千葉大学が2050年の脱炭素を目指す全国自治体に向けて「カーボンニュートラルシミュレーター」を無料公開

千葉大学が2050年の脱炭素を目指す全国自治体に向けて市町村ごとの「カーボンニュートラルシミュレーター」を無料公開

千葉大学は、日本の基礎自治体が2050年までの脱炭素計画を立てやすくするサポートツールとして、「カーボンニュートラルシミュレーター」を公開した。現在の人口、世帯数、就業者数の推移から2050年の状況を予測し、脱炭素実現には電気自動車やネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH。net Zero Energy House)などの比率、再生可能エネルギーの導入をどう調整すればよいかを教えてくれる。千葉大学大学院社会科学研究院 倉阪秀史教授を中心とする研究チームの開発によるもの。誰にでも使えるようExcelファイルで作られていて、無料でダウンロードが可能

全国1741の市区町村の自治体コードを入力すると、その自治体の現状から推測した、何もしなかった場合の2050年の二酸化炭素排出量が示される。また、現在の人口の推移から推測した2050年の人口も示される。そこに、2050年の自動車の削減率、ZEH、ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB。エネルギーを消費するより生み出すほうが多い建物)、電気自動車や再生可能エネルギーの導入率などを加味すると、2050年時点での全体の削減量がわかる。人口を含めたこれらの要素を調整することで、達成までの計画が立てられるというものだ。

また、2050年までの「総投資額」、「総省エネ額」(節約分)、「再生可能エネルギー販売額」、「差し引き金額」が表示されるので、脱炭素に必要な予算もわかる。

開発者の倉阪教授は、2050年の脱酸素宣言を行った214の自治体について、同じ条件を入力してその達成状況を調べたところ、35.5%にあたる76自治体が脱炭素を達成できたという。ただし、達成率には地域によって差があり、北海道や東北など広大な土地のある地域では再生可能エネルギーが豊富なため達成率が高い傾向にあった。また、人口が多い都会のある自治体は、どこも達成できなかった。そのため脱炭素達成には、豊かな再生可能エネルギー源を持つ地方と都会との連携が必要になると倉阪教授は話している。

米道路交通安全局がテスラに対し、秘密保持契約と無線ソフトウェアアップデートについて説明を要求

米国道路交通安全局(NHTSA)が、同国の電気自動車メーカーであるTesla(テスラ)宛に2通の書簡を送った。1つは同社が「フルセルフドライビング」ソフトウェアのベータ版に早期アクセスするオーナーに、秘密保持契約を要求していること、そしてもう1件は、規制当局がリコールを届け出る必要があるとしている問題を修正するために、無線ソフトウェアアップデートを使用したこと、以上の2点を同局は問題視している。

今回送られた書簡は、NHTSAがテスラの先進運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」の自動運転機能や、ソフトウエアの無線アップデートに関連するテスラの慣行について、監視の目を強めていることを示している。

テスラの製造販売する車両には「Autopilot」と呼ばれる運転支援システムが標準装備されている。さらに購入者が1万ドル(約113万円)の追加料金を支払うと、より高度な機能が利用できる「フルセルフドライビング(FSD)」システムにアップグレードすることができる。このソフトウェアは、Elon Musk(イーロン・マスク)CEOが繰り返し約束しているように、いつかは完全な自動運転走行が可能になると言われているものだ。

FSDは数年前からオプションとして用意されており、これまで着実に値上げと新機能の追加が行われてきた。しかしながら、現状ではテスラのクルマは完全な自動運転ではない。FSDには、自動駐車場機能「Summon(サモン)」や、高速道路の入り口から出口まで、インターチェンジや車線変更を含めてクルマを導くアクティブガイダンス運転支援システム「Navigate on Autopilot(ナビゲート・オン・オートパイロット)」が含まれる。さらにFSDの最新ベータ版では、高速道路や市街地での運転を自動化するとされている。しかし、これはまだレベル2の運転支援システムであり、ドライバーが注意を払い、ハンドルから手を離さず、常に車両をコントロールできる状態でいることが求められる。

米国時間10月12日付の1通目の書簡では、テスラが先進運転支援システム「Autopilot」で、低照度下における緊急車両の検知方法をソフトウェアアップデートで修正した際に、リコールを届け出なかった理由を説明するよう求めている。NHTSAの見解では、車両の安全性に関わる部分を修正するために、無線ソフトウェアアップデートを使用する場合は、リコールを届け出る必要があるとしている。

「テスラも認識しているように、米国の安全法は、自動車および自動車機器の製造者に対し、製造した自動車または機器に自動車の安全性に関わる欠陥があると判断した場合、または適用される自動車安全基準に適合していないと判断した場合、NHTSAに通知してリコールを実施する義務を課している」と、NHTSAは記している。

NHTSAの記述によれば、リコール通知は、メーカーが安全上の欠陥や不適合を知った時点から、または知るべきであった時点から、5営業日以内にNHTSAに届け出なければならないとされている。

「車両の安全性に不合理なリスクをもたらす欠陥を緩和するために無線アップデートを配信する製造者は、それにともなうリコール通知をNHTSAに適時提出する必要がある」と、この書簡は続いている。

同じく10月12日付の2通目の書簡は、テスラがいわゆるFSDのベータ版早期アクセスプログラムに、秘密保持契約を用いていることに言及したものだ。FSDの購入者はすでに料金を支払っているが、テスラはオーナーがベータ版ソフトウェアにアクセスするためには、秘密保持契約を結ぶことを要求している。さらに9月には、マスク氏がさらに別の要件も制定した。それは最新のベータ版にアクセスできるオーナーを選定するために、個人の運転データを使用して安全スコアを算出するというものだ。

「NHTSAは、潜在的な安全上の欠陥を評価するための重要な情報源として、消費者からの報告に依存している。そのため、ベータ版早期アクセスプログラムの参加者が、NHTSAに安全上の懸念を報告することを妨げたり、思いとどまらせたりするような合意は容認できない」と、同局は書簡に記している。

「さらに、特定の情報を公開することを制限する行為は、NHTSAの安全性に関連する情報を取得する能力に悪影響を与える。FSDのベータ版早期アクセスにともなう秘密保持契約が、NHTSAの監督責任の遂行を妨げないことを保証するため、当局はテスラに対して添付の特別命令を発行する」。

なお、マスク氏は今週、Twitter(ツイッター)で、テスラが秘密保持契約の要求を取り下げることを示唆している。

イーロン・マスク氏へ。FSDベータ版の秘密保持契約が解除されました。

Whole Mars Catalog

パンチングロールによる提供を予定しています。

Elon Musk

しかしながら、NHTSAはさらなる情報を求めており、テスラは11月1日までに両方の要求に答える必要があると、同局は述べている。

画像クレジット:Christopher Goodney/Bloomberg / Getty Images

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

自治体・企業向けEV導入支援・運用システムやEVカーシェアを提供するREXEVが約6.3億円のシリーズB調達

自治体・企業向けEV導入支援・運用システムやEVカーシェアを提供するREXEVが約6.3億円のシリーズB調達

自治体と企業に向けた電気自動車(EV)の導入支援・運用システムの提供や、EVカーシェアリング・サービスの「eemo」(イーモ)を展開するREXEV(レクシヴ)は10月13日、シリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資による約6億3000万円の資金調達を発表した。引受先は、ジャフコ グループ、芙蓉総合リース、住友三井オートサービス、三菱UFJキャピタル、北陸電力ビジネス・インベストメント(北陸電力)など。技術面・営業面において引受先各社との協力体制を強化する。

調達した資金は、電気設備や電力契約の最適化支援、大規模導入時における充電制御の高度化などの「自治体や企業のEV転換を支援するソリューションサービスの開発」、多数のEVの同時制御による大規模調整、蓄電池の周波数制御、電力のダイナミックプライシングへの対応といった「再生可能エネルギーの大量導入を支える、EVエネルギー・マネジメント技術の強化」、多様な移動ニーズに応えるための技術開発、非常時にEVを蓄電池や移動電源として活用するユースケース拡大などにあてられる。

レクシヴは、カーボン・ニュートラル社会の実現を目指し、EVの普及促進と車載バッテリーを活用した新たなエネルギー・マネジメントを推進する。拡大するEV市場において電力関連の課題にも着目し、EVの利便性の向上や有効な活用方法の提案、EV導入の拡大と再生可能エネルギーの普及拡大にも貢献したいという。

GMのシボレー・ボルトEVのリコール費用はLGがほぼ全額負担

GM(ゼネラルモーターズ)は、何万個ものBolt EVのバッテリーを交換することになるかもしれないが、その費用の大半を負担する必要はなさそうだ。同社は、Chevy Bolt(シボレー・ボルト)EVとEUVのリコールにかかる費用のほぼ全額をLGが負担するという約束を取り付けた。GMは、費用20億ドル(約2270億円)のうち19億ドル(約2155億円)をLGが「補填する」と見積もっている。第3四半期決算でその費用は回収される見込みだ。

「高く評価され、そして尊敬されているサプライヤー」と契約に至ったことをうれしく思う、とGMは述べた。とはいえ、GMがこの契約を責任転嫁のために利用していることは間違いない。同社は、リコールの原因がLG製バッテリーの「製造上の欠陥」であることを強調した。LGは、陽極と陰極-陽極セパレータの問題を指摘し、これらの問題が重なるとバッテリーが発火する可能性が高くなることを突き止めた。

その後、LGはバッテリーの問題に対処し、生産を再開した。しかし、このリコールによる直接的なコストは二次的なものかもしれない。電気自動車の分野では比較的脆弱な両社の評判は打撃を受けた。特にGMにとっては、主力の2つのEVが一時的にでも路上から姿を消すというのは良いことではない。GMのHummer EVと電動ピックアップはそのイメージを回復させるかもしれないが、短期的にはあまり役に立たなさそうだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:GM

