アマゾンがインド・バンガロールのフードデリバリーサービスを全市域に拡張

現地時間3月8日、Amazon(アマゾン)は同社のフードデリバリーサービスであるAmazon Foodをバンガロールのすべての郵便番号に広げる、と発表した。これはインドで2020年5月にAmazonが新しい業種であるフードデリバリーへの参入以降、初めての一般向けアップデートとなる。

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米国のeコマース企業Amazonによると、Amazon Foodは現在、Whitefield、HSR、Sarjapur、Koramangala、Indiranagar、MG Road、Jayanagar、JP Nagar、Frazer Town、Malleshwaram、RajajinagarそしてVijayanagaといった、バンガロールの主要地区すべてをカバーしている。

2020年5月にローンチした際のAmazon Foodの利用可能地域は、わずか4つの郵便番号だった。

Amazon Foodはまだ、インドにおける主要マーケットの1つで営業しているにすぎないが、そこで同社は競合他社に負けまいと躍起だ。中でもバンガロールで主な競合企業であるZomatoとSwiggyは、資金力も豊富だ。

フードデリバリーはプライム会員には無料だが、一般客は19インドルピー(約28.33円)を支払う。しかしSwiggyやZomatoより安い。

インドでの事業展開に65億ドル(約7057億4000万円)を投資すると明言している同社は、バンガロールですでに2500軒のレストランとクラウドキッチンが利用しているという。Amazon Foodの顧客は、これらのレストランの特別料金やAmazonからのキャッシュバックを利用できる、と同社は述べている。

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Amazonらしくもなく、Amazon Foodのインドにおける展開がこんなに遅いのはなぜなのか。その理由を同社自身が述べたことはない。

(もちろんグローバルなパンデミックはあるが、Amazonは、従業員が「一方通行ドア」および「双方通行ドア」と呼んでいるものをたくさん作っている。双方通行ドアは、入るのも出るのも自由で本格展開ではない試行で、具体的な意思決定をしていない案件のことだ。Amazon Primeは一方通行の賭けだと考えて欲しい。したがって、Amazonがどのような新しいサービスにどのようにコミットしているのか、初日からはっきりしていない。)

Amazon Indiaのカテゴリ管理担当ディレクターであるSameer Khetarpal(サミール・ケタルパル)氏は次のように語っている。「Amazon Foodのバンガロール進出では、市民の日常生活の一部になるとともに、どの他社にも負けない利便性と価値の提供努力を継続している。Amazon Foodは同市の最高のレストランを、全国的な名店と地元の人気店を含めてご提供する中で、デリバリーと安全性の厳密なプロトコルに従っている」。

Ant Financialが投資しているZomatoとProsus Venturesが投資しているSwiggyは、インドのフードデリバリー市場の複占化を確立し、Bank of Americaのアナリストは両社のマーケットシェアの合計が90%ほどと推計している。UberはインドのフードビジネスをZomatoに売却して、2020年の初期にインドのフードデリバリー市場を去った。

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Amazon Foodの拡張努力は、アナリストたちが市場のリーダーと呼ぶZomatoがIPOの準備をしているこの時期に行われている。

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インドのフードデリバリー市場の参入が難しいのは、国内事情のせいでもある。米国のような先進国市場では、出前品目の単価が33ドル(約3580円)ほどだが、調査会社によるとインドの単価は4ドル(約430円)だ。ZomatoとSwiggyはともに2020年に単価の改善に大きな努力を払った。

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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

AmazonのFire TVが「ライブ」のチャンネル拡大とAlexa対応を発表

Amazon(アマゾン)は、そのFire TVプラットフォームに無料で視聴可能なストリーミングやライブコンテンツをより重視した新たな展開を開始する。同社は米国時間3月3日、Fire TVの「ライブ」カテゴリに、XUMOや同社傘下のIMDb TV、そしてAmzonニュースアプリなど、いくつかの新しいサービスを統合すると発表した。また、近日中にPlexも追加される予定だという。

Amazonによると、これら4つのサービスはすべて広告付きで無料で利用でき、サブスクリプションを必要としないという。これらのチャンネルとそのコンテンツは、Fire TVの「ライブ」タブにある「On Now」の列に表示される他、Fire TVアプリの「Universal Channel Guide(ユニバーサルチャンネルガイド)」にも表示される。

今回の追加により、20のプロバイダからライブストリーミングされる400以上のチャンネルが、Fire TVのライブチャンネルガイドで見られるようになったとAmazonは述べている。これらのサービスには、YouTube TV、Sling TV、Tubi、Pluto TV、Philo、Prime Video Channels、Prime Video Live Events(Thursday Night Footballなど)などが含まれる。

Amazonはまた、それらのチャンネルのうち200以上が広告付きで無料で視聴でき、サブスクリプションが必要ないことも強調している。

無料のライブストリーミングコンテンツは、米国ではストリーミングメディアプラットフォームの上位2社であるAmazonとRoku(ロク)が競い合う場となっているが、フォーマットにおいて両社のアプローチはそれぞれ異なる。

Amazonの無料ライブコンテンツを紹介するセクションは、Fire TV全体のインターフェースの一部となっており、それぞれ別のチャンネルを起ち上げなくても一覧を見ることができる。これは、Fire TV全体が1つのストリーミングサービスのように感じられるというAmazonのデザイン哲学を物語っている。

「私たちは、Fire TVをデザインする際に、常にコンテンツフォワードのアプローチをとってきました。テレビの電源を入れると、アプリが並んでいるのではなく、番組や映画、スポーツなどのコンテンツが表示されます」と、Amazon Fire TVのVP兼GMであるSandeep Gupta(サンディープ・グプタ)氏は述べている。「この哲学は、ライブコンテンツへのアプローチにも及んでいます。私たちはライブTVに多額の投資を続けており、コンテンツパートナーも同様です。今回は、新たなサービス統合やAlexa(アレクサ)対応、強化されたコンテンツ発見メカニズムを加えることで、それをさらに拡大します」と、同氏は続けた。

一方で、Rokuは「The Roku Channel」と呼ばれる常時無料の映画やテレビ番組を配信する独自のハブを提供しており、従来の有料テレビを見捨てた後に観るものを探しているコードカッター(ケーブルテレビの契約を打ち切る消費者)が最初に利用する出発点としての機能を果たしている。しかし、Fire TVとは異なり、Rokuのインターフェイスデザインは、実際には「アプリが並んでいる」だけだ。だが、このシンプルにまとまっていてごちゃごちゃしていないインターフェイスを、使いやすいと好む人も多い。The Roku Channelは単独のアプリとして起動し、Rokuのインターフェースに統合されているわけではない。

またRokuは、The Roku Channelを他の無料ストリーミングサービスと同様、ウェブサイトやスタンドアロンのモバイルアプリとしても提供している。先週、同社はより多くの消費者にリーチするために、The Roku Channelの無料コンテンツのほとんどを、メインのRoku.comのウェブサイトに統合した。

Fire TVも独自のアプリを提供しているが、こちらはライブコンテンツに限定されており、オンデマンドの広告付き番組や映画は観ることができない。

Amazonは今回、ライブTVの新たな統合に加えて、ライブTVのプログラムがAlexa対応になることも発表した。

つまり「アレクサ、『グッド・モーニング・アメリカ』を映して」とか「アレクサ、シーホークスの試合を映して」というように、特定の番組名をいうと観ることができるようになったということだ。これは、Fire TV CubeのAlexa Voice Remoteや、Echo(エコー)デバイスとペアリングされたFire TVで動作する。

ライブTVの番組は、新たにアップデートされたFire TVインターフェースの「App Peak」(ホバー)機能にも表示される。この機能は、メインナビゲーションでチャンネルにカーソルを合わせると、そのチャンネルで何が放映されているかを表示するもので、当面の間はFire TV Stick(第3世代)とFire TV Stick Liteで動作する。

ライブTVの統合や拡大によって(新型コロナウイルス感染流行の影響で人々が自宅でエンターテインメント楽しむようになったことはいうに及ばず)、Fire TVによるライブストリーミングアプリの利用は、過去12カ月間で2倍を超える130%以上も増加したという。

Amazonによると、今回発表された新機能は、米国では同日よりFire TVに展開が始まっているという。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:AmazonAmazon Fire TVRoku

画像クレジット:Amazon

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Amazonがモバイルゲームのビデオクリップを共有するGameOnアプリをiOSでもローンチ

モバイルゲームはデスクトップのようにコンテンツのストリーミングほどの需要はないが、でもAmazonはそこに、2020年に同社が買収したTwitchの支配を拡張するための市場を見ている。そこで同社は、2020年11月にAndroidバージョンを立ち上げた同社のストリーミング中心型のモバイルアプリを、AppleのAppStoreにもローンチした

ユーザーはそのアプリを使ってゲームプレイの30秒から最長5分までのビデオクリップを録画する。ゲームは録画機能のあるものなら何でもよい。録画といっても、実際にクリップが記録されるのはGameOnのライブラリで、そこへ直接記録される。そこに、後からコメントを加えたり、編集をしてからGameOnで公開したり、そのリンクを他のサイトのプラットフォームで共有することができる。

おもしろいことにGameOnのプラットフォームは、Twitchとは完全に無関係で、ブランドもチャンネルも異なる。Amazonはストリーマーたちと協力してモバイルゲームに全面的にフォーカスし、そのアプリにしかないチャレンジをアピールしている。同社によるとサービスは、1000以上のモバイルゲームに対応しているという。

開発者は最近ますます、デスクトップタイトルのより完全なモバイルへの移植を追究しているが、高度なコントロールができないため、それも難しい。しかしゲームプラットフォームがクラウドストリーミングのネットワークをiOSに持ち込もうとすると、そこではユーザーがゲームパッドでコントロールするモバイルネイティブのコンテンツとゲームの需要が増えることになる。しかしながら、実際にそうなるためには、AppStoreが今後このようなプラットフォームにもっと馴染んでいく必要がある。¥

カテゴリー:ゲーム / eSports
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(文:Lucas Matney、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Amazonがドラマ番組を巡りインドで異例の謝罪

米国時間3月2日、Amazon(アマゾン)は同社のオリジナル政治ドラマの9回からなるミニシリーズでいくつかのシーンが一部のインドの人たちの宗教心を傷つけたという抗議について、同国ユーザーに異例の謝罪を行った。

Tandav」というそのドラマシリーズは、ヒンドゥー教の神と女神の描写を巡りインドの一部の人々(与党バラティヤジャナタ党員を含む)から批判を浴びた。

「Amazon Prime Video Apologizes(Amazonプライムビデオからのお詫び)」と題したそのメッセージでAmazonは「一部の場面で視聴者に不快感を与えたことを深くお詫びいたします」と謝罪し、視聴者から懸念について報告を受けた後、当該シーンを編集あるいは削除したと語った。

「当社は視聴者方の多様な信仰を尊重し、該当するシーンに傷つけられた方々には無条件にお詫びいたします。私たちのチームは会社のコンテンツ評価プロセスに沿って行動しており、視聴者へのサービス向上のためにこのプロセスの改訂に務めていく必要があることを認識しております。今後もパートナーとともにエンターテインメント性のあるコンテンツを開発しつつ、インドの法律に則り、視聴者の文化と信仰の多様性を尊重していく所存です」。

Saif Ali Khan(サイーフ・アリ・カーン)氏をはじめとするインドのトップ俳優陣が出演するこのドラマは、1月中旬の放映開始直後から議論と刑事告発を招いた。最近になってAmazon Prime Videoの上級幹部が当局の調査を受けたことで事態は激化した。

Prime Videoはインドで数百万人の会員を集め、DisneyのHotstarやNeftflix、Times InternetのMX Playerはじめ何十ものストリーミングサービスと競合している。Amazonはここ数カ月、インドにおいてPrime Videoを一層積極的に展開している。最近になってより低価格なサブスクリプションプランを導入し、クリケットの試合をストリーミングする権利を取得した。

同日のAmazonによる異例の謝罪は、インド政府がオンデマンドビデオストリーミングサービスおよびソーシャルメディアの会社に対する新たなルールを発表した数日後のことだった。

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これまでAmazon Prime Videoなどのストリーミングサービスは、インド国内でコンテンツ内容についてさほど心配する必要がなかった。しかし、新しいルールによってそれが変わりつつある。

「コンテンツのこのカテゴリー分類では、さまざまな種類の作品で起こりうるカースト、人種、性別、宗教、身体障害、性的指向などの事象が不快を与える可能性を考慮にいれ、分類の決定には与える影響の強さも勘案する」と新ルールは言っている。

TechCrunchが最近書いたように、政治的ドラマとインドのストリーミングサービスに対する新たなルールを巡る議論は、Amazonが65億ドル(約6940億円)以上を投入しているインド市場で直面してる課題のごく一部でしかない。

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2021年2月、インドで数百万の実小売店舗を仕切っている有力業社団体が国からAmazonを排除するようインド政府に働きかけたReuters(ロイター)の調査によって、米国のeコマース団体がインドの小さな小売業者グループを優遇し、その結びつきの事実を曲げて伝えることで国内の海外投資ルールを回避したことが明るみに出たのを受けたものだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:AmazonAmazonプライムビデオインド宗教

画像クレジット:Amal KS / Hindustan Times / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

全インド商業者連合がアマゾンの事業禁止を政府に要請

数千万人規模の小売業者を代表するインドの有力な商業団体が、インド政府にAmazon(アマゾン)の同国における事業禁止を求めた。この米国の電子商取引企業グループが、インドの少数の販売業者を優遇し、それらの販売業者との関係を公に虚偽表示して、国内の外資規制を回避するためにそれらの販売業者を利用していたと報じられたためだ。

全インド商業者連合(The Confederation of All India Traders、CAIT)は米国時間2月17日、Reutersの記事で明かされたことを受け、インド政府にAmazonに対して深刻な措置を取るように「要求」した。「CAITは何年もの間、AmazonがインドのFDI(外国直接投資)規制を回避し、不公正で非倫理的な商活動を行っているのを見過ごしてきました」と、CAITは述べている。

インドの8000万人の小売業者と4万の商業団体の代表だと主張するCAITのPraveen Khandelwal(プラヴィーン・カンデルワル)事務局長は、「Amazonが故意にルールを弄んでいることは公然の事実です。これ以上何を待つことがあるでしょうか。インドでは即刻事業を禁止されるべきです」と語った。

CAITは何年もの間、インドでAmazonとWalmart(ウォルマート)傘下のFlipkart(フリップカート)が利用している違法なビジネス慣行と彼らが主張しているものについて懸念を表明している。これらの行為が、小規模な小売業者に実存的な脅威をもたらしていると、CAITは述べている。

インドはAmazonにとって重要な海外市場であり、この世界第2位のインターネット市場における事業に65億ドル(約6900億円)以上を投資することを同社は約束している。

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Amazonの広報担当者は声明の中で、同社はロイター通信の記事にある内部文書というものを見たことがないため、同記事に書かれた情報や主張の信憑性などを確認することはできないと述べた。「その記事は根拠のない、不完全な、および/または実際のところ間違った情報に基づいているように思えます。おそらく世間を騒がせ、Amazonの信用を落とす意図で供給されたものでしょう」と、広報担当者は述べている。

「Amazonは、インドのすべての法律を遵守し続けています。過去数年の間に、同国では商業界を管理する規制の変更が何度もあり、Amazonはその都度、遵守を確実にするために迅速な対応をとってきました。この記事には古い情報が含まれているようで、何らかの違反行為を示すものではありません。私たちは、インドの消費者にファーストクラスのサービスを提供し、インドの製造業者や中小企業が、インド国内だけでなく、世界中の顧客にリーチできるよう支援することに引き続き注力しています」と、声明は続いている。

インドでは長年の法律により、Amazonをはじめとするeコマース企業が、在庫を保有したり、消費者に直接商品を販売することを制限している。これを回避するため、同社は在庫を保有する企業として機能する地元企業との合弁事業を介して運営を行ってきた。インドは2018年後半に、この抜け穴の修正に乗り出した。

ロイター通信は、非公開の内部文書を引用し、Amazonが大手販売業者の一部の在庫を大幅にコントロールしていたと書いている。記事では、33の業者がアマゾンで販売されている全商品の約3分の1を占めており、2019年初頭にはアマゾンが間接的に出資していた2つの業者が、インドにおけるAmazonの売上高の約35%を占めていたと主張している。

この新たに掲載された記事と、そしてその潜在的な反響は、Amazonにとってインドでまた1つ増えた頭痛の種に過ぎない。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Amazonインドeコマース

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

NY州司法長官がアマゾンを提訴、新型コロナ対策の不備と従業員への報復的措置を指摘

ニューヨーク州のLetitia James(レティシア・ジェームズ)司法長官は、Amazon(アマゾン)が同州にある2つの施設で適切な健康安全対策を怠ったこと、そして苦情を言った従業員を不当に懲戒解雇したことを主張し、ニューヨーク州最高裁判所に提訴した

ジェームズ氏は2020年3月にAmazonの調査を開始した。同氏の事務所によると、当初はスタテン島の発送センターとクイーンズ区の配送センター(合計5000人以上の従業員を雇用)の状況に焦点を当てていたが、後に従業員の解雇や懲戒処分にまで調査を拡げることになったという。

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声明の中で、ジェームズ氏は次のように述べている。

AmazonとそのCEOは、この危機の間に数十億ドル(数千億円)の利益を上げましたが、勤勉な従業員は危険な環境に耐えることを余儀なくされ、そしてこれらの懸念を正当に表明した従業員は報復を受けました。新型コロナウイルス感染流行が始まって以来、Amazonが人々よりも利益を重視し、従業員の健康と安全の確保を怠ったことは明らかです。パンデミックの間も、この国を動かし、それを維持してきた労働者が、最悪の待遇を受け続けているということです。私たちがAmazonの行動に対して責任を追及しているように、私の事務所は、あらゆる形での搾取や不公正な扱いからニューヨークの労働者を守ることに、引続き専念していきます。

Amazonは先週、ジェームズ氏を先制して提訴し、職場の安全は米連邦に属する問題であり、彼女には提訴する権限がないと主張していた。

「先週の提訴で示した通り、私たちは従業員の健康と安全を深く気にかけており、司法長官の提訴は、Amazonの業界をリードするパンデミックへの対応を正確に表現したものではないと考えています」と、Amazonの広報担当者であるKelly Nantel(ケリー・ナンテル)氏は声明で述べている。

今回の訴訟では、Amazonが適切な清掃・消毒や接触者追跡について定めた州法に違反し、従業員が「保健、衛生、社会的距離、必要な清掃に取り組める時間が取れるように」生産性の方針を改めなかったことなどを訴えている。

この訴訟はまた、Christian Smalls(クリスチャン・スモールズ)氏の解雇(自身も同社を提訴している)と、Derrick Palmer(デリック・パーマー)氏への警告を「労働者の不満に対する迅速な報復的措置」であると指摘している。

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ジェームズ氏の事務所によると、この訴訟ではAmazonの方針の変更、スモールズ氏への未払給料および損害賠償の支払いと同氏の復職、パーマー氏への損害賠償、そして「Amazonが違法行為の結果として得た利益の放棄」を求めているという。

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アマゾンが予約注文で新しいAlexaデバイスの人気投票を実施、ラインナップにはスマート鳩時計も

Amazon(アマゾン)のDay 1 Editionプログラムは、同社がハードウェアを開発するプロセスを隠しているカーテンをほんの少しだけ開けた。プログラムの第1弾はスマートメガネのEcho Framesとスマート指輪のEcho Loopだった。初期ユーザーのフィードバックにより、Amazonはスマートメガネの製造を継続することを決めた。

このプログラムのアイデアは、さらに進化している。今回のプログラムは社内クラウドファンディングの予約注文のようなものだ。Amazonはコンセプトをいくつか提示し、購入したい顧客は予約注文のかたちで投票する。目標を達成すればその製品が販売される。達成しなければボツになる。日本のSony(ソニー)が5年ほど前に開始した「First Flight」プログラムに似ていないこともない。

製品の発売にあたってAmazonがリソースを求めているのではないことは明らかだ。このようなプログラムは必須ではないが、ハードウェアチームがちょっと変わったものを開発する助けとなることは理解できる。数年前にAmazonが出したビッグマウスビリーバス(ブラックバス型のAlexa対応デバイス)のようなわずかな例外はあるにしても、大企業は一般に奇妙なハードウェアのコンセプトは製品化しない。

画像クレジット:Amazon

今回はまず3つの製品が公開され、わかりやすいものもあれば変わったものもある。共通しているのは、少なくとも今回に関してはすべてAlexa対応ということだ。今後もAlexa対応の製品が出てくると予測されるが、Amazonはどこまで手の内を見せるかを明確に決めているようだ。

今回の製品の中でわかりやすいのはSmart Stick Note Printer(スマート付箋紙プリンタ)だ。Alexa(Echo)に何か話しかけると感熱式で付箋紙にプリントされる。感熱式なのでインクの交換が不要だ。つまり買い物リストやイベントのリマインダーを声でプリントできる。予約注文価格は90ドル(約9500円)となっている(KickstarterやIndiegogoと同様に、一般に市販されることになったらこれより高価になるだろう)。

画像クレジット:Amazon

35ドル(約3700円)のSmart Scale(スマートはかり)はEcho Showと組み合わせて使う。「Alexa、このブルーベリーに含まれる糖分の量をSmart Scaleで調べて」「Alexa、Smart Scaleで200kcal分のブルーベリーを測って」のように話しかけると、測った分量に対する栄養成分の情報がEcho Showの画面に表示される。

3つの中で最も奇妙で楽しい製品はSmart Cuckoo Clock(スマート鳩時計)だ。平凡なEcho Wall Clockの流れをくみ、鳩時計のメカニズムが組み込まれている。ふりこは取り外し可能で、時計を壁にかけることも棚に置くこともできる。予約注文価格は80ドル(約8500円)だ。

画像クレジット:Amazon

Amazonは具体的な目標を記載していないが、プロジェクトごとに目標達成率が示されている(実数は示されていない)。目標を達成しなければ予約注文には課金せず、別のプロジェクトを開始する予定だ。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AmazonAmazon Alexa

画像クレジット:Amazon

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(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)

Amazon上のFBA店を大量に買い漁るThrasioがさらに約790億円調達

Amazonマーケットプレイスのロールアップが快調に進んでいる。最近の動きとしては、このプラットフォーム上のサードパーティーセラーを整理統合する初期からの事業者であるThrasioが、小規模なセラーたちに規模の経済による良質な管理と成長を提供するという約束を掲げて、7億5000万ドル(約791億8000億円)の資金を調達した。評価額は30億ドル(約3167億3000万円)と40億ドル(約4223億円)の間、また、それより高いとも言われるが、広報担当者は「100億ドル(約1兆558億円)に満たない」としか述べていない。

この投資は同社の既存の投資家であるOaktreeとAdventがリードし、以前からの匿名の投資家たちも参加した。資金支援者たちのリストにはPeak6、Western Technology Investment、Jason Finger(ジェイソンフィンガー)氏(初期のフードデリバリーSeamlessの共同創業者)らがいる

Thrasioはその資金を、Amazon FBAを利用しているサードパーティーセラーをさらに多く買収することに投じるつもりだという。FBAとは「Fulfilment By Amazon」の頭字語で、セラーは商品をAmazonに送るだけで、その後の販売、発送、決済処理をすべてAmazonがやってくれるというものだ。

「Thrasioは例外的な成長を続けています」と、Carlos Cashman(カルロス・キャッシュマン)氏とともに同社を設立したJoshua Silberstein(ジョシュア ・シルバースタイン)はいう。「Thrasioは例外的な成長を続けています」とCarlos Cashmanと共に会社を設立し、共同で指揮しているJoshua Silbersteinは述べた。「過去2カ月で、我々は毎日150万ドル(約1583億7000万円)の収益を得ています。Thrasioは毎週2、3件の取引を行っています」。

Thrasioは今日まで100社近くのFBA企業を買収したが、その過程で6000社の候補企業を評価し、1万4000種類の商品カテゴリーの、それぞれ売上最上位の製品を検討してきた。

6000は大きな数字に聞こえるかもしれないが、ある推計によると、Amazon上には約500万のサードパーティーセラーが存在しており、2020年だけでも100万以上のセラーが参加、現在も指数関数的に増加している。

チャンスの大きさと、Amazonが証明したeコマースの世界におけるスケールメリットが、現在、スタートアップが多くのセラーをロールアップ(大量買収)しようと狙っている理由だ。

Thrasioによる7億5000万ドルの資金調達は、全額がVCによる株式投資だ。同社の広報担当者によると、評価額は公表しないが、2021年1月に5億ドル(約527億4000万円)の融資ラウンドを完了したときには、評価額30億ドルと報じられた。

しかしそれは負債のラウンドであるため、この度の株式投資にそのまま当てはまる評価額とは限らない。2つを並べることも、間違っているかもしれない。合理的な推計としては、それは30億ドルと40億ドルの間で、それより大きい可能性もある、という表現になる。

「それより大きい」と表現できるのは広報担当者がそう言ったからだけではなく、eコマースにおけるこの特殊な分野が現在、特に過熱しているからだ。

Thrasioのニュースが入ってきたのは米国時間2月9日午後であり、それはライバルのBrandedが1億5000万ドル(約158億2000万円)の資金で独自にロールアップ事業を立ち上げたと報じてからわずか数時間後だった。Brandedの場合、重要なのは共同創業者に、ヨーロッパの資金量豊富なVC企業Target Globalが含まれていることだ。

しかもThrasioとBrandedには、Berlin Brands GroupSellerXHeydayHeroesPerchといった既存のライバルがいる。彼らが、将来性のある小さなサードパーティーのマーチャント(商業者)を買うために集めた資金は、ゆうに10億ドル(約1054億7000万円)を超えるだろう。

Thrasioによると、同社の資金調達はすばやく進み、既存の株主たちが11.1%希釈され、株と負債で1株あたり1.75ドルを調達したことになる。

Thrasioのプロダクトには、Thrasioというブランドはつかない。しかし私の推測では、Thrasioもそのライバルたちも、もっと高品質を示唆するような鋭角性を狙っているのだろう。現在、これらセラーの一部のいい加減な命名は避けると思われるが、とにかく今後を見守りたい。

同社が保有するブランドの例としては、深部マッサージのVybe Percussionや、光治療のCircadian Optics、スキンケアのSdara Skincareなどが挙げられる。

競合製品の中には本当に優れた製品もあるため、Thrasioは買収したブランドのマーケティングとアナリティクスに力を入れると述べ、「有名ブランドと競合し、プロダクトへの信頼をすばやく獲得して、消費者が信頼して日常的に使用するアイテムに育てたい」という。

FBA企業をロールアップしていく熱病のようなペースは、いかにもバブルを思わせる。特に、若いスタートアップ各社はどこも、Amazon上のセラーを買い上げて整理統合していく戦略が利益を生むことをまだ実証していないからだ。

唯一、利益を報告しているロールアップ企業であるBerlin Brands Groupは、利益は同社が新たに作ったさまざまなサードパーティーセラーから得ており、買収した企業からではない。昔の有名ブランドが、ロールアップで息を吹き返した例もまだない。

Thrasioは今まさに、投資で大きくなるか、ならないかの瀬戸際にいる。2018年に創業されたわずか3歳の企業だが、この分野では最も古く、実績もある企業になっている。

「10年後には、全方向的なリテールが消費者製品全体のエコシステムのバックボーンになります。今は、その創生期です。毎日のように市場構造そのものが進化し、変形しています。私たちのバランスシートは、昨日までの戦いに勝つために作られてはいません。1つの業界の、地殻変動的な変化にともなって加速される商機を追うべく設計されているのです」とキャッシュマン氏は語る。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Thrasio資金調達Amazon

画像クレジット:Angela Kotsell/Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アマゾンの倉庫労働者が組合結成へ向け郵便投票を開始

全米労働関係委員会(NLRB)は米国時間2月5日、2月8日に開始予定の組合投票を遅らせようとするAmazon(アマゾン)の試みを却下した。会場での投票実施の要求などを含め、オンライン大企業Amazonの動きは多くの人の目に引き伸ばし作戦のように映った。会場での投票実施は、まだ新型コロナウイルスが米国そしてグローバルで大きな脅威である中で明らかに健康リスクをともなう。

「Amazonの労働者は、組合の声を勝ち取るための取り組みにおいて再び勝利を手にしました」と小売・卸売・デパート労組の組合会長であるStuart Appelbaum(スチュアート・アップルバウム)氏はNLRBの決定に関する声明で述べた。「パンデミックの最中に会場での投票を主張することで、労働者の健康と安全に対するAmazonの露骨な無視がまたも示されました。本日の決定は、Amazonが自社の従業員を尊重していたのははるか昔のことだと証明し、また今回の決定により労組は脅迫や妨害なしに投票を行うことができます」。

しかしながらAmazonは、多くの人に投票に参加してもらうという同社の目標に沿わないものであるため、NLRBの決定に失望した。同社の広報担当Heather Knox (ヘザー・クノックス)氏がTechCrunchへの声明で述べた。

「郵送で行う投票の従業員参加率は、実際に会場で行うものより20〜30%低いことをNLRBは認識しています」とノックス氏は話した。「Amazonは新型コロナ専門家によって認証された安全な会場投票プロセスを提案しました。専門家らは我々の同僚にすでに組まれたシフトの途中、あるいは業務に向かう途中に投票するよう勧めました。我々は引き続き、当社従業員の大多数の声を反映するような公正な選挙のための方策を求めます」。

現在、郵送投票プロセスは計画通り進んでいて、最終的に6000人ほどが働くアラバマの倉庫が、1937年からAFL-CIO(米国労働総同盟と産業別組合会議)の会員であるRWDSU(Retail, Wholesale and Department Store Union、小売・卸売・百貨店などに従事する労働者のための労働組合)に加わるかかどうかを決める。この動きはアマゾンの肉体労働者にとって分水嶺となる。そしてAmazonが全米110カ所ほどで展開しているフルフィルメントセンターで似たような組合立ち上げを誘発するかもしれない。

投票は、伝統的にそうした労組の動きを排除してきたテック部門におけるブルーカラー労働者、ホワイトカラー労働者両方にとって急激な変化が起こっている最中でのものだ。注目を集めた最近の例としては、ピッツバーグで働くGoogle(グーグル)の契約者のグループがあり、2021年に入って従業員800人超が加入したAlphabet Workers Unionの立ち上げがある。2020年2月、Kickstarter(キックスターター)は労組立ち上げの投票を行い、その翌月にデベロッパープラットフォームのGlitch(グリッチ)でも同様の動きがあった。

労働者と雇用側の間の仲介者のような役割を担う組合は、団体交渉を通じて賃金や労働条件、福利厚生の改善のために従業員を代表して主張する。組合に加入するには組合費が発生するが、組合員は非組合員よりも高収入を得る傾向がある。米国労働統計局によると、フルタイム賃金と給与制の労働者において、2020年の組合員の週給の中央値は1144ドル(約12万円)だったのに対し、非組合員の週給は958ドル(約10万円)だった。

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往々にしてこうした組合は、水面下で何カ月もあるいは何年も計画した結果だ。米国における労働の歴史に関する基礎的な知識を持っている人にとってはおそらく驚くことではないだろう。Amazonの労組立ち上げは米国の労働とテックにとって歴史的な動きとなるかもしれない。同社が動きを阻止することを模索してきた結果となる可能性がある。

投票を遅らせようとする試みに加え、Amazonはアラバマ州ベッセマーの労働者に労働組合結成に賛成しないよう説得に全力を注いできた。AmazonのDo It Without Duesウェブサイトは組合費を払うのではなく現状維持を労働者に勧めている。

「もし組合費を払っているなら、それは互いに助け合いまた社交的になりづらくなるという制限的な意味合いになります」とサイトにはある。「なので、実行者になり、フレンドリーのままでいながら組合費を払わずに物事を済ませましょう」。

一方、労働者はAmazonの反組合戦略が行き過ぎだと不満を述べてきた。とある労働者は、トイレの個室に反組合のメッセージが書かれるなどの攻撃を受けてきた、とワシントンポスト紙に語った

Amazonは2020年3月にベッセマー倉庫を開所し、フルタイム5000人超の雇用を生み出してきたと話す。時間給は15ドル30セント(約1610円)からで、ヘルスケアや眼科・歯科保険、401Kマッチング(事業者折半拠出金)の50%が含まれる、とクノックス氏は話した。労働環境は「安全」で、「イノベーティブ」と同氏はつけ加えた。「当社はチームをサポートすべく懸命に取り組んでいて、ベッセマーの同僚の90%超がAmazonは良い働き場所だと友達に勧める、と話しています」。

しかしAmazonにおける労働の歴史にはムラがある。同社は労働者、特にアラバマのフルフィルメントセンターで現在雇用されている6000人のようなロジスティックと出荷作業を行う労働者の扱いに対して、度々非難を浴びてきた。そうした問題の多くが2020年に明るみに出た。米国で新型コロナパンデミックが起こった当初、アマゾンの従業員が「エッセンシャルワーカー」とみなされたためだ。

2020年11月、元倉庫労働者のChristian Smalls(クリスチャン・スモールズ)氏が、パンデミック中に労働者に適切なPPE(個人保護具)を提供しなかったとしてAmazonを相手取って訴訟を起こした

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「Amazonは熱心な労働者を新型コロナから守っている、と主張したために不用意に契約を打ち切られて昨日のゴミのように投げ捨てられるまで、私は忠実な労働者で、すべてをAmazonに捧げてきました。私はただAmazonに基本的な保護具を労働者に提供し、職場を消毒してほしかっただけです」と当時、スモールズ氏は述べている。

同氏は、スタテン島フルフィルメントセンターでの職場ボイコットを企画した後の2020年3月に解雇された。Amazonの広報担当はTechCrunchに、スモールズ氏は「他人の健康と安全をリスクにさらし、雇用条件に違反した」として解雇された、と語った。

2020年4月には、同社によると「繰り返し内部規則に違反した」として従業員のEmily Cunningham(エミリー・カニンハム)氏とMaren Costa(マレン・コスタ)氏が解雇された。2人は同社の倉庫で働く従業員の扱いを声高に批判していた。こうした批判はパンデミック期間に耳にするようになったものだ。

そして9月、Amazonが情報アナリストの雇用を検討していると報じられた。求人情報には「労働組織の脅威などかなり機密扱いとなる微妙な問題について」上層部や弁護士に知らせる人を求めている、とある。

同社はすぐにその求人を取り下げ、「役割の正確な描写ではありませんでした。エラーであり、訂正されました」と同社の広報担当Maria Boschetti(マリア・ボスチェッティ)氏はTechCrunchへの声明で述べた。

Amazonは業務について改訂された具体的記述は明らかにしなかったが、その業務の役割は天気や大規模なコミュニティ集会、交通を麻痺させるようなあるいは建物やそうした建物内で働く人の安全とセキュリティに影響をおよぼすような他のイベントといった外部要因を専門とするアナリストのチームをサポートすることだと述べた。

しかしながら同じ日に、ストライキや抗議活動の恐れがないかを見張るためにAmazonが何年もの間労働者を監視していたとViceが報じている。その後、同社はソーシャルメディア監視ツールの使用を停止すると述べた。

「我々はドライバーのフィードバックを集めるさまざまな手法を持っており、特にドライバーから直接話を聞くことでドライバーの労働環境の改善に毎日取り組むチームを抱えています」とボスチェッティ氏は声明で述べた。「通知を受けて当社は、配達チーム内に閉鎖的なグループからの情報を統合していた1つのグループを確認しました。そのグループはドライバーをサポートしようとしていた一方で、そのアプローチが当社の基準に合うものではなく、ドライバーがフィードバックする他の方法があるためにそのグループはもはや情報収集していません」。

組合を結成することで、Amazonの労働者は安全基準や報酬、休憩、その他の問題などを含む労働条件について集団で交渉する権利を手に入れることを望んでいる。どのように交渉を進めるかによるが、労組結成では労働者が、「正当な理由」の従業員vs随意契約従業員となる可能性がある。

「Amazonは社会のあらゆる組織、そしてすべての労働者を支持しようと取り組んでいる社会契約にとって脅威となっています」と労組結成者のサイトにある。「Amazonのような企業は数十年にもわたり、著しく組合の密度を侵食し、労働条件を害し、そして多くの労働者の生活の質を下げ、労働者の権利に対してますます大胆で攻撃的になりました。しかもまだその動きは終わっていません。RWDSUは常に反労働者、反組合の企業に立ち向かってきました。我々の組合はAmazonがこうした行い、多くの危険な労働慣行の責任を問われるまで手を引きません」。

郵便投票は3月29日に終わり、NLRBは翌日からバーチャルプラットフォームで集計を開始する。集計には両者から4人が参加できる。

TechCrunchはAmazonにコメントを求めていて、返事があればアップデートする。

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(文:Brian Heater、Megan Rose Dickey、翻訳:Nariko Mizoguchi

KDDIが5Gネットワークで超低遅延を実現する「AWS Wavelength」を大阪でも提供

KDDIが5Gネットワークで超低遅延を実現する「AWS Wavelength」を大阪でも提供

KDDIは、5Gで超低遅延を実現する「AWS Wavelength」の提供を大阪でも開始しました。

「AWS Wavelength」は、au 5Gネットワーク内にAWSのコンピューティングサービスとストレージサービスを配置しデータを処理することで、4Gと比べて遅延が半分以下となり、5Gの特性である超低遅延を実現するものです。

5Gの低遅延化では、サーバーをユーザー側に近いネットワークのエッジに配置することで、遅延を抑えリアルタイム性の高いクラウドサービスを実現するMEC(マルチアクセスエッジコンピューティング)が重要な要素となっており、「AWS Wavelength」もそうしたMECの1つとなります。

KDDIは12月に東京で「AWS Wavelength」の提供を開始しており、大阪での提供開始はそれに続くものです。「AWS Wavelength」の大阪における、低遅延接続は大阪府の5Gエリアで利用できます。

Engadget日本版より転載)

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クラウドインフラ市場は2020年に13.6兆円に成長、リッチな企業はますますリッチに

2020年のクラウドインフラ市場は社会を反映した。世界で最もリッチな企業はますますリッチになり、マーケット最下層の企業はますます落ち込んだ。Synergy Research Groupのデータによると、クラウドインフラ市場は2019年の970億ドル(約10兆2400億円)から2020年は1290億ドル(約13兆6100億円)に成長した。

Synergyはまた、クラウドインフラ市場が第4四半期に370億ドル(約3兆9000円)に達し、第3四半期の330億ドル(約3兆4800億円)からアップし、前年同期比でも35%増だったと指摘した。

過去9カ月、筆者はあらゆる創業者たちからパンデミックがデジタルトランスフォーメーションを加速させており、その大部分はクラウドへのシフト促進だと耳にした。こうした数字は創業者たちの言葉を裏づけているようだ。

いつものように、ビッグ3はAmazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)だ。Alibaba(アリババ)が第4位に定着し、IBMは5位に後退した。しかしMicrosoftはライバルのAmazonよりも急成長していて、2020年末に初めてマーケットシェアが20%に達した。レドモンド拠点のソフトウェア大企業Microsoftのマーケットシェアは2017年から倍になったことを心に留めておいてほしい。これは驚くべき成長スピードだ。一方でGoogleとAlibabaのシェアはそれぞれ9%と6%だった。

画像クレジット:Synergy Research

Amazonはその点で興味深く、Synergyのデータでは4年連続でマーケットシェア33%前後で横ばいを維持しているが、急速に成長しているマーケットにおける3分の1であり、これはこの部門の拡大にともなって同社もパブリッククラウドの売上高を成長させ続けていることを意味する。

AmazonはAWSの第4四半期売上高127億4000万ドル(約1兆3400億円)で2020年を締めくくった。これは前期の116億ドル(約1兆2200億円)から増え、ランレートは初めて500億ドル(約5兆2700億円)を超えた。一方でMicrosoftの数字は決算から解析するのはいつも難しく、370億ドル(約3兆9000億円)の20%を計算すると74億ドル(約7800億円)で、これは前期の59億ドル(約6200億円)から増えている。

Googleは第3四半期の29億8000万ドル(約3200億円)から第4四半期は33億ドル(約3500億円)に増え、Alibabaは同時期16億5000万ドル(約1700億円)から22億2000万ドル(約2300億円)に増えた。

SynergyのプリンシパルアナリストJohn Dinsdale(ジョン・ディンスデール)氏は、トップ企業は巨大で絶対的なマーケットシェア、それからクラウドプロバイダー間の大きなギャップで自社の周りをしっかりと固めていると話す。「AWSは過去10年大きなサクセスストーリーで、広範囲のIT部門企業との競争激化にかかわらずマーケットでかなり強固な地位をキープしています。これはAmazonとAWSの経営チームにとって、新体制になっても状況は変わらないと思わせるすばらしい証拠です」と同氏は筆者に語った。

ディンスデール氏は、Microsoftが相手としてAWSは相応しいライバルだが、いつかの時点で同社は成長の壁にぶつかる運命にあるとみている。「MicrosoftがAmazonとの差を縮め続けるのはもちろん可能ですが、MicrosoftのAzureが大きくなるにつれ、かなり高い成長率を維持するのは難しくなります。これは大数の法則です」。

一方、クラウドインフラ業界の下位のマーケットシェアは減少し続けている。「マーケットシェアで敗れた企業は小規模クラウドプロバイダーの集まりで、過去16四半期で13ポイントのマーケットシェアを失いました」とSynergyは声明で述べている。

しかし、こうしたプレイヤーにとってすべて負けではないとディンスデール氏は話す。「比較的小規模のプレイヤー(あるいは小さなマーケットシェアを持つ大企業)はニッチな特定マーケット(地理、サービスタイプ、顧客の部門に基づくもの)にフォーカスしたり、あるいは幅広い顧客に広範なクラウドサービスを提供しようと試みることができます。前者の企業は極めてうまく振る舞うことができ、後者の場合はかなり厳しいでしょう」と述べた。

Canalysの数字は少し異なり、クラウドインフラ市場が1420億ドル(約14兆9800億円)で、第4四半期は400億ドル(約4兆2200億円)としたが、各社のマーケットシェアはSynergyのものと同じだったことは記すに値する。

画像クレジット:Canalys

パブリッククラウドの売上高はある時点で意味を失うほどに大きくなったが、それでも世界中のIT支出に占める割合としては比較的小さいままだ。Gartnerの推計によると、世界の2020年のIT支出は3兆6000億ドル(約379兆8300億円)だった。つまり、そこでクラウドインフラマーケットが占める割合は3.85%にすぎないことを意味する。

次のことを少し考えてほしい。IT支出の4%以下が現在、クラウドインフラに向けられ、かなりの成長余地を残していて、数年のうちに何十億ドル(約何千億円)も成長する。

もちろん他のプレイヤーが参入してトップ企業を慌てさせればもっと興味深いものになるが、我々がコンピューティングについて想定している道中に予期せぬ何かやドラマティックなことが起こらない限り、差し当たってこのままトップ企業は猛烈な勢いで我が道を突き進んでいくだろう。

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

アンディ・ジャシー氏のアマゾンCEO昇格が意味すること

Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏がAmazon(アマゾン)のCEO職を退くという大ニュースが米国時間2月2日午後に同社から発表された。Amazonはベゾス氏がガレージで始めた事業から世界の大企業に育てた会社だ。ベゾス氏が取締役会長に就くのにともない、AWSのCEOであるAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏が後を継ぐ。

ジャシー氏が新しい役職に就くとなると、誰がAWSを率いるのかというのが差し当たっての疑問だ。さあ、ゲームを始めよう。噂で名前が上がっているのはAWSのグローバルインフラ担当副社長Peter DeSantis(ピーター・デサンティス)氏、セールス・マーケティング担当副社長Matt Garman(マット・ガーマン)氏だ。両氏ともSチームとして知られるベゾス氏のエリート幹部チームのメンバーで、どちらがジャシー氏の後釜になってもおかしくない。確かなことは誰もわからないが、社内の人間かもしれないし、外部の人間ということもあり得る。数カ月先のことであり、Amazonはまだ後継者についてコメントする用意は整っていなかった。

Constellation ResearchのシニアアナリストであるHolger Mueller(ホルガー・ミューラー)氏は、AWSを小さなサイドビジネスからランレート500億ドル(約5兆2500億円)の事業に育てたというジャシー氏の輝かしい業績が報われたと話す。「財務面からいえば、Amazonの中で最も儲かっている事業に精通している役員を指名するというのは理に適っています。AWSは競争の激しいマーケットで事業を展開しています。ジャシー氏の指名は、新しいAmazonのCEOが『金の卵を生むガチョウ』を壊さないことを保証するものです」とミューラー氏は筆者に語った。

分析会社Canalysでクラウドインフラマーケットを担当しているバイスプレジデントAlex Smith(アレックス・スミス)氏は、移譲が進行しているという兆しはあった、と話す。「こうした動きはしばらくありました。ジャシー氏はAmazonで2番目の対外的な人物であり、同社で最も成功している部門の1つをリードしてきました。ベゾス氏は好調を維持しながら残りのCEO職務をまっとうし、他の多くのベンチャーにフォーカスできます」とスミス氏は述べた。

同氏はまた、この動きがAWSのAmazon内での立場を強固なものにすると話す。「直接的なトップとしてアンディを失うという点での損失より、Amazonの今後にとって戦略的重要性を高めるという点でAWSのウェイトが増すということだと思います。彼はAWSから目を離さないでしょう」。

GartnerのアナリストであるEd Anderson(エド・アンダーソン)氏もまたジャシー氏がベゾス氏の後を継ぐのは明快な選択だと考えている。「Amazonはテクノロジーイノベーションで突き動いてきた会社です。これはアンディー氏が何年もの間AWSでやってきたことです。また、ジャシー氏がかなり大きな事業を構築して運営してきたという驚くべき実績を持っていることも記すに値します。アンディのリーダーシップの下、AWSは世界最大のテクノロジー企業の1社に、そしてコンピューティングの未来がどうなるかを定義する際に最も影響力のある1社に成長しました」とアンダーソン氏は述べた。

2月2日に発表された四半期決算では、AWSの売上高は127億4000万ドル(約1兆3000億円)で、前年同期の96億ドル(約1兆円)から28%増加した。これによりランレートは500億ドルになった。他のどのクラウドインフラ企業、万能の企業Microsoft(マイクロソフト)ですらこの部門ではAWSにおよばない。AWSのマーケットシェアが約33%なのに対して、Microsoftは20%ほどだ。

トップの交代が会社全体に、特にAWSにどのような影響をおよぼすのかはわからない。いくつかの点で、Larry Ellison(ラリー・エリソン)氏が2014年に会長職に就くためにOracleのCEO職から退いたときのようだ。その際はSafra Catz(サフラ・キャッツ)氏とMark Hurd(マーク・ハード)氏が共同CEOとして継いだ一方で、エリソン氏はその後も自身が創業に関わった会社に深く関与し続けた。ベゾス氏が同様の動きをとると仮定するのは合理的だ。

ジャシー氏は大学を卒業し、ハーバードでMBAを取得した後の1997年に入社し、その後職位を上げた。同氏は2002年にVP / テクニカルアシスタントになり、直接ベゾス氏の下で働いた。その業務に就いていたときにAmazonデベロッパーが使うための共通のウェブサービスの必要性を見出し始めた。このアイデアがAWSに成長し、ジャシー氏は立ち上がったばかりの部門のVPになり、2016年にCEOに指名された。

関連記事:ジェフ・ベゾス氏が2021年後半にアマゾンCEOを退任し会長へ、後任はAWSのアンディ・ジャシー氏

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンがスーパーボウルCMで人間型アレクサとの暮らしを映像化

アマゾンがスーパーボウルCMで人間型アレクサとの暮らしを映像化

米国では国民的スポーツイベントのスーパーボウルにあわせて、大企業が凝った特別なコマーシャルを放映するのが恒例となっています。

今年のアマゾンが公開したのは、もしデジタルアシスタントのアレクサの「ボディ」がスマートスピーカー Echo ではなく人間型だったら?という妄想をショートフィルム仕立てで映像化した「Alexa’s Body」。まずは映像をどうぞ。

「アレクサ」の新しい筐体?を演じるのは、若手俳優マイケル・B・ジョーダン。映画『クリード チャンプを継ぐ男』ではかつてロッキーのライバルだったアポロの遺児アドニス・クリード役を、映画『ブラックパンサー』ではメインの強敵キルモンガー役を演じました。

Twitterのほうが若干長い90秒バージョン、YouTubeバージョンは60秒。

アマゾンがスーパーボウルCMで人間型アレクサとの暮らしを映像化

お風呂で本を音読してくれるアレクサ。

アマゾンがスーパーボウルCMで人間型アレクサとの暮らしを映像化

明かりを暗くして、と言われればおもむろに服を脱ぎランプにかけて暗くするアレクサ。瞳の周りが青く、Echoのリングライトを再現しているのが芸が細かいところ。

映画俳優型ボディは妄想としても、アマゾンが開発する Echo スマートスピーカーの発想は初代から、マイクアレイと高度な信号処理で部屋中どこにいても声を聴き取ってくれること、ユーザーがPCに向かったりスマホ画面を注視やタップする必要なく、人間に話しかけるように自然な会話で使えること。

アマゾンがスーパーボウルCMで人間型アレクサとの暮らしを映像化

実際、最上位モデルの Echo Show 10 はカメラがAI 画像処理でユーザーの姿を追い、首振り追従してどこにいても画面を正面に見せ、ビデオ通話ではカメラの中心に捉えズームまでしてくれます。

人間型はそれはそれで問題がありそうですが、部屋ごとに置かなくても追従してくれる、置き忘れたらついてきてくれるデジタルアシスタントは意外と理想の姿かもしれません。

Engadget日本版より転載)

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アマゾンがRivian製電動バンを使った荷物配達テストをLAで開始

Amazon(アマゾン)はRivian(リビアン)が設計・製造した電動バンを使って顧客への配達をロサンゼルスで開始した。

Amazonの米国時間2月3日のアップデートによると、2040年までに二酸化炭素排出量をゼロにするという同社のClimate Pledge(気候公約)の一環である電動バンの量産は2021年末まで始まらないという。何台の電動バンでテストが行われているのか、同社は明らかにしなかった。

顧客への配達は、バンの性能やさまざまな気象や地域での安全耐久性を調べるためにAmazonとRivianが行っているテストの一環だ。路上テストは4カ月以上前に始まった。現在使用している車両はミシガン州プリマスにあるRivianの本部で製造され、1回のフル充電で150マイル(約240km)走行できる。Rivianのエンジニアはイリノイ州ノーマルにある工場での生産開始に向けて引き続き車両の改良を行う。

一方で、こうした電動車両は2021年にさらに15都市の配達ルートに登場する予定だ。最終的にAmazonは電動バン10万台を展開する。この数字は今後数年間でRivianに発注する台数だ。

AmazonとRivianは、顧客への荷物配達を開始する4カ月前にテスト・開発プロセスの一環として車両のテストを開始した。Amazonはまた新車両に対応できるよう建物の改修も始めており、何千ものEV充電ステーションを北米と欧州の配達ステーションに設置した、と述べた。

「オンライン上で目にする写真から、車両を直接見ようと当社のドライバーを止めるクルマファンまで、これまでのところ顧客から熱い反応が寄せられています」とAmazonのグローバル車両・プロダクト担当ディレクターRoss Rachey(ロス・レイチー)氏は声明文で述べた。「この取り組みは最速のモダン商業電動化プログラムの1つであり、当社は大変誇りに思っています」。

Rivian製の電動バンの外観は、今日ガソリンで走行しているバージョンと同じデザイン特徴を備えている。角が若干丸く、全体的に滑らかな見た目だ。

実際の違いはバンに搭載された電動アーキテクチャとカスタム機能にあり、ここには高速道路運転・交通アシスト機能、ドライバーがデジタルディスプレイで車の周り360度をチェックできる外部カメラ、ドライバーが乗降りしやすいよう従来よりも広いキャビン内部床面積、ブレーキ視認性向上のためのサラウンドテールランプ、3段棚とドアで仕切られた貨物スペースなどが含まれる。またAmazonのAlexa音声アシスタントも搭載されている。

カテゴリー:モビリティ
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画像クレジット:Amazon

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンがバージニア州に建設予定の第2本社ビルのコンセプト公開、「二重らせん」デザインで2025年完成予定

米Amazonが、バージニア州アーリントンに建設する予定の第2本社ビルの詳細を発表しました。そのデザインは22階建ての建物の外周部に二重らせんに触発された構造を採用し、屋根になる部分を緑地として扱うことで持続可能性をアピールするデザインになっています。

二重らせんといえばまず思い浮かべるのはDNAの構造。Amazonはそれ以外にも銀河の形状、気象パターンなど自然界で多数見かける構造だと説明しています。またこのビルはバージニア州のソーラーファームから電力を供給し、オール電化の全館冷暖房を完備するとのこと。

建物はシアトル本社と同様、週末ごとに一般向けの見学ツアーが行われるとのこと。駐車場や搬入口は地下に用意され、屋外のオープンスペースは公園や遊歩道、ドッグラン、1000台近くを置ける駐輪場、売店などが設置され、屋外ステージなども設置されます。

米Amazonは、新型コロナウイルスのパンデミックがこのビルの利用方法を想定と違った方向に導く可能性を認識しており、2025年の完成後も一部の社員は主にリモートでの勤務を選ぶと考えています。そのため、コラボレーション用の環境整備と従業員が自分でどこでどう仕事をするかを決められるエージェンシー制の導入を考えています。また、多めに取った共有スペースは他部門や社外の人々と仕事をする必要があるときに役立つと予想しています。

米Amazonの第2本社計画については、その地域自治体から税制上の優遇を得つつ、社員向けに2万戸の低価格住宅の建設のために20億ドル以上の資金を投入するとしています。Amazon支持者は第2本社が建設されることで、社内外に2万5000人と見込まれる雇用創出と、自治体の税収増加で地域が潤うと主張しています。しかしそれは一方で、地域の低所得者層の居場所を奪い、追い出してしまう可能性も懸念されています。

Engadget日本版より転載)

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ジェフ・ベゾス氏が2021年後半にアマゾンCEOを退任し会長へ、後任はAWSのアンディ・ジャシー氏

Amazon(アマゾン)の創業者で現CEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は、2021年の第3四半期中に同社の取締役会長に移り、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)の現CEOであるAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏がこのコマース企業のトップに就任することになった。Amazonは米国時間2月2日の決算発表と同時にこのニュースを発表した。

Amazonは1株当たりの利益と売上高の両方で過去最高を更新した。市場は同社の収益とCEOのニュースの両方に反応し、時間外にもかかわらず当初は上昇した。

【更新】発表されたすべての数字を投資家が解析する時間を持った後、Amazonの株は下落に転じた。

Amazonは2020年第4四半期に1株当たりの利益と売上高の両方で予想を上回った。それによってベゾス氏のCEO退任を心配する投資家も、実績ベースによる向上を評価することになった。Amazonの四半期は、予想されていた1197億ドル(約12兆5700億円)の売上高に対して、1256億ドル(約13兆1900億円)とこれを上回り、初めて1000億ドル(10兆円)の大台を突破した。1株当たりの純利益は14.09ドル(約1480円)で、予想されていた7.23ドル(約759円)の2倍近くになった。

ジャシー氏は以前、AWSをクラウドコンピューティング分野のリーダーとして現在の成功に導いたことから、ベゾス氏の後継者となる可能性が高いと指摘されていた。AWSはこの第4四半期に28%の収益成長を遂げたが、前年同期の34%の成長率にはおよばなかった。AWSの売上高は、前年同期の99億5000万億ドル(約1兆450億円)から2020年第4四半期には127億4000万ドル(約1兆3381億円)に拡大した。AWSの営業利益も同様に増大し、2019年第4四半期の26億ドル(約2731億円)から直近の四半期には35億6000万ドル(約3739億円)になった。

ちなみに、Microsoft(マイクロソフト)のクラウドコンピューティング事業であるAzure(アジュール)は、直近の四半期に50%成長した。

ベゾス氏はAmazonの従業員にメールを送り、2月2日の発表後には同社もそれをブログで一般に公開した。その中で同氏は、「仕事に意義と楽しさを見出し」続ける一方、適切な時間と関心を「Day 1 Fund(ホームレスの家族の支援と教育分野の支援を行う慈善基金)、Bezos Earth Fund(地球温暖化対策のためのベゾス地球基金)、Blue Origin(航空宇宙企業のブルーオリジン)、The Washington Post(2013年にベゾス氏が買収したワシントン・ポスト紙)、そして他の情熱」に注げるようになりたいと述べている。

ベゾス氏の航空宇宙企業であるBlue Originは、これまでに多くの成果を上げており、New Shepard(ニュー・シェパード)ロケットで定期的に準軌道飛行のミッションを行っている。2021年は、New Shepardで初めて人を乗せた宇宙飛行を開始することになりそうなので、この宇宙企業にとっては忙しい年になりそうだ。

有人宇宙飛行の目標に加えて、Blue Originは現在、他の宇宙産業のリーダーたちと協力して、NASAのために有人月面着陸システムを開発している。また、もう1つのロケット、New Glenn(ニューグレン)にも取り組んでおり、これはペイロードを軌道上に運ぶことができる重量級ロケットだ。このように、Blue Originでも、多くの計画が進行している。ベゾス氏は以前、Blue Originは人類の未来に影響を与える可能性がある規模の大きさから「自分がやっている最も重要な仕事」だと語っていた。

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(文:Darrell Etherington、Alex Wilhelm、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アマゾンが手のひらを読み取る生体認証システムの採用店舗を拡大、いずれはオフィスや他社店舗にも

2020年秋、Amazon(アマゾン)が新しい生体認証デバイス「Amazon One(アマゾン・ワン)」を導入したことで、Amazon Goの店舗では手のひらを使って支払いができるようになった。

同社は米国時間2月1日、この装置をシアトルにある他のAmazonの店舗にも導入すると発表した。これにより、Amazon Go(アマゾン・ゴー)のコンビニエンスストア、Amazon Go Grocery(アマゾン・ゴー・グローサリー)、Amazon Books(アマゾン・ブックス)、Amazon 4-star(アマゾン4スター) を含む、合計8つのAmazonの実店舗でこのシステムを利用できるようになる。

同日より、シアトルのマディソン&マイナーにあるAmazon Goの店舗で、Amazon Oneシステムが入店時オプションとして追加される。今後数週間のうちに、5th&MarionとTerry&Stewartにある2つのAmazon Goストアにも展開される予定だと同社は述べている。これでシアトルの8店舗にこのシステムが導入されることになり、今後数カ月の間には米国の他の都市への拡大も期待される。

説明されているように、Amazon Oneシステムは、コンピュータビジョン技術を使用して、顧客ごとに固有の掌紋を読み取るもので、これをアマゾンは初期設定時に顧客が挿入したクレジットカードと関連づける。顧客はAmazonアカウントを持っていなくてもサービスを利用できるが、アカウント情報を関連づけると、Amazonのウェブサイトで買い物の履歴を見ることができるようになる。

Amazonによると、掌紋の画像は暗号化されてクラウド上で保管され、顧客の手のひらによる署名が作成されるという。手のひらの画像だけでは顧客の身元を特定できないため、掌紋は他の本人確認の方法よりもプライベートな生体認証の形式であると、このシステムの発表時にAmazonは主張していた。

しかし、もちろんAmazonは単に手のひらの画像を保存しているだけではない。手のひらの画像を顧客のアカウントやクレジットカードと照合し、効果的に顧客の生体認証データベースを構築しているのだ。また、そこから収集した買い物履歴などのデータを利用して、後に顧客の買い物傾向に合ったおすすめ商品を紹介したり、キャンペーンなどを提供することができる。

このシステムは、Amazonのより大きな計画に対する疑問も提起する。過去に同社の生体認証の使用は、かなり物議を醸してきたからだ。Amazonは、米国の法執行機関に顔認証サービスを販売していたが、同社の顔認識技術はプライバシー侵犯で訴訟の対象となった。Amazon傘下のセキュリティカメラ会社Ring(リング)は、警察との提携続けている。ユーザーデータのプライバシーに関しても、Amazonは慎重ではない。たとえばユーザーが音声ファイルを削除しても、Alexaの音声データを保存し続けるといった具合だ。

しかもAmazonは、Amazon Oneを単なる自社店舗への入店手段として想定しているわけではない。これらはあくまでもテスト市場に過ぎない。そのうちAmazonは、スタジアムやオフィスビル、Amazon以外の小売業者など、サードパーティでもこの技術を利用できるようにしたいと考えている。

新型コロナウイルス感染流行の真っ只中というAmazon Oneが発表されたタイミングは、顧客の利用に拍車をかけた。クレジットカードとその後の買い物を非接触で関連づけることができるためだ。店舗に再び来店した際には、リーダーの上に手をかざすだけで再度スキャンされ、入店することができる。

しかしこれらのシステムは、現金による支払いを好む社会経済的地位の低い層にとって、不利になる可能性がある。キャッシュレスやチェックアウトフリーの店舗では、店員を呼んで手続きしてもらうまで待たされることになるからだ。

Amazonによると、このシステムは今後もさらに多くの店舗に展開していくという。

関連記事:アマゾンが手のひらをかざして入店・決済できるスキャナー「Amazon One」をシアトルの2店舗に導入

カテゴリー:ハードウェア
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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

各国政府からAmazonへのユーザーデータ要求件数が2020年下半期に激増

Amazon(アマゾン)が公開した透明性に関するデータによると、同社は2020年下半期に過去最多となる政府からのデータ要求に対応した。

同社が半年ごとに発表する透明性レポートに盛り込まれた新たなデータは週末にAmazonのウェブサイトで公開された。

2020年下半期に同社は2万7664件の政府からのユーザーデータ要求を処理した。同年上半期の3222件から800%近く増加している。要求のあったユーザーデータには買い物検索や同社のEcho、Fire、Ringデバイスからのデータも含まれている。

今回の透明性レポートのデータ開示は前回のものと異なる。同社は、データ要求件数が上位の国を示している。伝統的に同社が受けるデータ要求の大半は米国からだが、最新のレポートではデータ要求の42%がドイツからだ。そしてスペインが18%、米国が11%で続く。

しかしレポートは法的処理の割合を非公開にもしていて、ユーザーのコンテンツを求めるもの、コンテンツに関していないものを区別している。そしてユーザーコンテンツのデータを52件で提出したと同社は明らかにした。

これとは別に開示されたAmazon Web Servicesクラウド事業に関するレポートでは、523件のデータ要求を処理し、うち75%は米国当局からのものだった。同社は15件でユーザーコンテンツを提出した。

Amazonの広報担当者は、データ要求件数が急増した原因については言及しなかった(同社は透明性レポートについてはめったにコメントしない)。

同社の透明性レポートはテック大企業が発表するものの中で最もボリュームが少ないレポートの1つで、わずか3ページだ。そしてデータそのものよりも、それぞれの法的要求にどのように対応したかの説明に大半を割いている。秘密にしたがることで知られているAmazonは、透明性レポートを2015年に初めて公開し、主要テック企業の中では最も遅い取り組みだった。ほとんどのテック企業が通知やアカウント削除など詳細なデータを透明性レポートに加えたが、Amazonは家庭へのリーチを増やしているにもかかわらず、レポートからデータを削除することでトレンドに逆行した。

ファイナンシャルタイムズ紙は今週末、アマゾンに10億ドル(約1050億円)で買収されたビデオつきドアベルとホームセキュリティのスタートアップRing(リング)が米国で2000もの法執行機関に協力しており、これにより警察は住宅所有者のドアベルの映像記録にアクセスできるようになっていると報じている

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カテゴリー:ネットサービス
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(文:Zack Whittaker、翻訳:Nariko Mizoguchi)

進出から7年半で6775億円投じたインドでアマゾンは多くの問題に直面している

2014年にインドを訪れた際、Amazon(アマゾン)のCEOであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は派手な発表を行った。同社が業務を開始してまだ1年しか経っていないインドに20億ドル(約2080億円)投資するというものだ。

Amazonの発表は、インドがいかに外国企業に対してオープンになったかを印象付けた。1947年の独立から1991年の自由化までの間、外国大手企業にほぼ門戸を閉ざしてきたインドは自らをゆっくりと世界最大のオープンマーケットへと変身させていた。

2014年にテレビで放映されたインタビューで、ベゾス氏はインドが事業を行うのに簡単な場所ではないとの認識はあったと述べた。しかし同国におけるAmazonの成長は、そうした考えが正確でないことの証しだったと語った。

「障害があるでしょうか。常にあります。どこへ行こうとも、どの国にも規制や規則があります」とベゾス氏は述べた。

それから6年、追加で45億ドル(約4690億円)投資したAmazonは現在、これまでになくインドで障壁にぶつかっているようだ。インドは6億人超のインターネットユーザーを抱える世界第2位のインターネット市場だ。

インドの長年変わっていない法律は、まだインドで黒字化を達成していないAmazon、そして在庫を持たない、あるいは消費者に直接販売する他のeコマース企業を縛ってきた。こうした状況を回避するために企業は在庫を持つ会社として操業しているインド企業との合弁会社という迷路を通じて事業を展開してきた。

インド政府は2018年後半にそうした抜け穴を塞ぐ動きに出た。当時、インド国内ではAmazonに対するそれまでで最大の反対運動があちこちで見られた。AmazonやWalmart(ウォルマート)傘下のFlipkart(フリップカート)は急いで数十万ものアイテムを店舗のリストから除外し、関連会社への投資をより非直接的なものにした。

そしてインドは現在、アプローチをさらに厳しいものにしようとしている。ロイターは先週、関連会社が親会社を通じてセラーの非間接出資を持つことすら禁じる対策に変更を加えることをインド政府が検討していると報じた

8000万の事業者を代表しているとうたうインドの商業団体である全インド商業連合は、インドの商務大臣Piyush Goyal(ピユシュ・ゴヤル)氏が現在のルールの違反疑いについての懸念をすぐに解決すべく取り組んでいると同連合に保証したとロイターに語った

来るべき政策変更は、世界最大のeコマース会社がインドで抱える多くの頭痛の種の1つにすぎない。

インドの実在店舗小売事業者はAmazonがインドで不平等な慣行を採用していると長らく懸念を示してきた。2020年のベゾス氏インド訪問中に小売事業者たちは抗議を展開した(画像クレジット:SAJJAD HUSSAIN/AFP via Getty Images)

Amazonは同社と仲違いしているパートナーであるFuture Group(フューチャーグループ)とReliance Retail(リライアンスリテイル)の提携を阻止しようと果敢に戦っている。Future GroupとReliance Retailはインド第1位と第2位の小売業者だ。

2020年、Future Groupは小売、卸売、ロジスティック、倉庫業をReliance Retailに34億ドル(約3550億円)で売却すると発表した。2019年にFuture Group傘下の非上場企業の1社の株式を購入したAmazonは、Future Groupが契約を破り、インサイダー取引を行ったと主張している。

過去10年にテック大企業や投資家がインドにeコマースマーケットを創り出すために200億ドル(約2兆800億円)超を投じてきたにもかかわらず、オンライン小売がインドの小売全体に占める割合はまだ1桁だ。

近年、Amazon、Walmartそして数多くのスタートアップがこの事実を受け入れ、インド全国に点在する何万もの街角の小売店との協業を模索している。

インド最大の企業の1つ、Mukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ氏)のReliance Industriesの子会社であるReliance Retailと通信大企業Jio Platformsはeコマースに参入し、2020年にFacebook(フェイスブック)やGoogle(グーグル)といった世界の大企業から出資を受けた。Future Groupへの大きな投資を追求することはAmazonがインドでの成長を加速させることができる方法の1つだ。

インド企業同士の取引を覆そうとする試みにおいて、これまでのところAmazonの旗色は芳しくない。2020年、Amazonは取引を阻止しようと、インドの独占禁止監視機関であるインド競争委員会(CCI)とインド証券取引委員会(SEBI)に判断を求めた。どちらの組織もFuture GroupとReliance Retailの取引を認めると裁定した

Amazonはこの結果を予見していたに違いない。というのも、法的手続きをシンガポールの仲裁裁判所で開始したからだ。同社がインド国外で法的手段を取ることを選んだのは驚くことではない。

シンガポール国際仲裁裁判所(SIAC)に持ち込まれるケースのほとんどは近年インドからのものだ。同裁判所で扱われているケースで有名なものとしては、インドに200億ドル超を投資し、そして何十億ドルもの納税を同国に求められたVodafone(ボーダフォン)がある。インドで敗訴した後、同社は2020年にシンガポールの仲裁裁判所で勝訴した。

Amazonは1月25日、デリー高等裁判所に請願を出した。請願の中で同社はSIACの裁定の執行(SIACは2020年、取引は一時停止されるべきと命じた)と、インド企業がCCIとSEBIの判断に基づいて取引を進めるのを防ぐことを求めている。

Amazonは、Future Groupが「故意に悪意を持って」SIACの国際仲裁の裁定に従わなかった、と主張している。請願の中でAmazonはFuture Groupの創業者で会長のKishore Biyani(キショール・ビヤニ)氏の拘束も求めている。

「自国のために声を上げる」

2020年、インドが新型コロナウイルス(COVID-19)の封じ込めに格闘していたとき、インドのNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相は国民13億人にインドが「自立」して「声を発する」ことができるようにしようと呼びかけた。

内向きへの進路変更は、2014年に首相に就任してからの数年で約束したものとは対照的だ。かつてモディ首相はこれまでよりも外国企業を受け入れるようにすると約束した。近年、インドは米国企業を弱らせる規制を提案したり施行したりしたが、Amazonほどに苦しんでいる企業は他にない。

2020年にインド政府は同国で提供されるデジタルサービスの外国企業の請求書に2%の税金を課した。米通商代表部(USTR)は2021年1月初め、インドが「世界中で導入されている他のデジタルサービス税の対象ではない」デジタルサービスの数々の部門に税を課している、と述べた。

インドでの米国企業に対する税金の総額は年3000万ドル(約31億円)を超えるかもしれないことがUSTRの調査で明らかになった。結局、インドのデジタル税は国際税の原則と一貫性がなく、不合理で、米国の商業を苦しめたり制限したりするものだった。

モディ首相のインドにとっての新しい生き方は、Reliance Industriesの会長でモディ首相の仲間、そしてインドで最も裕福なアンバニ氏の耳に心地よいものとなるだろう。

200億ドル超のJio Platformsの株式、60億ドル(約6250億円)超のReliance Retailの株式を多くの海外投資家に売る前、アンバニ氏は2019年にかの有名なスピーチを行い、愛国的な言葉でインド人のデータを守る必要性を主張した。

「我々はデータの植民地化に対して、共同で新たな運動を立ち上げなければなりません。このデータ駆動型の革命でインドが成功するには、インド人のデータの所有をインドに移行させる必要があります。インド人の富をあらゆるインド人の手に戻すのです」とアンバニ氏は述べた。

なぜそんなにも多くの海外企業がReliance傘下の企業に投資したのかは、いまだに大きな疑問だ。米国企業のシニアエグゼクティブは匿名を条件に、4億1000万人超の契約者を抱えるインド最大の通信ネットワークであるJio PlatformsとReliance Retailへの投資はインドにとって既視体験であり、数十年前、インドで事業を展開する方法の1つが、政治的に大きな影響力を持つ地元企業との提携だった、とTechCrunchに語った。

Google(グーグル)の元ポリシー担当役員で現在は非営利のデジタル支援団体Access Nowで働くRaman Chima(ラマン・チマ)氏は一連のツイートの中で、Googleが2011〜2012年に「インド政治のリスクについて調べる」のにRelianceのような企業と提携し、投資することを検討していたと主張した。

この考えはGoogleの価値についての懸念を呼び起こした、と同氏は述べた。「その議論に加わっていた複数のエグゼクティブがRelianceの評判、特に政策に関わる公務員や政治家への影響力に対する問題のあるアプローチ、金、政府とビジネスの関係における倫理について懸念を示しました」。

Amazonは2020年にReliance Retailの数十億ドル(数千億円)もの株式の取得に興味があったと噂されたが、両社は互いに関わることを止めたようだ。

インド人民党(BJP)の議員Ram Kadam(ラム・カダム)氏と同党を支持する労働者によるバンドラクアラ警察署の外でのAmazon PrimeウェブシリーズTandavに対する抗議、2021年1月18日、インド・ムンバイ(写真:Pratik Chorge/Hindustan Times via Getty Images)

Amazonがこうした問題を整理している中で、先週、別の問題が持ち上がった。Amazon Prime Video向けミニシリーズのインドの制作会社とその上級役員が刑事訴追の恐れにさらされている。モディ首相が率いる党が、その番組がインドで大多数を占めるヒンドゥー教徒に不快感を与えるものだと判断した。

ヒンドゥー教の愛国主義者グループ、インド人民党の政治家、インドの下層カーストを代表するBJPグループのメンバーはミニシリーズ「Tandav」の9パートとAmazonを相手取って警察署に被害届を出した。同社は圧力に屈し、いくつかのシーンに手を加えた。

「『Tandav』に対する苦情の真の理由は、番組が不快なほどにインド社会やモディ氏の政権による問題を映し出しているからだろう。オープニングエピソードで番組は抗議する学生や不満を持った農民を取り上げ、ここ数カ月の出来事を映し出していた」とニューヨークタイムズ紙は書いている

Amazonの別の番組「Mirzapur(ミルザープル 〜抗争の街〜)」もまた信心や地域的な感情を傷つけ、町の名誉を毀損したとして先週、刑事告訴された。インド最高裁判所は「Mirzapur」の制作会社に通知を出し、回答を求めた。

前述のインタビューの中でベゾス氏は、Amazonの仕事は遵守が求められる各国独自のすべての規則に従い、「そうした規則に事業慣行を適合させる」ことだと語った。

インドで同社は、一体どれくらい事業慣行を進んで適合させようとしているのか尋ねられることが増えている。人々が気にかけるAmazonでなくなるのに、一体どれくらい事業慣行を進んで曲げるのだろうか。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

Human Capital:Instacartが約2000人を解雇へ、GitHubの人事責任者が辞任

1週間の労働、多様性、インクルージョンに関する最新情報をお伝えするHuman Capitalへようこそ。先週は議会議事堂暴動の日にワシントンD.C.の社員にナチスに関する警告を発した社員を解雇したGitHubの公開謝罪で始まった。

その後Google(グーグル)は、AI倫理研究者であるMargaret Mitchell(マーガレット・ミッチェル)氏の会社情報アクセスを停止し、Timnit Gebru(ティムニット・ゲブル)博士に対する扱いを彷彿とさせると一部でささやかれた。一方、Instacart(インスタカート)はプラットフォームの改訂を行い、その結果雇用の喪失が発生した。

GitHubの人事責任者が辞任、会社は解雇したユダヤ系社員に復職を提示

GitHubは内部調査の結果、米国議会議事堂暴動の日にワシントンD.C.地区にナチスがいると同僚に警告を与えたユダヤ系社員を解雇したことについて「判断と手続きに重大な過失」があったことを認めた。

GitHub COO(最高執行責任者)のErica Breascia(エリカ・ブレシア)氏は公式ブログで、同社の人事責任者が事態の全責任を負って前日辞任したことを明らかにした。GitHubは退社した人物の名前を公表しなかったが、GitHubの人事部門の長がCarrie Olesen(キャリー・オレセン)氏であることは広く知られている。

GitHubは、「当該社員を退社させた決定」を覆し、そのこと代理人に伝えると語った。

「ご本人には公の場で、私たちが心よりお詫びしたい気持ちを伝えたく思います」とブレシア氏はブログに書いた。しかし、解雇された社員は以前私に、復職ではなく別のかたちの和解を望んでいると語っていた。

GoogleのAI倫理学者が取り調べを受ける

GoogleはAI倫理研究者であるマーガレット・ミッチェル氏が、ティムニット・ゲブル博士虐待の事例を見つけるために自動化スクリプトを使っていたことについて調査している、とAxiosが報じた。ゲブル氏は、自分はGoogleに解雇されたが会社は彼女が辞職したと主張していると語った。Axiosに向けた声明で、Googleはミッチェル氏のアカウントをロックしたと述べている。

当社のセキュリティシステムは、従業員の社内アカウントが認証問題のために危険に曝されていることを発見した場合、および機密データに関する自動化されたルールが発動された場合、自動的にアカウントをロックします。今般の件で、当社システムは昨日、あるアカウントが数千件のファイルを不当に持ち出し複数の外部アカウントと共有したことを検知しました。本日これを当事者に説明しました。

最近結成されたAlphabet Workers Union(AWU、アルファベット労働組合)は、ミッチェル氏のアカウント停止を憂慮する声明を発表した。

「会社の調査結果に関わらず、本組織のリーダーに対する現在進行中の措置は、GoogleのAIおよびビジネス慣行における倫理に対する姿勢に疑問を投げかけるものです。倫理AIチームのメンバーの多くはAWUのメンバーであり、当組合は彼らの職務の重要性を認識し、彼らのために連帯して立ち上がります」。

Googleのサンダー・ピチャイ氏がHBCUのリーダーらと面会

HBCU(歴史的黒人大学)の代表者5名以上が、Google CEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏および多様化最高責任者のMelonie Parker(メロニー・パーカー)氏と2021年1月中に面会し、最近起きた同社における人種などの差別問題について意見を交わす。CNNによる。この会談の目的は、HBCUがGoogleと良好な関係をもち、同社がHBCUの学生や卒業生に対して良い環境を提供することだ。

Amazonがアンチ組合ウェブサイトを立ち上げ

Amazon(アマゾン)のアラバマ州倉庫労働者が組合結成の是非を問う投票を行うのに先立ち、同社はアンチ組合ウェブサイトを立ち上げた。Do It Without Duesと呼ばれるそのサイトは、社員が組合結成に賛成投票しないよう説得することを目的としている。

Instacartが2000人近くを解雇する計画

Instacartは2000近くの従業員を解雇する計画で、その中には2020年に労働組合を結成したKroger傘下のスーパーマーケットMariano’sの社員10名も含まれている。Viceが報じた。対象の従業員は店舗内の接客と商品梱包を担当している。

Viceの記事によると、影響を受ける社員10名が、イリノイ州ストーキーのUnited Food and Commercial Workers(全米商業食品労働組合)Local 1546を結成した。しかし、彼らはまだInstacartとの契約交渉をしていない、とViceは伝えている。Instacartは同組合に対して変更計画を通知した。Instacartは書簡で、Kroger傘下の店舗(ストーキーのMariano’sストアを含む)で販売員の雇用を中止する計画であり、時期は2021年の第1四半期および第2四半期だが、3月中旬以降であると述べている。

カテゴリー: パブリック / ダイバーシティ
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook