DeFi史上最大のハッキング、Axie InfinityのRoninネットワークから約765億円相当のイーサとUSCコイン流出

2021年、a16zから30億ドル(約3688億円)の評価額で資金を調達したブロックチェーンゲーム大手のAxie Infinity(アクシー・インフィニティ)は、壊滅的な1週間を過ごしていた。米国時間3月29日朝までまで、同社がそのことを知らなかっただけで。

人気のPlay to Earn(P2E、プレイトゥアーン=プレイして稼ぐ)タイトルの、イーサリアムのサイドチェーンであるRonin(ロニン、RON)が悪用され、17万3600イーサ、つまり約5億9700万ドル(約733億6000万円)相当と、2550万ドル(約31億3400円)相当のステーブルコインのUSCコイン(USDC)が盗まれたと同社は発表した。奇妙なことに、このエクスプロイトは6日前の米国時間3月23日に発生したが、3月29日まで発見されなかったとRoninのデベロッパーは公式ブログへの投稿で共有した。

今回のハッキングは現在の価値で合計約6億2250万ドル(約765億円)に上り、DeFi詐欺、ハッキング、エクスプロイトを追跡するDeFiYield REKTデータベースによると、史上最大の分散型金融ハッキングとなる。2021年8月にPoly Networkがハッキングされ、当時、暗号資産史上最大だったエクスプロイトで6億200万ドル(約740億円)が流出したが、今回のエクスプロイトはそれを上回った。

Roninは、特にAxie Infinityをサポートするサイドチェーンとして作られた。Axie Infinityは最も有名なイーサリアム対応P2Eの1つで、2021年に急成長を遂げた。当初は2021年末までに25万ユーザーという「アグレッシブな目標」を想定していたが、その目標を1000%上回り、約290万ユーザーのコミュニティが形成された。

Etherscanのオンチェーンデータによると、今回のハッキングは、イーサのトランザクションUSDCトランザクションの2回にわたって発生したという。攻撃者はハッキングした秘密鍵を使って、不正な引き出しを行ったと同社は書いている。「今朝、ブリッジから5k ETHを引き出せなくなったというユーザーからの報告を受けて、この攻撃を発見しました」とのこと。

同社チームは「犯罪者を裁きにかけるために、さまざまな政府機関と連携しています」と述べている。

Ronin上のイーサとUSDCの預金はブリッジコントラクトから流出したが、同ネットワークはAxie Infinityとその親会社Sky Mavisの関係者と協力して、ユーザーの資金が永久に失われないように最善の方法を決定するため働いていると述べた。「Ronin上にあるAXS、RON、SLP(トークン)は今、すべて安全です」とも。

TechCrunchはSky Mavisに追加コメントを求めたが、同社から回答は得られなかった。

画像クレジット:Yield Guild Games

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(文:Jacquelyn Melinek、翻訳:Den Nakano)

NFTやDeFiにとっても逆風?米国のステーブルコイン規制の最新情勢と論点整理

NFTやDeFiにとっても逆風?米国のステーブルコイン規制の最新情勢と論点整理

編集部注:この原稿は千野剛司氏による寄稿である。千野氏は、暗号資産交換業者(取引所)Kraken(クラーケン)の日本法人クラーケン・ジャパン(関東財務局長第00022号)の代表を務めている。Krakenは、米国において2011年に設立された老舗にあたり、Bitcoin(ビットコイン)を対象とした信用取引(レバレッジ取引)を提供した最初の取引所のひとつとしても知られる。

今や220兆円を超える市場に成長した暗号資産ですが、2022年、業界全体を揺るがしかねない問題として注目されているのが、ステーブルコインに関する規制です。ステーブルコインに対して厳しい規制がかけられれば、最近ブームとなっているNFT(ノン・ファンジブル・トークン)やDeFi(分散型金融)にとっても逆風になるという見方もあります。

本稿では、クラーケンの本社がある米国におけるステーブルコイン規制の最新情勢と論点の整理を行います。

そもそもステーブルコインとは?

ステーブルコインは、暗号資産エコシステムにおける潤滑油的な存在です。ビットコイン(Bitcoin)のような資産性はありませんが、機関投資家が暗号資産取引を行うときに入れる担保であったり、NFTやDeFiといった新たなサービスにおける決済や担保手段として使われています。

代表的なステーブルコインは、米ドルと連動するUSDT(テザー)とUSDC(USDコイン)です。ブロックチェーンデータ企業CoinMetricsによりますと、ステーブルコイン市場は1400億ドル(約21兆円)。そのうちUSDTとUSDCは90%近いシェアを持っています。

NFTやDeFiにとっても逆風?米国のステーブルコイン規制の最新情勢と論点整理

ステーブルコインの市場規模

「銀行並み」の規制

2021年から米国ではステーブルコインに対する規制の必要性を訴える声が多く聞かれるようになりました。例えば、米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長は、2021年9月、ステーブルコインについて「ポーカーのチップのようなもの」と独特の表現でリスクに警鐘を鳴らしました

そして2021年11月、大統領直下の金融市場ワーキンググループ(PWG)がステーブルコインに関するレポートを公開してから、規制をめぐって雲行きが怪しくなりました。PWGのレポートは、米議会議員に対してステーブルコインの発行体を「銀行のような機関」として規制する法律を通すように提案しました。その中で特に注目されているのが、保険加入金融機関(IDI)のみにステーブルコインの発行を許可するという部分です。

2022年2月、PWGレポートの主な執筆者である財務省の幹部が、上院の公聴会で、ステーブルコイン発行体に対する銀行並みの規制案に関して、柔軟に対応すべきであると発言し、これまでのスタンスから軟化したといわれていますが、詳細は明らかになっていません。

暗号資産業界の反応

2021年11月のPWGレポート公開後、米国の暗号資産関連の業界団体ブロックチェーン協会(Blockchain Association)は、すぐにPWGレポートの分析レポートを公表しました。同協会は、ステーブルコインの流動性の向上や担保となる資産の証明といった観点から規制を歓迎する一方、ステーブルコイン発行体を保険加入金融機関として規制することには明確に反対しました。理由として、数多くのステーブルコインがある中で特定のステーブルコインを規制面で優遇することになること、大手銀行などが競争上の優位性を持ってしまうことを挙げています。

「そのような規制はイノベーションを窒息させて、新しいステーブルコインプロジェクトが米国に来なくなり、現在のフィンテック企業に対する規制の流れと逆行することになるだろう」

この他、PWCによる規制案は「ステーブルコイン発行体に必要不可欠な活動をするすべてのエンティティ」も規制の対象としていますが、同協会は、この定義はあいまいであり、「マイナーやソフトウェア開発者」も含まれてしまうのではないかと懸念しています。

クラーケンは、ステーブルコイン規制の動向を注視しています。グローバル市場でUSDT、USDC、DAI、PAXGという4つの主要ステーブルコインを取り扱っており、ステーブルコインの暗号資産市場における役割の大切さを実感しています。ブロックチェーン協会同様に、「古いルール」を新しい市場に無理矢理導入するといったような拙速な対応はするべきではなく、まずはステーブルコインついて正しく理解することが先決と考えています。

また、米国以外で英国やEUでもステーブルコインの規制が検討されていますが、国ごとに異なるルールと基準が設けられる「つぎはぎの規制」を避けるため、国際的な協調関係の強化が重要になるとクラーケンは考えています。

2021年末から日本でもステーブルコインの発行体に対する規制について議論があり、2022年の通常国会に資金決済法改正案の提出を目指すと報じられ、2022年3月に入り実際に提出されました。ただ、米国をはじめ世界各国では規制当局と業界側の対話が続いている状態であり、日本でもステーブルコインの発行体や暗号資産交換業を含む様々なステークホルダーの意見を取り入れて議論を続ける必要があると考えています。

画像クレジット:Tezos on Unsplash
CoinMetrics

イーサリアム互換ブロックチェーン構築クラウドなどを手がけるG.U.テクノロジーズがプレシリーズAで2.6億円の追加調達

イーサリアム(Ethereum)互換ブロックチェーン構築クラウドサービスなどを手がけるG.U.テクノロジーズは3月8日、プレシリーズAとして第三者割当増資による2億6000万円の追加調達を実施し、総額3億6100万円の資金調達を完了したと発表した。

引受先は、Coral Capitalと自然キャピタル。調達した資金は、NFTなどWeb3種の領域、エンタープライズ・ブロックチェーン領域、ステープルコインなどフィンテック領域におけるソリューション提供へ向けた開発強化にあてる。

G.U.テクノロジーズは、金融やフィンテックのバックグラウンドを持つ稲葉大明氏と、ウェブブラウザーLunascape創始者の近藤秀和氏が、親会社G.U.Labsで進めていたブロックチェーン研究の成果を元に、2020年10月にスピンアウトする形で設立したスタートアップ。

同社は、独自のイーサリアム互換Layer2ブロックチェーンを構築できるソリューション「G.U.Blockchain Cloud」、DApps対応のイーサリアム用ウォレット「Lunascape Wallet Extension」を提供。Lunascape Wallet Extensionは、Google Chrome拡張機能として利用する。また、ブロックチェーン関連の情報サイト「G.U.net」も運営している。

DApps対応のイーサリアム用ウォレット「Lunascape Wallet Extension」

DApps対応のイーサリアム用ウォレット「Lunascape Wallet Extension」

今後は、エンタープライズ向けのイーサリアム互換Layer2コンソーシアム・ブロックチェーンの運営をはじめ、Web3時代を見据えたステーブルコイン、DeFi、NFTを含む様々な実証実験を提携企業と進める。また、顧客のブロックチェーンビジネスを支援するためのインフラやツール提供、コンサルティングや開発支援を強化していく予定。

YCが支援するBlocknomは「東南アジアのCoinbase Earn」を目指す

Y Combinator(Yコンビネーター)の2022年冬バッチに参加したBlocknom(ブロックノム)は「東南アジアのCoinbase Earn(コインベース・アーン)」になることを志す暗号資産稼ぎプラットフォームだ。同社は米国時間3月4日、Y Combinator、Number Capital(ナンバー・キャピタル)、Magic Fund(マジック・ファンド)からプレシード資金として50万ドル(約5800万円)を調達したと発表した。

Blocknomの共同設立者であるFransiskus Raymond(フランシスカス・レイモンド)氏とGhuniyu Fattah Rozaq(グニュ・ファタ・ロザク)氏によると、このアプリはユーザーに、年率最大13%の安定した高利回りの利息を得るための安全な方法を提供するという。同アプリは暗号資産インフラ企業のFireblocks(ファイアブロックス)と提携しており、ユーザーはいつでも手数料なしでお金を引き出すことができる。

2人の創業者は、新型コロナウイルス感染流行が始まった頃、2020年にオープンソースプロジェクトに取り組んでいるときに出会ったという。「ウイルス感染が流行している間に、私たちはインドネシアで暗号資産市場が活況であることに気づきました。その一方で、私たち2人はすでに暗号資産投資家でした」と、レイモンド氏はTechCrunchに語った。

「しかし、ユーザーと話してみると、誰もが取引でうまくいっているわけではないことがわかりました」。2人はDeFi(分散型金融)が安定的で高利回りの暗号資産による利得方法であることに気づいたものの、インドネシアには競合する製品がなかったため、自分たちで作ることにした。同社がDeFiで提携しているパートナーは、Compound(コンパウンド)、AAVE(アーベ)、Terra(テラ)、Cake(ケイク)などだ。

Blocknomにサインアップすると、銀行口座を持つユーザーはStablecoins(ステーブルコイン)を預金することができる。Stablecoinsは従来の銀行預金と最も同等であるため、新しい暗号資産ユーザーがアクセスしやすいように、同社の創業者たちが選んだ。

レイモンド氏によると、Blocknomが投資アプリと異なるのは、Stablecoinを保有して長期的に保持することを推奨している点であるという。

画像クレジット:DBenitostock / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

BlockFiの米SECとの約115億円の和解は、今後のDeFiレンディングにとって何を意味するのか?

暗号資産融資プラットフォームBlockFi(ブロックファイ)は、同社が利子口座の提供を通じて証券法に違反したという主張に対する和解で、米国証券取引委員会(SEC)に1億ドル(約115億円)を支払うと規制当局が米国時間2月14日に発表した。この和解は、暗号資産会社が被った中では最も記録的なペナルティにあたるとAxiosは最初に報じている

SECの声明によると、BlockFiはペナルティのうち5000万ドル(約57億6500万円)をSECに直接支払い、残りの5000万ドルは米国32州に罰金というかたちで支払い、同様の容疑を精算するという。

SEC執行ディレクターのGurbir S. Grewal(グルビール・S・グレワル)氏は「暗号資産分野で十分な情報に基づいた投資判断を行うために必要な情報と透明性を投資家に提供するためには、当委員会の登録および開示要件を遵守することが重要です」と述べている。

BlockFiは創業以来、投資家から4億5000万ドル(約518億8400万円)の資金を調達している。最新のラウンドは2021年3月の3億5000万ドル(約403億5400万円)のシリーズDで、Bain Capital Ventures(ベイン・キャピタル・ベンチャーズ)、DST Global(DSTグローバル)、Pomp Investments(ポンプ・インベストメンツ)、Tiger Global(タイガー・グローバル)のパートナーが主導し、同社を30億ドル(約3459億円)と評価した。

関連記事:その流行を裏づける仮想市場の投資家向け金融サービス「BlockFi」が381億円調達、評価額は3300億円

BlockFiのウェブサイトによると、同社の金利口座では、ユーザーは保有する暗号資産に対して最大9.25%APY(年利)に相当する毎月の利息を得ることができたという。今回のSECの判決では、BlockFiの口座は、ユーザーが同社に通貨を貸し出していることになるため、証券とみなされることになる。

また、BlockFiは18カ月間、投資会社として違法に運営されていたとSECは述べている。この間、同社は証券を発行し、投資会社として登録されていないにもかかわらず、投資会社として適格な資産ベースの基準値を満たしていたのだ。

登録の問題に加え、SECはBlockFiがローン・ポートフォリオと融資活動のリスクレベルについて投資家を欺いたと主張している。

和解の一環として、BlockFiは無登録の融資商品の販売を停止することに同意した。また、BlockFiは本日、BlockFi Yieldと呼ばれる、法に準拠した新しい融資商品を登録する意図を発表し、これはSEC登録した最初の暗号資産利付証券になるとしている。

このニュースは、新興の分散型金融(DeFi)エコシステムに大きな打撃を与えると、デジタル資産弁護士のMax Dilendorf(マックス・ディレンドルフ)氏はTechCrunchに語っており、SECはBlockFiに対する措置でDeFi融資ビジネスモデルを本質的に「一掃」したと述べている。

暗号資産企業が有利子DeFi製品の販売を続けようとするならば、S-1登録届出書を提出して実質的に株式公開企業になる必要があるとディレンドルフ氏はいう。S-1登録届出書は新規株式公開(IPO)に相当し、これはコストがかかるプロセスで、DeFi製品を購入する投資家は、特定の免除を求め(そして許可され)ない限り、認定された者でなければならないと彼は付け加えました。

「S-1を提出することは、DeFiとはまったく相性が悪いのです。BlockFiが成功したのは、メタマスク・ウォレットなどをつないで利息を稼いでいるだけの個人ユーザーがたくさんいたからです」と同士は述べた。

この分野の小規模なプレイヤーにとっては、新規則の規制負担とそれにともなうコストが足かせになる可能性がある。

「BlockFiは30億ドル(約3459億円)規模の企業なので、結果が確実でなくても(登録証券を)提供する余裕があるのでしょう」とディレンドルフ氏はいう。「小規模なDeFiプロトコルはどうでしょうか?同様の強制措置の対象になれば、一掃されることになるでしょうね」。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Akihito Mizukoshi)

【コラム】暗号資産とDeFiを救うのは「内部告発者」だ! 

規制のない暗号資産の世界というのは今や昔の話。蔓延する暗号詐欺と規制を回避する分散型金融(DeFi)の驚異的な成長を受けて、米国の規制当局は暗号資産業界に対して前例のない措置を講じることとした。

このような規制の変化は米国の金融規制における歴史的なパターンを踏襲している。金融の不安定性への懸念よりも自由への欲求の方が強いか、あるいはその逆かによって、規制の強化と緩和の間を行き来するものなのである。

自由市場の暗号愛好家は失望するかもしれないが、協力を惜しまない者には大きなメリットがあるかもしれない。内部の人間が目にした違法行為や不正使用について声を上げれば、規制当局が他の悪質行為者を対象とするため、その間に自分の会社が成功すれば良いのである。

また、例えば内部告発者が勤める会社が改革を拒み、規制当局が行動を起こさざるを得ない場合、内部告発者は多額の報奨金を得られる可能性がある。また、内部告発をしたことによる報復から保護を受けることも可能なのである。

繰り返される歴史

米国の金融規制には、比較的金融規制の少ない時期と、金融不安を是正するために規制を強化する時期という、おなじみのパターンがある。

米国の建国者たちは当初から、金融システムに対する連邦政府の規制の必要性について国立銀行の設立を中心とした議論を繰り広げていた。アンドリュー・ジャクソン(第7代米国大統領)は最終的に国立銀行を廃止し、分散型の銀行システムを採用。その後、自由銀行時代として知られるようになり「ワイルドキャット」と呼ばれる銀行や数十年にわたる金融不安が続いたが、エイブラハム・リンカーンの暗号詐欺で幕を閉じている。

最近では1980年頃から規制緩和の波が押し寄せ、金融革命や金融統合を引き起こしたが、1980年代後半から1990年代前半にかけての緩やかな貯蓄貸付危機という形で金融の不安定性が起きている。この規制緩和の流れは2007年から2008年にかけての大不況で頂点に達し、その後ドッド=フランク・ウォール街改革・消費者保護法の成立により、規制強化へと振り子が戻ってきたわけだ。

この規制パターンは今後、最近までほとんど規制がなかった暗号資産業界でも同様に展開されるようになる。麻薬の売人や脱税者、テロリストの資金源になっているといわれている暗号業界で、アンチマネーロンダリングや本人確認(AML/KYC)の慢性的な失敗を懸念した議員たちが、Bank Secrecy Act(銀行秘密法)を改正し、暗号資産を明確にカバーするようにしたのである。

SEC(米国証券取引委員会)のGary Gensler(ゲーリー・ゲンスラー)委員長は、暗号革命をワイルドキャット銀行の新時代と比較しており、またRipple(リップル)に対する訴訟で有名なように、多くの暗号資産や暗号資産に関連する商品は証券であるとの立場をとっている。元CFTC(商品先物取引委員会)委員のDan Berkowitz(ダン・バーコウィッツ)氏(現SEC顧問弁護士)は、DeFiは完全に違法である可能性があると考えており、財務省は議会に対し、安定した価格を提供するために準備資産に裏付けされたステーブルコインを非銀行が発行することを禁止するよう勧告している

州もその一味となっており、NEXO(ネクソ)Celsius(セルシアス)、BlockFi(ブロックファイ)などの企業が証券や商品を販売する前に州への登録を怠ったとして、州の検事総長が処分を下している。明らかに、暗号資産が規制の監視を受けない時代は終わったのである。

内部告発者が規制やコンプライアンスを導く

暗号業界がこのような反革命に頭を悩ませている一方で、不正や違法行為を政府に報告した内部関係者は大きな利益を得る可能性がある。SEC、CFTC、FinCEN(金融犯罪捜査網)、IRS(米内国歳入庁)などの規制当局は、企業や業界セグメントの運営状況を内部から把握し、不正行為者が投資家や顧客、一般市民に回復不能な損害を与える前に不正行為や違法行為を発見できるようにするための内部告発者を必要としている。

また、内部関係者からの情報により、規制当局は悪質な行為者に的を当てた強制措置やルール作りを実施することができ、暗号資産業界の革新的で価値のある側面を不必要に潰してしまうのを防ぐことができるだろう。

こういった情報と引き換えに、内部告発者は連邦政府のさまざまな内部告発者報奨プログラムから報奨金を得ることができる。ただしこれは、強制措置の執行に役立つ情報を、適切に提出した場合に限られる。

SECCFTCのプログラム、そして今回新たに強化されたAML内部告発プログラムの場合、内部告発者は100万ドル(約1億1500万円)以上の強制措置において最大30%の報奨金を受け取ることができる。これらのプログラムでは、弁護士を介して匿名で情報を提供することで、自分の身元を隠すことも可能だ。

IRSの内部告発プログラムの場合、内部告発者は200万ドル(約2億3000万円)以上の政府回収金のうち最大30%を受け取ることができる。SECとCFTCの内部告発者はこれまでに、なんと1億ドル(約115億円)以上の賞金など、合計10億ドル(約1151億円)以上を受け取っており、またIRSの内部告発者プログラムでも、2007年以来10億ドル(約1151億円)以上の賞金が支払われているという。

しかし、内部告発者が助けているのは政府だけではない。内部告発者たちは、規制の動向や将来の強制措置を予測することで、企業が規制の標的にならないよう導くことができるのである。多くの従業員が警告を発して意思決定者に変更の必要性を知らせることができる立場にいる。内部告発者は、企業が規制当局にノーアクションレター(特定の製品や行動方針を規制当局に承認してもらうもの、または規制に抵触する可能性が低い方法で取引や製品を再構築することを提案するもの)を求めるべきであることを指摘して、潜在的な問題を回避することもできるのである。

すでに違法行為を行っている可能性のある企業であっても、会社の方向性を修正する方法や、会社の行為を是正するために規制当局に働きかける方法について、内部告発者は最も適切な判断を下すことができるのである。

内部告発者の保護

報復行為も十分に起き得るため、内部告発者になるのが恐ろしいと考えるのは当然である。報復行為とは、敵対的な職場環境から解雇まで、さまざまな形で行われるものだ。

そこで、内部告発者を報復から保護するのがサーベンス・オクスリー法ドッド・フランク法2020年マネーロンダリング防止法などの連邦法や州法だ。内部告発者法に基づく救済措置はさまざまだが、報復を受けた従業員が、報復がなかった場合と同じ状況になれるように設計されている。

しかしこういった保護を受けるためには、それが可能な方法で内部告発を行う必要がある。内部告発者は、実際に法律違反があったことを証明する必要はなく、また不正や違法行為があったという事実が正確である必要もない。従業員が懸念を表明することを奨励するために、これらの法律は一般的に、内部告発者が「合理的な信念」を持っている場合、つまり「同じ訓練を受けた同じ事実関係にある合理的な人間なら、この場合雇用者が法律に違反していると考えるだろう」ということを示すことができる場合、報復から保護してくれるのである。

過去10年間に、大規模な内部告発の多くの陪審評決が証明したように、報復を行った雇用者は相当な額の責任を負うことになる。しかし、内部告発報復法の複雑さを考えると、内部告発を考えている従業員は、まず法的アドバイスを求めるのが正解だろう。

内部告発者が救う

暗号資産業界はこれから多くのことを学んでいくのだろう。従来の金融機関は何十年という月日かけて規制に対応してきたが、暗号資産はこれまでコンプライアンスをほとんど気にすることなく運営されてきたのである。

暗号業界の内部告発者が早期に警告を発することで、競争の公平性が確保されるだろう。内部告発者の懸念を真剣に受け止めることで、暗号業界の企業は間もなく直面することになる不可避の強制措置の嵐を回避し、時間、お金、そして心痛を節約できるのだ。

編集部注:本稿の執筆者Alexis Ronickher(アレクシス・ロニッカー)氏は、ワシントンD.C.にある内部告発者と公民権に関する法律事務所Katz, Marshall & Banks LLPのパートナー。内部告発者の弁護を専門としている。Nicolas O’Connor(ニコラス・オコナー)氏はKatz, Marshall & Banks LLPのアソシエイト。

画像クレジット:danijelala / Getty Images

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(文:Alexis Ronickher、Nicolas O’Connor、翻訳:Dragonfly)

【コラム】暗号資産の規制が米国でスーパーアプリが生まれるきっかけになるかもしれない

今や、中国社会の大部分が「スーパーアプリ」と呼ばれるものに依存するようになった。診察の予約からタクシーの配車、ローンの申し込みに至るまで、さまざまなタスクを1つのプラットフォームでこなすWeChat(ウィーチャット)などのアプリのことだ。

米国ではこのようなワンストップショップが勢いに乗ることはなかったが、ついに米国でもそのときが来たのかもしれない。フィンテック業界、とりわけ暗号資産を専門とするプラットフォームからスーパーアプリが誕生する可能性が高いのだ。

株価の高騰と金利の記録的な低下、近い将来に起きるインフレへの不安などが重なり、暗号資産は急速に人気を集めている。米国政府が暗号資産を全面的に規制することを決定した場合(現在、米国議会はこの議題を検討している)、暗号資産の正当性はさらに高まるかもしれない。

今後、暗号資産の発行体が規制当局と連携し、消費者を保護しながら金融および投資に関する新たなオポチュニティを生み出すための妥協案を見いだせた場合、Coinbase(コインベース)などの暗号資産専用プラットフォームの他、PayPal(ペイパル)、Venmo(ヴェンモ)、Stripe(ストライプ)など、最近になって暗号資産による決済機能を追加したサービスが米国版のスーパーアプリに進化する可能性がある。消費者が暗号資産を安全かつ正当なもの、そして使いやすいものとして見ることができれば、これがスーパーアプリの基盤となり得るだろう。

関連記事:オンライン決済の巨人「Stripe」が暗号資産市場に再参入

これらの暗号資産アプリや決済アプリを拡大し、他のアプリやサービスと統合すれば、さまざまなタスクが便利になるはずだ。結局のところ、人は銀行に行くときにだけ資金管理のことを考えているわけではない。そもそも銀行口座を持っていない人も存在する。人は、買い物や旅行をするとき、診察料を払うときにも資金管理について考えており、こうしたアプリはそれぞれの人に必要な金融サービスを各個人に合わせて提供する助けとなるだろう。

暗号資産による決済を他のタスクと統合することは、金融業界を一般に広く行き渡るものに変えるという面でも大きなカギとなるだろう。暗号資産を普及させることで、十分なサービスを受けていないコミュニティの他、信用履歴がなくクレジットカードやローンの申し込みが困難な人に対し、より幅広い金融サービスを提供できるようになるからだ。

スーパーアプリの台頭

WeChatは2011年に中国国内のメッセージングアプリとしてサービスを開始したが、2013年には決済プラットフォームとしての機能を果たし、その後まもなく買い物や食料配達、タクシーの配車といったさまざまなサービスを展開するようになった。

今や、WeChatは何百万もの種類のサービスを提供しており、その大部分は、各企業がWeChat内で動作するミニアプリを開発し、そのミニアプリを通してサービスを提供する形となっている。10億人以上のユーザー数を誇るAliPay(アリペイ)の仕組みも同様だ。これら2つのアプリは、過去10年間で中国を現金主義経済からデジタル決済に大いに依存する経済へと変換したとして評価されている。デビットカードやクレジットカードが普及する中間段階を飛び越えた形での進化だ。

この仕組みはインドネシアをはじめ、同地域の他の国でも普及が進んでいる。ここでカギとなるのは、スーパーアプリのサービスの多くに、決済手段を含む金融サービスが搭載されているという点だ。

米国と欧州でも、こうしたアプリの使用は急増している。Apple(アップル)やFacebook(フェイスブック)、Google(グーグル)などの大手テック企業が決済サービスを追加し、VenmoやSquare(スクエア)といった複数の決済アプリがさらに普及するようになった一方で、スーパーアプリの出現はいまだに見られていない

その理由の1つは、データプライバシーに関する規制だ。米国、そして特に欧州におけるプライバシー規制によってアプリ間のデータ共有が制限されているため、アリペイなどのスーパーアプリにミニアプリを自動統合するようなエコシステムの構築が困難となっている。

また、以前から米国に充実したインターネットエコシステムがあることも理由の1つだ。フェイスブックなどの人気ソーシャルメディアやペイパルなどの決済サイトがスマートフォンの誕生以前から存在したため、1つのアプリが複数のサービスを提供する代わりに、これらのプラットフォームがそれぞれ別のアプリを展開する結果となっている。一方中国では、インターネットの大半がモバイルファーストで、スマートフォンの出現以降に進化している。米国市場は長きにわたり、各タスクについて別個のプラットフォームを使用する形態に慣れていたというわけだ。

しかし、アナリストの多くは、さまざまなアプリやテック企業がサービスの種類を拡大している点(例えばTikTok(ティックトック)はショッピング機能を追加し、Snapchat(スナップチャット)はゲーム用のミニアプリを統合し、Appleは決済業界に参入)を指摘し、米国でもいずれスーパーアプリが台頭するか、たとえそうでなくても今より多機能の大型アプリが出現するだろうと述べている。1つのアプリにサービスを追加し、ユーザーのリテンションを維持する方法を見いだすことができれば、あるアプリでのユーザーの挙動を別のアプリと共有せずに済むため、プライバシー規制を回避することにもなる。

米国では、アジア市場のように1つまたは2つのアプリが群を抜いて市場を支配することは考えにくいものの、アプリの巨大化、そして包括的なものへの変化が進んでいることは明らかだ。

DeFiの進化

一方、過去10年間で暗号資産が生み出したものは決済アプリとスーパーアプリだけではない。ビットコインという1つの製品から誕生した暗号資産は、今や総合的なピア・ツー・ピアの金融システム、いわゆるDeFi(ディーファイ、分散型金融)へと進化した。これには、Ethereum(イーサリアム)やDogecoin(ドージコイン)など複数の通貨が含まれ、システム上でユーザーによるお金の投資、売買、消費、貸し出しが可能となっている。

新型コロナウイルス感染症の拡大によって経済の先行きが不透明になり、また従来の金融機関のなかにも暗号資産関連のサービスを一部提供する機関が増えたことで暗号資産の人気がさらに上昇している反面、暗号資産はいまだに主要の金融システムや金融セクターから除外されており、高い危険性があることを多くの専門家から指摘されている。暗号資産の発行体もまた、分散型の金融製品を生み出すという目標から外れるとして、規制に長らく抵抗してきた。

しかし、この状況には変化が生じ始めており、一部の暗号資産プラットフォームが規制の遵守に関心を示すようになっている。

例えば、Coinbaseはユーザーがコインを他人に預け入れた場合に利子を獲得できるという製品の提供を計画していた。ところが、米国証券取引委員会によるガイダンスの提供がなかったにもかかわらず、同委員会から「Coinbaseが製品をリリースした場合は同社を提訴する」との警告が発せられ、この計画を断念するに至った。事実、暗号資産の発行体は、一部の規制に従うことで自社の製品の正当性が高まり、より多くの人に幅広い目的で使用してもらうことができると認め始めているのだ。この流れには、最近、Stablecoin(ステーブルコイン)をはじめとする新たな暗号資産製品が市場に現れたことで、従来の通貨の価値が議論されていることも関係している。

暗号資産の規制については、米国証券取引委員会の委員長Gary Gensler(ゲーリー・ゲンスラー)氏をはじめ、一部の議員や暗号資産業界の人物が賛成の立場を表明しており、規制の実現は近づいていると考えられる。

暗号資産が米国初のスーパーアプリを後押しする存在に

暗号資産の発行体が政府関係者と連携し、イノベーションを制限することなく消費者を保護するような規制を定めることができた場合、暗号資産は長年動きのなかった米国のスーパーアプリの開発を促す要素となる可能性が高い。

Coinbaseが米国証券取引委員会と連携し、互いに調整しながら質の高い規制を定めることができたならどうだろうか。法令をもとにCoinbaseが、ユーザーが暗号資産として信頼できる、存続可能かつ認定された金融手段であることを立証し、魅力的な収益創出のオポチュニティとなる新規の金融製品のみならず、日常シーンでも使用できるツールとして成長させることができる。規制によって通貨に安定性が生まれれば、隠れた価値を持つ資産としてだけでなく、買い物に便利なツールとして変化させることができるだろう。現時点では日常生活で暗号資産を使おうとした場合、トランザクション時間の長さや手数料の高さ通貨価値の変動の大きさなどがユーザーエクスペリエンスに摩擦を生むことになるが、こうした規制により、面倒な一部の手順を排除することも可能だ。

規制のフレームワークを作成することで暗号資産の需要は圧倒的に増加し、飲食業から小売業に至るまで、暗号資産を使った決済処理への対応を希望する企業が突如として増えるだろう。そうなれば、既存の暗号資産決済アプリへの統合が加速し、それらがスーパーアプリに進化していくと考えられる。従来の通貨を銀行に預金する代わりに、これらのアプリで暗号資産の預金をする人も増え、経済、そして金融のエコシステム全体が根元から覆るだろう。

銀行はいつでも大衆が望む製品を生み出してきたが、暗号資産および分散型金融の業界はまぎれもなく、人が必要とする製品とサービスを提供してきた。現に、規制や法的な環境がはっきりしない今でさえ、何百万もの人が暗号資産を使用しているのだ。

中国では、クレジットカードのサービスを十分に受けられない市場で現金の代替手段が必要となり、そのニーズを満たすべく、ユビキタスかつ統合型のデジタル決済が急速に進化した。同じように、暗号資産ベースのスーパーアプリは従来の決済手段に代わって、あるいはそれに加えて、暗号資産を安全かつ効率的に使用することを望む消費者や企業のニーズを満たすものとなるだろう。

暗号資産が無規制のグレーゾーンにとどまる限り、そのプラットフォームもスーパーアプリに進化することなく、業界外の経済や日常生活から除外されたままとなってしまう。そうなれば、米国はモバイルファーストかつデジタルファーストな、革新的で新しい金融エコシステムを構築するチャンスを逃すことになるのである。

編集部注:本稿の執筆者David Donovan(デビッド・ドノヴァン)氏は、デジタルコンサルタント会社Publicis Sapientの米大陸におけるグローバル金融サービスプラクティスを率いており、元Fidelity Investmentsの幹部。

画像クレジット:loveshiba / Getty Images

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(文:David Donovan、翻訳:Dragonfly)

バンクシーの作品を燃やしたBurnt FinanceがDeFi志向のNFTオークションサービスを開始

Burnt Finance(バーント・ファイナンス)は、実物のBanksy(バンクシー)の作品を燃やしてNFT(非代替性トークン)を作成し、それを「通常の」オープンなアート市場価格の2倍に相当する40万ドル(約4600万円)で販売するというスタントをやってのけた暗号資産スタートアップだ。

NFTのオークションはもっと改善できるという考えに基づき、同社は2021年、そのSolana(ソラナ)ブロックチェーン上に構築された分散型オークションプロトコルのために、300万ドル(約3億5000万円)の資金を調達した。このラウンドは、Multicoin(マルチコイン)とAlameda Research(アラメダ・リサーチ)が主導し、マルチチェーンネットワーク「Injective Protocol(インジェクティブ・プロトコル)」の中核的貢献者であるInjective Labs(インジェクティブ・ラボ)がインキュベートした。

現在はより本格的になっている。

Burnt Financeは今回、ブロックチェーンゲームや伝統的なゲームなどの幅広いポートフォリオを開発・販売しているAnimoca Brands(アニモカ・ブランズ)の主導でシリーズAラウンドを実施し、800万ドル(約9億2000万円)を調達した。

このラウンドには他にも、Multicoin Capital(マルチコイン・キャピタル)、Alameda Research、DeFiance(デファイアンス)、Valor Capital Group(ヴァロー・キャピタル・グループ)、Figment(フィグメント)、Spartan Capital(スパルタン・キャピタル)、Tribe Capital(トライブ・キャピタル)、Play Ventures(プレイ・ベンチャーズ)、HashKey(ハッシュキー)、Mechanism Capital(メカニズム・キャピタル)、DeFi Alliance(デファイ・アライアンス)、Terra(テラ)などが参加した。

これらの投資家の中でも、2017年からブロックチェーン分野に投資しているMulticoinは、おそらく最もよく知られている企業の1つだろう。同社はSolanaやNEAR(ニア)、そしてSignal(シグナル)のP2P決済に使われているMobileCoin(モバイルコイン)など、いくつかの重要なプロジェクトに投資してきた。

Burnt Financeは今回、独自のNFTマーケットプレイスを英語とオランダ語で立ち上げ、Buy Now(すぐ買う)オークションを提供し、NFTレンディング、ステーキングインセンティブをともなう流動性マイニング、細分化、GameFi(ゲームファイ)などのDeFi(分散型金融)機能を統合することで、NFTのハブとなることを目指している。

これにより、NFTへのパーミッションレス(自由参加型)なアクセスが可能となり、低い手数料と高速性を実現できると同社は主張しており、すでに「16万人のユーザー」が順番待ちリストに名前を連ねているという。

Burnt Financeによると、同社の「Spark(スパーク)」テストネットでは、7日間で1億ドル以上の取引量を処理したという。

同社では、Terraやその他のEVM互換のレイヤー1プロトコルを含む追加のブロックチェーンに拡大することも計画している。

Animoca Brandsの共同設立者であるYat Siu(ヤット・シウ)氏は、次のようにコメントしている。「パーミッションレスのエコシステムで資産を鋳造・取引することは、オープンなメタバースの経済的基盤にとって非常に重要です」。

DappRadar(ダップレーダー)によると、NFTの世界市場は2021年に約220億ドル(約2兆5000億円)に達したという。伝統的なオークションハウスであるChristie’s(クリスティーズ)やSotheby’s(サザビーズ)もNFTの分野に進出している。

Burnt Financeは開かれたドアを押している。NFTの売上は、2021年12月だけで4億ドル(約460億円)に達した

競合他社には、もちろんレベルはさまざまだが、OpenSea(オープンシー)、SuperRare(スーパーレア)、Rarible(ラリブル)、NiftyGateway(ニフティゲートウェイ)などがある。しかしながら、Burntは明らかにまだ非常に初期の段階ではあるものの、Solanaを使い、DeFiの領域を狙うことで、より大きなプレイヤーたちを追い越そうとしている。

画像クレジット:Burnt Banksy

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

暗号資産APIプロバイダーのConduitは分散型金融のStripeを目指す

金融機関は暗号資産市場に参入する方法を模索し続けており、分散型金融(DeFi)商品は、金融機関がシェアを獲得するのに役立つ仕組みの1つだ。DeFi商品の投資家は、利子と引き換えに暗号資産を貸し出すことで、資本の利回りを得ることができる。

しかし、DeFi融資は、資産クラスの変動性もあり、従来の融資よりもはるかにリスクが高い。「高利回り」債券が、平均よりリスクの高い企業に賭けることで投資家に多くの現金を補償するように、DeFi融資は、顧客が実質的に銀行にお金を貸すという従来の普通預金よりはるかに高い金利を提供することができる。

Conduit(コンデュイット)は、開発者がDeFi製品へのアクセスを提供するプラットフォームをつくるために使用できるAPIセットを構築している。ConduitのCEOで共同創業者のKirill Gertman(クリル・ガートマン)氏は、2021年11月にCoinbase(コインベース)が買収した暗号資産ウォレットBRDの製品担当副社長として、同氏のチームがユーザー向けの製品を作るために必要なバックエンドツールを提供するベンダーを見つけるという困難を直接経験した。Arrival Bank(アライバルバンク)での勤務と、製品責任者として消費者金融Eco(エコ)での半年間の勤務を経て、ガートマン氏は探したものの見つからなかったバックエンド・ソリューションを提供するためにConduitを設立した。

ビデオ通話をするConduitのチーム(画像クレジット:Conduit)

「フィンテックの側を見ると、それをサポートする巨大なスタックがすでに構築されています。Stripe(ストライプ)があり、カードを発行したければMarqeta(マルケタ)があります。あなたが思いつくどんなユースケースでも、それを提供する準備ができているAPIを誰かが持っています」と、ガートマン氏はインタビューでTechCrunchに語った。

Conduitは、ネオバンクや金融機関が自社の製品をDeFiエコシステムに組み込むためのワンストップショップとなることを目指している。Conduit自体が規制やコンプライアンスに準拠していることからツールを使用する企業のコンプライアンス負担が軽減されるため、より簡単になるとガートマン氏は述べた。

消費者がDeFiの利回りを得るには、まずフィアット通貨をフィアット通貨の価値に固定された暗号資産の一種であるステーブルコインに換える。すると、CompoundやAAVEなどのさまざまな暗号資産プロトコルに投資できるようになる。Conduitは、企業がこれらの利回りにアクセスできるよう、2つのソリューションを提供している。

1つは、ネオバンクが顧客に提供する成長収益口座で、フィアット通貨をDeFiに投資できるようにするものだ。もう1つは、Conduitのコーポレート・トレジャリー・ソリューションで、高利回りのDeFi口座を企業に提供している。

「当社は台帳を作成しています。基本的に(顧客のために)非常にシンプルなバンドルを作成するための多くのことを行いますので、ドルをステーブルコインに変換する方法やレートの計算方法など複雑なことを心配する必要はありません」とガートマン氏は話す。

同氏はConduitの具体的な顧客名を挙げることは断ったが、顧客は特に中南米などの地域におけるネオバンクと小規模な暗号資産取引所という2つのカテゴリーに属していると述べた。最大の顧客は、同社の製品が最初に発売されたカナダとブラジルであり、次は米国と欧州を含む他の市場への拡大を目指していると、ガートマン氏は述べた。

同氏は、DeFi製品の拡大には2種類の利点があると見ている。1つはアクセスだ。DeFiのプロトコルはパーミッションレス(承認なし)なため、どのユーザーもクレジットスコアや本人確認、担保なしで資金の貸し借りを行うことができる。2つ目は、DeFiがユーザーをグローバルにつなぐことだ。これにより、極端な低金利やマイナス金利の国の投資家が高い利回りを得ることができ、また企業がグローバルな流動性プールから資金を引き出すことで有利な金利での借入を容易にすると同氏は付け加えた。

Conduitは、現地に精通したエンジニアリング、セールス、コンプライアンスの専門家を採用することで、2023年中に北米と中南米地域で従業員を3倍に増やす予定だ。現在、同社の従業員はリモート勤務している。また、Conduitがどの国をターゲットとしてきたかは規制が影響していて、米証券取引委員会(SEC)の規制が明確でないためにConduitの米国進出が遅れている、と同氏は付け加えた。

世界展開を推進するため、Portage Venturesがリードし、Diagram Ventures、FinVC、Gemini Frontier Fund、Gradient Ventures、Jump Capitalが参加したシードラウンドで1700万ドル(約19億円)を調達した、とConduitは1月13日に発表した。同ラウンドには、PayPal、Coinbase、Google Payなどの企業を含め、多くのフィンテック企業の幹部も参加した。

Conduitはすべての市場でコンプライアンスを確保するために高い法的費用を負担しており、ガートマン氏は「平均より大きなシードラウンド」を調達する必要があると判断した。

「明らかに、市場の状況は当社を助け、当社はそれを利用しました、私はそれを隠すつもりはありません……たとえ暗号資産の冬かそのようなものがあるとしても、当社は生き残ることができます」とガートマン氏は述べた。

画像クレジット:hocus-focus / Getty Images

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】米国で増えている暗号資産市長

Bitcoin(ビットコイン)をはじめとする暗号資産の価格は、2021年に急騰した。パンデミックの時代、この分野では暗号資産で大富豪になったという話もよく聞く。

暗号資産といえば、元々は民間セクターの話である。ビットコインやその他の暗号資産プロジェクトは、非中央集権的で政府の金融政策の影響を受けない変更不能なデジタル通貨を作ることを意図して始まったものだ。

しかし、この市場の価値が2兆ドル(約230兆円)を超えた近年、公的機関も暗号資産に注目するようになった。初期の規制を導入した国、全面的に禁止した国、大規模な導入を行った国など、対応も国によってさまざまである。

自国の不換紙幣を印刷する国家政府と地方自治体とでは、暗号資産に対する見方は大きく異なり、最近では、暗号資産をこの新しい産業が持つ技術的、財政的、経済的発展の可能性を活用する機会と見る都市も増えている。

確かに、市役所でビットコイン、ブロックチェーン、NFT(非代替性トークン)といった言葉を聞くことはあまりない。しかし、マイアミ、タンパ、ニューヨーク、ジャクソン(テネシー州)などの4都市ではこれらの言葉を耳にすることも増えてきた。というのも、市長が自身の給与の一部をビットコインで受け取ることに合意するなど、暗号資産の分野に参入するためのきっかけを示したからだ。

都市のイノベーションに関する多くのストーリーがそうであるように、このストーリーも1人の市長が話題を先導し、他の市長たちに挑戦状を叩きつけることから始まる。今回のケースでは、マイアミ市長のFrancis Suarez(フランシス・スアレス)氏が、次の給料をビットコインで受け取るとツイートしたことに対抗して、次期ニューヨーク市長のEric Adams(エリック・アダムス)氏が複数回の給料をビットコインで受け取ると発言している。

スアレス氏は次のように話す。「教育は、暗号資産にまつわる恐怖や誤解を払拭するための最良の方法であり、アダムス市長と私の発言の根本は教育を狙ったものです。私たちが真っ先に水に飛び込む姿を見れば、おそらく他の人々も自信を持って水に足をつけることができるでしょう」。

1人目の市長は注目すべきで、2人目の市長はその模倣だろう。しかし、3人以上の市長がビットコインの勢いに乗るのであれば、これは明らかにトレンドといえる。

ジャクソンは人口約7万人。Scott Conger(スコット・コンガー)市長は、同市が選出した市長の中では最も若い部類に入るが、この友好的な挑戦に参加し、給与をビットコインで受け取ると発言した。コンガー氏とスアレス氏は、これについてツイッターでやりとりをしている。コンガー氏はジャクソンという小さな都市で、暗号資産分野のイノベーションを起こしてきた。

これに負けじとフロリダ州の別の市長も参入してきた。タンパの Jane Castor(ジェーン・キャスター)市長は、コンガー氏のツイートからわずか数日後、タンパで開催された暗号資産カンファレンスで、給料をビットコインで受け取ることを発表したのだ。最近、新興技術都市のトップに選ばれたタンパは、フロリダ州内の技術系雇用の25%を占め、暗号資産という新興分野と親和性が高い。

コンガー氏は、スアレス氏の行動は大都市だけに当てはまるものではなく、あらゆる規模のコミュニティで通用すると指摘する。彼は、大都市で起きているテクノロジーや暗号資産に関する興味深い出来事を観察し、それがジャクソンのような(小さな)都市にはどのように反映されるかを考え、(優れた市長なら当然だが)ジャクソンの経済発展の可能性に目を向けた。

彼は次のように話す。「マイアミや大都市に限定される必要はありません」「ジャクソンにはそのチャンスがあります。ジャクソンは、テネシー州で家庭にギガビットの光ファイバーを導入した最初の都市です。新しい技術をいち早く取り入れるのは当然でしょう?」。

ジャクソンでは超高速のインターネットサービスが普及しており、ハイテク企業の獲得競争に大きく貢献している。コンガー氏は、この結果としてジャクソンに暗号資産や分散型金融(DeFi)の企業が増えるはずだ、と考える。

「場所は存分にあります」とコンガー氏。小売業界が縮小し、既存の企業が使用する物理的な空間が減る中、彼はチャンスを見出している。「DeFi、暗号、技術系の企業が生まれれば、彼らには事業を行う場所が必要になります」。

この小さなコミュニティの利点を強調し、コンガー氏は次のように付け加える。「人口7万人の都市で十分なのに、なぜ数百万人の都市に行く必要があるのでしょうか」。

経済発展を重視する姿勢は、4人の市長だけでなく、暗号資産の世界を知ることとなった他の地域のリーダーたちも共通していて、彼らはそれぞれの都市で雇用の未来について考えている。マイアミでは、暗号資産分野における市長の取り組みの中核にそれが見て取れる。

スアレス氏は次のように話す。「マイアミは共通のテーマの上に成り立っています。マイアミに来る人たちは、自国の政府に取り残されたり、さらにひどいケースでは迫害されたりすることに嫌気がさし、より良い生活を求めてここに来ています。そしてお返しにとこの街をもっと良いものにしてくれます」「マイアミムーブメントは、質の良い、高収入の仕事をこの街にもたらしています。私は、マイアミの将来を見据え、次世代のリーダーたちをこの街から輩出したいと考えています」。

人材の誘致と定着に力を入れているのは、国内の多くの都市でも同じである。マイアミは、テクノロジー、金融、(そしてこの記事で紹介するようにその両方が融合した)暗号資産といったあらゆる分野を成長させることを目指している。

「マイアミムーブメントは、パンデミックなどの数々の要因で人々がマイアミに集まったことに起因するものですが、成長中の金融やテック部門への支援は何十年も前から行っています 」とスアレス氏。「多くの人が思っているほど『突発的』なものではありません。この街にイノベーションと成長を呼び込むことは、すべてのマイアミの住人にとって大きな利益となります」。

金融の分野で長年の優位性を持ち、テック部門も引き続き強化されているニューヨークのような都市が、暗号資産の分野で何ができるかは想像することしかできない。同様に、何年も前から成長を続けるタンパも、テック系の人材を惹きつける力と経済的なポテンシャルがますます高まっている。暗号資産分野が成熟するにつれて、興味深い違いが見えてくるかもしれない。

メタバースで重要なポジションを取る最初の都市は?最初に自治体のNFTを導入する都市は?このデジタル分野の成長に取り組む市長たちのリーダーシップが現場レベルで発揮されれば、その答えはすぐに出るはずだ。

編集部注:本稿の執筆者Brooks Rainwater(ブルックス・レインウォーター)氏は、Center for City Solutions and Applied Research at the National League of Citiesのディレクター。

画像クレジット:Alexander Spatari / Getty Images

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(文:Brooks Rainwater、翻訳:Dragonfly)

「ブロックチェーン技術拡大のためのサービス」を展開するAlchemy、半年で評価額7倍の3990億円に

共同創業者でCEOのニキル・ヴィスワナサン氏とCTOのジョー・ラウ氏(画像クレジット:Alchemy)

半年前に5億500万ドル(約575億円)の評価額で8000万ドル(約91億円)を調達したSaaS(Software as a Service、サービスとしてのソフトウェア)スタートアップ企業、「Alchemy(アルケミー)」。ブロックチェーンおよびWeb3の開発を手がける同社は、このたびシリーズC資金調達ラウンドで2億5000万ドル(約285億円)を調達し、評価額は35億ドル(約3990億円)となった。

詳細を知る関係筋によると、Andreessen Horowitz (アンドリーセン・ホロウィッツ、a16z)が主導したこの資金調達には、多数の大手ベンチャー企業がラウンドに参加するだけでなく、主導することを求めて群がり、非常に競争の激しいものとなった。

今回の資金調達は、Alchemyの評価額が半年間で7倍という驚異的な伸びを示したことの他にも、いくつかの点で注目を集めている。1つは、a16zがこれまでに実施したWeb3 / ブロックチェーン関連の投資の中でも最大規模のものであること。a16zは、2021年6月に22億ドル(約2500億円)の暗号化ファンドを発表し、この分野に本格的に取り組んでいることを示した。参考までに、Web3とはブロックチェーンを中心とした一連のプロトコルのことで、インターネットのバックエンド機能に改革を起こすことを意図するものである。

さらに興味深いのは、Alchemyが多くのスタートアップ企業にとってなかなか実現できないもの、つまり収益性を達成したことである。

AlchemyのCEOで共同設立者のNikil Viswanathan(ニキル・ヴィスワナサン)氏によると、同社は「実際に非常に収益性が高い」という。この数カ月間で、同社の提供するサービスに対する需要が爆発的に増加し、前回4月の資金調達時と比べて収益が15倍になったことで高い収益性を実現できたそうだ。CTOで共同設立者のJoe Lau(ジョー・ラウ)氏は「シリーズBラウンドで調達した8000万ドル(約91億円)には手をつけていない」と話す。

「(シリーズBの)資金はすべて銀行に残っています」とラウ氏。「資金は必要ではありませんでしたが、私たちは、ブロックチェーンの分野で深い技術的専門知識を備えたチームを所有するホロウィッツ氏のようなすばらしいパートナーと手を組むことに価値があると考えました」。

簡単に説明すると、AlchemyはAWS(Amazon Web Services)がインターネットで実現したものを、ブロックチェーン / Web3で実現したいと考えている。Alchemyの目標は、ブロックチェーン上のサービスを検討している開発者のスタート地点となること、すなわちブロックチェーンアプリケーションのメインストリームになることである。Alchemyの開発者ツールは「必須の」開発者ツールを使ってアプリケーションを改良することで、インフラ構築の複雑さを解消し、コストを下げることを目指している。Alchemyは2020年8月にサービスの提供を開始した。

現在、Alchemyは、金融機関、取引所、1000億円規模の分散型金融プロジェクト、ユニセフを含む多国籍組織など、ほぼすべての業界におけるブロックチェーンのさまざまな取引を強力にバックアップしている。同社のテクノロジーはMakersPlace(メーカーズプレイス)、OpenSea(オープンシー)、Nifty Gateway(ニフティゲートウェイ)、SuperRare(スーパーレア)、CryptoPunks(クリプトパンクス)など、あらゆる主要なNFTプラットフォームを支える技術としても急速に普及している。その他にも、Dapper Labs(ダッパーラボズ)、Axie Infinity(アクシーインフィニティ)、最近契約したAdobe(アドビ)のようなブロックチェーン上に(サービスを)構築しているフォーチュン500企業、PricewaterhouseCoopers(プライスウォーターハウスクーパース)などが顧客として名を連ね「DeFi(Decentralized Finance、分散型金融)の大部分」にもサービスを提供している。

4月の増資時は300億ドル(約3兆4100億円)であったAlchemyと世界中の企業との取引は、現在450億ドル(約5兆1200億円)以上に増加。同社がサポートするブロックチェーンの数も拡大している。

「私たちのプラットフォームは、多少なりともEthereum(イーサリアム)に絞って対象としていましたが、多くの需要に支えられ、ポリゴン、アービトラム、オプティミズム、フローにまで拡大しています」とラウ氏は話す。

画像クレジット:Alchemy

ヴィスワナサン氏は新しい開発者も増えている、と指摘する。

同氏は次のように続ける。「Alchemyに参加するチームや企業が増え、チームや企業ごとに多くの開発者が私たちのプラットフォームを利用するようになりました」「つまり、すべての方面で成長しているのです」。

爆発的な成長にもかかわらず、Alchemyはまだ小規模なチームである。現在の従業員数は37名、本社をサンフランシスコに置き、ニューヨークオフィスの他、世界各地でリモートスタッフが業務にあたっている。

Alchemyは、新たな資本のほとんどを、ブロックチェーンを中心としたコミュニティの構築への投資に利用する予定である。同社の幹部は、市場がまだ小さく、この分野が持つチャンスが不透明だった2017年という適切な時期に事業をスタートさせることができた、と考えている。

ラウ氏は次のように話す。「私たちの究極の目標は、ブロックチェーンが持つ可能性を実現することです」「リソースを増やして、開発者がこの分野に参入し、より効果的かつ迅速にブロックチェーン上のサービスを構築できるようにすることで、これを実現したいと考えています」。

ヴィスワナサン氏は「Alchemyは近年のブロックチェーンの盛り上がりと人気に重要な役割を果たしている」と考えている。

同氏はTechCrunchの取材に対し、次のように話す。「ブロックチェーンの成長とともにAlchemyが成長しただけではありません。私たちはブロックチェーンのエコシステムの成長にも貢献しています」「私たちが良いツールを提供すれば、開発者はもっとサービスを作りやすくなります。それをより多くのユーザーが利用し、さらに多くの開発者がサービスを開発し、私たちはさらにツールを改良する……好循環ですね。Alchemyはこのサイクルの回転を支援している、と考えています」。

画像クレジット:Alchemy

a16zのジェネラルパートナーであるAli Yahya(アリ・ヤヒヤ)氏は、Alchemyをブロックチェーン / Web3の成長における「重要な推進者である」と表現し、AlchemyはすでにWeb3の「事実上(デファクト)の開発者プラットフォーム」であると話す。

ヤヒヤ氏はメールに「Microsoft(マイクロソフト)やAWSがコンピューターやインターネット業界をサポートするプラットフォームを構築したように、Alchemyのプラットフォームは、世界中で何百万、何千万もの人々が利用するブロックチェーンサービスの構築を可能にします」と記し、Alchemyの成長は関連するすべての指標で「驚異的」だと付け加えた。

Alchemyの前回のラウンドに投資した、Google(グーグル)の会長であり元スタンフォード大学学長のJohn L. Hennessy(ジョン・L・ヘネシー)氏は、ヤヒヤ氏の意見に同意し、さらにもう1つ、注目すべき比較を行った。

ヘネシー氏は「Alchemyは、AWSがクラウドを実現したのと同じように、ブロックチェーン業界の成長を後押ししています」「Alchemyのテクノロジーに対する興奮を見ていると、Googleの初期の頃を思い出します」とメールに記す。

シリーズC資金調達ラウンドには、Lightspeed Venture Partners(ライトスピードベンチャーパートナーズ)とRedpoint(レッドポイント)も新たな投資家として参加した。すでに投資を行ってきたCootue(クートゥー)、Lee Fixel’s Addition(リー・フィックセルアディション)、DFJ(ディーフェフジェー)、Pantera Capital(パンテラキャピタル)は、Alchemyへの投資を倍増させた。Alchemyは2017年の設立以来、合計で約3億4500万ドル(約393億円)を調達したことになる。

Alchemyにはこれまで、Chainsmokers(チェインスモーカーズ)のMantis(マンティス)ファンド、俳優のJared Leto(ジャレッド・レト)、Glazer family(グレイザー家、タンパベイ・バッカニアーズやマンチェスター・ユナイテッドFCのオーナー)、ヤフーの共同設立者で元CEOのJerry Yang(ジェリー・ヤン)、Coinbase(コインベース)、SignalFire(シングルファイヤー)、Samsung(サムスン)、スタンフォード大学、Charles Schwab(チャールズ・シュワブ)、LinkedInの共同設立者Reid Hoffman(リード・ホフマン)などが出資を行ってきた。

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

ワンクリックで暗号資産の空売りが可能な「Beta Finance」

あらゆる暗号資産(仮想通貨)の貸し借りと空売りをワンクリックで行うソリューションを開発した分散型金融プロトコルのBeta Finance(ベータファイナンス)は米国時間10月29日、プライベートおよびパブリックのローンチパッド投資ラウンドで575万ドル(約6億6000万円)を調達したと発表した。

プライベート投資ラウンドでは、Sequoia Capital India(セコイア・キャピタル・インディア)が主導し、ParaFi Capital(パラフィ・キャピタル)、DeFiance Capital(デファイアンス・キャピタル)、Spartan Group(スパルタン・グループ)、GSR、Delphi Digital(デルファイ・デジタル)、Multicoin Capital(マルチコイン・キャピタル)も参加した。

Allen Lee(アレン・リー)氏が設立したBeta Financeは、ユーザーがより簡単に暗号資産をショート(空売り)して価格変動に対抗できるようにし、またリスクヘッジのための別の手段を提供しようとするスタートアップだ。

既存のDeFi(分散型金融)プロトコルは、ごく限られた成熟した暗号資産の借り入れと空売りにしか対応しておらず、大多数のトークンはユーザーがアクセスできないようになっている。

Ethereum(イーサリアム)のブロックチェーン上に構築されているBeta Financeは、この非効率性を解消するために、より幅広い選択肢と機能性を提供する初のユーザーフレンドリーなプロトコルであると自らを称している。

そのワンクリックソリューションによって、技術的なノウハウを持たないトレーダーでも、あらゆるトークンのショートポジションを管理・更新することが可能になる。関連するすべてのトークンの情報がインターフェイス上で直接入手でき、それを判断材料とすることができる。

「ユーザーは、既存の金融市場で無視されている、最もボラティリティ(価格変動性)が高い資産の多くをショートすることができるため、ボラティリティを相殺してリスクをヘッジし、より健全なリターンを得ることができます」と、Beta Financeは述べている。

「空売りは、DeFiプロトコルに欠けていた金融インフラの重要な部分であると考えています」と、リー氏はTechCrunchによるインタビューで語った。「DeFiが伝統的な金融に取って代わるためには、空売りのようなツールを構築することが必要であると、私たちは確信しています」。

自社で発行した仮想コイン「BETA」がBinance(バイナンス)で取引されているBeta Financeは「カテゴリーを定義するプロトコルになる可能性を秘めている」と、Sequoia IndiaのプリンシパルであるPieter Kemps(ピーター・ケンプス)氏は声明で述べている。

Beta Financeによると、同プラットフォームの立ち上げから最初の1カ月の内に、1万人以上のユニークアドレスに対して、1万件以上の入金、1000件の借り入れ、500件のショートポジションを処理したとのこと。このプロトコルはロックされている総額の平均が1億9500万ドル(約223億円)を超えたと、同社では述べている。

「Betaは、ワンクリックショートの先駆者であることに加えて、プロトコルをローンチしてからわずか1週間後には、NFDトークンの空売りを可能にしてNFT(非代替性トークン)をショートした最初のプロトコルとなるなど、安全性を保ちながら多様な資産(ボラティリティの高いものを含む)に対応できる能力をすでに証明しています。DeFiエコシステムの今後において、Betaは重要なステークホルダーになることを、私たちは楽観視しています」と、ケンプス氏は述べている。

Beta Financeは、今回調達した資金を、製品提供の幅を広げ、より多くの人材を雇用するために活用すると、リー氏は述べている。

画像クレジット:Beta Finance

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

「日本のスタートアップも積極検討」暗号資産取引所クラーケンCVCが狙う投資領域

編集部注:この原稿は千野剛司氏による寄稿である。千野氏は、暗号資産交換業者(取引所)Kraken(クラーケン)の日本法人クラーケン・ジャパン(関東財務局長第00022号)の代表を務めている。Krakenは、米国において2011年に設立された老舗にあたり、Bitcoin(ビットコイン)を対象とした信用取引(レバレッジ取引)を提供した最初の取引所のひとつとしても知られる。

9月22日、ソフトバンクのビジョン・ファンド2が主導する資金調達ラウンドで、ブロックチェーンのインフラ企業ブロックデーモン(Blockdaemon)が1億5500万ドル(約170億円)の資金調達を行いました。ブロックデーモンは、暗号資産の新たな運用方法であるステーキングなどに必要なインフラを機関投資家向けに整備する企業です。出資者は、ソフトバンクの他、ゴールドマンサックスやボールドスタート・ベンチャーズなどの大手金融やハイテク企業が名を連ねており、暗号資産業界からは取引所のクラーケンが入っています。

本稿では、なぜ暗号資産取引所のクラーケンが、クラーケン・ベンチャーズというCVCを擁しているのか?どんな分野を投資先として注目しているのか?クラーケン・ベンチャーズ代表であるブランドン・ガスのコメントとともに解説します。

クラーケン・ベンチャーズ

クラーケン・ベンチャーズは、暗号資産とフィンテック領域におけるスタートアップ企業やプロトコルを対象にした独立した投資ファンドです。投資先には、フィンテックや暗号資産企業・プロトコル、分散型金融(DeFi)、AIや機械学習・ディープラーニング、レグテック(RegTech。Regulation+Technology)、サイバーセキュリティーが含まれます。

テキサス州のオースティンやベルリン、香港、ロンドン、ニューヨーク、サンフランシスコに拠点を構え、暗号資産業界における次のイノベーションを支えるために開発者などに対して必要なリソースや専門知識の提供を行います。

投資額は、25万ドル~300万ドル(約2750万円~約3億3000万円)の範囲です。加えて、暗号資産とフィンテック業界での数十年にわたる経験を持つクラーケンのチームによってコンサルティングとリソース提供を行なっています。この中には、企業がプロジェクトに代わり宣伝広告を行ったり顧客や投資家を紹介したりすることも含まれます。また、クラーケンの既存サービスとコラボすることもあります。例えば、後述するロケット・ダラーの顧客は、クラーケンの口座を使って暗号資産を購入し、ロケット・ダラーの年金口座で資産形成が行えます。

ブランドン・ガスは、今後の投資テーマとして、「フィンテックと暗号資産の領域が融合し始めている」という見解を示し、以下のように述べました。

「人々は暗号資産業界におけるエンジニアリングとプロダクトイノベーションの凄さを過小評価しています。そして、それがすべての金融サービス分野に波及することを十分理解していません」

これまでの投資先

クラーケン・ベンチャーズのこれまでの投資先は、ブロックチェーン分析企業のメサーリ、退職後の資金積み立てプラットフォームを手がけるロケット・ダラー、そしてブロックデーモンです。

メサーリ(Messari)

8月5日、メサーリは、ポイント72ベンチャーズが率いたシリーズAの資金調達ラウンドで2100万ドル(約23億円)を調達したと発表しました。ポイント72ベンチャーズは、著名投資家スティーブ・コーエン氏率いるヘッジファンド運営会社ポイント72アセット・マネジメントのベンチャーキャピタル部門です。メサーリは、調達した資金をプロダクトのグローバル展開や人員拡大に充てる予定です。

メサーリは、暗号資産市場に関するデータ分析やコラム執筆で有名な企業です。また創業者のライアン・セルキス氏は、ブロックチェーン関連投資で有名なデジタル・カレンシー・グループの創業メンバーであり、米国仮想通貨メディア「コインデスク」が手がけるカンファレンス「コンセンサス」を立ち上げた人物です。最近では米国の規制強化方針に反発し、2024年の米議会上院の選挙に出馬して政治家として暗号資産業界の規制方針に対抗する構えをみせるなど、精力的に動いています。

メサーリは、暗号資産の分野に特化した企業です。このため、クラーケンの他、コインベースやFTX、ジェミナイなど、クラーケン・ベンチャーズ同様の暗号資産取引所系CVCの名前が目立ちます。ブランドン・ガスは、出資を決めた理由として「メサーリのチームを長年知っていたこと」に加えて、DeFi(分散型金融)関連のデータ分析ツールやリサーチに「感心した」ことを挙げています。

ロケット・ダラー(Rocket Dollar)

9月9日、ロケット・ダラーは、パーク・ウエスト・アセット・マネジメントが率いる資金調達ラウンドで800万ドル(約8億8000万円)を調達したと発表しました。ロケット・ダラーは、メサーリと異なり金融系の新興企業です。個人退職勘定(IRA)や個人向けの確定拠出年金(ソロ401K)といった年金制度において、暗号資産など、株や債券など伝統的な資産以外のオールターナティブ・インベストメントを支援するサービスを手がけています。

ブランドン・ガスは、ロケット・ダラーについて以下のようにコメントしています。

「伝統的な年金、とりわけ雇用主が設定する年金口座は、投資オプションが限定的で掛金が低いのが一般的です。しかしミレニアル世代やZ世代は、暗号資産や不動産、未上場企業など幅広い資産への投資に高い関心を持っています。さまざま資産クラスに投資してベストなリターンを獲得する機会を提供するロケットダラーは、個人の自由と選ぶ権利に貢献しているという点で魅力的です」

ブロックデーモン(Blockdaemon)

9月22日、ブロックデーモンは、ソフトバンクグループのビジョン・ファンド2が主導したシリーズBの資金調達ラウンドで1億5500万ドル(約170億円)を集め、企業価値が10億ドルを超えるユニコーン企業と評価されました。

ブロックデーモンは先述の通り、仮想通貨のインフラ企業です。次世代イーサリアム(イーサリアム2.0)やビットコイン、ソラナ、テラ、カルダノ、ポルカドット、ライトニング・ネットワークを含む40余りのブロックチェーン(分散型デジタル台帳)ネットワークをサポートしています。

日本のスタートアップも出資対象

クラーケン・ベンチャーズは、北米、アジア、ヨーロッパのスタートアップ企業を投資対象にしており、日本のスタートアップにも大きな期待を寄せています。ブランドン・ガスは「日本から素晴らしい企業がたくさん出てきているのを知っている」とし、「日本企業への出資も積極的に検討する」と述べました。

ブランドン・ガスによると、投資先の選定基準として「プロダクトに関する知識と経験」「技術的な優位性」「そしてスケール可能性が高いビジネスモデル」を挙げています。本質的に重要なのは、結局のところ「3つのP(People、Product、Potential)」であるという見方です。

クラーケン・ベンチャーズによる出資に興味がある企業やプロジェクトは、以下の連絡先からお問い合わせください。

https://www.krakenventures.com/contact-us


画像クレジット: Markus Winkler on Unsplash

デジタル証券の第二取引市場を目指す投資プラットフォームRepublicが171億円超を追加調達

スタートアップの世界では、デジタル資産が米国証券取引委員会にとって、いつ有価証券と見なされるか否かについて、山ほど不満が募っている。

多くの人々が規制の暗雲を感じる分野で、創業5年のニューヨーク拠点の投資プラットフォームであるRepublic (リパブリック)が機会を伺っている。多くの企業が特定のデジタル資産と距離を置くべきかどうか悩んでいる中、Republic(CEOのKendrick Ngyueyn[ケンドリック・グエン]氏はGoodwin Procterでの証券訴訟が最初の仕事だった)は「compliant tokenization(規則に準拠したトークン化)」とグエン氏が呼ぶものの第1人者になることを創業時から目指してきた。

そして今同社は、すでに構築したデジタル「証券」の購入と再販のためのコンプライアンスを重視したマーケットプレイスを拡大する大きな野望をほのめかしている。

関連記事:厳選されたスタートアップ投資機会を提供するRepublicのCEOケンドリック・グエン氏のTC Tokyo2021登壇決定

グエン氏は先週TechCrunchとの電話で「米国内の主要な取引所でデジタル証券トークンを扱っているところはありません」と語った。つまり、製品やサービスに利用できるユーティリティトークンではなく、その価値が不動産のような外部の取引可能な資産に連動しているトークンのことだ。

扱わない理由の1つは、SECが、Ripple Labs(リップル・ラブズ)が開発した暗号資産であるXRPを、(通貨ではなく)Coinbaseなどの取引所が販売していない「証券」とみなしていることを極めて明確に示したからだ。

グエン氏は、Republicは「有能で良いカスタマーサービスを提供し、米国で証券とデジタル証券の第二の活発な市場を可能にする」取引所があれば「今すぐ提携する」意志があると語った。しかし、そんな取引所は存在しないため「あと1年ソリューションが見つからなければ、Republicはデジタル証券の二次的取引所に投資するか関連会社を通じて直接設立するつもりだ」と語った。

これはRepublicが運営している中で最も野心的なサービスであり、100万人以上のユーザーを集め、大規模な資金調達も行っている。

本日、米国時間10月20日、同社は1億5000万ドル(約171億円)のシリーズBラウンドをValor Equity Partnersのリードで完了したことを発表した。これは2021年3月に発表したGalaxy Interactive、Motley Fool Ventures、HOF Capital、Tribe Capital、およびCoinFundらが参加した3600万ドル(約41億円)のシリーズAラウンドに続くものだ(なお、これらの既存投資家は今回も参加し、Pillar VC、Brevan Howard、Golden Tree、およびAtreidesが新たに加わった)。

現在Republicの従業員は200名で、最新ラウンドの前に、新株発行で5000万ドル(約57億円)以上を、トークンの販売で2000万ドル(約23億円)以上を調達している。

会社はさまざまな調整に忙しく動いている。Republicはすでにいくつかの事業部門からなっており、10ドル(約1140円)から始められる人気の個人投資プラットフォームや、10億ドル(約1141億円)近い資産を管理し、認定投資家をふるいにかけてスタートアップに紹介する民間資本部門から、技術、財務、流通、およびトークン化サービスを提供するブロックチェーンコンサルタント部門まである。

さらにRepubliには、現在スタートアップや暗号資産プロジェクトに資金を配分するクローズドエンド型投資ファンドが2件ある他、Republic Realm(リパブリック・レルム)の名前で運用しているメタバース(仮想空間)とNFT(非代替性トークン)に特化したデジタル投資部門もある。

Republicがどうやってすべてをコントロールしているのかを聞かれたグエン氏は「異なるプラットフォームがあるとは考えていません」として、関心事や預金残高に関わらずあらゆる人にサービスを提供できる会社と考えていると語った。「もし億万長者がRepublicにやっきてきて、100ドル投資するのに時間を使うより10万ドルを配分したいというなら、我々はその機会を提供します。もしあなたが20歳で、20ドルをビデオゲームか不動産か女性起業家に投資したいなら、そのための機会もあります」。

目指しているのは「全人口」の要求に応えることだと彼は述べ、Republicなら培った技術力を駆使して成功できると強く思っている。そこにはある基本理念がある。それは「DeFiとNFTを含めほとんどのトークンは証券である」というRepublicの強い信念だ。その結果「私たちはRepublicのやっていることのすべて、触れるものすべてをなんらかの証券として扱い、米国証券法の既存の枠組みに適合させています」と彼は言った。

他の投資プラットフォームがSECに抵抗したいのならもちろんそれは彼らの権利です。Republicとしては「自分たちの仕事をするために新しいルールや規制を求めません。私たちのやり方は既存の法律、強固な法的根拠に基づいています」。

画像クレジット:Kendrick Nguyen / Republic

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nob Takahashi / facebook

DeFiにおけるプライバシー確保のために、Sienna Networkが自動マーケットメーカーSiennaSwapを導入

DeFi(分散型金融)に未来があるならば、プライバシーを重視した金融ブロックチェーンプロジェクトの台頭は、非常に重要な意味を持つことになるだろう。人々は「通常の」金融生活においてプライバシーを期待するようになっている。ブロックチェーンや暗号資産の世界でも、それを期待するようになるのは当然だ。

そんな動きが始まっている気配を、我々が感じたのは2021年5月のこと。プライバシーを重視したスマートコントラクトプラットフォームであるSecret Network(シークレットネットワーク)ブロックチェーンが、Arrington Capital(アーリントン・キャピタル)とBlocktower Capital(ブロックタワー・キャピタル)から投資を受けたのだ。さらに同時期に、分散型金融企業のSienna Network(シエナ・ネットワーク)が、機関投資家や一般の支援者から1120万ドル(約12億5000万円)を調達したことも明らかになった。

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Siennaが前述のSecret Network上に構築されていることは偶然ではない。そして米国時間10月7日、Siennaはそのプラットフォーム上で動作する自動マーケットメーカー(Automated Market Maker)の「SiennaSwap(シエナスワップ)」を導入した。これによって、Siennaトークンの保有者は、トークンをプライベートな等価物に変換し、それを交換したり、流動性プールに預け入れたりして、利回りを得ることができるようになった。

これは、ユーザーが何をしているかを他人に見られてしまう取引所のプライバシーの欠如や、現在の暗号取引の重大な弱点である「フロントランニング」によるさや取りを、ユーザーが回避できるようになるということを意味する。

このプライバシーという点においては、Uniswap(ユニスワップ)やPancakeSwap(パンケーキスワップ)などのDEX(分散型取引所)も、暗号エコシステム上で効果を発揮している。しかし、SiennaSwapが差別化を謳っているのは、そのプライバシー保護機能で、フロントランニングの問題に対応していると、Siennaでは主張している。同社はCøsmos Ecosystemの一員でもあり、そこではほぼ毎日のように多くの新しいプロジェクトが立ち上がっており、多様性がさらに高まっている。

SiennaによるSiennaSwapの発表は、5月に行われた1120万ドルのトークンの非公開および公開セールに続くものだ。非公開セールでは、Magnus NGC(マグナスNGC)、Inclusion Capital(インクルージョン・キャピタル)、Lotus Capital(ロータス・キャピタル)、FBG、SkyVision Capital(スカイビジョン・キャピタル)などの投資家から1000万ドル(約11億2000万円)を調達した。

Sienna Networkが、カーボンフレンドリーなPoS(Proof-of-Stake、プルーフ・オブ・ステーク)ブロックチェーンであり、マイニングに大量の電力を必要とするビットコインのようなPOW(Proof-Of-Work、プルーフ・オブ・ワーク)ブロックチェーンよりも、はるかに少ないエネルギーしか必要としないことも、おそらく注目に値するだろう。

Secret Foundation(シークレット・ファンデーション)の創設者であるTor Bair(トー・ベア)氏は次のように述べている。「Siennaの発表は、SecretのDeFiエコシステムにとっても、DeFi全般にとっても、大きな転換点となります。デザインされたプライバシーをユーザーに提供することは、これらの新しい金融プラットフォームの安全性と拡張性を確保するために不可欠であり、つまりこれは、Siennaが新しい爆発的な成長を生み出す素地を作っていることを意味します」。

画像クレジット:Yuichiro Chino / Getty Images

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米証取委の訴訟予告を受けCoinbaseが融資商品「Lend」立ち上げを中止

米証券取引委員会(SEC)に対し強硬手段に出ようとしたCoinbase(コインベース)の試みは、長くは続かなかった。暗号資産(仮想通貨)取引所を運営する同社は、暗号資産による融資商品の立ち上げ計画を巡り、規制当局であるSECの怒りを買った。SECは、CoinbaseがLendと呼ばれる暗号資産融資商品を立ち上げた場合にCoinbaseを提訴することを事前に通達する「ウェルズ通知」を同社に送付した。

SECがLendの件で私たちを訴えたいと言ってきました。理由はわかりませんが」と題した反抗的なブログ記事を発表してから2週間足らずで、同社は先週末、結局Lendを立ち上げないことを静かに発表した。

関連記事:米証券取引委はCoinbaseの暗号資産利回り商品を規制したいがCoinbaseは反発

同社は米国時間9月17日、Lendの立ち上げ関する投稿を更新する情報を静かに追加し、その一部を詳しく説明した。

当社は、暗号資産業界全体に対する規制を明確化する取り組みを続けるなか、以下に発表するとおり、USDC APYプログラム(米ドルコインによる融資プログラム)を開始しないという難しい決定を下しました。また、このプログラムのキャンセル待ちも中止し、次の展開に向けて取り組んでいきます。

Lendは、暗号資産取引所の世界では例外的とはいえないものだ。投資家にとっては、Geminiなどのプラットフォームで同様の仕組みがある。Geminiでは、ユーザーが保有する暗号資産を取引所に貸し出し、従来の普通預金よりもはるかに高い金利を得ることができる。Coinbaseは、安定したコインであるUSDC(米ドルコイン)をユーザーが貸し出し、年利4%(開始時のレート)が得られるというLendの立ち上げを計画していた。

SECは、同組織内で利用可能なリソースが限られていることに不満を持っており、これまでも限られた範囲で暗号化商品に対する訴訟を行ってきた。ユーザーがCoinbaseとそのパートナーに対し、自らのコインの保管権を実質的に放棄するという点に納得がいかなかったようだ。また、Coinbaseに対して、Lendには確かに証券としての性質があると指摘している。監督機関との緊密な連携をブランドの一部としているCoinbaseは、Lendが証券ではないという考えにこだわりながら、ゆっくりと事を進めようとしていた。

「SECは、Coinbase Lendが証券としての性質をもつと考えているといいますが、なぜ、どのようにしてそのような結論に達したのかは明らかにしていません。しかし、私たちは落胆することなく、ゆっくりと物事を進めることにしました。6月には、Lendプログラムを公開し、キャンセル待ちを開始しましたが、公の開始日は設定しませんでした。しかし、またしてもSECからの説明はありませんでした。それどころか、彼らは正式な調査を開始しました」と、最近のCoinbaseのブログに書かれていた。

大きな問いは、これが他の暗号資産取引所にとってどのような意味を持つのか、また、この行為は、チーフのGary Gensler(ゲイリー・ゲンスラー)氏が率いるSECが、暗号資産の世界、特にDeFiの仕組みに関して、より積極的な活動を開始するシグナルなのかどうかだ。

Coinbaseの株価は9月20日月曜日の日中取引で下落した。ビットコインやその他の暗号資産の価格も大幅に引き下げた。

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

米証券取引委はCoinbaseの暗号資産利回り商品を規制したいがCoinbaseは反発

Coinbase(コインベース)のCEOであるBrian Armstrong(ブライアン・アームストロング)氏は、同社とSEC(米証券取引委員会)との現在の関係に強い反応を示した。同氏によると、SECは、Coinbaseが「Coinbase Lend」と呼ぶ利回り商品の取り扱いを始めた場合、暗号資産取引所である同社を訴えると脅しているという。

Coinbaseはこの新商品で、「Compound」や「Aave」といった人気の分散型金融(DeFi)商品に対抗したいと考えている。同社は、米ドルにペッグされた安定したコインである米ドルコイン(USDC)を取り扱うレンディング(貸し出し)プールを運営したいと考えている。

同社がCoinbase Lendの立ち上げに成功すれば、ユーザーはCoinbase Lendに暗号資産を送り、レンディングプールに拠出することができる。最終的には、集まった暗号資産を貸し出す計画だ。Coinbaseのユーザーは、レンディングプールに拠出した見返りとして高い金利を得る。Coinbaseは、プレビューページで年率4%を約束している。

アームストロング氏によると、同社はリリース前にSECに連絡を取ったという。「彼らは、この貸し出しは証券だと答えた」とツイッターで述べた。

「彼らは、なぜそれが証券だと思うのかを教えてくれず、代わりに私たちに多くの記録を求め(我々はそれに応じました)、私たちの従業員に証言を要求し(それにも応じました)、そして、私たちがこのビジネスを始めるなら、私たちを訴えると言ってきました。その理由については説明せずにです」と付け加えた

また、Coinbaseの最高法務責任者であるPaul Grewal(ポール・グレワル)氏も、同社のブログで今回の出来事について書いている。SECがCoinbaseの貸し出しプログラムは証券だと主張しているにもかかわらず、同社は新機能の事前発表を進めると決めたようだ。

「SECは、Coinbase Lendが証券としての性質をもつと考えていると言いますが、なぜ、どのようにしてそのような結論に達したのかは明らかにしていません。しかし、私たちは落胆することなく、ゆっくりと物事を進めることにしました。6月には、Lendプログラムを公開し、キャンセル待ちを開始しましたが、公の開始日は設定しませんでした」とグレワル氏は書いている。

この記事を読んでいる起業家の方へのアドバイスはこうだ。SECから、それは始められないと言われたら「間もなく」という言葉でウェイティングリストを公開してはならない。

驚きではないが、Coinbaseによると、SECはその後、正式な調査開始を決定したようだ。また、ある従業員はSECの質問に答えるために1日を費やすことになったという。

「彼らは文書や書面での回答を求めてきました。私たちは喜んでそれを提供しました。また、このプログラムについて宣誓証言をしてくれる企業証人の提供も求められました。その結果、当社の従業員の1人が8月に丸1日かけて、Coinbase Lendについて完全かつ透明性のある証言を行いました」とグレワル氏は書いている。

その結果、Coinbaseは頭にきて、SECに対してPRキャンペーンを展開すること選んだ。アームストロング氏の主張は、他社がすでにレンディングプールを提供しているため、一部の企業がそのような商品を提供できて、Coinbaseが提供できない理由はないというものだ。

「他の多くの暗号資産会社は貸し出し機能の提供を続けていますが、どうしたわけかCoinbaseはそれが許されていません」と同氏はツイートした

これは、Coinbaseが暗号資産エコシステム全体を変更することに終わるかもしれないリスクをともなう戦略だ。Sar Haribhakti(サール・ハリブハキ)氏が指摘したように、DeFiに対する監視の目がますます厳しくなり、業界全体により厳しいルールが適用されることになるかもしれない。

「表面上は、SECの目的は投資家を保護し、公正なマーケットを作り出すことです。ですので、この件に関してSECは誰を守り、どこに害があるのでしょうか。人々はこれらのさまざまなプロダクトで利回りを稼ぐことにかなり満足しているようです」とアームストロング氏は述べた

但し書きを読むと、CoinbaseはLendプログラムで投資家を保護しない。Coinbase Lendページの下の方にはこうある。「Lendは高利回りUSD普通預金口座ではなく、Coinbaseは銀行ではありません。あなたの貸し出した暗号資産はFDICやSIPCの保険で保護されません」。

これは投資家にとって、あまり心強いものではない。ツイート合戦は問題を解決しないため、どこかの時点でCoinbaseとSECは暗号資産貸し出しプロダクトを協議するために向き合う必要がある。

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

分散型金融投資を多くの人にわかりやすく提供するプラットフォームZerionが好調

暗号資産取引所は、一部のメジャーな暗号資産を個人投資家にとって親しみやすいものにしてくれたが、分散型金融(DeFi)がたくさん抱えている込み入った複雑性はその提供実体があまりにも多様なせいもあり、ベテランの投資家すらよくわかっていないことがある。

分散型金融の「インターフェイス」で暗号資産の投資家に提供するZerionが、最近の成長によりVCたちの関心を集めている。暗号資産の新たなゴールドラッシュの中、同社は2021年に行われたこれまでの取引量で約6億ドル(約660億円)を処理し、今や月間アクティブユーザーは20万を超えているとCEOのEvgeny Yurtaev(エフゲニー・ユルタエフ)氏はいう。

同社はまた、Mosaic VenturesがリードするシリーズAのラウンドで820万ドル(約9億円)を調達した。これに参加した投資家は、Placeholder、DCG、Lightspeed、そしてBlockchain.com Venturesなどとなる。Zerionによると、MosaicのToby Coppel(トビー・コッペル)氏とPlaceholderのBrad Burnham(ブラッド・バーナム)氏が同社の取締役会に加わった。

Zerionは同社のアプリを通じて顧客に、Ethereum(イーサリアム)のブロックチェーン上の5万件あまりのデジタル資産と60のプロトコルへのアクセスを提供し、それによってDeFiのUIを簡素化している。ユーザーはそのアプリから、CoinbaseやGeminiなどの取引所と同じ感覚でトークンにアクセスして投資するが、そこで使うのはMetaMaskのような自分のパーソナルなウォレットだ。そのため、ユーザーの資金と秘密鍵をZerionがコントロールしたりアクセスすることはない。長年、暗号資産の普及に努め、その作者でもあるユルタエフ氏が、最もこだわるのはその点だ。

画像クレジット:Zerion

ユルタエフ氏は「DeFiの世界は、トークンやプロトコルの種類が非常にたくさん存在します。理論的には、それらのナビゲートは容易なはずですが、現実はその全体が混乱しています。もっと、わかりやすいものにしていきたいと考えています」という。

イーサリアムとビットコインの価格の大きな成長により、DeFiの扱い額は2021年に急騰し、年初の200億ドル(約2兆1980億円)弱から5月には900億ドル(約9兆8900億円)近くになった。しかしDeFiの市場が全体としてはビットコイン並に不安定であることが立証され、マーケットの大きさは過去2カ月で35%ほど縮み、わずか570億ドル(約6兆2640億円)弱になった。

同社のiOSとAndroidアプリは、暗号資産の投資家たちにとって、マーケットと彼らが支持しているトークンの現状を追跡するための、特に人気の方法になっている。平均的ユーザーは、1日に9回以上アプリを開くと同社は述べている。

2021年の暗号資産の復調により、財貨そのものだけでなく、取引の便宜を提供するプラットフォームにも、投資の対象としての関心が集まった。2021年6月はVCのAndreessen Horowitz(a16z)が、分散型金融も含め、暗号資産分野のプロダクトを開発するスタートアップに投資するための、22億ドル(約2420億円)ほどのファンドを構築している。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Zerion暗号資産分散型金融(DeFi)

画像クレジット:Zerion

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hiroshi Iwatani)

暗号通貨のCircleが企業のDeFi貸付市場へのアクセスを支援する新しいAPIを導入

暗号資産(仮想通貨)企業のCircle(サークル)は、Circleアカウントを使用して暗号資産、特にステーブルコインのUSDCを管理する企業向けに、新しいAPIを導入予定であることを発表した。この新しいAPIを使って、企業はCompound(コンパウンド)のレンディングプールをはじめとする分散型金融(DeFi)プロトコルにアクセスできるようになる。

Circleは、Coinbase(コインベース)とともにCENTRE(センター)コンソーシアムの創設メンバーの1社としてよく知られている。両社は他の暗号パートナーとともに、人気の高いステーブルコインであるUSDC(米ドルステーブルコイン)を発行している。

ステーブルコインはその名の通り、価格が固定されている暗号資産だ。1USDCは常に1米ドルの価値がある。発行者は流通しているUSDCと同数の米ドルをその銀行口座に保持している必要があり、監査法人から定期的にチェックを受けている。

USDCの背景には、より簡単にお金を操作できるようにしようという考え方がある。USDCの支持者によると、ある人から別の人へ送金することは、あるウォレットから別のウォレットへビットコインを送るのと同じくらい簡単であるべきだという。Circleは、Circleアカウントによる独自のソリューションを持っており、アカウント所有者は標準的なAPIコールを使用して、プログラム的にUSDCを送信、受信、保有することができる。

特に、Circleは不換紙幣と暗号資産の間のギャップを埋めるためのスロープを構築してきた。同社のAPIサービス「Payments(ペイメンツ)」を利用すれば、カード決済、銀行送金、USDC取引を受け入れることができ、すべての取引はUSDCとして顧客のCircleアカウントに届く。同様に「Payouts(ペイアウツ)」では、Circleアカウントから銀行送金を行うことができる。

そして今、Circleは顧客がCircleアカウントに現在保有しているUSDCを使って、より多くの機能にアクセスできるようにしたいと考えている。近日公開予定のDeFi APIでは、USDCトークンを別のウォレットに手動で送信することなく、DeFiプロトコルにアクセスできるようになる。同社はまず、Compoundプロトコルから始める予定だ。

Compoundは、暗号ベースのレンディングサービスを提供している。あるユーザーは暗号資産を提供し、流動性プールに貢献する。別のユーザーは暗号資産を借りるわけだが、それにはまず、別の種類の暗号資産を担保として提供する必要がある。

Compoundでお金を貸し出すユーザーには、金利が支払われる。例えば、Compoundのプロトコルを使ってUSDCを提供すると、1.74%の年率利回り(APY)が得られる。USDCはCompoundプロトコルの一般的な担保であり、Circleがビジネスアカウントでこのプロトコルを採用することは理に適っている。Circleの財務インフラに興味深い機能が加わることになる。

2. 金融市場インフラの未来は、パブリックチェーンと新しい金融プロトコルにかかっています。開発者や企業がこれを安全かつ容易に利用できるようにすることは、非常に大きな好機となります。

3. 私たちは、企業がフィアットフローやUSDCアカウントフロー、利回りのカストディとガバナンストークンの直接統合を自動化するための新しいAPIサービスを作りました。最初のプロトコルはCompoundプロトコルです。さらに多くの他のプロトコルもそれに続く予定です。

ジェレミー・アレール

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Circle暗号資産分散型金融

画像クレジット:Chaitanya Tvs / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

政府機関など対象に暗号資産犯罪やマネロンの検知・防止ツールを提供するチェイナリシスが約110億円調達

政府機関など対象に暗号資産犯罪やマネロンの検知・防止ツールを提供するチェイナリシスが約110億円調達、評価額約4648億円に

政府機関および民間企業を対象に、暗号資産犯罪やマネーロンダリングの検知・防止のための調査・コンプライアンスソフトウェアを提供するブロックチェーン分析企業Chainalysis(チェイナリシス)は6月28日、シリーズEラウンドにおいて、1億ドル(約110億6800万円)の資金調達を実施したと発表した。

引受先は、リードインベスターのCoatue、既存出資企業のBenchmark、Accel、Addition、Dragoneer、Durable Capital Partners、9Yards Capital、新規出資のAltimeter、Blackstone、GIC、Pictet、Sequoia Heritage、SVB Capital。また同社は、累計調達額が3億6500万ドル(約403億8500万円)、評価額が42億ドル(約4648億6000万円)に到達したと明らかにした。

調達した資金は、以下ビジョンの実現のため使用する。

  • データ:より多くの暗号資産を対象とし、DeFi(分散型金融)のような新たなユースケースに焦点を当てることでデータの優位性を深化させる。また潜在的な脅威の兆候をより迅速に特定し、対応までの時間を短縮するために、グローバル・インテリジェンス機能を立ち上げる
  • ソフトウェア:同社ソフトウェア・ソリューションに向けてコラボレーション・ツールを開発・実装し、公的機関と民間企業のチームが同じデータセットを使って、一貫した共通理解のもとで共同作業ができるようにする
  • アクセス:政府機関、金融機関、暗号資産交換業者(取引所)などが、Chainalysisのデータと企業内の情報を組み合わせ、より良い意思決定ができるように、APIを通じ同社データに直接アクセスできるようにする

Chainalysisは、世界60カ国以上の政府機関、取引所、金融機関、保険会社、サイバーセキュリティ企業にデータ、ソフトウェア、サービス、リサーチを提供。同社データは、調査、コンプライアンス、マーケット・インテリジェンス・ソフトウェアの強化ほか、刑事事件の解決、暗号資産取引における消費者保護に利用されているという。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:暗号資産 / 仮想通貨(用語)コンプライアンス(用語)Chainalysis(企業)DeFi / 分散型金融(用語)ブロックチェーン(用語)マネーロンダリング防止 / 資金洗浄防止 / AMLランサムウェア(用語)資金調達(用語)