フィットネスクラブ・スクールなど店舗向け会員管理・予約・決済システム「hacomono」が5億円調達

フィットネスクラブ・スクールなど店舗向け会員管理・予約・決済システム「hacomono」が5億円調達

フィットネスクラブ・スクールなど月謝制店舗向け会員管理・予約・決済システム「hacomono」を開発するhacomono(旧まちいろ)は3月22日、シリーズAラウンドにおいて、第3者割当増資による5億円の資金調達を発表した。引受先はALL STAR SAAS FUND。

調達した資金は、サービス・機能開発、質の高いサービス提供のための人材採用やマーケティング活動に活用する予定。今後hacomonoでは、スクール管理や公共運動施設向けの券売機連携機能をはじめ、本格的な基幹システム機能を提供し、「リアル店舗のためのモダンな次世代ERP」へ進化させる予定。

フィットネスクラブ・スクールなど店舗向け会員管理・予約・決済システム「hacomono」が5億円調達

hacomonoは、フィットネスクラブ・スクール店舗における予約・決済や入会手続きを顧客自身のPC・スマホ端末からオンラインで完結できる「会員マイページ」を提供するクラウドサービス。

店舗側は、月謝の引き落としや未払い徴収に関するオペレーションを自動化でき、スタッフ業務の大幅省力化を図れる。店舗での事務手続きや支払い手続きを大きく削減できるという。

現在コロナ禍の影響により、店舗の非対面化やオンライン化が求められており、契約店舗数が1年で約12倍に増加し、発売から2年で契約店舗数は500店舗を超えたとしている。

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タグ:資金調達(用語)hacomono(企業)
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「ヘッドレス」のeコマースプラットフォームを手がけるSaleorがシードラウンドで約2.7億円調達

ポーランドと米国を拠点とするスタートアップ企業のSaleor(セーラー)は、開発者がより優れたオンラインショッピング体験を簡単に構築できる「ヘッドレス」eコマースプラットフォームを提供している。同社はシードラウンドで250万ドル(約2億7000万円)を調達した。

今回のラウンドは、ベルリンのCherry Ventures(チェリー・ベンチャーズ)が主導し、さまざまなエンジェル投資家が参加。その中には、Vercel(バーセル)のCEOでNext.js(ネクスト・ジェイエス)の発明者であるGuillermo Rauch(ギレルモ・ローチ)氏や、Contentful(コンテントフル)の元CMOだったChris Schagen(クリス・スカーゲン)氏、Lookout(ルックアウト)の共同創業者Kevin Mahaffey(ケビン・マハフィー)氏などが名を連ねている。

Saleorでは今回調達した資金を、間もなくローンチするクラウド製品や、フロントエンドエンジニア向けのGraphQL(グラフQL) APIなど、同社のヘッドレスeコマースプラットフォームのさらなる開発に投資するという。

Saleorの設立は2020年だが、その歴史は2013年、創業者のMirek Mencel(ミレク・メンセル)氏とPatryk Zawadzki(パトリック・ザワツキ)氏が、彼らの在籍していたエージェンシーの業務とは別に製品を生み出した時にまで遡る。Saleorは「ヘッドレス」アプローチを採用した「APIファースト」のeコマースプラットフォームと説明されている。これは、開発者がユーザーのために価値を生み出すフロントエンドに集中できるよう、プラットフォームがバックエンドの面倒な作業を行うというものだ。

「Saleorは、私たちのMirumee Softwareにおける代行業務の中で、よりモジュール化された、柔軟でスケーラブルなeコマースソフトウェアを必要としていたことから生まれました」と、Saleorの共同設立者であるミレク・メンセル氏は振り返る。「大規模なブランド向けのソリューションの多くは、ベンダーロックインや、新技術の採用の遅れ、商用認証プログラムなど、独自仕様による障害を内包していました。その一方で、オープンソースでは、私たちはMagento(マジェント)の開発環境が気に入らず、他の代替となる製品ではスケールアップが見込めないと感じていました」。

そこでSaleorは、既存の独自仕様のソフトウェアよりも優れたスケーラビリティと拡張性を実現する「技術的な卓越性と品質」に注力したオープンソースのプラットフォームとして構想された。当初はメンセル氏とザワツキ氏のエージェンシーが社内で使用していたプロダクトが、2016年には世界中の開発者に使用されるプラットフォームへと成長した。

「そこで止めることもできたのですが、しかし、私たちは、各ブランドがより革新的なフロントエンド体験を求めているのを目にしました」とメンセル氏はいう。「Saleorのコアをプレゼンテーション層と切り離せば、革命的なフロントエンドへの道が拓けることは明白でした。困難はありましたが、私たちはオープンソースの優れたeコマースプラットフォームだったものを解体し、APIファーストで再構築しました」。

当初からヘッドレスという信念を持っていた2人は、RESTよりもGraphQLの方が「パワー、精度、開発者の満足度が高い」ということにも気付いた。多くの開発者は「たくさんのことを上手くやるよりも、いくつかのことを見事に成し遂げる」方を好むと考え、彼らはSaleorにGraphQL APIのみを採用した。「私たちは一度も振り返ったことがありません」と、メンセル氏は語っている。

当初の6人だったチームは、2018年にSaleor 2.0をリリースした。現在は20人に増えているSaleorは、メンセル氏によると、オープンソース、GraphQL、そして「フェアプライス」のクラウドによる開発者ファーストのコマースというシンプルなビジョンを持っており、Cherry Venturesはこのビジョンに明確に賛同しているという。

Cherry Venturesの創業パートナーであるFilip Dames(フィリップ・デイムス)氏は「私たちは今、開発者がヘッドレスコマースソリューションに切り替えることで、より柔軟で差別化されたショッピング体験を可能にするパラダイムシフトを目の当たりにしています」と語っている。「ミレク、パトリック、そして彼らのチームは、この開発の最前線にいて、革新的なマーチャントが消費者のあらゆるタッチポイントやデバイスに対応した最先端のショッピング体験を構築することを可能にするでしょう」。

「私たちは、Saleorのコアチームの規模を拡大し、2021年立ち上げる予定のSaleor Cloudの構築を加速させるため、ベンチャーの支援を受けることを決めました」と、メンセル氏は付け加えた。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Saleorネットショッピング資金調達

画像クレジット:Saleor

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

金属加工のDXを推進する「Mitsuri」運営のCatallaxyが総額4.1億円調達で未来の製造業を目指す

Mitsuriサービスのイメージ

Mitsuriサービスのイメージ

特注金属部品における受発注の商取引プラットフォーム「Mitsuri」を提供するCatallaxyは3月22日、第三者割当増資により総額約4億1000万円の資金調達を行ったと発表した。引受先はインキュベイトファンドとSMBCベンチャーキャピタル、フューチャーベンチャーキャピタル、長瀬産業、パビリオンキャピタル、エンジェル投資家となる。

金属部品の図面を工場に持ち込んで、職人と膝を突き合わせて話し合う。そんな当たり前に思える仕事を、オンライン上で完結するプラットフォームが「Mitsuri」だ。日本の金属加工技術は世界レベルである一方、現場は労働集約型で動いているという。

Catallaxyは2020年3月17日に約3億2500万円を調達したばかりだが、ここ1年の累計調達額は約7億3500万円となった。また、直近3年間でみれば累計調達額は約8億1000万円に上る。事業スピードを上げていく中、Mitsuriを通じてレガシーな金属加工業界のDXを進める。

依頼総額30億円を超えたMitsuri

日本の金属加工技術は世界レベルで、金属製品製造業は約15兆円という巨大産業であるものの、労働集約型のオペレーションによる競争力低下が大きな課題となっているという。経済産業省によると、2019年における金属製品製造業の事業所数は、従業員30人以上であれば約4400となる。一方、従業員が4人以上の場合は約2万5000であり、この小規模な事業所におけるDXの推進が特に急がれている。

Mitsuriは2018年のリリースされ、2019年には依頼総額が30億円を超えた。さらに2021年2月までには、全国300社の協力工場と、1万を超える発注社数を抱えるプラットフォームに拡大している。

Catallaxyは全国100カ所以上の工場に足を運び、業界の課題を直接ヒアリングした上で、Mitsuriを作り上げた。Mitsuriは、従来の発注業者が自社のCADオペレーターが作った図面を工場に持参して説明し、見積もりを依頼して、そして実際に発注するといった流れを根本から変えていく。

Mitsuriは金属加工の図面をアップロードするだけで、300社以上のパートナー工場から、同社が発注業者に合った加工業者をコーディネートする。発注業者はそこから見積もりや仕様など、条件に合った加工業者を選び、オンライン上で具体的な商談が始められるというものだ。

加工業者側からすれば、Mitsuri上で同社の専門スタッフと発注業者が上流工程を行っているため、製品製造に集中することができる。このため、納期遅れは全体の3%未満となっている。

また、発注業者が金属加工に専門的な知識を持っていなくても、金属部品を選び、見積り比較から発注までオンライン上でできる「Mitsuriカタログ」も提供している。Mitsuriカタログは、希望する金属部品がなければ、カタログ上で希望と近い金属の形状からカスタマイズできる。そこから自動で図面を作成され、そのまま発注も可能なセミオーダー方式となっている。

金属加工業の無人化を

Catallaxyは今回の資金調達によって、Mitsuriを通して金属加工業界における商取引・生産管理のデジタル化や見積りの自動化、ソフトウェア前提の部品製造を促進していく。

金属加工業界は依然、レガシーな業界構造だ。メール、FAX、対面、書面での営業活動、生産管理が常態化している。

Catallaxyは「現状、金属加工業界は商談や生産管理のスタンダードが確立されていない。各工場で Microsoft Excelや紙を中心とした管理をしており、生産性が低い状態が続いている。Mitsuriのウェブシステムを浸透させ、これまで工場内で営業職や管理職、CADオペレーターが担っていた業務を8割削減することで、業界スタンダードになることを目指す」と述べた。

また、見積りの自動化については、Mitsuriで3DCAD、2DCADの自動見積りを可能にし、これまで不透明だった特注部品価格を対応できる工場ごとに比較できるようにしている。自動化ではカバーしきれない場合、同社専門スタッフがCADファイルなどを解析し、解析内容と加工内容を紐づけて稼働時間を割り出すことで、見積り金額を算出する流れも作っている。

この他、Catallaxyは職人の知識や機械などの加工能力をデータ化に成功。協力工場に工作機械を動かすためのプログラムコードとして送り、工場ではそのプログラムコードを元に金属を加工できるようにしている。ソフトウェアを前提とした部品製造により、職人のスキルに依存せずに再現可能なQCD(Quality・Cost・Delivery)を提供することで、属人化していた金属加工業界を変えていく。

Catallaxyはこれらの施策をさらに推し進めることで、金属加工業の無人化を果たし、未来の製造業を作り上げる狙いだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Catallaxy資金調達金属加工DX日本

山口大学および国立がん研究センター発スタートアップのノイルイミューン・バイオテックが23.8億円調達

山口大学および国立がん研究センター発スタートアップのノイルイミューン・バイオテックが23.8億円調達

固形がんに対するCAR-T細胞療法の研究開発を行うノイルイミューン・バイオテックは3月22日、シリーズCラウンドにおいて、第三者割当増資による総額約23億8000万円の資金調達を発表した。

引受先は、新規引受先の第一生命、Binex Holdings、澁谷工業、ヘルスケア・イノベーション投資事業有限責任組合、KD Bio Investment Fund 4、また既存株主のBinex、BiGEN。

ノイルイミューン・バイオテックは、山口大学および国立がん研究センター発スタートアップとして2015年に設立。同社のコア技術PRIME(proliferation inducing and migration enhancing)を利用したCAR-Tを主とする遺伝子改変免疫細胞療法の自社パイプライン事業および共同パイプライン事業を推進してきた。今回調達した資金により、自社パイプライン事業におけるリードパイプラインNIB-101の臨床開発を促進する。

NIB-101は、特定のがん細胞の表面に存在する糖脂質の一種であるGM2を標的としたPRIME CAR-T細胞であり、現在、年内の臨床試験開始を目指して準備を進めているという。

山口大学および国立がん研究センター発スタートアップのノイルイミューン・バイオテックが23.8億円調達

CAR-T細胞とは、遺伝子を導入する技術を用いて作製する細胞で、がんを高感度に見つけ出し、かつ強力に攻撃する能力を持つという。白血球の一種T細胞を血液から取り出して、そこにキメラ抗原受容体(Chimeric Antigen Receptor: CAR)と呼ばれるがん細胞を見つけるアンテナの役割をもつ人工的な遺伝子を導入し、1~2週間程度体外で培養して増やした後に患者に投与する。すると、CAR遺伝子を導入されたCAR-T細胞は、がん細胞の目印となるがん抗原を認識し、これを標的として攻撃する。

ただ、CAR-T細胞療法はがんに対する有効な治療法となる可能性が示されているものの、血液がん以外の固形がんに関しては優れた治療効果を示せていないという。固形がんを標的としたCAR-T細胞療法は各国の研究機関や製薬企業において開発が進められているが、いまだ承認されたものはないそうだ。固形がんと血液がんでは特徴が異なる点があり、固形がん局所へのCAR-T細胞の送達性および固形がんの不均一性 (tumor heterogeneity)が課題となっているという。

この解決策として、ノイルイミューン・バイオテックはPRIME (Proliferation-inducing and migration-enhancing) 技術の研究開発を実施。CAR-T細胞およびその他の免疫細胞のがん局所への送達性を向上させ、生体内において宿主の免疫システムを活性化することにで、多様ながん抗原に対する免疫応答を誘導して固形がんの不均一性に対応するとしている。

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カテゴリー:バイオテック
タグ:医療(用語)がん / がん治療(用語)国立がん研究センター(組織)資金調達(用語)ノイルイミューン・バイオテック(企業)山口大学(組織)日本(国・地域)

不動産DXのWealthParkが25億円調達、オルタナティブ投資のプラットフォーム目指す

株式や仮想通貨を運用する人にとって、アプリやウェブで資産管理をすることは、いまや常識となった。しかし現在、不動産オーナーの多くは「紙」で資産管理を行っている。この状況を変えようとするスタートアップがWealthParkだ。

2021年3月22日、WealthParkはJICベンチャー・グロース・インベストメンツから25億円を調達したと発表した。同社は、不動産オーナーと不動産管理会社をデジタルにつなぐシステム「WealthParkビジネス」を提供している。

収支報告書をワンクリックで送信

不動産管理会社は、オーナーが所有する物件の管理を委託されている。入居者からの家賃回収や部屋の修繕依頼への対応などに加えて、毎月、オーナーに収支報告を行う。いわばオーナーと管理会社は「経営パートナー」のような間柄といえる。問題は、大半の管理会社とオーナーのコミュニケーションの方法が「電話・FAX・紙」であることだ。例えば管理会社は、毎月の収支報告書を郵送してオーナーに届けている。その数が多ければ印刷代や人件費は馬鹿にならないものであり、オーナー側としても書類の保管・整理に手間がかかってしまう。

WealthParkは不動産管理会社向けのシステム「WealthParkビジネス」を提供することで、この課題の解決を目指す。同システムを利用すると、管理会社は管理物件別の賃料・共益費・駐車場代などをダッシュボードで一覧することができる。毎月の収支報告書は自動で作成され、ワンクリックでオーナーのスマホに送信可能だ。また、オーナーとシステム内のチャット機能で会話ができるため、工事の見積もり費などの確認作業がスピーディに完結できる。つまり、管理会社とオーナー双方が、従来よりシンプルかつ気軽にコミュニケーションをとれるというわけだ。

画像クレジット;WealthPark

不動産小口化商品の取り扱いも

2014年にローンチされたWealthParkビジネスは着実な成長を見せている。現在、国内大手の東急住宅リース三菱地所ハウスネットを含む80の不動産管理会社が同システムを導入しており、約1万7000人の不動産オーナーが利用する。管理戸数は10万室を超え、同社CEOの川田隆太氏は「ようやく基盤が固まってきた」と自信をのぞかせる。

WealthParkのビジネスモデルは、管理会社から毎月のサブスクリプション手数料を得るというもの。管理会社は、WealthParkビジネスを自社のコスト削減に加え、顧客である不動産オーナーへの「CRMツール」として活用できるため、顧客満足度向上の観点でも導入するメリットは大きい。

またWealthParkは今回の資金調達により、不動産小口化商品の取り扱いもスタートする。川田氏によると「不動産オーナーには、毎月数十万円から数百万円という家賃収入があります。しかし、その利息分をそのまま眠らせてしまっていることが多い」。そのようなオーナーに対して、管理会社から不動産小口化商品を提案する。オーナーはすでに現物資産(不動産)をWealthParkのシステム上で運用しているため、小口化商品も同一ダッシュボード上でシームレスに管理できるのがメリットだ。オーナーにとっては資産運用の効率化につながり、管理会社にとっては新たなビジネスチャンスになる。

Amazonや楽天で売っていないもの

「賃貸管理業務のDX」という分野で存在感を放つWealthPark。CEOの川田氏がこのサービスを始めた理由は、以前経営したスタートアップでの「苦い経験」にある。同氏は若年層の女性向けアパレルECを4年半経営するなかで、リーマンショックや東日本大震災を経験し「資金があと3、4カ月で底をつく」という状況に陥ったことがある。株主からの資金援助はすべて断られ、自分自身の手持ち資金だけでは足らず、親・親戚・友人を回り、会社を存続させるための資金をかき集めた。その後同業大手による買収提案があり、川田氏の経営者としての最初のキャリアは幕を閉じた。

酸いも甘いも知った川田氏はこう振り返る。「前の会社の経営では、『マーケット選定の重要さ』を思い知りました。IPOを目指してあらゆる手段を講じましたが、結局はターゲットのTAM(獲得可能な最大市場規模)が小さかったので採算が合わなかった。だからこそ、次の事業はこの反省を活かそうと思ったのです」。

川田氏は、次のビジネスのマーケットを選ぶために「Amazonや楽天で売っていないもの」は何かと考えた。そのなかでも、TAMが大きく、かつDXが遅れている不動産を次のステージに選んだ。「不動産を含むオルタナティブ資産は、株や債券にはない『期中管理』が付き物です。例えば不動産であればトイレや水道の故障を直したり、アートやワインであれば適切な温度・湿度で保管したりなど、『管理の仕方』で資産の価値が大きく変わります。だからこそ、管理会社へのDXソリューションを提供することで、道が開けると考えたのです」。

川田氏は将来への想いを語る。「WealthParkは不動産に限らず、あらゆるオルタナティブ投資をサポートする存在になりたいと考えています。例えば、クリスティーズでレオナルド・ダ・ヴィンチの絵が100億円で売りに出されたとしても、今はアラブの石油王みたいな人しか買えないですよね。でもWealthParkを通して、10万人が10万円ずつ出資してオーナーになり、それをデジタルに管理できたらカッコいいじゃないですか。そんな世界をつくっていきたいと思っています」。

オルタナティブ資産とは「代替資産」を意味し、株式や債券などの「伝統的資産」の対になる存在として考えられてきた。しかし、WealthParkが推進する不動産小口化商品をはじめ、ワインやアート、金、仮想通貨、NFTなどが今後メインストリームに躍り出ることで、オルタナティブ資産がもはや「代替」ではなくなるということも、十分にありえる未来だろう。

関連記事:不動産管理会社・不動産投資家向け資産運用・管理のWealthParkが9億700万円を調達

カテゴリー:フィンテック
タグ:WealthPark資金調達不動産DX日本賃貸

採用プロセスの自動化を支援するFetcherが約7億円を調達

採用候補者のプールを多様化しつつ、採用プロセスを容易にすると約束するスタートアップのFetcher(フェッチャー)が、シリーズAの資金調達で650万ドル(約7億円)を調達したと発表した。

もともとはScout(スカウト)として知られていたニューヨーク拠点の同社は、CEOのAndres Blank(アンドレス・ブランク)氏、CPOのChris Calmeyn(クリス・カルメイン)氏、エンジニアリングディレクターのJavier Castiarena(ジャビエル・カスティアレナ)氏とSanti Aimetta(サンティ・アイメッタ)氏が創業した。

ブランク氏は、Fetcherが採用担当者の仕事の一部、つまり求職者の探索と、最初に接触する際のメール送信を自動化すると筆者に述べた。筆者はスパムの求人メッセージを増やすだけではないかと思ったが、同氏は、Fetcherのメールは適切な候補者をターゲットにしているため、実際には「非常に良い回答率」になると語った。

「仕事を探している人々は実の所それほどすばらしいメールを必要としているわけではありません。採用担当者としては、それぞれの候補者に何を書くかについて10分も考えたくないでしょう」と同氏は述べた。

同氏はまた、Fetcherのアプローチは「ヒューマン・イン・ザ・ループ」アプローチだと説明した。最初の接触は自動化されるが、その後、返信してきた候補者とは採用担当者がやりとりする。

画像クレジット:Fetcher

「Fetcherは、採用における探索と接触の両方を自動化することにより、採用担当者が候補者を探すためにコンピューターの前で費やす時間を削減し、採用担当者の仕事をよりバランスの取れた、戦略的で影響力のあるものにします。その間に、会社のために多様なパイプラインを築くことができます」とブランク氏はフォローアップのメールで書いだ。

同氏はまた、探索を自動化することにより、採用担当者が従来の方法よりもはるかに多様な候補者のプールにアクセスできるようになると語った。たとえば同氏は、ビデオコラボレーションのスタートアップであるFrame.ioが、12カ月以内に11人の新しい従業員を採用する支援をしたというケーススタディを送ってくれた。そのうち、9人は女性やマイノリティだ。

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「Fetcherは時間を解放し、パイプラインをより有機的に多様化する能力を与えてくれました」と、Frame.ioの人材・多様性・公平性・インクルージョン担当のシニアディレクターであるAnna Chalon(アンナ・シャロン)氏は声明で述べた。「これにより2020年、信じられないほどの採用を行うことができました。ほとんどが過小評価されているグループからです」。

ブランク氏は、Fetcherが2020年の7月から売上高を毎月増やしていると付け加えた。採用チームが縮小され、より少ないリソースで多くのことをやらなければならない中で、前述の多様性、公平性、インクルージョンに企業がより重点を置くようになったためだという。

同社はこれまで合計1200万ドル(約13億円)を調達した。シリーズAはG20 Venturesがリードし、KFund、Slow Ventures、Accompliceが参加した。ブランク氏は、年末までに従業員数を2倍にし(現在は80人)、追加の分析ツール(多様性分析を含む)とCRMツールの開発を計画していると述べた。

カテゴリー:HRテック
タグ:Fetcher資金調達

画像クレジット:aa_amie/iStock / Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Nariko Mizoguchi

Fortifyが複合材部品を製造する3Dプリンタの量産に向けて21.8億円のシリーズBを調達

ここ数カ月、アディティブマニュファクチャリング(積層造形、AM)の分野ではかなりの動きがあった。その理由をあえて挙げるとすれば、(筆者が注視している)ロボティクスと同様に、パンデミックに後押しされてこの分野への関心が高まったということだろう。当然のことながら医療分野への応用が注目されており、代替製造にも関心が集まっている。

Desktop Metal、Markforgedそして新規参入のMantelは、それぞれここ数週間で重要な発表を行ったが、今度はFortifyが意義深い資金調達を行った。ボストンを拠点とする同社は米国時間3月18日、2000万ドル(約21億8000万円)のシリーズBエクイティラウンドを発表した。このラウンドはCota Capitalが主導し、それに加えAccel Partners、Neotribe Ventures、Prelude Venturesが参加した。

Fortifyは、材料の堆積において確固たる地位を築こうとしている。独自の光造形(DLP)技術を使い、同社はさまざまな特性を持つ多くの異なる素材を混ぜて印刷することができる。そのリストには、熱的・電磁的特性などの有用な特性が含まれている。

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同社はMantelと同様に、射出成形を含む製造用金型をターゲットにしているようだ。

CEOのJosh Martin(ジョッシュ・マーティン)氏はプレスリリースでこう述べた。「Fortifyは過去1年半以上にわたり、当社の製品と市場機会の実行可能性を証明することに注力し、2020年の初めに設定した目標を超えました。今回のラウンドにより、射出成形金型などの主要な垂直市場における当社の市場参入フットプリントを拡大するとともに、最終用途の電子機器における市場シェアを獲得することができます」。

またここ数カ月の間に、同社は他の企業から3Dプリンティングのベテランを起用している。元Desktop MetalのVP、Paul Dresens(ポール・ドレッセンス)氏がエンジニアリング担当副社長に就任した他、(Stratasysに買収された)GrabCADのマーケティング担当副社長を勤めていたRob Stevens(ロブ・スティーブンス)氏がアドバイザーに就任した。

関連記事:金属3DプリントのMarkforgedがSPAC経由での株式公開計画を発表

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Fortify3Dプリント資金調達

画像クレジット:Fortify

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

ハンガリー生まれのネット詐欺防止プラットフォームSeonが13億円のシリーズAを調達

Seonは、フェイクアカウントなどの詐欺と戦うプラットフォームだ。同社はこのほど、Creandumがリードし、OTP Bankの一部であるPortfoLionが参加したシリーズAのラウンドで1200万ドル(約13億円)を調達した。この投資は、これまでハンガリーで行われたシリーズAの中では相当大きいものとなる。

Seonは詐欺を検出するスタートアップで、顧客の「デジタルフットプリント」から偽のアカウントを見つけて取り除き、偽の取引などの犯行を防ぐ。クライアントにはPatreon、AirFrance、Rivalry、Ladbrokesなどがいる。ローンチは2017年で、同社によると2019年末には黒字になった。ネオバンクやeスポーツ、ゲーム、外為、そしてパンデミックがもたらした急速なデジタル化の中で、仮想通貨の取引などが成長したためだ。

SeonのCEOで共同創業者のTamas Kadar(タマス・カーダー)氏は、声明で次のように述べている。「Creandumが率いる最新の投資ラウンドが完了したことと、Creandumのエキサイティングなテクノロジーポートフォリオに当社が加わったことをとても喜んでいる。私たちは、同じ心を持ち、ともに仕事ができる投資家を見つけたと感じており、今後の密接な協働により、私たちのビジネスのグローバルで有意義な機会を追求し、詐欺との戦いを広く普及させたい」。

CreandumのゼネラルパートナーであるSimon Schmincke(サイモン・シュミンケ)氏は「Creandumで私たちは、サイバー犯罪が21世紀の最も深刻な脅威だと信じている。Seonに私たちが見つけたものは、効果的で安価で柔軟性があり直感的な詐欺撃退ソリューションであり、それは明らかに、そのROIを証明している」と述べている。

PortfoLion Capital PartnersのパートナーであるGábor Pozsonyi(ガーボル・ブラチスラバ)氏は「Seonは基本的に有益なブランドだ。デジタル化の最大のチャレンジに対するソリューションを提供し、そのパートナーのために数億ユーロを救うだけでなく、インターネットを安全な場所にしてくれる」と付け加える。

SeonはEmailageやIovation、Threatmetrixなどと競合しているように思える。しかしながらSeonは、ソーシャルメディアは正当なユーザーとボットやフェイクの詐欺師たちという構造のプロキシであり、同社はソーシャルのアカウントをあくまでも重視して、詐欺師たちの雑草退治をしたいという。

今回の投資ラウンドの一環としてSeonは、株主としての次の投資家たちを取締役会に招聘した。N26の創業者Maximilian Tayenthal(マクシミリアン・タイエンタール)氏とValentin Stalf(バレンティン・スタルフ)氏、SumUpの創業者Stefan Jeschonnek(ステファン・ジェションネック)氏とJan Deepen(ヤン・ディーペン)氏、TideのCEOであるLaurence Krieger(ローレンス・クリーガー)氏、Revolutの元CFOであるPeter O’Higgins(ピーター・オヒギンズ)氏、iZettleの元プロダクト最高責任者Leo Nilsson(レオ・ニルソン)氏、Onfidoの共同創業者Eamon Jubawy(イーモン・ジュバウィ)氏、そしてComplyAdvantageの創業者Charlie Delingpole(チャーリー・デリングポール)氏。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:Seon資金調達ハンガリー

画像クレジット:Seon

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hiroshi Iwatani)

屋内農業向け水質・土壌管理システムを手がけるデンマークのNordetectが約1.6億円調達

屋内農業が拡がりを見せている中、屋内作物の効率と品質の向上を目指して、より優れたデータやモニタリングツールを事業者に提供する新しい企業が続々と誕生している。

そのうちの1つ、コペンハーゲンに本社を置くNordetect(ノルディテクト)は、政府系投資会社やSOSVのような伝統的なアクセラレータから約150万ドル(約1億6300万円)の資金を調達。垂直型農場における養分や水質の監視・管理の方法を改善するという技術を携え、米国市場に参入しようとしている。

温室や倉庫を使った管理農業は、植物が最適な生育条件で育つように、投入物のあらゆる側面を管理できるという利点がある。しかし、単に地面に種を蒔くよりもはるかにコストは高くなる。

このような農業の支持者たちは、水の使用効率を高めたり、農薬や肥料の使用を減らしたり、より品質の高い、美味しい農作物を栽培することで、追加費用を抑えることができると提案している。

そこで登場したのが、Keenan Pinto(キーナン・ピント)氏とPalak Sehgal(パラック・セーガル)氏によるNordetectだ。共同設立者の2人は、8年前にインドで大学生だった頃からの知り合いだ。2人は修士課程で一緒に学び、セーガル氏が植物の開花システム、ピント氏は根を専門に、植物のバイオエンジニアリングに取り組んだ後、2人はよりデジタルな分野に進んだ。だが、植物への強い興味は変わらず、お互いに連絡を取り合っていた。

セーガル氏は医療診断、ピント氏は研究機器の開発という専門的な仕事に従事し、2人とも多忙な日々を送っていたが、植物科学と土壌の健康に関する議論は続けていた。

約3年前、2人は水質監視と土壌の健康管理を組み合わせたツールキットのアイデアを思いついた。セーガル氏はそれまで勤めていたインド工科大学を辞め、コペンハーゲンでピント氏と合流し、Nordetectの事業案の核となる技術の開発を始めた。

同社の技術は、分析装置とカートリッジで構成されている。カートリッジとは、マイクロ流体チップのことで、ユーザーがこれを水槽に挿入してサンプルを採取する。この装置が収集したデータをもとに、農場主は水に入れる栄養素をコントロールして、色や味などの形質を最適化することができると、ピント氏は語っている。

画像クレジット:Shutterstock/Francesco83

Nordetectは2017年にSOSVのアクセラレーター「HAX(ハックス)」に受け入れられ、今回が初めての起業となる2人の創業者は、デンマークから深センに移って事業の開発を始めた。2018年末、同社はデンマークに戻り、SOSVとRockstart(ロックスタート)から少量の追加資本を調達した。

2020年になると、同社は垂直農法が拡大している状況を見て、当初は土壌モニタリングツールだったものに水質モニタリング機能を追加して、屋内農業をサポートするようにした。そこからビジネスが軌道に乗り始めたと、ピント氏はいう。

「興味深いのは、屋外と屋内の市場を比較したときのことです。屋外では少々保守的に感じられましたが、屋内はもっと積極的な印象を受けました。この牽引力のおかげで、今回の資金調達ラウンドでは150万ドルを集めることができました」と、ピント氏は語っている。

今回のラウンドには、Rockstart、Preseed Ventures(プレシード・ベンチャーズ)、SOSV、デンマーク政府の成長基金、そしてニューヨーク州ロチェスターの光エレクトロニクス技術に特化したアクセラレータであるLuminate(ルミネイト)が参加した。

Luminateの参加は、Nordetectが米国に進出する理由の1つだが、それだけではない。同国には、室内農業の企業に資金を提供する資本もある。米国で最大の垂直農法企業であるPlenty(プレンティ)とBowery Farming(バワリー・ファーミング)は、それぞれ5億4100万ドル(約589億円)と1億6700万ドル(約182億円)を調達している。

「垂直農法は、データファーマーズと呼ばれる人々を生み出しています」と、ピント氏はいう。「そこでは、生産物の各束は学習のために使われており、出力よりもデータの方が重要です。私たちはこの市場を足がかりとして利用しました」。

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カテゴリー:バイオテック
タグ:Nordetect農業資金調達

画像クレジット:Bowery Farming Inc. under a license.

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

リモートでの動画制作をシンプルにするOpenReelが20.7億円調達

OpenReelは、リモートで簡単に動画を記録できるというスタートアップだ。同社はこのほど、シリーズAで1900万ドル(約20億7000万円)を調達した。

CEOのLee Firestone(リー・ファイアストーン)氏とCTOのJoe Mathew(ジョー・マシュー)氏は最初、動画の代理店を始めたが、リモートでの制作を含む大きな仕事を任されると、既存のソリューションでは満足できず、結局、自分たちでその技術を作ろうという結論になり、開発に1年あまりを費やした。

もちろん、リモートのビデオプロダクションはすでにいろいろ存在しており、それぞれが独自のやり方で仕事をしていた。特に2020年、彼らは忙しかった。TechCrunchでも、カメラやライトをライターへ送り、その後、トラブルシューティングで大量の会話をする羽目になった。

しかしOpenReeの「リモートカメラ」技術は、そんな作業を大幅に単純化してくれる。さらにプロダクションのメンバーに、細かいコントロールができる。同社ソフトウェアを使うとリモートのディレクターが現場のウェブカメラやモバイルデバイスをコントロールすることが可能で、リアルタイムの音声とカメラはそれぞれ最大4人を配置できる。4K画質も可能なその動画はローカルに保存でき、撮影後に自動的にアップロードされる。テレプロンプターといった周辺機能もサポートしている。

「私たちの顧客に聞いてみるとわかりますが、彼らが自分でやると、いろいろな技術を自分たちで組み合わることになり、現場へ送るかどうかも自分で決めなければなりません。それがすべてうまくいったとしても、自分たちと相手で同じクオリティとシームレスなエクスペリエンスを揃えることができません」とファイアストーン氏はいう。

当然ながら、2020年には需要が急増。これまで1年に数千本の動画撮影をサポートしたが、その数は10倍か20倍になってしまったとファイアストーン氏はいう。

事実、OpenReeによるとDell、HubSpot、ViacomCBSそしてTechCrunchの親会社Verizon Mediaなどのクライアントが、マーケティングビデオ、社内コミュニケーション、顧客の証言などを記録するためにこの1年間で、年間経常収益は12倍に増加したという。200社以上のエンタープライズクライアントに加え、同社は「数百社」のSMB(中小企業)のお客様を抱えている。

「これらの組織では、コンテンツに対する潜在的な需要があります。私たちのテクノロジーは【略】そのロックを解除した」とファイアストーン氏はいう。また、パンデミック後には、対面での撮影がより安全になるとは考えていないとのこと。

シリーズAはFive Elms Capitalからのもので、これによりOpenReelの調達額は、融資も含めて2390万ドル(約26億円)になる。今回の資金は、メディアへの録画だけでなく、ライブストリーミングするといった新機能の開発に使いたいという。2020年はグローバル化も努め、125カ国でローンチしたが、このグローバルでの成長は今後も続けたいとのことだ。

Five ElmsのThomas Kershisnik(トーマス・ケルシスニック)氏は声明で「Five Elmsは、古いやり方を変えることにチャレンジしている企業を好んでいる。OpenReelは、まさにそれだ。同社はリモートテクノロジースタックの重要な一部であることを自ら実証し、多様なコンテンツ創作ツールを収めたツールボックスの中でも必須のツールとして、エンタープライズのコンテンツを強化し、さらに多くを作れるようにする」と語る。

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カテゴリー:その他
タグ:OpenReel資金調達動画撮影

画像クレジット:OpenReel

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)

マネジメントツールとトレーニングを組み合わせたプラットフォームRising Teamが約3.3億円のシード資金調達

Jennifer Dulski(ジェニファー・ダルスキー)氏はChange.orgの社長兼COOからGoogleのショッピングと製品広告の責任者、Facebookグループ担当チーム責任者と、リーダーシップのポジションを経験してきた。

ほとんどのマネージャーが痛いほど知ることになる問題に、同氏も気づいた。優れたマネージャーになるためのトレーニングとツールが不足しているという問題だ。

そこで同氏はRising Teamを設立した。米国時間3月16日、同社はシードラウンドで300万ドル(約3億3000万円)を調達したと発表した。このラウンドを主導したのはFemale Founders Fundで、Peterson Ventures、Burst Capital、Xoogler Ventures、500 Startups、Roble Ventures、Supernode Venturesとエンジェル数名が参加した。

ダルスキー氏は、GallupやGlintのアンケートのようなマネージャー向けのツールは存在し、エグゼクティブコーチなどトレーニングの選択肢も存在すると説明する。しかしこの2つを組み合わせたものは少ない。

同氏はこう語る。「私はラッキーなことにエグゼクティブコーチをつけたりトレーニングに参加したりする機会を得ることができ、釣りの仕方を教えてもらったと思いました。しかしその後、釣りざおも餌も持たずに湖畔に放り出されたかのように感じました。良いリーダーになる方法はすべて学びましたが、学んだことを実践するツールを持っていなかったからです」。

Rising Teamはマネージャーがチームを刺激し、編成し、最終的には効果的に率いるためのツールとトレーニングを組み合わせたプラットフォームだ。

このプラットフォームの1つ目のレイヤーはツールスイートで、独自の評価や1対1のテンプレートが含まれる。従業員アンケートはたいてい実際の業務に相当重きを置いていて、従業員が最適な仕事ができるのはどこかについての質問が並んでいる。Rising Teamでは、評価はチームメンバーが自分をどのように見られたいと思っているか、自分の能力やスキルをどのように考えているかなど、個人に注目するように調整されている。

これによりマネージャーはどのようにチームメンバーを組み合わせるか、どのタスクを割り当てるかを考え、一人ひとりの仕事のモチベーションをしっかり理解することができる。このような評価ツールの他に、Rising Teamでは動画、記事、オーディオ形式のトレーニングも提供している。将来的には評価から得たデータをもとにAIでカスタマイズしたトレーニングのヒントも追加する予定だ。

Rising Teamはマネージャー同士が交流するコミュニティも作っている。

同社が収益に関してボトムアップのアプローチをとろうとしていることは興味深い。マネージャーが個人的にソフトウェアを購入できるような価格にして、そこから他のメンバーに広がっていくことを狙っている。ただし組織が全従業員分を購入することもできる。

今のところRising Teamは無料のベータ版で、価格はまだ発表されていない。

Rising Teamのスタッフは現在8人で、60%が女性、50%がBIPOC(black, indigenous and people of color、黒人、先住民、有色人種)だ。

ダルスキー氏は「我々が最初から多様性のあるチームとなったことは、私にとってもチームにとっても本当に重要なことです。私は強くそう信じていますし、多様性のあるチームほど成功することはあらゆるデータから明らかです」と語った。

カテゴリー:HRテック
タグ:Rising Team資金調達人材マネジメント

画像クレジット:Rising Team

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(文:Jordan Crook、翻訳:Kaori Koyama)

仕事用アプリをコマンドやショートカットで使いやすくするSlapdashが約4億円を調達

コロナ禍がテクノロジーに与えた最も顕著な影響の1つは、リモートワークが急激に広がって生産性ソフトウェアが爆発的に使われるようになったことだ。しかしいくつもの新しいソフトウェアの使い方を学び、どのデータがどこで公開されているかを把握しなくてはならないため、働く人の生産性にとっては逆効果になっていることもあるだろう。カレンダーを操作し、情報を表示し、リンクをクリックしてブラウザを開き、そこからネイティブアプリにリダイレクトされて、Zoomの通話が開くといったよくあるタスクは当たり前になっているかもしれない。

Slapdashはユーザーがクラウドアプリで公開されているデータを見つけたりアクションを実行したりする1つ1つの作業にかかる時間を秒単位で削り、パフォーマンスを最大にしたいという欲求を実現させようとする製品で、仕事用ソフトウェアの世界で新しいニッチを開拓しようとしている。リモートワークの急増で台頭してきた統合重視のソフトウェアはほとんど、SaaSアプリが錯綜する中でワークフローの可視化や見た目の整理に重点を置いている。Slapdash創業者のIvan Kanevski(イワン・カネフスキー)氏は、エンジニアがすばやく情報にたどり着けるようにするツールを作って、テックワーカーがこのツールをワークフローに統合することを期待している。

SlapdashはTechCrunchに対し、シードラウンドでS28 Capital、Quiet Capital、Quarry Ventures、UP2398、Twenty Two Venturesから370万ドル(約4億300万円)を調達したと述べた。このラウンドに参加したエンジェルにはPatreon、Docker、Zyngaなどの共同創業者がいる。

画像クレジット:Slapdash

カネフスキー氏は、低レイテンシーのコマンドラインインターフェイスによる操作を推進したSuperhumanのような人気アプリの成功と肩を並べることを目指すと同時に、Facebookなどの企業で用いられている洗練された社内向けツールのようにもしたいと語った。同氏はFacebookで6年近くソフトウェアエンジニアとして働いていた。

Slapdashのコマンドラインウィジェットは、インストール後にどこにでも表示することができ、すばやく操作できるキーボードショートカットも表示される。ここからSlackやZoom、Jiraなどおよそ20種類のインデックス化されたアプリの項目を探せる。コマンドラインの利用に加え、デスクトップアプリのファイルやアクションをまとめるフォルダを作ったり、タスクをすぐにこなせるようにオリジナルのキーボードショートカットを設定したりすることもできる。このアプリはMac、Windows、Linux、ウェブブラウザーで利用できる。

カネフスキー氏は「我々はSlapdashに接続するアプリにとって代わろうとしているわけではありません。我々がドキュメント編集やプロジェクト管理のツールを作っているようには見えないでしょう。中立的なプラットフォームであることが我々の哲学だからです」と語る。

同社は、ユーザーが無料で最大5つのアプリをインデックス化し、最大10のコマンドとスペースを作れるようにしている。それ以上が必要なら月額12ドル(約1300円)の有料プランに移行する。エンタープライズには価格設定をカスタマイズするようだ。同社はこのツールをスタートアップにとって欠かせないものにしたいと考えており、カネフスキー氏も個人ユーザーにとってこのアプリは有用性が大きくスケールアップする上での明らかな資産であると見ている。

同氏は「規模の大きい組織にソフトウェアを展開するとしたら、使う人たちに喜んでもらいたいと考えるでしょう。我々はそのような個々の小さなレベルでも楽しくて役に立つものを作っている自信が大いにあります」と述べた。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Slapdash資金調達ワークフロー

画像クレジット:Slapdash

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(文:Lucas Matney、翻訳:Kaori Koyama)

コンピューター技術者を目指す若者にまずは学位を取らせるEdTech「Edge Pathways」

4年前、起業家Dan Sommer(ダン・ソマー)氏はTrilogy Education(トリロジー・エデュケーション)を創設し、大学と協力して最新技術の職業訓練をオンラインで個人指導する、大人向けの教育の場を作るという大きな賭けに出た。

2019年、ソマー氏はその企業を2U(トゥーユー)に7億5000万ドル(約820億円)で売却し、今日に至るまで最大のEdTech系エグジットを果たした。そして米国時間3月18日、ソマー氏はベンチャー投資に支援された新たな教育系スタートアップをローンチした。今回は、もう少し早い教育段階からスタートする。つまり高校だ。

Edge Pathways(エッジ・パスウェイズ)というこのスタートアップは、大学と協力して、エンジニアを目指す若者に、難解で、ときに怖じ気づきそうになる科学、技術、教育分野への入口へ導き、大学の1年間修了時の単位を授与する。本日のサービス開始にともないEdge Pathwaysは800万ドル(約8億7000万円)のシード投資を調達したことも発表した。このラウンドは、First Round Capital、Emerge Education、Rethink Education、2Uが主導した。First Round CapitalのBill Trenchard(ビル・トレンチャード)氏は、Edge Pathwayの取締役会に参加することになっている。

ソマー氏の新スタートアップは、すでに企業に雇用され技術を磨いているコンピューター技術者ではなく、コンピューター技術者を目指す若者に、まずは学位を取らせることを目的としている。同氏の2つのスタートアップの違いを尋ねると、突き詰めるなら、学生のサポートを後押しし、最終的に成功に結び付けることが支援者の役割であるの、1つの知見だと彼は答えた。

「この2年間、数多くの企業が才能ある学生を旧式の工学教室に集めようとしてきました」とソマー氏。「もっと早い段階からスタートすることでスキルギャップを解消し、まだ多感で、学習意欲と新しい進路への関心が高い若者たちを多く集められるようになります」。

Edge Pathwaysは、大学の最初の1年間に相当するプログラムと単位を提供してもらえるよう、大学に協力する。Drexel(ドレクセル)やNortheastern(ノースイースタン)の協同プログラムを参考にしたEdge Pathwaysは、旧来の講義中心の教育に代えて、プロジェクトベースの学習とインターンシップの機会に学生を結びつける。つまり同スタートアップは、工学を学びたい若者に扉を開きたい大学のためのサービスプロバイダーということになる。

Edge Pathwaysは、実際に単位が取得できるため、大学の体験入学とは違う。極めて重要な利害関係者である大学に満足感を持ち続けてもらうために、同スタートアップは、プログラムに参加できる学生の選考を大学側に任せることにしている。また、プログラムのカリキュラムも、大学職員を交えて組み立てる。Edge Pathwaysの役割は、プログラムの実施と日々のサポートに限られる。

最初の1年を修了した後も、同社は学生の寄り添い、在学中を通して、指導や就職活動の支援を行う。

このプログラム受講料は1万5000ドル(約160万円)。州内在出身者が減免される学費よりも、わずかに安い。数々の調査が示しているように、STEM(理数工系)学生は、専攻を変えたり、退学してしまったりで脱落者の比率が多い。これでは、エンジニアを求める350万件ほどもある雇用口が満たされないと、ソマー氏はTechCrunchに話した。

Edge Pathwaysの最大の課題は、顧客とのプロダクトマーケットフィットだ。大学と手を組んでカリキュラムを作っているが、それが学生の要望や必要性に適合することが必須だ。そこでの重要な判断は、エンドユーザー抜きに決めるわけにはいかない。当然ながら、ソマー氏は自身の取り組みに自信を見せている。

「非常に多くの学生たちが、特に今の時代、教室で習ったことが外の世界でどう役に立つか、その関連性を見いだせずにいます」と彼は話す。「そのつながりを作るのは大変な作業であるため、大学でそのギャップを埋めてもらうための支援をするモデルを、私たちは開発しました」。

もう1つ、Edge Pathwaysの前に立ちはだかっている大きな課題は、協力者となる大学探しだ。ソマー氏は、最初のパートナーがどの大学になるかの明言は避けたが「じきに」発表するとのこと。特にソマー氏は、当初の提携大学は編入可能な大学になると考えている。理数工系学部で学ぶ学生の4割が編入生だからだ。

「今では大変に多くの大学が、学生の編入に力を入れています」と彼はいう。「こうした猛勉強を要する難しい専攻科目を修了できるよう学生たちを支え、やる気を出すことの意味を与えたい」とEdge Pathwaysは願っている。

野心的な大事業だが、時代遅れの教育方法を自ら淘汰することで、Edge Pathwaysが学生たちに提供する理数工の世界での活躍の機会が、大きく際立つことになるだろう。

カテゴリー:EdTech
タグ:Edge Pathways資金調達STEM教育

画像クレジット:smolaw11 / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:金井哲夫)

ここ数週間で爆発的な人気のNFTのマーケットプレイスOpenSeaがA16Zから約25億円調達

OpenSeaは、ブロックチェーン上の非代替性トークン(Non-Fungible Token、NFT)の取引にコレクターが殺到する中、ここ数週間で爆発的な人気を集めた数少ないNFTマーケットプレイスの1つだ。新しいスタートアップが毎日出現している一方で、暗号化の初期にローンチされたプラットフォームは、暗号資産やトークンに対する興奮の波が、それ以前のものとは大きく異なっていると捉えている投資家たちから大きな注目を集めている。

米国時間3月18日、OpenSeaはAndreessen Horowitz(A16Z)がリードする2300万ドル(約25億円)のラウンドを完了したことを発表した。参加したのはNaval Ravikant(ネイバル・ラヴィカント)氏やMark Cuban(マーク・キューバン)氏、Alexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏、Dylan Field(ディラン・フィールド)氏、Linda Xie(リンダ・シェ)氏といったおなじみのエンジェルたちだ。

OpenSeaは2017年にローンチし、その数カ月後にFounders Fundと数社の仮想通貨関連企業からの200万ドル(約2億2000万円)のラウンドを発表した。当時はEthereumの主な商材といえばCryptoKitties(クリプトキティ)ぐらいで、初期のNFTプロジェクトは、熱心だが何よりも好奇心旺盛なコミュニティに徐々に受け入れられつつあった。

それから5年も経たない2021年の現在、確かにNFTの時代が訪れたようだ。関心の大半は、高額な美術作品のオークションや、NFTに関するElon Musk(イーロン・マスク)氏のツイートに集まっているが、NFTの支持者たちはコンテンツ作成とインターネット上での影響力の経済を大きく揺るがすトークンの未来を見ている。そしてこのブームには、数カ月にもわたる仮想通貨そのものの揺り戻しがともない、EthereumとBitcoinは過去の最高値の数倍にもなった。

デジタルグッズ市場の大きな拡大は、大手ゲーム企業やメディア大手の今後の採用如何にかかっているのかもしれないが、早くからある期待は、デジタルファーストのクリエイターがこれらのマーケットプレイスを利用してファンとダイレクトに結びつき、現在、彼らが依存している大企業プラットフォームをバイパスできることだ。

しかしながら、この技術開発には初期的な問題がいくつかある。今、Ethereumは、それまでのエネルギー集約的な仕事量中心のスタンダードから、もっと効率的な市場価値中心のスタンダードへ移行しようとしているが、現在の構造は効率にはほど遠く、気候変動の問題などをめぐって初期のNFTアーチストたちの嫌気がさしている。暗号トークンの経済主体は、何らかの経済的価値を証明する前に、環境問題を心配しなければならないのか。2021年2月にOpenSeaは、もっと効率の良いTezosベースのNFTのサポートを発表した

OpenSeaのようなマーケットプレイスにとって、さらに雲をつかむような課題は、投機のノイズを切り裂いて前進し、アート作品などを実際に所有するために手に入れるユーザーのマーケットプレイスになっていくことだろう。しかしデジタルグッズそのものの購入に使われているデジタル通貨の成長のペースが、首の骨を折りそうなほどの危険な速さであるため、それも難しい課題だ。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:OpenSea資金調達NFTAndreessen Horowitz

画像クレジット:Diane Keough/Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ロボット安全ソフトやサイバーセキュリティ対策に力を入れるFortが14.2億円を調達

米国時間3月18日、Fort Robotics(フォート・ロボティクス)は1300万ドル(約14億2000万円)の資金調達を発表した。リードしたのはPrime Movers Labで、他にPrologis Ventures、Quiet Capital、Lomnos Labs、Creative Ventures、Ahoy Capital、Compound、FundersClub、およびMark Cuban(マーク・キューバン)氏が出資した。

ペンシルベニア州フィラデルフィア拠点の同社は2018年、以前Humanistic Roboticsを率いていたSamuel Reeves(サミュエル・リーブス)氏が設立した。同じペンシルベニア州のHumanistic Roboticsは、地雷およびIED(即席爆発装置)除去のリモート制御ロボティクスシステムに焦点を当てていた。

新しい会社は、協働ロボットやその他の自律システムの安全ソフトウェアに力を入れている。他に同社が取り組んでいるのは、こうした作業現場ロボティクスのサイバーセキュリティ脆弱性だ。広範囲なシステム障害や潜在的人的エラーも対象にしている。

現在、同社には倉庫内梱包から製造、配送、輸送までさまざまなカテゴリーにわたる100社以上の顧客がいる。

「世界はモバイルオートメーションにおける新たな産業革命を間近に控えています」とリーブス氏はリリース文で語る。「今回の追加投資とさまざまな支援を受けることで、私たちは急速に会社を拡大し、トレンドと機会の交わりを活かして、ロボティックシステムがあらゆる業界で安全に使われるよう尽力します」。

過去1年間で、ロボティクスを巡ってちょっとした投資ブームが起こった。パンデミック下でオートメーションへの関心が高まったためだ。ロボティクスの中でもかなり広い範囲の分野をターゲットとするソリューションを提供するFortは、良い位置につけている。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Fort Robotics資金調達

画像クレジット:Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

企業のセキュリティリスクを評価するSecurityScorecardがシリーズEで約196億円を調達

SecurityScorecardは2014年から、多方面からの格づけを提供して企業がベンダーのセキュリティリスクを把握できるようにしている。米国時間3月18日、同社は1億8000万ドル(約196億2000万円)のシリーズEを発表した。

このラウンドには新たな投資家としてSilver Lake Waterman、T. Rowe Price、Kayne Anderson Rudnick、Fitch Ventureが加わり、これまでに投資していたEvolution Equity Partners、Accomplice、Riverwood Capital、Intel Capital、NGP Capital、AXA Venture Partners、GV(Google Ventures)、Boldstart Venturesも参加した。SecurityScorecardはこれまでの調達金額が2億9000万ドル(約316億1000万円)になったと発表した。

SecurityScorecardの共同創業者でCEOのAleksandr Yampolskiy(アレクサンドル・ヤンポルスキー)氏は、同社のミッションは創業以来変わっていないという。同氏は筆者に対し「私がCISO(最高情報セキュリティ責任者)やCTOだった頃に自由に使える評価基準がないことに気づいて会社を始めました。私が投資したソリューションはいずれも、業界全体と比較して私のやっていることはどうなのか、ベンダーやサプライヤーは私と比較してどのようにやっているのか、まったく見当もつかないものでした」と述べた。

ヤンポルスキー氏と共同創業者でCOOのSam Kassoumeh(サム・カソメ)氏は、この問題を住宅ローンの書類を見てもクレジットスコアを確認できない銀行員に例える。同社はさまざまな企業についてセキュリティの状態を採点し、学校の成績のようにA〜Fで格づけして、この状況を変えた。

現在、全世界の200万社以上についてこの格づけがあり、企業は自社が使っているベンダーのセキュリティを調べることができる。データがまだない新しい企業も5分以内に採点できるとヤンポルスキー氏はいう。どの企業も無料で自社のスコアカードを見ることができ、スコアを上げるためのアドバイスも得られる。

ヤンポルスキー氏は、SolarWindsの悲惨なハッキングはSecurityScorecardの採点システムからすれば完全に予測可能だったと指摘する。「SolarWindsのスコアは長いこと業界の平均を下回っていたので、この事態には特に驚きはありませんでした」(同氏)。

業界の平均は85点程度、格づけでは「信頼できる、B」だが、SolarWindsは長期にわたって70点でCだった。これはSolarWindsのセキュリティの状態が疑わしいことを示していると同氏は報告した。

ヤンポルスキー氏はバリュエーション、収益、成長に関する数字のいずれについても語ろうとしなかったが、同社の顧客は全世界で1万7000社で、世界の製薬企業トップ10のうち7社が同社を利用していると述べた。

SecurityScorecardは上場前の非公開の資金調達としては最後になりそうな段階に達しているが、同氏は時期を明言せず、今後2、3年のうちにそうなるかもしれないと語った。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:SecurityScorecard資金調達

画像クレジット:SecurityScorecard

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(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

サイバーセキュリティのコンプライアンスを簡素化するSecureframeがシリーズAで約20億円調達

セキュリティコンプライアンスは話題性に欠けるかもしれないが、企業が自社のセキュリティ対策が適切に行われていることを示すために、毎年実施しなければならない重要かつ過酷なプロセスだ。新興企業の場合は他の企業よりも負担が大きいため、より良い方法を見つけようとするのは当然だろう。

そこで登場したのが、Shrav MehtaとNatasja Nielsenが設立したセキュリティコンプライアンスのスタートアップのSecureframeだ。

同社は2020年1月の設立から1年も経たないうちに、シリーズAで1800万ドル(約20億円)を調達したと発表した。このラウンドはKleiner Perkins社が主導し、450万ドル(約4億9000万円)のシードラウンドを主導したGradient VenturesとBase10 Partnersが参加している。

SecureFrameは多くの企業がビジネスを行う前に必要とする、SOC 2とISO 27001という2つの主要なサイバーセキュリティ認証の維持を支援する。SecureFrameのコンプライアンスプラットフォームは、最もよく利用されている数十のクラウドプロバイダやアプリケーションと統合して、顧客のセキュリティ体制を把握する。同社によるとそのメリットは、企業が認証を取得し、数カ月ではなく数週間でコンプライアンスを達成できることだ。

Secureframeの協同創業者でCEOのShrav Mehta(シュレーブ・メータ)氏がTechCrunchに語ったところによると、同社はこの半年だけ収益が十倍に伸び、ソフトウェアハウスのHasuraや2020年夏のバッチでY Combinatorを卒業したOmniなど、100社以上の新規顧客を獲得し成果を上げているという。

メータ氏によると、今回の新たな資金調達によりSecureframeは2つの認証に止まらず、HIPAAのような米国の医療プライバシー規則や、安全なカード処理のためのPCIコンプライアンスといった、エンタープライズレベルのリスクおよびコンプライアンス管理プラットフォームへと成長することができるという。

メータ氏はまた、長期的にはSecureframeが独自のコンプライアンス認定を設計し、提供することを望んでいると述べた。

Kleiner PerkinsのJosh Coyne(ジョシュ・コイン)氏は声明の中で、Secureframeはセキュリティコンプライアンスを近代化する取り組みをリードしていると述べた。「Secureframeはコンプライアンス認定をエンド・ツー・エンドで自動化し、業務上のコンプライアンスを実現するための信頼できる唯一の情報源として機能することで、業界の常識を覆しています」。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:Secureframe資金調達

画像クレジット:Geber86 / Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:塚本直樹 / Twitter

ウェブの変更をスキャンするVisualpingが2.2億円を調達、ワクチン接種状況なども検出可能

バンクーバーで起業し、トロント証券取引所に小さな会社を公開したSerge Salager(セルジュ・サラガー)氏は、数年前その会社を買いたいという大金持ちの買い手に声をかけられた。うれしく思う反面、この買い手が他には誰と交渉しているのか気になって、サラガー氏は、買収の可能性がある他のターゲットについての価格や機能の変更情報や求人情報などのニュースを、ウェブ上で夢中になって探した。

サラガー氏の懸念は正しかった。その買い手はライバル会社を買収したのだ。だが良いこともあった。このことでサラガー氏は新しいビジネスアイデアを思いついたのだ。それは、ウェブを横断して変更された情報を追跡するために、既存のものよりもはるかに優れたサービスを作ることだった。

こうしてVisualping(ビジュアルピング)が誕生した。16人の従業員を抱える6歳のこの会社は、インターネット全体の変更をモニタリングしている。現在150万人のユーザーを獲得しているが、そのうちの何割か(数字は非公開)のユーザーは、フォローしているウェブページやキーワードの数に応じて、毎月のサブスクリプションフィーを支払っている(1日2回までの検索は無料、最多で1日667回までの検索は月額97ドル、約1万600円がユーザーに課金される)。

ジャーナリストたちには、取材対象となる人物や企業を追跡するのに役立つサービスとして好評だ。法律事務所は、変化する規制やその他の情報を把握するためにこのツールを利用している。また、Apple(アップル)の従業員は、会社に対してどこで何が言われているかを把握するために使っている。

ユースケースはほぼ無限にあるが、Visualpingの持つ優位性は、その明らかな使いやすさにある。ユーザーが、監視したいページや、ページの一部のスクリーンショットやキーワードを指定するだけで、サイトが変更されたり、どこかにキーワードが出現したことを、Visualpingがメールで知らせてくれる。

Visualpingはブラウザの拡張機能を提供しており、今夏にはモバイルアプリもリリースする予定だという。そのVisualpingもまた、パンデミックの恩恵を受けている企業だ。実際、Rite Aid(ライト・エイド)やCVSのような企業のサイトを延々と更新し続ける代わりに、Visualpingを使って新型コロナウイルスの予防接種の実施状況を確認する人が増えている。これは最近このスタートアップをWSJ、CNBC、Fox Newsなどが取り上げたことが大きい。

一方、他のデータ企業と同様に、Visualpingはユーザー求めに従って生成している情報に機械学習を適用することで、常に賢くなり続けているとサラガー氏は主張する。例えばあるページのバナー広告が変更されたときにはアラートを出すことはないし、またユーザーが大幅な価格変更を追跡している場合には、Visualpingはその価格変更が一定の閾値を満たすまでは、アラートの送信を控えることができる。

もちろん、データにはプライバシーの問題がつきものだが、この点についてサラガー氏は、Visualpingはデータ保護とプライバシーに関するEUの法律であるGDPRに完全に準拠していると主張している。

サラガー氏はまた、将来的にはGoogleのように顧客の検索傾向に基づいてターゲット広告を提供することも考えられるが、Visualpingを知ってもらえる企業が増えてきたこともあるので、現在は新たな エンタープライズ製品の構築に全力を注いでいるという。このビジョンは投資家たちにも支持されていており、サラガー氏は、Visualpingが2020年12月にカナダのファンドであるMistral Ventures、そしてN49PとAngelListシンジケートから200万ドル(約2億2000万円)のシード資金を獲得したことを初めて公にした。

これは莫大な資金ではないが、Visualpingが生み出している収益を考えれば、今後2年間を乗り切るのに十分な資金だと彼はいう。ではそのあとは?私たちはサラガー氏に、将来的な提携を考えているかどうか、また、前の会社で起きたことを踏まえて、買収交渉に応じるかどうかを聞いてみた。

彼はどちらの質問にも率直に「はい」と答えた。彼はVisualpingが「Dropbox(ドロップボックス)のような公開企業になる」というシナリオもあるが(Dropboxも消費者向けのサービスを提供していたが、後にビジネス向けのサービスを拡大した)、もう1つ考えられるのは「Googleへの統合です」と付け加える。「私たちの製品はGoogle Alerts(グーグル・アラート)とは非常に相性が良いと思っていますので、Googleによる買収も狙い所の1つかもしれません」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Visualping資金調達カナダ検索

画像クレジット:Visualping

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(文:Connie Loizos、翻訳:sako)

ブランドのeコマース市場進出をサポートするテルアビブのCymbioが7.6億円調達

テルアビブで「ブランドと小売業者を結びつける」サービスを提供するCymbioが米国時間3月17日、シリーズAで700万ドル(約7億6000万円)を調達したことを発表した。

CEOのRoy Avidor(ロイ・アビドール)氏は、Mor Lavi(モル・ラヴィ)氏やGilad Zirkel(ギラッド・ジルケル)氏らとともに同社を創業した。アビドール氏によるとそのプラットフォームは、ブランドが自らの製品を自分が売りたいeコマースで売れるようにするという。通常、新市場の開拓には、eコマース店の設営にいくらかかるか?どれだけの売上が見込めるか?十分な利益が得られるか?など費用対効果分析が必要だ。しかしアビドール氏によると、Cymbioはその過程を楽にし、統合も瞬時に行える。

このプラットフォームは、複数のマーケットプレイス間の違いにも自動的に対応する。製品分類の分類規格はどのようなものを使っているか、製品の画像の背景色は決まっているか、在庫の同期や追跡や返品はできるか、などなど。またドロップシッピングができるので、マーケットプレイスではなくブランド自身がプロダクトを発送し、それにより顧客の氏名や住所にアクセスできるようになる。

アビドール氏によると、「顧客がいる場所にいる必要がある」を認識するブランドが増えているという。すべてのマーケットプレイスで販売するわけではないが、Cymbioでは時間とお金よりも「ブランドの認知度と認知度」が主な制限事項となっている。

Cymbioの創業者たち(画像クレジット:Cymbio)

2020年にはCymbioの顧客数は12倍に増え、現在ではSteve Madden、Marchesa、Camper、Micro Kickboardなどが含まれていると同社は述べている。また同社によると、新マーケットプレイスのローンチまでの時間は91%短縮され、平均的な顧客のデジタル収入は65%増加するという。

アビドール氏によると、シリーズAは主に営業とマーケティングの拡張に投じ、またプロダクトの開発も継続するとのこと。また、チームは「誰もが何にでもすぐに接続でき、開発者を必要としないコード不要の統合」に取り組んでいるという。

この新たな投資をリードしたのはVertex Venturesで、これにUdian Investmentsと、Payoneerの創業者Yuval Tal(ユヴァル・タル)氏、そしてSapiensの共同創業者Ron Zuckerman(ロン・ズッカーマン)氏が参加した。

Vertex Ventures IsraelのゼネラルパートナーであるEmanuel Timor(エマニュエル・ティモール)氏は、Cymbioについて声明で「Cymbioの技術はオンラインで販売されているブランドにとって根本的なゲームチェンジャーになり、長時間かかる面倒な(各eコマースサイトとの)統合を過去のものにしてくれる」と語っている。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Cymbioeコマース資金調達

画像クレジット:Kmatta/Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)

暗号資産インフラプロバイダーのFireblocksがシリーズCで約145億円を調達、BNYメロンも出資

Fireblocks(ファイアブロックス)は、CoatueRibbitStripesが主導するシリーズCラウンドで1億3300万ドル(約145億円)を調達した。同社は、デジタル資産の保管、送金、発行を可能にする複数の製品を提供している。同社は特に機関投資家にカストディを提供しており、現在4000億ドル(約43兆6000億円)相当の仮想通貨を保管している。

米国時間3月18日に発表された資金調達ラウンドには、BNY Mellon(バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、BNYメロン)とSilicon Valley Bank(SVB)も参加した。既存投資家のParadigm、Galaxy Digital、Swisscom Ventures、Tenaya Capital、そしてCyberstarts Venturesも続けて出資した。

Fireblocksは、設立してから総額1億7900万ドル(約195億円)を調達している。同社によると評価額はまだ10億ドル(約1090億円)に達しておらず、まだユニコーンではないが、そう遠い話ではないとのこと。

このスタートアップは、消費者向けの製品は提供していない。その代わりに、銀行やフィンテック・スタートアップ、その他の金融機関に製品を販売している。金利が0%に近い状態がここしばらく続いているため、金融機関は仮想通貨を保管し、バランスシートを多様化するためのソリューションを求めている。

それをセキュアに実現してくれるのがFireblocksだ。同社では、秘密鍵の取り扱いにマルチパーティ計算(multi-party computation、MPC)を採用している。ウォレットを作成すると、暗号化された秘密がユーザーのデバイスとサーバー上で生成される。トランザクションを開始する際には、複数の秘密が使用され、完全な公開鍵と秘密鍵が生成される。こうすることで、単一障害点がないようにしている。

また、同社は流動性資産パートナーのネットワークも構築している。30の取引所と直接接続し、そこから送金を開始することができます。そのため、店頭のトレーディングデスクやマーケットメーカーも、複数の取引所にまたがる取引の決済にFireBlockを利用している。

Fireblocksでは、トークンの発行や管理を行うことも可能だ。これは不換通貨を裏付けとし、時間が経っても不換通貨との交換レートが変動しないトークンである、ステーブルコイン(Stablecoin)を発行したい場合に特に有用だ。また、複数のブロックチェーンで機能する。

StakedBlockdaemonとの統合により、Ethereum 2.0(イーサリアム2.0、Eth2)、Polkadot(ポルカドット、DOT)、Tezos(テゾス、XTZ)でステーキングリワードを得ることができる。DeFi APIがあるので、最も興味深いDeFiプロトコルを利用できる。

Fireblocksはマネーロンダリング防止のために、コンプライアンスプロバイダーであるEllipticやChainalysisとの統合も行っている。同社は、一連のルールに応じてトランザクションにフラグを立てたり、拒否することができる。

こうして見るとわかるように、Fireblocksは暗号資産エコシステム全般との統合を豊富に提供していいる。ゼロから始めて自社でこれらの統合を構築するには、特に仮想通貨がビジネスの中核要素でない場合、膨大なリソースが必要になるだろう。

Fireblocksは仮想通貨に特化していることを除けば、多くの点でBaaS(banking-as-a-service)企業に似ている。そして今回の資金調達ラウンドは、今、暗号通貨産業で多大な投資が行われていることを改めて証明している。PayPal(ペイパル)がCurv(カーブ)を買収したのは、ほんの2週間前のことだ。この買収は、他の暗号資産インフラ企業が価値ある存在であることを証明するのに確実に役立っている。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:仮想通貨 資金調達

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)