新型aiboをソニーが発表。自ら好奇心を持った、生活のパートナーとなる犬型ロボット

eng-logo-20152017年11月1日、ソニーが新製品発表会を開催。噂通り、新型のaibo(シリーズ名や発音も『あいぼ』です)を発表しました。形状も、前シリーズを継承した犬型です(ただし「犬」と明言するのは今回が初めて。とのこと)。
モデル名は『ERS-1000』。プレフィックスのERSも、前シリーズを継承したものです。本体カラーはソニー流の洒落か(?)『アイボリーホワイト』。

発売日2018年1月11日、価格は19万8000円(税別)。ただし使用には別途「aiboベーシックプラン」への加入が必要。こちらは3年契約で、一括では9万円、分割では1月あたり2980円となります。
先行予約は専用サイトより、本日(11月1日)午後11時1分から開始されます。

もちろん、中身は昨今のスマートデバイスとして大きく進化。眼は有機ELディスプレイとなり、可動は22軸。腰を振る、顔を震わせる動きも可能とアピールします。そしてLTEモデムを標準で搭載。心臓部となるSoCはクアルコムのSnapdragon 820を採用します。

発表会には同社CEOの平井一夫氏が登壇。新型AIBOを抱きかかえる演出なども行なわれました。

aiboシリーズの新モデルだけあり、ソニー側のアピールする特徴は「親近感のあるルックス、視線を惹きつける瞳など愛らしい姿や、躍動感のある多彩な動きと小気味良い反応」。技術的な観点よりも、従来のシリーズと比較しても進歩した、外観や動きのかわいらしさを前面に打ち出しています。

実際にその動きは、スムーズかつ妙に、と表現したくなるまでにリアリティのこもった印象。
以前のAIBOは犬型と銘打っていなかったこともあってか、ある程度以上は犬に近づけるモーションをあえて避けていた感もありました。
対して今回の子は、犬っぽい動きの再現にかなりの力が注がれていると感じます。

動画:1分でわかる新aibo、ソニー「aiboは挑戦のスタートに過ぎない」

【編集中】

Engadget 日本版からの転載。

トヨタのジャパンタクシーは注目の的――ハイブリッドでタクシー専用車のスタンダードを目指す

日本から新しいタクシーの国際標準が登場するかもしれない。トヨタが(適切にも)ジャパンタクシーと名付けたモデル(屋根の上のサインボードにJpn Taxiと書かれている)はすでに路上を走っている。デザインは有名なロンドン・タクシーに多少似ている。ロンドンといえばあの黒いタクシー、ニューヨークといえばイェローキャブを思い浮かべるが、トヨタの新しいタクシーのデザインもそれと並んで東京を代表するアイコンとなることを目指している。また高齢化が急速に進む日本の社会状況も考慮に入れられているということだ。

ジャパンタクシーはオリンピックが開催される予定の2020年には東京の街を多数走ることになる。万人向けの交通手段であると同時に高齢者や運動能力にハンディキャップを持つ人々の便宜を考えている。このモデルのチーフエンジニア、粥川宏氏は「バリアフリーを目指している」と説明している。

新しいタクシーのもうひとつの目的は環境にフレンドリーであることで、パワートレインはハイブリッド電気モーターだ。また乗客の快適さにも高い優先順位が与えられており、乗降がしやすく室内空間も広い。また驚異的に耐久性が高い。

ジャパンタクシーのデザインの特長としてフロアが低くフラットなことが挙げられる。乗客が主として乗り降りする左側ドアはスライド式で、ドライバーがリモート操作できる。これならスーツケースを持っていても簡単に乗り込める。またリアのスペースは車椅子を載せられるよう簡単にアレンジを変更できる。

  1. pa240124.jpg

    OLYMPUS DIGITAL CAMERA
  2. pa240125.jpg

    OLYMPUS DIGITAL CAMERA
  3. pa240128.jpg

    OLYMPUS DIGITAL CAMERA
  4. pa240130.jpg

    OLYMPUS DIGITAL CAMERA
  5. pa240131.jpg

    OLYMPUS DIGITAL CAMERA

コクピットはこれまでのタクシー車にくらべてはるかにドライバー・フレンドリーだ。Aピラーの改善により視界はきわめて良い。ハイブリッド専用LPGエンジンは燃費に優れておりCO2排出量も従来車にくらべて大きく低減している。

ジャパンタクシーの特徴的なインディゴ・ブルーのカラーは日本語で「こいあい」(濃藍)と呼ばれる。日本では天然の藍を用いた染の技術が長年にわたって伝えられてきたという。これが「高品質かつフォーマルでありながら手頃でもある」という感覚をもたらすという。東京オリンピックのシンボルカラーも「濃藍」だ。

トヨタによれば現在日本で運用されているトヨタのタクシーの70から80%はタクシー専用車として開発されたコンフォートないしクラウンのセダンだという。ジャパンタクシーはコンフォート・スタイルの後継車となる。これいよりコンフォート・タクシーは22年にわたる歴史に幕を下ろすことになる。

トヨタによれば、オリンピックが開催される2020年に東京だけで1万台のタクシーが走っているはずという。

情報開示:私の東京モーターショー取材に際してトヨタは交通・宿泊費を提供した。

〔日本版〕トヨタのジャパンタクシー専用サイトはこちら。日産もタクシー専用車、NV200を販売中。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

みん食コミュニティサイトの「KitchHike」がメルカリなどから2億円調達

食べる人が好きな人をつなぐ“みん食”コミュニティサイトの「KitchHike」を運営するキッチハイクは10月31日、Mistletoeメルカリ東京神奈川イノベーション応援1号投資事業有限責任組合ベンチャーユナイテッドから総額2億円を調達したと発表した。

2013年5月にリリースされたKitchHikeは、複数人が集まって食事をする料理イベントの開催、検索、参加ができるコミュニティサイトだ。参加者同士の会話を楽しんだり、開催者からおいしい料理のレシピを聞いたりできる料理イベントを簡単に開催し、その参加者を募ることができる。

イベントを主催して料理を提供するユーザーである「COOK」が、KitchHikeと提携するレンタルスペースや飲食店のキッチンを利用した料理イベント(「Pop-UP」と呼ぶ)を企画する。イベントに参加したいユーザーの「HIKER」たちはKitchHike上から気になるPop-UPを検索し、参加登録をするという流れだ。

僕と同じく1人暮らしのTechCrunch Japan読者は理解してくれると思うけれど、1人で食べる食事ほど寂しいものはない。食事は“楽しむ”ものというより、ただ腹を満たすだけの行為という感覚になっている人も少なくないはず。KitchHikeを使えば、そんな人も料理の楽しさを再発見することができるだろう。

これまでにKitchHikeを通して開催されたイベントには累計で1万人のユーザーが参加した。

KitchHikeのマネタイズは手数料モデルで、HIKERからはイベント参加料の5%を、COOKからは20%を手数料として受け取っている。例えば、イベントの参加料が1000円だった場合、HIKERは1000円×5%の1050円を支払い、COOKが受け取る金額は1000円から20%の手数料を差し引いた800円となる。

KitchHikeは今回調達した資金を利用してエンジニアやカスタマーサポートなどの人材採用を行い、事業の拡大を目指すとしている。具体的な内容はまだ不明だが、今回のラウンドに参加したメルカリが運営するフリマアプリの「メルカリ」やコミュニティアプリの「メルカリ アッテ」とも連携を検討しているという。

ロボアドバイザー「THEO」を提供するお金のデザイン、NTTドコモなどから7.8億円調達

AIを活用した資産運用サービスの「THEO」を提供するお金のデザインは10月31日、NTTドコモ第一生命保険、大垣共立銀行グループのOKBキャピタルを引受先とする第三者割当増資を実施し、総額7.8億円を調達したと発表した。

独自のアルゴリズムに基づき、それぞれのユーザーに最適な資産運用を提案する「ロボアドバイザー」が近年注目を集めている。お金のデザインが提供する「THEO」もその1つ。ユーザーの年齢や金融資産などのデータをもとに、約6000種類以上のETF(上場投資信託)の中から最適な組み合わせを提案し、実際に運用まで行うというサービスだ。

スマホから手続きが完了する、1万円から資産運用ができる、運用報酬も年率1%〜で低コストといった手軽さが特徴で、20〜30代の若年層からの支持を集めている。

今回の資金調達で注目すべきなのは、投資家リストにNTTドコモの名前が加わっている点だ。2017年7月に実施した新生銀行からの5億円の資金調達など、これまでは金融機関との関係を深めてきたイメージの強いお金のデザイン。その分、同社がNTTドコモからの出資を受けた意図は気になるところだ。

実は、NTTドコモが2017年4月に発表した中期経営計画「beyond宣言」にそのヒントは隠されている。

beyond宣言のなかでも特に注目を集めたのは、今後同社がFintech分野に注力していくという部分。これまでにも取り組んできた決済や送金の分野以外にも、投資やレンディングの分野にも注力するとしている。また、投資分野に関しては「ロボアドバイザー」という言葉が明記された。

NTTドコモはこの中期経営計画を進めるにあたり、ロボアドバイザー活用におけるパートナーとしてお金のデザインを選んだわけだが、残念ながらその具体的な共同案についてはまだ分からない。お金のデザイン代表取締役の中村仁氏からも明確な答えは得られなかった。でも、これが”スタートアップ×大企業”という歓迎されるべき取り組みの1つであることは確かであり、今後も両社の取り組みには注目していきたいところだ。

創業18カ月でFacebookが買収―、YC卒のWit.ai共同創業者がボットAIの未来をTC Tokyoで語る

11月16日、17日の2日間にわたって渋谷・ヒカリエで開催予定のテック・イベント「TechCrunch Tokyo 2017」に、Facebook傘下のボットAI開発スタートアップ「Wit.ai」のAlexandre Lebrun(アレクサンドル・ルブリュン)氏に来日して登壇いただけることになったのでお知らせしたい。

Wit.ai創業者でCEOのAlexandre Lebrun氏

スタートアップとしてのWit.aiの軌跡はお手本のような見事さだ。

ルブリュン氏はフランスの名門理系大学エコール・ポリテクニークで情報科学を学び、Wit.aiの創業以前にもパリで1社起業して売却した実績をもつシリアルアントレプレナーだ。VirtuOzという2002年に創業した最初のスタートアップも音声AI関連で、「エンタープライズ向けSiri」を作っていたという。2005年には200万ドルを調達して2007年に黒字化。サンフランシスコに移って2008年にシリーズBで1140万ドルを調達。その後、2012年に音声関連プロダクトで知られるNuanceにM&Aされている。

そのルブリュン氏がWit.aiで取り組んだのは、Siriのような会話サービスをアプリなどに埋め込むための開発者向けのサービス。以下の例のように自然言語による問いかけや命令について、その「意図」と「操作対象」などを因数分解するかのように抽出して、シンプルで正規化されたデータにして返してくれるAPIベースのボットエンジンを提供していた。

Wit.aiは2013年4月創業で、名門アクセラレーターY Combinatorの冬バッチ2014に参加。デモデイの直後にはAndreessen Horowitz、NEA、SV Angelなどから300万ドルを調達し、その9カ月後の2015年1月にはFacebookにM&Aされている。創業からわずか18カ月。いずれ、多くの開発者がボットをアプリに組み込む時代が来る、そのときに開発者全員がエンジンを開発する必要はないから、APIベースでエンジンを提供するという狙いが当たった形だ。Facebookによる買収時には6000の開発者が利用するプラットフォームに成長していたという。残念ながら2017年夏には、今後(2018年中)ボットエンジンのサービスを停止すると発表しているが、Facebook Messengerというプラットフォームに吸収される形で技術が活かされることになるようだ。

ルブリュン氏のセッションでは聞き手をサンフランシスコをベースに、米国のテックスタートアップへの投資を行うScrum Ventures創業者でゼネラルパートナーの宮田拓弥氏にお願いしている。宮田氏はこれまで、Mobility、Fintech、IoT、VR、コマース、ヘルスケアなど50社を超えるスタートアップに投資を実行している。宮田氏自身、日本と米国でソフトウェア、モバイルなどのスタートアップを複数起業し、事業売却の経験のある起業家でもある。

TechCrunch Tokyoのセッションではルブリュン氏の起業家としての創業物語と、Facebook傘下でボットAIの現状と未来の話が聞けるものと思う。

TechCrunch Tokyo 2017は一般価格4万円のところ、本日夜いっぱい(10月末)までは前売りチケットは割引価格3万円で販売している。5名以上で参加予定の方は、1枚あたりの価格が2万円になるお得な団体割引もある。また、創業3年未満のスタートアップ企業の従業員であれば、引き続きチケット価格は1万5000円だ。ぜひこの機会に検討いただければと思う。

前売りチケット購入はこちらから

TechCrunch Tokyo2017、お得な前売りチケットの販売は今日深夜まで

TechCrunch Japanは、スタートアップイベント「TechCrunch Tokyo 2017」を11月16日、17日に渋谷ヒカリエで開催する。国内外のスピーカーを招いたキーノートセッション、創業3年未満の企業のピッチコンテスト「スタートアップバトル」やスタートアップによるデモブースも多数出展予定だ。

TechCrunch Tokyo 2017の前売りチケットの販売期限が今日の深夜23:59までとなっているので、最後のお知らせをしたい。一般チケット4万円(税込、以下同じ)のところ、今日まで前売り限定価格3万円で購入できる。

