「アップル税」に抵抗、米主要ニュース配信元がアプリの公平性を求める団体CAFに加入

米国の主要なニュースパブリッシャーの一団が、アプリストアの規制を強化し、すべての開発者を公平に扱うよう圧力をかける(未訳記事)権利擁護団体Coalition for App Fairness(CAF)に加盟した。現在、CAFに加盟しているパブリッシャー事業者団体は、APを代表するDigital Content Next (DCN)、The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)、NPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)、ESPN、Vox(ボックス)、The Washington Post(ワシントン・ポスト)、Meredith(メレディス)、Bloomberg(ブルームバーグ)、NBCU、The Financial Times(ファイナンシャル・タイムズ)他多数(DCNサイト)。同事業者団体は、CAFに加盟した50番目の、そして米国のニュースとメディア事業者の代表としては初のメンバーとなった。

この他に、CAFにすでに加盟しているメディア団体には、European Publishers Council(ヨーロピアン・パブリッシャーズ・カウンシル)、News Media Europe(ニュー・メディア・ヨーロッパ)、GESTE(ジェスト)、Schibsted(シブステッド)、さらにはCAFの創設メンバーであるBasecamp(ベースキャンプ)、Blix(ブリックス)、Blockchain.com(ブロックチェーン・コム)、Deezer(ディーザー)、Epic Games(エピック・ゲームズ)、Match Group(マッチ・グループ)、Prepear(プリペア)、Protonmail(プロトンメール)、Skydemon(スカイデーモン)、Spotify(スポティファイ)、Tile(タイル)があり、小さな開発業者の加盟数も増えている。

DCNのメンバーは、米国のオンライン人口だけに限っても、合計2億2300万件のユニーク訪問者にリーチしていると同団体はいう。サブスクリプションを基本とするモデルでコンテンツへのアクセス権を提供している加盟パブリッシャーは、Apple(アップル)は仲介業者として「深刻な影響」を及ぼしていると声明で訴えている。同団体の主張は、サブスクリプションなどのサービスには、アプリ内課金を使うようアップルがパブリッシャーに強制しているというものだ。その結果、一部のパブリッシャーは、いわゆる「Apple Tax」(アップル税)と呼ばれる販売手数料を賄うために、価格を上げざるを得ないという。

「DCNはCAFに加盟し、公平で競争が可能なデジタル風景の確立に協力できることをうれしく思います」と、DCNのCEOであるJason Kint(ジェイソン・キント)氏は声明の中で述べている。「DCNのプレミアムメンバーであるパブリッシャーは、消費者との信頼性の高い直接的な関係を享受しています。ニュースを見たり、大好きな娯楽を楽しむ権利が、仲介業者の恣意的な手数料やルールによって制限されることは、消費者が望むところではありません」。

2020年の米国議会公聴会で、アップルがAppStoreのルールをAmazon(アマゾン)との特別な申し合わせに従い変更していたことが明らかにされたときから、DCNはアップルのビジネス手法への抗議をすでに表明(DCNブログ)してきた。

米下院司法委員会は調査を行い、iOSとApple TV用のPrime Videoアプリに関するアップルとアマゾンとの交渉内容(未訳記事)を突き止めた。2017年にApple TV用Prime Videoアプリが公開される前、2016年11月の電子メールから判明したのは、アップルの支払い方法を使って同アプリを登録した消費者に限り、売上げの15%のみを徴収するという取り決めにアップルが合意したということだ。その当時、アプリの販売手数料は30%だった。サブスクリプション型のアプリの販売手数料は、その2年後に15%に引き下げられたが、アマゾンは初日からこの割り引きが適用されていた。

アップルはさらに、Prime Videoのすべての登録者に対して通常手数料15%の免除に合意し、アップル以外の支払い方法も使えるようにした。

つまり、AppStoreのルールはすべての事業者に公平に適用されるとアップルは公言しておきながら、元来すべてのパブリッシャーが望む条件をアマゾンだけに適用したというわけだ。

さらにDCNは、一部の企業だけが特別な条件でアップルと取引しているという問題もさることながら、アップルの手数料のために、パブリッシャーは、サブスクリプションやイベントでオーディエンスから直接収益を得ることが難しくなっている主張している(DCNブログ)。アップルは、代わりにデジタル広告を薦めてくる。30%の手数料を払わずに済むが、そこはデータやプライバシーの扱いに疑念がつきまとう商慣行の世界だ。それは一方では、アップルが率先して一掃を訴えているものでもある。

下院公聴会の後、キント氏はアップルのCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏に書簡を送り、誰もが同じ条件でアップルと取引ができるよう、アマゾンとの合意内容を公開するよう求めた。

2020年11月、アップルは外部からの圧力に屈し(未訳記事)、スモールビジネスを対象とした新しい取り組みを通じて、収益が100万ドル(約1億300万円)未満のすべてのアプリの手数料を15%に引き下げることにした。しかし大手パブリッシャーの場合、その(Statistaレポート)収益(Statistaレポート)がずっと(Digiday記事)大きい(Pew Resarch Centerレポート)ため、この引き下げの対象外となる。

「DCNがCAFに加盟したことは、私たちの戦いにおいて歴史的な出来事になりました。主要パブリッシャーが直面しているAppStoreの問題の本質を見極める彼らの見識は、私たちの声をさらに力強いものにしてくれます」と、CAFの広報担当者Sarah Maxwell(サラ・マックスウェル)氏は声明の中で話している。「公平なアプリストアの方針を提唱し、アップルに説明責任を果たさせ、消費者に選択の自由を与える活動を、彼らとともに進められることを、とても嬉しく感じます」と彼女は付け加えた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AppleアプリCAF

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(翻訳:金井哲夫)

米国人は結局ビッグテックはそれほど悪くないと考えている

政府内でBig Tech(ビッグテック、大手テクノロジー企業)の解体について党派を超えて意見が一致することはめったにない。

16カ月の調査を終え、民主党が支配する下院委員会は最近、Amazon(アマゾン)、Apple(アップル)、Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)を競争と革新を吹き消す独占企業として特定し、ビッグ4を19世紀後半の石油王や鉄道王と同一視した。

わずか数日後、トランプ政権はGoogleを訴えた。「違法な独占の維持」(米司法省声明)を阻止するため、解体の可能性も視野に入れて裁判所命令を求めている。

そして12月9日、青い州と赤い州の48人の弁護士と連邦取引委員会はいずれも、Instagram(インスタグラム)とWhatsApp(ワッツアップ)による「略奪的」で「違法」な買収の取り消しへFacebookを訴えた。次期大統領ジョー・バイデン氏が来月就任した後は、同政権がGoogleとFacebook両社に対する連邦反トラスト訴訟を進めることが広く期待されている(未訳記事)。

両党は、ビッグテックは我々に利益があるとはいえ大きくなりすぎたという点で一致している。

典型的な米国人はビックテックをいつも同じように見ているわけではない。米国人の評価は、問題をどの観点から見るかによって変化する。

ハリス世論調査の、Amazon、Apple、Facebook、Googleは競争と革新を制限する独占企業だと思うかとストレートな質問に対し、米国の成人は下院司法委員会の調査結果に圧倒的な賛意を示した。また、ほとんどの人はGoogleを解体すべきだと言い、Facebookを解体することもイノベーションを促進し消費者を保護すると答えている。「奴らを捕まえろ」と応援しているように見える。

だが、ビッグ4がリードするデジタルサービスのカテゴリー(ウェブ検索、eコマース、ストリーミングサービス、ソーシャルメディア)について広く質問する(The Harris Poll Solu記事)と、圧倒的な数の米国人が自身のお気に入りのプロバイダーはまったく独占企業ではないと回答する。

ほとんどの米国人の目には、デジタル市場全体に豊富な競争と選択肢があると映る。ビッグテック(big tech)と小文字で見せられた場合、大多数はそれがイノベーションを促進し、世界の中で国家の地位を高めると言う。言い換えれば「Big」が自動的に「悪い」を意味するわけではない。

もちろんほとんどの米国人は、独占企業を探し出し市場への影響を定量化するマクロ経済学者や独禁法の弁護士ではない。米国人はビッグテックを主に消費者の視点から見ている。法廷で説明できるデータではなく自分の経験や感情に基づいて判断している。我々の研究によると、米国人は消費者の視点では一般的にテクノロジーをポジティブなものと見ている。

米国の2069人の代表的な成人を対象とした調査では、ほぼ3分の2が、毎日Googleなどの検索エンジンを使用し、Facebookなどのソーシャルメディアにアクセスしていると答えた。ほぼ半数が少なくとも週に1回、Amazonまたは他のオンライン店舗で買い物をし、3分の2がGoogleのYouTube、Apple TV+、Amazon Prime Videoなどのアプリで動画をストリーミングしている。

新型コロナウイルスのパンデミックは彼らの忠誠心を高めただけだ。閉じ込められた毎日を送る中で、例えば米国の成人の半数は1年前よりも多くの動画をストリーミングし、3分の1はオンラインで買い物をしていると回答した。消費者がビッグテックにひどい扱いを受けていると感じているとしても、そして実際、半数以上がビッグテックは常に顧客に対し正しいことをしているとは限らないと回答しているものの、消費者は手当たり次第クリックするほど怒ってはいないということだ。

米国の消費者は選択肢のない捕虜のように感じてもいない。モバイルデバイスでのインターネット検索におけるGoogleの市場シェアはstatistaデータ)は94%であり、これはおそらく誰が定義しても独占だ。米国人の55%は、Googleの力が強すぎるためYouTubeとGmailから切り離すことに賛成しているが、5人中4人は適切な代替手段があると述べている。

実際、調査において検索エンジンの選択肢が多すぎる(19%)と答えた人は、少なすぎる(11%)のほぼ2倍だ。米国人は、ソーシャルメディア、ビデオとオーディオストリーミング、eコマース、Apple PayやGoogle Payなどの他のデジタルサービスの市場にも同様に競争が存在すると判断している。

その市場での優位性にもかかわらず、米国の消費者はビッグテックがライバルを害しているとは考えていない。米国人の4分の3はAmazon、Apple、Google、Facebookを独占企業と見ているが、5人中4人はテクノロジーの巨人が業界のイノベーションを促進し、3分の2はそうした企業が競争を促進し米国の世界的な評判を高めていると回答している。

大卒者と45歳以上では、ビッグテックをイノベーションと競争の推進力と見る傾向がわずかに高くなるが、すべてのグループで同じような見方がみられる。

筆者はマクロ経済学者でも独占禁止法の弁護士でもないため、ビッグテックに対する超党派の合法的十字軍が正当化されるかどうかについて発言する立場にはない。だが、議会や規制当局がビッグテックによる支配を減らすために裁判や他の措置に訴えようとしている今、我々の調査に基づき、米司法省のGoogleに対する独禁法訴訟に米国人がどう反応するのかついて洞察を提供することはできる。

米国人の個々の企業に対する狭い見方を、消費者が日々過ごすデジタル領域に対する彼らの認識から切り離すと、連邦政府がビッグテックを吹き飛ばしてしまう理由がほとんどわからなくなる。我々の世論調査におけるもう1つの注意すべき発見事項は、企業が大きすぎるかどうかを判断する適切なグループが規制当局や議員だと考えているのは、米国の代表的な成人のほぼ半分にすぎないということだ。

ただし、それらの企業が最終的に縮小されるとしても、信頼できるアプリ、検索エンジン、ショッピングサイト、ストリーミングサービス、ソーシャルメディアサイトが自由に、そして心理的に十分に利用できるなら、一般的な米国の消費者は結果として生じる「それほど大きくないビッグテック」について悲しいと思うことはないと考えられる。

【編集部注】著者のWill Johnson(ウィル・ジョンソン)氏は、世界有数の世論調査会社の1つであるThe Harris Poll(ハリス世論調査)のCEO。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Google、Apple、Aamzon、Facebook

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(翻訳:Mizoguchi

アップルの新ヘッドフォンAirPods Maxファーストインプレッション、超高品質で非常に重くサウンドはしっかりしている

Apple(アップル)の新しいオーバーイヤーヘッドフォン、AirPods Maxを使ってみた。ただし手にしてからまだ24時間経っていない。こんな短期間では本式のレビューは書けないそうにない。しかし「第一印象」には大いに反響があるようだ。私も読者と共有したい体験をした。以下の報告は主にプロダクトの品質についてだが、最初に聴いてみたときの感想も含まれている。

断っておくが、これは現在私が受けている印象であり、テストは今後も続けるつもりなので評価もそれに応じて深化すると期待している。レビューではないにしろ、ある種のレビューのドラフトと考えていただきたい。いわばプロトレビューだ。

まず、これはゴージャスな製品だ。アルミニウムのイヤーカップは美しい。左右のイヤーカップを接続するヘッドバンドはおそろしく頑丈。ヘッドバンドのメッシュネット部分は高級家具のように緻密だ。伸縮するステムのデザインも仕上げも優れている。ステムは高級車のエンジンのピストンのように精密にヘッドバンド部にはめ込まれており、スムーズに引き出せる。

メッシュ、イヤーパッド、巧妙な(いまではそれほど珍しくなくなったが)マグネットセンタリングがきちんと固定する。イヤーカップカバーはシームレスにフィットする。それぞれのイヤーカップはアルミニウム板から一体成型されている。コストパフォーマンス?米国では550ドル(日本では税抜6万1800円)は高くない。素材と仕上げからいって、AirPods Maxははるかに高価な製品だと感じさせるものだ。

ただし、この「レビューのドラフト」でも触れておかねばならないトレードオフがある。AirPods Maxは重い。ヘッドフォンの重さが気になるなら購入はお勧めできない。この製品は強く自己主張する。まっすぐに座るか、背もたれに寄りかかる姿勢が確実に要求される。家の中を歩き回り、床から子供の服やおもちゃを拾ったりするなら、ヘッドフォンの重量で頭が前方に引っ張られることを感じるだろう。重量は386gありBeats2セットよりさらに100g以上重い。ハイエンドヘッドフォンのユーザーならこの重さは予期しているかもしれない。しかしそのようなハイエンドのユーザーは少ないだろう。この点については慣れもあるので、後日もっと詳しく説明したい。

またいくつかデザイン上の問題も見られた。ピストン方式で伸縮するイヤカップは驚くべき仕組みだが、カップ自体のスプリング内蔵バックルの可動範囲が限られているため、BoseのQuietComfort 35 IIやSonyのWH-1000XM4といったヘッドフォンのように内側に折り畳むことができない。これは不便だ。

これまでのところコントロール類は悪くない。ダイヤル式つまみはApple Watchとほぼ同様の感触だが、多少抵抗が強い。つまみを長押しするか「Hey Siri」と呼びかけることでSiriの機能が起動する。これも問題ない。イヤーカップは精密な位置検出機能を内蔵するので、1つのイヤーカップを軽く持ち上げるだけで再生を一時停止できる。

ヘッドフォンを頭から外して下に置くとオフになる。電源ボタンはない。これは非常に自然で、いかにもアップルらしい仕組みだ。頭にかければ使える。外せば停止する。非常に簡単だ。

充電器は同梱されていないが、どんな電源アダプタからでも充電できる。アップルによれば5分間の充電で1.5時間作動するというが、急速充電はサポートされていない。USB充電の場合、出力電力と無関係に2時間だ。

BoseやSonyの製品と異なり、3.5mmケーブルが付属していないので飛行機のシートバックシステムその他を音源としたい場合は35ドル(約3600円)の追加支出が必要となる。

旅行といえば、上で触れたように折り畳んで格納できないこと、メッシュの素材、重量その他の方向性は明確で、ごく初期の印象でも旅行に持って出るような製品ではないと感じた。それに製品のケースがまた見た目どおり具合の悪いしろものだ。残念ながらケースはMagSafeデュアル充電パッドと同じくらい危っかしく 安っぽく、汚れやすい。到底トラベルケースに必要な能力を備えていない。だいたい見た目も人間のお尻に似ている。

サウンドは素晴らしい。Beatsヘッドフォンのような騒がしいコンサート会場向きの低音を効かせた音ではない。低音は十分に出ているが、はるかにニュアンスの豊富な音だ。全周波数帯で鮮明な音作りがされている。映画を観たり、音楽を聴いたり、電話で会話したりしてみたが、どのユースケースでも素晴らしい音だった。たとえば空間オーディオは大型のスピーカードライバーと耳を覆うイヤーカップによって大幅に改善されている。Atmosのコンテンツで試してみたが、オーディオの方向定位やパンは非常に巧妙だった。iOS デバイスを通じて動画を観た場合、巨大な音空間内にいてその中心がデバイスのスクリーンであるように感じる。ヘッドフォンを通して音を聞いているとは思えず、まさにその部屋にいるように感じる。これは信じられないほどすごい。

と、まあ現在のところはそんなことろだ。これからも引き続きチェックしていくつもりだ。いまいえるのは「これまでのところ超高品質で非常に重くサウンドはしっかりしている」ということになる。

興味のある読者のためにいっておくと、私はレイテンシーをテストする予定だが、セットアップにコーディングが必要なので、まだ結果を報告できる段階にない。

【更新】有線接続によるレイテンシーをテストしたが、問題ないようだ。

オーディオ関係で最も多かった質問の1つに答えておこう。これは特にポッドキャスターから尋ねられた点だ。有線接続すればレイテンシーはなくなる(ツールでテストはしていない)。つまりポッドキャスティングとオーディオミキシング作業のために利用できる。ただし35ドルのケーブルが必要だ。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleAirPods Maxヘッドフォンレビュー

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

2020年のアプリ消費額は過去最多の約12兆円、ダウンロードは1300億回

モバイルデータ分析会社App Annieの年末推計によると、2020年に消費者はApple(アップル)のApp StoreとGoogle Playで前年比10%増の1300億回アプリをダウンロードした。この2つのアプリストアでの消費額は、年末までに前年比25%増の1120億ドル(約11兆7000億円)に達するとApp Annieは予想している。

通常、ダウンロード回数の増加は主に新興マーケットが主導するが、2020年は状況が異なる。

新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックのために、モバイルの浸透が2、3年分加速した。その結果、消費者は仕事、教育、エンターテインメント、買い物などのためのデジタルソリューションとしてアプリに向かった。これが、モバイルマーケットの成熟にもかかわらず、ダウンロード回数やモバイル使用時間、消費額の増加につながった。

画像クレジット:App Annie

Google Playの2020年のダウンロード回数はiOSを160%上回った。しかしいずれも10%の増加だ。一方、ダウンロード回数におけるゲームのシェアは40%増えた。Google Playでは全ダウンロード回数におけるゲームの割合は45%で、前年より5%増えた。しかしiOSでのゲームの割合は30%を維持した。2つのアプリストアでの消費額に関しては、1ドルあたり0.71ドルがゲーム関係だった。

また新型コロナのために消費者はこれまで以上にデバイスを使用した。Androidの使用時間は2019年比25%増の3兆3000億時間だった(App AnnieはiOSデバイスの使用時間は測定できない)。

画像クレジット:App Annie

デバイス使用時間の増加は消費額の増加につながり、2020年は過去最多の1120億ドル(約11兆6800億円)となった。1ドルあたり65セントがiOSでのものだが、Google Playでの支出額は引き続き増えている。今年は30%近くになるとApp Annieは予想している。

iOSでの消費額が多かったマーケットは米国、日本、英国だ。このリストは2018年と2019年のものと異なる。過去2年は米国、中国、日本だった。Google Playの方のリストは米国、韓国、ドイツだった。過去2年と比較すると、成長という点で韓国とドイツは日本と英国の座を奪った。

App Annieのレポートではまた2020年のトップアプリのリストも紹介され、TikTokがダウンロード回数において第1位、消費額で第2位だった。しかし、月間アクティブユーザー数においてはFacebook(フェイスブック)には敵わなかった。ロックダウンにもかかわらず、デートアプリTinderが消費額で第1位だった。

InstagramやMessenger、WhatsAppといったフェイスブックのほかのアプリはダウンロード回数やアクティブユーザー数のチャートで上位を維持した。新型コロナのおかげでZoomはダウンロード回数のチャートで第4位に入った。Appleがこのほど発表したように、iOSではZoomはダウンロード回数第1位で、TikTokがその後に続いた。Google Meetもランクインし第7位だった。

画像クレジット:App Annie

App Annieが発表したこうした数字がモバイルマーケット全体を表しているわけではないという点は注意すべきだろう。というのもこのレポートは中国のサードパーティのアプリストアをカバーしていないからだ。中国の数字は、年初めに発表されるApp Annieのより広範をカバーしている「State of Mobile」レポートに含まれている。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleApp StoreGoogleGoogle PlayアプリApp Annie

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

アップルが米国時間12月14日からフィットネスサブスク「Apple Fitness+」を提供、日本は未定

Apple(アップル)はフィットネスのサブスクリプションを立ち上げる。主にApple Watchとの併用を想定していて、米国時間12月14日から提供される。2020年9月のiPhoneイベントで発表されていたApple Fitness+は、iPhone、iPad、Apple TVでガイド付きワークアウトを提供する。Apple Watchの健康指標モニタリングによるライブの測定値も表示される。

フィットネスサービス立ち上げ時には高強度インターバルトレーニング(HIIT)、筋力トレーニング、ヨガ、ダンス、コアトレーニング、サイクリング、屋内ウォーキング、屋内ランニング、ボート漕ぎ、クールダウンの10種のワークアウトをカバーする。同社によると、すべてのメニューはインターラクティブなセッションを録画するのにアップルが選んだ本物のトレーナーによるもので、「今日のトップアーティスト」からの音楽が流れる。

インタラクティブな情報はほぼApple Watchで収集される統計情報を活用している。心拍数やカウントダウンのタイマー、ユーザーがApple Watchアクティビティのリングをすべて満たした時にスクリーンに現れる目標達成「セレブレーション」グラフィックスなどが表示される。Peloton(ペロトン)が自社サービスで行っているのと似ている直接統合だが、体を動かすのにコネクテッド固定式の自転車やトレッドミルは不要だ。

他の特徴的な機能としては、ユーザーが以前に受けたFitness+コースのデータや、Apple Watch Workoutアプリのデータ、サードパーティの健康・フィットネスアプリ統合情報などを活用したレコメンデーションエンジンがある。これはユーザーに新しいワークアウト、トレーナー、エクササイズルーティーンを勧めるためのものだ。アップルのサードパーティー統合の活用はここでは特に興味深い。というのも、アップルはサービスのパーソナリゼーションを知らせるのにプラットフォームのアドバンテージを活用しているからだ。

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アップルはまた、ワークアウト全部門で強度や難易度が異なる新しいコンテンツを毎週投入することを約束している。Fitness+を使用する人は自身のワークアウトを友達や家族と共有することもでき、アプリ内で他人と直接競争することもできる。

加えて、Apple Musicを統合するオプションもある。このオプションではユーザーは好きな曲やプレイリストをワークアウトから直接ライブラリーに追加できる。しかしトレーニングビデオで使用されている音楽にアクセスするのにApple Musicは不要だ。

Apple Fitness+は12月14日から利用でき、料金は月9.99ドル(約1040円)、あるいは年79.99ドル(約8300円)となる。また、Apple Fitness+はアップルの新しい一括サービスApple One Premierの1つとしても提供される。

これはPelotonを含む既存のサブスク型フィットネスプロダクトと競合する大きなサービスの立ち上げだ。アップルの一括サービスは、システムのフレキシビリティとデバイス間の同期でビギナーやまじめなトレーニングを開始したばかりの人にとっては手軽な選択肢となり得る。ただ、一部の人にとってはライブクラスがないことが欠点となりそうだ。

【編集部注】Apple Fitness+はまずオーストラリア、カナダ、アイルランド、ニュージーランド、英国、米国で提供される。日本での提供は未定。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:AppleApple Fitness+

画像クレジット:Apple

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(翻訳:Mizoguchi

アップルがIntelを上回るコア数のAppleシリコンチップをハイエンドMac用にテスト中との噂

Apple(アップル)が、現在同社のMacBook Pro、MacBook Air、MacBook Pro、Mac miniに使用している独自設計のM1チップに比べて、コア数が大幅に多いAppleシリコンチップを開発していると報じられている。Bloombergによると、新しいチップには将来のiMacやより強力なMacBook Proモデルを対象として16の高性能コアと4つの高効率コアを備えたバージョンと、最終的には最初のAppleシリコン版Mac Proに搭載されるであろう32の高性能コアを備えたトップエンドバージョンがあるという。

現在のM1 Macは4つの高性能コアと4つの高効率コアで構成されている。また、Macのモデルに応じて、7つまたは8つの専用グラフィックコアが使用されている。アップルの次世代チップは、16の高性能コアバージョンへと直接ジャンプする可能性もあるが、Bloombergは製造プロセスの結果を見ながら、8つもしくは12のコアバージョンを使う可能性もあるという。特に新デザインの初期ステージにおけるチップ製造においては、それぞれのチップ上で使えないコアがたくさん発生しがちである。そのような場合、メーカーは歩留まりが向上するまでは、そうしたチップをしばしば脇にどけて、より少ないコア数の設計のものとして市場に供給する。

アップルのM1 SoC(画像クレジット:Apple)

次世代のAppleシリコンMacが、16、12、または8のいずれの高性能コアデザインを採用したとしても、Intel(インテル)の同等製品と十分な競争ができるはずだ。アップルからデビューしたM1ラインのMacモデルたちは、先代モデルだけでなく、よりハイエンドのIntelチップを搭載したより高価でパワフルなMacに比べても大幅に性能が向上したことから、批評家やレビュアーたちの称賛を集めている。

記事はまた、アップルが将来のiMacやProノートブック向けに使うための、16コアと32コアの両方のデザインを含む、新しいグラフィックプロセッサを開発しており、それどころかMac Proのようなハイエンドのプロ用マシンで使用するために、64コアと128コアのデザインも開発中であるとレポートしている。これらは、一部のアプリケーションではNVIDIA(エヌビディア)やAMDの専用GPUデザインにさえ匹敵するパフォーマンスを提供するはずだ。とはいえ記事によれば、2021年後半もしくは2022年になるまでは、いずれも出荷される製品に搭載されることはなさそうだ。

アップルは当初から、2022年までにライン全体を自社のAppleシリコンプロセッサに移行する計画であると述べている。現在販売されているM1 Macは第1世代のもので、アップルは、iPhoneやiPadのラインに組み込まれたトップエンドのAシリーズチップに非常に近いデザインを採用した最も低消費電力のMacから投入を開始した。次世代のMシリーズチップは、アップルのモバイルプロセッサーとの差別化がさらに進み、要求の厳しいプロフェッショナルのワークロードからの要求に対応するための、性能面で大きなアドバンテージを持つようになりそうだ。

関連記事:Apple Siliconファミリー初のチップ「M1」が登場

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleApple Silicon

画像クレジット:Apple

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(翻訳:sako)

カリフォルニアの新型コロナアプリ「CA Notify」が州全体に露出通知提供へ、アップルとグーグルのAPI利用

カリフォルニア州は2020年11月にカリフォルニア大学バークレー校でアプリのパイロットプログラムを展開し、その後に他のカリフォルニア大学のキャンパスへとプログラムを拡大した後、州内のすべての人にCA Notifyアプリへのアクセスを拡大した。同州知事のGavin Newsom(ギャビン・ニューサム)氏が米国時間12月7日に発表したアプリの州全体への展開は、Apple(アップル)とGoogle(グーグル)の暴露通知APIをベースにしたツールで、12月10日の時点で互換性のあるiPhoneやAndroidデバイスを持っている人なら、誰でもダウンロードしてオプトイン方式で利用できるようになる。

アップルグーグルが共同開発した露出通知APIはBluetoothを利用し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の陽性が確認された個人と他者との接触を判断し、身元や場所に関するデータを保存したり送信したりすることなく、露出の可能性をユーザーに警告する。このシステムでは曝露の可能性を他のデバイスに伝えるために、ランダム化されたローリング識別子を使用しており、カリフォルニア州の保健当局は曝露リスクの正確性を高めるために、どれくらい近くにいたり、どれくらいの時間接触する必要があるかなど、具体的な詳細をカスタマイズできる。

カリフォルニア州の場合、新型コロナウイルス感染症が陽性と確認された個人と6フィート(約1.82m)以内の15分以上接触した場合、曝露通知の対象となる。新型コロナテストで陽性と判定されたユーザーには、同州の公衆衛生局からCA Notifyアプリケーションに入力したコードを含むテキストメッセージが送信され、過去14日間(ウイルスが伝染する期間)に上記の基準を満たしていたすべてのスマートフォンに対してアラートブロードキャストが送信される。

前述のとおり、通知システムを介してユーザーのデバイスから個人情報が送信されることはなく、完全なオプトイン方式となっている。他の州ではすでにアップルやグーグルのAPIに基づいた曝露通知アプリが展開されており、世界中の多くの国で導入されている。これは医療従事者が新型コロナウイルス患者が誰と接触したかを特定し、どのようにしてウイルスに感染したのか、また誰に感染を広げたのかを調べるための接触追跡システムの代替ではないが、包括的な追跡プログラムの有効性と成功率を向上させるための貴重な要素となる。

関連記事:新型コロナの接触者追跡とはどのようなものか?

カテゴリー:ネットサービス
タグ:COVID-19新型コロナウイルスAppleGoogleカリフォルニア

画像クレジット:Aydin Palabiyikoglu / Getty Images (Image has been modified)

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

AppleのM1搭載MacBook Proは特にバッテリー駆動時間が驚異的

サバイバルゲームや戦略ゲームは段階的に進められることが多い。序盤ではロープの使い方を学習したり、システムを理解したりする。中盤ではリソースを集めたり、それを使ったりする。筆者が最も楽しいと感じるのは、この中盤部分の後半だ。能力やスキルをフルに管理できるうえ、リソースを活用できるし、終盤の難局に備えて自分の作戦を実行できる。

半導体産業というゲームにおいて、Apple(アップル)は現在この段階にいる。一方でIntel(インテル)は終盤戦を迎えようとしている。

アップルは、新しいM1システムをチップに搭載したマシンを3種類発表した。M1チップは、アップルが10年以上にわたり設計、開発を進めてきたARM命令セットをベースとする独自CPUである。これらのマシンは、高性能かつ強力で高い安定性を備えているが、中でも最大の進歩が見られるのはワットあたりのパフォーマンスだ。

筆者は13インチのM1搭載MacBook Proを自分でテストしてみた。厳しいテストを通して明らかになったのは、このマシンはこれまでの高性能ポータブルMacをパフォーマンス面で上回るだけでなく、同時にバッテリー駆動時間が最低でも2~3倍はあるということだ。

この結果は驚くべきものだが、これはアップルがゲームの序盤で長らくAシリーズプロセッサを使って取り組んできたことの産物だろう。アップルは2008年にPA Semiconductor(PAセミコンダクタ)を買収してこの取り組みを本格化させ、以来、プロセッサメーカーの製品ロードマップから、デバイスの機能や性能を解明しようとしてきた。

M1搭載MacBook Proの動作はスムーズだ。アプリも素早く起動するため、カーソルがDock上にあるうちにアプリが開くことも多い。

動画編集やレンダリングのパフォーマンスも素晴らしい。過去のマシンに劣るのはGPUの負荷が高い場合だけだ。それも、5500MやVega IIなどの高性能の専用カードを使用している場合だけである。

WebKitなどのプロジェクトをコンパイルすると、ほとんどのマシンよりもビルド時間が短くなる(M1搭載Mac miniが数秒差でMac Proに勝利)。しかも、能力の一部しか使わない。

iPadのような動作。簡潔に言うならそのような表現が最適だ。筆者はこれまで、あるイラストを使って、現在のMacBookユーザーが感じていることを説明してきた。慢性的な痛みを示すイラストだ。健康状態やケガによる継続的な痛みが投薬、セラピー、手術などで緩和された経験がある人は、痛みが突然緩和されるのがどのような感覚かわかるだろう。長い間重荷を背負っていたため、どれほどの重さなのかもわからなくなっている状態だ。他のMacを使用した後でこのM1搭載MacBookを使用するとそのような感覚に陥る。

クリックの反応がよく、処理も素早い。最高の状態にあるiOSデバイスのようだ。

チップレベルではiOSデバイスでもある。つまり、「M1で動くiOS」なのである。

M1で動くiOS

M1搭載マシン上でのiOS体験、というのが一番わかりやすい言い方かもしれない。アプリをApp Store(アップストア)からインストールして問題なくスムーズに実行できる。iOSアプリで測定されたベンチマークが示すところによれば、アプリはオーバーヘッドなしでネイティブに実行されている。iOSベースのグラフィックのベンチマーク測定も実行したが、良好な結果を示した。

しかし称賛はここまでだ。Big Sur(ビッグサー)を実行するM1搭載マシン上での現在のiOSアプリ体験は滑稽と言ってもよい。ばかげている。一般的なiOSの操作(端からのスワイプなど)を再現する方法を説明するツールチップがデフォルトでは用意されていない。代わりに、メニューの中にひどい形式のチートシートが埋め込まれている。アプリはウィンドウ内でのみ起動、実行される。全画面のiOSアプリはまったくない。MacでiOSをすぐに利用できるネイティブサポートがあることは、最初は素晴らしいと感じる。しかし1日使ってみれば、これはマーケティング面での勝利であって、ユーザーエクスペリエンス面での勝利ではないことがわかる。

アップルは、「Macで数百万のiOSアプリがサポートされるようになった」と言っている。しかし実際には、M1上でそれらのアプリを実行した場合の使用感は平均点以下である。この状況は間違いなく改善されるだろう。しかし現時点では、M1上でのアプリ体験は確実にネイティブM1アプリ>Rosetta 2(ロゼッタ2)アプリ>Catalystアプリ>iOSアプリの順番だ。当然、これはCatalyst(カタリスト)ポートをMac中心の動作や操作の環境に組み込める場合の話だ。iOSは存在するものの、M1上のあるべき場所にはないのは明らかだ。

Rosetta 2

ロゼッタ2については、たくさん語りたい点と、それほどでもない点がある。M1アーキテクチャ上でx86アプリケーションを正常に動作させるこの新しいエミュレーション層を使ってアップルが実現したことについては、今後、より詳しい情報が明らかになっていくだろう。しかし注目すべきは、アプリの変換で元の性能から約26%減(以下のグラフを参照)という結果を実現できるほど高性能なチップを作成できたことだ。しかもインテルのプロセッサを搭載したMacBookを超えるとまではいかないが、同程度の速さで動く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは実に驚くべきことだ。ユーザーはPowerPC(パワーPC)から昔のロゼッタへの移行を忘れたがっているが、アップルもユーザーにそれを忘れてほしいと思っている。それならば筆者は喜んで言おう。簡単に忘れられる。なぜなら、16インチMacBook Proのような、より古く「理論上はより高性能」なMacと比較した場合に実際のパフォーマンスヒットが見られなかったからだ。

ほとんどの場合、この点は問題にならない。Adobe(アドビ)やMicrosoft(マイクロソフト)のような企業では、すでにネイティブM1アプリをMacで使えるようにしようと取り組んでいる。そのため、必要性が高い生産性向上アプリやクリエイティブアプリは、基本的にはネイティブ対応によって無料で約30%のパフォーマンス向上を実現できる。ただし、それらのアプリは現在でも十分に高速であるため、ウィンウィンの状況である。

実機テスト方法

筆者が実施したテストの方法はシンプルだ。実際のパフォーマンスやタスクと人工的なベンチマークの両方が対象マシンに反映されるように設計したバッテリーテストを行った。はじめはマシンを電源に接続した状態でベンチマーク測定を実行し、その後バッテリーのみを使用して再度実行した。これは、安定したパフォーマンスと、ワットあたりのパフォーマンスを算出できるようにするためだ。基準が一定になるように、冷却期間を設けてすべてのテストを複数回実行した。

テストには以下のマシンを使用した。

  • 2020 13インチM1搭載MacBook Pro 8コア 16GB
  • 2019  16インチMacBook Pro 8コア 2.4 GHz 32GB(5500Mを使用)
  • 2019 13インチMacBook Pro 4コア 2.8 GHz 16GB
  • 2019 Mac Pro 12コア 3.3 GHz 48GB(AMD Radeon Pro Vega II 32 GBを使用)

これらのベンチマークの多くには、Matt Burns(マット・バーンズ)によるM1搭載Mac miniのレビュー、Brian Heater(ブライアン・ヒーター)がテストしたM1搭載MacBook Air(こちらで確認できる)の数字も含まれている。

WebKitのコンパイル

まずは「何だこれは」というようなグラフから紹介しよう。筆者はGitHub(ギットハブ)からWebKitをチェックアウトし、全マシンでパラメータを指定せずにビルドを実行した。上記で触れた仕様から乖離しているものがある。13インチマシンに原因不明の問題があったためだ。この問題はインターネットで見つけた友人に助けてもらって解決した。また、Tapbots(タップボッツ)のPaul Haddad(ポール・ハダッド)氏にもヒントを教えてもらった。

ご覧のように、M1は全モデルで素晴らしいパフォーマンスを示している。MacBookとMac miniはMacBook Airをわずかに上回る。20分以上続く高負荷のタスクとなる場合があるが、パフォーマンスの違いを可視化するうえでこれは非常にシンプルな方法だ。MacBook Airではスロットル冷却ファンが動作していないため、M1で多少時間がかかっている。スロットルを使用している場合でも、MacBook Airは高性能のMac Proを除く他のモデルより勝っている。

しかしここで重要なのは2つ目のグラフだ。WebKitのビルドを1 回実行した後で、M1搭載MacBook Proのバッテリーはまだ91%も残っていた。ここでは複数のテストを試したが、バッテリーを1回フル充電すれば、M1搭載MacBookでWebKitのフルビルドを8~9回は簡単に実行できただろう。一方、16インチでは約3回、13インチ2020モデルでは1回しかできなかったと思われる。

この常軌を逸したワットあたりのパフォーマンスがM1の秘密兵器だ。バッテリーのパフォーマンスは圧倒的である。プロセッサに負荷のかかるタスクを実行する場合でも同様だ。説明しておくと、WebKitのこのビルドで、Pクラスタ(パワーコア)では各サイクルで非常に高いピークを記録した。一方、Eクラスタ(効率性コア)では安定した2 GHzを維持していた。そのような状態でも、電力効率は非常に優れている。

バッテリー駆動時間

実環境でのテストにおけるバッテリーのパフォーマンスのグラフ化に加えて、専用のバッテリーテストもいくつか行った。あるテストでは、バッテリー駆動時間が長かったため、誤って電源をつないだままにしたかと思ったほどだ。それほど優れていた。

ブラウジングを再現するために、複数のページを開いて30秒間待機してから次に移動するという、ウェブブラウジングとウェブでの動画再生を組み合わせたスクリプトを実行した。結果は我々のテストでよく見られる内容と同じで、M1は他のMacBookを25%上回っているだけだった。

4K/60 fpsの動画をフルスクリーンで再生した場合、M1はさらによい結果を示し、輝度を50 %に固定した状態で簡単に20時間を記録した。その前に行ったテストでは、自動調整をオンにした状態で簡単に24時間を超えた。丸一日である。iOSのようなマイルストーンだ。

M1搭載MacBook Airも非常に優れているが、バッテリーが小さいため、再生時間も16時間と短かった。しかし両方とも以前のモデルを完全に凌駕した。

Xcode Unzip

これもリクエストがあったデベロッパー向けのテストだ。今回もPUバウンドで、M1はテストグループに含まれる他のシステムより優れていた。8コアの16インチMacBook Proより速く、13インチMacBook Proより大幅に速く、さらに3.3GHz Xeons搭載2019 Mac Proに比べると2 倍の速さだった。

画像クレジット:TechCrunch

 

性能の曲線を確認しよう。この期間中にMacBook Proのスロットリングがないことを示すために、使用率の曲線を示す(ちなみに、これより長い期間のスロットリングを筆者は見たことがない)。

ユニファイドメモリとディスク速度

アップルは大きな話題を提供している。たとえば、この最初のM1マシンのメモリがたったの16GBであることだ。しかし実は、アップルがユニファイドメモリアーキテクチャへ移行したことによる効果を感じられる程度までマシンを使う機会を筆者はまだ得ていない。RAMをSoCに移行するということは、増設できないということだ。永遠に16GBのままである。一方でこれは、メモリを最も必要とするシステム上のチップが、非常に高速でそのメモリにアクセスできるということでもある。

筆者の予想では、これは個別RAMという概念を完全に排除するための中間ステップである。最終的には、アップルMシリーズチップの将来(遠い将来。現時点ではただの想像)のバージョンで、永続ストレージとしても機能する大規模プールからさまざまなチップにメモリを提供するようになる可能性がある。しかし現時点で利用できるのは、限界はあるが、非常に高速のメモリプールだ。このメモリプールは、CPUコア、GPU、その他SoC上にあるもの(Secure Enclave(セキュアエンクレーブ)やNeural Engine(ニューラルエンジン)など)で共有される。

こちらの動画を見てほしい。Safari(サファリ)とChrome(クローム)でタブを400個開いて比較したものだ。アプリがM1(およびBig Sur)に最適化されている場合、このマシンでは非常に高性能だ。

OS X Big SurとM1プロセッサの密接な関係をアップルがどのように考えているか知りたければ(OS X Big SurとM1プロセッサはお互いのために作られた)、M1搭載MacBook Proのシステム情報画面にクロックスピードがまったく表示されていない点に注意しよう。

多くのアプリケーションを同時に実行している間、M1は極めて優れたパフォーマンスを示した。この新しいアーキテクチャは各要素が近い場所に配置されており、メモリはPCIeバスの向こう側ではなくすぐ近くにあるため、アプリケーション間のスワップはまったく問題にならなかった。タスク(負荷が高く多くのデータを使用するタスク)がバックグラウンドで実行されている場合でも、システムの残りの部分はスムーズに動作していた。

アクティビティモニタのメモリ圧迫を確認できるタブに、OS Xがスワップ領域を使用していると表示されている場合(これは時々表示される)でも、パフォーマンスの低下は確認できなかった。

実際に試すことはできなかったが、パフォーマンスが低下していることを表示させるには、膨大なファイルを投入する必要があるだろう。

M1搭載MacBook ProのSSDはPCIe 3.0バス上にあり、書き込みと読み取りの速度がそれを示している。

Thunderboltとウェブカメラ

M1搭載MacBook Proには2つのThunderbolt(サンダーボルト)コントローラがある。各ポートに1つずつだ。つまり、PCIe 3.0を4 つ、フルスピードで各ポートから利用できる。今後、アップルがアーキテクチャをあまり変更せずにポートを最大4つにする可能性が高い。

この構成はつまり、アップルのPro Display XDRと他のモニタを簡単に並べて使えるということだ。ただ、アップルのPro Display XDRモニタを2台並べてテストすることはできなかった。

ウェブカメラも強化された。アップルは、M1搭載マシンのISPは前世代より向上したと言っている。しかしカメラ自体はこれまでもMacBookに搭載されていた720pのウェブカメラだ。筆者が実施した多くのテストの結果では、今回もウェブカメラの性能は低く、これまでよりは多少ましという程度だ。おそらく、ホワイトバランスが向上し、ノイズ処理も多少向上したため「合格」となったのだろう。それでも高性能とは言えない。

冷却とスロットリング

筆者が実施したテストでは、どれだけ時間がかかる場合でもM1搭載MacBook ProでCPUのスロットリングは確認できなかった。我々がこれまで行ったテストによれば、処理が長くなると(20~40分以上)、明らかに時間とともにMacBook Airの性能が多少落ちる場合があった。

アップルは、M1搭載MacBook Proのために新たな「冷却システム」を設計したと言っているが、確かにそう言うだけのことはある。ファンは1つだが、他のどのファンよりも静かである点に注目すべきだ。実際、M1が「温かい」状態よりも大幅に温度が上がることはなかった。また、ファンのスピードは他のMacBookのような「ターボエンジン」の状態というより、水冷型リグのようだった。

Cinebench R23の長く負荷の高いセッションを処理した場合でも、M1搭載MacBookで大きな音は出なかった。高性能コアをすべて実行してベンチマークを測定している間、定期的に3GHzを記録した。また、効率性コアは2GHzを記録した。それにもかかわらず、他のMacBookと比較して非常に低温かつ静かに処理を続けた。まるで航空ショーのステルス爆撃機だ。

このCinebenchのテストでは、昨年の13インチMacBookのマルチコアの2倍のパフォーマンスを示し、16インチMacBook Proのシングルコアのパフォーマンスにも勝っていることがわかる。

筆者は自分のテスト用スイートでFinal Cut Pro(ファイナルカットプロ)のテストを何度か行った。最初はiPhone 12 Proを使用した5分間の4K60fpsのタイムラインショットで、オーディオ、トランジション、タイトル、カラーグレードを使った。M1搭載MacBookは素晴らしいパフォーマンスを示し、16インチMacBook Proをやや上回った。

同じ長さの8Kタイムラインでは、16インチMacBook ProでRadeon 5500Mを使用すると、Final Cut ProのGPUアクセラレーションが素晴らしい結果だった。しかしM1も健闘し、13インチMacBook Proで統合型グラフィックスを使用した場合の3倍の速度だった。

この処理を行った際にM1搭載MacBook Proの消費電力が極めて少なかったのは印象的だ。17%のバッテリーだけで81GBの8Kレンダリングを出力した。13インチMacBook Proは1回のバッテリー充電ではレンダリングを終わらせることもできなかった。

 

このGFXBenchのグラフからわかるように、M1搭載MacBook Proは高性能ゲーム用ラップトップというわけではないが、Metalのラックのテストを実行したGPUテストでは、非常に驚くべき、印象的な結果を残した。それでも元々の性能は16インチMacBook Proのほうが高いが、Retinaでゲームをレンダリングする可能性は高い。

M1はCPU設計の未来

長年にわたり、インテルが提供するチップやチップセットの機能のせいで、Macのリリースに何度も制限が課されてきた。最近の16インチMacBook Proでも、アップルは1世代以上後れを取っていた。iPhoneが大ヒットした時点で前兆は現れていた。つまり、コンピューティング業界の残りの企業をすべて足したよりも多いチップをアップルが製造し始めるのではないかということだ。

アップルは現時点で20億以上のチップを出荷済みである。これはインテルのデスクトップ向けビジネスが贅沢品を作っているように見える規模である。先週の発表でインテルの名前に言及しなかったのは、アップルの政治的判断だったのだと思う。一方で、次の点も明白だ。つまり、インテル製チップがMacに搭載される日々が終わりに近づいていること、そして、アップルが他社向けにチップを作る可能性が極めて低いことが業界の他の企業にとって唯一の救いであることだ。

数年前、筆者はiPhoneの重大な欠点についての記事を書き、ワットあたりのパフォーマンスのせいで、提供できるはず新たな体験が制限されているという点を指摘した。その記事は不人気だったが、筆者は正しかった。アップルはこの10年間、Aシリーズチップで大きなパフォーマンス向上を実現しつつiPhoneのラインナップでも基本的には同じ(または多少優れた)バッテリー駆動時間を維持できるように努力を続け、バッテリー問題を「修正」しようとした。しかしバッテリーに関する奇跡のテクノロジーは出現していない。そのためアップルは方向転換し、チップの対応に力を入れるようになった。

現在我々が見ているものは、アップルが電力効率を本気になって追究し、それをMacに採用した成果だ。Macはそのままのバッテリーで5倍の性能を実現できる。素晴らしい成果である。

関連記事:ARMベース「Apple M1」搭載MacBook Air、MacBook Pro、Mac miniが11月17日発売

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Macbook Pro レビュー Apple

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(翻訳:Dragonfly)

iPhoneはボタンやUI要素を自動認識して視覚障がい者向けにラベル付けしている

Apple(アップル)は障がいをもつユーザーのための機能開発に関して常に努力している。iOSのVoiceOver(ボイスオーバー)は目の不自由な人にとってかけがえのないツールだ。ただし、インターフェースの要素すべてに手動でラベルが付けられている必要がある。しかしアップルは、機械学習を使ってあらゆるボタンやスライダーやタブを識別してラベル付けする新機能を公開した。

Screen Recognition(画面認識)はiOS 14に導入されたコンピュータービジョンシステムで、現在利用されている何千種類ものアプリの画像から、どんなボタンがあるかアイコンは何を意味するかを学習している。システムは柔軟性が高く、与えるデータによって、ネコや表情、そして今回のケースではユーザーインターフェースのさまざまな部分を認識するエキスパートになることができる。

その結果、どんなアプリでも、ユーザーが立ち上げてから1秒と経たないうちに画面上のあらゆるアイテムにラベルが付けられる。そして、「どんなアプリでも」は文字通り「どんなアプリでも」という意味だ。つまるところスクリーンリーダーは、写真(iOSはしばらく前から1文の要約を作ることができている)やよくあるアイコン(「ホーム」「戻る」など)からありとあらゆる場面に登場する「…」メニューのようなコンテキスト特有のものまで、目が見えるユーザーが見て、触れることのできるものすべてを認識しなければないない。

これは、手動のラベル付けが不要になるといっているのではない。デベロッパーは自分のアプリにどうラベル付をするのが良いかを最もよく知っている。しかし、アップデートや標準の変更、困難な状況(ゲーム内のインターフェースなど)によって、本来よりもアクセシブルではなくなることもある。

私はアップルのiOSアクセシビリティ技術チームのChris Fleizach(クリス・フライザック)氏とAI / ML(人工知能 / 機械学習)チームのJeff Bigham(ジェフ・ビガム)氏の2人から、この驚くほど有益な新機能の起源について話を聞いた(この内容は来年発表される論文に記載される)。

alt= スマートフォン画面にふたりの女性が微笑んでいるところとボイスオーバーがそれを説明している写真が表示されている。

画像クレジット:Apple

「私たちは自分たちがアクセシビリティに貢献できる分野を探しました、画像の説明はその1つです」とフライザック氏はいう。「iOS 13ではアイコンに自動でラベル付けをしました。Screen Recognitionはそれをさらに一歩前進させました。画面のピクセルを見て触れることのできるオブジェクトの階層を認識することを、デバイス上で1秒の何分の一かの間に行います」。

この考えは、厳密にいえば新しくない。ビガム氏が名前を挙げたOutspoken(アウトスポークン)というスクリーンリーダーは、ピクセルレベルのデータを使ってUI要素を識別する方法を数年前に試みている。しかし、そのシステムが正確な一致を必要としていたのに対して、機械学習のファジー理論とiPhoneの内蔵AIアクセラレーターを利用するScreen Recognitionは、はるかに柔軟で強力だ。

ほんの数年前には不可能だった。機械学習の当時の状況に加え、それを実行する専用ユニットがなかったことを踏まえると、システムに多大な負荷を与え、はるかに時間がかかり、バッテリーをたちまち消費させていただろう。

しかし一度、この種のシステムが可能になったとみるや、チームはプロトタイピングをスタートし、アクセシビリティの専門スタッフとテスティング・コミュニティの力を借りた。

「VoiceOverは長年、視覚アクセシビリティの先陣を切ってきました。Screen Recognitionの開発過程を見てもらえば、さまざまなチームのコラボレーションに基づいていることがわかるでしょう。アクセシビリティチームは何から何まで、そしてデータ収集と注釈付けのパートナーたち、AI / MLチーム、もちろんデザインチームも。私たちは自分たちの機械学習開発が完璧なユーザー体験に間違いなく進むためにこれをやってきました」とビガム氏はいった。

それは人気のアプリやゲームのスクリーンショットを何千枚も撮り、それぞれをいくつかの標準UIエレメントの1つとして手動でラベル付けすることによって行われた。このラベル付けされたデータを与えられた機械学習システムは、すぐに同じエレメントを自力で選り分けることに熟達した。

これはいうほど簡単ではない。我々人間は、グラフィクスやテキストの断片が何を意図しているかを理解するのがかなり得意であり、抽象的や創造的なデザインのインターフェースであってもほとんど操作に困らない。それは機械学習モデルにとっておよそ明確ではなく、スクリーンリーダーの解釈が意味を成すために、開発チームは複雑なルールや階層の組み合わせを作らなければならなかった。

この新機能が、無数のアプリを目の不自由な人たちにとってもっとアクセシブルに、あるいは初めてアクセシブルにする一助となることは間違いない。iOSの設定アプリで「アクセシビリティ > VoiceOver > VoiceOver認識」を開くと、画像説明、画面認識、テキスト認識をそれぞれオン / オフできる。

画面認識をMacなどほかのプラットフォームに移植することは容易ではないので、すぐには期待しないように。原理はしっかりしているが、モデルそのものはデスクトップに適用できない。デスクトップアプリはモバイルアプリと大きく異なっているからだ。おそらくほかの誰かがその仕事を引き受けるだろう。AIを利用したアクセシビリティ機能の可能性はまだ認識され始めたばかりだ。

関連記事:障がい者が開発段階から参加して使いやすい製品デザインを目指すFableプラットフォームとは?

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:AppleiOSiOS 14アクセシビリティiPhone

画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルのSmall Business Program登録開始、App Storeの手数料を15%に引き下げ

つい数週間前(未訳記事)、Apple(アップル)は「App Store Small Business Program」を開始し、App Storeから年間収益が100万ドル(約1億400万円)以下のデベロッパーに対して30%の手数料を15%に引き下げると発表した。

現在、このプログラムは始まっており、アップルは米国時間12月3日午前に登録手続きを開始している。

アップルはこのプログラムの概要を以下のように説明しており、いくつかの点が際立っている。

  • 新規開発者と既存の開発者の両方が対象で、2020年の収益が全アプリを合計して100万ドル未満であること
  • 収益が年間100万ドルを超えると、レートは標準レートに戻る
  • 12月31日以降にプログラムが開始されると、参加デベロッパーは他のアカウントとの間でアプリを移せなくなる。これはおそらく、開発者による「このアプリは儲かりすぎたため、早く他のアカウントに切り替えてしまおう」といった行為を防ぐためだ。「2020年12月31日以降にアプリを移そうとした場合、または2020年12月31日以降に開始されたアプリの移転を受け入れた場合、プログラムに参加する資格がなくなります」と、アップルは記述している
  • 複数の開発者アカウントを管理している場合、それらを特定するようにアップルは求めている

アップルによれば、12月18日までに登録した場合は2021年1月1日までに割引手数料が有効になるとしている。既存の開発者は、その後も登録することができる。しかし物事はもう少し複雑で、通常割引料金は次の会計月の途中から始まるという。

関連記事:AppleがApp Store手数料率を15%に削減、年間収益約1億円以内の小規模事業者対象

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleApp Store

画像クレジット:Emmanuel Dunand / AFP / Getty Images

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

アップルがApp StoreのBest of 2020とダウンロードランキングを発表

米国時間12月1日、Apple(アップル)はお待ちかねの2020年ベストアプリとゲームを発表した。例年と同様に、App Storeのエディターがアプリの品質、クリエイティブデザイン、ユーザビリティ、アップルのテクノロジーの活用などに基づいて受賞者を選出した。Best of 2020には、家で過ごすようになった人々を支えるアプリが多く含まれている。たとえば自宅でワークアウトができる「Wakeout!」はベストiPhoneアプリを受賞し、「Zoom」はベストiPadアプリに選ばれた。

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で外出が制限された子供たちを楽しませて家族の助けとなった「Disney+」は、ベストApple TVアプリになった。Disney+は、米国時間12月1日に発表されたGoogle Playのユーザー選出部門でもベストアプリだった。

画像クレジット:Wakeout!

2020年のトップゲームには、ファンタジーの世界などに逃避したいという私たちみんなに共通の欲求を表す結果となった。2020年のベストiPhoneゲームは「原神」(これはGoogle Play Storeのベストゲームでもある)、ベストiPadゲームは「レジェンド・オブ・ルーンテラ」、ベストMacゲームは「Disco Elysium」、ベストApple TVゲームは「Dandara Trials of Fear」、ベストApple Arcadeゲームは「忍び足のサスクワッチ」が選ばれた。

画像クレジット:Fantastical

一方、生産性向上アプリの「Fantastical」がベストMacアプリに選ばれたのは、在宅勤務という新しい生活様式を反映している。

リラクゼーションと睡眠のためのアプリ「Endel」がベストApple Watchアプリを受賞した。

画像クレジット:Endel

リラクゼーションアプリが2020年のトップアプリに選ばれたのは納得できる。Google(グーグル)も睡眠アプリの「Loóna」を2020年のベストアプリに選出した

2020年は、ストレスを感じる出来事の多い厳しい年だった。新型コロナウイルスの感染拡大だけではない。Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領の弾劾裁判と波乱を起こしている11月の大統領選挙、1987年以降最悪の株価暴落、人種差別に対する抗議行動、オーストラリアと米国西部の森林火災、映画プロデューサーのHarvey Weinstein(ハーベイ・ワインスタイン)の有罪判決、ブレグジット、ベイルートの大爆発、デリーの暴動、香港の抗議行動、東アフリカでのバッタの大量発生、そしてRuth Bader Ginsburg(ルース・ベイダー・ギンズバーグ)やKobe Bryant(コービー・ブライアント)、Chadwick Boseman(チャドウィック・ボーズマン)といった有名人の死。

アップルが発表の中で説明している通り、アプリは文化を反映している。2020年は、セルフケアとメンタルヘルス、リモートワークやリモート学習、家族や友人とのつながり、インタラクティブでソーシャルなゲームなどに人々が注目したことを反映している。

画像クレジット:Pokémon GO

アップルは「2020年のトレンドとなったアプリ」として、セルフケアアプリの「Shine」、リモート学習アプリの「Explain Everything Whiteboard」、家族でメッセージをやり取りするアプリの「Caribu」、寄付アプリの「ShareTheMeal」、そして屋内でも楽しめるゲームにシフトした「Pokémon GO」を選んだ。

AppleフェローのPhil Schiller(フィル・シラー)氏は発表の中で「今年はこれまで以上に、最もクリエイティブかつ、人々がつながる瞬間がアプリケーションの中で生まれました。これは1年を通じて、新鮮で、本当に役立つ体験を提供してくれたデベロッパーのみなさんの素晴らしい偉業のおかげです。私たちは世界中で、数多くのデベロッパーのみなさんが並外れた活動を行うのを目の当たりにしてきました。これらBest of 2020を受賞した15本は、彼らが生み出したイノベーションを最も際立ったかたちで表している例といえるでしょう」と述べている。

画像クレジット:Apple

2020年のベストアプリ受賞者には、初めて製作されたモノとしてのアワードが贈られる。これはApp Storeのロゴをデザインして100パーセント再生アルミニウムで作られており、側面に受賞者の名前が刻印される。

アップルは、2020年に最もダウンロードされたアプリとゲームも発表した。これはエディターが選ぶベストアプリとは異なり、消費者のリアルな需要を示すものだ。

リモートワークに欠かせない「Zoom」や「Gmail」、現実逃避できるゲームがトップランキングに入っているのは当然だろう。パンデミックシミュレーターの「Plague, Inc.」が入っているのは偶然ではない。口コミでヒットしたAOCことAlexandria Ocasio-Cortez(アレクサンドリア・オカシオ=コルテス)下院議員のライブストリーミングでも話題になった「Among Us!」(未訳記事)、MinecraftやRobloxのような子供向けプラットフォームの「metaverse」(未訳記事)、そしてソーシャルアプリの常連たちもランクインしている。ただし今年はFacebook(フェイスブック)傘下のアプリではなくTikTokがソーシャル系のトップとなった。

2020年に最も多くダウンロードされたアプリとゲームは以下の通りだ(訳注:日本のトップAppランキングトップゲームランキングも公開されている)。

トップ無料iPhoneアプリ

1. ZOOM Cloud Meetings
2. TikTok
3. Disney+
4. YouTube
5. Instagram
6. Facebook
7. Snapchat
8. Messenger
9. Gmail
10. Cash App

トップ有料iPhoneアプリ

1. TouchRetouch
2. Procreate Pocket
3. Dark Sky Weather
4. Facetune
5. HotSchedules
6. AutoSleep Track Sleep
7. The Wonder Weeks
8. SkyView
9. Shadowrocket
10. Sky Guide

トップ無料iPhoneゲーム

1. Among Us!
2. Call of Duty: Mobile
3. Roblox
4. Subway Surfers
5. Ink Inc. – Tattoo Drawing
6. Magic Tiles 3: Piano Game
7. Brain Test: Tricky Puzzles
8. Brain Out
9. Coin Master
10. Cube Surfer!

トップ有料iPhoneゲーム

1. Minecraft
2. Plague Inc.
3. Heads Up!
4. Monopoly
5. Bloons TD6
6. Geometry Dash
7. NBA 2K20
8. Grand Theft Auto: San Andreas
9. The Game of Life
10. True Skate

トップ無料iPadアプリ

1. ZOOM Cloud Meetings
2. Disney+
3. YouTube
4. Netflix
5. Google Chrome
6. TikTok
7. Amazon Prime Video
8. Gmail
9. Hulu
10. Google Classroom

トップ有料iPadアプリ

1. Procreate
2. GoodNotes 5
3. Notability
4. Duet Display
5. Teach Your Monster
6. LumaFusion
7. Affinity Designer
8. Toca Hair Salon 3
9. 9: Toca Life: Hospital
10. Toca Kitchen 2

トップ無料iPadゲーム

1. Among Us!
2. Roblox
3. Magic Tiles 3: Piano Game
4. Ink Inc. – Tattoo Drawing
5. Call of Duty: Mobile
6. Subway Surfers
7. Dancing Road: Color Ball Run!
8. Tiles Hop – EDM Rush
9. Mario Kart Tour
10. Save The Girl!

トップ有料iPadゲーム

1. Minecraft
2. Monopoly
3. Bloons TD 6
4. Plague Inc.
5. Geometry Dash
6. The Game of Life
7. Five Nights at Freddy’s
8. Human: Fall Flat
9. Stardew Valley
10. Terraria

トップArcadeゲーム

1. Sneaky Sasquatch
2. Hot Lava
3. Skate City
4. Sonic Racing
5. PAC-MAN Party Royale
6. SpongeBob: Patty Pursuit
7. Oceanhorn 2
8. Crossy Road Castle
9. WHAT THE GOLF?
10. LEGO Brawls

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleApp Store新型コロナウイルスCOVID-19アプリ

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Kaori Koyama)

AWSがMac miniのクラウド化を発表

「AWS re:Invent」2020カンファレンスが212月1日にバーチャルで開幕した。サプライズはMac miniがクラウド化された(AWSブログ)ことだ。具体的にはEC2に最新のMac miniインスタンスが追加された。料金としては必ずしも安くないが広く一般に公開され、AWSの全サービスが利用できる。

ターゲットとなるユーザーは(AWSがターゲットを絞っているのはこのサービスだけだが)は、MacとiOSアプリ用をクラウド上でビルドしテストする環境が必要なデベロッパーだ。ただしここで重要な点は、AWSのこのサービスにアクセスするとフル機能のMac miniをリモートで利用できることだ。デベロッパーはアプリ開発関連に限らず、あらゆる種類のユースケースを発見するに違いない。

最近リリースされたM1 Mac miniのスペックを考えると、AWSが利用するハードウェアは(少なくとも現在のところ)、6物理コア、12論理コア、32GBのメモリを備えたi7マシンだ。AWSは、Mac OSに組み込まれたネットワークオプションを使用して、クラウド上のMacをEC2のベアメタルであるNitroシステムに接続する。つまりネットワークとストレージへの高速アクセスが可能になる。AWSのブロックストレージをMacインスタンスにアタッチすることもできるわけだ。

当然だがAWSチームはApple(アップル)のM1 Mac mini自体をクラウドに導入することにも取り組んでいる。私が取材したところでは「2021年初め」に利用可能とする予定だという。2021年上半期に展開されるのは間違いない。ただしAWSもアップルもどちらも、Intelチップのマシンの必要性がすぐになくなるとは考えていない。実際、デベロッパーの多くは相当先までIntelマシンでテストが実行できることを望んでいるはずだ。

AWSのEC2担当副社長、David Brown(デビッド・ブラウン)氏は取材に対して「このサービスが提供するのは一切変更されていないMacm mini」だと語った。AWSがオフにした機能はWi-FiとBluetoothだけだ。ブラウン氏によればminiは、AWSの1Uラックにちょうどうまく収まるという。「Mac miniは無造作に積み重ねるわけにはいきません。実は我々のサービススレッドにマッチし、AWSが利用するカードなどもすべてにうまく対応します。データセンターのネットワークへの組み込みはMac mini付属のポートに接続するだけでした」とブラウン氏は説明した。AWSにとってこうしたサービスがチャレンジであったことを認めた。以下の動画でも冒頭にMac miniを積んだパネルトラックが登場するが、クラウドでMac miniのインスタンスを提供する唯一の方法はデータセンターに大量のアップルのハードウェアを設置するしかなかったわけだ。

画像クレジット:AWS

ここではAWSがハードウェアを仮想化していない点が重要だ。ユーザーがAWSのMac miniにアクセスするときは他の人と共有していない自分だけのデバイスにフルアクセスする。「AppleストアでMac miniを買ったのと同等のユーザー体験とサポート実現したかったのです」とブラウン氏は述べた。

他のEC2インスタンスとは異なり、新しいMacインスタンスを起動する度に、24時間分の料金を前払いする必要がある【アップデート:AWSの広報によれば、これは前払ではなくコミット(料金の確定)だという】。最初の24時間以後は他のAWSインスタンスと同様、秒単位で課金される。

具体的な料金は1時間あたり1.083ドル(約113.05円)で、秒単位で課金が可能だ。マシンを起動して24時間実行すると約26ドル(約2,714.11円)程度かかる。これは小規模なMac miniクラウドプロバイダーの料金よりだいぶ高い。こうしたプロバイダーの場合エントリーレベルのデバイスでは月額60ドル(約6264円)以下だ(RAM32GBのi7マシンでは約2〜3倍となる)。

画像クレジット:Ron Miller/TechCrunch

これまでMac miniはホスティングサービスの中でもかなりニッチな市場だったが、それなりの需要があり、Mac Stadium、MacinCloud、MacWeb、Mac Mini Vaultなどがシェアを争っていた。

小規模事業者は価格において優位性はあるものの、AWSの参入で手ごわいライバルが出現したことになる。AWSのMacを使えばデベロッパーはポートフォリオに含まれるすべてのサービスにAWS内でアクセスできるという。ブラウン氏はこう説明する。

処理のスピードやサービス粒度は(他のMac miniクラウドプロバイダーのような)サービスよりAWSのほうがずっと優れています。たとえば新たに契約した場合、マシンを起動するまでにプロビジョニングに数日かかります。小規模なプロバイダの場合、人の手でマシンをラックに入れ、接続のためのIPアドレスを用意しなければならず、ユーザー自身がOSを管理する必要があります。一般的に、契約期間は最低1カ月であり、ディスカウントの適用を受けるためにはもっと長い期間の前払いが必要になります。これに対してAWSの場合は要求後、わずか数分でマシンを起動しフルに利用できるようになります。100台、いや500台必要だとしてもリクエストするだけでいいのです。もう1つ大きな違いはエコシステムです。AWSが提供する200種類以上のサービスがすべてMac miniから利用できます。

またブラウン氏は、AWSではデベロッパーがさまざまなマシンイメージを横断的に利用できることを強調した。現在、macOS MojaveとCatalinaのイメージを提供しており、Big Sureのサポートも「将来提供される」予定だという。またデベロッパーは必要に応じて独自のマシンイメージを作成、保存できる。つまり新しいマシンを起動したときに既存のマシンイメージを再利用できる。ブラウン氏はこう述べた。

現在、我々のほとんどすべての顧客はiPhone、iPad、Apple TVその他なんであれAppleデバイスとAppleエコシステムをサポートする必要があります。そのニーズに本当に応えるサービスを求めています。我々が解決に力を入れて入る課題はこういうものです。つまり「うちの会社ではサーバー側のワークロードをすべてAWSに移した。それはいいが、ビルドのプロセスの一部がローカルに残っている。クラウドにMac miniがなかったり、あっても自分でメンテナンスしなければならない。AWSが全部引き受けてくれればいいのだが」。

このサービスのAWSのローンチカスタマーはIntuit、Ring、モバイルカメラアプリのFiLMiCだ。Intuitのプロダクト開発担当バイスプレジデントのPratik Wadher(プラティック・ワダー)氏は次のように述べている。

よく知られているEC2インターフェースとAPIから利用できるEC2のMacインスタンスを利用することで、既存のiOSおよびmacOSのアプリのビルドとテストのプロセスをシームレスにAWSに移行することができました。これによりデベロッパー生産性が大きく向上しました。当社独自のデータセンターと比較してパフォーマンスは最大30%向上しています。処理能力拡張における柔軟性、複数ゾーンを利用してノンストップで利用できるセットアップの効果によるものです。現在、我々はプロダクトのビルドの80%をEC2 Macインスタンスで実行しています。この分野でのAWSのイノベーションに期待し、楽しみにしています。

新しいMacインスタンスは多数のAWSリージョンで利用できる。現在、US East(バージニア州北部、オハイオ州)、US West (オレゴン州)、Europe(アイルランド)、Asia Pacific(シンガポール)が含まれているが、他のリージョンでも間もなく利用可能となる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:AWS re:InventAWSAmazonMac miniApple

画像クレジット:AWS

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アップルが「MagSafeデュアル充電パッド」を発売開始、税別1万4800円

Apple(アップル)は2020年10月にMagSafeデュアル充電パッドを発表した。これは折り畳み式の携帯用充電器で、iPhoneとApple WatchまたはAirPodsの両方を同時にワイヤレスで充電できる。珍しいことに、アップルはいつ出荷されるのか、いつ販売されるのか明確にしていなかった。12月下旬という話もあれば、年末までに出るかどうかわからないという噂もあった。​実際のところ、このMagSafeデュアル充電パッドはいつリリースされるつもりだったのだろうか?

答えは本日だ。​MagSafeデュアル充電パッドがアップルの直営店に登場した。オンラインで購入すれば、最短で12月4日に配送される。

価格は129ドル(日本では税別1万4800円)となっている。数週間前、TechCrunchでは、この充電器を「便利だが高価で魅力的でない」と評し129ドル(約1万3500円)ではなく、70ドル(約7300円)前後のように思うと述べている。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Apple

画像クレジット:Matthew Panzarino

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(翻訳:TechCrunch Japan)

iPhoneの耐水性表記がユーザーの誤解を招くと伊伊公取委がアップルに罰金12.5億円通達

Apple(アップル)はiPhoneを「耐水」として販売しているが、その限界については公表せず、保証も液体による損傷は対象外としていることから、イタリアでは煮え湯を飲まされている。

イタリアの公正取引委員会(AGCM)は、2017年10月からのiPhoneの多くの機種(iPhone 8からiPhone 11まで)の販売と保証方法に関する商慣行に、1000万ユーロ(約12億5000万円)の罰金を科する意図があると発表した。これはアップルの耐水性に関する宣伝と、それにも関わらず水による損傷の修理代金の補償を拒否しているという消費者の苦情を調査した結果だ。

米国時間11月30日、Reutersを通じて公開された、2020年10月末にAGCMが下した決断を示す書類では、アップルの商慣行が「誤解を招く」ものであり「攻撃的」であることから、同委員会はアップルがイタリアの消費者法に二重に違反していると判断している。

AGCMの調査で明らかになったのは、iPhoneのマーケティングにおいて、アップルは消費者を騙してiPhoneが単なる耐水仕様であるにも関わらず、防水仕様であるかのように思わせており、この仕様上の制限は、広告では十分に目立つ形で示されていない点だ。また、液体による損傷を免責事項に含めたアップルの保証は、耐水性を謳った大々的な宣伝とは裏腹に、消費者の権利義務を回避するための積極的な試みだとしている。

アップルは液体との接触状態を表示するインジケーターをiPhoneに内蔵している。液体に接したときに白からシルバー、赤へと変化するこの表示の確認は、アップルの修理担当者が標準的に行うべき手順となっている。

AGCMの報告書には、消費者からの苦情の実例が盛り込まれている。1つは潮水に「少し沈めた」iPhoneの保証適用が拒否されたというもの。2つめとなる別の苦情には、蛇口の水道水でiPhoneを洗ったというものもある。アップルはそれを不適切な使用法と見なした。

3つめの苦情は、購入してから1カ月のiPhone XRが、水に触れた後に動かなくなったというものだ。アップルからは新品に買い換えろといわれた(補助金付きではあるが)。

購入してから1年目のあるiPhone XSユーザーは、一度も水に濡らしたことがないにも関わらず、アップルサポートから濡らしたことがあるといわれ、保証を拒否された事例を報告している。耐水仕様を説明した小さな紙に書かれている時間と水深を超えて水に浸した経歴がないことを証明する手段が消費者にはないと、その人は同委員会に訴えている。

我々は、AGCMの調査結果に関してアップルに意見を求めている。

この巨大テック企業には、AGCMが罰金を科する意向を通知されてから控訴するまでに、60日間の猶予が与えられる。

この金額は、2018年9月から2019年9月までのアップルのイタリアにおける事業による収益の半分にも満たないと同委員会は話している。この時期同社は、製品の販売とサービスで5865万2628ユーロ(約73億700万円)、営業利益で2691万8658ユーロ(約33億5000万円)を記録している。

2年前も(未訳記事)、イタリアの公正取引委員会はアップルとSamsung(サムスン)に対して、諸費者にデバイスを破損させたり速度低下を招く恐れのあるソフトウェアのアップデートを強引に勧めたとして、およそ1500万ドル(15億6000万円)の罰金を科した。2020年の2月、古いバッテリーを搭載したiPhoneでのOSの性能を制限したとして、フランスはアップルに2700万ドル(約28億1600万円)の罰金を科した。

アップルは、ヨーロッパの他の地域の公正取引委員会からも、ずっときなペナルティの危機に直面している。フランスの公正取引委員会は、今年の3月(未訳記事)に、12億ドル(約1250億円)の罰金を通達した。Ingram Micro(イングラム・マイクロ)とTech Data(テック・データ)という2つの卸売りパートナーと組んで、小売り業者のカルテルを操っていたとの訴えだ。

さらにアップルは、2019年にランス当局から言い渡された5億ユーロ(約623億円)の追徴課税を支払わなければならない。

アップルが欧州本社で得た収益のうち150億ドル(約1兆5700億円)は、エスクロー口座に置かれている。これは、2003年から2014年にかけて、同社はアイルランドの法人税の課税方式を利用して不当に利益を得ていたとして2016年に欧州委員会が科したState Aid(国家援助)違反の罰金(未訳記事)の支払い用だ。

7月(未訳記事)、アップルとアイルランドは、この訴えに対する最初の控訴に勝利した。しかし、欧州委員会が9月に控訴したことで、この訴訟は欧州連合司法裁判所に持ち込まれることになり、法的論争がさらに数年間長引くことが予想される。

EUの議員たちは、EU全域に適用されるデジタル税(未訳記事)の改革を推し進めているが、その一方では、独自のデジタル税を打ち立てようとする加盟国もある。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleiPhoneEUイタリア

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:金井哲夫)

macOS最新バージョン「Big Sur」正式リリース版レビュー

macOS最新バージョン「Big Sur」正式リリース版レビュー

macOSの最新バージョン、Big Surの正式リリース版がようやく登場した。6月のWWDCで発表してからここまで、ずいぶんと引っ張ったものだ。macOSのリリースが今のような毎年恒例のパターンになってからは、たぶん最遅だろう。それというのも今回は、同じく今年のWWDCで発表したMac用の新しい自社製CPU「Apple M1」(Apple Silicon)を搭載したMacの新モデルの発売に合わせたからだ。

パブリックベータ版のリリース状況、バージョン番号などから考えると、従来のインテルCPU用のBig Surは、だいぶ前に完成していたように思われる。それでも、両CPU用をいっしょにリリースするために、新製品の発売を待っていたのだろう。

この最新のmacOS Big Surは、従来とはアーキテクチャの異なる新CPUを採用した「新たなMac」用の初OSであると同時に、インテルMac向けの集大成的なOSというふたつの異なる面を持っている。今後インテルCPUを搭載したMacの新モデルが登場する可能性は低いと考えられるから、もはやインテルMacにとっては、いわば「後世」のOSということになるだろう。

機能面の拡充と、ユーザーインターフェースの刷新

新たなバージョンのmacOSとしてみた場合、Big Surは、機能面の拡充とユーザーインターフェースの刷新という、また違った切り口でもふたつの面を併せ持っている。切り分けが難しいものもあるが、これらの中には、ユーザーインターフェースとは一切関係のない、新CPUならではの重要な新機能もある。これはMacのハードウェアのアーキテクチャが安定していた近年のmacOSには見られなかったもので、Big Surの最大の特徴のひとつといえる。またユーザーインターフェースの変化だけを見ても、近年のmacOSの新バージョン中ではかなり大きなものとなっている。

そこでここでは、macOSの新バージョンとして見たBig Surについて、ハードウェアの新製品レビューでは取り上げられにくい点を中心に見ていく。インテルMac、Apple Silicon Macを問わず共通の部分を中心に、Big Surの新機能、新たなユーザーインターフェースを解説する。

7年前のインテルMacも対象、意外にも古いMacもサポートするBig Sur

まず、Big SurがこれまでのインテルMacをどこまでさかのぼってサポートするかを見ておこう。「Macのハードウェア条件」のリストを見ると、意外に古いMacもサポートしていることに驚かされる。

  • MacBook Air 2013以降
  • MacBook Pro Late 2013以降
  • MacBook 2015以降
  • Mac mini 2014以降
  • iMac 2014以降
  • iMac Pro 2017以降
  • Mac Pro 2013以降

この中でもっとも古いのは2013年のもので、3機種もある。他の機種を見ても、MacBookにせよ、miniにせよ、2013年以降に出た最初の新製品からサポートしている。またiMac Proは、そもそも最も古いモデルが出たのが2017だ。つまりサポートの起点は2013年にあると考えていい。

この2013年は、macOSでいえば10.9のMavericksが出た年だ。正確にいえば、「macOS」ではなく、まだ「MacOS」と表記されていた遠い昔のこと。その当時のマシンを、まだ現役で日常的に使っている人は、それほど多くないと思われるが、Big Surはそこまでサポートしている。

Big SurはApple M1に重点を置いて開発されたという印象がどうしても強いが、7年前のインテルMacをもサポートする懐の深さを兼ね備えている。最初に述べたように、インテルMac用macOSの集大成を担うという考えも、そう的外れとはいえないことが分かるだろう。

なお、搭載メモリーやストレージの容量など、いわゆるシステム要件については明記されていない。善意に解釈すれば、上記の条件に合致したMacならば要件を満たすと考えられる。

アップル製デバイスのOSとして、統一感を高めたルック&フィール

Big Surのユーザーインターフェースのルック&フィールについては、WWDC直後に掲載した記事「次期macOS Big SurでUI/UXはどう変わるのか?細かすぎて伝わりにくい部分も解説」で、それまでの発表や資料から分かる範囲でレポートした。その時点では、「こうなるはずだ」という範囲の話だったが、それが実際にどうなったのか、主なところを確認しておこう。

少なくともアップル純正アプリに関する限り、すべてのアイコンがiOS/iPadOSと同様の角の丸い正方形の枠に囲まれたものに統一された。Dockを見ても分かるが、Launcherを開けば一目瞭然だ。

macOS最新バージョン「Big Sur」正式リリース版レビュー

「その他」に分類された比較的マイナーなアプリについても、見事に外枠の形状が角丸正方形で統一されている。

なお、Big SurになってもインテルCPU搭載マシンについてはBoot Campがサポートされている。つまりメインディスクにパーティションを切り、Windows 10をインストールし利用できる。そのためのユーティリティ「Boot Campアシスタント」も健在だ。
macOS最新バージョン「Big Sur」正式リリース版レビュー

実は、Big Surパブリックベータ版の公開時には、一部純正アプリのアイコンは修正が間に合っていなかった。macOSのインストーラーに組み込まれていない、後からApp Storeからダウンロードするタイプのものだ。その時点では、まだCatalinaが現行OSだったからだと思われるが、Big Sur正式版リリースとともに、それらアイコンのアプリも更新され、ようやくアイコンの統一を見た。

macOS最新バージョン「Big Sur」正式リリース版レビュー

「コントロールセンター」と「通知センター」に見る統一感

ユーザーインターフェースの統一は、アイコンの形状にとどまらない。iOSやiPadOSと見紛うようなインターフェースは、特に「コントロールセンター」と「通知センター」で顕著だ。Big Surの場合、コントロールセンターはメニューバーから起動できる。そこで設定できる内容も、Wi-Fi、Bluetooth、AirDropのオン/オフ、おやすみモードの設定、ディスプレイの明るさやサウンド音量の調整など、共通しているものが多い。

macOS最新バージョン「Big Sur」正式リリース版レビュー

通知センターは、以前のmacOSにもあったが、Big Surからはデザイン的にも最新のiOSやiPadOSとの統一感が高められている。

macOS最新バージョン「Big Sur」正式リリース版レビュー

ただし、通知センターに表示する内容の編集画面は、Macならではの広い表示面積を有効に活用したものとなっており、iOSやiPadOSよりも使いやすい。

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「Dockとメニューバー」

また、主に通知センターに関連して、「システム環境設定」にも大きな変更が加わった設定項目がある。そのひとつが、以前は単なる「Dock」だったものが「Dockとメニューバー」に拡張されたパネルだ。

macOS最新バージョン「Big Sur」正式リリース版レビュー

このパネルでは、左側にサブ項目が垂直のタブ状に並んでいて、その中から選択した項目の設定内容が右側に表示されるという比較的新しいインターフェースを採用している。Catalinaでも「通知」パネルに見られた方式だ。その中から、たとえば「バッテリー」を選ぶと、メニューバーやコントロールセンターにバッテリーのアイコンや残量を表示するかどうかを設定できる。

macOS最新バージョン「Big Sur」正式リリース版レビュー

これとは独立して「バッテリー」というパネルもあるので、ちょっと紛らわしい。こちらは、「使用状況履歴」によって、iOSやiPadOSと同様にバッテリーの使用状況がグラフ表示される。ただし、Big Surではアプリごとの電力使用状況は表示されない。このあたりは、まだ改良の余地がありそうだ。

macOS最新バージョン「Big Sur」正式リリース版レビュー

メニューバーにバッテリーの残量アイコンを表示するかどうかは、「Dockとメニューバー」パネルの「バッテリー」タブでも、「バッテリー」パネルの「バッテリー」タブでも設定できる。それに対して、残量の割合(%)を数字で表示するかどうかの設定は、「Dockとメニューバー」でしかできないなど、ユーザーを惑わせるような部分も残っている。

「サウンド」で設定可能な通知音

見た目とは関係ないが、Big Surでは「サウンド」で設定可能な通知音が、従来のmacOSのものから刷新された。通知音の名前も、音色も、これまでのものをなんとなく連想させつつも、音色自体は新しいOSにふさわしい、いかにも現代的なものだ。

macOS最新バージョン「Big Sur」正式リリース版レビュー

ただし、iOSやiPadOSのものとは名前も音色も統一されていない。つまり、まったく別系統のものだとなっている。これは意図的そうしたものと考えられるが、その意図がどこにあったのかは不明だ。

思い切って統一しても良かったようにも思えるが、MacとiPhone、またはMacとiPadを日常的に併用している人にとっては、通知音が被る心配がなく、どちらが発した通知なのか画面を見なくても分かるという点では便利かもしれない。

地味ながら有効なアップデートと残念な取りこぼし

アップルがあまり大々的には宣伝しなかったり、パッと見には気付きにくい変更点や改善点は、アップルのサイトのBig Surの紹介ページの中でも、比較的目につきにくい場所「macOS Big Surで
利用できる新機能。
」に網羅的にまとめられている。

同ページを見ると、ここまで挙げた特徴的なルック&フィール以外を除くと、ほとんどの変更点や改善点部分はOS本体ではなく付属アプリ関連であることに気付く。その中で、ちょっと感心した部分と、がっかりした部分をひとつずつ挙げておこう。いずれも「言語」がらみのものだ。

まず感心したのは、「辞書」アプリで使える辞典データの拡充が、綿々と続けられていること。デフォルトでは、国語辞典(スーパー大辞林)、英和/和英辞典(ウィズダム)、Appleの用語辞典、それにWikipediaが設定されているだけだが、辞書の環境設定で、その他の多くの辞典を選んで追加できる。今回のBig Surでは、そこに「フランス語 – ドイツ語」、「インドネシア語 – 英語」、「日本語 – 簡体字中国語」、「ポーランド語 – 英語」の辞典が加わった。これまでは日本語がらみのものは国語辞典と英和/和英しかなかったが、そこに「超級クラウン」の中日/日中が加わったのだ。地味ながらユーザーによっては非常に有効な追加だろう。

macOS最新バージョン「Big Sur」正式リリース版レビュー

一方残念だと感じたのは、Safariに新しく加わった翻訳機能に日本語が含まれていないこと。今のところ対応しているのは、英語、スペイン語、中国語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、ポルトガル語(ブラジル)の各言語だけだ。

この機能自体がまだベータ版なので、今後日本語が追加される可能性はあるが、iOS 14に新たに加わった翻訳アプリに最初から日本語が含まれていることと比べると、日本国内でのシェアの違いはあるにせよ、Macがないがしろに扱われているのではないかと感じる。

いずれにしても、Safariの翻訳機能を利用するには、システム環境設定にある「言語と地域」の「優先する言語」において、翻訳後の言語を追加しておく必要がある。すると、Safariで翻訳可能なページを開けばアドレスフィールドに「翻訳を利用できます」と表示されるようになる。フィールド内の翻訳ボタンをクリックして、目的の言語を選ぶだけで、ページ全体が翻訳される。

macOS最新バージョン「Big Sur」正式リリース版レビュー

気になるApple Silicon Macへのアプリ対応

最後にApple Silicon Macへのアプリ対応について、気になる3つの点に簡単に触れておこう。1点目は、Apple Silicon用ネイティブコードを含むアプリの状況はどうなっているかということ。2点目は、従来のインテルMac用アプリは、本当に何の問題もなくApple Silicon上で動くのかということ。そして3点目は、iOSやiPadOS用のアプリは、実際にApple Silicon Mac上で使えるのかどうかだ。

Apple Silicon用ネイティブコードを含むアプリの状況

1点目についてまずいえるのは、Big Surに付属する純正アプリは基本的にすべてUniversalアプリとなり、インテルとApple Siliconの両方にネイティブで対応していること。これはアプリの「情報」ダイアログで「アプリケーション(Universal)」という表記を見れば確認できる。

App Store上のアプリも、続々とUniversal対応が進んでいるようだが、これはアプリごとに異なるので、現状で全体の何%が対応しているかは不明だ。対応はサードパーティ任せとなるものの、実際にApple Silicon Macも発売されたので、盛んにアップデートがなされアプリが対応するのは時間の問題だろう。

従来のインテルMac用アプリは、本当に何の問題もなくApple Silicon上で動くのか

従来のインテルMac用アプリが、Apple Silicon上で問題なく動作するのかという点だが、これもアプリごとに異なる。そのため、現状でどれくらいの割合で動作するのかということはいえない。もしうまく動かないアプリがあった場合、インテル版のままアップデートされて動くようになることは考えにくい。その際は、Universal版のリリースを待つしかないだろう。

なお、インテルMac用アプリを初めてApple Silicon Macで起動する際には、Rosettaのインストールを確認するダイアログが表示されるので、インストールを行う必要がある。これまで試した範囲のインテル用アプリは、Rosettaのインストールだけで何の問題もなく動作した。

macOS最新バージョン「Big Sur」正式リリース版レビュー

iOSやiPadOS用のアプリは、実際にApple Silicon Mac上で使えるのか

3点目は、待望のiOS/iPadOSアプリの動作状況だ。これらのアプリは、Mac用App Storeを使って検索し、通常のMac用アプリとまったく同様にMacにインストールできる。デフォルトでは、検索結果に「Mac App」が表示されるので、「iPhoneおよびiPad App」のボタンをクリックすれば、iOS/iPadOSアプリが表示される。

macOS最新バージョン「Big Sur」正式リリース版レビュー

まずこれらiOS/iPadOSアプリのデベロッパーが、Mac用App Storeに公開することを選択していなければ、見つけることもできず、インストールもできない。iPhoneやiPadのセンサーを利用するものなど、明らかに動作しないものは、デベロッパーの選択によってMac用としては公開しないことも可能となっている。

ただし、公開されているからといって、必ずしも動作するとは限らない。記事執筆時点では「macOSでは検証されていません」と表示されるものも多く、その中にはインストールすらできないものもある。インストールできて動作するものについては、従来のMac用アプリと同様に違和感なく利用できた。

Big Surの正式版がリリースされたとはいえ、アプリについては、まだしばらくは流動的な状態が続くものと考えられる。Apple Silicon Macを安心して本格的に活用できるようになるまでには、まだ少し時間がかかるかもしれない。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Apple / アップル(企業)macOS(製品・サービス)WWDC(イベント)

フォックスコンがiPadとMacBookの生産をベトナムに移す可能性

Reutersの報道によると、Foxconn(フォックスコン)はApple(アップル)からの要請を受け、一部のiPadおよびMacBookの生産を中国からシフトする可能性があるという。新工場はベトナムを拠点とすることになる。

The Informationの最近の調査が強調しているように、アップルとフォックスコンとは深い関係があり、この台湾メーカーはアップルの主要な生産パートナーだ。それと同時に、アップルはフォックスコンの主要クライアントでもある。数字を見ると、フォックスコンはアップルの主要製品であるiPhoneの60%から70%を製造している。

ここ数年、アップルは2つの主要な方法でサプライチェーンを多様化を図ってきた。まず同社は、Luxshare Precision IndustryやWistronなど、他の製造企業と連携しようとしている。

第2に、アップルはさまざまな国で製品を製造しようとしている。新たな関税と輸入制限により、その問題はより差し迫ったものとなった。

Reutersによるとアップルはフォックスコンに対して、iPadとMacBookの組み立て部品の一部をベトナムに移転するよう求めたという。組み立てラインは2021年前半のいずれかの時点で稼動するはずだ。

フォックスコンはベトナムに加えて、インドのチェンナイ近郊の工場でもiPhone 11を生産している。WistronもインドでiPhoneの組み立てを行っている。また、フォックスコンはブラジルでも(9to5Mac記事)複数モデルのiPhoneを製造している。

関連記事:フォックスコンがインドでiPhone 11の製造を開始、すでに小ロットを出荷で生産増強に意欲的

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleiPhoneMacBookFoxconn

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

フォートナイトのEpic Games創設者、Appleとの闘争を公民権運動に例えて語る

米国時間11月18日、Apple(アップル)は中小事業者向けのApp Storeの手数料を削減し、年間販売額100万ドル未満の開発者がアプリ内課金で売り上げた場合の手数料を、通常の30%から15%に引き下げる(未訳記事)と発表した。

Epic Gamesの創設者Tim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏は、この動き(現在米国議会や欧州連合、連邦司法省、連邦取引委員会によって行われているアップルへの独占禁止法に関する調査に明らかに反応したもの)について、十分ではないと語っている。

18日朝、スウィーニー氏はWall Street Journalに対して、アップルは単に「多くのアプリ内購入に課せられている30%税と競争を妨げているという批判から逃れようとしているだけ。しかし、消費者はアップル税によって不当に引き上げられた価格をこれからも払い続けることになる」と語った

Epic Gamesは、アップルの手数料を避けるため、大人気ゲーム「Fortnite(フォートナイト)」に直接支払いシステムを導入して以来、アップルとの闘争を続けている。同社CEOのスウィーニー氏は18日、The New York Times主催の2日間のイベント「DealBook」における座談会で、さらに掘り下げて語った。

Epic Gamesとアップルの戦いは、Epicが8月に直接決済を導入したことで始まった。これを規約違反とみなしたアップルは、App Storeからフォートナイトを削除。これを受けてEpicは、米国でアップルを相手に民事訴訟を起こし、さらに最近ではオーストラリアでもアップルが消費者法に違反としているという同じ主張を用いて、アップルを相手に法的手続きを開始した(The Guardian記事)。この巨大テック企業との戦いについて質問されたスウィーニー氏は、言葉を濁さなかった。彼は現在進行しているEpicのキャンペーンを、米国における公民権をめぐる戦いに例えて、次のように語った。

「戦うのはすべての人の義務です。誰かの弁護士が決めるようなことではありません。実際に戦うのは私たちの義務なのです。もし我々がアップルが決めたすべての条件を遵守し、みなさんご存じの30%もの手数料を受け入れ、そのコストを顧客に転嫁するとしたら、それはEpic Gamesがアップルと結託してiOSアプリにおける競争を抑制し、消費者が支払う価格を吊り上げたことになります。つまり、アップルの合意に従うことが間違っているのです。それがEpicがこの件に挑んだ理由です。公民権運動が行われていた当時は、実際に法律が制定されていて、その法律が間違っていたことがありました。人々はそれに従わず、また従わないことは間違いではありませんでした。なぜなら、それに従うことは現状維持に加担するということになるからです」。

出席者の中には、この例えに目を丸くした人もいたに違いない。だが、本日アップルが行った発表は、Epic Gamesが変化をもたらしつつあることを示唆している。2020年8月に17億8000万ドル(約1850億円)の資金調達を行った後、173億ドル(約1兆7970億円)の評価を受けたEpicは、それ自体が強力で収益性の高いプラットフォームへと進化しているのだ。

問題は、両社の争いがどこで終結するのかということだ。インタビュアーのAndrew Ross Sorkin(アンドリュー・ロス・ソーキン)氏は、Epicが独自のアプリストアで価格を設定していることを指摘し、スウィーニー氏の頭の中にアップルが請求できる「公正な価格」があるのかと尋ねた。

スウィーニー氏は、Epic自身が2%から3%の取引コストを負担していること、さらに決済サポートのために1%、そして帯域幅コストをカバーするための収益として「おおよそ1%」という数字を挙げ、開発者に提供するサービスと引き換えに、8%のアップル税と呼ばれるものを受け入れても良いのではないかと示唆した。

アップルに公正を期すならば、ソーキン氏はまた、アップルと同様に、スウィーニー氏がフォートナイトをプラットフォームとして語っていることに気づき、それが「いまはオープンではない。他者がそのプラットフォームで実質的に開発を行い、独自のアプリ内課金を作成できるような競争力のある市場ではありません。それは変わりつつあるのでしょうか」と質問した。

「その方向に進んでいます」と語ったスウィーニー氏は、ユーザーが自由にコンテンツを作成できる「Fortnite Creative」というモードがフォートナイトに用意されていることを指し、「何千万人ものクリエイターが自分のコンテンツを友人や全体の人々と共有しており、そこにはちょっとしたビジネスモデルがあります。しかし、それはまだ発展のごく初期段階です」と語った。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Apple / アップルApp StoreEpic Gamesフォートナイト

画像クレジット:Kyle Grillot/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

iOS 14がホーム画面カスタマイズに対応、「ショートカット」アプリの機能を修正

Apple(アップル)はiOS 14の次期リリースで、アプリのショートカット機能を変更する予定だ。iOS 14.3ベータ2では、iPhoneのホーム画面でアプリ「ショートカット」をタップしても表示されなくなる。つまり、iOS 14で、お気に入りのアプリのカスタムアイコンを作成したユーザーは、アプリが起動する前にショートカットアプリが先に開くステップで煩わされなくなる。

この変更は、MacStoriesのファウンダーであるFederico Viticci(フェデリコ・ヴィッチ)氏が発見した(Twitter投稿)。

Apple Terminalのツイートでは、このアップデートにより、アプリが開くと小さなポップアップが表示されるが、ショートカットアプリの完全な起動が省略されている実際の様子が紹介されている。

この変更はわずかなものではあるが、iOS 14のリリース時にホーム画面をカスタマイズした人には歓迎されるだろう。

2020年9月にリリースされたiOS 14は、インターフェイスに関してここ数年で最大級のアップデートだった。ユーザーはようやく、あまり使われていないアプリをAppライブラリに追いやったり、カスタマイズ可能なウィジェットをホーム画面に追加したりして、ホーム画面を好きなようにカスタマイズできるようになった。ウィジェットは本来、次の予定やToDo、今日の天気といった重要な情報をホーム画面に直接表示できるようになっていたが、すぐにもっと多くの情報を表示するために使われるようになった。

WidgetsmithやColor Widgetsといったウィジェット作成アプリにより、フォント、サイズ、色などを選択することで、自分のウィジェットをデザインできるようになった。ユーザーはユーザーはこれらのツールを使って、特定の写真を選んでホーム画面にピン留めすることもできる。

さらなるカスタマイズとしてアップルのアプリ「ショートカット」を使って自分の好きなアプリアイコンを作成するという、これまでも可能だったがあまり利用されていなかったトリックを使う。このやや面倒なやり方は、TikTokユーザーによって詳細に説明された(未訳記事)が、これがホーム画面のカスタマイズブームに火をつけた。簡単に説明すると、このトリックは、アプリ「ショートカット」の機能を使って任意にアプリに自分で用意したアイコンを割り当てるというものだ。

これにより壁紙、カスタムウィジェット、ひと握りのアイコンだけで構成される自分好みのホーム画面にマッチしたアイコンを作成できるようになった。

しかし、カスタムアイコンに対するユーザーの不満の1つが、アプリを起動するためにタップすると、その前にアプリ「ショートカット」が一度起動してしまうことだった。それは、やはりうざったい。

アップルは「ショートカット」の問題に取り組んでいるようだ。iOS 14.3のベータ版では、アプリは直接開く。

アップルがユーザーにウィジェットのラベルを隠すことを許してくれさえすれば、我々は喜んでその設定をするだろうが、残念ながら、その変更は進んでいないようだ(Twitter投稿)。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleiOSiOS 14ウィジェット

画像クレジット:Contrast/Launch Center Pro

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(翻訳:TechCrunch Japan)

新型Mac mini: 高性能で低価格なデスクトップMacの復活

最新のMac miniに小さなところはない。

Mac miniの小さなサイズや価格の安さを気にすることはない。この小さなデスクトップは、Appleの新しいチップセットのおかげで、ほとんどのユーザーにとって革命的な存在となった。M1と呼ばれるこのチッププラットフォームは、Appleのデスクトップコンピュータやポータブルコンピュータの心臓部に長年搭載されてきたIntel CPUに取って代わるものであり、その仕上がりは素晴らしいものになった。

M1 Mac miniの使い心地は、まるで新しいiPadやiPhoneを使っているような感覚だ。すべてが満足のいく形で、あるべきところに当てはまる。私は試用機が遅くなるのをずっと待っていたが、1週間近く経った今も、使い始めた日と同じくらい速い。新型Mac miniは驚異的だ。ほとんどのユーザーは既存のMacコンピュータが大幅にアップグレードしたとわかるだろう。価格は関係なく、これに勝てるマシンはほとんどない。

カジュアルなユーザー、つまりWebブラウザやAppleのアプリを使って生活している人にとって、Mac miniは文句なしの選択肢である。私が自分のために買うデスクトップということだ。パワーユーザー、つまり専用アプリケーションを使う人にとっても、Mac miniは真剣に検討すべき製品だ。主要なアプリケーションのほとんどは、新しいMac miniで十分に使える。特に、写真やビデオなどを扱うクリエイティブなアプリケーションには最適だ。

Mac miniは、Macのラインナップの中でも、長い間忘れ去られた存在だった。ほとんどアップデートされず、プロモーションもされず、何年もベンチを温めながら、Appleのポータブル機器がアップデートやモデルチェンジを繰り返し、世の中がモバイル化するのを眺めてきた。しかし今、我々は終わりのないパンデミックの真っ只中にいる。コーヒーショップが閉店し、出張が制限される中、COVID-19の危機はデスクトップコンピュータの再発見につながるかもしれない。

M1を搭載したMac miniは勝ち組だ。

レビュー

はじめに知っておくべきことがいくつかある。1つは、新しいMac miniがM1 SoCを搭載しており、Intelの先代モデルとは根本的に異なるということ。CPUの代わりにSoC(System on a Chip)を採用することには利点と譲歩がある。このチップセットはARMの設計を中心に構築されており、CPUよりも多くのコンポーネントが統合されている。多くの点において、従来のコンピュータで使用されているチップよりもスマートフォンやタブレットに使われているシステムに近い。この設計のため、これまで別々だったコンポーネントが、今ではチップに直接統合されている。

2つめ。Appleは私にテスト用のMac miniと共に6K 32インチのPro Display XDRを提供してくれた(これらはAppleに返却される)。私自身が所有する24インチのディスプレイもHDMI経由で稼働させている。Mac miniの製品ページによると、モニターは2台まで接続できるとのこと。サードパーティ製のソフトウェアを使って3台目のモニターをつなぐこともできたが、不安定なので使えるとは考えない方がいいだろう。

そして3つめ。TechCrunchでは新しい13インチMacBook Air13インチMacBook Proもレビューしている。これらのシステムを同じ条件でベンチマークを行い、ユニット間の違いを確かめた。

我々のテストでは、AppleのM1 system on a chip(SoC)が価格に関わらずライバルを上回ることがわかった。M1を中核に搭載するMac miniは、超高価なMac Proを除くすべてのApple製コンピュータよりも、ほとんどの点において高速で、ときにはMac Proよりも高速だ。さらに、このパフォーマンスの向上は、専用に作られたアプリケーション上のコンピューティングタスクに限らず、システム全体で顕著に現れている。このシステムはサクサクと動作し反応がよく、コンピューティングの新時代の幕開けのように感じられる。

新たなMac体験

新しいMac miniの体験をサクサクという言葉では表現しきれない。このシステムは爆速だ。ユーザーは起動時間からアプリケーションの起動までの速さも向上していることにすぐ気付くだろう。これまでは、パワフルなマシンでも、macOSはiOSに比べて重く感じたが、もうそんなことはない。M1チップとmacOS(Big Sur)の組み合わせは、軽くて自由で、使うのが楽しい。

さらに良いことに、ARMベースのM1チップによって、MacでiOSアプリを実行することが可能になった。MacでもiPadと同じようにスムーズに動作する。

Intelの入っていない新しいMacを受け入れることに、躊躇する人もいるかもしれない。いま使っているインテルチップ用のレガシー・アプリは新しいMacで動くだろうか? 快適に使えるだろうか? すべての可能性に答えることはできない。私は数日の間に十数本のアプリをこの新しいシステムにインストールして動かしてみたが、障害を経験したことは一度もなかった。 旧いプログラムを使っても、すべてが宣伝文句通りに動作し、ほとんどの場合は数ヶ月前に使っていた15インチのMacBook Proより、このM1搭載Mac miniの方が快適に動いた。新しいプラットフォームで実行できないアプリケーションは1つも見つからなかった。

最大の速度向上は、M1プロセッサ用のネイティブ・アプリケーションを使っているとき、最も顕著に現れる。AppleのFinal Cut Proでは、アプリケーションの読み込みは一瞬にして行われ、ボタンを押してから起動して使えるようになるまで、わずか2秒しか掛からなかった。

M1チップを使ってネイティブのFinal Cut Proアプリで8K映像を編集するのは、Intel Macで4K映像を編集する時よりも苦痛が少ない。しかし、ファイルの書き出しにはまだ時間が掛かる。これはIntelのプラットフォームがM1を上回る数少ない作業のひとつだ。

レガシーなソフトウェアを使っているときも、システムは軽々と処理をこなした。Photoshopでの編集はより円滑に感じられた。Lightroomではフォトアルバムの読み込み速度が上がり、なんの面倒もなかった。Premiereでのビデオ編集は、6Kの映像をスクラブしながら編集するのも簡単で苦ではない。ファイルの解凍さえもはるかに速くなった。

Image Credits: Matt Burns

くだらないデモだが、上のGIFを見てほしい。アプリケーションが瞬時に起動するのが分かるだろう。ほとんどすべてのアプリが同時に起動する。AppleがBig Surにもビーチボールを組み込んでいるとしても、私はまだそれを見つけていない。

M1チップはARMの設計をベースにしているため、Appleはこの新しいコンピューティングプラットフォーム上で動作するようにmacOSを作り直す必要があった。見た目はほとんど同じだが、Big SurはApple独自のシリコン用に作られている。再設計されたチップを最大限に活用するためには、アプリケーションをArmフレンドリーな設計になるようにコードを書き換えなければならない。にもかかわらず、意外なことがわかった。AppleのRosetta 2はIntelプラットフォーム用にエンコードされたソフトウェアを、新しいAppleのプラットフォーム上で動作させ、M1のパワーを活用することができるのだ。

ほとんどの用途では、このハードウェアとソフトウェアを総合的に構築するアプローチは、大きなメリットをもたらす。一般的なシステムレベルのタスク、例えばアプリの起動、スリープ状態からの復帰、ファイルの解凍などは一瞬で実行される。ビデオのレンダリングや写真の編集など、その他の処理も同様に高速だ。音楽や写真、Safariまで、新しいMacの発売時にはすべてのApple製アプリケーションがM1用に再エンコードされている。Adobeなど他社製アプリケーションの多くは、まだネイティブではないが、旧いバージョンでも問題なく動作し、そして多くの場合、IntelプラットフォームよりもM1の方が快適に動くのだ。

M1プラットフォームには専用のグラフィック処理ユニットがない。チップのコアに内蔵されているのだ。機械学習専用メモリのおかげで、ディスクリートGPUがないことは、プロのユーザーでもほとんど気にならないだろう。それでも、集中的なグラフィックス作業を行う人(プロのgfxビジュアルアーティストのような)は躊躇するに違いない。しかしそれも、アプリケーションが新しいARMアーキテクチャにネイティブになれば、この結論は変わるかもしれない。

M1はまた、eGPU(外部グラフィックスカード)を使用する機能を持たないが、ほとんどのユーザーは心配する必要はない。IntelベースのMac miniと強力なeGPUの組み合わせが、Mac Proの代わりになる低価格で有用な選択肢だと感じていたプロにとっては問題かもしれない。しかし、我々のテストによると、これらのM1システムのGPU性能は素晴らしく、クリエイティブなメディア編集アプリケーションにおいてさえ、ほとんどの人には十分な性能を発揮する。

一般的なワークフローに加え、システムがどれだけ反応するかを確認するため、いくつかのベンチマークを実行してみた。さらに一歩進んで、Appleの最上位システムと、新しい13インチのMacBook Airや13インチのMacBook Proとの間のパフォーマンスをチャートにした。

ベンチマークは時に結果を単純化しすぎてしまうことがあるが、それでも必要なテストである。これによって、様々なシステムを同じ環境で比較することができるからだ。複数のテスト結果を見たところ、結果は同じだった。M1は本当に優れている。

新しいMacのラインナップ

Mac miniには2つの兄弟モデルが存在する。Appleの13インチMacBook Airと13インチMacBook ProにもM1が搭載されているからだ。その性能の差は僅かだ。3台すべてが同じコンピューティングプラットフォームを採用しているが、MacBook ProとMac miniは冷却方式が異なる。これら2モデルは冷却性能が改善されているため、MacBook Airよりも持続的なパフォーマンスを発揮するのに適している。

我々のテストでは、3つのマシンはすべて同じようなパフォーマンスを見せた。Airは長時間のテストで低下し始めたが、これはファンを搭載せずパッシブ冷却を採用していることが原因だと思われる。MacBook ProとMiniのSoCはファンで冷却されるが、Airではヒートシンクが使われているのだ。

これにどれほどの意味があるだろうか。Airのパフォーマンスは長時間の集中的なタスクの間だけ遅くなるものの、ほとんどのユーザーにとって十分に高性能だ。ウェブの閲覧、写真の編集、動画の視聴といった仕事なら、Airは完璧にこなす。

新しいMac miniには、Intel製の兄弟モデルと比べて1つだけ欠点がある。M1 Mac miniは、Thunderbolt 3入力ポートを2つしか搭載していないのだ。ユーザーによってはこれを受け入れられない人もいるだろうが、私はそうではない。Mac miniのThunderbolt機能を拡張する方法は数え切れないほどあるし、私にとっては、そのパフォーマンスはポート数の制限を補って余りあるものだ。

また、M1 Mac miniには10GBのEthernetも搭載されていないため、サーバーとして活用したいユーザーの希望は叶えられない。これもM1の制限である可能性が高く、将来のチップセットの改訂で対応されることを期待したい。

マルチモニター対応は、M1 Mac miniの大きな欠点だ。1台はThunderbolt経由で、もう1台はHDMI経由で接続するしかないため、合計で2台のモニタしか使えない。サードパーティ製のソフトウェアを使えば3台目のモニターを低解像度で動作させることができたが、不安定でパフォーマンスも低かった。私を含む一部の人にとって、マルチモニター対応は大きな問題であり、2台のモニターでは十分ではないことが多いのだ。

ベンチマーク

AppleはM1を搭載したコンピュータを宣伝する際、チップセットについていくつか突拍子もない主張をした。しかし、その主張のほとんどは事実であることがわかった。我々はM1システムでいくつかのベンチマークを実行し、Mac Proを含む最新のMacと比較してみた。

ベンチマークは大雑把な表現で描かれるため、微妙なニュアンスを見逃してしまうことがよくある。ここでもそれが当てはまる。最初の数回のベンチマークではM1の速さが実証されているが、最終テストではFinal Cut Proの重要な側面を捉えきれていない。確かに、インテルベースのシステムよりも書き出しは遅いが、M1ネイティブバージョンのFinal Cut Proを使うと、旧いシステムよりもずっとスムーズに作業が行える。8K映像の操作、スクラブ、編集も、何の支障もなく簡単にできる。レンダリングはインテル版より時間がかかるものの、編集はずっと楽にできるだろう。

Image Credits: TechCrunch

このテストではXcode 12.3ベータをダウンロードし、その解凍時間を比較した。11.57GBのファイルを解凍すると28.86GBのフォルダになった。バーが低い方が優れている。

Image Credits: TechCrunch

次にWebKitをコンパイルしてその時間を計測した。バーが低い方が優れている。

Image Credits: TechCrunch

Image Credits: TechCrunch

Geekbenchを使って2つのテストを行った。1つはRosetta 2を使ってレガシー・アプリケーションを実行したときのシステムのパワーを実証するもの。もう1つはM1ネイティブモードでGeekbenchを実行し、Apple Siliconの実力をテストした。バーが高い方が優れている。

Image Credits: TechCrunch

Final Cut Proでは、8K動画(80GB)のレンダリングに要する時間を計測した。バーが低い方が優れている。

結論

長所

  • 価格の割には画期的な性能
  • レガシー(Intel)アプリやiOSアプリを簡単に実行できる
  • 排熱と静粛性に優れている

 

短所

  • モニターを2台しか接続できない
  • eGPUに対応しない
  • 2つしかないThunderbolt 3ポート

テストしたMac miniのスペック

  • 8コアCPUと8コアGPUを持つApple M1チップ
  • 16コアのNeural Engine
  • 16GB ユニファイドメモリ
  • 1TB SSD ストレージ
  • Gigabit Ethernet
  • テスト機の価格:$1299(同仕様の日本価格:13万2800円)

新しいMac miniは素晴らしいマシンで、静かな復活の始まりのように感じられる。別の時代にはAppleは信頼できる適正価格のデスクトップで知られていたが、その言葉はこのMac miniにもそのまま当てはまる。

長年Mac miniを愛用してきた私は、デスクワーカーのための素晴らしい選択肢として、Mac miniを再び見ることができて興奮を抑えられない。

M1チップセットにより、Appleはパーソナルコンピュータの長い歴史の中で新たな章を歩み始めた。このチップセットは、優れたパフォーマンスを小さくて電力効率に優れたパッケージで提供することで、コンピューティングのパラダイムを再定義した。Mac miniでは、M1はMacのデスクトップ機に新しい体験を提供する安定した馬車馬として輝きを放っている。新しいMacBook AirMacBook Proでは、M1は従来よりも大幅に長いバッテリー駆動時間と安定した性能を発揮する。これらのレビューはこちらこちらでご覧いただきたい。

新しいMac miniを買うべきか? デスクにかじりついている人ならそうするべき。新しいMac miniは最高だ。

 

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Mac向けに最適化されたTensorFlowでM1とGPUが力を競う

機械学習の環境TensorFlowのMacに最適化されたフォークは、大きな性能向上が報告された。この話の重要な部分は、少なくともこれまではモデルの訓練にGPUが使われていない(!)というものだが、M1ベースのデバイスにはそれ以上のメリットもあるので、このようなよく使われるワークフローの最適化が今後さらに増えると思われる。

TensorFlowとApple(アップル)の両方のブログで発表されたように、Mac向けに改良されたバージョンは最良のケースで一般的なトレーニングタスクのスピードを10倍以上に上げた。

毎日のようにモデルが焼き上がるのをじっと待っているML関係者にとってめでたいことだが、TFのこの以前のバージョンがMacのCPUだけを使用し、GPUの強力な並列プロセッサーを使わなかったという事実は、その問題(CPUかGPU併用か)を自分自身に課すような人びとの数を最初から制限したかもしれない。しかも大規模なML訓練の多くは、クラウドコンピューティングを利用して行われている。

CPUオンリーからCPU+GPUに変わったことによって、IntelベースのMac Proのベンチマークが示すように同じハードウェアでも大きな改善とメリットが実現した。これまで6〜8秒かかったトレーニングが、1秒未満でできるようになった。

M1が有能でないという意味ではないが、M1を搭載した新しいMacにも新しいGPUがあり、2019年のMacBook Proで10秒近くかかったタスクが新しいM1マシンでは2秒足らずで行うことができる。このことは必ずしも、アップルの極上のファーストパーティーシリコンだけの殊勲ではないだろう。

現在、アップルにこのパフォーマンス改善の寄与要因の内訳を確認しているので、回答が届き次第、この記事をアップデートしたい。

おそらく開発者にとっては、バッテリー寿命の改善や、M1デバイスの熱管理も重要だ。性能の向上は大いに結構だが、それでマシンがホットプレートになったり、ファンが壊れて交換に1時間もかかったら、あまりうれしくない。しかし幸いなことにM1は、重い負荷でも効率が良く(未訳記事)、予備を空にしたり過熱したりはないようだ。

今後、「M1の方がタスク処理が速い」という話が続々出てくるだろう。新しいMacが登場して、主な企業の多くが待望のアップデートをしていけば、当然、そんな話になりそうだ。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:AppleApple Silicon

画像クレジット:Apple

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(翻訳:iwatani、a..k.a. hiwa