中国から初めてYCに採択されたStrikinglyはシンプルなモバイルサイト作成ツール

少し前の話なるがInfinity Ventures Summit(IVS)で、この春にY combinatorを卒業したウェブサイト制作ツールのStrikinglyのCEOのDavid Chen氏と話をする機会を得た。Strikinglyはローチン後6カ月経つサービスだが、すでに数万のユーザーがいて、日本でも多くのユーザーを獲得しているのだという。IVSが開催された日にはちょうど日本語版がベータ版としてリリースされている。

ウェブサイト制作ツールなんて何度も登場してきているから今さら何をという気もするかもしれない。実際、彼らはY combinatorに採択されるために挑戦はしては見るものの一度は落とされている。だが、彼らのウェブサイト制作に対する取り組みはこれまでのものとは一線を画している。Strikinglyはとにかく目指しているのはシンプルさ、だ。これはスマートフォンやスマートデバイスでのウェブサイトに焦点を当てているためだ。シンプルだからStrikinglyで作れるサイトのページ数はたった1ページだ。でも驚かないで欲しい。これで十分にウェブサイトの機能を果たしているのだ。

ユーザーになってみればすぐわかるのだが、シンプルではあるがテンプレートは十分用意されていて、画像や見出しや文章などは直感的に編集できるようになっている(下画面参照)。なにせ1ページを編集するだけだから構造は簡単で、複雑な操作は必要ない。Chen氏いわく10分から15分でひと通りのサイト作成ができるようにしているという。できたページはPCやマックのブラウザーでは当然のようにきれいに表示される。ただ、本領を発揮するのはスマートフォンやタブレットでのブラウザー表示だろう。タッチデバイスでの操作は1ページで構成されているサイトのほうが扱いやすいのがよくわかる。


Chen氏はデスクトップとモバイルウェブサイトは違うものだという。だから、スクロールさせるようなスライド形式のサイトとして、モバイルに特化したユーザーインターフェイスにしたのだそうだ。いまのところはモバイルにフォーカスしていて、PCのデザインは今後考えていくという。

Strikinglyは中国本土から応募して初めてY combinatorに採択されたチームなのだそうだ。現在は北京に拠点を置いてサービスを開発している。目下のところ人材獲得に勤しんでいるようだが、中国初のY combinatorチームだから採用には事欠かないだろういうことだった。

現在のところ、Strikinglyでサイトを作るにはPCのブラウザーでの操作が必要になる。スマートフォンからのページ作成はできないようで、対応は考えているとのことだったが、すぐには実装される気配はなかったが、フィーチャーフォン時代のときの日本のモバイルサイトの隆盛を振り返って考えてみると、モバイルサイトを多くのユーザーに作成させたいならスマートフォンだけでサイト作りを完結できるほうがいいのだろう。


ユーザー行動分析ツールを提供するpLuckyがCAVから資金調達を実施

Webサービスやアプリを運営する上で、ユーザーの行動を分析することは重要だ。ログイン後にある特定のアクションをしたユーザーの継続率が上がるとわかるのであれば、そのアクションへ誘導した方が良いだろう。ゲームであれば、登録3日後の利用率が激減してしまっているのであれば、その前に継続的に利用してもらうためのボーナスを与えるのも良いかもしれない。

このようにデータを取得し、サービスの改善に繋げることは現代では当たり前になっているが、自前でツールを作成することは時間がかかるし、難しい。だから米国ではmixpanelのようなツールが人気だし、その需要を見込んでSequoia Capitalなどが出資をしている。そして、日本でも同様にユーザー行動分析ツール「SLASH-7 」を提供するpLuckyがサイバーエージェント・ベンチャーズから資金調達を実施したことを発表している。額面は非公開だ。

SLASH-7はクローズドβで運営されているので、まだ知らない方も多いだろう。このサービスはユーザーの属性と行動を紐づけて、詳細に分析してくれるものだ。特徴的なのはユーザー1人1人を区別し、彼らの行動を細かく追って分析する点だ。

Google Analyticsでは全体的なユーザーのフローや、DAU、MAU、PVといった基本的な指標は分析できるものの、ユーザーのアクションを分析することに関しては適していない。一方SLASH-7では個々のユーザーに焦点を当てている。

例えば、ゲームの場合、レベルごとにユーザーの行動を分析することもできる。レベルが10と50のユーザーがログイン後にどのような行動をするのか、レベル10のユーザーはレベルアップのためにすぐにミッションを行い、レベル50のユーザーはミッションにはもう興味がなく、仲間とコミュニケーションを取りたがっているかもしれない。

こうした行動を分析した上で、最終的にどのタイミングでユーザーが課金しているのか、どのくらいの頻度・期間で利用してもらえれば課金へ繋がるのかといった最重要指標のコンバージョンを向上させるための施策を考えることが重要だという。

また、SLASH-7では流入経路ごとの分析も可能だ。Facebook上でのキャンペーンやゲーム情報サイトに広告を打ったりなど、様々なプロモーション方法があるが、どの媒体から獲得したユーザーが一番継続的に使ってくれるのかを知ることでその後の戦略に役立てることができる。

こうした機能の多くは前述のmixpanelでも提供されているが、差別化の要因としてはSLASH-7は料金が安いことがあげられるとpLucky代表取締役社長の林宜宏氏はいう。SLASH-7はGoogleの「Google BigQuery」というビックデータの分析テクノロジーを導入することで、ソーシャルゲームのように大量のデータを取扱うサービスでも低価格で利用できるようにしているという。

料金体系は月額9,800円、29,800円、128,000円とデータ量応じて変わるが、多くのサービスは9,800円のプランで足りるそうだ。

今後は一般公開に向け、人材を強化し、サービスの開発を進めていく。


来月、クラウド写真編集サービスのAviaryが日本支社オープンへ―月刊アクティブ・ユーザー5000万を達成して世界展開を狙う

クラウド写真編集プラットフォームAviaryはiOS、Android、Windows Phone、HTML5の各アプリと親和性が高く、モバイル・アプリのデベロッパーのお気に入りとなっている。最近Aviaryは大きな指標を達成し、さらに成長を加速させようと狙っている。

今日(米国時間5/28)、Aviaryは「先月の月間アクティブ・ユーザー(MAU)は5000万人に達した。これは独自のアプリに加えて、Aviaryの編集機能を利用しているFlickrのようなパートナーを通じての訪問者を合計した数字だ。またわれわれは国際展開の準備を進めており、来月、東京にオフィスをオープンする予定だ」と発表した。

今日公式ブログに掲載された新任のCEOTobias Peggsの投稿によると、「MAUは過去半年で100%の伸びを示した。Aviaryのプラットフォームはこれまでに40億枚の写真を処理した(3月以降のみで3分の1も増加した)」という。

ニューヨークに本拠を置くAviaryはこれまでの成功に満足することなく、国際展開を急いでいる。最初のオフィスがオープンするのは東京だ。Peggsによれば、Aviaryはアジア全体で強い需要があり、東京オフィスはアジア進出の橋頭堡となる。私の取材に対し、Peggsは「来月は自分で東京に行き、人員の採用などオフィス開設の準備する」と語った。

「写真共有疲れが広がっている」などという業界の噂話とは裏腹に、写真共有サービスは画像の生成と共有は人類発生以来の本能だということを裏付けるような盛況だ。特別な知識や技能がなくても簡単に写真の編集ができるスマートなテクノロジーがユーザーを失うことはない。Aviaryはこの分野の新たな世界的プラットフォームになる可能性を十分に秘めている。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


ドローン・ヘリはもはやオモチャではない―UVS Aviaはクアドコプターを遭難者捜索や原子炉監視などのために開発

自律飛行クアドコプターに関する商業的関心は世界中で拡大中だ。最近もAirwareがAndreessen Horowitzから1070万ドルのベンチャー資金を調達しているし、AngelPadが投資するDroneDeployも話題のスタートアップだ。この分野にはベンチャー投資家と起業家が殺到しつつある。

このトレンドは世界の反対側でも起きている。ロシアのUVS Aviaは原子力炉や核廃棄物処理場の監視、遭難者の捜索などに利用できるハイエンドのマイクロ・ドローンの開発を行なっている。

このクアドコプターは重量1kgで、高度100m以上を1時間にわたって飛行できる。価格はさすがに4万ドルもするが、これはロシアの税制によって本体価格とほとんど同額の税金がかかるためと、販売ターゲットとして官庁、軍などを想定しているためだ。ホビー向けの市販クアドコプターは数百ドルしかしないが、15分くらいしか飛べない。これまでにUVS Aviaは数十機の販売に成功しているという。

この機体には赤外線カメラ、暗視カメラを装備できる。また原子炉や放射性廃棄物処理場の上空を飛ぶ場合は放射線防護装置を取り付けられる。

「ホビー向け製品の重量はだいたい100gだ。こちらは1kgだから桁が違う。すべての機能が優れているし、はるかに強固だ」とCIOのMaxim Shaposhnikovは言う。

「こうしたハードウェアはやがて値下がりすることになるが、そうなったときにものをいうのは優れたソフトウェアだ。軍用も含めて多くのドローンは人間が操縦する。しかしわれわれは完全な自律飛行を目指している。最終的には自動的に再充電しながら何ヶ月も飛行できるようにしたい」とShaposhnikovは述べた。

さらにもう一つ開発中のソフトウェア機能は、ドローン相互のコミュニケーションだ。「やがて100機以上のドローンがネットワークを作ってひとつの都市全体を完全に自動でモニタできるようになる」とShaposhnikovは言う。「この業界では皆同じ考えだと思うが、5年後にはドローンの機体価格は大幅に値下がりしているだろう。5時間くらい連続飛行できる新しいバッテリーも開発されているだろう。すべてが進歩する中で差別化のカギとなるのはやはりソフトウェアだ」。

UVS Aviraは非公開のエンジェル投資家から300万ユーロを調達している。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


ポール・グレアム、「Y Combinatorの37社の買収額、評価額は4000万ドル以上」とツイート―全511社の総額は115億ドル

Y Combinatorの共同ファウンダー、ポール・グレアムはそのスタートアップの評価額について興味ある数字をツイートした。グレアムによれば、Y Combinatorはこれまでに511のスタートアップに投資してきたが、そのうち37社は4000万ドル以上ですでに買収されたか、あるいは4000万ドル以上の評価額を受けているという。「511社の買収額ないし評価額の合計は115億ドルに上る」とグレアムは自身の Hacker Newsに書いている。

このツイートを読んでまず気になったのはその37社とはどれとどれだろうということだった。グレアムによればRap Geniusはリストに含まれているそうだ。また買収金額や資金調達ラウンドでの評価額が公表されているYCの卒業生もたくさんある。

FacebookはParseを最近8500万ドルで買収したし、Dropboxの評価額は40億ドルと報じられている。HerokuはSalesforceに2億ドル以上で買収された。Airbnbの評価額は25億ドル、Looptの買収額は4300万ドル、 ZyngaのOMGPOPの買収額は1億8000万ドルなどと伝えられる。Cloudkickの買収額は5000万ドル、 AutoDeskのSocialCamの買収額は6000万ドルだったという。

この他に4000万ドル以上のリストに乗っている可能性が高いのは、Stripe、Weebly、Optimizely、Justin.TV、Xobni、Scribd、Hipmunk、Disqusなどだ。

2011年にGrahamは 「YC出身スタートアップのうち25社が買収され、そのうちの5社の買収額が1000万ドル以上だった」と書いた。しかしその記事によると、残りのすべてのスタートアップの価値の合計はトップ5社の買収額の合計より大きいということだった。昨年、YCは380社目のスタートアップをローンチした。YC出身スタートアップが調達したベンチャー資金の総額は10億ドル、平均すると270万ドルとなる。その後、資金調達総額は15億ドルに更新された。New York Timesは最近の記事でY Combinatorのスタートアップの平均価値は2240万ドルだと報じている。

今日のグレアムの発表は興味深い。 単なる評価額にとどまらず、ここ数年以内にY Combinator出身スタートアップからは1社ないし2社の株式上場がありそうだ。読者が4000万ドル以上の価値があると知っているYCスタートアップがあったらコメント欄で知らせていただきたい。

〔日本版〕 Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール(滑川海彦・高橋信夫共訳)が日経BPから出版されている。 『プラネット・グーグル』などで知られるベテラン・ジャーナリストのランダル・ストロスがY Combinatorに半年常駐し、内部からYCを詳細にレポートしたノンフィクションだ。スタートアップ側だけでなく、ポール・グレアム、妻のジェシカ・リビングストン、「モリス・ワーム」で有名なロバート・モリスらパートナー側の人間像も詳しく書き込まれており、「スタートアップを成功させるシリコンバレー文化」がバーチャル体験できる。機会があれば手に取ってご覧いただきたい。

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音声素材のクラウドソーシングVoip!を提供するGroodがEast Venturesから資金調達を実施

ソーシャルゲームを中心に、スマートフォンアプリのリッチ化が進む中、差別化要因として音声が重要視されてきている。しかし、声優業界は年功序列で若い人達が仕事を受注できないことが多く、トップ層ばかりに仕事が舞い込み、単価が高くなってしまうことに加え、1人の声優がこなせる案件数が限られているので、良い声優を見つけることも難しい。

このようなニーズに応えるべく今年1月にリリースされた音声素材のクラウドソーシングVoip!を運営するGroodがEast Venturesから資金調達を実施したことを発表している。額面は公表されていないが、小額の調達のようだ。

Voip!は発注者が欲しいセリフとキャラクターイメージなどを伝え、声優が自分で収録しファイルをアップロードする。リリースから約4カ月が経過し、1500人以上の声優が登録しているのだが、驚くのはその応募状況だ。

ある案件では220個の音声を募集したところ、約250人の声優が合計6,000個もの音声が提出されたそうだ。平均して1人あたり20個以上もの音声を提出していることになるが、本当にこれだけ提出するのかと疑問に思ったが、声優志望の方が多いことに加え、案件の報酬額も妥当なのでこれだけ応募があってもおかしくないそうだ。

では、実際に応募されている音声の質はどうなのだろうか。以前の記事でもお伝えしたが、私の感覚では普段ゲーム内で聞いている音声と比較しても劣るとは感じなかった(今回は特別にGrood代表取締役社長の原口悠哉氏がサンプル音声を提供してくれた:女性キャラクター、告白フレーズ)。

また、実際に稼働している案件はやはりソーシャルゲームが多いそうだが、サービスを開始してから意外なニーズが見えてきたと原口氏はいう。それは教育系のサービスだ。原口氏によると、教育系のコンテンツ、特に子供向けは注意を引いて興味を持ってもらうことが大事で、音声がよく使われるそうだ。

音声素材が重要視されて来ていると冒頭で述べたが、その根拠としてはサイバーエージェントが提供している「ガールフレンド(仮)」は”きみの声が、僕を強くする”、”声が出る♪学園カードゲーム”というキャッチで宣伝しており、決算資料によるとこのゲーム単体で月商8.6億円分のゲーム内通貨が利用(無料配布分も含む)されていることがあげられる。他にもMobage上で展開されているCygamesの「神劇のバハムート」も今月1日に音声を実装しているし、自分が選んだ本をキャラクターが朗読してくれる「朗読少女」というアプリが100万ダウンロードを突破している。

原口氏は音声を入れることで、よりアプリの世界観を伝えられるようになるため、需要が増してきていると分析している。

今後は今回の資金を主に人材に充て、ディレクションの効率とサービスの質を高めていくそうだ。


あなたがCEOとして成長するために必要なこと

テック業界No.1レベルの成功を収めているVC、アンドリーセン・ホロウィッツのベン・ホロウィッツが語るCEO論。最近では、Google VenturesとGoogle Glass関連製品向けファンドを作るなど改めて話題のVCが語るCEO/経営者の在り方とは。 — SEO Japan

She got a big booty so I call her Big Booty.
- 2 Chainz, Birthday Song

ある日、友人が私に、CEOは先天性なのか後天性なのかと尋ねてきた。私は、“それはJolly Rancher(キャンディ)が育てられたのか作られたのかと尋ねるようなものだよ。CEOはとても不自然な職業なんだ”と答えた。そう言った後に彼の驚いた顔を見て、それは私が思っていたほど当たり前のことではなかったのかもしれないと気が付いた。

しばらく考えた後、私は、大部分の人が実際には逆の仮定をしているということに気が付いた―CEOは後天性ではなく先天性であると。私は、他のベンチャーキャピタリストとボードメンバーが創設者を素早く評価し、“CEOとして資質のある人”ではないという結論を出すのをよく耳にする。私には、彼らがどのようにしてこれらのことをそんなにも早く把握するのか分からない。創設者がCEOのスキルを身に付けるには通常何年もかかるし、私にとっては、彼女がそれをやり遂げるかどうかを知るのは通常非常に難しいことなのだ。

運動競技においては、短距離走者は比較的素早く学習することが可能だ。なぜなら、それは自然の動きを用いて洗練するからだ。一方、ボクシングのようなことは、熟練するのにもっと多くの時間がかかる。なぜなら、それらは不自然な動きをたくさん必要とするからだ。例えば、ボクシングで後ろに進む時には、もしあなたが自然な方法で後ろに下がっている間に―前足を先に動かす―パンチを受けると、完全にノックアウトされる可能性があるため、後ろ足を先に動かすことが非常に重要だ。この不自然な動きを自然に感じるように学習することは、ものすごい量の練習を必要とする。もしあなたが最も自然に感じることをCEOとしてすれば、あなたもノックアウトされることになるかもしれない。

CEOであることは、たくさんの不自然な動きを要する。人類学的な立場からすると、人々に好かれるようなことをするのは自然である。それはあなたが生き残るチャンスを強化する。しかし、優れたCEOになるためには、また、長期的に愛されるためには、短期的には人々に嫌われることをたくさんしなければならないのだ。それは不自然なことである。

実際、最も基本的なCEOの基礎的要素でさえ、最初は不自然に感じるだろう。もしあなたの相棒があなたにおかしな話をすれば、彼女のパフォーマンスを評価するのはかなり変に感じることになるだろう。こんな風に言うのは全く不自然だ:“う~ん、私はその話は最悪だと思ったよ。可能性はあるが、話はつまらないし、あなたは完全にオチで失敗した。もう一度やり直して明日また私に見せるように。”そうすることは、かなり奇妙であるが、人々のパフォーマンスを評価し、継続してフィードバックを与えることは、まさにCEOがすべきことだ。もしCEOがそうしなければ、レビューを書いたり、販売区域を奪ったり、政治を動かしたり、給与を設定したり、人々を解雇したりというようなもっと複雑な動きが不可能になるか、下手くそに取り扱われることになる。

フィードバックを与えることは、マネージメントの不自然なスキルを築く不自然な原子の積み木なのだ。しかし、どうやってその不自然さをマスターするのだろうか?

The Shit Sandwich(シット・サンドイッチ)

フィードバック初心者のための時に効果的で人気のあるテクニックは、経験豊富なマネージャーたちがThe Shit Sandwich(シット・サンドイッチ)と呼んでいるものだ。このテクニックは、古典的なマネージメントの教科書The One Minute Manegerの中で見事に説明されている。基本的な考え方は、あなたが褒めることから始めて(1枚目のパン)、その後に難しいメッセージを与え(シットの部分)、あなたがどれくらい彼らの力を評価しているかに気付かせる(2枚目のパン)ことで締めくくれば、人々がはるかに多くそのフィードバックに心を開くというものだ。あなたは前もって自分が相手を高く評価していることをはっきりさせるので、シット・サンドイッチには、人物よりもその行動に対するフィードバックに焦点を合わせるというポジティブな副作用もある。これはフィードバックを与える際の重要なコンセプトだ。

シット・サンドイッチは準社員にもよく機能するが、以下のような課題がある:

  • 過度に型通りになる傾向がある。あなたは、正しい結果が得られるように事前に計画をしてそのサンドイッチの脚本を書かなければならないため、そのプロセスは従業員にとっては型にはまった一方的な判断のように感じることがある。
  • それを何度かすると、信ぴょう性を失う。従業員はこう考えるようになる:“なんだ、また彼女は私に文句を言っているよ。次に何が来るか分かっている、批判(シット)だな。”
  • より多くのシニアエグゼクティブがシット・サンドイッチにすぐに気が付くと、それは素早くネガティブな影響を及ぼす。

キャリアの始めの頃、私が、慎重に作り上げたシット・サンドイッチを上層部の社員に伝えることを試みたところ、彼女は私を小さな子供のように見てこう言った:“Ben、褒め言葉はいらないから、私が何を間違ったのかだけ教えて。”その時私は、自分は間違いなく生まれついてのCEOではないなと思った。

重要なこと

フィードバックを与えることのエリートになるためには、あなたはシット・サンドイッチのような基本テクニック以上に自分を高めなければならない。あなたは、自分自身のパーソナリティと価値に合ったスタイルを開発しなければならないのだ。ここに、効果的になるためのカギがある:

  • オーセンティックであること。自分が与えるフィードバックを信じ、受け手の感情を操作するようなことは言わないことが重要だ。おじけづいているのをごまかすことはできない。
  • 適切な理由づけ。あなたが相手に失敗して欲しいと思っているのではなく、成功して欲しいと思っているからフィードバックを与えるというのが重要だ。もしあなたが誰かに本当に成功して欲しいと思うのなら、相手にそれを感じさせること。相手にあなたの気持ちを感じさせるのだ。もし相手があなたの気持ちを感じ、あなたがその人の味方なら、その人はあなたの話に耳を貸すだろう。
  • 個人的にならない。誰かを解雇することに決めたなら、その人を解雇すること。その人に解雇される準備をさせないこと。成功する準備をさせないこと。もし彼女がそのフィードバックを受け取らないなら、それは異なる話だ。
  • 同僚の目の前で人を嘲らない。グループの中である種のフィードバックを与えるのは構わないが、決して同僚の前で恥をかかせてはならない。もしあなたがそんなことをすれば、a)従業員に酷い恥をかかせることになり、b)あなたは従業員に心から憎まれ、あなたのフィードバックが他の人に与える影響は小さくなる。
  • フィードバックは全ての人に当てはまるものではない。全ての人は一人一人異なる。フィードバックに対して神経質な従業員もいれば、顔の面が厚い人や、時には頭蓋骨の厚い人もいる。文体的に、あなたの口調は、あなたのムードではなく従業員のパーソナリティに合わせるべきである。
  • 直接的に、でも意地悪ではなく。鈍くならないこと。もしあなたが誰かのプレゼンテーションを最悪だと思うなら、こう言わないこと:“かなりいいけど、もう一つの道筋を使って結論を簡潔にすることができたかな”。厳しいように聞こえるかもしれないが、こう言った方がずっといい:“私はついて行けなかったし、あなたの言いたいことが理解できなかった。理由はこうだ。”水で薄まったフィードバックは、全くフィードバックがないよりも悪い。なぜなら、それは人の目をごまかし受け手を混乱させるからだ。しかし、相手を叩きのめしたり、自分が優れていることを示そうとしたりしないこと。そうすることは、あなたの目的にそぐわない。なぜなら、適切に行わる時には、フィードバックは独り芝居ではなく対話だからだ。

フィードバックは、一人芝居ではなく対話である

CEOはあなたで、あなたは自分が好まないことや同意しないことについて誰かに伝えているかもしれないが、だからと言ってあなたが正しいとは限らない。あなたの従業員は、自分の機能についてあなたよりもよく知っているべきだ。彼女はあなたよりもたくさんのデータを持っているべきだ。あなたは間違っているかもしれない。

その結果、あなたの目的は、自分のフィードバックが閉ざされた議論ではなく開かれたものにすることであるべきだ。人々があなたの判断に食ってかかったり議論することを奨励するのだ。文化的観点から言って、あなたには、高い水準の徹底的な話し合いが必要だ。あなたは、ハイクオリティな思考を得るために膨大なプレッシャーをかけながらも、自分が間違っている時にそれが分かるようなオープンさが必要だ。

頻度の高いフィードバック

重要なことをマスターしたら、あなたは自分がマスターしたことを常に練習するべきである。CEOとして、あなたは全てのことについて意見を持っているべきだ。あなたは、全ての予測、全ての製品プラン、全てのプレゼンテーション、全てのコメントについて意見を持っているべきだ。人々にあなたが考えていることを知らせるのだ。もしあなたが誰かのコメントを気に入っているのなら、そのフィードバックを相手に伝えるのだ。もしあなたが異なる意見を持っているなら、そのフィードバックを相手に伝えるのだ。自分が考えていることを言うのだ。自分自身を表現するのだ。

これには非常に重要なポジティブな効果が2つある:

  • フィードバックが、あなたの会社の中で個人的なことにならない。もしCEOがコンスタントにフィードバックを与えれば、CEOが関与する全ての人がそれに慣れるようになる。誰もこんな風には考えない:“おっと、彼女はそのコメントで本当は何を言いたかったのか?彼女は私のことを嫌いなのだろうか?”みんなが自然と、暗示的でランダムなパフォーマンスの評価ではなく、問題に焦点を合わせる。
  • 人々が悪いニュースについて議論することに慣れる。もし人々がお互いに間違ってやっていることについて話すことに慣れれば、会社が間違ってやっていることについて話すのもとても簡単になる。質の高い企業文化はデータネットワーキングのルーティングプロトコルからヒントを得る:悪いニュースは素早く出回り、良いニュースはゆっくりと出回る。質の低い企業文化は、“誰も私に悪いニュースを持ってくるな”という、オズの魔法使いの東の邪悪な魔女の特性を帯びる。

CEOを作るということ

CEOになることは、幅広いより高度なスキルを要する―私はこのブログの中でその多くについて書いてきた―が、上級レベルに達して自分が生まれながらにしてCEOであるかのように感じるために重要なことは、不自然さをマスターすることだ。

もしあなたが創設CEOで、これらのことをする時に決まりが悪かったり不適任であるように感じ、自分の会社が100または1000人規模になった時に自分にはそれができるわけがないと思うのなら、あなたも仲間だ。それはまさに私が感じていたことなのだ。そして、私が出会った全てのCEOが同じように感じていた。こうやってあなたは作られるのだ。


この記事は、ben’s blogに掲載された「Making Yourself a CEO」を翻訳した内容です。

スタートアップ起業家や会社経営者はもちろん、部下を持っている人であれば誰でも考えさせられ参考になる点も多い記事だったのではないでしょうか。もちろん人間であれば無理に人に嫌われたくはないと思いますが、嫌われてしまうようなことをしなければいけないのも経営者・上司の役割。それをいかに円滑に行い、事業や部下を正しい方向に導けるかが腕の見せ所。この記事のあるヒントを参考に最強のチームを目指していきたいものです。

しかしフィードバックを常に出し続けるということが、コメントに対して変に暗示的な
意味を与えないという指摘はナルホドと思いました。これを逆に利用している人もいそうですが、本質的には前者の方がより正しく間違えのないコミュニケーションの形であり、それが機能した時のチームは強い気がします。 — SEO Japan [G+]

グロースハッカーになるためのたった一つの冴えたやり方

米国にQuoraという専門家が答えてくれるQ&Aサービスがあり(日本も最近同種のサービスが出ましたね)、私もたまに見ることがあるのですが、特にネット関係では、「え、こんな有名人が無料で詳しく答えてる!しかも他のインタビューやブログで聞いたことのない発言で参考になる!」と思うようなことが良くあります。今回は、そんなQuoraで定期的に発言しているアンドリュー・チェンが自らの答えをより掘り下げて書き下ろしたスタートアップの成功に欠かせないグロースハッカーチームの育て方に関する記事を。 — SEO Japan

元々あったQuoraでの回答:

私は、グロースチーム(グロースハッカーのチーム)が成長するために日々していることを2つに分類する:1)プランニング/モデリング、2)グロース(成長)テスト。

何はともあれ、まずあなたには優れた製品が必要である
もし人々があなたの製品を使っていないのだとしたら、あなたは成長の最適化にあまりに多くの時間を費やすことで時間を無駄にしていると、言わせてもらう。あなたには、満足したユーザーベースが必要であり、あなたの仕事はそれを拡大することだ。

その警告を頭に入れて、活動のプランニングから始めよう:

プランニングとモデル構築
物事をプランニング/モデリングするという側面は、“なぜ成長が起こるのか?”を理解することが全てだ。全ての製品は一つ一つ異なる。

  • あなたは、人々がSEOを介してあなたを見つけ、ユーザーへと転換し、Eメールを介して保持されることを知るかもしれない。
  • あなたは、人々がウェブを介してあなたのサイトにやって来て、モバイルへと異花受粉し、それがあなたの成長のカギであるということを知るかもしれない。
  • あなたは、彼らに特定の数の人をフォローさせる必要があるということを知るかもしれない。
  • あなたは、彼らがサービスを使いだす前に一定数のリンクをまずブックマークさせる必要があることを知るかもしれない。

これらは全て製品固有のことであるため、私はこの回答の中で特定のアドバイスをすることはできないが、これは自分の製品がなぜ成長するのかを理解する基盤である。あなたは、ユーザーがどのようにサイトにやって来るかという流れを見ることによって、ユーザーと話すことによって、似たような製品を理解することによって、そのモデルを思い付くことができる。あなたは、目的を達成しているユーザーと達成していないユーザーを見分けることができる。

良いモデルを手にしたら、成長の良いまたは悪いプロジェクトの結果を評価する中でより具体的な基準を作ることができる。あなたのメンタルモデルは、最初は完璧である必要はない―目的はただ始めることだ。あなたが自分のプロジェクトを上手く実行する時、成長が進めば、あなたの自信も育つ。(もしくは、1つのメトリックを著しく改善し続けているが全体の登録数が増えない場合は、物事を再検討しなければならない。)

より戦術的なレベルでは、次第にこのモデルはもっときめが細かくなり、あなたは、全体的な成長を高めるために変更することができる個々のことについて考え始めることができる。理想では、あなたはスプレッドシート内でこの多くをモデリングすることができるため、何が機能し何が機能しないかについてシナリオプランニングをすることが可能だ。

目的は、継続した成長をもたらす何らかのフィードバックループを作ることだ。もしかするとあなたは、広告を購入してお金を稼ぎ、さらに多くのお金を広告に再投資するかもしれないし、もしかすると、人々にコンテンツを作らせ、SEOを駆動し、それがコンテンツを作るより多くの人々をもたらすかもしれない。もしくは、もしかするとあなたは、招待ベースの何かを用意するかもしれない。重要なことは、このプロセスとその構成要素部分をモデリングすることだ。

プロジェクトの実施
自分の成長を促進するためのモデルを手にしたら、次のパートは、実際にそれらの数字を増やし正しい方向へと向かわせることができるプロジェクトのアイディアをたくさん思い付くことだ。理想では、そのコンセプトを証明する短いアイディアのA/Bテストをたくさん実施することができる。もしそれがうまくいったら、投資し続けるのだ。

このようなことのためには、ちょっとしたA/Bテストのインフラと、たくさんのクリエイティビティと、テストを世に出すための専用のエンジニアを何人か必要とする。

A/Bテストの大部分はあなたの求めるような結果が出ないため(恐らくその数字は30%未満)、毎週2,3の勝者を手に入れるためにはあなたは同時にたくさんのA/Bテストを実施しなければならない。時に、人々は各週1~2つのA/Bテストを実施して、それらが上手く機能しないと文句を言う―恐らく、彼らが各週1つか2つの勝者を手にするためには5~10倍のA/Bテストを実施する必要があるだろう。

それぞれの成長プロジェクトを実施するためには、ユーザーがどこからやって来て、何をするのかを追跡することに関していくつかの計測を開発する必要もあるかもしれない。これは、最初は大量のSQLデータベースとレポーティングになるが、後でもっと手の込んだものに移行するかもしれない。

次第に、これらの戦術的なプロジェクトの結果が、素晴らしいモデルに返ってくる―あなたは、継続して自分のプライオリティを再評価し、製品が成長を後押しすることに最も活用される場所を理解しなければならない。つまり、戦略的から戦術的へとジャンプして戻ってくるフィードバックループがあるのだ。

要約
以上のことを要約すると:

  1. 自分のユーザーが満足するしっかりとした製品を用意する
  2. 自分のサイトがどう成長するかのモデルを思い付く
  3. アイディアを試してみて、それらをA/Bテストとして採用する
  4. サイトが成長するのなら、より多くのアイディアを試す。もし成長しなければ、ステップ1のモデルが壊れているかもしれないため、それについて再度考える。

これがあなたの役に立つことを願っている。


この記事は、@andrewchenに掲載された「What does a growth team work on day-to-day?」を翻訳した内容です。

世の中には最初のアイデアと構想がいきなりヒットするような事例もあるとは思いますが、実際そんな宝くじに当たったようなケースは皆無なわけで、まずはベースの製品をテストを繰り返して改善しながら成長軌道に乗せていく、それだけなんですよね。

日本でも最近、グロースハッカーという言葉がどこかインターネット業界のカリスマ的存在として取り上げられていますが、別に彼らも特殊な存在というわけではありません。もちろんベースの知識や技術力、ネットワーク等は卓越したものがあるかもしれませんが、詰まる所は、上の当たり前のことをきっちり行えるかどうか、それを行えるのがグロースハッカーでありグロースチームということではないでしょうか。誰もがそうなれる可能性がある!ということで日々地道に頑張りましょう。 — SEO Japan [G+]

VCの考え方:あなたのスタートアップは、機能、製品、それともビジネス?

世界各国で続いているスタートアップブームですが、多くの成功したスタートアップは時に人によっては何かの1機能にしか思えないようなことに徹底的にフォーカスして成功しています。最近でいえばTwitterしかしInstagramしかしDropboxしかり。それらのスタートアップの多くは、「こんな小さな変化はそもそも投資対象になるのか?」と初期段階で投資家からの資金調達に苦しんだ会社も多いようです。ユーザーをある程度抱えてくるとその態度も一気に変わるわけですが 汗、今回はそんなスタートアップとその成長の可能性について、その製品機能から投資家的観点で考えてみた興味深い記事を。 — SEO Japan

ジュニアVCとしての自らの発展を通して、私は、自分が起業家の友人たちと同様の質問をしていることに定期的に気が付く。

過去のピッチの亡霊たちは抜きにして、私は他人の洗練された判断と実行策から知識を拾い集める。それをこのように解釈する:ベンチャーキャピタリストは、1つの視点を基に、理想的には採算性を証明する視点を基に行動してお金をもらう。しかし、VCはどのようにして、何が自分のお金に対して何倍も返すことになるのかを、多くの場合結果の出る何年も前に、特定するのだろうか?彼らは、そのような決断をする時、何に注意を払うのだろうか?

基本中の基本のフィードバックでさえも分かりにくいように思える。

たった1つのこと

創設者は、“1つのことをやれ。それを上手くやれ。”と、たびたび言われる。Instagramは、簡単な作業―写真のモバイル共有―に焦点を絞り込んだ勝者としてよく取り上げられる。Instagramの前身、Burbnは、雑然として機能が溢れかえっている感じがした後、ロケーションチェックインやソーシャルイベントプランニング関連のその幅広い提供物と共に解体された。InstagramのCEO、Kevin Systromは、“1つのことに焦点を合わせて、それを本当にうまくやることが、あなたをはるか先へと到達させることができる”と言った。実際、10億ドルまで。

羨望の合図。人気に便乗するプレイヤーにファンディングを流し込むことの合図。ある時は、あまりに多くの動画用のInstagramがあったために、The Next Webはトップ10を選ばざるを得ないように感じた。

OK、それは簡単なことだ。1つのタスクを実行すること。

早まるな。創設者たちは、時々、自分たちが本当のビジネスを築いていないということも耳にする。それどころか、彼らはFNAC(Feature Not A Company)―ページ上のただのボタン―として拒否される。確かに、かなり多くのテクノロジー巨大企業が、それを作ることはできるが、これはどれくらい正当化できるのだろうか?New Atlantic VenturesのThanasis Delistathisは、AppleやGoogleやMicrosoftのような一流企業は、“事業科目に稼ぎ頭を作った…彼らの成長への探求は、機能を配布するためにたくさんのお金を費やす”と、賢く指摘した。

しかし、私たちが目にしてきたように、そのエコシステムは多くの勝者に結果をもたらすことができる。Spark CapitalのAndrew Parkerは、抜け目なく、Craigslistのホームページを分割して、このディレクトリがどのようにHomeAwayやOkCupidやStubHubのようなカテゴリ指向の企業に取って代わられたのかを示している。それは、ウェブ中で定期的に共有されている画像だ。しかしながら、いかにしてCraigslistが基本的なHTML/CSSとより少ない機能を用いて“独占はしていないとしても”競争し続けているかに対するParkerの驚きに、まれにコメント投稿者が注意を向けている。確かに、Parkerさえも“アダルトサービス”のセクションを探索することに興味をそそられていたようだ。

では、どうやってこの“1つのこと”を定義し特定するのか?機能とは一体何なのか?製品?そして、投資家はビジネスとは何であると考えるのか?

見方の問題

秘密はこうだ:投資家自身は、これらのアイデンティティの違いを詳しく説明しようと四苦八苦することが多い。TwitterはFacebook上の単なるステイタスバーの機能だったのでは?Foursquareの1年後、2010年にFacebook Placesはローンチした。ではFoursquareは機能としての資格があったのか?

Benchmark CapitalのBill Gurleyは、Dropboxは“難しい問題―ファイルの同期―に取り組んでそれを超簡単にした”ため、Dropboxは“大きな混乱”であると主張し、信じない人達はファイル同期は製品ではなく機能であるというSteve Jobs陣営に分類されたため、非難された。Scale Venture PartnersのRory O’Driscollは、機能のラベルは褒め言葉と取られるべきだと言ってGurleyを擁護した。“今日ソフトウェアでけん引力を得るためには、機能―原子単位の喜び―から始めなければならない。あなたは、見事に1つの問題を解決しなければならない。”Dropboxは現在のところ、40億ドル以上の値段が付けられている。

Google、Yahoo、そしてもっと最近ではMailboxが、自分たちの立場の主観的な見方を基に、背を向けられたもしくは資金供給されたその他の例だ。DisqusUserVoiceのようなスタートアップはどこで最初に調和したのだろうか?共通の要素を見つける試みは複雑だった。

議論をまとめると、機能は行為を遂行する。製品、通常は機能のパッケージが、問題を解決する。ビジネス、潜在的に製品のパッケージが、ユーザーに繰り返し発生する価値を提供する。理想では、これらのユーザーは、いくらかの測定可能な通貨(データ、時間、お金)を代わりに提供する。さもなければ、それはとりわけ持続可能なビジネスではない。今日破壊的で奇抜かもしれないことが、明日はページのボタンになるかもしれないし、それが結果的に投資家の態度を変えるということを頭に入れておくことだ。もっと言うと、アーリーステージでは投資家が完璧な会社を目にすることはほぼ皆無で、機能と製品を介したチャンスの核心を目にするのだとも議論される。

いいね。では、これはどのように資金調達することに当てはまるのか?

機会を評価する

FoundryのJason Mendelsonは、FNACに関する議論は、1つの質問に帰着すると述べた:これは投資すべき十分な大きさの機会なのか?

ベンチャーキャピタリストは、1つの主要な‘こと’―つまり、予想―に基づいて機会の規模を評価する。投資家は、マネージメントや政治やブラック・スワンに関する懸念を調査する前に、競合相手(現在と見込み)と顧客(これもまた現在と見込み)の行動を予測する。彼らの興味は、正確に狙ってから、時間と資金を可能性の高いエグジットに積むことだ。彼らは、予測に基づき、証拠に後押しされ、賭ける。

競合相手について検討する時、VCは、“再現するための課題は何か?”と尋ねるだろう。より多くの才能、財政、規模を自慢にするかもしれない現在および未来の競争相手がいるなら、どこが競争力なのか?一部の企業にとっては、これはユーザーの定着したネットワークかもしれない(Evernote、Buzzfeed、WhatsApp)し、他の企業にとっては、複雑なアルゴリズムから集められた洞察力のある情報の貯蓄かもしれない。こういった機会は難攻不落なのか?

顧客について検討する時、ベンチャーキャピタルは、“トレンドは何か?”と尋ねる。人々が顧客になるために自分自身を乗り越え、それがとても特別だからその解決策を同僚に説いているということを示すシグナルはどこにあるのか?良い例が、両面性のある市場を築くという難題と見知らぬ人の家を借りるという最初の疑問視にもかかわらず国内および海外での上昇と飛躍によって成長したAirbnbかもしれない。

実験的(少なくともこれは良いストーリーを助長する)から実用的(私はただ最も手頃で楽しく便利な滞在を求めている)への体験のシフトが、多くの人の心と財布を開かせる秘訣だ。

この“1つのこと”へ戻ると、ラベルは無視することだ。先手を打つために焦点を活用するのだ。ビジネスではなくエネルギッシュな組織を作るのだ。

画像クレジット: Thinkstock


この記事は、The Next Webに掲載された「How VCs think: Is your startup a feature, a product or a business?」を翻訳した内容です。

若干、後半尻すぼみな終わり方になってしまった気はしますが、スタートアップ起業家、事業運営者の立場からは集中することの重要さや、その価値を投資家に理解させることの難しさは感じることができた記事でした。ま、結局はアイデアだけでなくある程度ユーザー数等で結果を出さないと投資家も判断できないことって多いのでしょうけど。TwitterにしてもInstagramにしても、まさかあそこまで流行るとは当の本人たちが一番思っていなかった気がしなくもないですし。逆にそういう有象無象のスタートアップの中から原石を発見して投資できるかがVCの実力なのでしょうか。ま、起業家は未来を信じて頑張るだけですね。。。 — SEO Japan [G+]

スタートアップが企業文化を壊さずに正しく雇用する方法

スタートアップにとって重要な作業の一つが独自の企業文化を作っていくこと。同時にそれを実現させるためにはもちろん、事業を運営し成長させていくにも必須なのが適切な人材雇用。理想の企業文化を持っていても知名度の無いスタートアップにとって最適な人材を雇うことは至難の業ではありますが、そこで妥協していては肝心の企業文化が壊れてしまう可能性もあり、、、そんな企業文化を意識したスタッフ雇用について、インバウンドマーケティングソリューションで今をトキメク存在であり、独特の企業文化でも知られるHubSpotの創業者が語ります。 — SEO Japan

自分の初めてのビジネスローンを覚えているだろうか?もしくは、もしあなたが多くの起業家と同じなら、最初は、自分のクレジットカードで物を買うことによってスタートアップをブートストラップしていたかもしれない。あなたはワクワクしていたし、恐れてもいた。ワクワクしていたのは、自分のビジネスに投資するキャッシュを手にしたから、恐れていたのは、返済しなければならない借金を背負ってしまったから。

しかし、あなたは自分が支払う利息よりも多くの価値を作ることができることに自信があったため、それは構わなかった。ゆくゆくは金銭的な負債を返済しなければならないとしても、適切なリソースへのアクセスを獲得することが、しばしば成功と失敗の違いを生むのだ。

それが金銭的な負債に言えることだ―しかし、それは文化的な負債にはほぼ当てはまらない。

文化的な負債は、企業が近道をして“適切な”スキルもしくは経験を持つが文化にフィットしない従業員を雇う時に起こる。たった一度の間違った雇用が、他の全ての従業員に打ち寄せるネガティブな波を―現在と未来に、そして結果としてあなたのビジネス全体に―生み出すことがあるのだ。

残念なことに、文化的な負債の利子は非常に高い:文化不適応者を解雇したり、彼らが自ら辞めた時にさえ、あなたは自分が被った負債を返済できない場合もあるのだ。

ここでは、あなたが自分のスタートアップの可能性を実現するのを妨げる文化的な負債を生み出すあまりにもありふれた方法を紹介する:

1. 能力だけで判断し、文化的適応力を気にしない

優れたコードを書く花形のデベロッパー…しかし、どんな指示を受けることも拒否し、他人を助けることを断る人が、あなたが彼を採用するからという理由で、すぐに気持ちを入れ替えることはない。

短期的にはいつも同僚よりも優れているように見えるスキルのあるセールスパーソン…しかし、うまく立ち回ってコントロールし、焼け落ちることを望んで灯油に浸った橋を架ける人が、あなたが彼女を採用するからという理由で、長期的な関係構築に焦点を合わせた会社のための大使に変化することはない。

面接の過程は少しハネムーンに似ている。あなたは、候補者が持つ一番良いところを見る。もし、従業員候補者が、採用されるにあなたの文化にぴったりフィットするように見えなければ、その人物は絶対に採用されたもフィットしないのだ。

文化的適合の悪魔と取引をするリスクは決して冒さないこと。会社の魂が危機に瀕する。本当に。

2. 態度のカードを捨て、スキルのカードを使う

スキルと経験は、使用されなければ価値がない。知識は、他の人に共有されなければ役に立たない。

あなたの会社が小さければ小さいほど、あなたが自分の分野でエキスパートである可能性が高いため、それらのスキルを新しい従業員に伝えることは比較的簡単だ。しかし、あなたは、熱意や良識ある労働倫理や優れた人間関係スキルを訓練することはできない―そして、それらの特性は候補者がもたらすどんなスキルよりもはるかに重要なのだ。

調査によると、技術的なスキルの欠如が原因で最初の18か月で失敗した新しい雇用はたったの11%だけだった。大部分が、モチベーションや、教えられる気がないことや、気性および感情的知性の問題が原因で失敗していた。

こんな風に考えるのだ:特定の難しいスキルが欠けた候補者は心配の種になるかもしれないが、あなたが必要とする信念と価値が欠けた候補者は文化的負債の巨大な危険信号である。

3. 中古車を売ろうとしている

候補者に対しては自分の会社を過剰に売り込みたくなるものだ。特に、あなたが是が非でも空いたポジションを埋める必要がある時や、とても長い間求人募集をしている時には。

あまり一生懸命売り込まないこと。優れた候補者は、準備をしてやって来る。彼らは下準備をしているのだ。あなたについてオンラインで読んだことを基に、あなたの会社が自分にぴったりとフィットするかどうかすでに知っている。本当に優れた新入社員は、何週間もしくは何か月もあなたの会社を追跡していたかもしれない―この会社がどんな感じなのかを見るために。

ポジションについて説明し、会社について説明し、全ての質問に回答し、率直で正直になり、あなたの自然な熱意を示すのだ…そして、候補者に詳細な情報を得た上での決断をさせるのだ。しかし、過剰に売り込まないこと。

適切な候補者は、適切なチャンスを認識する―そして適切な文化的フィットも。もしあなたがあまりにも誰かを説得しようとしすぎると、その愛は一方方向で、それは長期的な成功には向いていない。

4. 不平を熱望と間違える

組織的で、最初から最後まで包括的な雇用プロセスに勝るものはないが…時に、例外として、直感と第六感がある。

私の会社HubSpot(6年で0から500人の従業員に成長した)には、高く評価する5つの属性がある:

謙虚である(Humble)。最高でありながら腰が低い。自覚を持ち、礼儀正しい。

効果的である(Effective)。物事を終わらせる。適度に針を動かし、計り知れないほどの価値を追加する。

順応性がある(Adaptable)。継続して変化し、生涯学習者である。

卓越している(Remarkable)。際立った並外れた能力を持つ。非常に賢く、非常にクリエイティブで、非常に才覚がある・・・

何も隠さない(Transparent)。オープンで他人および自分自身に正直である。

つまり、私たちはH-E-A-R-T(ハート)のある人を求めているのだ。そういう人が、私たちの愛する会社を作るのを助けるからだ。だから私たちはいつも、より質的な検討事項と自分たちの印象を天秤にかける。あなたもそうするべきだ。こんな風に考えるのだ:あなたに経験があればあるほど―酷くやっつけられたことがあればあるほど、ひどい困難に打ちのめされたことがあればあるほど、間違いを犯したことがあればあるほど―、あなたの“第六感”はより多くのことを“学んでいる”。決して直感だけで進むべきではないが、候補者に対して悪い予感がするならば…それはもっとよく見る必要があるというサインである。

そして、さらにもっとよく見るのだ。

HubSpotにおいて私たちが文化についてどのように考えるかを詳しく知りたい人は、文化コードに関するスライドをチェックしよう(あなたの手間を省くために、以下に埋め込んである)。

結論:自分が従業員に求める無形のものを定義し、それらの資質に欠けた候補者を採用することによって決して妥協しないこと。

5. 危険な賭けに出ることを決める

あなたが従業員候補に負うリスクは2種類ある。

最初は価値のあるリスク:以前の従業員よりも可能性があるように感じる候補者を試してみること、いくつかのスキルには欠けるが態度がものすごく良い候補者を試してみること、チームが喉から手が出るほど必要としている熱意とやる気と魂をもたらすように感じる候補者に賭けてみること。それらは、良いチャンスである。

もう一つはバカなリスク:業績問題の経歴があり、あなたがどうにか強い労働倫理を持つことを願う候補者を試すこと、“ダメ上司だった”ことが理由で過去2つの仕事を辞めている候補者に賭けること、何の経験もないのにどれくらいすぐにどれくらいの頻度で昇進するかについてだけ話したがる候補者を試すこと。

なぜあなたはバカなリスクを負うことを正当化するのか?自暴自棄になっているか、怠けているかだ。もしくは、集中すべき他の問題を抱えているか。もしくは、自分の文化は、一人の不適合従業員の影響に耐えるほど強いものだと思っているか。

バカなリスクを負わないこと。それらはいつだって悪い結果になる。時には、価値のあるリスクを負うこと。なぜなら、それらはあなたにとって最高に素晴らしい雇用になり、次第に最高の従業員になることがあるからだ。

そして、決して、高利の文化的な負債を生み出すようなことに賭けないこと。

あなたの組織にとってそのコストはあまりにも高すぎる。そして、命は短い。


この記事は、OnStartupsに掲載された「5 Startup Hiring Mistakes That Can Crush Your Culture」を翻訳した内容です。

お金は借りても返せる、しかし文化的負債は一掃することは難しい、というのはナルホドでした。書かれていること自体は、どれも普通に理解できるものばかりですが、これを全て実践するとなると、それなりの覚悟と努力が必要そうですね。独自の企業文化へのこだわりで雇用におけるこだわりも変わってきそうですが、実際HubSpotはその企業文化が事業の成功に大きく関係している雰囲気もありますし、スタートアップに限らず多くの企業の参考になりうる内容ではないでしょうか。 — SEO Japan [G+]

Y Combinator、元Groupon CEOのAndrew Masonら一挙に5人のパートタイム・パートナーを追加

Y Combinatorのポール・グレアムがブログで多数の新しいパートナーが参加したことを発表した。

まずフルタイムのパートナーが1人増えた。WufooのKevin Haleだ。それからパートタイムのパートナーとして、SocialcamのMichel Seibel、HipmunkのSteve Huffman、imeemとApp.netのDalton Caldwell、 元GrouponのAndrew Mason、TalkBinのQasar Younisが新たにY Combinatorに加わった。

Harj Taggarは新しいスタートアップを起業するためにフルタイム・パートナーを辞める(短期的には世界を見て歩くのだそうだ)。ただしグレアムによればTaggarはパートタイムのパートナーとしては留まるという。

YCは2年前にパートタイム・パートナーを採用し始めた。これでフルタイム・パートナーが10人、パートタイム・パートナーが9人となった。これまでのパートタイム・パートナー同様、今回選ばれたパートタイム・パートナーも大部分がYCの卒業生だ。例外はMasonとCaldwellだが、CaldwellはこれまでにYCで何度も講演している。 Masonは最近GrouponのCEOをクビになったばかりだ。

これでYCはパートタイム・パートナーの数を一挙にに2倍に増やした。グレアムは「Haleの参加でパートナー中のデザイナーが2人になった。これはスタートアップにおけるデザインの重要性が増しているからでもあるが、参加してもらった理由を率直に言えば、やはり彼らが非常に優秀だからだ」と書いている。

アップデート: Masonも自分のブログに記事を書き、YCに参加したことに加えて、サンフランシスコに引っ越して新しい会社を起業しようとしていることを明らかにした。

私はGrouponのようなシンプルなアイディアを思いつき、それが何百万もの人々の生活に影響を与えるところまで見届けることができたのを大変に幸運だったと思っている。残念ながらGrouponを去ることになったが、一方ではまた新しいことを始めるチャンスを与えられたともいえる。この数年温めていたアイディアがたくさんある。この秋には新会社を作ってその中でもお気に入りのアイディアを実地に移そうと思っている。

〔日本版:ベテラン・ジャーナリストがY Combinatorに長期滞在して内幕を最大漏らさず記録したノンフィクションYコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール(ランダル・ストロス著、滑川海彦・高橋信夫共訳、日経BP)に上記のSeibel、Taggarも登場する。Taggarはイギリス生まれのインド系でオックスフォードの法学部を卒業した後YCに参加して起業家となった異色の経歴。Taggarのイギリスとシリコンバレーの文化の比較は日本人にも非常に興味深い。〕

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Open Network LabデモデーSpring 2013 – 第6期は著名サービスを採択

onlab_logo

デジタルガレージ、カカクコム、ネットプライスが手がけるインキュベーション事業Open Network Lab(以下、Onlab)の第6期生のデモデーが本日開催された。前回の第5期生には昨年のTechCrunch Tokyo スタートアップバトルに出場したWHILLや、スパルタ、スマクルといったスタートアップを輩出したOnlabだが、今期は珍しい展開となった。

というのも、Onlab第6期採択チームの3社のうち2社はすでによく知られていて、実績のあるスタートアップだったからだ。100近い応募の中からすでに知られている2社を採択したことにより、デモデーでの新鮮味には欠けていた。もちろんインキュベーションとして優れたスタートアップを選ぶのは当然のことだが、外野からすると少し残念な気持ちがある。悪いことに今期採択された3チームのうち1チームはデモが間に合わなかったためにデモデーでお披露目されることはなかった。

ここからは第6期に採択された2社を紹介するが、読者の方はすでにご存知のものが多いかもしれない。

papelook/pape.mu girls

すでに500万ダウンロードを突破し、今年3月にAndroid版のリリース後は毎月50万ダウンロードされている女性向けのアプリがpapelookだ。

このアプリは写真を切り抜いたり、コラージュしたりして写真を加工するためのツールで、デイリーアクティブユーザー(DAU)は23万人、マンスリーアクティブユーザー(MAU)は148万人を誇る。利用者の8割が女性で、75%は日本のユーザーだそうで、15歳から29歳の女性のiPhoneユーザーのうち2人に1人は使っているという若い女子には必須になっているアプリのようだ。

パペルック代表取締役社長の小澤一郎氏によると、日本のApp Storeのカメラランキングでは年間累計でYouTube、LINEカメラの次にダウンロードされているそうだ。

今後はスタンプ課金やスタンプ広告を来週から提供する予定だが、同社のメインのビジネスモデルではないという。

収益化のメインとなるのは同社が提供しているpape.mu girsだという。こちらもターゲットユーザー層は同じく、女性だがpapelookとは違いファッションメディアとして機能している。ユーザーが好きな女性誌を選ぶと、その雑誌に適したファッションアイテムや載っているモデルのブログなどから写真を取得しタイムライン形式で表示する。

こちらは昨年1月にリリースしてから25万ダウンロード、MAUが5万人、月間PVが600万とpapelookには劣るものの、1日あたりの平均滞在時間は50分だというから驚きだ。

このpape.mu girls上では気になる服をそのまま購入することもできるのだが、今後はブランドの全面広告の導入(バナーではなく、ページ1面に広告を表示する)、掲載されているモデルが着ている服をそのまま購入できる機能などを提供していくことで収益化を図るそうだ。

Lang-8

Lang-8は語学学習サービスでユーザー同士が学びたい言語の文章を添削してもらう代わりに、相手のユーザー書いた自分の母国語の文章を添削するものだ。

Lang-8のサービス開始は5年前とインキュベーション参加チームとしては珍しいが、Onlab参加後は成長率がグンと上がったとLang-8代表取締役の喜洋洋氏はいう。サービス内に投稿されるコンテンツは約1.5倍、添削数は約3倍、そして一番重要視している添削率は72%から94%まで改善されたそうだ。

この成長を後押ししているのが人材だ。以前はほぼ喜氏1人で運営していたのだが、Onlab採択後に元クックパッドの佐々木達也氏とデザイナーがジョインし、開発のスピードが増したのが主な要因だ。

リソースが増え、デスクトップのみ先に改善をしたところ上記のような改善が見られたそうで、今後はスマートフォンにも最適化し、さらなる成長を目指す。

収益化に関してはすでにプレミアムモデルでの課金が用意されており、プレミアムユーザーも順調に増えているそうだが、有料での添削やチューターとしてSkype等でのレッスンができる機能を提供する予定だという。

Onlab 第6期生のサービスで今回デモデーに登壇したのはこの2つだった。すでによく知られているスタートアップのサービスだったので、冒頭でも述べたように読者にとっても新鮮さには欠けるものに違いない。

この他、第1期から第5期に採択されたスタートアップの新サービス–Compath.meのKiDDY、お願いカンパニーのプログラミングスクールSpathSchool–と、FindJPNからリニューアルしたVoyaginが発表された(Voyaginは本誌でも取り上げられている)。この他、非公開プロダクトが1つ発表された。このうち、Compath.meの新サービスKiDDYをご紹介しておこう。こちらのビボット組のほうが、新鮮さを感じたのは間違いない。

KiDDY – Compath.me

KiDDYは家族内だけで共有したいものをクローズドな場で共有するためのアプリだ。Facebookなどではシェアしたくない家族内の写真をストックできる。使い方は簡単で写真を撮り、コメントを付けてアップロードするだけで、写真はカレンダー風に日付とともに表示されるデザインになっている。

このサービスは昨年末にリリースされ、今のところ最も需要のある子供の成長記録をアーカイブするためのアプリとして約1万世帯に利用されているそうだ(家族間で使うので世帯数を公開している。そのため、ダウンロード数ではこの2倍~3倍だろう)。

アップロードされた写真は累計22万枚で、ユーザー数は毎月約120%成長、DAUは約20%、WAUは約50%と順調に成長しているという。

収益化の方法はKiDDY内にアップロードされた写真をオシャレなポストカードにして届けるモデルで、今後は100枚ごとにまとめてアルバム風にしたものを定期的に配送する機能も予定している。

また、子供の成長記録をアーカイブするためのアプリという使われ方の他に、健康記録を管理するためにも使われるようになるとKiDDYを運営するCompath.me代表取締役社長の安藤拓道氏はいう。

現在は親や祖父母が子供・孫の写真を見るために登録して使っているが、徐々に健康管理にもKiDDYアプリを使うようになるという考えだ。

以上がデモデーで発表されたサービスだ。

なお、採択チームは少ないが6期生の中で最優秀チームが発表され、パペルックが選ばれている。


“本物の”ピボットを成功させる方法

日本のスタートアップ業界(?)でもお馴染みになってきたピボットという言葉。当初のビジネスモデルや製品戦略を市場や顧客ニーズに合わせて方向転換することを指しますが、ともすれば最初に考えた(本人的には素晴らしすぎる)アイデアに固執しがちな起業家にとって、時にピボットを必要に応じて行えるかがスタートアップ成功の大きな鍵ともいわれています。とはいえ、言葉でいうのは簡単ですが、適切なピボットの決断はまた難しいのも事実。今回は正しいピボットを実現するためのる様々なアドバイスを、自らのスタートアップをSalesforceに売却した経験もある筆者が語ります。 — SEO Japan

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オンタイム学習プラットフォームのマナボがサイバーエージェント・ベンチャーズなどから3,800万円の資金を調達

主に中高生を対象としたオンタイム学習プラットフォームmana.boを運営するマナボがサイバーエージェント・ベンチャーズ(以下、CAV)などから3,800万円の資金調達を実施した。mana.boは昨年、KDDI∞Laboの第3期採択チームとしてインキュベーション・プログラムに参加、Infinity Ventures Summit 2012 FallのLaunch Padに出場したため、すでにご存知の方も多いかもしれない。

このサービスは生徒がわからない問題に直面した際に「いま聞けて、すぐに理解る」ことを目指している学習プラットフォームである。マナボのCEO三橋克二氏は予備校で7年間ほど講師を務めていたそうだが、その時に生徒から数式や図の写真がメールで送られてきて、答えを教えて欲しいと頼まれることが多かったそうだ。だが、英語などの科目は電話やメールで回答できるものの、数学や物理の問題は複雑な計算式、図を多く用いることがあり、解説が困難だったという。

mana.boでは講師がタブレット端末などを使い、画面に数式や図を書き込むと、生徒が保持している端末にもリアルタイムで反映され、上記のような問題を解決できるそうだ(記事下部にムービーを埋め込んでおいた)。

実際にデモを見せてもらったが、書き込んだ数字を認識する精度は高く、生徒・講師間でのタイムラグもあまり無くスムーズに講義が進められるように感じた。

生徒と講師がやり取りした共有画面はデジタルデータとして保存、エクスポートもできるため、復習も簡単だ。さらには、自分の復習用としてではなく、他のユーザーにも共有することで授業を使い回すことも可能となる。

収益化に関しては、mana.bo上で生徒と講師を集め、指導料の数十パーセントを手数料として取る他に、塾や予備校に導入してもらいアカウント数に応じて利用料金を徴収するそうだ。現在mana.boはクローズドβとして運用されているが、すでに「進研ゼミ」や「こどもちゃれんじ」で有名なベネッセがトライアルを行っている。

一般公開に関してはプラットフォーム上に十分な講師を留保できた段階でするそうだ。

なお、今回マナボに出資したサイバーエージェント・ベンチャーズは子供向けアプリのキンダーパンを提供するファンタムスティックや、本誌でも取り上げたオンライン英会話のBest Teacherといった教育系スタートアップにも出資している。


Salesforce、ウェブクリッピング機能を提供するClipboardを1200万ドルで買収。サービスは6月末に停止予定

「買収に伴うサービス終了」の「当たり日」というのがあるのだろうか。Yahoo!からはMileWiseおよびGoPollGoを買収するという発表があった。いずれも、サービスは停止することになるのだそうだ。そして今度はClipboardも買収されてサービスを停止するとアナウンスした。Clipboardというのはブックマークレット経由でウェブページのクリッピングを行うサービスで、以前TechCrunchでも記事(英文)を掲載している。

(訳注:本記事訳者は当初Snip.itを使っていてこちらがYahooに買収されてサービス停止。そして乗り換えたclipboardもサービス停止で、少々困っています)。

Clipboardの利用者には、Salesforceに買収されることとなり、1ヵ月ほどでサービスを停止する旨のメールが届いているはずだ。

[情報開示:TechCrunchのファウンダーであるMichael Arringtonが率いるベンチャーキャピタルのCrunchFundはClipboardに出資していた。ArringtonおよびCrunchFundに関連する人物から、今回の買収についての情報が予めもたらされるということはなかった。念のため記しておく]

買収の条件などはまだ明らかにされていないが、千万ドル単位であるとの噂が聞こえてきている(UPDATE:かなり信頼性の高い情報筋から得た情報によると、買収価格は1200万ドルであるとのことだ)。ClipboardはこれまでにAndreessen Horowitz、Index Ventures、CrunchFund、SV Angel、Betaworks、DFJ、First Roundなどから250万ドルの資金を調達している。

Clipboardはなかなか便利なサービスだ。否、すでに過去形で語っておくべきなのかもしれない。Pinterest、Snip.it等、さまざまなウェブクリッピング系サービスと同様に2010年から2011年にかけての時期に登場してきた。閲覧しているウェブから気になった部分を切り抜いて(クリップ)、自分で指定したジャンル毎にしまっておいて後に見直すことができるようになっていた。またクリッピングした情報にはコメントをつけたり、あるいは共有することもできるようになっていた。PinterestやEvernoteなどの大人気サービスと類似のサービスを提供していたとも言えるわけだが、そこに埋没してしまうのではなく、多くの利用者を集めて成長していた。

買収前の発表によると、利用者は10万人に達しており、月間成長率は40%程度であったようだ。2011年10月にプライベートベータとしてサービスを開始して以来、2012年1月には登録クリップ数が170万を超えたとアナウンスしていた。

Clipboardは教育分野への展開も考えていたようで、年初には教育系テック企業であるScientiaから戦略投資の提供も受けていた。いろいろと展開の可能性もあったわけだが、今回の買収により、2013年6月30日をもってサービス本体を停止することになった。もちろん教育分野への進出という案もなくなってしまったことになる。

送られてきたメールにはClipboardチームの今後について触れられていない。しかしFAQページにはいろいろと詳細が記されている。すなわちCEOのGary FlakeはSalesforceのエンジニアリング部門VPとなり、デザインおよびエンジニアリングチームの多くはSalesforceのシアトルオフィスにて、Gary Flakeとともに作業を続けるのだそうだ。

サービス停止となる6月末までの間、エクスポートツールを使って、データを抽出することができるようになっている。6月30日を迎えれば収集したデータは昇天することとなる(削除される)。

利用者に送られたメールを掲載しておこう(英文):

Hi [user],

We have some bittersweet news. We are extremely happy to announce that salesforce.com has signed an agreement to acquire Clipboard, allowing us to pursue our mission of saving and sharing the Web on a much larger scale. But at the same time we’re also sad to see this stage of our adventure come to an end, especially since it means that our relationship with you, our users, will irreversibly change. The Clipboard service at clipboard.com will be discontinued on June 30, 2013.

But we have your backs. If you want it, all of your data will be preserved into a personal archive from which you can view your clips and boards offline. And if you want your clips destroyed, we can handle that as well. All of the details for what comes next are in the FAQ and some more personal reflections are on our blog.

In nearly two years, 140,000 of you created nearly 3 million clips while over a million of you interacted with them. Thank you for joining us on this journey. We will dearly miss seeing all of you on Clipboard, but we hope you’ll support us in the next leg of our journey.

Best,
The Clipboard Team

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


なぜ私たちはスタートアップの成功を予測するのが下手なのか?

スタートアップについて一過言ある人は投資家から起業家、ブロガーに最近は学生まで色々いますし、あるスタートアップが成功した理由について後付けの理由を適当に見つけて偉そうに語ることは簡単な話ですが、立ち上がったばかりのスタートアップがこれから成功するかどうかを見事に当てることができる人は余りいません。ベンチャー投資については圧倒的な経験と知識のある米国のVCにしてみたところで一定の確立で失敗する前提で投資活動を行っているわけですから、当たり前といえば当たり前の話ですが、今回はそんなスタートアップの成功にまつわるお話を最近SEO Japanお気に入りのアンドリュー・チェンのブログから。 — SEO Japan

スタートアップと下手くそな予測

今年の私のお気に入りの一冊は、“なぜ多くの予測は外れるのに、外れないものがあるのか?”というサブタイトルが付いているネイト・シルバーの『The Signal and the Noise』(註:ネイト・シルバーは昨年の米国大統領選で50州の予測を的中させたことで有名になった注目の統計家)だ。この本は、天気から政治やギャンブルに至るまでたくさんの異なるトピックを取り上げているが、スタートアップ/テックの観点を持ってそれを読まずにはいられなかった。

結局、テクノロジースタートアップ業界は、予測が全てだ―私たちは、自分の予測に基づいて“イタレート”や“ピボット”をするため、何が良い市場となり、何が良い製品となるのかを予測しようとする。そしてもちろん、ベンチャーキャピタルのビジネスは、勝者を選ぶ方法を知ることについてもっと直接的だ―特に、シードおよびシリーズA投資がそうだ。

しかし、私たちは皆、何が機能し何が機能しないかを予測することがあまりにも下手だ。私自身、Facebookに関する自分の恥ずかしい懐疑的態度(日本語)について書いたことがあるが、私は単なるその辺にいるテック野郎にすぎない。職業として勝者を選ぶことを仕事にしている人達やベンチャーキャピタリストに関しても、彼らはあまり上手くやっていない。ベンチャーキャピタルのアセットクラスは公開市場から遅れを取っていると広く言われてきた―あなたはインデックス・ファンドを購入すべきなのかもしれないのだ。

スタートアップ例外論者=希薄なデータセット=ひどく劣った予測モデル

次にブレイクするスタートアップを予測することにおいて最も難しい点の1つが、そういうスタートアップがほとんど存在しないということだ。年間で10~14のスタートアップがテックにおける利益の97%を生み出し、それぞれが著しい例外のように見える。そして、1つの業界として、私たちはそれらの一つ一つに近視眼的に集中する。

ベン・ホロウィッツがハッとするような統計データについて詳しく説明しているのを見てみよう。38:00分から始まる:

このような確率があるため、私たちの脳はパターンマッチングのせいで頭がおかしくなる。今後数年間、Googleのような一世代に一度あるかないかのスタートアップがやって来れば、私たちは皆、“OK、でもあなたのチームにはPhDがいますか?あなたの製品の‘PageRank’は何ですか?”と聞く。そして、AirBnbのおかげで、私たちは、デザイナー主導の企業に懐疑的な状態から彼らの大ファンになった。あまりに数少ないデータポイントのせいで、私たちがコミュニティとして生み出す予測モデルはあまり良くない―それらは単純すぎるし、注目度の高い見出しとサウンドバイトの渦で増幅されている。

これらの単純すぎるモデルは、一般的なスタートアップアドバイスを招く。前に書いたように、アドバイスの自動操縦をし続けて状況に関係なく同じアドバイスをするアドバイザーと、コンサルタントと、プレスと、ベンダーのエコシステム全体があるのだ。優れたUXに投資をしろ、すぐにユーザーにお金を請求しろ、素早くイタレートしろ、全てのことを測定しろ、早くローンチしろ、長時間働け、もっと資金調達をしろ、資金調達は少なくしろ―これら全ての考えは、全くの新人にとっては役に立つが、全ての状況に無謀に適用される時は危ない。

私たちは皆、この共通認識をオウムのように繰り返す方法を知っているが、悪いアドバイスに対して良いアドバイスをいつ聞いているのかどうやって分かるのだろうか?ブレイクする企業が毎年10~15社あるというアイディアについて考えた場合、どれくらいの人が、ブレイクする企業を始めたり作ったりするための適切な決断をして本当に直接的な体験をするのだろうか?

ハリネズミと評論家

私は、ネイト・シルバーが彼の本の中でハリネズミとキツネについて、そして彼らの予測を生み出す際のアドバイスについて書いている時に、自分が一般的なスタートアップアドバイスを嫌っていることに気付かされた―このコンセプトに関するWikipediaの定義は以下の通りだ:

2つのカテゴリがある:1つの決定的なアイディアのレンズを通して世界を見るハリネズミと、幅広い様々な経験を活用し、その世界は1つのアイディアに要約されることができないキツネ

シルバーは明確にキツネと名乗り、自分のアプローチをテレビやラジオの政治的なトーク番組を支配する頭でっかちの評論家と比較した。評論家にとっては、よりアグレッシブに、コントラリアンに、確信しているように見えれば見えるほど、より多くの注目を集めることになる。それは、人々が“[ホットな企業]が[新しい製品]によってダメになる10の理由”のような見出しを書くことによって報われるブロゴスフィアで私たちが目にしていることに似ている。もしくは、“全てスタートアップは[メトリックX]に注意を払うべきだ”とかなんとか。

このハリネズミ的な行動は、市場で何が起きているのかについてはっきりと主張を述べるプレッシャーが常にあるという事実によって増幅される。マスコミの人間はいつも、トレンドを見つけようとしたり、複雑なアイディアを要約しようとしたりするし、投資家たちは、“どんな種類のスタートアップに投資していますか?どうしてですか?”といつも聞かれる。そして、起業家はいつも、自分のビジネスを市場の幅広いトレンドに合わせることを強いられ、人目を引くライバルを見つけることを強いられ、何が起こっているのかを説明する簡単な物語を見つけることを強いられる。

この全てに対する解決策は簡単ではない―キツネになることは、もっと幅広いデータのセットを利用し、複数の視点から問題を見て、それら全てのデータ点を組み合わせた結論に達することを意味する。Upennのフィリップ・テトロックによる予測の科学に関する偉大な業績がある。彼は、ここで良い予測を研究するためのオープンコンテストを開いた。EDGEによる彼のインタビューもあるし、以下に彼らの学術研究をいくつか説明している動画もある:

見る価値がある。

私の個人的体験

5年にわたるシリコンバレー生活の中で、私がスタートアップを予測しようとすることから学んだ最大の教訓は、キャリブレーション(註:一般的な意味としては、標準値と比較しながら調整していくこと)だ。上の動画の中でもそれについて話しているが、それを説明する手短な方法は、自分が知らないことに対して自分が知っていると思うことに気を付けることだ。私は、自分が良い決断をすることができる専門知識の領域は実際にはとても狭いということが分かった―オンライン広告、アナリティクス、コンシューマー・コミュニケーション/パブリッシングの分野で多くの仕事をしてきたため、私の判断はそこではかなり良いが、それ以外の分野ではもっと揺らぐと考えている。

私がアナリティクスを実施する時には、自分が提出する物と自分がどれくらい知っていると思っているかを一致させることを試みる―近頃、それは、私が初めてサンフランシスコにやって来た頃の若くがむしゃらな私よりもずっとためらいがちに聞こえることを意味する。さらに私は、“アドバイスの自動操縦”を採用しないようにしている―もし私が起業家と会って、自分が同じことを何回も言っていることに気が付いたら、そのアイディアを再定義して、その製品のニュアンスや具体的なことを考慮に入れようとする。同じことを何度も繰り返し言うのは簡単だが、それは怠けであり、役に立たない。

ハリネズミではなく、キツネになろう。


この記事は、@andrewchenに掲載された「Why are we so bad at predicting startup success?」を翻訳した内容です。

スタートアップの成功予測に限らず、色々と仕事はもちろん生きていく上で参考にしたい内容でした。年齢、経験を重ねる程、知らず知らずのうちに、自分の得意分野ばかりか他のことに対してまでそのモデルを当てはめて理解できる気になりがちですが、それが原因で失敗することもあると思いますし、人生の新たな楽しみ(を味わえる経験)を失ってしまっていることも多いと思います。たいした成功も収めていないのに偉そうに若手スタートアップ起業家に語る人は論外ですが、成功していてもその成功体験に囚われすぎてスタートアップや新規事業を判断することもまた注意したいものです。 — SEO Japan [G+]

広告ベースの非直接的なマネタイゼーションか、ユーザー課金による直接的なマネタイゼーションか、あなたに適しているのはどっち?

先日紹介した「マネタイズはどうやるの?」と尋ねるのはもう止めてという記事が注目を集めたアンドリュー・チェンのブログ。ビジネスモデルがコモディティ化した今日、スタートアップはマネタイズのことを心配する必要はない、という大胆な提言の記事でしたが、そうはいってもマネタイズも大事でしょ、特に日本では、というあなたのために同じくアンドリュー・チェンがウェブサービスのマネタイズについて考えてみた記事を。数年前の記事につき事例がMy Spaceになっていますが、そのままFacebookに置き換えて読んでみてください。内容の鮮度は今でも十分通用するのでご心配なく。 — SEO Japan


スターウォーズの熱狂的ファンはマネタイズしやすいが、その人数には限界がある

不景気になると直接的なマネタイゼーションへの興味が増える

消費者インターネットにおける広告をベースにした収益モデルの弱さに関する議論は常にあり、不景気が続く経済動向の最中、多くの会社がフリーミアムをベースにしたモデルに転換している。Silicon Alley Insiderは最近、“Revenue Crisis: Here Come The Pro Accounts(収益の危機:プロアカウントがやって来る)”という記事の中でこれについて書いた。そしてもちろん、37 Signalsの例の周りには絶えず議論がある。Techcrunchの記事、“37 Signals Drives Another Company To The Deadpool(37 Signalsが他の会社をデッドプールへと追いやった)”で説明されているような、無料で製品をわたすビジネスモデルに対して批判する人達だ。“A Radical Business Plan for Facebook: Charge people(Facebookのための急進的なビジネスプラン:お金を請求する)”というSlateの記事もある。

直接的なマネタイゼーション vs 非直接的なマネタイゼーション

私自身の言葉で一般的な主張を言い直すと、インターネット上には基本的に2種類の会社がある(ちなみに、私はこれら2つの会社の分類についてStartonomicsでの講演で議論した―動画はこちらスライドはこちらからチェックできる):

  • 直接的なマネタイゼーション、別名、アドバタイザー:直接的なマネタイザーは、購読、eコマース、バーチャルアイテムなどを介して、自分たちの製品にお金を請求する。一般的に、彼らは、焦点を絞った小さな顧客グループを持つ。
  • 非直接的なマネタイゼーション、別名、パブリッシャー:非直接的なマネタイザーは、自分たちの製品を使用するのにお金を請求しない。実際に、製品を無料で配布することもよくある。彼らはオーディエンスを切り刻んで(オーディエンスを区別するためにコンテンツを使用する)、ターゲットを絞ったオーディエンスを直接的にマネタイズする会社に販売する。

ここでは、直接的なマネタイザーと非直接的なマネタイザーには異なる問題があることを記しておく:

  • 直接的なマネタイゼーション:最大の問題は、CPA限られた規模の顧客ベースだ。
  • 非直接的なマネタイゼーション:最大の問題は、コストゼロのユーザー獲得ユーザーインテントの特定(ターゲッティングを介して)だ。

そしてもちろん、重要な問題は、直接的なマネタイゼーションには“自分がやっただけお金を稼ぎ”、至る所でお金になる軌道を維持することができるという大きな長所があることだ。これはブートストラップ・スタートアップに最高だ。

それに比べて非直接的なマネタイゼーションの会社は、途中でたくさんの資本を燃焼し、アドバタイザーにとって興味深い十分な大きさの塊の中にあるオーディエンス・セグメントに売るのに十分な大きさになるまで、かなり巨大な臨界質量に手を伸ばす必要があることが多い。

ベンチャーキャピタリストの視点から見ると、非直接的なマネタイゼーションモデルはより大きなエグジットを生み出すことができることが多く、それ故に“大きくなる”という信念がここには生きている。その理由は、非直接的なマネタイゼーションが、口コミによる成長と合わせて非常に横並びのオーディエンス(検索、Eメール、動画などのように)を持つ会社に適しているからだ。

VCの視点から見ると、直接的なマネタイゼーションモデルは、高価なマーケティング技術によってのみリーチできるより小さな顧客ベースを持っているために、望ましくなくなることが多い。その結果、スタートアップが顧客ベースに手を伸ばすために全てのマーケティングチャンネルを使い果たして、それ以上成長できないかもしれないことが理由で、最終的にエグジットはより小さくなってしまう。これが理由で、歯科矯正医のオフィスのためにソフトウェアを作ることは非常にお金になるかもしれないが、これらの会社は、ベンチャーリターンビジネスではなく、ライフスタイルビジネスになってしまうことが多い。

あなたはどっち?

私は、ここで立ち止まって尋ねたい。あなたの会社にとってはどちらのメソッドが最も適しているだろうか?ニッチな製品なのだから製品にお金を請求するべきなのに、無料の製品と広告によるサポートを選んでいるWeb2.0企業がいくつか存在することに私は気が付いている。これは間違いかもしれない。同様に、より多くの利益を生み出すかもしれない幅広いオーディエンスの支持を得ている製品が非直接的なマネタイゼーションモデルとして存在している(例えば、多くのデジタルコンテンツ)。

どちらの戦略も機能する:MySpaceとWorld of Warcraftを比べてみよう
最終的に、これは同時に2つの変数の最適化である。1つの変数はオーディエンスのサイズ、もう一つは利益の可能性だ。

その緊張関係とは:

  • オーディエンスのサイズは訴求力の幅によって決まる。
  • 利益の可能性はオーディエンスのインテントと情熱で推進される。

もちろん、時には、これらの2つの変数は対立することがある。全ての人がお金を支払う製品はめったにないし、多くの場合あなたは小さなグループを高い率でマネタイズするか、低い率で一時ユーザーの大きなグループをマネタイズするか選ばなければならない。

このモデルの2つの角にいるのが、MySpaceとWorld of Warcractだ。

  • MySpaceは素晴らしい非直接的なマネタイザーである―彼らには膨大なオーディエンスがいるが、各ユーザーからはほんの少しのお金しか儲けない。たとえユニークユーザーが何千万人もいても、彼らは月に1人のユーザーから数セントしか稼がない。しかし、これが年間の収益だと10億ドル近くにまで加算される。ここで留意すべきは、MySpaceの最初のバージョンは比較的構築コストが安かったことだ(それは単なるウェブサイトなのだ!)。
  • World of Warcraftは素晴らしい直接的なマネタイザーである―彼らのオーディエンスはもっと小さい(登録者は1500万人未満)が、各ユーザーからたくさんのお金を稼ぐ。彼らは月に15ドルを請求し、かなり少ないオーディエンスでも年間の収益は10億ドル近くを稼ぐ。ここで留意すべきは、WoWの最初のバージョンがとても高価だったことだ(何千万ドルにもなった!)。

要は、どちらの戦略も機能するということだ―問題は、あなたが自分にとって一番適したモデルがどちらなのかを知るためにこれらのことから何を学ぶかということだ。


この記事は、@andrewchenに掲載された「Ad-based versus direct monetization: Which one is better for you?」を翻訳した内容です。

この記事、実は「マネタイズはどうやるの?」と尋ねるのはもう止めてより以前に書かれたものだったのですが、合わせて読むと両方の記事の理解が深まるかもですね。前回のマネタイズを気にしなくていいという話は広告ベースかどうかはともかく、VCのバックアップを受けて巨大成長を狙うようなビジネスを対象にした話かな、と、再納得。自分のできる範囲で小さくやるスタートアップは、マネタイズが最初から重要なことも改めてまた理解できます。ちなみにライフスタイルビジネスという言葉が出てきますが、日本語でライフスタイルビジネスという生活必需品じゃないけど人生をちょっと豊かにするビジネス(スターバックスとか)に聞こえますが、英語圏でライフスタイルビジネスというと「自分が好きな生き方をするために行うビジネス」のことを指すのでご注意を。って私も初めてこの記事で知ったのですが 汗 スタートアップ起業家も増えている日本ですが、さてマネタイゼーションの仕組み、ビジネスの目指す方向性、あなたの選択はどっち? — SEO Japan [G+]

スタートアップ起業家と社会人キャリア、180%違う再起不能な失敗の差

英語で社会人キャリアに立ち直れないような悪影響を与える失敗のことをキャリア・スーサイド(キャリア自殺)といいますが、所謂一般的なキャリア・スーサイドとスタートアップ起業家としての失敗にはその内容に大きな違いがあるようで、、、シリコンバレー在住の気鋭のブロガー、アンドリュー・チェンが語るその深すぎる差に学ぶものは多そうです。 — SEO Japan

会社を始めることと職に就いていることは全く異なる。キャリア・スーサイドを図るかスタートアップ・スーサイドを図るかは、そのような例の1つだ。

あなたがキャリア・スーサイドを図る時、最大の理由はあなたが規範に従わないことをするからだ。本来すべきやり方でクライアントに対応しなかった。もしくは余りに悪い出来事で同僚を驚かせた。または重要なプロジェクトにも関わらず、チームに馴染めない。これらは全て、あなたが期待される行動に従わない場合に、失敗をする例だ。同僚があなたを判断し、簡単に置き去りにされる。

一方、スタートアップは、大部分の新しいビジネスが失敗するシンプルな理由によって失敗する。これは、もしあなたが全てのことを平均的な起業家のように行い、標準的な実行の範囲内で全ての決断をすれば、あなたは最終的に自分の会社を破産させる決断をすることになるという意味だ。それがまさにスタートアップ・スーサイドだ。だから、それから抜け出すために、少しのことを圧倒的にうまくやることに焦点を合わせるのだ―成功するためには、市場標準よりも遥か上でなければならない。

企業が軌道に乗り、たくさんの従業員を雇うことができる時、その焦点は、ビジネスを運営することにある。彼らはただ同じことを何度も繰り返し、より良く、より効果的にする必要があるだけだ―機運はあなたの手中にある。その一方、あなたが新しい会社を始めた時には、うまくいっていることは何もない。機運はあなたの手中にはなく、あなたは軌道を変えるためにどんなことでも全てする必要がある。

あるケースでは、失敗は、あなたが基準から外れたことをする時に起こる。別のケースでは、失敗は、あなたが何でも平均的にする時に起こる。これは、あなたが起業家として出会う意地の悪い問題の一例にすぎない。


この記事は、@andrewchenに掲載された「Career Suicide versus Startup Suicide」を翻訳した内容です。

いわれてみると、改めてそうかも、と思える記事でした。私もたまに「何故起業したの?」と聞かれることがありますが、正直余りだいそれた理由はなかったのですが、基準から外れるとまではいいませんが、性格が悪く人と違うことをするのが好きなので、普通の社会人として真っ当なキャリアは絶対に積めそうになかったこともあったかもしれません。

もちろんスタートアップ、起業でもその目指すレベルによって基準をどこまで外れて勝負するかは変わってきそうですが、私も今の会社を起こして10年以上が立ちますし、その過程で出来上がった基準的なものに添いすぎて日々活動している感もある最近、この記事を読んで、起業家として大きくステップアップしたければ、もっと大胆に行動しなければいけないと改めて感じました。個人的には短いながら印象深い記事でしたが、さて皆さんはどう思われたでしょうか。 — SEO Japan [G+]

ソーシャルネットワークにスケジュール投稿を行うBuffer、月刊売り上げが10万ドルとなり、利用者数60万を達成

ソーシャルネットワークへの投稿をスケジューリングするBufferの成長が止まらない。毎月10万ドルを売り上げ、年間で100万ドルに達する勢いとなっている。今月段階での利用者数は60万人で、有料利用者数は1万人超を数える。2012年12月時点での利用者数は40万で、Bufferを利用した当時の投稿数は現在の3分の1という規模だった。

スケジュールに従った投稿が簡単に行える点が人気の秘密となっている。TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアが、ブランドにとって非常に重要なツールとなっているので尚更のことだ。ソーシャルメディアを利用する人の層はどんどん広がっており、利用者とコミュニケートするためのツールとして、なくてはならないものとなっているのだ。Bufferの共同ファウンダーのLeo Widrichと話をする機会を得た。ちなみにBufferのチームは昨年、ビザ関連のトラブルがあって一時的にオーストリアに戻らざるを得なくなっていたが、今はまたサンフランシスコで活動を続けている。尋ねてみたのはBufferの利用者層の変化についてだ。

Widrich曰く利用者数は増加の一途を辿っており、またソーシャルメディア上で活動をしたいと考える企業も増え続けているとのことだ。そうした中、Bufferのスケジュール投稿機能は大いに人気を集めているのだ。また最近はFeedlyとの連携機能も提供している。集めたRSSフィードの標準共有ツールのひとつとしてFeedlyで利用されるようになっているのだ。FeedlyがGoogle Readerの代替サービスとして評判を集める中、もちろんBufferにも多くの注目が集まることとなった。これにより新たな利用者もどんどん増えている様子。

ところで最近、ボストン・マラソンの事件の際に、TwitterやFacebookにブランド発の宣伝系メッセージが流れて、悪い意味で注目を集めてしまうというようなことがあった。そうした発言は予め定められたスケジュールに則って投稿されたものだった。もちろん大事件のおりに投稿されるスケジュール投稿は的外れで無神経なものとなってしまうことが多い。Buffer側もそうした状況に対して何らかの対策を練るべきだと考えているようだ。

「全予定実行停止スイッチのようなものを実装すべきかもしれないと考えているのです」とWidrichは述べている。「システム的な対応はともかく、まずは利用者の方々にスケジュールの実行を停止する方法について連絡をしています。おかげで不適切な投稿をせずに済んだとおっしゃる方も多いようです。しかしより包括的な対策をとるべきだろうと考えてはいます」とのこと。

そのようなわけで、簡単にスケジュール投稿を停止する機能は実現に向けて作業中だ。但しWidrich曰く、周囲の状況に適さない投稿を行なってしまった際に効果的なのは、ともかく自らの作業範囲の中で発生した不適切な事象に付き謝罪することだとのこと。何かおかしなことをしてしまった場合、責任者が適切な説明を行うことで、利用者からの理解が得られることが多いのだそうだ。

直近の状況としてはそういう新機能の実現に向けて忙しく動いているところだ。もう少し長いスパンで見ると、Bufferの状況は「非常にうまくいっている」ということになるらしい。2011年におけるシードラウンドでの調達額は40万ドルと比較的少額であったが、Widrichによれば、ほとんどが銀行に残っているのだとのこと。十分な売り上げを得て、現在のところはさらなる資金調達も必要でなく、なかなか理想的な環境で業務を進めているところなのだそうだ。

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(翻訳:Maeda, H)


リンジー・ローハンもはまっているソーシャル・カラオケ・アプリのJust Sing Itが100万ドルを調達

Just Sing Itの開発チームは先ほど100万ドルの資金を調達したことを発表した。

私は今月、このアプリがリリースされたときに記事を書いたが、そのときの取材でCEOのAlec Andronikovは「ユーザーが本当にやみつきになるような体験を提供したい」と語っていた。このアプリではユーザーが単にカラオケのパフォーマンスを共有するだけでなく、他のユーザーが歌っている曲名を当ててバーチャル・コインを獲得したりできるようなゲーム化がなされている。Andronikovによれば、「カラオケをきっかけにして幅広いソーシャル体験のプラットフォームにしていきたい」ということだ。

ローンチ後の2週間でアプリは8万回インストールされ、App Storeの音楽カテゴリーで1位になった。ユーザーの実際のりようも極めて活発で50万曲が歌われている。おさわがせセレブのリンジー・ローハンもハマっているらしい。

投資したのはTribeca Venture Partners、Lerer Ventures、m8 Capital、Eniac Ventures、Institutional Venture PartnersのDennis Phelps、Redwood Technology VenturesのBob Geimanだ。Just Sing Itはこn資金をさらなるアプリの開発のために使うとしている。

Just SIng Itの開発元はAnyoneGameという会社だが、Just Sing Itというブランドに集中するために社名を変更するらしい。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+