エリザベス・ウォーレン上院議員がギグワーカーの労組結成を認める法案を提出との報道

ギグワーカーにとって今年最大のキーワードは労働組合の結成だ。このほど上院議員で大統領候補でもあるのElizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)氏が、まさにそのギグワーカーのための法案を提出した、とCNBCが報じた

Daivd Cicilline(デビッド・シシリーニ)下院議員と共同で提出された法案には、「mega mergers」(超大型合併)の禁止も盛り込まれている。1社が年間売上400億ドル(約4兆3500億円)を超えているか、両社合計の年間売上が150億ドル(約1兆6400億円)を超えている場合だ。

カリフォルニア州下院法案5号の法制化にあたり、ギグワーカーたちは賃上げ、職場の安全確保、組合結成の権利を要求していた。同法案が通過したことによって、企業は裁判で訴えられた場合に、ギグワーカーを税務用紙1099の定める個人契約事業主として分類することが困難になると見られている。しかし、ギグワーカーらは今も組合結成の権利を要求している。

同法案の通過を受け、ライドシェアサービスのドライバーで労働者団体であるGig Workers RisingのメンバーのEdan Alva(エダン・アルバ)氏は、組合は絶対的に重要であると語った。同氏によると、この法案は始まりにすぎないという。しかも、5号法案はカリフォルニア州に限定されている。ウォーレン上院議員が提案したと報じられているのは国全体に及ぶ法律だ。

TechCrunchはウォーレン上院議員に連絡をとっており、返答があり次第続報する予定。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

1日70円で傘が借りられるアイカサが参宮橋駅を除く小田急線・新宿駅〜町田駅にスポット設置

傘のシェアリングサービス「アイカサ」を展開しているNature Innovation Groupは11月26日、小田急電鉄・小田原線の新宿駅から町田駅までの計26駅にアイカサスポットを設置することを発表した。設置されるのは11月28日から。

アイカサは2018年12月に東京・渋谷エリアから始まった、1日70円で傘を借りられるサービス。専用アプリのインストールは不要で、LINEでアイカサと友だちになることですぐに使えるのが特徴だ。アイカサスポットに設置されている施錠状態の傘に張られているQRコードをスマホで読み取ることで解錠・決済が可能になる。2019年11月14日時点で、登録人数は6万226人、加盟店舗数は650店となっている。

傘を借りると1日ごとに70円が加算されていくが、6日以降から1カ月間は420円。ゲリラ豪雨など想定外の雨であっても、コンビニエンスストアで傘を購入するより安価に利用できる。傘の返却は最寄りのアイカサスポットに返却すればいい。決済方法は、クレジットカードのほかLINE Payを選べる。

Nature Innovation Groupはこれまでも、首都圏ではJR東日本や京急電鉄、小田急電鉄、西武鉄道などの主要駅や周辺の商業施設、福岡では市と連携して福岡市営地下鉄天神駅や西鉄福岡駅、キャナルシティ博多などにアイカサスポットを展開してきた。

小田急との取り組みとしては、2019年8月14日からは新宿ミロードやFlags、小田急サザンタワー、小田急第一生命ビルなどの関連施設やビルの計10カ所にアイカサスポット設置。同社によると、アイカサの利用者から沿線駅への設置について要望が多かったことがきっかけで、今回の導入に至ったという。

ちなみに鉄道沿線への広範囲の導入は、2019年9月に設置が始まった西武鉄道・西武新宿線に続いて2例目。西武新宿線では西武新宿駅から終着駅の本川越までの全駅配置だったが、小田急小田原線は参宮橋駅を除く町田駅までの計26駅に留まる。とはいえ小田原線の町田駅は、同線新宿駅に次ぐ30万人近い乗降客数を数える駅であり、JR横浜線の町田駅とも近く、多摩地域では最も人が集まるエリアだ。今回の導入によって周辺の商業施設やJR線ヘの波及効果も見込めそうだ。ちなみに参宮橋駅に設置されないのは、同駅の駅舎が改良工事中であることが原因だ。

関連記事:1日70円の傘シェア「アイカサ」が西武新宿線をコンプリート、西武池袋線はどうなる?

同社では小田急小田原線への導入を記念して、小田急沿線を夜の星空になぞらえたオリジナル傘を作成。12月中旬以降、小田急線のアイカサスポットが設置される各駅に合計1000本が置かれる予定だ。

空港の次はゴルフ場、タクシー相乗りアプリのNearMeが都内〜千葉・山武地域のゴルフ場シャトルを開始

タクシー相乗りアプリや都内と成田空港を結ぶシャトルサービスを提供中のNearMeは11月13日、東急不動産、東急不動産R&Dセンターとの提携を発表。都内8区と東急リゾートサービスが運営する千葉県中央部の山武地域に位置する大網白里市内の「季美の森ゴルフ倶楽部」を結ぶシャトルを運行することを発表した。本日から予約を受け付ける。シャトルの料金は一人あたり片道3980円。運行期間は11月16日〜2020年3月31日、運行時間は7時頃の指定地域からの往路ピックアップが可能で、復路の出発18時までとなる。

都内の対象区域は、渋谷区、新宿区、世田谷区、目黒区、品川区、港区、千代田区、中央区の8区で、2日前までに予約すれば自宅やホテルなど利用者が指定した場所にシャトルが迎えに来てくれる。シャトルは最大4人乗り、クレジットカードでの事前決済なのでシャトルのドライバーとの金銭のやり取りは発生しない。

このゴルフシャトルには、NearMeが開発した複数の出発地と1つの目的地(もしくは1つの出発地と複数の目的地)を最短で結ぶAIによるルート作成機能を活用。同社はPlug and Play JapanのアクセラレータープログラムBatch 2の採択企業で、東急リゾートサービスと東急不動産R&Dセンターをともに、3月に実証実験を決定していた。

季美の森ゴルフ倶楽部は、京葉道路を経由した場合で都内から1時間強の距離にある。シャトル予約時には、出発地で乗車する人数も選べるので、一緒にラウンドする仲間同士でシャトルを予約すれば、往復とも運転手役は不要でゴルフ場で全員がアルコールも楽しめる。

関連記事:相乗りアプリのNearMe、都市部で最大9人をピックアップしてゴルフ場まで運ぶシャトルバスの運用開始

Airbnbが殺害事件や詐欺事件の発生を受け、全宿泊施設を検証へ

Airbnbでレンタルされた米国カリフォルニア州の施設で行われたハロウィンパーティーで5名が死亡したことや、Airbnbが全国レベルの詐欺事件を防げなかったことをViceの記事で指摘されたことを受け、同社は登録済みの700万カ所のレンタル施設すべてを検証すると発表した。

「Airbnbのレンタル施設は近々、写真、住所、説明文の正確性、清潔さ、安全性、基本的アメニティーなどを検証される」とAirbnbの共同創業者でCEOのBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏が米国時間11月6日に全社宛てメールに書いた。2020年12月15日から同社の新しい標準に合致した施設は「明確に識別」されると同氏は指摘した。来月以降Airbnbは、新たな基準を満たさない施設を予約あるいは利用した宿泊客には、再予約あるいは払い戻しに応じる。

長らく待たれたAirbnbの安全基準変更は、同社がIPOまたはダイレクトリスティングを計画している時期の数カ月前であり、「パーティーハウス」を禁止し、未承認のパーティー、ホストやゲストの不品行などの取締りを強化するとチェスキーCEOが発表した数日後のことだった。

「インターネットにおける信頼の獲得は、インターネットプラットフォーム上の情報の正確さを検証することから始まる。そしてこれはわれわれの業界にとって重要な一歩であると信じている」と同氏が社内メールで語った。

Airbnbは24時間対応の近隣ホットラインも計画している。宿泊客がいつでもどこでもリアルにAirbnb社員と連絡を取れるサービスで、来年全面スタートする予定だ。さらにAirbnbは、高リスクの可能性がある宿泊客のスクリーニングを来年から全世界に拡大する。

こうした新たな取組みを指揮するのは、Airbnbの信用担当副社長であるMargret Richardsons(マーグレット・リチャードソンズ)氏で、ハロウィンパーティーの虐殺事件への対応をチェスキー氏から任された人物だ。同社はフィラデルフィアとワシントンDCの警察署長を務めたCharles Ramsey(チャールズ・ラムジー)氏、および元イーストパロアルト警察署長のRonald Davis(ロナルド・デイビス)氏にもプロジェクトへの助言を依頼している。

「ジョー(Joe Gebbia、ジョー・ゲビア)とネイト(Nate Blecharczyk、ネイト・ブレチャージク)と私がAirbnbを始めてから11年以上が過ぎ、世界について何が私を一番驚かせたかを聞かれてきた」とチェスキー氏は言う。「私の答えはふたつ。人は基本的に善良であること、そして我々の99%は同じだということだ。今も我々はそれを信じている。そしてさまざまなことが変化する中、これからも世界にそのことを示し続けていきたい」

関連記事:Airbnbがハロウィン5人殺害事件を受け「パーティーハウス」を禁止

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Airbnbがハロウィン5人殺害事件を受け「パーティーハウス」を禁止

AirbnbのCEOであるBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏は11月2日、Airbnbのサービスを使ってレンタルされた米国カリフォルニアの住宅で催されたハロウィンパーティーで5人が殺害された事件を受け、「パーティーハウス」を禁止してホストとゲストを守るためにさらなる策を講じると発表した。

チェスキー氏が11月2日に一連のツイートを通じて明らかにした。「カリフォルニア・オリンダで木曜夜に起こった事件はおぞましい」と書き込んだ。「この悲劇の影響を受けた家族や近所の人の心中を察する。Airbnbは彼らのサポートに動いている」。

そして同氏は、パーティーハウスは禁止し、認められていないパーティーの取り締まりをさらに強化していると述べた。

チェスキー氏は安全性を高めるための他の対策も明らかにした。Airbnbのリスク感知テクノロジーで引っかかった高リスク予約のマニュアル検査の拡大や、パーティーハウスに迅速に対応する専門チームの設置などだ。

AirbnbエグゼクティブチームのMargaret Richardson(マーガレット・リチャードソン)氏が「これらの新しい策を可能な限り早く導入するためレビュープロセスを加速させる」とも加えた。

 

「パーティーは大邸宅でのパーティーとしてソーシャルメディア上で宣伝されたとコントラコスタ郡の警察が語った」とSan Francisco Chronicle は報じた。警察は騒音の苦情を受けて10月31日にその邸宅に向かった。銃撃が始まった午後10時50分ごろのことだ。その場で数人が死亡し、金曜夜に5人目が亡くなった。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

映像・写真機材の共有・売買サービスのShareGridが英国のBorrowFoxを買収

米国で映像・写真機材の共有と売買のマーケットプレイスを運営しているShareGrid(シェアグリッド)が、海外進出の一環として英国のBorrowFox(ボローフォックス)を買収した。

BorrowFoxは「ピア・ツー・ピア」のレンタルコミュニティを運営し、利用者は使っていない映像・写真機材を貸し出すことができる。ShareGridは、英国で2020年にサービスを開始する予定だという。英国ではFat Lamaなどと競合することになるだろう。

買収の条件は明らかにされていないが、ShareGridはBorrowFoxの資産をすべて取得する模様だ。両社は、買収の取引は現金か株式かその両方か、BorrowFoxの投資家は誰かを公表していない。ただし、BorrowFoxの創業者であるArthur Pierse(アーサー・ピアース)氏とAlastair Wood(アラステア・ウッド)氏はShareGridにはジョインしないそうだ。

米国のShareGridは、シネマカメラ、スチルカメラ、レンズ、オーディオ機材、ドローン、照明機材、ジンバル、アクセサリ類などのほか、スタジオやロケーション、車をユーザー間で貸し借りするサービスを提供している。

このサービスの背景には、クリエイターが一流の機材を安いレンタル費用で利用して、使っていない機材から収入を得られるようにしようという考えがある。ShareGridは売買のサービス、カスタムのプロダクションの見積、即時に利用できる保険も提供し、映画制作者、写真家、プロダクションのための「ワンストップショップ」として機能している。

買収により、ShareGridは両社のプラットフォームを合わせて今後10万人以上のユーザーにサービスを提供し、10億ドル(約1080億円)ぶんを超える映像・写真機材が使えるようになる見込みだという。買収が完了しShareGridが英国でサービスを開始すると、現在のBorrowFoxの会員はShareGridのアカウントに変更することが求められる。

ShareGridの共同創業者でCEOのMarius Ciocirlan(マリウス・シオシルラン)氏は声明の中で「ShareGridは、すべての映画制作者や写真家が、バックグラウンドや予算、場所に関係なく最先端の機材を手頃な費用で利用できるようにすることを目指している。BorrowFoxの買収は英国の市場に進出し、最初から同様のビジョンを持っていた企業の基盤の上にビジネスを構築できる素晴らしいチャンスだと考えている」と述べた。

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(翻訳:Kaori Koyama)

クラウドキッチンがラテンアメリカで大流行、フードデリバリー競争が激化

クラウドキッチンがラテンアメリカで大流行している。フードテックのスタートアップであるMuyは、1500万ドル(約16億3000万円)のシリーズBを調達して、本拠地のコロンビアからメキシコと、もうすぐブラジルにも進出しようとしている。

ある投資家は「MuyはクラウドキッチンのChipotle(チポトレ)だ」、と言う。同社自身によると、Muyは仮想キッチンとスマートシェフのシステムであり、AIを利用して需要を予測し、それに基づいて料理を作るから食材の無駄が少ないという。スペイン語の「muy」は英語の「very」に相当し、顧客は同社の実店舗やモバイルアプリから自分の好みに基づくオーダーをする。Muyのやり方を他社のおよそ20の実店舗レストランが早くも採用して、早くて作りたてで個人化された料理を顧客に提供している。Muyの創業者であるJose Calderon(ホセ・カルデロン)氏によると、同社は1か月に20万食以上を顧客に提供している。

このラウンドをリードしたのはメキシコの投資家ALLVPで、これまでの投資家であるSeayaも参加した。これでMuyの資金調達総額は2050万ドルになる。

カルデロン氏は、テイクアウト分野の新人ではない。前にはコロンビアのオンラインフードデリバリーサービスのDomicilios(ドミシリオス)で4770万ドル(約51億8400万円)を調達し、その後それはDelivery Heroに買収された

デリバリーのアプリは大流行のため顧客を奪い合う競争も激しいが、それは米国だけでなくラテンアメリカにも飛び火している。サンパウロやメキシコシティ、ボゴタなどの渋滞したハイウェイには、RappiやUberEATSなどデリバリー企業の配達員のバイクがたくさんいる。

カルデロン氏によると、クラウドキッチンによって過密都市におけるオンデマンドのオーダーとデリバリーがより効率的になる。それぞれの国で増え続けている中間層は、通勤時間が長いので家にいない時間が12時間を超えている。食事はデリバリーに依存せざるをえないが、それもできるだけ短時間ですませたい。というわけで、フードデリバリーの進化形であるクラウドキッチン(職域地区にある共用キッチン)の利便性が歓迎される。

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MUYの顧客はコロンビアの実店舗で注文している様子

本格的なレストランは高いし時間を浪費する。軽食レストランは料理の質がいまいちだ。カルデロン氏によれば、そこで昼食市場の大部分、およそ40%は職場へのデリバリーだ。でも彼によると、今後可処分所得が増えれば多くの人が家で料理をしなくなり、Muyのような早くて高品質なサービスを利用するだろう。

クラウドキッチンは、複数のレストランオーナーが共用する本格的な業務用キッチンだ。それに対して米国の投資家はまだ迷っている。ジャーナリストたちはこの仮想スペースのことをゴーストキッチンと呼び、個人経営のレストランにとって脅威と見ている。TechCrunchライターのDanny Crichton(ダニー・クリクトン)は、「クラウドキッチンはレストランのキッチンのWeWorkだ」と書き、「この共用型のキッチンの登場によって突然、フードデリバリーサービス間の戦争が起きている」と言っている。どのサービスもクラウドキッチンで配達品を気軽に調理できるから互いに市場拡大が生じているようだ。

一部の批判にもめげず、米国とラテンアメリカではクラウドキッチンとそれを利用するデリバリーサービスが急増している。カルデロン氏によると、ラテンアメリカのフードサービスの市場機会は2021年に2700億ドル(30兆円)に達する。

ラテンアメリカの市場は小さな企業同士がしのぎを削っているという。上位10社のチェーンを合わせても、そのマーケットシェアは5%だ。米国ならそれは24%に達している。「米国では大手による吸収合併が進み、中小企業が押されている」と彼は語る。

そしてその既存大手が、クラウドキッチンに手を出そうとしている。今年の春にAmazonは、2018年に初めての共用キッチンをパリに開いたDeliverooに5億7500万ドル(約62億5000万円)を投資した。CloudKitchensの持株会社であるCity Storage Systemsは、Uberの創業者で元CEOのTravis Kalanick(トラヴィス・カラニック)氏から1億500万ドル(約114億円)の支配株で支援された。

良くも悪くも米国とアジアと、そして今度はラテンアメリカで、デリバリーサービスとクラウドキッチンは食事に革命をもたらしている。グローバルなデリバリーサービスやクラウドキッチンの勝者や、市場を支配する既存大手はまだ登場していないが、私たちが知ってるのは、昼食を食べることは誰にとっても必要ということだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

スキマ時間シェアのタイミーが20億円調達、22歳学生起業家が1年2カ月で

スマートフォンアプリで登録することで、空いている時間にすぐに働けて、すぐに報酬を受け取れるワークシェアサービスを展開しているタイミーは10月31日、総額20億円の資金調達を発表した。この20億円は累計額ではなく、シリーズBにおける第三者割当増資よる調達だ。引き受け先は以下のとおりで、そのほか複数のエンジェル投資家が名を連ねる。

  • ジャフコ
  • ミクシィ
  • SBIインベストメント
  • プロロジス
  • KIDS HOLDINGS
  • WDI
  • ネクシィーズグループ
  • ひだしんイノベーションパートナーズ
  • SBSホールディングス
  • JR東日本スタートアップ
  • The CFO Consulting
  • GOSSO
  • トランジットジェネラルオフィス
  • IMM Investment Group Japan

写真に向かって左から、取締役副社⻑の川島遼一氏 、代表取締役社⻑の小川 嶺氏

同社は、2018年8月10日にタイミーのサービス開始。現在では、飲食、小売、物流、オフィスワークなどさまざまな業界で2000社以上の企業が利用しているほか、ワーカー登録者数は25万人を超えたとのこと。

また2019年10月3日には、タイミーのシステムを活用したタイミートラベルを開始。働きながら旅行先の現地の人と触れ合えるサービスとして展開していく。現地までの交通費や現地での宿泊費を労働報酬に含めることで、行きたい場所を選ぶだけで資金がなくてもすぐに旅行に出かけれるのが特徴だ。現在、働き手はもちろんのこと、企業・地方自治体の連携も進めている。

同社によると、今回調達した資金は店舗や企業への認知拡大や新規ユーザー獲得のためのマーケティング費用、人材採用などに利用する計画だ。

同社の代表取締役社長の小川 嶺氏は「まずは首都圏に加え、サービス提供開始済みの関⻄・福岡を含む国内主要都市での立ち上げに注力し、その後に全国・全世界に広げられるよう事業を進めていく」と語る。今後の展開としては「蓄積した信用データやトラフィックデータを整理して、最適なレコメンドエンジンの開発やダイナミックプライシングの実装に挑む」とのこと。

個人的には今回のシリーズBの出資元に、岐阜県の飛騨・高山地域を中心に地方創生を目的に投資活動を進めているひだしんイノベーションパートナーズが入っている点に注目したい。首都圏や関西圏などの大都市部だけでなく、地方都市でも深刻な人手不足を解消するサービスとして、タイミーやタイミートラベルのサービスが受け入れられる確率は高いと感じる。地方都市での人手不足解消はもちろんのこと、飲食店が繁忙期になる夏休みや年末年始に学生などの帰省に併せた雇用創出も可能になるだろう。現在タイミーを利用するユーザーは若年層が多い印象だが、認知を向上させてUI/UXなどにさらに磨きをかけることで中高年やシニア層までを取り込めるようになれば、少子高齢化の日本での同社の存在感はさらに増すはず。そのあとは世界だ!

Uber、Lyft、DoorDashらが支援するギグワーカー州民投票法案とは?

Uber、Lyft、DoorDash各社のドライバーらは、2020年11月の選挙に州民投票法案を提出することを米国時間10月29日に米国カリフォルニア州都のサクラメント市で発表する。Protect App-Based Drivers & Services Act(アプリベースのドライバーとサービスを保護する)と呼ばれるその法案(Uber、Lyft、DoorDashの3社が支援している)は、ドライバーや配達人が今後も労働時間が柔軟な独立自営業者でいられることを目的としている。

この投票法案が実施しようとしているのは、最低賃金の120%以上の給与保証、1マイル当たり30セントの経費、医療保険補助、業務中の傷害に対する労働災害保険、差別、セクシャルハラスメントならびに自動車事故に対する補償、および損害賠償保険だ。

この発議はギグワーカー法AB-5に直接対抗するもので、同法はUber、Lyft、DoorDashなどのギグ・エコノミー企業が、自社の労働者を税務用紙Form 1099が規定する個人事業者として分類することを困難にしている。

「新しい法律は柔軟性を奪い去るものであり、何十万人もの職を奪い、あるいはアプリベースのドライバーに好むと好まざるとにかかわらず固定化された業務スケジュールを強制する恐れがある」と発議グループのQ&Aに書かれている。「さらに、ライドシェアおよび配達のドライバーがシフトを決められた従業員として分類されると、オンデマンドサービスの利便性や経済性が損なわれ、消費者やスモールビジネス、そして我々の経済全体が受ける恩恵も損なわれかねない」。

しかし、 ドライバーの一人で抗議グループのリーダーであるAnnette Rivero(アネット・リベロ)氏は以前TechCrunchのGreg Epstein(グレッグ・エプスタイン)に、「AB5は誰の柔軟性も奪ってない、奪っているのは会社だ。それは今誰もが困っている問題であり嘘だと私は知っている。そこに真実などない」と語った。

去る8月にUber、Lyft、DoorDashの各社は3000万ドルずつをこの発議プロジェクトに資金援助した。AB-5が法制化した後Uberの最高法律責任者Tony West(トニー・ウェスト)氏は、Uberはこのプロジェクトに追加して資金を投じる意思があり、会社の労働者モデルを守るつもりだと語った。Instacartもこの発議を支持しているが、資金投入の有無については明らかにしていない。

「Instacartは、オンデマンドのライドシェアリングおよび配送のドライバーが個人事業者として柔軟な労働を選択する権利を守り、新たな収入と手当を補償し、消費者と公共安全を保護する投票法案を支持するグループに参加している」と同社の広報担当者がTechCrunchに語った。

このバトルの反対側に位置するのがGig Workers Risingという数百人のギグワーカーからなる組織で、賃上げ、職場保護、ドライバー主導の組合を一貫して要求している。

“This is yet another example of corporations and billionaires trying to exempt themselves from the democratic process by using wealth and fear tactics,” Gig Workers Rising organizer and driver Edan Alva said in a statement. “For years, these companies have refused to pay drivers fairly or treat us with respect. After working 80 hour weeks, sleeping in our cars and surviving on poverty wages, drivers organized and won support for AB5 from both the public and lawmakers. Now, instead of obeying the law, Uber, Lyft and Doordash want to spend $90 million to avoid accountability — all while claiming it will ‘protect’ drivers. Uber and Lyft were nowhere to be found for the past many years when drivers like me needed healthcare or basic labor protections. We call on the people of California to resist the corporate lies, to stand with drivers and against the billionaires.”

「これは企業と億万長者たちが金と脅しの戦術を使って民主的手段を回避しようとするもうひとつの事例だ」とGig Workers Risingのまとめ役でドライバーのEdan Alva(エダン・アルバ)氏が声明に書いた。「何年にも渡り、これらの会社はドライバーに正当な報酬を払い敬意を持って扱うことを拒否してきた。週80時間働き、車の中で眠り、僅かな賃金で生き延びてきたドライバーたちは、団結して市民と議会の両方からAB-5による保護を勝ち取った。しかしUber、Lyft、Doordashの各社はその法に従う代わりに、9000万ドル(約97億9700万円)を費やして責任を逃れようとしている、ドライバーを『保護』するためであると称して。UberとLyftは、我々ドライバーが医療保険その他の労働保護を必要としてきた何年もの間何一つしてこなかった。我々はカリフォルニア州の人々に対して、こうした企業の嘘に抵抗し、我々ドライバーと共に億万長者たちと戦うよう呼びかけている」。

来週、Gig Workers Risingは他の団体とともに、UberのIPOで現金を手にする人たちの家の前でデモを行う計画だ。TechCrunchは、Uber、Lyft、DoorDashの各社にコメントを求めている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソフトバンクグループCOOでWeWork新会長のクラウレ氏が全力支援を確約

米国時間10月24日、WeWorkの社員集会で不安気な聴衆の前にソフトバンクグループのCOO(最高業務責任者)であるMarcelo Claure(マルセロ・クラウレ)新会長が登壇し「もう心配はいらない」と断言したという。Recodeのスクープによれば同ブログはリークされた録音を入手できた。

ソフトバンクグループの投資額を合計するのを忘れていたら、あるいは同社の株式を持っていたら発言の内容にショックを受けたかもしれない。録音によれば、クラウレ氏はこう語った。

「ソフトバンクはこれまでもWeWorkの将来を保証してきた。しかし一番重要なことは、今や我々は将来を直接この手に取り戻すしたという点だ。金策に駆け回る日々は終わった。投資家に対し、 WeWorkは素晴らしい将来性があるビジネスだと懸命に納得させようとしなくてもいい。ソフトバンクのWeWorkに対するコミットメントは総額185億ドル(約2兆円)だ。わかりやすくいえば、私の母国であるボリビアのGDPより大きい。ちなみにボリビアの人口は 1100万人だ」。

危機に陥っていたコワーキングスペースの最大手WeWorkをソフトバンクグループが救済する一環として、ボリビア出身のクラウレ氏が会長に任命された。クラウレ氏は過去5年間ソフトバンクグループのトップの一員だった。現在はソフトバンクグループのCOOに加えてソフトバンク・インターナショナル、ソフトバンク・ラテンアメリカのCEO(最高業務責任者)を務めている。

クラウレ氏によれば、ソフトバンク創業者の孫正義氏と初めて会ったのは 2013年に自身のスタートアップであるBrightstar(ブライトスター)の57%をソフトバンクに売却したときだったという。同社は米国で携帯電話を再販しており、会社評価額は22億ドルだった。その後ソフトバンクは低価格帯のスマートフォンの再販業に見切りをつけ同社を10億ドルで売りに出した。

クラウレ氏は2014年にはソフトバンクが買収した米国キャリアであるSprint(スプリント)のCEOに任命された。その間株価が大きく下がったことで批判されたものの、Sprintの株価はクラウレ氏が指揮を取り始める前から下がり始めており、昨年T-MobileとSprintの合併が合意されてやっと止まった。

TechchCrunchが報じたように、この合併は司法省に加えて連邦通信委員会の承認を受けた。しかしいくつかの州の司法省長官は「消費者の利益を損なう」として取引の実現をブロックしようと試みている。

WeWorkの社員集会でクラウレ氏は自分の経歴についても. 「マサ(孫正義氏)は私にキミは素晴らしい起業家だと言ってくれた。ゼロから会社を作り上げて成功させ、Sprint問題も解決した」と強気の発言をしたという。

不安を鎮めようと、クラウレ氏はこれまでソフトバンクが困難なチャレンジに打ち勝ってきたと繰り返し述べた。クラウレ氏によれば、「マサと私はWeWorkについて次に何をなすべきか数えきれないほど眠れぬ夜を過ごしてきた。正直に言えば、外からの助言の99%までは損切りして逃げろというものだった。しかしマサはWeWorkのビジョンと使命に絶対の確信を抱いていた」という。

「『なぜそうまで確信を持てたのか』という疑問が湧くだろう。実際、逃げるほうがはるかに簡単だ。我々はこうした巨額の投資を強制されたわけではない。そういった義務は一切なかった。しかし我々はソフトバンクの将来、ソフトバンクの評判を賭けた。WeWorkが成功するという結末に我々はすべてを賭けているのだ。我々に今必要なのはこの決断が失敗ではないと考える人々だ。この決断は天才的なものだ。マサと私は何夜にもわたって議論をし尽くした。WeWorkのビジネスについて深く考えれば考えるほど好きになった。会社のマネージャーたちにも会った。そして知るほどにこの事業がさらに好きになった」。

クラウレ氏によれば、WeWorkを救うために何をすべきなのか、それはまだ明確ではないという。

「次の30日の私の任務はアーティー(・ミンソン氏)、セバスチャン(・ガニンガム氏)をはじめとする素晴らしい経営陣に加わり、具体的なプランを策定することだ。このプランは非常に具体的なものとなる。我々は全員が何をなすべきかをはっきり認識するだろう。空約束のたぐいではない。達成すべき数値目標を決めるつもりだ。そして実行にあたっての責任も明確化させる」。

クラウレ氏が触れなかった問題点の1つは対米外国投資委員会(Committee on Foreign Investment in the U.S.)の動向だ。Bloomberg(ブルームバーグ)が10月23日夜報じたところではソフトバンクはCFIUSからWeWork取得についての承認を得ようとしているという。同委員会は過去に安全保障上の理由から米国におけるソフトバンクの事業をブロックしたことがある。

過去にCFIUSはソフトバンクのSprint支配に条件を課した。また2017年にはソフトバンクが子会社化したFortress Investment Groupの投資業務を運営することを制限した。Bloombergによれば数十億ドルをUberに投じたにもかかわらず、ソフトバンクは同社に2人の取締役を送り込むことをCFIUSに禁じられた。NYSEへの上場後、Uberはソフトバンクに対する義務のいくつかを解除することに成功しているという。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ソフトバンクがWeWorkの経営権を握る、評価額は8100億円程度と6分の1以下

いっとき470億ドルの評価額を得たコワーキングスペースのWeWorkだが、わずか75億ドル(約8100億円)の評価額でソフトバンクの支配下に入ることになったとCNBCが報じた

ソフトバンクは当初からのWeWorkへの投資家であり、CNBCによれば今後40億から50億ドル(約4300億円〜5400億円)を出資する見返りに新規および既存の株式を含め、所有権の8割近くを得るという。この契約は早ければ米国時間10月21日にも正式発表される。この資金はWeWorkが運営を続けるうえでの命綱となる。 同社はあと数週間で資金が枯渇する状態にあり、キャッシュの流出をわずかでも減らすために資産の一部の売却を図っていた。

WeWorkは報道に対してコメントを避けた。報道によれば、経営権を取得するのはソフトバンク・ビジョン・ファンドの親会社であるソフトバンクグループであり、同社の最高業務責任者のマルセロ・クラウレ氏がWeWork再建の指揮を取るという。

日本のテレコムの巨人であるソフトバンクは、WeWorkの共同創業者でCEOのアダム・ニューマン氏が事実上解任されてからきっかり4週間後に経営権取得の動きに出た。ニューマン氏は非常勤の会長といいう暫定的な役職に就いている。今回の動きはWeWorkが期待されていた株式上場を中止してから3週間後にあたる。WeWorkの副会長、Sebastian Gunningham(セバスチャン・ガニンガム)氏とプレジデント兼CEOのArtie Minson(アーティー・ミンソン)氏が現在同社の共同CEOを務めている。

こうした劇的な人事異動ではWeWorkでは最高コミュニケーション責任者のJimmy Asci(ジミー・アスキー)氏、最高マーケティング責任者のRobin Daniels(ロビン・ダニエルズ)氏他数名の幹部が会社を去っている。同時にWeWorkでは数百人をレイオフし、同社の起業家スクールのWeGrowも2020年に閉鎖すると決定した。

WeWorkは2020年に上場を図るものと期待されていたが、JPMorgan(JPモルガン)に最後の瞬間まで資金注入を求めて交渉を続けていた。いい教訓になる話かもしれないが、同社はこの後何カ月にもわたって途方もない大盤振る舞いの運営を縮小し資金の流出を防ぐ努力を続けていく必要があるだろう。

WeWorkは80億ドル(約8600億円)以上の資金を株式発行と借入によって調達 した後、8月にかなり普通でない上場目論見を明らかにした。 今年6月30までの半期で10億ドル(約1086億円)近い損失を記録しているにもかかわらず、同社は470億ドル(約5兆1044億円)という途方ない会社評価額を維持していたが、これはもっぱらニューマン氏のカリスマ的な資金調達能力が支えていた。

ニューマン氏はCEO辞任を認めた声明でこう述べている。「WeWorkの共同創業者として、過去10年でこの素晴らしい会社を築き上げたチームを誇りに思う。我々のグローバルプラットフォームは今や29カ国の111都市にまたがり、毎日52万7000人以上の会員が利用している。事業はかつてなく好調だが、ここ数週間私自身に向けられた調査がわが社にとって大きな障害となっていた。そのたCEOの職を退くことが社にとって最善との結論に至った。同僚、会員、パートナーであるスペースオーナー、投資家のみなさんにWeWorkの事業を信じていただいていることに感謝する」。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Uberがペットを伴う乗車をドライバーへ通知

Uber(ウーバー)は米国にて、乗客とともにペットが乗車することをドライバーに通知する機能をテストしている。これは、ライドシェアだけでなく食事などのサービスを提供する同社にとって、より多くの人々にアピールする最新の取り組みだ。

Uber Petと呼ばれるこの機能は、米国時間1016日からオースティン、デンバー、ナッシュビル、ミネアポリス・セントポール、フィラデルフィア、フェニックス、タンパベイで利用できる。Uberによれば、ペットとの乗車は「少額のサーチャージ」を支払うことになる。また運転手は、アプリの設定メニューでUber Petによる乗車の設定を変更することで、盲導犬などのサービスアニマルでないペットとの乗車を拒否することもできる。

Uberによれば、運転手には通常の運賃に加えて「サーチャージのうちの大部分」が支払われる。

Uberは、Uber Petが同社のサービスアニマルに関するポリシーを変更するものではないと強調した。サービスアニマルを伴う乗客はUber Petを利用する必要はなく、サーチャージ支払わない乗車オプションを選択できる。

その代わり、Uber Petはペットなどサービスアニマル以外の動物のオーナー向けに用意された。同社は猫や犬がUber Petでの乗車で最も一般的な動物になると予測している。

Uber PetUberがユーザーの生活のあらゆる側面、すなわち乗車や食事の配達を支えるアプリになるための努力の、別の例である。同社は先月、この目標を達成するためのプロダクトにおけるさまざまな変更を発表した。

「私たちは消費者の日常生活のオペレーティングシステムになりたい」とCEO務めるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は以前語っている。「これは、Uberがワンクリックで提供するあらゆるサービスへのゲートウェイだ」

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(翻訳:塚本直樹Twitter

Googleが支援するインドのDunzoがデリバリー事業拡大で48億円調達

既存の食品・グローサリー配達ビジネスやeコマース大手にとって脅威となりつつあるインドのスタートアップが、インドで事業を拡大するために新たな資金調達ラウンドをクローズした。

バンガロール拠点のDunzoは米国時間10月4日、新たなラウンドでGoogle、Lightbox Ventures、STIC Investment、STIC Ventures、3L Capitalから4500万ドル(約48億円)を調達した、と発表した。この件に詳しい情報筋3人によると、シリーズDの本ラウンドによりバリュエーションは2億ドル(約214億円)になっととのことだ。Dunzoはこれまでに8100万ドル(約87億円)を調達している。

創業4年のDunzoは超ローカルな配達サービスを展開している。ユーザーは近所のスーパーやレストランから、グロサリー、生鮮食品、ペット用品、薬、料理などあらゆるものを入手できる。

しかも、それだけではない。市内であればなんでもピックアップ・配達する。家にラップトップPCのチャージャーを忘れたら、Dunzoがオフィスまで届けてくれる。このサービスの魅力は配達が迅速なことで(配達のほとんどは25分以内に行われる)、店がかなり遠くにあるという場合を除き、料金は1ドル以下だ。

Dunzoは現在、インド国内8都市で事業を展開している。バンガロール、デリー、ノイダ、プネー、グルガーオン、ポワイ、ハイデラバード、そしてチェンナイだ。同社は今回調達した資金を同社のテックインフラの拡大と、中小企業に大企業と戦うチャンスを提供するための提携の促進にあてるとしている。

業界予測によると、インドのeコマースの売上高は小売全体の3%にも満たない。数万もの市町村やスラムにあるパパママ・ストアやご近所の店が小売の大半を占める。こうした小規模・零細の小売店が事業を拡大するために初めてテクノロジーを活用するのをサポートしようというスタートアップがインドでは増えつつあり、Dunzoはその1社だ。

「各都市にとって最も効率的なロジスティックソリューションをもつ、インドで最大のコマースプラットフォームを我々は順調に構築しつつある」と共同創業者でCEOのKabeer Biswas(カビアー・ビスワズ)氏は語った。

サービス規模が拡大するにつれ、DunzoはBigBasketSwiggyZomatoといった食品・グローサリー配達のスタートアップのライバルになりつつある。ビスワズ氏は、食品部門がすでに全配達の4分の1を占めている、とTechCrunchに明らかにした。

ここ数カ月、Dunzoはスマートフォンや他のプロダクトのテスト配達も行っている。直近ではインドの一部のエリアのユーザーにスマートフォンを届けるため、Xiaomi(シャオミ)とタイアップした。スマホを配達するのに1日か2日かかるAmazonやFlipkartと違って、Dunzoは30分以内にスマートフォンをユーザーに届けている。また、Pumaとも同様の提携を結び、テスト配達を行ったとのことだ。

調査会社Convergence Catalystの創業者でアナリストのJayanth Kolla(ジャヤント・コーラ)氏は「ユーザーに新しい電話を30分以内に届けることで、Dunzoは速やかな満足を提供することができる。これは購入を決める際に重要な役割を果たすが、インドにおけるeコマースプラットフォームはこうした満足感を提供できていない」とTechCrunchに対し語った。

しかしDunzoの事業規模は大手に比べると小さい。今日、Dunzoは1カ月あたり200万件の注文を処理していて、昨年初めの5万件から増えている。これに対し、SwiggyとZomatoは1日あたりオーダー300万件超をさばいている。そしてこの2社はかなりの資金調達も行ってきた。

面白い風の吹き回しで、先月Swiggyはいくつかの町で、ユーザーが食品だけでなくあらゆるものをその町の中ならどこでも配達してもらえるサービスとしてGoを発表した。これはDunzoの領域に進出したことを意味する。Swiggyが食品配達以外にサービスを拡大する一方で、Zomatoは食品ビジネスの出入りでシェアを高めようとしている。

TechCrunchが以前報じたように、創業11年のZomatoは社内でKisanと呼んでいる、農家や漁師から直接食品を調達するプロジェクトに取り組んでいる。同社は、こうした食品を保管する倉庫をデリー南部やプネーなどにすでに構えている。

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(翻訳:Mizoguchi)

レンタルビジネスのOmniがCoinbaseとエンジニアリングチームの売却交渉中

ストレージビジネスからレンタルビジネスに転じたスタートアップのOmni(オムニ)が米国時間10月4日に一時解雇を実施していると、状況に詳しい2つの情報筋がTechCrunchに語った。Omniは、オペレーションチームのメンバー7人をすでに解雇した。同社はエンジニアリングチームをCoinbase(コインベース)に売却する交渉を行っている。以前、Thumbtack(サンタック)も関心を示した。

Omniのレンタルビジネスはユーザーを十分集められずお粗末な状況だった。ユーザーは数ドルでテント、自転車、電動ドリルなどをレンタルする。Omniが立ち上げたのは、実店舗を構える小売店がOmniの看板でレンタル事業を始められるプラットフォームだった。

昨年初めに仮想通貨会社Rippleから2500万ドル(約27億円)を調達し、手元現金は潤沢だった。だが以前のビジネスに続いて新しいプラットフォームも低迷し、会社の将来の見込みが悪化することを恐れていた。

同社はエンジニアリングスタッフの何人かをCoinbaseに雇用してもらうよう交渉中だ。Coinbaseは彼らをCoinbase Earnに迎えるとみられる。Coinbase Earnでは、ユーザーがオンライン教育プログラムを完了すると仮想通貨が付与される。今日、Omniの従業員数名がCoinbaseで面接に臨んでいる。Coinbaseの広報担当者は、現在公式に発表するような案件はないとTechCrunchに話した後で、報道が前提なら何も明かせないと加えた。OmniはTechCrunchに声明を出すことを約束したが、口頭で話せることはないと断った。

Omniはオンデマンドストレージビジネスからスタートした。スタッフがユーザーの自宅に荷物を取りに来て、倉庫に持ち帰った荷物にタグを付けて保管する。持ち主はいつでも荷物を自宅に持ち帰ることができる。サンフランシスコで人気を博し、ほかの都市にも展開し始めた。4月には、ユーザーが倉庫に預けた荷物をOmniの別のユーザーに貸し出してお金を稼げる仕組みも導入した。

5月にOmniはストレージビジネスをSoftBankが資金提供するライバルのClutterに売却した。移行手続きは簡単にはいかなかった。ユーザーの中には価格の変更や荷物の配置間違いについて不満を述べたり、突然別のスタートアップが自分の物を管理し始めて驚いた者もいた。

筆者は以前、Omniのストレージサービスを使って満足していたが、Clutterへの移行が失敗して、預け荷物の取り扱い体制への信頼が揺らいだ。筆者が預けていた物が数点どこかへ行ってしまったのだ。経営上層部が乗り出してきて解決はした。

今後はOmni自身で物を保管するのではなく、地域の小売店の店頭でレンタルの貸し出しと返却を行う。ただAmazonで非常に簡単に買い物できるなら、わざわざレンタルしないユーザーも多いだろう。

ある情報筋によると、Omniは内部で協議し、2週間以内にレンタルパートナーにレンタルサービスの停止を通達すると決めたようだが、TechCrunchは確認できなかった。別の情報筋によると、Omniは従業員が今日報道機関と話をするのを必死で止めようとしているという。

物を保管するクラウドストレージの構築や所有権の垣根を超えた物の使用(ユーザー間の物の貸借)に関するOmniのビジョンに魅力を感じ、Flybridge、Highland、Allen & Company、Founders Fund、Precursor、そしてさまざまなエンジェル投資家たちが出資した。しかし、ユーザーの行動を変え複雑な物の動きを管理する取り組みは、むらがある実行力も災いしてうまく進まず、今はソフトランディングを模索中だ。

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(翻訳:Mizoguchi)

駐車場シェアの「akippa」がSOMPOとタッグで20万拠点や共同保険の実現目指す、累計調達額は約35億円に

駐車場シェアリングサービス「akippa」を展開するakippaは10月3日、SOMPOホールディングスおよび損害保険ジャパン⽇本興亜と提携し、「シェアリングは、安⼼の時代へ。」をテーマに共同で事業を推進していくことを明かした。

今回SOMPOからは第三者割当増資による資金調達も実施。具体的な調達額は非公開とされているが、累計調達額が約35億円であること(2018年5月の調達時で約24億円)や関係者の話も踏まえると約10億円の調達とみられる。

なおSOMPOは出資と既存株主からの譲渡によりakippaの株式を約33.4%取得。同社を持分法適用会社としている。

代理店網の活用による駐車場開拓と共同保険の開発目指す

akippaはこれまでも何度か紹介しているように、駐車場に関するシェアリングエコノミーサービスだ。

月極駐車場や個人宅の車庫、空き地、商業施設などの空きスペースをネット予約に対応した駐車スペースとして簡単に貸し借りできるのが特徴。借り手となるユーザーはアプリ上から15分単位で駐車場を事前に確保できるため、当日現地でコインパーキングが見つからず途方に暮れることもなくなる。キャッシュレス対応なので現地での現金決済も不要だ。

2018年5月には住友商事や日本郵政キャピタルなど7社から8.1億円を調達。この調達は保有スペースをakkipaで貸し出したり、タッグを組んで各エリアでakippaの展開をしたりなど、事業上の連携も見据えたものだった。

そこから事業がさらに加速したこともあり2019年9月時点で駐車場拠点数は累計3万拠点、会員数も150万人を突破。akippa代表取締役社長の金谷元気氏の話では「今年になってブレイクスルーを迎え、サービスとして月次の損益分岐点を超えてきている」という。

akippa側の視点で見た今回の資本業務提携の主な目的は「損保ジャパン⽇本興亜の保有する保険代理店網を活用した駐車場開拓」と「駐車場での自動車リスクに特化した専用保険の共同開発」だ。

これまでもakippaでは代理店制度を通じて約100社とタッグを組みながら駐車場の開拓を進めてきた。提携先の損保ジャパン⽇本興亜は全国に約5万店の保険代理店を保有。しかも自動車保険を扱っているため駐車場スペースを持つ個人との密接な繋がりがあり、akippaとも相性がいい。代理店側にとっても高齢者の免許返納などにより車を手放す人もいる中で、保険以外の収益源獲得を見込める。

金谷氏によるとまずは5万店の中の100店舗から連携を始め、順々にネットワークを拡大することを目標に取り組んでいくそうだ。

並行して駐車場での自動車リスクに特化した専用保険の共同開発も検討していく計画。近年国内でもシェアリングエコノミーサービスが普及し、その認知度や利用率は高まっているものの、利用者・提供者双方が「事故やトラブル時の対応を不安に感じている」という課題もある。

駐車場シェアリングに関しては「(既存の自動車保険など)借り手側の保険はある程度充実しているものの、駐車場を保有するオーナー側の保険は整っていない」(金谷氏)状況。この環境が整えばより多くのユーザーに安心して使ってもらえるようになるという考えから、特にオーナー側の保険の共同商品を検討していきたいという。

「いわゆる『10x』の思想で今よりも10倍規模までサービスを拡大していくために必要なことを考えると、駐車場を開拓するためにより多くの代理店パートナーの協力が不可欠であり、もっと誰でも気軽にオーナーになれるための保険のような仕組みも重要なピースになる。今回の提携を通じてその取り組みを加速させていきたい」(金谷氏)

タッグを組むSOMPOホールディングスはDeNAとの合弁会社を通じて個人間カーシェアの「Anyca」やマイカーリース「SOMPOで乗ーる」を展開するなど、近年はMaas領域での事業にも力を入れている。

akippaでは約5万店のリアルな保険代理店網と約1300万件の自動車保険データを有するSOMPOホールディングスとの協業を通じて事業を拡大しながら、2022年末までに累計会員数1000万⼈、累計駐⾞場拠点数20万拠点の実現を⽬指していく。

月額4980円でランチ食べ放題の「always LUNCH」が京都と福岡でスタート

イジゲンは10月1日、月額定額制のランチ食べ放題サービス「always LUNCH」を開始した。

ローンチ時、京都は16店舗で展開

現在のところ営業エリアは限られており、京都府中京区・下京区と福岡県福岡市中央区の一部エリア。京都では16店舗、福岡では10店舗でランチ食べ放題が可能だ。

ローンチ時、福岡は10店舗で展開

利用可能エリアは今後、国内の主要都市全域に拡大する予定とのこと。always LUNCHと合わせて、税別月額2000円で提携店舗でドリンクが飲み放題になる定額制サービスも本日から始まっている。

同社は、カフェやフィットネスクラブ、遊園地などのさまざまな施設や飲食店のサブスクリプションプラットフォーム「always」(オールウェイズ)を開発・運営している、大分拠点で2013年11月設立のスタートアップ。サービス導入にあたって店舗側での初期費用や月額料金は不要。現在、サービス導入店舗を募集している。

ランチ食べ放題サービスとしては、2018年9月に渋谷や恵比寿など一部エリアからサービスを開始した「POTLUCK」がある。運営のRYM&COは、月額1万2000円でのランチ・ディナーの食べ放題プランを期間限定で募集したほか、三井住友海上火災保険との連携で「テイクアウト保険」の提供を開始。2019年7月には、クラウドキッチンのKitchen BASEと連携するなどして、POTLUCKのエリア拡大や認知度アップを進めてきた。現在の営業エリアは、渋谷・恵比寿・表参道・代官山エリアを中心だが、神田・三田にも数店舗がある。

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always LUNCHは、営業エリアが京都・福岡と離れているため募集店舗のシナジー効果は得られないのが残念だが、まずはこの2都市を中心にエリアを拡大していくと考えられる。

WeWorkが上場申請を撤回

WeWorkの運営会社、The We Companyは先ほど、米国証券取引委員会に提出していたS-1上場申請を撤回したことを発表した

コワーキングスペースとして驚異的な成長を遂げたWeWorkは8月に上場を申請したことが明らかになった頃から、大きな波乱を経験してきた。財務状況全般に加えて、共同創業者でCEOのAdam Neumann(アダム・ニューマン)氏の行動や人格が問題となった。

その結果、ニューマン氏は先週CEOを辞任した(ただし業務執行権のない会長職には留まる)。また同社自体もコアビジネスであるコワーキングスペース運営を本格的に見直す。大規模なレイオフが予定されており、Managed by QConductorMeetupなどこの2、3年で買収した会社の一部を売却することも視野に入れているという。

当然We Company上場も大きく延期されるものと見られてきた。新しい共同CEOであるArtie Minson(アーティー・ミンソン)氏とSebastian Gunningham(セバスチャン・がニングハム)氏による以下のような声明はこの観測を公式に認めたものとなった。

当社はコアビジネスに集中するため、株式上場を延期すると決定した。ただし当社のファンダメンタルは健全であり、登録メンバーの個人、企業、不動産所有者その他顧客に対するサービスを引き続き提供していく。当社の社員、株主対するコミットメントも変わることはない。WeWorkを公開企業にしようとする我々の意図にも変更はない。我々の株式が市場において自由に売買できるようになる日が来ることを強く待望している。

WeWorkの波乱の本質を解説したTechCrunch記事はこちら

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

WeWorkのクラッシュはベンチャーキャリズムが機能している証拠だ

WeWorkをめぐる波乱から我々は何を学ぶべきだろうか?

WeWorkはつい最近までシリコンバレーを代表する急成長スタートアップであり、ここ数年ベンチャー投資家の熱い視線を集めてきた。WeWorkの創業者/CEOは有力メディアのカバーストーリーにたびたび取り上げられ、TechCrunch Disruptを含めてテクノロジーカンファレンスではキーノートに登壇していた。ピーク時に同社の評価額は数百億ドルになった。衛星軌道に入ってGoogleやFacebookと肩を並べる世界的巨大企業になる日も近いかという勢いだった。

ところが文字どおり数日でWeWorkはクラッシュした。

創業者/CEOは事実上解任され、会社評価額75%以上暴落した。大量レイオフも間近だという。当然ながら外部投資家、社員含めて株主の損害は莫大だ。

キャピタリズム、ベンチャーキャリズムにとっては手痛い敗北であり、特に孫正義氏のソフトバンクは大きなダメージを受けただろう。WeWorkにはこれというファンダメンタルズ(基盤)が存在しなかったにも関わらずソフトバンクは同社を偏愛し、投資しすぎ、関与しすぎた。

では最初の疑問に戻ろう。WeWorkのクラッシュからわれわれは何が学べただろうか?ひと言でいえばゼロだ。別に何も学ぶものはない。

ベンチャーキャリズムというのは本質的にハイリスクなギャンブルだ。的中すれば途方もないリターンを手にすることができる。個別企業にせよベンチャーキャピタルのポートフォリオ全体にせよ、評価額の算定にはこのリスクがあらかじめ組み込まれている。ベンチャーキャピタリストは投資、つまりスタートアップの株式を買うにあたって、その会社のリスク要因を推計するだけでなく、ポートフォリオの収益が最大化されるよう全体の組み立てを考えねばならない。

WeWorkの場合、外部資金の大きな部分はソフトバンク・ビジョン・ファンドから出ていた。ソフトバンクはファンドへの大口出資者と争ってまで、WeWorkに繰り返し出資してきたが、その結果はごらんのとおりとなった。

しかしそれが賭けというものだ。

ベンチャーキャピタルの投資のほとんどは失敗に終わる。投資額の一部を失うこともあれば全額をすってしまうこともある。

しかしときおり大当たりを引き当てる。孫氏は中国の無名の通販会社に2000万ドルを投じた。今やソフトバンクが持つAlibaba(アリババ)の株式には1000億ドルの価がある。今年、ソフトバンクが数年前に110億ドルでアリババ株の一部を売却したことが明ららかになったが、それを別にしての話だ。

これがベンチャーキャピタルの数式だ。つまり 1110億÷2000万は5550倍だ。世界中のどんな金融資産を探しても1ドルが数千ドルに化けるような仕組みは存在しない。

WeWorkの失敗はこの数式の基本を変えるものではない。ビジョン・ファンドはオンデマンドで犬の散歩やケアを提供するスタートアップであるWagに3億ドルを投じたものの会社は苦境にある

そもそもどんな投資ポートフォリオであろうと損失は発生する。ベンチャー企業では利益に先立ってまず損失が発生するというJカーブ理論は健在であり、これに当てはまる実例は多い。

それにWeWorkは破たんしたわけではない。手持ち資金は残っているし再建は可能だろう。将来、史上最大の利益をもたらすスタートアップになる可能性もないとはいえない。もちろん清算まっしぐらということだってありえる。ビジョン・ファンドにとっての収支はどうなるだろうか?考慮すべき要因が無数にあり、それはら週、月、年単位で変化していく。

確実なことを予測するには早すぎる。私の見るところ、ビジョン・ファンドが野心を達成できるかどうか判斷するにはあと5年はかかると思う。

念のために断っておくが、私はベンチャーキャリズムを特に擁護しているのではなく、キャピタリズム全般を擁護しようとしている。

左派経済学者のMatt Stoller(マット・ストーラー)氏はWeWorkなどの巨大テクノロジー企業を偽の資本主義の典型と呼んでいる。つまりバズワード、トレンド、創業伝説、でっち上げのグラフなどによって中身のない成長を演出し、ベンチャーキャリズムが独占企業を作り出して競争を封殺するものだというのだ。

しかしこの説は資本主義と資本主義的投資の本質について完全に誤っていると思う。ベンチャーキャピタルが支援していようといまいと、創立の日から利益を上げられる企業など例外中の例外だ。ハイテク企業に限ったことではない。レストランを開業するにはまず店の賃貸契約を結び、設備を購入しなければならない。実際に客が店にやってくるようになるのははるか後だ。ソフトウェア企業も同じことだ。ユーザーが料金を払うようになる前にまずソフトウェアを書かねばならない。

投資はアイデアとその実現の間に架け渡される橋だ。

問題はスタートアップはどのくらいの期間、赤字を出し続けられるかだ。10年、20年前は企業が上場したければ黒字でなければならなかった。これは不合理だ。いったいなぜ上場という特定の時点を選んで成長を減速させるようなキャッシュフローの調整をする必要があるのか?黒字化のタイミングとしては上場前がいいこともあるだろうし、上場後が適していることもあるだろう。

この数年、少なからぬ投資家がキャッシュフローよりも成長速度に重点を置くようになっている。スタートアップが利益を出し始めるまでに数年待つことも珍しくない。言い換えれば、投資家は以前よりはるかに長期的な視点で物事を考えるようになっている。重要なのは最終的に目指すゴールだ。

WeWorkを黒字化する方法はある。最近新たに得た拠点を閉鎖し、大都市圏の物件だけに集中すれば短期間でキャッシュフロー・ポジティブを達成することは可能だろう。もちろんVビジョン・ファンドもこれは十分承知していると思う。しかし世界のオフィス供給を制覇する可能性があるというのに、なぜ目先の利益のために小さく固まらねばならないのか?

我々は大胆な賭けを応援すべきであり、足をひっぱるべきではない。もちろんWeWorkも結局は大失敗に終わる可能性はある。しかしたとえそうなっても「資本主義は機能しない」ということを意味しはしない。実際、その逆だ。キャピタリズム、特にベンチャーキャピタリズムは以前ににも増して未来に、つまり将来の成長に賭ける仕組みとなっているのだ。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

伊藤忠が自社社員向け乗り合いシャトルサービスを提供へ、NY発ライドシェアViaの技術を活用

伊藤忠商事は9月24日、Via Mobility Japanを通じて、Via Transportationが提供するテクノロジーを活用した、同社社員向けのオンデマンド型乗合サービス「BlueVia」(ブルー・ヴィア)を10月から開始することを発表した。サービスは2020年7月31日までの実施が予定されており、10台の乗り合い用自動車を使う計画だ。

Viaは、一般的なハイヤー・タクシー配車サービスとは異なり、複数人の乗客を最適なルートで複数の目的地まで送り届けるオンデマンド型乗合サービスを提供している、2012年設立の米国・ニューヨーク拠点のスタートアップ。すでに世界約80都市、地方自治体、バス会社、タクシー会社、交通オペレーター、企業、大学などで導入されており、日本では2018年8月に森ビルと森ビル社員向けに同様の実証実験を実施済みだ。

関連記事:NY発ライドシェア 「Via」街や交通機関との“パートナーシップ”を重視した日本戦略とは

伊藤忠は今回、タクシー大手の日本交通の協力のもとでVia社のテクノロジーを活用し、伊藤忠の東京本社に勤務する社員を対象に勤務時間内の移動にオンデマンド型乗合サービスを提供する。同社は「社員の移動時間短縮による効率化やコストの削減をはかり『働き方改革』の一環としてより高い生産性の実現を目指す」としている。

ビジネスパーソンが商談や会議で移動する際、社用車やタクシー、電車、バスなどの移動手段が考えられるが、社用車やタクシーは利用する人数や頻度が高いとコスト高になる。一方、電車やバスはコストは低いものの、最寄りの駅や停留所から遠い場所への徒歩移動については、社員の労働時間をそのぶん削ることになり生産性を低下させる。今回の乗り合いサービスは、社用車感覚で複数人が複数の目的地に辿り着く移動手段として有望かもしれない。

伊藤忠は2019年4月に、米国のVia Transportationへ投資、日本法人のVia Mobility Japanへの戦略的事業投資を実施済みだ。そのほかモビリティ領域では、2018年8月に新興EV(電気自動車)メーカーの奇点汽車、EV商用車のレンタル・メンテナンスサービスの地上鉄の中国企業2社、P2P(個人間)カーシェアリングプラットフォーム事業を展開する英国のHiyacarなどに出資している。今回の社員向け乗り合いシャトルの提供は、Via Mobility Japanへの戦略的事業投資事業の成果物の1つとなる。

1日70円の傘シェア「アイカサ」が西武新宿線をコンプリート、西武池袋線はどうなる?

Nature Innovation Groupは西武鉄道西武プロパティーズと共同で、東京・新宿〜埼玉・川越を結ぶ西武新宿線全29駅に、傘のシェアリングサービス「アイカサ」を実証実験として導入することを発表した。本日9月22日から利用可能だ。実証実験の期間は2020年9月までの約1年間。

アイカサは昨年12月に東京・渋谷エリアから始まった、1日70円で傘を借りられるサービス。専用アプリのインストールは不要で、LINEでアイカサと友だちになることですぐに使えるのが特徴だ。アイカサスポットに設置されている施錠状態の傘に張られているQRコードをスマホで読み取ることで解錠・決済が可能になる。

傘を借りると1日ごとに70円が加算されていくが、6日以降から1カ月間は420円。ゲリラ豪雨など想定外の雨であっても、コンビニエンスストアで傘を購入するより安価に利用できる。傘の返却は最寄りのアイカサスポットに返却すればいい。決済方法は、クレジットカードのほかLINE Payを選べる。

Nature Innovation Groupはこれまでも、首都圏ではJR東日本や京急電鉄、小田急電鉄などの主要駅と周辺の商業施設、福岡では市と連携して福岡市営地下鉄天神駅や西鉄福岡駅、キャナルシティ博多などにアイカサスポットをエリア展開してきた。

今回の西武ホールディングスグループとの連携は、エリア(面)展開ではなく、沿線(線)展開。起点の西武新宿駅(駅番号SS01)から終着駅の本川越(駅番号SS29)までの各駅にもれなく設置される。西武新宿、高田馬場、鷺ノ宮、上石神井、田無、東村山、所沢、本川越などの主要駅だけでなく、郊外の各駅停車しか止まらない駅にも設置される点に注目だ。

西武新宿線の各駅は、2018年度の1日あたりの乗降人員が最も少ない落合駅(東京都新宿区)で1万2479人、最も多い高田馬場駅(東京都新宿区)で30万4904人。郊外では2万人以上の乗降人員の駅が多く、今回の全駅への設置によって、アイカサを自宅の傘がわりに普段使いできる環境が整う。沿線住民は、いつでも駅で傘を借りられていつでも駅で返せるわけだ。

設置場所と利用可能時間は以下のとおり。改札内にあるアイカサを利用するには、入場券もしくは乗車券が必要となる。

  1. 西武新宿駅:正面口(終日)、北口(7:00~終電車)
  2. 高田馬場駅:早稲田口(初電車~終電車)、BIGBOX口(初電車~終電車)、BIGBOX高田馬場 1F 入り口(月~土10時~21、日・祝10時~20時)
  3. 下落合駅:北口(終日)
  4. 中井駅:改札内(初電車~終電車)
  5. 新井薬師前駅:北口(初電車~上り終電車)、南口(終日)
  6. 沼袋駅:南口(終日)
  7. 野方駅:改札内(初電車~終電車)
  8. 都立家政駅:南口(終日)
  9. 鷺ノ宮駅:改札内(初電車~終電車)
  10. 下井草駅:北口2階EVのりば付近(初電車~終電車)、南口(終日)
  11. 井荻駅:北口(終日)、南口(終日)
  12. 上井草駅:北口(初電車~終電車)、南口(終日)
  13. 上石神井駅:北口(終日)、南口側コンコース(初電車~終電車)
  14. 武蔵関駅:北口側コンコース(初電車~終電車)、Emio武蔵関 2F入り口(初電車~終電車)
  15. 東伏見駅:北口側コンコース(初電車~終電車)、南口側コンコース初電車~終電車)
  16. 西武柳沢駅:北口側コンコース(初電車~終電車)、南口(初電車~終電車)
  17. 田無駅:北口2階EVのりば付近(初電車~終電車)
  18. 花小金井駅:北口1階 EVのりば付近(終日)
  19. 小平駅:北口側コンコース(初電車~終電車)、南口側コンコース(初電車~終電車)
  20. 久米川駅:北口(初電車~終電車)、南口(初電車~終電車)
  21. 東村山駅:改札前コンコース(初電車~終電車)、西口側コンコース(初電車~終電車)
  22. 所沢駅:東口2階EVのりば付近(初電車~終電車)、西口2階EVのりば付近(初電車~終電車)、西口ペデストリアンデッキ(終日)
  23. 航空公園駅:東口(終日)
  24. 新所沢駅:西口側コンコース(終日)、東口(終日)
  25. 入曽駅:西口(初電車~終電車)、東口(終日)
  26. 狭山市駅:Emio狭山市2Fミスタードーナツ前(初電車~終電車)、西口側コンコース(終日)
  27. 新狭山駅:改札付近(初電車~終電車)、南口(終日)
  28. 南大塚駅:改札前(初電車~終電車)
  29. 本川越駅:西口(初電車~終電車)、蔵のまち口(初電車~終電車)

なお、今回の西武新宿沿線の全駅設置の経緯についてNature Innovation Groupに話を聞いたところ「今回の件はまず西武鉄道から話があり、Nature Innovation Groupから全駅設置を提案したところ実現した。新宿線沿線は小田急電鉄などアイカサの既存スポットとのシナジー効果も考慮して導入することになった」とのこと。

西武鉄道沿線で最も利用客が多い西武池袋線(池袋〜吾野)へのアイカサの導入については「池袋線沿線も今後拡大を前提に検討している」と教えてくれた。さらに現在はLINEプラットフォーム上でのサービス展開だが、今後はより利便性を高めるべく独立アプリの開発を検討しているとのこと。