現在発表しているスピーカーは次の通りだ。

・Blockstream CSO、Samson Mow氏

・Google アシスタントのプロダクトマネージャーを務めるBrad Abrams氏

・TrelloのHead of Product、Fog Creek Softwareの共同ファウンダーMichael Pryor氏

・ソラコム共同創業者でCEOの玉川憲氏

・Slack共同創業者でCTOのCal Henderson氏

・Quora共同創業者でCEOのAdam D’Angelo氏

・マネーフォワード共同創業者で代表取締役社長CEOの辻庸介氏

・TransferWise共同創業者で代表取締役のTaveet Hinrikus氏

・Loco Partners創業者で代表取締役の篠塚孝哉氏

・LINE取締役CSMOの舛田淳氏

バトル登壇企業も間もなく発表予定なので、楽しみにしていてほしい。

TechCrunch Tokyo 2017に5名以上で参加予定の方は、1枚あたりの価格が2万円になるお得な団体割引もある。また、創業3年未満のスタートアップ企業の従業員であれば、引き続きチケット価格は1万5000円だ。ぜひこの機会に検討いただければと思う。

チケット購入はこちらから

TC TokyoにLINE舛田氏の登壇が決定、スマートスピーカー「Clova WAVE」で狙うポストスマホ時代

いよいよあと2週間に迫ってきたイベント「TechCrunch Tokyo 2017」。ここで新たにLINE取締役CSMOの舛田淳氏の登壇が決定したのでお知らせする。

PC、フィーチャーフォン、スマートフォン——生活やビジネスの主役となるデバイス・プラットフォームは常に変化を遂げてきた。初代のiPhoneが発売されてから10年も経った今では、「ポストスマホ」について語られることも増えているが、そのポストスマホの本命が音声AIだと打ち出すのがLINEだ。

LINEはまず、3月にクラウドAIプラットフォーム「Clova」を発表し、6月には事業戦略説明会でスマートスピーカーの「Clova WAVE(当時の名称はWAVE)」をお披露目。8月に先行体験版を発売したのち、10月に正式版としての販売を開始した。

Clova WAVEは音声での音楽再生やニュース、天気の再生といった機能に加えて、カレンダーの確認、赤外線リモコンの操作(現在はテレビのみ。今後照明のコントロールにも対応する予定)やLINEの読み上げ、送信といった機能を備える。さらに今後は話者認識、音声翻訳、ショッピング、デリバリー、タクシー配車といった機能も追加していくという。

僕も先行販売でWAVEを手に入れて実際に家で使っている。正直なところ、購入直後はレスポンス速度や音声認識について不満はあったのだけれども、舛田氏は正式版の発売を発表した際に「(Clova WAVEは)成長するスピーカー。機能が増えるので、1年後には製品の価値がまったく異なるものになる」と話していたとおりで、日々レスポンスや機能がアップデートされていると感じている。最近では「Radiko」にも対応し、ラジオの再生も可能になった。WAVEの武器の1つは、コミュニケーションアプリ「LINE」との連携や、(IoT家電を導入しなくても、一般的な家電に対応する)赤外線リモコンへの対応といった、決してリテラシーの高くない層でも利用できる利便性、親しみやすさではないかとも思っている。

だが一方で世界を見てみれば、Googleの「Google Home」、Amazonの「Amazon Echo」といったスマートスピーカーが先行する領域。Googleも10月に日本でもGoogle Homeを発売したし、AmazonもEchoに関する会見を11月8日に都内で開催するとしており、その覇権争いは激化している。

このセッションでは舛田氏に、AIプラットフォームを軸にしたポストスマホ時代のLINEの戦略、そして競合が続々国内市場に参入する中での、日本発のスマートスピーカーであるClova WAVEの可能性について聞いてみたいと思う。なお定価より1万円安い前売りチケットの販売は本日いっぱいとなっている。

チケット購入はこちらから

トランスリミットから2年ぶりの新作ゲーム「Craft Warriors」、総額3億円の資金調達も発表

人気スマートフォンゲーム「Brain Wars(ブレインウォーズ)」「Brain Dots(ブレインドッツ)」を生み出したトランスリミットが、2年3カ月ぶりとなる新ゲームタイトルをリリースした。10月30日に、ニュージーランドで先行配信が開始されたのは、スマートフォン向け戦略ゲームの「Craft Warriors(クラフトウォリアーズ)」。LINEとの共同提供で、企画・開発・運営はトランスリミットが、マーケティングをLINEが担当する。

Craft Warriorsは、街の修繕・強化を行いながら、部隊編成、武器の強化などを行い、他のプレーヤーと戦うリアルタイムストラテジーゲーム。3Dモデルを作成できる「クラフト機能」を搭載していて、自分だけのキャラクターやフラッグなどのアイテムが作れるという。

トランスリミットは、2014年1月、サイバーエージェント出身のエンジニア2人が中心となって設立したスタートアップ。2014年5月に初プロダクトとしてローンチした対戦型脳トレアプリのBrain Wars、2015年7月にリリースされたお絵描きパズルゲームのBrain Dotsはいずれも1000万ダウンロード超の人気ゲームとなり、累計で5000万ダウンロードを突破している。海外利用者の比率は95%を占めるそうだ。

トランスリミットでは、Craft Warriorsリリースの発表と同時に、グローバル・ブレインが運営するファンド、およびSkyland Venturesから総額3億円の資金調達を実施したことも公表している。今回の調達は、MOVIDA JAPANおよびSkyland Venturesからのシード資金調達、LINEの投資ファンド、ユナイテッド、East Ventures、Skyland Ventures、Genuine StartupsからのシリーズAラウンド調達に続き、同社にとって3回目の資金調達となる。

東大発コスメの口コミアプリ「LIPS」30万DL突破、運営元が7600万円の資金調達

コスメの口コミアプリ「LIPS」を提供する東大発のスタートアップAppBrew。同社は10月30日、ANRISkyland Venturesフリークアウト代表取締役社長の佐藤裕介氏、PKSHA Technology代表取締役の上野山勝也氏、ほか個人投資家を引受先とした総額7600万円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした(実施は5月)。アプリはリリースから9カ月で30万ダウンロードを達成したという。

LIPSの特徴は「よりSNSに近い」使用感だろう。気になるコスメの口コミを探したり、使ったコスメの口コミをシェアすることができるのは、従来のサービスやアプリと同様だが、口コミやコミュニケーションの内容はYouTubeのコスメ動画やInstagramの投稿に近い。他のユーザーのフォローや、口コミにコメント・いいねを付けることができ、気になった商品や口コミは「クリップ機能」で保存しておくことも可能。気に入った商品の購入は、基本的にはAmazonやYahoo!ショッピングなどの外部サイトへ移動して行う。

ユーザーランキングの上位には人気のコスメYouTuberも。10代20代を中心に利用が広がり、現在アプリ内の口コミ投稿は16万件を超えるという。ダウンロード数は冒頭にあるとおり、約9カ月で30万ダウンロード。10月21日にはApp Store無料アプリの総合ランキングで1位を獲得した。

AppBrew取締役の松井友里氏は「主に開発体制の強化と採用に投資していく」と調達資金の用途について説明する。また現在、収入源となっている商品販売のアフィリエイトだけではなく、「広告など、アプリ内でマネタイズできる仕組みも取り入れていく」と松井氏は話している。

B Dash Venturesが100億円規模の3号ファンドを設立、エンタメ・FinTech領域へ投資

独立系ベンチャーキャピタルのB Dash Venturesは10月30日、新たなベンチャー投資ファンド「B Dash Fund3号投資事業有限責任組合」を設立したことを明らかにした。ファンド規模は100億円程度をめざしており、すでに独立行政法人中小企業基盤整備機構、KDDI、グリーのほか、上場企業や金融機関、インターネット関連企業の経営者等がLPとして出資。すでに9割程度の資金を集めているという。

B Dash Venturesはこれまで、2011年9月に20億円規模の1号ファンド、2014年7月に60億円規模のファンドを立ち上げている。領域としてはゲームやメディア、広告を中心にして、シードやアーリーから、レイターまで幅広いステージのスタートアップに投資。これまでにgumiやGunosy、マイネット、アップベイダー、スケールアウト、iemo、コネヒト、エイリム、Candle、3ミニッツ、そとあそびなどのイグジット実績がある。

3号ファンドでは、 これまで同様にゲーム、メディア、広告の領域に投資を行うほか、エンターテインメントやFinTech関連のスタートアップにも投資を行うという。最近では女優・柴咲コウさんが代表を務めるレトロワグラースへの投資も行っている。「ネットやSNSによって、『個』をエンパワーメントすることで、個人がどんどん活動できる時代に入ってきている。これまでに3ミニッツやC Cannnelなどにも投資を行い、インフルエンサーマーケティングの走りのようなところも見てきた。社会的影響力がある人達が入ってくると、ネットはもっと大きく広がる。ネットやSNSによって、『個』をエンパワーメントすることで、個人がどんどん活動できる時代に入ってきている」(B Dash Ventures代表取締役社長の渡辺洋行氏)

これまでもB Dash Venturesは積極的にエンタメ業界と積極的にコミュニケーションを取ってきたVCだ。彼らが主催する招待制イベント「B Dash Camp」には、ミュージシャンの小室哲哉さんや、俳優・イベントプロでデューサーの小橋賢児さん、インフルエンサーのGENKINGさん、イベント企画やタレントマネジメントなどを手がけるアソビシステム代表取締役社長の中川悠介氏なども登壇している。直近ではアーティストに対してマーケティングやECサイト構築支援なども行う予定だという。

またこれまで、QUOINEなど仮想通貨領域には出資していたB Dash Venturesだが、今後は決済やレンディングといったFinTech領域にも積極的な投資を行う。

4年でKDDIにバイアウト、高級宿泊予約サイト「Relux」の篠塚CEOがTechCrunch Tokyoに登壇決定

11月16日、17日の2日間、渋谷ヒカリエでスタートアップイベント「TechCrunch Tokyo 2017」を開催する。今回、一流旅館やホテルの会員制宿泊予約サイト「Relux(リラックス)」を運営するLoco Partners代表取締役、篠塚孝哉氏の登壇が決まったのでお知らせしたい。

大切な人との記念日に、あるいは両親へのギフト用に一流の宿を探せるのが高級宿泊予約サイト「Relux(リラックス)」の特徴だ。Reluxでは自分たちで実際に足を運び、「お料理」「お風呂」「お部屋」「おもてなし」「空間」など100以上の項目を調査し、審査基準を満たした宿泊施設のみを掲載している。サイトでは、施設ごとに詳細な説明と豊富な写真で、一般的な宿泊予約サイトでは分かりづらい、その宿の雰囲気や魅力を伝えている。

篠塚氏は、2007年にリクルート旅行カンパニーに新卒入社し、在籍中は大手宿泊施設の企画やマーケティングに携わっていた。その後、2011年にLoco Partnersを創業、2013年4月にReluxをローンチ。Loco Partnerは、その年のTechCrunch Tokyo 2013のスタートアップバトルにもご登壇いただいている。

Loco Partners代表取締役、篠塚孝哉氏

2013年12月、TechCrunchの取材に対し、篠塚氏は「良い旅館が埋もれているのが悔しくて仕方ない。Reluxは会員に満足度の高い旅行体験を約束し、旅行業界の既存モデルを変革したい」とReluxを立ち上げた想いについて話していた。そしてローンチからおよそ4年が経った2017年2月、Loco PartnersはKDDIとの株式譲渡契約を締結し、KDDIの連結子会社となった。

今年のTechCrunch Tokyoでは、篠塚氏に創業からKDDI傘下に入るまでの道のり、そして今後の展望について聞きたいと思う。

TechCrunch Tokyo 2017は一般価格4万円のところ、10月末までは前売りチケットは割引価格3万円で販売している。5名以上で参加予定の方は、1枚あたりの価格が2万円になるお得な団体割引もある。また、創業3年未満のスタートアップ企業の従業員であれば、引き続きチケット価格は1万5000円だ。ぜひこの機会に検討いただければと思う。

前売りチケット購入はこちらから

ナレッジ共有とポートフォリオで映像クリエイターを支援するVook、提供元が1億円を調達

映像クリエイター向けのプラットフォーム「Vook (ヴック)」を提供するアドワールは10月30日、みずほキャピタル、大和企業投資、みずほ銀行、日本政策金融公庫より総額1億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

Vookは近年需要が増している映像コンテンツの制作者を支援するプラットフォーム。現在は映像制作に関する情報共有サービス「Vook note」と招待制のポートフォリオサイト「Vook port」を提供している。

Vook noteはクリエイターが現場で直面した課題やその解決方法といったノウハウをシェアするサービス。タグやお気に入り、コメントなど機能はシンプルだが、書き手・読み手ともに映像クリエイターであり、現場で使えるナレッジが蓄積されているという点が価値となりそうだ。

もうひとつのVook portは審査制のポートフォリオ共有サービスで、他ユーザーとのネットワーク作りだけでなく登録者限定のプログラムを通じてスキルアップにも活用できる。

アドワールは2016年にVookを立ち上げ、Webサービスに加えて全国で開催するユーザーイベントや合宿なども通じて、映像クリエイターのコミュニティを作ってきた。現在は国内外のカメラ、編集機材など映像制作のメーカーや販売店とのタイアップも実施している。代表取締役の岡本俊太郎氏は学生時代から映像クリエーター向けのコンテストやミートアップを主催、リアルでのクリエーターの交流などを積極的に行ってきた。その後は自身で映像制作会社を設立。この会社がアドワールの母体となった。

