RFID位置特定技術を有するRFルーカスが自動マッピングなどを備えた在庫・物品管理システムを公開

RFID(Radio Frequency IDentification)タグが貼り付けれている商品や備品などの位置を独自の電波位相解析によって特定する技術を有するRFルーカスは2月25日、RFIDタグが付けられた在庫や物品の位置を自動取得してデジタルマップ上に表示できる「Locus Mapping」を先行リリースしたことを明らかにした。すでに2月1日から、アステラス製薬やダイレクトメールや商品配送などのダイレクトマーケティング事業を展開するジップなどに先行導入されている。また同社は、JR東日本スタートアップのスタートアッププログラムに採択されており、東日本旅客鉄道(JR東日本)の横浜支社内で、倉庫での備蓄品・保管書類の管理効率化に向けての実証実験も開始している。

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RFIDタグとは、ID情報を埋め込んだICタグ(RFタグ)と、電磁波を用いた近距離の無線通信を組み合わせることで、非接触で情報をやり取りする技術。同じ商品であってもサイズ違い・色違いなど単品で管理しなければならない商品が非常に多い、アパレル業界などで普及している。RFIDタグは、電磁波が照射されるとそれをエネルギー源として動作し、それぞれのタグが個体識別可能な電波を返すため、多くの製品をまとめて管理する方法として利便性が高い。ちなみに、照射するのは920MHz帯の波長で、その波をRFIDタグに数秒間に数百回当てている。

同社はこのRFIDタグの位置を特定するロケーション技術を持っており、同技術を組み込んだソフトウェア開発キット「P3 Finder SDK」を利用することで、RFIDタグがスキャン時に発する電波の方向や強弱を専用のリーダーが解析してRFIDタグの場所を特定できる。すでにアパレル業界の商品管理や自動車メーカーでのPCなどの備品管理、航空機メーカーでの工具管理、データセンターのサーバー管理での実績がある。また2019年6月には、STRIVE、りそなキャピタル、テクノスジャパン、AGキャピタル、みずほキャピタルを引受先とした第三者割当増資により2億円の資金調達にも成功している。

Locus Mappingは、入出庫、棚卸、マッピングの大きく分けて3つの機能を備える。「入出庫」は、倉庫から搬入・搬出するRFIDタグを付けた在庫や物品を読み取って在庫リストに反映する機能。入出庫予定リストと照らし合わせた検品作業も可能になる。「棚卸」は、RFIDタグを付けた在庫・物品の種類と数を把握して、棚卸リストと照合できる機能。「マッピング」は、棚や床などの在庫・物品の保管場所に張り付けたRFIDタグをハンディリーダーで一括読み取りすることで、在庫・物品の保管場所を俯瞰できるデジタルマップを生成する機能だ。そのほか、レーダー探索機能やデジタルマップ上に棚や位置参照タグを簡単に配置できるツールも備わっている。

RFIDタグは、包装紙や段ボール箱にそのまま印刷できるバーコードに比べるとはコスト増となるが、大手アパレルでは量産効果によって1タグあたり3円ぐらいのコストで製造できるレベルまで低価格化進んでいる。バーコードは人力による商品や部品ごとの読み取りが一般的で手間と時間がかかるが、RFIDタグならスキャナーで一括読み取りできるので操作性に優れる。

同社は今後、このRFIDタグによる在庫管理サービスを生かして、自動走行ロボットと組み合わせた無人読み取りなどによる効率化・省人化によって、人手不足が深刻なアパレル業界やECサイトの倉庫業務を軽減することを目指す。

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TechCrunch Japan

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