中国が暗号資産の取引は「違法」として全面禁止、海外取引所やマイニング企業も規制へ

中国人民銀行(中央銀行)は現地時間9月24日、国家安全保障と「国民の資産の安全」に関する懸念を理由に、すべての暗号資産(仮想通貨)関連の取引は国内では違法であり、全面的に禁止すると発表した。また、世界一の人口を抱える同国は、海外の取引所が国内のユーザーにサービスを提供することも禁止すると表明した。

中国の10の政府機関は、共同声明の中で、国内での暗号資産の取引を「高圧的に」取り締まるために緊密に協力する意向を表明。また人民銀は、インターネット企業、金融企業、決済企業に対し別途、自社プラットフォーム上で暗号通貨取引を促進しないよう命じた。

人民銀は、Bitcoin(ビットコイン)やTether(テザー)を含む暗号資産は不換紙幣ではないため、市場に流通させることはできないとしている。暗号資産の利用が急増したことで、「経済・金融秩序」が乱れ、「マネーロンダリング、違法な資金調達、詐欺、ネズミ講、その他の違法・犯罪行為」が急増しているという。

違反者は「法律に基づいて刑事責任を追及される」と人民銀は警告している。

中国政府は「国民の財産を保護し、経済・金融・社会の秩序を維持するために、仮想通貨の投機、および関連する金融活動、不正行為を断固として取り締まる」と人民銀は声明で述べた。

この動きは、すでに一部の暗号資産トレーダーの間でパニックを引き起こし始めており、Bitcoinをはじめとするいくつかの通貨の価格を下落させている。Bitcoinは記事公開時点で5.5%下落していた。

世界最大級の暗号マイニングサービスが複数ある中国は、それらのビジネスも追いかけていく。国家発展改革委員会は、暗号資産マイニングの全国的な一掃に着手すると表明し、これは「必須」の作業だとしている。

中国が暗号資産関連の活動の取り締まりを宣言したのは今回が初めてではないが、これまでは多くの政府機関がこのような取り組みに協力姿勢を示していなかった。

中国の規制当局は、数年前から暗号マイニングの禁止を検討してきた。しかし、最近の四半期では、いくつかの地元企業が暗号資産を採用し始めている。中国のアプリメーカーであるMeitu(メイツ、美图)は、3月に4000万ドル(約44億3000万円)相当のBitcoinとEthereum(イーサリアム)を購入した。

楽観的な意見もある。シンガポールの暗号資産取引所Luno(ルノ)でアジア太平洋地域の事業責任者を務めるVijay Ayyar(ビジェイ・アイヤー)氏は、こうツイートしている。「中国はこれまで数え切れないほど、暗号資産の禁止を叫んできた」。

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

ツイッター「ビットコインのチップ」「NFTの認証」「スペースの録音」、クリエイター向けファンド」など新機能ラッシュ再開

Twitter(ツイッター)の新サービス発表の勢いが止まらない。米国時間9月23日、同社は暗号資産によるチップ、NFTの認証、参加したばかりのユーザーに会話の状況を説明する実験など、同プラットフォーム上の会話とコミュニティのサポートを強化するための新たな取り組みを多数導入した。さらに同社は、オーディオクリエイターに経済的、技術的、マーケティングのサポートを提供する独自のクリエイターファンドを数週間以内に発表する予定であることも話した。

Twitterはまだファンドの金額や対象範囲などを詳しくいえる状態にないが、参加クリエイターについて見ると、ソーシャルオーディオサービス最大のライバルであるClubhouse(クラブハウス)を牽制するものであることは明らかだ。Clubhouseは自身の クリエイター向け「アクセラレーター」で、参加者にブランド契約を紹介し、あるいはプログラム参加中毎月5000ドル(約55万2000円)を提供している。

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同様に、Twitterも自社のクリエイターファンドの目的を、Facebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)、Snap(スナップ)といったライバルのファンドのようなクリエイターが作るコンテンツに対する報酬ではなく、Twitterスペース上でクリエイターがオーディオ制作を始めるための支援だと考えている。

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「真の目的は技術とマーケティングの専門知識を提供することです」とTwitterのクリエーター収益化のプロダクト責任者であるEsther Crawford(エスター・クロフォード)氏は説明する。「私たちはこれを、応急援助的ソリューションのようなものと考えています。クリエイターのみなさんには別の長期的収益化機能に取り組んでもらいたいと思っています。私たちはそのための初期ブーストを与えるだけです」と彼女は話した。

Twitterスペースのホストは自分のプログラムの録音と再生もできるようになる。これは録音機能を差別化要素として謳うライバルプラットフォームの脅威に対する反撃に違いない。この機能は「数カ月」以内に公開されると同社はいう。

この日、Twitterは、いくつかの新たなサービスと最近公開した機能の拡張も発表した。

その1つが、NFT(非代替性トークン)を利用するクリエイターの利便性を高める機能で、ブロックチェーンに保存されたデジタル資産の認証を行う。現在アーティストたちは自分たちの作品のNFTを作り、そのNFTはOpenSea、Rarible、Foundation、SupeRareなどのNFTマーケットプレイスを通じて販売されている。

画像クレジット:Twitter

Twitterは、NFT認証のサポートを「近々」実施する計画だという。これによってNFTクリエイターは自分の暗号化ウォレットをTwitterと接続し、プラットフォーム上で自分のNFTの管理と展示ができるようになる。この計画はまだ初期段階にあり、Twitterはその仕組みについて明確な説明ができていない。同社は、認証済みコレクションをもっているクリエイターが、もっビジュアルに目立つ方法をいくつテストしていると語った。おそらく、プロフィールバッジや形の異なるアバターなどのことだろう。

長期的のNFTロードマップについて質問を受けると、Twitterはコメントを拒んだ。

他の暗号資産関係の新機能では、Bitcoinチップがある。Twitterは2021年5月にベータプロダクトとして「Tip Jar」機能を導入し、ユーザーがPayPal(ペイパル)、Venmo(ベンモ)、Patreon(パトレオン)、Cash App(キャッシュ・アップ)、Bandcamp(バンドキャンプ)などのサードパーティサービスを使って1回限りの支払い / 受け取りができるようにした。この度、その機能が拡大され、全世界のiOSとAndroidユーザーに近々公開される他、Bitcoinによるチップもサポートされる。

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Bitcoinチップにはいくつか使い方がある。ユーザーはBitcoin Lightiningウォレットまたは自分のBitcoinアドレスを追加してBitcoinチップの受け取りを開始できる。Lightiningウォレットは手数料が安いことで暗号化コミュニティのユーザーに人気だと同社はいう。Twitterの実装ではStrike(ストライク)を使用している。これは、Bitcoin Lightning Network上に作られた決済アプリケーションで、ユーザーはBitcoinの送信と受信を無料で即座に行うことができる。

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実際この夏、Twitter CEOのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は、TwitterがBitcoinブロックチェーン上の1レイヤーであるLightning Networkをプラットフォームでサポートするのは「時間だけの問題」とツイートした。当時、この種のサポートはまず少額支払いサービスで行われるのではという予想がなされたが、今回それが正しかったことが証明された。

Tip Jarには、他にGoFundMe(ゴーファンドミー)とブラジルのモバイル決済サービス、PicPay(ピックペイ)などのサービスのサポートも追加される。

もう1つ、「Heads Up」と(現時点で)呼ばれている新しい実験は、ユーザーが参加する前に会話の雰囲気を感じとるための初の試みだ。

Twitterにとって最も厄介な問題の1つは、プラットフォーム上で人々が安心して自分の思いや意見をシェアするのを手助けする仕組みがないことだ。これが「キャンセルカルチャー」とよばれる問題や、「あらし」集団が、活動家、テック業界の女性(Gamergate論争で知られている)や女性ジャーナリストなどの少数意見や気に入らない発言に襲いかかる温床となっている。

画像クレジット:Twitter

この領域でTwitterは、ユーザーが自分のツイートにリプライできる人を制限する新機能を開発した。それが過去4週間の嫌がらせ報告の減少に貢献している、と同社はいう。

また、セーフティモードのベータ版も開始され、悪用が増大する時期に嫌がらせに対する一種の自動的保護を提供している。これによってユーザーは、ブロックせず静かにフォロワーを解除することが可能になる。そして本日Twitterは、自分がメンションされた会話から脱出できる新機能を近く公開すると発表した。また、”word filters”と呼ばれる新機能を実験中で、ユーザーはTwitterポリシーに反するところまではいかない悪意あるツイートを遮断できる。

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画像クレジット:Twitter

Twitterは、来るべき新規参加者に議論の特質について警告する「Heads Up」機能で、会話の雰囲気をどのように評価するのか、その方法を詳しくは語らなかった。しかし、エモジリアクション(現在まだテスト中)と、人を傷つける可能性のある投稿に対する「返信の警告」機能のデータを活用するつもりだと同社はいう。

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この数カ月間、Twitterは驚くべきスピードで新サービスを公開しており、オーディオチャットプラットフォームのTwitter Spaceの迅速な改善関心事に基づく「コミュニティ」、クリエイタープラットフォームのスーパーフォロー、Renueの買収によるニュースレター、チップを贈れる「Tip Jar」、プレミアムサブスクリプションサービスのTwitter Blue、クラウドソース利用のファクトチェックBirdwatch、新たなeコマース機能、新しいユーザープロフィールラベル、アカウント検証システムの再開、会話のコントロール、ダイレクトメッセージの改善などの追加や改善を実施してきた。

この日、上記サービスのいくつかについてもアップデートが行われた。

スペースの発見ツールを改善し、タイムラインやアプリのその他の部分でスペースを見つけやすくしたと同社はいう(おそらくモバイルアプリのスペース専用タブのこと)。Ticketedスペース(チケット制スペース)のアクセスも容易にしたほか、ニュースレターの発見機能の改善、クリエイター収益ダッシュボードの新設、アカウントラベルの追加(ブランドや故人のアカウントの記念など)などを行った。

画像クレジット:Twitter

Twitterは、今後のコミュニティ機能内でのモデレーションの扱いについても語り、関心事に基づくコミュニティには専門のモデレーターを配置し、そのコミュニティに即した基準を、Twitterルール以外に設定すると説明した。

「これは、モデレーションを分散化することでTwitterをあなたの場所にする取り組みの第一歩です」と、Twitterの会話安全性のためのプロダクト責任者、Christine Su(クリスティーン・スー)氏は語り、コミュニティはもっと多くの人々に「近いうちに」開かれる予定であることを付け加えた。

Twitterはもっと広く自社の戦略を説明しようとしたが、「throw spaghetti at the wall and see what sticks(スパゲティを壁に投げつけて何がくっつくかを見る=試行錯誤する)」的要素がますます強くなったようで、今まさにそれをやっているのかもしれない。

「今後も私たちがこのビジョンを実験し繰り返すのを見ることになるでしょう」とTwitterのコンシューマープロダクト責任者であるKayvon Beykpour(ケイボン・ベイクプア)氏は説明した。「その間私たちは、過去数年やってきたように会社の進展状況を公表します。また、うまくいっていないものにしがみつくことはありません。Fleetがその例で、今後も他のプロダクトのテストで同じことが起きるでしょう。時々ものごとを終わりにしなければ、大きな賭けはできないと私たちは信じています」と彼は言った。

Twitterの発表は、米国時間9月23日午前の記者会見とQ&Aで詳しく説明があり、一部のニュースはその後公式ブログで公開された。

画像クレジット:Twitter at CES 2020

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

世界最大級の暗号資産取引所「Coinbase」が日本上陸、三菱UFJ銀行が決済パートナー

世界最大級の暗号資産取引所「Coinbase」が日本上陸、三菱UFJ銀行が決済パートナー

Coinbase Global(コインベース・グローバル)の日本法人Coinbase(コインベース)は8月19日、世界最大級の暗号資産取引所「Coinbase」を同日ローンチすると発表した(関東財務局長 登録番号 第00028号)。

同社は「暗号資産取引のグローバルスタンダード」を掲げ、世界最高レベルの安全性、初心者でも簡単に使える操作性とともに、暗号資産の取引を開始する。取引可能な暗号資産は、BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、LTC(ライトコイン)、BCH(ビットコインキャッシュ)、XLM(ステラ)で、さらに取り扱い資産を増やす予定。また今後は、トレーダーや機関投資家向けのサービスなどを展開し、ビジネスを拡大していく方針としている。

世界最大級の暗号資産取引所「Coinbase」が日本上陸、三菱UFJ銀行が決済パートナー

日本においては、世界基準のセキュリティやコンプライアンス基盤に加え、日本最大級の口座保有数を誇る三菱UFJ銀行をパートナーとして迎え入れており、三菱UFJ銀行の口座を持つ利用者は、インターネットバンキングを通した入出金が可能となっている。

Coinbase Globalは、2012年にアメリカ・サンフランシスコで創業以来、世界各国でサービス展開を広げており、現在100カ国以上で暗号資産の購入・売却・管理を行える暗号資産取引所を展開している。2021年4月14日にはナスダック市場に直接上場し、フィンテック業界を中心に注目されている。世界最大級の暗号資産取引所「Coinbase」が日本上陸、三菱UFJ銀行が決済パートナー

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:暗号資産 / 仮想通貨(用語)Ethereum / イーサリアム(製品・サービス)Coinbase(企業)Bitcoin / ビットコイン(用語)ブロックチェーン(用語)三菱UFJ銀行日本(国・地域)

ビットコインは将来、Twitterの「大きな部分」を占めるとジャック・ドーシー氏

Twitter(ツイッター)のCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は投資家に対し、ビットコインが同社の将来の「大きな部分」を占めることになるとの認識を示した。ドーシー氏は、商取引、サブスクリプション、Twitter Tip JarSuper Followsなどの新機能を含む、Twitterの既存の製品やサービスに暗号資産を統合する機会があると考えているからだ。

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ドーシー氏は何年も前からビットコインを熱心に支持してきたが、Twitterのプラットフォーム上でビットコインをどう活用するかについては、まだ詳細に説明していなかった。しかし、同氏はこれまでにも公の場でたびたび暗号資産に言及し「インターネットの初期」を思い起こさせ、自分が生涯をかけて取り組むべき「これ以上に重要なこと」はなかったと話してきた

最近では、ドーシー氏はJay Z(ジェイ・Z)と共同で2360万ドル(約26億円)のビットコインファンドを立ち上げ、ドーシー氏の別の会社であるSquare(スクエア)をビットコインによる分散型金融サービス市場に導く計画を発表した。また、Squareは2021年、ブロックチェーン技術や暗号資産が音楽ビジネスを変える可能性を視野に入れ、ジェイ・Zの音楽サービス「TIDAL」の株式の過半数を取得している

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ドーシー氏は本日、ビットコインを、AIと分散化(後者はTwitterが「Bluesky」イニシアチブにより推進している)と並んで、Twitterの将来にとって重要な3つのトレンドの1つと位置づけた。

ドーシー氏は、ツイッターの第2四半期の決算発表の場で、投資家に向けてビットコインをアピールし、同社のプロダクトの拡大を迅速に進めることができると述べ、インターネットの「ネイティブ通貨」になるための「最良の候補」であると説明した。(ちなみに、Squareが2020年に購入した5000万ドル[約55億円]のビットコインは、2021年2月には2億5300万ドル[約278億円]の価値があり、2021年初めにはさらに1億7000万ドル[約187億円]を購入した)。

「インターネットにネイテイブ通貨、グローバル通貨があれば、Super Follows、商取引、サブスクリプション、Tip Jarなどのプロダクトとともに迅速に動くことができ、市場ごとにアプローチするのではなく、地球上のすべての人にリーチすることができます」とドーシー氏は語る。「これは、私たちの未来に大きな影響を与えるものだと思います。特に、ソーシャルメディアの分散化や経済的なインセンティブの提供を考えると、通貨以外にも多くのイノベーションが期待できると思います。ですから、TwitterやTwitterの株主にとって、この分野に目を向け、積極的に投資を続けることは非常に重要なことだと思います」と付け加えた。

Twitterの担当者によると、ドーシー氏がビットコインを同社のプロダクトラインアップに統合する方法について公に語ったのは今回が初めてとのことだ。

ドーシー氏はまた、Twitterだけが暗号資産戦略を追求しているわけではないと指摘し、Facebook(フェイスブック)がデジタル通貨Diemを支援していることに触れた。

「これには明らかにニーズがあり、評価されています。私は、インターネット上に存在するオープンスタンダードこそが正しい道であると考えています。だからこそ、私も、私たちも、最終的にはビットコインに注力するになるでしょう」と述べた。

CNBCによると、Twitterは全体的にパンデミックの反動で好調な業績を上げ、2014年以来の最速の売上高の成長を記録し、同社の株価は時間外取引で9%上昇した。第2四半期の売上高は、ウォール街が予想していた10億7000万ドル(約1177億円)に対して11億9000万ドル(約1309億円)となり、その大部分(10億5000万ドル、約1155億円)が広告事業によるものだった。また、1株当たり利益は、予想の7セント(約8円)に対し、20セント(約22円)となった。

しかし、Twitterが独自に開発した指標である収益化可能な1日当たりのアクティブユーザー数(mDAU)は、アナリストが予想していた2億620万人に対して、前年同期比で11%増の2億600万人にとどまった。これは、ニュースサイクルが遅くなったことと、米国の多くのコミュニティで屋内退避勧告が終了したことが、当四半期のTwitterの利用に影響を与えた可能性があるためだ。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:ジャック・ドーシーTwitterBitcoin

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

フィンテックUpgradeがビットコインリワード付きのクレジットカードを発行

フィンテックスタートアップのUpgrade(アップグレード)は米国時間7月21日、新しいクレジットカードを発行する。Upgrade Bitcoin Rewards Cardは、Visa(ビザ)ネットワーク全体で機能する古典的なVisaクレジットカードだ。しかし、支払いのたびに1.5%のビットコインリワードを得ることができる。

Upgradeは、ビットコインリワード付きのクレジットカードを発表した最初の会社ではないが、広く利用できる最初のカードだ。申し込みが承認されれば、すぐにバーチャルカードを使い始めることができる。

BlockFiは、2020年12月にビットコインリワード付きの独自のクレジットカードを発表した。その後すぐにGeminiも追随した。しかし、いずれのカードもまだ広く利用できない。数週間前、BlockFiはウェイティングリスト上の人々を招待し始めた。そのため、一般での利用開始はすぐにやってくるはずだ。

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Upgrade Bitcoin Rewards Cardは、クレジットスコアに応じて500〜2万5000ドル(約5万5000〜275万円)の信用枠を提供する。Apple Pay(アップルペイ)とGoogle Pay(グーグルペイ)に対応している。Upgradeの他のクレジットカードと同様に、月々の手数料、遅延損害金、返品手数料はない。

画像クレジット:Upgrade

基本的にこの新しいカードは、Upgradeの既存のクレジットカードとほぼ同じように機能する。しかし、すべての購入に対し、1.5%をキャッシュバックではなく、ビットコインで受け取ることができる。特定のカテゴリー、パートナー小売業者、ポイントシステムはない。シンプルで上限のないキャッシュバックプログラムだ。

8.99〜29.99%の利率が設定されているが、Upgradeは、毎月の料金を24〜60カ月で返済できる分割払いプランにまとめることを推奨している。分割払いにすると、固定金利で毎月均等に支払うことになる。

「Upgrade Cardカードは、すでに年換算で30億ドル(3300億円)以上のクレジットを消費者に提供しました」と、共同創業者でCEOのRenaud Laplanche(ルノー・ラプランシュ)氏は声明で述べた。「今日から、誰もがUpgrade Bitcoin Rewards Cardに申し込み、他のUpgrade Cardと同様に手頃で責任あるクレジットを享受することができ、さらにビットコインを所有することで潜在的な上振れと楽しみを得ることができます」。

同社は、ビットコインリワードのためにNYDIGと提携している。今のところ、ビットコインを使って多くのことができるわけではない。持ち続けるか売却するかを選ぶことはできる。例えば、自分のビットコインを他のウォレットに移す方法はない。リワードを売却する場合は、1.5%の取引手数料がかかる。

また、このカードは50州すべてで利用できるわけではないことも留意すべき点だ。ハワイ、インディアナ、アイオワ、ルイジアナ、ネブラスカ、ネバダ、ニューハンプシャー、ノースカロライナ、ワシントン、ウェストバージニア、ウィスコンシンの各州およびコロンビア特別区の顧客は、現時点ではUpgrade Bitcoin Rewards Cardに申し込むことができない。

再びUpgradeは、トップ・オブ・ザ・ファネル戦略として、製品のポートフォリオを多様化している。クレジットカードの種類の多様化が、この先、より多くのパーソナルローン獲得ににつながるはずだ。

公平を期すためにいうと、Upgradeは、毎月の残高支払い時にリワードを受け取ったら、債務を返済することを奨励している。しかし、同社は、個人がパーソナルローンを必要するときにいつでも同社のことが浮かぶような顧客関係を築きたいと考えている。

カテゴリー:フィンテック
タグ:BitcoinクレジットカードUpgrade暗号資産

画像クレジット:Upgrade

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

イーロン・マスク氏がテスラはビットコインが環境に優しくなれば受け入れを再開する「可能性が高い」と発言

Tesla(テスラ)のElon Musk(イーロン・マスク)CEOは米国時間7月21日、Crypto Council for Innovation(クリプト・カウンシル・フォー・イノベーション)が主催したオンラインのパネルディスカッションにおいて、暗号資産の採掘に使用される電力の50%が再生可能エネルギーになった時点で、Bitcoin(ビットコイン)による支払いの受付を再開する「可能性が高い」と述べた。これは、先月のTwitter(ツイッター)における同氏の発言と合致するものだ。

テスラは、2021年2月にビットコインによる支払いの受け入れを始めた。同時期に同社は、歴史的な15億ドル(約1650億円)分のビットコインを購入している。だが、そのわずか3カ月後には、環境問題を理由にこの決定を撤回した。

暗号資産はエネルギー使用の点で悪評を受けている。それは確かに非常に多くのエネルギーを消費するからだ。少なくとも、暗号資産の多くはそうである。世界の2大暗号資産のビットコインとEthereum(イーサリアム)は、Proof of Work(プルーフ・オブ・ワーク)と呼ばれる仕組みを使ってネットワークを動かし、それぞれの暗号資産の新しいブロックを「鋳造」している。この「Work(作業)」は、複雑な暗号の問題を解くことであり、マイナー(採掘者)はこれに取り組むためにハイエンドのグラフィックカードを組み合わせて作業を行う。大規模なマイニングセンター(採掘工場)では、何千ものGPUが24時間稼働している。

イーサリアムは、プルーフ・オブ・ワークからプルーフ・オブ・ステーク(proof-of-stake)と呼ばれるエネルギー使用量を大幅に削減する方法に移行することをすでに表明しているが、ビットコインはこの移行の可能性が低いようだ。だから「環境にやさしく」なるということは、ビットコインの根本的な部分を大きく変えるのではなく、マイニングセンターを動かすエネルギー源を変えることになる。

ビットコインのグローバルなマイニングネットワークは、明らかに再生可能エネルギーに依存しているものの、グリッドがどれほど分散化されているかを考えると、再生可能エネルギーの使用率について正確な洞察を得ることは非常に困難だ。明らかなのは、マスク氏がビットコインの現在または将来の「環境への優しさ」を判断する出発点には、グローバルネットワークからの前例のない透明性が必要だということ。そしてマスク氏はおそらく、個人の見解によるデータに基づいて、いつでもこの判断を下せるように、多くの余裕を持とうとしているだろうということだ。

マスク氏の今回のコメントは意外ではない。同氏は6月に「採掘者による適正な(~50%)なクリーンエネルギーの使用が確認され、将来的に前向きの傾向が見られるようになれば、テスラはビットコインによる決済の受け入れを再開します」とツイートしている。

コインテレグラフ

ご覧になりましたか?

イーロン・マスクがまた非難されていますが、今回は何のためでしょうか? Sygnia(シグニア)のCEOであるMagda Wierzycka(マグダ・ウィアジッカ)氏は「ビットコインで見られるのは、1人の非常に強力で影響力のある個人による価格操作です」と彼を非難しました。

イーロン・マスク

これは正確ではありません。テスラは市場を動かすことなく簡単にBTCを清算できることを確認するために、保有資産の10%以下を売却しただけです。採掘者による適正な(~50%)なクリーンエネルギーの使用が確認され、将来的に前向きの傾向が見られるようになれば、テスラはビットコインによる決済の受け入れを再開します。

しかし、マスク氏はコメントに十分な余裕を持たせている。「ビットコインの採掘者を再生可能エネルギーに移行させようとする意識的な努力があるなら、テスラはそれをサポートできます」と、同氏は会談の後半で付け加えた。ビットコインの採掘の大部分は中国で行われていた。中国では安価な石炭と水力発電により、わずかながら経済的な採掘ができたからだ。しかし、マスク氏はこれらの石炭発電所の一部が閉鎖されていることを指摘した(中国の採掘者の大部分は、中国政府による採掘の取り締まりを受けて国外へ移住し始めている)。

ビットコインの環境への影響に関するマスク氏の懸念は、ビットコインのコミュニティで議論を巻き起こしていることにも留意しておくべきだろう。ビットコインは、その実際のエネルギー消費量に比べて、過剰な監視を受けている、という意見もある。今回のオンライン討論に参加したTwitter(ツイッター)のJack Dorsey(ジャック・ドーシー)CEOは、ビットコインの再生可能エネルギーへの移行を促すことはできると実際に主張を続けている。決済企業のSquare(スクエア)の「Bitcoin Clean Energy Initiative(ビットコイン・クリーン・エナジー・イニシアティブ)」プログラムが発表した報告書では、ビットコインの採掘によって、再生可能エネルギーが現在よりもさらに安価で経済的に実現可能になると主張している。

今回のマスク氏のコメントは、これまでと同様にあいまいな表現ではあるものの、同氏が依然として暗号資産市場に大きな影響力を持っていることを示している。ビットコインの価格は、4月に6万3000ドル(約694万円)以上の史上最高値を記録した後、7月19日には3万ドル(約330万円)を下回った。しかし、この億万長者の創業者がオンライン討論会で、自分や会社の保有量をより詳細に明らかにしたところ、ビットコインの価格は反発した。

マスク氏個人やテスラのビットコイン保有に加えて、同氏の航空宇宙企業であるSpaceX(スペースX)もビットコインを保有している。マスク氏は、個人的にイーサリアムと(もちろん)Dogecoin(ドージコイン)も保有していると付け加えた。彼のコメントを受けて、3つの暗号資産の価格は上昇した。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:TeslaElon Muskビットコイン暗号資産

画像クレジット:ARK Investment Management

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(文:Aria Alamalhodaei, Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

曖昧だから良い? 米国の暗号資産規制がイノベーションを取りこぼさないワケ

曖昧だから良い? 米国の暗号資産規制がイノベーションを取りこぼさないワケ

Photo by Jon Sailer on Unsplash

編集部注:この原稿は千野剛司氏による寄稿である。千野氏は、暗号資産交換業者(取引所)Kraken(クラーケン)の日本法人クラーケン・ジャパン(関東財務局長第00022号)の代表を務めている。Krakenは、米国において2011年に設立された老舗にあたり、Bitcoin(ビットコイン)を対象とした信用取引(レバレッジ取引)を提供した最初の取引所のひとつとしても知られる。

暗号資産取引所に上場するコインの数は日本の数倍。機関投資家や上場企業による積極的なBitcoin(ビットコイン)投資で今年の強気相場を牽引する。「コンテンツ大国」であるはずの日本よりも先に、アーティストやミュージシャン、スポーツ選手、セレブがデジタルアート販売やバーチャルリアリティ(仮想現実)のインフラ整備を目的としてNFT(ノン・ファンジブル・トークン)のブームを作る。そして、著名電気自動車メーカーCEOが有名なテレビ番組に出演して柴犬がトレードマークの「Dogecoin」(ドージコイン)について語る……。

上記は、2021年に入って米国の暗号資産業界が成し遂げたアチーブメント(実績)の一部です。5月はBitcoinをはじめ暗号資産マーケットは大幅に調整しましたが、米国市場に悲観ムードはあまり見られない印象です。「投機」や「ハッキング」といったネガティブなイメージから脱却できない日本とは雲泥の差で、暗号資産に対する温度差は激しいのは明らかだと思います。

一体なぜなのでしょうか?

もちろん様々な理由が考えられますが、その1つには、暗号資産を含めて新たなイノベーションに対する規制について、日米間で考え方に大きな違いがあるからと考えています。

日本は暗号資産大国だった

驚くことに実は、数年前まで日本は暗号資産のメッカでした。

Bitcoin創設者(または創設グループ)の名前がSatoshi Nakamoto(サトシ・ナカモト)であることに関係しているかどうかは定かではありませんが、Bitcoinの開発者や熱狂的なサポーターが国内外から東京に集まっていました。ニューヨーク・タイムズの記者であるナサニエル・ポッパー氏が2009年~2014年にかけて世界中のBitcoin関係者に直接取材して書いたルポタージュ「デジタル・ゴールド──ビットコイン、その知られざる物語」(ISBN:978-4-532-17601-3)では、東京が重要な舞台として登場します。ハッキング事件が起きるまで世界一のBitcoin取引高を誇った取引所Mt.Gox(マウントゴックス)は、東京に拠点を持っていました。実際、2018年頃までは、円建てのBitcoin取引高が全体の50%以上を占めていました。

何を隠そうクラーケンCEOであるJesse Powell(ジェシー・パウエル)も日本に魅了された1人です。当時、ハッキングを受けたMt.Goxを支援するために、たびたび東京を訪れました。

しかし、現在、東京は暗号資産のメッカとはとてもいえなくなってしましました。シェアの半分以上を占めていた円建てのBitcoin取引高は、7%未満まで落ち込みました。Bitcoin投資だけではありません。DeFi(分散型金融)やNFTブーム、ステーブルコインの台頭といった暗号資産の技術が基盤となるイノベーションについていけず、米国から大きく出遅れてしまっています。

イノベーションを定義できるのか? 日米規制の違い

突然ですが、読者の皆さんは、暗号資産やブロックチェーンの領域にかかわらず、今後、どのようなイノベーションが出現して世の中を変えていくのか完璧に予想することができますか?

どんな著名な起業家や経済学者、歴史学者であっても、答えは「NO」だと思います。また、最先端の研究に携わっている人でも、自分の分野以外のイノベーションを予測することは不可能でしょう。

それにもかかわらず、法律でイノベーションの形を厳格に定義して、基本的には、「その定義に合うイノベーションだけを認める」「定義に合わないものは認めない」といった杓子定規な運用をしている国があります。日本です。

消費者保護・マネロン対策の面では評価されている日本の規制

暗号資産の分野に関していえば、日本では、2017年の4月に資金決済法が改正され、暗号資産が法的に定義され、暗号資産を取り扱う事業者は仮想通貨交換業(現在は暗号資産交換業)としての登録が義務付けられました。この暗号資産規制は、日本が世界に先駆けて導入したものであり、導入当初は、事業者に金融機関並みの投資家保護やマネーロンダリング(マネロン)対策(AML)、テロ資金供与対策(CFT)などを求めたことが暗号資産市場に制度的な安定性を与えるものだと、おおむね好意的に評価されていました。

ただし、2014年のMt.Gox事件以降も、日本では2018年のコインチェック事件をはじめとして、巨額暗号資産の流出事件が相次ぎました。そしてこうした事件が起こる度に当局は事業者に対する規制を強化しており、現行の規制水準は、セキュリティに関するものを中心に一部金融機関の水準を上回っているのではないかと思います。

日本の法律と規制は、イノベーションを進めるという観点からは難点が多い

一方で、現状の規制では、暗号資産の商品性や技術的特殊性がほとんど考慮されていないなど課題が多いのも事実です。具体的には、日本では資金決済法で暗号資産の定義がきっちりと決められているため、定義に当てはまらない場合は、たとえイノベーションとして世界を変えるほどのプロダクトであっても、いくら海外で暗号資産として流通していても、日本国内ではそれが認められません。「やって良いこと」を毎回事前に決めてしまう日本の法律と規制は、イノベーションを進めるという観点からは難点が多いのではないかと感じています。

米国では、必要最低限の事項をリトマス試験紙のように判定し、最初から法令でがちがちに縛ることはしない

対照的に米国では、法律は「原則(プリンシプル)ベース」です。新しいイノベーションに基づくサービスが出てきた時、「すでに存在するサービスに該当しないか?」「犯罪に使われないか?」「詐欺ではないか?」「マネーロンダリングに使われないか?」など、必要最低限の事項をリトマス試験紙のように判定し、最初から法令でがちがちに縛ることはしない、というのが基本スタンスです。

例えば、2013年に米連邦捜査局(FBI)はBitcoinを使った決済を導入していたインターネット上の闇サイト「Silk Road」(シルクロード)の創業者を麻薬取引や詐欺、マネロンなどの罪で逮捕・起訴しました。また2019年、ニューヨーク州南部地方検察局は、北朝鮮で開催されたカンファレンスに参加して暗号資産に関する知識を提供したとしてEthereum Foundation(イーサリアム財団)の関係者を逮捕しました。

米国では、上記のように要所要所で取り締まるべきところは厳格に取り締まっていますが、基本的に、個別具体的なプロダクトやサービスレベルでは原理原則を守る限りは見守る方針があるようです。逆に言えば、企業やスタートアップは原理原則を守りながら新たなイノベーションにチャレンジすることが可能となっていると思います。

さらに米国では国レベルでも規制当局の数が多いこともあり、暗号資産の定義はバラバラです。米証券取引委員会(SEC)は「証券」、米商品先物取引委員会(CFTC)は「コモディティ」、米内国歳入庁(IRS)は「財産」と独自に定義づけをしています。現在の暗号資産はいまだ黎明期にあり、暗号資産というイノベーションが今後どのように進化していくのか、その全貌が把握できない中では、この曖昧さや統一感のなさが逆に柔軟性につながっているのではないかと感じています。

イノベーションを取り込む議論を!

暗号資産のイノベーションは、日進月歩ならぬ「秒進分歩」で進んでいます。日本国外では、DeFi(分散型金融)やステーブルコインといった既存金融サービスをブロックチェーン上で実装する動きが活発化しています。

DeFiの例としては、暗号資産の貸借取引(暗号資産を貸出して報酬を得る取引)のプラットフォームがあります。ここでは、暗号資産を貸出して報酬を得たい人と暗号資産を借入れたい人のマッチングばかりか、貸出・借入と報酬の授受も自動化されています。伝統的な金融では、証券会社、短資会社、証券金融会社、証券取引所といったプレイヤーが複雑に絡み合って成立している貸借取引の世界をプログラム上で実現し、さらに仕組みの改善を恒常的に行っている点は、私のような証券業界に長くいた人間からすると驚きに値します。

ステーブルコインは、法定通貨などを裏付けとして、ブロックチェーン上で発行されるもので、日本円や米ドルといった既存の法定通貨にペッグするように設計されています。こうしたステーブルコインの代表例には、テザー(USDT)やUSDC(USDコイン)があり、暗号資産市場で国際取引を行う際に、銀行を用いた国際送金の代替として活発に利用されています。銀行の国際送金は、資金の到着まで数日必要であり、手数料も高額ですが、ステーブルコインはこうした課題をブロックチェーン上で解決しています。

日本の暗号資産に関する法令が立法当時にどこまでイノベーションを意識していたか定かではありませんが、DeFiやステーブルコインの例を出すまでもなく、暗号資産におけるイノベーションは今後も加速度的に進化していくでしょう。

イノベーション、技術革新には不可逆性があります。つまり、一度誕生したら、過去にさかのぼって消すことはできず、それとうまく付き合っていくほかないのです。この点を念頭におくと、日本の暗号資産に関する法令・規制がイノベーションを取り込むという観点において、投資家の利益になっているか、国際競争上不利な状況になっていないか、法的により柔軟な対応は可能かどうかなどなど、議論を進めていく必要があるのではないかと感じています。

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ビットコインの価値はその周りの「ネットワーク効果」で考えるとよくわかる

暗号資産の世界において、Bitcoin(ビットコイン)の価値はどう測れば良いのか?適切な指標はないのか?ドイツのベンチャーキャピタルHigh Tech GründerfondsのAlex von Frankenberg(アレックス・ヴォン・フランケンベルグ)氏はこれらの問いを考えた。暗号資産の価値をStock2Flow(STF)モデルで測るという考え方もあるが、果たしてそれで十分なのか?同氏はビットコインを取り巻く環境がもたらす効果である「ネットワーク効果(ネットワークエフェクト)」こそ重要な観点だと語る。

ビットコインの価値をStock2Flowモデルで考えるのは適切か

フランケンベルグ氏は、ビットコインの価値を測る考え方として、まずSTFモデルを挙げる。

「STFモデルというのは、簡単にいうと次のようになります。フロー(新規に産出される資源の量)に対するストック(これまでに算出された資源の総量)が増加すると、新しい資源の産出量は減少し、新たに産出される資源の価格が上がります。ビットコインの価格はSTFと相互に関連していることがわかっています」とフランケンベルグ氏。

しかし、STFモデルをビットコインに適用することには批判の声も上がっているという。

「STFモデルはすべての資源に当てはまるものではありません。また、このモデルでは供給は考慮されても、需要が考慮されません。さらに、世の中には複数STFモデルがあり、それぞれ良いものですが、導き出される価格が異なります。こうした批判があるのは確かです」とフランケンベルグ氏は説明する。

では、需要の側面から考えるとどうなるのか。同氏はビットコインとビットコインキャッシュを比較する。

ビットコインとビットコインキャッシュの価格評価

ここで注目すべきは、ビットコインキャッシュの価格評価が低い点だ。ビットコインとビットコインキャッシュのSTFに大きな差はなく、ブロックサイズを除けば技術的にも大きな違いはない。

フランケンベルグ氏は「ビットコインとビットコインキャッシュはそれほど離れた資源ではなく、STFも近いのに、価格評価に違いがある。では、STFモデルが失敗だということになるのでしょうか?そうではありません。これは『STFモデルは完全ではない』ということを意味します。では、ビットコインとビットコインキャッシュの差はどこにあるのか?ネットワーク効果です。そしてネットワーク効果こそ私たちが考えなければいけないことなのです」という。

「ダイレクトネットワークエフェクト」と「インディレクトネットワークエフェクト」

では、ネットワーク効果とは何か?フランケンベルグ氏は「ユーザー数が増えると、効用が上がるという効果のことです」と答える。しかし、ユーザー数の増加は必ずしもより良い効用につながるわけではないという。

ネットワーク効果が発生しない例として、同氏は自動車を挙げる。

例えば、フォルクスワーゲンのゴルフ。より多くの人がゴルフを購入すると、修理できる施設が増えたり、ゴルフに関する情報がより広く流れることになる。この場合、ユーザー数の増加が販売台数の増加につながることがあり得る。しかし、ゴルフの機能そのものは、ユーザー数から影響を受けない。つまり、ネットワーク効果は発生しない。

一方で、ネットワーク効果には、ユーザー数の増加がより良い効用に直接つながる「ダイレクトネットワークエフェクト」と、ユーザー数の増加がより良い効用に間接的につながる「インディレクトネットワークエフェクト」の2種類があるという。

同氏が挙げるダイレクト・ネットワーク効果のわかりやすい例は、eメールなどのコミュニケーション手段だ。なぜなら、あるコミュニケーション手段を使うユーザー数が増えると、そのコミュニケーション手段で連絡できる人の数が増える。そのため、ユーザー数の増加が効用を上げるのだ。逆に言えば、ユーザー数の少ないコミュニケーション手段は、ユーザー数が少ないが故にユーザー数の減少を招くことがある。

インディレクト・ネットワーク・エフェクトの良い例は、WindowsなどのOSだという。なぜかというと、OSのユーザー数が増えると、OS上で動かせるアプリケーションの開発が進み、OSを使うことによる効用が上がるからだ。ここでは、OS の効用がアプリケーションを経由して間接的(インディレクト)に上がっている。

ネットワーク効果はなぜ重要なのか

では、ネットワーク効果の何が重要なのだろうか。

フランケンベルグ氏は「既存の製品のネットワーク効果が強い場合、新規参入者がマーケットの中に場所を見つけられない可能性がある。それが重要なのです」という。

フランケンベルグ氏が挙げた例はこうだ。ここにある製品があるとする。この製品で技術的にできることは限られているが、製品を世に出してから時間が経つにつれ、この新製品はネットワークによる効用を上げていく。その後、新規参入者がより優れた技術とともに市場に登場したとする。しかし、新規参入者は、先程の製品に比べてネットワークによる効用が少ない。そうなると「元々の技術+ネットワークによる効用」で比較した時、先に登場した製品の方が市場でより有利となる。そのため、新規参入者はより優れた技術を持っているにもかかわらず、ネットワーク効果が弱いために、市場の競争で不利になるのだ。

「元々の技術+ネットワークによる効用」で比較した時の既存製品と新規参入製品

ビットコインのネットワーク効果

では、ビットコインにネットワーク効果にはどのようなものがあるだろうか。フランケンベルグ氏は「たくさんある」と強調する。

同氏によると、ダイレクトネットワークエフェクトの観点では、より多くのユーザーがビットコインを使えば、ビットコインを送り合うユーザーの数が増え、効用が上がる。インディレクトネットワークエフェクトの観点では、オンランプが増加すればユーザー数が増加し、ネットワーク効果を増加させ続ける。さらに、ビットコインのネットワークの上に決済やメッセージングなどのアプリケーションが数多く構築されれば、ビットコインの価値も上がるのだという。

フランケンベルグ氏は、上の図を使ってビットコインのネットワーク効果の流れを以下のように説明する。

まず、企業でのビットコイン活用が広まれば、ビットコインの価格に影響する。ハッシュレートが増加すればセキュリティが上昇する。こうしたポジティブなフィードバックのループができる。

規制が進めば、透明化が進み、企業のビットコイン活用が進む。ユーザーフレンドリーになれば、企業のビットコイン活用が進む。

ユースケースが蓄積されれば、ビットコインを決済に使用しやすくなり、やはり企業のビットコイン活用が進む。

リテールでのビットコイン活用が進めば、企業でのビットコイン活用が進み、ビットコインの取引ボリュームが増え、ビットコインやフィンテック関連のカンファレンスの価値が上がる。

最終的には、中央銀行がビットコインを活用するようになれば非常に大きなネットワーク効果を見込むことができる。

「ここまで見てきたように、ビットコインのネットワーク効果を見た時、たくさんのポジティブなフィードバックループが見つけられます。しかし、リスクもあります。規制が非常にネガティブに作用する可能性もあります。セキュリティが弱ければやはりネガティブなことを引き起こすかもしれません。ただ、ビットコインの価値を考えるとき、STFモデル単体で考えてはいけません。STFモデルは完全な指標ではないからです。大切なのは、STFモデルとネットワーク効果の成長を組み合わせて考えることです」とフランケンベルグ氏は述べた。

【Japan編集部注】本記事はCrypt Asetts Conference 2021中のセッションを再構成したものとなる。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:暗号資産Bitcoinネットワーク効果

NFTゲーム開発のdouble jump.tokyoと日本発のブロックチェーン「Plasm Network」のStakeが提携発表

NFTゲーム開発のdouble jump.tokyoと日本発のブロックチェーン「Plasm Network」のStakeが提携発表

日本発のパブリックブロックチェーン「Plasm Network」(プラズムネットワーク)を手がけるStake Technoloiges(ステイク・テクノロジーズ)と、ブロックチェーン技術を用いたアプリ開発を行うdouble jump.tokyo(ダブルジャンプ・トウキョウ)は6月14日、パートナーシップを締結し、双方のエコシステム拡大に向けた協業を行うと発表した。

マルチチェーン設計のブロックチェーン「Polkadot」(ポルカドット)のR&Dチェーン「Kusama」(クサマ)において、「Shiden Network」(紫電ネットワーク)が(パラチェーンスロットを獲得し)接続した後、doublejump.tokyoがNFTコンテンツなど自社関連プロダクトのShiden Networkへの対応を開始する予定。Plasm Networkにも対応する。

doublejump.tokyoによると、ブロックチェーンゲーム開発支援サービス「MCH+」のブロックチェーンゲームのマルチチェーン対応を支援する「Asset Mirroring System」(AMS)を通じて、MCH+参画タイトルのShiden Network対応を行うという。すでにテストネットにおける実装は完了しているそうだ。

またdouble jump.tokyoは、Plasm NetworkおよびShiden Networkのバリデーターの運用を行い、ネットワークの地理的な分散性に貢献する予定。

「Polkadot」と「Plasm Network」、研究開発が主目的の姉妹チェーン「Kusama」と「Shiden Network」

PolkadotとPlasm Network、またKusamaとShiden Networkがそれぞれどのような存在で、どう関係しているのかは、Stake TechnoloigesのShunP氏による「中学生でもわかるPlasmとShiden」がわかりやすい。

Polkadotは、Web3 Foundation(Web3財団)による、複数の異なるブロックチェーンを相互接続・相互運用するためのオープンソースプロジェクトで、ブロックチェーンの課題である運用性とスケーラビリティーが解決されるものと期待されている。Kusamaは、研究開発が主目的とするPolkadotの姉妹チェーンにあたる。Kusamaでは、より挑戦的でイノベーティブなユースケースがKusama上で展開されるという。

PolkadotおよびKusamaは、本体にあたるブロックチェーン「リレーチェーン」(RelayChain)、またこれにつながる複数のブロックチェーン「パラチェーン‌」(Parachain)で構成されており、ポイントとなるのは、スマートコントラクトの動作環境やDefiなどはパラチェーン側が担当するという点にある。PolkadotおよびKusamaは、あくまで相互につなげる役割のみというわけだ。

Plasm NetworkとShiden Networkは、このPolkadotおよびKusama上でスマートコントラクトを扱うことに特化したパラチェーン(候補)およびパブリックチェーンとなっている。パラチェーンの接続数には限りがあるため、パラチェーンはオークションによって決定されることになっており、6月15日から始まるKusamaの第1回パラチェーンオークションでは、Shiden Networkが参加する。さらにその後Polkadotのオークションが行われ、Plasm Networkが参加する予定だ(日本発パブリックブロックチェーン開発のStake Technoloigesが約11億円調達、「世界で勝つ事例つくる」)。

スマートコントラクト実行環境EVMやWASAMを含む複数VMに対応、アプリ開発者への報酬還元メカニズムも採用

アプリ開発者にとっての注目点は、Plasm NetworkとShiden Networkは、Ethereumのスマートコントラクト実行環境EVMやWASAMを含む複数VMに対応していることだ。Ethereumをベースに開発を行ってきたプロジェクトであれば、既存コードベースを流用して開発できるという。

またDapps報酬と呼ばれる、アプリ開発者にブロック生成報酬の約半分を還元する独自のメカニズムも備えている。アプリのユーザーも、スマートコントラクトにPlasmのトークンをステーキングすることで、報酬の一部を獲得できるという。

Stake Technologiesは、「他国に大きな遅れを取ってしまっているクリプト領域において、日本発のプラットフォームとコンテンツが相互に連携し、日本の地位を向上させていきたいと考えております」と話している。

世界的な評価を得た2018年の「My Crypto Heroes」以来、NFTをめぐる環境の整備を着実に進めるdouble jump.tokyo

double jump.tokyoは、NFT(非代替性トークン。ノン・ファンジブル・トークン)コンテンツのプロデュースや発行と、ブロックチェーンゲームを開発する企業。1日のアクティブユーザー数や取引高で世界一を記録したこともある。今回のパートナーシップにより、Plasm Networkのエコシステムに、質の高いNFTコンテンツとそのコミュニティーを呼び込むことが期待されている。

またdouble jump.tokyoとPlasm Networkは、環境問題にも重点を置いているという。Bitcoin(ビットコイン)やEthereumは、認証に大量の計算を要し、消費電力が大きいPoW(プルーフ・オブ・ワーク)方式を使っているが、PolkadotではPoS方式の一種「NPoS」(ノミネーテッド・プルーフ・オブ・ステイク)という「直接的な経済的インセンティブによってネットワークを維持する」方式が採られているため、消費電力は格段に小さいという。なお、Plasm NetworkとShiden Networkでは、「水力と太陽光により発電された電力のみを用いるデータセンターとの提携」を進めているそうだ。

今後double jump.tokyoは、同社関連NFTコンテンツがPlasm NetworkおよびShiden Networで展開され、Plasmのスケーリングソリューションとさまざまなブロックチェーンとのブリッジを通じた「マルチチェーン化、UXの向上、グローバル展開」を目指すとしている。

2018年4月3日設立のdouble jump.tokyoは、「My Crypto Heroes」「BRAVE FRONTIER HEROES」「MyCryptoSaga」などのブロックチェーンゲームの開発、MCH+およびNFT事業支援サービス「NFTPLUS」、複数人で秘密鍵管理できるビジネス向けNFT管理SaaS「N Suite」の提供・開発を行っている。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Ethereum / イーサリアム(製品・サービス)WebAssembly / Wasm(用語)NFT / 非代替性トークン / クリプトアート(用語)オープンソース / Open Source(用語)Kusama(製品・サービス)Shiden Network(製品・サービス)Stake Technoloiges(企業)スマートコントラクト(用語)double jump.tokyo(企業)DeFi / 分散型金融(用語)パラチェーン(用語)Bitcoin / ビットコイン(用語)Plasm Network(製品・サービス)ブロックチェーン(用語)Polkadot / ポルカドット(製品・サービス)リレーチェーン(用語)日本(国・地域)

ビットコイン暴落、投資家は暗号資産の強気相場終焉を懸念

Bitcoin(ビットコイン)、Ethereum(イーサリアム)、そして多数のAltcoinsは米国時間5月18日の夜と翌19日の朝に大量の下落に見舞われ、数カ月の利益と数千億ドル(数十兆円)の時価総額が失われた。暗号資産トラッカーのCoinMarketCapによると、暗号資産(仮想通貨)市場全体は過去24時間で20%以上縮小したという。

この下落の背景には何があるのだろうか?Dogecoin(ドージコイン)のような投機的で技術的に目立たないプロジェクトに投資家が殺到し、市場が太陽に近づきすぎたというかもしれない。またElon Musk(イーロン・マスク)氏は、Tesla(テスラ)が今後ビットコインを受け付けないと発表したことで、投資家たちは、ビットコインをバランスシートに載せようとしている企業が反発するのではないかと懸念したことも原因の1つとして考えられる。

すべての暗号資産が同じ運命を辿っているわけではない。ビットコインは3万1000ドル()近くまで下落し、史上最高値の半分以上を記録した一方で、イーサリアムは2021年4月初めて到達した価格まで下落しました。最大の損失のいくつかは、DfinityのInternet Computerトークンで、先週で60%近くの価値を失っている。一方、マルチチェーン開発プラットフォームのPolygonは、全体的な暴落の中で急上昇し、今週88%上昇した。

一般市場の投資家は、Coinbaseの株価が米国時間5月19日水曜日の朝に5%下落、一時的に達成した史上最高値から47%以上下落し、直接の上場目標価格よりも10%低くなったことで、暗号市場のボラティリティを味わうことになった。

関連記事:イーロン・マスク氏がビットコインでのテスラ車購入停止を指示、ツイート後ビットコインは下落中

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:暗号資産BitcoinEthereum

画像クレジット:Rihardzz / Shutterstock

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(文:Lucas Matney、翻訳:Katsuyuki Yasui)

NFTアート:何が価値の源泉なのか? 新たな投資スタイルへの道を歩むNFT

NFTアート:何が価値の源泉なのか? 新たな投資スタイルへの道を歩むNFT

編集部注:この原稿は千野剛司氏による寄稿である。千野氏は、暗号資産交換業者(取引所)Kraken(クラーケン)の日本法人クラーケン・ジャパン(関東財務局長第00022号)の代表を務めている。Krakenは、米国において2011年に設立された老舗にあたり、ビットコインを対象とした信用取引(レバレッジ取引)を提供した最初の取引所のひとつとしても知られる。

現在、NFT(ノン・ファンジブル・トークン)がここまで注目される理由のひとつは、投資手段としてのアートの可能性を拡大させたことにあるでしょう。ネアンデルタール人によって6万5000年以上前に描かれた洞窟壁画が世界最古のアートといわれていますが、その後、歴史の中で様々な手法、技術そして媒体が生み出されてきました。アートをコンピューターファイルとして簡単にシェアできるデジタルアートは、最新の媒体のひとつです。

歴史的にアートは、鑑賞目的だけではなく投資家から代替的な価値保存手段として人気を集めてきました。インターネットが登場し、アートの形がデジタルに変わってもすぐにはフィジカルなアートと同様に投資対象とみなされませんでした。なぜならインターネットにはコピペ文化という問題が存在したからです。このデジタルアートの問題をデジタル領域における所有権の確立によって解消したのがNFTでした。

本稿では、NFTの意義をデジタル領域における所有権の確立という観点から解説し、投資対象としてのNFTを考察します。

クラーケンとNFTの関係は?

その前にまず、クラーケンとNFTの関係について少しお話をしたいと思います。NFTは2021年2月ころから一大ブームを巻き起こしていますが、実はクラーケンはブームの前からNFT関連事業を拡大してきました。

例えば、2020年12月23日、Ethereum(イーサリアム)基盤の3D仮想空間プラットフォーム「Decentraland」(ディセントラランド)で著名DJの3LAU(ブラウ)を招いてクリスマスパーティーを開催。参加者に限定盤のNFTウェアラブル(アバターが着る服など)を配りました。また、2021年1月には、NFTブームの中でもNo.1ヒットといえる「NBA Top Shot」(NBAトップショット)が基盤にするブロックチェーン「Flow」(フロー)を世界の取引所に先駆けて上場させました。

また創業者のJesse Powell(ジェシー・パウエル)は、創業前の2008年にカリフォルニア州のサクラメントでVergeという美術館を設立し、新進気鋭のアーティストをサポートしていました。ブロックチェーン技術の結晶であるNFTとデジタルアートは相性抜群です。こうした事情もあり、クラーケンではNFTの未来について高い関心を持ち日夜研究を続けています。

デジタル領域における所有権

NFTとは、暗号資産と同じように仲介業者を使わずにインターネット上で売買・交換が可能な暗号技術を基盤にしたトークンを指します。他の暗号資産と同じように偽造不可能で取引履歴の追跡が容易であるなどブロックチェーンならではの特徴がある一方、固有の価値を持つ点が異なります。NFTの場合、世の中に同じ価値をもたらすものはふたつとありません。

インターネットが誕生してもデジタルアートが普及しなかった背景にあるのは、いわゆる「コピペ」文化の存在です。

30年前にインターネットが誕生して以来、アーティストやコンテンツ制作者は、画廊やレコード会社を経由することなく、作品を直接公共の場で共有できるようになりました。2009年の暗号資産誕生前から、SNSや動画投稿サイトなどを使って仲介業者なしでアートを共有することは可能だったのです。

しかし、インターネットは諸刃の剣でもありました。インターネットを使える人なら誰でも簡単にアート作品のファイルをダウンロードしてコピーし拡散することが可能だったからです。所有権の帰属先は曖昧になり、最も成功するアーティストでさえ収益化に苦戦するのが現状でした。解決策は、仲介業者を元に戻し、サブスクリプションなどの仕組みを導入することでしたが、結局、仲介業者に多くの手数料を取られる構造は変えられませんでした。

この状況を変えたのがNFTです。NFTの登場後も、インターネット時代と同じように、誰でもアートをオンラインで見ることができ、自分のスクリーンセイバーに使うこともできます。しかし、インターネット時代と異なり、NFTによって、アートが希少なものとしてブロックチェーン上に記録され、それを「所有」できる人は限られた人になりました。

例えばモナリザの絵のコピーを家の壁に掛けても、それはモナリザの絵を持っているということになりません。多くの人はモナリザの絵のコピーを家やネットで見るだけで満足するかもしれませんが、一部の人は数億円払ってでも保有することに価値を感じます。私たちはモナリザのような有名な絵はだいたい知っていますし、オンラインで画像をいくらでも見ることができます。しかし、「本物」は確かに存在し、所有者は公式の文書で公式のライセンスを持っている人だけになります。NFTは、ブロックチェーン技術を使って限られた所有権のライセンスをデジタル上で確立したものなのです。

そして、NFTがデジタル所有権を確立したからこそ、これまでフィジカルのアートだけが対象だった投資の世界にデジタルも加わることになりました。誰もが参加できるブロックチェーン技術によって、アート作品の所有権が証明可能なものになったからこそ、「本物」と偽る詐欺の可能性がなくなり、投資対象としてデジタルアートが価値を持つようになりました。

数字で振り返るNFTの熱狂

NFTの売り買いを行うマーケットプレースにおける取引高は、2月26日に過去最高の2600万ドル(約28億円)に到達した後も勢いを持続し、3月11日には3400万ドル(約37億円)と過去最高記録を塗り替えました。その後、熱狂度合いがやや落ち着き、2021年第1四半期は結局1300万ドル(約14億円)で終えました。

NFTマーケットプレイスの取引高

出典:Kraken Intelligence「NFTマーケットプレイスの取引高」

主なNFT作品の販売実績としては、デジタルアーティストBeepleの「The First 5000 Days」が米老舗オークションハウスのクリスティーズで6900万ドル(約76億円)で落札された他、米国出身バンドのKings of Leon(キングス・オブ・レオン)が初めてNFTとしてアルバムをリリース、ツイッター創業者Jack Dorsey(ジャック・ドーシー)の最初のツイートが50万ドル(約5500万円)で落札、NFTスターRob Gronkowski(ロブ・グロンコウスキー)が自身のプレイシーンをNFTで販売するなど、音楽界とスポーツ界を中心に複数あります。

これらNFT作品の購入者は、初期投資以上に作品の価値が上昇すると見込んでいるから投資をしたわけです。NBAトップショットでは、LeBron James(レブロン・ジェームズ)のハイライトシーンを20万8000ドル(約2300万円)で購入したバスケットボールファンもいました。このファンは、将来的にさらに値上がりすると見込んでいるから投資をしたのかもしれません。

NFTアート:何が価値の源泉になるのか?

前述のように、NFTによってアートへの新たな投資手法が生み出されたということは確かでしょう。所有権の売買だけではなく、例えばblueboxのように、NFT投資家が音楽のストリーミングストアから印税を毎月得られる仕組みも構築されています。

ただ、NFTは誰にでも作りやすく、投機の対象になる可能性があることにも注意が必要です。

重要なのは「何が価値の源泉なのか?」という点です。例えば作品を作るのに費やした労働コストなど普遍の物差しがあるわけではなく、「投資家が価値があると思うから価値がある」というのがNFT作品の価値を決める軸になっています。「個人的にアーティストが好きだから」という一点でアートの購入を決める富裕層もいます。NFTのアート作品に「本源的な価値」(Intrinsic Value)があるのか、疑問視されています。

実はBitcoin(ビットコイン)も「本源的な価値がない」と批判されます。Bitcoinは一時6万ドル(約653万円)まで上昇しましたが、「その根拠は何か」「適正価格はどうやって出すのか」という視点です。

ただ「自分が価値があると思うから価値がある」という主観価値説が間違っていないという立場を取ることもできます。そうなると、物事の価値というのはマーケットにおいて需給の結果決まるという立場につながります。

フィジカル版アートへの投資が歴史的に成立してきたように、NFTによって可能となったデジタル版のアートへの投資も存続し続けるでしょう。ただ、「現在のNFTがバブルなのか?」という問いに関しては慎重に答える必要がありそうです。自分が価値があると思うものに価値が生まれるといっても、先述のBeepleが指摘するように「とんでもない価格をガラクタに付けてしまうこと」もあり得るかもしれません。

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テスラにとってビットコインはすばやく現金にアクセスできる重要な金融ツール

Tesla(テスラ)のBitcoin(ビットコイン)に対する気持ちは戯れではないようだ。同社のCFO(最高財務責任者)で「Master of Coin(コインの達人)」との肩書を持つZach Kirkhorn(ザック・カークホーン)氏が、米国時間4月26日の決算説明会で述べたコメントによると、テスラはビットコインの変動性にもかかわらず、その長期的な価値を信じているという。

テスラは今四半期に15億ドル(約1624億円)をビットコインに投資し、そのあとポジションを10%切り下げたと、同社の四半期決算説明会でカークホーン氏は語った。その売却により、第1四半期の同社の収益に1億100万ドル(約109億3000万円)の「プラスの影響」があったと、同氏は続けた。テスラは顧客がビットコインで車両代金や予約金を支払うことも可能にしている。

テスラがビットコインに目をつけたのは、現金の保管場所としてすぐにアクセスでき、しかも中央銀行がバックアップする伝統的な安全資産よりも優れた投資収益率を可能にするからだ。もちろん、変動の激しいデジタル資産がもたらす高い利回りには、高いリスクがともなう。

連邦準備制度理事会(FRB)のJay Powell(ジェイ・パウエル)議長は、2021年3月に国際決済銀行がバーチャル開催したサミットで、暗号化された投機的な資産は変動が激しく、価値の保存には適さないとFRBは考えていると指摘したが、このような警戒を高める風潮にテスラは反対している。通貨の基本的な機能は価値を保存する能力であるため、FRBの警告は重要なことだ。また、パウエル議長はデジタル通貨には何の裏づけもないことを指摘し、ドルではなく金に例えた。

カークホーン氏は以下のように述べている。

Elon(イーロン・マスク氏)と私は、すぐに使わない現金を保管する場所を探していました。ある程度のリターンを得ながら、流動性も確保したいと私たちは考えていました。特にオースティンとベルリンに新設した工場の稼働を控え、半導体や港のキャパシティに不安がある中、すぐに現金にアクセスできることは、今の私たちにとって非常に重要なのです。

そしてご存知のように、そのようなことができる伝統的な機会は多くありません。特に余計なリスクを負うことがなく、流動性も犠牲にしないとなると、少なくとも私たちは見つけることができず、他の人に聞いても良い答えは得られませんでした。当時、ビットコインは日常業務にすぐに使用しない、あるいは年末まで必要としない現金を保管する場所に適しており、ある程度のリターンが見込めるように思われました。これまでのところ、その判断が正しかったことが証明されています。

テスラはこのデジタル通貨を注視しており、多くの楽観的な材料があるとカークホーン氏は述べている。

「企業財務の観点から考えると、ビットコイン市場の流動性の高さには非常に満足しています」と、同氏はいう。「最初のポジションは非常に早く構築できました。3月下旬に売却を行った際も、非常に迅速に実行することができました。このように、リスクマネジメントの観点から事業に対するグローバルな流動性を考えると、市場に現金を出し入れできることは、当社にとって非常に重要なことだと思います」。

テスラは2021年3月にポジションを縮小したものの、同社の意図は手持ちのビットコインを長期的に保有し、顧客が車両を購入する際の取引からビットコインを蓄積し続けることだと、カークホーン氏は付け加えた。同社の「Technoking(テクノキング)」を名乗るMusk(マスク)氏は、3月にテスラが米国での支払い手段としてビットコインを受け入れると発表した。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Tesla暗号資産Bitcoinデジタル通貨決算発表イーロン・マスク

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Rebecca Bellan, Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ビットコインを筆頭に暗号資産市場が急降下

Bitcoin(ビットコイン)を筆頭に暗号資産(仮想通貨)の価格は米国時間4月23日の金曜日も下落を続け、同通貨の価格は2021年3月初旬以来初めて5万ドル(約540万円)を下回った。

ビットコインは前週比で約20%、先週初めの史上最高値である約6万5000ドル(約700万円)からは約30%下落した。ビットコインの時価総額は1兆ドル(約110兆円)を下回っている。Ethereum(イーサリアム)は米国時間4月22日に史上最高値を記録したが、その後に市場全体が回復したたため13%の下落となり、下落幅はそれほど大きくなかった。

また、多くのアルトコインも打撃を受けている。Dogecoinは先週末に急上昇した後、今週の猛烈な上昇を帳消しにし、価格がほぼ半減した。XRPは前週比で35%減、Stellarは30%減、Polkadotは25%減となっている。

Coinmarketcapは全体として、過去24時間で世界の暗号市場が約10%縮小したと推定している。

暗号資産の価格は過去数カ月にわたって上昇してきたが、先週は価格上昇を修正する明確な兆候が見られた。しかし多くの人は、Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領がキャピタルゲイン税の引き上げを調整したというニュースが、市場の下落の最も明白な理由であると考えている。投資家はルールの遡及適用によって、自分の利益に影響が出ないことを願ってキャッシュアウトしている。

先週に直接上場したCoinbase(コインベース)は今週に株価を約10%下げたが、金曜日の日中取引ではほとんど影響を受けなかった。

ここ7日間でのBitcoinの価格(グラフ作成:CoinMarketCap)

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:暗号資産BitcoinEthereumジョー・バイデンCoinbase

画像クレジット:Dan Kitwood / Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:塚本直樹 / Twitter

【コラム】暗号資産とエネルギー消費をめぐる議論

暗号資産(仮想通貨)に関して昨今、エネルギー消費が議論の的となっている。批評家たちは暗号資産がエネルギーを大量に消費していると主張し、推進派は現在の世界経済に比べ、エネルギー消費量は少ないと評価している。

そんな批評家の1人であるDigiEconomist(デジエコノミスト)創業者のAlex de Vries(アレックス・ド・フリース)氏は「Bitcoin(ビットコイン)ほど非効率的なものは見たことがない」と話す。

一方、ARK Investment Management(アークインベストメントマネジメント)の調査によると、Bitcoinのエコシステムが消費するエネルギーは、従来の銀行システムに必要なエネルギーの10%以下であることがわかった。銀行システムの方がはるかに多くの人々にサービスを提供しているのは事実である一方、暗号資産はまだ発展途上にあり、他の産業と同様、インフラの初期段階では特にエネルギー消費量が多くなる。

2021年2月だけで14億ドル(約1520億円)近くを稼いだ暗号資産マイニング業界は、工業化した現代社会におけるその他の問題と比較すれば、環境にとって特別にひどい影響はまだもたらしていない。ド・フリース氏もTechCrunchに対し、環境に配慮した規制当局が「Bitcoinに対してありとあらゆる行動をとったとしても、すべての政府がそういったマイニング規制に賛同するとは思えない」という。

「理想的なのは、内部から変化が起こることだ」とド・フリース氏は話し、Bitcoin Core(Bitcoinコア)の開発者が、コンピューティングの消費エネルギーが少ないソフトウェアに変更することを期待しているとして、こう付け加えた。「Bitcoinは現在、世界中にあるデータセンター半分に相当するエネルギーを消費していると思われる」。

ケンブリッジ大学のBitcoin電力消費指数によると、Bitcoinのマイナーは約130テラワット時のエネルギーを消費していると予想されており、世界の電力消費量の約0.6%に相当する。これは、Bitcoin経済がスリランカやヨルダンのような小さな発展途上国の二酸化炭素排出量と同等であることを意味する。とりわけ、ヨルダンの人口は約1000万人だ。毎月何人の人がBitcoinを使っているのかはわからないし、アンマンの住民がヨルダンディナールを使うよりも、Bitcoinを使う頻度の方が少ないのは確かだ。しかし、CoinMetrics(コインメトリックス)のデータによると、100万以上のBitcoinアドレスが日常的にアクティブであることが示されている。暗号資産取引所Crypto.com(クリプトドットコム)の記録では、過去10年間のアクティブアカウントは最大1億600万である。

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「当社は上場している取引所のアドレス総数を数え、同じユーザーが複数の取引所で所有しているアドレスを差し引いて、Bitcoin(BTC)とEthereum(ETH)のユニークユーザー総数を算出している。その後、ETHとBTCの両方を所有するユーザーを考慮して、この総数をさらに減らしている」とクリプトドットコムの広報担当者は話す。

これにより、多くの人々がこれらの金融ネットワークを利用していることがわかる。さらに、Bitcoinマイニング事業の多くは、水力発電や油田から漏れ出る天然ガスなど、環境に配慮したエネルギー源を利用している。マイニング業界で経験豊富なCompass Mining(コンパスマイニング)のCOO(最高執行責任者)、Thomas Heller(トーマス・ヘラー)氏は、四川省や雲南省にある中国の水力発電所では、雨季になると電気料金が安くなると話す。乾季には採算が取れなくなるが、水力発電を1年中使い続けているという。

「5月から10月『雨季』以外の電気料金はずっと高くなるが、雨季以外で水を供給している発電所もある」とヘラー氏はいう。

基本的に、コンピューターはあらゆる供給源からの電力を利用できるため、暗号資産マイニングは本来、余分な二酸化炭素を排出しない。2019年、デジタル資産運用会社のCoinShares(コインシェアーズ)は、Bitcoinマイナーの最大73%が、少なくとも何らかの再生可能エネルギーを電力供給の一部として使用しているとする調査結果を発表した。そこには中国の巨大ダムによる水力発電も含まれている。Bitcoinのマイニングプール(マイナーが協力して利益を上げるための共同体)の上位5社は、いずれも水力発電を多く利用している。ド・フリース氏がこの調査結果に驚くことはない。同氏は、マイナーが消費する全エネルギーの39%は再生可能エネルギーであることを、ケンブリッジ大学の研究者が確認していると指摘した。

「私の発電所にはソーラーパネルを1台設置していますし、再生可能エネルギーを組み合わせて利用しています」とド・フリース氏はいう。

地域別でみると、中国のBitcoinマイニング作業が、ハッシュレートと呼ばれるネットワーク計算能力の約65%を占めていることが、ケンブリッジ大学のデータから明らかになっている。中国の新疆ウイグル自治区のような一部の地域では、Bitcoinマイナーたちが石炭を燃やして電気を供給することもある。同自治区は、暗号資産マイニング以外にも、ウイグル人に対する人権侵害で知られている。中国はこの地域にある天然資源を利用しようとさまざまな攻撃を仕かけており、その一環として、ウイグル人を激しく弾圧している。批評家が暗号資産マイニングとエネルギー消費に警鐘を鳴らすとき、彼らが懸念しているのはこの点である場合が多い。

一方、世界のハッシュレートの約8%は北米のマイナーが占め、ロシア、カザフスタン、マレーシア、イランのマイナーが僅差でそれに続く。イランのHassan Rouhani(ハッサン・ローハニ)大統領は、2020年に国家的なBitcoinマイニング戦略を策定することを呼びかけた。米国による銀行を対象とした制裁の下においても、この金融システムにおけるイスラム国家の影響力を強めることが目的だ。

自分たちに最も有利になるようなマイニング規制を加えている国や組織では、Bitcoinマイニングが盛んになっていく。これまで中国が優位であったのは、少なくとも部分的には、政府によるマイニング事業への補助金に依るところがあった。中国やノルウェーなどでは、Bitcoinマイナーが地元の水力発電所を利用することを奨励する補助金を出している。

ノルウェーに本社を置く60億ドル(約6500億円)規模の上場企業Aker ASA(アケル)が設立したSeetee(シーティー)の調査報告書には、こう書かれている。「マイニング事業の財務管理者は、最も安価なエネルギーの利用にこだわるであろうから、当然、その電気の利用は経済的にそれほど大きな意味がないだろう」

暗号資産マイニングをより環境に配慮したものにするためには、エネルギー源がすでに十分に活用されていない地域でマイニングを推進しようとする政治家を支援するのが一番だ。

北米に関していえば、Blockstream(ブロックストリーム)のCEOであるAdam Back(アダム・バック)氏は、300メガワットのマイニング能力を持つ同社のマイニング施設は水力発電などの産業用電源を組み合わせて利用していると話す。また、ブロックストリームは、古くなったマシンの「リタイヤメントホーム」のようなものとして、太陽光発電によるBitcoinマイニングを検討しているという。

バック氏は「太陽光発電を利用する場合、もし50%の時間しか稼働しないのであれば、コストを分析して検討する必要がある。機器のコストをすでに回収した後であれば、これは古いマシンの良い利用方法となる」という。

暗号資産の価格高騰により、今、Bitcoinのマイニング機器が世界的に不足している。需要が供給を上回っており、マシンの製造には1台あたり最大6カ月を要しているとバック氏は付け加えた。コンサルタント会社MMH Blockchain Group(MMHブロックチェーングループ)の創設者であるEmma Todd(エマ・トッド)氏によれば、この不足によりマイニングマシンの価格が押し上げられているという。

「例えば、2020年7月に中古市場で35~55ドル(約3800〜6000円)だったマイニングマシンのBitmain Antminer S9(ビットメインアントマイナーS9)が、今や275~300ドル(約3万〜3万3000円)ほどになっている」とトッド氏は言い、こう付け加えた。「つまり、新品機器や中古機器の購入を検討しているマイニング企業は、すべてではないにせよ、多くが同じような課題を抱えているということだ。世界的なチップ不足で、今後数カ月のうちに発売予定だった新しいマイニング機器のほとんどが、ほぼ確実に発売延期となるであろう」。

ド・フリース氏のような批評家は、効率的な新しいマシンを使っても、市場原理により、マイ二ング業者は電力消費量を減らすことはできないだろうと指摘する。

「より効率的なマシンがあっても、稼ぎ出す額が同じであれば、1台だけでなく2台のマシンを動かすことになるだろう」とド・フリース氏はいう。

それでも、暗号資産の価格は新しいマイニング機器を製造するよりも早いスピードで上昇しているため、再生可能エネルギーを利用する「引退した」古いマシンを使う方が、単に新しいマシンと入れ替えるよりも利益が大きくなると、バック氏は述べている。また、Bitcoinの強固なマイニングインフラは、電力を使い果たすといったことはなく、むしろコミュニティを支えることができると同氏は話す。Bitcoinのマイニング機器は、エネルギーを蓄え、売買で利益を出すことに役立つからである。

「価格が高騰する状況になればマイニング機器をオンにしたりオフにしたりできるし、緊急性や収益性が高ければ、人々のために電力を使って家を暖めることもできる。Bitcoinは事実上、電力網を支えることができる」とバック氏はいう。

一方、カナダ国境のすぐ北にあるUpstream Data(アップストリームデータ)の代表取締役Steve Barbour(スティーブ・バーバー)氏によると、伝統的な石油・ガス会社の中には、独自のBitcoinマイニング事業を密かに強化しているところが増えているという。

これは、Bitcoin経済が、スリランカやヨルダンのような小さな発展途上国の二酸化炭素排出量と同等であることを意味する。

バーバー氏は「現在大規模なマイニング事業の大半を占めているのは水力と石炭である。しかし、世界規模でみれば、天然ガスのような安価な電力にどんどんシフトしていくだろう。油田には、排出されるフレアや廃ガスを利用した安価なエネルギーがすでに存在しており、2021年は約160ギガワット(の採掘電力)が得られる可能性がある」という。

アップストリームデータは、石油会社がこれまで売却することができなかった廃棄物や低品質のガスを回収するという方法でBitcoinのマイニング機器の設置・運用を支援しており、北米で合計100件の導入実績がある。これらの企業のほとんどは、Bitcoinの批評家から否定的な意見を受けることを懸念し、マイニング事業について公表していないとバーバー氏はいう。

「確かに彼らは自社の評判に傷がつくことを懸念している。しかし、Tesla(テスラ)のような信頼できる大企業がBitcoinに関わっているのだから、そうした考えは間もなく変わるであろう」と同氏は付け加えた。

暗号資産業界においても、Bitcoinマイニングによる電力の大量消費が懸念され、さまざまなマイニング方法があちこちで試されている。例えば、Ethereum(イーサリアム)のコミュニティは、Bitcoinのエネルギー集約型のPoW(プルーフ・オブ・ワーク)モデルではなく、保有コインの割合によってネットワークを動かすPoS(プルーフ・オブ・ステーク)のマイニングモデルに切り替えようとしている。

その名が示す通り、PoWは多くの計算「作業」を必要とする。それがマイナーの行う仕事だ。難しい数学の問題を大量に解くため、コンピューターは大量の電力を必要とする。Ethereumに関して言えば、現在はPoWで運用されており、数年後に原理的にはPoSで運用されることになるのだが、日常的にアクティブなアドレス数十万で、Bitcoinの半分ほどになることもある。Bitcoinと同様、中国に施設を持つ少数のマイニング事業のプロジェクトが、Ethereumネットワークの電力の半分以上を生み出している。Ethereumの1回の取引は、米国の家庭2軒が1日に使用するエネルギーとほぼ同量のエネルギーを必要とする。

ド・フリース氏は「Ethereumのコミュニティで気に入っているのは、少なくとも彼らが問題を解決する方法を考えているということだ。気に入らないのは、彼らが数年前からそのことについて語っているのに、実際には実行できていないことである」という。

Ethereumのエコシステムは、毎年、パナマの国全体に電力を供給できるほどのエネルギーを消費している。Bitcoinと同様、Ethereumの各取引にはおいしいランチを買えるほどの電気料金がかかる。Ethereumの1日の利用者数はBitcoinの利用者数100万人の半分以下だが、両ネットワークはいずれも小さな国を動かすのに十分な電力を必要とする。暗号資産の取引はVISA(ビザ)の取引よりも多くの電力を必要とすることは明らかだ。しかし、暗号資産は単なる決済会社ではない。それは、通貨システムそのものなのだ。

Bitcoinの時価総額を、通貨供給量の値を使い、1つの国としてランク付けした場合、Bitcoinは日本に次いで5位となる。これはEthereumのようなそれに次ぐエコシステムについては考慮すらされていない。つまり、世界のBitcoin経済における電力消費量は、他のいくつかの産業化された金融システムのそれに匹敵するものなのだ。新興経済国で使われている多くのシステムと同様、ド・フリース氏が指摘するように、これは非効率的である。何百万人ものユーザーがいる中、世界中何千人ものユーザーが収入源として暗号資産に依存しているが、彼らは暗号資産のエコシステムについて概して楽観的で、技術が成熟するにつれ今より効率的になると信じている。

カナダのビジネスコンサルタントの1人Magdalena Gronowska(マグダレーナ・グロノフスカ)氏は「クリーンで進歩的な、より分散化されたエネルギーシステムへの移行において、Bitcoinマイニングはますます重要な役割を果たすと考える。マイナーは、バランスのとれた電力網や柔軟なデマンドレスポンス(需要応答)サービスを提供し、再生可能エネルギーの統合を強化することができる」と話す。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:暗号資産BitcoinEthereum電力マイニング

画像クレジット:Visual China Group(Image has been modified)

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(文:Leigh Cuen、翻訳:Dragonfly)

メルカリが暗号資産・ブロックチェーン領域参入、新会社「メルコイン」は暗号資産交換業者として申請予定

メルカリが暗号資産・ブロックチェーン領域参入、新会社「メルコイン」は暗号資産交換業者として申請予定

メルカリが新会社「メルコイン」の設立を4月下旬に設立します。メルカリの子会社として、暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発を行い、暗号資産交換業者の新規登録も行います。

発表によると、メルカリグループは「メルコイン」を「メルカリ」「メルペイ」に続く事業の柱に育てる方針。今後は売上金のビットコインでの受け取り機能の提供や、メルペイで決済・送金・与信・資産運用・暗号資産を1つのウォレットで管理できる機能を提供します。

また、価値交換を実現するブロックチェーン技術に取り組むことで、NFT(Non-fungible token)等、これまでのモノ・金に限らず、サービスやデジタルコンテンツなどのあらゆる価値を誰もが簡単に交換できる新しい取引の形の創出を目指すといいます。

メルカリが暗号資産・ブロックチェーン領域参入、新会社「メルコイン」は暗号資産交換業者として申請予定

暗号資産をめぐっては、米国の決済サービス大手「ペイパル」が自社ウォレットでの取り扱い開始を発表したほか、テスラが自社製品の購入代金にビットコインを利用可能とするなど、各社の参入が相次いでいます。

2020年末からの価格高騰を受けて、暗号資産全体の時価総額は200兆円を超え、金の時価総額(1200兆円)の6分の1に迫っています。また、直近では米フィデリティがビットコインETFの承認申請をSEC(米証券取引委員会)に行ったことでも話題を集めています。

発表の全文は下記の通りです。

株式会社メルカリ(以下、メルカリ)は、暗号資産やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発を行うことを目的に、メルカリの子会社として2021年4月下旬(予定)に株式会社メルコイン(以下、新会社)を設立することを決定いたしましたので、お知らせいたします。
※メルコインは、今後、暗号資産交換業者の新規登録申請を行う予定です。

暗号資産は、現在、暗号資産全体の時価総額が200兆円※1を超え、これまで採掘された金の時価総額約1200兆円[※2]の6分の1の規模に迫るなど、大きな存在になりつつあります。国内の暗号資産やブロックチェーンの領域においては、2017年4月に「資金決済に関する法律」が改正され、以降、様々な事業者が暗号資産交換業に参入、資産運用を中心に活用が広がっています。一方、グローバルな環境においては、資産運用に加え、決済や送金での利用等、様々なシーンで暗号資産やブロックチェーンの活用が広がっており、国内においてもこれまでに無い新たな顧客体験を提供できる可能性があると考えています。

新会社を設立し、暗号資産事業に取り組むことで、「メルカリ」においては、売上金のビットコインでの受取り機能の提供や、「メルペイ」においても決済・送金機能の提供に留まらず、与信、暗号資産・資産運用の機能を一つのウォレットで提供していく等、より簡単に金融サービスを利用できる環境を構築していきます。

また、価値交換を実現するブロックチェーンの技術に取り組むことで、NFT(Non-fungible token)[※3]等、これまでのモノ・お金に限らず、サービスやデジタルコンテンツなどのあらゆる価値を誰もが簡単に交換できる新しい取引の形を創出し、さらなる顧客体験の向上や顧客基盤の拡大に繋げていきたい考えです。メルカリは、メルコインにおける新たな挑戦を通じて、メルカリグループの新たな柱となりうる事業の企画・開発を目指してまいります。

※1:CoinMarketCap(https://coinmarketcap.com/ja/)2021年3月30日時点
※2:出典(グラム単価:https://www.kitco.com/kitco-gold-index.html、金の採掘量:https://www.gold.org/about-gold/gold-supply/gold-mining/how-much-gold)2021年3月30日時点
※3:NFT(Non-fungible token)とは、ブロックチェーン上に記録されるNon-Fungible Token(非代替性トークン)のことで、デジタル資産や権利などの所有や譲渡を記録するものです。

【メルコイン概要】
会社名:株式会社メルコイン / Mercoin, Inc.
設立日:2021年4月下旬(予定)
資本金:5,000万円(株式会社メルカリ100%子会社)
事業内容:暗号資産やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発
代表者名:青柳直樹
主要役員:
取締役CISO 曾川景介
取締役 伏見慎剛
監査役 栃木真由美
所在地:〒106-6118 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー

(Source:メルカリEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:フィンテック
タグ:暗号資産 / 仮想通貨(用語)SEC / 米証券取引委員会(用語)NFT / 非代替性トークン / クリプトアート(用語)中央銀行デジタル通貨(CBDC)Bitcoin / ビットコイン(用語)ブロックチェーン(用語)Paypal(企業)メルカリ / Mercari(企業)メルペイ(製品・サービス)日本(国・地域)

メルカリが暗号資産・ブロックチェーン領域参入、新会社「メルコイン」は暗号資産交換業者として申請予定

メルカリが暗号資産・ブロックチェーン領域参入、新会社「メルコイン」は暗号資産交換業者として申請予定

メルカリが新会社「メルコイン」の設立を4月下旬に設立します。メルカリの子会社として、暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発を行い、暗号資産交換業者の新規登録も行います。

発表によると、メルカリグループは「メルコイン」を「メルカリ」「メルペイ」に続く事業の柱に育てる方針。今後は売上金のビットコインでの受け取り機能の提供や、メルペイで決済・送金・与信・資産運用・暗号資産を1つのウォレットで管理できる機能を提供します。

また、価値交換を実現するブロックチェーン技術に取り組むことで、NFT(Non-fungible token)等、これまでのモノ・金に限らず、サービスやデジタルコンテンツなどのあらゆる価値を誰もが簡単に交換できる新しい取引の形の創出を目指すといいます。

メルカリが暗号資産・ブロックチェーン領域参入、新会社「メルコイン」は暗号資産交換業者として申請予定

暗号資産をめぐっては、米国の決済サービス大手「ペイパル」が自社ウォレットでの取り扱い開始を発表したほか、テスラが自社製品の購入代金にビットコインを利用可能とするなど、各社の参入が相次いでいます。

2020年末からの価格高騰を受けて、暗号資産全体の時価総額は200兆円を超え、金の時価総額(1200兆円)の6分の1に迫っています。また、直近では米フィデリティがビットコインETFの承認申請をSEC(米証券取引委員会)に行ったことでも話題を集めています。

発表の全文は下記の通りです。

株式会社メルカリ(以下、メルカリ)は、暗号資産やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発を行うことを目的に、メルカリの子会社として2021年4月下旬(予定)に株式会社メルコイン(以下、新会社)を設立することを決定いたしましたので、お知らせいたします。
※メルコインは、今後、暗号資産交換業者の新規登録申請を行う予定です。

暗号資産は、現在、暗号資産全体の時価総額が200兆円※1を超え、これまで採掘された金の時価総額約1200兆円[※2]の6分の1の規模に迫るなど、大きな存在になりつつあります。国内の暗号資産やブロックチェーンの領域においては、2017年4月に「資金決済に関する法律」が改正され、以降、様々な事業者が暗号資産交換業に参入、資産運用を中心に活用が広がっています。一方、グローバルな環境においては、資産運用に加え、決済や送金での利用等、様々なシーンで暗号資産やブロックチェーンの活用が広がっており、国内においてもこれまでに無い新たな顧客体験を提供できる可能性があると考えています。

新会社を設立し、暗号資産事業に取り組むことで、「メルカリ」においては、売上金のビットコインでの受取り機能の提供や、「メルペイ」においても決済・送金機能の提供に留まらず、与信、暗号資産・資産運用の機能を一つのウォレットで提供していく等、より簡単に金融サービスを利用できる環境を構築していきます。

また、価値交換を実現するブロックチェーンの技術に取り組むことで、NFT(Non-fungible token)[※3]等、これまでのモノ・お金に限らず、サービスやデジタルコンテンツなどのあらゆる価値を誰もが簡単に交換できる新しい取引の形を創出し、さらなる顧客体験の向上や顧客基盤の拡大に繋げていきたい考えです。メルカリは、メルコインにおける新たな挑戦を通じて、メルカリグループの新たな柱となりうる事業の企画・開発を目指してまいります。

※1:CoinMarketCap(https://coinmarketcap.com/ja/)2021年3月30日時点
※2:出典(グラム単価:https://www.kitco.com/kitco-gold-index.html、金の採掘量:https://www.gold.org/about-gold/gold-supply/gold-mining/how-much-gold)2021年3月30日時点
※3:NFT(Non-fungible token)とは、ブロックチェーン上に記録されるNon-Fungible Token(非代替性トークン)のことで、デジタル資産や権利などの所有や譲渡を記録するものです。

【メルコイン概要】
会社名:株式会社メルコイン / Mercoin, Inc.
設立日:2021年4月下旬(予定)
資本金:5,000万円(株式会社メルカリ100%子会社)
事業内容:暗号資産やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発
代表者名:青柳直樹
主要役員:
取締役CISO 曾川景介
取締役 伏見慎剛
監査役 栃木真由美
所在地:〒106-6118 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー

(Source:メルカリEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:フィンテック
タグ:暗号資産 / 仮想通貨(用語)SEC / 米証券取引委員会(用語)NFT / 非代替性トークン / クリプトアート(用語)中央銀行デジタル通貨(CBDC)Bitcoin / ビットコイン(用語)ブロックチェーン(用語)Paypal(企業)メルカリ / Mercari(企業)メルペイ(製品・サービス)日本(国・地域)

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初代ゲームボーイでビットコインを採掘する勇者現る、1コインあたり数兆年の採掘速度

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任天堂の携帯ゲーム機・ゲームボーイシリーズはPS5のプレイ画面になったりApple TVのリモコンに変身したりと今なお活躍中ですが、初代モデルをビットコインの採掘に活用するYouTuberが現れました。

YouTuberのstacksmashing氏(「ゲーム&ウオッチ スーパーマリオブラザーズ」をハックしてDOOMを動かした人)はRaspberry Pi Picoと古いリンクケーブル、および数個の基本的なソフトウェアを使って古いゲームボーイを再利用しています。PicoはゲームボーイとPCの入出力を制御し、ゲームボーイとPicoの間には電圧変換ロジックが使われていますが、ゲームボーイ本体に手は加えられていません。

ゲームボーイのハッシュレート(採掘速度)はおよそ0.8ハッシュ/秒とのこと。最新のマイニングマシンでは1秒間に約100テラハッシュ(100兆ハッシュ/秒)のため、わずか125兆倍しか違いません。

1コインを採掘するだけで数兆年はかかる計算ですが、stacksmashing氏は携帯しながらマイニングできると長所を述べています。「ゲームボーイは単に単三電池を4本使うだけです」と言われると、たしかにグラフックボードへの投資に加えて莫大な電気代がかかるマイニングよりも割が良いのでは……という錯覚に陥りそうです。

意外なデバイスや手法でビットコインを採掘する試みは様々なものがあり、かつては鉛筆と紙で手掘りしたり1960年代のパンチカードコンピュータで挑戦した人(1コインを生成するために宇宙の年齢138億年×約4万倍かかる)もいました。ファミコンやメガドライブがマイニングに参戦しても、今さら驚きはないのかもしれません。

(Source:stacksmashing(YouTube)、Via:MotherBoardEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ハードウェア
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テスラがEV販売でビットコイン決済を米国で受け付け開始、2021年中に他国でも

Tesla(テスラ)は2021年初めにBitcoin(ビットコイン)を大量に購入し、大きく報道された。2021年2月初め、当時の価格で約15億ドル(約1633億円)分を購入した。その際、同社は取引を報告する米証券取引委員会への文書の中で、ゆくゆくは車両を購入する顧客から決済として仮想通貨を受け付けるかもしれないと記していた。そして今、Elon Musk(イーロン・マスク)氏はそれを現実のものとした、と話している。少なくとも米国の顧客はビットコイン決済を選ぶことができ、同社は支払われたビットコインを「ホードル(売らずに持っておく)」する計画だという。

関連記事:テスラが約1578億円相当のビットコインを購入、将来的に仮想通貨での支払いも検討

ビットコイン決済を受け付けるインフラに関しては、同社はサードパーティーのネットワークやウォレットに頼っていない。「内部のオープンソフトウェアだけを使い、直接ビットコインのノードを操作する」とマスク氏はTwitterで述べている。そして顧客がビットコインで支払う際は不換通貨に換金せず、仮想通貨のまま残すとも語った。

Teslaがビットコインの購入を明らかにした2021年2月、傍観者たちは現金残高転換への同社の新たなアプローチを称えたり、かなりの価格変動をともなう資産への連結のために同社の計画を批判したりした。また多くの人が、カーボンフットプリントを考えたとき、ビットコインのマイニングコストがTeslaの全体の使命と相容れないと指摘した。コメンテーターたちは今日、電気自動車のために送電網に負荷をかける仮想通貨を受け付けるという皮肉を指摘し、こうした懸念を繰り返した。

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ビットコイン決済のプロセスがどのように機能するかについては、Teslaはよくある質問コーナーで詳細を説明している。顧客は自身のビットコインウォレットから決済手続きを開始する。クルマの価値はまだ米ドルで設定されており、現在のレートに基づいて車両のデポジットの正確な額を入力する。Teslaはさらに、返金の場合、米ドルに連動する価値が購入の時と返金の時では変わり得ることに注意するようにも書いている。

マスク氏はまた、このビットコイン決済を「2021年後半」までに米国外にも拡大する計画だと述べた。マーケットによっては規制に関する手続きをともなうかもしれないが、明らかにマスク氏は取り組む価値があると考えている。一方で3月24日朝に明らかになったこのニュースを受けてビットコインはわずかに上昇している。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Tesla仮想通貨Bitcoin

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

ビットコインを機関投資家に届ける起業家たち

暗号通貨業界は、不正を働くテクノロジー狂が参入する分野だという誤解が広がっている。しかし現実は、フィンテック業界で最も野心的な起業家の多くが、制度化されたビットコイン採用に多大な投資をしている。

Volt Capital(ボルトキャピタル)のSoona Amhaz(スーナ・アマーズ)氏もその一人である。同氏は、フォーブス誌が最近、シリコンバレーで最も影響力のある人物の一人に挙げた、レバノン系アメリカ人のベンチャーキャピタリストである。彼女がReddit(レディット)でビットコインについて知ったのは、ミシガン大学工学部の学生だった頃だ。現在彼女の会社は11社の暗号通貨系スタートアップに投資しており、Chicago DeFi Alliance(シカゴDeFiアライアンス)(CDA)のメンバーであるTD Ameritrade(TDアメリトレード)、Cumberland(カンバーランド)、CMT Digital(CMTデジタル)などの機関投資家と協力して活動している。

「現在の機関投資家は、早い時期に優秀な起業家を支援しようとしています。彼らは、こうした多くの(暗号通貨)プロジェクトのマーケットメーカーになることを目指しており、分散型金融(DeFi)プロジェクトと社会に定着した金融会社との統合およびパートナーシップを支援したいと考えています」とアマーズ氏は述べた。また「機関投資家はプロジェクトの先を読むことができます。もっと賢明であれば先手を打つこともできます」とも語った。

アマーズ氏によると、「DeFi」という言葉は、必ずビットコインと、このパンデミック中にデイトレーダーの間で人気を集めたさまざまなブロックチェーンベースのシステムとともに使用される。

「現在ますます注目を集めているDeFiプロジェクトには、自動化されたマーケットメーカー(AMM)、分散型取引所(DEX)集約のためのステーブルコインとプラットフォーム、融資とデリバティブなどが取り入れられています」とアマーズ氏は述べ、「最近のDeFiプロジェクトは、ビットコインを準備資産ではなく生産的資産として使用するための手段を多く提供しているにすぎません」と語った。

これまでほとんどの機関投資家は、暗号通貨への間接エクスポージャーを好んでいた。2013年にデリバティブ取引を提供するLedgerX(レジャーX)を共同設立した、Goldman Sachs(ゴールドマンサックス)出身のJuthica Chou(ジュシカ・シュー)氏は、物理的に決済されるビットコイン先物取引の先駆者である。このビットコイン先物取引は、Bakkt(バックト)CME Group(GMEグループ)などの企業で現在主流になっている。先物契約とビットコインのオプションにより、機関投資家は、ビットコインを直接所有しなくてもビットコインの価格に賭けることができる。現金決済の商品では、購入者は、ビットコインで支払いを受けるのではなく、たとえば1万ドル(約105万円)で購入するオプションの期限が切れたときに1万ドル(約105万円)を受け取るなど、ドルで支払いを受ける。噂では、資産運用大手企業BlackRock(ブラックロック)がビットコイン先物商品を提供する次の投資家になると言われている。

これまでのところ、多くの機関投資家は、リスクを低くするためなら利益の一部を諦めることもいとわない。機関投資家に最も人気のある商品プロバイダーの1つGrayscale’s Bitcoin Trust(グレースケール・ビットコイン・トラスト)(GBTC)は、伝えられるところによると、2021年1月に12億ドル(約1267億円)の新規投資家向け資金を見込んでいたようだ。

「依然としてオプションとデリバティブについては強気の見通しを持っています」とシュー氏は述べ、GBTCのような信託シェア、ビットコインオプション、さらには将来性のある上場投資信託(ETF)に対する機関投資家の需要は十分にあるため、2021年にはすべての投資家が莫大な富を生み出すことになる、と付け加えた。

また「現在の環境には、2013年当時よりもはるかに多くのインフラストラクチャが存在します」と話し、「証券保管機関のためのセキュリティインフラストラクチャやベストプラクティスもありますし、監査インフラストラクチャもあります。銀行業務も良い例です。2013年と比べると、私たちがいた場所と今いる場所は昼と夜ほどの違いがあります」と述べた。

特にGBTCに関しては、ビットコインを保管するよりもリスクが低い株式への需要はとどまることを知らないため、非常に高額なプレミアム価格が付き、暗号通貨を直接購入するよりも最大100%高くなることがある。Valkyrie(ワルキューレ)のCEO、Leah Wald(リア・ワルド)氏が2020年にテキサスを拠点とする資産運用会社を立ち上げたのはこのためだ。Crunchbase(クランチベース)によると、彼女は昨年資金を調達した女性創業者およそ800人のうちの一人である。

「パンデミックの間は、自分のネットワークを有機的に広げることができず、資金を調達するのが本当に困難でした」とワルド氏は述べ、「誰かと会いたくても会うことができませんでした。シード投資で必要なことの大半は、チームを信頼すること、質の高い対面での会話を通して信頼を築くことなのです」と付け加えた。

しかし2021年1月までに、彼女のスタートアップはCoinbase(コインベース)出身のCharlie Lee(チャーリー・リー)氏のようなエンジェル投資家から非公開のシードラウンドで資金を調達し、証券取引委員会にビットコインETFのローンチ承認を申請した。シュー氏によると、このようなビットコインETFは「すでにブローカーや証券サービスを利用している人々が自由に参入」できるため、エコシステム全体を後押しするだろう。

ETFの提案は、Winklevoss(ウィンクルボス)兄弟のTyler(タイラー)氏とCameron(キャメロン)氏が2013年に提出した提案を皮切りに、何度も却下されてきたが、ワルド氏は「ETFを承認してもらうのに今ほどよいタイミングはないと確信しています」と言う。先物、オプション、信託シェア、ETFなど多くの商品があるが、これらの商品はすべて異なる形で規制されるため、原資産であるビットコインよりも早く換金したり、さまざまな方法で取引したりでき、規模の拡大も可能である。一般に機関投資家は、大抵は収益性が高い新興の暗号市場に対するにエクスポージャーを獲得するための、間接的な方法を模索している。

「ビットコインの時価総額は十分に高くなり、規制当局にとって、ビットコインはついに重要な基準を超えたかもしれません」とワルド氏は述べ、「2017年に規制当局がビットコインETFを承認することをためらった最大の理由は、資産管理のソリューションとセキュリティに関する懸念だったと思います。これについては私も理解できます。今では企業レベルのオプションを使用して、より優れたセキュリティと管理を提供できます」と語っている。

ワルド氏は、ワルキューレのビットコイン信託シェアと今後のETFは、ボラティリティとプレミアムを低減するように構成されている、と付け加えた。

「私たちは透明性の高い商品を作りたかったのです。基準価格(NAV)に近いところで商品が取引されるようにしたかったのです」とワルド氏は言い、次のように続けた。「私たちは、普通の投資家がビットコインへのエクスポージャーを購入できるように、ETFファンドをローンチした唯一のビットコイン信託です」。

暗号通貨を利用する女性起業家の間で起きているこの傾向は、アメリカのテックバブルに限ったことではない。香港を拠点とする暗号通貨と先物取引の取引所AAXのマーケティング責任者であるToya Zhang(トーヤ・チャン)氏によると、ワルド氏のプラットフォームでは、ユーザーの25%、および主要ユーザーの3分の1を女性が占めているという。

「当社の最大市場はロシアです。ロシア以外では、香港、韓国、インドネシア、インドがあります」とチャン氏は述べ、「アジアの女性は男性よりも熱心に資金管理をしています。中国と香港の株式投資ユーザーグループを見ると、女性が半数以上を占めています」と語った。

高度に専門化した暗号通貨市場は、他の金融セクターに比べて急速に多様化している。インドの仮想通貨取引所CoinSwitch.co(コインスイッチ)では、地域にもよるが、ユーザー約2万5千人のうち50%を女性が占めていると報告されている。また暗号通貨取引所Gemini(ジェミニ)の調査によると、イギリスの暗号通貨ユーザーの40%以上は女性だということだ。

どこの国でも、男女間格差の要因は、関心の欠如ではなく自己資本かもしれない。2018年に世界銀行は、女性が資本資産の38%しか所有していないと推定した。さらにクランチベースの集計によると、2009年から2019年の間に資産を調達したスタートアップのうち、創業者を女性とする企業は、20%未満の1万5379社にすぎない

スタートアップ企業以外にも、New York Digital Investments Group(ニューヨーク・デジタル・インベストメンツ・グループ)(NYDIG)のような、女性幹部がかじを取って、確立されている仲買業務モデルに革新をもたらした企業が数社ある。

2020年12月には、保険会社のMassachusetts Mutual Life Insurance Co.(マサチューセッツ・ミューチュアル生命保険会社)が1億ドル(約105億円)のビットコインを購入し、NYDIGの株式を取得したが、これは2021年におけるビットコインエクスポージャーへの機関投資家の需要に強気の見通しがあることを示す動きだった。その後、2021年2月8日に、Elon Musk(エロン・ムスク)氏の上場自動車会社Tesla(テスラ)が15億ドル(約1582億円)相当のビットコインを購入したことで、機関投資家の主張の正当性が立証された。

「2021年に、従来の投資家やアロケーターにビットコインが広く受け入れられるようになったことは、本当にうれしいことです」とNYDIGのYan Zhao(ヤン・チャオ)社長は述べている。「私たちは、銀行や資産管理者がビットコインの商品やエクスポージャーを提供できるようにサポートします。当社が後方支援します」。

チャオ氏によると、ビットコインに重点を置く同社はデリバティブを含めて約40億ドル(約4219億円)を運用しており、現在は民間銀行やさまざまな資産管理会社などの見込み客を獲得しようとしているという。同社はビットコインETFや信託シェアなどの考えを進んで取り入れようとしているが、イーサリアムベースのDeFi商品には興味がないようだ。

「当社はビットコインに注力するという意識的な決定を下しました」とチャオ氏は言う。

同様に、チャオ氏は現在取引できるイーサリアムベースのDeFiオプションの多くに懐疑的になっていたが、DeFiデリバティブオプションの将来については慎重ながらも楽観的な見方をしている。

「暗号通貨ネイティブの商品が重要なのは、この商品を利用すると、中央集権的な機関を関与させずに取引を促進できるためです」とチャオ氏は述べた。

つまり、今では従来のオプションで暗号通貨の利益を間接的に享受できることに加え、暗号通貨そのものが、同程度の価値を持つ利用しやすい金融商品を提供するために実験的に利用されている。これらのDeFi商品は、価格のエクスポージャーだけでなく、新たな機能性を実現するために設計されている。

一方、カリフォルニアでは、ネットワークスケーリングに携わるLightning Labs(ライトニングラボ)のCEOであるElizabeth Stark(エリザベス・スターク)氏からボルトキャピタルのアマーズ氏まで、次世代のビットコインのクジラ(大口投資家)は、シリコンバレーの過去のユニコーン企業と大きく異なって見えるかもしれない。

「私たちの業界は、90年代初頭のテック業界やずっと昔の金融業界とは様相が違っています」とアマーズ氏は述べ、「私たちは、より高度で、より確かな情報を活用したベースラインからスタートしています。ですから、やるべきことはまだありますが、先行きは明るいと考えています」と語った。

情報開示:リア・ワルド氏とLeigh Cuen(リー・クエン)氏は、有志団体Digital Salon Initiative(デジタル・サロン・イニシアティブ)の共同創設者である。

関連記事:急成長中の仮想通貨取引所Coinbaseが上場申請

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:ビットコイン

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(文:Leigh Cuen、翻訳:Dragonfly)

急成長中の仮想通貨取引所Coinbaseが上場申請

米国時間2月25日午前、仮想通貨取引所のCoinbase(コインベース)がS-1申請書を提出した。同社は直接上場を想定している。同社の株式公開は、Bitcoin(ビットコイン)をはじめとするブロックチェーン資産を巡る最近の活動、物議を醸している政治との関わり民間取引市場における企業価値急騰のためもあって、大きな注目を集めている。

関連記事:暗号資産取引所Coinbaseが直接上場

Coinbaseの財務状況は2019年から2020にかけて急速に成長している。しかも、調整前収支でも利益を上げた。一般に急成長中のテック企業は、調整後利益などのより見栄えのする数値を使いたがる傾向がある。

2019年、Coinbaseは売上5億3370万ドル(約565億6000万円)で3040万ドル(約32億2000万円)の損失だった。2020年には、売上12億8000万ドル(約1356億5000万円)に対して1億2750万ドル(約135億1000万円)の純利益を計上した。

この仮想通貨ユニコーンは2020年に139%以上成長し、2019年の結果から大きく改善した。この会社の規模と成長は、なぜ非上場市場で1000億ドル(約10兆5960億円)もの価値をつける投資家がいるのかを理解する上で役に立つだろう。

Coinbaseの売上は変化が激しい。2020年第1四半期に1億9060万ドル(約202億円)だった売上が第2四半期には1億8640万ドル(約197億5000万円)に下がった。その後Coinbaseの売上は加速され、2020年第3四半期は3億1540万ドル(約334億2000万円)、第4四半期は5億8510万ドル(約619億9000万円)だった。

Coinbaseが、直接上場に向けて前進している理由は単純だ。つい最近最高の四半期を終えたところだからだ。

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その並外れた第4四半期に、Coinbaseの経常利益は2億2660万ドル(約240億1000万円)、純利益は1億7680万ドル(約187億3000万円)だった。これは過去の四半期と比べて質の高い収益性の改善であり、魅力的な年末収支を会社にもたらした。

仮想通貨取引所であるCoinbaseは、売上のほとんどを取引手数料から得ている。Coinbaseには他に、比較すると地味な「サブスクリプションとサービス」売上カテゴリーがあり、2020年第4四半期の売上は2070万ドル(約21億9000万円)前後だった。

さらにCoinbaseは、営業キャッシュフローが2019年のマイナスから2020年は驚くべきプラスに転じた。ただし、Coinbaseが2020年生み出したプラスの営業キャッシュフロー30億ドル(約3718億5000万円)のうち「27億ドル(約2860億9000万円)は仮受保管ファンドの手数料に関わる現金」によるものなので、それを差し引けば理解可能な規模になる。

以上が初見の感想だが、Coinbaseは急成長中で利益を上げ直接上場に向けて準備万端整っているユニコーンだ。今投資家たちの頭にあるのは、歴史的に流動的な仮想通貨に対する市場の関心を反映しているCoinbaseの売上成長をどう評価するかだけだ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Coinbase新規上場仮想通貨

画像クレジット:Steve Jennings / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook