習慣化アプリ「みんチャレ」のエーテンラボが3.7億円調達、健保向け事業開発・営業・カスタマーサクセスの人材採用注力

三日坊主を乗り越えるための習慣化アプリ「みんチャレ」(Android版iOS版)を開発・運営するエーテンラボは2月28日、プレシリーズAおよびシリーズAラウンドにおいて、3億7000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、ファストトラックイニシアティブ、みずほキャピタルなど。調達した資金は、人材採用にあてる。みんチャレに新機能を実装するエンジニアや、特に健保向け事業を展開するための事業開発、営業、カスタマーサクセスの強化に注力するという。

みんチャレは、勉強・ダイエット・運動・糖尿病改善といった同じ目標を持つ匿名の5人でチームを作り、チャットを介して報告とはげまし合うことで、楽しく習慣化に取り組めるというピアサポートアプリ。ピアサポートとは、同じ課題を抱える者同士がお互いに支援するといった意味。2022年2月現在の累計利用者数は100万人という。

習慣化アプリ「みんチャレ」のエーテンラボが3.7億円調達、健保向け事業開発・営業・カスタマーサクセスの人材採用注力

また今後エーテンラボは、健康保険組合の保健事業や企業の健康経営、自治体の健康支援事業向けとして、個人の参加者が生活習慣の改善を「始める」行動変容プログラム「みんチャレHealthcare」も提供する。「保健事業に参加する」「生活習慣の改善を続ける」という2つの行動変容にコミットし、ウィズコロナに対応した、オンラインでピアサポートが行える保健事業を提供するとしている。

エーテンラボは、2017年にソニーの新規事業創出プログラムから独立したスタートアップ。「テクノロジーでみんなを幸せにする」をミッションとし、ユーザーが習慣化の成功体験を糧に自ら積極的に行動して幸せになる社会を目指している。

習慣化アプリ「みんチャレ」のエーテンラボが3.7億円調達、健保向け事業開発・営業・カスタマーサクセスの人材採用注力

花王とPFN、健康や生活など1600項目以上のデータを推定できる統計モデル「仮想人体生成モデル」プロトタイプを共同開発

花王とPFN、健康や生活など1600項目以上のデータを推定できる統計モデル「仮想人体生成モデル」プロトタイプを共同開発深層学習を中心とした最先端技術の研究開発を行うPreferred Networks(PFN。プリファード・ネットワークス)と花王は2月28日、「仮想人体生成モデル」のプロトタイプを共同開発したと発表した。1600以上のデータ項目で構成される人体の統計モデルで、ある項目のデータを入れると、別の項目の推定値が示されるというものだ。

たとえば、健康診断の結果から内臓脂肪量を統計的に推定できる。その他のデータと組み合わせて、その人のライフスタイル、運動や食事の習慣などに合わせた最適な健康管理方法を提案するといった使い方も可能だ。また、今の体重から2kg減ったら他の項目にどれだけの影響があるかを推定するといったこともできる。

1600の項目には、健康診断などで示される身体に関する情報のほか、食事・運動・睡眠などのライフスタイル、性格・嗜好・ストレスの状態・月経といった日常生活で関心の高いものまで多岐にわたって含まれる。これらのいずれかの項目にデータを入力すれば、他の項目の推定値が出力される。この項目も入出力可能だ。

これは、人の身体、心理、生活など多岐にわたって研究を重ねてきた花王の研究資産と、深層学習などPFNの最先端の計算科学技術によって生み出されたものだ。この仮想人体生成モデルは、協業する事業者や研究機関などにAPIで提供されることになっているため、事業者は自社製アプリなどに機能を組み込み、エンドユーザーにサービスを提供することができる。入力されたデータが収集されたり蓄積されることはなく、利用者のデータが二次利用される心配はない。花王とPFN、健康や生活など1600項目以上のデータを推定できる統計モデル「仮想人体生成モデル」プロトタイプを共同開発花王とPFN、健康や生活など1600項目以上のデータを推定できる統計モデル「仮想人体生成モデル」プロトタイプを共同開発

まだプロトタイプの段階だが、2022年中の実用化を目標に検証を進めてゆくという。2023年初頭にはAPI経由での提供し、新規デジタルプラットフォーム事業を開始する予定。

冠動脈疾患・脳梗塞治療に向け医師がX線被曝なしにトレーニングできる血管内治療シミュレーター開発、小型化・コスト削減

冠動脈疾患・脳梗塞・脳動脈瘤の治療に向け医師がX線被曝なしにトレーニングできる血管内治療シミュレーター開発、小型化・コスト削減を実現

血管モデルの可視光による画像(左)と、非被爆血管内治療シミュレーターによるX線模擬画像(右)

理化学研究所は2月25日、通常は、医師がX線透視像を見ながら行う血管内治療のトレーニングを、放射線被曝しない形で簡便に行える「非被爆血管内治療シミュレータ」を開発した。テーブル上に設置でき、従来方法よりはるかに安価なため、いつでもどこでもトレーニングが行えるという。

冠動脈疾患、脳梗塞、脳動脈瘤などの治療には、血管内にカテーテルやステントを通す血管内治療が行われることが多い。奥行き情報のない2次元的なX線透視像で、器具の先端の動きを見ながら血管の中に器具を通しゆくため、高度な技術を要する。しかしそのトレーニングは実際にX線を使って行う必要があり、医師は放射線被曝が避けられない。また、実際のカテーテル室で行わなければならないため、時間的な制約があり、同時に複数の医師がトレーニングできないといった課題があった。

血管内治療の模式図。(A)術部へのカテーテルの誘導。(B)脳動脈瘤に対する血管内治療。(C)頚動脈狭窄に対する血管内治療。(D)脳血管閉塞に対する血管内治療。(E)心臓冠動脈梗塞に対する血管内治療

白色光源とビデオカメラを使ったトレーニングシステムもあるが、それでは血管の分岐部やガイドワイヤーの上下の動きなどが陰影から推測できてしまうため、平面的な映像だけが頼りの実際の治療とは条件が違ってしまう。そこで、理化学研究所(深作和明氏)は、琉球大学病院(横田秀夫特命教授、岩淵成志特命教授、大屋祐輔教授)と共同で、「非被爆血管内治療シミュレータ」を開発した。

このシミュレーターの特徴は、X線透視像と同じく、奥行き情報のない画像で訓練ができる点にある。このシステムでは、高感度カメラと波長選択フィルターを使い、透明な血管モデルを可視光で撮影するという方式を採っている。造影剤には液体の蛍光色素を使い、ガイドワイヤー、カテーテル、バルーン、ステントにも同じ波長の蛍光色素を塗り、血管内と器具の特定の部位だけが発光するようにした。それにより、X線透視像と同じく奥行きのない映像を作ることができるようになった。さらに、リアルタイムで画像処理を行い、実際の手術の際に用いられる、複数の映像を重ねたり輝度を反転させたり差し引いたりして作られるサブトラクション血管造影と同等の、デジタル化したサブトラクション血管造影(DSA)の機能も実現させた。

(A)造影剤を入れた血管の画像。(B)ガイドワイヤーとカテーテルの画像。(C)血管とカテーテルを重ねた画像。(D)一般のカメラで撮影した画像

そしてもちろん、X線を使わないため、トレーニングを行う医師に放射線被曝の心配は一切ない。装置は60cm四方の場所に設置できるため、いつでもどこでも安全にトレーニングが行える。コストも、従来方法よりもはるかに安価になるという。

研究グループは、同グループが開発した患者個体別血管モデリングシステムと組み合わせ、実際の患者の血管形状を反映した3Dモデルや、統計的に多発する病態モデルでのシミュレーションへの展開を目指すと話している。

心疾患診断アシスト機能付き遠隔医療対応聴診器など手がけるAMIが1.5億円調達、日清紡HDと資本提携し社会実装を加速

心疾患診断アシスト機能付き遠隔医療対応聴診器など手がけるAMIが1.5億円調達、日清紡HDと資本提携しサービス提供目指す

心疾患診断アシスト機能付遠隔医療対応聴診器「超聴診器」や遠隔医療サービスの社会実装で医療革新を目指すAIMは2月28日、日清紡ホールディングス(日清紡HD)と資本業務提携を締結し1.5億円の資金調達を行ったと発表した。両社の技術やノウハウを合わせ、誰もが・どこにいても・質の高い医療を受けられる世界の実現を目指す。

AIMは、医療従事者の経験と聴覚に頼らざるを得なかった聴診器にイノベーションを起こすため、心疾患診断アシスト機能を搭載した「超聴診器」の開発に取り組んでいる。さらに、遠隔医療領域では、AIMの掲げるクラウド総合病院構想を実現するため、アフターコロナ時代の医療DXを推進する新たなDtoD(Doctor to Doctor:医師-医師間)遠隔医療サービスの社会実装、医師の偏在や地域医療課草を解決するソリューションの展開を目指している。

また日清紡HDは、「ライフ&ヘルスケア」を戦略的事業領域の1つに定め、無線通信技術を使った医療機器や介護領域での製品を開発している。そうした中で、ライフ&ヘルスケア事業におけるさらなるイノベーションを実現すべく、遠隔医療事業の開発を目的とする資本業務提携に至ったという。

今後は、日清紡HDの情報通信技術、センシング技術、医療機器製造などのノウハウ、またAIMが持つAIやデータ解析の技術・臨床研究フィールドを通じて両社共創による質の高い遠隔医療サービスの社会実装を加速する。心疾患診断アシスト機能付き遠隔医療対応聴診器など手がけるAMIが1.5億円調達、日清紡HDと資本提携しサービス提供目指す

2020年度に熊本県水俣市で実施された委託事業「遠隔システムを活用した予備健診実施実証事業~クラウド健進~」の報告書より

2020年度に熊本県水俣市で実施された委託事業「遠隔システムを活用した予備健診実施実証事業~クラウド健進~」の報告書より

2015年11月設立のAIMは、遠隔医療サービスの社会実装を目指す研究開発型スタートアップ。「急激な医療革新の実現」をミッションに掲げ、医療機器の開発や遠隔医療サービスの提供を事業としている。

家庭での血液検査ネットワークを構築するGetlabsがシリーズAで約23億円を調達

次に玄関のベルが鳴ったら、それはDoorDash(ドアダッシュ)の配達かもしれないし、食料品配達の覇権を争うスタートアップの1社かもしれない。あるいは、あなたのリビングルームの快適さの中で血液検査をする準備ができている、フレボトミスト(採血の資格を持つ看護師または医療従事者)である可能性もある。

この移動フレボトミストは、Getlabs(ゲットラボ)の心臓部となっている。同社は、1年足らず前に発表されたシードラウンドを経て、シリーズAで2000万ドル(約23億円)を調達したばかりのスタートアップだ。

2018年に設立されたGetlabsは、遠隔医療の現場での伴奏者になることを目指している。例えば、あなたが遠隔医療の訪問を受けたところで、医療提供者が血液検査の時期かもしれないと考えたとしよう。診療所に行く代わりに、Getlabsが家にやってきて血液採取をしてくれる。自己負担料金は、25ドル(約2870円)からの(会社の言い回しを使えば)「コンビニエンスフィー」となっている。

現在、同社はサンプルを収集し、Labcorp(ラボコープ)、Quest Diagnostics(クエスト・ダイアグノスティクス)、Sonora Quest(ソノラ・クエスト)と協力してテストを行っている。

TechCrunchはこちらの記事で、Getlabの起源にまつわるストーリーを詳しく紹介した。端的にいうと、同社は創業者のKyle Michelson(カイル・マイケルソン)氏自身の経験に基づいている。同氏はY Combinator 2016でStreamup(ストリームアップ、ミュージックビデオのストリーミングアプリ)に取り組んでいたとき、自身の診療予約時間に合わせるのに苦労していた。当時同氏は、定期的な臨床検査が必要な健康状態に苦しんでいたという。

遠隔医療プラットフォームは急増していたが、同氏が必要とした対面サービスを実際に提供する企業はなかった。Getlabの命題は、次のようなものである。Direct-to-Consumer(D2C)医療の次のバージョンでは、より臨床的に複雑な病態に取り組むことになる。このような病態では、定期的な血液検査や、診断を確定するための検査が必要になるかもしれない。

Getlabsの時間選択画面(画像クレジット:Getlabs)

「既存の遠隔医療企業の中には、こうした状況に注力するようになっているところもありますが、ハンズオンの医療を必要としないものです」とマイケルソン氏はTechCrunchに語った。「新しいタイプの遠隔医療企業が、患者に物理的にリーチする方法を追求して、ゼロから構築されたのです」。

「当時私が考えていたのは、もし患者の自宅で検査を受ける方法があれば、遠隔医療は今日のものをはるかに超える能力を一気に解き放つだろうということでした」と同氏は語る。

臨床検査は、臨床的意思決定の重要な部分である。一般的に引用される統計は、臨床判断の約70%が臨床検査に基づいているというものだ。誰もその数字の出所を実際には見つけられないと指摘する科学者もいるが、この統計はMayo Clinic(メイヨー・クリニック)からCDC(米国疾病予防管理センター)のウェブサイトにまで反映されている。

CDCによると、米国では年間約140億件の臨床検査が発注されている。また、さらに多くの臨床検査が毎年発注されているというエビデンスも存在する。学術雑誌Implementation Scienceに2020年に掲載された論文によると、2013年から2018年の間に米国での臨床検査への支出は15%超増加している。この傾向は主に、医療提供者がより多くの検査を発注したことによる。同様の傾向は英国のような他の地域でも見られており、2000年代初頭には、平均的な英国国民は年に1〜2回の臨床検査を受けていた。2018年には平均的な国民の検査回数は5回に達している。

重要なことであるが、臨床検査の数が増えたからといって、必ずしも臨床検査の質が向上するとは限らない。だが、臨床検査の利用が増えていること、そして同時に遠隔医療サービスが拡大していることを考慮すると、Getlabsが埋めるべきギャップがあるかもしれない。

遠隔医療の利用はパンデミック前の約38倍の規模で安定しているが、一般的に遠隔医療の受診は、対面での受診よりも検査依頼が少なくなる傾向がある。しかし、遠隔医療の範囲が、緊急医療や遠隔治療から、検査に大きく依存する他の領域へと拡大するにつれて、この様相は変わる可能性がある。

Amwell(アムウェル)のような遠隔医療企業の中には、ハイブリッド医療モデルが慢性疾患治療管理などの領域への遠隔医療の流入を促進することを認識し始めているところもある。Amwellだけではない。投資家の間でも、遠隔医療の未来はバーチャルなものだけではなく、バーチャルな予約と自宅での遠隔患者モニタリング、あるいは訓練を受けた専門家の訪問を組み合わせたハイブリッドモデルになるのではないかという見方が広がっている。

Getlabsはシードラウンド以来、ハイブリッド医療モデルの対面部分としての役割を果たすために、フレボトミストの育成に投資してきた。同社はこれまでに100人を超えるフレボトミストをW-2従業員(源泉徴収の対象となる従業員)として雇用している。マイケルソン氏によると、同社の離職率は5%に満たないという。

Getlabs初の患者、フィラデルフィア在住(画像クレジット:Getlabs)

こうした人員を擁し、同社は米国人口の約45%にサービスを提供する体制が整っているとマイケルソン氏は述べている。わずか4カ月前にはその割合は約6%であった。同社は2022年末までに60%のカバー率を目指している。ただし、注意しなければならないのは、このようなフレボトミストの重点領域は比較的都市中心的な傾向があるということだ。(試しにニューヨーク州北部の田舎の住所をいくつか検索してみたが、Getlabsはまだその地域に到達していなかった。だがブルックリンで検査を受けたいと思う場合には、予約の可能な場所がたくさんあった)。

同社の人員の大半は、農村部あるいは都市部というより、郊外の人々に対応しているとマイケルソン氏は語る。「私たちが最も価値があると考える場面は、郊外に住んでいる患者の状況です。彼らには育てなければならない子どもがいて、診療所に行くのに不便な環境があります」。

その焦点が、この遠隔医療企業次第ではあるが、同社の2つの企業目標の真の整合性を左右するかもしれない。遠隔医療は、そもそも専門家や診療所にアクセスできない農村地域にとって、とりわけ強力な治療介入となる。したがって、これらの地域でも実際に活動してみることで、そうした地域社会への支援が特に重要であることが明らかになるであろう。

究極的には、Getlabsは、医療を官僚的な骨折り仕事ではなく、消費者プロダクトのように扱っている企業に分類される。同社のサービスが自分の地域を対象としているなら、プラットフォームのフロントエンドを使って予約するのは簡単だ。しかし同社は、消費者向け医療のバックエンドにも関心を持っている。

Getlabsは、患者が自分で検査訪問の予約をするのではなく、APIをローンチすることによって、完全に遠隔医療プラットフォームに統合されることを目指している。このAPIを使えば、企業は患者のバーチャルセッションの直後に臨床検査をスケジュールすることができる、と同氏は説明する。

「口頭でイエスかノーかの返事をもらうだけでいいのです。それ以外はすべてシームレスに行われます」と同氏は語った。

このラウンドはEmerson Collective(エマーソン・コレクティブ)とMinderoo Foundation(ミンデルー・ファウンデーション)が主導した。その他の出資者には、Tusk Venture Partners(タスク・ベンチャー・パートナーズ)、Labcorp、Healthworx(ヘルスワークス)、Byers Capital(バイヤーズ・キャピタル)、Anne Wojcicki(アン・ウォシッキー)氏(23andMe[23アンドミー]の共同創業者兼CEO)、Susan Wojcicki(スーザン・ウォシッキー)氏(YouTube[ユーチューブ]のCEO)、Eric Kinariwala(エリック・キナリワラ)氏(Capsule[カプセル]の創業者兼CEO)、Mattieu Gamache-Asselin(マチュー・ガマッシュ・アセラン)氏(Alto Pharmacy[アルト・ファーマシー]の創業者)などが含まれている。

今回のラウンドの主な目標は、同プラットフォームで雇用される医療従事者の数を増やすことにあるとマイケルソン氏は述べている。この資金調達によって同社は、より多くのフレボトミストを雇い入れてカバレッジを拡大し、対面式のコンポーネントを求める新興の遠隔医療企業とのより多くのパートナーシップを推進していくことが期待される。

画像クレジット:Getlabs

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(文:Emma Betuel、翻訳:Dragonfly)

ネット接続されたローイングマシンでホームフィットネスのゲーム化を目指すAviron

エクササイズ分野のゲーミフィケーション(ゲーム化)はもちろん新しいことではない。フィットネスブランド(さらにはスマートウォッチでも)にとっては事実上初めから不可欠な基本的要素だ。これにはもっともな理由がある。モチベーションと持続のために最適だからであり、Fitbit(フィットビット)であれゲームのBeat Saber(ビートセイバー)であれ同じことだ。

最大手のPeloton(ペロトン)がLanebreak(レーンブレーク)でゲーミング面を積極的に推している今、こうしたプログラムがホームフィットネスコンテンツの鍵となり、苦境に立つ同社が開拓にひと役買った標準的トレーナーコースを今後超えていくと考えることに無理はないだろう。

一方、Aviron(アビロン)は、話題になる前からゲームに取り組んできた。YC出身の同社は、ジム用トレーニングマシンからホームフィットネスへと、パンデミックの中で転換し、ゲーミングを体験の中心に据えた。実際、同社はトレーナーモデルを避け、ボート漕ぎゲームの競争を優先した。

画像クレジット:Aviron

このカナダ、トロント拠点のスタートアップをTechCrunchが最初に取り上げたのは2021年1月だった。その年の8月に同社は450万ドル(約5億円)のシードラウンドを発表、そして米国時間2月23日に1850万ドル(約21億円)のシリーズAを完了し、米国における地盤を拡大するとともにカナダでの小売展開を目指している。ラウンドをリードしたのはStripes(ストライプス)で、Global Founders Capital(グローバル・ファウンダーズ・キャピタル)とFormic Ventures(フォーニック・ベンチャーズ)が参加した。

今、ホームフィットネスのゲーム化への関心が高まっており、ローイングマシンも同様だが、後者についてはPelotonが取り組んでいるという噂がある。もちろん、同社の最近の苦闘ぶりを踏まえると、トレッドミルと自転車に加えてホームローイングマシンを商品ラインナップに加えるのが果たしていつなのか、そもそも実現するのか見当がつかない。

Avironには好調を裏付ける数字があり、有料サブスクライバー数は対前年比2700%となる。これ(と上記の資金調達)によって、従業員数を2名から36名へと増やすことができた。まだ小さい会社だが、新たに堅実な資金注入を得たことで、人員拡大も加速するだろう。雇用といえば、Avironはこの日の発表で、Nike(ナイキ) / Lululemon(ルルレモン) / Burton(バートン)出身のAmy Curry-Staschke(エイミー・カリー・スタシュケ)氏をCOOとして招き入れたことを発表した。

画像クレジット:Aviron

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

メンタルヘルスの服薬管理に特化したテレヘルス管理プラットフォーム「Minded」が約28.7億円を調達

消費者のメンタルヘルスの服薬管理に特化した精神医学専門のテレヘルス企業であるMinded(マインデッド)は、シード資金として2500万ドル(約28億7400万円)を調達した。2021年にニューヨークで立ち上げられたMindedは、消費者がオンラインで精神医療にアクセスできるようにする。Mindedは現在、ニューヨーク、ニュージャージー、ペンシルベニア、フロリダ、テキサス、イリノイ、カリフォルニアで利用可能だ。同社によると、今回の新たな資金調達は、全国展開と革新的な精神科医療の導入に充てられるという。

以前はフィンテックのユニコーン企業Stash(スタッシュ)を共同創業した、Mindedの共同創業者兼CEOのDavid Ronick(デイビッド・ロニック)氏は、消費者直結のデジタル分野の起業家として、解決すべき顧客がフラストレーションを感じている問題を探していると、TechCrunchに語った。彼は、10年間不安と不眠のために薬を服用しており、精神医学の専門家からケアを受けるにはお金がかかると指摘した。彼は、遠隔医療企業Pager(ページャー)の共同設立でこの分野の専門知識を持つGaspard de Dreuzy(ガスパール・ド・ドゥルージー)氏と、複数州のライセンスを持つ精神科医Chris Dennis(クリス・デニス)博士とチームを組んだ。

「私たちは、メンタルヘルスの薬物治療の第1人者になり、薬物治療にまつわる偏見と戦い、そしてすべての人に簡単で手頃な価格で薬を提供することを使命としてMindedを設立しました」と、ロニック氏は述べた。

Mindedは、不安症、うつ病、不眠症の患者、またはその可能性があり、治療の一環としての薬物療法に関心のある18歳以上の人々が利用できる。Mindedの利用を開始するには、オンラインアセスメントを行い、Mindedの利用が自分に適しているかどうかを確認する。その後、精神科医またはナースプラクティショナーとビデオチャットで会話し、どの薬が適切かを決定する。

Mindedのサービスを利用するために、患者は事前の診断や処方箋を必要としない。このスタートアップのメンタルヘルスの専門家は、うつ病、不安、不眠症の症状を評価し、状態を診断し、患者が初めて薬を服用する場合でも、すでに服用している場合でも、適切な治療計画を策定することができる。薬が処方されると、Mindedは処方箋を患者に届けるか、オンライン薬局や患者の近くの薬局に送る。患者は、薬について質問があったり、治療法を変更したい場合、オンラインで精神科医とチャットすることができる。

同社は、患者がMindedに登録するのに保険は必要ないと述べている。Mindedの会員になるには、月々65ドル(約7400円)、それに薬代がかかる。処方箋は患者の保険プランで払い戻しが可能な場合もあるが、それはプロバイダーによる。

今回の資金調達について、ロニック氏は、Mindedをあらゆる精神状態の治療に拡大し、30州以上に拡大する予定だと述べている。また、医療チームの規模を倍増し、医療従事者が管理業務よりも患者への対応に時間を割けるようにするための技術開発も継続する予定だそうだ。

Mindedのシードラウンドには、Streamlined Ventures(ストリームラインド・ベンチャーズ)、Link Ventures(リンク・ベンチャーズ)、The Tiger Fund(タイガー・ファンド)、Unicorn Ventures(ユニコーン・ベンチャーズ)、Trousdale Ventures(トラスデール・ベンチャーズ)、Gaingels(ゲインゲル)、SALT Fund、TheFund、Care.com、Bolt(ボルト)、Gravity Blanket(グラヴィティ・ブランケット)、RXBAR、Gilt.comの創業者、およびWTIからのベンチャー債権が参加した。

将来的には、革新的な治療法が利用可能になり、安全で効果的であることが証明されれば、Mindedはそれを導入するとロニック氏は述べている。

「より精度の高い診断と治療のためのDNA検査や、治療抵抗性の不安やうつ病のためのサイケデリックを提供する予定です」と、ロニック氏は語った。「精神医学の分野は、この20年間、あまり変わっていません。需要と供給の間の大きな格差と、技術や治療法の新たな発展の間で、精神医学の未来を構築する時が来ており、我々はその先頭に立つつもりです」。

Mindedはシードラウンドに先立ち、Streamlined Ventures、Link Ventures、その他CityMDの創業者Richard Park(リチャード・パーク)氏やCare.comの創業者Sheila Marcelo(シーラ・マルセロ)氏などの投資家から500万ドル(約5億7500万円)を調達している

画像クレジット:Minded

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

犬を立たせたまま足の裏の肉球を通し1分で心電図検査、ハカルスと動物用医療のDSファーマアニマルヘルスがAI活用

犬を立たせたまま足の裏の肉球を通し1分で心電図検査、ハカルスと動物用医療のDSファーマアニマルヘルスが犬の心電測定にAI活用

産業・医療分野向けのAI製品とサービスを提供するHACARUS(ハカルス)と動物用医薬品メーカーのDSファーマアニマルヘルスは2月18日、犬を立たせたまま足の裏の肉球を通して心電図検査を行ない、AIがデータを解析・診断するサービスを開始したと発表した。

これまで犬の心電図検査は、犬を横向きに寝かせて体にクリップを挟んで測る方法が一般的だった。場合によっては身動きが取れないよう押さえることもあり、犬に負担のかかる検査だったが、今回のサービスでは従来のようなストレスを感じさせずに測定できる。

ハカルスは2018年、DSファーマアニマルヘルス主催の「動物の健康を支える新規事業探索プログラム2018」において「スパースモデリング技術を応用した診断・治療支援AI」を提案。以降両社は連携を深めてきた。2019年にはドイツで開催された医療機器見本市でデモ機を展示、2021年には公募で選定された動物病院で試用を開始。それらの成果を経て今回のサービスの開始に至った。

ハカルスは、このサービスを動物病院に普及させることで、より手軽に愛犬の健康チェックができる環境を整え、犬の死因において高い割合を占める心臓病の早期発見への貢献を目指す。また今後は、犬だけではなく他の動物も視野に入れ、広範囲にわたる健康関連サービスを支援するプラットフォームに拡張する方針という。

検査の流れと特徴

犬を立たせたまま足の裏の肉球を通し1分で心電図検査、ハカルスと動物用医療のDSファーマアニマルヘルスが犬の心電測定にAI活用

  • 心電測定:電極シートに犬を立たせたまま乗せ、ボタンを押すと約30秒間で測定が完了する。犬の心臓が全身に血液を送り出す際に発生する電気のデータを肉球から取得する
  • AI解析:測定したデータはAIが約30秒間で解析・判定。日本獣医循環器学会の獣医循環器認定医が診断した「健康な犬」と「心疾患の犬」の状態を学習したAIが心電波形を判定し、結果をレポートに表示する
  • 解析結果(閲覧・確認):解析結果は、DSファーマアニマルヘルスが運営する獣医療支援プラットフォームサービス「あにさぽ」で閲覧可能。心電計の扱いについて特別な技術は不要で、動物病院が導入しやすい仕様になっている

Metriportは自分の様々な行動を数値化し相関性を探って自己改善を図れるアプリ

Metriport(メトリポート)というアプリは、あなたのさまざまな数値化されたデータを1つの場所に集約し、気分のトラッキング、薬のトラッキング、ジャーナリングなどの優れた機能を提供する。プライバシー保護のため、あなたのデータはすべて端末内に保存され、アプリはあなたのデータに相関性を見つけ出して、あなたがより良い自分になるための手助けをしてくれる。

カロリー計算、歩数の集計、気分の測定、購入した物の割合、睡眠時間の測定、運動量の集計など、自分の行動を定量化することは、スマートウォッチやコンピューターなどの記録ツールがその作業の負担を軽減してくれる現在、ますます容易になってきている。

しかし、課題もある。記録にこだわる人は、相互に連携していないアプリをいくつも実行しているため、そこから行動パターンを見分けることは困難になる。月経がランニング後の痛みに影響するか?その日の気分が食事の量に影響するか?コーヒーを飲む量や歩く量と、睡眠の質には相関関係があるのか?Metriportはそれらを追跡し、これまで不透明だった行動パターンのベールを取り払うことができる。

「私たちはこれを、トラッキングアプリのスイスアーミーナイフだと考えています。これまでは、気分追跡アプリ、ジャーナリングアプリ、生理を記録するアプリ、健康状態を記録するアプリなど、7つの異なるアプリが必要でしたが、私たちはMetriportを、すべてが1つのプライバシーを重視したプラットフォームに集約される、個人データのダッシュボードというコンセプトで作っています」と、Metriportの共同設立者であるColin Elsinga(コリン・エルジンガ)氏は語っている。「これまで、私たちは外部から投資を受けずにMetriportを開発してきました。友人のDima(ディマ)と私は中学時代からの知り合いで、2人とも開発者であり、健康やフィットネス、特にメンタルヘルスに情熱を持っていました。2人ともさまざまなトラッキングアプリを使っていましたが、それらにはかなり制限があることに気づいたのです」。

この会社は、広告トラッキング技術の使用を拒否しており、すべてのユーザーデータを暗号化してデバイス内にローカルに保存している。このアプリの開発者本人であっても、ユーザーのデータを入手することはできない。同社が提供するプレミアムプランでは、ユーザーのデータを同社のサーバーに保存することも可能だ。

「当社のクラウドバックアップでは、携帯電話を紛失した場合や新しいデバイスに移行したい場合に備えて、データを保持することができます。当社のサーバーにデータを保管したくない場合は、それをオプトアウトすることもできますし、いずれにせよ、データはすべて暗号化されています。本人以外の誰もデータを見ることはありません」と、エルジンガ氏は述べている。「私たちは、自社のマーケティングを犠牲にしても、多くのことを行ってきました。私たちは、お客様にここで完全にコントロールされていることを知っていただくために、できるだけ透明化したいと考えています」。

Metriportは今までのところ、ブートストラップで運営を続けている。しかし、ユーザー数が増えてきたら、より多くの資金を必要とする計画を立て、ベンチャーキャピタルからの投資を受けることも考えている。

「私たちにとって、実際の製品に関して言えば、成長は大きな目標の1つです。私たちは、たくさんのエキサイティングな新機能に取り組んでいます。実際、本日配信したアップデートでは、天気のトラッキング機能が追加されました。私はずっと慢性的な偏頭痛に悩まされてきましたが、これでようやく気圧が頭痛に影響するかどうかを追跡できるようになりました。相関性のインサイトを実行するだけで、大きな影響があるかどうかを確認することができます。

Metriportの開発はまだ初期段階だが、チームはiOSAndroid用のアプリですばらしいスタートを切った。標準で用意されている測定やデータ同期の機能に加えて、ユーザーは自分でカスタマイズした測定値を作成し、例えば、片頭痛の程度、食べたパンケーキの枚数、ピアノを弾いた時間などを、相関性のトラッキングに含めることができる。

画像クレジット:Metriport

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

放射線科のITを根本から再構築するNinesのAIアルゴリズムをSirona Medicalが買収

デジタル放射線科のための「OS(オペレーティングシステム)」を開発しているSirona Medical(シロナメディカル)は、米食品医薬品局(FDA)が認可した分析およびトリアージのアルゴリズムの開発元Nines(ナインズ)を買収した。この買収は、AIを使った放射線技術がやや不安定な時期に行われた。しかし、Sironaはこの動きによって「臨床ワークフローにAIを導入するためには、物事を一から作り直す必要がある」という同社の考えが証明されることに賭けている。

SironaとNinesがどの部分で一緒になってうまくいくのかを理解するには、放射線治療の背後にあるITをレイヤーケーキに見立てて考えるといい。そのケーキの最初の層は、医療画像データベースでできている。2つ目の層は、閲覧や報告のソフトウェアなど、放射線科医が日常的に接するソフトウェアだ。3つ目の層は、これらの画像のパターンを検索したり、医師の意思決定を支援したりするAIアルゴリズムで構成されている。

Sironaの主力製品であるRadOSは、この下の2層をまとめ、その上にAIアルゴリズムを重ねられるようにすることを目指していて、NinesのAIはの下の2層で大きな進歩を遂げた。

Ninesは、実際に医師の意思決定をサポートできるとするアルゴリズムを作り出した。そのうちの1つは、科学者が肺の結節(異常な増殖)の大きさを測定し、呼吸器疾患の発見に役立てるというアルゴリズムだ。もう1つのアルゴリズムは、脳のCT画像を分析し、頭蓋内出血や腫瘤の兆候を検出するものだ。医師が患者をトリアージするのを支えることを目的としている(両アルゴリズムともFDAの510(k)認可を取得している)。

RadOSプラットフォーム(画像クレジット:Sirona Medical)

今回の買収は、臨床医のワークフローにアルゴリズムを真に統合するためには、第1層と第2層を統合する必要があるからだとSirona MedicalのCEO、Cameron Andrews(キャメロン・アンドリュース)氏はTechCrunchに語った。RadOSは、その問題を解決する準備ができているという。

ヘルスケア分野におけるAIは、最近混迷を極めている。一方で、1月にIBM Watson Healthがスピンオフし、AI放射線科の楽観論者に打撃を与えた。しかし、熱意は冷めていない。同じ月に米国最大の外来画像診断プロバイダーであるRadnet(ラドネット)は、がん、肺疾患、神経変性のAI画像解析に投資する2社を買収した。

そして、誰もが触れない点がある。それは、期待されるAI放射線科革命は、まだ到来していないということだ。米放射線学会の会員約1400人を対象に2021年に行われた調査で、現在臨床でAIを使用している放射線科医はわずか30%であることが明らかになった。AIを使用していない人の20%は、5年以内の新AIツール購入を計画していた。

