技術者はもはや時代遅れ?コーディング不要のツールを開発するBubbleが111億円調達

シリコンバレーでは、コンピュータサイエンスや技術教育の不足が世界のGDPレベルをどの程度押し下げているのかを議論するゲームが盛んに行われている。もし何十万人、何百万人もがコードを書けるようになって、起業家としてアイデアを実現できるようになったら、どれだけ多くのスタートアップ企業が誕生するだろうか?すべての企業で開発者が増えれば、どれだけ多くの官僚的なプロセスを排除できるだろうか?

もちろん、答えは「たくさん」だが、実現までには依然として高い障壁がある。コンピュータサイエンスは難易度の高い分野で、教育現場のカリキュラムにコーディングを導入しようとする議会の積極的な働きかけにもかかわらず、現実の市場ではソフトウェアエンジニアリングの需要が供給を大幅に上回っている。

Bubble(バブル)は、誰もがソフトウェアを開発できるようにして、新たなスタートアップの創出に貢献したいと考えている。同社のプラットフォームでは、コードを書ける人も書けない人も、クリック&ドラッグでデータソースや他のソフトウェアを結びつけることができるフルイドインターフェース(fluid interface、流れるような操作性を持つインターフェース)を使って、誰もがモダンなウェブアプリの構築を始めることができる。

これは大胆な夢だろうか。Bubbleも同様に大胆な賭けに乗ったばかりだ。Bubbleは米国時間7月27日、Insight Partners(インサイトパートナーズ)のRyan Hinkle(ライアン・ヒンクル)氏が主導するシリーズAラウンドで、1億ドル(約111億円)を調達したと発表した。ヒンクル氏は、Insight Partnersで長年マネージング・ディレクターを務め、成熟企業のバイアウトや成長期のSaaS企業を専門としている。

このラウンドの規模を大きいと感じるのは、Bubbleが現在の規模に至るまで、自助努力で長い歴史を歩んできたからだ。共同創業者のEmmanuel Straschnov(エマニュエル・ストラスノフ)氏とJosh Haas(ジョシュ・ハース)氏は、2019年6月にSignalFire(シングルファイヤー)が主導するシードラウンドで650万ドル(約7億2000万円)を調達するまで、7年間にわたって資金調達をせずに製品を開発してきた。興味深いことに、2014年、初めてBubbleに接触してきたベンチャー企業はInsight Partnersだった、とストラスノフ氏はいう。それから7年後、2社は契約を締結した。

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シードラウンドで資金調達して以来、同社は同名のツールの機能を拡充してきた。コーディングを要しない(ノーコード)ツールであるBubbleは、機能が十分でなければ、アプリケーションの開発を妨げてしまう。「私たちのビジネスでは、機能が勝負です」「当社のユーザーは技術者ではありませんが、厳しい目を持っています」とストラスノフ氏は話し、同社がプラグインシステムを導入したことで、Bubbleコミュニティがプラットフォームに独自機能を追加できるようになったことを指摘する。

Bubbleはクリック&ドラッグで動的なウェブアプリを設計できるインターフェースを持つ同社のエディタで(画像クレジット:Bubble)

このプラットフォームの成長と、2020年の新型コロナウイルス感染症のパンデミックはタイミングが一致している。パンデミックの中、人々が先行きの危うい雇用市場の中で、新しいスキルや将来性を求めて奔走していた時期だ。ストラスノフ氏によると、Bubbleの利用者は2020年3月、4月に急増し、過去12カ月間で収益が3倍になったという。

Bubbleは過去8年間、人々が自分のアイデアで起業するのを支援してきた。同社の命題は、(大企業のエンジニアリングチームがゼロからコードを書くような多額の費用をかけずに)Bubbleを利用してたくさんの人が起業して、ベンチャーキャピタルから支援してもらえるようにすることだった。

他社のノーコードツールは企業内アプリの構築に注力しているが、ストラスノフ氏は「まだ市場を拡大する予定はありません。5年前にAWS(Amazon Web Services、アマゾンウェブサービス)やStripe(ストライプ)がやったことと同じことをやろうとしています」と話し、これまでと同様、今も新しい企業に焦点を当てていると説明する。Bubbleは(企業内アプリで)企業を支配しようとするのではなく、設立間もない顧客の成長に合わせて拡大していきたいと考えている。

Bubbleは現在、アプリケーションのパフォーマンスとスケールの要件に応じて、さまざまな価格を設定している(無料版、月額25ドル[約2750円]~のプロフェッショナル版、月額475ドル[約5万2190円]の最上位版)。また、企業価格や、学生向けの特別価格も用意されている。

後者については、Bubbleは新たに調達した資金を使って、教育分野に重点的に投資したいと考えている。使いやすいプラットフォームとはいえ、ウェブアプリのデザインは、初めて使う人、特に技術者ではない人にとっては躊躇するものだ。そこで同社は、多くの学生にこのプラットフォームを利用してもらうために、たくさんのビデオやドキュメントを作成して、大学との提携にも積極的に投資していきたいと考えている。

ノーコードの分野には莫大な投資が行われているが、ストラスノフ氏は「ノーコードのプレイヤーはいずれも競争相手ではありません。本当の競争相手はコードです」と話す。ストラスノフ氏は、ノーコードを謳うスタートアップ企業が増える一方で、Bubbleが手がける特定のニッチ分野に参戦する企業は非常に少なく、同社はそのカテゴリーで魅力的な価値提案を行っている、と確信している。

Bubbleはパンデミック以降人員を倍増。約21人だった従業員は現在は約45人となっている。従業員はニューヨークに多少集中しているが、リモートで業務を行っているので、米国15州とフランスで働く従業員も在籍する。ストラスノフ氏によると、今回の資金を使って製品を拡充するために、技術者を積極的に採用したいと考えている、とのことだ。

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画像クレジット:Bubble

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(文:Danny Crichton、翻訳:Dragonfly)

中国で個人情報保護法が可決

中国で個人情報の保護を義務付ける法案が可決されたと、国営メディアの新華社が報じた。

この法律は「個人情報保護法(PIPL)」と呼ばれ、11月1日に施行される予定だ。

2020年提出されたこの法案は、ユーザー情報の収集に法的な制限を加えることで、商業分野における無節操なデータ収集を厳しく取り締まろうとする中国の共産党指導者の意図を示している。

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新華社によると、この新法はアプリメーカーに対し、個人の情報をどのように使用するか、あるいは使用しないか、そして使用する場合は個人の特性に基づいてマーケティングを行うか、あるいはマーケティングの対象としないか、といったことについての選択肢を、ユーザーに提供するよう求める。

また、この法律は、生体認証、医療・健康データ、財務情報、位置情報など、センシティブな種類のデータを取り扱う場合、個人から同意を得ることをデータ処理者に要求する。

ユーザーデータを違法に処理したアプリは、サービスの停止または終了を強いられるおそれがある。

中国でビジネスを行う欧米企業が、市民の個人データの処理をともなうビジネスを行う場合、この法律の域外適用に対処しなければならない。つまり、外国企業は、中国国内に代表者を配置し、中国の監督機関に報告しなければならないなどの規制上の要件に直面することになる。

表面上は、中国の新しいデータ保護制度の中核となる要素は、欧州連合(EU)の法律に長年にわたり組み込まれてきた要件とよく似ている。EUの一般データ保護規則(GDPR)では、個人データに深く関係する包括的な権利を市民に提供している。例えば、健康に関するデータなど、EU法が「特別なカテゴリーのデータ」と呼ぶ個人情報を処理する際には、同意に高いハードルを設けている(ただし、どのような個人情報が取り扱いに最も細心の注意を要するとみなされるかについては、各国のデータ法によって違いがある)。

また、GDPRの適用範囲も域外に及ぶ。

しかし、中国のデータ保護法が施行される状況の背景は、当然ながら欧州とは大きく異なる。特に、中国国家が膨大なデータ収集活動を利用して自国民の行動を監視し、取り締まっていることを考えるとなおさらだ。

PIPLが中国政府の各部門による市民のデータ収集に何らかの制限を課すとしても(この法律の草案では、国家機関も対象となっていた)、それはほとんど上辺だけの取り繕いに過ぎない可能性がある。中国共産党(CCP)の国家安全保障組織によるデータ収集を継続させ、政府に対する中央集権的な統制をさらに強化するためであると考えられるからだ。

また、中国共産党がこの新しいデータ保護規則を利用して、どのように国内のハイテク部門の力をさらに規制しようとする(「飼いならす」と言ってもいい)かも注目される。

中国共産党は、規制の変更をTencent(テンセント)のような大手企業に対する影響力として利用するなど、さまざまな方法を使ってこの分野を取り締まってきた。例えば今月初め、北京市はTencentのメッセージングアプリ「WeChat(ウィーチャット)」の青少年向けモードが、未成年者保護法に準拠していないと主張し、同社に対し民事訴訟を起こした

PIPLは、中国政府に国内のハイテク企業に制約を加えるための攻撃材料を豊富に提供することになる。

また、欧米の大手企業では当たり前のように行われているが、中国国内の企業が行うと摩擦が大きくなりそうなデータマイニングの実行に対しても、一刻の猶予も与えず攻撃している。

Reuters (ロイター)によると、全国人民代表大会(全人代)は同日、この法律の成立を記念して、国営メディア「人民法院報」に論説を掲載した。この論説では、この法律を称賛するとともに、レコメンドエンジンのような「パーソナライズされた意思決定」のためのアルゴリズムを使用する事業者は、まずユーザーの同意を得るよう求めている。

論説には次のように書かれている。「パーソナライズはユーザーの選択の結果であり、真のパーソナライズされたレコメンデーションは、強制することなくユーザーの選択の自由を確保しなければならない。したがって、ユーザーにはパーソナライズされたレコメンデーション機能を利用しない権利が与えられなければならない」。

中国以外の国でも、アルゴリズムによるターゲティングに対する懸念は、もちろん高まっている。

欧州では、議員や規制当局が行動ターゲティング広告の規制強化を求めている。欧州委員会は、デジタル市場法(Digital Markets Act)とデジタルサービス法(Digital Services Act)という、この分野を規制する権限を拡大する新たなデジタル規制案を2020年12月に提出し、現在協議を行っている過程にある。

インターネットの規制は、明らかに新しい地政学的な戦いの場であり、各地域はそれぞれの経済的、政治的、社会的な目標に合ったデータフローの未来を形作るために争っている。

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画像クレジット:George / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アップルがSiri改善のためフィードバック収集アプリ「Siri Speech Study」をひそかに提供開始

Apple(アップル)は最近、対象ユーザーから音声データを収集するための研究を開始した。2021年8月初め、同社は「Siri Speech Study」という新しいiOSアプリをApp Storeで公開した。このアプリは、オプトインした調査参加者が自分の音声リクエストやその他のフィードバックをAppleと共有できるようにするもの。同アプリは世界の多くの市場で利用可能だが、公開されている「ユーティリティ」カテゴリーを含め、App Storeのチャートには登録されていない。

アプリストア分析会社Sensor Towerのデータによると、このiOSアプリは8月9日に初めて公開され、8月18日に新しいバージョンにアップデートされた。現在、米国、カナダ、ドイツ、フランス、香港、インド、アイルランド、イタリア、日本、メキシコ、ニュージーランド、台湾で利用可能となっており、本調査がグローバルに展開されていることを示している。ただし、App Storeをキーワードで検索しても、Appleが公開しているアプリの一覧を見ても、このアプリは表示されない。

Siri Speech Studyアプリ自体には、この研究の具体的な目的や参加方法はほとんど記載されていない。その代わりに、ごく標準的な使用許諾契約書へのリンクと、参加者がID番号を入力する画面が用意されているだけだ。

Appleにコメントを求めたところ、同社はTechCrunchに対し、このアプリはSiriの製品改良のためにのみ使用されており、参加者がAppleに直接フィードバックを共有する方法を提供している、と述べた。また、この研究に参加するには招待されなければならず、一般ユーザーが参加するために登録する方法はないと説明している。

App Storeのスクリーンショット

このアプリは、同社がSiriを改善するために取り組んでいる数多くの方法の1つに過ぎない。

これまでAppleは、一般ユーザーが録音した音声のごく一部を業者に送り、手作業で採点・レビューしてもらうことで、Siriのミスをより深く学ぼうとしてきた。しかし、ある内部告発者が英国のThe Guardian(ガーディアン)に、このプロセスでは機密事項を盗聴されることがあったと警告した。Appleはその後間もなく、そうした人手によるレビューをオプトイン方式に変更し、音声の採点を社内で行うようにした。このような消費者データの収集は継続されているが、その目的は調査研究とは異なる。

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そうした広範囲で一般的なデータ収集とは異なり、フォーカスグループのような調査では、収集したデータと人間のフィードバックを組み合わせるため、AppleはSiriのミスをよりよく理解することができる。Siri Speech Studyアプリでは、参加者がリクエストに応じて明確なフィードバックを提供するとAppleは述べている。例えば、Siriが質問を聞き間違えた場合、ユーザーは何を聞こうとしていたのか説明することができる。また、ユーザーが「Hey Siri」と言っていないのにSiriが起動した場合は、その旨を伝えることができる。また、HomePodのSiriが複数人の家庭で話者を誤認した場合、参加者はそれを記録することができる。

もう1つの特徴は、参加者のデータが自動的にAppleと共有されないことだ。代わりに、ユーザーは自分が行ったSiriのリクエストのリストを見た上で、どれを選択してフィードバックとともにAppleに送信するかを選べる。また、参加者から直接提供されたデータ以外のユーザー情報は、アプリ内で収集・使用されないと同社は述べている。

Apple WWDC 2021

Appleは、自分のことを理解してくれるインテリジェントなバーチャルアシスタントが競争上の優位性を持つことを理解している。

2021年に入り、Appleは元Google(グーグル)のAI科学者であるSamy Bengio(サミー・ベンジオ)博士を起用し、SiriをGoogle アシスタントの強力なライバルに育てようとしている。一方、家庭内ではAmazon(アマゾン)のAlexaを搭載したスマートスピーカーが米国市場を席巻しており、中国以外のグローバル市場でGoogleと競合している。AppleのHomePodが追いつくには、まだまだ時間がかかりそうだ。

しかし、近年、音声ベースのコンピューティングが急速に進歩しているにもかかわらず、バーチャルアシスタントは特定の種類の音声を理解するのに苦労することがまだある。例えば2021年初め、Appleはユーザーがポッドキャストで話始めにつっかえた際の音声クリップを集め、この種のスピーチパターンの理解を向上させると発表した。また、家庭内に複数の機器があり、複数の部屋からの音声コマンドを聞いている場合にも、アシスタントはミスを犯しやすい。また、家族の中で声を聞き分けようとしたり、子供の声を理解しようとすると、アシスタントはよく失敗する。

言い換えれば音声研究は、同社の現在のフォーカス以外にも、時間をかけて追求できる道筋がたくさんあるということだ。

AppleがSiriの音声研究を行っていることは、必ずしも新しいことではない。同社はこれまでにも、何らかの形でこのような評価や研究を行ってきた。しかし、Appleの研究が直接App Storeで公開されることはあまり多くない。

このアプリをより秘密にしておくために企業向けの配布プロセスを通じて公開することもできたはずだが、Appleは公開マーケットプレイスを利用することを選んだ。これは調査研究がAppleの従業員だけを対象とした社内向けのアプリではないためか、App Storeのルールに沿ったものとなっている。

しかし、一般ユーザーがこのアプリを偶然見つけて混乱することはまずないだろう。Siri Speech Studyアプリは、発見されないように隠されており、アプリのダイレクトリンクがなければ見つけることができない(我々が詮索好きでよかった)。

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画像クレジット:Apple

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

給料日を待たずに給与の一部が引き出せる新機能をRevolutが英国で導入

フィンテック(金融テクノロジー)スタートアップのRevolut(レボリュート)は「Payday(ペイデイ)」と呼ばれる新機能の導入を開始する。これはクレジットカードローンやキャッシングでお金を借りる代わりに、給料の一部を早期に受け取ることができるというものだ。企業がRevolutとの統合を決めれば、ユーザーは同社の金融スーパーアプリから、直接この機能を利用することができる。

現時点で、この機能は英国の企業に限定されているものの、欧州経済地域や米国でも導入が計画されているという。ここがややこしいところなのだが、給与をRevolutの口座に直接振り込んでもらっているすべての人が、Paydayを利用できるわけではない。

Revolutは、従業員がどの時点でいくら稼いでいるかを知るために、まず雇用主の給与システムに接続する必要がある。だが、Revolutによると、雇用主は給与システムを変更する必要はないという。

これが完了すると、従業員は好きなときに、これまで稼いだ給料の一部を受け取ることができるようになる。ユーザーはまだ支払われていない給料の最大50%までの金額を、給料日よりも前に引き出すことができる。この機能は企業にとっては無料だが、Revolutはユーザーに少額の定額料金を請求する。

「私たちは、すべての人が経済的健康でいられることの重要性を信じています。これには、経済的な安定が従業員の精神的な健康に与える影響を重視することも含まれます」と、Revolutの共同創業者でCEOのNik Storonsky(ニック・ストロンスキー)氏は、声明の中で述べている。「2020年の困難な状況を経て、いま従業員が最も忌むべきものは、経済的な不安やストレスです。多くの従業員が給料日ローンや高金利のキャッシングに依存している状況から脱却することが重要です。この依存は毎月の給料サイクルによってさらに悪化します」。

給料日から給料日へ綱渡りのような生活をしている人は、予定外の出費にPaydayを活用することができる。例えば急にクルマを修理しなければならなくなり、月末まで待っていられない人は、今すぐ給料の一部を引き出すことができる。

これは借金ではないし、クレジットスコアにも影響しない。自分で稼いだ給料の一部だからだ。ということは、月末の給料日には受け取る金額が少なくなるわけだが。

給料の前払い機能を使っていなくても、Paydayでは今月いくら稼いだかを確認することができる。多くの企業がこの機能を採用するかどうか、注目したいところだ。英国には何百万人ものユーザーがいるので、企業は自社の従業員からPaydayについて知ることになるだろう。

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画像クレジット:Revolut

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ツイッターがダイレクトメッセージのシステムにいくつかの改善を実施

おもしろいツイートをTwitter(ツイッター)のDMで数人の友人と共有しようとしたとき、誤ってグループチャットを始めてしまったことはないだろうか?それはあなただけではない。

Twitterは米国時間8月19日、そのダイレクトメッセージのシステムに、Quality of Life(生活の質)を向上させるいくつかの改善を、今後数週間にわたって導入していくと発表した。それらの中には、一度に複数の人に向けて、個別の会話の中でDMを送る機能などが含まれる。研究者のJane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏は2021年7月、Twitterがこの機能に取り組んでいることに気づいた。

今後数週間に、いくつかDMの改善が行われます。

ツイートの共有がより簡単になったり、会話中のナビゲーションが改善されたり、他にもいろいろと……

複数の人にツイートをDMで送ろうとしたときに、誤って(気まずい)グループチャットを始めてしまうことはもうありません。同じツイートを最大20件のDMで個別に送れるようになりました。

iOSとウェブでは導入されています。Androidでも間もなく導入予定です。

Twitterサポート

このアップデートの潜在的なマイナス面は、より多くのスパムを招いてしまう可能性があることだ。一度にメッセージを送れる相手は20人までだが、それでもかなりの人数になる。そしてメッセージを受け取った人は、それがグループ送信されたスパムかどうか、判断できない。個々のDMは、1対1のプライベートなメッセージのように見えるからだ。

Twitterによると、Androidユーザーがこの機能を利用できるようになるまでには、iOSやウェブ版よりも少し長く待たなければならないとのこと。現時点ではそれがいつになるかはわからない。過去にはiOS向けアプリに採用されたDMのアップデートが、Android版に導入されるまで何年もかかった例があるからだ。しかし、これは気休めかもしれないが、DMの会話中に上へスクロールしていった際に、下矢印ボタンを押すことでクイックスクロールし、最新のメッセージに戻ることができる機能は、AndroidとiOSの両方に導入されている。

TwitterのDMに関する他の2つの改善は、今のところiOSのみで展開されている。1つはメッセージが日ごとにグループ化されるようになるというもの。個々のDMには依然としてタイムスタンプが付与されるが、Twitterはこの変更により「タイムスタンプの乱雑さが軽減される」と述べている。

そしてもう1つの改善は、iOSユーザーはDMの中で、メッセージをダブルタップするほか、長押しするだけで「リアクションの追加」メニューにアクセスできるようになった。また、友人のメッセージを長押しすると、自分のアカウントでのみメッセージを削除したり、メッセージを報告したり、テキストをコピーしたりするオプションが表示される。

画像クレジット:Twitter(screenshot by TechCrunch)

また、Twitterは同日、Revue(レヴュー)が配信するニュースレターをユーザーのプロフィールに表示する機能のテストを開始することも発表した(Twitterは2021年初めにこのニュースレターのプラットフォームを買収している)。

Twitterは先週、より顕著なUIのアップデートを公開したが、アクセシビリティの専門家は、これによってかえって見づらくなったと指摘。このアップデートから2日経たないうちに、Twitterはボタンのコントラストを変更し、Windows上で独自フォントのChirp(チャープ)に問題があることを確認した。

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画像クレジット:Nina Riggio / Bloomberg / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)a

NetflixがiPhoneとiPadで空間オーディオ導入へ、同業他社に対抗

もしあなたがAirPods ProあるいはAirPods Maxを使っているのなら、モバイル端末でのNetflix視聴がこれまでよりもう少し投入感ある体験になる。Redditユーザーによる発見を受け、Netflix(ネットフリックス)は米国8月18日、iOS 14で動くiPhoneとiPadで空間オーディオのサポートを開始したと認めた。

Netflixはこの機能の導入でHBO Max、Disney+、Peacockのようなストリーミング競合他社の仲間入りを果たす。その一方で、Amazon Prime VideoやYouTubeといった人気のアプリはまだこの機能を取り入れていない。ただし、同機能はすぐには導入されない、とNetflixは述べた。アップデートのお知らせがきたユーザーはコントロールセンターで同機能のオン・オフができるようになる。

直近では、Appleが空間オーディオを売り込んでいる。同社は2020年に開かれたWWDC会議でAirPods Proで空間オーディオを利用できるようにすると発表した。そして2021年のWWDC会議では、追加料金なしでApple Music購読者に空間オーディオとロスレスオーディオでストリーミングを提供すると明らかにした。この機能の追加ではダイナミックヘッドトラッキングもサポートしており、頭の動きに応じてサウンドを調整する。Apple MusicアプリのAndroid版も空間オーディオとロスレスオーディオをサポートしている。2021年2月にSpotifyはハイエンドなサブスクSpotify HiFiを展開すると発表した。このサービスはロスレスオーディオが利用できるものだが、発表以来新たな動きはない。

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Netflixは7月、オリジナルの映画やテレビシーリーズに加えて、モバイルゲーミングにも取り組み始めたことを明らかにした。すでに「Black Mirror:Bandersnatch」や「Stranger Things」ゲームのようなプロジェクトでインタラクティブエンターテインメントを実験している。

「当社は、オリジナルの映画やアニメ、台本なしテレビなどへの拡大と同じく、ゲーミングを新たなコンテンツ部門ととらえています」と同社は四半期決算発表で述べた。

空間オーディオはビデオゲームプレイヤーの間で人気だ。なので、今回のアップデートでiPhoneとiPadでのビデオストリーミング体験が向上する一方で、おそらくゆくゆくは同様の機能が今後展開される同社のモバイルゲームでも利用できるようになる。

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップルが不評だったSafariの変更点をiOS 15 beta 6で修正、再びアドレスバーの上部表示も可能に

Apple(アップル)は、次期iOS 15でモバイル版「Safari(サファリ)」のデザインを変更し、アドレスバーを画面の下部に移して、ページのコンテンツの上に重ねる(フローティングさせる)としていたが、物議を醸したこの決定から、ゆっくりと後戻りしつつあるようだ。このデザイン変更は、片手でSafariの操作がしやすいようにすることを主な目的としていたものの、実際にはこれによって以前より使いにくくなったという批判を受けていた。今回リリースされた最新のベータ版であるiOS 15 beta 6では、アップルはユーザーからのフィードバックや不満に応え、ページコンテンツの下にタブバーを表示するようにデザインを修正。このアップデートが気に入っていた人にも、標準的な体験を提供することになった。さらに重要なのは、アップルが画面下のタブバーをユーザーに強制しなくなったことだろう。

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最新リリース版では、アドレスバーを以前のようにページの上部に表示するオプションが追加されたのだ。今回のアップデートが気に入らなかったユーザーは、これで「普通」に戻すことができる。

タブバーの変更前と変更後(画像クレジット:スクリーンショット)

フローティングしたタブバーに対する大きな不満は、ウェブページによってはクリックしたいボタンやリンクがこのタブバーに遮られてしまうため、ほとんど使えなくなってしまう場合があることだった(タブバーに遮られた箇所をクリックするためには、いちいちタブバーを下にスワイプしなければならなかった。これでは最適なデザインとはとてもいえない)。

iOS 15のSafariでは下のバーのせいでチェックアウトボタンが押せないので、テイクアウトの注文ができない日が続いている。

あのブルスケッタを食べさせてくれないなんて、ありがとうSafari

フェデリコ・ヴィティッチ

iOS 15 beta 6では、これらの問題が解決されている。基本的に、タブバーの外観は以前のように、つまり画面の上部に設置されていた頃と同じように、見慣れたボタンが並んでいる。タブバーがウェブサイトのコンテンツを遮ることもなくなった。

ベータ版をテストした人からは、リロードボタンやリーダーモードなどのよく使う機能を、3つのドットで表示された「その他」メニューの下に隠すというアップルの独自の判断が、Safariを以前よりも使いにくくしているという指摘もあった。iOS 15 beta 4では、この問題を解決するために、リロードボタンと共有ボタンを復活させ、リーダーモードが利用可能な場合は表示されるように修正した。しかし、それでもボタンは小さく、以前よりもタップしにくかった。

新たに変更されたタブバーと、それが画面の上下に関わらず、普通に戻ったことは、この問題に関するユーザーの不満が妥当であると、アップルが事実上認めたことになる。また、これはベータテストの本来の目的である、新しいアイデアを試して、うまくいかなかった点は修正するということのデモンストレーションでもある。

この修正とは別に、beta 6ではタブバーをページの最上部に戻すこともできるようになった。そちらの方が好みであれば「設定」→「Safari」で、デフォルトの「タブバー」と、アドレスバーを画面上部に配置する「シングルタブ」のいずれかを選択できるようになった(ただし後者を選択すると、タブバーでは可能だった、開いているタブをスワイプして切り替える機能が失われる)。

アップルがデフォルト設定の代替となる選択肢を用意するのはよくあることだ。例えばMacのトラックパッドでは、ジェスチャーやクリックがどのように機能するかをユーザーが設定できるようになっているし、かつて物議を醸した「自然な」スクロール方向のオプションをオフにすることもできる。しかし、アドレスバーを最上部に戻すオプションが追加されたことは、iPhoneで最も頻繁に使用されるアプリケーションの1つであるSafariの使い方を学び直したくないと考えるユーザーが相当数いると、認めたということである。もし、そのようなユーザーにこの変更を強要すれば、彼らは代わりに他のブラウザを使うようになるかもしれない。

アップルは通常、iOSソフトウェアの最新版を秋にリリースするため、一般公開に先立って行われるSafariの変更は、今回のアップデートが最後になるかもしれない。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleiOSiOS 15ベータ版ブラウザSafariアプリ

画像クレジット:Apple

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

​​​​アダルト系SNSのOnlyFansが「職場安全」なアプリを宣伝、約1098億円超の評価額で資金調達目指す中

アダルトコンテンツクリエイターがオーディエンスを通じて直接マネタイズできるプラットフォーム「OnlyFans(オンリーファンズ)」は、同社がiOSとGoogle Playで提供しているSFW(safe-for-work、職場でも安全)なアプリ「OFTV」をプッシュしている。広告なしのこのアプリは2021年1月にローンチされ、料理のチュートリアルやヨガのルーティン、インタビューなど、OnlyFansのクリエイターたちによる800以上のビデオを共有している。しかし、同社が既存のOnlyFans顧客ではない人々にリーチすることを目指してアプリをマーケティングするのは、今週が初めてになる。

「OFTVにはアダルトコンテンツはありません。収益化されておらず、クリエイターの収益に直接影響を与えないため、アプリストアに参入することができるのです」とOnlyFansのCEOであるTim Stokely(ティム・ストークリー)氏はBloombergに語った。App StoreとGoogle Playはいずれもポルノを禁止しているが、(Redditのような)ユーザー生成コンテンツを含むアプリの場合、NSFW(職場危険)コンテンツはそのように表示され、デフォルトでは非表示になっている限り、アプリストアに滑り込める。OnlyFansサイトはウェブ上に存在するため、AppleのApp StoreやGoogle Playでは承認されていない。

画像クレジット:OFTV(screenshots by TechCrunch)

OnlyFansは利益を上げているが、今後も成長を続けるために、10億ドル(約1098億円)以上の評価額で資金調達を目指している。Bloombergによると、OnlyFansは、アダルトな評判を気にする広告主を募るために、よりメインストリームなプラットフォームになりたいと考えているようだ。​​​​​​ヒップホップミュージシャンのCardi B(カーディ・B)やプロボクサーのFloyd Mayweather Jr.(フロイド・メイウェザー・ジュニア)といった有名人もOnlyFansに参加している。また、2020年3月、このアプリは「クリエイティブ・ファンド」を立ち上げ、4人の音楽アーティストに活動補助金として2万ポンド(約300万円)の報酬を与えた。さらに、同アプリがブログで紹介している「ライジングスター」には、ソングライター、フォトグラファー、スタイリスト、パーソナルトレーナー、シェフなどが含まれている。度同社がSFWクリエイターにスポットライトを当てようとしている姿勢は明らかであり、OFTVのプロモーションもそれを裏付けている。

同社のプラットフォームは2016年の設立以来、クリエイターに30億ドル(約3294億円)以上を支払っており、特に2020年は、パンデミックによる経済的逼迫の中で多くの人がOnlyFansに収入源を求めたことから、収益が553%以上も増加した。OnlyFansはクリエイターの収益から20%を徴収しているが、比較的にPatreon(パトレオン)は5~12%、Cameo(カメオ)は25%を徴収している。仮に(NSFWコンテンツなども考慮に入れた上で)OnlyFansがアプリストアに受け入れられたとしても、プラットフォームの20%に加えてアプリストアの手数料が30%余分にかかることになるので、クリエイターにとっては良いことではないかもしれない。しかし、OFTVはコンテンツを販売したり、未承諾のユーザーがビデオをアップロードすることを許可していないため、その目的は、ポルノではないOnlyFansのコンテンツをより盛り上げることにあるようだ。

SFWクリエイターにアピールするためには、OnlyFansのイメージを払拭する必要があるかもしれないが、それよりも重要なのは、プラットフォームがクリエイターにとって特に収益性の高い空間であることを示すことだろう。OnlyFansの売上高を見ればわかるが、それはプラットフォーム自体よりも、クリエイター経済の成長やコンテンツの性質にかかっているのかもしれない。

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

仮想の窓を通しリモートワーカーがオフィスと「つながっている感」を保つVideo Window Remote

多くの企業がオフィスで働く人と自宅で働く人が混在するハイブリッドな働き方にシフトしている中、Zoom(ズーム)のようなビデオ会議ツールを使っていても、自宅勤務の人は断絶感を感じてしまいがちだ。Video Window(ビデオウィンドウ)は、まるで仮想の窓を通して見ているかのように、他のオフィスとつながっている感覚をユーザーに与えるように設計されている。同社は米国時間8月17日、そのようなリモートワーカーに向けて、iOSおよびAndroid用のコンパニオンアプリ「Video Window Remote」を発表した。

その名の通り、Video Windowシリーズの最新作は、オフィス内のリモートコミュニケーションだけでなく、自宅や別の場所など、オフサイトで仕事をしている社員も巻き込んで、オフィスにいるかのような感覚を味わえるように設計されている。

ビデオ会議では、バーチャルにミーティングをしてビジネス上の議論を交わすことはできるが、オフィスにいて同僚とおしゃべりしているときに感じるようなつながりはない。そのため、ときには孤立感を感じたり、自分のアイデアが聞いてもらえていないと感じることもある。

Video Window Remoteでは、携帯電話やタブレット端末にアプリをダウンロードし、それをオフィスとの視覚的なコネクションとして使用することで、必要に応じてビデオと音声の両方を得られる。これにより、多くのリモートワーカーがオフィスにいないことで不足していると感じている、ウォータークーラーの周りで同僚と話すような体験を提供するという。

同社のDaryl Hutchings(ダリル・ハッチングス)CEOは、パンデミックの際に自宅で仕事をした経験から、Video Window Remoteの機能の多くを思いついたと語る。「Video Windowを使うことは、まさに窓越しに同僚を見るようなものです。プロジェクトを成功させ、目標を達成しながら、ともにに働く人たちと本当に一緒に存在することができ、仕事をより良く、より楽しいものにし、すべての人の競争条件を平等にします。最終的には、ハッピーハイブリッドな職場を作ることができます」と同氏は声明で述べた。

このようなツールのセキュリティやプライバシーを心配に思うユーザーのために、ハッチングス氏はいくつかの安全策を講じたという。ゲストアクセスを防ぐこと、デフォルトでオーディオとビデオをオフにすること(自分が他の人に見える / 聞こえる時をコントロールできる)、ビデオやオーディオの状態にかかわらず誰が出席しているかを誰でも見ることができる機能、スケジュールされた時間にのみサービスをオンにするスケジュールスリープモードなどだ。

このツールは、米国時間8月17日よりiOSおよびAndroidのアプリストアから無料でダウンロードできる。

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(文:Ron Miller、翻訳:Aya Nakazato)

現場作業員にスマートモバイルアシスタントアプリを提供するYoureka Labsが約9.3億円調達

モバイルフィールドサービスのスタートアップ企業であるYoureka Labs Inc.(ユーリカ・ラボ)は、シリーズAラウンドで850万ドル(約9億3000万円)の資金を調達した。この投資ラウンドはBoulder Ventures(ボルダー・ベンチャーズ)とGrotech Ventures(グロテック・ベンチャーズ)が共同で主導し、Salesforce Ventures(セールスフォース・ベンチャーズ)も参加した。

メリーランド州を拠点とする同社は、IBM Cloud(IBMクラウド) & Watson Platform(ワトソン・プラットフォーム)でゼネラルマネージャーを務めていたBill Karpovich(ビル・カルポヴィッチ)氏がCEOに就任したことも正式に発表した。

Youreka Labsは、Salesforceをはじめとする人工知能や自動化技術を活用してカスタマー・リレーションシップ・マネジメントの変革に特化したクラウドコンサルティング事業を行っている親会社のSynaptic Advisors(シナプティック・アドバイザーズ)からスピンアウトした会社だ。

同社は、現場で働く人々がより安全かつ効率的に仕事をこなせるようにするためのスマートモバイルアシスタントを開発している。これには、ガイド付き手順書、スマートフォーム、写真やビデオのキャプチャなどが含まれる。また、YourekaはField Service Mobile(フィールド・サービス・モバイル)のような既存のSalesforceモバイルアプリケーションにも組み込まれており、エンドユーザーは1つのモバイルアプリから操作できるようになっている。

Yourekaは現時点では、ヘルスケア、製造業、エネルギー・公共事業、官業という4つのユースケースを特定している。Shell(シェル)、P&G、Humana(ヒューマナ)、Transportation Security Administration(米国運輸保安庁)などの企業や機関と提携しており、同社のテクノロジーは、現場の同僚と知識やプロセスを共有することを可能にすると、カルポヴィッチ氏はTechCrunchに語った。

「例えばヘルスケアの分野では、医師からの複雑な医療評価を、シンプルなモバイルアプリにデータを集約することで役に立つ形にして、現場で働く看護師に送り出します」と、カルポヴィッチ氏は続けた。「これにより、看護師は自分が医師でなくても、優れた仕事ができるようになります」。

カルポヴィッチ氏は、シリーズAの資金調達を実施した理由について「そろそろ自分たちの力でやってみる時期」だからと語っている。同氏のもとには投資家から関心が寄せられており、この資金があれば会社をより迅速に前進させることができる。現在、同社はSalesforceのエコシステムに注力しているが、これは時間の経過とともに変化する可能性があると、同氏は付け加えた。

今回調達した資金は、同社の活動範囲と製品を拡大するために使用される。カルポヴィッチ氏は、今後半年から1年の間にエンジニアリング部門のチームを倍増させることで、そのプラットフォームを拡大することができると期待している。Yourekaは現在、100社の顧客を抱えているが、これをさらに成長させるために、カルポヴィッチ氏はマーケティングにも投資したいと考えている。

すでに特定されているユースケースに加え、金融サービスや保険、特に損害を査定する業務に同社の潜在的需要があると、カルポヴィッチ氏は見ている。同社の顧客は今のところ米国に集中しているが、カルポヴィッチ氏は英国や欧州での展開も計画している。

同社は2020年に300%の成長を遂げたが、これはフィールドサービスにおいて、この種のツールが必要とされているためだと、カルポヴィッチ氏は考えている。Yourekaは、エンドユーザーごとに月額課金するライセンスモデルの他、アプリを作成する人のための管理者用ライセンスも用意しており、こちらもユーザーごとの月額課金制となっている。

「企業が適切なスキルを持った人材を見つけることができないために、現在250万件の求人が出ています」と、カルポヴィッチ氏はいう。「私たちの製品は、これらの仕事にアクセスできるようにします。AIが人の仕事を奪うという人もいますが、私たちはAIを使って人の仕事を強化します。90%の知識を持ち、経験の少ない人に、を与えることができれば、非常に多くの雇用機会を切り開くことができるでしょう」。

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ツイッターの新UIに「目が疲れる・頭が痛くなる」などの苦情多数、ボタンの表示コントラストを再調整する事態に

ツイッターの新UIに「目が疲れる」「頭が痛くなる」など苦情が殺到し、ボタンの表示コントラストを再調整と発表

Twitter

数日前、Twitterはウェブ版やスマホアプリのUIを「Chirp」(チャープ)と称する新フォントと高コントラストなバージョンにアップデートし「利用しやすく、ユニークで、会話に集中できるようになる」とその効能を自慢げに述べていました。ところが、このアップデートを誰もが歓迎したわけではなかったようで、新しいUIになった直後からユーザーからは目が疲れる、頭が痛くなったなどの苦情が多数寄せられる事態になったため、再び調整して目に優しいものにすることを発表しました。

UIの主な変更点は、白背景の場合ならボタンの色を黒基調とすることで高コントラスト化、視認性を高めたと主張されるものでした。しかし、比較的目の敏感な人にとっては、これがかえって仇になってしまったようです。たとえばフォローするボタンは、従来ならまだフォローしていないアカウントが白色で表示され、すでにフォローしているアカウントなら黒く表示されていたのが、突然反対の表示になったことでユーザーに混乱を引き起こしました。

また、新しく採用したフォントChirpについても、あるユーザーは新しいフォントに代わってから「文字が波打って見える」と述べ、またあるユーザーは「頭が痛くなるためしばらく見るとイライラして目を閉じてしまう」と報告しました。そのため「Windowsユーザー向けのChirpフォントの問題を特定し、積極的に修正に取り組んでいる」とチームは返答しています。

Twitterはこのフォントの導入について「Chirpフォントをテストした際、慣れるまでに少し時間がかかるものの、全体的にはこの変更が気に入られることがわかった」と述べていました。しかし、慣れれば最終的には気に入るはずだと言われても、眺めるだけで(慣れるまで)苦痛なSNSなど誰も望んだりはしないはず。Twitterがどれぐらいの人数を対象にテストをしたのか、本当にそれほど良い評価があったのかも気になるところです。

Twitterは今回の変更に対するネガティブな意見が多かったことや不評だったことに関してTechCrunchに「最初からずっと、障害のある方々からのフィードバックを求めていた」と説明しています。しかし、障害のある人たちのために健常な人のことを忘れてしまっては改善とはなり得ません。そこはTwitterもわかったのか、「人々にはさまざまな好みやニーズがあり、今後もこのフォントに関するフィードバックに耳を傾け、改善を続けていく」としています。

(Source:Twitter。Via CNETEngadget日本版より転載)

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ツイッターがウェブサイトとアプリのデザインを見やすく変更、新フォントも採用

Twitter(ツイッター)は米国時間8月11日、ウェブサイトのリニューアル版を発表した。同社によると、これによってサイトが見やすく、混乱することが減り、より使いやすくなるとのことだ。

iOSおよびAndroid向けアプリにも展開される今回の変更点の中には、Twitterの新しいフォント「Chirp(チャープ)」が採用された他、さまざまな要素のコントラストを強める変更などが含まれる。間もなく、Twitterは新しいカラーパレットも導入する予定だという。

Chirpは、Twitter初の独自書体として2021年1月に登場した。これまでTwitterは「SF Pro(サンフランシスコ・プロ)」「Roboto(ロボット)」「Helvetica Neue(ヘルベチカ・ノイエ)」などのフォントを自社ブランドに使用してきた。Chirpの目標は、Twitterに独自の視覚的表現を与えることに加えて、日常的な使用に向いたくっきりとした判読しやすい書体を提供すること、そして、動画やブランド広告に使用される際も含め、より個性的な書体を提供することだ。

私たちの新しい書体であるChirpにについて、もう少し掘り下げたいと思います。

280文字からなる書体は、Twitterの基盤となるものです。これまで当社では、我々のブランドを、SF ProやRoboto、Helvetica Neueなど、他の誰かの書体に頼ってきました。

デリット・デルーエン

しかし、そのデビュー当時、TwitterはまだChirpをより広く製品の書体として採用すると確約していたわけではなかったが、Twitterでグローバルブランドのクリエイティブディレクターを務めるDerrit DeRouen(デリット・デルーエン)氏は、そうなることが「個人的な願望」であると述べていた。

今回よりTwitterは、ChirpをTwitterのウェブサイトや、iOSやAndroidのデバイス向けアプリとモバイルウェブの中核的な部分に使用している。

また、すべての欧米言語のテキストを左寄せにしたことで、スクロールしたときに読みやすくなると同社では述べている(欧米言語以外のテキストは変更されていない)。

ウェブサイトのTwitter.comで使われる色やボタンも、よりコントラストが強いものに刷新された。顕著な変化は、Twitterの青がかなり少なくなったことだ。例えば、表示をデフォルトのテーマにして背景を白くした場合、ツイートやナビゲーションが黒に変わった。また、ボタン(例えば「フォロー」などのボタン)の変更は、最も重要なアクションを目立たせることが目的であると、Twitterは述べている。

これらの変更は、今はまだ些細なことに思えるかもしれないが、これからSuper Follow(スーパーフォロー)などの拡張された機能セットが導入されると、より重要性が高まる可能性もある。Twitterがユーザーに取ってもらいたい行動を強調するための手段となるからだ。

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今回のデザイン変更では、Twitterが「不要な仕切り線」と呼ぶような、画面上の視覚的な混乱も解消された。グレーの背景が減り、文字を読みやすくするために字間も広げられている。

これらの変更は、Twitterにとって、テキストベースの投稿に写真やその他のメディアを時々添付して共有するだけにとどまらない、これまでとは異なるオンライン体験を導入するための準備にもつながっている。

Twitterはスーパーフォローの導入によって、より多くのクリエイターをそのプラットフォームに呼び込むことを狙っている。さらに、eコマースショッピング機能やパワーユーザー向けの有料定額サービスSpaces(スペース)によるライブオーディオなどの機能も取り入れ、ブックマーク機能の改善なども行っている。

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しかし、いくつも機能を追加していくと、新たな選択肢が画面を埋め尽くしてしまい、特に初めての人にとっては、より混乱を招くことになりかねない。だからこそ、Twitterが今、ウェブサイトのデザインを一新することは理に適っているといえるだろう。しかし、Twitterユーザーがこのアップデートを評価するかどうかは、まだわからない。

今回の変更は、今後のビジュアルアップデートの始まりに過ぎないと、Twitterは述べているが、今後のアップデートにどんなものが含まれるかについては示唆していない。今のところ、より多くのカラーパレットを「間もなく」提供するとしているだけだ。このアップデートは、カラーパレットをTwitterの最新のブランドルックに近づけるためだと言われている。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Wixが月額約2万2000円のノーコードアプリビルダーを公開

米国時間8月10日、Wixが「Branded App by Wix」というビジネスオーナー向けの新しいプロダクトを発表した。ユーザーがコードを書かずにネイティブアプリを開発できるプロダクトだ。上場企業である同社は個人や企業がオンラインプレゼンスを管理するツールを提供しているが、最もよく知られているのはドラッグ&ドロップで作れるウェブサイトビルダーだ。コーディングを学ばなくても誰もがアプリを作れるようにすることで、同社のプラットフォームはそのユーザーフレンドリーなアプローチを広げつつある。

Wixのモバイル、Wixアプリ、製品戦略担当SVPであるRonny Elkayam(ロニー・エルカヤム)氏は次のように述べた。「ユーザーには自社の社名とロゴでブランディングしたネイティブアプリを作るニーズがあります。当社のユーザーの多くは企業で、企業は実際よりも自分たちが大きく見える状況を表現したいと願っています。ネイティブアプリを持っている大企業に続きたいのです」。

Branded App by Wixは月額200ドル(約2万2000円)で、小さい投資ではない。さらにApp Storeで公開するために年額99ドル(約1万1000円)、Google Payには1回限りで25ドル(約2750円)を支払う必要もある。しかしWixによれば、ネイティブのモバイルアプリは結果として企業の売上増加につながる。すでにWixのウェブサイトを開設しているユーザーなら、アプリビルダーによって自社ウェブサイトの内容を自動で統合することができ、アプリ開発が簡単になる。

エルカヤム氏は「レストランがオンラインオーダー用としてウェブサイトにメニューを構成していれば、その同じメニューがアプリに表示されます。アプリ用の構成をする必要はありません。メニューからの購入や注文はダッシュボードに現れます」と説明した。

Wixの2億のユーザーのうち、500万が有料サブスクリプションを利用している。企業向けで最も人気のあるプランは月額27ドル(約3000円)のウェブサイトで、eコマースの機能も利用できる。無料ウェブサイト(機能制限がありWixのロゴが表示される)のユーザーもアプリを作成できる。Branded App by Wixは新しいプロダクトであって、既存のサブスクリプションの追加機能ではない。ビジネスオーナーはアプリのアイコン、レイアウト、コンテンツをカスタマイズできる。これには製品ページ、予約サービス、フォーラムとグループ、チャット機能、ブログ、プッシュ通知などが含まれる。Wixがユーザーのアプリを自動でアップデートして、iOSやAndroidの最新バージョンとの互換性を維持する。

ノーコードアプリ開発分野の競合の1つにBubbleがある。Bubbleの利用は月額29〜529ドル(約3200〜5万8000円)で、ユーザーがプロダクトの使い方やアプリ開発を学べる無料プランもある。しかしBubbleのサービスはウェブベースだ。これに対してWixのアプリはネイティブで、つまりApp StoreやGoogle Playストアからダウンロードできるアプリを作れる。

2020年にWixは3100万の新規ユーザーを獲得した。エルカヤム氏は、コロナ禍でWixの成長が加速したと述べた。同社は米国時間8月11日に第2四半期の業績を発表するが、第1四半期の売上は3億400万ドル(約336億5000万円)で前年同期比41%の増加だった。

数百社のユーザーによるベータテストを経て、Branded App by Wixは全ユーザーを対象に公開された。期間限定の「プレセール」期間中に申し込んだユーザーは、今後永続的に50%オフでこのプロダクトを利用できる。

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Kaori Koyama)

日本の技術系人材サービス大手テクノプロがインドの老舗アプリ開発会社Robosoftを約119.4億円で買収

インドに本社を置くデジタルソリューションメーカーのRobosoft Technologies(ロボソフト・テクノロジーズ)はインド時間8月10日、日本のITサービス企業であるTechnoPro(テクノプロ)に1億800万ドル(約119億4000万円)で事業を売却することで最終合意に達したと発表した。

1996年に設立されたRobosoft Technologiesは、Macプラットフォームに特化したソフトウェアサービス会社としてスタートし、その後、アプリ開発サービスを提供していた。

Robosoftは、世界で最も早くApple(アップル)からMac OS開発者として認定された企業の1つであり、それ以来、数十年にわたりiPhoneメーカーから繰り返し認定を受けている。

「iPhoneが発売され、App Storeのエコシステムが構築されたことで、モバイルが大きな意味を持つようになると我々は早くから認識していました。それから世界中のクライアントのためにモバイルアプリを作り始め、迷うことなく進んできました」と同社はウェブサイトで述べている。

Ascent Capital(アセント・キャピタル)やKalaari Capital(カラアリ・キャピタル)が出資しているRobosoftは、ゲーム、ニュース、スポーツ、ユーティリティ、ライフスタイルなどの分野で顧客を持ち、さらにプロダクトアドバイザリー、デザイン、エンジニアリング、アナリティクスのためのツールなど、提供するサービスを拡大してきた。

例えば、インドのニュースネットワークであるニューデリーテレビ会社(NDTV)のオリジナルアプリは、Robosoftが開発したものだ。Robosoftのクライアントには、メディア大手のViacom(バイアコム)インドのマクドナルドなどが含まれる。同社は米国や中東にもクライアントを持っている。

2017年以降、Robosoftは自社を「デジタルソリューション」企業として位置づけようとしている。

Robosoftは8月10日に発表した声明の中で、現在の経営陣が引き続き同社を率いていくと述べた。同社の創業者兼マネージングディレクターであるRohith Bhat(ロヒス・バット)氏は次のように述べている。「Robosoftは過去20年間に驚異的な旅をしてきており、その間に飛躍的な成長を遂げました。Ascent CapitalおよびKalaari Capitalとの提携が当社にとって力強い成長期を切り拓いた後に、テクノプロのようなグローバルプレイヤーに会社の手綱を渡すことができて大変うれしく思っています」。

東京証券取引所に上場しているテクノプロ・ホールディングスの代表取締役社長兼CEOである八木毅之(やぎ・たけし)氏は、「テクノプロとRobosoftの間には非常に大きな相乗効果があると期待しており、Robosoftの次の成長段階において、緊密な協力関係を築くことを楽しみにしています」と述べている。

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

犯罪ライブ配信「Citizen」が地域ジャーナリズムに取って代わることはない

地元で起こった犯罪を撮影するアプリCitizenが、1時間あたり25ドル(約2760円)で極秘にジャーナリストを雇って、犯罪現場の映像をサードパーティのウェブサイト経由でアプリからライブ配信していることがわかった。やれやれ。

Citizenが2016年に初めてApp Storeに登録されたときはVigilanteという名前で、透明性によって不正と戦うプラットフォームと銘打ってマーケティングを展開していた。というと聞こえはよいが、実際には、犯罪現場を探し出すよう故意にユーザーを煽って、その現場を報告させるというものだった。Vigilanteは、Apple(アップル)のアプリ開発者レビューガイドラインの「アプリはその使用によって身体に害を及ぼすことがあってはならない」という条項に違反しているとしてApp Storeから削除された。

もちろん、これでこの悪質なアプリの芽は摘まれるはずだった。が、大災害の後のゴキブリのように、このアプリも生き残っていた。VigilanteはCitizenと名前を変えて、利用者は犯罪現場に介入しないものとするという免責条項を追加してApp Storeに再登録を果たし、引き続きVCから資金を調達している。このアプリは現在、App Storeの同アプリページによると、クラウドソース型事件記録簿ということになっており「警察が対応する前に発生中の犯罪を市民に知らせる」のだという。しかし、このような行き過ぎた自警行為は、市民に安心感をもたらすどころか、混乱に拍車をかける可能性がある。アプリユーザーによる犯罪報告は、単なる間違いで済めばよいが、下手をすると人種差別につながり兼ねないことはいうまでもない。このアプリは911番通報からデータを取得しているが、911番通報の情報はすべて確認されているわけではないため、誤通報の原因となる可能性がある。

Citizenの代表は、このアプリは不審人物の通報を禁止しており「未確認のコンテンツや利用者によって報告された犯罪」は訓練を受けた専門家のレビューを受け許可されるまで配信されないと主張している。しかし、ほんの数カ月前、CEOのAndrew Frame(アンドリュー・フレーム)氏はライブ動画で放火犯と疑われる人物を追跡したCitizenのユーザーに情報提供料として3万ドル(約330万円)を支払ったが、結局その人物は犯人ではなかったことが判明した。

Citizenは十分なユーザー数が確保されないと機能しないため、同社はこのアプリを使うよう一般市民を囲い込もうとますます躍起になっている。SensorTower(センサータワー)によると、Citizenは、Black Lives Matter抗議活動の拡大に乗じて、2020年6月に月間最高ダウンロード数を記録した(米国全体が警察の残忍な行為に抗議する中、67万7000人の市民が警察アプリをダウンロードした)。しかし、その翌月のダウンロード数は20万7000件に低下し、以降、2020年3月は29万2000件、2021年3月は28万3000件と、ダウンロード数は頭打ちになっている。

Daily Dot(デイリー・ドット)は6月「ランドン」とうい名前のユーザーが1日に複数の犯罪現場からライブ配信を行ったという記事を掲載した。こうした犯罪現場に偶然出くわす頻度からして、この人物は単なる熱狂的なアプリユーザーではないように思われた。昨日もニューヨークポストに、1日で6つの犯罪現場をCitizenでライブ配信した「クリス」という名前の別のユーザーの記事が掲載された。Citizenによると、ランドンもクリスも、Street Team(ストリートチーム)のメンバーとしてアプリでの犯罪通報を行っているという。

「Citizenではいくつかの都市にチームを配置しています。これらの都市では、Citizenプラットフォームの動作方法をデモし、まさに犯罪が発生しようとしている状況での責任のある配信行為の見本を示すためにアプリを利用できます。最終的には、これらのチームが、効果的、有用かつ安全に配信を行う方法をユーザーに示すことになると信じています」とCitizenの広報担当は語った。

Citizenはアプリの立ち上げ以来、ストリートチームを配置しており、その事実を隠そうとしたことはないと同社の広報担当はいう。しかし、このストリートチームの仕事はCitizenのウェブサイトでは求人されておらず、Flyover Entertainmentというサードパーティのリクルート業者がJournalismJobs掲示板でCitizenの名前を出さずに求人広告を出している。NYU Journalismのウェブサイトでも、同じような求人広告を掲載しているが、こちらにはCitizenという名前が明記されている。Citizenによると、これらはどちらも、Citizenのストリートチームの求人広告だという。報酬は、ロサンゼルスでは10時間のシフトで250ドル(約2万7000円) / 日、ニューヨークでは8時間のシフトで200ドル(約2万2000円) / 日(25ドル[約2700円] / 時)となっている。

「放送記者たちには安全に責任を持って放送してきた経験があります。これこそストリートチームのメンバーに必須の条件です」とCitizenの広報担当は語り、これらの求人広告がCitizenのウェブサイトではなくサードパーティの求人掲示板に掲載されている点については、Citizenは本職の記者を求めていたからだという点を強調した。ただ、自社のウェブサイトでも本職の記者を募集することはできたと思われる。

監視による自警主義に対する懸念はさておき、ローカルニュースは瀕死状態であるし、Citizenは個人ジャーナリズムに替わるものとして開発されたわけではない。もちろん、地域の新聞も犯罪を報道するわけだし、詳細を調べるために報道記者を犯罪現場に送るというCitizenのやり方も前例のないことではない。しかし、ニュース報道と、監視アプリを使った犯罪現場からのライブ配信とでは意味が違う。しかも、Citizenは本職の記者が配信したのか、それとも一般市民が配信したのかを質問されない限り明らかにしない。「透明性の向上」を謳い文句にしているアプリにしては、求人広告に自社名を明記しないというのは透明性が高いとは思えない。また、福利厚生も有給もないのに、しっかりとした放送スキルを要する不定期のフリーランスの仕事にしては、時給25ドルというのはかなり低い報酬と言わざるを得ない。

現在、Citizen’sは、成長を目指す最新の試みとして、月額19.99ドル(約2200円)のProtectと呼ばれる有料サービスを提供している。このサービスを利用すると、ユーザーは、自分のカメラからProtectエージェントに自分の居場所とライブストリームを送ることができる。Citizenによると、Protectエージェントには、前警察官や911オペレーターが在籍しており、緊急時には「緊急対応部隊」を派遣できる。これは、個人向けの911オペレーターに料金を支払っているようなものだ。今でさえお粗末な警察システムのお粗末な代替システムのような感じだ。ユーザーが犯罪を恐れるほど、自分たちの身を守ってくれると信じて月額サブスクリプションサービスに料金を支払う動機も高まる。ニューヨーク市議会議員のJustin Brannan(ジャスティン・ブラナン)氏は、次のように書いている。「自分の近辺で起こった犯罪を絶えず把握できれば、都市の犯罪発生率が現在歴史的低水準になっているとはいえ、ユーザーは多少は安心できます。ただし、脱走したトラが実はアライグマだったなどということもあります」。

おそらくシリコンバレー育ちのテック企業では、1世紀近くの長きに及ぶ米国の警察の残忍行為、人種プロファイリング、監視を抑えることはできないのかもしれない。犯罪を減らすには、すべての人が医療施設を利用でき仕事にありつけ手頃な価格の住宅を購入できるようにしたほうが、よほど効果的なのかもしれない。答えは誰にもわからない。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:CitizenジャーナリズムマスコミアプリApp Store透明性犯罪

画像クレジット:Citizen

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)

ウェブアプリを検索可能にするCommandBarはエンゲージメントツールとしても人気

CommandBarを創業したJames Evans(ジェームズ・エヴァンス)氏とRichard Freling(リチャード・フレリング)氏、そしてVinay Ayyala(ヴィネイ・アイヤラ)氏は、あるソフトウェアプロジェクトに従事していたとき、ソフトウェアの中に何かの機能を見つけてアクセスしようとすると、それが意外と難しいことに気づいた。

そうひらめいた彼らは、2020年にチームを組んで、ソフトウェアをもっと使いやすくするための埋込み型検索ウィジェットの構築を開始した。

エヴァンス氏はTechCrunchに対して「このようなパラダイムは便利なはずなのですが、実際に作るのは困難でした。そこで、私たちがそれを作ったのです」と述べた。

米国時間8月9日、CommandBarはベータを脱し、Thrive Capitalがリードする480万ドル(約5億3000万円)のシードラウンドを発表した。参加した投資家は、Y CombinatorとBoxGroup、そしてエンジェル投資家のNaval Ravikant(ナヴァル・ラヴィカント)氏、Worklife VenturesのBrianne Kimmel(ブリアンヌ・キンメル)氏、StitchFixの社長Mike Smith(マイク・スミス)氏らだ。

CommandBarのB2Bツールは「command k」と呼ばれ、ソフトウェアをもっとシンプルで速くすることを狙っている。その技術はウェブアプリケーション上に置かれる検索エンジンで、ユーザーはシンプルなキーワードでそのアプリケーションの機能にアクセスできる。また、紹介などの推奨プロンプトで、新規ユーザーをアナウンスすることもできる。

Clubhouseの中のCommandBar(画像クレジット:CommandBar)

ユーザー企業は、1行のコードをペーストするだけでCommandBarを統合でき、構成ツールを使って、そのアプリケーションに関連するコマンドを迅速に加えることができる。このプロダクトは意図的にローコードとして設計されているので、顧客企業のサクセスチームが技術者のサポートなしで構成を加えれられる、とエヴァンス氏はいう。

しかし最初は売りにくかった。初期に特に難しかったのは、顧客企業がその顧客や投資家にCommandBarがやることを理解させることだった。

「電話で説明するのは難しいので、Zoom上で見てもらいました。そうすると、アプリケーションの中でそれが使われる様子がよくわかるので、販売しやすくなりました。そこから、多くの新規ユーザーを獲得できるようになりました」とエヴァンス氏はいう。

CommandBarはすでにClubhouse.ioやCanix、Stackerなども使っており、数十万のユーザーの役に立っている。CommandBarの最も多いユースケースは、新入社員などのソフトウェアの使い方の練習や訓練だ。

エヴァンス氏によると、今回得られた資金はエンジニアリングと営業とマーケティングで人を増やし、チームを大きくすることに使いたい。ベータテストは成功し、初期の顧客から好評が得られた。エヴァンス氏はその結果を、年内に予定している今後の新しいプロダクトや機能性にも活かしたいという。

Thrive Capitalの投資家であるVince Hankes(ヴィンス・ハンクス)氏は、CommandBarのプレシードの投資家の1人からCommandBarを紹介された。

彼はかねてから、B2Bのソフトウェア企業やアプリケーションに関心があり、その分野で彼が最近気になるのは、アプリケーションの単純性と機能性の間に、当然のようにテンションがあることだ。

彼によると、アプリケーションはパワーユーザーにとっても使いづらいことがときどきあるが、CommandBarはユーザー企業による構成が適切なら何でも簡単にできる。たとえばパスワードのリセットの仕方を知りたければ、「password」というワードで検索すればよい。すると、そのページへ直行できる。

「彼らのプロダクトに興味を持っている企業の種類は、とても印象的です」とハンクス氏はいう。「目立たない幅広い企業からの需要が見え始めました。実際、彼らはCommandBarを、より深いカスタマーエンゲージメントのためのツールとして使っているのです」。

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

プライバシーとパーソナライズを両立する検索エンジンXaynが日本のKDDIやGlobal Brainなどから約13億円調達

TechCrunchは2020年12月に新しいスマホアプリベースの検索エンジンXayn(ゼイン)を取り上げた。

「検索エンジン!?」。そういうのはわかる。個人に合わせて検索結果を調整する現代の検索エンジンの能力は便利なものだが、そうしたユーザー追跡はプライバシーを犠牲にしている。いくつか例を挙げると、この監視社会はGoogle(グーグル)の検索エンジンやFacebook(フェイスブック)のターゲティング広告を改善しているかもしれないが、我々のプライバシーにとってはあまり良くない。

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もちろんインターネットユーザーは米国拠点のDuckDuckGoや、フランスのQwantなどに切り替えることができるが、プライバシーで得られるものがある代わりに、検索結果の調整の欠如によりユーザーエクスペリエンスや検索結果の適切性が往々にして損なわれる。

ベルリン拠点のXaynが提案しているのは、パーソナライズされているもののプライバシーが守られているスマホでのウェブ検索だ。これはGoogleが展開するクラウドベースのAIや、現代のスマートフォンにビルトインされているAIに代わるものだ。結果として、あなたに関するデータはXaynのサーバーにアップロードされない。

このアプローチは「プライバシー熱烈支持者」のためだけではない。検索を要するがGoogleのマーケットにおける支配的地位は必要としないという事業者もこのモデルにますますひきつけられている。

その証拠が8月9日に明らかになった。Xaynは、日本のベンチャーキャピタルGlobal Brain(グローバル・ブレイン)と通信事業者KDDIがリードしたシリーズAラウンドで約1200万ドル(約13億円)を調達した。本ラウンドには既存投資家であるベルリンのEarlybird VCなども参加し、Xaynの累計調達額は2300万ドル(約25億円)を超えた。

Xaynの検索エンジン、ディスカバリーフィード、そしてモバイルブラウザの融合はこうしたアジアマーケットの企業にアピールしてきたようだ。というのも、特にXaynはOEMデバイスに組み込むことができるからだ。

今回の投資を受け、Xaynは日本を皮切りとするアジアマーケット、ならびに欧州マーケットに注力する。

Xaynの共同創業者でCEOのLeif-Nissen Lundbæk(リーフ−ニッセン・ルンドベック)氏は次のように述べた。「我々はXaynで、パーソナライゼーションを通じたすばらしい検索結果、高度なテクノロジーを使ったプライバシー重視デザイン、そしてクリーンなデザインを通じた便利なユーザーエクスペリエンスのすべてを手にすることができると証明しました」。

そして「データーを販売し、多くの広告を表示するのが常態となっている業界にあって、当社はプライバシーを優先し、ユーザーの満足を中心に据えることを選びました」と付け加えた。

今回の資金調達は、 EUのGDPR(一般データ保護規則)やカリフォルニア州のCCPA(消費者プライバシー法)といった法制化がオンライン上の個人データについて市民意識を高めてきた中でのものだ。

リリース以来、Xaynのアプリは世界で21万5000回ダウンロードされ、アプリのウェブバージョンも間もなく展開される、と同社は話す。

電話取材で、ルンドベック氏は資金調達にともなうKDDIの役割について詳しく話した。「KDDIとの提携は、我々がユーザーにXaynへのアクセスを無料で提供することを意味します。KDDIのような企業が実際の顧客でありながら、KDDIが当社の検索エンジンを無料で提供します」。

Xaynの基本的な特徴には、パーソナライズされた検索結果がある。個人データの収集や共有はせずに、Tinderのようなスワイプから学ぶインターネット全体のパーソナライズされたフィードだ。そして広告なしのエクスペリエンスも提供される。

グローバル・ブレインのパートナー、上前田直樹氏は次のように述べた。「プライベートオンライン検索のマーケットは成長していますが、Xaynはオンラインでの情報収集がどのようにあるべきか、その再考法において他社より抜きん出ています」。

KDDI Open Innovation Fundの責任者である中馬和彦氏は「この欧州のディスカバリーエンジンは効率的なAIにプライバシー保護重視とスムーズなユーザーエクスペリエンスを独自に組み合わせています。KDDIは、専門性とテクノロジーで未来を形作ることができる企業に目を光らせています。ですので、今回の取引は当社に完璧にマッチするものでした」。

共同創業者であるCEOのリーフ−ニッセン・ルンドベック氏、最高研究責任者のMichael Huth(マイケル・フート)教授、最高執行責任者のFelix Hahmann(フェリックス・ハーマン)氏に加え、Daniel von Heyl(ダニエル・フォン・ヘイル)博士が最高財務責任者として取締役会に加わり、Frank Pepermans(フランク・ペパーマンズ)氏が最高テクノロジー責任者に、Michael Briggs(マイケル・ブリグズ)氏が最高事業成長責任者に就く。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:プライバシー検索エンジンKDDI資金調達スマートフォンアプリパーソナライズXayn

画像クレジット:xayn team

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

「LoL」などに対応、ゲーム中にAIがアドバイスしてくれるアプリをSenpAI.GGが開発

ほとんどの人気が高いオンラインゲームでは、上手い人と下手な人の間には膨大な差がある。カジュアルなプレイヤーは、他のカジュアルなプレイヤーとであれば互角に戦えるかもしれないが、気まぐれに現れるプロのプレイヤーは、まるで別のルールでプレイしているかのように、全員を噛み砕いてしまう。

そんなとき、AIで生成された声が耳元でアドバイスしてくれたら、その差を少しでも縮めることができるかもしれない。Y Combinator(Yコンビネータ)の最新バッチで登場したSenpAI.GGという会社は、そう考えている。

前述したようなギャップは、その多くが、練習、筋肉の記憶、そしてはっきり言えば、生まれつきの能力に起因する。しかし、ゲームがリリースされてから時間が経ったり、大規模になったり、複雑になったりすると、優秀なプレイヤーはある重要なリソースを豊富に持とうとする傾向がある。たとえ、それを収集することが楽しいと思わなくても。そのリソースとはつまり、情報だ。

この距離ではどの銃が一番ダメージが大きいか?このマップであのキャラに対抗するにはどのキャラが最適か?ゲームを起動したときに画面に表示された「マイナーアップデート」で一体何が変わったというのか?おい待てよ、俺のお気に入りの武器はなんで急に操作しづらくなったんだ?

プレイヤーが新たな戦術を発見したり「メタ」が変化していく中で、これらすべての情報を常に把握しておくことは、それだけで大変なことである。そのためには、多くのTwitch(ツイッチ)ストリームに目を配り、多くのReddit(レディット)のスレッドを掘り下げ、多くのパッチノートを精読する必要がある。

SenpAI.GGは、そのような情報をより多く自動的にすくい上げ、新たなプレイヤーがより早く上達できるように支援することを目指している。同社のデスクトップクライアントは、役立つと思われる情報や、ゲーム後の戦略の分析をユーザーに提示し、まだ追えていないものについては、ゲーム中に音声で知らせてくれる。

現在のところは「League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド)」「Valorant(ヴァロラント)」「Teamfight Tactics(チームファイト タクティクス)」といったゲームに対応しており、提供される情報はゲームごとに異なる。例えば「LoL」では、両チームの選択したチャンピオンを見て、最も役に立つチャンピオンを推薦してくれる。Valorantでは、チームメイトの1人の体力が低下していることを音声で知らせたり(そのチームメイトが回復してくれと叫び始める前に)、リロードを忘れているときや、スパイク(ゲームを終わらせる爆弾)が爆発するまでの時間を教えてくれる。

League of Legendsのゲーム中に、役に立つ情報をオーバーレイ画面で提供してくれるSenpAI.GGのアプリ(画像クレジット:SenpAI.GG)

情報を提供することと同じくらい重要なのが、提供しない情報だ。SenpAI.GGの創設者であるOlcay Yilmazcoban(オルカイ・イルマズコバン)氏とチャットで話したところ、同氏は「アシスタント」と「チートツール」の間には明確な境界線があることを非常に意識しているようだった。同社では、一線を越えることなく、プレイヤーがBANされないように、一定のルールを守っている。

例えば、アプリがプレイヤーに代わってアクションを起こすことはない。「あのチームメイトを回復させたほうがいい」と音声で伝えることはあっても、プレイヤーの代わりにボタンを押したりはしない。プレイヤーのスクリーンに表示されているものから、リアルタイムで洞察を生成するだけであり、実行中のプロセスの裏に隠されたものは一切ない。また、同じアプリを起動しているチームメイトから見えているからといって、他のプレイヤーに敵の位置を知らせたりすることもない。つまり、けっして「ウォールハック」と呼ばれる行為を可能にするツールではなく「あなたの肩越しに画面を見てアドバイスしてくれる優秀なプレイヤー」だと考えて欲しい。SenpAI.GGは、各ゲーム開発者が定めている競技上の公平性に関するガイドラインの範囲内で、承認された / 提供されたAPIとのみ連携すると述べている。

これは良いアイデアだ。なぜなら、決して古くならないからだ。新しいゲームをサポートするたびに、新しい潜在的な顧客を得られることになる。一方で、古いゲームでは使えなくなったり、知識が古くなって役に立たなくなったりもしない。ゲームに必要な情報をまとめた大きな本は、ゲームが出てから時間が経ち、パッチが増えるにつれて、より大きく、より複雑になりがちだ。何年もプレイしているゲームの中には「おっと、いま手にした銃は、前にプレイしたときよりも反動が大きくなっていますよ」と言ってくれる音声アシスタントが欲しいと思うものがある。SenpAI.GGはまだそこまでは行っていないものの、成長していける余地は非常に大きい。

イルマズコバン氏によると、現在のアクティブユーザー数は40万人以上で、同社のチームでは11人が働いているとのこと。アプリの基本使用料は無料だが、今後は月額数ドル(約数百円)で高度な機能を提供することも計画しているという。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:SenpAI.GGアプリゲーム人工知能

画像クレジット:SenpAI.GG

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

語学学習のDuolingoが子供向け数学アプリを開発中、CEOが明言

フクロウをモチーフにした語学アプリで知られるDuolingo(デュオリンゴ)が、新たに数学アプリを開発中であるとCEOのLuis von Ahn(ルイス・フォン・アン)氏が明らかした。共同創業者である同氏が先に行われたインタビューの中で、そのアプリについて言及した。同社はインタビューが行われたのと同じ日に、正式に株式市場に上場した。

インタビューの後、TechCrunchはDuolingoにアプリの詳細について問い合わせたが、同社は開発プロセスの「非常に初期の段階」であることを理由に、詳細な情報の提供を断った。だが、同社が毎年開催している無料カンファレンス「Duocon」で、ユーザーは8月末にこのアプリについて詳しく知ることができるかもしれないと述べた。5月に掲載された求人情報によると、同社は「小規模なクロスファンクショナルチーム」と一緒に新しい数学アプリを開発する数学の博士号を持つ学習科学者を募集している。

求人情報によると、このアプリは若い学習者向けのものであるようだ。採用候補者には、K-12(日本の高校3年生に相当)レベルの数学、特に3〜8年生(日本の小学3年生から中学2年生に相当)までの若い生徒を対象とした授業の経験と知識を求めていると記載されている。

Duolingoの現在のユーザーは、Duolingoが数学に参入することについて複雑な気持ちを抱いているようだ。

IPO当日のインタビューでCEOのルイス・フォン・アン氏は、ユーザーはDuolingoが数学アプリを推し進めていくのを目の当たりにするかもしれないと語った。また、今後の買収によっては、言語学習以外の分野にも拡大していくと話した。この発言は、Duolingoがまったく新しいソフトウェアやカリキュラムに大量のリソースを投入するかもしれないという懸念を解消するかもしれない。

「もし他の分野で、誰かがかなり良い仕事をしていて、我々と同じようなミッションを持ち、同じような企業文化を持っていると思われる場合、Duolingoはその会社の買収を検討するかもしれません」とフォン・アン氏はインタビューで語った。

数学に特化したEdTech企業には、Khan Academy、Brilliant.orgPhotomathNumerade、そして最近買収したSymbolabなどがある。

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Duolingoにとってこの数学アプリは、同社の実験の歴史に新たな1ページを加える。同社は創業から10年間で何百ものアイデアを生み出してきたが、その成功の度合いはさまざまだった。

ここ数年は、子ども向けの読み書きアプリ「Duolingo ABC」や「Duolingo English Test」など、コアアプリ以外の製品群を開発してきた。一方で、Duolingoの失敗したアイデアの「墓場」には、撤退したマネタイズ戦略やAIを搭載したチャットボットなどがある。リーダーボードのような人気のある機能は、成功する前にくすぶってしまった。そして数学は、興味深いことに、常にフォン・アン氏の頭の片隅にあった。

Duolingo EC-1でも紹介されているが、フォン・アン氏は、同氏と共同創業者のSeverin Hacker(セベリン・ハッカー)氏が、最終的に語学に特化すると決める前に、Duolingoを数学アプリにしようと考えていたと常々言っている。

「私は数学が大好きですが、数学を学んでも、数学そのものがお金になるわけではありません」とフォン・アン氏は以前のインタビューで話している。「エンジニアになるには物理学を学びますが、そのために数学を学びます。一方、英語の知識は世界のほとんどの国で収入を増やす可能性を直接的な形で向上させます」。

あるユーザーは「数学は学ぶべき重要なスキルだ。これによって、特にアクセスが限られている人たちに、より良いリソースを提供できるかもしれない。一方で、より多くの機会に恵まれている人たちには刺激的であり、同様に魅力的なものとなるだろう」と書いている

また、Duolingoに対し、他の分野への進出を検討する前に、言語学習サービスにもっと投資するよう望む声もあった。「まだまだカバーすべき言語がある(フランス語とスペイン語を除く)のに、数学への進出を検討するのは奇妙だ」とあるユーザーは書いている。

同社が教えられるのは、欧州言語共通参照枠(CEFR)に基づく初級から中級下レベルまでの語学力のみだ。同社が5月に発表した指標によると、Duolingoのコースの約30〜40%がCEFRと整合しているという。

Duolingoの数学アプリがどのようなものか、何を提供してくれるのか、収益化されるのかどうかを想像するのは時期尚早かもしれない。いずれにせよ、このアプリはDuolingoにとって、言語以外の教育分野への初めての正式な進出となる。

同社は、製品だけでなく、この2つのテーマの間に哲学的な重なりを見つける必要がある。語学は文化的な背景やニュアンスによって恩恵を受けられるスキルであり、数学は1つの正解にたどり着くことを目標に進む。しかし、どちらの教育分野でも、几帳面な思考と、答えを導き出すために関数を応用する能力が必要だ。最終的には、どちらもDuolingoが最大の製品だと主張する、アプリを開き、画面で起こっていることに注意を払おうとする動機に依存している。

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カテゴリー:EdTech
タグ:語学学習Duolingoeラーニング数学アプリ子ども

画像クレジット:Duolingo

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi

急成長中の「ポイ活」アプリ、進むビジネスでの位置情報活用

近年、ビジネスにおける位置情報活用が進んでいる。位置情報関連サービスの中で特に成長著しいのが、移動に応じてユーザーがポイントを貯める「ポイ活」関連のサービスだ。スマホアプリ市場でも注目を集めている。地図DXサービスを提供するData InsightでCAOを務める伊達慶明氏は「主要なポイ活アプリのユーザー数は増え続けています」という。同氏がポイ活アプリの市場動向と主要プレイヤーの動きを解説する。

本記事は位置情報DXカンファレンス 2021July中のセッションを編集・再構成したものとなる。

「ポイ活」とは何か?

位置情報を活用したサービスは数多くある。BtoBではGoogleやゼンリンによる地図提供サービス、広告ソリューション、位置情報の分析 / 解析ソリューション、位置情報で顧客を誘導するOMOソリューション、ビーコンを使ってユーザーにプッシュ通知を送るようなIoTソリューションがある。BtoCでは地図サービス、乗り換えをサポートする交通案内サービス、行った場所を記録する記録サービス、IngressやポケモンGOのようなゲーム、チェーン店の位置情報を提供するマッピングサービス、ユーザーの移動に応じてポイントを付与するポイ活サービスがある。

ポイ活サービスは大きく2つに分けることができる。1つ目は「ショッピングのポイント還元を求める活動」。2つ目は「何かしらの行為の報酬としてポイントを稼ぐ活動」だ。伊達氏は今回、後者を中心にポイ活を解説する。

主要ポイ活アプリのMAU(月間アクティブユーザー)の過去2年ほどのCAGR(年平均成長率)は299%と高い

さまざまな種類があるポイ活アプリ

「何かしらの行為の報酬としてポイントを稼ぐ活動」のポイ活アプリだが、さらに2つのパターンに分かれる。「ユーザーに移動してもらうポイ活アプリ」と「ユーザーにデータを提供してもらうポイ活アプリ」だ。

前者は移動した距離に応じてポイントを稼ぐものと、店舗などの特定の場所に行ってポイントを稼ぐものがある。後者はレシートやイラスト用の画像を投稿することでポイントを集めるもの、アンケートに回答してポイントを集めるものなどがある。

移動した距離に応じてポイントを稼ぐポイ活アプリでは、広告動画視聴やヘルスケア情報の利用でマネタイズを行い、店舗などの特定の場所に行くポイ活アプリは店舗からの送客フィーでマネタイズし、画像を投稿するポイ活アプリではレシートデータやイラスト用写真を企業に売却することでマネタイズを行う。また、アンケート型のポイ活アプリでは回答を企業に売却したり、マーケティングに活用する。

移動した距離に応じてポイントを稼ぐポイ活アプリには、トリマやaruku&がある。ユーザーには30〜50代の男性が多く、アクティブ率が高い傾向にある。休眠ユーザーは30%程度だ。ユーザーは類似のアプリを併用することが多い。

店舗などの特定の場所に行くポイ活アプリの例は、楽天チェックだ。こちらもユーザーは30〜50代の男性が多い。しかし、移動した距離に応じてポイントを稼ぐポイ活アプリに比べ、アクティブ率が低い。

画像を投稿するポイ活アプリには、ONEやCODEがある。ユーザー層の中心は30代女性。アクティブ率は高く、ユーザーは類似アプリを併用する傾向がある。

アンケート型のポイ活アプリの例としてはマクロミルが挙げられる。中心的ユーザーは40代男性と30代女性。アクティブ率が高く、ヘビーユーザーが30%と多い。こちらもユーザーは類似アプリを併用する傾向が強い。

成功に必要な差別化と併用による共存共栄

伊達氏はポイ活アプリの重要成功要因として「ついで感」と「高還元」を挙げる。中でも成功しているのが「トリマ」と「マクロミル」だ。

同氏によると、トリマはポイントが貯まっていることを視覚的に感じられるタンクのデザインが生かされており「移動中にお金を稼げている」という感覚を感じやすくなっているという。さらに、広告動画視聴でもポイントを付与しており、これが高いアクティブに繋がっていると考えている。また、マクロミルはアンケートに回答するたびに10円分のポイントが付与され、高還元になっている。

伊達氏は「ポイ活アプリ市場は一見魅力的ですが、後発参入者はアプリの差別化が必須になります。とはいえポイ活アプリ市場は急成長しており、主要5アプリの直近1年のMAUは計1000万人以上増えています。また、多くの場合、ユーザーはあるアプリをインストールすると同様のアプリはインストールしませんが、ポイ活アプリユーザーは類似のアプリを併用することが多いので、新規参入者にとっても『共存共栄』できる環境です。成功するポイ活アプリを目指すのであれば、先ほど挙げた『ついで感』と『高還元』を重視し、ユーザーがストレスフリーにポイントを集められる仕組みが重要になるでしょう。主要ターゲットは30代、40代なので、それを意識したUI設計も必要です」と分析する。

これからポイ活アプリに参入するには、差別化が重要になるが、具体的には何が差別化要因になり得るのだろうか。伊達氏は「データと地図の組み合わせ」が鍵になると見ている。その根拠は食べログとInstagramだ。

食べログは2020年、アップデートを行い、地図上で飲食店を検索できるようにした。これにより、ポジティブなレビューが増えてきた。一方Instagramはこれまでハッシュタグが主な検索が方法だったが、人気の飲食店などを地図上で検索できるように2021年5月からベータ版が実装された。この機能はまだ一部でしか利用できないが、話題になっている。これからポイ活アプリに参入しようとしている企業は参考にしてみると良いかもしれない。

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タグ:位置情報地図ポイ活アプリ