Fitbitの最新フィットネストラッカー「Luxe」は約1.6万円の高級感あるデラックスモデル

Fitbitのここ数年は奇妙な時期だった。フィットネストラッキングという新分野のパイオニアだったにも関わらずスマートウォッチのトレンドには遅れを取ったきらいがあった。それでも波に乗って業績を回復することに成功している。今やGoogleの一員となったFitbitだが、ここ数年ニュースで取り上げられるときは、腕時計本体よりもバンドが相当の部分を占めていた。

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米国時間4月19日にFitbitはLuxeを発表した。これは一風変わった製品に思える。確かに市場はあると思うが、どの程度のニッチなのかはよくわからない。Fitbitはターゲットを「ニーズがまだ満足されていないユニークな購買層」と呼んでいる。つまりLuxeは、外出時にプラスチック製のバンドよりもう少し高級感があるバンドを身に着けたい人々のための「ファッショナブル」なトラッカーだ。

はっきり言ってLuxeはFossilのMisfitから影響されたものだ。Misfitは少し時代に進みすぎていたかもしれない。Luxeの149ドル(約1万6000円)という価格は同社のChargeとVersaの中間だが、Chargeに近い。Fitbitとしては上位モデルだが、価格帯はFitbitを含めたフィットネストラッカー全般のカテゴリーに収まる。

カラーのタッチスクリーンをステンレスのケースが囲んでいるデザインが特徴的で、確かになかなかかクールな外見だ。バンドもレザーからゴールドのステンレスまで幅広く用意されている。

今やGoogleの一員となった共同ファウンダーのJames Park(ジェイムズ・パク)氏はこう述べている。

この1年間、私たちは健康についてこれまでとは違った考え方をする必要に迫られました。現代社会のストレスや不安に対応して健康を守る努力を続ける一方で、新型コロナウイルスの症状が出ていないか注意する必要が出てきました。Fitbitでは精神と肉体を含め全体として健康であることをサポートする製品を積極的に紹介してきました。新しいLuxeは美しいデザインであるだけでなくテクノロジー的にも進歩を遂げており、より小さくよりスリムなったのトラッカーです。これまでスマートウォッチでしか利用できなかった先進的な機能が詰め込まれています。これによって高機能フィットネストラッカーが世界の人々の手の届きやすいものになりました。

下の動画はパーク氏自身によるLuxeの紹介だ。

パンデミックが続いたこの1年、計測された歩数は激減しているものの、身体的・精神的な健康がかつてなく重視されるようになったことは間違いない。このデバイスには通常のFitbitセンサーが搭載されており、活動量、睡眠、ストレスをトラッキングできる。また、最近発表されホリスティック医療のリーダー、Deepak Chopra(ディーパック・チョップラ)との提携を含め、マインドフルネス・瞑想アプリとも連携する機能を備えている。

バンドの予約は受付が開始されているが、製品の出荷は今春中とされ、具体的な日付は発表されていない。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:FitbitウェアラブルデバイスフィットネストラッカーGoogle

画像クレジット:Fitbit/Google

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(文:Brian Heater、翻訳:滑川海彦@Facebook

Googleは位置データの設定で消費者を誤らせたとオーストラリアの裁判所が裁定

Googleの位置データ履歴の収集がオーストラリアで同社に熱湯を浴びせ、同国の競争と消費者委員会(Competition and Consumer Commission, ACCC)が連邦裁から引き出した裁定によりこのテクノロジー大手は、規制当局が「世界で初めての強制執行」と呼ぶものの中で、人びとを混乱させる二重の位置設定を運用し消費者を誤らせた、となってしまった。

この問題は2017年1月から2018年12月までのAndroidモバイルデバイスからGoogleが収集した個人の位置データに関連している。

ACCCによると裁判所は、「消費者がAndroidデバイスの最初のセットアップで新しいGoogleアカウントを作ったときGoogleは、『位置履歴』の設定はGoogleアカウントだけの設定であり、それによりGoogleが消費者の位置に関する個人を同定できるデータを集め、保持し、利用するという、間違った表現をしている」と裁定した。

なぜならば、「しかし実際には、『Webとアプリの行動』と題されたもう一つのGoogleアカウント設定項目が、Googleによる個人を同定できる位置データの収集と保存と使用を設定により可能にでき、しかもその設定はデフォルトでは『可能』になっている」、という。

さらに裁判所の裁定では、消費者が同じ時期のその後に自分のAndroidデバイス上で「位置履歴」の設定にアクセスして設定を無効にすると、Googleは消費者を欺き、『Webとアプリの行動』では設定が有効のままであることを告げないので、Googleは継続して消費者の個人を同定できる位置データを集めて保存して使用できる。

ACCCはこう付け加えている: 「同様に2017年3月9日と2018年11月29日の間は、その後消費者が自分のAndroidデバイス上の『Webとアプリの行動』の設定にアクセスするとGoogleは彼らに、その設定が個人の位置データの収集にも適用されることを伝えないことによって消費者を誤らせる」。

Googleの位置データ処理が欺瞞的であるという同様の苦情は、同社がごまかしの手段でWebユーザーの位置を広告のターゲティングのために追跡しているという非難とともに、以前からヨーロッパの消費者保護省庁が提起していた。そして2020年2月には、当該地域のデータ規制当局が同社の調査を開始した。しかしながらその調査はまだ進行中である。

しかしACCCの今日(米国時間4/16)の発表によると同機関は、連邦裁のこの裁定に続いてさらに、「結果の公表と罰金刑の導入、罪状公示命令、およびコンプライアンス命令」を求めると言っている。ただし規制機関としての執行の具体的な中身は「後日」決定するという。Googleに下る命令や罰金の金額などは、現状では明らかでない。

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Googleは裁判所の裁定を上訴するかもしれない。

Googleは今日、同社の法的対応を検討した上で「上訴の可能性もある」と言っている。同社が強調しているのは、裁判所がACCCの訴えに全面的には同意していないことだ。たとえば、消費者が自分の位置データの収集を防ぐためにできることと、個人の位置データをGoogleが利用している目的に関する、Googleの声明に対するACCCの訴えは棄却されている。

Googleの声明はこうだ:

裁判所はACCCの幅広い主張の多くを棄却した。弊社は残りの事実認定に対しても同意できないので現在弊社としての対応を検討しており、それによっては上訴もありうる。弊社は位置データに関して堅固な制御機能を提供しており、つねに保護の改善に努めている。たとえば弊社は最近、位置履歴の自動削除指定を導入して、ユーザーによるデータのコントロールをより容易にした。

位置設定の構成に関してなにも間違ったことはしていない、とマウンテンビューは主張しているが、しかしそれと同時に、ユーザーに提供するコントロールの改良をつねに目指しているとも主張している。Googleの設定とデフォルトはそれでもなお、以前から規制当局の厳しい目に晒されてきた。

2019年には、フランスのデータ監視当局CNILが、EUの一般データ保護規則(General Data Protection Regulation, GDPR)による透明性と同意に関する数多くの違反で5700万ドルの罰金を科した。それはGDPRの規制が発効されてから3年足らずの時点でGoogleに科せられた最大の罰金だが、もっと最近では、ユーザーを追跡するクッキーを同意なく投下したとしてEUの別の法律でGoogleは1億2000万ドルを科せられた。

一方オーストラリアは、Google(とFacebook)の市場における力を直接ターゲットにできる法制の年内成立を目指している。2月に成立したニュースメディアの交渉コードを必須とする法律では、ジャーナリズムのコンテンツの再利用をめぐる大手プラットホームとパブリッシャーの間の力の不均衡の解消を目指している。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Sundry Photography/Getty Images

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Google Earthが2017年以来「最大のアップデート」、地球の37年間の変化を3Dタイムラプスで

Google(グーグル)は米国時間4月15日、Google Earthのアップデートを行い、過去37年間に撮影された2400万枚の衛星写真をまとめたTimelapse(タイムラプス)モードを新たに追加した。そして……それだけだ。Googleによると、誰もがおそらく存在すら忘れていたGoogle Earthにとって、2017年のリデザイン以来最大のアップデートだという。

ちなみに、Google Earthはその後、大きな新機能のアップデートを行っていない。だから自動的にデフォルトで、これは久しぶりに行われたEarthの最大のアップデート、といえるだろう。なお、Google Earthのタイムラプスは数年前にローンチされていたが、専用サイトからのアクセスで2Dのみだった。それが今回は3Dになった。地球の37年間の推移を見ることができる、エキサイティングな(それか氷河や熱帯雨林を見た場合は、実に気が滅入る)5分間だ。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleGoogle Earthタイムラプス

画像クレジット:Google

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

GoogleのFeedBurnerがインフラを移行、メール購読サービスを廃止

米国時間4月14日、Google(グーグル)はFeedBurnerを新しいインフラストラクチャーに移し、メールのサブスクリプションサービスを廃止すると発表した

古くからのインターネットユーザーなら、GoogleのFeedBurnerを使って自分のブログや初期のポッドキャストのRSSフィードを管理したことがあるだろう。何しろ「Web 2.0」の頃には、それがフィードの管理やアナリティクスのデファクトスタンダードだった。2004年にDick Costolo(ディック・コストロ)氏らが創業したFeedBurnerは、2007年にGoogleに買収された。その後、コストロ氏はは、2010年にTwitterのCEOになった。

それ以来今日まで、FeedBurnerには中途半端な時期が続いた。GoogleはGoogle+のようなあまりぱっとしなかったソーシャルの実験を優先して、Google Readerのような人気サービスをあっさりと閉鎖したが、FeedBurnerだけは、AdSenseの統合を止めるといったサービスの一部を閉鎖しながらも、毎日のようにフィードを燃やし続けた。

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このサービスのことを気にしている人はもうあまりいないだろうし、RSSも悲しいかな徐々に影が薄くなっている。しかしこのサービスはメンテナンスが楽なので、Googleもこれまで動かし続けたのだろう。にも関わらずそれを閉鎖すれば、重要なツールを破壊されたパブリッシャーたちが大騒ぎを起すことは確実だ。ちなみに、間違いなくデスクトップのRSSリーダーで購読していただいているであろうTechCrunchのRSSフィードのアドレスもご覧のとおり「http://feeds.feedburner.com/TechCrunch/」だ。

というわけで、14年後の米国時間4月14日、Googleは「このプロダクトの次の章をサポートするために近くいくつかの変更を行う」と発表した。まずサービスを、新しい安定性の良いインフラストラクチャーへと移す。

そして2021年7月には、フィードの管理とは関係のない副次的な機能の一部を閉鎖する。中でも重要なのは、フィードがアップデートするときに読者にメールで届いた通知だ。ただしフィードのオーナーはメールのサブスクライバーのリストをダウンロードできるし、それは7月以降もできるだろう。そして、BloggerのFollowByEmailウィジェットもなくなる。でも今は2007年ではないから、TechCrunchの記事にFeedBurnerとBloggerの両方の名前が登場するとは、誰も想像しなかっただろう。

FeedBurnerの中核的な機能はそのまま残るとGoogleは強調している。でも、メールのニュースレターは現在でも人気があるため、メール通知の廃止はおかしな決定だ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleRSSFeedBurner

画像クレジット:fatido/Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アップルとグーグルがアプリストアの競争に関する米上院公聴会に出席

姿を見せない思われていたApple(アップル)が、2021年4月末に行われる同社アプリストアの独占禁止をめぐる上院の聴聞会に代理人を送ることを約束した。

先に上院議員のAmy Klobuchar(エイミー・クロブシャー)氏(民主党・ミネソタ州)とMike Lee(マイク・リー)氏(共和党・ユタ州)はAppleに圧力をかけた。クロブシャー氏はこの小委員会の議長を務めており、テクノロジー業界で最も支配的な企業に対する独占禁止法上の懸念に焦点を当てている。

Google(グーグル)も出席するその聴聞会では、AppleとGoogleによる「消費者とアプリの開発者と競争に及ぼす、モバイルアプリケーションのコストと配布と可用性に関するコントロール」を徹底的に掘り下げられる。

アプリストアはテクノロジー業界において、二社による複占の嫌疑を最もかけられている部分だ。その疑いは、FortniteのメーカーであるEpic Gamesに対するAppleの高飛車な法定闘争で一層深まった。しかし一方ではテクノロジー大手に対する州レベルの規制もいくつか芽生えており、アリゾナでは、AppleとGoogleによるアプリストアの利益の簒奪から開発者を護る方策が模索されている

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先週の書簡で、クロブシャー氏と小委員会の有料メンバーであるリー氏は、Appleが4月21日に行われる公聴会に証人を送らないと決めたことを「唐突」に非難した。

「Appleが突然方針を変えて、4月に行われるアプリストアの競争の問題に関する小委員会で、証人の提供を拒否したことは、同社が他の公共の場では明らかにそれらの問題を議論する意思を示しているだけに、容認できない」と議員たちは述べている。

4月12日には、この圧力が効果を表したようで、Appleは公聴会への出席に合意した。この件に関して、Appleはコメントの求めに応じなかった。

議員たちはAppleの応諾を勝利に数えたが、同社CEOが出席するとは限らない。テクノロジー大手のCEOたちが議会に呼ばれる機会はここ数年増えているが、そこから得られる成果はむしろ減っているかもしれない。

テクノロジー企業のCEOたちは、AppleのTim Cook(ティム・クック)氏も含めて、議員から圧力を受けたときには実のあることを何も言わない術を学習している。CEOを引っ張り出すことは権力の誇示にはなるかもしれないが、テクノロジー業界の役員たちは一般的に、その長い証言の過程でほとんど何も明かさない。ヒアリングに本格的な取り調べが並行していない場合には、特にそうだ。

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カテゴリー:その他
タグ:AppleApp StoreGoogle独占禁止法アプリGoogle Play

画像クレジット:Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

米国のプライバシー保護団体が「監視広告」の禁止を米議会に強く要請

米国時間3月25日に、ビッグテックと議会による「映画のような」激しい応酬が行われた。米国議会は、虚偽情報という不快なトピックについて今回もFacebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、Twitter(ツイッター)のCEOに聴聞する予定だ。それに先立ち、プライバシー、反トラスト、消費者保護、公民権の各分野の組織で構成される連合体が「監視広告」の禁止を要求し「ビッグテックの有害なビジネスモデルが民主主義を弱体化させている」という論調を強めている。

「不快な広告」の禁止を要求しているのは、40あまりの組織で構成される強力な連合体だ。このような広告には、行動広告のターゲティングを目的としたウェブユーザーの大規模追跡とプロファイリングが利用されている。この連合体には、American Economic Liberties Project(アメリカ経済的自由プロジェクト)、Campaign for a Commercial Free Childhood(広告のない子ども時代を目指すキャンペーン)、Center for Digital Democracy(デジタル民主主義センター)、Center for Humane Technology(人道的技術センター)、Epic.org(電子プライバシー情報センター)、Fair Vote(フェア・ボート)、Media Matters for America(メディア・マターズ・フォー・アメリカ)、Tech Transparency Project(技術透明性プロジェクト)、The Real Facebook Oversight Board(リアルフェイスブック監視委員会)などの組織が参加している。

同連合体は公開書簡の中で「我々はさまざまな問題や業種を代表しており、コミュニティの安全性と民主主義の健全性に対する懸念を共有している。ソーシャルメディア大手は、情報を吸い取る有害なビジネスモデルのサービスにおいて、合意された現実を侵食し、公共の安全を脅かしている。監視広告の禁止に向けた取り組みで我々が協力しているのはそのためだ」と述べている。

この連合体はまた、より安全な非追跡型の代替手段(コンテキスト広告など)が存在することを指摘している。一方で、アドテックのインフラストラクチャのさらなる透明性とそれに対する監督が、関連するさまざまな問題(ジャンクコンテンツ、陰謀論の増加、広告詐欺、デジタルイノベーションの荒廃など)の解決に役立つ可能性があると主張している。

前述の公開書簡の中には「この危機に対処するための特効薬はない。この連合体のメンバーは、包括的なプライバシー関連の立法、反トラスト法の改正、責任基準の変更など、引き続きさまざまな政策的アプローチを追求していく。しかし全員が同意できることが1つある。それは、今こそ監視広告を禁止すべきときだということだ」と書かれている。

さらに、同連合体は「ビッグテックのプラットフォームは、憎悪、不法行為、陰謀論を増幅している。また、ユーザーにますます極端なコンテンツを提供するようになっている。それによってエンゲージメントと利益を最大化できるためだ」と警告する。

「ビッグテック自身のアルゴリズムツールによって、白人至上主義者のグループ、ホロコースト否認主義、新型コロナウイルス感染症関連のデマ、偽造オピオイド、虚偽の癌治療情報など、あらゆる情報の拡散が促進されてきた。エコーチェンバー現象、急進化、嘘の拡散はこのようなプラットフォームの特徴である。これはバグではなく、ビジネスモデルの中心なのだ」。

また、この連合体は監視広告による従来型ニュースビジネスへの影響についても警告している。プロのジャーナリズムにおける収益が減ってきており、それにより民主主義で取り組むべき(真の)情報エコシステムへの危害が大きくなっていると述べている。

これらの批判にもそれなりの根拠はあるのが、従来型ニュースの終焉をテクノロジー大手のせいにするのは単純化しすぎである。巨大テック企業の存在そのもの、つまりインターネットによってもたらされた産業のディスラプション(創造的破壊)を批判しているのと同じだ。とはいえ、一部のプラットフォーム大手による、プログラムを使用したアドテックパイプラインの支配は、明らかによいことではない(オーストラリアの立法はこの問題に対して判決を下したが、つい最近のことであるため、まだその影響を評価することはできない。しかし、ニュースメディアへの対価の支払いを義務付ける法律の恩恵を受けるのは大手メディアビッグテックだけで、声を上げた両業界全体に利益がもたらされることにはならない、というリスクがある)。

同連合体は次のように警告する。「フェイスブックとグーグルの独占的な力と、データを『収穫』する行為は、両社に不公平なほど大きなメリットを与えてきた。それにより両社はデジタル広告市場を支配し、以前は各地域の新聞が得ていた収益を吸い上げるようになった。そのため、ビッグテックのCEOがさらに裕福になる一方で、ジャーナリストは解雇されている。ビッグテックは現在も差別、分断、迷いを煽っている。標的型の暴力を助長し、暴動の土台を用意することになる場合でも、金銭面でのメリットがある限りこれを行う」。

連合体は、具体的な被害をまとめたリストの中で、フェイスブックとグーグルなどのテクノロジー大手による圧倒的に有利なオンラインビジネスモデルが「医療関連のデマ、陰謀論、過激なコンテンツ、外国のプロパガンダを促進する狡猾な虚偽情報のサイト」の資金源になっていると指摘している。

「監視広告を禁止することで、デジタル広告の表示に対する透明性と説明責任を以前のように戻せる可能性がある。また、虚偽情報のパイプラインにおいて重要なインフラストラクチャとして機能しているジャンクサイトの資金を大きく減らせる可能性がある」と同連合体は主張し、さらに「このようなサイトでは、拡散目的で作られた陰謀論がいつまでも続くことになる。この陰謀論は、ソーシャルメディア上の悪意のあるインフルエンサーや、エンゲージメントに飢えたプラットフォームのアルゴリズムによって拡散が促進される。つまり、監視広告が有害なフィードバックループを加速し、資金源にもなっている」と述べている。

同連合体が指摘する被害には他にも、プラットフォームによるジャンクコンテンツや虚偽コンテンツ(新型コロナウイルス感染症に関する陰謀論やワクチンに関する誤った情報など)の拡散による公衆衛生に対するリスク、不公平に選ばれた、またはバイアスがかかった広告ターゲティング(女性や民族的マイノリティなどを違法に排除する求人広告など)を通じた差別のリスク、コンテンツや広告におけるユーザーエンゲージメントを増加させるために過激なコンテンツや悪意のあるコンテンツを増やす、広告プラットフォームによる道義に反する経済的インセンティブ(これは社会の分断を促進する。また、コンテンツが多く拡散されるほどプラットフォームが財務的に利益を得るという事実の副産物として党派性を促進する)、等がある。

同連合体はまた、監視広告システムが「小規模ビジネスに対して不正な試合を持ちかけている」とも主張している。プラットフォームの独占的状態が監視広告システムに組み込まれるためだ。これは「不快な広告は何らかのかたちで中小企業と大規模ブランドの勝負を公平にする」というテクノロジー大手の自衛的主張に対する妥当な反論である。

「フェイスブックとグーグルは自らを小規模ビジネスのライフラインであるかのように装っている。しかし真実は、単に独占企業としてデジタルエコノミーへのアクセスに対して課金しているだけだ」と同連合体は述べており、独占的状態にある両社による「広告市場に対する監視に基づく拘束により、小規模企業はレバレッジや選択肢を利用できない」と主張している。これはビッグテックによる搾取の余地を生む。

そのため、同連合体は、フェイスブックとグーグルが米国の広告市場の60%近くをコントロールしている現在の市場構造ではイノベーションと競争が抑制される、と断言している。

「監視広告はオンラインパブリッシャーに恩恵をもたらすのではなく、ビッグテックのプラットフォームに対して偏ったメリットをもたらす」と同連合体は述べ、フェイスブックは2020年に842億ドル(約9兆3214億円)の広告収入を、グーグルは1348億ドル(約14兆9231億円)の広告収入を得て「一方で監視広告の業界では詐欺の申し立てが多数あった」と指摘する。

行動ターゲティング広告の禁止を要求するキャンペーンは、今回が初めてではない。しかし、支持している署名者の数を考えると、これは、今の時代を形作り数社のスタートアップが社会と民主主義を弱体化させる巨人に姿を変えたデータ収穫型ビジネスモデルに反対する勢いの大きさを示している。

米国議会がビッグテックの影響に細かい注意を払うようになってきたため、この点は重要だと思われる。また、複数のビッグテックに対する反トラスト法関連の訴訟が進行中である。とはいえ、マイクロターゲティングの悪用の影響と民主的社会へのリスクについて早い段階で警鐘を鳴らしたのは、欧州のプライバシー規制当局だ。

話は2018年にさかのぼる。Cambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)が関与していたフェイスブックデータの不正使用と投票者をターゲットにしたスキャンダルが発生すると、英国のICOは、倫理的な理由から政治キャンペーン目的でのオンライン広告ツールの使用停止を要求した。また「Democracy Disrupted? Personal information and political influence(民主主義は崩壊したのか?個人情報と政治的影響)」というタイトルの報告書を作成した。

その同じ規制当局が、行動ターゲティング広告が制御不能になっているという警告を2019年に受けていながら、アドテック業界によるユーザーデータの違法使用に対してこれまでアクションを起こしてこなかったことは、ちょっとした皮肉では済まされない事態だ。

ICOが行動を起こさないのを見た英国政府は、ビッグテックを監督する専門の部門が必要だと判断した。

英国政府は近年、オンライン広告の分野を独占禁止法関連の懸念事項として挙げており、2019年に競争・市場庁が実施したデジタル広告セクターの市場調査に従い、競争重視の規制機関を作ってビッグテックの支配に対応していくと述べている。この調査では、アドテックによる独占的状況に対する大きな懸念が報告された

一方で、欧州連合のデータ保護監督機関のトップは先月、インターネットユーザーのデジタルアクティビティに基づくターゲティング広告を、停止ではなく禁止することを主張し、各加盟国の議員に対して、デジタルサービスルールの大規模な改正にそのための手段を組み入れるよう求めた。このルールは、運用者の説明責任などの目標達成を促進することを目的としたものである。

欧州委員会の提案がここまで踏み込んだのは今回が初めてだ。しかし、デジタルサービス法とデジタル市場法に関する交渉は現在も継続中である。

2020年、欧州議会でも、不快な広告に対してより厳しい姿勢で臨むことが支持された。ただし、ここでもオンラインの政治広告対応に取り組む委員会のフレームワークでは、あまり過激な内容は提案されていない。そのため、EUの議員はさらなる透明性を求めている。

米国議会が今回のキャンペーンにどう反応するかはまだわからないが、米国では市民社会組織は協力してターゲティング広告に反対するメッセージを広めようとしており、有害なアドテックを一掃すべきだ、という圧力が米国内でも高まっている。

同連合体のウェブサイトに記載されているコメントの中で、フォーダム大学ロースクールの法律学准教授であるZephyr Teachout(ゼファー・ティーチアウト)氏は「フェイスブックとグーグルは、権威主義国家における監視体制とタバコのような依存症ビジネスモデルを組み合わせた、巨大で独占的な力を持っている。議会には両社のビジネスモデルを規制する広範な権威があり、監視広告への取り組みを禁止するためにそれを使用するべきである」と述べている。

Ruby on Rails(ルビー・オン・レイルズ)のクリエイターであるDavid Heinemeier Hansson(デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン)氏は、今回の活動を支持する別の声明の中で次のように述べている。「監視広告は、新聞、雑誌、独立したライターから、生活およびコモディティ化された仕事を奪ってきた。代わりに我々が得たものは、数社の腐敗した独占的企業だった。これは社会にとってよい取引ではない。このやり方を禁止することで、我々は文章、音声、動画の独自の価値を、それを集める者ではなく、それを作る者の手に取り戻すことができる」。

興味深いことに、米国の政策立案者がアドテックにさらに細かく注意を払うようになっている状況を受けて、グーグルは個人レベルの追跡サポートを「プライバシー保護」型の代替策として認知されている方法(FLoC)で置き換える努力を加速させている。

それでも、Privacy Sandbox(プライバシーサンドボックス)でグーグルが提案したテクノロジーでは、ウェブユーザーのグループ(コホート)が引き続き広告主のターゲットになる。ここには引き続き、差別が発生するリスクや、社会的弱者のグループが何らかの標的にされ、社会的規模で操作が行われるリスクが存在する。そのため、議員はグーグルのブランディングではなく「プライバシーサンドボックス」の詳細に注意を払う必要がある。

「要するに、これはプライバシー保護の点では有害なことだ」とEFF(電子フロンティア財団)は2019年の提案について触れながら警告した。「集団の名称は基本的には行動の信用スコアだ。デジタル版の額にタトゥーが刻まれているようなもので、あなたが誰か、何が好きか、どこに行くのか、何を買うのか、誰と関係があるのか、といった情報を提供している」と述べている。

EFFはまた「FLoCはプライバシー保護テクノロジーとは逆のものだ」と付け加え「今日も追跡者はウェブ上であなたを追いかけている。あなたがどのような人間かを推測するためにデジタル環境でコソコソ動いている。グーグルによってもたらされる未来では、追跡者は椅子に座って何もせず、自分の代わりにあなたのブラウザに働かせるだろう」と述べている。

関連記事:EUの主管プライバシー規制当局が行動監視に基づくターゲティング広告の禁止を求める

カテゴリー:ネットサービス
タグ:広告アメリカプライバシーFacebookGoogleTwitterEU英国

画像クレジット:JakeOlimb / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

Google Pixel 5a 5Gは2021年中に米国と日本で発売、チップ不足による中止の噂を否定

時に、噂を鎮めるのに未発表のプロダクトを認める必要がある。それが、チップ不足で中価格帯のスマートフォンがボツになったというAndroid Centralが展開した先の噂を受け、Googleが米国時間4月9日午後に取ったその戦略をとった。

TechCrunchへのコメントで、Googleの広報担当は「Pixel 5a 5Gはキャンセルされていません。米国と日本で2021年後半に発売され、2020年のシリーズ端末と同様の時期に発表されます」と明らかにした。

そのスケジュール感でいくと端末の発売は夏の終わり頃になり、一部の推測の通り、2021年5月に開催されるGoogle I/Oには間に合わない。興味深いことに、Googleは少なくともPixel 5a 5G発売時は販売を2カ国に限定するようだ。それは先の報道にもあった部品不足のためかもしれない。

The Vergeの報道のように、Googleはプロダクトの発表について特に凝ってきたわけではない。同社はPixelのリリースに先立ち、似たようなアプローチを取ったことがある。いずれにせよこれは、噂に対応しないか、そらすかという大手企業が噂を否定するのに取る標準的なアプローチではない。

GoogleはこのところPixelのラインナップについて気が立っているのかもしれない。Pixel製品はモバイル界に旋風を巻き起こさず、これは同社がPixelを大改造することを検討していると長く続いている噂につながっている。それは部分的には何人かの幹部の退社によって確認されてきたようだ。

それでも高級スマホの方では問題があったが、同社の安価な「a」ラインは全体的な数字を押し上げるのに貢献してきた。具体的なスペックについて説明はまだないが、Pixel 5a 5Gは前モデルから大きく変わることはないようだ。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:GoogleGoogle Pixel5Gスマートフォン

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

Androidの人気野良アプリストア「APKPure」公式クライアントに悪質なアドウェアが含まれていたと発覚

セキュリティ研究者らによると、Google(グーグル)のアプリストア以外から古い / 打ち切られたAndroidアプリをインストールするための非公式マーケットとして広く普及している「APKPure」の公式アプリに、被害者のデバイスに不要な広告を氾濫させる悪意のあるアドウェアが含まれていたという。

Kaspersky Labによると、APKPureアプリの直近のバージョンである3.17.18には、被害者の知らないうちに端末からデータを吸い上げ、端末のロック画面やバックグラウンドにプッシュ型の広告を表示し、バックグラウンドでアドウェア運営者に不正な収益をもたらす悪意のあるコードが含まれていると米国時間4月8日に開発者に通知したとのこと。

しかもこの悪質なコードには他のマルウェアをダウンロードする機能があり、被害者をさらに危険にさらす可能性があると研究者らは述べている。

研究者らによると、APKPureの開発者はおそらく、検証されていないソースから新しいアドウェアSDK(ソフトウェア開発キット)を実装した際に、この悪意のあるコードを導入した可能性が高いとのこと。APKPureは悪質なコードを削除して新しいバージョンである3.17.19をリリースしており、悪意のあるバージョンは現在サイトに掲載されていない

APKPureは、Androidユーザーが古いバージョンを含むAndroidアプリやゲームの膨大なリポジトリにアクセスできるようにするため、2014年に設立された。また、Androidの公式アプリストアであるGoogle Playに掲載されなくなった他地域のアプリバージョンにもアクセスできる場所として知られる。その後、それ自体もGoogle Playの外でインストールする必要があるAndroidアプリをリリースし、ユーザーが古いアプリをAndroid端末に直接ダウンロードできる独自のアプリストアとして機能している。

APKPureは、ネット上で最も人気のあるサイトの1つとされている。

しかしAndroidのマルウェアの多くは、被害者にアプリストア外から悪意のあるアプリをインストールさせるため、品質や安全性に大きなばらつきがあるとして、セキュリティ専門家は長い間、公式アプリストア以外からアプリをインストールしないよう警告してきた。GoogleはGoogle Playに登録されるすべてのAndroidアプリをスキャンしているが、これまでにも一部のアプリはその隙間をすり抜けていた

TechCrunchはAPKPureにコメントを求めたが、返答は得られなかった。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:APKPureアドウェアAndroidアプリマルウェアGoogle

画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Aya Nakazato)

【コラム】頻繁に耳にする「巨大テック解体論」はまちがっている

本稿の著者T. Alexander Puutio(T・アレクサンダー・プーティオ)氏はレナード・N・スターン・スクールの非常勤教授であり、トゥルク大学での研究をAI、技術、国際貿易、開発の相互作用に捧げている。本稿で表現された意見はすべて彼のものだ。

ーーー

Big Tech(ビッグテック、巨大テック企業)との蜜月時代は、表向きは終わったと言ってもよさそうだ。

疑わしいデータ処理手続き、恣意的なコンテンツ管理ポリシー、明白な反競争的慣行が長年にわたり続いてきたのだ。ここで少し立ち止まってビッグテック業界との関係を考え直すのは当然のことだろう。

残念なことに、ビッグテックの解体を求める声をはじめとする、大方の注目を集めている意見のほとんどは、健全な経済学的思考というより、報復的な妄想から生まれている。

我々は、扇動的で成功の見込みが限りなく低い計画やゼロサム的解決策を追いかけるのではなく、スタートアップや競合他社独自のデジタル市場にとって公平な競争の機会を設け、ビッグテックが規模の拡大と同時により優れた企業に成長していくよう取り組むべきだ。

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大方の注目を集めている意見のほとんどは、健全な経済学的思考というより、報復的な妄想から生まれている。

20世紀の議員たちが、産業の寵児から停滞をまねく破壊的勢力へと変貌した鉄道独占企業をどのように抑制したかを見れば、その取り組みのヒントが得られるだろう。

問題は変わらない

100年以上前、急速に工業化が進む米国は、テクノロジーディスラプション(創造的破壊)がもたらした想定外の事態に直面していた。どこかで聞いたことがあるような話だ。

本格的な蒸気機関車が初めて登場したのは1804年だが、より強力で貨物に適した米国式の蒸気機関車が導入されたのは1868年になってからだ。

効率性が高く貨物に適した機関車は、野火のように急速に広がり、やがて鋼と鉄が山を貫き、ほとばしる川を飛び越えて、全米各地を結び付けた。

すぐに鉄道の走行距離は3倍になり、全都市間交通の実に77%、旅客事業の98%で鉄道が利用されるようになった。これにより、コスト効率のよい大陸横断旅行の時代が到来し、国全体の景気に大きな変化が訪れた。

画期的な技術の黎明期にはよく見られることだが、成功の初期段階には大きな人的損失がともなうものだ。

鉄道業界では当初から虐待や搾取が横行し、例年、労働者の3%近くが負傷したり死亡したりしていた。

やがて鉄道信託の所有者は、世間から広く非難を浴びる実業家グループの大部分を占めるようになり、いわゆる「悪徳資本家」と呼ばれるようになった。そして、そのような企業は行く手にあるものすべてを搾取し、競合他社、特に新規参入者を困窮させた。

鉄道会社の経営者たちは、慎重に構築されたウォールドガーデン(顧客の大規模な囲い込み)を維持することで自らの利益を確保し、強要や排除といったあらゆる手段を使って競合他社を破産に追い込んでいった。

鉄道の所有者から見れば、こうした方法は大成功を収めたが、競争が阻害され、消費者重視の視点が完全に欠落した世間には停滞ムードがただよった。

歴史は繰り返す

人間は過去の経験から学ぶことが苦手なようだ。

実際、ハイテク産業に対して我々が抱く懸念のほとんどは、20世紀の米国人が鉄道信託に対して抱いていた反対感情と同じである。

当時の悪徳資本家と同じように、Alphabet(アルファベット)、Amazon(アマゾン)、Apple(アップル)、Facebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)などは、競合他社やスタートアップが入る余地をほとんど残さず、取引の大動脈を支配するようになった。

ビッグテックは2桁のプラットフォーム料金を導入し、決済プロトコルに厳しい制限を設け、独自のデータやAPIを専有することで、人工的な参入障壁を築き、競合他社がビッグテックの成功を事実上まねできないようにした。

ここ数年、大手テクノロジー企業はAmazonBasics(Aamzonベーシック)のようなプライベートブランドを提供することで、サードパーティーソリューションのカニバリゼーション(共食い)に取り組んできた。その結果、ビッグテックの顧客は、プラットフォーム所有者に競争力を弱められ、完全に先手を打たれていることに気づくことになった。

以上を踏まえると、米国におけるテック系スタートアップの創業ペースが何年も前から低下しているのは当然の流れだ。

実際、Albert Wenger(アルバート・ウェンガー)氏のようなVC界のベテランたちは、ビッグテック周辺にある「キルゾーン」に注意するよう呼びかけており、もし我々が大規模なハイテク複合企業の競争的周辺部を再活性化する方向に向かっているなら、早急に何らかの手を打つが必要がある、と警告している。

ビッグテック解体論を止めるべき理由

20世紀に独占的な鉄道信託を管理するために策定された戦略から、ビッグテックに対処する上で役立つ教訓を読み取ることができる。

戦略の第1段階として、議会は1887年に州際通商委員会(ICC)を設立し、合理的かつ公正な価格で専用鉄道網を利用できるように管理する任務をICCに与えた。

しかし、ICCの活動は政党主導であったため、ICCにはほとんど権限が与えられなかった。1906年に輸送機能と貨物の所有権を分離するヘボン法が議会で可決され、本当の意味での進展がようやく見られるようになった。

議会は、独自のプラットフォームで私的金融取引や二重取りを行うことを禁止し、既存の競合他社と新規参入企業の両方が同じ条件でプラットフォームを利用できるようにした。つまり、複雑に絡み合って抜け出せなかった搾取的な慣行が排除され、現在の米国の繁栄を支える根幹が形成されたのだ。

これは、鉄道信託を細かく解体するだけでは決して実現できなかったことだ。

実際のところ、プラットフォームやネットワークは大きい方が関係者全員にとって有利だ。大きい方がより高いネットワーク効果を得られるし、小規模なプラットフォームを凌駕するその他の要因もいくつかある。

最も重要なことは、アクセスと相互運用性のルールを適切に設定すれば、より大規模なプラットフォームでより幅広いスタートアップやサードパーティを支えられるようになるため、経済のパイの縮小ではなく拡大が可能になるということだ。

デジタル市場をスタートアップの味方につける

パンデミック後の経済活動では、テックプラットフォームを縮小するのではなく、規模の拡大に合わせて優れたプラットフォームに成長させることに注目すべきだ。

第1段階で必要なことは、スタートアップと競合他社が公正な条件と適正価格でこれらのプラットフォームにアクセスできるようにすることだ。

現在、政策立案者が実施できる具体的な措置は他にも多数ある。例えば、データ可搬性に関するルールの書き換え、プラットフォーム間のより広範な標準化と相互運用性の推進、ネットの中立性の再導入は、今日の業界の問題に対処するのに大いに役立つだろう。

Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領が最近、連邦取引委員会(FTC)の次期委員として、「アマゾンを反トラストだと主張する急先鋒」 Lina Khan(リナ・カーン)氏を指名したことで、こうした変化が実現する可能性は突如として高まった。

最終的には我々全員が、巨人の肩の上に立ち(先人たちの知恵を借りながら)、巨人が作ったプラットフォームの上で力強く成長するさまざまなスタートアップや競合他社から恩恵を享受できるようになるだろう。

カテゴリー:その他
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画像クレジット:Martin Poole / Getty Images

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(文:T. Alexander Puutio、翻訳:Dragonfly)

【レビュー】レーダーで睡眠をトラッキングする7インチの第2世代Google Nest Hub、やっとSoliの良い使い道が見つかった

Nest Home Hubは、初期バージョンがリリースされて2年半になるが、今でも市場に出ている製品の中では筆者のお気に入りのスマートスクリーンの1つだ。これは、このカテゴリーの製品の改善率が悪いということかもしれないし、Google(グーグル)が最初からかなりしっかりとした製品を作ったということかもしれない。堅牢だがシンプルな素材でできた筐体の外観は市場でもトップクラスだ。サイズもちょうどよく、機能面でもグーグルがじっくりと考えて作り込んだことがよくわかる。

こうした類の家電製品はこれまで何十年も(需要を維持しようと)毎年大きなアップデートを発表してきたため、消費者もそれを当たり前のことだとみなすようになっている。そういう意味では、今回の第2世代デバイスには少しがっかりした。新しい機能はほとんど見当たらない。睡眠トラッキング機能が追加され、スピーカーの低音パワーが強化されたが、正直にいってそのくらいしかない。

多分、今回の新バージョンで一番興味深いのは、グーグルのエンジニアが自ら課した制限の下でどのようにしてこの新機能を実現したのかという点だ。筆者は、リリース前のイベントでGoogle Home Hubを見て、カメラを内蔵しないことにした理由を尋ねたときのことをはっきり覚えている。グーグルやAmazon(アマゾン)などの企業はその頃、こうしたデバイスでできるかぎり多くの情報を収集することに注力していた。

画像クレジット:Brian Heater

筆者は当時、カメラを内蔵しないというグーグルの方針に賛辞を送った。そして今回の第2世代デバイスでその方針が維持されたことをうれしく思う(もちろん、容易にそう思えたのは、間もなくカメラ搭載型のNest Hub Maxがリリースされると知っていたからだ)。新しいEcho Hubもテストしてみたが、このデバイスは部屋中どこに移動しても追いかけてくる。これを見て、内蔵カメラを搭載しないというグーグルの考えをますます称賛する気持ちになった。

Nest Hubが人気のベッドサイドデバイスとなったのは、間違いなく、この「内蔵カメラを搭載しない」という決定があったからだ。寝ている姿やベッドで行うあらゆること(クラッカーを食べたり、ホラー映画を観たりなど)をカメラで撮影されて自分のことを学習されるのを嫌がる人は多いだろう。

人気のベッドサイドデバイスの第2世代を設計するとなれば、睡眠トラッキング機能を組み込むことなど誰でも思いつく簡単なことだ。しかし、問題がある。睡眠トラッキングにはカメラを使うのが至極当たり前の方法のように思えるが、カメラが内蔵されたらユーザーは間違いなくベッドサイドにこのデバイスを置くのを嫌がるだろう。では、どうすればよいか。運が良ければ、どこかの会社が大金を投入して開発したものの、何に使ってよいかわからないテクノロジーが見つかるかもしれない。

そんなテクノロジーが見つかる確率ははたしてどのくらいあるのだろうか。実は、グーグルにいればその確率は驚くほど高い。

Project Soli(Soli開発プロジェクト)は、グーグルによくある変わりだねプロジェクトの1つだ。Project Soliはクールなテクノロジーだが、どんな問題の解決に使えるか、用途を探しているところだった。チームが見つけた最初の問題は、ユーザーはタッチスクリーンに触り過ぎるという問題だったのだろう。そこでこのテクノロジーをPixel 4に組み込み、カスタムのポケモンゲームなどとやり取りできるようにした。しかしPixel 5がリリースされる頃には、このテクノロジーはほぼ忘れ去られていた。

画像クレジット:Brian Heater

カメラを使わない睡眠トラッキングがSoliテクノロジーの用途として非常に理に適っているのは明白だ(ただし、電子機器に組み込まれた実質的な小型レーダーをベッドの脇に置くというのは最初は奇妙な感じがするかもしれない)。グーグルの製品概要ページには以下のように記載されている。

Sleep SensingではMotion Senseを使ってディスプレイの最も近くにいる人の睡眠をトラッキングします。Motion Senseは低エネルギーレーダーを使って、動きと呼吸を検出します。Nest Hubには他のセンサーも内蔵されており、いびきや咳などの音、部屋の光や温度などの環境要因を検出します。Sleep Sensingはこのようにして、就寝時刻や睡眠時間だけでなく、睡眠の質も判定します。

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もちろん睡眠トラッキング機能を追加したからといって、このデバイスが家電製品の中でユニークな存在になるわけではない。あらゆる製品が睡眠関連機能をこぞって導入しているからだ。そして、それは当然の流れだと言える。多くの人が慢性的な睡眠不足に悩まされているためだ。新型コロナウイルス感染症のせいで睡眠不足になる人が増える随分前から、この傾向はあった。このデバイスを他社製品と比較してユニークなものにしているのは、ユーザーにもベッドにも触れないで睡眠トラッキングを実現できると謳っている点だ。

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ここ数年で数十台のフィットネストラッカーやスマートウォッチをテストしてきた経験から言わせてもらうと、手首にウェアラブルデバイスを装着して眠るのは最悪だと断言できる。ただでさえ睡眠不足で困っているのに、そんなものを付けたらとても寝られたものではない(睡眠不足でなければ、そもそも睡眠トラッキング機能などに興味を持たなかったとは思うが)。

筆者は、もし自分で本物の睡眠トラッカーを買うなら、マットレスの下に置くWithings Sleep Tracking Matのようなタイプの製品を検討するだろう。体に触れる感覚は最小限で済むし、ベッドの近くに画面を置く必要もない。睡眠トラッキング機能が追加されたという点だけで新しい Nest Hubをお勧めすることはできないが、ベッドの脇にスマートディスプレイを置くことを検討しているなら、このデバイスは市場で最高のモデルの1つであり、他のデバイスよりもはるかに購買欲をそそられる。

画像クレジット:Brian Heater

Soliによる睡眠トラッキングの欠点の1つは、デバイスの設置場所の柔軟性に欠けるという点だ。例えば、筆者はナイトテーブルを持っていないため、間に合わせに椅子を使ってテストする必要があった。また、デバイスはベッドの(上側や下側ではなく)横、つまりマットレスと同じ高さに置く必要がある。また、画面は睡眠中、ユーザーから30~60センチメートルほど離れていなければならない。

キャリブレーションも実行する必要があるが、非常に簡単で、デバイスをあちこち動かさない限り、1回実行するだけで済む。筆者はこの1回のキャリブレーション実行時に、Echo Showの新しい機能の1つがNest Home Hubにはないことに気づいた。Echo Showでは画面の傾きを手動で上下に動かすことができる。これは大変使い勝手が良いので、今後、すべてのスマートスクリーン製品に導入されることを望みたい。

筆者は睡眠トラッキング機能を数日間使用してみて、非常に正確であることに気づいた。デバイスがベッドの端から60センチメートル離れていることを考えるとなおさらだ(ネタバレ:筆者はかなり寝相が悪い)。オンボードのウェルネス機能を使ってさまざまな情報を掘り下げて確認することもできる。睡眠時間や全体的な睡眠の質などの標準的な情報に加えて、夜中に咳をした回数、いびきをかいていた時間(分)の合計、夜中の呼吸数なども教えてくれる。

その他に利用可能な情報として、部屋の温度(まだあまり活用されていない組み込みの温度計を使用)、睡眠の質(覚醒 / 睡眠/ 不安定に分類される)などがある。こうした情報はかなり基本的なものだが、現在のハードウェアで最終的にどの程度詳細な情報まで掘り下げられるようになるのかは興味深いところだ。呼吸器の健康状態に焦点を当てていることを考えると、睡眠時の無呼吸を検出することなど簡単なように思えるが、それにはアップデートが必要になる可能性が高い。また、規制当局による精査の対象にもなる。

画像クレジット:Brian Heater

睡眠に関する限り、既存のハードウェアを使って改善できる余地は十分にあるように思われる。グーグルによるFitbit(フィットビット)の買収が正式に締結された今、そのような改善を実現できる可能性は非常に高くなった。Fitbitの機能との緊密な統合を期待したい。現時点では、目覚まし時計や寝室のスマート照明などと睡眠との統合は慎重に検討する価値があるだろう。

グーグルは希望価格を50ドル(約5530円)下げて99ドル(日本では税込9900円)とした。これにより、今回のアップデートがかなりマイナーだったことに対する不満は確実に和らぐだろう。Nest Hubは、リリースから2年半経過したが、Googleアシスタントによるサポートやソフトウェアが提供されていることもあって、販売中の製品の中では今でも最高のスマートスクリーンの1つだ。今回の新バージョンは、筆者がお勧めする最高の睡眠トラッカーというわけではないが、近くに置いて使うスマートディスプレイや目覚まし時計を探しているなら、悪くない贈り物だと思う。

関連記事:グーグルが7インチディスプレイの新型Nest Hub発表、Soliレーダーが睡眠トラッキング用途で復活

カテゴリー:ハードウェア
タグ:GoogleGoogle Nestスマートディスプレイ睡眠レビュー

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

Google I/O 2021が5月18〜20日にバーチャルイベントで復活

2020年初めに、米国でパンデミックが発生した際、各社は長年にわたって開催してきた対面式の開発者イベントをどうすべきか考えあぐねていた。企業はそれぞれに模索し開催したが、Apple(アップル)とMicrosoft(マイクロソフト)は、バーチャルイベントを実施した。

Googleは2020年、I/Oを中止した。同社は毎年5月にカリフォルニア州マウンテンビューのショアライン・アンフィシアターで行われていたデベロッパーカンファレンスを中止にしたのだ。

「開発者、従業員、地域コミュニティの健康と安全への懸念から、またベイエリアの郡による最近の『シェルターインプレイス』の命令に沿って、今年はI/Oを開催しません」と当時同社は述べている。

そして1年間の休みの後、ショーはバーチャル形式で戻ってくることになった。Googleは恒例となっているパズルの招待状を送付し、イベントが2021年5月18〜20日にかけて開催されることを明らかにしている(9 to 5 Googleが解いてくれた、感謝)。最近の他のオンライン限定イベントと同様、この開発者会議も参加費無料で、誰でも参加できます。(「olive(オリーブ)」ではなく「live(ライブ)」だと思われるが、下の図を見る限りでは何とも言えない)。

画像クレジット:Google

2021年にバーチャルイベントを開催する企業が増えているが、Googleもその一社となった。米国では積極的なワクチン接種が始まっているが、I/Oのような伝統的に屋外で開催されるイベントでも、大規模な集会でのウイルスの蔓延については、まだ多くの疑問や懸念が残っている。Appleは最近、2回目となるバーチャル版WWDCを6月に開催することを発表し、MicrosoftのBuildは5月25〜27日に開催される。

関連記事:アップルのWWDC 2021は6月7日に開催、今年もオンラインのみ

カテゴリー:イベント情報
タグ:GoogleGoogle I/OGoogle I/O 2021

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

Google Cloudがクラウド財務管理のオープンソース団体「FinOps Foundation」に参加

Google Cloudは米国時間4月6日、FinOps Foundationにプレミアメンバーとして参加すると発表した。

FinOps FoundationはLinux Foundationが主催する比較的新しいオープンソース団体で、2020年設立された。その目的は「クラウド財務管理」 分野の企業を集め、最適な手法とスタンダードを確立を目指している。クラウド財務管理という言葉が示すように、企業がクラウドへの支出を管理し、予算を立てるのに役立つツールと手法に関するものだ。企業のクラウド支出の最適化(理想的には支出の削減)を支援することだけを目的としたスタートアップ企業が数多く存在し、成功しているのには理由がある。

FinOps FoundationがCloudabilityの四半期ごとのCustomer Advisory Boardの会合から生まれたことは、驚くべきことではない。これまでVMwareのCloudHealthがベンダーの中で唯一のプレミアメンバーだった。他のメンバーにはCloudability、Densify、Kubecost、SoftwareOneなどがいる。今回のGoogle Cloud加入により、同財団は初の大手クラウドプロバイダーと契約を結んだことになる。

Google Cloudのエンジニアリングおよび製品担当ヴァイスプレジデントのYanbing Li(ヤンビン・リー)氏は「FinOpsのベストプラクティスは、企業がビジネスの成功に不可欠な数十から数百のプロジェクトにわたってクラウド支出を監視、分析、最適化するために不可欠です」と述べた。「可視性、効率性、ツールの向上により、顧客はクラウドの導入を改善し、ビジネス価値を向上させることができます。私たちはFinOps Foundationに参加することを楽しみにしており、同じ志を持つ組織とともに、業界全体で行動の変化を推進します」。

Google Cloudはすでに、FoundationのさまざまなSpecial Interest Group(SIG)やWorking Groupsにメンバーを派遣し、「クラウド財務管理のためのオープンソース標準の推進を支援する」ことを約束している。

FinOps FoundationのエグゼクティブディレクターであるJ.R. Storment(J・R・ストーメント)氏は「Google Cloudのようなマーケットリーダーがリソースを投入し、自社の製品提供をFinOpsの原則とスタンダードに合わせることで、FinOps Foundationの実務者は大きな恩恵を受けることができます。Google CloudがFinOps Foundationへのコミットメントを強化し、VMwareとともに3つあるPremier Member Technical Advisory Counciの2つ目のポジションを獲得したことをうれしく思います」と述べている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleGoogle CloudFinOps Foundation

画像クレジット:John M Lund Photography Inc / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:塚本直樹 / Twitter

米最高裁がオラクルに対する壮大な著作権侵害訴訟でグーグルを支持

米国の最高裁判所は今週、テクノロジーに関して多くの意見を述べた。同最高裁判所は米国時間4月5日の月曜日、Google(グーグル)とOracle(オラクル)による長期にわたる法廷闘争に対し、オラクルに80億ドル(約8800億円)の賠償金が支払われる可能性があった勝利をくつがえした。

最高裁は6対2の判決で、グーグルがオラクルのソフトウェア言語ことJavaの一部を自社のスマートフォン用OSに組み込んでも、著作権法に違反していないと判断した。グーグルはオラクルのAndroid用Java APIのコードをコピーしており、この裁判は確立されたAPIの再利用と著作権に関する1年に及ぶ議論の口火を切った。

2018年に連邦控訴裁判所は、グーグルがAPIを使用することで実際に著作権法に違反しており、その実装はフェアユースに該当しないとの判決を下していた。

「この決定を検討するにあたり、私たちは議論のためにその素材が著作権による保護の対象であると仮定します。しかしここで問題となっているコピーはそれにもかかわらず、フェアユースを構成していたと判断します。したがって、グーグルのコピーは著作権法に違反していないのです」と、Stephen Breyer(スティーブン・ブレイヤー)判事はオラクルへの以前の勝訴をくつがえした判決文の中で述べている。なお、Samuel Alito(サミュエル・アリト)判事とClarence Thomas(クラレンス・トーマス)判事は異議を唱えた。

関連記事:OracleがJavaの著作権侵犯裁判でGoogleに勝利

「グーグルがJava SE APIをコピーしたことは、プログラマーがその才能を活かして新しい変革的なプログラムを開発するために必要なコードだけを含んでおり、法律上はその素材の公正な使用にあたります」とブレイヤー氏は記している。

グーグルのグローバル問題担当シニアヴァイスプレジデントを務めるKent Walker(ケント・ウォーカー)氏はこの判決について、下に埋め込んだドキュメントのように「イノベーション、相互運用性、コンピューティングにおける大きな勝利」と述べている。

判決文はこちらで確認することができる。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleOracle裁判著作権

画像クレジット:Knotel / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:塚本直樹 / Twitter

欧州のAndroidの「選択画面」はより優れた選択肢を隠し続ける

2018年に欧州委員会によって下された反トラスト法違反の重い制裁を受けて、Google(グーグル)が欧州のAndroid(アンドロイド)で検索エンジンの「選択画面」の枠をオークションにかけ始めてから1年以上が過ぎた。しかし、2年以上前にGoogleに記録的な罰金を科したにもかかわらず、ほとんど何も変わっていない。

Googleの検索エンジン市場でのシェアは依然として低下しておらず、EUでは高い関心を集める代替の検索エンジンがGoogleが考案した「是正処置」によって値付けされている。この是正処置は、GoogleのAndroid OSを搭載したスマートフォン上で、最も多くの費用を支払える検索エンジンを優先し、支配的なGoogle自身の代替手段として掲載するというものだ。

四半期ごとの選択画面の勝者は、ますます変わらなくなってきている。Googleの代替検索エンジンは、またすぐに見栄えのしない「勝者」たちが列挙されるだろう。

2021年第1四半期の結果は、スマートフォンユーザーのほとんどが聞いたことがないであろう広告ターゲティングの検索エンジンオプションの一団で占められていた。ドイツの「GMX(ジーエムエックス)」、カリフォルニアを拠点とする「info.com(インフォ・ドット・コム)」、プエルトリコの「PrivacyWall(プライバシーウォール)」(ウェブサイトに「100%プログラマティック広告」というスローガンを掲げている会社が所有している)に加えて、もう1つは名の知れたアドテック大手の検索エンジンMicrosoft(マイクロソフト)の「Bing(ビング)」だ(*記事執筆時。現在は2021年第2四半期の結果が掲載されている)。

リストの下方では、ロシアの「Google」にあたるYandex(ヤンデックス)が8つの枠を獲得した。また、チェコの検索市場の古参Seznam(セズナム)は2つの枠だ。

大敗となったのは、トラッキング防止機能を備えた検索エンジン「DuckDuckGo(ダックダックゴー」だ。同社は、10年以上にわたってオンラインでのプライバシーを擁護してきたが、獲得枠は1つ(ベルギー)のみとなった。オークション開始時にすべての国でまんべんなく枠を獲得していたのとは対照的に、ほぼ完全に締め出されてしまった。

関連記事:AndroidのEUにおけるデフォルト検索エンジン指定に批判多数

広告収入のすべてを植樹活動に寄付する非営利団体の検索エンジンEcosia(エコシア)は、今回もほとんど出てこない。スロベニアのAndroidユーザーの画面に表示される1枠のみだ。しかし、エコシアは12月にiOS(アイ・オーエス)、iPadOS(アイパッド・オーエス)、macOS(マック・オーエス)のSafari(サファリ)にデフォルトの検索オプションとして追加され、世界中で1500万人以上のユーザーに利用されるようになった。

一方、プライバシー保護に焦点を当てた欧州産の検索オプションであるフランスの「Qwant(クワント)」は、わずか1枠にとどまった。それも、自国の市場ではなく非常に小さな国、ルクセンブルクだ。

もし欧州の規制当局が、自ら指摘した重大な反トラスト法違反を受けてGoogle自身が考案した「是正処置」によって、Android検索市場に健全な競争が自然に取り戻せるとでも思っているのなら、ほぞを噛むことになるだろう。Googleの検索市場でのシェアは、へこむどころか、かすりもしていないというのが純然たる事実だ。

Googleは、iPhoneのデフォルトに同社の検索エンジンを設定するために、Appleに毎年数十億ドル(数千億円)を支払っているが、Statista(スタティスタ)のデータによると、2021年2月の欧州におけるAndroidとiOSを合せたモバイル検索市場でのGoogleのシェアは97.07%であり、欧州委員会が反トラストの裁定を下した2018年7月の96.92%から上昇している。

そう、実際にはGoogleは、この「是正処置」を実施してシェアを伸ばしているのだ。

これはどう見ても、EUの競争法執行の壮大な失敗だ。大きなニュースとなったAndroidに対する反トラスト判決から2年半以上経ってご覧の有様だ。

欧州委員会はまた、Googleがこのオークションを行っている間、欧州がテクノロジーの主権を握ることを目標に掲げ推進してきた。Ursula von der Leyen(ウルズラ・フォン・デア・ライエン)欧州委員会委員長は、この包括的な目標を自身のデジタル政策プログラムに結び付けている。

テクノロジーの主権という施策においても、Androidの選択画面は大きな失敗と言わざるを得ない。2020年、検索エンジン付きブラウザーの事業から完全に撤退したCliqz(クリックス)が、その責任の一端は、欧州独自のデジタルインフラを所有する必要性を理解できなかったEUの政治関係者にあるとしているように、Googleに代わる(ほとんどの)欧州産の検索エンジンの助けになっていない。それどころか、最も関心を集め、Googleの代替となるべき欧州の検索エンジンを積極的に埋没させ、広告から資金を得ているGoogleクローンの一群との競争を強いている。

(もしBrave Searchが軌道に乗れば、欧州産でない新たな代替検索エンジンとなる。欧州発の専門知識やテクノロジーの恩恵を受けたものではあるが……)

これは、オークションの仕組み上、Googleに最も多くの費用を支払った企業だけが、Androidのデフォルトオプションとして設定されるチャンスを得られるからだ。

稀に欧州の企業が大枚をはたいて選択リストに掲載されることがあっても(これは検索クリックごとにコストがかかることを意味するようだ)、ほとんどの場合、他の欧州以外の選択肢やGoogleと一緒に掲載されることになり、晴れて選択されるまでのハードルはさらに高くなっている。

このような方法を取る必要はないはずだ。実際Googleは当初、市場シェアに基づいた選択画面を設けていた。

しかし、Googleはすぐに「載りたければ金を払え」モデルに切り替え、ユーザーのデータを追跡しない(または、純粋に環境保護を目的とし広告収入を植林に充て、利益を追求しないエコシアなど)代替検索エンジンの見つけやすさを一気に低下させてしまった。

このような代替検索エンジンの企業のほとんどは、Googleの選択画面オークションに勝つ余裕がないという(このゲームに参加する企業は、GoogleとのNDA締結が必要なため、発言に制限があることも注目すべきだ)。

Googleのオークションの落札者が、Google自身のビジネスの土台である行動ターゲティングモデルにほぼ偏っているのは、明らかに偶然ではない。あらゆるデータ追跡型のビジネスモデルが集結している。そして、消費者の観点からすると、人為的に限定されたGoogleの劣化バージョンしか含まない貧弱な「選択肢」の中からGoogleを選ばない理由があるだろうか。

エコシアがTechCrunchに語ったところによると、同社は現在、オークションプロセスから完全に撤退することを検討しているという。これは、参加するべきと考える前にオークションをボイコットするという、最初の直感に立ち返ることになる。Googleの「載りたけりゃ金を払え」スタイルの「no choice(選択不可)」(と、エコシアはオークションのことを呼んでいる)ゲームを数カ月間プレイしたことで、このシステムは、真正直な検索エンジンプロバイダーには勝ち目がないという見解を固めた。

過去2回のオークションで、エコシアは毎回1つの枠しか獲得できなかったが、ユーザー数には何の好影響も見られなかったという。完全に撤退するかどうかは、次のオークションプロセスの結果が明らかになった後に決定される。(そのオークションの結果は、3月8日に発表され、エコシアは今回も1枠となっている)。

「結局、このゲームをプレイするのが『面白くない』ことに気づいた」とエコシアの創業者であるChristian Kroll(クリスチャン・クロール)氏は語る。「このゲームは非常に不公平で、『ダビデ対ゴリアテ』というだけでなく、ゴリアテがルールを選び、アイテムを手に入れ、望めば途中でルールを変えることさえできる。だから、参加してもおもしろいことは何もない」。

「参加して9ヵ月になるが、欧州の市場全体のシェアを見ると、何も変わっていない。今回のラウンドの結果はまだわからないが、何も変わらないと思っている。いつものお仲間がまた掲載されるだろう……今掲載されている選択肢のほとんどは、ユーザーにとって興味深いものではないが」。

「興味を引く選択肢をすべて画面から消してしまって『選択』画面と呼ぶのは、何とも皮肉なものだ。だから、状況は変わらず、ゲームをするのがますますつまらなくなり、ある時点で、もうこのゲームは止めるという決断を下すことになるかもしれない」と同氏は付け加えた。

TechCrunchが話を聞いた他の代替検索エンジンは、今のところ参加を継続する予定だが、いずれもAndroidの「選択画面」でGoogleが「載りたけりゃ金を払え」モデルを採用していることに批判的だ。

ダックダックゴーの創設者であるGabriel Weinberg(ガブリエル・ワインバーグ)氏は「我々は入札に参加しているが、それはGoogleの出来レースがどれほど酷いものかを欧州委員会の前にさらけ出すためであり、消費者にとって本当に役立つものへと正すために、欧州委員会がより積極的に使命を果たすことを期待している。当社の厳格なプライバシーポリシーのため、前回と同様に排除されると予想している」と述べている。

同氏は、同社が2020年秋に掲載した「根本的に欠陥のある」オークションモデルを公然と非難するブログ記事を紹介し「記事全体はまだ有効だ」と述べている。このブログ記事で同社は、2014年から利益を上げているにもかかわらず「ユーザーからの搾取で利益の最大化を図るという選択肢はなかったため、今回のオークションでは落札に至らなかった」と書いている。

「実際のところ、プライバシーの保護とクリーンな検索エクスペリエンスという当社のコミットメントは、検索1件あたりの収益が少なくなることを意味する。つまり、利益の最大化を狙う他の企業と比較して、より少ない金額で入札しなければならないということだ」とダックダックゴーは続ける。「このEUの反トラスト法に対する是正処置は、消費者が使いたいと思う代替検索エンジンを排除し、掲載される検索エンジンからは、設定メニューで得た利益の大半を奪うことで、モバイル検索におけるGoogleの優位性をさらに強化することにしかならない」と述べている。

「このオークションの形式は、ユーザーの選択ごとに期待される利益を入札価格として入札するという動機を与える。長期的に見ると、選択されたGoogleの代替検索エンジンは、設定メニューから得た利益のほとんどをGoogleに渡さなければならない。Googleのオークションは、検索エンジンプロバイダーがプライバシーを軽視したり、広告を増やしたり、善意の寄付をしなかったりする動機を与えているが、それはそうすることで、より高い価格で入札する資金が得られるからだ」とも述べている。

フランスのクワントも同様に批判的であり、オークションに対して「極めて不満」と述べ「早急な修正」を求めている。また、2018年の欧州委員会の決定を「文面においても、その精神においても」完全に尊重すべきだとしている。

CEOのJean-Claude Ghinozzi(ジャン・クロード・ギノッジ)氏は「当社は、オークションシステムに極めて不満を持っている。Googleに最も費用を払っている3つの選択肢だけでなく、消費者が自分の使いたい検索エンジンを見つけられるように、選択画面の早急な修正を求めている。2018年の決定を、文面でも精神面でも完全に尊重することを要求する」と語る。

「当社はあらゆる選択肢を検討し、四半期ごとに決定を再評価している。いかなる場合でも、Googleが提供するたった3つの代替選択肢に限られることなく、消費者が好みの検索エンジンを自由に選択できるようにしたいと考えている。消費者の利益は常に最優先されなければならない」と付け加える。

ロシアのヤンデックスは、第2四半期のオークションへ参加することを明言した。しかし、Googleの処置について、Androidユーザーに真の「選択の自由」を提供するには至っていないと批判する。

「当社は、高品質で便利な検索エンジンを世界中に提供することを目指している。検索エンジンの選択の自由は、活発な市場競争につながり、各社のサービス向上へのモチベーションを高めると確信している。現在のEUの解決策は、2020年3月以降に発売される端末のみを対象としており、ユーザーの選択の自由を完全に保証するものではないと考えている」とヤンデックス社の広報担当者はいう。

「そのようなデバイスは、現在のEU市場でユーザーが手にしているデバイスの総数に比べて、非常に少ない。正当で実質的な選択の自由を提供することが不可欠だ。サービスプロバイダー間の競争は、最終的には、より良い製品を受け取るユーザーに利益をもたらす」

検索分野に新たに参入したトラッキング防止機能付きブラウザーのBrave(ブレイブ、前述のとおり、ブレイブはクリックスの資産を買収し、近く公開される自社ブランドであるブレイブサーチを立ち上げようとしている)は、オークションに参加することはまったく考えていないことを明らかにした。

「ブレイブは、このオークションに参加する予定はない。当社はユーザーを第一に考えているが、この入札プロセスは、ユーザーの選択肢を狭め、Google Play(グーグルプレイ)ストアの最適化に最も有効な入札者のみを選択し、ユーザーへ最大の利益を提供することを無視している」と同社の広報担当者は述べている。

そして「皮肉なことに、Googleは、ChromeとAndroidを結びつけた反競争的な行為で有罪となったことを受けた自らの是正処置で利益を得ている」と付け加えた。

Androidの選択画面に参加せずにEUでブレイブサーチのシェアを拡大するための戦略について尋ねられた広報担当者は「ブレイブはすでに欧州市場向けにブラウザーをローカライズしている。マーケティングキャンペーンや推薦プログラムで紹介されているクラス最高のプライバシーを提供することで、今後も成長を続けて行く」と述べている。

Googleが自ら策定した「是正処置」は、2018年に欧州委員会が下した反トラスト法上の裁定、つまり記録的な50億ドル(約5480億円)の制裁金と、さまざまな侵害行為の停止命令に対処したものだ。EUの反トラスト規制当局は、現在も同社の実施状況を監視し続けている。しかしクロール氏は、欧州委員会はGoogleに対し、指摘した不正行為を修正させるのではなく、実質的には時間稼ぎをさせているだけだと主張する。

「現時点での見方だが、欧州委員会は、選択画面のオークションは必ずしも是正処置として要求したものではないため、Googleに変更を強制することはできないと考えており、それが自分たちの責任と捉えていない理由かもしれない」と同氏は言い「しかし、同時に、欧州委員会はGoogleに状況を解決するよう要求し、それに対しGoogleは何もしていない」と付け加える。

「欧州委員会はまた、Googleがマスコミやユーザーから信望を得る隙を与えていると思う。Googleが何か対処しているように見えるため、Googleが好きなように動くことを許している【略】本当の選択画面が良い解決策になるかどうかはわからないが、それを決めるのは私ではない。Googleが代替検索エンジンの損害をうまく修復したかどうか【略】また、これまでに与えた損害をいくらかでも補償したかどうかを決めるのは欧州委員会だが、それが成されているようには見えない。[マーケットシェア]の数字を見れば、基本的にはまだ同じ状況が続いていることがわかる」。

さらに同氏はGoogleの現在の「是正処置」についても「全体的に、人気のある選択肢を画面から排除するように設計されている」と主張し「それがオークションの仕組みだ。もちろん、誰もそこに踏み込もうとしないことに失望している。つまり、基本的にGoogleの競合他社同士で殴り合うという不公平なゲームに参加している。どこかの規制当局が介入して、これではダメだと言ってくれることを期待しているが、そうはならない」と述べる。

「今のところ、当社の唯一の選択肢はそこに留まることだが、もし本当に効果がなく、規制当局が介入する可能性もないと判断すれば、完全に撤退して私たち抜きでGoogleに楽しんでもらうという選択肢もある。[現在のオークションモデル]からは何も得られないだけでなく、当然ながらそこに投資もしている。また、NDAを締結しているために制限もあり、その制限さえもちょっとした苦痛だ。つまり、弊害ばかりがあり、何の利益も得ていない」。

NDAによってオークション参加にともなうコストについて話すことは制限されているが、クロール氏は、収益を犠牲にしてリーチを追求しているため、落札者は損をしていると示唆する。

「前回の入札を見てみると、この入札では当社が利益を得ることは難しく、他社も損をするのではないだろうか。これはまさに、勝者がしばしば損をするという、このオークション、というよりむしろほとんどのオークションの作られ方だ。つまり、落札者が過剰な値段を付けるという『勝者の呪い』そのものだ」。

同氏は「当社は非常に慎重に入札したので、損をするというようなことにはなっていない。前回幸運にもスロベニアの枠を落札した。スロベニアは美しい国だが、やはり当社の収益には影響しないし、この落札は予想もしていなかった。これは、基本的にゲームに参加するためのものだが、財務上のリスクはない」とし「当社が落札できることはまずないだろうと思っていたため、[現在オークションに参加しているものの、ほとんどが落札できないエコシアにとっての]財務リスクはそれほど大きくないが、実際に落札した他社にとっては話は異なるかもしれない」と付け加える。

クロール氏は、このオークションモデルによって、Googleは競合企業を弱体化させながら市場シェアを伸ばし続けることができたと指摘する。

「検索によって損をしてでも、シェアを拡大しようとする企業は割りと多くある。そして結局Googleはそのすべてのシェアを獲得し、同時に競合企業を弱体化させている」と同氏は主張し「競合企業はシェアの拡大に費用をかける必要があるからだ。また、少なくともオークションが始まった当初は気づかなかったことだが、本物の検索会社であれば【略】ブランドを構築し、製品を産み出し、そのためにあらゆる投資を行い、本物のユーザーがいるはずだ。そしてそういった状況であり、真の意味での選択画面があれば、ユーザーはそのブランドを自ずと選ぶ。しかし、このオークションモデルの選択画面では、基本的には、すでに獲得しているであろうユーザーのためにコストをかけることになる」と語る。

「つまり、そういう企業は不利になってしまう。ダックダックゴーや当社のような『真のUSP(独自の強み)』を持っている企業がそうだ。Lilo(リロ)、そしてクワントさえも、基本的に検索でより自国民よりのアプローチを取っていれば、そうなる可能性がある。これらの企業は、さらに不利な立場に置かれることになる。これは不公平なことだと思う」と同氏はいう。

オークションの勝者のほとんどは、Googleのように、検索ユーザーのデータを収集して広告ターゲティングで利益を得るという監視資本主義に関わっている。そのため、EUの競争法執行が、ウェブを支配しているプライバシー上好ましくないビジネスモデルを打ち砕く(そして、より健全な代替検索エンジンが参入するきっかけをつかむ)方策として機能することを当てにしていた人がいたとしたら、ひどく失望していることだろう。

広告のために消費者を追跡しない、あるいはエコシアのように完全に非営利のミッションに基づく、より優れた代替検索エンジンは明らかに迫害されている。

欧州委員会は、抗議を聞いていなかったとは言えない。Googleがオークションモデルを発表すると直ぐに、ライバル企業らはそのモデルの欠陥、不公正、不公平、持続不能性を非難し、(確かに、Googleの「広告収益モデルのための行動ターゲティング」を模倣しているわけではないので)競争上不利になると訴えていた。

それにもかかわらずこれまでのところ、最大手のプラットフォーム企業らに対して、公正な事業を保証するための大規模な新規則を大々的に提案しておきながら、欧州委員会は対応する気がない、あるいは、対応できない様子だ。しかし、なぜ欧州委員会は、Googleのようなテクノロジー大手に対して、既存のEU規則をより効果的に行使しないのかという疑問が生じる。

TechCrunchからGoogleのAndroidの選択画面オークションモデルに対する批判を欧州委員会に提起したところ、欧州委員会は月並みな主旨で回答してきた。そこには「選択画面がユーザーの選択を促進する効果的な方法であることは過去に見てきた」と書かれている。

「選択画面は、EEA(欧州経済領域)加盟国のすべての新しいAndroid端末の起動時に、ユーザーに追加の検索プロバイダーを提示することを意味する。これにより、ユーザーは新たに購入したAndroid端末のセットアップ時に、好みの検索プロバイダーを選択できるようになった」と述べ「この決定が完全かつ効果的に実施されるよう取り組む」と付け加えている。

「そのため、選択画面の仕組みの適用状況を注意深く監視している」という。これは、Googleが2018年のEUの裁定を「遵守」し始めて以来の決まり文句だ。

わずかな進展だが、欧州委員会は「市場からの関連するフィードバック」と称し、選択画面の仕組みについてGoogleと協議したことも明らかにした。

同委員会は「選択画面の表示と仕組み、およびライバル検索プロバイダーを選択する仕組み」を中心に話し合ったと述べている。

しかし、時は刻々と過ぎ、Google検索に代わる真の選択肢は市場からますます排除されている。そして、欧州の消費者はプライバシーを侵害するAndroid上での検索に対して有益な代替手段を提供されないままとなっているが、規制当局は何を待っているのだろうか。

欧州委員会でMargrethe Vestager(マルグレーテ・ベスタガー)氏が競争政策を担当して以来(そして2019年からはEUのデジタル政策の重要な決定者でもある)、肝心なところでテクノロジー大手への姿勢が弱腰になっているように思われる。

テクノロジー大手と対峙することを厭わないという評判を得て、過去5年以上に渡りGoogle(およびその他の企業)に対して、注目を浴びる数々の罰金を科してきたにもかかわらず、最近のGoogleの事例に限って言えば、モバイルデバイスでの検索、スマートフォンのOS、検索広告の仲介などで、同氏が市場のバランスを取り戻すことに成功したとは言えない。

それでもなお、同氏は、2020年末のGoogleによるウェアラブルメーカーFitbit(フィットビット)の買収について、このテクノロジー大手がさらなる支配を固めることに多くの反対の声があったにもかかわらず、甘んじて受け入れている。

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その際、同氏は、その懸念に対処するにはGoogleが確約した譲歩で十分だと言い訳がましく主張した(例えば、少なくとも10年間はフィットビットのデータを広告に使用しないという約束をGoogleから引き出した)。

しかし、Googleが一連のEU反トラスト法の裁定を遵守しているかどうかを監視してきた同氏の実績を考えると、Google以外の誰が、同社に対する欧州委員会の命令執行能力や意思を信じることができるだろうか。そうこうしている間に、Googleのやり方に対する不満は、蓄積される一方だ。

欧州委員会の対応についてクロール氏は「聴いているとは思う」と述べ、そしてこう続けた「しかし、見たいのは行動だ」。

関連記事:「Googleに葬られる前に制裁措置を」135の企業や組織がEUの独占禁止法トップに訴える

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

GoogleがCookieに代わる広告ターゲティング手段FLoCをChromeでテスト開始

米国時間3月30日、GoogleはChromeのPrivacy Sandboxプロジェクトの重要な部分であるFederated Learning of Cohorts(FLoC)の、開発者によるトライアルを展開していることを発表した。

FLoCは、広告のテクノロジー企業がウェブ上でユーザーを追跡するために現在利用されているCookieに代わる技術だ。個人を特定できるCookieと違い、FLoCはローカルでユーザーのブラウジング行動を分析し、同じような興味を持つ志を持つ人々のグループにまとめる(ユーザーのブラウジング履歴をGoogleと共有することはない)。このコホートは、広告主が自分の行動を実行して関連広告を表示できるだけの限定的なものだが、マーケターが個人を特定できるほど具体的ではない。

Googleはこれを「関心に基づく広告」と好んで呼んでいるが、ユーザーが同じ関心を持つユーザーの群れの中に隠れてしまうことになる。ブラウザーが表示するのはグループ(cohort)のIDだけであり、ユーザーの閲覧履歴やその他のデータはローカルに残る。

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トライアルは米国とオーストラリア、ブラジル、カナダ、インド、インドネシア、日本、メキシコ、ニュージーランド、そしてフィリピンでスタートし、Googleの計画では今後徐々にグローバルに展開されるという。2021年3月初めに明らかになったように、GoogleはGDPRなどのプライバシー規制を気にしてヨーロッパではテストを一切行わないい。特に、FLoC IDがその規制の下で個人データと見なされるかが不透明だ。

ユーザーは自分をデータの起点とするトライアルをオプトアウトできるし、Privacy Sandboxの各種トライアルをすべて拒否することもできる。

当然ながらFLoCは既存のオンライン広告システムの多くを否定するから、それが嫌な人たちもいる。広告主は当然、個人ユーザーをターゲットにできることを好むが、Googleの事前データによると「このようなグループ方式でも結果は前とほぼ同様であり、投じた広告費1ドル(約110円)当りに得られるコンバージョンレートは、Cookieを使う広告の場合のレートの95%以上」だという。

Googleによると、同社自身の広告プロダクトも、広告のエコシステムの中の競合他社とまったく同様に、CookieではなくFLoC IDにアクセスするという。

しかしこのプロジェクトを懐疑の目で見ているのは広告業界だけではない。プライバシー活動家たちも、このアイデアを完全には納得していない。たとえばEFF(電子フロンティア財団)は、FLoCによってマーケティング企業が、さまざまなFLoC IDを利用してユーザーの指紋を追跡するのが容易になると主張する。それはGoogleがPrivacy Budget という案で対応しようとしている問題だが、その効果はまだ未知数だ。

一方、ユーザーは広告業界が何と言おうと、広告を見ずに、そしてプライバシーを心配せずに単純にウェブを閲覧したいだろう。しかしオンラインのパブリッシャーたちは依然として、資金を広告収入に依存している。

このように、さまざまな関心がそれぞれ違う方向を向いているが、常に明白なのはGoogleが主導する企画をすべての人が喜ぶことはないということだ。その過程で摩擦が常に生まれる。そして、その他のブラウザーのベンダーが直ちに広告とサードパーティCookieをブロックすることはできるが、広告のエコシステムにおけるGoogleの役割は、それをさらにややこしくしている。単純ではない。

GoogleでPrivacy Sandboxを担当しているプロダクトマネージャーであるMarshall Vale(マーシャル・ベール)氏は、本日の発表声明でこう言っている。「他のブラウザーがサードパーティーCookieをデフォルトでブロックし始めたとき、私たちはその方向性に感激しましたが、その直接のインパクトが心配でした。プライバシーが守られるウェブを私たちは絶対的に必要としているから、感激するのは当然であり、しかもサードパーティーCookieが長期的な答えではないことを私たちは知っています。一方、心配なのは、今日では多くのパブリッシャーがCookieを使う広告に依存して自分たちのコンテンツ努力を支えていることです。そしてCookieのブロックがすでに、フィンガープリンティングのようなプライバシーを侵す抜け道を生み出していることです。つまりユーザーのプライバシーにとって、状況はますます悪くなっています。つまりサードパーティーCookieの完全なブロックを、エコシステムのための有効な代替を欠いた状態でやるのは無責任であり、私たちみんなが享受しているフリーでオープンなウェブにとって有害ですらあります」。

なお、FLoCや、Googleが主導するその他のプライバシーサンドボックスの企画はまだ開発途上である。同社によると、今回は最初のトライアルから学ぶことが主眼であり、学んだことに基づいてプロジェクトを進化させていきたいという。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

グーグルがマップの3D表示大型アップデートを予告、屋内でのARルート案内など新機能を多数発表

Google(グーグル)は米国時間3月30日、Googleマップの大規模なアップデートをいくつか発表した。その内容は「Live View(ライブビュー)」機能によるARルート案内が一部の屋内でも使えるようになることや、地図に気象データが追加されたことなど多岐にわたる。だが、最も気になるニュースは、それがいつになるのか時期は明らかにされていない(典型的なGoogleらしいやり方だ)ものの、同社が大幅に改善された3DレイヤーをGoogleマップに導入することを計画しているというものだ。

Microsoft(マイクロソフト)の「Flight Simulator(フライトシミュレーター)」で世界の広い範囲を詳細に描き出すことを可能にしたのと同じ技術であるphotogrammetry(フォトグラメトリー)を使って、Googleもその地図サービスのために世界の3Dモデルを構築している。

「私たちは、何十億枚もの航空写真、StreetView(ストリートビュー)、衛星画像を融合させる技術を引き続き改良し、平面的な2Dマップから、従来よりも正確な3Dモデルへと進化させていきます。しかも、これまで以上に速く、詳細に描き出すことが可能になります」と、GoogleのGeo Product Experience(地理製品体験)担当VPであるDane Glasgow(デーン・グラスゴー)氏は、この日の発表に先立って行われたプレスイベントで語った。同氏によれば、この3Dレイヤーによって、同社のすべてのデータを新しく興味深い方法で視覚化できるようになるという。

画像クレジット:Google

この技術が実際にどのように機能するかはまだ不明だが、一例として、グラスゴー氏は3Dマップの上に通常のマッピングデータをすべて重ね合わせた、新しい3Dルートのプレビューを披露した。

また、この技術によって、Googleは信号機の位置や建物の住所などの小さな特徴を解析できるようになり、その結果、より良い道案内ができるようになると、グラスゴー氏は述べている。

「3D画像を利用することで、多くの新しい情報やデータを重ねて可視化することもできると、私たちは考えています。例えば、交通渋滞や事故、交通機関の遅延、混雑状況といった役立つ情報をはじめ、新たな情報をもたらすことができる可能性はたくさんあります」と、同氏は説明した。

画像クレジット:Google

もっと近い将来の展開として、Googleは今後数カ月の間にリリースが予定されている新機能もいくつか発表した。中でも最も目を引くのは、屋内の案内に対応したライブビュー機能だろう。このAR道案内機能はこれまで、屋外でしか機能しなかったが、ユーザーがどこにいるかを(GPS信号が届かなくても)正確に認識する技術が進歩したおかげで、屋内でも利用できるようになったという。この機能はすでに、米国のシカゴ、ロングアイランド、ロサンゼルス、ニューアーク、サンフランシスコ、サンノゼ、シアトルの一部のモールで提供されてるが、今後数カ月のうちに、東京とチューリッヒの一部の空港、モール、交通機関の駅でも提供が始まる予定だ(ちょうどワクチンが届いて、旅行が回復する時期かもしれない)。Googleによると、同社はユーザーの周囲の映像をデータベースと比較することで位置を特定できるという。それによって、例えばユーザーがチューリッヒ空港のどの階にいるのかわかるため、ゲートまで案内することが可能になるというわけだ(私の経験では、空港ほど案内板が充実している場所はないのだが……)。

また、Googleマップには新たに気象データ(気象レーダーではない)と大気質のレイヤーが追加される。各地の天気を表示する気象レイヤーは今後数カ月のうちにAndroidとiOSでグローバルに利用可能になる予定だが、大気質レイヤーは、まずオーストラリア、インド、米国のみで導入される。

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大気質といえば、Googleマップでは、経路検索で自動車を選んだ際に、新たに二酸化炭素の排出量が最も少ないルートを提示する、エコフレンドリーなルート検索オプションが追加される(AndroidとiOSで2021年後半に利用可能になる予定)。また、欧州では、多くの都市で採用されている低排出ガスゾーンがついにサポートされる。これは6月にドイツ、フランス、スペイン、英国で、AndroidとiOSで提供が始まる。その後、さらに多くの国で対応する予定だ。

さらに、Googleは道案内のインターフェースをアップデートし、すべての交通手段やルートの選択肢を、ユーザーの好みや、その都市における人気の高さに応じて(例えば、ニューヨークなら地下鉄、ポートランドならレンタルバイクなど)優先順位をつけて表示するようになる。

また、Instacart(インスタカート)やAlbertsons(アルバートソンズ)との提携により、道路の路肩で食料品を受け取る際のオプションが新たに統合された。

Googleの発表ではよくあることだが、同社が披露した最もエキサイティングな新機能はいつから利用できるのか予告がなく、そのまま導入されない可能性もないわけではない。今はひとまず、Googleマップで天気予報が見られるようになったことで我慢しながら待つことにしよう。

関連記事:Googleマップが歩行者のためのナビ「Live View」を拡張現実で実装

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleGoogleマップ地図AR

画像クレジット:Sundry Photography / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

グーグルが個人の書類をデジタル化して重要な情報を抽出するアプリ「Stack」を公開

米国時間3月30日、Google(グーグル)の社内インキュベーターであるArea 120がStackという最新のプロジェクトを公開した。Stackは書類やレシートなど家中に散らばっている紙をデジタル化し、自動でGoogleドライブに保存するアプリだ。さらにこのアプリはスキャンした書類の名前と適切なカテゴリー、つまり「スタック」(束)を推測する。

Stackで請求書やレシート、身分証明書など、さまざまな大きさの書類をスキャンし、PDF化して整理できる。そしてファイルに含まれる重要な情報がAIテクノロジーで詳細に読み取られる。

Stackのアイデアを考えたのは、EdTechのスタートアップで2018年にグーグルに買収されたSocraticの共同創業者であるChristopher Pedregal(クリストファー・ペドレガル)氏だ。

関連記事:Googleがモバイル学習アプリSocraticを買収してiOS版を再提供

Socraticではグーグルのコンピュータビジョンと言語理解テクノロジーを活用して高校生の学習を支援していたとペドレガル氏はいう。同氏はグーグルでこのテクノロジーを書類の整理にもっと活用するにはどうすればいいかと考え始めた。このアイデアを実験するために、同氏はMatthew Cowan(マシュー・コーワン)氏と組んだ。2人はまず、膨大な書類を分析するAIテクノロジーを手がけるGoogle CloudのDocAIチームで仕事をした。

2人は企業向けのDocAIのテクノロジーを個人の書類にも応用できると考え、これがStackの開発につながった。

StackアプリはAndroid版が米国で公開された。書類の写真を撮るとアプリが自動で書類に名前を付け、適切なカテゴリーのスタックに入れる。カテゴリーには請求書、銀行、家、身分証明書、入国、保険、法律、医療、ペット、レシート、税金、旅行、クルマ、仕事などがある。

1件の書類をスキャンする際に複数のページを含めるとStackは書類内のページをすべてOCR処理するので、全文を検索できる。重要な書類にすぐアクセスできるように星をつける機能もある。

写真を撮ってすばやく書類をデジタル化する機能は目新しくはない。例えばMicrosoftは何年も前からOffice Lensを提供している。しかしStackでは請求書の「期限」や「合計金額」「口座番号」といった重要な情報を書類の中から認識できるようになる予定だ。認識された情報が取り出されて後から見つけやすくなる。

書類のタイトルだけでなく全文を検索して必要な情報を見つけられる。Stackの書類を守るためにGoogleドライブと同様に指紋か顔で保護したり、スキャンした書類をすべて自動でGoogleドライブに同期することもできる。

アプリは現在Android版が公開されている。ダウンロードは無料でアプリ内購入もない。iOSなど他のプラットフォームにもStackを展開するかどうかは、ユーザーのフィードバックで決める予定だ。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:GoogleArea 120スキャン

画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

ソーシャルメディアCEO3人が米下院公聴会で反ワクチン誤情報アカウントを削除するか聞かれ言葉を濁す

米国12州の検事総長からなる連合は米国時間3月24日、Facebook(フェイスブック)とTwitter(ツイッター)に対し、両社のプラットフォーム上での新型コロナワクチンに関する誤情報の拡散を減らすため、コミュニティガイドラインの施行を強化するよう求めた。検事総長らは今回の書簡の中で、Facebookと同社の傘下にあるInstagram(インスタグラム)、そしてTwitter上で公開されている反ワクチン情報の65%を占める12の「反ワクチン派」アカウントを特定している。25日に行われた偽情報と過激主義に関する下院公聴会では、TwitterとFacebookのCEO、そしてGoogle(グーグル)のCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏が、これら12のアカウントを削除する意思があるかどうかを直接問われた。

関連記事:ザッカーバーグ氏、ピチャイ氏、ドーシー氏が下院公聴会で情報操作と過激主義について証言

彼らの答えはまちまちだったが、パンデミックを終息させるために予防接種を受けるか否かという米国人の意思決定に大きな影響を与えかねない、ほんのひと握りの意図的誤報のソースを排除するというシンプルな行動を、ソーシャルメディアの経営者たちは取る意思がないことを示していた。

公聴会の中で、ペンシルベニア州選出のMike Doyle(マイク・ドイル)下院議員(民主党)は、55万人近くの米国人が新型コロナウイルスによって命を落としていること、また、独立した調査によると、米国を含む5カ国のFacebookユーザーが新型コロナウイルスの偽情報に38億回さらされていることを指摘した。現在、米国政府はこの致命的なウイルスの蔓延を抑えるためにワクチン接種を急ピッチで進めているが、ソーシャルメディアサイトが人々にワクチン接種を躊躇させるようなコンテンツを宣伝・推奨し続けていることにも続けて対処しなければならない。

「私のスタッフは、YouTube(ユーチューブ)でワクチンを打たないように伝えるコンテンツを見つけ、そのあと似たような動画を勧められました。Instagramでも同じことがいえます。ワクチンに関する偽情報を簡単に見つけられるだけでなく、プラットフォームが似たような投稿を推奨していました」とドイル氏は述べた。「Facebookでも同じことが起こりましたが、そこではさらに反ワクチングループも推奨されていました。ツイッターも同様でした」。

ドイル氏はCEOたちにこう語りかけた。「あなた方は、こうしたコンテンツを削除することができます。(偽情報の)ビジョンを減らすことができます。あなた方はこの問題を解決できるのに、そうしないことを選んでいるのです」。

同氏はその後、検事総長らが書簡の中で偽情報の「super-spreaders(スーパー・スプレッダー)」と呼んだ12のアカウントを削除する意思があるかどうか、CEOたちに直接尋ねた。

連合からの書簡には、FacebookとTwitterの両社が、利用規約に繰り返し違反している12人の著名なワクチン反対派ユーザーのアカウントをまだ削除していないと書かれている。これらのユーザーのアカウント、関連する組織、グループ、そしてウェブサイトは、2021年3月10日の時点で、Facebook、Twitter、Instagram全体で公開されている反ワクチンコンテンツの65%を占めていると、書簡は指摘した。

これらの12のアカウントを削除するかどうかという質問に対して、ザッカーバーグ氏は言葉を濁した。同氏は、まずFacebookのチームが参照されている正確な例を見なければならないと述べ、ドイル氏は彼の答えを遮ることになった。

一方のピチャイ氏は、YouTubeが誤解を招くような新型コロナウイルス情報を含む85万本以上の動画を削除したことを指摘して回答を始めようとしたが、ドイル氏が「YouTubeが12人のスーパー・スプレッダーのアカウントを削除するかどうか」という質問をし直したため、回答がそれによって遮られた。

「当社にはコンテンツを削除するポリシーがあります」とピチャイ氏は述べたが「人々の個人的な体験談であれば、コンテンツの一部は許可されています」と付け加えた。

TwitterのCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は、同じ質問を受けた際「はい、ポリシーに反するものはすべて削除しています」と答えた。より前向きな答えではあるが、Twitterが実際に特定された12のアカウントを削除することを確認するものではない。

ドーシー氏は公聴会の冒頭で、誤情報に対処するためのTwitterの長期的なビジョン「Bluesky」と呼ばれる分散型の未来像についても幅広く語った。同氏は「Bluesky」では、共有されるオープンソースのプロトコルをベースに活用することで「ビジネスモデル、推薦アルゴリズム、モデレーションコントロールなど、私企業ではなく個人の手に委ねられることで、イノベーションが促進される」と説明した。この回答はTwitterのモデレーションに関するビジョンが、最終的には他者に責任を委ねることであると示している。これはFacebookがここ数カ月の間に、最も困難なモデレーションの決定の際に意見を述べる外部機関であるOversight Committee(監督委員会)で行っていることと同じだ。

これらの動きは、ソーシャルネットワークが自分たちだけではコンテンツモデレーションの責任を果たせないと判断したことを示している。しかしその結果、米国政府が実際に規制に乗り出すかどうかは、さらに見ていく必要がある。

関連記事:Twitterが描く分散化の未来、包括的なオープンスタンダードに向けた展望はインターネット極右を追い詰めるか

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タグ:FacebookGoogleTwitter新型コロナウイルスワクチン偽情報

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

グーグルらが実店舗を簡単にオンライン化するインドのDotPeに約30.1億円投資

Googleのインドにおける最新の投資は、企業のオンライン化を助けるスタートアップだ。

現地時間3月26日、創業1年でグルガオンに拠点を置くDotPeが、シリーズAで2750万ドル(約30億1000万円)を調達したことを発表した。ラウンドをリードしたのはPayUで、これまでの投資家であるInfo Edge VenturesとGoogleが参加している。

この今や約9000万ドル(約98億7000万円)の価値が付く若きスタートアップは、路上の実店舗がオンラインでも販売を行い、デジタルで決済できるようにする。

インドの多くのスタートアップが現在解決しようとしている問題だが、DotPeにはさらにいくつかの魅力がある。これにより、販売業者は在庫をスキャンし、オンラインで迅速にログを作成できる。

カタログが用意できたら、店はWhatsAppでそれを公開し、顧客に届ける。WhatsAppはインドで人気最大のスマートフォンアプリで、ユーザーは4億5000万人以上いる。DotPeは、ユーザーの商業者がGoogleの検索結果にも出るようにする。

PayUの元共同創業者でマネージングディレクターのShailaz Nag(シャイラズ・ナグ)氏が共同設立したこのスタートアップは、近所の店が来店客から支払いを集めることを可能にし、顧客のエンゲージメントを高めるためにポイントや割引を提供するツールを備えている。

「この新しいパートナーシップにより、企業はより発見しやすくなり、ビジネスの道が広がり、これまでにない商取引を行うことができるようになります」とナグ氏はいう。「パンデミックであろうとなかろうと、私たちはオフラインビジネスのあり方を再考し、すべての起業家にデジタル革命をもたらすためにここにいます」。

画像クレジット:DotPe

DotPeの場合、店はアプリをインストールしなくてもよいため、これまでの6カ月で500万を超える事業者が利用した。それらの店では、リピーターからのオーダーの38%がオンラインからになっている。

インドPayUのCEOであるAnirban Mukherjee(アニルバン・ムカルジー)氏は「DotPeはその非の打ち所のないプロダクト体験とイノベーションで、非常に短期間に将来性に富む商業者ベースを獲得しました」と述べている。

Google India担当の副社長で、国別ではインドのトップであるSanjay Gupta(サンジェイ・グプタ)氏は声明で、同社のDotPeへの投資は「万人の利益になるさらに包括的で差別のないデジタル経済を作るという目標を、インドのスタートアップのエコシステムと一緒に実現する」というGoogleのポリシーを表している、と述べている。

Googleは2020年、ユーザー数では最大の市場であるインド向けの100億ドル(約1兆960億円)のファンドを発表した。AndroidのメーカーでもあるGoogleは、インドで他にも数社のスタートアップに投資しており、その中にはハイパーローカルなデリバリー企業Dunzoや、InMobi GroupのGlanceやDailyHuntがいる。

DotPeによると、同社は新しい資金を、同社のサービスがインドのもっと多くの商業者に到達し、その技術スタックを需要の成長に合わせてスケールすることに充てたい、という。

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タグ:DotPeインドeコマースGoogle投資

画像クレジット:ANNA ZIEMINSKI/AFP/Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ザッカーバーグ氏、ピチャイ氏、ドーシー氏が下院公聴会で情報操作と過激主義について証言

ビッグテックが議会に戻ってきた。

テクノロジー業界で最も著名な3人のCEOが米国時間3月25日午前9時(日本時間3月25日午後11時)、米国下院のエネルギー・商業委員会に出席し、偽情報や過激主義の抑制に失敗した企業の責任を議員たちが追及した。

公聴会の前に公開された冒頭陳述ではFacebook(フェイスブック)のMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏、Twitter(ツイッター)のJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏、Google(グーグル)のSundar Pichai(スンダー・ピチャイ)氏がそれぞれ、望む会話を展開している。

ザッッカーバーグ氏は通信品位法第230条の改正を主張した。これは問題の解決にはつながらないものの、Facebookが小規模な競合他社よりも有利になる可能性がある。Googleは230条を擁護し、選挙に関する誤った情報を封じ込めようとする自社の取り組みが不十分だったり遅れたりすしたことから、最終的には米国連邦議会議事堂への攻撃に発展したと指摘。一方、Twitterは自社のアルゴリズムを透明化し、コミュニティレベルでのモデレーション活動を促進するための取り組みを示し、後ろ向きではなく前向きな姿勢を示した。

今回の議題は大きく、議員たちが公聴会で取り上げる可能性がある方向性はたくさんある。ここ数カ月の間、合同審問を主導した2つの小委員会は、過激派の専門家の間で頻繁に懸念されているアルゴリズムによるグループの推奨についてフェイスブックに質問してきたし、同社が連邦議会の暴動を宣伝する投稿の隣に戦闘装備の広告を出していたと報告している。もっと広くいえばこの委員会は、危険な偽情報を広める上でのソーシャルメディアの役割を探求するだろうが、その過程で我々は反トラスト法や第230条の改革など、規制面での解決策を回り道してしまう可能性がある。

公聴会の模様は上の動画から閲覧できる。

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画像クレジット:Win McNamee / Staff / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:塚本直樹 / Twitter