Virgin OrbitがISIと提携し諜報、防衛機関向けの迅速な衛星打ち上げサービス提供へ

小型衛星の打ち上げを手がけるVirgin Orbit(ヴァージン・オービット)はイスラエルのImageSat International(ISI)と提携して、小型衛星による観測を驚くほど短時間でかつ、ほぼ世界中のどこででも展開できる打ち上げサービスを提供する。これは特に、国家安全保障や諜報関連の顧客を対象としたサービスで、ISIのリモートセンシングの専門知識や運用能力と、Virgin Galactic(ヴァージン・ギャランティック)のLauncherOneシステムを使用し、基本的にどのような宇宙関連施設からでも短期間で打ち上げられる能力を兼ね備えている。

LauncherOneは、ジャンボジェット機を改良した航空機によって係留された後に、2段式ロケットを使って小型衛星(660ポンド、約300kg以下のペイロード)を低軌道に投入する。LauncherOneを高高度に運ぶことで、打ち上げにかかる燃料コストを削減し、また打ち上げごとにわずか1200万ドル(約13億円)で小型のペイロードを宇宙に送ることができる。

ヴァージン・ギャラクティックとISIによるこのシステムは、独自設計の衛星による観測が必要な顧客である諜報機関や防衛機関のニーズを満たすために最適な方法であり、また時限的な状況に対処するためには、迅速な対応が必要であると主張している。確かに、国家偵察局(NRO)のような機関は迅速な打ち上げという要求を満たすベンダーを探しており、特に「Rapid Acquisition of a Small Rocket(RASR)」と呼ばれるプログラムを導入し、これを調達している。また、ロケット打ち上げスタートアップのRocket Lab(ロケット・ラボ)は、2020年最初のミッションをこのプログラム下で実施すると発表しており、Virgin OrbitとISIの提携と競合しそうだ。

高解像度の衛星画像と、そのデータ分析サービスを組み合わせたオンデマンド打ち上げシステムの提供は、国家安全保障機関にとって魅力的なサービスとなりうることは間違いない。ヴァージン・オービットはロケット打ち上げのための重要なハードルをクリアする必要があるが、すべてが計画通りに進めばそれも2020年中に実現するはずだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

人工衛星のKeplerがトロント新施設で小型衛星製造へ

人工衛星スタートアップのKepler(ケプラー)は、カナダのオンタリオ州トロントにある5000平方フィートの新しい施設で、今後小型衛星を製造する。同社はカナダ宇宙庁やトロント大学などのパートナーと共同でこの新施設の建設に取り組んでおり、製造だけでなく衛星の設計や開発も行う予定だ。

Keplerはすでに2機の人工衛星を軌道上で運用しており、2019年末には初の高速インターネット接続を北極に提供し、その技術力を実証した。これらの衛星はKeplerによって設計されたものだが、サードパーティーが製造している。今回の発表にともない、Keplerは「将来の衛星の開発、生産、試験を垂直統合する」と述べている。

これによりKeplerは農業、運輸、海運、物流などの幅広い産業での利用を目的とした広帯域接続を提供する合計140機の衛星群を製造、打ち上げ、運用するという目標を達成することができる。新しい施設は衛星群を構築するために必要な小型衛星の大量生産をサポートし、同時に長期のアウトソーシングと比較してコスト面でのメリットを提供する。

小型衛星産業は、特にSpaceX(スペースX)のFalcon9のような比較的手頃な価格のロケットが、衛星や衛星群の潜在的な市場を拡大して以来、最も需要が増加した宇宙産業の分野である。衛星製造を社内に移行することで、Keplerは全スタックを社内に所有する数少ない小規模な宇宙開発企業の1つとなり、今後、同社に大きな優位をもたらすはずだ。

Keplerによる今後の衛星打ち上げについては、すでに製造を請け負っている実証衛星が2020年春に打ち上げられる予定だ。その後、この新施設で製造された最初の商用衛星を2020年夏に打ち上げ、それ以外にも年内に2回の打ち上げを予定している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

国際宇宙ステーションの商用化に向けてNASAが居住モジュールの設計をAxiom Spaceに発注

NASAは2016年に創業されたヒューストンのAxiom Spaceを、国際宇宙ステーション初の商用居住モジュールの生産者として選んだ。このモジュールは、将来の商用宇宙飛行ミッションの目的地となり、そこでは商用の宇宙旅行者たちにより、居住実験や技術開発などが行われるだろう。そしてそのISSまでの定期的な実用飛行には、SpaceX Crew DragonやBoeing Starlinerのような人間搭載が可能なクラスの宇宙船が使われると思われる。

Axiom Spaceは2016年に創業され、共同創業者でCEOのMichael T. Suffredini(マイケル・T・サフレディーニ)氏が率いている。サフレディーニ氏は以前、NASAのJohnson Space Center(ジョンソン宇宙センター)で、ISSのプログラムマネージャーを務めていた。同社の小さなチームにはNASA出身者が多く、そのスペースモジュールはISSに付設されたあと、同社自身の民間スペースステーションのベースになる予定だ。NASAはISSの供用期間を延長したが、現在のNASAの計画では、その後は民間の軌道ラボや商用の施設がISSに代わるものとして使われることになる。

2018年にAxiomは、Apple(アップル)の創業者Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏の豪華ヨットの設計者として知る人ぞ知るデザイナーPhilippe Starck(フィリップ・スタルク)氏をチームに加えて、未来のスペースステーションモジュールのルックスを構想してもらった。それには対話的ディスプレイのある乗員宿所や、地球とその背後の宇宙の絶景が見える半球状ドームなどが含まれている。

このISS用のモジュールは、プライベートな宇宙ステーションとして完全なものではなく、むしろ、既存のスペースステーションの今後の商用化や、さらに将来の低地球軌道における本格的な商用活動への道を拓くための、最初のステップだ。Axiomへの指示には「少なくとも1つの居住可能な商用モジュール」が含まれていて、そこには今後の拡張モジュールの発注も含まれている。納期などの契約条件の詰めが、今後行われるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

インドの宇宙機関は有人飛行に備えて事前に半人型ロボを宇宙に飛ばす

ISRO(Indian Space Research Organisation、インド宇宙研究機関)は、2022年に最初の宇宙飛行士を宇宙に送り出すという有人宇宙飛行の準備に余念がない。それに先立って、今年の後半にはGaganyaan(ガガンヤーン)と呼ばれる周回軌道を回る宇宙船を打ち上げる予定だ。そこには乗員が乗り込むが人間ではない。代わりに1体のロボットが搭乗する。

画像クレジット:MANJUNATH KIRAN/AFP/Getty Images

Times of Indiaによると、それはISROがVyommitra(ヴァイオミトラ)と名付けた「半ヒューマノイド型」のロボ宇宙飛行士で、12月にガガンヤーンが初めて飛行する際に搭乗する。このロボットは、スイッチパネルを操作してカプセルを制御したりするだけでなく、「コンパニオン」としても働くといった広範囲の機能や特徴を備えている。例えば「宇宙飛行士と会話したり、乗員を認識して質問に答える」といったことまでできる。今週の発表会では、自らの言葉で、その能力を紹介していた。

ヴァイオミトラはバイリンガルだ。そのほぼ擬人化された性質によって、実際に人間が座席に固定されて操縦する際に、ガガンヤーンがどのような挙動を示すかといった貴重なデータを、事前に収集できるわけだ。このロボットは、環境の調整や生命維持装置の制御を含めて、乗組員に求められる「すべて」の機能を、確かに実行できる。また、顔に表情を浮かべたり、地上の制御室からのメッセージなどを伝える際には、音声に合わせて唇を動かすこともできる。

これは、宇宙に送り込まれる最初の擬人的なデザインと機能を備えたロボットというわけではない。すでにロシアのSkybotがISSに行ったことがあるし、NASAも、宇宙飛行士を支援し、アシスタントとして働く「Astrobee」と呼ばれるスフェロイド型ロボットをテストしている。しかし、それぞれアプローチは異なっている。ヴァイオミトラの場合は、機能だけでなく容姿も人間に似せようとする明確な意図があり、興味深い存在となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ボーイングがイスラエルのTactical Roboticsと提携して垂直離着陸機技術を開発

Boeing(ボーイング)は、イスラエルに本拠を置くTactical Robotics(タクティカルロボティクス)と新たな契約を締結した。これは、Tactical Roboticsの「Fancraft」ローター格納技術に基づく垂直離着陸機(VTOL)の「開発、生産、マーケティング」に両社が共同で取り組む契約だ。

Urban Aeronautics(アーバン・ エアロノーティクス)傘下のTactical Roboticsはすでに自動運転飛行機の「Cormorat」を開発済みだ。何となくハンヴィー(多目的軍用車両)の面影があるが、CormoratはFancraftローターによって垂直に離着陸できる。オープンローターとは違い、ローターはダクト内に配置されており、気流誘導と、車両周囲の人間への安全性の点で優れている。両社間の新契約では、災害対応など新しい利用方法を想定したCormorantの生産および販売ができないか検討することから始める。

ボーイングとTactical Roboticsの包括的な契約は、広範囲におよぶ可能性があり、有人および自律VTOL航空機の研究開発も視野に入る。この契約はVTOL業界がパートナーシップ、投資、製品化の面で熱くなっていることを示す1つの例だ。

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(翻訳:Mizoguchi

超音速旅客機開発のBoom SupersonicがFlight Researchと提携、XB-1実現に前進

超音速旅客機を開発しているスタートアップ、BoomについてはTechCrunchでもファウンダーへのインタビューを含め、詳しく紹介している。超音速旅客機の開発計画はいくつもあるがもっとも影響が大きいのはJALとバージン航空が出資するBoomだろう。デンバーを本拠とするこのスタートアップはこのほど試験飛行、型式取得、パイロットの訓練などを専門とする企業、Flight Research, Inc.と提携したことを発表した。

Flight Research, Inc.はBoomが開発中のXB-1超音速デモンストレーターの試験飛行をモハーベ砂漠の上空での実施を計画しており、提携の一環として、Boomはモハーヴェ空港および宇宙港(Mojave Air and Space Port)に所在するFlight Researchの格納庫が利用できる。テスト飛行の発着にはこの空港が用いられる。また、ノースロップT-38超音速練習機も利用可能。T-38はパイロットの訓練とXB-1のテスト飛行を追尾してモニターするために用いられる。

Boomが開発中のXB-1は、最終目的である商用旅客機Overtureの設計の前段階にあたる。BoomによればXB-1はこの商用機のスケールダウン版であり、テスト飛行によって得た情報をフィードバックしてOvertureの開発に生かすのだという。XB-1の操縦系とエンジンは開発を完了しており、現在はコクピットの細部を詰めているとのことだ。胴体の半分と翼の3分の1は今後開発される。最初のテスト飛行は2020年後半の予定だ。

動画は2017年4月取材のものとなる。

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滑川海彦@Facebook

IoTの衛星ネットワーク接続を低価格で提供するSkyloが約113億円調達

来るべき宇宙経済における最大のチャンスのひとつは、成長し続ける通信衛星群が可能にした新たな接続性を、地球上のモノや企業に役立てることだ。米国時間1月21日、1億300万ドル(約113億円)のシリーズBラウンドを発表しステルス状態を脱したスタートアップのSkyloは、そのチャンスを手頃な価格で可能にしようとする一社だ。

今回の調達ラウンドによって、Skyloの調達額はシリーズAの1400万ドル(約15億4000万円)と合わせて1億1600万ドル(約128億円円)になった。最新ラウンドをリードしたのはソフトバンクグループ(現在、複雑な事情を抱えている)で、既存出資者のDCMおよびEric Schmidt(エリック・シュミット)氏のInnovation Endeavorsも参加した。Skyloのビジネスは、基本的にモノのインターネット(IoT)デバイス(センサー、工業機器、輸送ハードウェアなど)をセルラーベースの狭帯域IoTプロトコルで衛星ネットワークに接続することにある。現在、同社のネットワークはすでに静止衛星上でも展開されているため、特別な技術を使って新たな衛星を待つことなく顧客はデバイスを接続できる。

Skyloは商用パートナーとの実運用テストを完了しており、漁業、海運業、自動車などの民間企業と政府関係団体がパートナーになっている。同社が主張する既存ソリューションに対する利点は、接続にかかる費用が1件最低1ドル(約110円)からハードウェアは100ドル(約1万1000円)以下という低価格で、現在市場にある衛星を利用したIoT接続と比べて最大95%のコスト削減になると同社はいう。

専用ハードウェアのSkylo Hubは一種の衛星ターミナルとして静止衛星と接続して「ホットスポット」になり、一般的なIoTセンサーやデバイスが利用できる。大きさは約20 ×20 cmで、バッテリーまたはAC電源で動作し、顧客は特別な知識がなくても設置できる。

同社は2017年にCEOのParth Trivedi(パルス・トリベディ)氏とCTOのAndrew Nuttall(アンドリュー・ナタール)博士、およびチーフ・ハブ・アーキテクトのAndrew Kalman(アンドリュー・カルマン)博士が設立した。トリベディ氏はMITの航空宇宙工学出身で、ナタール氏はスタンフォード大学で航空工学博士号を取得、カルマン氏はスタンフォード大学教授で、かつて小型衛星キューブサットのスタートアップ、Pumpkin Inc.を設立した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

LEGOが国際宇宙ステーションの公式キットを発売、スペースシャトルやロボットアームも付属

LEGOは国際宇宙ステーション(ISS)の公式キットを発売する。このキットには軌道プラットフォームのスケールモデル、ドッキング可能な小型スペースシャトル、展開可能な衛星、2人の宇宙飛行士のミニフィギュアが含まれている。ピースの数は864ピースだ。これはISSの20年以上の稼働を記念したキットで、LEGOファンのコミュニティからの要望を実現するLEGOのIdeasプラットフォームを通じて提案されたものとなる。

この新しいキットは2月に発売予定で、小売価格は69.99ドル(約7700円)。かなり複雑なもののようで、推奨年齢は16歳以上になっている。ファンのような大きな太陽光発電アレイや、スペースシャトルのミニモデルと貨物カプセルの両方に対応するドッキングステーションなどが含まれる。

前述したようにキットには衛星も含まれており、ロボットアームのCanadarmを使用して展開できる。また先日、クリスティーナ・コック宇宙飛行士とジェシカ・メイヤー宇宙飛行士がISSのバッテリーを交換したように、ISSがなんらかの修理を必要とする場合は、2人の宇宙飛行士のミニフィギュアが修理やアップグレードを行う。

実際のISSは、NASAとロシアのRoscosmos、ヨーロッパのESA、カナダのCSAそして日本による共同プロジェクトで、1998年に最初の打ち上げが行われ、宇宙飛行士とともに19年以上も継続的に運用されてきた(公式な20周年は2020年11月となる)。ISSは当初予定されていたミッション寿命を超えているが、計画の変更により、少なくとも2030年までは軌道上の科学実験施設としての役割を継続する予定だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

高解像度観測画像をリアルタイムで取得できるCapella Spaceの最新衛星技術

人工衛星と地球観測のスタートアップであるCapella Space(カペラ・スペース)は、既存の試験用ハードウェアプラットフォームを改良し、0.5メートル以下の分解能による高解像度観測画像を提供する新しい衛星技術を発表した。Sequoia(セコイア)という開発コード名で呼ばれているこの新しい衛星は、リアルタイムの要求に対応し、Capella Spaceのクライアントは基本的にオンデマンドで希望のエリアの観測画像を取得できる。

Capella Spaceの衛星は合成開口レーダー(SAR)による観測衛星で、撮影領域が雲に覆われていたり、夜間であっても、地上の2次元画像を提供できる。通常、SARによる画像の分解能は、同社の新型衛星による0.5メートルの分解能よりもはるかに低く、Sequoiaのような小型衛星で同様の性能を実現することも難しい。

Capella Spaceによると、新しい衛星デザインは「顧客からのフィードバックの結果」であり、高速充電や迅速なリサイクルのために改良されたソーラーアレイや、一度に長時間の撮影を可能にする進化した温度管理、顧客のニーズに応じたより高速なターゲット設定の切り替えといった改良が含まれるという。またダウンリンクの帯域幅が広いため、他社が提供するこのサイズのどのSARシステムよりも、軌道パスあたりのデータ転送量が多い。

このアップグレードにより、Capella Spaceはアメリカ空軍やアメリカ国家偵察局(NRO)を含む、米国政府の主要顧客との契約を獲得した。この技術は、3月に打ち上げが予定されている6機の次期商用衛星に搭載される。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ロケット・ラボの2020年初打ち上げは米国家偵察局ミッション

Rocket Lab(ロケット・ラボ)は2020年最初のミッションとなる、アメリカ国家偵察局(NRO)向けのロケットの打ち上げを1月31日に実施すると発表した。ミッションで使用されるElectronロケットは、ニュージーランドにあるLaunch Complex 1(LC-1)から打ち上げられる。今回のミッションは、Rocket LabがNROとの新たな契約の下で実施する初めてのものとなる。

この新しいRapid Acquisition of a Small Rocket(RASR)という契約モデルは、カーボン素材による3Dプリンティングを利用した小型かつ廉価なロケットを運用するRocket Labにとって理想的なものだ。Rocket Labは、2019年にとある顧客の契約が変更された際に、別の顧客の打ち上げを優先したことで、このモデルの柔軟性をすでに実証している。RASR契約モデルのもとでNROミッションを獲得したということは、小さなペイロードのための対応力があり、タイムリーなロケット打ち上げサービスを提供するという目標が、市場のスイートスポットに合致していることのさらなる証明でもある。

NROは情報衛星の開発、構築、打ち上げ、運用を担当するアメリカ政府の機関だ。1961年に設立され、1992年にようやくその機密扱いが解除され、正式に公表された。その任務には、アメリカの情報機関と国防総省、両方の活動支援が含まれている。

防衛産業では小型衛星の運用に対する関心が高まっている。その主な理由としては小型で効率的かつ経済的な衛星を運用することで、より迅速に現場の新しいニーズに対応でき、さらに大規模な観測および耐障害通信ネットワークを構築できることにある。従来の高価で巨大な偵察衛星や軍事衛星は多大な予算と複数年の開発スケジュールが必要で、潜在的な監視対象のデータの提供という意味での冗長性がほとんどない。小型衛星は多数の衛星コンステレーションの一部として機能し、これらの潜在的な弱点のほとんどを解決する。

ロケット・ラボがヴァージナ州ワロップス島に新しいLaunch Complex 2(LC-2)を開設した理由の1つは、アメリカの防衛産業に関連した顧客により良いサービスを提供するためである。この発射場で行われる最初のミッションは、2020年春に予定されているアメリカ空軍に向けたものだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

繊細な処理が可能なロボットの「手」を開発するSoft Roboticsが大手FANUCと提携、約25億円調達

 

ロボティクスのスタートアップ、Soft RoboticsがシリーズBラウンドを完了、2300万ドル(約25億円)の資金を獲得した。このラウンドはCalibrate VenturesとMaterial Impactがリードし、Honeywell、ヤマハ、Hyperplaneなどの既存投資家が加わった。注目すべき点は世界最大の産業用ロボットのメーカー、FANUCがラウンドに参加したことだ。同社や最近SostRoboticsと戦略的な提携を行っている。

Soft Roboticsのプレスリリースによれば、今回のラウンドは「募集枠を超えた」額だったという。つまり同社は差し迫った資金需要があったわけではないらしい。実際、今回の2300万ドル(約25億円)を調達したラウンドの前、2018年の2000万ドル(約22億円)のラウンドも「募集枠を超えた」ものと発表されている。それ以前のラウンドは500万ドル(約5億5000万円)のシリーズAで2015年にクローズされている。Soft Roboticsのクライアントには世界の大企業多数が含まれるため、おそらく資金は潤沢なのだろう。

Soft Roboticsはロボットが対象をつかむ手の部分を開発している。社名からも推察できるが、このグリッパーにはソフトな素材が用いられ、各種のデリケートな処理を可能としている。従来の変形しない強固なグリッパーの場合、壊れやすい素材をつかむためには非常に精密な位置決めが必要となりわずかの誤差も許されなかった。

2018年の資金調達ではSoft Roboticsは従来のリテールやロジスティクス一般に加えて、食品、飲料などの処理にもターゲットを拡張することを明らかにした。新しいパートナーであるFANUCが今回のラウンドに参加している。FANUCはSoft RoboticsのMini-Pコントローラーを内蔵する柔軟なグリッパー、mGripをFANUCの既存の各種産業用ロボットに組み込むことにより、処理のバリエーションを大幅に拡大している。一方、Soft Roboticsはロボティクス事業において世界でもっとも影響力がFANUCと戦略的、テクノロジー的な関係を築くことに成功した。

今回の資金調達でSoft Roboticsはさらなる成長に向けて投資が可能となった。アイテムのバリエーションを拡大し、食品パッケージングを含めて消費者向けグッズの処理やeコマースのインフラとなるロジスティクス分野にもいっそう力を入れることになるだろう。特にeコマース業界において最大の課題となっている大量に発生する返品処理のロボット化、効率化はSoft Roboticsのソフトグリッパーが威力を発揮する分野になりそうだ。

【Japan編集部追記】 記事中で今回のラウンドがシリーズBとされているが、CrunchBaseによると2015年2018年とも「シリーズA」とされている。なお原文のSoft RoboticsのCrunchBaseはエラーを返してくる。

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滑川海彦@Facebook

SpaceXは有人Crew Dragonカプセルの船上ダイレクトキャッチを目指す

 

SpaceX(スペースX)はCrew Dragon宇宙船の空中脱出システムのテストに成功したところだ。宇宙飛行カプセルは無事、大西洋上に着水した。しかし記者会見でSpaceXのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は有人宇宙飛行カプセルの地球帰還は将来まったく異なる方式となるはずだと述べた。

マスク氏によれば、SpaceXの今後の目標は洋上を航行する専用船によってCrew Dragonを「キャッチする」ことだという。 これにより、現在のように洋上に着水してから引き上げるというステップが不要となる。SpaceXでは同様のシステムでFalcon 9、Falcon Heavyのカーゴベイをカバーする大型フェアリングを回収船に張ったネットでキャッチすることに成功している。

「実現させるにはNASAと協議を続ける必要があるが、SpaceXが(フェアリング回収のために開発した)船上キャッチが使えるので非常にクールなアイデアだと考えている。船上回収システムが本格的に稼働すれば、有人Dragonが軌道上からの降下にあたって着水方式による各種の不便さを取り除くことができる」とマスク氏は述べた。

SpaceXがカプセルを着水させず、船上でキャッチできれば運用コスト、再利用の両面でも大きな前進となるはずだ。SpaceXではNASA以外商用クライアントにもCrew Dragonによる有人宇宙飛行サービスを提供していく考えだ。もちろん船上キャッチは将来の目標であり、 Crew Dragonの打ち上げサービスは当面通常どおり着水によるとマスク氏は強調した。有人カプセルの船上キャッチプロジェクトにはNASAの承認と参加が必要であり、まずは現在テスト中のフェアリングのダイレクトキャッチの信頼性を高めて認定を得る必要がある。SpaceXは2枚1組のフェアリングの片側を一度だけキャッチすることに成功しているものの、ほかの数回の実験は失敗している。

マスク氏は「当然だが、まずはフェアリングのキャッチが確実にできるようになる必要がある。Dragonのキャッチを考えるのはその後だ。しかしこれが実現すれば海に落とすのに比べて大きな進歩になる」と語った。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

SpaceXがCrew Dragon宇宙船の安全性テストをライブ配信

SpaceX(スペースX)はFalcon 9ロケットによるCrew Dragon宇宙船のテストを米国時間1月19日に実施した。これは、有人宇宙船の飛行中止(IFA)システムにおける重要なテストだ。この安全機能は、Crew DragonをFalcon 9ロケットから早期に分離し、宇宙船(今回のミッションでは宇宙飛行士は搭乗しない)を超高速に安全な位置まで推進する。

テストは当初1月18日の土曜日に予定されていたが、天候のために東部標準時10時30分(太平洋標準時で7時30分、日本時間1月19日00時30分)へと延期された。これは天候条件で可能な限り良好であることを目指したもので、スペースXの貨物宇宙船の打ち上げよりも厳しい基準だった。さらにこれは、民宇宙開発企業とその政府機関のパートナーが、実際の宇宙飛行士の搭乗を想定していることを反映している。なぜなら、宇宙飛行士の安全は最優先事項だからだ。

ミッションにおける 「飛行中のアボート」 プロセスは、ロケットとそのペイロードが上空約6万フィート(約18km)にて、打ち上げから約84秒後に自動的に起動するように設定されている。実際の有人ミッションでは、大気圏内でロケットが爆発するような問題が起きた場合にこれを利用し、搭乗している宇宙飛行士に可能な限りの脱出の機会を与える。

その目標はCrew Dragonのカプセルを分析し、データを収集するために宇宙船を迅速に回収することであり、これはIFAの過程で宇宙飛行士が体験するであろう状況に関する重要な情報となる。これは、海上の状況が発射台の状況とほぼ同じくらい重要であることを意味しており、NASAとスペースXはカプセルを回収する回収作業員の安全も確保したいと考えている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXのCrew Dragon初有人打ち上げは2020年第2四半期か

SpaceX(スペースX)とNASAはCrew Dragonの飛行中止システムのテストに成功した後、米国時間1月19日に記者会見を開き、ミッションと次のステップについて議論した。メディアが最初に質問したのは、実際に宇宙飛行士が搭乗するミッションのスケジュールについてで、SpaceXのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏がおおまかなスケジュールを回答した。

「最初の打ち上げに必要なハードウェアは、2月末までに準備が整うと我々は考えている」とマスク氏は発言した。「しかし、ハードウェアのすべてを徹底的にチェックし終えるまで、まだ多くの作業が残っている。また、国際宇宙ステーション(ISS)に到着するスケジュールの関係もある。ISSでは多くのミッションが予定されているため、適切なタイミングを決定する必要がある。現時点での一般的な見解では、ハードウェアの準備が整うのが第1四半期(1月〜3月)で、おそらく可能性が高いのは2月だろうが、遅くとも3月までには完了するだろう。そして、最初の有人打ち上げは第2四半期(4月〜6月)に実施される可能性が高いと思われる」。

NASAのJim Bridenstine(ジム・ブライデンスタイン)長官はNASA側からの立場に言及し、最初の打ち上げでは実際のミッションタイミングに影響する要素がいくつかあるかもしれないと指摘した。

「これは非常に公平な評価だと考えている」とブライデンスタイン氏は語る。「また、NASAの観点から私たちの側でいくつかの決定をしなければならないだろう。最初のクルーのミッション期間を短くするか、あるいは長くするか。もし長期間になるのであれば、我々の宇宙飛行士たちが実際にISSに滞在するための追加の訓練をしなければならない」。

同氏によると、これらの決定は「数週間後には」行われる予定で、最初のミッションが短期間になるのか、あるいはより多くの目的を持った長期間のものとなるのかによって、Crew Dragonに搭乗する宇宙飛行士のスケジュールと訓練の必要性に影響し、打ち上げタイミングが変わる可能性があるという。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXがCrew Dragon宇宙船の空中脱出システムのテストに成功

SpaceX(スペースX)は米国時間1月20日、Crew Dragon宇宙船の安全システムの重要なテストを完了した。テストではFalcon 9を使ってCrew Dragonを打ち上げたが、乗組員は搭乗しなかった。その後、打ち上げは意図的に中断され、空中脱出(IFA)システムを起動させて、打ち上げプロセスの約1分半後にCrew Dragonがロケットから分離した。

意図したとおり、Dragonカプセルは8基のSuper Dracoエンジンを点火し、ロケットから素早く分離した。実際のミッションでは、ロケットが万一故障した場合に搭乗した宇宙飛行士の安全を確保することになる。Crew Dragonエンジンはわずか7.5秒で半マイル(0.8km)飛行し、この加速中は宇宙飛行士に最大4G(地上重力の4倍)を与える。

Crew Dragonは、安全な距離に達したらパラシュートを開いて大西洋に着水し、カプセルの回収が実施される。実際の緊急事態では、空軍のエリート救助チームが可能な限り迅速に乗員を救出するが、今回のデモはカプセルを無傷かつ安全に回収することが主な目的であるため、その回収には2時間以上かかる可能性がある。

打ち上げられたFalcon 9ロケットは過去3回のミッションで使用されたもので、かつSpaceXが有人ミッションを想定して設計した最初のFalcon 9である。そして予定どおり、Falcon 9はCrew Dragonが分離すると大量の燃料とともに爆発した。

スペースXがCrew Dragonの有人飛行の準備がほぼ整ったことを実証したのは、これが初めてではない。2015年には、地上でのパッド・アボート試験に成功し、打ち上げ前に安全にミッションを中止できることを実証した。Crew DragonのSuper Dracoも、昨年11月に地上でのスタティック・ファイア・テストに成功した。SpaceXは2019年のSuper Dracoの初期テストでも致命的なエラーに遭遇したが、その後NASAと協力して原因を特定して間違いが繰り返されないように修正した。

SpaceXは昨年Crew Dragonによる完全な無人打ち上げのデモミッションも実施し、Falcon 9によってカプセルが打ち上げられ、軌道に投入されてランデブーし、国際宇宙ステーション(ISS)とドッキングし、地球に帰還した。これは、最初の宇宙飛行士をISSへと輸送する商用サービス前のチェックとなり、今年中には実際にミッションが行われるはずだ。

同社のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、NASAとSpaceXが主催したミッション後の記者会見で、テストは基本的に計画どおりに実施され、これは有人ミッションに向けて順調な経過だと伝えた。

「全体的に見て、完璧なミッションだった」 とマスク氏は語った。そして「予想どおりの結果で、すごく興奮してる。これは本当に素晴らしい」を続けた。そして「これまでの経過はすべてが完璧に見える」とマスク氏はつけ加えた。「しかし、我々は宇宙船を物理的に回収し、テレメトリ(遠隔モニタ)に現れていない問題を確認する必要がある」とも述べた。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

日本時間1月18日22時、SpaceXが有人飛行直前の最終テストを実施

SpaceXとNASAは、目前に控えたSpaceXの商用有人宇宙船Cew Dragonの非常に重要な打ち上げテストの準備を進めている。これは、SpaceXが国際宇宙ステーションまで実際に人間を乗せて飛行する前に、必ずパシしなければならないデモンストレーションミッション 最後の大きな山場となる。米国東部時間午前8時(日本時間の午後10時)、打ち上げウィンドウが開く。SpaceXは時間内に、宇宙船Crew Dragonと打ち上げ機(ロケット)Falcon9の、いわゆる「インフライトアボート」(飛行中止)テストを行い、実際の有人飛行時に不測の事態が発生したときに、乗員を守る安全装置の働きを実証する。

今回のミッションでは、Falcon9の先端にCrew Dragonカプセルを搭載して打ち上げる。このFalcon9には、これまで3回のミッションで打ち上げに使用し、再生したブースターステージが使用されている。しかし、今回がこのFalcon9にとって最後のフライトとなる。管制着陸は行わず、ロケットはそのまま廃棄する計画だからだ。打ち上げは、意図的に早めに切り上げられる。テストはロケットが「マックスQ(最大動圧点)」、つまり飛行中に大気圏内の動圧が最大値に達した直後である打ち上げからおよそ84秒まで行われる。

この時点でロケットは、地表からおよそ19kmの高度、フロリダのケープカナベラル空軍基地の打ち上げ台から3kmの距離にいる。ここに到達すると、SpaceXに備えられた打ち上げ時脱出システムが自動的に作動する。これは、人間が乗った宇宙船をFalcon9から切り離し、乗員の安全が保たれる十分な距離まで高速移動させるというものだ。打ち上げからおよそ5分後、Crew Dragonはパラシュートシステムを展開し、その約10分後に、海岸から3〜3.5km沖合の大西洋上に着水する。

その後、Crew Dragonカプセルは海から回収され、ケープカナベラルに戻され、SpaceXで検査が行われる。この宇宙船には乗員のダミーが乗せられており、内部に備え付けられた複数のセンサーで、テスト中のキャビンがどのような状態だったかがわかるようになっている。調査チームはそれをもとに、早期にミッションが中止される非常事態において、脱出プロセスが予定通りに進行し、搭乗した宇宙飛行士たちの安全が守られることを証明したいと考えている。

このインフライトアボートシステムの他にも、SpaceXとNASAは、今回のテストで有人飛行に備えたいくつもの試験を行う。2020年後半に打ち上げを予定している初の有人ミッションに登場するBob Behnken(ボブ・ベンケン)宇宙飛行士とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)宇宙飛行士が、実際のミッションを疑似体験するための予行演習も行われる。2人は宇宙服を着て、発射塔のCrew DragonとFalcon9に乗り込むための通路を歩くことになっていると、NASAのJim Bridenstine(ジム・ブライデンスタイン)長官はTwitterに投稿していた。

ジム・ブライデンスタイン「準備完了! 明日のSpaceXのインフライトアボートテストでCrew Dragonに乗ることはないが、宇宙飛行士のボブ・ベンケンとダグ・ハーリーは商用クルーミッションのリハーサルを行う。アメリカの国土からアメリカ人宇宙飛行士が飛び立つ日は近い!」

上記のとおり、今回のテストではロケットの回収は一切行わない。SpaceX有人ミッション管理ディレクターBenji Reed(ベンジ・リード)氏は、1月17日の記者会見で、Falcon9の第2段で、ある種の「点火」事象の発生を予期していると話していた。地上から見えるほど大きくなる可能性があるという。SpaceXのスタッフは、できる限り多くの破片を回収できるよう待機する。破片を研究に役立てるつもりだが、テストによる環境への悪影響を最小限にする狙いもある。

当初、このテストは、6カ月ほど前に実施される計画だったのだが、使用するはずのSpaceXのCrew Dragonカプセルがエンジンテストの際に予期せぬ事故で失われてしまった。SpaceXとNASAはその爆発事故を調査し、原因を解明し、同じ問題が二度と発生しないという自信を持つに至った。本日のテストで使われるCrew Dragonは、実際の有人飛行で使う予定だったもの。宇宙飛行士を乗せるための新しいカプセルは、現在、建造中だ。

SpaceXの打ち上げウィンドウは、米国東部時間1月18日の午前8時に開く。4時間開いている予定だが、リード氏によれば、必要に応じて延長できるという。NASAの商用有人プログラム・マネージャーのKathy Leuders(キャシー・ルーダー)氏は、打ち上げの条件だけでなく、回収の条件も非常に重要であり、どちらもこのテストの目的にとって最適でなければならないため、その両方の要因から正確な打ち上げ時間を決めることになると1月17日に話していた。特定の軌道に載せることが目的ではないため、時間ぴったりに打ち上げる必要はない。飛ばすか、止めるかの判断は、比較的柔軟に行える。もしもの場合のために、SpaceXでは1月19日と1月20日を予備日に設定している。

我々は、1月18日の朝(日本時間では1月18日、土曜日の夜)に始まるテストの様子をライブストリームとライブ取材でお伝えする。ストリーミングは打ち上げウィンドウが開く15分前(日本時間午後9時45分)から開始する予定なので、ぜひご覧いただきたい。

米国版TechCrunchのサイトでご覧ください)

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(翻訳:金井哲夫)

イーロン・マスクがスペースXで開発する宇宙船の詳細を発表、耐用年数は民間航空機並み

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は現在、Starshipにかなり熱を上げているようだ。テキサス州ボカチカにあるSpaceXの施設で現在開発中の軌道打ち上げを目指す宇宙船、Starshipのプロトタイプ「SN1」の進捗状況がわかる写真を公開している。米国時間1月16日の夜には、マスク氏はTwitterにおける一連の質問に対してStarshipの詳細と火星にコロニーを建設するというマスク氏の目標を達成するために、Starshipが担う役割について語った。

マスク氏は以前にもその一部について発言しているが、人類が火星での居住を確立し維持するために、Starshipが年間何メガトンもの積み荷を何度も火星へと送り届ける必要があると繰り返した。同氏によると、Starshipは平均して1日に3回の打ち上げられ、1回の飛行で100トン以上の積み荷を運ぶ。そして1機あたり年間1000回以上打ち上げられる計画だという。

最終的には年間100機のStarshipsを建造し、今後10年間で合計1000機のStarshipsを製造したいとマスク氏は言う。これによりStarshipsは年間100メガトンもの積み荷の運搬が可能になり、乗客なら約10万人を地球と火星が最も近づいた際に送ることができる。公転の関係で地球と火星は約2年に1度、最接近する。

マスク氏は別の質問に対して、実現にはStarshipを地球上空の軌道に乗せ、出発する前に宇宙空間で燃料を補給する必要があると答えている。そして26カ月に1度、約1000機の宇宙船が30日間の火星への輸送を行う。地球から火星に行くには、地球大気圏から脱出するために軌道上での燃料補給が必要となるが、火星からの打ち上げは同様ではないと、マスク氏は指摘する。

別のツイートへのマスク氏の返答によれば、SpaceXの最終的な目標は2050年までに100万人を火星に送ることだという。さらにその費用を十分に下げることで、「お金がなくてもローンで、誰でも行くことができる」ようにするという。またマスク氏は、将来の入植者には「火星ではたくさんの仕事があるだろう」と述べた。

マスク氏がSpaceX事業のあらゆる段階で強調してきたように、Starshipはシステムの再利用性が重要となる。宇宙船の耐用年数は20年〜30年程度を目標としており、これは現在の民間航空機と同様だと同氏は述べた。同社が上記の計画を経済的に実現可能にするためには、これに近い必要なやり方で行う必要がある。

現在、テキサスの施設で新しいStarshipのプロトタイプが開発中だ。SpaceXはすでに、Starship向けの新エンジンをテストするために、ノーズコーンのないサブスケールのデモモデルを開発しており、制御状態での低高度飛行に成功している。当初、同社は高高度におけるテスト飛行に使用する大型のプロトタイプを製作したが、初期の圧力テストに失敗。現在は設計を刷新し、改良された第3バージョンに移行しており、2020年の軌道飛行テストに使用される予定だ。

 

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Orbexによる2022年の打ち上げミッションの顧客確保を、SpaceXにも協力するTriSeptが担当

宇宙開発スタートアップのOrbex(オーベックス)が、商用と公共事業の両方を対象とするロケット打ち上げサービス「Prime」の顧客を獲得した。2022年中に打ち上げ予定になっているこのOrbex、Primeロケットにおけるすべてのライドシェアの予約をTriSeptが担当した。

Orbexはロケットの製造プロセスを迅速化させつつ、コストを抑えるために、3Dプリンティング技術を採用している。イギリスに拠点を置く同社は、スコットランド高地のサザーランドで新しいスペースポートの最終的な承認獲得と、その建設に取り組んでいる。完成すれば、このスペースポートは、ヨーロッパ本土初のロケット発射施設となる。

TriSeptはロケットペイロードの統合だけでなく、打ち上げの管理と仲介サービスも提供しており、アメリカの宇宙市場において数年の実績がある。また、2020年後半にサザーランドのスペースポートが開設する前に、イギリス・オックスフォードのHarwell Space Campusにも常駐拠点を設ける予定だ。

ヨーロッパ企業であるOrbexにとって、初のアメリカ拠点の顧客という意味で、これは重要な取引となる。TriSeptはSpaceXやRocket Labと密接に協力し、過去にライドシェアミッションを提供してきた経緯があり、前述2社の事業運営の成功を再現しようとしているOrbexにとっては、TriSeptは望ましいパートナーだ。

 

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ボーイングの有人宇宙飛行船Starlinerの軌道飛行テスト中の船内映像

2019年末、Boeing(ボーイング)は同社の商業有人宇宙船、Starliner(スターライナー)の軌道飛行テストを行った。これは実際に宇宙飛行士を乗せて飛ぶ前に行われる最重要なイベントだ。しかしテストは計画通りには進まず、スターライナーは国際宇宙ステーションと実際のミッションで指示されているドッキングができなかった。失敗はミッションタイマーのエラーが原因だったが、大部分のテストは成功し、搭載カメラは飛行の全貌を捕らえた。

ボーイングは、カプセルの窓に設置された外部を観察するカメラと、内部で本物の人間がどんな行動をするかを見るために使われたダミー宇宙飛行士を写したカメラの両方からフライトの各部分ごとの映像(タイマー故障の直後を含む)を編集でつなぎ合わせた。キャビン内には固定された貨物と「ゼロGインジケーター」の役目を果たすスヌーピー人形も見ることができる。

最終的にはミッション中に撮影された映像すべてを公開する予定だとボーイングは語った。これは同社の商業有人宇宙船が、初の軌道飛行に搭乗する宇宙飛行士たちにとって絶対安全であることをNASAと一般市民に納得させるためには是非とも必要な透明性であり、正しい行動だ。有人飛行は今年中の実施が期待されている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

空飛ぶタクシー事業目指すJoby Aviationはトヨタ主導で650億円を調達

Joby Aviation(ジョビー・アビエーション)は、シリーズC投資で5億9000万ドル(約650億円)を獲得し、そのうち3億9400万ドル(約433億円)が、この投資を主導したトヨタ自動車からのものであることを、米国時間1月15日に発表した。同社は、自社開発の電動垂直離着陸航空機(eVTOL)を使用した空飛ぶ電動タクシーの運用準備段階にある。そこでは、戦略パートナーであるトヨタの自動車製造の経験が一部生かされている。

今回の投資により、Joby Aviationが受けた投資総額は7億2000万ドル(約792億円)となった。投資に参加した企業には、 Intel Capital、JetBlue Technology Ventures、Toyota AI Venturesのほか、数多くが名を連ねる。この新たな投資に伴い、Jobyの取締役会い新しいメンバーが加わった。トヨタ自動車執行副社長の友山茂樹氏だ。

2009年に設立されたJoby Aviationは、米国カリフォルニア州サンタクルーズに本社を構える。創設者はJoeBen Bevirt(ジョーベン・ベバート)氏。彼はカメラとエレクトロニクスの一般消費者向けアクセサリーのメーカーであるJobyの創設者でもある。同社が独自開発した乗用eVTOLは、時速約320km、1回の充電で約240km飛行できる。電気駆動のマルチローターという構造のため、Joby Aviationによれば「従来の航空機に比べて離着陸時の騒音は100分の1で、飛行中はほぼ無音」とのこと。

そうした利点により、eVTOLは都市部の航空輸送ネットワーク開発における第1候補とされており、Jobyの他にも、中国のEHangやAirbusなど、数多くの企業が都市部での人や物の短距離輸送に使える同タイプの航空機の開発を進めている。

今回のラウンドでのトヨタによる巨額の投資には、同社が将来の航空輸送にかける思いの強さが表れている。この投資の詳細を記した広報資料で、トヨタの社長兼CEOの豊田章男氏は、同社がeVTOLと航空輸送全般に真剣に取り組んでいることを示唆している。

「航空輸送はトヨタの長年の目標であり、自動車産業で事業を続けつつ、今回の契約により私たちの空へ展望を固めることができました」と豊田氏は述べている。「私たちは、成長著しいeVTOL分野のイノベーターであるJoby Aviationとともに航空輸送への挑戦に乗り出し、未来の交通と生活に革命を引き起こす可能性を引き出します。この新しく胸躍る試みを通して、移動の自由と喜びを世界中の土地の、そしてこれからは空のお客様にお届けしたく存じます」。

Joby Aviationは、短距離飛行での従来型ヘリコプターと比較して相当な費用便益を実現できると信じている。最終的には、利用率を最大化し燃料を削減することで、「誰にでも利用できる」レベルにまでコストを下げたいと考えている。現在、Jobyは、その航空機の縮小スケール版でのテストを完了し、製品版試作機による本格飛行テストに入ったところだ。2018年末には、米国連邦航空局(FAA)による航空機の承認のための手続きを始めている。

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(翻訳:金井哲夫)