賃貸の敷金に代わる保険商品を販売するRhinoが98.5億円を調達

米国時間1月26日、Rhino(ライノ)は9500万ドル(約98億5000万円)の資金を調達したことを発表した。これで同スタートアップの総調達金額は5億ドル(約518億5000万)弱となった。ラウンドをリードしたのはTiger Globalで、Rhinoはこの投資を「プレIPO」であると本誌に語った。

Rhinoは不動産屋向けに保険商品を提供しており、これを利用することで業者は伝統的な敷金を排除し、同様の役割を果たす保険商品を賃借人に通常料金で提供できる。

Rhinoは資金調達のニュースとともに、近年同社契約の年間経常収益(ARR)が急増し、2019年1月の400万ドル(約4億1000万円)から2021年1月には6000万ドル(約62億2000万円)になったことも明らかにした。このARRの数字は、Rhinoが契約している建物から予想される顧客規模を表している。同社の共同ファウンダーで会長のAnkur Jain(アンクル・ジャイン)氏は、これは控えめな数字だとTechCrunchに語っている。

Rhinoの親会社であるKairosのCEOでもあるジャイン氏にこの新規投資について尋ねたところ、Kairosは若年層のためにコストを下げたいと考えている、と同氏は話した。Rhinoはその目的にフィットしている。なぜなら賃貸の初期費用は法外なものになることもあり、同社のサービスによって賃借人は、敷金を用意するために賃貸時期を遅らせることがなくなるからだと説明した。

ジャイン氏はRhinoについて、家主と賃借人の両方にとって賃貸の壁を低くし、潜在顧客層を広げるものだと語った。対象顧客が増えれば、賃貸される物件も増える。

経済状況はRhinoを後押ししているようだ。ジャイン氏は、新型コロナウイルスの流行、同社の中核保険商品の貢献利益を抑圧していない、と話す。一部の急成長保険商品で貢献利益が劇的に下がったことを踏まえると、Rhinoの好調さが伺える(TechCrunchはこの数値が損失調整費を「含む」ことを確認した)。

はたして予定通り上場するのに十分なほど、業績は健全なのか?おそらく。ジャイン氏は、同社の新たな筆頭出資者であるTigerは企業の株式公開に対する多くの経験があり、1~2年のうちに上場することを考えているとTechCrunchに語った。

最近の傾向を踏まえ、SPAC(特別買収目的会社)についても質問してみた。従来型のIPOが目標だ、とCEOは答えた。

まだスタートアップのCEOがここまで正直に上場について話すことに驚いているのなら、2020年中頃にそこそこの売上で上場して大成功したLemonade(レモネード)を思いだしてほしい。新型保険プロバイダーのRoot(ルート)も上場したが、その後業績を落としている。また、保険商品を提供する別のプレイヤーであるMetroMile(メトロマイル)はSPACによる上場を計画している。

他にも多くのスタートアップが保険を巡る問題解決に取り組んでいる。インシュアテックブームの2020年の興奮は2021年に続きそうだ。

カテゴリー:その他
タグ:Rhino資金調達保険インシュアテック

画像クレジット:Daniel Bosse / Unsplash(画像は加工済み)

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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