リモートでの動画制作をシンプルにするOpenReelが20.7億円調達

OpenReelは、リモートで簡単に動画を記録できるというスタートアップだ。同社はこのほど、シリーズAで1900万ドル(約20億7000万円)を調達した。

CEOのLee Firestone(リー・ファイアストーン)氏とCTOのJoe Mathew(ジョー・マシュー)氏は最初、動画の代理店を始めたが、リモートでの制作を含む大きな仕事を任されると、既存のソリューションでは満足できず、結局、自分たちでその技術を作ろうという結論になり、開発に1年あまりを費やした。

もちろん、リモートのビデオプロダクションはすでにいろいろ存在しており、それぞれが独自のやり方で仕事をしていた。特に2020年、彼らは忙しかった。TechCrunchでも、カメラやライトをライターへ送り、その後、トラブルシューティングで大量の会話をする羽目になった。

しかしOpenReeの「リモートカメラ」技術は、そんな作業を大幅に単純化してくれる。さらにプロダクションのメンバーに、細かいコントロールができる。同社ソフトウェアを使うとリモートのディレクターが現場のウェブカメラやモバイルデバイスをコントロールすることが可能で、リアルタイムの音声とカメラはそれぞれ最大4人を配置できる。4K画質も可能なその動画はローカルに保存でき、撮影後に自動的にアップロードされる。テレプロンプターといった周辺機能もサポートしている。

「私たちの顧客に聞いてみるとわかりますが、彼らが自分でやると、いろいろな技術を自分たちで組み合わることになり、現場へ送るかどうかも自分で決めなければなりません。それがすべてうまくいったとしても、自分たちと相手で同じクオリティとシームレスなエクスペリエンスを揃えることができません」とファイアストーン氏はいう。

当然ながら、2020年には需要が急増。これまで1年に数千本の動画撮影をサポートしたが、その数は10倍か20倍になってしまったとファイアストーン氏はいう。

事実、OpenReeによるとDell、HubSpot、ViacomCBSそしてTechCrunchの親会社Verizon Mediaなどのクライアントが、マーケティングビデオ、社内コミュニケーション、顧客の証言などを記録するためにこの1年間で、年間経常収益は12倍に増加したという。200社以上のエンタープライズクライアントに加え、同社は「数百社」のSMB(中小企業)のお客様を抱えている。

「これらの組織では、コンテンツに対する潜在的な需要があります。私たちのテクノロジーは【略】そのロックを解除した」とファイアストーン氏はいう。また、パンデミック後には、対面での撮影がより安全になるとは考えていないとのこと。

シリーズAはFive Elms Capitalからのもので、これによりOpenReelの調達額は、融資も含めて2390万ドル(約26億円)になる。今回の資金は、メディアへの録画だけでなく、ライブストリーミングするといった新機能の開発に使いたいという。2020年はグローバル化も努め、125カ国でローンチしたが、このグローバルでの成長は今後も続けたいとのことだ。

Five ElmsのThomas Kershisnik(トーマス・ケルシスニック)氏は声明で「Five Elmsは、古いやり方を変えることにチャレンジしている企業を好んでいる。OpenReelは、まさにそれだ。同社はリモートテクノロジースタックの重要な一部であることを自ら実証し、多様なコンテンツ創作ツールを収めたツールボックスの中でも必須のツールとして、エンタープライズのコンテンツを強化し、さらに多くを作れるようにする」と語る。

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タグ:OpenReel資金調達動画撮影

画像クレジット:OpenReel

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)

投稿者:

TechCrunch Japan

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