Facebook(フェイスブック)は、Messenger(メッセンジャー)の誕生から10周年を記念して、投票ゲーム、Word Effects(ワード・エフェクト)、連絡先の共有、Facebook Pay(フェイスブック・ペイ)による誕生日プレゼントなど、いくつかの新機能を発表した。また楽しい機能だけでなく、Facebookは、音声通話やビデオ通話を、独立したMessengerアプリから、Facebookアプリに戻す方法のテストも行っている。
「Facebookアプリのメッセージング体験の中で、音声およびビデオ通話のテストを行っています。これは人々が、どのアプリを使っているかに関わらず、通話ができるようするためのものです」と、Facebookの担当者はTechCrunchに語った。「これによって、Facebookを利用している人々は、今いる場所で簡単にコミュニティとつながることができるようになります」。
Facebookの歴史において、これまでMessengerアプリは独立した体験として運営されてきたが、Facebookでは現在、Messengerを独立した存在としてではなく、Facebookが現在開発している多くの新しい体験を支える基礎的な技術として捉え始めているという。
「私たちは、Watch Together(ウォッチ・トゥゲザー)、Rooms(ルームズ)、Live Audio Rooms(ライブ・オーディオ・ルームズ)など、リアルタイムな体験に力を入れてきました。そしてMessengerについても、表面的にどう見えるかは関係なく、結合組織として考え始めています」と、Facebookの広報担当者は語っている。「これはテストですが、もっと大きなビジョンは、Messengerでアクセスできないコンテンツやコミュニティを解放することであり、Facebookアプリが、より共有されたリアルタイムな体験になっていくことです」。
Facebookが、この数カ月の間に、その根底となるコミュニケーションインフラストラクチャの統合を進めていることを考えると、同社が最終的に、デスクトップアプリの中にMessengerを使った新機能にアクセスするためのタッチポイントを増やそうとしていることは当然と言える。
この点についてコメントを求められた広報担当者は、現時点で発表できる情報はないと答えた。しかしながら、このテストは、Facebookのサービス全体でより多くのリアルタイム体験を可能にするという、Facebookの広範なビジョンの一環であると言及した。
新たな統合が進められているにも関わらず、Messengerのスタンドアロン版がなくなることはない。
Facebookでは、メッセージングや音声およびビデオ通話体験において「フル機能」を求める人は、引き続きMessengerアプリを使って欲しいと述べている。
画像クレジット:Messenger
投票、Word Effects、連絡先の共有など、今回発表された新機能については、家族や友人とのつながりを維持するというMessengerの機能を讃えることが目的だ。
新たに導入された投票調査ゲームの遊び方はこうだ。ユーザーたちはグループチャットで「投票」をタップし「最もやりそうなこと」タブを選択する。そして「最も飛行機に乗り遅れる可能性が高い人は?」とか「最も誕生日に贈り物をしてくれる可能性が高い人は?」などの質問を選択し、その回答の候補者としてチャット参加者から1人の名前を選び、票を送信する。
連絡先の共有は、友達のFacebookの連絡先を、Messengerで簡単に他の人と共有できるようになった。誕生日プレゼントは、お祝いとしての送金を、Facebook Payを介してMessengerで送信できるようになるというもの。他にもバースデーソングのSoundmojis(音文字)や、「Messenger is 10!(Messengerは10周年!)」ステッカーパック、新しい風船が飛ぶ背景、メッセージエフェクト、ARエフェクトなど、Messengerの2桁の節目を祝う「誕生日表現ツール」が用意されている。
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Word Effectsという新機能は、ユーザーがあらかじめ手動でフレーズを設定しておくと、そのフレーズを含むメッセージを送信した際に、それに付随する絵文字が画面上に浮かび上がるというもの。例として、Messengerでは「happy birthday」というフレーズに合わせて、紙吹雪の絵文字が画面上に浮かび上がるWord Effectsを公開している。(これは大した機能ではないが、つまらない絵文字の新たな使い方として注目されるかもしれない)。この機能は今すぐに使えるようになるわけではなく、現時点では先行プレビューされただけだ。
Facebookが発表した新機能は合計で10種類に上り、そのほとんどが今から使えるようになっている。
Messengerはこの10年間で大きく進化した。
10年前、Facebookは、元Google(グーグル)の社員3人が起ち上げた小規模なグループメッセージングのスタートアップ「Beluga(ベルーガ)」を買収した(当時、機能的なグループスレッドはシロクジラくらい希少なものだったらしい。シンプルな時代だった)。その数カ月後、同社は独立したメッセージングアプリであるMessengerを発表した。
しかし、Messengerが誕生して3年が経過した頃、これはもはやFacebook体験のオプション的な付加物ではなく、外出先で友人と連絡を取りたい人にとってはダウンロード必須のアプリとなっていた。
Facebookはメインのアプリ内でメッセージを送信するオプションを廃止し、代わりにMessengerを使用するようユーザーに指示した。この理由について、Facebookは当時「2つの異なるモバイルメッセージングシステムを持つことによる混乱を解消したかった」と、TechCrunchに語っていた。
その数カ月前、Facebookは190億ドル(約2兆900億円)を投じてWhatsApp(ワッツアップ)を買収し、その世界中のユーザーを大量に獲得した。FacebookアプリからMessengerを分離させることは物議を醸したが、3年後の2017年に同アプリのユーザー数は12億人を突破した。
現在、Facebookは「メタバース」企業に進化したいと宣言しており、米国時間8月19日、反トラスト法違反で提訴されたのと同じ日に、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はバーチャルリアリティを驚くほどつまらない方法で応用した製品を発表した。「Horizon Workrooms(ホライズン・ワークルーム)」と名付けられた、いわゆるバーチャル会議室だ。このメタバースは、Facebookのプラットフォームチームが構築した技術によって実現されると、Messenger担当副社長のStan Chudnovsky(スタン・チュドノフスキー)氏は指摘している。しかし、このメタバースの中にいる人々は、依然としてMessengerのようなプラットフォームを必要とするだろうと、同氏は付け加えた。
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「非同期のコミュニケーションは今後も存在し続けるので、メタバースでもメッセージングがなくなることはないと思います」と、チュドノフスキー氏は語った。その時、チャットに参加できない人にも、メッセージを送る必要は依然としてあるからだと、同氏は説明する。さらにメタバースの実現によって、この種のコミュニケーションはさらに盛んになると、チュドノフスキー氏は考えている。メッセージングのテクノロジーは、携帯電話、現実の生活、そしてメタバースの間の架け橋として役立つからだ。
「増えることはあっても減ることはないでしょう。なぜなら、メッセージングは、新しいプラットフォームが登場するたびに成長し続けるものだからです」と、チュドノフスキー氏は語っている。
画像クレジット:Messenger
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(文:Amanda Silberling、Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)