全インド商業者連合がアマゾンの事業禁止を政府に要請

数千万人規模の小売業者を代表するインドの有力な商業団体が、インド政府にAmazon(アマゾン)の同国における事業禁止を求めた。この米国の電子商取引企業グループが、インドの少数の販売業者を優遇し、それらの販売業者との関係を公に虚偽表示して、国内の外資規制を回避するためにそれらの販売業者を利用していたと報じられたためだ。

全インド商業者連合(The Confederation of All India Traders、CAIT)は米国時間2月17日、Reutersの記事で明かされたことを受け、インド政府にAmazonに対して深刻な措置を取るように「要求」した。「CAITは何年もの間、AmazonがインドのFDI(外国直接投資)規制を回避し、不公正で非倫理的な商活動を行っているのを見過ごしてきました」と、CAITは述べている。

インドの8000万人の小売業者と4万の商業団体の代表だと主張するCAITのPraveen Khandelwal(プラヴィーン・カンデルワル)事務局長は、「Amazonが故意にルールを弄んでいることは公然の事実です。これ以上何を待つことがあるでしょうか。インドでは即刻事業を禁止されるべきです」と語った。

CAITは何年もの間、インドでAmazonとWalmart(ウォルマート)傘下のFlipkart(フリップカート)が利用している違法なビジネス慣行と彼らが主張しているものについて懸念を表明している。これらの行為が、小規模な小売業者に実存的な脅威をもたらしていると、CAITは述べている。

インドはAmazonにとって重要な海外市場であり、この世界第2位のインターネット市場における事業に65億ドル(約6900億円)以上を投資することを同社は約束している。

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Amazonの広報担当者は声明の中で、同社はロイター通信の記事にある内部文書というものを見たことがないため、同記事に書かれた情報や主張の信憑性などを確認することはできないと述べた。「その記事は根拠のない、不完全な、および/または実際のところ間違った情報に基づいているように思えます。おそらく世間を騒がせ、Amazonの信用を落とす意図で供給されたものでしょう」と、広報担当者は述べている。

「Amazonは、インドのすべての法律を遵守し続けています。過去数年の間に、同国では商業界を管理する規制の変更が何度もあり、Amazonはその都度、遵守を確実にするために迅速な対応をとってきました。この記事には古い情報が含まれているようで、何らかの違反行為を示すものではありません。私たちは、インドの消費者にファーストクラスのサービスを提供し、インドの製造業者や中小企業が、インド国内だけでなく、世界中の顧客にリーチできるよう支援することに引き続き注力しています」と、声明は続いている。

インドでは長年の法律により、Amazonをはじめとするeコマース企業が、在庫を保有したり、消費者に直接商品を販売することを制限している。これを回避するため、同社は在庫を保有する企業として機能する地元企業との合弁事業を介して運営を行ってきた。インドは2018年後半に、この抜け穴の修正に乗り出した。

ロイター通信は、非公開の内部文書を引用し、Amazonが大手販売業者の一部の在庫を大幅にコントロールしていたと書いている。記事では、33の業者がアマゾンで販売されている全商品の約3分の1を占めており、2019年初頭にはアマゾンが間接的に出資していた2つの業者が、インドにおけるAmazonの売上高の約35%を占めていたと主張している。

この新たに掲載された記事と、そしてその潜在的な反響は、Amazonにとってインドでまた1つ増えた頭痛の種に過ぎない。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Amazonインドeコマース

画像クレジット:Pradeep Gaur / Mint / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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