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(文:Jon Fingas、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMがリコール対象となったシボレー・ボルトEVの交換用バッテリーモジュールの出荷を開始

General Motors(ゼネラルモーターズ)が、半導体不足の影響で複数の製造工場が操業を停止したことにより製造が遅れていた、リコール対象となった電気自動車「Chevrolet Bolt(シボレー・ボルト)」の交換用バッテリーモジュールを、販売店へ向けて出荷し始めた。

ミシガン州のホランドとヘイゼルパークにある2つのバッテリー組立工場は、9月末に生産を再開している。その際、GMは交換用バッテリーモジュールを、早ければ10月中旬に販売店へ出荷すると述べていた

関連記事:GMがシボレー・ボルトEVの生産停止を10月中旬まで延長

GMは「特定のビルドタイムフレーム」の車両、つまり欠陥が集中していると思われる車両の一群を、優先させていくと述べている。交換作業は販売店で2日程度で完了し、新しいバッテリーには8年または10万マイル(約16万キロメートル)の限定保証が付く。また、GMは11月中旬までに、EVのバッテリーをモニターするための新しい診断ソフトウェアの提供も始める予定で、これも販売店でのインストールが必要になる。

今回のリコールは、バッテリーに陽極タブの破損とセパレーターの折れという2つの製造上の欠陥が発見されたため届け出されたもので、これらの欠陥が重なると火災発生のリスクが高くなる。GMが同車のリコールを行うのは3度目で、今回は2017年以降に製造されたBolt EVおよびBolt EUVの全車両が対象という、最も広範囲なものとなった。

火災のリスクに備えて自宅から離れた場所に駐車するようにと、米国運輸省道路交通安全局から勧告されていたBoltのドライバーにとって、今回のニュースはきっと歓迎されるだろう。GMもまた、Boltの所有者に対し、他の車両から50フィート(約15メートル)以内に駐車しないように忠告していたと、Bloomberg(ブルームバーグ)が報じている

GMは、欠陥の見つかったBoltのバッテリーの修理に関連する費用を、全体で約18億ドル(約2041億円)と見積もっている。同自動車メーカーは、バッテリー製造パートナーであるLG Chem(LG化学)に、約10億ドル(約1134億円)の補償を求めると述べている。

関連記事
米幹線道路交通安全局が火災リスクのあるシボレー・ボルトを屋外に駐車するようオーナーに警告
GMがシボレー・ボルトのリコール損失約1100億円をLG Chemに請求すると表明

画像クレジット:GM

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GMがリコール対象となったシボレー・ボルトEVの交換用バッテリーモジュールの出荷を開始

General Motors(ゼネラルモーターズ)が、半導体不足の影響で複数の製造工場が操業を停止したことにより製造が遅れていた、リコール対象となった電気自動車「Chevrolet Bolt(シボレー・ボルト)」の交換用バッテリーモジュールを、販売店へ向けて出荷し始めた。

ミシガン州のホランドとヘイゼルパークにある2つのバッテリー組立工場は、9月末に生産を再開している。その際、GMは交換用バッテリーモジュールを、早ければ10月中旬に販売店へ出荷すると述べていた

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GMは「特定のビルドタイムフレーム」の車両、つまり欠陥が集中していると思われる車両の一群を、優先させていくと述べている。交換作業は販売店で2日程度で完了し、新しいバッテリーには8年または10万マイル(約16万キロメートル)の限定保証が付く。また、GMは11月中旬までに、EVのバッテリーをモニターするための新しい診断ソフトウェアの提供も始める予定で、これも販売店でのインストールが必要になる。

今回のリコールは、バッテリーに陽極タブの破損とセパレーターの折れという2つの製造上の欠陥が発見されたため届け出されたもので、これらの欠陥が重なると火災発生のリスクが高くなる。GMが同車のリコールを行うのは3度目で、今回は2017年以降に製造されたBolt EVおよびBolt EUVの全車両が対象という、最も広範囲なものとなった。

火災のリスクに備えて自宅から離れた場所に駐車するようにと、米国運輸省道路交通安全局から勧告されていたBoltのドライバーにとって、今回のニュースはきっと歓迎されるだろう。GMもまた、Boltの所有者に対し、他の車両から50フィート(約15メートル)以内に駐車しないように忠告していたと、Bloomberg(ブルームバーグ)が報じている

GMは、欠陥の見つかったBoltのバッテリーの修理に関連する費用を、全体で約18億ドル(約2041億円)と見積もっている。同自動車メーカーは、バッテリー製造パートナーであるLG Chem(LG化学)に、約10億ドル(約1134億円)の補償を求めると述べている。

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画像クレジット:GM

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

カップホルダーを車上荒らし防止デバイスに変えるKeep Technologiesのプロダクト

David Moeller(デビッド・メラー)氏は次の会社を起業するつもりはなかった。ウェブサイトバックアップスタートアップのCodeGuard(コードガード)とハードウェア企業Claw Hanging Systems(クローハンギングシステムズ)を起業したことで連続起業家としての称号をすでに勝ち得ていたからだ。

ところが、車上荒らしが相次ぐ中、メラー氏は自分のクルマを盗難から守る製品を急いで探していた。それでわかったのは、市場の車上荒らし対策製品は需要に応えていない部分があり、それを埋める製品を出せばビジネスチャンスになるということだった。

メラー氏は数年に渡ってプロトタイプと研究開発を行い、ビジネスプランを立て、Keep Technologiesという会社を創業する。このアトランタ本拠のスタートアップは、TechCrunch Startup Battlefieldで事実上のデビューを果たし、2020年秋に正式に創業した。

「最初は起業しない理由を本当に探していました」とメラー氏はいい、市場調査、特許調査、消費者調査に数カ月を費やしたあと、プロトタイプを制作したと説明する。「ちょうど会社を売却したところでしたし、起業を検討していたときは、ゴルフも本格的にやりたかったし、下の娘も生まれたばかりだったので、何か危険信号はないか、起業すべきでない理由が欲しかったのです」。

しかし、起業しない理由は見つからなかった。それどころか、車両の安全性とセキュリティを実現するスマートデバイススイート、および付随するクラウドサービスとモバイルアプリも開発してしまった。フラグシップ製品のKnightは、車両への侵入と車周辺の動きの検出器で、車内のカップホルダーに取り付けて使う。もちろん、カップホルダーもそのまま使用できる。

すでに5つのユーティリティ特許を取得し、他にも16の特許を申請中のKeep Technologyは、多くの投資家の目を惹きつけている。メラー氏は最初、自己資金でKeepを立ち上げた。以降、数多くの投資家たちから4億ドルの資金を調達している。Cloudflareの共同創業者兼CEOのMatthew Prince(マシュー・プリンス)氏、アーリーステージのテクノロジー投資企業TechOperators(テックオペレーター)の共同創業者Tom Noonan(トム・ノーナン)氏、Ellis Capital(エリスキャピタル)のBert Ellis(バート・エリス)氏、 Kenzie Lane Innovation(ケンジーレーンイノベーション)のCEO Tripp Rackley(トリップ・ラックレー)氏、Intercontinental Exchange(インターコンチネンタルエクスチェンジ)の最高情報セキュリティ責任者Jerry Perullo(ジェリー・ペルロー)氏などがKeepに投資している。

動作原理

Keep TechnologyのKnightデバイスは、車両のOBDポートに接続して使う。コードは床板の下を通って車両の中央コンソールに接続される。そこには通常、カップホルダーがある。Knightはカップホルダーに固定して使う。デバイスを回してしっかり固定するとアクティブ化される。

Knightデバイスは所有者以外の誰も取り外すことができない、とメラー氏は説明し、取り付けおよび取り外し作業中のアラーム機能に関する特許もいくつか取得していると付け加えた。Knightにはカメラが内蔵されており、180度の視界を確保できる。携帯電話にも接続可能で、パッシブ赤外線方式(PIR)およびマイクロ波センサーによって車内外の動きを検出できる。

画像クレジット:Keep Technologies

つまり、Knightは車上荒らしの犯人の動画を記録し、そのデータをクラウドに送信し、ユーザーのモバイル端末にも送ることができる。また、クルマの所有者の代わりに動画を確認して、警察に通報するという行動を取ることができるモニタリングサービスも提供している。

目的はもちろん、クルマへのいたずらやパーツの盗難を記録するだけでなく、車上荒らしを防ぐことだ。Keep製のデバイスはBluetooth経由で付属のフォブまたはユーザーのモバイルアプリと通信する。いずれにしても、所有者がドアをロックしてクルマを離れると、デバイスが自動的にアクティブ化される。

何者かがクルマに近づき車内を覗き込んだら、デバイスは抑止モードになり、LED光が点滅し甲高い警告音が鳴る。これは今日市場に出ている大音量の屋外用アラームとは異なる。光の点滅と甲高い警告音は誰かがクルマの周辺をうろついているときだけ発動され、その人が去ると止む。その人がクルマのドアを開けようとすると、最大120dbの警告音を発するブザー(メラー氏によると100人の赤ん坊が泣き叫んでいるような音)が鳴り、魚眼レンズがビデオを録画し転送する。

メラー氏によると、Knightデバイスの価格は299ドル(約3万3000円)、サブスクリプションの場合は年50ドル(約5500円)にする予定だという。本格的な監視サービスを望むユーザーには、月30ドル(約3300円)の価格設定を考えている。製品のリリースは2022年の中頃の予定だ。

Keep創業までの経緯

ジョージア工科大学で機械工学の学位を取得したメラー氏は、GEに就職し、ごく普通にプロとして仕事を始めた。GEでは中東、中国、ダラスの各支社に配属され、4年間在籍した。その後、投資銀行に転職するため仕事を辞め、ハーバードビジネススクールに入学した。起業家精神が芽生えたのはその頃だった。

