インクルーシブデザインの制作に役立つツールを提供するStarkが約1.6億円を調達

テクノロジーの世界では、ダイバーシティとインクルージョンは後回しにされてきた、あるいはさらに悪いことに考慮されていなかったが、この状況が徐々にゆっくりと動き出した。ダイバーシティとインクルージョンのあらゆる面が注目を集め始めていることを強調するために、米国時間10月27日、デザイナーや開発者が最終的な製品を視覚障がい者にとってアクセシブルにするためのツールを作っているスタートアップが資金調達について発表した。

ニューヨークに拠点を置くスタートアップのStarkは、デザインソフトを使って作業を行うデザイナーなどが自分のファイルをチェックし、異なる色覚特性を持つ人を考慮したガイドラインに合うように色の編集などの提案をするツールを提供している。このStarkが150万ドル(約1億6000万円)を調達した。

Starkは今回得た資金で、広く使われているデザインアプリとの統合を継続し、開発者のための統合も進めていく(コード上でガイダンスを提供する。次に予定されているのはGithubの統合だ)。ビジネス面では価格設定と利用区分を拡大して充実を図る。

現時点では、Figma、Sketch、Adobe XD用のStarkのプラグインで、コントラストチェッカー、スマートカラー提案、8種類の色覚のシミュレーション、色覚特性ジェネレータを利用でき、さらにAdobe XDではすぐにコントラストをチェックできる。

長期的にはエンド・ツー・エンドのプラットフォームを構築し、視覚障がい以外のニーズを包括的に解決する計画だ。また、アクセシビリティは物理的な形でも実現できるためソフトウェア以外についても検討し、自動で詳細を修正する方法も開発する予定だ。

Michael Fouquet(ミシェル・フーケ)氏とともにStarkを創業しCEOを務めているCat Noone(キャット・ヌーン)氏は、リモートワークのため現在はヨーロッパを拠点としている。ヌーン氏は「ソフトウェアのアクセシビリティにおけるGrammarlyになる」ことを強く望んでいるという。

このプレシードラウンドでは、幅広く興味深い支援者から資金を調達した。主導したのはDarling VenturesのDaniel Darling(ダニエル・ダーリング)氏とPascal Unger(パスカル・アンガー)氏、およびIndicator Venturesで、ほかにGithubのCTOであるJason Warner(ジェイソン・ワーナー)氏、Kleiner Perkinsのスカウトファンド、Basecamp Venturesが参加した。個人では、Atlassianのアクセシビリティ担当の製品責任者、Culture Ampのデザイン&インパクトの公平性担当ディレクター、DuckDuckGoのデザインディレクター、Oracleの元ソフトウェア開発担当バイスプレジデントなども支援した。

Starkがこうした投資家からの注目を集めた理由の1つは、その牽引力だ。

同社のソフトウェアの初期バージョンは8カ月前にSketch、Adobe XD 、Figmaのプラグインとしてリリースされ、30万人のユーザーを獲得している。ユーザーの大半は3つのデザインプラットフォームを使うデザイナーやエンジニア、プロダクトマネージャーで、現在はMicrosoft(マイクロソフト)、Oscar Health、US Bank、Instagram、Pfizer、Volkswagen、Dropboxなどの従業員も利用している。

Slackなどのプラットフォーム上の「コミュニティ」には、単にプラグインを使うだけでなくStarkともっと直接関わりたい1万人の人々が集まり、ニュースレターを受け取ったりしている。

ダイバーシティとインクルージョンは2020年の大きな話題だった。これは良いニュースだ。話題になった理由は、マイノリティが警察からひどい扱いを受けているという良くないことではあったが。そうした事件とそれに続く抗議行動が報じられたこともあり、世界の多くの人々がダイバーシティ&インクルージョンの考え方を人種的インクルージョンと深く結びつけて考えるようになった。この話は続いているが(そして問題の解決に向けたポジティブで継続的な取り組みを望むが)、Starkが解決しようとしているダイバーシティとインクルージョンはこれとは別の話だ。

見落とされがちな分野であるが、当然必要なことだ。米疾病予防管理センターの2018年時点の推計によると、米国成人の4人に1人が何らかの障がいを持っているという(この数字に子供は含まれていない)。最も多いのは認知障がいだ。実際にはデザインの多く(そしてテクノロジー全般)がこうした多くの人々に向けて作られてはいないが、かなり大きな市場だ。

テクノロジーはしきりに悪者にされている。メンタルヘルスへの影響や身体の健康のほか、経済や環境、民事、法律への影響など、理由はたくさんある。こうした時代にインクルーシブなソフトウェアやハードウェアを設計することは、テクノロジーが社会に対して(そして社会の中で)生じさせてきたギャップの一部を埋める大きな効果があるかもしれない。

ヌーン氏は「我々は、米国で最も大きなマイノリティのグループに取り組んでいます。いまの時代に車いす用スロープのない建物を建てることはないでしょう。ではなぜ、ソフトウェアデザインでは障がいのある人々について考慮しないのでしょうか」と語る。

ヌーン氏とフーケ氏が最初にStarkのアイデアを思いついたのは、他の会社で高齢者向けの緊急サービスアプリを作っていたときだった。2人はその仕事で使うために、ツールのごく初期のバージョンを作った。それを他の人に見せたところ、その人たちも使いたいといってきた。「その後、それが雪だるま式に増えたのです」とヌーン氏はいう。

それから同氏は「デザインとアクセシビリティの世界につながるウサギの穴」に落ちていき、問題を解決するために作られたツールがなく、しかも「色以外にも問題はたくさんある」ことに気づいた(色はStarkの出発点であり、高い評価を受けている)。

大きな市場には、インクルーシブデザインのような興味深いアメとムチがある。ある人は遵守しなくてはならない問題と考え、ある人は正しいことをするという信念を持っているかもしれない。そしてまたある人は大切に思っているわけではなくむしろ冷淡だが、インクルーシプであれば格好がつくと思っているかもしれない。動機は何であれ、Starkを使うことで多くの人にとってインクルーシブなものを簡単に作ることができ、最終的にバリアを減らせるならそれは間違いなく良いことだ。

ダーリング氏は発表の中で次のように述べている。「すべてのソフトウェア製品は、不利な立場にあるマイノリティのユーザーを排除してはなりません。それはビジネスとして不適切で、社会にとっても不適切です。ソフトウェアのデザイナーや開発者、経営者の間で、ユニバーサルにアクセスできる製品を出荷しようという意識が劇的に高まっています。Starkは短期間で業界の信頼を獲得し、ソフトウェアインフラの重要な一部になりつつあります。すでに世界中のソフトウェア開発を改善しているミッションドリブンの企業と連携できることを、我々はたいへん喜んでいます」。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Starkアクセシビリティインクルージョン資金調達

画像クレジット:Johannes Ahlmann / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(翻訳:Kaori Koyama)

ラテンアメリカの建設業界向けサプライチェーンを拡大するコロンビアのTülが約4.2億円を調達

コロンビアのボゴタを拠点とするサプライチェーンロジスティックス技術開発のTülは、新たに400万ドル(約4億2000万円)を調達しラテンアメリカに広く進出しようとしている。

Tülを創業したのはEnrique Villamarin Lafaurie(エンリケ・ヴィラマリン・ラフォリ)氏とJuan Carlos Narváez(ファン・カルロス・ナルバエズ)氏で、同社のテクノロジーはラテンアメリカの建設関連用具の半分を扱う中小企業と建設会社を結びつけているとラフォリ氏いう。

ラフォリ氏はかつて北米と南米でセメント販売の大部分を扱うコロンビアの企業、Cementos Argosに10年間勤務し、建設業界に携わってきた。

ラフォリ氏は「我々はバックエンドの大手建設会社とフロントエンドの建築用具会社を結びつけています。製造業者はストアとつながり、ストアに対して直接交渉して販売促進をすることができます」と述べた。

アナログが中心だった業界をデジタル化することで、Tülはサービス開始から8カ月で1000万ドル(約10億4000万円)のランレートを達成し、3000のストアがサインアップしている。

しかもこれはコロンビアだけの数字であるとラフォリ氏はいう。同社はまもなくエクアドルで事業を開始する。ラフォリ氏によれば、エクアドルはラテンアメリカ第2位の建築用具市場(1人あたり)だ。

同社の従業員は現在9人で、新たな資金を得て大幅に人員を増やす予定だ。

Tülのシードラウンドを主導したVine Capital Managementの投資家であるEric Reiner(エリック・ライナー)氏は「コロンビアでは世界で最も厳しいロックダウンが実施されました。人々は家を出ることを許されませんでしたが、建設業は必要不可欠な業務とみなされていました。Tülでは、建築用具のストアから製品を建設業者に直接配送できます。Tülはロジスティクスのネットワークを活用して衛生設備を配送する別ブランドをはじめ、学校やコインランドリーを衛生のための拠点にすることができました」と述べた。

ラフォリ氏の説明によれば、Tülのオンラインサービスは業界のライフラインになっている。

ラフォリ氏は「業界全体が活動を停止し、我々は現場に直接配送するだけでなく近隣の衛生ステーションを作ることでビジネスを続けてきました。その結果、我々が支援した顧客はとても忠誠度の高いロイヤルカスタマーになりました。これだけでたいへん大きな顧客のリテンションを得ています」と述べている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Tül資金調達建設ラテンアメリカ

画像クレジット:Jung Getty / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

ゴーストキッチンの動きを探るソフトバンク・ビジョン・ファンド2がOrdermarkに約125億円を投入

「私たちは分散型のゴーストキッチンを構築します」という一文には、無数の投資家を呼び寄せるものがある。Ordermark(オーダーマーク)を支える最高経営責任者Alex Canter(アレックス・キャンター)氏も、そこをよくわかっていた。

29歳のこのCEOは、実際に分散型ゴーストキッチンを作った。そして、ソフトバンクの最新のビジョン・ファンドの説得に成功し、1億2000万ドル(約125億円)の投資を調達したことを米国時間10月27日に発表した。

「私たちは、Nextbite(ネクストバイト)というこのサービスを通じて、さらに多くの注文がレストランに入る機会を公開しました」とキャンター氏。「Nextbiteは、UberEats(ウーバーイーツ)、 DoorDash(ドアダッシュ)、Postmates(ポストメイツ)にのみ存在するデリバリー専門レストランブランドのポートフォリオです」。

Nextbiteの話を聞いた直後のソフトバンクは、あまり乗り気ではなかった。

最新のビジョン・ファンドの投資家たちが初めてキャンター氏と会ったのは、2019年、Ordermarkが前回の資金調達を発表した後だった。キャンター氏がちょうどNextbiteの実験を開始した時期だったのだが、いまではその事業は同社に大きな収益をもたらすまでになり、2021年には同社の事業の柱になると期待されている。

Ordermarkの先進的な技術プラットフォームと革新的な仮想コンセプトレストランが、レストラン業界を変革すると私たちは信じています」と、SoftBank Investment Advisers(ソフトバンク・インベストメント・アドバイザー)の業務執行社員Jeff Housenbold(ジェフ・ハウゼンボルド)氏は声明の中で述べている。「アレックスとOrdermarkのスタッフは、独立系レストランが直面している問題を深く理解しています。独立系レストランのオンラインでの注文受け付けを最適化し、空いているキッチンで収益を倍増させるという彼らのミッションを支援できることに、私たちは胸を躍らせています」。

これは興味深い方向転換だった。なぜなら同社はGrubHub、PostmatesUber Eatsといったさまざまな配達サービスにオンラインで入ってくるデリバリーの注文を、レストランに代わって一括管理する集中型ハブとしてスタートしているからだ。

キャンター氏は、レストラン事業の新参者ではない。彼の家族は、ロサンゼルスで最も有名なデリカテッセンの1つであり、家族の名前を冠したCanters(キャンターズ)のオーナーだ。そしてOrdermarkは、多種多様なデリバリーの注文で大混乱に陥っているレストランの裏方を助けて管理する企業としてスタートしている。

現在キャンター氏は、1つのレストランブランドの所有者ではなく、15のブランドを運営している。Cloud Kitchens(クラウド・キッチンズ)、Kitchen United(キッチン・ユナイテッド)、Reef(リーフ)などと違い、Ordermarkは新しいキッチンの建設や運営は行わない。その代わりに、準フランチャイズとして機能するよう厳選したレストランの使われずに遊んでいるキッチンスペースを利用している。

Ordermarkの一部のデリバリー専用コンセプトレストランのロゴ(画像クレジット:Ordermark

レストランのコンセプトはほとんどが内部で開発されているが、Ordermarkはセレブのスポンサーも受け入れていることもある。同社のNextbiteサービスは、ラッパーのWiz Khalifa(ウィズ・カリファ)が経営する「大麻でラリった人のためのスナック」が売りのデリバリー専門レストランHotBox by Wiz(ホットボックス・バイ・ウィズ)と提携している。

キャンター氏が立ち上げた最初のブランドは、The Grilled Cheese Society(ザ・グリルド・チーズ・ソサエティー)だ。ロサンゼルスのナイトクラブや、東海岸の個人経営のレストランの空いているキッチンを利用して足場を築き、現在では米国内に100カ所を数えるまでになった。

Nextbiteがどのような成長をもたらすのか、それを示してくれたのは、おそらくHotBoxの成長だろう。キャンター氏によればこのブランドは、10月初めに立ち上げられ、同月末には50の都市に拠点を築くまでに大きくなったという。

Nextbiteは、Ordermarkのデリバリー集約技術がなければ存在し得なかったともいえる。「Ordermarkの技術は、オンラインの注文をデバイスで集約するだけでなく、いくつものブランドもデバイスに集約できるようデザインされています」。

キャンター氏によれば、Nextbiteブランドとしてフルフィルメントパートナーの契約を結んだレストランは、追加の初期費用はほとんどかからず、相応の利益が得られるという。レストランは、Ordermarkのブランドとして受けた注文1つにつき30%のマージンを受け取ることができるとキャンター氏は話す。

Nextbiteのレストランネットワークに加わるには、Ordermarkによる事業の審査に通る必要がある。同社では、異なる地域でもうまくやっていけるレストランか、時々の流行に合わせたメニュー開発ができるか、といった点を参考にする。例えばNextbiteは先日、ホットチキンサンドのブランドを立ち上げたが、それがいくつものデジタルデリバリーサービスで人気上昇中の品目であることを事前に調査していた。

選ばれるのは、OrdermarkのNextbite事業が生み出すデリバリー専門ブランドのスタイルに即したメニューを提供できるレストランだ。

メニュー開発には、デンバーで活躍するシェフのGuy Simsiman(ガイ・シムシマン)が、新メニュー開発責任者として参加している。

「私たちは、拡大できるとわかったものを作っています。そして、適切なタイプのフルフィルメントパートナーを探すために、大量の事前審査を行っています」とキャンター氏。「フルフィルメントパートナーとしてレストランと契約するとき、私たちは彼らを審査し、彼らが行うべきことをトレーニングします。……コンセプトに合致したフルフィルメントパートナーになれるよう、彼らを導くのです。かなり大量のトレーニングを実施します。その後は、品質をモニターするための覆面調査やレビューの調査も行います」。

NextbiteはOrdermarkの事業の未来を担うことになるだろうが、健全性は全体に安定している。同社のシステムを通じて処理される注文の総額は、10億ドル(約1040億円)を超える勢いだ。

「現在は、私たちのレストランが新型コロナ禍を生き延びることにピンポイントで集中しています。そこで私たちにできる最良の方法が、Nextbite事業の収益増にすべてを賭けることなのです」とキャンター氏は、同社の重点は今後どこに置かれるのかとの質問に答えていった。

「Nextbiteは、長い時間をかけて開発してきました。2019年の新型コロナウイルスが流行る前に、私たちはこれを市場投入しています。米国中のすべてのレストランが、新型コロナの打撃を受け、高い創造性が求められるようになりました。客が店に歩いてこなくなった穴を埋める代替手段を、彼らは求めていました」と彼は話す。Nextbiteがその答となった。

カテゴリー:フードテック
タグ:OrdermarkフードデリバリーゴーストキッチンSoftBank Vision Fund資金調達

画像クレジット:Getty Images / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

仮想イベントプラットフォームのHubiloがLightspeedのリードで4.7億円調達

2020年初め、イベント分析プラットフォームHubilo(ハビロ)の創業者らは、新型コロナウイルスの影響を乗り切るために仮想イベントプラットフォームへの転換を図った。同社は米国時間10月26日、Lightspeedがリードするシードラウンドで450万ドル(約4億7000万円)を調達したことを発表した。今後数カ月の予約は年換算で1000万ドル(約10億5000万円)を超え、100万人以上の参加者を受け入れると見込む。

このラウンドには、FreshworksのCEOであるGirish Mathrubootham(ギリシュ・マスルブーハム)氏、LinkedIn Indiaの元CEOであるNishant Rao(ニシャント・ラオ)氏、Slideshareの共同創業者であるJonathan Boutelle(ジョナサン・ブテル)氏、HelpshiftのCEOであるAbinash Tripathy(アビナッシュ・トリパシー)氏などのエンジェル投資家が含まれる。

Hubiloのクライアントには国連、Roche、Fortune、GITEX、IPIシンガポール、Tech In Asia、Infocomm Asia、Clarion Eventsが含まれている。同社はサンフランシスコに本社を置いているが、現在、売上の約12%は東南アジアからであり、この地域でさらに規模を拡大する予定だ。また米国、欧州、中東、アフリカの市場にも力を入れている。

Hubiloの創業者でCEOを務めるVaibhav Jain(ベブハブ・ジェイン)氏は、パンデミック前は顧客の多くが大規模なイベントの開催を支援するためにプラットフォームを使う企業や政府であったとTechCrunchに語った。そうした企業や政府はまた、最初に対面イベントの開催を取り止めた先でもあった。

2月の時点で「すべてではないにしても、ほとんどの物理的なイベントが世界中で延期またはキャンセルされていることを我々は知っていました。 オフラインイベントの需要の減少に対応するために、無料で契約をさらに6カ月延長することに合意しました」とジェイン氏は述べた。「しかし、これでも当社のクライアントを維持するのに十分ではありませんでした。彼らのほとんどは契約をキャンセルするか、契約を無期限停止にしました」。

その結果、Hubiloの売上高は2月にゼロにまで落ちた。ジェイン氏によると、約30人の従業員を抱えながら3カ月分の準備金しかないという状況で、会社を閉めるか代わりとなるモデルを見つけるかを選ぶ必要があったと述べた。Hubiloのチームは、1カ月足らずでバーチャルイベントプラットフォームのMVP(実用最小限の製品)を作成し、クライアントに無料で使用するよう説得することから始めた。その最初のバーチャルイベントは2020年3月に開催され、「それ以来、振り返ることはありませんでした」とジェイン氏は述べた。

これは、HubiloがCventやHopin(TechCrunch Disruptのホストが使用した)といった他のバーチャルイベントプラットフォームと競合していることを意味する。ジェイン氏は、主催者にバーチャルスペースでのブランドを再定義する機会を増やすことで、他社との差別化を図っていると述べた。参加者のエンゲージメントを高めるためのコンテスト、イベントフィード、バーチャルラウンジなどのスポンサーシップの機会に焦点を当てている。Salesforce、Marketo、HubSpotとの統合を含むデータ分析機能も提供する。

非常に多くのイベントがバーチャル化され「Zoom疲れ」や「ウェビナー疲れ」という言葉を耳にする機会が増えた昨今、イベントの主催者はチケットを購入するよう人々を説得するだけでなく、イベント中も参加し続けてもらうよう努力する必要がある。

Hubiloは、リーダーボードなどの機能によりバーチャルイベントへの参加体験を「ゲーム化」する。これにより主催者は、セッションの視聴、バーチャルブースへの訪問、メッセージ送信などにポイントを割り当てることができる。その後、最も多くのポイントを獲得した参加者に賞品を贈ることもできる。ジェイン氏はリーダーボードがHubiloで最も使用されている機能であると述べた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Hubilo資金調達

画像クレジット:Hubilo

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(翻訳:Mizoguchi

日本美容創生がダイアナから資金調達、美容室シェアで女性活躍の場・地域コミュニティ構築目指す

日本美容創生がダイアナから資金調達、美容室シェアで女性活躍の場・地域コミュニティ構築目指す

日本美容創生(JBIRC)は、第三者割当増資を実施したと発表した。引受先はダイアナ

JBIRCは、美容室のプラットフォーム化という新産業の創生、全国20万軒の美容室をシェア対象物に女性の技術者(資格保有者)と一般女性とのマッチングサービス「Beauty Venue」および「Beauty Venue Pro」アプリを用意。取得した資格・スキルで活躍したい女性と美容室にある設備を貸し出したい店舗オーナーを「つなげる」サービスとなっているという。

 

必要な設備が整ったスポットで資格・スキルを持つ女性が活躍するため、ユーザーに最高の体験を届けることが可能。

Beauty Venueとの連動により、取得資格・スキル保有者が地域の女性ユーザーにPR可能となるため、友人以外の顧客を獲得しやすいほか、スペシャリスト同士のパーソナルチームを形成し、ひとりの女性を複数人でサポートする機能も搭載している。

 

JBIRCは、美容室のプラットフォーム化を基点に、「女性の活躍の場を作ることで地域のコミュニティ作り」「過疎化地域の医療ネットワーク作り」を行い、美容室が地域のコミュニケーションステーションの役割となり、地域社会が抱える問題の解決、健康な町作りの実現を目指す。

また、地域社会において美容室が地域のコミュニケーションステーションの役割を持つことで、美容室の持続可能な経済活動も実現するとしている。

日本美容創生がダイアナから資金調達、美容室シェアで女性活躍の場・地域コミュニティ構築目指す

JBIRCによると、美容師は、国家資格の取得が必要なものの、結婚・出産などライフスタイルの変化で仕事を離れても復職しやすく、サロン経営以外にもフリーランスで働くという選択肢も可能なことから、従来より女性が一生活躍できる職業として選択されているという。

厚生労働省の発表によると、2019年度末、美容室は3562店増の25万1140店(前年度比1.4%)となり過去最高を更新、初めて25万軒を超えた。

日本美容創生がダイアナから資金調達、美容室シェアで女性活躍の場・地域コミュニティ構築目指す

日本美容創生がダイアナから資金調達、美容室シェアで女性活躍の場・地域コミュニティ構築目指す

一方で、2019年の「理容業・美容業」倒産件数が119件(前年比8.1%増)に達し、過去30年間で最多となった。また、美容室の「休廃業・解散」に関しては、2018年(1-12月)の休廃業・解散は242件を数え、過去20年間で最多となったそうだ(東京商工リサーチ調べ)。

コロナ禍の影響が続く中、消費者の外出自粛、来店客数・客単価の減少、来店サイクルの長期化も見込まれ、このままでは店舗の閉店や廃業を選択せざるを得ない店舗経営者も増えると見ているという。

2020年4月設立のJBIRCは、コロナとの共生時代の中「既存の美容室事業には存在しない新しい事業モデルの創出」を急務と捉え、Beauty Venue Proを中心に美容室が地域のコミュニケーションステーションの役割を持つことで、「女性の活躍の場」である美容室の持続可能な経済活動を実現するとしている。

ダイアナは、1986年創業以来、一貫して女性の美と健康をサポートし続け、女性の輝けるキャリア開発に貢献、女性美のトータルソリューションカンパニー。全国約750店舗でその取り組みを展開し、2019年12月末時点で92万人以上(ダイアナ調べ)にコンサルティングを実施している。今回、美と健康領域で新たなビジネスを展開する事業や会社を支援するダイアナCVC活動の一環として参画し、美容産業に関わる人が幸せになれるビジネスモデル構築に積極的に取り組むとしている。

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カテゴリー: シェアリングエコノミー
タグ: ダイアナ日本美容創生美容資金調達日本

太陽光発電の製造技術を向上させるLeading Edge Equipmentが約8億円調達、2021年に商品化へ

Array Technologies(アレイ・テクノロジーズ)が上場に成功し、ソーラー機器製造・設置チェーンの効率向上を目的とする市場の存在を証明してからわずか数週間、Leading Edge Equipment(リーディングエッジ・テクノロジーズ)は新型シリコンウェハー製造装置のための資金を調達した。

760万ドル(約8億円)の資金を提供したのはPrime Impact Fund Clean Energy VenturesDSM Venturingの3社で、この資金を使って営業とマーケティングを強化すると同社はいう。

過去数年間、研究者の間ではカーフレス単結晶シリコンウェハーと呼ばれる技術の可能性が話題になっている。業界ウォッチャーにとって単結晶対多結晶ウェハーの話は聞き慣れているだろうが、気象テクノロジー投資の復活に関わる多くの事象と同様、今回は違うのかもしれない

現在のシリコンウェハー製造は7段階のプロセスからなり、巨大なエネルギーを消費する加熱炉で作られた巨大シリコンインゴットがワイヤーによってウェハーに切り出される。このプロセスでは大量のシリコンが捨てられ、膨大な量のエネルギーを消費する上に、製造されるウェハーの質が低くソーラーパネルの効率を落とす。

ウェハーの製造にリボンを使うLeading Edgeの製造装置は、フローティングシリコン法によって製造を1工程に減らし、少ないエネルギーでほとんど無駄を出さないと同社はいう。

Leading Edge Equipmentは、シリコンファウンドリ業界の長年のエキスパート2名によって設立された。Alison Greenlee(アリソン・グリーンリー)氏はマサチューセッツ工科大学(MIT)で4つの学士を取得し、太陽電池向けシリコン製造の無駄を減らすフローティングシリコン法を研究している。Peter Kellerman(ピーター・ケラーマン)氏はフローティングシリコン法技術の先駆者だ。

2人は、Applied Materialsが数年の研究の後に休止したプロジェクトを復活させるべく、Leading Edge Equipmentを立ち上げた。

両氏は国の補助金500万ドル(約5億2000万円)を獲得し、ベンチャーキャピタルから600万ドル(約6億3000万円)の初期資金を調達、2018年にスタートを切った。

Leading Edgeは自社の装置がシリコン基板製造の標準になることを目指している。

ケラーマン氏は現在名誉CTOとなり、後任のNathan Stoddard(ネイサン・ストッダード)氏はシリコン製造技術の専門家で、コンセプトからパイロット製造まで3種類のソーラーウェハー技術をもたらしたチームで働いていた。ストッダード氏はグリーンリー氏の1366(新規シリコン製造技術を専門としていた初期の企業の1つ)時代の同僚で、Applied Materialsの旧テクノロジーに対するグリーンリー氏とケラーマン氏の信念に魅了された。

自社のテクノロジーはウェハーのコストを50%削減し、商業ソーラーパネル発電能力を7%増加、製造に関わる排出ガスを50%以上削減すると同社は述べている。

プロジェクトを営利化するために、同社は長年のソーラー技術イノベーターでCIGS結晶の研究を1995年に始めたRick Schwerdtfeger(リック・シュベルトフェーガー)氏をチームに呼び入れた。シュベルトフェーガー氏は2000年代、ARCエネルギーによる次世代加熱炉技術の進歩に貢献した。

「重要な技術デモンストレーションと新たな商業化ツール開発を経て、当社は2021年にこのテクノロジーを市場に提供する準備が整いました」とシュベルトフェーガー氏が声明で語る。「最近3万1000平フィートの施設を確保し、要員を倍増した当社は、今回調達した資金を使って2021年の商業パイロットテストの準備に入ります」。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Leading Edge Equipmentシリコンウェハー資金調達

画像クレジット:Gencho Petkov / Shutterstock

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

オフィスの冷蔵庫にサラダ・惣菜を届ける置き型社食「OFFICE DE YASAI」が4億円超を追加調達

オフィスの冷蔵庫にサラダ・惣菜を届ける置き型社食「OFFICE DE YASAI」が4億円超を追加調達

野菜をしっかり摂れる置き型社食「OFFICE DE YASAI」(オフィスで野菜)を展開するKOMPEITO(コンペイトウ)は10月27日、いわぎん事業創造キャピタルより追加出資が決定し、総額4億円超の資金調達を実施したと発表した。

OFFICE DE YASAIは、オフィスに冷蔵庫や冷凍庫を設置するだけで、健康とおいしさにこだわったサラダやフルーツ、惣菜などを定期的に届ける食の福利厚生サービス。

資金した調達は、全国への配達エリア拡大に利用。10月より新たに北海道・静岡県・岡山県・沖縄県で配達をスタート、11月からは岩手県・京都府での配達スタートが決定済みで、今後順次エリアを拡大していく。

また北海道では、オリジナル商品として道内産のキャベツ、人参、玉ねぎなどを商品に使用。沖縄県でも、沖縄県産のゴーヤやキャベツなどを使用する。各都道府県内の企業と提携しオリジナル商品の企画・販売を行うなど、今後も地産地消の促進に取り組んでいくという。

OFFICE DE YASAIは、これまで東京を中心に横浜・名古屋・大阪・神戸・福岡エリアにおいて、新聞販売店や牛乳販売店と提携することで独自の物流網を構築。配達エリアの顧客企業には、同社や提携先のスタッフが直接商品を届ける形で消費期限の管理・集金などを実施しており、顧客企業は管理の手間なく利用できる。またこれまで、提携先を含む同社配達網以外のエリアについてはクール宅急便で商品を届けていたが、今後は配達網を全国に拡大していく。

オフィスの冷蔵庫にサラダ・惣菜を届ける置き型社食「OFFICE DE YASAI」が4億円超を追加調達

2012年9月設立のKOMPEITOは、「つかい手とつくり手を豊かにする」をミッションとして掲げ、消費者と生産者をつなぐ新たなチャネルを通じ、農産物の流通改革にチャレンジしているスタートアップ企業。

2014年からサービスを開始したOFFICE DE YASAIは、2020年10月時点でスタートアップ企業・大手企業・医療機関など全国累計2000拠点以上に導入。プランは、「オフィスでやさい」と「オフィスでごはん」の2種類を用意している。

またOFFICE DE YASAIで培った商品力や物流網を活かし、2020年には個人宅向けサラダ・スムージー宅配のサブスク「おうちでやさい」サービスをスタートした。

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カテゴリー: フードテック
タグ: OFFICE DE YASAIKOMPEITO食品配達 / フードデリバリー資金調達日本

安価な汎⽤デバイスで高速エッジAIを実現する「Actcast」のIdeinが20億円を調達

安価な汎⽤デバイスで高速エッジAIを実現する「Actcast」のIdeinが20億円を調達

Idein(イデイン)は10月28日、エッジAIプラットフォーム「Actcast」(アクトキャスト)の事業拡⼤に向け、第三者割当増資により20億円の資⾦調達を実施ししと発表した。引受先は、アイシン精機、KDDI(KDDI Open Innovation Fund3号)、双⽇、DG Daiwa Ventures(DG Lab 1号投資事業有限責任組合)、DGベンチャーズ、伊藤忠テクノソリューションズ、いわぎん事業創造キャピタル(岩⼿新事業創造ファンド2号投資事業有限責任組合)。これにより累積資⾦調達額は約33億円となる。

安価な汎⽤デバイスで高速エッジAIを実現する「Actcast」のIdeinが20億円を調達Ideinは、2020年1⽉にActcastの正式版をリリース。Actcastエコシステムにおいて重要なパートナプログラム「Actcast partners」を拡⼤させ、現在71社が参画している。さらに4⽉には事業開発部を創設し、すでに複数の事例・PoC案件を抱えており、Actcast事業の本格的な拡⼤に向けたスタートラインにあるという。同社は、Actcast事業の拡⼤をより着実に実現させ、さらなる成⻑への⾜がかりとすべく、事業戦略ラウンドとして位置づけた資⾦調達を実施したとしている。

また引受先の多くが、事業会社およびその関連会社であり、Actcastの⾃社および事業での活⽤について取り組む重要なパートナーとなっている。Ideinは、今回の資⾦調達を経て、そのパートナーシップをより強固なものとし、Actcast事業の拡⼤を加速させていく。

安価な汎⽤デバイスで高速エッジAIを実現する「Actcast」のIdeinが20億円を調達

Actcastは、エッジデバイス上で画像解析AIなどを実⾏して実世界の情報を取得し、ウェブと連携するIoTシステムを構築・運⽤するためのプラットフォームサービス(PaaS)。セキュリティ、産業IoT、リテールマーケティング、MaaSなど様々な分野で利用可能としている。

安価なデバイスを⽤いてエッジ側で解析を行うことで、不要な情報を送信せず運⽤コストを削減すると同時に、本社側データベースなどに個人情報につながるデータを蓄積しないなど、プライバシーへの配慮も⾏いながらAI/IoTシステムの普及を実現するという。

Ideinによると、AI/IoTシステムにおいて、クラウドだけでなくエッジの計算資源を活⽤しようという⼤きな流れがある⼀⽅、現状ではその実⽤化には課題が存在しているという。その課題を解決する⾰新的な技術およびプラットフォームとしてActcastを開発した。

Ideinは、安価な汎⽤デバイス上での深層学習推論の⾼速化を実現した、世界にも類を⾒ない⾼い技術⼒を有するスタートアップ。同社技術を⽤いたエッジAIプラットフォームActcastを開発し、実⽤的なAI/IoTシステムを開発・導⼊・活⽤する開発者・事業会社へのサービス提供。今後もパートナー企業とともに、AI/IoTシステムの普及に貢献していく。

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タグ:IoTActcastIdeinエッジコンピューティング資金調達日本

新興市場の貧困と食糧安全保障に食糧保存技術で戦いを挑むApeelが31億円の増資を獲得

社会を変革するほどのパワーを秘めた食糧保存技術の本格テストとして、カリフォルニア州サンタバーバラを拠点とする Apeel Sciences(アピール・サイエンセズ)は、アジア、アフリカ、中南米の選ばれた市場の配送センターに、革新的な食品処理とサプライチェーン管理サービスを提供する。

その目標は、栄養失調に最も陥りやすい地域住民の一員である農家の食糧不安を軽減することだと、Apeelの最高責任者James Rogers(ジェイムズ・ロジャーズ)氏は言う。

「地球上で栽培されている果物と野菜の大半を生産しているのは小規模な農家ですが、食糧不安を抱える人たちの3分の2も、やはり農家なのです」とロジャーズ氏。

その他の人たちに比べて農家の生活が厳しい原因は、自分たちが育てた作物から最大の対価を得る能力を彼らが持たないことにあり、それは農作物が傷みやすいだめだと、ロジャーズ氏は語る。

食品廃棄を少なくする同社の保存技術を導入し、米国、デンマーク、ドイツ、スイスといった市場のApeelの既存顧客で、購入を望むバイヤーにそれを提供する。それが予想を超えるインパクトを引き起こし、大量の金が農家のポケットに入るよう改善が促されるとロジャーズ氏はいう。

「国際金融公社との共同計画は、サプライチェーンを構築することです」と彼は話す。「これには単に長持ちする農産物というだけでなく、長持ちする農産物の市場アクセスという価値があります」。

当初の市場はメキシコ、コスタリカ、ペルー、南アフリカ、ケニヤ、ウガンダ、ベトナムとなる。そこではアボカド、パイナップル、アスパラガス、そしてレモン、ライム、オレンジといった柑橘系果物がApeelの技術によって処理される。

ある意味これは、世界中の食料品店に廃棄物削減のための同社のアプローチを受け入れてもらうという、この数年間のApeelの取り組みの集大成となる。

同社は、Bill & Melinda Gates Foundation(ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団)と英国際開発庁と共同で創設されて以来ずっと、その企業理念の中心に小規模農家を据えてきた。その目的は、最新の冷蔵サプライチェーンに頼ることなく、農家が生産した果物や野菜を店頭に置ける時間を長くすることで一貫している。だがそのためには、数年間かけて技術を洗練させ、小売りネットワークを構築する必要があった。

目指す未来のために、Apeelはこれまでに3億6000万ドル(約380億円)を調達した。その中には、2020年の初めにクローズした2億5000万ドル(約260億円)のラウンドも含まれる。

ロジャーズ氏は、国際市場からの需要を、地元の輸出業者を通じて地域の生産者に届けることを夢見ている。

冷蔵サプライチェーンを使わなければ、小規模農家は供給過多の地元の市場でしか作物を売ることができない。農作物は痛みやすいため、果物や野菜を輸出することができず、それが農業で生活を支えている人たちの貧困を悪化させ、食品ロスや食品廃棄を助長する市場力学を生み出してしまうのだとApeelは話す。

「持続時間を延ばすことで、小規模生産者は国際市場に道を拓き、その天然資源が本来的に持つ経済的価値を獲得できるようになります」とロジャーズ氏。

国際市場からの新たな需要を呼び込み、Apeelの技術で処理した農作物でそれを満たすことができれば、農作物の価格は理想的に引き上げられ、農家の収入が増えるという好循環が生まれる。少なくともそれが、つい最近、地域流通センターにApeelの技術を導入したロジャーズ氏のビジョンだ。

Apeelの技術導入で最も儲かるのは、海外のバイヤーに農作物を販売する中間業者ではないかとの心配もあるが、ロジャーズ氏はそのシナリオを否定する。

「この取り組みの目的は、小規模生産者を直接的に輸出業者のサプライチェーンに組み込むことです。共同対価を創出するためのテクノロジーは一般化してきましたが、その協力体制を使うことで、ごく小規模な生産者の対価を引き出すことができます」と彼は話す。「供給品をどこか別の場所から調達しなければならない市場で、農作物の需要を高めるのです。輸出業者は、数量ごとの割り前を得ています。対価を増やすには、取り扱う数量を増やすしかありません。彼らは、輸出に適した品物の量と需要を増やしたいと考えます。そこで流れが逆転します。需要の問題から、供給の問題に切り替わるのです。そして彼らは、商品をどんどん送り込むよう人々に奨励せざるを得なくなります」

この国際的な役割を果たすための資金として、Apeelはおよそ3000万ドル(約31億3000万円)の資金を International Finance Corp.、Temasek、Astanor Venturesなどの投資会社から新たに調達した。

「革新的な技術は、新興市場の発展の流れを変え、生活、経済、そしてこの場合は食糧が守られます」と国際金融公社の暫定業務執行取締役および上級副社長および最高執行責任者のStephanie von Friedeburg(ステファニー・フォン・フリードバーグ)氏は声明の中で述べている。「私たちはApeelとパートナー関係を結び、食糧廃棄を半分まで減らし、持続可能性を高め、気候変動を緩和できる画期的な技術に投資できることを嬉しく思っています」。

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カテゴリー:フードテック
タグ:Apeel Sciences資金調達食品

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(翻訳:金井哲夫)

AIでAIモデルを最適化するプラットフォームを構築するイスラエルのDeciが9.5億円を調達

イスラエルのテルアビブを拠点とするスタートアップのDeciは、AIを使ってAIモデルを最適化し本番環境にする新しいプラットフォームを構築している。同社は米国時間10月27日、EmergeとSquare Pegが主導するシードラウンドで910万ドル(約9億5000万円)を調達したと発表した。

Deciのプラットフォームは、企業がAIのワークロードを簡単に短時間で本番環境にし、さらにその本番環境モデルを最適化して精度とパフォーマンスを向上しようとするものだ。これを実現するために同社は、モデルをパッケージングしてデプロイする前に、エンジニアがトレーニング済みモデルを用意し、それをDeciで管理してベンチマークを取り最適化するエンド・ツー・エンドのソリューションを構築した。ランタイムコンテナまたはEdge SDKを使うことで、Deciのユーザーはほぼすべてのモダンなプラットフォームやクラウドにモデルを提供することもできる。

Deciのインサイト画面には、深層学習モデルに関して本番環境で予測される動作の指標を組み合わせたDeciスコアが表示される。これはモデルのパフォーマンス全般をまとめた単一の評価基準だ

Deciの共同創業者は、深層学習サイエンティストのYonatan Geifman(ヨナタン・ガイフマン)氏、テクノロジーアントレプレナーのJonathan Elial(ジョナサン・エリアル)氏、そしてコンピュータサイエンティストで機械学習の専門家であるテクニオン・イスラエル工科大学のRan El-Yaniv(ラン・エル・ヤニフ)教授だ。

CEOで共同創業者のガイフマン氏は「DeciはAIにおけるパラダイムシフトの先頭に立ち、データサイエンティストや深層学習のエンジニアが有効でパワフルなソリューションを作ってデプロイするために必要なツールを提供しています。ニューラルネットワークの複雑さや多様性が急速に増し、企業にとっては最高のパフォーマンスを得るのが難しくなっています。AI自体を利用してこの問題に取り組むのが最適な戦略であると我々は認識しました。Deciのゴールは、AIを実用的に使うすべての人をAIで支援し、世界で最も複雑な問題を解決することです」と語る。

ユーザーはDeciのラボ画面を使って深層学習モデルのライフサイクルを管理し、推論のパフォーマンスを最適化し、デプロイの準備をすることができる(画像クレジット:Deci)

同じハードウェアで同等の精度であれば、Deciで最適化したモデルはこれまでより5〜10倍速く動作すると同社は述べている。推論のワークロードの実行にCPUとGPUを利用することができ、自動運転、製造、通信、ヘルスケアなどの顧客とすでに連携していると同社はいう。

EmergeのパートナーであるLiad Rubin(リアド・ルービン)氏は「最高のパフォーマンスの深層学習ソリューションを自動で作り上げるDeciの手腕は人工知能におけるパラダイムシフトであり、さまざまな業界にわたる多くの企業の可能性を開きます。我々はこれほど優れた創業者たちと協力し、旅の初日からともに歩めることを大変嬉しく思っています」と述べている。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Deci資金調達イスラエル

画像クレジット:Deci

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(翻訳:Kaori Koyama)

水質と配水を監視するソフトのKENTOSが合計約20億円を調達

水質と水の物流を監視するソフトウェアのKETOSは、より良い水管理ツールと技術に対する需要の高まりを利用して、投資家のグループから1500万ドル(約15億7000万円)を調達した。

地方自治体、州政府、連邦政府による工業用水の使用と廃水管理に対する規制監督がより厳しくなる可能性があり、企業の環境管理の改善に対する消費者および投資家の要求の高まりが相まって、業界全体の環境保全の向上と廃棄物の削減を目的とした技術とサービスの前例のない導入が推進されている。

水のモニタリングはまた、集団における病気の発生やその他の健康問題について、行政に適切な情報を提供することができる。

最近では、廃水の流れを監視することが新型コロナウイルス感染症を引き起こすウイルスの発生を検出するために行われている。

Ketosへの新たな投資家として、銀行大手のCitiがMotley Fool VenturesやIlluminated Funds Groupなどと並んで今回登場したのも、改めて水への関心が高まっているためだ。彼らはAjax StrategiesやBetter Ventures、Broadway Angels、Plum Valley Ventures、Rethink Impactなどの既存の投資家グループに加わった。

またSilicon Valley Bankは、同社に300万ドル(約3億1000万円)を融資した。

同社はこの資金を、水質に関する情報を提供し、配水や排水のために配水管が損傷する可能性をなどの情報を提供するハードウェアとソフトウェアを組み合わせたサービスの新機能開発に充てるとしている。

同社の創業者でCEOのMeena Sankaran(ミーナ・サンカラン)氏は、「重金属の有害物質に関する情報と、位置情報に基づいた地図作成、汚染源の可能性など、水質に関する洞察を集約した世界最大級のデータレイクを構築することで、機械学習と人工知能が実現できる可能性は無限大です」と述べている。

同社のセールスポイントの1つは、機械学習を利用して水系の問題が起きそうな場所を予測できることだ。しかもそのために、インフラへの巨額な投資は必要ない。

「KETOSは自律的に収集したデータ(遠隔操作で)によって、水情報業界を真の意味で破壊しており、COVIDとの戦いで世界的に注目されている水管理問題の予測を顧客に提供しています。0ドルの資本インフラ投資により、予測モデリングと必要とされるミッションクリティカルな知見を活用して、水道ネットワークの構築、行動、情報に基づく意思決定を行うことが初めて可能になりました」とMotley Fool VenturesのマネージングディレクターであるOllen Douglass(オレン・ダグラス)氏は、KETOSへの投資について声明で述べている。

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カテゴリー:EnviroTech
タグ:KETOS資金調達

画像クレジット:Paul Taylor / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

DevOpsプラットフォームのRenderが約4.7億円を調達、Disrupt SF 2019優勝者

Disrupt SF 2019 Startup Battlefieldの優勝者であるRenderは米国時間10月22日、既存のシード資金調達ラウンドで更に450万ドル(約4億7000万円)を追加し、累積調達額が675万ドル(約7億1000万円)になったと発表した。

ラウンドはGeneral Catalystがリードした。既存投資家からSouth Park Commons Fundのほか、Lee Fixel(リー・フィクセル)氏、Elad Gil(エラッド・ギル)氏、GitHubのCTO(およびHerokuの元エンジニアリングVP)であるJason Warner(ジェイソン・ワーナー)氏などのエンジェルも参加した。

「AWS、Azure、Google Cloudに代わるZero DevOps」を自称する同社は、当初2019年4月にシードラウンドで225万ドル(約2億4000万円)を調達したが、Disrupt Battlefieldで優勝した後に多くの関心を集めた。しかし、結局チームは既存の投資家からより多くの資金を調達することに決めた。

現在のRenderのユーザーには、Cypress.io、Mux、Bloomscape、Zelos、99designs、Stripeが含まれている。

「Disruptの後に多くの人々と話しました。その中にはAshton Kutcher(アシュトン・カッチャー)氏もいました。審査員の1人だったからです」と、Renderの共同創業者でCEOのAnurag Goel(アヌラグ・ゴエル)氏は説明した。「結局、我々は既存の投資家からより多くの資金を調達することに決めました。なぜなら彼らが好きであり、それが既存の投資家からより良い取引を成立させるのに役立ったからです。そして、彼らはみな、投資を続けることに非常に興味を持っていました」。

Renderを際立たせているのは、HerokuとおそらくGoogle CloudのApp Engineに対して多くの約束を果たしていることだ。デプロイするサービスの種類を指定するだけでRenderはそのデプロイを処理し、インフラを管理する。

「我々の顧客はコードを書いているすべての人々です。彼らはサーバーやメンテナンスについて心配したり、DevOpsチームに依存したりせずに、また多くの場合、DevOpsチームを雇わずにコードを本当に簡単にデプロイしたいと考えています」とゴエル氏は述べた。「DevOpsエンジニアを雇うのは高くつきますし、特に優れたエンジニアを見つけるのは非常に困難です。我々の目標はDevOpsに関わる人々がどんな会社でも行うような作業のすべてをなくすことです。そうした作業はどの企業でも非常に似たようなものだからです」。

画像クレジット:Render

同社が本日発表した新機能の1つはプレビュー環境だ。これは、開発者がコードをテストするために立ち上げる使い捨てのステージング環境または開発環境と考えることができる。Renderは、テスト環境が本番環境と同じように見えることを約束している(または変更を特定することもできる)。開発者はその後、その環境でQAを使って、または製品チームや営業チームと協力して更新をテストできる。

Renderの開発チームはYAMLファイルでインフラ環境を指定する。これらの新しいGitLabプレビュー環境をオンにするのは、そのファイルにフラグを設定するのと同じくらい簡単だ。

画像クレジット:Render

「一度それを行うと、プルリクエストごとに(なぜならRenderはGitHubやGitLabと統合されているため)その環境のコピーを自動的に立ち上げます。これには、本番環境にあるすべてを含めることができます。Redisインスタンス、マネージドPostgresデータベース、Elasticsearchインスタンス、もちろんAPI、ウェブサービス、静的サイトなども含めることができます」とゴエル氏は説明した。そのブランチまたはプルリクエストに変更をプッシュするたびに、環境も自動的に更新される。プルリクエストが閉じられるかマージされると、Renderは環境を自動的に破棄する。

同社は新しい資金でチームを成長させ、サービスを構築する。ゴエル氏によると、来年より大きなシリーズAラウンドで資金調達する計画だ。

関連記事:Disrupt SF 2019のStartup Battlefieldはマネージドクラウドのプラットホームを開発のRenderが優勝

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Render資金調達

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

テンセントが中国のeスポーツプロバイダーVSPNの約105億円のラウンドBをリード

新型コロナウイルスパンデミックの最中にeスポーツマーケットがブームとなったいることを裏付けるニュースが発表された。eスポーツの「全ソリューションプロバイダー」であるVSPN(Versus Programming Network)は、Tencent Holdings(テンセント・ホールディングス)がリードしたシリーズBで1億ドル(約105億円)「近く」を調達した。Tiantu CapitalやSIG、Kuaishouも本ラウンドに参加した。調達した資金は、eスポーツプロダクトや中国・アジアにおけるエコシステムの改良にあてられる。

2016年に創業され、上海に拠点を置くVSPNはeスポーツトーナメント組織の初期開拓者の1社だ。創業以来、オフラインの会場運営などにも事業を拡大してきた。

声明文の中で、VSPNのCEOであるDino Ying(ディノ・イン)氏は「直近の資金調達を発表できることを嬉しく思います。上海をeスポーツの世界の中心にするという方針、そして北京、成都、西安がeスポーツの開発に自信を表しているおかげで、VSPNは近年急成長してきました。今後は、eスポーツ研究所の設立やeスポーツカルチャーパークの設置、海外展開を楽しみにしています。VSPNは長期的なビジョンを持っていて、グローバルeスポーツエコシステムの持続可能な開発に注力します」。

VSPNのCEOであるディノ・イン氏

Tencent EsportsのゼネラルマネジャーであるMars Hou(マーズ・ホウ)氏は「VSPNの長期的なビジョンやeスポーツプロダクションをリードしているという事実は、Tencentがeスポーツ業界の開発のレイアウトを最適化するのに欠かせないものです」とコメントした。

TechCrunchは2020年3月に、TencentがVSPNに投資するかもしれないというヒントを得ていた。Tencent HoldingsのCOOであるMark Ren(マーク・レン)氏は、VSPNのようなトーナメント主催者とともにTencentがより高品質のeスポーツコンペを開催するかもしれない、と話していた。

8月に明らかになったように、Tencentはすでに世界最大のゲーム販売会社であり、ビデオゲームにフォーカスしていたライブストリーミングサイトDouyuとHuyaを統合する。

いい換えれば、TencentのVSPNへの投資は、同社がeスポーツマーケットに再び賭けていることを示している。

今回のシリーズBラウンドの前にVSPNは2016年にシリーズAで資金調達した。その際はFocus Media Networkがリードし、China Jianteng Sports Industry Fund、Guangdian Capital、Averest Capitalが参加した。

VSPNはいまやPUBG MOBILE国際大会、中国のHonor of Kingsの大会、PUBG、Peacekeeper Elite、CrossFire、FIFA、QQ Speed、Clash Royaleの主要トーナメント主催者かつブロードキャスターだ。オリジナルコンテンツは1万2000時間にもなる。VSPNは中国のeスポーツトーナメントの70%超と提携している。

別のeスポーツ大手ESLは3月、2020年のPUBG Mobile eスポーツサーキットに加わるためにTencentと組んだ。

eスポーツトーナメントとコンテンツ制作事業に加え、VSPNは成都、西安、上海にeスポーツ開催施設を構えた。5月には中国外では初なるeスポーツ開催施設V. SPACEを韓国・ソウルに置いた。

さらには、オフラインのイベントも戻りつつある。VSPNは初の大規模なeスポーツイベントを2020年8月に会場で実際に開催した。そしてLOL S10イベントはチケット6000枚を準備する予定だ。しかし、トーナメントはすべて厳しい新型コロナ規制の下、中国政府の許可を得て開催されることになる。主要で、かなりレベルが高いなものだけが承認される。

VSPNは、eスポーツの短編ビデオエコシステムを構築し、eスポーツコンテンツ制作の質を上げ、さまざまなチャンネルを通じてより多くのユーザーにアクセスするのに引き続き注力する、と話した。同社は現在5つの事業部門で1000人超を雇用している。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:VSPNTencent資金調達

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(翻訳:Mizoguchi

電気の生産者や空気の「顔の見える化」で社会をアップデートする「みんな電力」が15億円を調達

電気の生産者や空気の「顔の見える化」で社会をアップデートする「みんな電力」が15億円を調達

電気の生産者や空気の「顔の見える化」で社会をアップデートする、みんな電力は10月26日、プレシリーズCラウンドにおいて、新株予約権付転換社債発行などで総額15億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、ディップのCVCであるDIP Labor Force Solution 投資事業有限責任組合、丸井グループ、日本政策金融公庫など。今回の資金調達により、現在まで累計調達額は約30億円となる。

調達した資金により、みんな電力は、気候変動など地球規模での問題解決に向けて、脱炭素社会の実現に貢献していく。

具体的には、再生可能エネルギー由来の電気の生産者と購入者をつなぎ、CO2削減アクションのひとつでもある「顔のみえる電力」の普及に努めるとともに、脱炭素化社会の実現を目指す様々な企業と積極的に連携することで、再エネ電気の利用を促進。

また、みんな電力独自のブロックチェーン技術を活用したトレーサビリティシステム「ENECTION2020」の書き込み機能の高速化、低コスト化をより一層進めることで、空気、リチウムイオンバッテリー、土、住居など電力以外の領域へ拡大を図り、「顔の見えるライフスタイル」の実現を目指す。

みんな電力は、大手印刷会社で新規事業を担当していた大石英司氏が、再生可能エネルギー事業会社として2011年に設立。2016年に発電者と生活者をつなぐ電力小売りサービス「顔の見える電力」を始めるなど、「納得感を持って選択する」という体験の提供にこだわり、2020年には清潔な空気環境の選択につながる空気環境改善事業「みんなエアー」を開始。今後もソーシャル・アップデート・カンパニーとして、独自のブロックチェーン技術を基盤とした「顔の見えるライフスタイル」の実現を目指す。

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カテゴリー: シェアリングエコノミー
タグ: みんな電力
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ノルウェーのチャレンジャーバンク「Lunar」がシリーズCで約50億円を調達、BNPL(信用販売)に進出へ

ノルウェーのチャレンジャーバンクで、個人資産管理アプリ(PFM)としてスタートした後、2019年に一般銀行ライセンスを取得したLunarが、シリーズCラウンドで既存投資家から4000万ユーロ(約50億円)を調達した。

今回の資金注入は、2020年4月に発表された2000万ユーロ(約25億円)のシリーズBラウンドに続き、Lunarの有料Proサブスクリプション(欧州の複数のチャンジャーバンクがすでに実施している)や消費者ローン、8月に開始したビジネス向け口座などを支えるものだ。

ビジネス向け口座はすぐに成功したようで、当地には(英国と同様に)個人事業主にとって使い勝手のよい銀行口座に対する抑圧された需要があった証拠だろう。デンマークに進出してからわずか数カ月後、同国で新たに登録された個人事業主の50%以上が同サービスに口座を開設したとLunar Businessはいう。

私はLunarについて、ユーサーの平均カード利用金額が1100ユーロ(約13万6000円)と、EU平均の212ユーロ(約2万6000円)を大きく上回り、ユーザー愛着度が「業界最高」とされているとも聞いている。現在Lunarにはデンマーク、スウェーデン、ノルウェーを合わせて5000口座のビジネスユーザーと20万口座の個人ユーザーがいる。

一方、最も注目すべきなのは、同社初の消費者向け金融商品の提供を開始した後、Lunarは 「buy now, pay later(BNPL。「今すぐ購入支払いは後」。信用販売)」市場への参入を見据えていることだ。これは、会社価値106億5000万ドル(約1兆1167億円)のKlarnaや、つい最近上場した米国のAffirmの領域に進出することを意味している。BNPL分野にはPayPalという巨人もいる。

LunarのファウンダーでCEOのKen Villum Klausen(ケン・ヴィルム・クラウセン)氏は、ノルウェー銀行市場の「矛盾状態」が、同社がBNPLに進出する理由だという。「ここは世界で最も利益を上げやすい銀行環境ですが、最も防御がかたい市場でもあり、外部からの競合がほとんどありません」と同氏はいった。「つまり、個人事業主である銀行顧客はすべての金融商品を取引銀行から購入する、という意味です」。

これはLunarのBNPL商品が「post-purchase(ポストパーチェス、購買後)」商品として作られていて、Lunarはユーザーが何かを買った後に声をかける仕組み(Curveのプランドクレジット商品と似ている)であることと関連している。例えば新しいテレビを買おうとすると、アプリはユーザーに分割支払したいかどうか尋ねる。「ユーザーはこのために売り主と契約する必要がなく、実店舗でもeコマースでもあらゆる取引に利用できます」とクラウセン氏は説明する。

「私たちはKlarnaを直接の競合と考えていません、彼らはノルウェーの決済システムに所属していないからです」と同氏は付け加えた。「つまり、請求書の支払いや、給与の受け取り、日々の銀行取引などに利用することはできません。Klarnaはスウェーデンでは巨大ですが、デンマーク、ノルウェー、フィンランドでは比較的小規模なのです」。

Lunarはこれまでに合計1億400万ユーロ(約130億円)を、Seed Capital、Greyhound Capital、Socii Capital、Chr. Augustinus Fabrikkerらの投資家から調達している。同チャンジャーバンクはデンマークのオーフス、コペンハーゲン、スウェーデンのストックホルム、ノルウェーのオスロに拠点を持ち、180名以上の従業員がいる。2021年前半にはフィンランドでバンキングアプリを公開する計画だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Lunar資金調達ノルウェー

画像クレジット:Lunar

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Headroom、AIを使ってビデオ会議の質を飛躍的に向上させるために500万ドルのシード資金を調達

ビデオ会議は昨今の我々の業務形態を支える要となってきた。主要なビデオ会議システムのZoom(ズーム)にいたっては、世間にあまりに浸透したため、「Zoomする」という動詞が生まれたほどだ。

しかし、だからといってビデオ会議は本来の機能を十分に果たせているのだろうか。果たせていないという確信のもとに、Headroom(ヘッドルーム)という新しいスタートアップが本日、ステルスモードを解除してその姿を現した。AIツールの原動力とも言えるコンピュータービジョン、自然言語処理などを手がけるヘッドルームによれば、先の問いの答えは明らかに「いいえ」なのである。

ヘッドルームは、ビデオ会議システムに加えて、トランスクリプト(文字起こし)機能、要約と見出しを書き出す機能、ジェスチャー認識機能、ビデオ画質の最適化などを提供する。フリーミアムサービスの立ち上げに向けて、同社はシード投資ラウンドで500万ドル(約5億2700万円)の資金調達を行ったと発表した。

ここから、パイロットに参加するための順番待ち名簿に登録したり、その他の最新情報を入手したりできる。

今回の投資ラウンドには、グーグルのAIに特化したベンチャーファンド「Gradient Ventures」(グラディエント・ベンチャーズ)のAnna Patterson(アンナ・パターソン)氏、 視覚技術の企業を支援するスペシャリストVC「LDV Capital」(LDVキャピタル)のEvan Nisselson(エバン・ニセルソン)氏、Yahoo!(ヤフー)の創業者で近年AME Cloud Ventures(AMEクラウドベンチャーズ)を創設したJerry Yang(ジェリー・ヤング)氏、 Morado Ventures(モラド・ベンチャーズ)のAsh Patel(アッシュ・パテル)氏、Kaggle.com(カグル・ドット・コム)の共同創業者でCEOのAnthony Goldbloom(アンソニー・ゴールドブルーム)氏、Cornell Tech(コーネルテック)の副学部長でコンピュータービジョン技術と機械学習の教授でもあるSerge Belongie(サージ・ベロンギ)氏が参加している。

なかなか興味深い顔ぶれだが、それは投資家たち自身が幾年にもわたり最先端の視覚技術を駆使して個人や企業の顧客に向けたサービスを構築し、特筆すべき業績を収めてきたことによるのかもしれない。

英国の移住者であるJulian Green(ジュリアン・グリーン)氏は、つい先日までGoogle(グーグル)に勤務しており、Cloud Vision APIのリリースを統括するなど、同社のコンピュータービジョン製品を手がけていたやり手だ。 同氏がグーグルに入社したのは、自身のスタートアップであるJetpac(ジェットパック)をグーグルが買収したことによるが、ジェットパックはディープラーニング(深層学習)やその他のAIツールを活用して写真を分析し、旅行先を提案するサービスを提供していた。Jetpacの前には、視覚的な対話システムを利用するまた別のプラットフォーム、Houzz(ハウズ)を共同で創業した経歴の持ち主だ。

ロシア生まれのAndrew Rabinovich(アンドリュー・ラビノヴィッチ)氏について言えば、過去5年間、Magic Leap(マジック・リープ)に勤務していた。深層学習のディレクターとエンジニアリングの責任者を経て、AIの責任者を務めた経歴を持つ。マジック・リープに入社する前は、同氏もグーグルに勤務しており、コンピュータービジョンと機械学習を専門とするソフトウェアエンジニアだった。

ビデオ会議システムのサービスを改良する分野への転職という選択は、今年に入ってから起きたこのシステムの急激な需要拡大を考えると、日和見的な動きに見えるかもしれない。しかし、グリーン氏によれば、このサービスの構想を練り、サービスの構築に着手したのは、「新型コロナウイルス感染症」という言葉が存在もしなかった2019年の終わりだと言う。

「もちろん、感染症の大流行によって、ビデオ会議システムの分野への関心は高まった」とグリーン氏は冗談めかして語り、実際、資金調達が非常に容易になったと付け加えた(シード投資ラウンドは7月に終了したとのことである)。

AR(拡張現実)やVR(拡張現実)はビジネス展開が極めて難しいことが判明している。とりわけ短~中期的に難しく、VCから数億ドルの支援を得たスタートアップであっても厳しい。実際、マジック・リープは長い間苦境に立たされていた。また、事業の方向性を転換し興味深いアイデアの数々に手を出すこともできたこと、マウンテンビューの本社に全技術が集結するグーグルにはグーグルの意義があることを考えると、両氏が以前の所属企業に技術を売り込むのではなく、独立してヘッドルームを創設することにしたのは、これまた興味深い。

これには理由が2つあるとグリーン氏は語っている。 1つ目の理由は、物事の構築には小さな組織の方が効率が良いことだ。「スタートアップのスピードに合わせて動けるのはとても良い」と同氏は述べている。

2つ目の理由は、物事を一から構築していく場合、従来のプラットフォームを使うと新しいプラットフォームとは異なる課題が生じることだ。

ビジネスユーザー向けのMeet(ミート)や一般ユーザー向けのHangouts(ハングアウト)の開発チームにアイデアを持ち込むことは考えなかったのはなぜかと尋ねると、「グーグルであれば、やりたいことは何でもできる。ただし、ビデオ会議システムでリアルタイムのAIを実行するには、開発当初からそれを念頭に置いて構築しておく必要がある。ヘッドルームでは最初からそのように開発を始めた」とグリーン氏は回答した。

ヘッドルームの面白みは、何と言ってもその課題にあるようだ。サービスがいたるところにあふれ、テレワークが主流の状況下では、ビデオ通話を利用することにさほど抵抗がなかった一方、良くも悪くも、すでに使用しているものに慣れ親しんでいるということでもある。それで、1つ2つのサービスに課金してプレミアムユーザーとなっている多くの企業は、新しくて実績があまりないプラットフォームを試すことに乗り気ではないというのが実情だろう。

しかし、テクノロジー業界が往々にしてそうであるように、後発者が報われることもあり、先発者が常に勝者とは限らない。

ヘッドルームの初回のイテレーションでは、会話の内容をすべて自動的に書き起こすトランスクリプト(文字起こし)機能、トランスクリプトで間違っている箇所をビデオを再生して編集できる機能、通話内容の要点を書き出す機能、およびジェスチャーを認識して会話が切り替わるタイミングを見極める機能が提供される。

グリーン氏によれば、同社は今後のイテレーションで追加する機能の開発もすでに始めているということだ。ビデオ会議でプレゼンテーションの補足資料を使用する際にも、要点を書き出したり文字起こしをしたりするエンジンを利用できる。

また、画面のピクセルを最適化して、ビデオ画質を大幅に向上させる機能も開発しているとのことだ。この機能はインターネットへの接続状況が悪いときに特に重宝すると考えられる。
グリーン氏は、「ビデオ会議の画面のどこに何のピクセルがあるかを特定し、適切なピクセルを送信できる。画面内の人や背景はそれほど変化するものではないので、そうしたものを常時送信する必要はないのだ」と語っている。

こうした機能はすべて、高度なコンピュータービジョンと自然言語アルゴリズムのとても興味深い側面のいくつかを利用したものだ。たとえば、要約の作成機能では、発言内容を認識するだけでなく、発言の最も重要な部分を抽出する技術を利用している。

また、ビデオ通話で、話に直接割り込まずに、発言したいという意思を表示するのに苦労した経験があると、ジェスチャー機能が非常に有効である理由を理解できる。

この機能は、聴衆の注意が散漫になっているかどうかを発言者が確認するためにも役立つ。発言したいと思っている参加者のジェスチャーを検出するためにヘッドルームが使用しているのと同じ技術で、聴衆が退屈したりイライラしたりしていることを検出し、発言者に知らせることができるのだ。

グリーン氏が「要はEQのサポートだ」と言った時に半分からかっているように見えたが、対話に使用していたグーグルミートには表情を読む機能がないため、勘違いかもしれない。

グリーン氏の言葉から、ヘッドルームが興味深いビジネスチャンスを活用する理由がうかがえる。このようなツールがその真価を遺憾なく発揮すると、ビデオ会議の質を飛躍的に向上させるだけでなく、対面式の会議で起こり得る問題を解決できる可能性さえ秘めているのだ。実際に「本物」よりも優れているかもしれないソフトウェアを構築することは、現在の状況(永続的なものではないことを願うが)において高まる需要に対応できる底力を実証する1つの形なのである。

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(翻訳:Dragonfly)

東大IPCが道路点検AI開発の東大発UrbanX Technologiesに7000万円を出資

東大IPCが道路点検AI開発の東大発UrbanX Technologiesに7000万円を出資

東京大学協創プラットフォーム開発(東大IPC)運営のオープンイノベーション推進1号投資事業有限責任組合(AOI1号ファンド)は10月26日、道路点検AIを開発する東京大学関連スタートアップ「UrbanX Technologies」(アーバンエックステクノロジーズ)に対して、7000万円の出資を決定したと発表した。今回のUrbanXへの投資は、東大IPC経営陣の他、ANRIとの共同出資となり、東大IPCがリード投資家を務める。

UrbanXは、今回の資金調達により事業拡大を加速し、道路以外の分野においても都市のデジタルツインを構築。提携先開拓・開発を担う人材も積極的に採用する方針としている。

東大IPCは、同社主催コンソーシアム型インキュベーションプログラムの第3回「東大IPC 1st Round」でUrbanXを会社設立前に採択。会社登記から三井住友海上との協業(後述)など様々なハンズオン支援を実施し、今回の投資実行にいたったという。

道路メンテナンスなど、老朽化した社会インフラメンテナンスの課題対応に東京大学の技術を活用

2020年4月設立のUrbanXは、都市が抱える様々な問題をデータ×AIの力で解決し、スマートシティの実現を目指すスタートアップ。同ビジョンを実現するため、大手企業との提携により都市インフラの様々なデータを収拾し、ディープラーニングなどによるAI解析を行い、都市の変化を定量化している。また同ビジネスモデルの第1弾として、都市インフラの要となる道路におけるビジネス化を開始している。

現在、自治体などが実施する道路メンテナンスの点検方法は、主に高額な専用点検車両の使用や専門職員の目視による確認などがあるものの、これらでは総延長120万kmにおよぶ全国の道路を十分に点検できず、計画通りに維持管理することが困難な状況となっている。

また、日本だけでなく世界先進国において、高度成長期に次々と建設・整備された社会インフラの老朽化が急速に進んでおり、予防保全による安全の確保と費用削減は世界共通の課題テーマとなっている。

UrbanXの前田紘弥社長は、東京大学の特任研究員として東京大学生産技術研究所 関本研究室にて同社のベースとなる技術を開発。同技術は、すでに東京大学として基本特許を出願。また東京大学生産技術研究所 関本義秀准教授もUrbanXの取締役として同社の事業を主導している。

社会インフラメンテナンス支援に向けた実証実験も開始

UrbanXは、車載スマホ・ドラレコで撮影した画像をAI分析し、道路の破損箇所を検知するシステムを開発し、現在まで20以上の自治体で実証実験を行って教師データを収拾してきた。

しかし、全国の道路情報をリアルタイムに把握することをUrbanX単独で実現することは困難なため、東大IPCの仲介にて「東大IPC 1st Round」のパートナー企業の1社である三井住友海上火災保険(三井住友海上)との実証実験を開始した。

具体的には、三井住友海上の専用ドライブレコーダーに、UrbanXのAIによる画像分析技術を搭載し、東京都品川区・千葉県千葉市・石川県加賀市・滋賀県大津市・兵庫県尼崎市といった自治体での自動車走行においてデータを収集。道路の破損箇所を適切に検知するための技術的課題の検証、画像品質やハードウェアの性能などを検証し、道路メンテナンスの点検業務への有用性について確認する。

AOI1号ファンドは、東京大学周辺でのオープンイノベーション活動の推進を目的に、「企業とアカデミアとの連携によるスタートアップの育成・投資」というコンセプトで2020年組成。同ファンドでは、各業界のリーディングカンパニーと連携した新会社設立やカーブアウトベンチャー、彼らのアセットを有効活用するスタートアップへの投資を通じ、新分野におけるオープンイノベーションの成功事例創出を目指す。

今後も東大IPCは、東京大学周辺のイノベーション・エコシステムの発展およびそれを通じた世界のイノベーションを加速するため、ベンチャーキャピタルやオープンイノベーションを推進する企業との様々な連携を通じ、アカデミアの生み出す学術・研究成果を活用するスタートアップの創出・育成・投資を進めていく。

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テスラの元CIOが自動車ディーラー向けクラウドソフトビジネスの成長に向け160億円調達

「言葉を慎重に選ぶ必要があります」。カリフォルニア州サンノゼにあるStevens Creek Volkswagen(スティーブンス・クリーク・フォルクスワーゲン)のJoe Castelino(ジョー・カステリーノ)氏は、ほとんどの自動車販売店が在庫情報、マーケティング、顧客関係などの管理に使うソフトウェアについて尋ねられてそう答えた。

ディーラーのサービスディレクターであるカステリーノ氏は、そういって笑った。しかし、冗談のような状況にあるのは自動車ディーラーだ。ほとんどのディーラーは何年にもわたり、ディーラー管理システムに関して、限られた数のイライラさせられる時代遅れのベンダーに大きく依存してきた。そして、より洗練されたポイントソリューションも使ってきた。

Tesla(テスラ)のCIOを務めたJay Vijayan(ジェイ・ビジャヤン)氏が、電気自動車の巨人にまだ雇われている間に、自分はこの問題に対処するのに適した立場にいると結論付けたのはまさにチャンスだったといえる。

ビジャヤン氏がいま述べているように、同氏は2011年にテスラに入社するまで自動車については何も知らなかった。その前はOracle、次にVMwareで12年間製品開発に携わった。それでも同氏はその後の4年間で多くを学んだ。具体的には、Elon Musk(イーロン・マスク)氏とともに、テス​​ラ内の中央分析システムの構築を支援したと述べている。これは、サプライチェーンから、工場システム、小売プラットフォームに至るまで、社内のすべての内部システムを確認できる一種の頭脳だ。

テスラは自身でそれを構築しなければならなかった、とビジャヤン氏はいう。サードパーティーのプロバイダーの既存のソフトウェアを評価した後に「チームが理解したのは、スムーズで最新の消費者体験を提供するためにテスラが求めていたものに近いものがなかったということです」。

アイデアが閃いたのはその頃だった。テスラが自社の顧客体験を変革できるなら、ビジャヤン氏ははるかに大規模で幅広い自動車業界の売買体験を変革できるかもしれない。Tekion(テキオン)で検索して欲しい。カリフォルニア州サンカルロスで4年の歴史を持つ同社は、すでに同地とバンガロールで470人を雇用しており、プライベートエクイティ投資家のAdvent International(アドベント・インターナショナル)がリードした資金調達で1億5000万ドル(約160億円)を集めた。

このシリーズCラウンドで同社の累計調達額は1億8500万ドル(約200億円)になった。Index VenturesAirbus Ventures、FM Capital、Exor(フィアットクライスラーとフェラーリの持ち株会社)も参加した。

同社は10億ドル(約1050億円)以上の評価がついている。自動車メーカーのゼネラルモーターズ、BMW、日産・ルノー・三菱ア​​ライアンスも投資家だ。

AdventのマネージングディレクターであるEric Wei(エリック・ウェイ)氏は同氏のチームが過去10年間、100億ドル(約1兆500億円)の時価総額に近づいている会社をつかむことに熱心だったという。現在はReynolds&Reynolds、CDKGlobal、Cox AutomotiveのDealertrackのような会社を探し、あるいはより優れたプレーヤーが出現するのを待っている。

ウェイ氏はその後、テスラの前社長であり、AdventのアドバイザリーパートナーであるJon McNeill(ジョン・マクニール)氏を通じてTekionに出会った。

ウェイ氏は、Tekionのテクノロジーを大手ライバルと比べてどう見ているかについて、「折り畳み式携帯電話をiPhoneと比較するようなものだ」と述べた。

当然のことながら、テスラでビジャヤン氏と一緒に働いていたマクニール氏もTekionを称賛し、同社がカリフォルニア州ギルロイのディーラーを買収し、テクノロジーをゼロから構築している間、一種のラボとして使用していたとを指摘した。

称賛は素晴らしいが、より重要なのはTekionがディーラーの注目も集めているということだ。ビジャヤン氏はどれくらいの顧客が同社のクラウドソフトウェアを購入したか明かさなかった。このソフトウェアは機械学習アルゴリズムを利用しており、ディーラーとメーカーの両方を結び付ける。同氏はすでに28の州で使用されていると述べた。

顧客となったディーラーの1つに全米チェーンのSerra Automotiveがある。操業者のJoseph Serra(ジョセフ・セラ)氏は現在Tekionの投資家だ。

もう1つが冒頭のサンノゼにあるフォルクスワーゲンのディーラーだ。ここのカステリーノ氏はTekionのプラットフォームによってチームが節約できた時間と費用について熱心に語っている。同氏はTekionに対して投資していない。

例えば顧客は特定の問題にフラグを立てようと思ったら、いますぐログインするだけでよいと同氏は説明する。その後、RFIDタグの助けを借りて、スティーブンス・クリークは、その顧客がいつディーラーに来るのか、どのような支援が必要かを正確に把握し、やって来たときの対応を極めてスムーズにできる。

Tekionは、車の履歴に基づいて推奨を行うこともできる。例えばアドバイザーが顧客の履歴を調べなくても、顧客に対しブレーキオイルを交換するよう提案する場合がある、とカステリーノ氏はいう。

同氏によると、重要なこととして、同氏のディーラーは他の多くのソフトウェアベンダーとの関係を断ち切ることができたと同時に、その時間をより生産的に利用できたことだという。同氏は「修理の注文が届くとすぐにコーディネーターがそれを把握し、技術者が車に取りかかれます」と述べた。すべての手続きでそのように運ぶと同氏は主張する。「15分間の節約を繰り返せるので、気がつけば3時間が手に入っています」。

カステリーノ氏のような転向者のおかげで、Tekionが市場シェアを大きく延ばしていることは容易に想像できる。それでもライバルは存在し、その中には顧客との長期契約を結んでいる会社もある。

競争が激化したとしても、最終的にはテスラ自体との競争になる可能性がある。

マスク氏は本日のテスラの電話による決算報告でアナリストに、車両サービスを中心に、テスラの内部には実質的に12のスタートアップがあると語った。まさにそれらはビジャヤン氏が立ち上げを支援した事業だ。

マスク氏がそのうちどれかをスピンアウトする可能性について、テスラは現在その予定はないと同氏は述べた。同氏は当面はこのままだと示唆した。ただしTekionが離陸するなら状況は大きく変わる可能性がある。

関連記事:「テスラはスタートアップの集合体だ」とイーロン・マスク氏は語る、まもなく保険事業も開始

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タグ:Tekion、資金調達

画像クレジット:Tekion

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(翻訳:Mizoguchi

中国の宿題指導アプリYuanfudaoのバリュエーションが1.6兆円超え、最も価値の大きいEdTech企業に

2012年に創業された宿題指導アプリYuanfudao(猿輔導)の累計資金調達額が22億ドル(約2300億円)に達し、世界で最も価値の大きいEdTech企業Byju’s(ビジュース)を超えた。北京拠点のYuanfudaoの企業価値はいまや155億ドル(約1兆6000億円)で、これは3月時点の倍だ。

新たな調達は2020年3月に10億ドル(約1050億円)を調達したシリーズGの延長ではあるが、同社は2件の調達を別のラウンドとして捉えている。G1ラウンドはTencentがリードし、Hillhouse Capital、Boyu Capital、IDG Capitalが参加した。G2はDST Globalがリードし、CITICPE、GIC、Temasek、TBP、DCP、Ocean Link、Greenwoods、Danhe Capitalが加わった。

調達した資金はカリキュラムの開発や、大きなリモート学習ブームの真っただ中とあってYuanfudaoのオンライン教育サービス拡大に使われる。2018年(未訳記事)に同社はTechCrunchに売上高の大部分はライブコースの販売によるものだと語った。当時の最終目標は資金を調達して、プロダクトにAIをより活用し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることだった。

それから2年が経ったが、Yuanfudaoは中国内でユーザー(生徒)数を4億人へと倍増させた。今回の資金調達は、同社がライブ、オンラインコースワーク、学習のクローズドループシステムをさらに推進するのに使われる。

同社は現在、ライブ指導、オンラインQ&A、数学問題チェックなどさまざまなプロダクトを提供している。

Yuanfudaoは中国各地にある教育センターに従業員3万人を抱え、こうした教育センターがオンラインサービスのベースとなるかもしれない。同社は2014年に清華大学、北京大学、中国科学院といったトップ校やMicrosoft(マイクロソフト)と、AI研究所ならびにテックラボを設立。そうした研究機関の洞察をアプリに取り込むことが目的だ。Yuanfudaoは、生徒の弱点がどこにあるのかを判断するのにAIを活用できると考えている。そうすることで教師のカリキュラムやプロダクトデザインを改善できる。

概してアジアは教育支出が多く、学習成果に熱心な文化と相まって教育熱心なマーケットだ。そのため、デジタル学習へのシフトはすでにブームとなっていた教育マーケットに拍車をかけた。あるレポートによると、中国の教育経済規模は2年間で810億ドル(約8兆5000億円)になるという。

筆者の同僚、 Rita Liaoが指摘した(未訳記事)ように教育指導マーケットを狙っているのはYuanfudaoだけではない。他にも資金潤沢な競合企業があり、ここにはオンライン学習を専門とし、6月に7億5000万ドル(約785億円)を調達した北京拠点のスタートアップであるZuoyebang、シンガポールの政府系ファンドであるTemasekが投資するYiqizuoyeなどが含まれる。

カテゴリー:EdTech
タグ:Yuanfudao中国資金調達

画像クレジット:doyata / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

WoHoは再利用可能な「コンポーネント」で建設を迅速、柔軟、環境に配慮したものにする

建物は文明の基盤であり、住む場所、働く場所(新型コロナウイルスのない世界ではそうだった)、遊ぶ場所だ。しかし、私たちがどのように建物を捉え、利用目的に応じて設計し、最終的にどこかに建築するかは、過去数十年でほとんど変わっていない。住宅や建物のコストは上昇し続けており、ほとんどのプロジェクトで構想から建設までの直線的なプロセスは遅いままだ。なぜプロセス全体をもっと柔軟で高速にできないのか。

MIT(マサチューセッツ工科大学)とジョージア工科大学のエンジニアと建築家のトリオがまさにその問いを追究している。

MITの資金担当だったIsrael Ruiz(イスラエル・ルイーズ)氏と、建築家であるMITのAnton Garcia-Abril(アントン・ガルシア・アブリル)氏とジョージア工科大学のDebora Mesa(デボラ・メサ)氏が一緒にWoHo(「World Home」の略)というスタートアップに参加した。同社は相互に接続して構造を形成するより柔軟な「コンポーネント(構成部分)」を創り出し、現代的な建設方法の再考を試みている。

WoHoのイスラエル・ルイーズ氏、デボラ・メサ氏、アントン・ガルシア・アブリル氏(画像クレジット:Tony Luong via WoHo)

WoHoの目標は、工場で簡単に組み立てられ多様な種類の建物で使用できるコンポーネントを用意することにより、建設コストを削減し、建築家に最大限の柔軟性をもたらし、エンドユーザーには魅力的なスペースを提供することだ。気候に会わない世界で、上記すべてが建設プロジェクトをより環境に優しいものにする。

チームのアイデアは、マサチューセッツ工科大学からスピンアウトした特別ファンドであるThe EngineのCEOでマネージングパートナーを務めるKatie Rae(ケイティー・ラエ)氏の目を引いた。このファンドは長期にわたるVC投資で有名だ(未訳記事)。WoHoを450万ドル(約4億7000万円)のシード投資で支援している。

ルイーズ氏は過去10年間、バイオテクノロジーのイノベーションの主要なハブとなったMITの隣接地区のケンドールスクエアの追加工事を含むMITの都市建設プログラムを監督していた。同氏はその過程で建築の課題を目の当たりにした。それは革新的な企業が必要とするようなスペースについて特にいえることだった。同氏はまた何年にもわたり、建築事務所であるEnsamble Studioにいたガルシア・アブリル氏、メサ氏の2人との友情を築いてきた。

WoHoは「建築プロジェクトにおける設計とコンセプトから、組み立て・建設に至るまでのプロセスを統合します」とルイーズ氏は説明する。「当社のテクノロジーは低層から高層までに適合しますが、特に中層から高層で最も良い結果が出ます」。

では、そのWoHoコンポーネントとは正確には何か。構造を形成するために相互に接続できる、適切に設計された再利用可能ブロックと考えて欲しい。ブロックには一貫性があり、簡単に製造、輸送できるように設計されている。重要なイノベーションの1つは改良された強化セメントで、これがより低い環境コスト(The Guardian記事)で建物のより高い品質を可能にする。

建設中のWoHoコンポーネントの概念(画像クレジット:WoHo)

以前からモジュール式の建物は存在する。典型的なのはアパートで、各部屋が1つのブロックで出来ており、組み立てると1つの構造物になる。例としてサクラメントのこのプロジェクト(The Sacramento Bee記事)を見て欲しい。WoHoは柔軟性をもたらし、多様なアレンジを可能にし、それ自体が構造としても機能するコンポーネントをさらに増やしたいと考えている。これにより建築家は、より柔軟に建築を行えるようになる。

まだ初期の段階だが、同社はすでに市場で一定の評価を得ており、スイスのコンクリートおよび建材会社LafargeHolcimと提携して、アイデアを市場に投入している。同社はマドリッドで建築のデモプロジェクトを進めており、2021年にはボストンで2番目となるプロジェクトを控えている。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:WoHo建築資金調達

画像クレジット:WoHo

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(翻訳:Mizoguchi