WeWorkがSPACとの合併を通じて上場を検討中、WSJが報道

WSJ(ウォールストリート・ジャーナル)の新しい報道によると、2019年秋に株式公開の目論見が華々しく吹き飛んだ巨大コワーキング企業のWeWork(ウィーワーク)は、あるブランクチェックカンパニー(SPAC)と合併して株式公開企業になる可能性があるという。

WSJによると、具体的にはニューヨークに拠点を置くWeWorkは「Bow Capital Management LLC(ボウ・キャピタル・マネジメント)と関連があるSPAC(特別買収目的会社)と、少なくとも1つの正体不明のがわからない他の買収団体からのオファーを数週間前から検討している」ところだという。この取引では、WeWorkの評価額は約100億ドル(約1兆420億円)になる可能性があると、WSJの情報提供者は語っている。

同社の広報担当者に尋ねたところ、WSJに送ったものと同じ声明が送られてきた。「過去1年間、WeWorkは、収益性を達成するための計画を実行することに力を注ぎ続けてきました。私たちの著しい進歩は、柔軟に使えるスペースの需要増と相まって、私たちのビジネスに肯定的な兆候を示しています。私たちは目標に向かって近づくための補助となる機会を探求し続けます」。

WeWorkに近い関係者によると、同社はより多くの民間資金のインバウンド関心も検討しているという。

WeWorkの広報担当者によると、同社は8億7500万ドル(約912億円)以上の利用可能な現金を含む、36億ドル(約3750億円)以上の現金と未払いの現金支払債務を持っており、これは「長期化する新型コロナウイルス禍を乗り切るのに十分以上の流動性」であると考えているという。

WeWorkのSandeep Mathrani(サンディープ・マスラニ)CEOは2020年秋、WeWorkは同年のある時期に黒字化する軌道に乗っていると述べ、その後は「最初の利益成長」となり、「新規公開株の計画を再検討することになるだろう」と語っていた。また、同氏はニューヨークからZoomコールを介してインドの記者団に対して、WeWorkは2020年10月、Bloomberg(ブルームバーグ)が報じたように、従業員の約3分の1にあたる8000人を解雇した後、100%適正規模化を完了したと付け加えた。

マスラニ氏は2020年2月、WeWorkの共同創業者であるAdam Neumann(アダム・ニューマン)氏が退任した後を受けてCEOに就任した。同社が上場を取り止める数カ月前のことだ。

それ以前、マスラニ氏は1年半の間、Brookfield Properties(ブルックフィールド・プロパティーズ)の小売グループのCEOと、Brookfield Propertiesの副会長を務めていた。シカゴを拠点とする同社に入社する前は、General Growth Properties(ジェネラル・グロース・プロパティーズ)のCEOを8年間務めた。同社は2018年にBrookfieldが92億5000万ドル(約9640億円)の現金で買収するまで、全米最大級のモール運営会社だった。また、マスラニ氏は上場不動産会社であるVornado Realty Trust(ボルナド・リアルティ・トラスト)で8年間、取締役副社長を務めていたこともある。

Bow Capital ManagementはTibco Software(ティブコソフトウェア)の創設者であるVivek Ranadive(ヴィヴェク・ラナディブ)氏によって運営されている。同社は2020年7月、テクノロジー、メディア、通信業界における事業買収に焦点を当てた3億5000万ドル(約365億円)のブランクチェックカンパニーの計画を登録した。

WeWorkがテック企業なのか、それとも純粋な不動産業の範疇かについては、何年も前から多くの議論が交わされてきたが、同社はずっと前者であると主張している。

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画像クレジット:Timothy A. Clary / Getty Images

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(文:Connie Loizos、翻訳:TechCrunch Japan)

クラシックな炭火焼きとモダンなアイデアが融合したNomadのスーツケース型炭火焼きグリル

ダラスを拠点とするNomad(ノマド)は、古典的な調理方法を現代化した。とは言っても、ネットにつながったりスマート機能を搭載しているわけではない。Nomad Grill & Smoker(グリル・アンド・スモーカー)は昔ながらの炭火焼きグリルを、気の利いた工業デザインできれいな形に収めてポータブル化したというもの。同時に、上級者レベルの調理も可能ながら、初心者でもおいしい炭火焼きが作れる。

基本仕様

Nomadのグリルの外観は、映画の撮影班が持ち歩いていそうな洒落た機材ケースと、最新のMac Proなんかを掛け合わせたような感じだ。一体鋳造されたアルマイト加工のアルミニウム製で、外側は耐久性に、内側は保温性に優れている。サイズは縦横およそ60センチメートル、厚みが約24センチ、総重量は約13キログラム。中に収まるステンレスの鋳造グリルが基本セットに含まれる。

13キロはちょっと重いように思えるが、Nomadの調理面積を考えれば非常に軽いほうだ。グリル1枚で蓋ができるモード(スモークができる)でおよそ1370平方センチメートル、オープンモードなら約2740平方センチメートルまで広げられる。グリルをもう1枚追加購入すれば、両面を使って調理ができる(網焼きのBBQ向き)。

ケースには、頑丈な二重ラッチ式の留め具が2つと、持ち運ぶことを考えて強化型のハンドルが備わっている。本体を置いて調理する際には、シリコン製の滑り止めが表面を保護してくれる。手でスライドさせて空気の流れと炎の強さを調整できる、磁石式の通気口が両脇にそれぞれ1つずつある。

デザインと性能

画像クレジット:Nomad

Nomadのデザインは思いのほかシンプルだ。言ってしまえば金属の箱なわけだし。しかし、その中をちょっと覗くだけで、非常に高度な仕組みが見てとれる。外側が高温にならない二重構造もそのひとつ。調理する人にとって安全であるばかりか、実際に調理する際の置き場所も、素材による制限をあまり受けない。ポータブルグリルにとって、それは大きな長所だ。

とくにグリルは熱伝導のいいハニカムデザインで、わずかにドーム状に盛り上がっているため、下の炭火からの距離が稼げるようになっている。取り外しができ、本体には磁石で固定される仕組みだ。これは持ち運ぶ際に安心できる。少々ぶつけても、中のものが散乱しない。

もうひとつの大きな特長は、ちょっと見には細かいことのようだが、ケースに取り付けられた温度計だ。グリルの温度が一目でハッキリとわかる。アナログ式なので電池もいらない。これも持ち運ぶ際には有り難い。

実際にグリルは、優れた炭火焼きグリルに求められる要素をすべて備えている。このサイズのポータブル式にしては驚くべきものだ。ひとつ、ぜひお薦めしたいのは、チムニー型の火起こし器だ。これがあれば火起こしがずっと楽になる。どんなバーベキューコンロを使うときでもかなり重宝する。

画像クレジット:Nomad

私はスモークをした際に、Nomadの性能に本当に感心した。蓋を閉じると一定の温度を長時間保ってくれる。調理具合を調整したいときも、本体に備わっている通気口で簡単に温度調節が行える。炭火から食材までの適切な距離も、素晴らしい味わいを与えてくれる。

まとめ

Nomad Grill & Smokerの価格は599ドル(約6万2000円)。かなり高価に感じられるが、市場では、便利でありながら、これだけの性能を提供してくれる唯一の存在だ。家でも旅先でも、Nomadは趣味の料理人の道具一式にぜひ追加したい1台だ。その気になれば据え置き型の炭火焼き専用グリルに置き換えることも可能な、オールインワンの助っ人になる。

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画像クレジット:Noma

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(翻訳:金井哲夫)

賃貸の敷金に代わる保険商品を販売するRhinoが98.5億円を調達

米国時間1月26日、Rhino(ライノ)は9500万ドル(約98億5000万円)の資金を調達したことを発表した。これで同スタートアップの総調達金額は5億ドル(約518億5000万)弱となった。ラウンドをリードしたのはTiger Globalで、Rhinoはこの投資を「プレIPO」であると本誌に語った。

Rhinoは不動産屋向けに保険商品を提供しており、これを利用することで業者は伝統的な敷金を排除し、同様の役割を果たす保険商品を賃借人に通常料金で提供できる。

Rhinoは資金調達のニュースとともに、近年同社契約の年間経常収益(ARR)が急増し、2019年1月の400万ドル(約4億1000万円)から2021年1月には6000万ドル(約62億2000万円)になったことも明らかにした。このARRの数字は、Rhinoが契約している建物から予想される顧客規模を表している。同社の共同ファウンダーで会長のAnkur Jain(アンクル・ジャイン)氏は、これは控えめな数字だとTechCrunchに語っている。

Rhinoの親会社であるKairosのCEOでもあるジャイン氏にこの新規投資について尋ねたところ、Kairosは若年層のためにコストを下げたいと考えている、と同氏は話した。Rhinoはその目的にフィットしている。なぜなら賃貸の初期費用は法外なものになることもあり、同社のサービスによって賃借人は、敷金を用意するために賃貸時期を遅らせることがなくなるからだと説明した。

ジャイン氏はRhinoについて、家主と賃借人の両方にとって賃貸の壁を低くし、潜在顧客層を広げるものだと語った。対象顧客が増えれば、賃貸される物件も増える。

経済状況はRhinoを後押ししているようだ。ジャイン氏は、新型コロナウイルスの流行、同社の中核保険商品の貢献利益を抑圧していない、と話す。一部の急成長保険商品で貢献利益が劇的に下がったことを踏まえると、Rhinoの好調さが伺える(TechCrunchはこの数値が損失調整費を「含む」ことを確認した)。

はたして予定通り上場するのに十分なほど、業績は健全なのか?おそらく。ジャイン氏は、同社の新たな筆頭出資者であるTigerは企業の株式公開に対する多くの経験があり、1~2年のうちに上場することを考えているとTechCrunchに語った。

最近の傾向を踏まえ、SPAC(特別買収目的会社)についても質問してみた。従来型のIPOが目標だ、とCEOは答えた。

まだスタートアップのCEOがここまで正直に上場について話すことに驚いているのなら、2020年中頃にそこそこの売上で上場して大成功したLemonade(レモネード)を思いだしてほしい。新型保険プロバイダーのRoot(ルート)も上場したが、その後業績を落としている。また、保険商品を提供する別のプレイヤーであるMetroMile(メトロマイル)はSPACによる上場を計画している。

他にも多くのスタートアップが保険を巡る問題解決に取り組んでいる。インシュアテックブームの2020年の興奮は2021年に続きそうだ。

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画像クレジット:Daniel Bosse / Unsplash(画像は加工済み)

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Atomico、SaaSとエンタープライズに特化した投資家のBen Blume氏をパートナーに昇格

欧州のベンチャーキャピタルファンドでシリーズAとシリーズBに投資しているAtomicoは、SaaSとエンタープライズに特化した投資家のBen Blume(ベン・ブルーム)氏を同社のパートナーにするなど、多くの社内プロモーションを行った。

プリンシパルからパートナーへの昇格は、Blume氏が2013年にAtomicoにアソシエイトとして入社してから8年後となる。同氏は2017年にはプリンシパルに昇格し、数々の有望な投資を率いて成功を収めたことで、VCファーム内外での評判を確立した。

その中には、都市開発のためのAI支援ソフトウェアを開発し、昨年末にAutodesk(オートデスク)に買収されたスタートアップのSpacemakerも含まれる。また、AtomicoによるOnnaへの投資と、Blume氏が現在取締役に就任しているAutomation Heroへの投資も主導した。さらにAtomicoが英国の半導体企業のGraphcoreの早期支援を行った際にはその運営を助け、最近のユニコーン企業であるHinge HealthへのシリーズA投資を調達したといわれており、現在は同社でも取締役も務めている。

Atomicoに入社する前、Blume氏はBain&Companyのコンサルタントを努め、Bank of America Merrill Lynchの(バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ)のソフトウェアエンジニアを務めた。なお、ケンブリッジ大学のクイーンズカレッジにてコンピュータサイエンスの一級学士号を取得している。

また、アソシエイトのHillary Ball(ヒラリー・ボール)氏とLuca Eisenstecken(ルカ・アイゼンステッケン)氏もプリンシパルに昇格した。Eisenstecken氏はInfarmMessageBirdScoutbeeへのAtomicoの投資をサポートしてきた。そしてBall氏はMasterclassFramerなどへの投資をサポートした実績がある。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

巨大なSPACが現われるかもしれない

多くの人が2020年は特別買収目的会社(special purpose acquisition company)の略であるSPACの年だったと見ているが、2021年から振り返れば2020年が懐かしく感じられるかもしれない。

次の質問は時期尚早ではないはずだ。SPACの買収対象として大きすぎる会社というものは存在するだろうか。

ちょうど今日(米国時間1月22日)、SPACとの合併によって株式を公開した会社としてはこれまでで最も価値の大きい会社の取引が始まった。創業35年、ミシガン州ポンティアックを拠点とするUnited Wholesale Mortgage(UWM)は、米国最大の住宅ローン会社の1つだ。

取引終了までに株価は少し下落し、取引開始時の11.54ドル(約1200円)から下げて11.35ドル(約1180円)で取引を終えたが、関係者が今夜カクテルを前に泣いているかどうかは疑わしい。今週初め、UWMが「白紙小切手」会社であるGores Holdings IVとの合併を承認されたとき、なんと160億ドル(約1兆6600億円)で評価された。

なぜこれが興味深いのか。まずUWMの規模にもかかわらず、公開まで1年もかからなかった点だ。Gores Holdings IVは2020年1月下旬にIPOを完了し、約4億2500万ドル(約440億円)の現金を調達した。

プライベートエクイティ会社Gores Groupの創業者であり億万長者のAlec Gores(アレック・ゴア)氏が取引をリードした。合併の予定は9月に発表され、最終的にはさらに5億ドル(約520億円)の私募増資も行われた(対象会社が特定され、提案された合併の条件に同意したら、取引に進むのが一般的だ。ほとんどの対象会社は合併相手である白紙小切手会社よりも何倍も大きい)。

また、UWMは成熟した企業であり、2020年の第3四半期だけで13億ドル(約1350億円)の収益を計上した。同社は1986年、CEOの父親が創業した。CEOは2020年秋、「非常に収益性が高い」と述べた。

SPACのプロセスを通じて最近公開したほとんどの会社とは異なるストーリーだ。Opendoor、Luminar Technologies、Virgin Galacticを思い出してほしい。いずれも資本を必要とするビジネスの開発途中であり、未公開市場の投資家から多くの資金を調達できなかったものと思われる。

Space XのディレクターであるSteve Jurvetson(スティーブ・ジュベッソン)氏は先週、この点をかなり率直に強調した。たとえばVirgin Galacticは公開後の「事業開発に良いところはありませんでした」と述べている。「同社は極超音速機を開発すると発表しました。しかし、それは彼らが立ち上げようとしている現在のビジネス、つまり顧客にとってまだ実現していない弾道宇宙飛行との相乗効果はありません」。

より収益性が高く、成熟しており、将来の収益への道が非常に明確な多くの企業(UMWのような多くの企業)が従来のIPOよりもSPACを選択し始めれば、SPACの候補は他に行き場がない企業という一般的な認識を変える可能性がある。

この方法での公開が適している企業とはどれほどのサイズなのか、ということについてまで考えを広げることもできるし、はるかに大きな取引につながるのかもしれない。

より確実にいえるのは、UWMが「史上最大のSPAC取引」という記録を長く保持する可能性は低いということだ。SPACに対し相変わらず熱狂的な関心が寄せられているからだけでなく、あるビークルが実際にそのタイトルを奪取する準備ができているように見えるからだ。それは億万長者投資家のWilliam Ackman(ウイリアム・アックマン)氏のSPACだ。この白紙小切手会社が2020年夏に40億ドル(約4160億円)を調達したのだ。

おそらく、取引は風変りなものになると思われる。伝えられるところによると、アックマン氏はかつてSPACでAirbnbを公開しようとした。Airbnbが提案された合併を可決したとき、同氏は非公開のメディアコングロマリットであるブルームバーグに連絡したと伝えられている(ブルームバーグはそれは真実ではないと述べている)。

SPACは通常2年以内に未公開企業との合併を完了することから、アックマン氏の計画に関して憶測が広まっている。ヘッジファンドからさらに10億ドル(約1040億円)の現金を調達する予定のアックマン氏が、調達した資金をどのピースと組み合わせるのだろうか。

ところで、過去22日間だけで67件の新しいSPACの公開があった。これは2019年の合計と同じ数だ。調達合計は192億ドル(約2兆円)。だが資金調達は終わらないようだ。

ちょうど今週、ロサンゼルスに本拠を置く創業4年のプロップテック(不動産テック)のベンチャー企業であるFifth Wall Venturesが、新しい白紙小切手会社による2億5000万ドル(約260億円)の調達計画を登録した。

以前に医療機器の巨人であるMedtronicを経営していたインテルのOmar Ishrak(オマー・イシュラック)会長は、医療技術セクターの取引を対象とした白紙小切手会社のために7億5000万~10億ドル(約780~1040億円)を調達する計画を立てていると報じられた。

Gores Groupは1月20日に、最新の白紙小切手会社のIPOで4億ドル(約420億円)を調達する計画を登録した。これは、グループとして7番目のSPACになる。

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タグ:SPAC

画像クレジット:Lawrence Anareta / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

グーグルが新型コロナワクチンプログラムに助成金と施設を提供

Google(グーグル)は米国時間1月25日、米国での新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン配布を支援するために、助成金の提供やワクチン接種プログラムへの施設の開放など、いくつかの措置を講じていると発表した。なおAmazon(アマゾン)、Walmart(ウォルマート)、Starbucks(スターバックス)、Microsoft(マイクロソフト)などの大手テック企業も、ワクチン接種を増やすために地方自治体や医療機関に支援を約束している。

Googleはワクチン教育を促進するために、保健機関や公衆衛生機関に総額1億5000万ドル(約155億7000万円)相当の広告助成金と資金提供を約束した。また建物や駐車場など同社の施設を利用できるようにすることで、ワクチンの配布を支援するという。

GoogleはOne Medicalや公衆衛生当局と提携し、カリフォルニア州ロサンゼルスとサンフランシスコのベイエリア、ワシントン州カークランド、ニューヨーク市にワクチン接種施設を開設し、ワクチンが入手できれば米国内でさらに多くの施設を開設する計画だという。Intelligent Vaccine Impact Platformを含む同社の技術は、ワクチン配布のロジスティックスを支援するために利用される。

助成金では約1億ドル(約104億ドル)がGoogleのAd Grants Crisis Reliefプログラムの一部として、CDC Foundationや世界保健機構どの非営利団体に寄付される。さらに5000万ドル(約51億9000万円)が「公衆衛生当局と協力して、ワクチン関連のコンテンツや情報が十分に提供されていない地域にリーチする」ために投資されるという。Google.orgは、Morehouse School of MedicineのSatcher Health Leadership InstituteやCDC Foundationなど、有色人種や農村地域の人々がワクチンを利用できるようにする組織に、約500万ドル(約5億2000万円)の助成金を約束している。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

初のオールバーチャル開催となったCESについて思うこと

筆者は過去数年、実際の会場で開催されるトレードショーの価値についての疑問を口にすることに、自身が言及したいと思う以上により多くの時間を費やしてきた。多くの人を1カ所に押し込み、ブースからブースへと歩かせるというアイデアは、時代遅れのように思える。もちろん、過去においては重要なニーズを満たしてきた。しかし超コネクトしている世界においてそれらは遺物にすぎないのではないだろうか。

もしトレードショーがなくなるとしたら、それは段階的なプロセスとなり、本屋やレコード店のように(どちらも筆者が心から恋しく思っているものだ)文化的無意味の中にゆっくりと消えていくのではないかと筆者は常々考えていた。実際には、テクノロジーが社会におけるそうしたものの相対的価値を大きく減らした。

Spotify(スポティファイ)とKindle Store (キンドルストア)は、実在店舗にあるような存在感や魅力に欠けるというのはまぎれもない事実である一方で、利便性のために我々はそうしたものを喜んで犠牲にしている。

猛威をふるうパンデミックは、実にあっさりと会場開催のトレードショーなしの1年にした。つまり、我々はトレードショーに関するこの質問に、即時の制御変数以上のものを持っていた。2020年のCESはなんとかギリギリ開催できた。その次の大きな家電見本市であるMobile World Congress(モバイルワールドコングレス)は、かなり気を揉んだ末に結局中止となった。

2020年夏にベルリンで開催されたIFAの運営組織の動きと同様、CTA(CES運営組織)は2021年、規模を縮小しての会場開催を計画していた。しかし2020年7月にはそうした計画を実行できないことは明白だった。率直にいって、米国はウイルス拡大を食い止めるという点できちんと対応しなかった(この記事を執筆している日に、新型コロナによる米国の死者が40万人に達したということに触れないわけにはいかない)。

CES 2021はこの1年ですべてバーチャルで行われた初のテックショーというには程遠いものだったが、その一方でイベントの規模やスコープは比較的ユニークだ。CTAによると、2020年のショーには17万を超える参加者があった。筆者が2020年にバーチャルで参加したテックイベントの多くは1社によるものだった。CESは明らかに完全に異なるタイプのものだった。

業界におけるCTA(CESではない)の役割は、かなり親善的な意味合いが前提となっている。ショーの始まりは1960年代後半に遡る。その後衰退し、何年にもわたって拡大縮小はあるものの(2008年の金融危機のような外的要因の影響も受けた)が、続けられた。こうしたイベントにしばらく関わってきた私たちは、同じくらいの期待と恐れを胸に抱いてショーに臨みがちだ。しかしいつでも企業の参加がある。

CTAの数字によると、2000社近くが2021年のイベントでプロダクトを発表した。この数字は2020年の出展企業4419社よりも少ないが、それは想像できることだ。イベントの不確性に加えて、かなりの数の企業にとって著しく悪い年だった。私は疑問や疑念を持ち続けていた。その中でも主なものは、スタートアップにとっての、こうしたイベントの価値だった。実際に会場で行うという要素がなければ、スタートアップは騒音にかき消されるだけではないのか。

似たようなフィードバックをスタートアップからも聞いた。しかし最終的に700社近くが出展することを選択した。私はTechCrunchで取り上げる目的で最終的にそうしたスタートアップすべてに目を通したために知っている。この目を通すという体験は、ショーの隅々まで歩くのが困難だった年の記憶のようなものを筆者に思い出させた。結局、2021年は違う理由で困難を経験することになった。

究極的には、これは私が最も恋しく思うものだった。筆者にとってCESの最大の魅力は発見という要素だった。Sands ExpoでのスタートアップがひしめくEureka Parkは最高だ。展示者の大半は我々向けではないが、それでも筆者はそれまで見たこともない斬新でイノベーティブなものに刺激を受ける。自分の中に眠るブロガーの本能が目覚め、世界に伝えるためにすぐにノートパソコンの前に戻りたくなる。

2021年はEureka Parkがなかった。バーチャル版すらなかった。ショーのフロアをオンラインで再現させるいい方法はないのだ。少なくとも私は知らない。既知のスタートアップのいくつかは、筆者にプロダクトを郵送してきた。たとえばSensel(センセル)はトラックパッドの新バージョンを用意していた(同社は2021年1月19日にLenovoの最新ThinkPadに新トラックパッドが搭載されると発表した)。しかしスタートアップ全700社が、レビュー用のユニットをクイーンズにある筆者の寝室1つの住まいに送るなど不可能だ。

それにも増して、バーチャルイベントはこの規模でのイベントのテクノロジー面での限界を如実に示した。記者会見は非常にシンプルだった(CTAが展開したいくつかの異なるプラットフォームに私は不満を覚えたが)。多くの場合、記者会見は出展企業にとって長いコマーシャルのようなものだ。もちろん会場での開催の場合もそうだが、我々はショーに飲み込まれてしまう傾向にある。筆者自身の目的に関してはというと、プレスリリースでこれまで以上に効率的に完了させられなかったものはさほど多くなかった。

ニュースリリースの性質は2021年、はるかに曖昧なものだった。より多くの企業が、ショーに先立って大量のニュースを出すことを勝手に自分で判断したようだった。他の企業は独自にいわゆる裏番組を提供した。筆者の安心という視点では、こうしたイベントの最大のメリットの1つは、ニュースの流れのコントロールだ。かなりのニュースが発表された2021年初め、1本の髪の毛を引っ張るような難しい週になるだろうということはわかっていた。

重心に欠ける2021年のCESでは、筆者は整理されていないニュースの流れを目の当たりにすることを予想していた。筆者は過去数年、ハードウェアニュースに関して「低調なシーズンはもはやない」と同僚に話していた。そうした思いは増すばかりのようだ。明らかに物事を均等に広げることに良い面はある。しかし年間を通じたCESに似た一連の小規模イベントの開催に向かっているように感じる。こうした考えに、筆者は恐れを抱いている。

Apple(アップル)に続き、企業がCESのノイズの中から発信するより自社開催のイベントを好んでいるということは近年明らかになっていた。バーチャルイベントはそのアプローチを取り入れる完璧な機会だ。一方、Appleは1つのイベント開催から、これまでよりも小規模のイベントを年末に向けて複数回にわたって開催するスタイルへと移行した。イベントに出席するための国内移動、あるいは海外出張を控えなければならないとき、ニュースとしての価値の基準はかなり下がる。おそらく、何千もの企業が1つのイベントでメディアの関心を争う代わりに、何千ものイベントが開催されるというモデルに我々は向かっている。気が遠くなる。

CTAのフォーマットについて、筆者はかなり具体的な不満があるが、今後埋めることになるかもしれないイベント後アンケートのためにそれはとっておこう。それでも筆者は、バーチャルイベントに価値を見出した。馴染みのない数多くのスタートアップに話を聞くきっかけになった。しかし究極的には、CESのようなイベントには、あらゆる頭痛の種があることを証明するものになったと筆者は考えているが、それでも会場で開催するイベントには多くの価値がある。

CTAならびに似たようなイベントの開催組織が、会場でのイベント開催に戻りたくていら立っていることに疑いの余地はない。ワクチン接種が難航し、想定するタイムラインに大きな疑問符がついているにしてもだ。2020年、2021年を、トレードショー会場開催の終わりの始まりだと考える非常に良いチャンスだ。しかし2020年に我々が目の当たりにした限界のようなものを考えたとき、すぐに会場開催が完全になくなると宣言することはできない。

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カテゴリー:その他
タグ:CES 2021コラム

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(翻訳:Mizoguchi

検索広告のAdthenaがKantarの有料検索事業を買収

検索広告のコンサルタントAdthenaが、マーケットリサーチ企業Kantarとのパートナーシップを拡張して、Kantarの有料検索事業を買収することになった。

両社は2021年1月初めに合意を発表。それによりAdthenaのデータがKantarのインテリジェンスプロダクトに統合される。この買収により、Kantarの検索クライアントはAdthenaの一連のプロダクトにアクセスできるようになる。

Kantarは、2012年にAdGoorooを買収して有料検索ビジネスに参入した。当然ながら買収により、AdGoorooというブランド名は生き残らなかった。

AdthenaのCEOであるIan O’Rourke(イアン・オルーク)氏は声明で次のように述べている。「検索は広告効果を測定するバロメーターになりつつあるため、できるかぎり最良のインテリジェンスにアクセスできることが何よりも重要だ。Kantarの有料検索能力を獲得できたことは、同社とのパートナーシップと相まって、弊社が企業や代理店との新たな商機を開拓できることを意味している。それにより、弊社の成長も継続できるだろう」。

オルーク氏は以前、Adthenaが傑出しているのは、人工知能を活用し企業とその競合他社を見つけるために有料検索とオーガニック検索の両方で使われているすべてのキーワードを視覚化する同社の「市場の全体を展望する視点」のためだと語っている。

買収の財務的条件は公表されていないが、Adthenaによると、Kantarのチームのメンバーは同社に加わるという。

カテゴリー:その他
タグ:Adthena広告買収

画像クレジット:sesame/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

サムスン電子の李在鎔副会長に贈収賄事件で実刑判決、再び服役

Samsung Electronics(サムスン電子)の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長は、2017年の朴槿恵元大統領の失脚に関連した贈収賄事件の有罪判決の再審を受け、再び服役する。ソウル高等裁判所は米国時間1月18日月曜日、李氏に30カ月の判決を下した。

李氏は2017年に収賄罪で有罪判決を受け、懲役5年の判決を宣告されたが、控訴審での減刑と執行猶予がついた後に2018年に釈放された。しかし韓国の最高裁判所は2019年8月、控訴審の判決を覆し、甘すぎると判断して再審を命じた。

李副会長は、2020年10月に父親の李健煕(イ・ゴンヒ)氏が死去した後、サムスンの会長に就任すると考えられていた。また2014年に父親が脳梗塞で倒れて以来、李氏は事実上の財閥トップを務めてきた。しかし今回の判決で、サムスンでの後継者としての立場は不透明なものとなった。

李容疑者の容疑には、同容疑者が父親からサムスンの経営権を引き継ぐのに役立つ取引の支持を得るために、朴容疑者に賄賂を渡したことが含まれていた。この違法な贈賄は朴氏の弾劾、逮捕、25年の実刑判決につながった汚職スキャンダルでも、大きなポイントとなった。

また今回の贈収賄事件は李容疑者が関与していた別件で、不正会計と株価操作の疑いがある。事件の審理は2020年10月から始まっていた。

米TechCrunchは現在、同社にコメントを求めている。

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タグ:Samsung裁判

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

グーグルが約2180億円でFitbit買収を完了と発表、ただし米司法省は審査継続中とコメント

大西洋を挟んだ両側での規制の精査後、Google(グーグル)は米国時間1月14日朝、同社がウェアラブルのパイオニアFitbitの買収を完了したことを発表した。Googleによる膨大な量のユーザー健康データの使用は、長い間、取引の規制上の懸念の重要な問題点となっていた。結局のところ、ターゲット広告は、同社のビジネスの大部分の中核であり続けるからだ。

そんな事情から、GoogleとFitbitの両社が、買収に関してのそれぞれの声明で懸念に対処しようとしているのは当然のことだ。特にGoogleは、この取引はハードウェアがすべてであることをすぐさま指摘している。確かに、同社はこの垂直市場で苦戦してきた。フィットネスやウェアラブルカテゴリーでApple(アップル)と競合するためにGoogleがこれまでしてきた努力は、ひいき目に見ても、ムラがあるものだった。

Googleのデバイス・ハードウェア部門SVPであるRick Osterloh(リック・オスターロー)氏は次のように述べている。

この取引は常にデータではなくデバイスに関するものであり、我々は当初からFitbitユーザーのプライバシーを保護することを明確にしてきました。我々は世界の規制当局と協力して、Fitbitユーザーの健康とウェルネスデータがGoogle広告に使用されないことを確認する一連の拘束力のある誓約を含め、消費者のプライバシーに対する期待を保全するアプローチに取り組んできました。

また、フィットネストラッカーやスマートウォッチなどのデバイスとAndroidスマートフォンとの相互運用を可能にするAndroid APIへのアクセスを維持し、Fitbitユーザーがサードパーティのサービスへの接続を選択できるようにすることで、お気に入りのヘルス・フィットネスアプリをFitbitアカウントに同期することができるようにします。これらの取り組みは、すべての消費者が恩恵を受けることができるよう、世界各地で実施されます。また、世界中の規制当局と協力して、これらの約束を守っていることを保証できるようにしていきます。

Fitbitの共同創業者兼CEOであるJames Park(ジェームズ・パーク氏)は、同調してこう書いている

今後もユーザーの信頼を最優先し、データのプライバシーとセキュリティの保護を強力に維持し、ユーザーにデータのコントロールを提供するとともに、何をどのように収集し、なぜ収集するのかについて透明性を保っていきます。Googleは今後もFitbitユーザーのプライバシーを保護し、Fitbitユーザーの健康・ウェルネスデータがGoogle広告に使用されることはなく、このデータは他のGoogle広告データとは別個に保管されることを確認し、世界の規制当局との間で一連の拘束力のある誓約を結びました。また、Googleは今後もFitbitユーザーがサードパーティのサービスに接続することを選択できるようにすることを断言しています。

こうした種類の消費者デバイスによって収集されるデータのレベルと親密さは、過去10年間で大幅に増加しています。その事態をさらに激化させているのは、Fitbitやアップルのような企業が、自社製品が医療機器として、または少なくとも医療関連機器として、より真剣に受け止められるようにプッシュしていることです。両方の企業が、健康調査を委託し、FDA(米食品医薬品局)の認可を求め、保険会社と協力しています。こうした動きが高まり続けるのは間違いないでしょう。

21億ドル(約2180億6000万円)の取引を完了するのに、多くの譲歩が要求された。特にEUは2021年12月、最終的に買収を許可した際に多くの注意事項を提示した。EUはその際「Googleが収集したデータを広告目的でどのように使用できるか、競合するウェアラブルとAndroidの間の相互運用性をどのように保護するか、そしてユーザーが選択した場合、健康・フィットネスのデータをどのように共有し続けることができるかを誓約が決定する」と指摘している。

取引の一環として、Googleは10年間、Fitbitのデータを広告目的に使用しないことに合意した。欧州委員会は、さらに10年その誓約を延長する権利を保持した。Googleはまた、競争を維持するために、サードパーティ開発者のAndroid APIへのアクセスを維持することに合意した。

2007年に設立されたFitbitは、ウェアラブル・フィットネストラッカー分野の代名詞となった。しかし最終的には、スマートウォッチの登場で優位性を維持するのに苦労し、最終的にはApple Watchに大きなシェアを譲ることになった。同社は最終的にVersaのようなデバイスでこの分野で躍進を遂げたが、その頃には、独自に存続するには遅すぎると思われていた。

Android Wear / Wear OSで突破口を開こうとして同社が苦戦し続けていたことを考えると、この取引は確かにGoogleにとって理に適っている。Fitbitにより、同社は確立されたハードウェアメーカーを取得する。これは同社が、携帯電話のPixelラインを成長させるために行なったHTC資産の購入とまったく異なるわけではない。しかし、Fitbitブランドには残しておくだけの十分なキャッシュがまだある。特筆すべきは、Fitbit自身のスマートウォッチ分野での成長は、スマートウォッチのパイオニアであり、クラウドファンディングの寵児であるPebbleを含む、いくつかの独自の買収によって拍車がかかったことだ。

2019年後半には、GoogleもTimexのスマートウォッチ技術を4000万ドル(約41億5000万円)で買収しており、同社がApple Watchに直接挑戦する可能性は極めて高い。この製品はAppleにとって大ヒットしただけでなく、最近ローンチされた「Fitness+」をはじめとするあらゆる種類のヘルスサービスへの扉を開いたことを考えれば、無理はない。2021年のCESが何かを証明したとすれば、それは、ホームフィットネスは多くのアップサイドを持つ、サムスンも参入してきた巨大なビジネスであるということだ。

【更新】米司法省は調査が進行中であることに言及し、明確化するコメントを発表した。

GoogleによるFitbitの買収に関する(米司法省)反トラスト局の調査は、現在も継続中です。当局が執行措置を求めるかどうかについて最終決定には至っていませんが、当局は、GoogleによるFitbitの買収が米国内の競争と消費者に害をおよぼす可能性があるかどうかの調査を継続しています。引き続き、可能な限り徹底的に、効率的に、迅速にこの調査を行い続けることに尽力する所存です。

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(翻訳:Nakazato)

2021年最も働きがいのある米国のテック企業、スタートアップベスト10(Glassdoor調べ)

Glassdoor(グラスドア)が2021年に「最も働きがいのある米国企業」の年間ランキングを発表した。その中から大企業(従業員数1000人以上)と中小企業で、上位10社のテック企業を抜き出してみた。

大企業のリストは、従業員数1000人以上の企業の中から、そこで働く従業員のフィードバックに基づいてランキングが作成されている。Glassdoorでは、従業員がその会社のCEO、出世の機会、報酬と福利厚生、文化と価値観、ワークライフバランスといった項目で企業を評価している。大企業でランクインするためには、各属性ごとにそれぞれ75件以上の評価を得る必要がある。中小企業ランキングでは、会社が75件以上の評価を必要とする。

それでは、Glassdoorによる米国で働きたいハイテク企業トップ10をご紹介しよう。カッコ内には、ベスト100企業における各社の総合順位と平均従業員評価が記載されている。

2021年テック系企業ベスト10

1位 NVIDIA(エヌビディア)[総合2位、4.5点]
2位 HubSpot(ハブスポット)[総合4位、4.5点]
3位 Google(グーグル)[総合6位、4.5点]
4位 Microsoft(マイクロソフト)[総合9位、4.5点]
5位 Facebook(フェイスブック)[総合11位、4.4点]
6位 LinkedIn(リンクトイン)[総合13位、4.4点]
7位 DocuSign(ドキュサイン)[総合15位、4.4点]
8位 KnowBe4(ノウビフォー)[総合16位、4.4点]
9位 Salesforce(セールスフォース)[総合17位、4.4点]
10位 RingCentral(リングセントラル)[総合18位、4.4点]

そしてGlassdoorの中小企業ランキングよると、2021年に就職すべきテック系スタートアップのトップ10は以下のとおりだ。

2021年テック系スタートアップベスト10

1位 Ike(アイク)[総合3位、4.9点]
2位 Harness(ハーネス)[総合6位、4.9点]
3位 Lendio(レンディオ)[総合8位、4.9点]
4位 Jobot(ジョボット)[総合9位、4.9点]
5位 Lower(ローワー)[総合10位、4.9点]
6位 Orchard(オーチャード)[総合16位、4.8点]
7位 SimplrFlex(シンプラフレックス)[総合17位、 4.8点]
8位 Flockjay(フロックジェイ)[総合21位、4.8点]
9位 Wonolo(ウォノロ)[総合24位、4.8点]
10位 Thrasio(スラシオ)[総合27位、4.8点]

【注記】総合14位にランクインしたAsana(アサナ)は公開企業であるため、このリストから除外した。また、Ping Identity(ピン・アイデンティティ)も、従業員数が1000人近くに達しており、まず間違いなくスタートアップの段階を超えているため、このリストから除外している。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Saildroneが水深7000メートルまで自律して海底をマッピングする全長22メートルの無人水上艇を発表

海底のマッピングは驚くほど重要な事業であり、海運、沿岸保護、深海資源の収集など、さまざまな活動に役立っている。また、非常にコストと時間のかかる活動でもあり、関係者にとっては過酷で危険な作業となることもある。Saildroneは、乗組員をまったく必要とせず、作業する海洋環境にほとんど影響を与えないたくさんのマッピングを行える自律探査船を開発することに焦点を当てたスタートアップだ。

Saildrone社の最新のロボット海洋探査船は、最大で全長72フィート(22メートル)の無人水上艇(Uncrewed Surface Vehicle、USV) である「Surveyor(サーベイヤー)」だ。Surveyorは、最大12カ月間の長期にわたり海上に滞在でき、風(それで大きな帆のような構造があるが、実際にはヨットの帆のようには使われない)と(水面上に点在するソーラーパネルを介して)太陽から電力を得ている。センサー機器には、7000メートルの海底までマッピングすることができるソナーが含まれている。これは海の最深部の一部ほどではないが、平均的な水深約3700メートルをカバーするのに十分なものだ。

Saildrone社が指摘するように、人類は現在までに地球の海の約20%しか実際にマッピングしていない。これは、火星や月の表面よりも自分たちの海についての知識が少ないということだ。同社は、全長23フィート(7メートル)のExplorer(エクスプローラー)モデルで、この最後の大きなフロンティアをよりよく理解することに貢献してきた。今回の大型船は海底マッピングだけでなく、海のより多くの部分で水柱を占める様々な生物の遺伝子構造に関する理解を深めるため、ニューハンプシャー大学とモントレーベイ水族館研究所が開発したセンサーを使用して、新しいDNAサンプル収集の取り組みにも貢献することになる。

【Japan編集部】Saildroneが以前開発したSD 1021として知られる全長23フィート(7メートル)の無人水上艇は、2019年10月に大西洋の東から西への横断を達成した初の自律艇となった。

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(翻訳:Nakazato)

Uberと米製薬会社Modernaがなかなか進まない新型コロナワクチン接種の啓発、促進で提携

Uber(ウーバー)と製薬会社Moderna(モデルナ)は新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンに関してさまざまな取り組みを含む提携を発表した。さしあたって決定しているのは、新型コロナワクチンの安全性について信頼できる事実に基づく情報をUberの消費者向けアプリを通じてユーザーに提供することだ。しかし両社は、ワクチン接種予約プロセスにUberを通じた乗車のスケジューリングを直接組み込む「オプション」も検討した。

米国の新型コロナワクチン接種プログラムは、まだ初期段階ではあるが難題に直面している。ここには、ワクチンを最も必要としている人々にタイムリーにワクチンへのアクセスを提供することが含まれる。ワクチン接種プログラムはまた、ワクチンの安全性に関するソーシャルメディア上でのかなりの誤情報拡散とも戦わなければならない。Uberのような利用者が多いアプリは前向きなメッセージと正確な情報を多くの人の目に触れさせることができるため、この取り組みはいいニュースだ。

しかし効果的なワクチンキャンペーンを展開する上でかなり難題となっているものの1つはロジスティックであり、Modernaワクチンの1回目と2回目の接種の予約をとるよう促すことは多くの人が考えていた以上に大きな課題だ。筆者はHealthvanaのCEO、Ramin Bastani(ラミン・バスタニ)氏にロサンゼルス郡との取り組みについて聞いた。同社は患者にタイムリーな情報とワクチン予約についてのリマインダーを提供するためにApple Walletを活用してワクチン接種記録を作るという取り組みを展開している。だが、大半のユーザーがすでにスマホにダウンロードしているUberアプリに乗車予約サービスや予約リマインダーを直接組み込むことは、1回目と2回目のワクチン接種率を高めるのにかなり有効な別の方法となり得る。

Uberはすでに、実際に出かけてワクチン接種を受けるのにともなう壁を下げようと、無料あるいは割引運賃での乗車を提供している。プロダクトレベルの統合は、簡単でユーザーフレンドリーなアクセスを提供することでより効果があるかもしれない。前述の通り、これはまだ協議中のオプションの1つにすぎないが、もしUberとModernaが積極的に実行するとすれば、それは少なくとも両社が方法を見つけるのに真剣であることを意味する。TechCrunchは両社の動きをマークし、このコラボレーションの進展についてはフォローアップするのでご安心を。

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(翻訳:Mizoguchi)

テック界のリーダーたちが米議事堂暴動でSNSの役割に対して声を上げる

トランプ大統領支持の過激派たちが米国議会議事堂を激しく襲撃した後、多くのテック企業幹部や業界リーダーがTwitter(ツイッター)のCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏とFacebook(フェイスブック)のCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏に、大統領のメッセージの拡散と暴力支持をより積極的に抑制するよう求めている。

トランプ大統領が過激派たちのことを「とても特別」と呼んで家に帰るよう促すビデオを公開したあと、FacebookTwitterはコンテンツを削除した。Twitterは同社ルールの「将来の違反」はアカウントの永久停止につながると警告し、トランプ大統領のTwitterアカウントを少なくとも12時間凍結する措置を取った。

長い精査を経て、TwitterとFacebookはようやく今回の暴動によってトランプ大統領の扇動的なツイートやメッセージに対応することになった。この件はまだ続いており、テック界の一部の有名な人物は暴動の原因は選挙に関する誤情報を無視して拡散させたプラットフォームにあるとしている。誤情報の拡散はトランプ政権が終わろうとしている現在、暴力的なレトリックの動きを制御不能にした。

Twitterの初期投資家の1人であるChris Sacca(クリス・サッカ)氏は「(ジャック)そしてザック、あなたたちに責任があります。4年間、あなたたちはこの恐怖の種を正当化してきました。暴力的な反逆を扇動することは言論の自由ではありません。もしあなたがそうした企業で働いているのなら、これはあなたの責任でもあります。アカウントを閉鎖しなさい」。

Reddit(レディット)の共同創業者、Alexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏はサッカ氏の発言にこう付け加えた。「子どもたちのために答えなければならない、難しい疑問がたくさんあります」。オハ二アン氏は2020年のBlack Lives Matter(黒人の命も大切だ)抗議活動をきっかけに役員を退いた。

Facebookの元セキュリティ最高責任者のAlex Stamos(アレックス・スタモス)氏は「ラベリングは意味をなさず」、TwitterとFacebookは「トランプを排除しなければならない」として両社とも行動を起こす必要があると書いている。

テックプラットフォームは、誤情報の発信と陰謀論で結びついているグループの問題を野放しにしているとして、これまでに幾度となく集中砲火を浴びてきた。Twitterの直近の対応は誤情報の可能性があるツイートにフラッグを立てるという措置の導入だった。

テック投資家でRedditの元CEOであるEllen Pao(エレン・パオ)氏は、今日のカオスはドーシー氏が行動を起こさなかったことに直接つながっていると主張している。パオ氏と、テック企業の元創業者でCEOのLaura Gómez(ローラ・ゴメス)氏は2020年11月、トランプ大統領が「クーデター」を扇動するのにTwitterを使用していると明確に非難し、ドーシー氏にトランプ大統領のツイッター上での影響力を制限するよう求めていた。

「我々は正しいことをするよう彼らに伝えました。彼らはしませんでした。そして今こういう事態になっています」とパオ氏は本日Twitterに書いている。

このほどGoogle(グーグル)のAIチームから解雇されたトップの研究者であるTimnit Gebru(ティムニット・ゲブル)氏はFacebookとTwitterを厳しく非難したが、より厳しい非難の矛先をYouTubeに向けた。同氏はYouTubeがヘイトスピーチを促進していることに関して「注目を浴びないよう完全に逃れてきた」としている。

暴動者たちのことを「特別な人々」と呼び、家に帰るよう促しているトランプ大統領の最新の動画はTwitter、Facebook、YouTubeから削除された。

Facebookのインテグリティ担当バイスプレジデントのGuy Rosen(ガイ・ローゼン)氏は、暴動は「緊急事態であり、トランプ大統領の動画削除を含め、適切な緊急措置を取っています。動画は現在も続いている暴力のリスク抑制に貢献しないと判断して削除しました」とツイートした。Facebookは公式な声明文も出している

大統領就任式まで2週間となり、プラットフォームは引き続き平和的な政権交代を守るという点で重要な役割を果たす。本日の事件は転換点のようだ。テロリズムにより、シリコンバレーのテック業界の人たちは業界で最もパワーがあるリーダーたちを非難し、さらなる暴力沙汰が起こる前に行動するよう促すことになった。

「@jack、@vijaya、@kayvz、単刀直入にいわせてもらいます。少なくとも明日はドナルド・トランプのアカウントを停止させなければ、この議事堂暴動はあなたたちの責任にもなります。残念ながらトランプはここ数日、主にあなたたちのツールを使って暴動を扇動してきました。あなたたちはいま行動する必要があります」とテックジャーナリストのKara Swisher(カラ・スウィッシャー)氏はTwitterへの投稿に書いた。

カテゴリー:その他
タグ:ドナルド・トランプアメリカ米国大統領選挙SNSTwitter、Facebook

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

トランプ氏支持者の集団が大統領選挙の不正を訴え米国議会議事堂を襲撃

米国時間1月6日、Donald Trump(ドナルド・トランプ)氏支持者の大群衆が米国議会議事堂に押し寄せ、ワシントンD.C.で混沌とした光景が展開された。

トランプ氏支持者たちは、ホワイトハウスの外でトランプ大統領が開催した集会に出席するために首都に殺到した。この集会は、Joe Biden(ジョー・バイデン)次期大統領の選挙における勝利を認定する審議に集まった議員たちに抗議するためにタイミングを合わせたものだ。

トランプ氏は自身のイベントで、Mike Pence(マイク・ペンス)副大統領が選挙結果を覆す力を持っていると誤った主張をし、議会に対するデモを続けるよう支持者に促した。記事執筆時点の同日夜になっても事態はまだ収束していないが、デモ隊が議会議事堂の建物に侵入し、少なくとも1人の銃撃による犠牲者(Twitter投稿)を含め、複数名の負傷者が確認されている。

Video from the chamber. pic.twitter.com/UKF7MScHKN

— Matt Fuller (@MEPFuller) January 6, 2021

会議場からの映像

There’s pounding on the chamber door. Guns are drawn by police officers. Those of us left are laying low on the floor of the gallery.

— Emily Cochrane (@ESCochrane) January 6, 2021

議場のドアを叩く音がする。警官が銃を振り回している。残った者は傍聴席の床に伏せている。

PHOTOS: Protestors breached the Senate chambers following a “March for Trump” demonstration in response to Congress certifying Electoral College votes for Joe Biden today. Capitol Police are leading evacuation efforts following a shelter in place order for lawmakers and reporters pic.twitter.com/oLTf85Ga3Y

— Axios (@axios) January 6, 2021

写真:今日のジョー・バイデンのための選挙人投票を認定する会議に対し、「トランプのためのデモ行進」後、上院会議場に乱入した抗議者たち。合衆国議会警察は、議員や報道陣に避難命令を出した後、退出を先導している。

【Japan編集部】US記事に掲載されていたツイートを確認できない状況になっているため、US記事に残されたツイート本文を翻訳、掲載する。

トランプ支持者が「Make America Great Again(アメリカを再び偉大な国に)」と書かれた帽子や「Stop the Steal(盗むのはやめろ)」と書かれた横断幕を持って議会議事堂の階段に殺到すると、大統領はさらに陰謀論的な話で彼の支持者を励ました。「マイク・ペンスは我々の国と憲法を守るために行われるべきことをする勇気がなかった。以前に証明を求められた不正や間違いではなく、事実を証明する機会を国に与えるべきだったのだ」「USAは真実を要求する!」と、トランプ氏はツイートに書いている(Twitter投稿、現在は閲覧不可)。

Twitter(ツイッター)は、この選挙不正を主張するトランプ氏のツイートに「異論あり」という警告ラベルを付けた。現在は「このツイートはTwitterルールに違反したため表示できません」となっている。

支持者の集団が議会議事堂に乱入した後、大統領は支持者に平和的でいるように呼びかけ、扇動するような態度は収めたように見えた。

Stop the Steal運動(未訳記事)は、民主党が何らかのかたちで大統領選挙を不正操作したというトランプ氏の根拠のない主張を後押しするネット上の陰謀から生まれた。実際には、米国の選挙結果は、新型コロナウイルス(COVID-19)による郵送投票の大幅な増加により、予想されたとおり、開票に時間がかかったものの、バイデン氏に断固として有利な結果となった。

Facebook(フェイスブック)は、選挙後すぐにStop the Stealグループを抑制する(未訳記事)働きを行い、選挙の誤報に関連するルールに違反しているとしてハッシュタグをブロックした。「このグループは選挙過程の非合法化に向けて組織されたものであり、グループの一部のメンバーによる暴力を求める声が懸念されていました」と、Facebookの広報を担当するAndy Stone(アンディ・ストーン)氏は当時述べていた。

Stop the Stealの支持者はFacebook以外にも、Reddit(レディット)やTwitterのほか、Gab(ギャブ)やParler(パーラー)など(未訳記事)、多くのソーシャルネットワークに足がかりを見つけていた。GabやParlerは極端な投稿にも友好的なポリシーを掲げることから、極右ユーザーを惹き付けている。議事堂の群衆は、ここ数年の間にFacebookYouTube(ユーチューブ)などのオンラインプラットフォームで爆発的に広まった陰謀論の集合体であるQAnon(キューアノン)ともかなり重複している(Twitter投稿)。

6日の演説でジョー・バイデン次期大統領は、議会議事堂で展開されている出来事は「治安妨害に近い」と述べ、「大統領の言葉は、最善の場合は民衆を鼓舞するが、最悪の場合は扇動することもある」と語った。

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画像クレジット:Bill Clark / Contributor / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

最終的にニューヨーク証券取引所は中国の通信大手3社を上場廃止に

ニューヨーク証券取引所(NYSE)は米国時間1月6日朝、中国の大手通信事業者3社の上場廃止を発表した。この動きは先週発表されたものだが、1月4日には撤回されるとみられていた

これは、中国軍部を支援する企業への米国からの投資を禁止するトランプ政権の広範な命令を受けたものだ(トランプ大統領は別の命令でTikTokを禁止しようとしている)。

なぜ判断は二転三転したのだろうか?ニューヨーク証券取引所は公平を期するために、執行命令が適用されるかどうかを評価する間、通信キャリアの取引継続を許可するとだけ最初は述べていた。

しかし、判断は完了したようだ。本日の発表でニューヨーク証券取引所はChina Telecom(中国電信)、China Mobile(中国移動通信)、China Unicom(中国聯合通信)の3社に行政命令が適用されることを確認した「具体的な新ガイダンス」を受け取った後、この決定を下したと述べている。

この結果、米国東部時間1月11日午前4時からこれらの3銘柄すべての取引が停止されることになった。ニューヨーク証券取引所を経由した同通信キャリアの取引高は、取引可能な株式全体に占める割合が小さいことから、この動きは象徴的なものとなるとみられている。

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カテゴリー:その他
タグ:ニューヨーク証券取引所中国

画像クレジット:Siegfried Layda / Getty Images

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

P&Gは米連邦取引委員会の訴訟を受けて女性向けカミソリのスタートアップBillie買収を断念

Procter & Gamble(プロクター・アンド・ギャンブル、P&G)は、以前から計画していた(Businesswire記事)女性向け美容製品のスタートアップBillie(ビリー)の買収を、米連邦取引委員会(FTC)からの中止を求める法的措置を受けて断念した。2020年12月、FTCはニューヨークのスタートアップBillieのP&Gによる買収を阻止しようと起訴(未訳記事)。Billieは女性向けのカミソリやその他の美容品を製造しているが、この2社が合併すればカミソリを使ったウェットシェービングの市場に競争がなくなってしまうという理由からだ。

米国時間1月5日、P&GとBillieは共同声明を発表し、この取引を解消に追い込んだ合併を阻むFTCの措置に苦言を呈した。

私たちはFTCの決定に失望し、BillieとP&Gの合併には世界中のより多くの消費者によりよい製品を提供する素晴らしい可能性があると主張しました。しかしながら熟考の末、長期におよぶ法的異議申立に勢力を費やすことはせず、今回の取引を解消し、私たちが本来専念すべき事業に資源を集中することを双方で合意しました。

Billieは女性向けカミソリの市場における、いわゆる「pink tax(ピンクタックス)」を排除したことで有名になった。ピンクタックス(ピンク税)とは、同等の製品でも男性向けよりも女性向けのほうが高い価格帯で販売されることを指した言葉だ。近年では、自然志向が強い美容市場にも幅広く行き渡っている。つまり硫酸エステル、パラベン、ホルムアルデヒド、科学調味料、アルコール製剤、合成着色料、香料、安価な発泡剤、不安定なシリコン、酸化防止剤などを使用しない製品だ。

またこのスタートアップは、そのミッションとソーシャルメディアやウェブの世界での現代的で、ときには進歩的なマーケティング手法に反応した、Z世代やミレニアル世代などの特に若い消費者の取り込みに成功している。その広告では、体毛を露わにした女性を使うなど、昔ながらの社会的期待を逆なでするようなメッセージを発している。広告に登場する女性は、カミソリの宣伝であったとしても、最初から毛のない滑らかな肌を見せるものとされてきた。

Billieは、女性は自分の体毛を好きなように扱うべきだが、剃りたい方には手頃な価格のカミソリを喜んでお売りしますと宣伝している。

もうひとつBillieでおもしろい点は、そのビジネスモデルだ。同社は替え刃をサブスクリプションで消費者に届けている。これにより収益は増大し、顧客ロイヤリティも向上した。

P&Gとの買収より前に、Billieは販売実店舗の拡大を計画していた。それによってBillieのブランドはP&G製品との直接的な競合相手になるはずだったとFTCはいう。

「売上げが伸びれば、Billieは実店舗を増やしてP&Gの強敵になるはずでした」とFTC競争局長Ian Conner(イアン・コナー)氏は、2020年12月に発表された声明で述べていた。「もしP&GがBillieの強敵としての急成長を食い止めることに成功すれば、消費者は高い商品を買わされる羽目になります」と彼はいい加えた。

FTCによる訴訟の結果、両社は法廷闘争は行わず、合併計画を中止することに決めた。

FTCは本日発表されたリリースで、この判断を賞賛している。両社の合併断念の判断をReuters (ロイター)も報じている

「Procter & GambleのBillie買収断念の判断は、低価格で高品質で革新的な製品を評価する消費者にとって、良いニュースだった」とFTCは声明で述べている。「Billieは、他と同等のカミソリを上乗せ価格で買わされることに嫌気がさしている消費者を広告のターゲットとする直販業者だ。FTCは、Billieから活力ある競争を排除してしまう恐れがあることから、その合併に法的措置を講じる決断をした」。

これは、FTCが2020年に行った2つめの独占禁止訴訟となる。これ以前に、Schick(シック)のカミソリを製造しているEdgewell Personal Care(エッジウェルパーソナルケア)が、これもまたカミソリの直販ブランドであるスタートアップHarry’s Inc.(ハリーズ)を13億7000万ドル(約1400億円)で買収(未訳記事)しようとしたところをFTCは訴訟で阻止している。その結果、この合併話も流れた。

カテゴリー:その他
タグ:P&GBillie買収FTC

画像クレジット:Billie

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(翻訳:金井哲夫)

中国の通信大手3社上場廃止計画をニューヨーク証券取引所が撤回

誰にとっても予想外だったが、米国時間1月4日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)は、2020年12月31日に発表された中国の大手通信事業者3社の取引除外を撤回するという声明を出した

除外は、中国の軍部や諜報および安全保障部門に供給とサポートを提供しているとみなされる企業への投資を禁じる(The White Houseリリース)トランプ政権の政策の一環としてChina Mobile、China Unicom、China Telecomの3社を対象にしていた。

現在のブラックリストには35社が掲載されており、その中には上記3社の通信企業の親会社やHuawei(ファーウェイ)、中国の大手チップメーカーであるSMICなどが含まれている。

ニューヨーク証券取引所は除外取消の理由として「関係規制当局とのさらなる協議の結果」を挙げている。発表によると、3社の上場と取引は継続するが、彼らへの大統領令の適用可否と彼らの上場状態についての評価は続けるという。

ニューヨーク証券取引所で約20年もの間取引されていた通信大手3社の除外を、一部の専門家は象徴的意味合いに過ぎないと考えている。これら企業のニューヨークにおける取引量は、取引可能量のごく一部でしかない。したがってニューヨーク証券取引所からの除外は、企業の成長と一般的なマーケットパフォーマンスに大きな影響を与えない、とChina Securities Regulatory Commission(中国証券監督管理委員会)は米国時間1月3日の声明で述べている(CSRCリリース)。

同委員会は続けて「米国の一部の政治的勢力による最近の動きは、米国市場に上場している外国企業を継続的かつ根拠なく抑圧し、グローバルな資本市場における自らの立場をも損壊しようとしており、米国の規則と機関が恣意的で無責任で気まぐれでありうることを示している。米国側がマーケットへの尊敬の念と法的規則への敬意を示し、グローバルな金融市場の秩序と投資家の正当な権利および世界経済の安定性と育成に貢献することを望みたい」と述べている。

最近では米国で上場している中国企業の多くが、香港におけるセカンダリー上場を選択している。すでにAlibaba(アリババ)とJD.com(Reuters記事)とNetEaseが香港でデビューし、他にも多くのテクノロジー企業が帰郷を検討している。中国のテクノロジー大手は米国政府による締めつけの可能性を憂慮しており、また、アリババの香港における成功を自分も経験したいと願っている。また、中国の優良テクノロジー企業を呼び戻すために2019年に導入されたNASDAQ方式の取引所(未訳記事)にも、彼らは資金調達の機会を見出している。

関連記事:アリババが香港証券取引所で2兆円超の二度目の上場を検討中

カテゴリー:その他
タグ:ニューヨーク証券取引所中国

画像クレジット:Spencer Platt / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アリババ創業者ジャック・マー氏が2カ月間公の場から姿を消す、Twitterで話題に

世界の関心がJack Ma(ジャック・マー)氏の行方に集まっている。Alibaba(アリババ)とAnt Group(アントグループ)の億万長者創業者が2020年10月下旬以降、公の場で姿を見せていないと報道されている。

2020年10月24日にマー氏は、中国の金融システムに対する激しい批判を高官の前で行った。数日後に中国当局はAntのIPOを突然停止したが、これはマー氏の演説が物議を醸したためだと考えられている。その後、中国政府は比較的規制の緩い環境で繁栄してきたフィンテック大手に対して、法に基づいて事業を「修正」するようにと命じた。これにより、Ant Groupの未来は宙に浮いている。

同時に、中国の規制当局は、独占的行為の疑いについてAlibabaに対する前例のない調査を開始している。

歯に衣着せぬ物いいで知られているマー氏は脚光を浴びることが好きなことでも知られているため、彼が制作したアフリカのテレビ番組の最終回(Bloomberg記事)を含む最近のイベントでその姿を見せないことが話題になっていることは驚くに当たらない。経済学者からジャーナリストまで、Twitter(Twitter)の世界では、次のように注目している。

「アフリカのコンペ番組Business Heroesに関しては、マー氏はスケジュールの都合で最終回を欠席せざるを得なかった」とAlibabaの広報担当者は述べている。

中国のツイッターと呼ばれるWeiboは「ジャック・マー 行方不明」の検索をブロックしなかったが、投稿には「いいね」や「再投稿」がほとんどない。中国のインターネットのどこかでは、WeChatの複数のグループの中では、マー氏が「消された」か、または国外逃亡したという憶測が飛び交っている。

しかしながら、かなり前からマー氏がAlibabaの日常的な経営活動から退いていることを忘れてはならない。2019年10月に彼は、同社の会長としての権限を公式に後継者のDaniel Zhang(ダニエル・チャン)氏に渡している。しかし実際には彼は、いわゆる上級管理職のグループで、取締役の任命権があるAlibaba Partnershipの終身パートナーとして、同社のeコマース事業に相当な指揮権を持っている。

中国では、大物が難事を避けるために身を隠すことがよくある。AlibabaのライバルであるJD.comの派手好きの創業者Richard Liu(リチャード・リュウ)氏は、レイプの罪で訴えられた後、2020年は重要な政治的イベントを欠席した(South China Morning Post記事)。Tencentの創業者Pony Ma(ポニー・マ)氏は、すでに世間の注目を集めておらず、1年近く公の場に姿を見せていない。情報筋によると、彼は背中に慢性の疾病を抱えているというが、2020年は一部のイベントに音声メッセージでバーチャル出演した(The Paper記事)。

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タグ:Jack MaAlibabaAnt Group中国

画像クレジット:Jack Ma

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

メディアとスタートアップにおける「黄金の釜」論

週が改まれば、また新しいニュースレターが届く。今週は、近年Politico(ポリティコ)から独立したJake Sherman(ジェイク・シャーマン)氏、Anna Palmer(アンア・パーマー)氏、John Bresnahan(ジョン・ブレスナハン)氏らが執筆する政治問題を中心としたニュースレターPunchbowl(パンチボウル)の話題だ。この件に関しては、Ben Smith(ベン・スミス)氏も記事(NTYimes記事)を書き、さらにThe Daily Beast(デイリー・ビースト)のMaxwell Tani (マックスウェル・タニ)氏もたっぷりと詳細な記事(The Daily Beast記事)を書いている。

なぜ私たちは、Politico Playbook(ポリティコ・プレイブック)、Axios(アクシオス)、The Daily 202(ザ・デイ202)など、ベルトウェイ(訳注:ワシントンD.C.の別称)の政治を分析するニュースレターがすでに数多く存在する中で、さらに新たなニュースレターが必要なのか。実際、なぜ私たちは、スタートアップ企業を紹介するテック系ニュースレターの情報をこれほど大量に必要とするのか(私が数えた限りでは、この業界を対象としたニュースレターは少なくとも数千はある)。なぜメディアの世界では、かつてはもっぱらロングテールのことを伝えるものとされていたニューメディア系スタートアップが、おしなべて同一のニッチ市場ばかりを繰り返し報道するようになったのか。

そこにあるのが黄金の釜だ。メディアは、他の数あるスタートアップ市場とは少し違っている。多様な製品のための永遠の需要があるように見えるが、大きな金が動く需要はほんのひと握りだ。

メディアには、ワシントンD.C.の政治スクープや投資銀行、M&A、ベンチャーキャピタルに関するニュースによって勝者が大量の読者を勝ち取り、おまけにサブスクリプションや広告による大量の収益も獲得できるという、古風で小さなスタートアップの世界がある。ニッチ市場は他にも山ほどあるのだがリーダーシップ、ユーザー、収入源が限られているために疲弊している。

いい換えればそこは、勝者総取りのトーナメント方式の市場であり、高い勝率でそこそこの収益を得るよりも、一攫千金を狙いたくなる場所なのだ。医療の世界では「全員」がガンの治療を目指す。熱帯病の治療はほとんど見向きもされない(治療できれば無数の人たちが恩恵を受けるに違いないのだが)。結局、ノーベル賞が授与されるのは、単に優れた科学ではなく、一定の注目度のある当代で最大の進歩だ。スタートアップ企業の創設者は、最大のビジネスと最大の顧客市場を目指す。市場を席巻することもない、ちょっとした便利なアプリではない。

ユニコーン企業は小さな市場からは生まれない。

もちろんこのモデルは、多くの市場に大きな負の外部性をもたらす。米国会議事堂周辺で、またはサンドヒルロード(訳注:ベンチャー投資会社が建ち並ぶシリコンバレーの道路)沿いで「最初に読まれるニュースレター」となるための競争がもたらすのは、幅広いさまざまな意見からなる選択肢ではなく、まったく同じ問題のまったく同じ分析の過剰な押しつけだ。新しいマーケティングテクノロジーや州議会などの報道は、もっとたくさんあってしかるべきだ。

スタートアップにおいて、たとえばフィンテックの極めて重要なレイヤーへの参入口は無数にある。資産管理のスタートアップや投資信託の自動投資(いわゆるロボアドバイザー)に特化した製品ですでに使われているものは、少なくとも50、いや100はある。それでも中には大儲けできるレイヤーもあるため、分別ある企業創設者は大抵口を揃えてこういう。「この道の先で報酬を手に入れる」と。

自由市場とは、そうしたニッチな分野でうまく回っていくものと思いたい。ワシントンD.C.のメディア界で注目を集めるための、または資産管理業界でユーザーを獲得するための競争においては、極限までコストを下げ、市場のパイをうんと小さく切り分けて、新規参入者には魅力が薄く、他のニッチ市場のほうがもっと大きな勝算があるように見せさえすればよい。

パイがどんどん分割されるようになれば、それが実現する。だがこの10年間の経験から私が思うに、そうなる可能性は低い。ワシントンD.C.の政治は、政治報道にとって黄金の釜だからだ。スクープを勝ち取るのは、3つのニュースレターの中の1つと決まっている。ウォールストリートのM&A情報は、ビジネスジャーナリズムの黄金の釜だ。最も重要な情報源を集中管理するひと握りの記者が、スクープを独占している。ベンチャー投資に関する報道は、スタートアップメディアの黄金の釜だ。TechCrunchと仲良しの競合他社数社が毎日懸命に記事を書いているのはそのためだ。

いつでも新しい市場が生まれ、古い市場は拡大し縮小していく。どこからともなく突然現れて、その独創性とまったく新しい分野を生み出してはまばゆく輝くスタートアップは必ず存在する。しかし、そのようにして誕生したユニコーン企業もみな、既存の大きな市場の中から生まれた他の10社ほどと、勝者だけに贈られる大きな報酬を競い合っている。

投資家が、1つの分野で15のスタートアップに投資したいと考えても何ら悪いことはない。報酬が得られるのだから、少なくとも報酬があると信じる場所であるからそれは道理だ。変革すべきは、他のニッチに、イノベーションのための同様の動機をもたらす方法だ。もっと多くの市場が黄金の釜を提供できるようにするには、どうすればよいのか。そもそも、そんなことが可能なのか。それとも私たちは、McConnell(マコーネル)、Schumer(シューマー)両上院議員の策謀を伝える100本のニュースレターをマコーネル氏の広告つきで読み続ける運命にあるのだろうか。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:コラム

画像クレジット:LEONELLO CALVETTI

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(翻訳:金井哲夫)