ミクシィ新規事業がまた1つ消える、写真共有サービス「プランナー」が3月末終了


ミクシィは24日、写真共有サービス「Plannah(プランナー)」を3月31日に終了すると発表した。プランナーは、スマートフォンで撮影した写真を指定したメンバーとだけ共有できるアプリ。サービス終了の理由についてミクシィは、「想定していた利用者数を下回って推移したため」と説明。現状の利用状況は明らかにしていない。すでにアップロードした写真は別途、メールにてバックアップの方法を案内するそうだ。

プランナーは、新規事業創出を目的とした社内部署「イノベーションセンター」から生まれた第4弾サービス。先日社長退任を発表した朝倉祐介氏が立ち上げた部署で、これまでに4つのサービスがリリースされている。ミクシィによれば、世界93カ国で利用されているという、アプリのテスト配布サービス「DeployGate」や、法人化したフォトブックサービスの「ノハナ」は好調だが、女性を対象とした定期購入型ファッションEC「プティジュテ」は2013年1月に終了している。

2月13日の決算説明会では、スマホ向けゲーム「モンスターストライク」のヒットや、M&Aで取得した結婚支援事業が好調に推移したことを受け、16億円の赤字を見込んでいた2014年3月期の業績予想を、2億円の黒字に上方修正したミクシィ。会見で朝倉氏は、社長就任時の心境を「ノーアウト満塁からマウンドに行ってこいと言われた感じ」と表現するとともに、自らの実績については「ピッチャーとしての責任はまっとうできた」と評価していた。ひるがえってイノベーションセンターの実績を野球に例えると「4打数2安打」。5割は高打率と言えるかもしれないが、現状ではゲームほど業績に好影響をもたらしているわけではないようだ。


オーダーメイドスーツEC「ラファブリックス」は日本人体型に合うフィットアルゴリズムで試着の壁を超えようとしている

ライフスタイルデザインの森雄一郎代表。着ているジャケットとシャツはラファブリックスで注文したものだ

オンラインで好みのスーツやシャツをオーダーできる「LaFabrics(ラファブリックス)」が19日、正式にリリースした。質問に応えるだけで最適なサイズを提案する独自開発の「フィットアルゴリズム」によって、試着せずに自分に合ったスーツやシャツを通常の半額程度でオーダー可能なのだという。まずはウェブ版をローンチし、数週間以内にアプリをリリースする予定だ。

オーダーメイドといえば、テイラーが店頭で採寸するのが相場。オンラインでの注文となると、サイズが不安で二の足を踏んでしまいそうだ。ラファブリックスはそんな心配を解消するために、10万人の採寸データを持つアパレル工場と共同で日本人の体型パターンを分析。独自のフィットアルゴリズムを構築し、数千パターンの中から最適なサイズを提案している。(カラダの各部位を自ら採寸して入力するオプションや、サイズが合わなかった場合にリメイクの代金を負担する「100%満足保証」もある。)

注文の手順は極めてシンプルだ。まずは欲しいスーツ・シャツの写真の中から好みの生地を選び、襟やポケットなどのデザインの項目をクリックする。あとは身長、体重、年齢、肩の形(いかり肩、なで肩、普通)、お腹まわり(フラット、少しでている、大きくでている)など7つの質問に答えるだけで体型に適したサイズを提案してくれる。ラファブリックスを運営するライフスタイルデザインの森雄一郎代表は、「キーボードを使わせないのがUI/UXのコンセプト」と語る。

ひと口にオーダーメイドと言っても、その人専用の型紙を起こすところから始まる「フルオーダー」や、基本的なデザインの中からその人に合った型紙を選ぶ「パターンオーダー」があるが、ラファブリックスは後者だ。素材は「Made in Japan」にこだわり、一部を除くほとんどの商品に日本製の生地を使用。伊勢丹や東急百貨店などのオーダーメイドスーツも手がける「国内で最高クラス縫製技術の工場」と提携し、同クオリティの商品の半値程度で販売する。シャツは7900〜9800円、スーツは3万〜6万円台の商品が中心だ。

森氏はアパレル業界出身の27歳。185cmのスラリとした長身だが、その長い腕にフィットするスーツやシャツを既成品では見つけられなかった。当事は「オーダーメイドの発想すらなかった」森氏だが、友人が作ったスーツを見て自分も試してみたところ、「既成品では出せないフィット感」のトリコに。ネットとテクノロジーを使えば、誰でも手軽に低価格にオーダーメイドのスーツやシャツを作れると思ったことが、サービス立ち上げのきっかけとなったという。

北米市場に目を向けると、オーダーメイドスーツ・シャツのECサイトは2007年に創業したカナダの「Indochino.com」や同年創業したアメリカの「J Hilburn」などが有名。Indochinoは2013年3月にシリーズBで1350万ドルを調達するなど、オンラインでオーダーメイドのスーツ・シャツを注文する行為は珍しくないどころか、「市場は競争が激化している」(森氏)。ラファブリックスは年内に、新規購入者ではなくリピーターの数を1万人確保し、10億円規模の売上を目指すという。「ゆくゆくは就活の学生がオーダーメイドを買える価格帯を実現したい」。


クラウド会計のマネーフォワード、ECやPOS、クラウドソーシングの売上データを自動取得

クラウド型会計ソフトのマネーフォワードは17日、ECサイト構築サービス「BASE」、タブレット型POSシステム「EC-Orange POS」、クラウドソーシングサービス「クラウドワークス」とデータ連携を開始。3つのサービスの売上データを毎日自動できるようにした。BASEでネットショップを開設するオーナー、EC-Orange POSを利用する販売店、クラウドワークスを利用するフリーランスは、確定申告や経理・会計業務の手間が大幅に削減しそうだ。

マネーフォワードのクラウド会計ソフトは、確定申告や会計・経理業務を可能な限り自動化するのが特徴。銀行やクレジットカードなど1400以上の金融機関から入出金データを自動取得したり、学習機能で仕訳のルールを作成したり、仕訳データをもとにキャッシュフロー計算書や決算・税務申告関連のレポートを作成するなど、手入力の手間が大幅に省けるという。1月27日に正式版サービスを開始したばかりだ(関連記事:専門知識いらずのクラウド会計「マネーフォワード」正式版、価格優位でシェアトップ狙う)。

仕訳画面のイメージ図

今回データ連携したBASEは初期費用、月額費用、販売手数料が不要のECサイト構築サービスで、出店数は7万店を超える。EC-Orange POSはタブレットをベースとすることで導入コストを抑えるPOSシステムで、2500店舗以上に導入されている。クラウドワークスは発注者数2万3000社、登録会員は12万人を超えるクラウドソーシングサービス。

クラウドワークス会員に対しては2月3日より、月額800円の「マネーフォワード 確定申告」プレミアムプランを45日間無償で提供するキャンペーンを開始。今後は、BASEとEC-Orange POSのユーザーにも同様の優待特典を提供する。

話は変わるが、マネーフォワードはクラウドワークスにおいて、マネーフォワード 確定申告のキャッチコピーを募集している。採用作品には商品10万円と、プレミアムプランを1年間無料で使える権利がプレゼントされる。募集期間は3月7日までだ。


ECサイト構築「STORES.jp」がヤフオクと連携、商品露出を強化

専門知識を持っていない人でもECサイトが作れる「STORES.jp」がオークションサイト「ヤフオク!」と連携した。STORES.jpでECサイトを開設している人は、ヤフオク!上でも商品を販売できるようになる。ヤフオク経由で商品が売れた場合は、金額の10%の販売手数料が発生する。

STORES.jpでECサイトを開設しているオーナーは、管理ページ内の「プロモーションスイッチ」を有効にするだけで、自動でヤフオク!にも商品情報が掲載される。1点モノを売っているECサイトは、先にヤフオク!で落札されればECサイトの在庫がゼロになったり、反対にECサイトの店舗で先に売れれば、ヤフオク!の出品が取り下げられる。

STORES.jpは2012年9月にサービスを開始。現在までに8万店以上のストアが開設され、100万点以上の商品が登録されている。その一方、「露出が少なく販売に至らない商品も多い」と、STORES.jp運営元のブラケット代表取締役兼CEOの光本勇介氏が指摘するように、一部のストアオーナーは、ECサイトは開設できたものの、商品が売れないケースもあるようだ。

こうした状況を改善すべくブラケットは、2013年12月にユザワヤ商事とハンドメイド作品専門のマーケットプレイス「ユザワヤマーケット」、2014年1月に親会社のスタートトゥデイとアパレル特化型のマーケットプレイス「ZOZOMARKET」を開設(関連記事:狙いは“アパレル総EC化”、ZOZOTOWNが個人間取引に参入)。STORES.jpのストアオーナーが、これらのマーケットプレイスにも商品を露出できるようにしている。こうした取り組みと同様、ヤフオク!との連携は「売る体験」を提供できると、光本氏は話している。


楽天、モバイルメッセージアプリのViberを総額9億ドルで買収

楽天は14日、モバイルメッセージングサービス「Viber」を展開するViber Mediaを子会社化すると発表した。発行済株式の100%の取得および新株発行の引き受けを行い、総額9億ドル(約900億円)を出資する。Viberは、iOSやAndroidアプリで通話やメッセージを送受信できるサービス。楽天によれば、世界で約2億8000万人が登録し、月間アクティブユーザー(MAU)は1億人以上。新興国を中心に利用者数を伸ばしているという。楽天はViberの顧客基盤を活用し、ECサービスやデジタルコンテンツをグローバルに提供するプラットフォームを構築する狙い。


Frontback、日本でブーム―クリエーティブなユーザーに世界から注目が集まる

今日(米国時間2/13)、 Frontbackメジャーアップデートをしたが、この写真共有アプリには思いがけないことが起こっている。Frontbackの人気が日本、中国、ブラジルで爆発的に上昇しているのだ。実際Frontbackはアメリカより外国のユーザーの方が多くなっている。

アメリカでは、たとえばスーパーボウルの観客がそこにいたことを記念して自分と周囲を撮影するというような使い方が一般的だ。しかし電話インタビューで共同ファウンダー、CEOのFrédéricdella Failleは「日本のユーザーはもっとクリエーティブで、自己表現の手段としてこのアプリを使っている。アメリカとは非常に違う」と語った。

Frontbackの撮影フォーマットはかなり特殊なものだ。強い制限の中での表現ということでいえば、Frontback写真はビジュアルな俳句のようなものかもしれない。

日本ではユーザーコミュニティーが自発的に組織化を図っている。2月24日にはFrontbackミートアップが渋谷で開催されるという。Frontbackでの表現の可能性を熱心に追求しているパワーユーザーのHimesora氏も参加するとのこと。

この女性はアート、マンガ、グラフィティが大好きで、自画撮りにはいつも持ち歩いている紙で作ったニセの目を使うのがトレードマークだ。Frontbackで作品を撮るときにはそのシーンにあった紙にイラストした目を取り出してメガネの上に貼る。彼女はFrontback上のキャラクターを創りだしたといってもいいだろう(トップの写真)。

グローバル・フィード機能が追加されたので、世界のユーザーもHimesoraに気づいて興味を持ち始めた。アメリカ、メキシコ、南アメリカの多くのユーザーがHimesoraをフォローし、テキストや写真でコメントを寄せている。

他にもFrontbackにはユニークなユーザーがいる。Tamkaiは日常生活の一コマを写真とイラストで記録している。Willie Myersはわずか2枚の写真で物語を作っている。

Frontbackの開発チームは自分たちの新しいメディアがもつ力に気づいて驚いている状態だ。

Frontback写真の強いインパクトは、すべてフィルターなし、トリミングなし、フォトショップなし、本物の人々による本物の物語であるというところから生じるのだろう。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


予約不要、リアルタイムで先生が添削してくれる英会話チャットアプリ「Eigooo!」

思い立ったが吉日と、英語を学びたいと思った時にすぐに英会話チャットができるアプリ「Eigooo!(エイゴー)」がローンチした。アプリを起動して「今すぐチャット」をタップすれば、予約不要で先生がチャットに対応し、間違った英語をその場で添削してくれる。月額料金は20時〜24時に使えるプランが2000円(添削付きは2400円)、7時半〜24時まで使えるプランが3000円(添削付きは4000円)。50メッセージまでは無料で投稿できる。

英会話の先生の人数は非公表だが、英語以外を母語とする人のための英語「ESL(English as a Second Language)」の教師資格を持っている外国人などが担当。ユーザーがメッセージを投稿してから、遅くとも5分以内には返信が来るそうだ。今後はユーザーのプロフィールページを実装して、趣味が似た先生をマッチングするなどして話を盛り上げる工夫をするのだという。

Eigooo!の添削機能は、会話を途切らせることなく、正誤の両文章を対比させ、どこが間違っていたかを指摘する。添削は自動で保存されるため簡単に復習できる。英会話で間違えるのが怖いという人でも、Eigooo!はテキストチャットなので積極的に使えそうだ。「ただ英語がしゃべれるだけの先生と異なり、文法がしっかりしているため正しい英語を学べる」と、アプリを運営するEigooo株式会社の創業者兼CEOのピーター・ローゼンバーグ氏は流暢な日本語で話す。

ピーターはUCLAで言語学を学んだ後、東京・三鷹の国際基督教大学に留学。日本語を学ぶにあたっては友人との日本語チャットが大いに役立ったが、「友達の気分でレスポンス速度が左右されたり、自分の日本語が必ずしも直されなかった」と振り返る。この問題を解決すれば優れた学習ツールになると考え、即レスポンスがあり、その場で間違いを添削してくれるEigooo!を立ち上げた。同社はベンチャー企業を支援する「Movida Seed Acceleration Program」の第4期メンバーでもある。

Eigooo創業者兼CEOのピーター・ローゼンバーグ氏


TBS子会社のファンドが国内外スタートアップ2社に出資

TBS子会社のベンチャーファンド「TBSイノベーション・パートナーズ(TBS-IP)」は12日、国内外のスタートアップ2社に出資したことを明らかにした。資産管理サービスやクラウド会計サービスを手がけるマネーフォワードと、チャットアプリ「PicChat」を運営するシンガポールのSpicy Cinamon(シナモン)の2社が対象で、出資額は非公表。TBS-IPが2013年8月に設立して以来、初めての出資となる。

マネーフォワードは2012年5月に設立。個人向けの家計・資産管理サービス「マネーフォワード」や、個人および法人向けのクラウド会計サービス「マネーフォワード For BUSINESS」を展開している。2013年11月に開催されたTechCrunch Tokyoでお披露目となったマネーフォワード For BUSINESSは、1月27日に正式版がリリースされたばかりだ(関連記事:専門知識いらずのクラウド会計「マネーフォワード」正式版、価格優位でシェアトップ狙う)。

シナモンは、「今何をしているか」を写真と声で送れるチャットアプリ。2013年5月にタイ、ベトナム、シンガポールの3カ国で前身となるアプリをテストリリースし、20万ダウンロードを突破。日本語を含むグローバル版のiPhoneアプリを2月10日にリリースした。テストリリース中に投稿された写真は多くが自分撮りで、恋人や家族、友人など親密な間柄でのやりとりに利用されていたという。

シナモンは本社をシンガポールに、開発拠点としてベトナムに子会社を持ち、7カ国のメンバーが集まっているスタートアップ。ファウンダーの平野未来氏と堀田創氏の2人は、連続起業家(シリアルアントレプレナー)かつ、スーパークリエーターの発掘・育成を目的とした「未踏ソフトウェア創造事業」に採択されたエンジニア。ミクシィの朝倉祐介社長がかつて代表を務めていたネイキッドテクノロジーの創業メンバーでもある。


提携先ベンチャーの視点で語る「ヤフーと組んで良かったこと、悪かったこと」とは


ベンチャーにとってヤフーとの提携は良いことずくめなのか、悪いことはないのか――。2月7日、こんなテーマでヤフー経営陣と提携先であるグリーの田中良和社長、アスクルの岩田彰一郎氏、コミュニティファクトリーの松本龍祐社長がトークを繰り広げた。トークセッションは、ヤフーとの提携に関心がある企業を招待するセミナー「Yahoo! JAPAN 提携・出資説明会 2014春」(関連記事:先着300社、ヤフーが協業・出資に興味のあるスタートアップを今年も募集)の一コマとして開催されたもの。会場には300社を超える企業が詰めかけ、興味深そうに耳を傾けていた。

アスクルの岩田彰一郎氏

「提携直後は株価が暴落したが、めちゃくちゃ良かった」と振り返るのは、2013年4月にヤフーから約330億円の出資を受けたアスクルの岩田社長。当時、証券アナリストからは「なぜ保守的なヤフーと組むのか」と批判されたが、新経営陣と初めて会った時に「自分たちも爆速で走れる」と確信。ヤフーの集客や決済と、アスクルの物流網を組み合わせれば「ECの最強タッグ」が組めると考え、一目惚れで資本・業務提携が決まったと話す。提携半年後の10月には両社でネット通販サイト「LOHACO(ロハコ)」を立ち上げた。

グリーは2012年11月、ソーシャルゲームやコンテンツの相互活用などで包括的な業務提携を発表。同社の田中社長は、ヤフー経由で「相当なトラフィック」を獲得できたことに加えて、仕事の仕方を学べたのが大きかったと語る。

「取締役会の資料でも作り方がぜんぜん違う。ヤフー規模の会社の監査体制はどうなのかと気になって、監査役を紹介してもらったりと、提携先でないと聞きにくいことも聞けた。事業のシナジーだけでなく、会社としての学びがあった。」

コミュニティファクトリーの松本龍祐氏

2012年9月、ヤフーに約10億円で買収されたコミュニティファクトリーは、写真加工アプリ「DECOPIC(デコピク)」を手がけるスタートアップ。2013年4月にオフィスをヤフー社内に移し、自社サービスの開発を続けながら、ヤフーのアプリ開発室室長を務める松本氏は、「ヒト・モノ・カネ」の多さを実感したという。

「4月以降、メンバーの人数が2倍以上増え、アプリのユーザー数も半年で2倍になった。社内にはAWSのような環境や決済などの仕組みがひと通り揃っていたので、フロントの開発部分に集中できたのが大きい。」

ヤフーからのトラフィックは「濡れ手に粟」ではない

グリーの田中良和氏

業務提携、資本提携、子会社化……と立場は異なる3人は、三者三様でヤフーとの提携のメリットを挙げる。その一方で、当初の見込みと違ったことはなかったのか?

この点について松本氏は、「ヒト・モノ・カネがばんばん投入してもらえると思っていたが、半年くらいはトントン拍子に行かなかった」と語る。とはいえ、その理由は「ヤフーに対する理解度が足りなかった」ためで、オフィスをヤフーに移して物理的な距離が近づいたことで、提携にスピード感が増してきたという。

ソーシャルゲーム領域でトラフィックを獲得できたことをメリットに上げた田中氏だが、「濡れ手に粟ではなかった」と振り返る。「ヤフーは子供から老人までが幅広く使っているが、グリーのユーザー層と異なればコンバージョンも悪くなる」。この発言にはモデレーターを務めたヤフー副社長の川邊健太郎氏も「当時はこれだけトラフィックを送ってるんだとヤフーが言うと、グリーも送り込まれても換金しないと言い合うことがあった」と認める。

こんな企業がヤフーにフィットする

ヤフーの川邊健太郎氏

それでは、ヤフーとの提携はどういった企業がフィットするのか。

この点について松本氏は、「ヤフーが弱い部分にハマると良いお見合いになるのでは」と指摘。当時は「女性向けサービスが強くない」と見ていて、提携するメリットを見出したのだという。とはいえ、ヤフーに子会社化されるにあたっては、「自分たちがベンチャーであることを考えると最初は怖かった」が、実際にM&Aされるとスケールの違いが面白かったと語る。

「ネット業界のデバイスシェアやEC化率が何%だからこうなる、といった膨大なデータが社内にあって、それに基づいて新しい戦略を作っていくのはゲリラ的なベンチャーとはぜんぜん違う。こうした仕事のやり方はメンバーの成長にもつながった。ヤフーはいろんな会社を買収しているので、社内に面白いメンバーが多く、一緒に仕事をするのがエキサイティング。」

ヤフーが弱い部分という点では、「グリーにとってゲームがフィットした」と語る田中氏。また、組織面では「ヤフーのような大きな会社と一緒になって動かしていくには、組織を動かすプロトコルを知っていないとやりにくいかもしれない」と指摘。偶然にもグリーでヤフーとの協業を進めている社員は「元ヤフーさんが多い」ことから、来場者に向けては「提携前にはヤフーの社員を引き入れることから始めては」と呼びかけて会場を笑わせる一幕もあった。

ヤフーの大矢俊樹氏

こうした意見に対して、ヤフーの最高財務責任者(CFO)を務め、同社投資子会社のYJキャピタル社長でもある大矢俊樹氏は、「事業的な補完関係も重要だが、最終的には勢いも大事」と語る。「両社が『やろう』と最後に踏み切れるかどうかは相手との信頼関係によるところが大きい。やらない理由は簡単に100個ぐらい挙げられるが、最後に後押しするのは腹を割った関係かどうか」。

2012年4月に経営陣を刷新したヤフーは新体制以降、31社に総額750億円を出資、そして提携先企業が期待するヤフーからのトラフィックは累計で約15億クリックに上るのだという。新体制になってまもなく2年。川邊氏は「外見のサービスは変わっていないかもしれないが、経営の仕組みや精神は完全にベンチャーに戻したつもり」と述べ、来場者に協業を呼びかける。ベンチャー魂を取り戻したヤフーは、同社が経営理念に掲げる「爆速」で世間を賑わせるサービスを生み出せるか。期待したい。


社内SNS「gamba!」、”スマホ日報”をコンセプトにモバイル対応強化

社内の日報を共有するサービス「gamba!(ガンバ)」が7日、スマートフォンとタブレットのブラウザー向けに最適化した。“スマホ日報”をコンセプトにリニューアルし、これまでPC上のブラウザーのみで対応していた一部機能が、スマホとタブレットからも利用できるようになった。

gamba!は業務の進捗状況を投稿したり、スタッフ同士でコミュニケーションを図れる社内向けSNS。2012年12月にベータ版をリリースし、現在までに文具・オフィス用品のプラスなど累計2000社以上が無料のトライアル版を導入。有料版の導入数は非公表だが、運営元のgambaによれば、トライアル版は毎月300〜400社が新規登録するなど好調なのだという。

2013年10月には、Skyland Venturesから2200万円を調達(関連記事)。同月にはiPhoneアプリを公開し、今では利用者の4割近くはスマホ・タブレット経由でアクセスしているそうだ。「特に帰宅途中に日報を提出したり、通勤途中に部下の日報を確認するなど、モバイル端末との親和性が非常に高いことがわかった」(gambaの森田昌宏社長)。

モバイル端末からの利用が増える一方、これまではアプリがないAndroidやiPadはブラウザー経由でグループ設定やアカウント管理などの一部機能が利用できなかった。今回、スマホとタブレットに最適化したことで、最大7割近くのアクセスがモバイル端末経由になると見込んでいて、2014年内に8000社のトライアル申し込み獲得を目指す。

社内向けSNSとしては、Microsoftが2012年6月に12億ドルで買収したYammerが有名(関連記事)。gambaは現状、従業員数20〜50人程度の中小企業が主に導入しているが、今後はISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)のような管理体制や、ユーザー管理機能を強化するなどして、大企業への導入を図る考えだ。


SonyはVAIOを売却してPC部門のない企業に生まれ変わる

Sonyはかつての勢いを失ったPC事業を売り放して、6月にはテレビ受像機事業を別会社として独立させる。同社のこの発表は、昨日の報道を確認している。それによると、VAIOブランドの買収を計画しているのは、企業再編支援専門の投資ファンドJapan Industrial Partners(日本産業パートナーズ)だ。金額などは公表されていないが、Nikkeiの記事によると500億円(4億9000万ドル)に近いという。

買収の完了は3月末で、Sonyは今会計年度内に全世界で5000名を解雇するが、一方新たに動き出すPC企業はSonyの社員を250~500名雇用して残存保証業務に当たらせる。Sonyもこの新会社の立ち上げに総資金の5%を出資する。

VAIOの売却は、今や意外ではない。SonyのPC事業はこのところ長年、ほかの事業ほどの業績をあげていない。2012年にKazuo Hirai(平井一夫)が社長兼CEOになったときに列挙した同社の経営基盤の中に、PCは含まれていなかった。そのときの彼によると、Sonyの未来はデジタル画像技術、ゲーム、そしてモバイルにある、と言われた。しかしこの三つのジャンルですら、スマートフォンのXperiaシリーズをはじめとして革新的な製品を次々と出すものの、その業績はライバルのSamsungやAndroidほどには伸びなかった。

Sonyは、200億円を投じてPCとテレビ受像機事業を構造改革し、4Kなどのハイエンド製品に注力する、とも言っている。それによりテレビは2015会計年度には再び黒字になる、と同社は期待している。

同社の利益は未だに安定しないが、それは競争の激化によるところが大きい。2013Q3の決算報告では、モバイル部門の売上の前年比増が報告されているが、それでも2013年全年全社の利益は1100億円(11億ドル)のマイナス、すなわち損失となり、期首予想の300億円から大きくかけ離れた。

PlayStation 4は年末年始商戦で400万台売れて好調だが、このゲーム機は利幅が薄いため、同社の利益に大きく貢献するのは製品のライフサイクルのずっと後期になると予想される。

Sonyはこの前の財務報告でPCの伸び悩みを報告したが、昨日(きのう)になるとVAIOに関してはいろいろなやり方を検討中である、という言い方になった。

しかし明らかに今のSonyに必要なのは迅速なアクションであり、もはやその検討ではない。1月末には、MoodyによるSonyの社債の格付けが、Baa3からBa1に落ちた(“信用リスク中程度”→“債務不履行の可能性あり”)。それは、今後の同社への投資は投機的な性格を帯びる(==リスクが大きい)、という意味だ。つまり今後のSonyは、借入れが困難になる。

VAIOの業績が好転しないのは、PC市場の全体的な落ち込みとパラレルだ。2013Q4に関するGartnerの前触れ的調査報告では、PCの売上は6.9%減の8260万台となっている。2013年は、PCとラップトップにとっての“底”になり、年間では前年比で10%減少した。2014年には、これほど激しい落ち込みはない、と予想されている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ネット印刷通販のラクスル、Wilなど6社から14.5億円を調達

ネット印刷通販のラクスルは2月6日、WiLをリードインベスターとして第三者割当増資を実施し、総額14億5000万円を調達したことを明らかにした。割当先はこのほか、グローバル・ブレイン、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、プラス、GMOベンチャーパートナーズ、ミクシィの合計6社。

ラクスルは、日本各地にある印刷会社をネットワークし、各社の非稼働時間を活用することで、低価格な印刷物を提供するサービス。調達した資金をもとに、顧客サポートを強化したり、印刷物デザインやチラシ配布などサービス領域を拡大する。ラクスルによれば、自社のビジネスモデルは海外にはないとしており、グローバル展開も視野に入れている。

今回の資金調達ではベンチャーキャピタルだけでなく、オフィス家具や文房具のプラスやミクシィといった事業会社とも資本・業務提携を実施。プラスとは共同で印刷物を販売したり、ラクスルがプラスの物流機能を活用して配送コストの低減や短納期商品の強化を図る。ミクシィともサービス連携について協議を進めていく。