メラー氏と友人はAmerican Inventorというリアリティーテレビ番組(2007年にABCで放送されたShark Tankの先行番組)に出演する。2人はThe Clawという自転車用ラックを発明し、ファイナリスト6組に残った。最終的には、The ClawをWhirlpool(ワールプール)にライセンス供与し、Lowe’s(ロウズ)、Home Depot(ホームデポ)、Amazon(アマゾン)で100万台以上を売り上げた。

メラー氏は、その夏の前半にAmerican Inventorの撮影を行い、後半は某投資銀行でインターンとして経験を積んだ。

「その夏の終わりまでには、その自転車用ラックが売れなくても、起業家になると決心しました」とメラー氏はいう。「あの経験で、大きなリスクを取ること、そしてその結果起こり得ることに対する私の考え方は大きく変わりました」。

Claw Hanging Systemsを立ち上げたメラー氏は、続いてCodeGuardを起業する。Clawの創業者は製品が番組で紹介されたときに先行予約を受けられるようにウェブサイトを立ち上げていた。ワールプールや他の会社に、この製品の需要があることを示すことが目的だった。が、このウェブサイトは、American Inventorが放映される前にクラッシュしてしまった。

数年後、メラー氏は、ウェブサイトバックアップスタートアップCodeGuardをジョージア工科大学の教授と共同で創業する。CodeGuardはTechCrunch Disrupt 2011に参加し、コンペでファイナリストに残った。その後すぐ、CodeGuardはCloudflareと提携し、2018年、Sectigoに買収された。

メラー氏はその後2年間、Sectigoに在籍していた。当時、同氏は、夜間も週末も費やして神経科学向けのハードウェアの開発を始めた。この取り組みはジョージア工科大学とMITからのスピンアウト組で構成されるNeuromatic Devicesとして会社化され、メラー氏は開発したハードウェアをこの会社から販売するようになる。

CodeGuardをSectigoに売却した頃から、メラー氏は立て続けに車上荒らしの被害に遭う。アトランタで近隣に引っ越した直後に被害に遭ったのを期に、同氏は、車上荒らしの被害を防ぐためのセキュリティデバイスまたは製品について考えるようになった。

今後の展望

画像クレジット:Keep Technologies

KeepはKnight以外にもいくつか製品を出している(製品名はチェスの駒の名前から取っているものが多い)。具体的には、カメラは内蔵していないが、クルマの周辺の動きや車内への侵入は検知できる廉価版のPawn、フロントガラスに貼り付けて使う360度の視界を提供するRookなどがある。

メラー氏によると、Knight、Pawn、Rookの3機種はKeepの初期製品に過ぎないという。同社はメラー氏を含めて11人の会社だが、例えば盗難の被害に遭うことが多いガス浄化装置(自動車の排出ガス中の有害成分を、触媒を使って低減する装置)の盗難防止デバイスなど、上記以外のセキュリティデバイスやセンサーの開発にも取り組んでいる。今後登場するアドオン製品としては、座席モニタリングセンサー、ドア / トランク / 給油口監視装置、カップ式無線充電装置、GPS追跡強化タグなどがある。

またKeepは、Lookoutと呼ばれる製品も設計している。これは、フロントガラスに取り付けて、警察官による職務質問を録画する小型パック型デバイスだ。といっても、メラー氏はこのデバイスでドライブレコーダー業界に参入しようとしているわけではない。むしろ、大手のドライブレコーダーメーカーと提携して、Lookoutを組み込んでもらうほうが可能性があると考えているようだ。

画像クレジット:Keep Technologies

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Dragonfly)

【レビュー】Rivianから待望の電動トラック、2022 Rivian R1Tにはたくさんのお気に入り機能と工夫が溢れている

Rivian(リビアン)は、初めての試みで、ピックアップトラックのゴルディロックスを作った。

Rivian R1T電気トラックは大き過ぎず、小さ過ぎない、適正サイズのトラックだ。ロッククローリングやオフキャンバー走行を難なくこなす。ダートでも数秒で時速約96kmに達し、後輪のスリップも発生しない(ただし、オプションでドリフト効果を発生させることもできる)。また、曲がりくねった山道でコーナーを攻めても車体が横揺れすることもない。

内装も外装も間違いなく最高級の仕上がりになっている。が、Rivian R1Tは決して見かけだけの軟弱なクルマではない。

リビアンのデザイナーとエンジニアは、あらゆる面で形と機能を両立させることで、見せ掛けだけのクルマにならないように配慮している。さらに驚かされるのは、タイダウンフック、エアコンプレッサー、コンセントといった装備の場所などから、多くの社員が、キャンプ、マウンテンバイク走行、あるいは買い物などの日常的な作業に至るまで、実際のさまざまな条件下でこのクルマをテストしたことが伺える点だ。

こうした努力の結果、季節を問わず、あらゆる用途に使えるクルマになっている。そして何より、運転していて楽しい。

記者向けの3日間の試乗で、最終製品仕様に近いR1Tは、誰もこんなクルマが必要だと気づいていなかった、そんな電気トラックであることが分かった。

といっても、すべてが完璧だと言っているわけではない。ハードウェアの細かい部分やソフトウェアユーザーインターフェイスなど、改善して欲しい点はいくつかある。1つ指摘しておくと、おそらくペン立てなのだろうが奇妙な切り込みがあるのだが、これはワイヤレス充電パッドによって間違いなくすぐにホコリがたまるだろう。

はっきり言っておくが、このクルマを詳細にレビューするにはもっと時間をかけて試乗してみる必要がある。とはいえ、全体としてRivian R1Tには好印象を持った。

画像クレジット:Kirsten Korosec

リビアンがR1Tで実現したことは簡単ではない。

名のある自動車メーカーにとって、消費者の欲しいものリストを予想して、すべての要望を実現していくのは難しいことだ。量産しながら適切な仕上がりを維持するのはさらに難しい。リビアンは、最初の電気トラックを米国市場に投入して、ドライバーが欲しがるトラックをきちんと製造することを目指す絶好の立場にある。

リビアンは消費者の要望と運転のしやすさという点では期待に答えていえるが、生産と配送というさらに2つのテストに直面している。

リビアンはこれらの目標に向かって前進している。リビアンブルーの車体を持つ最初のRivian R1T電気ピックアップトラックは、今月始め、イリノイ州Normal(ノーマル)の同社工場の組み立てラインから排出され、創業10年を超える同社と創業者兼CEO RJ Scaringe(RJ・スカーリンジ)氏にとって画期的な出来事となった。

関連記事:アマゾンも出資するRivianが電動ピックアップトラック「R1T」の量産第1号車を出荷

2009年にMainstream Motors(メインストリームモーターズ)として創業した同社は2年後にリビアンに社名を変更し、この2年間で、社員、支援者、パートナーの数が急増し、爆発的な成長を遂げた。

リビアンは数年間ひそかに事業を展開した後、2018年、ロサンゼルスのモーターショーで完全電気自動車R1TトラックとR1S SUVのプロトタイプを発表した。

その後、リビアンは数十億ドル(2019年以来105億ドル)を調達し、イリノイ州ノーマルの工場を拡張し、数千人(8,000人以上)の社員を雇用し、アマゾンを法人顧客として獲得した。最近では、ひそかにIPOを申請している。また、イリノイ州の工場の他にも、カリフォルニア州のパロアルトとアービン、ミシガン州プリマスにも工場があり、英国支社もある。

基本概要

画像クレジット:Kirsten Korosec

筆者が試乗したR1Tは、グレイシャーホワイトのLaunchエディションで、Pirelli Scorpionの全地形対応タイヤを履いていた。価格は約7万5000ドル(約833万円)だ(1075ドル[約12万円]のコンテナ取扱料金を除く)。

特性のバッジが付いてくるLaunchエディションはもう購入できないが、リビアンの「Adventureパッケージ」トリム(7万3,000ドル[約811万円]より)は装備という点でLaunchエディションとほぼ同じだ。例えばLaunchエディションとAdventureエディションは、どちらもオフロード向けアップグレードが標準装備されている。具体的には、強化されたボディー底面シールド、デュアルフロントバンパーけん引用フックとエアーコンプレッサー、内装アクセント、100%リサイクルのマイクロファイバー天井材、Chilewich(チルウィッチ製)フロアマットなどだ。

R1Tの特徴は、バッテリーパック、駆動装置、扱いやすい独立型空気サスペンション、保温性の高い下部構造などで構成されるスケートボードアーキテクチャーだ。このスケートボードシャーシには上記のすべての装備が組み込まれている。つまり、このスケートボードに異なるボディを乗せることができる。これにより、柔軟性とコスト効率性が向上し、同じ基盤を使用して車を量産できる。

その結果、重心が低く、68立方フィート(約28リットル)の積荷スペースが確保された。積荷スペースは、デザイナーとエンジニアがさまざまな身長の顧客に配慮して設計したものだ(下の2階層の前方トランクはそうした例の1つだ)。

画像クレジット:Kirsten Korosec

パワートレインには、135kWhのリチウムイオンバッテリー、全輪駆動用の4台のモーター、835馬力 / 最大トルク1,231.25N・mのシングルスピードトランスミッションが搭載されている。これらの数字によって、パワー、パフォーマンス、カーブで加速したときの安定感といった利点が得られる。

リビアンがクワドモーター駆動(前輪軸と後輪軸にデュアルモーター駆動ユニットを搭載)を設計した経緯は説明しておく価値があるだろう。というのは、筆者はその設計が重要な理由を身を持って体験できたからだ。4台のモーターはそれぞれ独立にドルクを調整するため、さまざまな条件下でトラクションを制御できる。筆者が試乗したのは未舗装の悪路だった。クワドモーター駆動により、状況に応じて、最もパワーを必要としている車輪にパワーを伝えることができるため、スリップを防いだり、車両の回転を制御したりできる。

車両の温度管理とバッテリー管理システムにより、車両は最大11,000ポンド(約5トン)をけん引でき、直流急速充電速度は走行距離140マイルの場合200kWで20分の充電が必要となっているが、どちらも試すことはできなかった。この2点については、数日間試乗できる機会がきたら試してみようと思う。

サーキット

画像クレジット:Kirsten Korosec

記者向けの試乗会は全員デンバー国際空港をスタート地点として開始された(ただし筆者は飛行機が遅れたため同時にスタートできなかった)。空港から州間ハイウェイ70を100マイル北上し、ロッキー山脈の東側地域に入り、ブレッケンリッジ(テンマイル・レンジにある人気のスキーリゾート)を最終地点とする(今回の旅費と宿泊費はリビアンではなくTechCrunchが負担してくれた。リビアンはトラックと食事を供給してくれた)。

筆者は、 Rivian R1Tに試乗するのを、次の日まで待たなければならなかった。

翌朝早く、Rivian Camp Kitchenで屋外での朝食をとり、安全性チェックと簡単な説明を聞いた後、いよいよコースでの試乗が始まった。

初日の大半はオフロードだが、舗装されたマウンテンハイウェイも面白そうだ。最初のルート(スワンリバーのノースフォークに沿って走りディアー・クリークとセントジョン・トレイルに接続するコース)は、ロッククローリング、難しいV時型の切り込みのある区間、険しい上りと下りで構成されている。スピードの出せるダート・ロードもあるので「ラリー」モードを試すこともできた(詳しくは後述する)。

画像クレジット:Kirsten Korosec

ドライバーは、古い鉱山採石場だったモンティズマを通過し、ハイウェイ6(ラブランド・パス峠を越える曲がりくねった舗装道路)に入る。初日の最後はドライバーによって走行距離に差が出た。トラックに乗車した筆者と他の記者たちが選んだ午後のルートは、ラブランド・パス峠を2回越えて、キーストーン、スワン・ロードを通過して最終地点に到達するルートだった。

翌朝、記者たちは再度空港まで試乗車を試すことができた。今回の初めての試乗は計約270マイルにおよぶ3日間の旅だった。

ハンドリングとパフォーマンス

画像クレジット:Rivian

オフロード区間の走行時は、4輪独立の空気サスペンションが真価を発揮した。ドライバーは、多目的、スポーツ、オフロード、節約、けん引などの複数のモードからいずれか1つを選択できる。オフロードモードには、さらに、オフロードオート、ロッククロール、ラリーなどのオプションが用意されている。ドリフト走行モードも用意されているが、今回はテストしなかった。

最低地上高、ダンピング、再生ブレーキを制御するペダルマップ、車両のサスペンションは、走行モードに応じて調整される。例えば節約モードでは、車高は約8インチ(約20cm)だが、オフロードでは14.9インチ(約37cm)にまで調整できる。

オフロード走行では、急斜面の登り下り、浅瀬走行も行った。地上高と、34度のアプローチ角、25.7度のブレイクオーバー角(斜路走破角)、29.3度のデパーチャー角により、車体が地面をこすったり、つっかえたりすることは一度もなかった。特に大きな石を避けて進もうとしていたら(他の車両ではごく普通のテクニック)、リビアンの社員がそのまま乗り越えるようアドバイスしてくれたことがあった。言われるとおりにやってみると、まったく問題なかった。

画像クレジット:Rivian

オフロード走行中に突然発生した唯一の問題は、同乗者の窓の開閉がときどき遅くなったり、止まってしまうことだ。これは量産仕様の車両では問題になるだろうが、ちょっとした誤作動の類で、あと数週間で実際に顧客に納車されるまでには修正されていることを望みたい。

このクルマのさまざまなモードでのパフォーマンスは期待どおりだったが、インターフェイスが原因で、モード切り替えが若干もたつく感じがした。これについては、以下で詳しく説明する。

ユーザーインターフェイス

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内装はテクノロジーと物理構成要素のバランスが非常によくとれている。フロントガラスのワイパーとギヤセレクターの操作はレバーに組み込まれており、中央の車載インフォテインメント・システムから操作しなくてよいのはありがたい。また、ハンドルには親指操作の2つのトグルスイッチが装備されており、音量、1曲飛ばし、電話応答制御、Alexa音声アシスタントを制御できる。また、先進の運転補助機能もいくつか用意されている。

先進の運転支援システム(ブランド名Driver+)がアクティブ化されたときに使用される運転者監視システム(カメラ)も用意されている。ドライバー用ディスプレイは仕様に組み込まれているもので、わずかな重要情報(速度、ナビゲーションマップ(必要な場合)、レンジなど)のみが表示される。

運転席の右側中央には矩形の中央タッチパネルがあり、クルマに関して必要なほぼすべての情報が表示される。その中には、物理的なボタンやノブでも操作できればありがたいと思える項目もいくつかある。とはいえ、良い点を挙げると、インフォテイメントシステムでは、面倒なホーム画面ボタンを省略して、必要な項目がすべて画面下部に固定的に配置されている。これにより、ほとんどの機能を直感的に見つけて操作できる。

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普通のドライブなら「どうしてもっとボタンとノブで操作できるようにしないんだ?」などと愚痴をこぼすこともないだろう。だが、急な石だらけの斜面を登るときなど、換気口の向きを変えるのに、いちいちタッチパネルをタップして小さなドットを動かして自分の顔に風が当たるように調整するのは何とかならないのかと思わず声に出して愚痴ってしまった。また、ガタガタ道や曲がりくねった道を走行しているときに回生ブレーキのレベルを変更したいとも思わなかった。

こうしたぎこちなさの中には慣れれば解消されるものもあるだろう。それでも、リビアンのユーザーが物理的なノブや換気口を掴んで操作できることを望んでいるのではと思うような機能もいくつかある。エアコンはその最たるものだ。

ソフトウェアは思ったとおりに動作した。今回試乗したトラックでは、が反応が遅くてもたつくことはなかった。携帯電話は簡単にBluetooth接続して音楽を再生できた。ただし、リビアンの車載システムにはApple CarPlay やAndroid Autoはインストールされていない。

リビアンはソフトウェア中心型でクラウドベースのアーキテクチャーの利点を享受している。これにより、無線でソフトウェアをアップデートできるため、わざわざサービスセンターまで足を運ばずに済むとリビアンの社員が保証してくれた。アップデートは定期的に実行され、新しい機能とアプリがインストールされる。

テスラでは、ビデオゲームやその他のお楽しみコンテンツを配信する手段としてOTA(Over The Air)を使っているため、テスラのオーナーはOTAがお気に入りになっている。リビアンは少なくとも現時点では、OTAにはあまり乗り気ではない。リビアンの電気トラックの隠し機能はハードウェアを重視しており、それは未来のリビアンオーナーの希望に沿ったものだと同社は考えている。

ハードウェアアクセサリー

キー、ギア・トンネル、ギアガードなど、簡単に触れておくに値するハードウェアコンポーネントがいくつかある。すべてのアクセサリ(粋なポータブルスピーカー、タイヤ空気圧縮機、懐中電灯など)については、今週掲載する記事で詳しく紹介する。

まずはキーだ。いや複数のキーといったほうがよいかもしれない。リビアンはオーナーがクルマのドアを開けるための4つの方法を用意した。携帯アプリ、カラビナタイプの錠前のついたフォブ、クレジットカード型のキー、ブレスレットの4つだ。やり過ぎではないかと思うかもしれないが、これはアクティブで、辺ぴな地域で一種の冒険を楽しむことが多いリビアンのターゲットユーザーに合わせたものだ。

画像クレジット:Kirsten Korosec

次はギア・トンネルだ。これは11.6立方フィート(約328リットル)の収容スペースを提供する。ギア・トンネルはこのクルマの主要な特徴であり、スカーリンジ氏によると、何度も修正が繰り返されたトラックの初期デザインでギア・トンネルだけは一貫して変わらなかったという。

ギア・トンネル内にオプションのスケートボードアップグレードを施すことで、5,000ドルのキャンプ用キッチンを装着できる。リビアンはこれ以外にもアクセサリを追加する準備を進めているようだ。スキーやスノーボードブーツの乾燥用ヒーター、泥だらけの自転車走行用着衣を入れる簡単着脱式バケツ(スケートボードに装備可能)などが考えられる。

ギア・トンネルのドアは荷台のフレームに付いているボタンを押すと下向きに開く。ドアは人が1人乗っても耐えられるくらい十分な強度があり、収容スペースを広げてくれる。下の写真では、リビアンの社員が空気圧縮機のアタッチメントをドアの収納ボックスから取り出しているところだ。

画像クレジット:Kirsten Korosec

最後に、Adventureパッケージトリムに含まれているギアガードと呼ばれるハードウェアとそれに付随するソフトウェア機能について触れておく。このシステムは荷台の側面に差し込む積荷固定用ケーブルで構成されている。このケーブルをラックに搭載した自転車やその他の道具に接続できる。接続すると、セキュリティシステムが稼働する(下の写真参照)。

セキュリティシステムは車の10台の外部カメラに接続されており、何者かが荷台の道具に近づいていじり始めると、録画を開始する。録画された動画は、中央のディスプレイで表示したり、保存および共有もできる。ただし、細かい点だが、この動画がユーザーのスマホアプリに即座に送信されることはない。

画像クレジット:Kirsten Korosec

リビアンはこの機能を発表と同時に追加し、アプリを改善していくものと思われる。これは、ソフトウェアとハードウェアの統合を重視しながら、ゼロから車を開発する場合の利点だ。多くのちょっとした点を改善していくことができる。

リビアンが実現したことは、たまたま変更が難しいものになっている。リビアンのトラックは、トラックのオフロード走行能力、機敏なセダンやスポーツカーの路上性能、静かな電気自動車の利点を備えながら、デザイン、内装素材の選択、ソフトウェア、機能アクセサリなどもなおざりにはしていない。

それはブランドの信頼性を構築するに違いない初期的な取り組みであり、お客様にも良い印象を与えることだろう。

画像クレジット:

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Dragonfly)

米国通学システムスタートアップZūmが1万台のEVをプラットフォームに追加

通学する子どもたち向けに最適な移動サービスを提供するスタートアップのZūm(ズーム)は、1億3000万ドル(約146億円)のシリーズD調達を行ったことを発表した。これによって同社の総資金額は2億ドル(約224億円)を超えた。同社は、この資金を使って、1万台の電気バスやバン、車両を新たにプラットフォームに追加し、2025年までに電気自動車(EV)率を100%にすることを最終目標としている。現在、同社は1000台の車両を保有しており、それらは主に内燃機関で動いている。

オフピーク時には大量のバッテリーが使われない状態になることを想定した Zūmは、同社の車両をグリッドにエネルギーを還元する巨大な仮想発電所に変身させるために、エネルギー管理・分配ソフトウェアを提供するAutoGrid(オートグリッド)と提携した。

Softbank Vision Fund 2が主導し、Sequoia、BMW i Ventures、AngelPadなどの既存の投資家が参加した今回のシリーズD資金調達が行われたのは、Zūmがサンフランシスコ統一学校区(SFUSD)の輸送サービスを近代化するための1億5000万ドル(約168億円)の契約を獲得してから数カ月後のことだ。また、Zūmは、この資本を新しい市場や地域へのさらなる拡大のために使用したいと考えているという。

通学用の交通システムは、米国最大の大量輸送機関だと言われているにもかかわらず、前世紀からあまり変化していない。米国では毎日2600万人以上の子どもたちがバスに乗っているが、そのバスはいまだに時代遅れの黄色いバスで、ディーゼル燃料を吐き出しながら、効率が悪く位置追跡もされないルートを走行しているようだ。Zūmは、乗り換え時間を短縮したり特別なニーズを持つ生徒に対応したりできるように、バス、バン、車両を学区内に配置し、高度な車両管理プログラムを使って移動を最適化できるシステムを、2021年以降に導入することを目指している。

CEOで共同創業者のRitu Narayan(リトゥ・ナラヤン)氏は声明の中で「当社は、子どものために親が直接乗り物を予約する会社としてスタートしましたが、この成功を基にシステム全体にサービスを拡大できる可能性があると考えました」という。「本日私たちは、通学システムを悩ませてきた構造的な問題を解決するために、大きな一歩を踏み出しました。学校、保護者、子ども、ドライバーのすべてがより良いものを手に入れるべきだと考え、システム全体を刷新していきます」。

通学システムは学校区内における最大のコストの1つだ。Zūmは、遠回りのルートや硬直したスケジュールなどの非効率性を是正することで、SFUSDのような学区では、平均して年間300万ドル(約3億4000万円)の経費削減に成功しているという。すでにカリフォルニア、シアトル、シカゴ、ダラスの4000校と提携しており、今後数年間でアリゾナ、フロリダ、バージニア、オレゴン、ニューヨークなど12の州にサービスを拡大する予定で、次のターゲットとしてワシントンD.C.も視野に入れている。

Softbank Investment Advisersの投資ディレクターであるAndrew Straub(アンドリュー・ストラウブ)氏は「Zūmは、データとテクノロジーを駆使することで、子どもたちの安全性を高めながら、より良いサービス、効率性、持続可能性を提供し、通学システム刷新できていると確信しています」と述べている。「私たちは、過去1年間に、学校のネットワーク全体にZūmのサービスを導入した学区で、大幅なコスト削減などの即効性があったことに感心しているのです」。

画像クレジット:Zūm

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

米GMとGEがEV製造に使われるレアアース材料のサプライチェーン構築で提携合意

自動車メーカー各社がサプライチェーンの変化を先取りしようとしているさらにもう1つのサインとして、General Motors(GM、ゼネラルモーターズ)は、EV(電気自動車)やクリーンエネルギー機器の製造に使用されるレアアース材料の供給に関して、General Electric(GE、ゼネラル・エレクトリック)と了解覚書(MOU)を締結したと発表した。

拘束力のないこの契約は、GEのクリーンエネルギー部門であるGE Renewable Energyとのもの。レアアース希土類に加えて、磁石、銅、電気用鋼の供給を改善する方法も検討されている。

当初は、北米および欧州における磁石製造のためのサプライチェーンの確立に焦点を当てた協力関係を構築する予定だという。これは、磁石の主な生産国が中国、ブラジル、インドなどであることを考えると重要なことだ。また両社は、銅や、自動車用トラクションモーターや再生可能エネルギー発電に使用されるリサイクル素材「eSteel」についても、新たなサプライチェーンを検討していく。

今回の合意は、北米の自動車メーカーが重要鉱物の供給において海外に依存することを減らしたいと考えていることを示している。このニュースは、Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領とDonald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領が、あらゆるものの電動化を進めるにあたり競争力を維持するために、銅やリチウムなどの鉱物資源の国内調達を強化するよう求めてきたことを考えると、先見性がある動きといえる。

そのために、両社は公共政策面での協力も視野に入れており、北米や欧州を中心としたこれらの素材のサプライチェーンの構築を支援する政策を模索している。

GMのグローバル購買・サプライチェーン担当副社長であるShilpan Amin(シルパン・アミン)氏は、声明の中でこう説明している。「EV用素材の安全で持続可能なローカルサプライチェーンは、GMのビジョンである”オール・エレクトリック・フューチャー”を実現するために不可欠です。モーターは当社のアルティウム(Ultium)プラットフォームの最も重要なコンポーネントの一つであり、重希土類および軽希土類材料は当社のモーターマグネットに不可欠な成分です」。

画像クレジット:Jeffrey Sauger for Chevrolet

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

アップルがiPhoneでクルマの空調やシートをコントロールできる技術を開発中か

iPhoneが、電話に出たり音楽を選んだりする以外にも、クルマの中で役立つことができるようになるかもしれない。Bloombergによると、Apple(アップル)はコードネーム「IronHeart」というiPhoneを使ってクライメートシステム、ラジオ、シート、さらにはインストルメントクラスターをコントロールできるようになる技術を開発しているとのことだ。暖房の温度を上げるためだけに、CarPlayとクルマの(おそらく不便な)インフォテイメントソフトウェアを切り替える必要はなくなるだろう。

情報提供者によると、IronHeartはまだ開発の初期段階にあり、自動車ブランドとのパートナーシップが必要になるとのことだ。この件についてAppleはコメントを控えている。

このような取り組みは、自動車におけるAppleの存在感を、CarPlayや最近のCarKeyのような限定的な技術を超えたものにする可能性がある。また、かねてより噂されている電気自動車戦略の一環というわけではないが、この技術の開発を通して自動車のより多くの側面を経験することができ、Appleでの自動車開発にも役立つはずだ。

ただ、自動車メーカーがこのコンセプトを受け入れるかどうかは別の問題だ。Appleは、多くの一般的な作業において、自動車の元々のインターフェイスを事実上バイパスすることになる。特に、Appleのサービスと競合するサービスを持っているメーカーは、自社のカーインターフェースやアプリに多大な労力を費やしてきただけに、躊躇することは容易に想像できる。もしIronHeartが出荷されたとしても、クルマの購入者から熱狂的な反応がない限り、その搭載は一部のメーカーやモデルに限られるかもしれない。

編集部注:本記事の初出はEngadget

画像クレジット:JOSH EDELSON / Stringer / Getty Images

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(文:Jon Fingas、翻訳:Yuta Kaminishi)

ハイブリッド、EV、代替燃料の未来に対するランボルギーニのビジョン

自動車愛好家には、電気自動車を敬遠してきた歴史がある。電化やハイブリッド化を全面的に支持する人もいる一方で、依然としてガソリンにこだわりを持つ人もいる。Lamborghini(ランボルギーニ)のような、高尚で価格設定の高い領域では特にその傾向がある。

電動化とハイブリッドパワートレインの推進は、世界最大級のパワフルなガソリンエンジンを備えた印象的な特注車両を作ることで知られる自動車メーカーに、大きな課題を突きつけている。ランボルギーニの上層部からは、それに対する若干の抵抗感が感じ取れる。

ランボルギーニは2024年までにすべてのモデルをハイブリッドパワートレインに移行するとしている。すでにハイブリッドの限定モデルとしてSián FKP 37(シアンFKP 37)とCountach LPI 800-4(カウンタックLPI 800-4)を発表しているが、ハイブリッド化されたパワートレインを搭載した初の量産(つまり限定ではない)車両が来年までにリリースされるという。Ferrari(フェラーリ)、McLaren(マクラーレン)、Porsche(ポルシェ)などはハイブリッドパワートレイン搭載の量産車と限定車の両方を作り続けており、ランボルギーニはこの分野に参入する最後のスーパーカーメーカーの1社となる。

ランボルギーニは、同社の忠実な顧客の力を借りて、彼らの象徴的なスーパースポーツカーの未来を革新したいと考えている。

ランボルギーニの燃料の未来

「一方で、当社は極めてニッチな存在であり、CO2の方程式に占める割合はごくわずかです。しかし私たちは自分たちの役割を果たしたいと考えています」と、ランボルギーニの北米の新CEOであるAndrea Baldi(アンドレア・バルディ)氏は、今後もリリースを予定しているガソリン駆動車として同社最後のモデルとなるHuracán(ウラカン)の1つ、Huracán STO(ウラカンSTO)のローンチイベントで語っていた。「ハイブリッド、電気、そして代替のパワートレインへのシフトは、私たちにパフォーマンスの再考を迫るものであり、電動化が長期的な方向性であるかは確信が持てません」。

「ハイブリッドや電動パワートレインを搭載した4番目のモデルをリリースするにしても、異なる種類の燃料を使用する内燃機関のソリューションを見つけるにしても、私たちは今後もさらに学びを進めていきます。エモーション(感情)と真のランボルギーニ体験という、共通の目標を実現する必要があるのです」とバルディ氏は語っている。

同氏は自社が採用する可能性のある燃料や技術の詳細については語らなかったが、ランボルギーニのCTOであるMaurizio Reggiani(マウリツィオ・レッジャーニ)氏からは、ランボルギーニの将来的な完全電動化を示唆する興味深い研究についての言及があった。

「ハイブリッドパワートレインは、私たちがイノベーションを起こせると確信している次のフロンティアです」とレッジャーニ氏は分けて語っている。「当社の存在意義は、独自のDNAを有していることにあります。私たちはエモーションをエンジニアリングしているのです。例えば、振動のような物理的な事象が感情の流れにどのようなインパクトを与えるかについて、ミラノ工科大学と共同で研究を行っています」。ICEエンジンの物理的効果がジャイロスコープとオーディオトラックによってシミュレートされる世界を見ることができる。

技術的には、サンタアガタ・ボロネーゼにあるランボルギーニの工場は2015年以来カーボンニュートラルであるとバルディ氏はいう。しかし、従業員1800人のこの企業は、はるかに規模が大きく、炭素排出量の多いVW(フォルクスワーゲン)グループの一員である。自動車生産台数は少なく、イタリア政府が今後の内燃機関の規制からランボルギーニやフェラーリのような自動車メーカーを除外する動きを見せているにもかかわらず、ランボルギーニは代替燃料への移行を余儀なくされている。

バルディ氏によると、ランボルギーニは世界の自動車の1万1000台に1台を占めているが、トヨタやホンダのような巨大自動車メーカーと比べれば小さな数だ。「ハイブリッド化と電動化は、エモーションの未来を広げる機会をランボルギーニのオーナーに提供します。夢を手に入れるのです。大多数の顧客は、自分の成功を表現する車を求めています」とバルディ氏。それでもやはり、将来にわたって内燃エンジンを使い続けたいとランボルギーニの顧客がいくら望んだとしても、そうしたエンジンの時代は終わりに近づいている。

顧客との直接的なつながりの構築

ランボルギーニは一貫して、顧客のニーズに応えることをブランドの核に据えてきた。2025年のCO2排出量50%削減に向けた今後のモデルの方向性を見極めるために、忠実なオーナーたちからの協力を得ている。すでに完売したCountach LPI 800-4のペブルビーチでの最近のローンチは、ランボルギーニが顧客ベースを活用してハイブリッドパワートレイン搭載の高需要の新製品を生み出したことを物語る好例だ。

「関りを持つことなくただクルマを作るだけということはありません。顧客体験の全体を通して、顧客との絆を深めてきました」とバルディ氏は語る。「Countachで実施した特別プロジェクトは、会社と顧客の間の直接的な信頼を高めるものでした。1対1のミーティングを友人同士のように行い、Countachでの当社の取り組みを伝えることができました。エモーショナルな決断が生み出したこの車の構築は、優れたビジネスケースとなったのです」。

新型コロナウイルス感染症の発生とその結果としての旅行制限により、工場訪問は2020年の間にほぼ中止された。しかしランボルギーニは、2018年にUnicaというデジタルプラットフォームをローンチしており、オーナーが期待する特別な顧客コンタクトやサービスを提供することを可能にしている。アプリはスマートフォンにダウンロードでき、オーナーは専用のイベント、ローンチ、ソーシャルメディアへのアクセスを得る。サインアップするには、ランボルギーニのVINと所有権証明書の提出が必要だ。

このアプリは、結果的に会社と消費者間の直接販売の可能性を開いた。「直接販売は、私たちが探究する必要のある分野です。私たちは加速する時代の中にあり、顧客と直接的な関係を持ちたいと思っています。問題は、顧客との直接接触をどの程度拡大できるかです」とバルディ氏はいう。「車の価値が維持されるという感覚を確実にするためには、顧客との人間的な触れ合いが必要です。現在、車の待ち時間は平均で1年を超えています。待機時間はこれらの車を販売する時間であり、顧客との直接的なコンタクトがありますので、価値は維持されます」。

ランボルギーニの最新モデル、Huracán STOはストリートホモロゲーションレーシングカーだ。現在2022年まで売り切れの状態で、Unicaアプリと車両を介したコネクティビティが付属している。このシステムでは、ラップタイム、スロットルとブレーキのインプット、ハンドルアングルなどのドライビングセッション中のデータや、内蔵カメラが撮影したトラック上のラップの動画を記録し、アプリにアップロードすることが可能だ。ランボルギーニのオーナーにとっては一種のエリートソーシャルネットワークであり、より直接的につながる方法が会社にもたらされる。

「顧客はランボルギーニを体験するための適切なコンテキストを求めています」とバルディ氏。「スーパースポーツカー市場は拡大の一途を辿っています。このようなカーライフスタイルやモータースポーツにおける体験を提供し、人間的な触れ合いの幅を広げていくことができれば、顧客はブランドの範囲内に留まり続けるでしょう」。

関連記事:【レビュー】ランボルギーニ Huracán STO、強力なエンジンの代名詞的企業がハイブリッド化に向かうとき何が起こるのだろうか

画像クレジット:Lamborghini

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Dragonfly)

GMは「本当に手頃な価格のEV」でテスラの市場シェアを狙う

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、米国時間10月6日に開催した投資家向けイベントにおいて、フルサイズの電気自動車ピックアップ「Chevrolet Silverado(シボレー・シルバラード)」を中心とした今後のEVポートフォリオを発表した。

GMはこれまでにも電気自動車「シルバラード」を発表していたが、今回の発表では、一部のモデルに固定式ガラスルーフを採用することや、2022年1月に開催されるCESでデビューするといったいくつかの追加情報を発表した。シルバラードは、Ford(フォード)のF-150 LightningやRivianのR1Tに続いて電動トラック(米国で最も売れている車種の1つであるにもかかわらず空席が目立っていた)分野に参入する。

しかしながら、GMがこのトラックをどのように販売し、どのような顧客を想定しているのか、その詳細はまだ明らかにされていない。「GMのMark Reuss(マーク・ルース)社長は、10月6日に行われたメディアブリーフィングで「誰をターゲットにするかは、トラックを見れば一目瞭然です。長年にわたってピックアップトラックに起こってきたマイクロセグメンテーションを見てみると、さまざまなユーザーがいます。我々がターゲットとするピックアップトラックの購買層は1つではありません」と述べている。

GMは自社ブランドであるChevy(シボレー)とBuick(ビュイック)のクロスオーバーに加え、GMC Hummer(GMCハマー)のピックアップとCadillac(キャデラック)のLYRIQ(リリック)クロスオーバーを発表した。これらの車両は、2025年までに350億ドル(約3兆8990億円)を電動化と自律走行技術に投資し、10年後までに収益を倍増させるという同社計画の一環となる。

これらの目標を達成するために、GMがどれ程度苦しい戦いを強いられるかはわからない。他の自動車メーカーと同じく、GMも第3四半期の売上高は惨憺たるものだったが、その理由として半導体の供給不足が続き、製造や車両の納入に支障をきたしていることを挙げている。レガシーな自動車メーカーとは対照的に、Tesla(テスラ)社の第3四半期における売上は非常に好調で、車両出荷台数と過去の台数の予想を上回っている。

しかし、GMのCEOであるMary Barra(メアリー・バーラ)氏は、テスラの顧客になりそうな人たちの一部を誘い出すために、手頃な価格のEV、つまり「人々にとって本当に手頃な価格のEV」を提供することを強調している。「私たちは、そのような顧客を魅了できると信じています」と述べている。彼女とルース氏は、GMには顧客のロイヤルティ、強力な製造能力、幅広いディーラーネットワークなど、EV市場で有利な立場に立つための利点があると付け加えている。

また、GMは、韓国のLG Energy Solutionsと提携して製造している「Ultium」バッテリー電気推進プラットフォームが、今後発売される車両の競争力を高めると考えている。例えば、電気自動車のシボレー・シルバラードの航続距離は400マイル(約643.7km)だ。

画像クレジット:General Motors

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Katsuyuki Yasui)

GMがEVへの信頼を高めるため、充電インフラへの投資を強化

General Motors(ゼネラルモーターズ)が、電気自動車(EV)の充電インフラへの投資を7億5000万ドル(約835億円)規模に拡大する。EVの充電に対して不安を抱くドライバーたちの懸念を和らげることが目的だ。

GMは、2025年までに約7億5000万ドル(約835億円)を投じて、公共の場、家庭、職場に充電器を設置し、使いやすくしたいという。この投資は、GMのUltium Charge 360(アルティウム・チャージ360)プロジェクトにも大きな影響を与える。

GMが充電に投資するのは今回が初めてではない。2020年GMは、有名な充電ネットワーク企業であるEVgo(イービーゴー)と提携し、5年間で2700基以上のDC急速充電器を設置することを発表した。

充電設備の充実度は、電気自動車への移行をためらう主な理由の1つとして常に挙げ続けられている。Consumer Reports(コンシューマー・レポート)が最近行った調査によれば、回答者の約半数が「公共の充電ステーションが十分でないこと」がEVの購入を妨げていると答えている。

この資金が、世界の約3000カ所のステーションに2万5000台以上の充電器を設置しているTesla(テスラ)のスーパーチャージャーネットワークのような独自の充電ネットワーク構築に使われるのか、それとも別のパートナーシップに使われるのかは不明だ。GMは投資家説明会で、サブスクリプションやサービスから収益を得る「垂直統合型」のOEMになるという話を繰り返した。また今回の投資が、同社が「Ultium Charge 360」と呼ぶ新しい(サブスクリプション的な)取り組みを支援するものであることも強調した。だが詳細については待つしかなさそうだ。

画像クレジット:GM/EVgo

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:sako)

GMが2030年までの売上倍増を計画、EV販売でTeslaシェア狙う

GM(ゼネラルモーターズ)は米国時間10月6日、内燃機関車両の利益率を向上させつつ、2030年までに売上高を倍増させ、EV(電気自動車)のマーケットシェアを奪うと明らかにした。EVマーケットは現在Tesla(テスラ)が席巻している。

同日から始まったGMの2日間にわたる投資家イベントで概要が説明された野心的な目標は、さまざまな種類のEVとソフトウェアベースのサービスを販売し、ハンズフリーの先進運転支援システムの新バージョンを含むテクノロジーを提供することで達成される。先進運転支援システムについては、全運転シナリオの95%で機能し、ゆくゆくは米国とカナダのすべての舗装道路で使用される、と同社は主張する。

2030年までに年間売上高2800億ドル(約31兆1967億円)の達成を目指す、と同社は述べた。この数字は、2020年の売上高である1225億ドル(約13兆6485億円)の2倍超だ。同社の広報担当によると、売上高の目標はローリング平均約1400億ドル(約15兆5976億円)をベースとしている。

同社はこの新しい目標を達成すべく、すでに多額の投資を表明した。同社は2020年11月、EVの開発と自動化テクノロジーに向こう5年間で以前の計画に35%積み増した270億ドル(約3兆81億円)を投資すると明らかにした。そして同社は7月に再び額を増やし、2025年までに350億ドル(約3兆8994億円)注入するとした。

関連記事:GMが3.8兆円をEV開発へ投資、従来の計画に8850億円上乗せ

そうした投資はすでに行われつつあり、その最たるものがEVアーキテクチャと次世代EVに搭載するバッテリーだ。次世代EVには今後展開されるChevrolet Silverado、価格約3万ドル(約334万円)のChevroletクロスオーバー、Buickクロスオーバー、Cadillac Lyriq、Celestiqなどが含まれる。

「強固なポートフォリオをみると、入手しやすいEV、真に入手しやすいEVを当社が人々のために提供し、そして彼らが必要とするエコシステムに取り組んでいるという事実がわかります。というのも、多くの人がEVのみを所有するようになり、信頼できる充電インフラを確保する必要があるからです」と会長兼CEOのMary Barra (メアリー・バーラ)氏は記者会見で、いかに同社がマーケットシェアを獲得するか説明する中で述べた。「だからこそ当社はそうした顧客をひきつけることができると確信しています」。

バーラ氏はまた、顧客が同社に対してすでに持っている忠誠心の上に社が成り立っている、と指摘した。ポートフォリオとともに既存の生産能力とディーラーネットワークは優位点であるとも述べた。

「アクセルペダルに足を置く今、当社は多くのものを持っていて、すぐに動くことができます」。

目標を達成するために、2030年までに北米と中国にある工場の50%超をEV生産専用とする、とGMは述べた。

GMの売上高目標はEVの販売と融資に完全に頼っているわけではない。10月6日のマスコミへの説明会で、バーラ氏と同社社長のMark Reuss(マーク・ルース)氏は、新しいUltifiソフトウェアプラットフォームを通じたデジタルサービス、そして商用EVデリバリー会社BrightDrop(ブライトドロップ)やOnStar Insurance(オンスター・インシュアランス)のような新規事業を展開する計画を繰り返し指摘した。

そうしたデジタルサービスと戦略についての詳細は7日も開かれる投資家イベントで概説される見込みだ。乞うご期待。

画像クレジット:General Motors

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMがより低コストで航続距離の長いEV用バッテリーの開発施設を建設中

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、ミシガン州ウォーレンのキャンパスに新しい施設を建設している。その目的は、バッテリーのコストを削減しながら航続距離を伸ばす画期的なセル技術を開発することだ。

GMは米国時間10月5日、このWallace Battery Cell Innovation Center(ウォレス・バッテリー・セル・イノベーション・センター)と呼ばれる施設の建設が始まったことを発表した。同社のグローバル・テクニカル・センターの敷地内に建設中のこの新施設は、2022年の半ばに完成する予定だ。敷地面積は約30万平方フィート(約2万7900平方メートル)だが、必要に応じて当初の面積の少なくとも3倍に拡張することを計画しているという。GMはこの施設に「数億ドル(数百億円)」を投資していると述べるだけで、建設費用については明らかにしなかった。

この施設の名前は、2018年に亡くなったGMの取締役で、同社のバッテリー技術に貢献したBill Wallace(ビル・ウォレス)氏から付けられた。同氏は、Chevrolet(シボレー)ブランドから発売されたプラグインハイブリッド車の「Volt(ヴォルト)」の初代および二代目モデル「Malibu Hybrid(マリブ・ハイブリッド)」、そして電気自動車「Bolt EV(ボルトEV)」のバッテリー・システムを開発したチームを率いていた。ウォレス氏はまた、GMとLG Chem(LG化学)R&D(現在のLG Energy Solution)の関係を築いた人物でもある。

すでにGMは、より安価でエネルギー密度の高いバッテリーの開発に取り組んでいるラボや研究開発施設を持っている。この新しいセンターは、同社の化学・材料サブシステム研究開発ラボやバッテリーシステムラボで行われているさまざまな取り組みをすべて結びつける役目を担う。

GMがこの新設で目指しているのは、1リットルあたり最大1200ワット時のエネルギー密度を持ち、コストを少なくとも60%削減したバッテリーを開発することだ。この目標は野心的であり、高尚だともいえるだろう。そしてこれはGMにとって、ラインナップの全車または大部分を電気自動車に切り替えるという計画を発表している他のすべての自動車メーカーと競争するための、重要なステップであるとも考えられる。

現時点において、GMのEVへの転換戦略の基盤となっているのは、Ultium(ウルティウム)プラットフォームとUltiumリチウムイオン電池だ。2020年に公開されたこの新しい電動車アーキテクチャとバッテリーシステムは、コンパクトカー、商用ピックアップトラック、大型高級SUV、パフォーマンスカーなど、GMのさまざまなブランドで幅広い製品に使われる予定だ。

GMは、このUltiumのバッテリーセルを製造するLGエナジーソリューションズとの合弁会社に、50億ドル(約5570億円)を投資する計画を発表している。両社は、オハイオ州北東部のローズタウン地区にバッテーセルの組立工場を設立し、1100人以上の新規雇用を創出するとともに、テネシー州スプリングヒルにも第二の工場の建設を予定している。

Ultiumバッテリーは、レアアースであるコバルトの使用量を減らし、単一の共通セル設計を採用することで、GMの現行バッテリーよりも小さなスペースで高いエネルギー密度を効率的に構成することができると、同社では述べている。

GMのグローバル製品開発・購買・サプライチェーン担当取締役副社長のDoug Parks(ダグ・パークス)氏によると、新設されるウォレスセンターは、将来的により手頃な価格で航続距離が長いEVの基礎となるバッテリーを製造するというGMの計画の重要な部分を占めることになるという。このような画期的な技術は、間もなく市場に投入されるUltiumバッテリーの世代にはまだ見られない。

ウォレスセンターでは、リチウム金属電池、シリコン電池、固体電池など、新技術の開発を加速させることが期待されている。また、このセンターでは、GMがLGと合弁で運営するローズタウンとスプリングヒルの工場をはじめ、米国内ある非公開の拠点を含むGMのバッテリーセル製造工場で用いることができる生産方法の改善にも力を入れていくという。

さらに特筆すべきは、この新施設では、一般的に携帯機器や研究用に使われる小型のリチウム金属電池セルを超えた、自動車に使用できる大型リチウム金属電池セルのプロトタイプを製造できる能力を持つようになるということだ。これらのセルはGM独自の方式で作られ、初期のUltiumバッテリーで使われるパウチセルの約2倍に相当する1000mm程度の大きさになる可能性があるという。

画像クレジット:GM

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラ第3四半期の販売台数は半導体不足にもかかわらず過去最多24万1300台

Tesla(テスラ)は、この第3四半期に過去最多の24万1300台を販売した。世界的な半導体不足の影響で他の米自動車メーカーが販売減となる中で、予測を上回った。

米国時間10月2日の発表によると、Teslaが販売した車両の大半(96%ほど)は比較的新しいモデルのセダンModel 3とクロスオーバーのModel Yだった。販売車両のうち9275台はModel XとSだった。販売台数は第2四半期から20%増え、2020年同期比では73%増だった。

生産台数も増えた。第3四半期に同社は電気自動車23万7823台を生産し、こちらも過去最多となった。

同社のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は販売台数、生産台数で記録を打ち立てたことに対し、同社と従業員への賛辞をツイートした。そして別のツイートでマスク氏は「かなりの困難を乗り越えてきたサプライヤーとロジスティックのパートナーにも大変感謝しております」と書いた。

Teslaの業績は予想を上回った一方で、他の大手車メーカーの米国内の販売台数は落ち込んだ(Teslaの販売台数は世界合計であり、地域別のものは公表していない)。

GM(ゼネラル・モーターズ)が最も大きな落ち込みとなった。同社は10月1日、第3四半期の米国内の販売台数は44万6997台で、前年同期比33%減だったと発表した。同社は今夏、Chevrolet Bolt EVとEUV向けの半導体チップとバッテリーが不足し、いくつかの工場の操業を停止した。それらの工場はその後、再稼働した。

米国での販売減にもかかわらず、GMは「引き続き半導体不足とChevrolet Bolt EVリコールの影響の緩和を図っている」として、調整後の年間売上高予想115億〜135億ドル(約1兆4980億〜1兆2760億円)は維持している。

以前はFiat Chrysler(フィアット・クライスラー)という名称だったStellantis(ステランティス)の米国の販売台数は18%減った。Ford(フォード)はまだ業績を発表していない。

画像クレジット:Tesla

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

米RivianがIPO目論見書を公開、アジアなどでもEV販売を計画

R1Tピックアップトラックの出荷を9月に開始した電気自動車スタートアップのRivian(リビアン)は、米国で公開会社になるための目論見書を公開した。

米証券取引委員会に米国時間10月1日に提出したフォームS-1には上場のための詳細は含まれていない。

同社はAmazonのClimate Pledge Fund、D1 Capital Partners、Ford Motor、T. Rowe Price Associates Incのアドバイスを受けたファンドや個人がリードした25億ドル(約2777億円)のプライベート資金調達をクローズしたわずか2カ月後の8月下旬に密かにIPOを申請していた。Third Point、Fidelity Management and Research Company、Dragoneer Investment Group、Coatueもそのラウンドに参加した。

フォームS-1はRivianの財務データと同社に関する他の知見、さらにはリスクや同社が接しているチャンスなどのおおまかなところをつまびらかにしている。

Rivianは2019年に4億2600万ドル(約473億円)の赤字だった。こうした赤字は、同社がイリノイ州ノーマルに工場を建設し、R1TピックアップトラックとR1S SUVの生産開始と従業員増強を準備するのに伴って10億ドル(約1110億円)へと倍増した。同社は現在、カリフォルニア州、ミシガン州、イリノイ州、そして英国の施設で8000人超を雇用している。

以来、赤字は悪化している。Rivianは2021年上半期に9億9400万ドル(約1104億円)の赤字を計上した。前年同期の赤字3億3700万ドル(約374億円)よりも多い。

同社はまた、長期的な事業戦略と、初のEVをまず米国とカナダで、その後ほどなくして欧州で販売する計画も明らかにした。アジアでの販売がその後に続く。同社はフォームS-1で、そうした新マーケットでの成長を支えるためにローカルの施設を建設すると述べた。

Rivianはまた、 9月時点での米国とカナダでのR1TピックアップトラックとR1S SUVのプレオーダーが4万8390件であることも明らかにした。払い戻し可能な1000ドル(約11万円)の前金を要するプレオーダーは必ずしもそのまま販売台数にはならない。だが、プロダクトに対する需要の兆候を示す。

RivianはフォームS-1でForeverという慈善活動を立ち上げたことも明らかにした。同社は差し当たって、このIPO完了直前の発行済み株式の1%の自社クラスA普通株で資金をまかなう。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

Lordstown MotorsがGMから購入した工場の売却をめぐりフォックスコンと協議中

EVスタートアップのLordstown Motors(ローズタウン・モーターズ)は、2019年にGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)から620万平方フィート(約57万6000平方メートル)の工場を購入して注目を浴びた。だが、現在は資金繰りに窮している同社は、その施設を台湾のFoxconn Technology Group(フォックスコン・テクノロジー・グループ)に売却する可能性が高いようだ。

関連記事:フォックスコンがLordstown MotorsとFiskerの電気自動車をオハイオ州の元GM工場で生産へ

このニュースを最初に報じたBloomberg(ブルームバーグ)によれば、早ければ今週中にも取引が完了する可能性があることを、匿名の情報筋が示唆したという。Lordstownの経営陣は、第2四半期の決算発表の際に、このオハイオ州北東部にある施設を、他の企業にリースすることについて、パートナーと「真剣な話し合い」を行っていると語っていた。だから売却のニュースはまったくの驚きというわけではない。

取引に関する金銭面などの詳細は明らかになっていないが、LordstownはFoxconnと並行して、この同じ施設で生産を行っていくとも報じられており、この取り決めは、悩める電気自動車メーカーにとって、最終的には利益となる可能性がある。現金収入とFoxconnが持つ大量生産の専門知識の両方を得られることになるからだ。

Foxconnといえば、Apple(アップル)のiPhoneを製造していることで知られているが、ここ数年は電気自動車製造の市場参入に向けて大きく歩を進めている。同社は2021年5月、EVメーカーのFisker(フィスカー)と、新しい電気自動車を共同開発・製造する契約を締結。また、タイの石油会社であるPTT PLCとも提携し、同国内の工場で年間最大5万台の電気自動車を製造することも計画している。

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Foxconnの野望はそれだけではない。この製造企業は自動車メーカーの委託製造業者になる構想も描いており、中国の自動車メーカーである浙江吉利控股集団(ジーリーホールディンググループ)と合弁会社を設立し、EVの販売を目指すメーカーに、設計、研究開発、生産を提供しようと考えている。

Lordstownは、主力製品である電動ピックアップトラック「Endurance(エンデュランス)」の最初の生産車両を、2022年初頭に少数の顧客に届けることを目指している。この会社は、前CEOのSteve Burns(スティーブ・バーンズ)氏が会社の資金繰りを懸念して辞任した後、2021年8月に新しいCEOを任命した。Dan Ninivaggi(ダン・ニニヴァッジ)氏がCEOに就任したのは、Lordstownが16億ドル(約1780億円)のSPAC合併を発表してからわずか1年後のことだった。

Lordstownの株価は、52週高値で1株31.80ドル(約3530円)を記録したが、現在は7.88ドル(約875円)で取引されている。

TechCrunchはLordstownとFoxconnにコメントを求めている。回答があれば記事を更新する予定だ。

画像クレジット:MEGAN JELINGER / AFP / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

FoxconnがLordstown MotorsとFiskerの電気自動車をオハイオ州の元GM工場で生産へ

Foxconn(フォックスコン)は米国9月30日に発表された契約のもと、Lordstown Motors(ローズタウン・モーターズ)、そして別のパートナーFisker Inc(フィスカーインク)のためにオハイオ州にある元General Motors(ゼネラル・モーターズ)の工場で電気自動車(EV)を組み立てる。

特別買収目的会社(SPAC)との合併経由で公開企業となった、苦境に立っている電気自動車メーカーLordstown Motorsは9月30日、620万平方フィート(約58面平方メートル)の工場売却でFoxconnと拘束力のない合意に達した、と述べた。Lordstownは2019年にその工場をGeneral Motorsから購入していた。

まだ完了していないこの合意では、Foxconnは工場購入で2億3000万ドル(約256億円)を払う。取引には、Lordstownのハブモーター組立ライン、バッテリーモジュール、梱包ラインなど一部の資産や、特定の知的財産権は含まれない。Foxconnはまた5000万ドル(約56億円)分のLordstownの普通株も購入する。

2社は、FoxconnがLordstownのフルサイズのピックアップトラックEnduranceを同工場で組み立てるための受託生産契約も交渉すると明らかにした。受託生産の契約は工場購入を完了する条件となっている。両社は追加のピックアップトラックプログラムのためのライセンス契約も検討することで合意した。

今回の取引はLordstownが重要な時期にある中でのものだ。現金不足の同社は今年初め、一連の失敗を犯したSPACを頼った。Lordstownは8月に自動車業界で長らく幹部を務め、Carl C. Icahn(カール・C・アイカーン)氏の持株会社の元CEO、Daniel A. Ninivaggi(ダニエル・A・ニニヴァッジ)氏をCEO兼役員として雇った。この指名の前、Lordstownの創業者でCEOのSteve Burns(スティーブ・バーンズ)氏の辞任など、同社では何カ月も騒動が繰り広げられた。同社が想定以上に多くの資金を消費し、以前予想していたEnduranceの生産台数を達成できないことが明らかになった冴えない第1四半期決算を受け、CFOのJulio Rodriguez(ジュリオ・ロドリゲス)氏も辞任した。

提携の目的は、北米でのスケーラブルな電気自動車生産の増大しつつあるマーケット機会をLordstown MotorsとFoxconnがとらえることだと両社は声明文で述べた。ここにはFoxconnのEVメーカーFisker Incとの既存の提携も含まれる(LordstownとFiskerは別会社であり、関係は全くない)。

Fiskerは5月、Project PEARというプログラムで新しいEVを共同開発・生産することでFoxconnと契約を交わした。Personal Electric Automotive Revolutionの頭文字を取っているプロジェクトPEARの車両はFiskerブランドとして北米、欧州、中国、インドで販売される。生産準備は米国で2023年末までに始まる予定で、2024年に本格生産に入る、とFiskerは8月のTechCrunchとのインタビューで語った。

Fiskerは米国での生産場所を明らかにしなかったが、最終的にFoxconnにするかもしれない、とインタビューで語っていた。

Fiskerは9月30日、Foxconnからのニュースを歓迎する声明を出した。

「市場投入までの時間、十分に開発されたサプライヤーエコシステム、全体的なコスト目標などプログラムの主目的を達成することは、オハイオで生産するという決断で重要な要素でした」とHenrik Fisker(ヘンリック・フィスカー)氏は電子メールでの声明で述べた。「今年初めにFoxconnと提携を結んで以来、我々はデザインやエンジニアリング、サプライチェーン、生産などを含め、プロジェクトPEARのあらゆる面で密に協業してきました。米国で大量生産するというFiskerの約束は、今回の合意でさらに重要な一歩を踏み出しました」

Fiskerはまた、別の委託生産業者との車両プログラムも進めている。Fisker Ocean SUVは自動車委託生産業者のMagna Steyrが欧州で組み立てる。生産開始は予定通り2022年11月に始まる見込みだとFiskerは第2四半期決算会見で繰り返した。納車は欧州と米国で2022年後半に始まり、2023年中に月産能力を5000台超にする計画だ。中国の顧客への納車も2023年開始が見込まれている。

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画像クレジット: Bloomberg / Getty Images

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi