別の最低評価への回答を見てると、またまた決まり文句が並んでいる。「フィードバックをありがとうございます。残念ながら、お客様からのメールはまだ届いておりません。できるだけ早くサポートできるように、support@vulcanlabs.coまで状況を詳しくお知らせください」

このパターンは否定的なレビューで繰り返されている。5つ星レビューを書いた人の中にすら、「T9は無料では使えません。レビューを書くとT9が無料で使えるようになると思ったのに、料金を請求されました」と警告する人がいる。

レビューの操作には、Appleの定める最低限の要件を満たせるように、よくある決まり文句を投稿して本物のネガティブなレビューを締め出すという作業が含まれる。また、偽の5つ星レビューを大量に掲載して、アプリの全体的な評価を高く維持する必要がある。こうした作業が利益につながるのである。

エレフセリウ氏はTwitterのスレッドの中で「何百もの」偽の5つ星レビューからいくつかを紹介している。これらはApple Watchのユーザーに悪質な模倣アプリをダウンロードさせるために使われているとのことだ。偽のレビューでは、存在しない機能に注意を向ける言い回しや、他の種類のデバイスの機能に言及する言い回しが使用されている(これは偽のレビューが、別の媒体にある本物のレビューからコピー&ペーストされた可能性があることを示している)。

Google(グーグル)で「buy ios reviews(iOSのレビューを購入する)」と検索すると、6億4300万件という膨大な量の検索結果が表示される。これには「AppleのApp StoreやGoogle Play(グーグルプレイ)でアプリのランクを上げる最良の方法として、アプリのレビュー、インストール、評価を請け負うこと」を売り込んでいる企業の広告が含まれ、「100%本物のユーザーによる評価がついた高品質のiOSアプリレビューを2.5ドル(約263円)」で売り出しているものもある。

偽のレビューの販売が急成長のビジネスであることは明らかだ。これは実効的な取り締まりがまったく行われていないことを示している。

極めつけとして、エレフセリウ氏は、詐欺師まがいの競合開発者の1人が同氏のアプリのプロモーション動画(フリックタイプの機能のデモ)を盗用し、Facebook(フェイスブック)やInstagram(インスタグラム)でアプリユーザーをターゲットにした広告に使っていたことを発見した。

Facebookには第三者の著作権侵害に対するポリシーがあるが(広告ポリシーの第4項「禁止されているコンテンツ」に基づく)、広告テクノロジー大手企業の同社には積極的な取り締まりを求めた方が良いだろう。Facebookは著作権侵害の申し立てを受けた場合にのみ対応するため、エレフセリウ氏はマーケティング材料の不正使用を防ぐために、そうした材料を盗用する悪質な広告を多くの時間を費やして見つけ、報告しなければならない(「Facebookは、私が報告した広告を最終的に削除しました。しかし、わかりきっていることですが、これでずっと安心していられるわけではありません」と同氏はいう)。

ここまで読んで意外に思われるかもしれないが、言うまでもなくAppleの開発者向けルールは、不正なレビューを提出することは開発者プログラムのライセンス契約違反であると明確に規定している。

App Storeのレビューガイドラインでは、システムを欺こうとする(評価の操作など)開発者は、App Storeからアプリが削除されるだけでなく、Appleの開発者プログラムから完全に除名される可能性があると警告している。

丁寧な言い方をすれば、Apple独自の取り締まりがApp Storeの詐欺を根絶できないために、優れた専門知識と実績のある個人開発者が非常に多くのリソースを使って詐欺に対抗しなければならないのは、Appleにとっても望ましくない状況である。エレフセリウ氏は、組織的な取り締まりの失敗を浮き彫りにするために、ソーシャルメディア上で公に呼びかけることが唯一の対抗策だと感じている。

エレフセリウ氏がTechCrunchに語ったところによると、Apple公式の「アプリに関する申し立て」チャンネルに対応を求めたが、「気が滅入るような結果」しか得られなかったために、ソーシャルメディア上で苦情を提起することにしたということだ。

「Appleの対応は、問題を申し立てている開発者と申し立ての対象になっている開発者をつなげ、やり取りをモニタリングしながら当人同士で直接問題を解決してもらうというものです」とエレフセリウ氏は説明する。「私がアプリに関する申し立て用のチャンネルで苦情を述べた詐欺師は、Twitterのスレッドで言及した大物詐欺師には遠くおよびません。それでも私の苦情はほとんど解決されず、偽の評価やレビューの問題に関してAppleから回答はまったくありませんでした。Appleにとって問題の申し立て人からすぐに連絡がなければ、その問題は解決されたということなのです。その後、Appleに非公式に連絡を取りましたが返答はありませんでした」。

「私にとって最も印象的だったのは、Appleの法務チームの監視に対して、詐欺師が少しも脅威を感じていなかったことです。まるでAppleが何も対策を取らないであろうことを知っているかのようでした」と同氏は付け加える。「私の考えでは、Appleはこの分野に十分なリソースを投入していません」。

Twitterでこの問題を提起して以来、エレフセリウ氏は模倣アプリとの戦いに一部勝利したことを報告している。同氏が苦情を述べたアプリのいくつかはApp Storeから削除された(この記事の執筆時点で、Appleは何らかの対策を取ることを公式に発表していない)。

しかし、現時点で模倣アプリの開発者のアカウントは禁止されていないようだ。「このような詐欺をやってのけても開発者アカウントが取り消されないのには呆れてしまいます」とエレフセリウ氏は語る。「アカウントの禁止以上に有効な対策はありません」。

Appleにこの問題について問い合わせたところ、同社は、その他の該当する規定のうち、システムを欺く試み(レビュープロセスを巧妙に操る、ユーザーデータを盗む、他の開発者のアプリをコピーする、評価やApp Storeの内容を操作するなど)を禁止する開発者ポリシーに関する背景情報を提供してくれた。

またエレフセリウ氏が提起した問題を踏まえ、ポリシーの変更を検討しているかどうかもAppleに尋ねた。何らかの回答があればこの記事を更新する。

「私の考えでは、アプリの模倣が主な問題点なのではありません。模倣アプリの開発者が私の名前を勝手に使っていても、私と同じようなスクリーンショットを作っていても、それは気にするようなことではありませんでした。偽の評価とレビューを適切に防ぐシステムさえあれば、どうってことはありませんでした」とエレフセリウ氏は述べている。「1つ星のレビューがたくさん集まると、品質の低い製品は淘汰されていき、これはユーザーを守ることにつながります。しかし、製品レビューのシステムが不正操作されると、他の優れた製品まで排除されてしまいます」。

「もはや評価やレビューが信頼できる保証はありません。それが、消費者からの信頼が急激に失われる結果になっています」と同氏はつけ加える。「評価やレビューを販売している、件の『企業』がどんなものかGoogleで検索してみました。検索結果に現れたのは、サポートシステムを備えた本格的な企業であり、競合他社のようにAppleによって評価が削除されることはないと謳っています。私にとって、こうした業界が繁栄していることは衝撃でした」。

偽のレビューの問題は、確かにAppleのApp Storeに限った問題ではない。そして非常に陰湿な問題である。

ユーザーレビューのシステムを組み込んでいるプラットフォームの数を考えると、Amazon(アマゾン)で買い物をしようとしている場合でも、Tripadvisorで旅行先を探している場合でも、Google Mapsのレビューを見て地元の歯科医を探している場合でも、偽のレビューはインターネット上ならほぼどこにでもある(要するにレビューは信用しないほうがいい)。

しかし、この問題はAppleにとって特に大きな害をおよぼすように見える。

App Storeのセールスポイントの核心は、Appleのレビュープロセスは監視が不十分な他のマーケットプレイスよりも高品質で信頼できるという主張である。

したがって、レビュー詐欺や評価の操作に対抗するためにより多くの措置を講じなければ、Appleのブランドが失墜するリスクがある。

簡単に言えば、消費者はAppleに高い水準を期待している。だからこそ、その製品に高い代価を支払ってもいいと思っている。App Storeのチェックと取り締まりに対するリソースが不足している状況は不経済だ。このような状況が続くと一層、エレフセリウ氏のような質の高い開発者がApp Storeから離れていってしまうリスクがあるからだ。

これほどの経歴を持つ開発者が、App Storeで自分の製品を確実に売ることができないとしたら、Appleの「プレミアム」マーケットプレイスとは一体何なんだろう。

この問題は、今後数年のうちに消費者監視団体や規制当局の調査対象になる可能性が高い。たとえば欧州連合(EU)は、デジタルビジネスにおける公正さと説明責任を促進しようと取り組む中で、拘束力のある透明性要件と報告要件を次期プラットフォーム規制に組み込むことを計画している。

2020年初めに施行されたEUオムニバス指令は、加盟国がそれを導入するために2年の期限を設けており、強化された取り締まりと透明性要件を通じて消費者の権利を強化することを目的としている。その他の取り組みとして、レビューが本物であることを保証するために「合理的かつ相応の」措置を取ることをトレーダーに義務付けることによって、偽のレビューの問題に直接対処している。

EUのプラットフォームでは、偽のレビューの取り締まりの失敗について「十分な根拠を示す」ことが求められるようになるだろう。根拠を示すことができなければ、消費者保護法違反に対する「GDPRレベル」の厳しい罰金が課せられることになる。そのため、損失は現在のように風評被害ではすまないだろう。

一方、英国の競争市場庁は、ここ数年、特にFacebook、インスタグラム、eBay(イーベイ)をターゲットにした偽のレビューの売買を厳しく取り締まっている。現在EUから独立して活動している英国の監視団体も、この問題を一層注視しているようだ。

関連記事:FacebookとeBayが英国規制当局の圧力を受け「偽レビュー」の対策強化を誓約

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AppleApp StoreアプリFleksy

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

Appleのティム・クック氏がアドテックは社会の破滅をもたらすと警告、同社アプリトラッカーのオプトイン機能を擁護

Apple(アップル)のTim Cook(ティム・クック)CEOは2021年1月に「Computers, Privacy and Data Protection(CPDP)」カンファレンスで基調講演を行い、欧州はプライバシー保護を強化するべきだという考えを明らかにした。同氏は2年前にもブリュッセルで生講演を行い、アドテック業界によるインターネットユーザーの大量監視を支えている「data-industrial complex(データ産業複合体)」を激しく非難したが、今回の講演でもほぼ同じ主張を繰り返した。

この講演でクック氏は、現世代のアドテックの改革は今や人道的に必要不可欠なものだと述べ、遠回しにFacebook(フェイスブック)に対する批判を繰り返した。

「2年前にもブリュッセルで話したとおり、包括的なプライバシー保護法を米国で策定するだけでなく、データの最小化、(自分の情報利用に対する)ユーザーの知識、ユーザーによるデータへのアクセス、データのセキュリティという原則をグローバルに実践するための、世界規模の法律と新しい国際合意を策定すべきときだ」と話した。

「我々は何を許容すべでないか、何を許容しないか、という点でユーザーの個人情報に対する権利を主張する人々に、普遍的かつ人道的に応答しなければならない」とクック氏は付け加えた。

Appleは現在、トラッキングについて事前にユーザーの許可を求めることを開発者に義務づけるという世界初の試みへと舵を切る準備を進めている最中だ。前述のクック氏のメッセージは、同社にとって極めて重要な時期に発表された。

Appleは2021年1月下旬に、iOS 14の次期ベータリリースでApp Tracking Transparency(アプリ追跡透明性、ATT)機能を有効にすることを改めて発表している。正式な導入は2021年の春先になる見込みだという。

関連記事:アップルのApp Tracking Transparency機能はデフォルトで有効に、早春にiOSで実装

Appleはこの機能を2020年から運用開始する予定だったが、開発者側に対応準備期間を与えるために予定を延期している

関連記事:アップルが開発者によるユーザー追跡の明示的許可強制を来年まで延期

この動きに対してアドテック大手のFacebookは以前から強く反論しており、サードパーティによるトラッキングを拒否する権限をAppleがユーザーに与えると、広告ネットワークを使用しているパブリッシャーは重大な影響を被ることになると警告している

関連記事:アップルがiOS 14に導入予定の広告トラッキング規制にFacebookは不満を表明

先に、Facebookは第4四半期の決算を発表し「広告部門での逆風が強まっており」2021年の収益が低下すると警告を発し、AppleのATT(および「変化する規制当局側の姿勢」)をリスクとして挙げた。

関連記事:Facebookは2021年のターゲティング広告と収入に大きな障害を予測する

クック氏はまた、データ保護とプライバシーに関する別のカンファレンス(通常はブリュッセルで開催されるが2021年はパンデミックの影響でオンライン開催となった)で行った講演で、ATTとプライバシーに対するAppleの姿勢をかなり強い言葉を使って擁護し、導入が間近に迫ったトラッキングのオプトイン機能は「ユーザーにコントロール(制御権)を返却する」ものであること、アドテックによるインターネットユーザーの監視によって、陰謀説、過激主義、物理的な暴力などの拡大をはじめとするさまざまな悪影響が生じていることを指摘した。

同氏はATTについて「ユーザーはこの機能を長い間待ち望んでいた」と述べ、次のように語った。「我々は開発者と密接に連携して、この機能を実装するための時間とリソースを彼らに与えてきた。また、我々自身も、この機能によって事態がすべての人にとって良い方向へと変化する可能性が高いと考えており、熱意を持って取り組んでいる」。

フランスでは、Appleのこの動きに対して不当競争の疑いがかけられており、2020年10月、4つのオンライン広告ロビー団体が「開発者がアプリユーザーに対してトラッキングの許可を求めることをAppleが強制するのは同社による市場支配力の乱用である」として、独禁法違反でAppleを告訴している(英国でも、GoogleがChromeブラウザでトラッキング用サードパーティCookieのサポートを打ち切ることについて同様の提訴があり、規制当局による調査が始まっている)。

また、The Informationによると、Facebook側もAppleを独禁法違反で告訴する準備を進めているといい、司法の場での争いがヒートアップしている(実はFacebook自身も、長年にわたる反競争的行為によってソーシャルネットワーク市場を独占してきたとしてFTCから提訴されている)。

クック氏は同講演で、プライバシー保護に関する別の新たな取り組みとして、App Storeに出品されるアプリについて、データ収集に関する情報を食品成分表のようにわかりやすく示す「privacy nutrition(プライバシーラベル)」の表示をiOSアプリの開発者に義務化していくと述べた。すでに別の記事で伝えたとおり、このラベルと、近く導入されるATTはサードパーティだけでなくApple製のアプリにも適用される。

クック氏によると、この2つの動きは「ユーザーの役に立ち、ユーザーの幸福を目指す」テクノロジーを創造するというAppleの核をなす製品哲学に沿ったものであり、人々がオンラインで実行するあらゆることについて情報を収集しそれらを大衆操作ツールとしてユーザーに不利になるように利用する、強欲な「データ産業複合体」のアプローチとは対照的であると語った。

「そもそも、プライベートな情報や個人情報はすべて、監視や収益化、あるいは集積してユーザーの生活を丸見えにすることにつながっているように見える」とクック氏は警告する。「こうしたアプローチの行き着く先は顧客の製品化である」。

「ATTが本格的に導入されると、こうしたトラッキングに対してユーザーはノーと言えるようになる。トラッキングに必要な程度の情報であれば、ターゲット広告の精度を上げるために提供してもよいと考える人もいるかもしれない。しかし、多くの人はそう考えていないようだ。というのは、同様の機能をSafariのウェブトラッカー制限に組み込んだところ、大半のユーザーから良い評価が得られたからだ」と同氏は述べ、「こうしたプライバシー中心型機能とイノベーションは、Appleが果たすべき責任の中核をなしている。今までずっとそうであったし、これからも変わらない」とつけ加えた。

過去には、プライバシーに反した大量監視などなくても広告業界が繁栄していた時代があった、とクック氏は指摘する。「テクノロジーは多数のウェブサイトやアプリから寄せ集められた膨大な個人データなどなくても成功できる。そんなものがなくても、広告は何十年も存続し、繁栄してきた。最も抵抗の少ない道を行くことが賢明な選択であることはめったにない。我々が今日のような立場を取っているのはそのためだ」。

クック氏はまた、いくつかの点でFacebookを遠回しに厳しく批判した。Facebookの名前こそ出さなかったが「ユーザーの監視」「データの搾取」「選択の余地のない選択」を基盤とするそのビジネス手法を酷評した。

「このような組織は我々の称賛に値しない。改革に値する」と同氏は続けた。また、同じ講演の前の部分で欧州の一般データ保護規則(GDPR)がプライバシー保護の強化に果たす役割を称賛し、そのような法の執行を「継続する必要がある」とカンファレンス出席者に訴えた(まさにこの継続性がGDPRの弱点となってきたが、現在2年半が経過して、やっと執行体制が軌道に乗ってきたようだ)。

クック氏は、Facebookに対する厳しい批判を続け、膨大なデータを吸い上げる、エンゲージメント偏重のアドテックのせいでデマや陰謀説が拡散されているとし、こうしたアプローチによってもたらされる影響はあまりにも深刻で、民主社会が許容できるものではないと主張した。

「大局的な見地を見失ってはならない。アルゴリズムによってデマや陰謀説が蔓延している今、可能な限り多くのデータを収集するために、エンゲージメント率を上げさえすればよい、ユーザーの滞在期間が長いほどよいというテクノロジーの考え方に対して見て見ぬふりをすることはできなくなっている」。

「多くの人たちが今でも『どの程度の罰金で済むだろうか』という話をしている。考えるべきなのは、どのような影響がもたらされるかという点だ。単にエンゲージメント率が高いという理由で陰謀説や暴力行為の扇動が優先されたら、どのような結果になるだろうか。命を救うワクチンに対する大衆の信頼を弱体化させるコンテンツを許容するだけでなく、そのようなコンテンツに報酬を与えるならどうなるだろうか。数千人のユーザーが過激グループに参加しているのに、そのグループへの参加を推奨するアルゴリズムを存続させたらどうなるだろうか」と、同氏は続け、Facebookのビジネスが直接の原因として批判されているさまざまなシナリオを挙げて説明した。

「こうしたアプローチに犠牲がともなわないふりをすることは、すぐにでも止めるべきだ。犠牲とは格差であり、信頼の喪失であり、そしてもちろん暴力だ。社会的ジレンマが社会的大惨事につながるのを許してはならない」とつけ加え、Facebookによるソーシャルネットワークのイメージを一撃で一変させた。

Appleが、ATTに反対するアドテック大手との戦いを推し進めるために欧州のデータ保護専門家に働きかけていることには理由がある。EUの規制当局には、ATTによるアプローチを後押しする法律を施行する権限があるからだ。ただし、現時点では規制当局はまだそこまでは踏み切れていない

Facebookに関するデータ保護監視を主導するアイルランドのデータ保護委員会(DPC)は、いわゆる「同意の強制」(サービスを使いたいなら広告ターゲティングによってトラッキングされることを承諾する以外に選択肢がないこと)を含め、Facebookのさまざまなビジネス手法に関する調査をまだ行っていない。

ユーザーに選択肢を与えないこのような手法はAppleがApp Storeで進めている変革とは対照的だ。App Storeでは今後、すべての企業はトラッキングに関してユーザーの同意を得る必要がある。Appleのこの動きは欧州のデータ保護法の原則に沿ったものだ(一例として、同法には、法的に有効であるためには一切の条件を提示することなく人々のデータに対する処理の承諾を得る必要がある、という原則がある)。

同様に、ユーザーに選択肢を与えることを引き続き拒否するFacebookの姿勢は、EUの法律と真っ向から対立しており、GDPR(一般データ保護規則)の規制対象となる可能性がある(クック氏が講演の中で訴えていたのはこの点だ)。

2021年はこの論争が決着に向かう重要な年になりそうだ。2020年末、アイルランドが他のEU加盟国のデータ保護当局に決定案を送付したことで、WhatsAppとFacebook間のデータ共有の透明性に対するDPCの長期にわたる調査が2021年、法執行に向かって動き始めている。

Politicoの報道によると、WhatsAppはこの1件のみで3000万~5000万ユーロ(約38億~64億円)の罰金を科せられる可能性があるという。それだけではない。WhatsAppは2019年にプライバシー保護違反に関する件でFTCに50億ドル(約5277億円)の罰金を支払ったが、そのときは広告ビジネスの運営方法について具体的な変更を行う必要はなかった。今回は、ユーザーデータの扱い方を変更するよう命令される可能性がある。

特定の種類のユーザーデータの処理中止を求める(またはデータを使用する前にユーザーの同意を得ることを強制する)命令が当局によって出されれば、これまでよりはるかに大きな影響がFacebookのビジネス帝国におよぶことは間違いない。

Facebookは2021年中に、欧州のユーザーデータのEU圏外への転送を合法的に継続できるかどうかについても最終判決を言い渡される。

Facebookがこのようなデータフローの停止を命令されれば、同社のビジネスのかなりの部分が大きく混乱することになるだろう。2019年の第1四半期時点で欧州のDAU(1日あたりの利用者数)は2億8600万人だった。

要するに、Facebookのビジネス運営をめぐる規制当局側の姿勢は明らかに「変化している」ということだ。

Facebook側もAppleによるプラットフォームレベルでのプライバシー保護執行が迫っている事態に対抗し、法律の専門家を投入して、Appleの動きは反競争的だと主張する構えを見せている。しかし、EUの立法担当者も、プライバシー保護執行に対抗するツールとして独禁法を持ち出す利己的な動きには目を光らせているようだ。

(クック氏が同講演でプライバシーの「イノベーション」に触れたことは注目に値する。同氏は「我々の生活をより良く、満たされた、人間的なものにするイノベーションの先にこそ未来があるのではないか」と聴衆に問いかけた。これは、プライバシー対独禁法規制の論争においてまさに鍵となる問いかけだ。)

2020年12月、コミッションのEVPで競争担当責任者のMargrethe Vestager(マルグレーテ・ベステアー)氏はOECD Global Competition Forumで、独禁法の執行担当者は、プライバシーが競争を抑え込む盾として使われないように用心する必要があると指摘した。とはいえ、同氏はドイツにおけるスーパープロファイリング訴訟でFacebookに有罪判決が下されたことに支持を表明しており、同氏の言葉にはデータ産業複合体に対する皮肉も込められていた。

この訴訟(ドイツFCOによって引き続き係争中)では、プライバシーと競争を新しい興味深い方法で組み合わされている。規制当局が勝訴すれば、Facebookのソーシャル部門がデータレベルで構造的に分離される結果になる可能性がある。いわば、「すばやく行動してマンネリを断ち切る」(Facebookの有名なモットー)の規制当局版だ。

ベステアー氏が規制のイノベーションを「刺激的で興味深い」と形容したことは注目に値する。欧州のデジタル政策と競争を監督する人物も、規制のイノベーションに対して、非難するどころか、むしろ信任票を投じているようだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AppleFacebookEUアドテックGDPR

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

アップルの「マップ」に道路情報やスピード違反の取り締まりを報告する機能追加

Apple(アップル)のマップにドライバーが道路の危険情報や事故、スピード違反取り締まりなどを報告できる機能が追加された。新機能は一般ベータ版テスターとデベロッパーに公開されているiOS 14.5ベータ版で利用できるが、2021春まで一般展開はされないと同社は話している。

新機能では、ドライバーは道路の問題や事故をiPhoneのSiriかAppleのCarPlayを通じて報告できる。たとえばナビの途中、ドライバーはSiriに「この先で事故がある」「道路上に何かがある」「ここにスピード違反取り締まりの計測器がある」などと報告できる。また「危険はなくなった」「事故はもうない」と報告して時間が経った事故や危険アラート情報を訂正することもできる。

Siriを使うことで報告エクスペリエンスを安全なものにする一方で、アップデートされたアプリではユーザーは他人に事故や危険情報、スピード違反取り締まり計測器を警告する際、報告ボタンをタップするためにマップ上で上方向にスワイプできるようになってもいる。

アップデートはGoogle(グーグル)が所有するナビゲーションアプリ「Waze」にとって脅威となるかもしれない。Wazeは長い間、道路の状況や事故、警察の存在などを警戒するための人気ツールだった。Wazeではユーザーはスクリーンをタッチしたり、Google Assistantを通じてコマンドを出したりして操作できるが、当然のことながらiOSユーザーのための音声サポートはかなり限定されている。たとえばWazeは現在、Siriショートカットの使用をサポートしているが、マニュアル操作で設定してSiriに加えなければならない。

Appleはこれまで消費者のプライバシーを優先するという姿勢をとってきた。そのおかげで、Appleのエコシステム内だとユーザーデータはより安全だと感じているユーザーに対して、新しいマップの機能はよりアピールするものかもしれない。

また、特筆すべきはスピード違反取り締まり計測器の追加であり、これはマップの方向転換を意味する。Appleは歴史的に自社プロダクトに警察の警告を入れることに反対してきた。しかしそのサポートの欠如が、モバイル端末でのナビとマッピング分野におけるGoogleの支配を許してきた。

Appleの決断は、Wazeにある機能がGoogleマップへと拡大したことに続くものだ。Googleの2つのナビプロダクトの差は次第に曖昧になっている。そしてGoogleは事故や交通、スピード違反取り締まり計測器などをiOSのGoogleマップユーザーに報告する機能を引き続き提供し続けており、今回の機能追加によりAppleのマップから乗り換えを考えていたはずの人は、それが実行しづらくなった。

関連記事:Googleがマップアプリを強化、iOSからも事故や交通取締をレポート可能に

Appleは遅ればせながらこのことに気づいたようだ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Appleマップ

画像クレジット:Apple

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップルのネットサービスで広範囲の障害発生中、iCloudなどが機能停止

米国時間2月3日朝、Apple(アップル)が確認したところによると、いくつかのAppleサービスで障害や機能停止が発生しているという。これらの障害はApple Music、Apple Music Radio、Apple Books、iOSデバイスとMacの両方にまたがるApp Storeプラットフォームなど、多くの消費者向けサービスに影響を与えている。

一部ユーザーの間では、サービスへの接続障害が生じている。たとえば米国時間3日朝、ユーザーがApple Musicを通じて音楽をストリーミングしたり、iTunesを利用したりする際に問題が発生しているという報告があった。また他のユーザーたちは、App Storeでアプリを検索すると、検索用語に関連するほんのいくつかのトップアプリしか返ってこないというような、奇妙な問題が起こっていることに気づいた。

サービスが部分的に復旧している場合でも、通常よりも読み込みが遅い場合がある。つまり、ページが通常のコンテンツで埋まるまでの数秒間、空白のページが表示されるかもしれない。

画像クレジット:Apple

最初の報告時点では、Appleのシステム状況ページにはすべてのサービスが利用可能と表示されており、これらの障害は反映されていなかった。それは後に変更された。現在はApp Store、Apple Book、Apple Music、Apple Music Radio、iTunes Store、Mac App Store、そしてRadioで障害が発生していると表示されている。

AppleサポートのTwitterアカウントも今回の停止について投稿しているが、何が起きたのか、いつ復旧しそうかなどの詳細情報はまだ明らかにされていない。

気になるのはこのサポートアカウントが、パスワードをリセットできないというユーザーからの苦情ツイートに返信したことである。起こっている障害が、他のバックエンドサービスにも影響を与えている可能性があることを示しているかもしれないからだ。

Appleはこの件について、より詳しい情報を提供するため努力しているとしており、同社が情報を追加した際には、この記事を更新する。

【更新(米国時間3日午後12時38分 ET)】システム状況ページには、前出のサービスは復旧したと表示されている。

【Japan編集部更新(日本時間午前9時)】Appleのシステム状況ページによると、iCloudバックアップストレージ、iCloudブックマークおよびタブ、iCloud連絡先、iCloud Drive、iCloudキーチェーン、iCloudメール、iCloudメモ、写真などが機能停止となっている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Appleシステム障害

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

ホスティングのScalewayがMac miniのクラウドインスタンスを立ち上げ

クラウドホスティング企業のScalewayが米国時間2月2日、新たなタイプインスタンスとしてM1チップで動くAppleのMac miniを追加した。この新しいインスタンスの料金は1時間0.10ユーロ(約12.6円)となる。24時間nお最小契約量が設けられている。

Scalewayはこの新しいコンピューターをパリのDC4データセンターでホストする。このデータセンターは以前、地下の核シェルターだった場所だ。当面、Mac miniはそこだけで、アムステルダムやワルシャワのデータセンターにはない。

コンソールからMac miniを立ち上げるとRAM 8GB、SSDが256GB、そしてmacOS Big Sur搭載のエントリーレベルのMac miniが現れる。そしてそれはもちろん、Appleの初のArmベースのチップM1を使っている。

その後、VNCを使用してインスタンスに接続可能で、デスクトップ環境が表示され、通常のMacと同じように使用できる。コマンドラインインターフェイスだけが必要な場合は、SSHを使用してインスタンスに直接接続することもできる。

Scalewayは、Mac miniインスタンスを提供する初めての企業ではない。Amazon Web Servicesも最近、独自のMac miniインスタンスを立ち上げたが、それはIntel i7 CPUを使っていて1時間1.083ドル(約113.8円)、24時間26ドル(約2732.3円)だ。同社も今後、M1搭載miniを展開するのだろう。

MacStadium、MacinCloud、MacWeb、Mac Mini Vaultなど、Macにフォーカスしたホスティング企業もいくつかある。MacStadiumでは、M1で動くMac miniでRAM 8GB、ストレージ256GBのインスタンスが月額109ドル(約1万1454.9円)だ。Scalewayよりもやや高い。ScalewayではMac miniインスタンスが30日で72ユーロ(約9092.6円)だ。

Macのサーバーは開発目的にも使うことができ、CI / CDがサポートされる。iOSアプリを作るならMacが必要となる。Ubuntuのサーバーでは無理だ。そのためアプリ開発をサーバー上で行いたいのであれば、Macをレンタルするしかない。

しかしMacのサーバーにはほかの用途もある。たとえばmacOSのアプリケーションを、リリースする前にAppleシリコンでテストしたい場合もあるかもしれない。あるいは単純に、M1で遊んでみてもいい。

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タグ:AppleApple M1Scaleway

画像クレジット:Olly Curtis/Future/Getty Images

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(文Romain Dillet:、翻訳:Hiroshi Iwatani)

慶應大病院が全国のApple Watchユーザーを対象とする睡眠中・安静時の脈拍に関する臨床研究開始

慶應義塾大学病院が全国のApple Watchユーザー対象とする臨床研究開始、App Storeでアプリ配信

慶應義塾大学病院は2月1日、全国を対象とするApple Watchヘルスケアビッグデータの構築と医学的な網羅的解析を目的に、Apple Watchを利用した臨床研究「Apple Watch Heart Study」の開始を発表した。研究責任者は副病院長陣崎雅弘氏、実務責任者は循環器内科特任講師木村雄弘氏。

同院独自の研究用iPhoneアプリケーション「Heart Study AW」は、App Store(日本)よりダウンロード可能。同臨床研究の対象者は以下の通り。また参加同意後、いつでも自身の意思で同意を撤回し、参加を取りやめられる。

  • 日本語を理解できる20歳以上の日本国民の者
  • iPhone(iOS 14.0以降)、Apple Watch(watchOS 7.0以降)の利用者
  • 上記を利用し、App Store(日本)から研究アプリケーション「Heart Study AW」をダウンロードできる者
  • 同研究の参加に同意できる者
  • Apple Watchを睡眠中7日間装着し質問票に回答できる者

慶應義塾大学病院は、今回の臨床研究について類を見ない試みとしており、今後家庭でのデジタルヘルスケアと適切な医療との連携に貢献することが期待されるという。なお、本臨床研究は慶應義塾大学病院が行うもので、Appleが共同研究などで関与するものではない。

同院は、日常生活で着用し、血中酸素ウェルネスや脈拍数などの生体情報を自動的に計測・記録できるApple Watchが、心電図アプリケーションで心電図も記録できるようになり、家庭で可能な予防医療の幅が広がりつつあると指摘。同種の機器が取得するデジタルヘルスケア情報を医療に橋渡しするには、これら情報を集約したヘルスケアビッグデータベースを構築・解析して実際の医療に応用できる情報を抽出することが必要とされるという。

そこで同臨床研究では、Apple Watchの心電図アプリケーションで測定する心電図や脈拍などの様々なヘルスケアデータと、同院独自の研究用iPhoneアプリケーション「Heart Study AW」(App Store)で収集する睡眠・飲酒・ストレスなどに関する調査データを解析することで、睡眠中・安静時の脈拍と生活習慣との関連について、分析を行う。

また、アプリケーション経由でなされる「脈がとぶ」「脈が速い」などの動悸の申告を元に、心電図やヘルスケアデータの変化を解析するという。

心電図は心臓に異常がある時に記録することが重要なものの、病院での限られた検査時間中に症状や異常が現れない場合、病気を検出することが困難という。同研究により、家庭でApple Watchのような機器を使用し的確に心臓の異常を記録できるタイミングはどのような場合であるのかが明らかになり、病気の早期発見につながることが期待されるとしている。

同院に通院する患者対象の研究と、全国のApple Watchユーザー対象の研究の2種類で構成

同研究は、対象者の異なるふたつの研究から構成。そのうちひとつは、「Apple Watch Heart Study慶應義塾版」を利用したもの。同院に通院する心房細動患者の協力のもと、臨床現場で使用している心電図検査(2週間。Holter心電図、携帯型心電図)と、Apple Watchおよび心電図アプリケーションから得られる脈拍データと心電図との比較を行う。

また、ヘルスケアデータを睡眠・飲酒・ストレスとの関係に関して人工知能で解析し、どのような時に不整脈になりやすいかを推定するアルゴリズムを構築する。

全国のApple Watchユーザーを対象とした「Apple Watch Heart Study」では、睡眠中および可能な範囲での日中安静時のApple Watch装着と、動悸などの症状の記録の協力(7日間)を依頼。

慶應義塾大学病院が全国のApple Watchユーザー対象とする臨床研究開始、App Storeでアプリ配信

Apple Watchで収集するデータを活用し、日本におけるヘルスケアビッグデータの構築と解析を行うとともに、慶應義塾版で開発するアルゴリズムを一般国民のデータに対して適用。生活スタイルや申告された症状のデータに焦点を置いた解析を行うことで、適切な精度となるよう評価・改修を行う。

収集したデータは、学会や論文での発表を予定。取りまとめられた情報を医学雑誌、データベース(UMIN-CTR)上などに公表する場合には、統計的な処理が行われ、個人の情報は一切公表しないとしている。

なお同研究は、慶應義塾大学病院が内閣府より受託している戦略的イノベーション創造プログラム「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」研究開発事業(研究責任者:病院長 北川雄光)として実施。Apple提供の臨床研究用フレームワークを利用したアプリ開発の技術的サポートをAppleから受けている。また、ジョンソン・エンド・ジョンソングループBiosense Webster, Inc.のInvestigator-Initiated Study Programからの資金提供および指定寄附の支援によって実施される。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:Apple / アップル(企業)Apple Watch(製品・サービス)医療(用語)AI / 人工知能(用語)慶應義塾大学(組織)ビッグデータ(用語)日本(国・地域)

アップルがWindows版Chrome拡張機能としてiCloudパスワードを米国にてローンチ

Apple(アップル)は、ウェブブラウザChromeの拡張機能「iCloudパスワード」を米国で公開した。これは、WindowsパソコンとMacBookやiPhoneなどのAppleデバイスの両方を使っている人の人生を楽にしてくれるものだ。この新しいブラウザ拡張機能は、Safariに保存したパスワードを他のAppleデバイスからアクセスできるように、さらにWindowsを使ってるときはChromeでも利用できるようにしてくれる。

また、Chromeで設定した新しいパスワードをiCloudキーチェーンに保存できるため、Appleデバイス間でもパスワードが同期される。

画像クレジット:Apple

このiCloudパスワード拡張機能に関して、Appleは事前に正式発表していなかったが2021年1月末に公開されたWindows10用iCloud(ver.12)に関する広報資料ではすでに触れられていた。これまでも更新を行うと、iCloudキーチェーンのロゴで示される「パスワード」セクションが現れた。ここからこの新拡張機能をダウンロードすることになっているのだが、サービスの運用開始以前はリンクが切れていた。

9to5Googleの報告によると、それが1月31日の日曜日から使用可能となり、その日の夕方にはChromeウェブストアで新アドオンが公開されたという。現在は、Windowsでこの新しいパスワードセクションにアクセスすれば、ダウンロードを促すダイヤログボックスが表示され、正常に機能する。

インストールを行えば、Windows版Chromeのユーザーは、macOSまたはiOSのSafariに保存したパスワード、iCloudキーチェーンで生成された安全なパスワードのすべてにアクセスが可能になる。反対に、Windowsで作った新しいパスワードもiCloudキーチェーンに同期されるので、必要ならばMac、iPhone、iPadからもアクセスできる。

これは、WindowsでiCloudキーチェーンに対応する初めてのChrome拡張機能だ。これまでAppleが提供していたのは、Windows7と8用のiCloudブックマークのみだが、利用者数は700万人以上にのぼっていた。

画像クレジット:Apple

この拡張機能を試したユーザーの中には不具合を訴える者もいたが、原因は同機能を使うための必要条件であるWindows用iCloud 12.0への更新を怠っていたためと思われる。

Appleは自社のプラットフォームにユーザーを囲い込みたがる傾向にあるが、少しずつながらWindowsや、さらにはAndroidにも一部のサービスを広げている。今ではApple MusicやApple TVといったエンターテインメントアプリも、Androidを含む他のプラットフォームに提供している。Apple TVなどは、Amazon Fire TVをはじめとするライバルのメディアプレイヤー上でのサービスも開始している。9to5Macは、Appleは将来、Apple MusicとPodcastをMicrosoft Storeで展開する予定だとも伝えている。

関連記事:AppleがiOS 14.4を公開、ハッカーが悪用した3カ所の脆弱性を修正

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleChromeiCloud

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:金井哲夫)

Apple Fitness+にAriPlayでのキャスティング機能追加、ただし消費カロリーなどは表示されず

Time to Walkを導入した1週間後、Apple(アップル)はそのFitness+の機能を拡大することを目的とした、別のソフトウェアアップデートをリリースした。米国時間2月1日にリリースされたベータ版のwatchOS 7.4とiOS 14.5では、AirPlay対応テレビにワークアウトをストリーミングすることが可能となる。ただし、いくつかの注意点がある。

ユーザーはAppleのサブスクリプションベースのフィットネスアプリのオーディオとビデオを、AirPlay 2対応システムにストリーミングできる。たとえばApple TVを持っていない人や、ホテルの互換性のあるテレビでこのサービスを利用したいと考えているユーザーにとって朗報だ(再び気軽に旅行ができるようになることを祈ろう)。

キャスティングされたFitness+の最大の違いは、メトリクスが画面に表示されないことだ。つまり、達成目標のリングや消費カロリー表示などを失うことになる。これらを確認するには、接続されたApple WatchやiPhone、iPadに頼る必要がある。これは世界の終わりではないが、Fitness+体験の重要な部分だ。Appleはエクササイズアプリを成長させながら、自社のハードウェアエコシステムを奨励し続けたいと考えているに違いない。

Fitness+は新型コロナウイルス(COVID-19)によって、多くの人が自宅でのワークアウトを選択し、ジムの会員権を失効させたAppleにとって最適なタイミングで登場した。一方で多数のワクチンが開発される中、ホームワークアウトの需要がどれだけ持続するのかについても疑問がある。

これらのアプリケーションを維持し継続的に成長させていくには、柔軟性が必要になる。先週、AppleにFitness+について話をしたところ、同社は人々が外出先でもアプリを持ち歩くことを想定していると述べた。これはジムでiPadからFitness+のワークアウトをしたり、バッグに入れて旅行中に使ったりすることを意味する。

この機能は現在、新しいwatchOSとiOSの開発者向けバージョンの一部として利用可能であり、最終バージョンがリリースされた時には一般ユーザーでも利用できるようになるはずだ。

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タグ:AppleApple Fitness+AirPlayフィットネス

画像クレジット:Apple

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

マスク着用中でもApple WatchでiPhoneのロック解除が可能に

Fitness+のAirPlayでのサポートに加えて、米国時間2月1日に配布されたiOS 14.5のデベロッパーベータでは、同モバイルオペレーティングシステムにいくつかの重要な新機能が追加されている。間違いなく最も重要なのは、フェイスカバーやマスクを着用しているユーザーのためのApple Watchによるロック解除機能だ。

この待望の機能は、これまで広く普及していなかったマスクがパンデミックにより世界各地で着用されるようになった約1年後に登場した。もちろんApple Watchは昔からMacのロックを解除する機能があったので、今回の統合はかなり理に適ったもののように思える。

iOS 14.5からApple WatchユーザーはiPhoneのFace IDとパスコードの設定より、ロック解除を選択できるようになる。この機能を有効にすると、Apple Watchは触覚によるブザーを鳴らし、装着者に端末のロックが解除されたことを知らせる。この機能を利用するにはApple Watchのロックを解除し、iPhoneに近接している必要がある。

もう、人前でマスクを下げるはない(Touch IDに懐かしさを感じている人もいるだろうが)。

この追加機能は、iOSの一般ユーザー向けバージョンのリリース時に組み込まれることだろう。また、Siriに緊急連絡先への呼び出しを依頼する機能や、開発者の許可が必要なアプリのトラッキングコントロールも含まれている。さらに新しいXboxとPlayStationのゲームコントローラーのサポートも追加されている。

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タグ:AppleApple WatchiPhoneiOS

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

2020年第4四半期のスマホ販売台数減少、一方アップルはiPhone 12で好調

Canalysの最新データによると、2020年に見られたスマートフォン市場の大幅な減少は鈍化している。過去1年は業界に大きな打撃を与えた。5Gの到来が業界を救うだろうという希望は、新型コロナウイルス(COVID-19)によって打ち砕かれた。

状況は好転しているが、その主な要因は第4四半期に登場したiPhoneだ。Apple(アップル)は米国時間1月27日夜に決算を発表し、iPhone 12による成功を伝えた。新型コロナウイルスの流行による発売の遅れにもかかわらず、この端末は嵐のように完璧に到着した。大多数の顧客がデバイスをアップグレードする 「スーパーサイクル」 の始まりである。

2020年の第4四半期の数字は下がっているが、Appleは2%しか下がっていない。これは同社が4モデルの5G端末を発表したことは、iPhoneの第1四半期の好調に少なからず貢献している。Canalysによると同社は4%の伸びを示しており、ホリデーシーズンに合わせて5Gモデルを拡大している。

アップルは12%の減少にもかかわらず、2位のSamsung(サムスン)を抑えて世界第1位の座を獲得した。また中国メーカーのXiaomi(シャオミ)、OPPO、Vivoがトップ5を占め、いずれも前年同期比で2桁の増加となった。

画像クレジット:Canalys

スマートフォンカテゴリーはサプライチェーンの問題、そしてパンデミックに起因するより大きな経済問題のために苦しんだ後、2021年は回復すると予想されている。

「新型コロナウイルスのワクチンの導入は2021年の景気感を押し上げ、業界における計画と投資を可能にしています」と、アナリストのBen Stanton(ベン・スタントン)氏はこのデータについて述べている。「今後は政府の景気刺激策が薄れていく中で経済への波及効果が顕著となり、新たなウイルス株の出現に対する懸念も続いています。しかし全体的には業界の心理はポジティブであり、2020年に7%の減少を記録したスマートフォン市場は2021年には回復するでしょう」。

Canalysの別のレポートによると、タブレットとChromebookの販売好調によりPC市場は前年比で35%の伸びを示しており、PC市場にとってポジティブなニュースとなっている。

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タグ:Appleスマートフォン

画像クレジット:Apple

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

アップルのApp Tracking Transparency機能はデフォルトで有効に、早春にiOSで実装

Apple(アップル)は、iOS 14で散々議論されているプライバシーポリシーの変更について、さらにいくつかの詳細を明らかにした。同社は2020年6月に行われたWWDCの発表で、複数のプロパティを横断する広告ターゲティングのためにIDFAを追跡し共有するためには、開発者はユーザーに許可を求めなければならない、としている。一方、2020年秋にiOS 14が登場した際、Appleは2021年まで追跡制限を延期し、開発者が必要な変更を加える時間を増やしたいと述べている。

そして、もう少し具体的なタイムラインが明かされた。計画では、これらの変更を今春の早い時期に公開し、機能を実装したバージョンは、次のiOS 14ベータリリースで公開する予定になっている。

Appleは新システムを次のように説明している。「ユーザーは『設定』でどのアプリが追跡許可をリクエストし、そのための変更をしたかを確認することができる。要求は今春の初めに幅広く展開され、今後のiOS 14とiPadOS 14とtvOS 14で実装される。この変更は、世界中のプライバシー擁護派からの支持を得ている」。

特に重要で基本的な要求をリストアップすると、次のようになる。

  • App Tracking Transparency機能は、IDFAの共有をユーザーがそれぞれオプトアウトしなければ無効にならない従来の方法から、デフォルトで無効、有効にするためにはオプトインしなければならない方法に変更する。ネットワークやデータブローカーなどのサードパーティやユーザーのIDFAを共有したいアプリは、事前にその許可をユーザーに求めなければならない。
  • この機能が最も目立つ証拠は、新しいアプリの起動時に通知があり、トラッカーが何に使われるのかを説明し、それにオプトインするように求めてくることだ。
  • IDFA共有はいつでもアプリごとに切り替えることができるようになった(以前は単一の切り替えだった)。「アプリに追跡のリクエストを許す」を無効にすると、どのアプリからもトラッキングの使用を求められなくなる。
  • Appleは、データ共有契約を含むすべてのサードパーティデータソースに対してこれを強制するが、プラットフォームはサードパーティデータを利用して広告を行うことができる。
  • Appleは開発者が、アプリで使用するAPIやSDKがユーザーデータをブローカーやその他のネットワークに提供していることを理解し、もしそうであるならば通知を有効にすることを期待している。
  • Appleは自社アプリに関しては規則を遵守し、もしそのアプリが追跡を行うのであればダイアログを表示して「アプリに追跡のリクエストを許す」の設定に従う。現時点では、多くのアプリが追跡を行っていない。
  • ここで重要な注意点は、パーソナライズされた広告の切り替えは、具体的にはApple自身が広告を提供するために独自のファーストパーティのデータを使用することを許可するか、または許可しない別の設定であるということだ。つまりAppleのデータのみに影響するオプトアウトの追加レイヤーだ。

Appleはまた、Adtribution APIの機能を強化しており、より良いクリック計測、動画コンバージョンの計測、アプリからウェブへのコンバージョンの計測を可能にしている。

このニュースはData Privacy Dayに発表され、CEOのTim Cook(ティム・クック)氏が米国時間1月28日の朝、ベルギーのブリュッセルで開かれたComputers, Privacy and Data Protectionカンファレンスでこの問題について講演を行った。同社はまた、平均的なアプリには6つのサードパーティのトラッカーがあることを示す新しい報告も発表している。

今回の変更はプライバシーの観点からは歓迎すべきものだと思われるが、広告業界からは批判もある。たとえばFacebookは、小企業への影響を強調したPRキャンペーンを始め、またこの変更を2021年に直面する「広告への最も大きな逆風の1つ」と指摘している。Appleのスタンスは、広告主中心のアプローチであり、ユーザー中心のデータプライバシーのアプローチをするというものだ。

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画像クレジット:Apple(スクリーンショット)

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(文:Anthony Ha、Matthew Panzarino、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Appleの第1四半期売上は11.6兆円と過去最高だが市場は無反応

Apple(アップル)は米国時間1月27日に第1四半期の決算を発表した。収入は予測を上回る1114億ドル(約11兆6200億円)で過去最高を記録した。ところが決算の発表後、時間外取引の株価はわずかに下落した。投資家は、この決算にほとんど関心を示さなかったようだ。

収入は巨大な金額であるだけでなく、第1四半期決算のアナリストの予測も上回っていた。Appleは1株当たり利益と収入の双方で投資家の期待を上回た。アナリストの予測は売上1033億ドル(約10兆7700億円)、1株当たり利益1.41ドルだった。この点でもAppleは1.68ドルを記録し、期待を上回っている。

GameStopやAMC Entertainmentのような人気株、いわゆるミーム株は、100%を超す上昇率を示しており、 今回の反応の低さは市場一般が大型テクノロジー株に一段と大きな成長と時価総額の達成を期待していることを示すものだ。今回の決算の発表で衝撃的な値動きがなかったとはいえ、Appleの株価は2020年10月の第4四半期決算発表後から、さらに23%以上上昇している。

第1四半期のAppleの収入は、前年比で20%のアップとなっている。大部分は単一の地域、つまり中国市場におけるものだった。この地域の四半期収入は、昨年比で136億ドル(約1兆4000億円)から57%増加して213億ドル(約2兆2200億円)以上となった。

製品分野別の収入では、もちろんiPhoneがキングであり、売上高は656億ドル(約6兆8400億円)と前年同期の560億ドル(約5兆8400億円)から大きくアップした。AppleのiPhoneの新バージョンのリリーススケジュールが今回はやや遅れたため、第1四半期には新バージョンのセールスが例年より多く含まれている。

iPhoneが好調だっただけでなく、iPadもMacの売上高を上回った。Macの売上高は87億ドル(約9100億円)、iPadの売上高は84億ドル(約8100億円)と、このカテゴリーでも多く伸びた。ウェアラブル、ホームお呼びアクセサリー部門は130億ドル(約1兆3500億円)、サービスは158億ドル(約1兆6500億円)とこれも新記録となった。

決算発表にともなう電話記者会見の内容もフォローする予定だ。

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タグ:Apple決算発表

画像:Olly Curtis/Future / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アップルがインドで最高の四半期を迎える、150万台のiPhoneを販売し市場シェアは2倍に

米国時間1月27日に行われるApple(アップル)の決算報告では、きっとインドのことが言及されるだろう。

Appleは、2020年12月で終わった四半期にインドで150万台あまりのiPhoneを販売した。調査会社CounterpointとCyberMediaによると、それは前年同期比で100%の増加(2倍増)であり、同四半期は史上世界最大のスマートフォンメーカーにとって最高のものとなった。

前世代のiPhone11とiPhone XR、iPhone12そして新しいiPhone SEの売上が好調で、Appleは同四半期にインドでの市場シェアを倍増させ、4%に達したという。。

Counterpointによると、Appleは2020年にインドで320万台以上のiPhoneを出荷し、前年比で60%増加したという。

売上の伸びは、Appleが同国でオンラインストアを立ち上げてから数カ月後に訪れた。インド向けストアにはさまざまな支払方法とアップグレードオプション、AppleCare+、さらにiPhone 11の購入者にはAirPodsがおまけされるといった収益性の高いサービスが用意されていた。2021年末には、インドで直営店もオープンする予定になっている。

Appleは10年以上前から、インドでの高価な携帯電話販売で苦戦してきた。同国で販売されるほどんとのスマートフォンの価格は100〜200ドル(約1万400〜2万800円)の間だ。その間、Samsung(サムスン)やXiaomi、Oppo、Vivoをはじめとした中国スマートフォンベンダーグループが、手頃な価格のスマートフォンでインド市場を席巻していた。

そうであるにもかかわらず、最近のAppleは、世界で最も急速に成長しているスマートフォン市場のひとつであるインドへの関心を高めており、同社の同社の契約メーカーが地元でiPhoneの一部機種とアクセサリーを組み立てている。これは2年以上前に始まった取り組みだ(しかしAppleが契約する製造業者の1つWistronのインド工場における最近の暴動事件は、インドでの現地生産を拡大しようとする同社の課題となっている)。

インド国内で生産することで、客が負担していた輸入関税もなくなりAppleはインドで一部の旧世代iPhoneの価格を引き下げることができた。ちなみに同国で製造していないiPhone 12 Pro Maxの価格は、米国では1099ドル(約11万4000円)であるのに対して、インドでは1781ドル(約18万4600円)となっている。またAirPods Proは米国では249ドル(約2万5800円)だが、インドでは発売時341ドル(約3万5300円)、AirPods Maxは米国では549ドル(約5万6900円)だが、インドで815ドル(約8万4500円)で販売されている。ただし、インドの販売価格が米国ほどだったとしても、平均年収2000ドル(約20万7300円)の国ではあまり変わらないだろう。

Convergence CatalystのチーフアナリストであるJayanth Kolla(ジャヤンス・コラ)氏によると、多くの外国企業がインドで製品やサービスを世界で最も安価、もしくは無料で提供しているが、Appleは大金を支払う余裕のある人口のごく一部にのみ焦点を当てているという。

そうであるからといって、Appleがインドの価格戦略に変更を加えなかったわけではない。Apple Musicの月額利用料は米国では9.99ドル(約1040円)、インドでは1.35ドル(約140円)であり、Apple Music、TV+、Arcade、iCloudを含むApple Oneは、インドでは月額2.65ドル(約270円)で利用することができる。

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タグ:AppleインドスマートフォンiPhone

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AppleがiOS 14.4を公開、ハッカーが悪用した3カ所の脆弱性を修正

Apple(アップル)はセキュリティ上の脆弱性3カ所を修正したiOS 14のアップデートであるiOS 14.4を公開した。修正されたバグはすでにハッカーによって攻撃に利用されていたという。

Appleは、iOSとiPadOS 14.4のセキュリティアップデートのページで「3つのバグが悪用された可能性がある」と述べている。 脆弱性の詳細は明らかにされていない。Appleの広報担当は公式発表の内容を超えるコメントを避けた。

誰が脆弱性を積極的に悪用していたのか、攻撃の犠牲になったのは誰かといった詳細は不明だ。 Appleは攻撃が特定のユーザーを標的にしたのか、広汎な無差別攻撃だったのかについても明らかにしていない。Appleは「バグ報告者の身元は明らかにしない」と述べた。

バグのうち2つは、SafariブラウザのエンジンであるWebKitとOSのカーネルでそれぞれ発見された。単一の脆弱性ではなく、一連の脆弱性を連鎖的に利用するものもある。攻撃者がOSにアクセスする突破口としてまずデバイスのブラウザの脆弱性を突くことは珍しくない。

Appleは詳細を間もなく発表すると述べたが、具体的な時期は述べなかった。

Appleは自社のデバイスがセキュリティに強いというイメージを維持したいためか、ユーザーがハッカーによる攻撃の被害を受けた可能性があることを認めたことはほぼなかった。

2019年にGoogle(グーグル)のセキュリティチームは、ユーザーに気づかれずにiPhoneをハッキングできるコードを含む悪意あるウェブサイト多数を発見している。 このときTechCrunchは、「これはウイグルのイスラムに対する中国政府によるスパイ行為の一部だった可能性が高い」と結論を出した。これも珍しいことだったが、AppleはGoogleの調査結果に異議を唱える公式声明を出している。しかし「攻撃の深刻さを過小評価するもの」としてさらなる批判に直面することとなった。

2020年12月、市民によるインターネット監視グループであるCitizen Labは、詳細不明の脆弱性によって数十人のジャーナリストがiPhoneをハッキングされていたことを発見した。この攻撃はイスラエルを拠点とするNSOグループが開発したスパイウェアをインストールするために行われたという。

述べたとおり詳細はまだ不明だが、iPhone、iPadのユーザーは早急にiOS 14.4にアップデートすべきだろう。

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カテゴリー:セキュリティ
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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook