他記事にも出てきているようにFacebook Homeの人気がいまひとつ上がらない。FacebookのCEOであるMark Zuckerbergが「次世代のFacebook」として投入したものだ。アプリケーションストア分析サービスの報告を見ても、Google Playでのランキングは登場時に話題を集めたとき以来、着実に低下し続けている。Facebook自体のアクティブユーザーは10億を超えているものの、Facebook Homeのダウンロード数は木曜日のアナウンス時点で100万程度であるとのことだった。またAT&TはFacebook Home搭載のHTC Firstの価格を99ドルから99セントに大幅値下げした。
いろいろなデータからわかるのは、Facebook Homeが苦戦を続けているらしいということだ。ユーザー獲得がなかなか進まない状況なのだ。
アプリケーションは、4月12日にGoogle Playで公開された。サポートデバイスはごく限られたもので、HTC One X、HTC One X+、Samsung Galaxy III、そしてGalaxy Note IIだった。HTC Firstには、予めFacebook Homeが搭載され、アプリケーションのリリースと同時に発売されることとなった。少しして、HTC OneおよびGalaxy S4でも利用できるようになった。
予め言っておけば、こうして一部の機種でしか利用できなかったのも普及を妨げる一因とはなったのだろう。
いずれにせよ、Facebook Homeが、ダウンロード可能な国々のストアで最高の成績をおさめたのが4月24日だった。しかしそこから主要マーケットで徐々にランキングを落としてきているのだ。すなわち、まず話題になっているアプリケーションに多くの利用者が注目したものの、癖のあるものであるという情報が広まり、新たに導入しようと考える人が減っていったのだろうと思われる。
App Annieのデータにも、人気上昇と下降の様子が現れている。公開されるとすぐにFacebook Homeはアメリカ国内における全体順位で72位まで上昇した。これが4月の16日だ。4月の23日までには8ヵ国でトップ100入りする成績をおさめた(ノルウェイ、シンガポール、カナダ、デンマーク、オーストラリア、香港、ハンガリー、イギリス)。そしてトップ500には38ヵ国で入り込んでいた。しかしそれから4月末に向けてランクを落とし始め、トップ500に入っているのは29ヵ国で、トップ100を記録している場所はなくなってしまった。
以降、いずれのマーケットでもまだトップ100への返り咲きを果たすことができずにいる。
Distimoの分析でも同様の結果が出ているだ。4月末(4/29)の調査では、Facebook Homeはルクセンブルクにて、最高の83位の位置にいて、ポルトガルでは477位だった。しかしこの段階で既に、ランキングを落としつつあるのだ。
下の表は、Facebook Homeの4月29日段階でのランクと、それが4月24日からどのように変化したかを示すものだ。ランクの変動幅は各国の順位を示すバーの上に小さな数字で記されている。
そしてさらに数日後(5/8)、Distimoは状況がさらに悪くなっているということを発見した。フランス、ドイツ、ブラジル、およびアルゼンチン等の主要国では全体ランキングの500位からも脱落している。
そして上位に位置する国の数はさらに減りつつあるのが現状だ(下の表と上の表では国の数がかなり違ってきていることがお分かりいただけるだろう)。
アメリカ、ドイツ、オーストラリアのみを対象として折れ線グラフにも示してみた。
App Annieの調査でも順位の下落が顕著となっている。5月10日の段階で、Facebook Homeが上位500位に入っている国は19しかない。それらの中における最高位はノルウェイの191位で、トップ100には遠く及ばないような状況となっているのだ。
たいていの国では300位ないし400位あたりにいるようだ。たとえばアメリカでの順位は338位となっている。
復活はあるのか?
このような現状を見る限り、Facebook Homeは「ヒット」とは遠い状況にあるといえるだろう。
少し前にFacebook Homeの状況についてFacebook自体が論じていた中で、「100万程度のダウンロード数」ということをアナウンスしていた。しかしそれはあくまでダウンロード数のことであり、アクティブユーザーの話ではなかった。ここまでに示してきたデータを見る限り、ダウンロード数すらも思い通りに伸びていかない状況となってしまいそうだ。
但し、Homeを使っている人のエンゲージメント率は確かに高まっている。先のFacebookからの発表記事によれば、Homeの利用者の間ではFacebookの利用時間が全体で25%伸びたのだとのこと。細かくみるとコメントや「いいね!」が25%の伸び、チャットの利用率が7%、そしてメッセージの利用率も10%伸びているのだそうだ。
ただ、現段階での目標はダウンロードしてくれる人を増やすことだろう。そしてもちろん、それを使ってもらえるようにしなければならない。Facebookも、もちろんその方向で考えており、アイコンドック(ホーム画面の下部に、よく利用するアイコンを登録しておく機能)を追加したり、Dash Barという機能でチャットの相手を見つけやすくなる機能などを搭載することとした。またこれまでの方針を変更し、ホーム画面の代替物としてではなく、既存システムの上で動作するレイヤー型のアプリケーションとしての方向も目指しているようだ。これにより、利用者がFacebook Homeの導入までに行ったカスタマイズなどが消え去ってしまうこともなくなる。
Facebookの方針転換を含む変更が「間に合う」のかどうかは今後を見てみないとわからない。もしかするとFacebook Homeについてネガティブな評価をしているアーリーアダプターたちが、期待を失い、そして興味をなくしてしまうこともあるかも知れない。
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(翻訳:Maeda, H)