ミャンマー軍事政権が通信事業者にフェイスブックの一時的ブロックを命令

ミャンマーの新たな軍事政権は、現地通信事業者に対しFacebook(フェイスブック)を現地時間2月7日深夜まで一時的にブロックするよう命じた。軍がこの東南アジア国家を軍事クーデターで掌握した後の数日間だ。

Myanmar subredditの一部ユーザーは、Facebookが少し前から自分たちの携帯電話からアクセス不能になっていると報告し、サービスプロバイダーがすでに命令に従い始めていることを示唆した。命令は2月3日深夜までに従うことが要求されていた(本校執筆時点のミャンマー時間は4日午前4時30分頃)。

ミャンマー新政府は、Facebookが国の不安定さに寄与していると主張し、大衆と国の利益を守るための数多くの行為を正当化する現地通信法を停止命令で引用した。

世界のインターネット利用を追跡しているNetBlocksは、ミャンマーで市場を支配している国営通信事業者であるMPTが、FacebookのほかMessenger(メッセンジャー)、Instagram(インスタグラム)、WhatsApp(ワッツアップ)を同ネットワーク上でブロックしたことを報じた。国内通信事業4社の1つであるTelenorは、「人権侵害に関わる深刻な懸念」を表明しながらもミャンマー軍事政権に従ったと語った。

Facebook広報担当者は、「一部の人たちのFacebookへのアクセスが妨げられていることを承知しています」と語った。広報担当者はさらに、「当社は当局に対し、ネットワークを再開してミャンマーの人々が家族や友達と連絡を取り重要な情報をアクセスできるようにするよう強く要請します」と付け加えた。

事態はミャンマーの数日続いた混乱の後に起きた。今週、軍部は国を制圧し文民指導者のAung San Suu Kyi(アウン・サン・スー・チー)氏と同氏の与党国民民主連盟の民主的に選ばれた幹部らを拘束した後、1年間の非常事態宣言を発出した。クーデター後、ミャンマーのさまざまな地域の市民から、インターネットや携帯通信が数時間停止したという報告があった。

ミャンマー国民にとってインターネットと同義語となっているFacebookは、国内の現実世界の暴力を誘発する誤情報の拡散防止に十分な対策をとっていないことを長年指摘されてきた。

2018年の人権報告書は、Facebookは5400万人以上が住むミャンマーで「オフライン暴力を助長と誘発に利用されている」と書いている。同年、Facebook幹部らは対策が十分でなかったことを認めた。

BuzzFeed Newsは今週、複数のFacebook幹部がミャンマーで予防的コンテンツ管理を実施することを約束し、同社が当地を「一時的ハイリスク地域」と称したことを報じている

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:ミャンマーFacebook

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Oculus QuestでFacebook Messengerが利用可能に、承認前のコンテンツを提供するApp Labの導入も

Facebook(フェイスブック)は、2020年第4四半期の決算報告で、VR事業の成功について話すことに通常よりも多くの時間を費やした。開発者の成功や、同社が発売した最新型VRヘッドセット「Oculus Quest 2(オキュラスクエスト2)」の好調な売れ行きにも時間を割いた。

VRプラットフォームに残された歪みの1つは、サードパーティによるゲーム以外のアプリへのサポートが全体的に不足していることだ。Oculus Quest 2はハードウェアとして強力な製品だが、VR向けに利用可能なモバイルアプリは数が少ない。Hulu(フールー)やNetflix(ネットフリックス)からストリーミング視聴アプリが用意されているものの、市場にあるヘッドセットの数が比較的少ないため、コンテンツの更新も乏しい。

自身が主要なアプリの開発者であるFacebookは、 Facebookブランドであることが明らかなハードウェアには興味を持たないかもしれない消費者をないがしろにせず、Oculusのヘッドセットに親会社のユーティリティをもたらすという行為において、かなり微妙なバランスを保ってきたように見える。

しかし2020年秋、OculusユーザーにFacebookのログインを義務化した後、そのバランスの大部分は崩れてしまったように思われる。米国時間2月2日、同社はQuestとQuest 2のユーザーがアプリ内のMessenger(メッセンジャー)チャットにアクセスできるようになることを発表した。これによってQuestユーザーは、友人に定型文のメッセージをすばやく送信したり、VR内のキーボードや、ヘッドセットの音声テキスト変換機能を使用して作成したメッセージを送ることができるようになる。

VRプラットフォームでますます圧制的になるFacebookのソフトウェアの存在感に不安を感じる人は、これもQuest 2を敬遠するもう1つの理由になるかもしれないが、VRゲームのプレイをもっとソーシャルな体験にしたいと思っている人や、ヘッドセットを装着することで携帯電話に気付かず完全な孤立に陥ってしまうのを避けたいと思っている人にとって、これは歓迎されるだろう。

Messengerのアップデートと並んで、FacebookはOculus Questの新しいアップデートで、「App Lab」と呼ばれるテストフライトのような機能を展開し、QuestユーザーがOculus Storeで承認されていないコンテンツをダウンロードできるようにすることを明らかにした。この機能は、Facebookが駆け出しのゲームデザイナーを遮断し、Questにコンテンツを提供できないようにしているという不満を解消するためのものだ。ユーザーはApp Labでタイトルを名前で検索したり、リンクをクリックしてタイトルにたどり着くことができる。この新機能は、開発者が承認を得ずに実験的なコンテンツを提供するためのハブを構築していたスタートアップ「SideQuest(サイドクエスト)」に直接対抗するものだ。

Facebookによると、新しいアップデートはユーザーに「徐々に」展開されていくとのことで、すべてのユーザーがすぐにアップデートできるわけではないようだ。

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タグ:FacebookOculus QuestFacebook Messenger決算発表

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Google検索のオーストラリア撤退警告に対し、マイクロソフトがBingで穴埋めと政府に申し出

Google検索によるオーストラリア撤退警告に対し、マイクロソフトがBingで穴埋めと政府に申し出

現在(2月1日時点)Googleはオーストラリア議会に提出された法案に反発し、現地から検索エンジンサービスを撤退すると警告しています。この事態に対して、マイクロソフトが自社の検索エンジンBingを提供して穴埋めするとオーストラリア政府に申し出た、と報じられています。

この問題の発端は、オーストラリア政府がGoogleやFacebookなど大手テクノロジー各社に対し、ニュースコンテンツを提供する企業にロイヤリティーを支払うよう義務づける法案を提出したことです。要はGoogleの検索結果やFacebookのニュースフィードに国内の出版社や放送局のコンテンツが含まれている場合は、広告収入を分かち合えというわけです。

これに対してGoogleのオーストラリア・ニュージーランド担当マネジングディレクターのメル・シルバ氏は議会公聴会で「実行不可能だ」と語り、法案が成立した場合は「オーストラリアでGoogle検索の提供を止めるしかない」と述べています。つまりGoogleが検索サービス撤退の可能性によりオーストラリア政府を脅している、との見方もあります。

しかし現地メディアのオーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー(主にビジネスと金融を扱う全国紙/Ausdroid経由)によれば、MSのサティア・ナデラCEOはオーストラリアのスコット・モリソン首相と直接会談したとのこと。そこで自社のBingによりGoogle検索が撤退した空白を埋められると助言したとの観測が伝えられています。

さらにReutersはモリソン首相がナデラCEOとの会談を認めた上で「Googleが検索エンジンを撤退した場合、Bingでギャップを埋めることができると確信している」との発言を報じており、事実である裏付けが取れています。

その可能性がどれほどかはさておき、モリソン首相はGoogleが撤退をちらつかせても譲歩するつもりはない模様です。「ハッキリさせておきましょう。オーストラリアでは、オーストラリアで可能なことのルールを決めています。それは議会で行われ、政府によって行われます。それがここオーストラリアでの仕事の作法です。オーストラリアで仕事をしたい人は大歓迎ですが、我々は脅しには応じません」と決意の程を語っています。

が、Googleも孤立しているわけではありません。1月15日には米国通商代表部が公式文書で「我々はオーストラリアに対し、指定されたプラットフォームに課せられる潜在的な義務の程度がAUSFTA(米・豪自由貿易協定)と一致しているかどうか検討するよう強く求める」と表明しており、米国政府の後押しを受けている状態です。

標準検索サービスがGoogleがBingに置き換えられた未来には興味深いものがありますが、依然として事態は流動的であり、もしかするとGoogleとオーストラリア政府が電撃的に和解することもありうるのかもしれません。

ともあれ、ライバル企業が大きな市場を手放す可能性があると見るや、すかさず動き出すIT巨人のフットワークの軽さは、日本の企業にとっても学べるところがありそうです。

Engadget日本版より転載)

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Facebookの監督委員会がトランプ氏のアカウント停止に対するパブリックコメントを募集

Facebook(フェイスブック)の「最高裁」は、最も古く、おそらく最も影響の大きい事例に対するコメントの受付を開始した。Facebook監督委員会は米国時間1月29日、FacebookによるDonald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領の利用停止に関するパブリックコメントの募集を開始した

Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はトランプ氏の利用停止を1月7日に発表している。当時の米国大統領が支持者を国の議会議事堂への暴動に参加するよう煽ったのを受けたもので、その事件は何人もの死者を出し平和的政権移行を妨げた。

監督委員会はフィードバックを求める投稿の中で、トランプ氏の利用停止に至った投稿2件を説明した。1つ目は議会議事堂暴動の日に大統領がシェアした動画で、その中でトランプ氏は暴徒に同情し、「選挙は我々から盗まれた」とする彼らの主張を正当化した。2つ目の投稿でトランプ氏は前言を繰り返し、「聖なる大勝利」が「ぞんざいな悪意に満ちたやり方で奪われた」と不当に嘆いて訴えた。

委員会によると、意見公募プロセスの目的は、自らの決定を伝える可能性のある調査結果を公表したい第三者による「多様な視点」を取り入れることであるが、結局は、主観的であまり役に立ちそうにない政治的見解が押し寄せてくる可能性が高い。ともあれ、意見公募は10日間実施され、コメントはそれぞれの事例の付録に加えられる。委員会はトランプ氏のFacebookにおける運命を1月21日から90日以内に決定することになっているが、それより早く結果が出ることもありうる。

監督委員会は具体的に以下の状況に関する意見を公募している。

Facebookによるトランプ大統領の関連アカウントを無期限に停止した決定は、表現の自由と人権を尊重する同社の義務に反していないか、代替措置を講じるべきではなかったか、今後これらのアカウントに対してどのような措置を講じるべきか。

Facebookは、同社のコミュニティ基準を適用する際、Facebook外の状況をどのように評価すべきか、特に当該コンテンツが暴力を誘発するかどうかをFacebookが決定しようとしているとき。

Facebookは政治家候補、公職保持者および元公職保持者の表現をどのように扱うべきか。彼らのさまざまな権力的地位、政治的反発の重要性、および大衆の知る権利を踏まえて。

Facebookのアカウントレベルの強制(アカウントまたはアカウント機能の無効化など)およびその強制措置に対する反論へのアクセスのしやすさ。

Facebookの政治指導者に対するコンテンツポリシーの世界的執行の一貫性に関する意見。コンテンツレベル(コンテンツの削除など)およびアカウントレベル(アカウント機能の無効化など)のいずれにについても。Facebookの「報道価値」例外およびFacebookの人権義務の妥当性に関する意見を含む。

監督委員会の投稿はトランプ氏の利用停止に関して極めて詳細であり、トランプ氏が同社のコミュニティ基準のどの部分に違反したのかをFacebookが正確に述べていないことについて具体性の欠如を批判している。本件と最近の5件を見ると、委員会は自らの役割を技術的なものと考えているようであり、それぞれの事例について、Facebookの既存規則に照らし合わせて将来のポリシーのための提案を行っており、自身の広範囲な提案からさかのぼることはしていない。

Facebookの監督委員会は、第一群の決定を先週発表し、不快を招く恐れがあるとFacebook自身が判断したコンテンツ削除の5件中4件を無効とした。これらの事例はいずれもトランプ氏の利用停止とは無関係だが、監督委員会が会社の考えに反対することを恐れていないことを証明した。少なくとも何が削除されるかについては。

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画像クレジット:MANDEL NGAN / JOSH EDELSON/AFP / Getty Images(画像は加工済み)

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

英国の競争監視当局はフェイスブックのGIPHY買収を未だ検討中、2021年3月末に進展か

Facebook(フェイスブック)によるGIPHY(ジフィー)の買収の精査を続けている英国の競争規制当局は、英国時間1月28日、この買収が競争の実質的な減殺(substantial lessening of competition)の「現実的可能性」(realistic prospect)をもたらすかどうかについて、3月25日までに決定を下すと表明した

公示には、「競争・市場庁(The Competition and Markets Authority、CMA)はここに、企業法(Enterprise Act)の第34ZA条3項b号に定義されている「初期期間」に従い、Facebook, Inc.によるGIPHY, Inc.の買収完了(合併)に関して、第二次審査のための照会を行うか否か決定する審査を開始するために十分な情報を有していることを通知する」と書かれている。

「したがって、本合併に関して(企業)法第34ZA条3項に定義されている初期期間は、本通知の日付の後の最初の営業日、すなわち2021年1月29日に開始される。初期期間が終了し、CMA が本合併を第二次審査に付すか否かの決定を発表する期限は2021年3月25日となる」ともある。

競争・市場庁は2020年6月に、FacebookがGIF共有プラットフォームであるGIPHYを4億ドル(約419億円)で買収したことに対する調査を開始した。

この調査により、すでに買収を完了しているにもかかわらず、製品やチームを統合したり、ともに取引や契約に取り組むなど、GIPHYをFacebookのより広いビジネス帝国に組み込んでいく活動は凍結状態となった。

Facebookは2020年5月にGIPHYを買収する計画を公表したが、それとともに、同社の写真・動画共有アプリであるInstagramにGIPHYプラットフォームを統合する計画も発表した。

しかし、これらの計画は、英国での競争監視当局による精査により今のところ保留になっている(2020年6月、FacebookとGIPHYは統合活動を一時停止するというCMAの命令に従っていることを確認した)。

これは、買収によって成長しようとするテック大手が直面する規制上の摩擦が増していることを示している。たとえば2020年、最終的には12月に取引を承認したものの、欧州の規制当局もGoogle(グーグル)によるFitbitの買収に数カ月を費やした。それも、Fitbitのデータがどのように使用されるか、そして競合相手のAPIアクセスに関連する数多くの誓約をGoogleから得た後にのみ可能となった。

FacebookとGIPHYのケースでは、英国の監視当局は、より深く、より広範な第二次審査を開始するかどうかについて2021年3月に決定する予定だ(その後、当局は最終決定を下す必要がある)。

その時点でCMAは、FacebookがGIPHYを買収することによる競争の実質的な減殺の「現実的可能性」はないと決定することもでき、そこで介入を終え、両社が統合を続ける障壁をなくすかもしれない。

規制当局はまた、他の理由で第二次審査を開始しないことを選択する裁量権も持っている。該当する市場はさらに掘り下げた調査に値するほどの重要性がないと判断するか、または合併による顧客の利益は、競争上のマイナス影響を上回ると考えられる場合などだ。

このケースでは買収されたビジネスがリアクションGIFをスワップするためのプラットフォームであることを考えると、確かにCMAは深入りする価値がないと判断する可能性があるように思える。いずれにせよ、数カ月後にもっと知ることになるだろう。

何が起ころうとも、ソーシャルウェブ上におけるFacebookの支配力に関連した規制上の懸念は、GIPHY統合の計画をすでに半年以上遅らせている。そしてこの調査はさらに長引く可能性もあり、同社のすばやく動く(そしてものを破壊する)能力に影響を与えることになる。

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タグ:FacebookGIPHY買収イギリス

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Aya Nakazato)

アップルのApp Tracking Transparency機能はデフォルトで有効に、早春にiOSで実装

Apple(アップル)は、iOS 14で散々議論されているプライバシーポリシーの変更について、さらにいくつかの詳細を明らかにした。同社は2020年6月に行われたWWDCの発表で、複数のプロパティを横断する広告ターゲティングのためにIDFAを追跡し共有するためには、開発者はユーザーに許可を求めなければならない、としている。一方、2020年秋にiOS 14が登場した際、Appleは2021年まで追跡制限を延期し、開発者が必要な変更を加える時間を増やしたいと述べている。

そして、もう少し具体的なタイムラインが明かされた。計画では、これらの変更を今春の早い時期に公開し、機能を実装したバージョンは、次のiOS 14ベータリリースで公開する予定になっている。

Appleは新システムを次のように説明している。「ユーザーは『設定』でどのアプリが追跡許可をリクエストし、そのための変更をしたかを確認することができる。要求は今春の初めに幅広く展開され、今後のiOS 14とiPadOS 14とtvOS 14で実装される。この変更は、世界中のプライバシー擁護派からの支持を得ている」。

特に重要で基本的な要求をリストアップすると、次のようになる。

  • App Tracking Transparency機能は、IDFAの共有をユーザーがそれぞれオプトアウトしなければ無効にならない従来の方法から、デフォルトで無効、有効にするためにはオプトインしなければならない方法に変更する。ネットワークやデータブローカーなどのサードパーティやユーザーのIDFAを共有したいアプリは、事前にその許可をユーザーに求めなければならない。
  • この機能が最も目立つ証拠は、新しいアプリの起動時に通知があり、トラッカーが何に使われるのかを説明し、それにオプトインするように求めてくることだ。
  • IDFA共有はいつでもアプリごとに切り替えることができるようになった(以前は単一の切り替えだった)。「アプリに追跡のリクエストを許す」を無効にすると、どのアプリからもトラッキングの使用を求められなくなる。
  • Appleは、データ共有契約を含むすべてのサードパーティデータソースに対してこれを強制するが、プラットフォームはサードパーティデータを利用して広告を行うことができる。
  • Appleは開発者が、アプリで使用するAPIやSDKがユーザーデータをブローカーやその他のネットワークに提供していることを理解し、もしそうであるならば通知を有効にすることを期待している。
  • Appleは自社アプリに関しては規則を遵守し、もしそのアプリが追跡を行うのであればダイアログを表示して「アプリに追跡のリクエストを許す」の設定に従う。現時点では、多くのアプリが追跡を行っていない。
  • ここで重要な注意点は、パーソナライズされた広告の切り替えは、具体的にはApple自身が広告を提供するために独自のファーストパーティのデータを使用することを許可するか、または許可しない別の設定であるということだ。つまりAppleのデータのみに影響するオプトアウトの追加レイヤーだ。

Appleはまた、Adtribution APIの機能を強化しており、より良いクリック計測、動画コンバージョンの計測、アプリからウェブへのコンバージョンの計測を可能にしている。

このニュースはData Privacy Dayに発表され、CEOのTim Cook(ティム・クック)氏が米国時間1月28日の朝、ベルギーのブリュッセルで開かれたComputers, Privacy and Data Protectionカンファレンスでこの問題について講演を行った。同社はまた、平均的なアプリには6つのサードパーティのトラッカーがあることを示す新しい報告も発表している。

今回の変更はプライバシーの観点からは歓迎すべきものだと思われるが、広告業界からは批判もある。たとえばFacebookは、小企業への影響を強調したPRキャンペーンを始め、またこの変更を2021年に直面する「広告への最も大きな逆風の1つ」と指摘している。Appleのスタンスは、広告主中心のアプローチであり、ユーザー中心のデータプライバシーのアプローチをするというものだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Apple個人情報広告Facebook

画像クレジット:Apple(スクリーンショット)

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(文:Anthony Ha、Matthew Panzarino、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Facebookの監督委員会は4件の削除を無効と決定、コミュニティ基準に対し9項目を勧告

Facebook(フェイスブック)が自主的に設置した監督委員会(FOB)は、投稿の削除などで争われていたFacebookによるモデレーションの審査を始めてからほぼ2カ月後に最初のケースについての決定を公表した。

Facebookが投稿の削除などのモデレーションを行った場合、抗議を呼ぶことが多い。FOB(Facebook監督委員会)はノーベル平和賞受賞者を含む世界の有識者20人で構成され、コンテンツの削除が引き起こす抗議の一部を処理するための評価期間だ。成立までに長い時間がかかったが、モデレーションにともなう悪影響からFacebook自身を守るための危機管理努力の一部でもある。FOBは2020年10月に不服申立ての受付を開始した 。そしてすぐに「結果を出すのが遅い」という批判に直面することとなった。

FOBは米国時間1月28日に最初の決定を発表した。これによると、Facebookが以前に行った投稿削除決定のうち1つだけを維持し、他の4つの決定を無効とした。

FOBによればこの決定は問題となった国・地域から少なくとも1名のメンバーが含まれる男女5名の委員会によって行われた。決定は監督委員会の全員に回付されパネルの所見が検討され、その後、全委員の過半数の承認を得て正式決定となった。

Facebookのモデレーションが維持されたのは「ヘイトスピーチに関するコミュニティ基準」に該当すると認められて「тазики(タジク)」というロシア語を使用した投稿が削除されたケース(2020-003-FB-UA) だ。投稿者はアルメニアと比べてアゼルバイジャンには歴史がないと主張するために「タジク」と呼んだという。

他の4つのケースは「ヘイトスピーチ」「アダルトヌード」「危険な個人および組織」「暴力と扇動」に関するポリシーに関連するものだったが、委員会はFaceookの投稿削除決定4件を覆した(それぞれのケースの概要は、同社のウェブサイトで読むことができる)

これらの決定はFacebookの特定のポリシーに関連したものだが、FOBは全体的ポリシーに関して9項目の勧告を出している。

勧告は以下の通りだ(強調はTechCrunch)。

医療上の誤った情報に関する新しいコミュニティ基準を作成し、既存の基準も統合して明確化する。これには「誤情報(misinformation)」などの重要用語の定義が含まれるべきだ。

「健康上の誤情報」のモデレーションにあたっては、投稿内容がFacebookが設定する「差し迫った身体的危険」のレベルに達していない場合、強制が少ない手段を採用する

健康に関する誤報の拡散防止について透明性を高める。新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックに関してコミュニティ基準がどのように適用されてきたか透明性報告書を公表することを含めて透明性を高める必要がある。この勧告は、監督委員会に寄せられたパブリックコメントに基づいている。

ユーザーに対してFacebookのコミュニティ基準が適用された場合、その理由ならびに適用されたのがどの基準であるかが常に当該ユーザーに対し通知されるようにする(FOBは、審査したケース2件に関連して勧告を出しおり、「コミュニティ基準の適用に関して透明性を欠いたことにより『Facebookはユーザーの見解に反対であるために投稿を削除した』という誤った非難が生じた」と指摘している)。

「危険な個人および組織」のコミュニティ基準の重要用語がどのような場合に適用されるのか例を挙げて説明する必要がある。「賞賛する」「支援する」「代表する」などの用語の意味を明確化すべきだ。またコミュニティ基準では、「危険な個人や組織」に言及した場合、ユーザーが意図を明確にするための方法についてさらに詳しいアドバイスを提供すべきだ。

「危険な個人および組織」のコミュニティ基準では「危険」と指定された組織および個人のリストを公開すべきだ。最低限でも実例を挙げたリストの提供が必要だ

コンテンツのモデレートがアルゴリズムによって自動化されている場合、その事実をユーザーに知らせ、またコンピューターによる決定に不満があるユーザーがそれを人間に訴えることができるようにする。また画像の自動検出フィルターも改善される必要がある。たとえば乳がんの初期症状に対する啓発目的の投稿が誤って「アダルトヌーディティ」フラグを立てられないようにすべきだ。Facebookはまたアルゴリズムによる自動モデレーションの実行に関する透明性報告を改善すべきだ。

Instagramのコミュニティガイドラインを改正する必要がある。乳がんへの意識を高める目的であれば女性の乳首を表示することができることを明記する。またInstagramのコミュニティガイドラインとFacebookのコミュニティ基準との間に矛盾がある場合はFacebookの基準が優先されることを明確にする。

Facebookの削除決定を覆したことに関連してFOBは「7日以内にFacebookがコンテンツの削除された部分を復元することを期待している」とした。

さらに、FOBは「Facebookは当委員会が審査したケースと同一文脈のコンテンツの当否も検討することになる」と述べている。またFacebookに対して「勧告の各項目に対し30日以内に正式に回答しなければならない」と期限を示した。

Facebookが勧告されたポリシー再調整に対してどういう態度をとるか、特に透明性を高めるための諸勧告(AIが自動的にコンテンツを削除した場合にユーザーに通知するという勧告など)関する部分に対する反応は興味深い。Facebookが自主規制機関から勧告に完全に従うか否かが注目される。

Facebookは監督委員会の憲章を決定しメンバーを選定したが、Facebookから「独立している」という点を強調してきた。もちろんFOBの運営経費はFacebookから出ているが、特にこのために設立された財団を通すかたちになっている。

また委員会は「審査決定はFacebookを拘束する」としているが、コミュニティ基準の改善はあくまで勧告であってFacebookを拘束するものではない。

また今回のFOBの審査はFacebookによる投稿削除に絞られている。Facebookがプラットフォーム上で表示する内容選択の当否について委員会は取り上げていない。

影響する要素が多すぎることもあり、FacebookがFacebook監督委員会にどれだけの影響力をおよぼせるのか数値化することは不可能だろう。Facebookが上で紹介した勧告をすべて受け入れるかどうか不明だが、最もありそうなのは「極めて複雑な領域へのFOBの思慮深い 提言を歓迎し将来の改善に当たって十分に考慮していく」といった広報コメントを出すことだ。なんといっても監督委員会を作り、資金を出しているのは他ならぬFacebook自身だ。

つまり、FOBは最高裁というわけではない。

今後数週間でFOBは非常に大きな注目を集めることになるだろう。つまり2021年1月初めにFacebookはDonald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領が「ワシントンで暴動を扇動した」と認定してFacebookアカウントを無期限に停止した。FOBはこの件を審査することになる。

監督委員会はこのケースについてのパブリックコメントを「近日中に」受付開始する予定だと述べている。委員会は声明にこう書いている。

米国をはじめ世界中で起きた最近の出来事は、インターネットサービス企業によるモデレーションが人権や表現の自由に与える影響が非常に大きいことを浮き彫りにした。投稿内容に対するモデレーションにおける現在の手法とその諸問題が明らかになった。このためFacebookのような影響力ある企業による決定に対する独立した監督の必要性に注目が高まっている。

とはいえ「独立委員会」は、組織を創設したFacebookから完全に独立しているというわけにはいかない。

【更新】FOBの決定に対する純粋に独立した回答として、Facebookによって選ばれていないメンバーで構成される非公式の「Real Facebook Oversight Board」は、判決は「深い矛盾」で両極端に分かれており、「人権の厄介な前例」を設定していると、厳しい評価を下した。

「Oversight Boardの裁定は、Facebookが隠していた最悪の秘密、つまりモデレーション戦略に明確な基準も一貫した基準もないことを裏付けている」とReal Facebook Oversight Boardは付け加えている。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebookモデレーション

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:滑川海彦@Facebook

Facebookは2021年のターゲティング広告と収入に大きな障害を予測する

Facebook(フェイスブック)の第4四半期には確かなユーザー数と売上が含まれていたが、同社は2021年については慎重な姿勢を示していた。

決算報告の「CFOの将来展望」でFacebookは、2021年は「広告に関して逆風が強くなる」という予想を述べている。

「これには、iOS 14をはじめとするプラットフォーム変更の影響や、規制の状況の変化も含まれる。iOS 14の変更時期はまだ不明だが、影響は第1四半期の後半には見られるだろう」と同社は記している。

Facebookはすでに、今後のAppleのプライバシー政策に対してキャンペーンを行っている。広告のターゲティングにIDFAを利用するためには、ユーザーの許可を求めなければならない、というものだ。ただしPRは小企業への影響に焦点を当ており、Facebookのことはではない。

Facebookはまた、同社がパンデミックの間に利益を得た2つの広範な経済的トレンド、つまり「買い物のオンラインコマースへのシフトが継続していること」と「消費者の需要がサービスから離れて製品に向かっていること」を強調している。しかし、ここでも警戒を緩めず、「これら2項の1つまたは両方の緩和や逆転が弊社の広告収入の伸びに対して逆風になることもありえる」と述べている。

Facebookの第4四半期の決算では、売上は281億ドル(約2兆9300億円)で、その内の272億ドル(約2兆8400億円)は広告収入によるものだ。EPSは3.88ドルである。ウォール街のEPSの予測は3.22ドル、売上は264億ドル(約2兆7500億円)だった。

なお、Facebookが報告している同サイト第4四半期の1日の平均アクティブユーザー数は18億4000万、月間アクティブユーザーは28億だ。それぞれ前年同期比では11%増と12%増になる。

CEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は声明で次のように述べている。「この困難な時期に多くの人たちと企業が、私たちのサービスを使い続けていただいた結果、好調な年度末を迎えることができた。2021年のプロダクトロードマップに関しても強い期待を持っており、新しくて有意義な方法で経済の好機を作り出し、コミュニティを構築し、人びとの生活を楽しくしていきたい」。

東部時間午後4時45分現在、Facebook株は時間外で0.7%上昇した。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebook決算発表

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Facebook Newsが英国でサービスを開始、キュレーションニュースポータルを初めて国際市場へ展開

英国が、大手テック企業をどのように規制すべきかの準備を整える中、Facebook(フェイスブック)は、英国の一般市民にメディアを提示する際の役割や、同国のメディア業界との連携方法について、大きなステップアップをとろうとしている。

英国時間1月25日、Facebookが、専用キュレーションニュースポータルのFacebook News(フェイスブック・ニュース)を英国でローンチした。米国以外では初のこととなるが、米国版と同様にAndroidまたはiOSのアプリメニューからアクセスすることになる。

ポータルは、多数のローカルメディアや、Channel 4 News(チャンネル4ニュース)、Daily Mail Group(デイリー・メール)、DC Thomson(DCトムソン)、Financial Times(ファイナンシャル・タイムズ)、Sky News(スカイ・ニュース)、Telegraph Media Group(テレグラフ・メディア)などの全国メディアを含む形でローンチする。昨年の早い時期に発表されたパートナーリストには、The Economist(エコノミスト)、The Guardian(ガーディアン)、The Independent(インデペンデント)、 STV、そしてArchant(アーチャント)、Iliffe(イリフ)、JPI Media(JPIメディア)、 Midlands News Association(ミッドランド・ニュース・アソシエーション) 、Reach(リーチ)といったローカルニュースサイト、そしてGQ、Cosmopolitan(コスモポリタン)、Glamour(グラマー)、Vogue(ヴォーグ)その他の「ライフスタイル」タイトルが含まれていた。

これも米国版と同様に、ユーザーにはその日のキュレーショントップストーリーリスト、すでにユーザーがフォローしているニュースソースや興味のあるニュースソースに基くパーソナライズされたストーリーのリスト(まだ自分がフォローしていないソースからのものも含まれる)、スポーツ、エンターテイメント、健康、科学、技術のための専用ニュースセクションが提供される。ユーザーは、ニュースを読みたいときや隠したい場合を指示することで、アルゴリズムをより良く訓練することができる。

Facebookは、Newsに表示されるストーリーをキュレーションするために、Upday(アップデイ)というサービスと連携することを認めた。「このプロダクトが提供するのは、キュレーションされたトップストーリーと、アルゴリズムによって選ばれたパーソナライズされたリンクのミックスです」と広報担当者は述べている。 Upday は、ドイツの出版社 Axel Springer(アクセル・スプリンガー)とSamsung(サムスン)による共同事業のようだ。Samsungはその事業によるニュースサービスを、自社のスマートフォンの上でも提供している

FacebookとUpdayの間に取り交わされた財務条件がどのようなものであるかははっきりしない。だが伝えられるところでは、FacebookがNewsに出版社のコンテンツを配置するためにライセンスする額は合計数千万ポンド(数十億円)に及ぶということで、最大の出版社が契約によって得る額は、1年で数百万ポンド(数億円)にも及ぶという。こうした数字は、Facebookが世界的な広告収入で稼いでいる額(四半期ごとに数百億ドル(数兆円)に達する)には及ばないかもしれないが、苦境にあえぐ英国のメディア業界にとってはかなりの金額となる。

人びとは長い間、Facebookや他のソーシャルサイトのニュースフィードを使用してニュースを読みながら、友人やグループ、フォローしているページからの投稿を閲覧してきた。Facebook Newsが目指すのは、それを一歩進めて、その時々の最新ニュースを、モバイルアプリユーザーが、国内の何百もの出版物からのキュレーションリンクや注目ニュースを、一箇所で読むことができる場所として提供することだ。

ソーシャルメディアは、消費者にとっての主要なニュースソースであり続けているが、私たちが気付いているように、そうした目的のためには、非常に偏って欠陥のあるソースだ。

Facebookは、そうした文脈の中におけるFacebook Newsの意図は、ユーザーの興味に合わせた調整を行いながらも、個人のニュースフィードでたまたま出会う可能性のあるものを超えて、よりバランスのとれた専用ニュースミックスを人びとに提供することだと述べている。

Facebook Newsはまた、個人のニュースフィードに飽きてきた人たちのために、ビデオや、エンターテインメントコンテンツ、 メンタリングや就職活動、近隣型コミュニティリスティング、ピアツーピア販売といった多様化を進めてきたFacebookを、また別の形で助けることになるだろう。これからは、ユーザーがニュースを読むためにFacebookアプリを開いてくれるようになるのだ。

とはいえ、この機能の国際展開には長い時間がかかった。Facebook Newsの米国でのテスト運用が始まったのは1年以上前の2019年10月であり、全米のユーザーに展開されたのは昨年6月のことだった

米国版Facebook Newsが、どれ位の数のユーザーを集めているのかに関してはFacebookからのコメントは得られていない。ただ広報担当者によれば、それは「着実に増加している」とのことだ。

米国での最初の取り組みから今日の英国でのローンチまでに、なぜこのような長い期間が必要だったのかは明らかではないが、Facebookはこの市場で展開を行うためのライセンス契約の確保に加えて、さらに多くのことを行ってきた。

Facebookが欧州での規制当局の標的にされていることを考えると、出版社を「助ける」ためにデザインされているというメッセージが添えられた新しいニュースポータルの立ち上げは、新たな次元へと踏み込むものだ。規制当局は大規模なハイテク企業の社会的な影響を精査するための長期的な使命を負っている。英国の場合、その動きは、FacebookやGoogleのような企業が広告やメディアなどで果たす役割を再検討する、新しい「競争推進型」Digital Market Unit(デジタルマーケットユニット)の形を取りつつある。

こうした規制の動きが、どのようにFacebook Newsのようなサービスに影響するのか、あるいは収益や利用データの、ニュースパートナーとの共有にどのような影響を与えるのかは、まだわからない。

一方で、それはさらなるスケーリングのために猛スピードで進んでいる。Facebookは昨年、ブラジル、フランス、ドイツ、インドなどを含む、国際的なFacebook News拡大のための、長期的な計画を持っていることを認めている。最新のブログ記事では、Facebookの欧州ニュースパートナーシップディレクターのJesper Doub(ジェスパー・ダブ)氏が、Facebook Newsの次のローンチは、期日は未定であるものの、フランスとドイツであることを発表している。

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(翻訳:sako)

Facebookが2020年の米大統領選挙に関する広告のターゲティングデータを研究者に公開

Facebook(フェイスブック)は、130万件の政治・社会問題に関する広告のデータセットへの学術的アクセスを、米国時間2月1日より公開する。これは2020年8月3日から11月3日(米国の選挙の日)までの間に掲載された広告も含まれる。

2019年に開始されたFacebookの広告ライブラリは、FacebookとInstagram(インスタグラム)で配信されているすべての広告を、誰でも簡単に検索・閲覧できるデータベースを提供している。2016年のロシアによる米大統領選挙干渉騒動後に実装されたこのデータベースは、研究者や記者が、トピック、企業、候補者ごとに広告を掘り下げ、広告がいつ掲載されたのか、誰が見たのか、いくらかかったのかといったデータを表示することができる。

Facebookによると、プラットフォーム上の広告をより深く見る機能の提供を決めたのは、特に広告のターゲティングについて、より多くの情報を要求する研究コミュニティからのフィードバックを受けたものだという。Facebookの非常に詳細な広告ターゲティングツールは、研究者にとって特に興味深いものだ。彼らは間もなく、閲覧者の場所や関心などのデータも含め、特定の人々がその広告を見た理由にアクセスできるようになる。

「私たちは、オンライン上の政治広告の状況を理解することが選挙を守るための鍵であり、それは私たちだけではできないことを認識しています」と、Facebookのプロダクトマネージャーを務めるSarah Clark Schiff(サラ・クラーク・シフ)氏は発表の中で述べている。

Facebookの広告ターゲティングシステムは、過去に同社を苦境に陥れたことがある。2016年、Facebookは、信用貸付、住宅、求人に関連する広告カテゴリにおいて、「民族的親和性」のターゲティングオプションを無効にした。これらのツールが、特定の人々を違法に差別することにつながるおそれがあると指摘されたためだ。2018年には、同様の差別的な広告を生む可能性があるとして、5000件の広告ターゲティングオプションを削除した。そして、トランプ支持者がホワイトハウスに乗り込んだ際には、Facebook広告のマイクロターゲティングがどれだけ利用されたかということも、いまだに議論が交わされている。

ツール自体についてどのように感じるかはともかく、Facebookの公開された広告ライブラリは記者にとって貴重なツールとなっており、問題ごとに深堀りできるだけでなく、政党別、人種別、候補者別の政治的支出を簡単にひと目で把握することができる。

今回発表された新たなターゲティングデータは、大学に関わる研究者のみがアクセスできるFacebook Open Research & Transparencyで限定公開される予定で、一般向けの広告ライブラリでは見ることができない。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

FacebookとInstagramのAI生成画像キャプションがアップデート、より詳細な情報を提供

Facebook(フェイスブック)とInstagramに投稿された写真は、画像分析AIによって分析されキャプションが作成される。このAIがこのほど一段と強化された。新システムは視覚にハンデのあるユーザーを助けると同時に、将来は一般ユーザーが写真をすばやく見つけるのにも役立つようになるという。

AI分析によって「野原で人が馬の横に立っている」「ボートの上に犬がいる」のようなキャプションが生成され、画像のメタデータに保存される。これにより画像を見ることができない人も、どんな画像なのかを理解できるようになる。

これまで撮影者やメディアは、こうしたユーザー補助キャプションを手動で追加してきた。しかしソーシャルメディアに写真をアップロードする一般ユーザーは、いちいちキャプションを入力しないことが多い。Googleフォトのような画像をAIで分析して検索可能にするテクノロジーが、ここ数年で大きく進歩を遂げている。この機能がソーシャルメディアに導入されれば利便性が飛躍的にアップすることは明らかだった。

Facebookは、自動代替テキスト(Automatic Alt Text)システムを2016年に開発した。これは機械学習が普及し始めるよりずっと前のことだった。それ以来チームは、処理をスピードアップし内容を詳細にするため多くの改良を加えきた。最新のアップデートでは、詳細なキャプションをオンデマンドで生成するオプションが追加されている。

改良されたシステムは当初の10倍、約1200種類の対象、コンセプトを認識する。説明も詳細になっている。以前は「建物の側にいる2人」だったが、今では「エッフェル塔の側で2人が自撮り」というキャプションも可能だろう(実際のキャプションでは「かもしれない」と断りを入れるし、大胆過ぎる推測は避けられる)。

必ずしも大きな意味があるとは限らないが、たとえば下の例ではAIは人と物の相対的な位置を認識している。

画像クレジット:Facebook

人が立っているならドラムより背が高いし、帽子をかぶっているならそれは人の頭の上にある。こういう場合はいちいち位置関係を説明する必要はない。しかし「家と木と山」という場合はどうだろうか?そういう画像の場合、家は山の上にあるのか手前にあるのか?木の位置は家の手前か後ろか?それとも遠くの山に生えているのか?

つまり少ない語数で簡単に説明できる場合でも、背後で詳細な情報を生成しておく必要がある。我々は詳細な情報を求めて画像をクリックして拡大することがある。「詳細な画像の説明を生成」コマンドはキャプションで同様の役割を果たす(Androidアプリの場合は長押し、iOSならカスタムアクションで起動する)。

おそらく「雪が降っている山の手前に家と複数の木」というような説明になるのだろう。そうなるのであれば、画像理解のために便利だ (もちろんこの例は説明のために今考えついたものだが、おそらくそのような方向に改善されるのだろうと思う)。

この「詳細な説明」機能は、まずFacebookでテスト公開されるが、続いてInstagramでも行われるはずだ。キャプションは、すでにサポートされている他の言語に翻訳できる。ただしこの機能自体は当面多数の言語に拡張されることはないようだ。

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画像クレジット:Facebook

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Facebookの監督委員会がトランプ前大統領のアカウント停止決定について再審議

Facebook(フェイスブック)は米国時間1月21日、コンテンツについてポリシーの検討を行う新たに設立された外部組織が、同社の最も重要な行為の1つに取り組むと発表した。トランプ前大統領のアカウント停止の決定だ。

米国時間1月7日、Facebookはトランプ氏のアカウントを無期限で停止した。この決定は、前日の大統領の行動を受けて行われたもので、同氏は米国議会議事堂を襲撃する暴徒を扇動し、米国の民主主義を窮地に陥れ、すでに非常に危険な状態になっていた国を揺さぶった。

Facebookの国際問題およびコミュニケーション担当副社長であるNick Clegg(ニック・クレッグ)氏は、トランプ氏のアカウント停止をめぐる状況を「前例のない行動を求めた前例のない一連の出来事」と呼び、 Oversight Board(監督委員)がこの件を審議する理由を説明した。

「当時のトランプ大統領のアクセスを停止するという我々の決定は、異常な状況下で行われました。平和的な権力移行を妨害するために行われた暴力的な襲撃を積極的に煽っている米国大統領、殺された5人の国民、民主主義の座から逃げる議員たち」と、クレッグ氏はブログの投稿で述べている

「こんなことはかつて起きたことがありません。そして我々は二度と起こらないことを願っています」。

監督委員会は今回の措置を取ることについて述べた声明の中で、5人のメンバーで構成された委員団が間もなく今回のケースを査定し、90日以内に決定する予定だと説明している。

この少人数のグループがトランプ氏のFacebookアカウント(そして将来的に起こりうる大統領に関わるケース)をどのように扱うかについての結論に達すると、決定には監督委員のメンバーの過半数を超える承認が必要になる。その後は少しずつペースが速まり、Facebookは1週間で監督委員の最終決定を実行に移す予定だ。

Facebookはこの監督委員会が独立した外部の組織としたがるが、「拘束力のある」ケースバイケースの決定を行う自立性を持つにもかかわらず、この監督委員会はFacebook自身が起ち上げたものだ。同社が最初に4人の共同議長を任命した監督委員会は、20人のメンバーで構成される組織に拡大していった。

以前にもお伝えしたように、この委員会の仕組みは、削除されたFacebookのコンテンツに対する活動に偏っている。掲載されたままになっているコンテンツではない。一般的に同社や社会にとって大きな頭痛のタネを生み出すのは、後者の方だ。Facebookはこの批判に応えて、当初は削除されたコンテンツの検討に専念するかもしれないが、プラットフォーム上にまだアップされているコンテンツは「できるだけ早く」プロジェクトの活動範囲の一部になることが予定されていると指摘している。

このグループを巡る批判の一部にとって、トランプ氏のケースは監督委員会の決定が実際にどれだけ影響力のあるものになるかを示す重要な機会となる。もしFacebookの決定を覆すことになれば、すでに前大統領は公の場から退いたとはいえ、トランプ氏のFacebookアカウントをめぐる世間の関心を再燃させることになるだろう。

このプロセスで最も興味深いのは、前大統領のアカウント管理者が自分自身の訴えを主張できるということだ。その場合、監督委員会はトランプ氏のアカウントを復活させるべき理由を主張する「ユーザーの声明」を審査することになる。

Facebookの外部の意思決定機関は、同社独自のポリシー決定に対する一種の「最高裁判所」のようなものであることを意味する。実際に迅速に動いたり、その場で対応することはないが、その代わり将来のポリシーケースに洞察を与えることができる前例を確立しようとしているのだ。ケースごとの決定には拘束力があるが、それが生み出す広範な判例がFacebookの今後のポリシー決定に影響を与えるかどうかは、まだわからない。

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画像クレジット:MANDEL NGAN / JOSH EDELSON/AFP / Getty Images (Image has been modified)

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(翻訳:TechCrunch Japan)

米国時間1月20日の新大統領就任式での暴力の脅威がソーシャルメディアに長い影を落とす

米国は今、南北戦争以降最大の民主主義の危機に瀕している。その中でソーシャルメディア企業は、決して訪れないとこれまで考えていなかったような事態に対して、つぎはぎの守りを構築しようと苦戦している。

メジャープラットフォームの多くは1月第3週に緊急措置として、米国の大統領をプラットフォームから排除し、陰謀理論や暴力による脅し、および武装暴動の動きに対して突然厳しい規則を設けた。こういった暴力に関する動きや気配は、何年も前からこれらのソーシャルメディア上で増殖していた。しかし1週間も経たずしてAmazon(アマゾン)やFacebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、Apple(アップル)そしてGoogle(グーグル)などはすべて、米国の安定と体面のために、歴史的な意思決定をした。またSnapchatやTikTok、RedditさらにPinterestさえも、それぞれ自分たちなりのアクションで、各プラットフォーム上でテロ計画が孵化することを防ごうとした。

現在は待機モードだ。トランプ支持派の破壊的な暴徒たちが米国立法府を象徴する議席を襲ってから1週間以上にわたって、インターネットはずっと息を潜めていたが、強力に防備を固めた就任式セレモニーの日が迫ってきた。

画像クレジット:SAUL LOEB/AFP/Getty Images

今もしぶとく残っているもの

先週、世界最大のソーシャルネットワーク上では、先の続きとなるイベントを示唆する画像が氾濫した。Facebook上のあるデジタルフライヤーは「国会とすべての州の議会を目指す武装行軍」をそそのかし、2020年の大統領選挙は盗まれたとする危険で偽りの陰謀論を強く主張した。

Facebookによると、同社はISISやアルカイダのテロリストのコンテンツを削除するときに使った同じデジタル指紋処理で、「Stop the Steal(盗みを止めろ)」と呼びかけるフライヤーの出どころを探っている。同社がこれまで見たフライヤーは、1月17日に全国的なイベントを呼びかけるものと、1月18日にバージニア州で、就任式当日にワシントンD.C.でイベントを起すことを呼びかけているものだ。

Facebookの新しい取り組みは、一部効果を上げている。同プラットフォーム上でTechCrunchが確認した人気フライヤーの1つは、今週某ユーザーのフィードから削除された。また、2020年12月に目にした複数の「Stop the Steal」グループも、同社のさらに強制的なアクションに続き、今週初めにいきなりオフラインにされた。しかし前兆のように多くのグループが大量の時間を投じて、自分たちの名前を宣伝したり、他のフォロワーを仲間に取り込もうとしたりしている。

大統領が代わる日はもう目の前に迫っているのに、極右グループであるQAnonを宣伝する頭字語だらけの長広舌や、トランプ支持派による常軌を逸した陰謀理論の主流派たちのコレクションは、そのまま残っており簡単に見つかる。2500のフォロワーがいるあるページでは、QAnonの信者が、国会議事堂を攻撃したのは反ファシストたちである、というすでに支持されていない説を強調し、(議会議事堂襲撃が行われた)米国時間1月6日は「罠だった」と主張している。

画像クレジット:Win McNamee/Getty Images

別のQAnonグループは「この猿芝居を終わらせる方法を見つけた!あなたがたの命はもう終わりだ!」という議会に対して不吉なポストを投じている。この凝りに凝った陰謀説のフォロワーは、議会議事堂のすさまじい暴徒たちの中にもかなり存在していた。大きな「Q」の字とTシャツのマニアックなスローガンでわかった。

Facebook上の過激主義者たちについて同社は、現在、テロのエキスパートおよび法執行当局と協力して「公衆への直接的な脅威を防ごう」としていると述べた。またパートナー数社とも協力して、他のプラットフォームを起源とする暴力的コンテンツも注視している、と同社は述べている。

Facebookの取り組みは遅くてムラがあるが、これまでの同社に比べればマシだ。トランプ支持派にとっては、それは大手ソーシャルネットワークから受けた措置であり、しかも極右ソーシャルネットワークのParlerGabもなくなってしまったため、シリコンバレーに頼らずに別の道を探さざるをえない。

ソーシャルメディアの人口移動

プライバシーを保護することができるメッセージングアプリのTelegramやSignalへの、大移動が今週起こったが、それらのユーザー体験(UX)はFacebookやTwitterとかなり違っている。ソーシャルネットワークをウォッチしている一部のエキスパートによると、その移動は一時的であり永久ではないという。

たとえばYonderのCEOであるJonathon Morgan(ジョナソン・モーガン)氏は「多くのユーザーがGabやMeWeやParlerのようなソーシャル体験に定住するだろうし、戻る先も移動する先もTwitterやFacebookである人が多い」と語る。

YonderはAIを使ってソーシャルグループのオンライン上の結びつきや、彼らの話題を分析している。中には暴力的な陰謀理論などもある。モーガン氏によると、プロパガンダをばらまく「行動的なインターネット戦士たち」が、ネット上で大量のノイズを発生させている。しかし彼らのパフォーマンスは、オーディエンスがいなければ成り立たない。もっとひっそり、もっと恐ろしい脅威を志向している者もいるという。

「議会議事堂の襲撃を見ると、そのエンゲージメントのタイプの違いから、これらのグループの分裂状況がよくわかる。過激派に対して歓呼している大集団は議会議事堂には入らない。パフォーマンスを目的とする行動的インターネット戦士たちは、自撮りに夢中だ。武装集団はフレックスカフ(簡易手錠)を携行している。多くのソーシャル会話でいわれていた「結束バンド」は間違いだ。簡易手錠は人質を拘束するためだろう」とモーガン氏はいう。

「ユーザー(大集団)の多くに行き先があるとすればParlerだ。また、TwitterやFacebookのソーシャル体験を模倣するMeWeのようなアプリへ行く者もいる」。

モーガン氏によると、調査では過激派や陰謀説拡散者にとって、それでもなおプラットフォームからの締め出しが効果的な手法だという。それにより「AirbnbやAWSなどテクノロジー企業は、今後暴力がのさばるチャンスを減らせるだろう」。

そうやってプラットフォームを掃除すれば、危険な考えを語るメッセージを追い払うことができるが、モーガン氏によると、この方法が過激派の狂信を強化することもあるという。最近のプラットフォームの変化で分断し多様化したグループが、あちこちに散らばっている。そして彼らの行動は、ますます自暴自棄で予測不可能なものになっていく。

プラットフォーム追い出しは有効だがリスクもある

Anti-Defamation League(名誉毀損防止同盟)のCEOであるJonathan Greenblatt(ジョナサン・グリーンブラット)氏によると、ソーシャルメディア企業はそれでもまだまだ、就任式の週には多くの備えが必要だという。「議会の暴動への対応として、ソーシャルメディアプラットフォームの懲罰的態度ぐらいでは全然効果がない」とグリーンブラット氏は述べる。

彼の警告によると、さまざまな変化は必要だが、我々が備えなければならないのは、オンラインの過激派がもっと分裂したエコシステムに進化していくことに対してだという。彼らのエコーチェンバーはますます小さく、声高になり、大規模で組織的な脅威は減少しても、小集団の脅威はむしろ激しくなる。

このような分裂によって、人びとが互いに暗号化アプリで通信するようになるだろうとグリーンブラット氏がいう。外部に漏れない閉じた通信で互いの結びつきが強化され、暴力的な考えも安全に話せるようになり、今後のイベントの組織化や暴動の計画なども立てやすくなる。

過去数週間、ソーシャルメディア企業は彼ら独自のスタンダードに基づいて重大な措置を取ってきたが、ソーシャルネットワークは、現在、米国では政治的暴力に関心をよせているが、海外で暴力のための便宜を提供してきた長い歴史がある。

グリーンブラット氏が何度も訴えるのは、各社がもっと多くの人間モデレーターを雇用することだ。過激主義対応の専門家も、しばしばこの提案をしてきた。グリーンブラット氏によると、ソーシャルメディアは就任式の週に備えて、ストリーミングを遅らせるといった対策をとることができる。緊急対応チームはそんな措置に助けられて、個々のコンテンツにその都度対応するのではなく、もっと多くのアカウントを停止することもできる。

「ソーシャルプラットフォームは先週の議会に対する暴力から学んだことに関する(外部、一般社会への)透明性を、まだ何も提供していない」とグリーンブラット氏はいう。

「彼らがやるべきことと、できることの最小限のことはわかっている。これらのプラットフォームがそれらを通じて得たことへの透明性と洞察を提供すれば、我々はおそらくもっと強力な、提案ができるだろう」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Facebook Photosの元プロダクトマネージャーが反トラスト訴訟について思うこと

著者紹介:Samuel Odio(サミュエル・オディオ)氏はプロダクトリーダーで、2社を創業した経験を持つ。現在はFivestars(ファイブスターズ)のプロダクト担当副社長。後にFacebook(フェイスブック)に買収されたDivvyshot(ディビーショット)を創業し、TellApart(テルアパート)に買収されたFreshplum(フレッシュプラム)を共同創業した。

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Facebook(フェイスブック)によるInstagram(インスタグラム)の買収まで、筆者はFacebook Photos(フェイスブックフォト)を担当するプロダクトマネージャーだった。Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はそれまでに、筆者の前の会社であるDivvyshot(ディビーショット)を買収していた。ディビーショットは最初のiOS向け写真共有アプリの1つだ。筆者はマーク氏と緊密に協力して働いていたので、ソーシャル共有アプリや台頭していたモバイルアプリの将来についてよく話し合った。インスタグラムは一度ならず競合相手として現れた。

48州の検事総長と連邦取引委員会(FTC)がインスタグラム買収の件でフェイスブックを訴えている今、筆者はその件で一家言あるだろうと思われているかもしれない。フェイスブックフォトの元プロダクトマネージャーとして、またフェイスブックに会社を買収された者として、思うところは確かにある。いくつかの点で、筆者はその後のメインディッシュのアペタイザーだった。筆者は、米国の消費者として、FTCの勝利はイノベーションにとって間違いなく災いになるということが分かる。

この反トラスト訴訟の主な問題点は、フェイスブックは競争上の脅威を排除するためにインスタグラムを買収したのかということだ。マークがインスタグラムを脅威と認識していたことを示唆する文書がすでにリークされている。マークと話したときにも、彼がインスタグラムに対してそのように感じていることははっきりと伝わってきた。

筆者はフェイスブックに長くいたわけではない。20代半ばで自信にあふれていた筆者は、当時の会社を離れて別の会社を始めることにした。今になってみれば、退社は唐突で、考えが足りなかった。モバイル版のフォトプロダクトを改良する構想を開始して間もない、難しい状況の中でチームを去った(モバイル改良版が発売されることはなかった)。数か月後、マークはインスタグラムにアプローチし始めた。筆者の突然の退社からちょうど1年後、その取引が正式に成立した。

筆者は、競争を制限する意図を示唆するこうした事例だけでなく、最近の反トラスト訴訟が、競争を繰り広げるスタートアップのエコシステムや消費者全体のためになるとはまったく考えていない。

スタートアップの世界には「第一原理から考える」という格言があるが、この場合それが役に立つ。米国政府が独占を規制する主な理由は、「競争を確保して消費者の利益を図る」ことである。政府は、フェイスブックに対する最近の反トラスト訴訟により、表面上は、スタートアップのエコシステムにおいてフェイスブックの競合相手を保護している。

フェイスブックが違反したとして告訴されている主な法律は2つある。1つはシャーマン法で、独占を維持または獲得することを違法としている。もう1つはクレイトン法であり、さらに一歩踏み込んで、競争を制限する独占的な合併や買収を禁止している。

反トラスト法による告訴(シャーマン法第2条に対する違反。フェイスブックはこの違反で告訴されている)の必須条件は、企業が独占力を使って「生産を低下させたり、価格を上げたり、革新を停滞させたりして、市場が競争的な場合に比べて社会に損害を与えた」ことを証明できることである。また、司法省は、独占が成立する主な要素は、企業が「3分の2を超える市場占有率を長い期間にわたり保持しているかどうか」である、としている。

フェイスブックについて考える前に、勝訴した反トラスト訴訟の例を見てみよう。フェイスブックに対する批判では、米国政府対Microsoft Corp(マイクロソフト・コーポレーション)の件がよく先例として指摘される。この訴訟でマイクロソフトは、WindowsとInternet Explorerの抱き合わせ販売に端を発する独占の理由で告訴された。誤解のないように言っておくと、筆者はこの反トラスト訴訟に賛成である。マイクロソフトは独占力を持っていたからだ。1998年のオペレーティングシステムに関するマイクロソフトの市場占有率を調べれば分かるが、提訴の時点で市場の86パーセントを占めていた。Internet Explorerの市場占有率を人為的に上げるために不条理な抱き合わせ販売をしたことが容易に分かる。明らかに、社会の「生産を低下させ」、「革新を停滞させ」ている(Internet Explorerのことを好意的に懐かしむ人はいないだろう)。

フェイスブックがどんな点で独占力を持っているのか正確に判断することははるかに難しい。たとえば、FTCはインスタグラムを売却させようとしてフェイスブックを訴えている。インスタグラムの収益は主に、プラットフォーム上の広告主から得られる。独占に関するFTCの告訴では、インスタグラムのことが指摘されており、フェイスブックがデジタル広告市場で支配的なシェアを獲得したことが示唆されている。しかし、市場調査会社のEMarketer(イーマーケッター)によれば、この市場における2020年のフェイスブックのシェアは23パーセントである。3分の2の支配からはほど遠い。フェイスブックを独占企業とする訴えは、決して単純明快な訴訟ではない。

ここで、実際のところ誰がこの反トラスト訴訟から利益を得るのか、という疑問について考えてみよう。

それは、フェイスブックに取って代わる次の企業の創業者ではない。FTCが買収を規制すれば、スタートアップ創業の見返りは減少し、リスクは高まる。

シリコンバレーの新しい創業者はすべて、創造的破壊者たることを切望している。しかし、彼らも、彼らの出資者も、「打ち負かせないなら、一緒になれ」という格言の価値を理解している。銀行口座の残高がゼロになって間もなく、2010年にディビーショットをフェイスブックに売却したときに、筆者はそれが事実であることを理解した。

大手企業による高額買収の見込みがなければ、生活を賭ける創業者は減り、ベンチャーキャピタルの資金は縮小するだろう。大手テック企業は、新参のチームを買収するより、その製品をただコピーしようとするだろう。忘れてはいけない。買収されることは、ほとんどのスタートアップや起業家にとって「成功」なのだ(彼らにとって、それ以外に魅力的な成果はないことが多い)。

また、この反トラスト訴訟から利益を得るのは消費者でもない。消費者が利益を得るには、「インスタグラムはフェイスブックなしの方がもっと成功した」または「フェイスブックの行動はほかの競合スタートアップを落胆させた」という点のいずれかを確信している必要がある。

前者はよく議論されてきたが、少々主観的な議論だ。後者については、どのカテゴリーでも、競争が少なくなれば資金や創業者も少なくなる。だが実際には、あらゆる使用事例において、ホーム画面をたくさんのアプリアイコンでいっぱいにしているのは、その競争なのだ。インスタグラムが10億ドル(約1030億円)で買収される結果になったことで、Vine(バイン)、Flipagram(フリッパグラム)、VSCO、さらにはTikTok(ティックトック)のような模倣サービス、競合他社、イノベーターは奮起した。

マーク・ザッカーバーグ氏が自らの買収について述べたように、「この点を見る1つの方法は、我々が実際に買っているのは時間だということだ」。テクノロジーでトップにとどまり続けるのは大変なことである。ネット企業の歴史が何かを示しているとすればそれは、今日はリーダーでも明日はYahoo(ヤフー)になり得るということだ。的を外さないようVRのような新しいカテゴリーの革新的な製品に賭けるようにフェイスブックなどの企業を奮起させているのは、反トラストの脅威ではなく、今の時代の宿命であるそのプレッシャーなのである。

今こそ、新たなプランを立てるべきときが来た。はっきり言うと、我々はここ米国のテクノロジー業界内で競争を育んでいく必要がある。懲罰的な評価ではなく肯定的な成果に焦点を当てた、まったく新しい反トラスト法を探究すべきなのだ。

米国政府は、エコシステムの発展を通して企業による寛容な買収を考慮できるかもしれない。買収を停止するのではなく、買収者が大きな買収額の一定の割合を、恵まれない少数派の立場にいるほかの新しいスタートアップに投資するための要件を考慮するのだ。

これはドラマチックな考えだが、新しい動きが出てきて、イノベーションが圧倒的な勝者として生まれてくるかもしれない。巨大テック企業は、考えが凝り固まった競合相手に対抗しようとするスタートアップに資金を出すことができる。例えば、フェイスブックはこの冒険的な手段を使って、自分たちの領域外にあるFuture of Work(「仕事の未来」)のアイデアに資金を出して、マイクロソフトに対抗するライバルを生み出せるかもしれない。

既存企業からスタートアップへの資金の流れは競争を育むと同時に、既存企業がさらに規模を拡大することを可能にするだろう。忘れてはいけない。どの経済も手放したくないものである、低価格、質の高い生活、研究開発で促進されるイノベーションを我々消費者が享受できるのは、この規模の効果のおかげなのだ。

もっと重要な独占が危うくなっている。シリコンバレーは、世界で最も競争力があって革新的な地域だ。世界中の地域や政府が我々の「秘密のソース」をコピーすることを切望したが、多くの場合、規制や汚職、反資本主義の法律によって阻まれてきた。我々は自分たちがそれらをコピーするときだと本当に考えているのだろうか。

最近まで、その質問は仮想的なものにすぎなかった。イノベーションのリーダーというシリコンバレーの称号が危機にひんしたことはなかった。我々は、地理的な集積、よく機能する資金市場、軽い規制、寛容な移民政策という堀に守られていた(何しろ、シリコンバレーのスタートアップの50パーセントが移民の資金提供を受けているのだ)。我々はその勝利の方程式を強化したくないと本当に考えているのだろうか。

その一方で、中国は経済を自由化してきた。中国のテクノロジーイノベーションの拠点である深センの国内総生産(GDP)は直近の40年間、年平均20.7パーセントで成長し、最近香港を上回った。2020年に世界で最もダウンロードされたアプリケーションとしてティックトックが最近フェイスブックを王座から引きずり降ろしたことは、不吉なしるしだろう。

独裁政権によって支配される外国の企業に個人データを提供したいと思う人はいないだろうが、ほとんどのユーザーは、ソーシャルメディアで次のスクロールをすることの結果を考えていない。結局のところ、我々の中で、隔離期間中にティックトックの動画を楽しむ誘惑に負けない人が誰かいるだろうか。

我々が「独占」と呼ぶものについて、また、最も成功した自国企業をどのように抑制する(または罰する)かという点について、我々は因習にとらわれず分別のある対応をしなければならない。フェイスブックに戦いを仕掛けて勝つかもしれないが、もっと大きな戦いに負けるかもしれない。その戦いに負けたら、次のインスタグラムをシリコンバレーから追い出すことになるかもしれない。

そしてそのことは、いくぶん皮肉なことに、米国政府が反トラスト法で解体しようとしている二つとないテクノロジーの独占事業体は、実は米国自身だということを意味しているのかもしれない。

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(翻訳:Dragonfly)

Facebookが大統領就任式時のワシントンD.C.と州議会議事堂周辺での新イベントを禁止

Joe Biden(ジョー・バイデン)次期大統領の就任式が近づく中、組織的暴力を警戒するFacebookは、いくつかの新しい措置を発表した。

Facebookのポリシー・コミュニケーション担当ディレクターであるAndy Stone(アンディ・ストーン)氏のブログとツイートによると、同社はホワイトハウスと米議会議事堂や州議会議事堂の近くで予定されているイベントを米国時間1月20日までブロックする、と説明している。

アップデート:就任式の日まで、D.C.や州議会議事堂の近くで行われる新しいFacebookイベントの開催を禁止している。また私たちは就任式関連イベントは再度審査し、ポリシーに違反しているものはすべて削除します。

また、一般の就任式関連Facebookイベントも再度審査し、ポリシーへの違反を調査する。現時点でそうしたイベントにはバイデン氏の勝利は違法だとする「Stop the Steal」運動に関連するコンテンツが含まれている。それらのグループは、同社が今週初めに措置を取るまでFacebook上で人気を博していた

Facebookはまた動画、イベント、グループページのライブストリーミングを禁止するなど、同社のルールに繰り返し違反している米国ユーザーに新たな制限を課すようだ。

これらの警戒措置は、Facebookを批判する一部の人たちが求めるものに比べると手ぬるいが、危険な陰謀理論や武装グループへの対処を2020年にやっと始めたばかりの企業がやることとしては、とりあえず注目に値する。

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画像クレジット:Photo by Spencer Platt/Getty Images / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ユーザーの反発を受けWhatsAppがプライバシー規約の施行を3カ月延期

米国時間1月15日、WhatsAppは計画しているデータ共有ポリシーのアップデートを5月15日までは施行しない、と発表した。数週間前には新しい利用規約に関するニュースがユーザーの間で混乱を生み出し、同社のFacebookアプリはインドやトルコなどで訴訟の可能性全国的な捜査に直面していた。数千万の忠実なファンは、WhatsAppに代わるメッセージングアプリを探すことになった。

「私たちは今、人びとがサービスの利用規約を理解して受け入れることを求められる時代へ戻っていきます。(その期限とされる)2月8日には誰も、自分のアカウントを停止されたり削除されません。また私たちは、WhatsApp上のプライバシーとセキュリティに関する多くの誤解を解いていくつもりです。その後、人びとにゆるやかに歩みより、各自のペースでポリシーを検討していただき、新たなビジネスオプションを5月15日にご提供したいと考えています」とWhatsAppはブログで述べている。

WhatsAppは20億人以上のユーザーを有しており、同社によると新しい規約の施行をこれまで遅らせていたという。2020年に発表された際、新しい規約は全世界に混乱を巻き起こした。以前より計画されていたプライバシーに関するアップデートを遅らせたのは、利用規約を検討する時間をユーザーにもっと長く提供するためだ、と同社はいう。

「最近のアップデートをめぐって、多くの人が混乱していると聞いている。多くの誤解や誤報が懸念を生んでいるため、みなさんに原則と事実をご理解いただきたいと思う」とWhatsAppはいう。同社は今週初めに、インドの複数の新聞に全面広告を出した。インドのWhatsAppの月間アクティブユーザー数は4億5000万を超えている

WhatsAppは何年もの間、アプリ上の誤った情報の拡散を抑えようとしてきたが、今度はWhatsApp自体に関するデマを否定しようとしている(画像クレジット:WhatsApp)

2021年1月初めにWhatsAppはアプリ内のアラートでユーザーに、新しい利用規約への合意を求めた。それはこのアプリに、ユーザーの電話番号や位置などの個人データをFacebookと共有することを許可するためのものだ。アプリの利用し続けたいユーザーはこの規約に2月8日までに合意しなければならない、とアラートには書かれている。

規約の変更により、多くの人びとが個人的なコミュニケーションが侵害されたと誤って認識しているが、WhatsAppは今週、そうではない明示している2014年にFacebookが190億ドル(約1兆9730億円)で買収した買収したWhatsAppは、2016年以降、ユーザーに関する情報の一部をFacebookと共有している。ユーザーは一定期間内に、それをオプトアウトすることができる。

米国時間1月15日、WhatsAppは次のように述べている。「今度のアップデートでも、それは変わりません。その代わりに、私たちがデータをどのように収集し、利用しているかに関する透明性を説明するメッセージを、ユーザーがWhatsApp上の企業に送るというオプションがあります。今日ではWhatsApp上で企業から買い物をする人はそれほど多くありませんが、今後はより多くの人びとがそうする、と信じています。重要なことは、これらのサービスが存在することをユーザーが知っているということです。アップデートで、データをFacebookと共有する私たちの能力が大きくなるわけではありません」。

WhatsAppに対する反発に続いて、混乱し怒った何千万ものユーザーがSignalとTelegramに集まった。今週の初めには、40カ国のApp Storeと18カ国のGoogle Play StoreでSignalがトップのアプリになった。

先の本誌インタビューでSignalの共同創業者でCEO兼執行会長のBrian Acton(ブライアン・アクトン)氏(WhatsAppの共同創業者の1人)は、「最小の出来事が最大の結果の引き金になる。オンラインのプライバシーとデジタルの安全性に関する会話が盛んになったことは、とても喜ばしい。人びとが、疑問への答えとしてSignalを選んでくれたこともすばらしい」と述べている。

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画像クレジット:AJJAD HUSSAIN/AFP/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

2021年最も働きがいのある米国のテック企業、スタートアップベスト10(Glassdoor調べ)

Glassdoor(グラスドア)が2021年に「最も働きがいのある米国企業」の年間ランキングを発表した。その中から大企業(従業員数1000人以上)と中小企業で、上位10社のテック企業を抜き出してみた。

大企業のリストは、従業員数1000人以上の企業の中から、そこで働く従業員のフィードバックに基づいてランキングが作成されている。Glassdoorでは、従業員がその会社のCEO、出世の機会、報酬と福利厚生、文化と価値観、ワークライフバランスといった項目で企業を評価している。大企業でランクインするためには、各属性ごとにそれぞれ75件以上の評価を得る必要がある。中小企業ランキングでは、会社が75件以上の評価を必要とする。

それでは、Glassdoorによる米国で働きたいハイテク企業トップ10をご紹介しよう。カッコ内には、ベスト100企業における各社の総合順位と平均従業員評価が記載されている。

2021年テック系企業ベスト10

1位 NVIDIA(エヌビディア)[総合2位、4.5点]
2位 HubSpot(ハブスポット)[総合4位、4.5点]
3位 Google(グーグル)[総合6位、4.5点]
4位 Microsoft(マイクロソフト)[総合9位、4.5点]
5位 Facebook(フェイスブック)[総合11位、4.4点]
6位 LinkedIn(リンクトイン)[総合13位、4.4点]
7位 DocuSign(ドキュサイン)[総合15位、4.4点]
8位 KnowBe4(ノウビフォー)[総合16位、4.4点]
9位 Salesforce(セールスフォース)[総合17位、4.4点]
10位 RingCentral(リングセントラル)[総合18位、4.4点]

そしてGlassdoorの中小企業ランキングよると、2021年に就職すべきテック系スタートアップのトップ10は以下のとおりだ。

2021年テック系スタートアップベスト10

1位 Ike(アイク)[総合3位、4.9点]
2位 Harness(ハーネス)[総合6位、4.9点]
3位 Lendio(レンディオ)[総合8位、4.9点]
4位 Jobot(ジョボット)[総合9位、4.9点]
5位 Lower(ローワー)[総合10位、4.9点]
6位 Orchard(オーチャード)[総合16位、4.8点]
7位 SimplrFlex(シンプラフレックス)[総合17位、 4.8点]
8位 Flockjay(フロックジェイ)[総合21位、4.8点]
9位 Wonolo(ウォノロ)[総合24位、4.8点]
10位 Thrasio(スラシオ)[総合27位、4.8点]

【注記】総合14位にランクインしたAsana(アサナ)は公開企業であるため、このリストから除外した。また、Ping Identity(ピン・アイデンティティ)も、従業員数が1000人近くに達しており、まず間違いなくスタートアップの段階を超えているため、このリストから除外している。

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画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

米国民の3分の1が定期的にFacebookでニュースを見ている

ピュー研究所の最新の調査によると、米国民の約3分の1が定期的にFacebook(フェイスブック)からニュースを入手している。同調査は米国における現在のメディア情勢を理解する目的で行われた。レポートの中で同研究所は、米国民の成人の約半分、53%がニュースを入手するのに「頻繁に」あるいは「時々」ソーシャルメディアを使っていると答えた、という。使用メディアは多岐におよんだが、Facebookが最上位にきた。

米国民成人の36%がニュースを入手するのに「定期的」にFacebookにアクセスしている。この数字は他のどのソーシャルメディアプラットフォームよりもかなり大きく、唯一YouTube(ユーチューブ)が23%とそこそこの割合だった。

それ以外のメディアの数字は比較的小さい。Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領が(つい最近まで)発信手段として好んでいたTwitter(ツイッター)ですら15%だ。

おおよそ10人に1人かそれ以下の割合の人が他のソーシャルメディアプラットフォームから定期的にニュースを得ていると回答した。その内訳はInstagram(インスタグラム)11%、Reddit6%、Snapchat4%、LinkedIn4%、TikTok3%、WhatsApp3%、Tumblr1%、Twitch1%だ。

ニュースソースとしてこうしたサイトを使っている人の割合が低いのは、これらサイトを使っている米国人がかなり少ないという事実と大いに関係している、とピュー研究所は指摘する。

しかし各プラットフォームの視聴者数の割合が小さいとしても、サイトのユーザーはニュースにかなり関心を持っているかもしれない。たとえばTwitterは米国民の成人の25%しか使っていないが、Twitterユーザーの半分超(59%)が同プラットフォームでニュースを得ているとしている。これに比べて、Facebookでニュースを得ているユーザーの割合は54%だ。一方、RedditのユーザーベースはFacebookよりかなり小さいが、Redditユーザーの42%が同サイトで定期的にニュースを得ている。

いい換えると、「トップニュースプラットフォーム」のリストは、米国人成人のうち何人がサイトでニュースを得ているかではなく、各ソーシャルメディアのユーザーのうち何人がそのプラットフォームからニュースを得ているのかを考えると、やや異なるものになる。

そうした考え方でとらえると、順番はTwitter、Facebook、Redditが上位にきて、YouTube、Instagram、TikTok、Snapchat、LinkedIn、WhatsApp、Twitchと続く。

加えてピュー研究所はソーシャルメディアでニュースを得ている人の人種構成も調査し、FacebookやRedditのようなサイトで定期的にニュースをチェックしている人の大半は白人だった。一方、黒人とヒスパニックはInstagramの定期的なユーザーの4分の1ずつを占めた(それぞれ22%と27%)。またニュース取得のためにFacebookを使っているユーザーは女性に偏っている(63% vs 35%)。その一方で、Redditは男性に偏っていた(67% vs 29%)。

このレポートで興味深いのは、米国民がニュースを得るのに広くソーシャルメディアを使っているにもかかわらず、大半(59%)がソーシャルメディアのニュースは「大部分は不正確だ」と考えていることだ。この数字はここ数年かなり一貫性がある。2018年の57%から上昇し、2019年は2020年と同じだった。

ソーシャルメディアユーザーの半分近くが、ソーシャルメディアでニュースを読むことは最近の出来事を理解するのにさほど役立っていないと答えた。

この結果は、ソーシャルメディアサイトそしてユーザーの関心や考え方に合わせてニュースをパーソナライズするアルゴリズムがオンライン上で人々を急進化させているというレポート研究と矛盾するようだ。先週、その結果が丸見えになった。多くの場合、誤情報や陰謀論に何年も触れていた人々の暴徒が2020年の大統領選挙の結果をひっくり返そうとして失敗した試みの中で米議会議事堂に乱入した。

しかしながら、ピュー研究所の調査は自己申告データに基づいていることを忘れてはならない。なので、調査に参加した人がソーシャルメディアの投稿はニュースを「理解」するのに役立たないと主張したとしても、そうした人たちはそれら投稿の力と影響力を過小評価しているかもしれない。

ピュー研究所はこうした調査を定期的に行っている。たとえば同研究所は2020年、ソーシャルメディアニュースの消費者が米大統領選挙や新型コロナウイルスといった主要ニューストピックに関する事実についてあまり関心を寄せず、知識を持ち合わせていない傾向にあるという調査結果を報告した。同じ調査では、ソーシャルメディアニュースの消費者がより頻繁に陰謀論にさらされやすいことも明らかになった。

プラットフォームそのものは、基本的なファクトチェックを追加する以外、誤情報の拡散を防ぐのにさほど役立っていない。FacebookがQAnonグループを禁止するまで何年もかかったが、一掃後もまだ多くがプラットフォームに残っていた。ハッシュタグや他の暴力扇動についての似たような取り締まりの後も、「Stop the Steal(選挙を盗むのはやめろ)」の陰謀論グループはプラットフォームに残っていた。

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タグ:FacebookSNSソーシャルメディアアメリカ

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

Facebookが「個人データ管理ツール」を改訂、8つに細分化されデータ利用の説明も追加

米国時間1月12日にFacebook(フェイスブック)は「Access Your Information(個人データ管理ツール)」を改訂した。使いやすく見つけやすくするとともに、データがなぜ、どのように使われているかを詳しく説明することが目的だ。新しいバージョンのツールはデザインも変更になり、確認することのできる情報カテゴリーが8つになった。以前は2つだけだった。

このツールは2018年に初めて公開された。Cambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)スキャンダルが勃発し、Facebookユーザー最大8700万人の個人データが流出した後のことだ。事件後Facebookは同社アプリの動作にいくつもの変更を加え、ユーザーがもっと簡単にFacebookのプライバシー設定を発見、活用できるための新機能を追加した。

その1つが個人データ管理ツールで、ユーザーが自分のFacebook投稿、リアクション、コメントなどを検索して安全に管理する方法を提供するものだ。狙いはユーザーがこのツールを使って自分の情報を引き出し、「Facebookに載せておきたくないものは何でもタイムラインやプロフィールから削除」できるようにすることだ。

これまでこのツールでは、データのカテゴリーが「あなたの情報」と「あなたに関する情報」という大まかな2つに分かれているだけだった。改訂版では8つのカテゴリーに分けられた。

  • Your Activity Across Facebook(Facebookでのアクティビティ)
  • Friends and Followers(友達とフォロワー)
  • Preferences(設定)
  • Personal Information(個人データ)
  • Logged Information(記録済み情報)
  • Ads Information(広告情報)
  • Apps and Websites Off Of Facebook(Facebook外のアプリとウェブサイト)
  • Security and Login Information(セキュリティとログイン情報)

8つのカテゴリーはそれぞれサブカテゴリーに分けられる。こうすることによって、見たいデータ、削除したいかもしれないデータにたどり着くのが簡単になる。

画像クレジット:Facebook

同ツールにはこの改訂で検索機能が加わった。データのカテゴリーを検索で見つけられる。たとえば「location」とタイプすると位置情報の履歴に関する情報を見ることができる。

さらにこのツールは、Facebookがプラットフォーム上でユーザー体験をカスタマイズするのにこのデータをどう使うかを、以前よりわかりやすく説明している。たとえば主要な所在地はフードデリバリー店の広告をターゲットするために使う指標の1つであることがわかる(Facebookは広告の「これが表示される理由」ツールですでに説明しているが、今回このツールにも入った)。

Facebookは、今回の変更はユーザーがこのツールをどう使っているか、特にどのカテゴリーのデータをクリックしていたかに基づいて開発したと語った。

それにしてもツール改訂のタイミングは注目に値する。Apple(アップル)では、どのアプリが個人データを集めそれを使って追跡しているかをApp Storeユーザーに目立つように知らせる大がかりな取り組みが進んでいる。現在Appleは、アプリにApp Storeプライバシーラベルを付加することを義務づけており、近々追跡するためにはユーザーの許可を必須にする。

Facebookはこの要請に対し、同社のパーソナライズド広告の支持を得ようとウェブサイトを立ち上げ、新聞に全面広告を掲載して、Appleの方針変更のために中小企業が受ける(と同社が称する)損害を指摘した。

改定されたツールは、なぜそのデータや広告が有用であるかを説明することで、ユーザーにFacebookの言い分を伝えるためにも役立つ(結局、実際に地元で自分がサービスを受けられるフードデリバリーの広告を見る方がいいでしょう?Facebookはあなたにそう考えてほしいと思っている)。

そして、有罪の証拠になるFacebook履歴を急いで削除しようとする人たち、という小さいとはいえない問題がある。たとえば先週の暴動で議事堂の中にいるところが映った写真やビデオのように。FBIが連邦犯罪として摘発し、最高裁判所ではさらに数十件が有罪判決を受けている現在、あのイベントへの参加を大々的に曝すことを考え直している人もいるかもしれない。新しいツールはそれにも役立つ。

しかしFacebookは、この機能拡張は単なる利便性の改訂だと質問に答えた。

新しいツールはiOSとAndroidで本日公開、デスクトップへの展開は近日中の予定だ。

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Facebookは「Stop the Steal(選挙泥棒を止めろ)」関連投稿を全面排除の方向へ

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookは「Stop the Steal(選挙泥棒を止めろ)」関連投稿を全面排除の方向へ

先週の米連邦議会議事堂での破壊行為の余波を受け、Facebook(フェイスブック)は米国時間1月11日、「Stop the Steal(選挙泥棒を止めろ)」という文言に関連するコンテンツを同プラットフォームから排除するという、一歩踏み込んだ措置に出た。これは民主的な米国の選挙が操作されているという誤った主張に基づく、Donald Trump(ドナルド・トランプ)氏の権力を維持するためなら手段を選ばない右派のキャンペーンで使われるスローガンだ。今や、暴動もその手段に加わった。Facebookは2020年11月、すでに「Stop the Steal」を最初に訴え出した一部の団体を排除し、暴力行為を奨励するなど規約に違反するページ、グループ、イベントの削除を約束していた。

TechCrunchでもお伝えしたが、Facebookは2020年11月の選挙にまつわる陰謀論のハッシュタグ(#sharpiegate、#stopthestealなど)の阻止に踏み切っている。これらを検索しても、結果にグループや投稿は示されない。

だがこうした浄化作戦もFacebookが公言し、我々が期待していたほど大規模ではなく、長続きもしなかった。今これを書いている時点でも、たとえば「Stop the Steal」を公然と訴えるFacebookグループが複数活動している。

Facebookは、今回の強い措置は米国での暴力行為を煽る声の高まりに対処するための判断だと述べている。

「私たちは、選挙結果に関する実のある対話を認めてきましたが、それは今後も継続します」と、Facebookの品位担当副社長Guy Rosen(ガイ・ローゼン)氏とグローバルポリシー管理担当副社長Monika Bickert(モニカ・ビカート)氏の共著によるブログ記事で説明している。「しかし、暴力行為の誘発につながりかねない米国大統領選挙の結果に反対するイベントページを立ち上げようとする今なお止まない試みや、ワシントンD.C.での1月6日の暴力行為でも叫ばれていた文言の使用に関しては、大統領就任式に至るまでの間、この追加措置で対応します」。

「この新しい措置の施行には多少時間がかかることも考えられますが、すでに大量の投稿が削除されています」と彼らは訴えた。

Facebookは、米国の首都で起きた暴動の首謀者たち御用達のプラットフォームと見られることを、明らかに嫌っている。実際、Facebookの最高執行責任者Sheryl Sandberg(シェリル・サンドバーグ)氏は、米国時間1月11日に、Reuters(ロイター)のインタビューに応えて、あの暴動は、Facebook以外のインターネットサービスによって「大半が組織された」と主張している。Facebookは、QAnon(Qアノン)、Proud Boys(プラウドボーイズ)、Stop the Steal関連組織のような怪しいグループによるコンテンツ、および暴力を呼びかけるあらゆるコンテンツを削除してきたと彼女は話している。

規約違反のコンテンツを積極的に削除している大手ソーシャルプラットフォームは、Facebookだけではない。それは、ソーシャルメディアの比較的寛容な方針が、暴力的な抗議行動から、さらにはクーデターや人の殺害の企てを招くという思わぬ結果をもたらしたことへの対処だ。

米連邦議会が大統領の弾劾を検討し始める中、ソーシャルメディア企業には、プラットフォームからトランプ氏排除するところも出てきた。その一方で、それらに対抗するソーシャルネットワークParler(パーラー)に協力するアプリストアウェブサービスのプロバイダーは、Parlerから発信されるヘイトスピーチや暴力を増長している。

Facebookは、少なくとも1月22日までは、リアルタイムで危機を監視し対応できるよう、Integrity Operations Center(品位ある運用センター)に24時間体制でスタッフを常駐させると話している。FBIは、1月20日のJoe Biden(ジョー・バイデン)次期大統領の就任式まで、50の州都とワシントンD.C.で武装抗議行動を企てないよう警告を発したと、今朝、APが報じたが、Facebookが定めた期間は、それに準じたものと思われる。そのためにこの数日間は、Facebookの品位ある運用センターの対応が非常に重要視される。

同センターはジョージア州の決戦投票と、議会の選挙人団による投票の集計よりも前からすでに活動していたが、その活動範囲は、議事堂での抗議活動を受けて拡張されたとFacebookは話している。

さらに同社は今後も法執行機関と協力して、コンテンツの削除、アカウントの凍結、ユーザー個人情報の法的要請への対応を継続するとのことだ。

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(翻訳:金井哲夫)