Sironaの主張は、放射線科でのAI活用を阻んできた問題は、業界のレガシー技術に深く食い込んでいるというものだ。前述の「層」はすべて一緒に機能するように設計されていない。

臨床支援アルゴリズムを追加する前でさえ、放射線科医はすでに3つか4つの異なるソフトウェアで作業している、とアンドリュース氏は話す。そして、AI機能を採用した新しいソフトウェアを追加しようとすると、それらのソフトウェアにさらに別のものを追加しなければならない。「Radiology Artificial Intelligence」のあるレビュー論文によると、堅牢なAIソフトウェアは、個々のワークステーションにベンダー固有のソフトウェアをインストールする必要があるとのことだ。このプロセスは、新しい技術を採用する際に複雑さをさらにもたらすことになる、と同論文は指摘している。

「私たちは、基礎となる放射線科ITスタック自体、そしてより広範な基礎となるイメージングITスタックは、放射線科医が抱えるタスクと、サードパーティのAIおよびソフトウェアベンダーが今後10年間に要求するタスクの両方を根本的に処理できないと認識しました」とアンドリュース氏は述べた。

そう考えると、SironaがNinesを買収したことで、それらのトップ層のアルゴリズムがRadOSに統一されることになる。それは医師にとって、実際にどのような意味を持つのだろうか。注釈付き画像からレポートへのシームレスな移行が可能になる、ということだ。肺結節をクリックし、Ninesのアルゴリズムで測定し、さらにクリックすれば、その測定値をレポートに反映させることができる。

「これは、とてもシンプルです。しかし、それにもかかわらず「実現不可能でした」とアンドリュース氏はいう。

RadOsのプラットフォームを利用したメモ帳アプリケーション

「AIやコンピュータビジョンは、ピクセルと言葉を関連付ける能力であり、自然言語処理は、言葉をピクセルそのものに関連付ける能力です」と同氏は説明する。「報告書を作成するためのソフトウェアと画像を見るためのソフトウェアが機能的に分離しているため、このような双方向の接続を今日実現することはできません。そして、それらはアルゴリズムから完全に分離されているのです」。

SironaはNinesの臨床データパイプライン、FDA認可の2つのアルゴリズム、機械学習エンジン、放射線科ワークフロー管理・分析ツールのみを買収した。興味深いことに、同社はNines AIの遠隔放射線の部門を買収していない。Ninesはリモートで働く放射線科医も雇用しており、その専門知識を病院やクリニックに提供している。

Sironaは「放射線科サービス事業を行っていない」ため、遠隔放射線部門はSironaになじまなかったと、アンドリュース氏は話した。しかし、同氏買収の詳細を明らかにするのは却下した。

今回の買収の発端は、投資家の重複と相互のつながりにある。8VCは両社に出資していて、SironaはNinesの投資家であるAccel Partnersとつながりがある。Sironaはこれまでに6250万ドル(約72億円)を調達している。

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(文:Emma Betuel、翻訳:Nariko Mizoguchi

夜型人間も夜型人間も平日の活動量に差がなく、社会的要因が影響しているという世界初の研究

夜型人間も夜型人間も平日の活動量に差がなく、社会的要因が影響しているという世界初の研究

夜型20人と朝型61人の学生それぞれの活動量平均値をプロット。土曜日と日曜日午前は、夜型の活動量が朝型よりも低下する。しかしこれ以外の時間帯は、活動量に差はなかった(平日は金曜日と月曜日だけを図示したが、火曜日から木曜日も同様に差がない)

島根大学京都医療センター臨床研究センター金沢大学の研究グループは、遺伝子で決まる朝型と夜型の人の活動量が、平日においては差がないことを明らかにした。これまで夜型生活者は活動量が相対的に低いとされてきたが、差が表れるのは土曜日のみで、遺伝的要因と社会的要因が大きく関わっていることが世界で初めて示された。

ヒトには「朝型タイプ」「夜型タイプ」があり、その違いの約半分は、遺伝的(先天的)に規定されている。その規定遺伝子が、2017年のノーベル医学生理学賞の対象となった「時計遺伝子」であり、その個人差である時計遺伝子多型であることが知られている。

夜型の生活習慣を持つ者(夜型タイプ)は、朝型に比べて身体活動量が低く、睡眠時間が短く、食生活が乱れることが多いために、肥満や糖尿病の罹患率が高いことが広く報告されてきた。しかし、そうした研究では、調査は1日だけ(24時間程度)に限られており、社会的制約が異なる平日と休日の両方で調査しなければ「健康増進へのエビデンスとして不十分」だと研究グループは考えた。そうして、この比較研究を行うことにした。

研究グループは、大学生男女81人を対象に、朝型とされるTの遺伝子多型を持つ人(TT者)と、夜型とされるCを含む遺伝子多型を持つ人(TC+CC者)とに分けて実験を行った。学生たちには、7日間連続して、起床時から就寝時にかけてデジタル加速度計を装着してもらい、活動量を計測した。その結果、平日は両者とも活動量に大きな差はなく、土曜日と日曜日の午前中にのみ、TC+CC者の活動量の低下が見られ、起床時間と就寝時間が大幅に遅くなることがわかった。ここから、平日は通学などの社会的な制約のために夜型も朝型と同じ行動をとらざるを得ず、差が見えなくなっていると推定された。

また、実験の際に行ったアンケート調査から、「自分は朝型」や「自分は夜型」といった主観は、遺伝子による分類とは関係がないこともわかった。つまり、自分の遺伝子の型を理解することで、自分にとって最適な活動時間を把握できるということだ。研究グループは、子どもの生活指導を行う人は、社会的制約のない週末の子どもの行動を観察して、適切にその生活習慣を理解することが大切だと提言している。また、勉学、スポーツ、ビジネスに取り組む際には、遺伝的な朝型か夜型かの個性を考慮することで、最善のパフォーマンスを発揮できるとも指摘している。

コントレアが動画によるインフォームド・コンセント支援クラウドMediOSに麻酔科向けサービスを追加、麻酔説明を半自動化

動画を活用したインフォームド・コンセント支援クラウド「MediOS」(メディオス)を提供するContrea(コントレア)は2月18日、新たな疾患領域に対する展開として麻酔科向けサービスのリリースを発表した。内容としては、MediOSおよび麻酔科向け動画コンテンツとなっており、2月18日から提供を開始する。2024年4月、働き方改革に関する法律により医師の時間外労働に上限が設けられ、医療業界では医療現場の効率化が急務となっている。MediOSは、患者の理解度向上と医師の働き方改革を両立させるとしている。

日本病院会によると、安全な手術には麻酔科医による麻酔管理が重要だが、全診療科の中で麻酔医が最も不足しているという(「2019年度 勤務医不足と医師の働き方に関するアンケート調査 報告書」)。そうした不足をカバーするため、大学病院では40%、一般病院では60%もの施設が外部に麻酔科医の派遣を定期的に要請している(麻酔学会「麻酔科医のマンパワーに関する調査」)。

これは手術件数が急増し需要が拡大していることや、麻酔業務以外に集中治療・救急医療・ペインクリニックなど担当範囲が拡大している点が理由として挙げられる。そうした業務量の拡大に加えて、術前の麻酔説明に多くの時間が取られることも麻酔業務を多忙にする要因となっている。

ただ、現場における麻酔説明は多くの時間がかかるものの、その内容は麻酔の概要や合併症といった定型的な内容が多くを占めているという。そこでMediOSの麻酔説明動画コンテンツでは、入院までの準備や各種麻酔方法と合併症、術後の覚醒、PCAポンプの使い方など約50分の内容を用意。またこれら動画は、京都府立医科大学の佐和貞治先生と柴﨑雅志先生、京都大学の松村由美先生・加藤果林先生による監修の元で制作したそうだ。

この麻酔科向けのサービスにより、麻酔科医の不足という課題を解決し、患者理解度や質問を事前に取得するクラークの役目を担うことまでできるという。システムは動画の準備から管理、患者への動画共有、視聴データ解析まで一気通貫で運用可能。定型的な部分を効率化することで、麻酔科医は患者個別性の高い説明やハイリスクな患者への事前準備、手術の麻酔管理など本質的な業務に集中でき、手術の安全性向上にもつながるとしている。

MediOSとは、インフォームド・コンセント(医療従事者が患者に診療目的・内容を説明し患者の同意を得ること)における定型的な内容をアニメーション動画にし、事前に患者が説明を受ける機会を提供するサービス。大学病院をはじめ200~700床の病院で導入されており、医師の説明時間が患者1人あたり33%短縮されたそうだ。また患者側の平均理解度が5段階中4.6を取得といった効果も得ているという。

NTTドコモ、AI活用医療サービスの提供に向け第二種医療機器製造販売業の許可を取得―国内移動体通信事業者で初

NTTドコモ、AI活用医療サービスの提供に向けて第二種医療機器製造販売業の許可を取得―国内移動体通信事業者で初

NTTドコモ(ドコモ)は2月16日、日本国内の移動体通信事業者で初めて「第二種医療機器製造販売業」の許可を取得(許可番号:13B2X10509)し、また「医療機器製造業」を登録(登録番号:13BZ201613)したと発表した。

今回ドコモは、医療機器のクラス分類のうち、クラスII(管理医療機器)の医療機器プログラムの製造販売が可能になる「第二種医療機器製造販売業」の許可を取得した。今後は、健康管理サービスやオンライン診療システムの提供だけではなく、病気の予防・診断・治療・予後管理などを目的として使用される医療機器プログラム、AI技術を活用した医療サービスを自社で設計・開発・製造・販売することが可能になる。

また、ヘルスケア領域からメディカル領域までスマートフォンの利用を軸にしたシームレスなサービス展開を行うことで、顧客がこれまで以上に医療を活用しやすく、病気の早期発見や治療を行える機会を増やせるようにする。医療機関などのパートナーと連携しながら、健康寿命の延伸や医療費の抑制などの社会課題の解決にも貢献するという。

これまでドコモは、位置情報や歩数、スマートフォンの利用時間帯などの生活習慣に関する情報や健康診断の結果などの利用に関して、事前に同意が得られたデータを基に、利用者の健康状態や病気の発症リスクを推定するAI技術の研究開発を進めてきた。また、個人ユーザ-向けの「dヘルスケア」、法人ユーザー向けの「dヘルスケア for Biz」「リボーンマジック」、自治体向けの「健康マイレージ」などの各種サービスを提供。生活習慣の改善や健康行動を促し、楽しく健康管理や健康増進を行うための取り組みを展開している。

また、オンライン診療・服薬指導アプリ「CLINICS」のメドレーとの共同運営を2021年12月から開始し、顧客の医療活用を支援する取り組みも推進しているという。

Z世代向け音楽療法アプリのSpokeがAda Ventures主導で約1.7億円のラウンドを獲得

Spokeのチーム(画像クレジット:Spoke)

CalmやEndelといったアプリは「機能的な音」として知られるようになりつつある新しい世界を模索している。Calm(カーム)や各社が瞑想や睡眠の領域でそれを行っている一方、750万ドル(約8億6400万円)を調達したEndel(エンデル)は、仕事やその他の活動を強化するための「機能的な音」を作り出している。そして今、新しいスタートアップが「機能的音楽」と呼ぶものを立ち上げようとしており、その次の段階を後押しする機関投資家の支援を獲得している。

Spoke(スポーク)は「マインドフルネス効果」と称する音楽を生成する新しいアプリである。このアプリは、現代音楽アーティストや科学的アドバイザーとの18カ月にわたる研究開発に基づいており(臨床試験も予定されている)、主に「中高年向け」のマインドフルネスアプリやムーブメントを敬遠しがちなZ世代、もしくは25歳以下の年齢層を対象とした、マインドフルネスの要素と音楽を組み合わせたものだ。

このたび、英国を拠点とするAda Ventures(エイダ・ベンチャーズ)が110万ポンド(約1億7200万円)のプレシード投資を行い、英国の著名なエンジェル投資家が多数参加している。

AIを使って音を生成するEndelとは異なり、Spokeは臨床心理学者、セラピスト、神経科学者のチームによって訓練されたアーティストを採用し、ユーザーが望む精神状態になるように音楽を制作しており、同社は、これには治療行為と同じ効果があると主張している。

「Spokeは、音楽文化とメンタルヘルスという一見相反する世界を結びつけるものです」と、Spokeの創設者で共同CEOのAriana Alexander-Sefre(アリアナ・アレクサンダー=セフレ)氏は声明で述べている。「音楽業界は、リスナーやアーティストのメンタルヘルスにすばらしい役割を果たすことができ、根本的に変わる必要があると私たちは考えています。メンタルヘルスのアプリはたくさんありますが、十分なサービスを受けられていない世代がいます。これは私たちの第一歩です。私たちの使命は、音楽がいかにパワフルであるか、そして業界がいかに進化しなければならないかを示すことです」と語る。

Spokeによると、現在Jordy(ジョーディ)、VIC、Jamilah Barry(ジャミラ・バリー)を含む25以上のアーティストと協力しているとのことだ。おわかりかもしれないが、これらのアーティストは、瞑想アプリのような快適な世界とはかけ離れた存在であることが多い。

アレクサンダー=セフレ氏は、自ら命を絶った若者を知って、このアプリに取り組む気になったのだという。「私はこのことをとても身近に体験してきました。私が知っている最年少の若者はわずか15歳で、このことは当然、その子の身近な人たちに人生を変えるような影響を与えます」と語る。

彼女は私にこう言った。「私の最初のビジネスは、ライブ音楽とウェルビーイング体験を融合させたイベント会社でした。私は、ウェルビーイングの空間では、同じ人しか見かけないことに気づいたのです。通常、年配の女性、中流階級の女性です。ところが2017年、私の弟の親友が自ら命を絶ちました。そして、翌年中に友人の兄弟2人も命を絶ちました」。

「起こったことを本当に代謝するのに1年ぐらいかかりました。明らかに、起こったことは受け入れがたいことです。でも、それ以上に胸が痛むのは、弟とその友人たちが、学校のセラピーやカウンセリングを拒否していることだと思います。私は当時、福祉関係の仕事をしていましたが、何百万人もの人々が使っているこれらのツールのどれもが、この若者たちに文化的にフィットしていないことがわかったのです。そして、イギリスとアメリカでは、自殺者の80%が男性であり、静かな流行が起きていることを知りました。また、マインドフルネスの分野を大衆化させたと思われるCalmやHeadspaceは、25歳以上の女性に多く利用されていることもわかりました」と語る。

彼女は何千時間にも及ぶリサーチを行い「若者はヨガの先生や専門家のお坊さんのような人の話を聞くことには興味がない」けれど、ミュージシャンのような文化的リーダーには興味があることがわかった。「私が話をしたほぼすべての若者にとって、ミュージシャンが最も影響力があることがわかりました。音楽産業がウェルネスの世界にまったく入ってきていないのは、とても皮肉なことだと思いました。実際、ミュージシャンというのは、精神衛生上、最も悪い状態にある人たちです。レーベルは彼らの面倒を見てくれないのです。そこで、マインドフルネスの新しい文化として、この科学的なインパクトが証明されたマインドフルネスと、セラピー的なガイダンスを組み合わせるというアイデアを思いついたのです。Spokeは、現在のマインドフルネス・アプリの実用性と、音楽アプリのエンターテインメント性を融合させ、パーソナライズされた体験を提供するものです」と語る。

Ada Venturesの創業パートナーであるCheck Warner(チェック・ワーナー)氏は「Spokeは、若い男性のためのメンタルヘルス・セラピーという、重要かつ完全に未開拓の市場に取り組んでいます。若者、特に若い男性が精神的な問題と戦っているという日々のニュースはとても悲しく、Spokeが取り組んでいる問題の大きさと重要性を常に思い起こさせてくれます。Spokeのユニークな製品は、音楽やラップを神経科学と組み合わせることで、不安や鬱を軽減する効果のある瞑想の製品を作り出しています」と語る。

アレクサンダー=セフレ氏の共同創業者兼共同CEOは、かつてアプリ出版社Zolmo(ゾルモ)を設立した連続起業家、Michael Maher(マイケル・メア)氏だ。

Spokeのクリエイティブ・チームには、リード・アーティストのLemzi(レムジー)とエグゼクティブ・プロデューサーのDaniel Miles(ダニエル・マイルズ)氏がいる。Lemziは、イースト・ロンドンを拠点とするラップ/ヒップホップ・アーティストだ。マイルズ氏は、Ivor Novello(アイヴァー・ノヴェロ)にノミネートされたプロデューサーで、以前はSony Music(ソニー・ミュージック)と契約していた。

Ada Venturesの他、プレシードラウンドには、Bethnal Green Ventures(ベスナル・グリーン・ベンチャーズ)とエンジェル投資家のNikhil Shah(ニヒル・シャー)氏(Mixcloud共同創業者)、Marla Shapiro(マーラ・シャピロ)氏(HERmesa創業者)、Toby Moore(トビー・ムーア)氏(Space Ape Games共同創業者)、Ascension Ventures(アセンション・ベンチャーズ)のCFOのEmma Blackburn(エマ・ブラックバーン)氏、スーパーエンジェルのEd Zimmerman(エド・ジマーマン)氏らが参加している。Metail(メテイル)の創業者であるTom Adeyoola(トム・アデユーラ)氏も投資しており、現在はSpokeの会長を務めている。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

音響共鳴技術を使った肺機能モニタリング機器を開発するRespira Labs、3.2億円を超える投資と助成金を獲得

2021年、最初の製品を世界に発表した呼吸器ケアを専門とする医療技術企業のRespira Labs(レスピラ・ラブズ)は、肺機能とその変化を診断する音響共鳴技術の開発を継続するために、100万ドル(約1億1600万円)の資金調達と180万ドル(約2億900万円)の助成金を獲得することに成功した。新型コロナウイルス感染症や、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、喘息などの肺疾患を持つ患者にとって、肺機能とその変化を追跡することは非常に重要なことである。

今回のプレシードラウンドは、ラテンアメリカを中心とするバイオテック投資会社のZentynel Frontier Investments(ゼンティネル・フロンティア・インベストメント)が主導し、アカデミックインキュベーション投資会社のVentureWell(ベンチャーウェル)、ミッションを重視したインパクト投資会社のImpactAssets(インパクトアセッツ)、そして米国およびラテンアメリカのエンジェル投資家数名が参加した。同社は調達した投資に加えて、Small Business Innovation Research(中小企業技術革新研究プログラム)、National Science Foundation(全米科学財団)、National Institutes for Health(米国国立衛生研究所)から、さらに180万ドルの助成金を獲得した。

Respira Labsは現在、フロリダ州とカリフォルニア州で30名の患者を対象とした予備試験を行っており、今後数年以内に製品のFDA(米国食品医薬品局)認証取得を目指している。同社が開発を進めているのは、マイクを使って肺機能を検出する、ウェアラブルで非侵襲的な肺機能モニタリング機器だ。

同社はこの技術で3つの特許を取得しているが、中でも重要なのは、人体に投射された圧電信号(パルスや音など)を分析して、肺の共振周波数や、音が身体にどのように吸収され、反射され、変化するかを明らかにするという技術だ。すばらしいことに、この信号は肺活量、肺に溜まった空気の量、COPDの有無などを調べることができるのだ。

「私たちは、競争の激しい分野で躍進できることに胸を躍らせています。また、私たちの使命と技術に深い関心を寄せてくださる組織に感謝します」と、Respira Labの創設者兼CEOであるMaria Artunduaga(マリア・アルトゥンドゥアガ)博士は述べている。「当社には、世界中で肺の問題を抱える何百万人もの人々の生活を改善できる可能性があります。これは早期発見が重要であり、私たちの技術は人々が問題をより早く発見し、生命を脅かすような危険な状況を回避するために役立ちます」。

「我々にとって、Respira Labsのようなビジョンとリーダーシップを持つ企業に投資できることは名誉なことです。同社のラテンアメリカにおけるバックグラウンドと専門知識は、当社の方針と完璧にマッチしています」と、Zentynel社のジェネラルパートナーであるCristian Hernández-Cuevas(クリスティアン・エルナンデスクエヴァ)氏は述べている。「Respira Labsのように、洗練された厳密なやり方で、音響の観点から肺機能のモニタリングに取り組もうとしているところは他にないと、我々は確信しています。これはポストコロナの世界で成長し続けるであろう巨大な市場への扉を開くものです」。

Respiraは製品開発の強化に取り組んでいるが、今回の資金調達はそれをさらに加速させることだろう。加速させる(アクセラレート)といえば、同社はMassachusetts Medical Device Development Center (マサチューセッツ医療機器開発センター)のアクセラレーターとバイオテックインキュベーターの参加企業に選ばれたことを筆者に明かした。

画像クレジット:Respira Labs

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

韓国のスタートアップAtommerce、約19.4億円の資金調達でメンタルヘルスサービスを拡大させる

モバイルアプリ「MiNDCAFE」を通じてユーザーがメンタルヘルス専門家とつながることを支援する韓国のスタートアップ、Atommerce(アトマース)は、2カ月で3倍の応募超過となった1670万ドル(約19億3600万円)のシリーズBで、メンタルヘルスのサービスを拡大する計画だ。

今回の資金調達で、Atommerceはプラットフォームの人工知能と機械学習技術を強化し、精神疾患に特化したデジタル治療に投資する予定だ。また、調達資金は人員増強にも充てられる。

ソウルを拠点とするこのスタートアップは、バーチャル・セラピー・プログラムと雇用者向けメンタルヘルス・ベネフィット・ソリューションを提供している。AtommerceのCEOであるKyu-Tae Kim(ギュテ・キム)氏はTechCrunchに対し、Atommerceは人間の専門家と同じようにセラピーができるAIチャットボットサービスを加えることで、患者、人間の専門家、精神疾患に対応するために人工知能が相互に作用するエコシステムを構築したいと考えていると語った。12月に発売された同社のAIチャットボット「RONI」は、推奨される回答を提供することで人間の専門家をサポートすると、キム氏は述べた。

Atommerceは、韓国で100万人以上のアプリユーザーと、Naver(ネイバー)、NHN、新韓インベストメント、Neowiz(ネオウィズ)、ソウル市役所など100社の企業を顧客として主張している。現在、MiNDCAFEの従業員支援プログラム(EAP)を通じて、B2Bクライアントの約20万人の従業員がアプリを利用している。同社は、250人以上のメンタルヘルス専門家を抱えているという。

新型コロナウイルスのパンデミックは、同社の成長を加速させた。例えば、2021年第1四半期の同社の売上高は、2020年第1四半期と比較して約1200%伸びた。また、過去2年間は年平均400%増の売上を記録しているという。

このスタートアップは、米国留学中にセラピーを受けてうつ病を克服したキム氏が、2015年に創業した。韓国に帰国したキム氏は、米国とは異なり、社会的なスティグマからメンタルヘルスの専門家の助けを得ることが難しいことを実感し、MiNDCAFEを立ち上げることを決意した。

韓国は、精神衛生問題を含むさまざまな要因でOECD諸国の中で最も自殺率の高い国となっているが、精神的な問題に対するスティグマから、人々は専門家に相談することをためらっていたと、キム氏はいう。しかし、ここ数年で変わってきた。現在、そのユーザーのほとんどは、国内のミレニアル世代とZ世代の成人女性であるとキム氏は付け加えた。

Atommerceは2022年前半に日本への進出を予定しており、早ければ年末に北米への浸透を目指す。同社のサービスは、言語やUX・UIなどのユーザーインターフェースデザインを完全にローカライズする予定だと、キム氏はTechCrunchに語った。また、次の資金調達計画について尋ねたところ、2023年第1四半期にシリーズCの調達を検討しているとのことだ。

画像クレジット:MiNDCAFE app

今回のラウンドで、同社の資金調達総額は約2600万ドル(約30億1400万円)に達した。シリーズBは、Hashed(ハッシュド)が主導し、E&Investment(E&Iインベストメンと)、K2 Investment(K2インベストメント)、Samsung Next(サムスンネクスト)が参加した。既存の出資者であるInsight Equity Partners(インサイト・エクイティ・パートナーズ)と韓国の製薬会社GC Green Cross Holdings(GCグリーンクロスホールディングス)もこのラウンドに参加した。

キム氏は声明の中で、今回の投資により、テクノロジーによって人々のメンタルヘルスを支援するという使命を持つMiNDCAFEが成長を加速させることができると述べている。さらに、Atommerceはメンタルケアエコシステムへのアクセスを向上させる。

画像クレジット:Carol Yepes / Getty Images

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(文:Kate Park、翻訳:Yuta Kaminishi)

健康・長寿分野の数多いスタートアップの1つ、bioniqが高度にパーソナライズされたサプリメントを発売

TechCrunchでは2021年、人間の健康と長寿を増進するサプリメントを研究し、1300万ドル(約15億円)を調達したLongevica(ロンジェヴィカ)という会社を取り上げた。また、1200万ドル(約13億9000万円)を調達して後にBayer(バイエル)に買収されたcare/of(ケアオブ)や、Nestle(ネスレ)に買収されたPersona(ペルソナ)などのイグジットを果たした企業もある。また、英国のスタートアップ企業であるHeights(ハイツ)は、クラウドファンディング・プラットフォームのSeedrs(シーダーズ)を通じて170万ポンド(約2億7000万円)のシード資金を調達した

これらは、デジタルヘルス、ウェルネス、長寿のスタートアップ分野で起こっているブームのほんの一例に過ぎない。

今回、ロンドンを拠点とするbioniq(バイオニック)は、OKS Group(OKSグループ)とMedsi Group(メディシ・グループ)から1500万ドル(約17億4000万円)のベンチャー資金を調達し「300万の独自の生化学的データポイントによるパーソナライズされたサプリメント製品」である「bioniq GO」を発売すると発表した。

bioniqによると、月額49ポンド(約7700円)のbioniq GOという製品は、3万人以上の患者の5万回を超える血液検査と25の医学出版物のデータを活用することで、市場に出回っている同様の製品と比べて20万倍も高いレベルのパーソナライゼーションが可能になったという。

このトレンドの意味するところは、bioniqやLongevicaのようなスタートアップ企業が、いわゆる「年齢より若く見える」化学物質に関するビッグデータを利用して、ウェルネスや長寿の領域に参入し始めているということだ。

bioniqによると、bioniq GOには最大34種類の成分が含まれており、その組み合わせは1000万通りにも及ぶという。そのすべてが安全かつ高効率であることが臨床的に証明されていると、同社は主張している。

bioniqのCEO兼共同設立者であるVadim Fedotov(ヴァディム・フェドートフ)氏は、次のように述べている。「bioniqでは、医療の未来はデータの集約と健康モニタリングのデジタル化にあると考え、無病の人々のためのユニークなツールを作り出しています。bioniq GOの発売によって、私たちは血液検査を行わないサプリメントとしては業界最高レベルのパーソナライゼーションを提供することを目指しています。そして新しい血液サンプルを得るたびに、当社のシステムは改善され、より効果的になり、bioniq GOの処方はさらに効率的になっていくのです」。

bioniqのCEO兼共同設立者ヴァディム・フェドートフ氏(画像クレジット:bioniq)

bioniqという会社は、元ドイツ代表のバスケットボール選手であるフェドートフ氏と、かつてスイスでプロスポーツ選手の認知機能と身体機能を向上させるシステムを開発した脳神経外科医のKonstantin Karuzin(コンスタンチン・カルジン)博士によって設立された。

2022年初め、bioniqはミュンヘン工科大学からスピンオフした科学企業であるLOEWI(レーヴィ)の買収を発表した。LOEWIは、個人の血液検査とライフスタイルに基づくテーラーメイドの栄養素を提供している。

多くのスタートアップ企業が、このような個人に合わせた健康とウェルネスに対する新しいアプローチに取り組んでいることは明らかだ。今後はさらに多くの企業や製品が登場することが予想される。

画像クレジット:

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

順天堂大学、花粉症予防アプリ「アレルサーチ」に個人に合わせた予防が可能になる2つの新機能を追加

順天堂大学、花粉症予防アプリ「アレルサーチ」に個人に合わせた予防が可能になる2つの新機能を追加

順天堂大学医学部は2月9日、花粉症予防のための研究用スマートフォンアプリ「アレルサーチ」(Android版iOS版)をアップデートし、2つの新機能を追加した。これにより、ユーザーは自分自身の花粉症タイプに合わせた効果的な予防や対策が行えるようになるという。

順天堂大学医学部眼科学講座の猪俣武範准教授らからなる研究グループが提供する「アレルサーチ」は、本来は花粉症に悩むユーザーからの情報を収集し、花粉症研究ビッグデータを構築することを目的とした研究用アプリだ。花粉症の自覚症状のアンケートや画像診断、生活習慣などの情報を、同意のあったユーザーから集めている。

それと同時にユーザーは、目の赤みの画像診断やアンケートから花粉症レベルを数値化して示す「花粉症レベルチェック」、地域ごとの花粉症レベルを地図上に示す「みんなの花粉症マップ」、花粉飛散情報、花粉症と生産性の関係の数値化、花粉症レベルチェックや労働生産性レポートを確認できる「みんなの花粉症ダイヤリー」といったサービスが利用できる。

順天堂大学、花粉症予防アプリ「アレルサーチ」に個人に合わせた予防が可能になる2つの新機能を追加

画像左:アプリのダッシュボード。画像右:アンケート結果や目の赤みの画像診断から花粉症症状と生産性の数値化

順天堂大学、花粉症予防アプリ「アレルサーチ」に個人に合わせた予防が可能になる2つの新機能を追加

画像左:みんなでつくるリアルタイムの「みんなの花粉症マップ」。画像右:花粉症症状を日記化「花粉症ダイアリー」

そこに今回、「花粉症タイプの見える化」と「おすすめの花粉症対策提案」という2つの機能が加わった。「花粉症タイプの見える化」は、個人差の大きい花粉症症状をグラフで可視化し、適切な治療や自己管理に役立てるというもの。「おすすめの花粉症対策提案」は、ユーザーの花粉症タイプに基づく予防行動を提案してくれるというものだ。

順天堂大学、花粉症予防アプリ「アレルサーチ」に個人に合わせた予防が可能になる2つの新機能を追加

猪俣氏は、今回のアップデートにより「ユーザーのQOLの向上のみならず、保険診療である花粉症をセルフメディケーション(自己管理)にシフトさせることで、医療費削減にも大きく貢献できることを期待しています」と話している。

研究グループは、患者と市民の参画を進めている。このアップデートも、公募によって組織された「患者・市民委員」の意見交換会を重ねながら実現させたものだ。また、委員会による「アレルサーチ」の評価が、質問項目やインターフェイスの改善につながっているという。

「アレルサーチ」は、Android版iOS版があり、それぞれGoogle Play、App Storeから無料でダウンロードできる。

24時間365⽇スマホで医師に相談できる医療相談アプリLEBERを手がけるリーバーが資金調達、累計調達金額10億円突破

24時間365⽇スマホで医師に相談できる医療相談アプリLEBERを手がけるリーバーが資金調達、累計調達金額10億円突破

医療相談アプリ「LEBER」(リーバー。Android版iOS版)を手がけるリーバー(旧AGREE)は2月10日、融資を含む資金調達を実施したと発表した。引受先はLITALICO、CBC、常陽キャピタルパートナーズなどの6社。累計調達金額は10億円を突破した。引き続き2022年8月末まで資金調達を実施するという。

調達した資金は、LEBERの提供体制の強化にあて、感染症発生状況の調査・集計により感染症の蔓延と予防に役立てる「感染症AIサーベイランス」の実現を図る。感染症AIサーベイランスとは、学校保健領域において毎日収集される健康観察データを基にクラスター発生を予測し、早期に対策を行うことでその発生を予防するシステムという。

LEBERは、24時間・365⽇スマホで医師に相談できる「ドクターシェアリングプラットホーム」の機能と、健康観察ができる機能を備えるアプリ。現在300⼈以上の医師が登録しており、外出⾃粛などで病院・クリニックに⾏きにくい⽅もアプリを通じ医師に相談できるようにしている。

また⼀般向けのLEBERに加えて、教育機関に毎⽇の検温結果と体調、出⽋席の報告ができる「LEBER for School」(6カ国語対応)、企業向けに検温・体調報告とストレスチェックを組み合わせられる「LEBER for Business」(6カ国語対応)も全国で導⼊を進めているという。24時間365⽇スマホで医師に相談できる医療相談アプリLEBERを手がけるリーバーが資金調達、累計調達金額10億円突破

リーバーは、「いつでも。どこでも。誰にでも。」を掲げ、医師でもある代表取締役の伊藤俊⼀郎氏が遠隔医療相談サービスを⾏うべく2017年2⽉に設立。すべての⼈々に適切な医療が⾏き渡るよう努めるとしている。

医師向け臨床支援アプリを提供する「HOKUTO」を提供するHOKUTOが8.25億円のシリーズA調達

医師向けの臨床支援アプリ「HOKUTO」(Android版iOS版)を開発・運営するHOKUTOは2月8日、シリーズAラウンドとして第三者割当増資による総額8億2500万円の資金調達を2021年12月に実施したと発表した。シリーズAでの累計調達額は11億2500万円となった。

引受先は、以下の通り。

新規株主

・グローバル・ブレイン8号投資事業有限責任組合
・Genesia Venture Fund 2号投資事業有限責任組合
・GMO GFF投資事業有限責任組合 無限責任組合員
・グリーベンチャーズ1号投資事業有限責任組合
・ほか個人投資家など

既存株主

・Genesia Venture Fund 2号投資事業有限責任組合
・イーストベンチャーズ2号投資事業有限責任組合
・ほか個人投資家など

調達した資金は、事業推進とプロダクト開発、そして今後の事業展開において重要な人材採用にあて、組織基盤の強化を図る。

HOKUTOは、2019年11月より提供されている臨床現場に立つ医師を支援するためのモバイルアプリ。アプリの医師会員数は直近1年間で約7倍に増加し、2021年11月時点で3万人を突破したという。同アプリを利用することで、最新の医学情報にアクセス可能。エビデンスに基づいた医療の実践に必要な「医学情報のインプット」「想起」「リサーチ」という一連の行動を一貫してサポートすることで、医師の負担を軽減し、患者に向き合う時間を増やすことを目的としているそうだ。医師のアウトカム(治療や予防による臨床上の成果)向上に貢献することも目指すとした。

また同社は、アプリで取得した医師のデータベースを基盤に、製薬プロモーション市場を非対面・デジタル化する医薬品デジタルプロモーション事業も展開している。