「ネット動画に限らず、これまで以上にたくさんの映像が作られるようになってきている。一方で機材やソフトウェアなどは拡大し、アップデートのペースも速い。そこにナレッジを提供し、いいクリエイティブを作る人を支援する。我々は『 動画時代』の金脈で金を掘るのでなく、ジーンズやつるはしを売るビジネスをしていく」(岡本氏)

今後はカメラや編集だけでなく、CG、音楽、俳優など映像に関わるあらゆるクリエイターにとって快適な制作環境を作ることを目指し、プラットフォーム事業やリアルイベントを加速させていくという。また来年にはVookに有料機能を提供することも検討している。

採血なしで血液中の脂質を測定、北大発のメディカルフォトニクスが1億円を調達

左から科学技術振興機構の元島勇太氏、メディカルフォトニクスの飯永一也氏、ANRIの鮫島昌弘氏

独立系ベンチャーキャピタルのANRIが総額60億円規模の3号ファンドを立ち上げたのは8月に報じたとおり。このファンドではこれまで通りシード期のITスタートアップに投資すると同時に、大学や学術機関での研究をベースにするハイテク領域のスタートアップへの投資を行うとしていた。その1社が北海道大学発のメディカルフォトニクスだ。同社がANRIおよび国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)から総額約1億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

メディカルフォトニクスが開発するのは、非侵襲(注射針による採血など、器具で生体を傷つけないこと)で利用できる脂質計測器だ。通常、脂質を検査する場合、医療機関で採血を行い、その血液を分析するのが一般的だ。だが同社が開発する製品を用いれば、肌の上に機器を装着するだけで、血中の脂質の検査が可能になる。

非侵襲脂質計測器の試作機

同社のコアとなるのは、北海道大学・清水孝一教授が研究していた、光を用いた生体の診断技術だ。液体に一方向から光を当ててのぞきこんだ際、その液体に含まれている物質の量や種類によって、光は散乱し、ぼやけて見える。同社の脂質計測器では、生体にLEDで光を当て、その散乱度合いをもとに脂質を計測する。メディカルフォトニクス代表取締役の飯永一也氏はもともと製薬メーカーの社員として清水教授と接点を持っていたが、この技術をもとに非侵襲脂質計測器を開発すべく起業した。

この計測器で効果的に計ることができるようになるのは、動脈硬化や心筋梗塞になる危険性が高まる「食後高脂血症」。食後、一時的に血液中の中性脂肪の値が上昇するこの症状は、(主に食事を制限したタイミングで)1回採血をするだけというような通常の健康診断では発見が難しい。もし症状を判断したければ、食前、食後○時間、というかたちで数時間内に複数回の採血が必要になる。これでは体への負荷も大きい。だが同社の脂質計測器であれば採血の必要がないため、手軽に食後高脂血症の測定ができるようになる。

計測器は現在も開発中。年度内には研究機関向け製品の販売を開始する予定だ。今後は医療機器の承認を受けることを目指す。将来的には低価格の個人向け製品の販売を行うとしている。

なお今回のラウンドではJSTが出資を行っているが、彼らは2014年に施行された産業競争力強化法を背景に、25億円の予算枠でテック系のスタートアップを中心に投資を行っているという。以前も紹介したとおり、これまで学術機関での研究はPOC(Proof of Concept:概念の実証)を越えるまでは研究費でまかなうということが多いという。だが徐々にではあるが、彼らの起業を支援する体制も整いつつあるようだ。

国際送金のヒドさに憤慨して起業―、英FintechユニコーンTransferWise CEOがTC Tokyoに登壇

11月16日、17日の2日間にわたって渋谷・ヒカリエで開催予定のテック・イベント「TechCrunch Tokyo 2017」で、Fintechシティーと化したロンドンから、国際送金サービス「TransferWise」の共同創業者・CEOのTaveet Hinrikus(ターバット・ヒンリッコシュ)氏が来日して登壇することになったのでお知らせしたい。

TransferWise共同創業者・CEOのTaveet Hinrikus氏(TechCrunch Disrupt London 2015登壇時)

TrasferWiseの発想はすごい。

エストニア出身でSkypeの第一号社員だったTaveetは、あるときエストニアの首都タリンからロンドンに移住して、国際送金のイケてなさに憤慨する。TechCrunch Disrupt Londonに登壇したとき、1人の銀行利用者としてあまりに愕然としたのがTransferWise創業のきっかけだという。当時、ロンドンとタリンを行き来していて、給与をタリンで受け取っていた関係で「エストニア→ロンドン」という国際送金を使うようになっていた。

毎月銀行の窓口に並ばなければならず、そのうえ着金まで時間がかかる。何より手数料が高い。のちに共同創業者となるロンドン在住のKristo Kaarmann(クリストフ・カーメン)氏も同様に、国際送金サービスは根本的に何かが壊れているに違いないと感じていたそうだ。そこでTaveetとKristoは実験をする。

・Taveetはエストニアの自分の口座からKristoのエストニアの口座にお金を送る
・Kristoはロンドンの自分の口座からTaveetのロンドンの口座にお金を送る
・事実上2人は「エストニア←→ロンドン」の送金需要を満たしたことになる

これを多数の都市間で仕組み化したのがTransferWiseだ。

TransferWiseのアイデアは、ある意味では小学生の思い付きのようなところがある。Taveetによれば、当初の周囲の反応は「そんなのうまく行くわけないよ」とか「誰も君たちなんて信用しないよと」というものが少なくなかったそうだ。それが今やイギリスやヨーロッパ、米国をはじめ504通貨ルート、59カ国、約100万人が使うサービスに成長。月間800万ポンド(1億2000万円)ほどの国際送金額となっているという。手数料は従来の国際送金の8分の1となり、これまで送金完了まで4〜5日かかっていたものも90%が24時間以内に完了するようになった。現在は個人ユーザーが中心だが、SMB市場への進出もはじめている。

国際送金の手数料は高い。銀行は市場とは異なる「為替レート」を使って必要以上の儲けを出している。そのことを揶揄する以下のような動画キャンペーンは、TransferWiseが解決する問題を良く表しているし、なかなか痛快だ。「もしあなたの物の一部を誰かが取ったりしたら、どんな気がするだろうか? 海外送金をするときには、それが実際に起こっていることです。ただ何を取られているのかに気づくのが難しいだけ」と言っている。国際送金サービスで「手数料無料」をうたうところも、「為替レート」の中に手数料を隠し続けてきた、というのがTransferWiseの指摘だ。

TaveetはTransferWiseのことを「移民たちが創業し、移民たちが作り、移民たちが使っているサービス」と呼んでいる。このため、これをご覧の読者の方は知らない人のほうが多いかもしれないが、すでに日本でも関東財務局に登録済みで日本でも利用可能なサービスでもある。

スタートアップ企業としてみてみると、2010年に創業して、2016年5月のシリーズDラウンドまでに累計1億1600万ドル(約132億円)の資金を調達している。また今年5月には創業6年にして黒字化を達成したことを発表している。

ロンドンは2010年以降にFintechハブとして興隆した。そのエコシステムの発展に合わせる形でFintechユニコーンとして急成長したTransferWiseのTaveetの講演を、ぜひTechCrunch Tokyo 2017の会場に聞きにきて頂ければと思う。

TechCrunch Tokyo 2017は一般チケット価格4万円のところ、10月末まで(来週火曜日まで!)は前売りチケットは割引価格3万円で販売している。また、創業3年未満のスタートアップ企業の従業員であれば、引き続きチケット価格は1万5000円だ。ぜひこの機会に検討いただければと思う。

前売りチケット購入はこちらから

AbemaTVのMAUは948万、今期も200億円投資でマスメディアへ――CAが2017年度の決算発表

サイバーエージェントは10月26日、2016年10月~2017年9月の通期決算を発表した。

売上高は前年比19.5%増の3713億円、営業利益は同16.6%減の307億円となった。営業利益は減っているが、これはAbemaTVに200億円以上を投資しているから。この金額を除く既存事業の営業利益は516億円で、売上高とともに過去最高値を更新している。

まずは今回の決算のサマリーを紹介する。

  • メディア事業ではマッチングサービスが好調で、売上高は前年比17.0%増の256億円。AbemaTVへ209億円を投資しているため、営業損益は185億円。
  • スマートフォン広告が成長を牽引し、売上高は前年比18.7%増の2081億円、営業利益は同23.5%増の187億円。特にインフィード広告と動画広告を強化。
  • 1番利益を稼いでいるゲーム事業の売上高は前年比14.4%増の1403億円、営業利益は同13.0%減の265億円。ブランド力強化の目的で広告予算を前年から60億円増加した。
  • 新たな事業領域としては上述したマッチングサービスを強化。会員が250万人を超える「タップル誕生」を含め4つのサービスを提供。加えてesportsや仮想通貨取引事業も展開している。
  • 2018年度も引き続きAbemaTVに200億円を投資する方針。AbemaTVは開局1年半で現在のMAU(月間アクティブユーザー)は9月が948万、最高では960万を記録。WAU(週間アクティブユーザー)は500万前後に成長している。

決算がいい時期に、次の柱としてAbemaTVへ投資

ここからはAbemaTVについてもう少し詳しく取り上げてみたい。上述の通り2017年度はAbemaTVに209億円を投資してサービスを育ててきた。

2016年4月の開局から1年6ヶ月が経過し現在は2200万DLを突破。アクティブユーザー数は時期ごとに変動しているもののMAUで約950万、WAUで500万前後までになってきている(昨年末は「フリースタイルダンジョン」、5月は「亀田興毅に勝ったら1000万」の影響が大きい)。

利用者は25〜34歳や18歳〜24歳の若者が中心で、女性が約40%を占める。

2018年度も引き続き200億円を投資する方針で「コンテンツの強化」「広告商品の拡販」「収益の多角化」に取り組む。

中でも最優先するのがコンテンツの強化。「ゴールデンナイン」という名称で毎日夜9時からオリジナルのレギュラー番組を配信するなど、AbemaTVではこれまでも番組作りに力を入れている。先日は安倍総理が生出演して話題にもなった。

11月2日からは元SMAPのメンバー3人が出演する72時間テレビが放送されるほか、「報道STATION」や「羽鳥慎一モーニングショー」などテレビ朝日のニュース番組の配信も進めている。2018年1月からは完全オリジナルの連続ドラマ「#声だけ天使」もスタートする予定だ。

決算説明会の中でサイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏は「WAUが1000万人ぐらいになれば、メディアとしてビジネスモデルが成立する」という話もあったが、AbemaTVでも1000万人のWAUを抱えるマスメディアを目指していく。

世界を見るとNetflixやAmazonプライムビデオなどがオリジナルコンテンツに膨大な予算をかけユーザー数を増やしているが、国内でここまで思い切った投資をしているのはAbemaTVくらい。今後どれほどのユーザーの心を掴んでいけるのか、引き続き注目したい。

今年上場を果たしたFintechの雄、マネーフォワードの辻CEOがTechCrunch Tokyoに登壇決定

11月16日、17日の2日間にわたって渋谷・ヒカリエで開催予定のテック・イベント「TechCrunch Tokyo 2017」で、Fintechスタートアップのマネーフォワード共同創業者で代表取締役社長CEOの辻庸介氏に登壇頂けることとなったのでお知らせしたい。

マネーフォワードは今年(2017年)の9月に上場を果たしたFintechスタートアップ企業の雄だが、まだ恵比寿の小さなマンションの1室に入居していた2013年、初めて取材に訪れたときのことをぼくは昨日のことのように覚えている。辻CEO自らがスリッパを差し出して迎え入れてくれたのだった。下の写真は、その2013年の秋にTechCrunch Tokyo 2013のスタートアップバトルにご登壇いただいたときのもの。

マネーフォワード共同創業者で代表取締役社長CEOの辻庸介氏(2013年11月撮影)

 

あれから4年。

マネーフォワードは従業員数で200人を超え、時価総額も566億円(2017年10月26日終値ベース)と大きく成長。サービスも、当初提供していた個人向け家計・資産管理アプリ「マネーフォワード」に加えて、法人向けでは「MFクラウドシリーズ」としてMFクラウド会計、MFクラウド確定申告といったSaaSサービスを提供するなど力強く成長を続けている。

マネーフォワードは北風と太陽でいえば、太陽だと思う。

スタートアップ業界で「Fintech」とか「ナントカtech」といえば、テクノロジーでレバレッジをかけて既存産業をディスラプトするというニュアンスがある。ビジネスモデルを革新して旧勢力が思いもつかないアングルから市場にエントリーを果たし、気づけば大きな勢力になっているというようなニュアンスだ。PayPalなんかは金融業者が「インターネット上の決済」などセキュリティ的に実現が不可能で無視可能なニッチ市場だと相手にしなかったところで大きなポジションを確立した。ときには規制当局のレーダーに引っかかる前に既成事実として市場を獲得しているAirbnbやUberのようなものもある。

マネーフォワードが家計・資産管理アプリを引っさげて登場した当時、議論としては「日本では規制産業に切り込むのは難しくて、みんな本丸を攻めずにお堀の外でちょろちょろやってるだけ」と言われることがあった。既存の銀行や証券といった金融業を脅かしたり、少なともプレッシャーをかけるような存在になれないのならFintechなどと大げさな言葉に意味があるのだろうか、と。確かにその後の推移をみてみると、世界的にはPFM(Personal Financial Management)と呼ばれる市場は期待されたほど成長していない(日本はやや例外)。

しかし、太陽政策のマネーフォワードのその後は違った。金融庁に積極的に働きかけ、「既存勢力」を対立構図でみるのではなく次々と巻き込み、既存の銀行大手などと業務提携、システム連携を次々と進めている。世界的にも先進的な事例といえる銀行の更新系APIの開放を最初に実現させたマネーフォワードは、Fintechエコシステム醸成におけるキープレイヤーとなりつつあるように見える。

誰に対してもいつもにこやかな辻CEOの鷹揚な性格もあると思うが、マネーフォワードの太陽政策的な巻き込み力は今後も注目だと思う。何より「マネーフォワードが銀行免許を取って新興銀行にならないのだとしたら、日本のFintechって一体何なの?」というのが、ぼくの感じているところ。金融先進国イギリスでは既存の銀行に対して規模の小さな新興銀行サービスが「チャレンジャー・バンク」としてたくさん生まれている。

辻CEOには2012年の創業時の頃はもとより、起業にいたったキャリア上の経緯など起業家としてのパッションの源泉と、Fintechスタートアップとしてのマネーフォワードの今後の舵取りについてお話を聞ければと考えている。

辻さん、銀行はやらないんですか?w

TechCrunch Tokyo 2017は一般価格4万円のところ、10月末まで(来週火曜日まで!)は前売りチケットは割引価格3万円で販売している。また、創業3年未満のスタートアップ企業の従業員であれば、引き続きチケット価格は1万5000円だ。ぜひこの機会に検討いただければと思う。

前売りチケット購入はこちらから

ソニーのAIスピーカー「LF−S50G」12月9日に国内発売、Google Homeとの違いは?

eng-logo-2015ソニーは、同社初のスマートスピーカー「LF-S50G」を12月9日に発売します。予約は本日(10月26日)より受付開始。価格は2万5000円前後を予定します。

LF-S50Gは、Googleアシスタントを搭載したスマートスピーカーです。音声コマンドの「OK Google」起点に音楽を再生したり、ニュースや天気予報などといった情報を入手可能。さらに、テレビやスピーカー、照明などGoogleアシスタントに対応した家電も操作できます。

Google Homeとの違いは「音質へのこだわり」

なお、スマートスピーカーとしての仕組みはGoogleアシスタントを採用するため、基本的な機能はグーグルの「Google Home」と変わりません。では、差異化のポイントはどこかというと、ソニーの担当者は「音が全方向にバランス良く広がる360°サウンド」を挙げます。

「(ライバルの)Google Homeの場合、スピーカーユニットは前面にしかありません。つまり、360°のサウンドではなく、音のスイートスポットが非常に狭いんです」(担当者)

一方の「LF-S50S」は、サブウーファーを上に、フルレンジスピーカーを下に配置。その中間に、上下からのサウンドを360°に分散させる2ステージディフューザーを配置することで、音を全方位に拡散しているとのこと。また、ディフューザー自身の振動も抑え、クリアなボーカルと力強い低域を両立させたといいます。

実際にGoogle Homeと聴き比べてみると、差は歴然。LF-S50Gのほうが篭りが少なく広がりのあるように聞こえました。

その他、キッチン周りで使用することも想定し、水しぶきに強い防滴仕様(IPX3)に対応。また、声で操作しにくい状況に対応するため、ハンドジェスチャーで音量を調整したり、ストップしできる機能を搭載しています。

カラーバリエーションはブルー、ホワイト、ブラックの3色展開です。

Engadget 日本版からの転載。

プロダクトの背景にあるストーリーを伝え、企業とエンジニアをつなげる「Mewcket」が資金調達

エンジニア向け求人アプリ「Mewcket」を提供するMewcket(ハチキューから社号を変更)は10月26日、サイバーエージェント・ベンチャーズファンコミュニケーションズ代表取締役の柳澤安慶氏、ラクスルビズリーチの創業メンバーである河合聡一郎氏を引受先とする第三者割当増資を実施したことを発表した。

調達金額は非公開だが、数千万円規模と見られる。

Mewcketは、エンジニア向けの求人情報を閲覧できるスマホアプリだ。ただ、求人情報だけではなく、CEOへのインタビュー記事などのコンテンツも配信しているので、求人メディアと言ったほうが正確なのかもしれない。

先日TechCrunch Japanでも紹介した「GLIT」など、新興の求人アプリは数多く存在する一方、Mewcketの差別化要因でもある一番の特徴は、掲載されている情報がプロダクトを起点にしているという点だ。

Mewcketでは、採用を行っている企業のプロダクトのストーリーやビジョンを記事コンテンツとして提供する。そして、それに共感したユーザーが企業の情報を「ポケット」と呼ばれるお気に入りに登録し、企業側にはポケットしたユーザーのリストが渡されるという仕組みだ(この段階ではユーザーの個人情報は含まれていない)。

企業はリストを通して、ユーザーが事前に入力した転職意向の度合いや所持スキル(たとえばPythonでの開発歴など)を確認することができる。そのなかに自社に適していると判断したユーザーがいれば、Mewcketのチャットシステムを通してダイレクト・リクルーティングをすることができる。

ここがMewcketのマネタイズポイントだ。Mewcketはユーザーへアプリを無料で提供する一方で、この企業からユーザーへのアプローチ1件ごとに課金する。その課金料は掲載企業ごとに決定されるため非公開ということだが、Mewcket代表取締役の小林奨氏によれば、その金額感は「1件につき数万円程度」だという(別途、約20万円の初期費用が発生する)。

そのほか、Mewcketには「コンシェルジュ」と呼ばれるチャットボット機能もついている。僕が取材時にそのチャットボットを確認した限りでは、これは自然言語処理を駆使したハイスペックなチャットボットではなく、ボットからの問いかけに選択式の答えを返すというタイプだった。

たとえば、過去の閲覧履歴などからチャットボットがある企業の求人情報をリコメンドすると、ユーザーはそれを気に入ったかどうか回答する。「気に入らない」と回答すれば、次はボットがなぜ気に入らなかったのかを聞いてくる。もしユーザーが「規模感が合わない」という選択肢を選べば、次回はもう少し規模が大きな(小さな)企業の求人情報がリコメンドされるという具合だ。

テクノロジーで人材エージェントをリプレース

Mewcketは2017年8月にテスト版をリリースし、参加ユーザーの募集を開始。その結果、約100社の企業と1000名のエンジニアが集まった。2017年12月1日(予定)の正式リリースに向け、現在は新規の受付を停止中だ。また、小林氏はそれまでに有料職業紹介事業の許可を取得する予定だとしている。

Mewcketは2016年8月の創業。リクルート住まいカンパニーの事業開発室を経て独立した小林氏が、「エンジニアの転職市場は超売り手市場であり、かつ転職活動のオンライン化率が高い」という点に着目してMewcketを創業した。

「Mewcketが目指すのは、テクノロジーで人材エージェントをリプレースすることだ。エンジニアが自分のスキルを人間のエージェントに伝えたとき、それに適したおすすめ企業として人間の頭に浮かぶのは、せいぜい10社くらいだろう。スキルセットをもとにした企業とユーザーのマッチングは、人間よりも機械の方が得意な分野だと思う。プロダクトを起点にして企業とエンジニアをテクノロジーでつなげる世界を目指していきたい」(小林氏)

Mewcketのチームメンバー。左から2番目が代表取締役の小林奨氏。ここに1名のエンジニアを加えた総勢5名で運営している。

クリエイター向け入力デバイス「O2」がMakuakeで販売開始、ペンタブとの組み合わせで作業を効率化

クリエイター向けの入力デバイスを開発するBRAIN MAGICは10月25日、新型入力デバイス「O2」をクラウドファンディングサービスMakuakeで販売開始した。

映像制作やデザイナー、イラストレーターなどのクリエイターは、従来のマウス・ペンタブレット+キーボードの環境ではキーボードのショートカットキーやUIを使って制作ソフトの操作を行うことが多い。O2はマウスやペンタブレットと組み合わせて使うことで、キーボード操作の煩わしさを置き換え、作業を効率化するための新しい入力デバイスだ。

操作はO2を「倒す」「回す」「押す」ことで行う。「Illustrator」や「Photoshop」、「Premiere」などのAdobe製品のほか、「SAI」、「CLIP STUDIO」、「Avid」、「MediBang Paint」などのソフトに対応。よく使う機能やショートカットキーを最大256種類、設定することができる。ジョイスティック操作・マウス操作も可能で、画像加工ソフトの「ブラシ濃度変更」や映像制作ソフトの「コマ送り・コマ戻し」など、連続的な値を上下させる操作も、手を離さずに行うことができる。エルゴノミクスデザインを採用したことで、手や腕への負担も軽減できるという。

ダイヤル式のコントローラーとしては、Microsoftが2016年10月に発表したSurface Dialが既にあり、1万円強で買うことができる。O2は現在、限定数・先着順のクラウドファンディング特価2万7800円(税込)で販売されていて、Surface Dialと比べると結構高く感じる。ただO2は、Windows 10だけではなくOS Xにも対応しており、Windows 8/Windows 7でも動作確認されている。またSurfaceシリーズに特化したSurface Dialと違って、ペンタブ環境との併用にも適している点は、既存のハード・ソフト資産を生かしたいクリエイターにとっては魅力的だろう。またBRAIN MAGICでは、O2の価格設定について「プロのクリエイター向けのハイエンド製品として、妥協なく性能を追求した結果」と説明しており、製品の水準の高さにはかなりの自信があるようだ。

BRAIN MAGICは2016年2月の設立。代表取締役の神成大樹氏は、自身もイラストレーターとして活動していた人物だ。2015年に、デジタルハリウッド大学院とMakuakeによる「アイデア実現支援プロジェクト」に企画が採用され、それから2年間、新しい入力デバイスの試作とフィールドテストを重ね、7世代20種以上のプロトタイプの制作を行ってきたという。

BRAIN MAGICは9月27日、ウィルグループデジタルハリウッドABBALabを引受先とする、数千万円規模の第三者割当増資を実施したことを明らかにしている。同社では今後、O2の開発・生産を進めるほか、AIを活用したクリエイターの作業分析を行うソリューションも準備中とのことだ。

TechCrunch Tokyo CTO Nightの登壇者はこの8社8人! 参加者は引き続き募集中

11月16日、17日と開催まで3週間に迫ったTechCrunch Tokyo 2017で、イベント内イベントとして「TechCrunch Tokyo CTO Night powered by AWS」を開催する。今年の登壇企業と登壇CTO8人、そして審査員が決まったのでお知らせしたい。

開催趣旨はすでに初回アナウンス時に書いたとおりで、ネットやテクノロジーを最大限に利用して急成長を目指すスタートアップという企てにおいて、重要な役割を果たすCTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)に焦点をあてたピッチイベントだ。スタートアップが成功するためには技術シードとビジネスの両方が必要だとはよく言われること。専門性の高さから、この2つは組織としても人材としてもベクトルが大きく異なることがある。CTOは、ここをバランスさせ、経営や成長にコミットした技術のトップだ。

既存事業会社が「IT」を使って新しい取り組みを行うというのとは違って、ゼロイチでビジネスを作り出すときに最初からデジタルネイティブな人や世代が、アプリやシステムを事業と一緒に作って成長させる。そんなスタートアップのCTOの中でも今年もっとも輝いていた人物を「CTO・オブ・ザ・イヤー」の称号で讃えようというのが、このCTO Nightの狙いだ。2014年以来、これまで3人のCTOが選ばれた。このうち初代のCTO・オブ・ザ・イヤー2014のユーザーベースCTO竹内秀行氏には、今年は審査員として参加していただけることにもなった。

CTOかそれに準じるポジションの技術者であれば、イベント参加は無料だ。ぜひ他のCTOとの交流という意味も含めて気軽に参加してほしい。もうかなり申し込みを頂いているが、とても広い会場なので、まだ席には余裕がある。なお、TechCrunch Tokyoの本編参加チケット(超早割チケットなど含む)をお持ちの方であれば、CTO Nightへの参加もそのまま可能だ。

以下が今年登壇する8社のスタートアップのCTOたちと、今年の審査員だ。

TechCrunch Tokyo CTO Night 2017

【登壇者】
C Channel(女性向け動画)、西村昭彦氏
Dely(料理動画)、大竹雅登氏
FOLIO(ロボアドバイザー)、椎野孝弘氏
WAmazing(インバウンドSIMサービス)、舘野祐一氏
AnyPay(個人間決済)、中村智浩氏
トリプル・ダブリュー・ジャパン(排泄予知デバイス「DFree」)、九頭龍雄一郎氏
Tunnel(住生活の実例写真の投稿・閲覧サービス「RoomClip」)、平山知宏氏
CONCORE’S(建築業向けの写真共有アプリ「Photoruction」)、藤田雄太氏

【審査員】
藤本真樹氏(グリー、取締役 執行役員常務 最高技術責任者)
松尾康博氏(アマゾン ウェブ サービス ジャパン、ソリューションアーキテクト)
白井英氏(サイバーエージェント、SEG統括室CTO)
竹内秀行氏(ユーザーベース、インキュベーション担当 専門役員)

【日時】TechCrunch Tokyo 2017初日の11月16日木曜日の夕方(19時20分〜21時)
【会場】東京・渋谷ヒカリエ9階Bホール
【審査基準】技術によるビジネスへの貢献度(独自性、先進性、業界へのインフルエンス、組織運営についても評価対象)
【企画・協力】アマゾン ウェブ サービス ジャパン
【運営】TechCrunch Japan / Oath Japan
【チケット】無料(参加登録は必須)
【事務局連絡先】tips@techcrunch.jp

TechCrunch Tokyo CTO Nightへの参加登録はこちらから。