Facebookのダウンの原因は社内のサーバー設定エラーと発表

Facebookは昨日のサービスのダウンに関するレポートを発表した。この障害は異例に広範囲かつ長時間にわたり、Facebook本体だけでなく、Instagram、Messengerも正常に作動しなくなった。

専門家の間では原因をルート・リークに求める意見が多かったが、Facebookによれば、サーバー設定エラーが問題を引き起こしたものという。

昨日、サーバー・コンフィグレーションの設定のアップデートのエラーにより多くのユーザーがわれわれのアプリやサービスにアクセスすることが困難になった。われわれはこの問題を解決し、システムは回復に向かった。多くのユーザーに不便をかけたことをお詫びするとともに、忍耐に感謝する。

何百万というユーザーがこの不調の影響を受け、状況を知り、原因を推測する(あるいは不満を発散させる)ためはTwitterを使わざるをえないことになった。われわれの場合はメールによる情報提供も役立った。

今回のFacebookのダウンはDowndectectorにとって過去最大のケースだった。Downdetector の共同ファウンダーであるTom Sanders氏は次のように述べている。

Downdetectorが2012年にスタートして以来、今回のダウンは群を抜いて最長だった。障害が継続する間にわれわれのサービスには世界のユーザーから750万件の障害レポートが寄せられた。過去これほどの規模の障害を見たことがない。

最初に問題の原因はFacebook内部にあると最初に気付いたのはネットワーク監視サービスだった。ThousandEyesの広報担当者はメールでわれわれにこう書いてきた。

(ダウンの)原因は外部のインターネットや各種のCDNではなくFacebook内部にあると思われる。たとえばわれわれはFacebookから 500件の「内部サーバー・エラー」情報を受け取っている。Facebookの規模および同社がサービスの運営を続けながらアプリからインフラまでさまざまな効率化を試みる体質を考えると、いかに優秀なエンジニアリング・チームであれ、このような大規模な障害を招くことになったことに不思議はない。

われわれは昨日、Netscoutの「障害の原因をBGP(ボーダー・ゲートウェイ・プロトコル)のルート・リークではないか」というと推測を紹介したが、同社は後に考えを変えた。

Netscout Assertチームのプリンシパル・エンジニアのRoland Dobbins氏は広報担当者がメディアに送付したメール中でFacebookのダウン問題に関して、「BGPルート・リークがダウンの原因だという証拠は発見できなかった。部内の意思疎通に問題があったものと思われる」と述べている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

EU競争政策担当委員の提言「巨大ハイテク企業を分割してはいけない、データアクセスを規制せよ」

巨大ハイテク企業の分割は最後の手段であるべきだ。欧州連合(EU)競争政策担当委員Margrethe Vestager(マグレーテ・ベステアー)氏はそのように提言した。

「企業を分割して私有財産を分割すれば、その影響は広範囲に及ぶため、市場の消費者に大きな恩恵を与える確固たる言い分が必要です。王道のやり方では実現できないものでなければいけません」と、彼女は先週末、SXSWで行われた、RecodeのKara Swisher(カーラス・ウィッシャー)氏とのインタビューで警告を発した。「対象となるのは私有財産です。その企業は、彼らのイノベーションを基に築かれ、投資を受け、成功しているのです」

ベステアー氏は、2014年に欧州委員会で独占禁止法問題を担当するようになってから、数々の大規模な(しばしば高額の罰金を科すなど)介入を行ってきたことから、さらに今でもGoogleに対して際だった捜査を大々的に続けていることから、巨大ハイテク企業が恐れる存在として高評価を得てきた。

しかし、欧米各国の市場の(米国大統領候補と噂される著名な人物を含む)野党政治家たちが、テクノロジーに厳しいとされるこの欧州委員会議員と対立する形になった。彼女は、市場を歪めている巨大ハイテク企業をハンマーで叩き潰すのではなく、データの流れにメスを入れるべきだと主張しているのだ。

「企業を分割するという非常に大胆な提案は、私たち欧州の観点からすれば最後の手段です」と彼女は言う。「今、私たちが取り組んでいるのは、独占禁止法に関わる問題です。独占的地位の乱用、製品の抱き合わせ販売、自己宣伝、他者の妨害などに対して、独占禁止法のアプローチが適切か、それが市場を、独占的地位を乱用する者がなく、小さな企業もフェアに競争できる公正な場所にするかどうかを見るためです。なぜなら、その小さな企業が次なる大物に成長し、消費者に素晴らしいアイデアをもたらす次なる大企業になるかも知れないからです」

彼女はまた、市場の不均衡を是正すると自身が信じる、公正さに焦点を当てた介入の実例として、欧州の主要政治機関の間で先月交わされた、オンラインプラットフォームの透明化に関する規制の合意を挙げた。

巨大ハイテク企業に関連する問題に規制当局が本来集中すべきは、デジタル産業の調査や、市場がどのように運営されているかを詳しく知るための聞き取りなどだと彼女は言う。慎重で入念な調査によって、合理的でデータに基づく捜査方法が形作られるという。

とは言うものの「Googleの分割」には、政治的な宣伝文句としてインパクトがある。

ベステアー氏が独占禁止法問題の担当責任者でいられる期間は間もなく終わる(欧州委員会での任期が今年で終了する)。11月1日でこの部門のトップではなくなると彼女は話している。だが、少なくとも暫定的に、欧州委員会委員長の候補者名簿に名前が残されている。

委員は以前、巨大デジタル企業をコントロールするのか分割するのかという議論の中で、データアクセスを制限するという興味深い選択肢を示している。

そしてすでに、欧州の一部の規制当局はそちらの方向に傾いている。ドイツ連邦カルテル庁(FCO)は先月、Facebookに対して同社のサービスでのデータの使用量を制限する決定を下したと発表した。FCOのこの動きは、FacebookにInstagramやWhatsAppなどの事業部門の分離や売却を強要することなく、データレベルで内部分割させるのと同じ効果があると言われてきた。

そのため、Facebookの創設者Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が、つい先週、その3つのサービスを技術レベルで統合するという大規模な計画を発表したことには、さして驚かなかった。暗号化コンテンツへの切り替えを宣伝しているが、「プライバシー保護」のためにメタデータを統合するという。そこには、製品レベルでの内部のデータの流れを分離してコントロールしようとする規制当局の目論見に対抗するために、帝国を再構築しようという意図が透けて見える。

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大笑いだ。Facebookは、InstagramとWhatsAppとFacebookのすべてのデータを統合するが、暗号化するのはFacebookのメッセージのコンテンツデータだけ(メタデータは含まれない)。それをプライバシーを保護したパッケージとして販売する。宣伝の大傑作だ。メディアは騙される。

現時点で、競争政策担当委員会は、Facebookやその他のソーシャルメディアの公式な調査を発表していないが、当委員会は、ソーシャルメディアの巨人たちのデータの使い方に目を光らせていると、ベステアー氏は話していた。

「私たちは、ソーシャルメディア、つまりFacebookの上空に浮かんでいる感じです。そうした目的にデータをどう使うのか」と彼女は話す。同様に、Amazonの商品データの使い方についても予備調査を行っていると警告した(これもまだ公式な調査ではない)。

競争規制全般において、「論議が本当の意味で活発になってきたのは、よいことです」と彼女は言った。「以前、国会議員たちを訪ねて話をしたとき、競争によって社会はどのような恩恵を受けるのかといった、新しい興味や関心を感じました。なぜなら、公正な競争があれば、私たちは消費者としての役割を果たし、市民に奉仕する市場が作れるからです。市民が市場に奉仕するのではありません」。

Facebookが突然プライバシー「重視」に切り替わったことを、個人的に信用するかどうかを尋ねると、その発表が本当の意味での哲学と方向性の変化を示すものであり、Facebookのビジネス慣行を改善させるものであるなら、いいニュースだろうとベステアー氏は答えた。

しかし、今の時点ではザッカーバーグ氏の言葉を素直には受け取れないと彼女は言う。あれほどの長期間、プライバシーを軽視し続けた歴史を持つ企業が、誠実な方向に舵を切ったなどと信じられるかと強く迫るインタビュアーのウィッシャー氏に対して、彼女は「それを最良の事態だと思えるまでには、長い時間がかかります」と丁重に答えた。

巨大ハイテク企業に少ない税金

インタビューは、巨大ハイテク企業が税金をほんのわずかしか払っていない問題に及んだ。

デジタル産業が従来産業と比べて公平な税を負担できるように、グローバルな税制を再構築することが「急務」だとベステアー氏は話す。EU加盟国同士の合意が不十分であるため、他所から口を挟まれるような委員会の提案に抵抗して、一部の国は独自の基準を前面に出していることを彼女は強調した。

今年、フランスが巨大ハイテク企業に課した税額は「絶対に必要であるが残念だった」とベステアー氏は言っている。

「比較できるように計算すると、デジタル企業の平均税率は9パーセントであり、従来企業の平均税率が23パーセントであることがわかります」と彼女は言う。「しかし、どちらの企業も、資本、優秀な従業員、ときとして同じ消費者を巡って行われる競争で成り立つ同じ市場にいます。従って明らかに不公平です」。

委員が望むのは、現在の不公平な税負担を解消したい思うEU加盟各国からの「圧力」により、「欧州が一丸となった方針」に向けた力が生まれることだ。そのためには、国ごとに異なる税制を早急に改めなければならない。

彼女はまた、欧州は、経済協力開発機構(OECD)にも「そこを押してほしい」と強く願っていると言う。「なぜならOECDは、世界各地の関の高まりを感じているからです。米国側の動きにもです」

税制改革が、巨大ハイテク企業と社会の間の不公平を是正するのがいいのか、それとも規制当局は「次の世紀まで」巨大ハイテク企業に罰金を科し続けるのかとウィッシャー氏は疑問を呈した。

「違法行為があれば罰金を科します。事業を行う際には、税金を払って社会に貢献します。これらは別物であり、確実に、どちらも必要なのです」とベステアー氏は答えた。「しかし、大半の企業は社会貢献をしているのに、一部の企業だけしないというのは許されません。なぜなら、このようなことが続けば、市場での公正を欠き、市民にとっても不公平だからです」

彼女はまた、巨大ハイテク産業の族議員の優位性(プライバシー規制を声高に叫べば、ファンドのコンプライアンスが容易になるので巨大企業には有利になる)についても手短に語った。欧州の一般データ保護規制(GDPR)には「いくつもの区分」があるので、大企業も中小企業もひとくくりに同じ条件を突きつけるわけではないという。

もちろん中小企業は「Googleと同じ義務を負うことはありません」とベステアー氏は話す。

同意と謎めいた利用規約における消費者の権利問題への大きな不満を挙げながら、「そのほうが楽だと感じれば、彼もうまくやれるでしょう」と彼女は付け加えた。

「なぜなら、利用規約に同意したとき、いったい何に同意したのか、私もまだはっきりとわからないからです。『なるほど、私がこれにサインをすれば、私は完全に満足できる』と言える市民であればよかったと思います」

しかし、欧州のプライバシーの権利が意図したとおりに完全に機能するまでには、まだ長い道のりがあることを彼女は認めている。消費者個人が、法で与えられた権利を行使するのは、まだまだ非常に困難だ。

「私は、自分の個人データがあることを知っていますが、その所有権をどのように行使したらよいかはわかりません」と彼女は言う。「イノベーションのために、市場への新規参入企業を支援するために、自分のデータを多くの人に使って欲しいと思ったとき、どのように許可すればいいのか。もしそれが大規模に行えるようになれば、私たちは自分自身を完全に晒すことなく、有用なデータだけを市場にインプットできます」と彼女は話す。

データフローに課税するアイデアや、巨大ハイテク企業に歯止めをかけるその他の方法について尋ねると、自分の個人情報を法人が利用したときに、その人が価値を引き出せるようにする仲介市場がヨーロッパに生まれてきていると、ベステアー氏は話した。これは、データフローに文字通り課税するのではなく、自分から持ち去られた個人情報の価値の一部を、消費者が取り戻すという考え方だ。

「ヨーロッパではまだ誕生期ですが、自分の個人データの所有権が確立された今、いわば自分の情報を金銭に換えられる仲介市場が発展しつつあります。自分のデータを金銭に換えるのは、巨大ハイテク企業ではありません。自分のデータが渡される度合いに応じて、毎月まとまった料金が支払われるようになるかも知れません」と彼女は言う。「これもひとつの好機です」

また彼女は、「膨大な量のデータが市場参入を阻むことがないよう」にする方法を委員会は探っていると話した。つまり、新規参入企業のイノベーションのためのバリアだ。巨大ハイテク企業が蓄積した膨大なデータがAIの研究開発に大いに貢献していることを考えると、そのバリアは重要になる。

もうひとつ興味深い会話があった。ベステアー氏は、音声インターフェイスの利便性が競争上の難しい課題をもたらしたという。その技術は、多くの選択肢を与えない機関銃のようなQ&A形式の対話を用いることで、市場のパワーを自然に集められるからだ。

「本当に唖然とさせられてしまうものに、音声では選択肢がないということがあります」と彼女は言う。音声アシスタントの原動力となる部分は、ユーザーのあらゆる質問に対して、複数の提言をしないように作られているというのだ。「その状態で、音声検索は競争ができるでしょうか?これが市場をどう変えるのか、私たちはそのような市場とどう向き合えばいいのか。解明しなければならない問題です」

ここでも彼女は、選択肢を示さないインターフェイスを改善する有効な道筋として、規制当局は背後のデータの流れに注目していることを告げた。

「私たちは、データへのアクセス方法がどのように市場を変えるかを解明しようとしています」と彼女は言う。「データを抱え込んでいて、イノベーションのためのリソースも抱え込んでいる人が、他人にデータへのアクセスを許すでしょうか。だから、巨大企業にはノベーションが期待できないのです」。

今から10年後のテクノロジーの世界で考えられる最悪の事態とは何かと尋ねられると、彼女は「テクノロジーは揃っていても、社会的に有益な見通しや方向性がない」状態だと答えた。

反対に、議員として最善の未来は「課税と、データアクセスの規制に十分な措置をとり、公正な市場を築く意思を持つこと」だという。

「私たちはまた、テクノロジーの発展に貢献する新しいプレイヤーの登場を見守る必要があります」と彼女は強調した。「なぜなら私たちはこれからも、量子コンピューターで何が起きるのか、ブロックチェーンで何が起きるのかを見守り、それらの技術が実現したときに、みんなの役に立つ新しい利用法は何かを考えてゆく必要があるからです。そこにはたくさんの希望があると、私は思っています。ただし、私たちの民主主義がそれに方向性を与えた場合に限ります。そうして初めて、有益な結果が得られるのです」。

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(翻訳:金井哲夫)

Facebookは人権侵害する国にデータを保管しない、ただしシンガポールを除く

Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が3225ワードにわたる長文のブログ記事で、人権の守られていない国にはデータセンターを建設しないと宣言して間もなく、彼は約束を破った。

彼はシンガポールを例外扱いすることを選んだ。Facebookのファウンダーはわずか数ヶ月前の投稿で、「全員にサービスを提供」するために、同社にとってアジア初のデータセンターをこのミニ国家に作ると宣言した。

ザッカーバーグ氏は明快だった。「世界中に基盤を構築していく中で、われわれはプライバシーや表現の自由などの人権を侵害した歴史のある国にはデータセンターを置かないことに決めた」

シンガポールについて知られていることが2つあるとすれば、プライバシーも表現の自由もないことだろう。

その華やかさと経済力をよそに、シンガポールの人権の歴史は国際的認識のはるか下を行っている。人口500万人のこの国は人権団体による世界ランキングで最下位に近く、それは言論、表現、集会の自由に反対する圧政的法律と、 拡大する監視社会の元でのプライバシー権利の制限などが理由だ。さらに悪いことに、この国はLGBTQ+コミュニティーに対する残虐な扱いでも知られており、彼らの行動は極度に制限され、公衆でのあらゆる行動や表現は犯罪とみなされている。メディアさえも厳重な監視を受け、政府による懲戒や名誉毀損訴訟による脅迫が後を絶たない。

国境なき記者団は、シンガポールを「不寛容な政府」を持つ国であると言い、ヒューマン・ライツ・ウォッチはこの国の制限の厳しい法律を「ドラコンのように過酷」であると評している。

われわれはこうした指摘をFacebookにぶつけてみたが、同社はザッカーバーグ氏の発言が矛盾するとも偽善であるとも見ていない。

「データセンターをどこに新設するかは多段階のプロセスであり、再生可能エネルギー、インターネット接続、地元の強力な人材資源など、何十種類もの要素を考慮しなくはならない」とFacebookの広報担当者Jennifer Hakes氏は言った。「しかし最重要な要素は、その設備に保存されたあらゆるユーザーデータを、われわれが確実に守れることだ」

「これはザッカーバーグ氏が先週の投稿で強調した重要な点だった」とHakes氏は言った。「我々はシンガポールについてこれらの要素を慎重に検討した結果、アジア初のデータセンターに適切な場所であるという結論を下した」

皮肉なことに、Facebook自身のプラットフォームは、シンガポール政府によるよる口うるさい反対者の取締りの標的になっている。活動家のJolovan Wham氏は、Facebookページで 集会を組織した後に投獄された。集会許可申請が却下されたため、Wham氏は連絡手段をSkype通話に切り替えた。

Facebookに、どんな場合にある国の人権を容認できないのか尋ねたところ、ザッカーバーグ氏の投稿を再度指し示しただけだった。

シンガポールは今でもIT業界とビジネスにとって重要な拠点であり(特に欧米企業にとって)、そのため日頃プライバシーと言論の自由への強い意志を強調している会社も、人権を捨ててきた。AmazonMicrosoftGoogleDigitalOcean, Linode、およびOVHの各社はいずれもこのミニ国家にデータセンターを置いている。

しかし、現時点で人権の歴史に汚点のある国にデータを保存しないと公約しているのは1社だけだ。

なぜFacebookはシンガポールを例外にしたのか?これはザッカーバーグ氏にしかわからない謎だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

FacebookとInstagramの世界的なダウンはBGPのルート・リークが原因か

昨夜から世界的にFacebookファミリーのサービスで不調が続いている。セキュリティ企業の一部は、大きな原因はBGP(ボーダー・ゲートウェイ・プロトコル)の「ルート・リーク」によるものだろうと推測している。

トラフィックを最適な経路で送受信するためのルーティングはこのBGPに大きく依存している。BGPはルーティング・ポリシーを共有する大規模なネットワーク(AS、自律システム)間でのトラフィックの経路を規定するプロトコルだ。これには不正または悪意があると認定されたアドレスが送信されないようにする機能がある。しかしときおりミスが起きるのは避けられない。不正なデータが混入するとルート・リーク(route leak)と呼ばれる状態が出現する。これはトラフィックを混乱させ、大規模なサービスのダウンを引き起こすことがある。

BGPルート・リークが起きるとルーティング宣言は不正なものとなり、パケットの送信者、中継者、受信者という経路のどこかで拒否されることになる。これがFacebookのダウンを起こしている原因だという。NETSCOUTのプリンシパル・エンジニア、Roland DobbinsはTechCrunchに対してメールで以下のように説明した。

2019年3月13日午後12時52分(東部標準時)ごろ、 ヨーロッパのISPの一つからメジャーISPにトラフィックを送信する際にBGPのルーティング・リークが起きたもようだ。この不正が順次下流に拡大し、アクセス待ち時間の増大などエンドユーザーにも認識できる問題が生じはじめた。

ただし専門家もすべて意見が一致しているわけではない。テュレーン大学の客員教授であるTom Thomas氏はBGPのルート・リークが原因だという考えに反対して次にように述べている。

ルート・リークは今回のFacebookのダウンの原因の一つではありえる。ルーターが「リーク」を起こして不正なデータを送出するようになるとその被害は甚大なものとなる。

ただし、BGPは基本的に静的なプロトコルだ。つまり一度セットアップされるとその後ほとんど書き換えらえることはない。むしろ原因はサービスの効率を高めるための各種のヘルスチェックを含む最適化プログラムのエラーにあるのではないか。あくまで推測だが、今日のダウンは高レベルでビジネスを制御するプログラムのコードのバグによるものだと思う。Facebookが所有するいくつものサービスにまたがって不調が起きているということは、多数のサービスの処理を効率化し、中央集権化しようとする試みの中に根本的な原因があることを推測させる。

Facebookファミリーで水曜日の大部分の時間ダウンしていた。

これまでのとこところはっきりした情報は出ていないがインターネットは(当然だが)大混乱に陥っている。

FacebookはTwitterで問題が起きていることを認めている。TechCrunchでは新たな展開があり次第アップデートする。

ソーシャルメディア管理ツールのNaytevもダウンを確認している。「Facebookは大規模な障害に直面しており、Facebookへの投稿、Naytevへのログインが困難になっている。われわれは全力を挙げて情報を収集している。Facebookがこの問題を一刻も早く解決することを強く期待する」とユーザー向けページで述べている。

ダウンが長引くにつれ、 FacebookではTwitterでネットに流れているいくつかの情報に回答し始めた。たとえば、Facebookは「ダウンの元原因はDDoS(分散サービス拒否)攻撃だ」という噂を根拠ないものとして否定している。

【編集部注】日本時間3月14日午前10時40分現在、デスクトップ・アプリではログインできるもののコンテンツが表示されないなど深刻な不具合が起きている。モバイルアプリではやや程度は軽いもののエラーが表示される状態が続いている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

エリザベス・ウォーレン上院議員がGoogle、Amazon、Facebookの分割を提案

大きな影響力を持ち、米大統領候補ともされているマサチューセッツ州選出のElizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)上院議員は、AmazonGoogle、Facebookによる経済力の統合には以前から批判的だった。そして今、彼女はそれらの企業の分割を提案し、それを大統領選の柱のひとつにしようと考えている。

彼女は、民主党指名候補を決める大切な時期を狙って、この大手ハイテク企業の分割案を持ち出したように見える。Al Gore(アル・ゴア)氏が、あの有名な(悪名高い?)「インターネットを発明」したとき以来、民主党候補はハイテク企業への規制強化からは目をそらしてきた。むしろ、そうした企業から選挙戦への協力を得たいと考えている。

Googleとその元CEOであるEric Schmidt(エリック・シュミット)氏からの献金は、オバマ大統領の選挙戦では大変に重要な存在であり、大手ハイテク企業は、最大の支援者に数えられていた。

しかし今、ウォーレン議員は、Google、Facebook、Amazonが市場に及ぼしている巨大な支配力は脅威であり、それなりに対処しなければならないと(Mediumにてはっきりと)発言している。

「25年前、FacebookもGoogleもAmazonも存在していなかった。今ではそれらは、世界で最も価値が高く有名な企業となっている。それは素晴らしい話だが、政府が独占企業を分割し、市場の競争を促進させなければならない理由も明らかにしている」

彼女が自らの主張を支える実例として持ち出すのは、マイクロソフトの分割だ。なぜか彼女はマイクロソフトを「当時の巨大ハイテク企業」と呼ぶ(今でもマイクロソフトは巨大企業だ)。彼女はそれを、政府がハイテク産業と直接対峙した最後の例として大切にしているのだろう。

「政府のマイクロソフトに対する独占禁止法の適用が、GoogleやFacebookのようなインターネット企業に道を拓く手助けとなった」とウォーレン議員は書いている。

だが今度は、マイクロソフト問題の余波から発展した企業が力を持ちすぎたと、彼女は主張する。

「彼らは競合他社をブルドーザーで排除し、私たちの個人情報で利益を得て、他の企業の活躍の場を歪めてしまった。その過程で、彼らはスモールビジネスを痛めつけ、イノベーションを封じ込めた」と彼女は書いた。

ウォーレン議員のアイデアの鍵となるのは、全世界での年間収益が250億ドル(約2兆7840億円)を超える企業を対象とした法律を通すことだ。それは、プラットフォームを「公共プラットフォーム」として、市場、取り引き、第三者に接続性を提供させ、それらの企業が自社プラットフォームの参加企業を所有することを禁ずるというものだ。

この網には、今のところAlphabetとAmazonも引っ掛かる(Facebookは無傷なのだろうか?)。この法案では、ユーザーに対する公平で差別のない使用基準が定められている。さらにプラットフォームは、ユーザーの個人情報を第三者に渡すことを制限している。

収益が250億ドルに満たない企業の場合は、公正な使用基準に従うよう求められる。

ウォーレン議員は、州検事総長と民間団体に、この要件に関する違反行為があったプラットフォームを訴える権利を与え、政府はこの新法に違反した企業には、年間収益の5パーセントの罰金を科せるようにしたい考えだ。

彼女はこうも指摘している。「Amazonマーケットプレイス、Google Ad Exchange、Google検索は、この法律の下では公共プラットフォームと見なされる。そのため、AmazonマーケットプレイスとAmazonベーシック、Google Ad Exchangeとそれを利用する企業は分離されなければならない。Google検索も切り離す必要がある」

彼女のアイデアにはパート2がある(こちらはもっと過激だ)。ウォーレン議員が反競争的と見なした買収を撤回させるとができる政府の監視機関を設けることだ。Amazonの場合、Whole FoodsとZapposを切り離さなければならなくなる。Alphabetの場合は、Googleが買収したWaze、Nest、DoubleClickを手放すことになる(YouTubeはいいのか?)。Facebookは、WhatsUpとInstagramを分割しなければならない。

「これらの合併の解消により、市場での健全な競争が促進される。それは、プライバシーを始めとするユーザーの不安にもっと気を配るよう、巨大ハイテク企業に圧力をかけることになる」と彼女は書いている。

ウォーレン議員の規制の提案は、ハイテク産業にとっては一大事だ。それは、市場を独占したことで生じた問題を、単なるリップサービス以上の行動で対処せよと、巨大ハイテク企業に警鐘を鳴らす意味もある。

さらに彼女はこう書いている。

私たちは、自分の個人情報がどのように収集され、公開され、売り渡されるかを自分で管理できる権限を人々に与えなければならない。それは、すでに私たちのデータを大量に保有している企業の、競争上の大幅な優位性を固定させない形で行う。

私たちは、アメリカのコンテンツ・クリエイター(地方新聞から全国誌、コメディアンからミュージシャン)を支援しなければならない。彼らのコンテンツが生み出す価値をさらに高めるのだ。GoogleやFacebookなどの企業にかすめ取られるのを黙って見ていてはいけない。

そして、ロシア(または他国の権力)がFacebookやその他のあらゆる形態のソーシャルメディアを利用して選挙に影響を与えることを許してはいけない。

どれひとつを取っても困難な問題だが、競争を促進させるための一歩一歩から得られる恩恵は、それぞれの重大な問題の改善を助ける力ともなる。競争相手が増えれば、消費者やコンテンツ・クリエイターの選択肢も増える。そして、Facebookなどの企業には、自身の事業における顕著な問題に対処するよう、さらなる圧力となる。

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(翻訳:金井哲夫)

Facebook広告チームがエリザベス・ウォーレン上院議員の選挙広告削除で墓穴

Facebookの広告部がまたやらかした。今回はエリザベス・ウォーレン上院議員の、巨大IT企業の分割を提案する選挙広告を撤去した。

その攻撃的広告が削除された理由は、Politicoによると、広告内でFacebookブランドが使われていたかららしい。

一方、同議員の大統領選挙陣営による、Facebook、Amazon、およびAlphabet(Googleの親会社)による数多くの買収を解消させる計画に関する広告はFacebookから削除されていない。

実際、削除は短時間だったようだが、ウォーレンの選挙運動には反発材料を与え、数多くのニュース見出し、ツイート、リツイートのネタになった。

「当社企業ロゴの利用規約に反していたため当該広告を削除した」とFacebookの広報担当者がBuzzfeedRyan Macに語った。「活発な議論を可能にするために、広告を再掲載した」。

Facebook広報チームはよくやった。報道によると問題の広告にはFacebookロゴが入っていないというからなおさらだ。

しかし、ダメージはすでに始まっている。巨大IT企業は情報伝達方法に強大な力を持ちすぎている(特に自社プラットフォームでは)というウォーレンの主張に格好のネタを与えてしまった。

これは些細な出来事かもしれないが、巨大テクノロジー企業の私欲と自社プラットフォームでコンテンツを規制する能力が、広告においてさえも、言論の自由への圧力となることに対して、さまざまな立場の態度を硬化させることになるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookの追悼アカウントに感謝の言葉を残せる機能が加わる

Facebookは、追悼アカウントに人々がメッセージを残すことを可能にする、新しい「トリビュート」(感謝の言葉)セクション機能を公開した。

トリビュートセクションはアカウントの通常のタイムラインとは分離されている。追悼アカウントのプライバシー設定にもよるが、故人の友人たちは、いまでもタイムラインに投稿することができている。しかし、もし追悼アカウントがトリビュートセクションを持つ場合には、アカウントが追悼アカウントになった(それ以降誰もアカウントにログインすることはできなくなる)後に行われた投稿は、すべてそこに置かれることになる。

自分の死後にアカウントを管理して貰えるように、「追悼アカウント管理人」をすでに指定していた人の中には、本日新しい機能の通知を受け取った者がいる。その通知には「もしあなたのアカウントが追悼アカウントになったら」という婉曲的な表現が書かれていた。

Facebookのヘルプセンターのページには、新しいトリビュートセクションに関して以下のように説明されている:「友人たちや家族がストーリーを投稿したり、誕生日を偲んだり、思い出を共有したりすることができる、追悼プロフィール上のスペースです」。

「追悼アカウント管理人」は、トリビュート投稿に対しては、追悼アカウントの他の部分よりも大きな権限を有している。例えば、管理人は誰がトリビュートを見たり投稿したりすることを決めることが可能であり、また投稿を削除することもできる。また、死亡した人がタグ付けされている投稿を閲覧できる人を変更したり、タグを削除したりすることもできる。

アカウントがタイムラインレビューを有効にしていた場合、追悼アカウント管理人は、それをトリビュート投稿に対しては無効にすることができる。アカウントが追悼アカウントになった後に、そのタイムラインに対して行われた投稿はすべてトリビュートセクションに分離される。

この機能のヘルプページには、「私たちは、与えられた情報に基づいて、タイムラインへの投稿からトリビュートへの投稿を分離するために最善を尽くしています」と書かれている。

なお追悼アカウント管理人は、相変わらず、追悼対象のアカウントにログインしたり、プライベートメッセージを読んだり、友人を削除することなどはできない。

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(翻訳:sako)

Facebook、Workplaceの有料ユーザーが200万人に達したと発表

Slackが株式公開し、今や8万5000社、1000万人のアクティブユーザーが日々、Slackで従業員同士のコミュニケーションを促進している中、Facebookは2月28日、自社のサービスのWorkplaceに関する最新の数字を発表した。Workplaceはエンタープライズに特化したプラットフォームで、Facebookはこのサービスの有料ユーザーが200万人に達したとしている。この人数には、非営利団体と教育機関が無料で使えるWorkplace for Goodの利用者は含まれておらず、この無料ユーザーを加えれば「もっと膨大な」人数になると同社は言うが、具体的な人数は公表していない。

Workplaceの利用料金は、最も低価格なもので、1ユーザー、1カ月につき3ドルで、従業員数が5000人を超える企業にはその都度価格が設定される。Workplaceは2016年10月にスタートし、2017年10月から有料サービスを開始している。

フラッグシップであるFacebookは20億人以上の月間アクティブユーザーを擁する大規模なサービスだが、同社はWorkplaceを大規模なエンタープライズ向けのツールとしてかねてよりプッシュしている。同社によれば現在、150社以上で、それぞれ1社あたり1万人以上のユーザーがWorkplaceを利用しているという。

Workplaceを利用している企業には、従業員数が世界最大のWalmart(ウォルマート)のほか、Nestle(ネスレ)、Vodafone(ボーダフォン)、GSK、Telefonica(テレフォニカ)、AstraZeneca(アストラゼネカ)、Delta Airlines(デルタ・エアライン)などがある。

このような数値で成長を語るのはFacebookの戦略である。Slackが測定している数字とはかなり異なるので、比較することも、Slackの方がはるかに大きいと主張することも難しい。ただ同時に、Workplaceがエンタープライズユーザーの分野で成功していることも明らかになっている。SlackやTeamsなどこの分野における競合企業も、エンタープライズでの成功を狙っている。エンタープライズは利益の上がるセグメントだ。大きな経常収益を生み出すことに加え、いったんサービスの利用を開始すればなかなか解約しないケースが多い。

Workplaceはここ数年、Facebookの基本的な機能だけでなく、Workplaceが直接競合する他のエンタープライズ向けコミュニケーションサービスの機能も、Workplaceのプラットフォームに追加しようと努力してきた。多くの重要なアプリとの連携も実現してきたが、Slackで連携できるサービスの数にはまだほど遠い。

公開されている数字はWorkplaceユーザーの総数ではないが、Facebookが広告ベースのコンシューマーサービスとはまったく別の収入源としてこの製品を推進し続けていることを示す数字でもある。

2018年末にFacebookは、3年前にMicrosoftからFacebookに移った(すなわちエンタープライズソフトウェアをよく理解している)Karandeep Anand氏をWorkplaceの新しいトップに任命した。Karandeep氏はJulien Codorniou氏とともに製品の技術開発にあたり、Codorniou氏は販売、顧客対応、事業開発を担当する。

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(翻訳:Kaori Koyama)

FacebookにFTCが数十億ドルの罰金を課す可能性

Washington Postによると、FacbeookのFTC(連邦取引委員会)との争いは、同委員会史上最高額の罰金という結末になる可能性がある。交渉継続中と見られるなか、同紙は本件に詳しい筋2名から、FTCがFacebookに対して「数十億ドル規模の罰金」を課すという情報を得た。これは2016年の排ガス不正の際にVolkswagenと合意に達した 147億ドルの和解に匹敵する。

2012年にGoogleは、プライバシー規則違反でFTCと和解するために過去最高の2250万ドルを支払ったが、今日の基準では微々たる額だ。以前本誌が報じたように、FTCのその程度(あるいはその数倍)の罰金は、昨年わずか一四半期で130億ドルを稼ぎ出した企業にとっては容易に受け流せる金額だ。Facebookに億単位の罰金を課すことは、数百万ドルくらい一時の頭痛にしか感じない裕福な会社に罰を与える唯一の方法だ。

FacebookにFTCとの交渉状況について尋ねたところ、規制遵守に関するお決まりの文章を繰り返しただけだった。「われわは米国、英国その他の当局に協力している」とFacebook広報はTeChCrunchに伝えた。「当社は一般市民の証言を提示し、質問に回答し、当局の作業が続く限り協力することを約束した」

FTCがFacebookに記録的罰金を課す立場を固守すれば、Facebookは法廷で強く抵抗し、膨大な資金をつぎ込んで将来にわたって会社に影響を与える罰を避けようとするに違いない。このとてつもない金額はFacebookの最近のプライバシー違反の大きなシンボルとなり、たとえ実際に罰金が払われなくても、Facebookが何らかの透明性を担保し基準を明らかにするきっかけになるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

欧州の研究者団体がFacebookに政治広告の透明性を調査できるAPIを要求

Facebookは、そのプラットフォーム上で政治広告がどのように拡散し増幅してゆくかを調査可能にするAPIを、誠実な研究者に提供するよう求められている。

Mozillaが率いる欧州の学者、技術者、人権団体、デジタル権団体の連合は、5月に行われる欧州議会選挙の前に、政治的な宣伝の拡散と増幅の様子がわかるようFacebookにその透明性の拡大を要求する公開書簡に署名した。

我々は、この公開書簡に対するFacebookの反応を探った。

Facebookは、それ以前に、欧州において独自の「選挙セキュリティー」基準を設けることを発表していた。具体的には、政治広告の承認を行い透明性を持たせるというものだ。

元欧州議会議員でありイギリスの副首相を務めたこともあるFacebookの新しい国際広報担当責任者Nick Cleggは、翻訳された政治ニュースが同社のプラットフォーム上でどのように配信されるかを人間の目で監視するオペレーションセンターを、来月にもEUに複数ある中のアイルランドの首都ダブリンにあるセンターに立ち上げ、運営を開始すると先月発表した。

しかし、公開書簡に署名した人々は、Facebookが盛んにPRする政治広告の透明性に関する基準は甘すぎると主張している。

さらに彼らは、Facebookがとってきたいくつかの手順が、同社が断言する政治広告の透明性を外部から監視しようとする取り組みを拒んでいると指摘している。

先月、ガーディアン紙は、Facebookが同社のプラットフォームに加えた変更により、政治広告の透明性を外部から監視できるよう求める団体WhoTargetsMeの、同プラットフォームでの政治広告を監視し追跡する行動が制限されたと伝えた。

イギリスを本拠地とするその団体は、公開書簡に署名した30を超える団体の中のひとつだが、彼らが言うところの「貴社のプラットフォームでの宣伝の透明性を高めるためのツールを構築しようとする誠実な研究者への嫌がらせ」を止めるよう訴えている。

署名した団体には、Center for Democracy and Technology、Open Data Institute、国境なき記者団も含まれている。

「Facebookユーザーに用意された広告を透明化するツールへのアクセスを制限することは、透明性を低下させ、政治広告の分析に役立つツールをインストールするというユーザーの選択を奪い、貴社プラットフォーム上でのデータの評価を目指す誠実な研究者を支配下に置くことである」と彼らは書いている。

「貴社がこうしたサードパーティー製ツールの代わりに提供しているものは、単純なキーワード検索機能であり、それではレベルの浅いデータにしかアクセスできず、有意義な透明性をもたらすことはできない」

この書簡は、Facebookに対して「高度な調査と、EUのFacebookユーザーに向けられた政治広告の分析ツールの開発を可能にする、実用的でオープンな広告アーカイブAPI」を公開するよう求めている。そしてその期限を、欧州議会議員選挙の前に外部の技術者が透明性ツールを開発する時間が得られるよう、4月1日までと定めた。

書簡の署名者らはまた、政治広告が「他の広告と明確に区別」できるようにすること、さらに「広告主の身元やEU加盟国全体で同プラットフォームに支払われた金額など、鍵となるターゲティング・クライテリア(設定)」を添えることをFacebookに求めた。

昨年、イギリスの政策立案者たちは、ネット上のデマが民主主義にどれほどの影響を与えるかを調査し、政治広告のターゲティング・クライテリアに関する情報として何をユーザーに提供しているのかを教えるようFacebookに圧力をかけた。また、政治広告を完全に拒否できる手段をなぜユーザーに与えないのか問いただした。FacebookのCTO、Mike Schroepferは、明確な答を出せず(あるいは出そうとせず)、代わりにFacebookが提供すると決めたデータのほんの一部を繰り返すことで質問をかわす作戦に出た。

1年近く経過した今でも、欧州市場の大半のFacebookユーザーは、政治的透明性の初歩的な段階すら与えられていない状況だ。同社は自社の規定を採用し続け、対応はマイペースだ。困ったことに、「透明性」の定義(つまり、ユーザーにどこまで提示するか)も自分で決めている。

Facebookは、昨年の秋、イギリスにおける政治広告に関して、「広告料の支払者」の提示機能を加え、広告はアーカイブに7年間保管されることを発表するなど(非常に簡単に回避できることを示されて検証方法を見直すはめになったが)、独自の透明化対策の一部を適用し始めた。

今年の初めには、Facebookは、アイルランドでの中絶を巡る国民投票の間、一時的に海外団体が出資する広告の掲載停止も行っている。

しかし、地方選挙など、その他の欧州での選挙では、表示された政治広告に関して、または誰が広告料を支払っているのかといった情報がユーザーに示さないまま、Facebookは広告の掲載を続けていた。

EUの高官は、この問題を注視していた。先月末、欧州委員会は、先月発表された政治的偽情報に対する自主規制の実施に署名したプラットフォームや広告代理店からの進捗状況を知らせる月間報告の第一号を12月に発表した。

欧州委員会によれば、とくにFacebookには、消費者エンパワーメントのためのツールをどのように展開するか、さらに、どのようにしてEU全域のファクトチェッカーや調査コミュニティーとの協働を強化してゆくかについて「さらなる明確性」を求めた。とくにジュリアン・キング委員は、外部の研究者へのデータアクセス権の提供をしなかった企業としてFacebookを名指ししている。

本日(米国時間2月12日)送られた学者や研究者からの公開書簡は、Facebookの最初の消極的な対応に対する欧州委員会の評価を援護するものであり、翌月の月次評価に向けて力を添えるものとなる。

欧州委員会は、プラットフォームが政治的偽情報の問題に自主的に取り組む努力を拡大できないのであれば、法制化の可能性もあると警告を出し続けている。

プラットフォームに自主規制を迫ることには、もちろん批判的な人もいる。彼らは、それを行っても、強大な力を持ちすぎたというプラットフォームの根本的な問題には、そもそも対処できないと指摘している……。

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この書簡は左派でリバタリアニズムがどう働いているかを示している。Zuckerbergに彼の力を合法化する民主主義を守れと求めている。それは彼が決めることではない。

Facebookに関する事実(本文は英語)

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(翻訳者:金井哲夫)

投資利益率最高のモバイル広告はやっぱりFacebookとGoogle

マーケティングを専門とするスタートアップ、Singularのレポートによれば、ROI(投資利益率) がもっとも高いモバイル広告システムはFacebookとGoogleだという。つまりこの2つの広告サービスが広告主にとっていちばん価値が高い。

Singularは年間で100億ドル相当の広告支出を最適化しているが、そこから15億ドルの広告支出をサンプリングしてROIインデックスを求めたという。同社は広告詐欺にも留意しており、「詐欺広告を過度に含む」として15社の広告サービスをランキングから除外した。

というわけで、FacebookつづいてGoogleが1位、2位だった。レポートは「適切なマーケティング努力を払っている企業は3つ以上の広告サービスを利用しているが、ほとんどの企業が広告パートナーとしてGoogleとFacebookを含めている。 その理由は簡単だ。この2社は結果を出すからだ」と述べている。

Singular ROI Index 2019 — iOS-Android

同時にSingularは「Snapがほぼすべての項目でランキングをアップしている。今やiOSとAndroidの双方でゲームを除くモバイル広告ネットワークの第3位となっている」と述べた。またTwitterも健闘しており、ユーザーの維持、復帰促進のためのリテンション広告ではiOSの2位にランクされている。

iOSとAndroidを比較すると、Androidのほうがリストの変動が大きい。。Androidの場合、ROIリストの広告ネットワークの3分の1が初登場であり、既存の10ネットワークのうち8社もランキングが変化した。これに対してiOSの場合、73%が順位を変えているが、そのうち初登場は2社だけだった。

レポート全文はこちらからダウンロードできる

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滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、広告ターゲティングのために「誰」が自分の個人情報をアップロードしたかを公開へ

Facebookによる昨年の「合意に基づかない広告ターゲティング」の 取締りがようやく成果を上げつつある。昨年3月TechCrunchは、Facebookが広告主に対し、広告ターゲティングのために他人の電話番号やメールアドレスをアップロードする許可を得ていることの誓約を要求する計画があることを報じた。そのツールは6月に公開されたが、そこに検証プロセスはなく、嘘をつく金銭的動機があるにもかかわらず、Facebookは言葉通りに受け取っている。そして11月、Facebookは広告代理店やマーケティング技術開発者が「誰に代わって」プロモーションを買っているかを指定する方法を提供した。まもなく、その情報がようやくユーザーに公開されることになる。

Facebookの新しいCustom Audiences透明化機能を使うと、自分の連絡先情報がいつ、誰によってアップロードされ、ブランドやパートナーに渡されたかどうかを知ることができる。

これまでFacebookは、どのブランドが自分の連絡先情報をターゲティングに使っているかだけを公開し、誰がいつアップロードしたかは公開していなかった。

2月28日以降、Facebookのフィード投稿のドロップダウンメニューにある「このメッセージが表示される理由」(Why am I seeing this?)ボタンには、広告を買ったブランドの名前だけでなく、ターゲットの詳細な人物情報と彼らがあなたの連絡先情報をアップロードしたかどうかが表示されるようになる。Facebookは、連絡情報がいつアップロードされたのか、アップロードしたのはブランドなのかその代理店/開発パートナーなのか、いつパートナー間で情報が共有されたのかを表示する。Facebook広報は、広告主がどうのようにユーザーの情報を使っているかをユーザーによく理解してもらうすることが目標だと言っていた。

この新たなレベルの透明性は、ユーザーがなぜ自分の個人情報をブランドに知られたかを特定するのに役立つ。これは、プライバシーを守るために行動を変える助けになるかもしれない。このシステムは、定期的に連絡先情報をアップロードしていて合法的に入手していない可能性のある代理店やパートナーをFacebookが特定するためにも使える。過去のプライバシー問題を蒸し返さないためか、Facebookはこの変更に関してブログ記事を書かず、Facebook Advertiser Hubページへの投稿でだけ発表した。

本件は、Facebookが選挙妨害を防ぐために、すぐにわかる “paid for by” ラベルを政治広告に付加するようになったこととも関連している。Facebookが自分のデータをどのように利用しているのか心配するユーザーが増えるなか、Custom Audiences透明化機能は、なくなりかけたFacebookへの信頼を、多少なりとも回復するきっかけになるかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook Messenger、10分以内ならメッセージの取消が可能に

Facebookは、チャットの取消機能を一般公開し、かつてTechCrunchが、Mark Zuckerbergが自分のメッセージを密かに取り消していたことを報じた際の約束をようやく果たした。本日(米国時間2/5)Facebook Messengerは、”Remove for everyone”[全員から削除]機能を全世界で公開した。ユーザーはタイプミスや不用意な表現、恥ずかしい考えなどどんなメッセージでも取り消せるようになった。

Facebook Messageを送信してから10分以内にメッセージをタップすると、Delete[削除]ボタンが、”Remove for You”に変わり、”Remove for everyone”オプションが追加され、送信先の受信箱からメッセージを消すことができる。受信者には送信者がメッセージを削除したがわかり、メッセージをFacebookに通報することもできる。通報内容を確認するために、メッセージはシステムに一時的に保管される。この機能によって、ユーザーは送った内容について考え直すことはできるが、昔の履歴を変えるこはできないので率直な会話がやりやすくなる。

同社は権力を乱用してZuckerbergのメッセージ履歴を操作した。メールなど他のコミュニケーションメデアでは許されていないことだ。しかしFacebookは、今後、幹部のメッセージを配信から長時間経過したあとに受信者から取り戻す機能を復活させるかどうかを語らなかった。昨年4月に同社はTechCrunchに対して、「本機能の準備が整うまで、幹部のメッセージの削除は行わない」と言っていた。

FacebookがUnsend[送信取消]に至るまでの過程を簡単におさらいしておこう。

・Facebook Messengerに送信取消オプションがあったことはない。ただし暗号化されたシークレットメッセージ機能やInstagram Directではチャットの有効期限を設定することができる。

・2018年4月、TechCrunchはMark Zuckerbergの一部のメッセージが送信先の受信箱から削除されていたことを報じた。送信先には社員以外も含まれていた。メッセージのスレッドに削除された痕跡はなく、会話の相手は独り言を言っているように見えたが、メール記録によって、問題のメッセージは送信されたが、後に消滅したことが証明された。

・Facebookは、この理由の一部は「Markのメッセージの保管期間に制限を加えていたから」であり、Sony Picturesのハッキング事件後にとったセキュリティー対策であると主張したが、なぜ、一部の人々への一部のメッセージだけが削除されたかの説明はなかった。

・翌日Facebookは論調を変え、全員向けの取消ボタンを開発すると発表し、次の声明を出した:「本機能については何回も検討してきた…このたび汎用的なメッセージ削除機能を提供することになった。実現にはしばらく時間がかかる。そしてこの機能が完成するまで、当社は幹部のメッセージを削除するのをやめる。これはもっと早く提供すべきだった機能であり、これまでできなかったことをお詫びする」

・6ヶ月後の2018年10月、Facebookは未だに送信取消を提供していなかったが、 TechCrunchはFacebook同機能のプロトタイプを発見した

・11月、、Facebookは現在と同じ”Remove for everyone”のデザインと10分の猶予期間の取消機能を一部の国々で公開した

・そして今、世界中のiOSおよびAndroidrユーザーが送信取消機能を使えるようになった。【日本語版注:例によって、全ユーザーに行き渡るまでには時間がかかるようだ】

果たしてFacebookは、幹部のメッセージ取消しを復活するのだろうか? 私に言えるのは新機能がユーザーにも社員にも利用可能になるということだけだ。しかしZuckerbergのケースでは、何年も前のメッセージが削除されており、それは今もユーザーには許されていない。しかし本機能は、Facebookがユーザーの受信箱から盗んでいるところを見られたために追加されるべきではなかった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Instagramのアカウント・リンクはFacebook Loginの後継になるのか?

十代のFacebook離れは同社のフィード広告収入を損なうだけでなく、個人認証プロバイダーとしての支配にも影響を及ぼす。Facebook Loginは、他のサービスに別のユーザーIDとパスワードを使うことなくログインできるようすることでアクセスを容易にして、ユーザーの囲い込みを狙っている。しかし、Instagramを選んでFacebookを捨てた(あるいは無視した)若者ユーザーについては、ITの巨人はわれわれの生活に打ち込まれた最強のくさびを失いつつある。その一方でInstagram愛好者は、個人用、サブ、ビジネス用など複数アカウントの個人認証を使い分ける面倒を強いられている。

しかし、現在開発中の新機能は、複数のInstagramアカウントの扱いを楽にすると同時に、InstagramをFacebook Loginの後継にしようとしている。Instagramは、ユーザーが自分のプロファイルの1つを主アカウントにして他のアカウントにリンクできるようになる「メインアカウント」機能のプロトタイプを作った。メインアカウントにログインすると、他のアカウントにも自動的にログインする。その後はメールアドレス/ユーザー名とパスワードの組み合わせを1つだけ覚えていればよい。ログインの簡易化によって、Instagramでのアカウント切り替えや投稿が増え、愛着も深まる。

アカウントのリンクはInstagramの現在のログインプラットフォームのパワーアップにもなる。現在同プラットフォームを使っているサードパーティーアプリは、フィード投稿とストーリーズを作成してInstagramでシェアしたり、ビジネスアカウントのアクティビティーやメンションを測定することができる。Instagramはこのログインプラットフォームを拡張して、Facebook Loginと同じようにユーザーの個人情報やプロファイル情報を他のアプリに今以上に提供する可能性がある。これでサードパーティーアプリにInstagramのメインアカウントを通じてログインしたあと別のアプリからシェアするときにどのプロフィールを使うかを選べるようになれば、もっとうまく行くかもしれない。

TechCrunchは、Android版InstagramアルファバージョンのAPKファイルの中に “Account Linking” のコードが入っていることを、ソーシャルメディア研究家のIshan Agarwalから情報提供を受けた。コードには次のような記述があった。「1組のIDとパスワードで、ユーザーの全Instagramアカウントに素早く安全にログインする…アカウントの1つをメインアカウントにすると、それを使って他のアカウント全部に同時にログインできる…アカウントは別々のまま、ログインは早く簡単になる…メインアカウントのパスワードを知っている人なら誰でも、そこにつながっているアカウントをアクセスできるようになる」

Instagramは本機能についてのコメントを拒んだ。これは何かのプロトタイプを作って社内でテストしているが外部テストをまだしていない会社としては、標準的対応だ。しかし、この段階でアプリのコード内で見つけられた機能の多くが結局一般公開されている。Instagramビデオ通話ネームタグサウンドトラックなどがそうだった。

Facebookはそのログインプラットフォームを使ってウェブを植民地化し、同サービスのロゴをさまざまなサイトにばらまくことによって、サービスごとに新規アカウントを作らずにすむようにした。これがFacebookのユーザーベース拡大を助け、ユーザーを囲い込むことで、Facebookがフィードコンテンツの新たな情報源を開拓し、ユーザーがウェブ界隈で何をしたかのデータを集めることを、やめさせるのを困難にしている。Facebookでヘビーな投稿や閲覧をやめたユーザーの多くが、その後もつながり続けているのはSpotifyやNetflixなどのサービスへのログインをFacebookに頼っているためだ。

実際、Facebookのログインプラットフォームは、同社にとって最も価値の高い機能の一つであり、強力なライバルもいない。Googleは独自の認証プラットフォームを運営しているが、Gmailアカウントを守るために2要素認証などのセキュリティー機能を使うユーザーが増えていることから、使うのが少々面倒に感じることがある。SnapchatもPoshmarkと提携して独自のログインプラットフォームSnap Kitを普及サせようとしているが、アカウント作成に採用している主要アプリはほとんどない。

Instagramはその他の個人認証関連機能にも手を出している。同社はストーリーを親友だけにシェアするための親しい友達機能を公開したほか、独自の2要素認証オプションや、フィード投稿を自分が管理する複数アカウントに同時配信する機能を追加した。ユーザーにメインアカウントを確立させることで、Facebookが自分とInstagramとWhatsAppを横断する暗号化メッセージ機能を提供する計画もスムーズになる。InstagramがFacebookと異なり実名ポリシーを強制していないことから、メインアカウントを真のアイデンティティーの代用として使うことも考えられる。

Instagramを単なるFacebookの類似品ではなく、避難所か後継のどちらかと考えはじめると、Facebookの中核をなす資産がどうやって変遷を乗り切るのかを考えることが重要になる。最近のプロフィールのデザイン変更によって、既にFacebookはInstagramプロフィールを個人のオンライン・パーソナリティーの中心に据える実験をしている。あちこちに散らばったアイデンティティーをアカウント・リンクを通じて統一できれば、ウェブを横断して1つのパーソナリティーを使えるようになる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

FacebookとGoogleの調査アプリ問題の要点解説

FacebookとGoogeは、先週、社内専用の証明書を不正に使用したことを突き止めたTechCrunchの2回にわたる調査により、Appleと共に煮え湯に放り込まれることとなった。FacebookとGoogleは証明書を取り消され、終日のアクセス停止措置に追い込まれた。

いったい何が起きたのか、混乱されている方もおいででしょう。ここに、私たちが知っておくべき事件のすべてを解説しよう。

そもそもの始まりと問題の発生

先週の月曜日(日本語版は1月31日)、我々は、企業内の従業員専用であることを条件に、AppleのApp Storeを介さず配布が許されるアプリのための企業向け証明書を、Facebookが悪用していたことを突き止めた。Facebookはその証明書を使って社外にアプリを配布していたのだ。これはAppleの規約に違反する。

このアプリは「Research」という名で知られ、デバイスに出入りするすべてのデータのアクセス権を要求するという、前代未聞のアプリだ。これには、ユーザーがもっとも知られたくない個人的なネットワークデータも含まれる。このアプリをインストールすると、Facebookからユーザー(13歳から19歳の若者を含む)に月20ドルの報酬が支払われる。しかし、実際にどのデータが吸い取られていたのか、またその目的は明らかにされていない。

このアプリは、ユーザーのデータをあまりにも集めすぎるという理由で、昨年、AppleのApp Storeでの配布を実質的に禁止されたアプリの体裁を変えただけのものだと判明した。

App Storeから排除し、二度と開けないように無効にしたアプリを、企業向けとして特別に発行された証明書を悪用し再び配布しているFacebookに、Appleは激怒した。しかしFacebookは、他の従業員専用アプリを使用するために、Appleが証明書を再発行するまで事実上オフラインで、その同じ証明書を使い続けている。

そしてGoogleも、ほぼ同じことをScreenwiseアプリで行なっていたことがわかった。これもまた、Appleによって配布が禁止された

企業向け証明書の何が問題で、それは何をするものなのか?

Apple用のアプリを開発するときは、その規約に従う必要があり、Appleは、開発者からの明示的な同意を得ることになっている。

規約の主眼は、アプリがAppleの入念な審査を経て安全であると確認された証拠として、必ずApp Storeで配布されるようにすることにある。ただし、企業内アプリの開発に関しては例外を設けている。社内目的により従業員のみが使用するアプリの開発は、その限りではない。問題のアプリは、FacebookとGoogleが企業内アプリの開発用として登録し、Appleの開発規約に同意している。

Appleが発行する企業向け証明書は、内部で開発したアプリの配布を許可している。これには、一般に配布するアプリをテストの目的で社内配布することも含まれる。しかし、この証明書では、社外の一般消費者に使わせることは許可されていない。一般のユーザーはApp Storeからダウンローロする決まりになっているからだ。

ルートアクセス権限とな何か、なぜルートアクセスがそんなに問題なのか?

FacebookのResearchもGoogleのScreenwiseも、AppleのApp Stroe以外の場所から配布されていたので、ユーザーは自分の手でインストールする必要があった。これを「サイドローディング」と言う。ユーザーは、煩雑な手順を踏んでアプリをダウンロードし、FacebookでもGoogleでも、企業内開発者のコード署名証明書を開いて信用する旨を伝えて、初めてアプリを実行できる。

どちらの場合も、アプリをインストールした後、さらにもうひとつの設定手順が要求される。いわゆるVPNプロファイルだ。ユーザーのデバイスから流れ出るすべてのデータを、専用のトンネルを使って、どちらのアプリをインストールしたかによってFacebookまたはGoogleに送られることを許可する手続きだ。

ここで、FacebookとGoogleとの違いが現れる。

Googleのアプリは、収集したデータを調査目的でGoogleに転送するが、暗号化されたデータにはアクセスできない。たとえば、HTTPSで保護されたすべてのネットワーク通信でのコンテンツだ。App Storeで配布されているほとんどのアプリもインターネットのウェブサイトも、これによって保護されている。

ところがFacebookは、もっと深く手を入れてくる。スマートフォンの「ルート」レベルのアクセスの自由を許可するための、もう一段階の手続きを要求してくるのだ。Facebook Researchのルートアクセス権限を許可すれば、スマートフォンから発せられる暗号化されたデータもすべてFacebookに開示されることになる。いわゆる「中間者攻撃」だ。これによりFacebookは、私たちのメッセージ、メール、その他スマートフォンから発せられる細かいデータを選り分けることが可能になる。ただし、証明書ピンニング(自分のもの以外の証明書を拒否する)を使用したアプリだけは守られる。Appleの「メッセージ」、Signal、そして終端間の暗号化ソリューションなどがこれに該当する。

Facebook Researchアプリはルート証明書アクセスを求めてくる。これにより、Facebookはスマートフォンから発信されるデータをひとつ残らず回収できる。

 

Googleのアプリは暗号化された通信を覗くことはできないかも知れないが、それでも規約を守っていないため、単独に所有していた企業向け開発コード署名証明書は無効にされた。

FacebookはiOSのどのデータにアクセスしていたのか?

それを確かめるのは難しいが、Googleよりも多くのデータにアクセスしていたことは確かだ。

Facebookでは、そのアプリは「人々がモバイルデバイスをどのように使っているかを理解する」ことを助けるものと話していた。実際、ルートレベルでは、スマートフォンから発信されるあらゆるデータにアクセスできたはずだ。

我々の記事に協力してくれたセキュリティー専門家のWill Strafachは、こう話している。「もしFacebookが、ユーザーに要求した証明書の効力で最大レベルのアクセスを可能にした場合、次のようなデータを継続的に収集できるようになります。ソーシャルメディア・アプリでのプライベートなメッセージ、インスタントメッセージ・アプリでのチャット(互いにやりとりした写真や動画も含まれる)、電子メール、ウェブ検索、ウェブ閲覧行動、位置情報を追跡するアプリがいずれかでもインストールしてあれば、そこからリアルタイムの位置情報もわかります」

注意して欲しいのは、ここで話しているのは「脱獄」によるスマートフォンのルートアクセスなどとは違う。ネットワーク通信のルートアクセスだ。

これらが一般の市場調査と技術的に異なる点は何か?

公平を期して言うなら、市場調査アプリを使っているのはFacebookやGoogleだけではない。NielsenやcomScoreといった企業も同様の調査を行なっている。しかし、VPNをインストールさせたり、ネットワークのルートアクセスの許可を求めるような企業はない。

いずれにせよ、Facebookはすでに私たちのデータをたんまり集めている。Googleもしかり。これらの企業が、他の人たちとのやりとりに関するデータだけを知りたいだけであったとしても、誰と話しているのか、何を話しているかを集中的に聞き出そうと思えばできる。しかし、いくつものセキュリティー上の問題や個人情報漏洩などの事件を起こして爆発的なスキャンダルとなったにも関わらず、去年はその対処にぜんぜん力を入れてこなかったFacebookにとっては、大きな問題ではないのかも知れない。

Facebookスキャンダルへの今年の対応に「満足」するMark Zuckerberg(本文は英語)

スマートフォンの持ち主が話す相手のデータも回収されるのか?

FacebookもGoogleも可能だ。Googleの場合、相手のデータも含め、暗号化されていないものは回収できたはずだ。Facebookの場合はさらに強力だ。他の人と交わしたあらゆるデータがFacebookのアプリによって回収された可能性がある。

どれくらいの人が影響を受けたのか?

はっきりとはわからない。GoogleもFacebookも、ユーザーの数については明らかにしていないからだ。両方で数千人程度だろうと思われる。アプリの停止の影響を受けた従業員は、Facebookで3万5000人以上、Googleで9万4000人以上だ。

Appleが証明書を無効にしたとき、FacebookとGoogleの社内用アプリが使えなくなったのはなぜか?

Appleのデバイスは、誰が持っていようとAppleがコントロールできるようになっている。

Appleは、Facebookのルート証明書には手が出せないが、Appleが発行した企業向け証明書は操作が利く。Facebookの活動が露呈した後にAppleはこう言っている。「企業向け証明書を使って開発されたアプリを消費者に配布すれば、例外なく証明書は無効になります。私たちのユーザーとそのデータを守るために、私たちはそれを履行しました」。つまり、Facebookの企業向け証明書に基づくあらゆるアプリ(社内で使用していたものも含め)が、ロードできなくなるということだ。これは、Facebookの公開前のビルド、開発中のInetagramやWhatsAppに止まらない。同社の旅行アプリや協働アプリも使えなくなったと報告されている。Googleの場合は、仕出しやランチのメニューアプリもダウンしたという。

Facebookの社内アプリは、およそ1日ダウンしていた。Googleの社内アプリが止まっていたのは数時間だ。しかし、FacebookもGoogleも、一般向けのサービスに影響はなかった。

この件を通して人々はAppleをどう見ているか?

現在、FacebookとGoogleを大歓迎している人はいないようだが、Appleもあまり良くは思われていない。Appleは、ハードウエアを販売しても、ユーザーの個人情報を集めたり、それを広告に利用したりはしない。それはFacebookやGoogleと違うところだ。しかし、Apple製品を使う消費者や企業に対するAppleの権力の大きさを不快に思う人たちがいる。

FacebookとGoogleの企業向け証明書の失効と、それによるアプリの機能停止は、Apple内部にも悪影響が伝搬した。

アメリカでは合法なのか? ヨーロッパのGDPRではどうなのか?

少なくともユーザーの同意を得ているので、アメリカ国内では合法だと、Facebookは言っている。さらに、13歳から19歳のユーザーは保護者の同意が必要だと同社は主張しているが、それは簡単に偽装できるし、検証もされていない。しかも、実際にどれだけの個人情報が吸い取られるのかを、同意した子どもたちが完全に理解しているかを確かめる方法がないことも、まったくもって明らかだ。

子どもの同意を浮き彫りにしたFacebookのVPNアプリ(本文は英語)

これは、規制上の頭の痛い問題に発展しかねない。「ヨーロッパの子どもたちがFacebookの調査に参加したとすると、ヨーロッパの一般データ保護規制(GDPR)から、また別の猛攻撃を受けることになる。さらに、その地区のプライバシー制度に定められた『プライバシーバイデザイン』の条件にそぐわず、受け入れられないと地元当局が判断すれば、多額の罰金が課せられる」とTechCrunchのNatasha Lomasは書いている。

証明書の不正利用者は他にいないか?

この問題の当事者はFacebookとGoogleだけだなどと思ってはいけない。規約に違反している企業がたくさんあることが判明している。

ソーシャルメディアで見受けられるそうした企業には、ベータプログラムに企業向け証明書を使っているSonos、同じことをしている金融アプリのBinance契約者の車両のためのアプリに利用しているDoorDashなどがある。これらの企業の企業向け証明書もAppleが無効にするかどうかは定かではない。

次はどうなる?

誰でも想像できることだが、こうした問題が今すぐ解決するとは思えない。

Facebookはヨーロッパでだけでなく、家庭でも反発を食らうだろう。Mark WarnerとRichard Blumenthalの2人の米国上院議員は、「十代の若者を盗聴した」として、すでにFacebook糾弾の呼びかけを行っている。Blumenthalの主張が通れば、米連邦取引委員会も調査を始めるだろう。

Warner上院議員はZuckerbergに市場調査のルールに従うよう要求(本文は英語)

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(翻訳:金井哲夫)

Facebookを1カ月やめたユーザーは幸福度がアップした、との研究結果

Facebookの使用を1カ月やめたらどうなるのか、という研究結果をスタンフォーフォード大学とニューヨーク大学が発表した。

研究チームはFacebookを通じて毎日Facebookを平均1時間使用するユーザー2488人をリクルートした。Facebookのアカウントを1カ月使用しない考えを“喜んで受けれいれる”かどうかを評価し、研究チームは研究内容に沿う人をアカウントを使用しないグループと使用するグループに分けた。

1カ月にわたる実験では、研究チームは被験者のプロフィールをチェックすることで約束を守っているかどうかをモニターした。また、参加者は幸福度や、10分前はどんな気持ちだったか、寂しさはどうか、といった評価を定期的に自己申告した。

研究者が発表したように、Facebookを離れることは幸福度の改善と関係していた。Facebookを使用しないようにいわれたグループは他のソーシャルネットワークの使用も減り、友達や家族と過ごしたり(いいものだ)、テレビを観たり(さほどいいことではないだろう)といったオフラインの活動に費やす時間が増えた。このグループは全体として、ニュースに費やす時間が減った、と報告した。

このグループはまた、調査期間が終わった後もソーシャルネットワークに費やす時間が減った。これは一時的な不使用が、それまでの習慣について新たな洞察を加えることになったと推測される。

「実験後のソーシャルネットワーク使用時間の減少は、不使用が主観的な幸福度を改善させるという我々の結論に沿うものだ。またこれは、『Facebookは習慣性がある…または人々は心配する以上にFacebookなしの生活を楽しむ』という仮説と一致する」と論文の著者は書いている。

この研究について、いくつか明記しておくことがある。被験者には「Facebook Messengerへのアクセスは維持される」と案内した、と論文に示されている。被験者がMessengerを使える状態にすることで考えられる影響は示されていないが、被験者はFacebookのメーン機能の一つを自由に使っていたとも受け取れる。Messengerの使用が被験者の気持ちや行動にネガティブな影響を与えた可能性はあるかもしれない。

最近行われたいくつかの研究とは異なり、今回の研究は経済学の研究者が実施した。これは今回のような社会的な心理学風の調査では珍しいことではない。

また意味合い上、最も大事なのはこの研究は2016年の米国大統領選挙前に行われたことだ。この事実は、選挙前後の被験者のソーシャルメディアについての考えや行動に影響を及ぼしていることが考えられる。

被験者は、最近の出来事について情報があまり入らなくなった一方で、政治的にあまり偏らなくなり、“米国における最近の二極化の傾向にソーシャルメディアが何らかの役割を果たしているとの懸念に賛同する”という考えを示した。

世界最大のソーシャルネットワークをやめるべきという考えがあちこちにある時代だが、実際のところ我々のオンライン習慣が脳や行動にどう影響を及ぼしているのかまったくわかっていない。それと同様に、Facebookのようなソーシャルメディア環境から一歩身を引いたときに何が起こるのかもわかっていない。十分な被験者規模、そしてまっとうな方法で行われた今回の調査は、そうした影響を一部なりとも推し量る上で有用だろう。この研究についてより詳しく知りたければ、全文をここで見ることができる。

イメージクレジット: Twin Design (opens in a new window)Shutterstock

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

Apple、スパイ活動制裁の後Facebookの社内アプリを復活

Appleは制裁措置としてソーシャルネットワークの企業証明書を無効化した。無効化されたのはFacebookのResearchアプリだけでなく、職場コラボレーション、ベータテスト、さらにはランチメニューやバスの時刻アプリなど、社内iOSアプリすべてが使えなくなった。その結果昨日の午前Facebookのオフィスはカオスになった。そして今日、AppleはFacebookのお仕置きを解き、企業証明書を復活させた。これで社員たちはすべてのオフィスツールとFacebook, Instagramの公開前テストバージョンを再び利用できるようになった。ランチメニューも。

Facebook広報はTechCrunch宛に以下の声明を発行した:「当社は企業証明書を取得し、社内アプリケーションの有効化が可能になった。現在社内アプリを実行するプロセスを進めているところだ。なお、本件は当社の消費者向けサービスには影響を与えていないことを念の為付け加える」

一方、TechCrunchのフォローアップ記事によると、Googleもユーザーに金を払って利用状況をのぞき見するScreenwise Meterと呼ばれる「市場調査」VPNアプリで、 規約違反していた。本誌がGoogleとAppleに情報を伝えたところ、Googleは直ちに謝罪してアプリを削除した。しかし、おそらく一貫性を保つために、昨日AppleはGoogleの証明書を無効化し、社内向けiOSアプリの動作を停止させた

Googleの社内アプリは現在も停止している。大量の社員がiOSを使っているFacebookと異なり、Googleには自社製Androidプラットフォームを利用しているユーザーが数多くいるため、動作停止による問題はマウンテンビューの方がメンロパークよりも小さいかもしれない。「現在Appleと協力して一部の社内iOSアプリの一時的中断を修正中であり、まもなく解決する見込みだ」とGoogle広報は言った。Appleの広報担当者は次のように語った、「現在われわれはGoogleが企業向け証明書を一刻も早く回復できるよう協力して作業している」。

TechCrunchの調査によると、Facebook Researchアプリは、ユーザーの端末に企業証明書とデータ収集を可能にするVPNをインストールするだけでなく、Facebookが通信に介入したり暗号解除まで可能にするルートネットワークアクセスも要求していた。同社は13~35歳のユーザーに月額10~20ドルを支払ってアプリを実行させることで、買収あるいは模倣すべき相手を知るための競合情報を集めようとしていた。Facebook ResearchアプリにはOnavo Pretechに関するコードが多量に含まれていた。これは昨年8月にAppleが禁止してFacebookに回収を求めたアプリだが、Facebookはその後もデータ収集を継続していた。

本誌が最初にFacebookに問い合わせた時、同社はResearchアプリもAppleの監視をかいくぐった企業証明書もAppleの規約に沿っていると主張した。7時間後、FacebookはResearchアプリのiOS版を停止すると発表した(Android版は規則が緩いため現在も動作中)。またFacebookはこの件に関して「一切秘密はない」と言って本誌記事の論調に異論を述べた。しかし、その後TechCrunchは、Facebook Researchプログラムが、ユーザーがアプリについて口外すると法的措置をとると脅していたことを証明する会話を発見した。われわれにはかなりの「秘密」に思える。

そして昨日(米国時間1/31)の午前、Facebookは自発的にアプリを引き上げたのではなく、すでにAppleがFacebookの企業証明書を無効化していたため、Researchアプリや社内ツールが使用不能だったことがわかった。Appleの以下の厳しい声明を発表し、今日それがGoogleにも適用された。

当社は企業デベロッパープログラムを組織内でアプリを社内配布することのみを目的として制定した。Facebookはこの資格を利用して、データ収集アプリを消費者に配布していた。これはAppleとの契約の明確な違反である。企業証明書を使って消費者にアプリを配布したデベロッパーは誰であれ証明書を剥奪される。当社はわれわれのユーザーとそのデータを保護するために、本件でもそれを実行した。

AppleはFacebookどGoogleを監視するプライバシー規制自警団のようだ、とThe VergeのCasey NewtonThe New York TimesのKevin Rooseは書いている。いずれも競合相手であることを踏まえると過大な権力といえるかもしれない。しかしこのケースでFacebookとGoogleは、ティーンエージャーを含むiOSユーザーのデータを大量に収集するために、Appleの規約をあからさまに破っている。これはAppleにそれらの市場調査アプリを停止する合理的理由があることを意味している。社員用アプリを停止したことも、同じ企業証明書を利用していたための巻き添え被害ともいえるし、規約違反に対する付加刑と見ることもできる。問題になるとすれば、Appleが規約の境界を逸脱したときだ。しかし今のところ、人々の目はAppleがどのように規則を適用するのかに集まっている。それがユーザーのためであれ、ライバルを叩くためであれ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple、FacebookのResarchアプリを規約違反のVPNとして削除、Googleにも同様の疑惑

TechCrunchのスクープ記事を受けて、Facebookが問題のFacebook Researchアプリをシャットダウンする前に、AppleはこのVPNアプリのiOS版をブロックした。

Researchアプリは、ユーザーに月額20ドルを支払うのと引き換えにスマートフォンを通過するすべてのデータをモニターできるルートアクセスを得ていた。またAppleはTechCrunchの取材に対し、「昨夜Facebookの会社としてのエンタープライズ認証を無効にした」と答えた。

TechCrunchはFacebookのResarchアプリがAppleのApp Store利用約款に反している ことを報じた。App Storeにおけるエンタープライズの特例は企業がカスタムアプリを利用するために社員に限定して配布することを目的としており、プライバシーデータを手数料を得てサードパーティーに提供するのは規約違反だ。Facebookは昨夜「iOS版のResearchアプリをシャットダウンした」と発表したが、Appleに強制されたことについては触れていない。

われわれの調査によれば、Facebookは2016年以降、iOSとAndroidでアプリのデベロッパーにベータテスト結果を販売するプログラムを運営してきた。このプログラムは最近Research Atlasという名称になっている。FacebookはInstagramとSnapchatを通じて13歳から35歳のユーザー(うち5%がティーンエージャー)をResearchプロジェクトのメンバーとして募集した。

Facebookはこれらのユーザーに最大月20ドルと紹介料を支払い、アプリに同梱のVPNを通じて個人情報を買い取っていた。VPNのインストールにより、Facebookはユーザーのスマートフォンへのルート権限を得ており、ユーザーのWebブラウズ履歴、デバイスにインストールされているアプリ一覧、利用履歴から暗号化されたトラフィックを復号化することまで可能になっていた。Facebookはユーザーに対してスクリーンショットやAmazonの注文履歴までの送信するよう依頼していた。

昨年8月にAppleがVPNを利用して個人データを収集するアプリを禁ずるという方針に転換したため、Facebookは今回のResearchに似たOnavo Protectアプリを取り下げることを余儀なくされた。しかしFacebookはプロジェクトを継続し、ほぼ同様の機能のResearchアプリを提供し続けた。TechCrunchではセキュリティー専門家のWill Strafachに依頼してFacebook Researchアプリを詳細に調査してもらった。その結果、Onavo Protectに用いられたのとまったく同じコードが大量に存在することを確認した。FacebookはVPNの利用がエンタープライズアプリに限って許可される特例を利用してVPNによるデータ収集を行っていたものとみられる。

情報源によれば、AppleはFacebookのエンタープライズ認証をすべて取り消した。これにはFacebookやInstagramの社内テスト用ベータ版も含まれているという。これには日常社内で利用する生産性ツールも多数含まれていたためFacebook社内では混乱が広がっており、業務や開発に差し支えているという。昨日の記事でわれわれはAppleがこうした強硬な措置を取る可能性を指摘した。生産性の上でFacebookの3万3000人の社員が被った損害は大きいだろう。

[アップデート: FacebookはTechCrunchに対してAppleの措置で多数の部内利用アプリが阻害されており、Appleに対して復旧を要求していることを明らかにした.]

Facebookの本体アプリはiOSでも正常に作動している。一方、Appleのエンタープライズ認証の特定に違反してユーザーデータを収集していたのはFacebookだけではなかった。TechCrunchはGoogleのScreenwise Meterも同様だと発見した

今朝、AppleはTechCrunchに対し、Facebookが自発的に取り下げる前にResearchアプリの登録を解除したことを確認し、 強い口調でFacebookの行動を非難した。

一方Facebookは以下のように反論している。

重要なのは、この市場調査アプリの本質が無視されている点だ。一部の報道とは異なり、アプリに何も秘密な点はない。Facebook Researchアプリという名前のとおりだ。このアプリは密かにスパイなどしていない。収集しているのはデータの提供に関してユーザーから明示的に同意を得た情報だけだ。われわれは調査への参加に対して報酬を支払っている。最後に ユーザーの5%弱を占めるティーンエージャーについては書式によって両親の同意を得ている

TechCrunchはこれは理由のない非難だと考える。昨夜われわれが記事にした時点でResearchアプリがVPNを利用していることを事前に明確に示していなkった。またサードパーティーのデベロッパーを通じた場合、ユーザーは登録プロセスを始めるまでFacebookが関与していることを知らされなかった。なるほどデータ収集のプロセス、範囲についてははっきり説明されていたが、VPNをインストールした場合Facebookがどれほどのデータを収集することができるかを詳しく説明していなかった。なるほどティーンエージャーのユーザーは一部だったかもしれないが、プライバシーに関するデータ収集が問題になっている場合、ティーンエージャーだからといって報道から除外する理由にはならないと考えている。【略】

今回の事件で年来緊張していたFacebookとAppleの関係はますます悪化することが予想される。ts. AppleのCEO、ティム・クックは繰り返しFacebookのデータ収集をプライバシーの侵害だと非難してきた。逆にマーク・ザッカーバーグは「われわれは無料で誰もが使えるサービスを提供している。Appleのように高価で一部の人間しか使えないデバイスを販売しているわけではない」と反論していた。関係の悪化でFacebookはApp Storeでの表示順位の格下やiOSとの統合でさまざまな不利益を被る可能性がある。またティム・クックからの非難も激しくなるだろう。ともあれFacebookがAppleの規約に違反してユーザーのプライバシーに属するデータを収集していたのはいわば現行犯だった。

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滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、Instagram Storiesユーザーが5億人/日を突破。新サービスも計画中

10億人のInstagramユーザーの約半数が、Instagram Storiesを毎日使っている。1日5億人というこの数字は、2018年6月には4億人だった。現在200万組の広告主がFacebook傘下サイトのStories広告を利用している。

CEO Mark ZuckerbergはStoriesについて、Facebookにとって最後の革新的大型機能と言っていたが、昨年セキュリティーに集中したあと、現在同社は人々の生活を「大きく改善する」製品をさらに出荷する計画だ。

今日の2018年Q4決算会見でZuckerbergは、今年Facebookが新製品を投入するいくつかの分野について説明した。

  • セキュリティーとプライバシーのために、これまでより多くの機能に暗号化と短期消滅を適用する
  • メッセージング機能によって、MessengerとWhatsAppを「[あなたの]ソーシャル表現の中心」にする
  • WhatsApp支払いを利用できる国を拡大する
  • Storiesに新しくプライベートシェアのオプションを追加する
  • グループに友達や家族と同等の組織機能を持たせる
  • ビデオがニュースフィードから移動することによりFacebook Watchが今後主流にしることをZuckerbergは期待している
  • ARとVRを改善し、Oculus Questを今春出荷する
  • Instagramコマースとショッピングに新機能を追加する

Zuckerbergは、Facebook Messenger、Instagram、およびWhatsAppを横断して暗号化メッセージングを可能にするために基盤を統一する、という NYTのMike Isaacが最近報じた計画について質問を受けた。Zuckerbergは計画について、ビジネスの利益のためではなくユーザー体験を向上するためだと説明した。具体的には、WhatsAppが支配する地域のマーケットプレイスの買い手と売り手が、Messengerの代わりにWhatsAppでチャットできるようにする。また、MessengerをSMSクライアントとして使っているAndroidユーザーは、基盤の統一によってメッセージを暗号化して送れるようになる。彼は暗号化の拡大をFacebookが非中央集権化し、ユーザーデータをサーバーに置かないことで安全性を高める方法として考えている。しかし、それには時間がかかり「2020年頃」になるだろうと言った。

現在Facebookファミリーのアプリである、Facebook、Instagram、Messenger、およびWhatsAppを合わせると月間アクティブユーザーば27億人になる、と同社は言っている。しかし、Facebook CFO David Wehnerは、「将来弊社について語るとき、ファミリー全体のデータが主要な役割を果たすようになると考えており、いずれFacebookのみのデータは公開をやめる予定だ」と語った。これはユーザーベースが従来型のソーシャルネットワークからInstagramとそのメッセージングアプリへとシフトしていることを、同社自身が意識していることを表している。ファミリーのみの数値は、ティーンが逃げ出していることを隠すことになる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、相次ぐスキャンダルにも、絶好調のQ4決算で株価上昇

止まらないメディアバッシングの中、Facebookは第4四半期決算でウォール街の予測を上回った。月間ユーザー数23.2億人は前四半期の22.7億人から2.2%増。1日間アクティブユーザーは15.2億人で、前四半期の14.9億人から2%伸ばし、成長率も前四半期の1.36%を上回った。

Facebookはこうしたユーザーを元手に169.1億ドルを稼ぎ、1株当たりGAAP利益は2.38ドルだった。これらの数字はウォール街予測の売上163.9億ドル、1株当たりGAAP利益2.18ドル、さらには月間ユーザー23.2億人、1日アクティブ15.1億人をも優に超えた。Facebookの1日当たりと月間のアクティブユーザー比率(スティッキネス=定着度)は66%でここ数年間固定しており、Facebookに留まっている人々の利用率が下がっていないことを示している。

本日(米国時間1/30)Facebook株の終値は150.42ドルだったが、新記録となった売上と利益の発表後は167ドル前後で推移した。北米でのユーザー当たり平均売上が対前年比30%と大幅に伸びたことが株価を押し上げた。それでも、1年前の186ドルやピークだった7月の217ドルよりは低い。

CEO Mark Zuckerbergは、決算報告書の日常の挨拶に加えて、投資家に対して万事好調であることを請け合い新しいチャンスを強調した。「われわれは会社の運営方法を根本から見直し、最大の社会問題に焦点を絞るとともに、人々がつながるための新しい感動的な方法の開発への投資を増やしていく」と語った。

古参から搾り取る

Facebookは、米国・カナダおよびヨーロッパという重要市場の両方でDAU(1日当たりアクティブユーザー数)を伸ばすことに成功し、近年四半期の停滞・減少以降最大の売上を記録した。Facebookにとって最も収益性の高い市場でのでの減少が止まったことが株価上昇に貢献していることは間違いない。Facebookの月間アクティブユーザーは北米では横ばいだったがヨーロッパでは伸びた。これに加えて、前四半期に4.7%減少した「その他地域」のユーザーあたり売上が、Q4では16.5%増加へと転じたことも後押しした。

今期Facebookは68億ドルの利益を上げたが、雇用は減速し従業員数は3万3606から3万5587へと5%増に留まった。選挙妨害、フェイクニュース、コンテンツ管理問題などが続く中、Facebookはセキュリティー要員を増やして安定状態に落ち着いたようだ。前年比30%増の売上に対する利益61%増は、設立15年の同社にとって注目すべき実績だ。

決算会見

Facebookは2018年にセキュリティーに焦点を当てた後、2019年はプロダクト・イノベーションに集中する、というのが今日の会見の要点だった。Zuckerbergはプロダクト・ロードマップを示し、短期消滅と暗号化の拡大、メッセージングアプリによるMarketplaceとWhatsAppの連携強化のための基盤の統一、グループ機能の活用、ファミリーアプリを横断するショッピング機能などについて話した。

新たな統計データとして、Instagram Storiesの1日あたりユーザー5億人、Storiesの広告主200万組の数字も報告された。ZuckerbergはFacebook Portalの売上を嬉しい驚きだったと語ったが具体的数値は示さなかった。現在27億人がFacebookファミリーのアプリを毎月使っていると彼は言った。しかし、CFO David Wehnerは、Facebook単独の統計値をいずれ公表しなくなることを警告した。これは、若年ユーザーがFacebook以外のアプリに移行していることを隠すためであると想像している。またWehnerは、ユーザーがフィードからストーリーに移ることによる収益化の減少、プライバシー監視強化によるターゲティングへの逆風などによって、今年は各四半期で売上成長率の減少を見込んでいることも語った。

状況は決して楽観できない。ユーザー成長率を見る限り、Facebookは史上最大の情報漏えい問題を生き延び、ユーザーを多く失うこともなかった。一方、コンサルタント会社のDefinersを使った中傷キャンペーンなどの相次ぐスキャンダルや、ティーン向けアプリLassoの大失敗などもある。Facebookは投資家に対して、次世代ユーザーを取り戻す方法を知っていることを納得させる必要がある。あるいはQ4のように既存ユーザーから大きな利益を上げ続けられることを。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook