「LoL」などに対応、ゲーム中にAIがアドバイスしてくれるアプリをSenpAI.GGが開発

ほとんどの人気が高いオンラインゲームでは、上手い人と下手な人の間には膨大な差がある。カジュアルなプレイヤーは、他のカジュアルなプレイヤーとであれば互角に戦えるかもしれないが、気まぐれに現れるプロのプレイヤーは、まるで別のルールでプレイしているかのように、全員を噛み砕いてしまう。

そんなとき、AIで生成された声が耳元でアドバイスしてくれたら、その差を少しでも縮めることができるかもしれない。Y Combinator(Yコンビネータ)の最新バッチで登場したSenpAI.GGという会社は、そう考えている。

前述したようなギャップは、その多くが、練習、筋肉の記憶、そしてはっきり言えば、生まれつきの能力に起因する。しかし、ゲームがリリースされてから時間が経ったり、大規模になったり、複雑になったりすると、優秀なプレイヤーはある重要なリソースを豊富に持とうとする傾向がある。たとえ、それを収集することが楽しいと思わなくても。そのリソースとはつまり、情報だ。

この距離ではどの銃が一番ダメージが大きいか?このマップであのキャラに対抗するにはどのキャラが最適か?ゲームを起動したときに画面に表示された「マイナーアップデート」で一体何が変わったというのか?おい待てよ、俺のお気に入りの武器はなんで急に操作しづらくなったんだ?

プレイヤーが新たな戦術を発見したり「メタ」が変化していく中で、これらすべての情報を常に把握しておくことは、それだけで大変なことである。そのためには、多くのTwitch(ツイッチ)ストリームに目を配り、多くのReddit(レディット)のスレッドを掘り下げ、多くのパッチノートを精読する必要がある。

SenpAI.GGは、そのような情報をより多く自動的にすくい上げ、新たなプレイヤーがより早く上達できるように支援することを目指している。同社のデスクトップクライアントは、役立つと思われる情報や、ゲーム後の戦略の分析をユーザーに提示し、まだ追えていないものについては、ゲーム中に音声で知らせてくれる。

現在のところは「League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド)」「Valorant(ヴァロラント)」「Teamfight Tactics(チームファイト タクティクス)」といったゲームに対応しており、提供される情報はゲームごとに異なる。例えば「LoL」では、両チームの選択したチャンピオンを見て、最も役に立つチャンピオンを推薦してくれる。Valorantでは、チームメイトの1人の体力が低下していることを音声で知らせたり(そのチームメイトが回復してくれと叫び始める前に)、リロードを忘れているときや、スパイク(ゲームを終わらせる爆弾)が爆発するまでの時間を教えてくれる。

League of Legendsのゲーム中に、役に立つ情報をオーバーレイ画面で提供してくれるSenpAI.GGのアプリ(画像クレジット:SenpAI.GG)

情報を提供することと同じくらい重要なのが、提供しない情報だ。SenpAI.GGの創設者であるOlcay Yilmazcoban(オルカイ・イルマズコバン)氏とチャットで話したところ、同氏は「アシスタント」と「チートツール」の間には明確な境界線があることを非常に意識しているようだった。同社では、一線を越えることなく、プレイヤーがBANされないように、一定のルールを守っている。

例えば、アプリがプレイヤーに代わってアクションを起こすことはない。「あのチームメイトを回復させたほうがいい」と音声で伝えることはあっても、プレイヤーの代わりにボタンを押したりはしない。プレイヤーのスクリーンに表示されているものから、リアルタイムで洞察を生成するだけであり、実行中のプロセスの裏に隠されたものは一切ない。また、同じアプリを起動しているチームメイトから見えているからといって、他のプレイヤーに敵の位置を知らせたりすることもない。つまり、けっして「ウォールハック」と呼ばれる行為を可能にするツールではなく「あなたの肩越しに画面を見てアドバイスしてくれる優秀なプレイヤー」だと考えて欲しい。SenpAI.GGは、各ゲーム開発者が定めている競技上の公平性に関するガイドラインの範囲内で、承認された / 提供されたAPIとのみ連携すると述べている。

これは良いアイデアだ。なぜなら、決して古くならないからだ。新しいゲームをサポートするたびに、新しい潜在的な顧客を得られることになる。一方で、古いゲームでは使えなくなったり、知識が古くなって役に立たなくなったりもしない。ゲームに必要な情報をまとめた大きな本は、ゲームが出てから時間が経ち、パッチが増えるにつれて、より大きく、より複雑になりがちだ。何年もプレイしているゲームの中には「おっと、いま手にした銃は、前にプレイしたときよりも反動が大きくなっていますよ」と言ってくれる音声アシスタントが欲しいと思うものがある。SenpAI.GGはまだそこまでは行っていないものの、成長していける余地は非常に大きい。

イルマズコバン氏によると、現在のアクティブユーザー数は40万人以上で、同社のチームでは11人が働いているとのこと。アプリの基本使用料は無料だが、今後は月額数ドル(約数百円)で高度な機能を提供することも計画しているという。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:SenpAI.GGアプリゲーム人工知能

画像クレジット:SenpAI.GG

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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