動画制作に特化したクラウドソーシング「Viibar」、グロービスなどから3億円調達

Viibarの上坂優太社長

動画制作に特化したクラウドソーシング「Viibar(ビーバー)」を運営するViibarは5日、グロービス・キャピタル・パートナーズとグリーベンチャーズに対して総額3億円の第三者割当増資を実施した。日本でも徐々に動画コンテンツのニーズが高まりつつあるが、Viibarは市場価格の半分以下のコストでの動画制作を実現することで、この市場でのシェア獲得を狙っている。

動画制作は発注先や予算の相場がわからなかったり、多重な下請け構造でコストが高く付いてしまうこともある。オフラインでの度重なる打ち合わせや素材の受け渡しは、クライアントとクリエイター双方にとって煩雑なものだ。Viibarの上坂優太社長は、「こうした動画制作業界の構造的問題を改善すべく、クライアントと国内外の優秀なクリエイターをマッチングするプラットフォームを立ち上げた」と語る。

発注の流れとしてはまず、クライアントが動画の目的や盛り込む要素、予算などを入力して仮払い決済を行う。その後は自動的に企画案のコンペが開催され、プロジェクトリーダーとなるクリエイターが絵コンテを投稿する。クライアントはその内容やクリエイターの過去の実績を見て発注先を選定する。なお、クリエイターはViibarに過去の作品を送り、審査に通過した人だけが登録できる。

選定されたプロジェクトリーダーは、Viibarに登録するシナリオライターやカメラマン、編集者、サウンドクリエイターなどを集めてチームを編成する。制作進行はプロジェクトリーダーとクライアントがオンラインでやりとりする。動画のアップロードやダウンロード、プレビュー、修正指示など制作に関するすべての作業はViibar上で完結するため、オフラインでの作業と比べて時間も金額も削減できるのだという。

動画はアニメと実写に対応し、予算に応じて30万円〜、60万円〜、100万円〜のプランが選べる。過去にはヤフーや楽天、ミクシイなどの大手もViibarで1分程度のプロモーション動画を制作している。

絵コンテ提案画面

Viibarの強みは、動画制作の各分野のプロフェッショナルを多数抱えていることだと、上坂氏は語る。ひと口に動画制作と言っても、監督や脚本家、カメラマン、エディター、音楽家、ナレーター……とプレイヤーはさまざま。「クラウドソーシングでこれだけのクリエイターを抱えているのはViibarだけ」。

Viibarは2013年4月に設立したスタートアップ。現在29歳の上坂氏は大学卒業後、映像制作会社で企画・制作を担当。その後、インターネットでのコンテンツ商流を学ぶために楽天に入社し、楽天市場のマーケティング戦略立案などを手がけてきた。現在のビジネスモデルは楽天のTVCMを担当した際の問題意識から生まれたものだという。創業当初は「イケてるクリエイターに個別にアプローチしていた」が、現在は「数百人規模」に拡大。年内に数千人規模に増やし、クリエイターが創造性を最大限発揮できるプラットフォームを構築したいと話している。


NY発ダイエット支援アプリ「Noom」、リクルートなどから700万ドル調達、日本展開強化

世界で累計2000万ダウンロードを誇るダイエット支援アプリを手がける米Noom(ヌーム)は4日、ニューヨークに拠点を置くRRE Venturesをリードインベスターとして第三者割当増資を実施し、総額700万ドルを調達した。割当先はリクルートホールディングス投資子会社のRecruit Strategic Partnersも入っていて、日本を含むアジア展開を加速するという。

Android版Noomダイエットコーチのイメージ画像

Noomはニューヨークに本社、東京と韓国、ドイツに拠点を構える企業。ダイエットに有効なスマホ向けアプリを開発している。Google Playの健康&フィットネスカテゴリーで「Best Apps of 2013」に選ばれた「Noomダイエットコーチ」と歩数計アプリ「Noomウォーク」を主力アプリとして提供していて、どちらも日本語版がリリースされている。

Noomダイエットコーチは現在の体重と目標体重、減量ペースを設定すると、その日に摂取可能なカロリー数を表示してくれる。食事の記録を付けると摂取できるカロリーが減り、歩いたり走った時間や距離を入力すると摂取できるカロリーが増える仕組み。食事の内容は吉野家やデニーズなど一部店舗名を入力すると、メニューとカロリーが自動で表示されるなど、日本向けのカスタマイズも進んでいるようだ。

iOS版Noomダイエットコーチのイメージ画像

Noomは今回の資金調達を通じて、Noomダイエットコーチの開発・運営・マーケティングを強化する。リクルートはマーケットの拡大が見込まれるモバイルヘルスケア領域での知見獲得を目指す。割当先にはこのほか、アジア市場を強みとするTranslink CapitalやScrum Venturesも入っている。


スマホでネイティブ級の英文が書ける、「Ginger」がAndroid向けキーボードアプリ

スマホでFacebookやTwitterに英文を投稿する際、恥ずかしいミスにさよならできるかもしれない。イスラエルのGinger Softwareは4日、入力した英文をネイティブレベルの表現に最適化してくれるAndroid向けキーボードアプリ「Spell Check & Grammar Keyboard」を公開した。2週間利用できる無料の体験版があり、正式版は990円で販売する。

Ginger Softwareは、文法やスペルを文脈に合わせて修正するツール「Ginger(ジンジャー)」や、入力した英文に対してネイティブレベルのフレーズ候補を提示するツール「Rephraser(リフレイザー)」を提供するベンチャー。

今回公開したSpell Check & Grammar Keyboardは、両ツールをスマホのキーボード経由で利用できるようにしたもの。修正案として提示された表現はタップするだけで入力できる。英文のチェック機能だけでなく、通常の日本語入力も利用可能。フリック入力やQWERTY配列、Google日本語入力の「Godan」にも対応している。

英文を修正する仕組みとしては、ウェブ上にある1兆5000億以上の英単語や英文フレーズを言語・統計解析し、最適な英語表現をレコメンドしている。決まったルールに基づいたスペルチェッカーツールと異なり、統計と言語解析を用いて訂正候補を提示するため、文脈や時制を考慮したチェックが行えるのが特徴という。

最適化する例としては、「ビールでも飲もう」と入力するつもりが「Let’s grab a bear」(熊をつかもう)と入力してしまった場合、文脈を踏まえて「Let’s grab a beer」と修正してくれる。「at」「on」「in」などの前置詞を訂正したり、「more round」を「rounder」と訂正するなど文法もチェックする。

Spell Check & Grammar Keyboardを運営するGinger Softwareは、2008年にイスラエルで設立。主力製品のGingerは2013年末までに世界で450万インストールに上り、月間アクティブユーザー率は6割を超えるという。2012年8月にはHorizons VenturesやHarbor Pacfic Capitalより500万ドル、既存投資家より50万ドルの投資を受け、これまでの合計投資額は2100万米ドルに上る。

iOS版アプリについてはAppleがサードパーティ製のキーボードアプリを許可していないため、3月末をめどにテキスト入力アプリとして公開する予定だ。


SmartNewsからのPV誘導が月間100万を超えるメディアが66媒体に

スマートフォン・タブレット向けニュース閲覧アプリ「SmartNews(スマートニュース)」が3日、300万ダウンロードを突破した。運営元のスマートニュースによれば、月間アクティブユーザー(MAU)は75%、日毎のアクティブユーザー(DAU)は38%。1月末時点では、66媒体に月間100万超のPVを誘導していることも明らかにし、メディアへのトラフィック誘導でも存在感があることをアピールしている。

SmartNewsは、「経済」や「エンタメ」などのジャンルの中から読みたいトピックの記事を閲覧できるアプリ。Twitterに投稿されるウェブページをリアルタイムに解析し、話題の記事を配信している。特定の媒体の記事を表示する「チャンネルプラス」といった機能もあり、TechCrunchや姉妹誌のEngadget 日本版を含む21社32媒体のチャンネルがある。3日には期間限定で読売新聞社の「ソチ五輪」チャンネルを開設した。

ソチ五輪チャンネル

2013年4月には元アイティメディア代表取締役会長の藤村厚夫氏が執行役員として参画。その後は藤村氏を中心にメディアパートナーとの協業を進め、2月時点では55社102媒体と提携している。このうち、66媒体に月間100万PV以上を誘導していて、「いくつかの媒体からは、スマートフォンのPVはSmartNews経由が一番多いという声を聞く」(藤村氏)など、トラフィック誘導で影響を与えているようだ。

なお、SmartNewsではウェブページのページビューに相当する数字を「Flip」として集計している。これは、ユーザーが記事をタップしたり、チャンネルを変えるなど、アプリ内で画面遷移を伴うアクションの総数で、スマートニュースによれば月間のFlip数は11億に上るのだという。

スマートニュース執行役員の藤村厚夫氏

原則としてスマートニュースと媒体のパートナー提携に金銭は発生しないが、「102媒体のうち数社には記事のライセンス料を支払っている」(藤村氏)のだとか。メディアパートナー契約を結んだ媒体に対しては、SmartNewsのアクセス解析ツールを提供したり、記事を簡易的なレイアウトに変換した上で表示する「Smartモード」で媒体が指定する広告を掲載するための取り組みを進めている。

Smartモードは表示が高速化されるメリットがある反面、媒体の広告が掲載されなくなる。このため、一部では「コンテンツのタダ乗り」が指摘されていた。Smartモードでの広告掲載はこうした指摘に対応するためのもので、現在は媒体が指定するランディングページの掲載、アドサーバーやアドネットワーク経由の広告配信を検証していて、実現した際には広告収益をすべて媒体に還元する。「トラフィックを送るだけでなく、Smartモードを通じてのマネタイズの可能性も見えてきた」(藤村氏)。

媒体の収益拡大に向けたモデルを確立しつつあるスマートニュースだが、自社の収益化はどのように考えているのか? この点について同社取締役の鈴木健氏は、「まずはユーザーの利便性を高めて、メディアの収益化の道筋を作ることを優先する。自社の収益化はさまざまな方法を研究している。何年後という期間ではないが、可能な限り早く我々も収益化していきたい」と話している。


Twitter Japanの代表に元マイクロソフトの笹本裕氏が就任

Twitter Japanの代表に元マイクロソフト執行役常務の笹本裕氏が就任した。前代表の近藤正晃ジェームス氏は会長としてTwitterのグローバル展開を担うという。Twitter日本法人が3日、公式Twitterアカウントで明らかにした。

笹本氏は3日、日本法人の代表として新たにTwitterアカウントを取得し、「これから楽しみな毎日となります!宜しくお願い致します」とつぶやいている。


海外のエンジニアチームに日本語でアプリ開発を依頼できる「セカイラボ」

世界中のエンジニアチームに仕事を発注できるサービス「セカイラボ」が2月3日にローンチした。国内のIT人材不足が指摘される中、中国やベトナムなど費用対効果の高い地域のエンジニアチームに対して、日本語で大規模な開発を依頼できるのが特徴。運営するのは音楽配信サービスやゲーム開発を手がけるモンスター・ラボのグループ会社で、シンガポールに本拠を置くSekai Lab。サービス開始1カ月で8カ国、1000人、200チームの受注体制を整えたいという。

情報処理推進機構(IPA)の「IT人材白書2013」(PDF)によれば、新規事業の開発を担当する人材が不足していると答えた企業は実に9割以上。最近ではネット上で発注者と受注者を結ぶクラウドソーシングでもエンジニアと仕事をやりとりすることがあるが、Sekai Lab代表取締役COOの大熊一慶氏は、「クラウドソーシングの仕事の8割は受発注者が1対1でやりとりをする50万円以下のプロジェクト。中規模以上の案件を依頼することは難しい」と指摘する。

そこでSekai Labは、中国やアジアをはじめとする8カ国のエンジニアのチームに対して、日本語だけで大規模な開発を安価に発注できるプラットフォームを構築。サイト上では「Webサービス」や「iPhoneアプリ」といったジャンル、「iOS」や「Unity」といったスキル、キーワードで最適なエンジニアチームを率いるリーダーを検索し、パートナーシップを組むことができる。

検索対象となるチームには必ず日本語が話せる人材がいるため、開発のやりとりも日本語で対応可能。エンジニアチームは当初、日本と海外に開発拠点がある企業が対象だが、今後は海外のみに拠点を構える企業も集めていく。Sekai Labは、プラットフォームを用意するだけでなく、企画や設計、検証など海外開発でトラブルになりがちな部分をサポートする。

発注者のメインターゲットはウェブサービスの新規事業を手がける大手企業。発注料金としては、日本で1人月70〜80万円くらいの費用が、ベトナムだと18万円、ミャンマーだと10万円程度に抑えられるのだという。Sekai Labはエンジニアチームに対して、受注金額の9〜12%を手数料として受け取る。「開発の全範囲で手厚くサポートするため、クラウドソーシングサービスの手数料と比べて価格は高めに設定している」(大熊氏)。発注企業の手数料は無料。

システム開発や運用管理を海外事業者に委託するオフショア開発は、人件費が高い日本では安価な労働力を大量に得られるのがメリットだ。その反面、大熊氏は「言われたものを作るだけで、クリエイティブなサービスを作るイメージがない」と指摘する。Sekai Labの親会社であるモンスター・ラボは、ウェブサービスの新規事業を企画から提案・受注したり、実際に海外で開発してきたノウハウや実績が強みといい、「安かろう悪かろうのイメージがあるオフショア開発を再定義したい」と大熊氏は意気込んでいる。


無料EC「BASE」が独自カード決済導入、三井住友カードなどと提携

無料でネットショップを開設できるサービス「BASE」を運営するBASEは、三井住友カードと決済代行サービスのスマートリンクネットワークと提携し、3月1日より独自のカード決済システムを導入する。現在のカード決済はPayPalを活用していて、購入時には外部ページに遷移している。新決済システムはBASE上で決済が完結するため、買い手は利便性が向上する。BASE店舗オーナーとしても、決済完了までのページ遷移数が減るため、コンバージョン率が上がることが見込まれる。

新決済システムの移行にあたり、1月31日より既存のBASE店舗オーナーに事前受付を開始。カード決済のシステム料は据え置きで、「代金の3.6%と40円」が別途かかる。店舗オーナーは通常、独自でECサイトを構築する際にカード決済を導入するには、カード会社の審査を受けなければならない。しかし、BASEで出店することで、ECサイト開設時からカード決済が利用できることになる。

BASEは初期費用や月額費用だけでなく、販売手数料も無料のサービス。カード決済時の手数料は発生するものの、「現時点でマネタイズはしていない」(BASEの鶴岡裕太氏)。今後はオプションの機能で課金する可能性はあるが、「今年いっぱいは大規模なマネタイズの予定もない」という。1月末時点でショップ開設数は7万店に上り、毎月30〜40%増えているのだという。


統計分析ツール「xica adelie」のサイカ、セールスフォースなどから1億円調達

専門知識がないビジネスパーソンでも使える統計分析ツール「xica adelie(サイカアデリー)」を提供するスタートアップのサイカは1月30日、セールスフォース・ドットコム、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、アーキタイプベンチャーズの3社を割当先とする総額1億円の第三者割当増資を実施した。これに伴い、セールスフォースのPaaS環境「Heroku(ヘロク)」を利用し、クラウド型営業支援(SFA)ツール「Sales Cloud」と連携した統計分析アプリケーションを提供する。

xica adelieは、企業が保有する多様なデータの中に潜む関連性を見つけるサービス。例えば、売上という「成果」に対して、CM放映回数、チラシ配布枚数、天候、曜日などの「要素」がどのように影響するかを検証する。具体的にはCM放映2週間後に売上が100万円アップ、チラシを配布した週に売上が10万円アップ、天候は売上と無関係……といったことを分析し、各要素が「いつ」「どれくらい」成果に影響するかを数値化できる。従来こうした分析には統計の知識を持つ担当者や専用ツールなどが必要だったが、xica adelieは、これを誰にでも使えるツールとする。

xica adelieのイメージ

今回の資金調達によりサイカは、セールスフォースのユーザー向けアプリマーケットプレイス「Salesforce AppExchange」を通じて、Sales Cloudと連携した新たな統計分析ツールを提供していく。サイカは昨年11月に開催したTechCrunch Tokyoのスタートアップバトルに登壇し、マイクロソフト賞を受賞している。

サイカ代表取締役CEOの平尾喜昭氏