JR東スタートアッププログラム採択のエネフォレストがJR渋谷駅工事事務所に紫外線照射装置を導入

JR東日本スタートアップエネフォレストは6月24日、JR東日本が現在進めているJR渋谷駅改良工事の各工事事務所において、紫外線照射装置「エアロシールド」導入の5月開始を発表した。2018年度にJR東日本の施設内における空気環境の可視化、紫外線照射装置「エアロシールド」による空気環境対策の実証実験(トライアル)実施を受けたもの。

エネフォレスト 紫外線照射装置 エアロシールドエアロシールドは、紫外線の中でも最も効果が高いとされるUV-Cを室内上部に照射し、自然対流により空気を循環させることで、人がいる空間でも24時間365日安心・安全に空気環境対策を行える製品。紫外線殺菌照射(UVGI)はCDC(米国疾病対策センター)発行の「医療機関における結核菌の伝播予防のためのガイドライン」でも空気感染対策にも有効な空気清浄法として推奨されている。

2018年度開催の「JR東日本スタートアッププログラム 2018」においてエネフォレストが採択され、2018年12月〜2019年2月の間にJR大宮駅(ベビー休憩室・待合室)、JR南越谷駅(みどりの窓口、出札)においてエアロシールドを設置。空気環境対策の実証実験を行った。

エネフォレスト 紫外線照射装置 エアロシールド

この実証実験では、エアロシールドの設置および浮遊菌検査を実施し、空気環境対策前後での浮遊菌量の変化を比較した。装置の稼働により、JR大宮駅では90.48%、JR南越谷駅では90.41%の浮遊菌が減少する結果となったという。

JR東日本スタートアッププログラムは、ベンチャー企業などから、駅・鉄道、グループ事業の経営資源や情報資産を活用したビジネス・サービスの提案を募り、ブラッシュアップを経て実現していくプログラム。2017年度に初開催し、これまでに計63件の提案を採択。内閣府主催の2018年度 第1回日本オープンイノベーション大賞では、経済産業大臣賞を受賞した。鉄道事業やIT事業など幅広い分野の実証実験を行い、一部の取り組みは実用化している。

関連記事
JR東日本スタートアップが2020年度のアクセラレーションプログラムの募集開始
JR東日本スタートアップが品川駅にSTARTUP_STATIONをオープン、nanoblock版高輪新駅やリサイクルTシャツを展示
JR東日本スタートアップが新潟市でMaaSと日本酒の実証実験をスタート

JR東日本スタートアップが2020年度のアクセラレーションプログラムの募集開始

東日本旅客鉄道とJR東日本スタートアップは4月13日、 優れた事業アイデアを有するスタートアップ企業などとの協業によるビジネス創造の取り組みとして「JR東日本スタートアッププログラム2020」を開催することを発表した。

同プログラムは2017年度から開催している取り組みで、 これまでに計63件の提案を採択。 鉄道事業や生活サービス事業、 IT・Suica事業など幅広い分野の実証実験を進め、一部は実用化に漕ぎ着けている。4回目となる2020年度のテーマは、地方創生、観光・インバウンド、スマートライフの3つ。

地方創生
東日本大震災発生から10年の節目を迎える東北エリアをはじめとした「地方創生」の推進

観光・インバウンド
新たな視点での観光資源活性化や地域の魅力創出などの「観光・インバウンド」事業の創造

スマートライフ
テレワーク・デュアルライフなどの社会的なニーズへの対応、 デジタルトランスフォーメーションによる新たな消費行動など、 新しい働き方や暮らし方の提案としての「スマートライフ」の実現

具体的な事業領域は以下のとおり。設立(起業)から10年以外の企業で、年度内に実証実験が可能なプロダクトやサービスが対象だ。

  1. 人・モノ・情報をタイムリーに結び付け、 利便性を高めるサービスの創出
  2. 出発地から目的地までをスムーズにつなぐ快適な移動の創造
  3. より安心・安全な輸送、 サービス向上に資する技術革新
  4. 魅力あるサービスの提供を通じ、 国内外の多様な人々が集い楽しめる場としての駅づくり
  5. 地域の雇用・移住・観光の促進
  6. 環境負荷の少ないエネルギーや安全で安定した食糧の供給など社会的課題の解決

応募期間は5月31日までを予定しており、JR東日本スタートアッププログラム専用ページから申し込める。応募条件と選考スケジュールは以下のとおり。選考に残った企業は、1社をスタートアップ大賞、1〜2社を優秀賞、同じく1〜2社をその他各賞を授与され、それぞれ100万円、50万円、10万円の支援金を受け取れる。

応募条件

  • 提案内容が新規性を備えていること。
  • JR東日本グループのリソース・アセットを活用すること。
  • 応募者・JR東日本グループにとって新たな事業展開に繋がる取組みであること。

選考スケジュール

  • 応募締切:5月31日
  • 書類審査結果通知:6月30日
  • プレゼン審査(非公開):7月中
  • アクセラレーション期間:8月~
  • Demo Day(公開):11月
  • 実証実験:12月~

福島・南相馬の小高駅をリノベして民間駅長兼コーディネーターを募集、JR東日本グループが支援

一般社団法人Next Commons Lab(NCL)は3月30日、「Way-Way」プロジェクトを発表した。第1弾として、福島県の浜通りに位置する南相馬市の小高駅でプロジェクトをスタートさせ、実証実験に参画するコーディネーターを募集する。

Way-Wayは、NCLとJR東日本グループのCVCであるJR東日本スタートアップがタッグを組んで進めるプロジェクト。地域の課題を解決する人材を育成するとともに、旅をしながら地域で仕事ができるインフラや環境を構築していくのが狙いだ。

具体的には、現在は無人駅のJR東日本・小高(おだか)駅の駅舎をコミュニティの場として活用するほか、公募したコーディネーターが民間駅長を兼務。コーディネーターは、駅舎の管理や改札などの駅務をJR東日本から受託しつつ、地域に根ざした産業の発見・発掘をサポートする人材となる。なお、受託した駅務に対してコーディネーターはJR東日本から業務委託費が支払われる。これがコーディネーターの基礎的な給与となる仕組みだ。

NCLでは数年前から南相馬市に拠点を築いており、すでにNCL主導の4つの町おこしプロジェクトが進行中。これに加えてWay-Wayプロジェクトを始動させることで、都市部からの人材流入を狙う。詳細は未定だが、南相馬市への移動コストの削減を目的とした新制度の導入も検討しているという。

Way-Wayプロジェクトとは、総務省が主導する「地域おこし協力隊制度」を活用した地方ベンチャー・スタートアップ創出プログラム。地域おこし協力隊制度は期間は1~3年の有限だが、1人当たり年間400万円の活動資金を提供する制度。具体的には、報償費などが200万円のほか、移動にかかる旅費や作業道具などの消耗品、関係者間の調整などに要する事務費、定住に向けた研修などの必要経費として200万円が支給される。

NCL代表理事の林 篤志氏は、南相馬市の中心部から距離のある小高駅をWay-Wayプロジェクトの拠点とした選んだ理由について「南相馬市の小高区は、福島第一原子力発電所事故の影響によって2016年まで帰還困難区域に指定されていました。NCLは南相馬市ですでにプロジェクトを進行させていましたが、3月14日の常磐線全線運転再開に合わせて、旧小高町の中心駅だった小高駅を地域活性のシンボルにしたかった」と語る。「現在、小高駅は通学の交通手段として使っている学生が中心です。降りるだけ、乗るだけの駅ではなく地域のコミュニティを活性化する場所として発展させたい」と続ける。

NCLはローカルベンチャー・スタートアップ創出を目的として、日本国内12カ所、台湾1カ所に拠点を持っており、90以上の地域プロジェクトを支援している。具体的にはこれまで、宮崎県で有機農業、神奈川・湘南で市民食堂、岩手。遠野市でブルワリー、岩手・南三陸でワイナリーの事業を営む人材を集めて事業化してきた。

都心部や観光地とは異なり人の移動が少ない場所での起業が成功する理由を聞いたところ林氏は「事業化する際に周辺住民の方にもヒアリングを実施して地域に必要な産業を絞り込んでいます。まずは地域経済の規模に合った事業を進めて経営を安定化させる」とのこと。実際にキリンビールの協力のもとで遠野市にオープンさせたブルワリーは、地域消費のみで経営が成り立っており、現在は都内のレストランなどにビールを卸すまでになったという。

小高駅の駅舎は東日本大震災による津波には流されず現存しているが、今後は一部をリノベーションして、コーディネーターとともに都市部の人と住民をつなぐコミュニケーションのハブとして機能することを目指す。JR東日本スタートアップで代表取締役社長を務める柴田 裕氏は「JR東日本管内には多くの無人駅があります。小高駅に続いて今後はそういった無人駅に対し、Way-Wayプロジェクトを通じて活気を取り戻したい」と語る。

観光資源が少なく地区外からの人口の流入も限られている小高区。コーディネーターと地域コミュニティの力で、人々を魅了する事業が生まれることを期待したい。

飲食店の未来が東小金井に出現、コネクテッドロボティクスの蕎麦茹でロボが実戦配備へ

コネクテッドロボティクスは3月16日、JR東日本の中央線・東小金井駅の改札内にある駅そば店「そばいち」に、同社が開発した蕎麦茹でロボットを期間限定で配備した。

4月15日までの約1カ月間、独自チューニングされたアームロボが茹でた蕎麦を食べられる。営業時間は朝7時から22時まで。

今回の取り組みは、同社がJR東日本スタートアップが実施した「JR東日本スタートアッププログラム2019」に採択されたことで実現したもの。JR東日本スタートアップと同じJR東日本のグループ会社で、JR東日本の駅構内の飲食店などの運営を手掛ける日本レストランエンタプライズを加えた3社での実証実験となる。

蕎麦を茹でる工程。3食の蕎麦を同時に茹でられ、交互に計6食の蕎麦を茹でることが可能だ

茹でた蕎麦のぬめり取りと水切りの工程

日本レストランエンタプライズが運営するそばいちは、注文が入ったら店舗で生蕎麦を茹でて提供するスタイル。

コネクテッドロボティクスが開発した蕎麦茹でロボットは、茹でる、湯切りする、ぬめりを取る、冷水で締める、水切るするという蕎麦の調理工程を流れ作業で処理。一度に6食ぶんの蕎麦を茹でることが可能で、1時間あたり40食程度の処理が可能という。なお、茹で上がった蕎麦につゆを入れて薬味や天ぷらをトッピングする作業については人力となる。ちなみに店舗内にはフライヤーも設置されており、こちらもその場で揚げるシステムだ。

蕎麦は基本的には券売機で食券で購入する。現金のほかもちろんSuicaなどの交通系ICカードでのキャッシュレス決済も可能だ

コネクテッドロボティクスの沢登哲也CEOによると「東小金井駅は弊社から近いこともあり、実証実験の場として選ばれた」とのこと。「生蕎麦を茹でるというそばいちの調理方法が弊社開発のロボットとマッチしました。これまでそれほど気にしてなかったのですが、食べ比べてみると茹でおきした蕎麦とはまったく違いました」とまずは味の感想を語ってくれた。現在、蕎麦店だけでなくラーメン店などからも問い合わせが来ているそうで、「ラーメン、特にとんこつラーメンの場合は麺の硬さを選べますが、それこそがロボットが得意とする部分です」と沢登氏。

蕎麦の茹で時間は飲食スペースに設置されたディスプレイで確認できる。茹で上がったあとにつゆやトッピングを投入をスタッフが担当する

駅そば店は朝早くから夜遅くまで稼働時間が長いことからメンテンスの頻度について質問したところ「メーカーによりますが汎用アームロボットは4〜5年の連続稼働を想定して開発されており、実際には10年ぐらいは大きな故障もなく使えることが多い」とのこと。なお、今回の蕎麦茹でロボットの導入コストは明らかにされていないが、以前の取材で沢登氏は「RaaS(ロボットをサービスとして提供)として提供する場合、1年間のコストはアルバイトの1人分の人件費程度」と語っていたことを踏まえると、安定した蕎麦茹でスキルを備えたロボットが最低でも5年程度、通常運用であれば10年稼働することによって、人手不足の解消に貢献することは間違いないだろう。

そばいちでは、生蕎麦から茹でるため調理に時間がかかる。取材時は稼働していなかったが、店内のディスプレイで購入した蕎麦の出来上がりが確認できる。こちらは蕎麦茹でロボットと直接連動しているわけではない

同社の佐藤泰樹COOもラーメン店でのロボット展開に期待を寄せる。「チェーン展開しているラーメン店の多くはとんこつラーメン店で、専用の麺茹でロボットとなると麺の茹でより時間が重要になってくる」としたうえで「問題はバリカタです」とのこと。店舗によって茹で時間は異なるが、一般的に「粉落とし」「ハリガネ」「バリカタ」などは茹で時間が数秒から十数秒と短いため、麺茹でロボットにとっては克服すべき課題の1つとのこと。またとんこつラーメン店では替え玉の需要が高いが「替え玉の場合は、麺茹でのあと麺を畳むように丼に入れ、ラーメンのタレをかけるまでの工程を自動化したいという要望もあり、超えるベきハードルは多い」とのこと。

今回の蕎麦茹でロボットの実戦配備については「蕎麦茹で以外の店舗作業のロボット化についても要望が多いのですが、展示会などでのデモンストレーションだけでなく、実際の飲食店で本格稼働するロボットをいち早く世に出したかった」と語る。

ちなみに同社開発のロボットはすでに飲食店2店舗に実戦配備されている。2018年7月に長崎県のハウステンボスにある飲食店、2019年10月に千葉にあるイトーヨーカドー幕張店に、たこ焼きロボットのOctSheff,ソフトクリームロボットのレイタがともに稼働中で、期間限定ながら蕎麦茹でロボットが導入されるのは今回が初だ。そのほか、大手企業のたこ焼き工場に配備されている機体もある。

JR東日本スタートアップの柴田 裕社長は今回の実証実験について「駅構内といっても郊外の飲食店は人手不足が深刻です。今回の実証実験で運用上の問題点などをチェックして本格稼働につなげていきたい」と語る。「一昨年にはサインポストと無人コンビニエンスストア、昨年はShowcase Gigとセルフオーダーなどの取り組みを続けてきました。JR東日本沿線では郊外や観光地の駅構内・隣接の飲食店は、対策を打たないと近い将来に人手不足で閉店になってしまうところもあります。この問題をロボットが補うことで多くの店舗の閉店を回避したい」と今回の実証実験について期待を寄せていた。

今後の蕎麦茹でロボットの配備計画は未定としたうえで「そばいちは現在8店舗あり、ほとんどの店舗が東小金井店と同じキッチンレイアウト」とのこと。ロボットのサポート・メンテナンス体制などの課題もあるが、本格導入が決まればまずは系列店舗に配備されるかもしれない。ちなみに今回、東小金井駅のそばいちに配備されたアームロボットは壁に取り付けられおり、事前に壁の補強工事などを実施したとのことだが、既存のキッチンスペースを拡張することなく配備が完了したとのこと。

RFID位置特定技術を有するRFルーカスが自動マッピングなどを備えた在庫・物品管理システムを公開

RFID(Radio Frequency IDentification)タグが貼り付けれている商品や備品などの位置を独自の電波位相解析によって特定する技術を有するRFルーカスは2月25日、RFIDタグが付けられた在庫や物品の位置を自動取得してデジタルマップ上に表示できる「Locus Mapping」を先行リリースしたことを明らかにした。すでに2月1日から、アステラス製薬やダイレクトメールや商品配送などのダイレクトマーケティング事業を展開するジップなどに先行導入されている。また同社は、JR東日本スタートアップのスタートアッププログラムに採択されており、東日本旅客鉄道(JR東日本)の横浜支社内で、倉庫での備蓄品・保管書類の管理効率化に向けての実証実験も開始している。

関連記事:RFルーカス独自開発のRFIDロケーション技術、アパレルや自動車・航空機メーカーで威力を発揮

RFIDタグとは、ID情報を埋め込んだICタグ(RFタグ)と、電磁波を用いた近距離の無線通信を組み合わせることで、非接触で情報をやり取りする技術。同じ商品であってもサイズ違い・色違いなど単品で管理しなければならない商品が非常に多い、アパレル業界などで普及している。RFIDタグは、電磁波が照射されるとそれをエネルギー源として動作し、それぞれのタグが個体識別可能な電波を返すため、多くの製品をまとめて管理する方法として利便性が高い。ちなみに、照射するのは920MHz帯の波長で、その波をRFIDタグに数秒間に数百回当てている。

同社はこのRFIDタグの位置を特定するロケーション技術を持っており、同技術を組み込んだソフトウェア開発キット「P3 Finder SDK」を利用することで、RFIDタグがスキャン時に発する電波の方向や強弱を専用のリーダーが解析してRFIDタグの場所を特定できる。すでにアパレル業界の商品管理や自動車メーカーでのPCなどの備品管理、航空機メーカーでの工具管理、データセンターのサーバー管理での実績がある。また2019年6月には、STRIVE、りそなキャピタル、テクノスジャパン、AGキャピタル、みずほキャピタルを引受先とした第三者割当増資により2億円の資金調達にも成功している。

Locus Mappingは、入出庫、棚卸、マッピングの大きく分けて3つの機能を備える。「入出庫」は、倉庫から搬入・搬出するRFIDタグを付けた在庫や物品を読み取って在庫リストに反映する機能。入出庫予定リストと照らし合わせた検品作業も可能になる。「棚卸」は、RFIDタグを付けた在庫・物品の種類と数を把握して、棚卸リストと照合できる機能。「マッピング」は、棚や床などの在庫・物品の保管場所に張り付けたRFIDタグをハンディリーダーで一括読み取りすることで、在庫・物品の保管場所を俯瞰できるデジタルマップを生成する機能だ。そのほか、レーダー探索機能やデジタルマップ上に棚や位置参照タグを簡単に配置できるツールも備わっている。

RFIDタグは、包装紙や段ボール箱にそのまま印刷できるバーコードに比べるとはコスト増となるが、大手アパレルでは量産効果によって1タグあたり3円ぐらいのコストで製造できるレベルまで低価格化進んでいる。バーコードは人力による商品や部品ごとの読み取りが一般的で手間と時間がかかるが、RFIDタグならスキャナーで一括読み取りできるので操作性に優れる。

同社は今後、このRFIDタグによる在庫管理サービスを生かして、自動走行ロボットと組み合わせた無人読み取りなどによる効率化・省人化によって、人手不足が深刻なアパレル業界やECサイトの倉庫業務を軽減することを目指す。

JR東日本スタートアップが品川駅にSTARTUP_STATIONをオープン、nanoblock版高輪新駅やリサイクルTシャツを展示

JR東日本スタートアップは2月17日、JR品川駅中央改札口付近の駅構内に「STARTUP_STATION in 品川駅」を2月23日までの期間限定でオープンした。JR東日本グループのビジネス創造活動「JR東日本スタートアッププログラム2019」の採択企業である、日本環境設計とヘラルボニーの作品を展示している。

日本環境設計は、衣類やプラスチックなどのリサイクル開発を手掛ける2007年1月設立の企業で、日本マクドナルドとのリサイクルパートナー契約を結んでいる。マクドナルドでは、全国のマクドナルドからハッピーセットに含まれるおもちゃを回収してトレイなどに再生するリサイクル企画「マックでおもちゃリサイクル」を実施中で、2019年度は回収期間を拡大したことで、2018年度の127万個の約2.7倍となる約340万個の回収に成功している。

日本環境設計では、マクドナルドが回収したこれらのおもちゃからリサイクルされたnanoblockを活用して、3月14日にJR山手線の品川〜田町間に暫定開業する高輪ゲートウェイ駅のジオラマをSTARTUP_STATION in 品川駅に展示。

さらに同社は、再生ポリエステルによるコットンライクな生地を使ったオリジナルTシャツを来場者が制作できるイベントも同時開催する。

また、知的障がいを持つアーティストのデザインを取り入れたヘラルボニーの「SDGs Tシャツ」(2500円)も購入可能だ。なお、SDGs Tシャツの売上の一部はアーティストに還元される。

JR東日本スタートアップが新潟市でMaaSと日本酒の実証実験をスタート

JR東日本スタートアップは1月9日、新潟市と共同でスタートアップ企業と連携した2つの実証実験を開始することを発表した。同社は、JR東日本の子会社でベンチャーへの出資や協業を推進するコーポレートベンチャーキャピタル。

今回、新潟で実証実験を予定しているのは、タクシーやシャトルの相乗りサービスを運営するNearMe(ニアミー)、AIによる日本酒レコメンドサービスを展開するMIRAI SAKE COMPANYの2社。後者は、JR大宮駅の西口広場で期間限定で開設された「STARTUP_STATION」にも出展したスタートアップだ。

関連記事:JR大宮駅西口にパスタロボや瞬間塩水冷凍魚、AI利き酒、スイーツ自販機の実験店舗がオープン

NearMeでは、新潟市内で観光タクシーの相乗りマッチングサービス「新潟トラベルシャトル」を提供。その名のとおり、観光タクシーを事前予約して相乗りすることで料金を抑えられるメリットがある。同社の「nearMe.」アプリで培った相乗りの乗車時や降車時、目的地までの最適なルート検索技術が活用される。実施期間は1月18日から3月末までを予定。送迎場所は、新潟駅南口、新潟市内の各種宿泊施設となる。

MIRAI SAKE COMPANYは、10種類の日本酒をのみ比べてAIによる味覚判定を実施し、個人に最適化された日本酒の銘柄や飲食店、酒販店を提案する観光拠点として「日本酒観光案内バー」(SAKE TOURIST INFORMATION BAR)を開設。独自のアルゴリズムにより12種類の日本酒味覚タイプに分類し、判定結果で提案された日本酒の飲める場所を巡る新潟駅近郊のラリーも提案してくれる。新潟駅周辺地域の飲食店・酒販店の回遊を促し、活性化を狙う。実施期間は2月14日~3月15日で、実施場所はJR新潟駅構内CoCoLo新潟西N+ TABI BAR & CAFE/km-0 niigata lab内。

JR大宮駅西口にパスタロボや瞬間塩水冷凍魚、AI利き酒、スイーツ自販機の実験店舗がオープン

JR東日本スタートアップは12月4日、JR大宮駅西口のイベントスペースに「STARTUP_STATION」を開設した。営業時間は12月9日までの期間限定で11時から18時まで(4日のみ14時から)。イベントスペースは、大宮駅の北もしくは南の中央改札を出て西口方面に向かうと見えてくる。

同社は未来の駅を体験できるスペースとしてSTARTUP_STATIONを設置し、同社のアクセラレーションプログラムの採択企業が出店する。同プログラムは今年で3回目で262件の応募があり、その中の21社が採択されており、TechCrunch読者にもおなじみのタイミーやNearMe、アドレスなども入っている。

展示されているのは、MIRAI SAKE COMPANYの日本酒レコンメンドシステム、QBIT Roboticsのロボットパスタカフェ、ブランテックインターナショナルの独自瞬間冷凍技術による鮮魚販売、ブイシンクのスイーツ・駅弁自販機の4件だ。

SAKEの未来

MIRAI SAKE COMPANYの日本酒レコンメンドシステム「YUMMY SAKE」は、東京の吉祥寺、恵比寿、五反田、渋谷(宇田川)などで展開していたYUMMY SAKE STANDが体験できる。10種類の日本酒の利き酒が可能で、スマートフォンアプリにそれぞれの評価などを入力することで、約100種類の中からお勧めの日本酒をAIが選んでくれる。

STARTUP_STATIONでは新潟の酒を取りそろえており、今後は新潟でのテイスティングも計画しているとのこと。

ロボット×パスタ

QBIT Roboticsは、カルボナーラとミートソースに2種類のパスタを調理するロボットを展示。このロボットは、デンマークのロボットメーカーであるユニバーサルロボットの汎用アームロボットで、空容器の移動、パスタの投入、お湯の投入、電子レンジでのパスタ調理、ソースのトッピング、購入者への提供といった一連の操作をこなす。アームロボットは基本的に、容器を掴む、調理機器ボタンを押す、容器揺らすという動作を先端に取り付けた2指のアームで実行する。

ロボットの周囲に、パスタ計量・排出マシーン、電気ポット、電子レンジ、ソース抽出機が並んでおり、購入者が設置されたタブレットからメニューを選ぶことで、順番に処理をこなしていく。パスタはカルボナーラとミートソースのほか、ロボットのお任せが選べる。ロボットの上部に4基のカメラ(深度カメラ)が設置されており、来店者の年代や性別、顔の表情などを判別・データ化する。


コネクテッドロボティクスが開発した、たこ焼きロボットほどの複雑な動きや画像認識機能は備わっていないが、ロボットアームがパスタを調理する様や、出来上がるまでの時間のアームダンスなど若干ながらエンターテインメント性がある。なお、アームの先端部分には豊田合成が開発したラバー製の電極「e-Rubber」が搭載されており、紙製の容器をアームを掴んでも潰れることがない。e-Rubberが取得した容器の柔らかさなどをデータ化してアームの力を微調整している。ちなみにコネクテッドロボティクスも今回の採択企業として名を連ねており、同社最寄りのJR東小金井駅で駅に併設されているそば店をロボットで自動化する。導入時期は2020年3月ごろになる予定だ。

約20秒の瞬間冷凍

ブランテックインターナショナルは、飽和食塩水を凍らせる独自技術「HybridICE」で瞬間冷凍した鮮魚やカニ、エビなどを販売する。魚の切り身や甲殻類はもちろん、生きた魚をは氷状の飽和食塩水に10秒ほど浸けることで鮮度を保ったまま冷凍できる。最近では神経締めなどの鮮度を落とさない魚の締め方も普及していきたが、同社の技術を使えば魚の身の部分を生きたまま冷凍できるので、行き場を失った血液は魚の心臓に溜まるため、解凍後の血抜きなどの作業は不要とのこと。

なお実際は、氷状の飽和食塩水で凍らせたあとに、アルコールや窒素によって急速冷凍する。運送時は発砲スチロールのケースに瞬間冷凍した魚介類と氷状の飽和食塩水を入れるだけで、冬季なら48時間程度の常温配送が可能とのこと。冷蔵車や冷凍車を使わないため環境にやさしいのも特徴だ。なお、解けた飽和食塩水は再び凍らせて再利用することができる。

ウルトラ自販機

ブイシンクが開発した自販機は、これまで難しかった柔らかい食品を形を崩さずに提供することを主眼に開発されたマシーン。

奥行きが1m程度と通常の飲料自販機に比べるとかなり巨大だが、これには理由がある。内部には横4×縦4に仕切られた棚が設置されており、ここに食品パッケージを格納する。利用者が全面の液晶タッチパネルでメニューを選ぶと、該当する商品が取り出し口から出てくる仕組みだが、この部分が通常の自販機とは異なる。一般的な飲料自販機は、自販機内部の上方から缶やペットボトル、瓶、飲料パックなどを落下させて取り出し口に運ぶ。

一方、ウルトラ自販機では取り出し口がその食品が格納されている場所まで移動し、棚から食品を1つ押し出すことで取り出し口に移動、移動が完了したら取り出し口が本来の位置に戻って利用者に提供されるという仕組みだ。

同社では現在、冷蔵機能ありとなしのモデルを開発中で、冷蔵ありモデルの場合は上部のコンプレッサーを搭載するためより大型になる。現在,、日本語、英語、韓国語、繁体字、簡体字の5言語に対応しており、今後は対応言語を合計10言語に増やしていきたいとのこと。そのほか自販機にはカメラが埋め込まれており、利用者の年代や性別などを判別してお勧めの商品をレコメンドする機能を利用可能とのこと。

JR東日本のAI無人コンビニが高輪ゲートウェイ駅に今春オープン

JR東日本スタートアップは12月3日、同社とサインポストの合弁会社であるTOUCH TO GO(タッチトゥゴー)が運営する同名の無人AI決済店舗の常設設置を発表した。2020年の春に暫定開業するJR山手線・京浜東北線の新駅である高輪ゲートウェイ駅構内に設置される。高輪ゲートウェイ駅は、1971年に開業した西日暮里駅以来、39年ぶりの山手線の新駅だ。

TOUCH TO GOは、これまで大宮駅や赤羽駅などの実証実験を進めてきたウォークスルー型の完全キャッシュレス店舗。カメラなどの情報から利用者と手に取った商品をリアルタイムに認識。利用者が決済エリアに立つとタッチパネルに商品と購入金額が表示されるので、あとは出口でタッチパネルの表示内容を確認して決済すれば購入完了となる。高輪ゲートウェイ駅のTOUCH TO GOの営業時間などは以下のとおり。

  • 開業時期:2020年春
  • 営業時間:6:00~24:00(予定)
  • 設置場所:高輪ゲートウェイ駅2階改札内
  • 店舗面積:約60平方m
  • 取扱商品:弁当、総菜、菓子、飲料など約600種類
  • 決済方法:交通系IC(クレジットカードやその他電子マネーなどにも順次対応予定)

スキマ時間シェアのタイミーが20億円調達、22歳学生起業家が1年2カ月で

スマートフォンアプリで登録することで、空いている時間にすぐに働けて、すぐに報酬を受け取れるワークシェアサービスを展開しているタイミーは10月31日、総額20億円の資金調達を発表した。この20億円は累計額ではなく、シリーズBにおける第三者割当増資よる調達だ。引き受け先は以下のとおりで、そのほか複数のエンジェル投資家が名を連ねる。

  • ジャフコ
  • ミクシィ
  • SBIインベストメント
  • プロロジス
  • KIDS HOLDINGS
  • WDI
  • ネクシィーズグループ
  • ひだしんイノベーションパートナーズ
  • SBSホールディングス
  • JR東日本スタートアップ
  • The CFO Consulting
  • GOSSO
  • トランジットジェネラルオフィス
  • IMM Investment Group Japan

写真に向かって左から、取締役副社⻑の川島遼一氏 、代表取締役社⻑の小川 嶺氏

同社は、2018年8月10日にタイミーのサービス開始。現在では、飲食、小売、物流、オフィスワークなどさまざまな業界で2000社以上の企業が利用しているほか、ワーカー登録者数は25万人を超えたとのこと。

また2019年10月3日には、タイミーのシステムを活用したタイミートラベルを開始。働きながら旅行先の現地の人と触れ合えるサービスとして展開していく。現地までの交通費や現地での宿泊費を労働報酬に含めることで、行きたい場所を選ぶだけで資金がなくてもすぐに旅行に出かけれるのが特徴だ。現在、働き手はもちろんのこと、企業・地方自治体の連携も進めている。

同社によると、今回調達した資金は店舗や企業への認知拡大や新規ユーザー獲得のためのマーケティング費用、人材採用などに利用する計画だ。

同社の代表取締役社長の小川 嶺氏は「まずは首都圏に加え、サービス提供開始済みの関⻄・福岡を含む国内主要都市での立ち上げに注力し、その後に全国・全世界に広げられるよう事業を進めていく」と語る。今後の展開としては「蓄積した信用データやトラフィックデータを整理して、最適なレコメンドエンジンの開発やダイナミックプライシングの実装に挑む」とのこと。

個人的には今回のシリーズBの出資元に、岐阜県の飛騨・高山地域を中心に地方創生を目的に投資活動を進めているひだしんイノベーションパートナーズが入っている点に注目したい。首都圏や関西圏などの大都市部だけでなく、地方都市でも深刻な人手不足を解消するサービスとして、タイミーやタイミートラベルのサービスが受け入れられる確率は高いと感じる。地方都市での人手不足解消はもちろんのこと、飲食店が繁忙期になる夏休みや年末年始に学生などの帰省に併せた雇用創出も可能になるだろう。現在タイミーを利用するユーザーは若年層が多い印象だが、認知を向上させてUI/UXなどにさらに磨きをかけることで中高年やシニア層までを取り込めるようになれば、少子高齢化の日本での同社の存在感はさらに増すはず。そのあとは世界だ!

JR東、セルフ注文決済端末「O:der Kiosk」を駅ナカ店舗に初導入、「R・ベッカーズ」池袋東口店で利用可能

「R・ベッカーズ」池袋東口店に導入された「O:der Kiosk」

ジェイアール東日本フードビジネスは9月4日、JR東日本スタートアップの協力のもと「R・ベッカーズ」池袋東口店に新型のセルフ注文決済端末「O:der Kiosk(オーダーキオスク)」を導入した。JR東が駅ナカ店舗にO:der Kioskを導入するのはこれが初めてだ。このセルフ注文決済端末は本日より利用可能となった。

R・ベッカーズ池袋東口店では事前注文と決済が可能なモバイルオーダーサービスの「O:der(オーダー)」を導入済み。更にセルフ注文決済端末を導入する運びとなった同店舗を、JR東は「未来型店舗」と位置付けている。JR東日本グループでは、今後も未来型店舗を増やしていくほか、端末の多言語化を計画している。

O:der Kioskは、JR東日本グループとShowcase Gig(ショーケース・ギグ)が共同開発した端末。クレジットカードや交通系電子マネーによる決済に対応している。この注文端末の導入は、店舗側には、注文受付や会計業務の軽減や店舗オペレーションの効率化、省人化などのメリットがある。R・ベッカーズ池袋東口店においては1人分のレジ人員を削減できる見込みだという。また、顧客にとっては、レジの待ち時間の軽減、加えて注文した商品の調理進捗をデジタルサイネージで確認可能、などの利点がある。

ジェイアール東日本フードビジネスの代表取締役社長、山際貞史氏によると、O:der Kioskはまだ「開発の途上」。同社は今後、現金への対応や操作性の向上、また外国人対応のための多言語化を検証する。「来年度、東京オリンピックもある。それまでには(未来型店舗を)広げていきたい」(山際氏)。

ジェイアール東日本フードビジネス代表取締役社長、山際貞史氏

O:derを開発するスタートアップ、Showcase Gigの代表取締役社長、新田剛史氏は「2013年(O:derサービススタート当時)、スマホで事前注文し、決済、飲食店の店頭で受け取るという形のサービスはまだ世界でも例がなかった。今年、2019年、モバイルオーダーが国内でもかなり色々なところでスタートし、注目が集まってきた」と話す。だが「モバイルオーダーを広げたいが、同時にバックアップとなるハードウェア端末を持っていないと一気には広がりにくいという課題を抱えていた。特にSUICAなどの交通系電子マネーが利用できる端末でないと国内では意味がないと考えていた」と加えた。

Showcase Gigの代表取締役社長、新田剛史氏

JR東日本スタートアップとShowcase Gigは2018年10月に資本業務提携を結んでいるが、今後も両社で協力し、未来型店舗を増やしていくことで、モバイルオーダーならびにセルフ注文決済端末の普及を加速させていく。

「海外では、モバイルオーダーとデジタルキオスクが両方セットアップされている店舗が、とてつもなく増えている状況だ」(新田氏)国内で初めて両方が揃うのが、未来型店舗として位置付けられているR・ベッカーズ池袋東口店。「未来型店舗という形での進化が、今日を皮切りに始まっていく」(新田氏)

三陸や北陸の朝獲れウニ・エビを品川で夕方買える、フーディソンとJR東日本が新幹線物流の実証実験

フーディソンとJR東日本スタートアップは6月11日、新幹線を利用した鮮魚輸送の実証実験を報道関係者に公開した。

写真に向かって左がJR東日本リテールネットが運営するエキュート品川で店長を務める清水 理三郎氏、中央がフーディソンの代表取締役を務める山本 徹氏、右がJR東日本スタートアップの代表取締役社長を務める柴田 裕氏

フーディソンは、ITを活用して市場流通システムを再構築し海産物に対する消費者の需要喚起を目指す、2013年設立のスタートアップ企業。具体的には、鮮度を保ったままでの提供はもちろん、適切な価格設定を実現している。そのほか、中目黒、都立大学、中延、エキュート品川店の都内4カ所で直営の鮮魚店も展開している。


JR東日本スタートアップは、JR東日本のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)。鉄道資源を活用した新規事業を支援しており、2017年からは「JR東日本スタートアッププログラム」を開催。これまでもさまざまなスタートアップとの実証実験を進めてきた。フーディソンはこのプログラムの採択企業の1社であり、20194月に同社とフーディソンが資本提携したことで今回の実証実験が実現した。

実証実験では、岩手県の三陸沿岸や新潟県の佐渡沖で水揚げされた海産物を新幹線で東京に運ぶことで輸送時間を短縮。ユーザーはショッピングサイト「ネットでエキ ナカ」もしくは店頭で事前予約すると、獲れたての海産物を鮮魚店「sakana bacca エキュート品川店」で受け取ることができるというもの。実証実験は、6月11日、13日、14日、18日、20日、21日の6日間となる。なお在庫状況によっては予約なしでも店頭購入が可能だ。

新幹線を使って輸送される海産物は、ウニと南蛮エビ(甘エビ)。ウニは、岩手県宮古市の田老漁港で前日に水揚げ・瓶詰めされたもので、当日朝7時30分にバスに乗せて盛岡駅に輸送。盛岡駅からは東北新幹線で東京に運ぶ。盛岡駅までのバス移送については、地元のバス会社の協力により実現したそうだ。

南蛮エビは、新潟県佐渡市の佐渡両津港で朝4時に水揚げされたものを、朝9時30分にジェットフォイル(水中翼船)で新潟港に。そして、新潟港からトラックで新潟駅に輸送する。新潟駅からは上越新幹線で東京駅に運ぶ。ちなみに新幹線内では、ウニ、南蛮エビともに発泡スチロールの箱に氷詰めされた状態で車内販売のバックヤードのスペースに格納されているとのこと。

東京駅からはウニと南蛮エビをまとめて品川駅までトラックで配送し、店舗(sakana baccaエキュート品川店)にその日の16時ごろに届けられる。今回新幹線で運ばれたのは発泡スチロールの箱が6つ。現地でフーディソンが委託している仲買人が買い付けたウニ2箱と南蛮エビ4箱だ。

エキュートでの売価は、160g入りのウニの瓶詰めが3600円。南蛮エビが200gで1600円。ネット注文では断然ウニが人気だったとのこと。なお、今回の実証実験には両社のほか、駅ナカ店舗のエキュート品川の運営元であるJR東日本リテールネット、東京駅から品川駅までのトラック移送を担うジェイアール東日本物流も協力している。

今回の実装実験の物流経路

新幹線物流を使う理由としてフーディソンで代表取締役/CEOを務めるの山本 徹氏は「これまでは鮮度落ちが早く主に地元で消費されていた地産品を、いち早く東京にとどけることで商品の価値を高めることが狙い」とのこと。今回の実証実験は消費者の反応やコスト感を見ることが目的だが、JR東日本スタートアップで社長を務める柴田 裕氏によると「小売りの海産物を新幹線で運ぶのは今回が初」だそうだ。

今後の展開についてフーディソンの山本氏は「魚種によっては熟成させたほうが旨味が増すこともあるので、今後取り扱っていく商品としてはウニと甘エビなど鮮度によって商品価値が高まるものが中心になる」という。需要があれば法人向けの販売も進めたいとのことだが、小売り中心で考えると大型魚などの新幹線輸送は現実的ではなさそうだ。東北・上越新幹線の終着駅である東京で販売してほしいところだが、今回の実証実験ではフーディソンの店舗がある品川エキュートが販売場所に選ばれたそうだ。

JR東日本スタートアップの柴田氏は「(JR東日本管轄の新幹線と)線路で繋がっている北海道・函館や石川・金沢で採れた海産物も新幹線物流に載せることはできるが、JR北海道やJR西日本との協議が必要になる。まずは今回の実証実験の反応を見極めたい」とコメント。

羽田空港を拠点とした飛行機を使った海産物輸送が実現している近年では、首都圏の居酒屋やレストランで朝獲れの魚介類が食べられるのはもはや珍しいことでない。しかし、首都圏から離れた地域の朝獲れ海産物を直送するには、空港から近い漁港でないと物流網の構築が難しく、現在のところ宮崎などの一部地域からの空輸に限られている。

今回の実証実験で、三陸沿岸や日本海沿岸の漁港で朝に水揚げされた海産物を最寄りの新幹線駅まで運び、はやぶさ、やまびこ、ときで東京駅に運ぶという新幹線物流網が整備されると、空輸よりも多くの産地の新鮮な海産物を、より多くの消費者が楽しめるようになるはずだ。

旅行で余った外貨などを電子マネーに変換できるポケットチェンジ、JR東日本スタートアップと資本業務提携

日本円および外貨などを電子マネーに換金するポケットチェンジは3月27日、JR東日本グループのスタートアップ支援企業であるJR東日本スタートアップと資本業務提携を結んだと発表した。

ポケットチェンジは2018年に開かれたJR東日本スタートアップの「アクセラレーションコース」採択企業の1つ。同社のサービスは、外国通過や日本円を電子マネーに交換できるキオスク型端末「ポケットチェンジ」と、独自電子マネーの発行・管理ができるモバイル決済プラットフォーム「ポケペイ(ポケットチェンジPAY)」の2つ。

ポケットチェンジでは、外国旅行などで余った通貨や日本円をSuicaなどの電子マネーや、各種ギフトコード・クーポンなどに両替することができる。また、ポケペイでは地域活性化などのために独自の電子マネーを発行することが可能。実際に、宮城県塩竈市では市内の加盟店約30箇所で使用できる「竈コイン」などが発行されている。同コインは、ポケットチェンジでSuicaに変換することも可能だ。

JR東日本スタートアップは今回の資本業務提携について、「すでに、(上記2社と)インアウトバウンド仙台・松島を加えた3社で、宮城県の塩竈市内における実証実験も実施中ですが今回、より開発を推進し、今後他の自治体での実験を検討していくため、資本業務提携に至りました」とコメントしている。

CAMPFIREがJR東と共同で地域商品開発を支援、日本酒やいちごチョコなど

CAMPFIREは3月13日、地域商品開発を目的としたプロジェクト5件を同社のプラットフォーム上に公開、支援をスタートした。

この支援は、2018年11月に東日本旅客鉄道(以下JR東日本)とJR東日本スタートアップが主催する「JR東日本スタートアッププログラム2018」にCAMPFIREが採択され、共同で地域振興を図る「地域にチカラを!プロジェクト」の一環として行われるもの。

2社共同プロジェクトでは、「地域商品開発」「無人駅の活用」の2つのテーマで新規事業案を募集し、CAMPFIREはクラウドファンディングのプロジェクト立ち上げをサポートし、JR東日本はPR・販路をサポートする。

2018年12月から約1カ月間、事業案を公募したところ、50件を超える応募があったという。その中から2社が選んだ地域商品開発部門の5件のプロジェクトを対象に、先行してクラウドファンディングが始まった。

今回選出されたプロジェクトは以下の通り。いずれも地域の食文化や素材を反映したユニーク(でおいしそう)な商品だ。

1)こだわり農園の果汁はじける 青森県産”完熟”りんごジュレを全国へ発信したい!

りんごの名産地、青森県で採れた完熟ストレート果汁を原料比70%使用した夢のりんごジュレ。人工キャビアの製造ノウハウを生かし、口当たりが抜群なジュレはまさに「飲む果実」です。

2)絶景が一望できる海の街・銚子 体にやさしいお煎餅「素米ruコーン」で笑顔を増やそう!
“醤油の街”としても知られる千葉県・銚子で、ぬれ煎餅やおかきを製造販売する創業69年の米菓専門店が、お客様の声に耳を傾けて開発したグルテン・アレルゲン・添加物フリーのとうもろこしパウダーを使った、体にやさしい煎餅「素米ruコーン」です。
3)岩手県宮古湾産「牡蠣の佃煮」を日本全国で、そして海外でも売れる商品にしたい!
岩手県宮古湾産の、厳選した大粒の牡蠣だけを100%使い、シンプルな味つけでコトコト炊きあげた佃煮。牡蠣本来の旨味が味わえる、この佃煮はお酒の肴としてはもちろんのこと、研いだお米に混ぜれば炊き込みご飯としてもおいしく召し上がれます。
4)【北海道産夏いちごのしみチョコ】北海道の新しい定番のおみやげを作る!!
北海道産夏いちごをフリーズドライにし、ホワイトチョコレートを染みこませた「しみチョコ」。特許を取得した製造機を使用することで、夏いちごは収縮しないまま、色彩・香り・風味を損なわずにサクサクとした新鮮な食感が楽しめます。
5)180ml→90mlへ。これで日本酒がもっと楽しめる、日本酒ハーフカップ。
酒造数全国一を誇る“日本酒王国・新潟”にある、越後のお酒ミュージアム「ぽんしゅ館」からお届けする飲みきりサイズのハーフカップの日本酒。「越後魚沼のドラマを食で語る」をコンセプトに、生産者の思いとともにお客様へお届けします。

目標金額を達成したプロジェクトには、JR東日本からのサポートのもと、デザイナーが商品のパッケージデザインを手がけ、リブランディングが行われる。また、対象商品はJR東日本の地産品ショップや駅構内での販売も予定されている。ファンディング募集期間は4月29日まで。

JR東日本とWAmazingが訪日外国人向けフリーパスのアプリ決済を実証実験

東日本旅客鉄道JR東日本スタートアップWAmazing(ワメイジング)の3社は1月23日、成田空港で訪日外国人旅行者の利便性向上を目的とした実証実験を実施することを発表した。実証実験の期間は2019年2月1日~3月31日。

JR TOKYO Wide Pass

実験期間中は、JR東日本が販売する訪日外国人旅行者向けフリーパス「JR TOKYO Wide Pass」を、WAmazingのアプリ「WAmazing」とWeChatミニプログラム「小票夹」で購入可能になる。これにより、同フリーパスの予約や決済、受け取りまでのハードルを低くするのが狙い。

JR TOKYO Wide Passはこれまでも、首都圏の空港やターミナル駅の「JR EAST Travel Service Center」などで発売していたが、実験期間中はスマホアプリで好きな時間に購入できるというわけだ。決済には、VISAもしくはMasterCardブランドのクレジットカード、もしくはWeChatPayとなる。

訪日外国人はこのフリーパスを使うことで、関東エリアの新幹線や特急列車の指定席を3日間自由に使える。首都圏はもちろん、越後湯沢駅やガーラ湯沢駅などのエリアでも利用可能だ。

アプリ上で購入したあとは発行されるQRコードを読み取り機にかざす必要があるほか、パスポートのスキャンも必要。フリーパスはスタッフからの手渡しだ

実際にフリーパスを入手するには、アプリで購入すると発行されるQRコードを、受取場所に設置されたQR読み取り用タブレット端末にかざす必要がある。そのあとに、タブレット端末の付属スキャナーでパスポートをスキャンすると、カウンタースタッフから「JR TOKYO Wide Pass」を受け取れる。アプリ上ですべて完結するわけでなく最終的に人手が必要なのは残念だが、購入までのハードルはいくぶん低くなるだろう。なお、スマホ経由で購入できるのは大人用の1万円のフリーパスで、子供用の5000円のものは窓口で買う必要がある。

WAmazingは、訪日外国人向けのアプリや日本国内の国際空港で無料SIMを配布しているスタートアップ。デロイトトーマツベンチャーサポートが1月に実施した「Morning Pitch Special Edition 2019」で最優秀賞に輝いた企業だ。同社が配布するSIMは、訪日外国人が日本滞在中の15日間、容量500MBまでを無料で利用できるというもの。もちろん容量は追加購入が可能だ。

JR東日本スタートアップは、JR東日本のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)。駅や鉄道、 グループ事業の経営資源や情報資産を活用したビジネス・サービスの提案を募り、 ブラッシュアップを経て実現していく「JR東日本スタートアッププログラム」を開催している。