DNSのNS1がオープンソースのサービスNetBoxをクラウド化

ニューヨークを拠点とするスタートアップのNS1(エヌエスワン)は、企業にマネージドDNS(ドメイン・ネーム・システム)サービスを提供し、アプリケーションの配信と信頼性の向上を行う事業がその始まりだった。そのNS1が、米国時間8月24日、プレビュー発表された新サービス「NetBox Cloud」により、DNS以外の新たな領域にサービスを拡大する。

企業のネットワーク管理者にとって、すべてのネットワークインフラがどこにあり、どのように接続されているかを理解することは、しばしば困難な仕事となる。これは、インフラストラクチャー・リソース・マネジメント(IRM)と呼ばれる新しい種類のエンタープライズテクノロジーの仕事であり、NS1はこれに飛び込もうとしているのだ。TechCrunchは、2021年7月のEC-1シリーズで、NS1を広範囲に渡って紹介している。同社は、インターネット上のいくつかの大規模サイトに対して、DNSをサービスとして提供している。DNSとは、IPアドレスとドメイン名を結びつけるもので、NS1はアプリケーションからのトラフィック配信をインテリジェントに最適化するための技術を持っている。

新しいNetBox Cloudサービスでは、NS1がNetBoxのマネージドサービスを提供することになる。このNetBoxは、開発者のJeremy Stretch(ジェレミー・ストレッチ)氏がクラウドプロバイダーのDigitalOcean(デジタルオーシャン)に在籍していたときに開発した、人気のあるオープンソースのIRMツールだ。ストレッチ氏は、2021年4月にNS1に特別エンジニアとして入社し、それに伴って現在はNS1がそのオープンソースプロジェクトをサポートしている。

ストレッチ氏は、DigitalOcean在職中に、IPアドレス管理をMicrosoft Excel(マイクロソフトエクセル)のスプレッドシートで行っていた時期があったと語る。スプレッドシートを使ってIPアドレスを追跡するやりかたは規模の増大に対応できないので、ストレッチ氏はその問題を解決するために2015年にNetBoxの初期バージョンをコーディングした。ここ数年の間、NetBoxは機能を拡充してきたが、今回NS1のNetBox Cloudサービスでも使えるようになった。

ストレッチ氏は、Netboxの役割は主にネットワークインフラのモデリングであって、ストレッチ氏がネットワークインフラの「正しい情報の基盤」と呼ぶものを提供するアプローチだと説明した。基本的な考え方は、まず組織がネットワークの望ましい状態をモデル化し、そこにモニタリングを導入して、現在の運用状態が望ましい状態と同じであることを検証できるようにすることだ。

「つまり『正しい情報の基盤』というアイデアは、ネットワーク上で構成されているはずのものが、実際に確認され文書化された記録として残されるようにするということです」とストレッチ氏はいう。

NetBoxは、オープンソースのツールとして長年にわたり人気を博してきたが、導入に商用サポートが必要な企業や、マネージドサービスを求める企業にとっては、特に利用しやすいものではなかった。今回の新サービスの目的は、あらゆる規模の組織がNetBoxを利用してネットワークをより良く管理できるようにすることだ。

NS1の共同創業者でCEOのKris Beevers(クリス・ ビーバーズ)氏は、TechCrunchに対し、ストレッチ氏はNetBoxのオープンソースコミュニティを構築するためのしっかりとした仕事をしてきたが、NetBoxの商用サービスは用意されてこなかったと語った。ビーバーズ氏は、NetBoxがオープンソースとして広く採用されている一方で、商用サポートやマネージドサービスを求める企業も多いと考えている。

ビーバーズ氏がExtra Crunch EC-1シリーズで何度も繰り返していた重要なテーマは、NS1自身がビジネスとして非常に実験的であるということであり、それはNetBoxにも同じことがいえるということだ。NetBox Cloudの最初のベータ版の目的は、この技術を採用しようとしている顧客を正確に把握し、商用ユーザーが直面する課題を知ることだ。基本的には、NS1はNetBox Cloudを積極的に改良して、企業が気にすることに対応していくとビーバーズ氏は語る。

そして「NS1の観点からすると、これは非常に魅力的なオープンソース製品とコミュニティなのです。導入の障壁をできる限り低くしたいと考えています」とビーバーズ氏は続ける。

NS1は2013年に創業され、これまでに2020年7月の4000万ドル(43億9000万円)のシリーズDを含む、計1億1840万ドル(約130億円)の資金を調達している。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文: Sean Michael Kerner、翻訳:sako)

東京大学齊藤研究室とバベルがAIエンジニアコミュニティ設立、wav2vec 2.0利用し日本語関連OSSプロジェクト開始

東京大学齊藤研究室とバベルがAIエンジニアコミュニティ設立、wav2vec 2.0利用し日本語関連OSSプロジェクト開始

AIオートメーション技術を軸にグローバルで事業展開を行うバベルは8月24日、東京大学大学院工学系研究科齊藤研究室(東京大学 齊藤研究室)と、誰でも参加可能なAIエンジニアコミュニティ「AI Automation Lab」(AIオートメーション・ラボ)を設立。日本語学習済みAIモデルのオープンソースソフトウェア(OSS)化を前提とする日本語音声書き起こし・会話の解析技術の共同研究を開始したと発表した。ベースとなるモデルとして、音声認識フレームワーク「wav2vec 2.0」を利用し、日本語に合わせて調整する。

wav2vec 2.0と呼ばれる書き起こしのモデルは、大規模なラベルなしデータを利用した事前学習を行うことで、少数のラベル付きデータセットでも高精度の書き起こしが可能という。日本語のような少数派の言語では、大規模なラベル付きデータを学習に利用することが困難な状況なものの、wav2vec 2.0はまさにそのような状況にある言語に適しているとした。

AI Automation Labには、connpass上の「AI Automation Lab(AI オートメーション・ラボ)」より参加できる。

昨今「音声書き起こし」に関する技術は全世界で著しく発展しており、英語や中国語を中心とした各国の言語に対して、wav2vec 2.0などの最新の学習済みAIモデルがOSSで公開され、それらを活用した最新のAIプロダクトが数多く開発されている。

一方日本においては、言語の壁の影響により関連するAI技術発展に乗り遅れ、最新のAI技術の恩恵を享受できていないという課題が存在しているという。情報処理推進機構(IPA)「AI白書2020」によると、すでにAIを導入している企業は4.2%、AI導入に興味はあるがまだ導入していない企業は78.3%という。

今後、最新のディープラーニング・モデルを日本語で扱うためには、莫大なGPUコストと時間のかかる日本語の追加学習が必要となり、その開発には一定の研究規模や開発環境が求められる。

そこで今回、東京大学 齊藤研究室とバベルが共同でAIエンジニアコミュニティAI Automation Lab(AIオートメーション・ラボ)で研究開発を行うことで、その開発の知見を日本で活躍するAIエンジニア・AI技術開発に携わる方々と共有し、さらにその成果となる日本語学習済みモデルをOSSとして無料公開することで、広く日本語ユーザーが最新AIモデルの恩恵を受けられる環境作りに貢献する。学術研究を含めて日本のAI分野の発展に寄与するとしている。

東京大学 齊藤研究室は、物理学と応用物理学の両者にまたがる量子物性の最先端の開拓を標榜し、次世代電子技術の基本物理原理を築く先端研究と世界で活躍する人材の輩出で科学技術と社会に貢献。スピントロニクス、量子ナノ系の研究に加え、最近では量子物理と情報物理を応用した新しいAI科学領域の研究を行っている。

バベルは、「世界中の人々の役に立つ事業を創り続ける」というミッションのもと、AI オートメーションを軸にユーザーエンゲージメントを最大化させ、ステークホルダー全員に感動を届ける事で世界をより良くするためにグローバルに事業展開している。

設置工事不要なAIカメラ「ManaCam」14台を利用した福岡・スタートアップ施設の利用状況の可視化実証実験

設置工事不要なAIカメラ「ManaCam」14台を利用した福岡・スタートアップ施設の利用状況可視化実証実験

スマートIoTトイレットペーパーホルダー「カミアール」など手がけるFutuRocket(フューチャーロケット)は8月19日、福岡市のスタートアップ施設「Fukuoka Growth Next」において、ビジネス向けAIカメラ「ManaCam」(マナカム)を使ったオフィス空間の利用状況を可視化する実証実験を開始すると発表した。

ManaCamは、「誰でも簡単に扱えるシンプルなAIカメラ」として開発されたデバイス。USBケーブルによる電源供給以外にも電球のソケット(E26)に入れて給電できるため、配線や取り付け工事の必要がなく、個人で設置できる。Fukuoka Growth Nextでも、実際に工事業者に依頼することなくManaCamを14台を低予算で導入できた。

オープンソース設計のCPU「RISC-V」(リスク ファイブ)マイコンを使用し、機能を絞り込むことで作られたManaCamは、本体価格1万1000円で、年間利用料は9900円(すべて税込)。またManaCamは、オープンソースの画像認識アルゴリズムで、カメラから見える範囲の滞在者数を一定間隔でクラウドに送信する。画像は送信せず、人数のみが送られ、画像は一切保存されない。人数は、専用のダッシュボードにグラフと数値で示される。

この実証実験は、ワークプレイスコンサルティング事業などを展開するAnyWhereが、利用状況を把握したいというFukuoka Growth Nextの要望を受け、そこにAnyWhereが着目していたManaCamを活用するという形で実現した。

「ManaCam」実証実験の概要

  • 導入先:Fukuoka Growth Next(福岡県福岡市中央区大名2-6-11)
  • 期間:2021年7月8日から順次開始、2022年6月30日(予定)
  • 目的:コワーキング利用スペースの利用状況把握、コワーキングスペースの最適化を検証
  • 収集データ:利用人数カウント、滞在状況
  • 実験概要:1階イベントスペース、コワーキングスペース、3階会議室などに合計14台のAIカメラを設置し、各エリアの利用状況を把握

FutuRocketは、「デジタルではページビューなどで当たり前となっている利用者数の把握を、リアルの世界でも、手軽に利用者数の集計ができるようにする」ことを製品開発の目的としており、「小さな取り組みからスマートシティー化への一歩を踏み出せられる製品として開発を推進していきます」と話している。

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カテゴリー:IoT
タグ:AnyWhere(企業)オープンソース / Open Source(用語)画像解析(用語)Fukuoka Growth NextFutuRocket(企業)RISC-V(用語)日本(国・地域)

Facebookのエンジニアがオープンソースの新しい時刻管理アプライアンスを開発

おそらく多くのひとたちは、携帯電話、ノートブック、ネットワークサーバーを問わず、自分たちのデバイスがどれだけ時刻に依存しているかをおそらく理解していないだろう。ほとんどの場合、時刻管理は難しいが退屈な仕事であり、限られた数のハードウェアメーカーによって扱われてきた。こうしたデバイスはその目的を果たしてきたものの、数名のFacebook(フェイスブック)のエンジニアがもっと良い方法が必要だと考えた。そこで彼らは、PCI Express(PCIe)カードの形でより正確な新しい時間管理デバイスを開発し、それをオープンソースプロジェクトとしてOpen Compute Project(オープン・コンピュート・プロジェクト)に寄贈した。

FacebookのプロダクションエンジニアであるOleg Obleukhov(オレグ・オブリコフ)氏によれば、このデバイスは基本的に問い合わせをしてもらうことで、問い合わせをしてきた各デバイスの時刻を合わせられるようにするものだという。「現在使われている、電話、時計、ノートブックその他の、ほぼすべての電子デバイスは、NTP(Network Time Protocol=ネットワーク時刻同期プロトコル)を利用しています。各デバイスはみなNTPを用いてNTPサーバーへの問い合わせを行っているのです。やっていることは単純で『いま何時?』と問い合わせるとサーバーが現在の時刻を答えるのです」と彼は説明する。

Facebookが今回の方法を開発する前は、時刻を確認するためには基本的に2つの方法があった。もし一般の開発者なら、時間チェックのメカニズムとしてインターネットを介してtime.facebook.comのようなNTPサーバーを使用するだろう、だがFacebookのような大規模な運用を行っている企業自身は、インターネットに接続していなくても機能する時計を必要としていたのだ。データセンターを運営している企業の中には、stratum 1(ストラタム・ワン)と呼ばれる種類のハードウェアデバイスが置かれている。これは、データセンター内に設置された大きな箱であり、時刻管理者としての役割を果たす以外の仕事を持たない。

こうした時刻管理ボックスは、何年にもわたって少数の企業によってのみ製造されてきたため、頑丈で確実に機能はしているものの、新しい機能を取り込むのは困難だった。さらに、それらの装置は独自仕様を持っているために、Facebookのような企業はその装置の振る舞いを制御することができなかった。オブリコフ氏と彼の同僚の研究者であるAhmad Byagowi(アフマド・ビアゴウィ)氏が探り始めたこの問題への解決手段は、一般に入手可能な部品を使ったPCIeカードを作成し、PCの空きスロットに挿入して使えるようにすることだった。

画像クレジット:Facebook

彼らは文字通りiPadで最初のデザインを描き、そのビジョンをプロトタイプとして作り始めた。時刻管理アプライアンスは、GNSS(global navigation satellite system)受信機と、高安定発振器と呼ばれる2つの重要な部品に依存している(GNSS受信機は時刻の基準となる上位の信号をインターネット経由ではなくGNSS衛星から直接受信する)。プロジェクトを説明したブログ投稿で、オブリコフ氏とビアゴウィ氏はこれら2つの部品の役割も説明している。

「すべては、現在時刻(ToD)と1秒に1パルス(PPS)を提供するGNSS受信機から始まります。その受信機が高安定発振器(例えば、原子時計または恒温槽制御の水晶発振器)と組み合わされた場合には、ナノ秒精度の時刻を提供することが可能です。この時刻は市販のネットワークカードを介してネットワーク全体に配信されます」と2人のエンジニアは書いている。

このように説明すると、すべてがかなり単純なもののように聞こえるが、実際には非常に複雑だ。おそらくそのことが、これまで誰もが現在の時刻決定手法を単に受け入れて、この問題に今回のようなやりかたでアプローチしてこなかった理由なのだ。しかし、2人のFacebookエンジニアは、これまでのアプローチの制約に悩まされ、自分たちでより良いものを構築することにした。

「その動機の大部分は欲求不満からやって来ました。私たちは市場に存在しているものすべてに不満を感じていました。そして、さまざまなことを保守できるセキュリティ機能や、何が起きているかを監視できる機能などが必要だったのです。なので私たちは常にベンダーに対してそれらの新機能について要求を出さなければならず、しかもその要求が毎回半年から1年かからなければ実現されなかったのです。その上、出来上がったものは私たちが本当に欲しいものではなかったりしました。そのためいつでも変更を繰り返さなければなりませんでした。これが私たちに今回の装置をゼロから作ることを決心させたのです」とオブリコフ氏はいう。

PCIeカードにタイムキーピング装置を搭載することを可能にしたものの1つは、原子時計/発振器の小型化の進歩だ。ということで、彼らが欲求不満を感じたタイミングとテクノロジーの現在の能力が組み合わさったときに、彼らはそのタスクに専念すれば、自分たちで装置を実現できることに気が付いたのだ。

設計がまとまり始めたとき、2人は他のエンジニアがその基本設計を使い、各自のニーズに合ったコンポーネントを投入できるような柔軟なものにすることを決定した。非常に洗練された高価な部品が必要な場合もあるが、要件によっては、はるかに安価な部品を使って済ませられる場合もある。

また、設計過程をオープンソース化し、他の企業やエンジニアが設計に貢献できるように、Open Compute Projectと協力することも早い段階で決定した。「実際に、最初からオープンソースにする予定でした。理由は、コミュニティのサポートが必要だったからです。単なる社内プロジェクトの1つにしたくありませんでしたし、私個人が興味を失ったり、会社が興味を失って無くなってしまったりすることもあるでしょう。何か起きるにせよ、これが続くようにしたかったのです」とオブリコフ氏は言った。

現在、このプロジェクトには12のベンダーが関与しており、2人が設計したものやOrilia(オリラ)からの商用製品など、多数のカードが存在している。だが目標は設計を継続的に改善することだ。オープンソースにすることで、関与する企業やエンジニアのコミュニティが、それを改善し続けるだろう。

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画像クレジット:sorbetto / Getty Images
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(文: Ron Miller、翻訳:sako)

【コラム】オープンソースの終焉が来ているのだろうか?

本稿の著者Shaun O’Meara(ショーン・オメーラ)氏は、MirantisのグローバルフィールドCTO。企業のITインフラストラクチャの設計と構築において20年間、顧客と仕事をしてきた。

ーーー

数週間前、ミネソタ大学の研究者らにより「偽善者のコミット」と彼らが呼ぶものをLinuxカーネルに投入するメソッドが展開されたという憂慮すべきニュースがLinuxコミュニティを揺るがした(ただし結果的には完全に実行されなかったことが明らかになっている)。その主意は、検知が困難な振る舞いを配布し、それ自体には意味はないが、後に攻撃者によって整合されることで脆弱性が顕在化し得るというものだった。

その後すぐに、ある意味同じように憂慮すべきことだが、大学が少なくとも一時的にカーネル開発へのコントリビューションを禁じられたことが発表された。続いて、研究者らが公式に謝罪した。

脆弱性の発見と開示は往々にして厄介なものだが、世界最大かつ最も重要なオープンソースプロジェクトに対して、技術的に複雑な「レッドチーム」プログラムを実行するのは、少々やりすぎだと感じる。こうした振る舞いが爆発的な広がりを持つ可能性があることを理解しないほど、研究者や研究機関が無知であるとか、怠慢であるなどとは考えにくい。

同様に確かなこととして、メンテナーとプロジェクトガバナンスは、ポリシーを強化し、時間の浪費を回避する義務があり、常識的観点では、脆弱性を含まないカーネルリリースの生成に努めることが推奨されている(そしてユーザーが要求している)。しかしメッセンジャーを排除することは、少なくともいくつかの要点を見落としているように思われる。つまり、これは単なる悪意によるものではなく研究に基づくものであり、技術的、体系的な緩和を必要とする、ある種のソフトウェア(および組織)の脆弱性を明らかにしようとするものだということだ。

「偽善者のコミット」に端を発した不慮の事象は、拡張されたオープンソースエコシステム全体とそのユーザーを脅かす、あらゆる面において関連性のあるトレンドの兆候だと思う。このエコシステムは長い間、規模や複雑性、そしてFOSS(フリーソフトウェアとオープンソースソフトウェア)が人間による各種の活動において重要性を増していることにまつわる、数々の問題と格闘してきた。この複雑に絡み合った諸問題を見ていこう。

  • 最大規模のオープンソースプロジェクトは現在、大きなターゲットを掲げている。
  • その複雑さとペースは、従来の「コモンズ」アプローチや、さらに進化したガバナンスモデルで対応できる規模を超えて拡大している。
  • 互いにコモディティ化する方向に進化している。例えば、分散アプリケーションのために「Linux」と「Kubernetes」のどちらを「オペレーティングシステム」として扱うべきかを明確にすることはますます難しくなっている。営利組織はこれに注目し「フルスタック」ポートフォリオとナラティヴを中心に再編成を始めている。
  • そうすることで、一部の営利組織は、FOSS参加という従来型パターンを歪め始めている。多くの新機軸が現在進行中である。一方で、資金調達や、FOSSへの人員コミットメントなどのメトリクスは減少傾向にあるようだ。
  • OSSプロジェクトとエコシステムはそれぞれ異なる方向性で順応しており、場合によっては、営利組織が居心地の良さを感じたり、参加から恩恵を受けることが難しくなっている。

一方で、脅威のランドスケープは進化し続けている。

  • 攻撃者は巨大化し、巧妙化し、高速化するとともに持続性を増しており、長期にわたるゲームやサプライチェーンの破壊などにつながっている。
  • 攻撃はこれまで以上に財務的、経済的、政治的に収益性を高めている。
  • ユーザーは以前にも増して脆弱になり、多くのベクターにさらされている。
  • パブリッククラウドの利用が増えるにつれて、技術的および組織的なモノカルチャーの新たな層が生まれ、攻撃を可能にし正当化する可能性がある。
  • オープンソースソフトウェアから部分的または全体的に組み立てられた複雑な商用オフザシェルフ(COTS)ソリューションは、そのコンポーネント(およびインタラクション)にアクセスできる、悪質な攻撃者によく理解された複雑な攻撃サーフェスを生成する。
  • ソフトウェアのコンポーネント化は、新たな種類のサプライチェーン攻撃を可能にする。
  • そして、組織が非戦略的な専門知識を排除し、設備投資を運用コストにシフトさせ、セキュリティのハードワークをクラウドベンダーやその他の事業体に依存するように進化する中で、これらすべてが起こりつつある。

結果として、Linuxカーネルの大規模かつ絶対的な重要性を持つプロジェクトの多くは、大きな変化をもたらす巨大な脅威モデルに立ち向かう準備が整っていない状況にあると言えるだろう。私たちがここで考察している特定のケースでは、研究者たちは比較的少ない労力で侵入候補サイトをターゲットにし(静的分析ツールを使い、コントリビュータの注意を必要としていることがすでに確認されているコードの単位を評価する)、メールで非公式に「修正」を提案し、信頼性が高く、高頻度のコントリビュータとして確立されている彼ら自身の評判を含む多くの要因を活用して、脆弱性コードをコミットされる寸前の状態にした。

これは、堅牢で安全なカーネルリリースを作成するためにこれまで非常にうまく機能してきた信頼システムの「内部者」による重大な裏切り行為だった。信頼を悪用すること自体が状況を変え、それに続く暗黙の要件、つまり体系的な緩和で相互の信頼を支えるということが大きく浮かび上がってくる。

しかし、このような脅威にどう対処すればいいのだろうか。ほとんどの場合、正式な検証は事実上不可能である。静的解析では巧妙に設計された侵入を明らかにできない場合がある。プロジェクトのペースを維持しなければならない(修正すべき既知のバグがある)。そして、こうした脅威は非対称的だ。典型的な言い方をすれば、ブルーチームはすべてに対して防御する必要があり、レッドチームは一回成功すれば良い。

改善の機会がいくつか存在する。

  • 単一培養の広がりを制限する。Alva LinuxやAWSのOpen Distribution of ElasticSearchなどは、広く使われているFOSSソリューションを無料でオープンソースにしていることもあるが、技術的な多様性を注入しているという点からも優れている。
  • 人的要因への完全な依存を緩和し、営利企業に専門知識やその他の資源を提供するインセンティブを与えることを目的として、プロジェクトのガバナンス、組織、資金調達を再評価する。ほとんどの営利企業はオープンソースへのコントリビューションを、そのオープン性ゆえに、またオープンソースにもかかわらずオープンではない場合でも歓迎するであろうが、多くのコミュニティにおいて、既存のコントリビュータの文化を変える必要があるかもしれない。
  • スタックを簡素化し、コンポーネントを検証することで、コモディティ化を促進する。適切なセキュリティ責任をアプリケーション層に押し上げる。

基本的に私がここで主張しているのは、Kubernetesのようなオーケストレータはあまり重要ではなく、Linuxはそれほどインパクトを持たない、ということだ。最後に、ユニカーネルのようなシステムの使用を形式化することに向けて、できる限り早く進むべきである。

いずれにしても、オープンソースの継続に必要なリソースを企業と個人の両方が提供することを確保する必要がある。

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オープンソースのアプリケーションフレームワークServerless Stackが1.1億円調達
【コラム】オープンソースとオープン標準の統合を再評価しよう

カテゴリー:ネットサービス
タグ:オープンソースコラムLinuxKubernetes

画像クレジット:Alexandr Baranov / Getty Images

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(文:Shaun O’Meara、翻訳:Dragonfly)

オープンソースのアプリケーションフレームワークServerless Stackが1.1億円調達

Serverless Stack共同創業者ジェイ・ヴィ氏とフランク・ワン氏(画像クレジット:Serverless Stack)

オープンソースのフレームワークServerless Stackが米国時間7月23日に、100万ドル(約1億1000万円)のシード資金を調達したことを発表した。その投資家グループには、Greylock PartnersやSV Angel、Y Combinatorなどが含まれている。

同社は2017年にサンフランシスコでJay V(ジェイ・ヴィ)氏とFrank Wang(フランク・ワン)氏が創業し、2021年のY Combinator冬季に参加した。

Serverless Stackの技術でエンジニアは、フルスタックのサーバーレスアプリケーションを、より容易に構築できる。CEOのヴィ氏によると、彼とワン氏は、この分野で長年仕事をしてきたので、今ではその経験を多くの人たちに開示したいという願いを持っている。

彼らはサーバーレスの分野でツールを開発してきただけでなく、その間にサーバーレスのアプリケーションを作る能力があまり進歩していないことに気づき、そこでY Combinatorで、その工程をもっと容易にするための考え方に、より磨きをかけようと思いついた。

彼らの技術の概要はこうだ。そのオープンソースのフレームワークを使ってデベロッパーは、自分たちのローカルマシンを直接クラウドに接続して、テストや変更を行える。その際ヴィ氏がいう「古いやり方」では、デベロッパーは自分のアプリケーションをクラウドにアップロードし、それが動くのを待ち、それからいろいろな変更を行なう。それに対しServerless Stackのやり方では、アプリケーションをローカルにデバッグする能力を獲得するために直接クラウドに接続すると彼はいう(開発過程そのものがすでにクラウドネィティブ)。

6カ月前にローンチしたServerless StackはGitHubのスターが早くも2000を超え、6万回以上ダウンロードされた。

YCの当時のコホートでヴィ氏とワン氏に会ったYCのマネージングディレクターであるDalton Caldwell(ダルトン・コールドウェル)氏は「非常に感心しました」という。両人のこの分野での経歴が、とても長いからだ。

コールドウェル氏はTechCrunchの取材に対して次のように述べている。「彼らはエキスパートです。彼らと比肩できるほどの才能は、半ダースいるかいないかでしょう。この技術は、まだ専門家と呼べる人も多くありません。彼らの能力は、事実が証明しています。現にGitHub上で見られるように、採用者が増え、今後もコミュニティのエンゲージメントが維持されていれば、それが彼らの力の証明となります」。

ヴィ氏によると、資金はチームの拡大に充てて、特に新しいユースケースをサポートするようなエンジニアを雇用したいという。

サーバーレスは初期には特定のユースケースに偏重していたが、APIがコミュニティを育てて、今ではそれをガイドとして利用しているとヴィ氏はいう。同社は最近、データベースとのAPIを作るためのフルスタックのユースケースをさらに発表し、フロントエンドのためのフレームワークも開発する予定だ。

ヴィ氏のロードマップに含まれているのは、究極的にはもっと多くのツールを築き、自分の会社をIPOまで大きくしたければアイデアをServerless Stackのプラットフォームで実装すべき、というデベロッパー間の評価が確立することだ。

ヴィ氏はさらに「だからこそ、ロードマップはコミュニティが育てて欲しい。私たちは彼らがプロダクションで(本番で)作っているもの、管理しているものにフォーカスしています。最終的に私たちは彼らが自分のアプリケーションをすべて容易に管理できるためのダッシュボードを作ることになるでしょう」とあくまでもデベロッパー指向の見解を述べている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Serverless Stackオープンソース資金調達

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アップル共同創業者ウォズニアック氏が「修理する権利のおかげでアップルが創業できた」と明かす

アップル共同創業者ウォズニアック氏が明かす、「アップルが創業できた理由」とは?

米国で「修復する権利」、つまりユーザーが自ら選んだ方法で(主にメーカー非公認の修理業者に持ち込んで)購入した製品を修理できる権利を法案化する運動が盛り上がりを見せており、ジョー・バイデン大統領もそれを後押しする動きを見せているほどです。それを阻止しようと、アップルがロビイストや業界団体を通じて働きかけていることも伝えられていました

そうした「修復する権利」をアップルの共同創業者のひとりスティーブ・ウォズニアック氏が支持し、それが自分の人生にどれほどの影響を与えたのかを約10分間語っています。

ウォズ(愛称)氏の話を引き出したのは、「修復する権利」運動の中心人物であるルイス・ロスマン(Louis Rossmann)氏です。ロスマン氏がウォズ氏にCameo(著名人に謝礼を支払い、短編のカスタム動画を作ってもらえるサービス)のリクエストを送ったところ、ウォズ氏は「自分はとても忙しいので、この運動にはあまり参加していないが支持している」と切り出しています。

ウォズ氏は「私が非常にオープンな技術の世界で育っていなかったら、アップルは存在しなかったでしょう」「当時、テレビやラジオなどの電子機器を購入すると、回路や設計のすべてが紙に書かれていました。完全なオープンソースだ」と振り返っています。

さらに「技術者ではない家族でも、真空管を引っ張り出してきて、真空管テスターを探し、故障していれば新しい真空管を買ってくる。当時は誰もがそうしていた」と修理がどれほど簡単だったかを説明。そして創業時のアップルが、当時のオープンな回路図から恩恵を受けたことを強調しています。

すなわち「アップルを設立するとき、私は入出力用のテレタイプ(印刷電信機)を買うことができなかった」ため、信号の出力用にテレビを使うことができたとのこと。「それもこれも、自分で修理したり、改造したり、利用したりすることができたからだ」として、回路図が公開されていたから金がない若者でも自力でどうにかなったというわけです。

そんな自らの修理経験を踏まえて「なぜ自分で修理するコミュニティを止めるのか?なぜ人々の修理する権利を止めるのか?Apple IIを見てください。完全な回路図付きで出荷された…この製品はアップルの最初の10年間、唯一の利益源だった」として、累計で約600万台が販売された名機の原動力が「修復する権利」だったと語っています。ちなみにApple IIの手書き回路図は、約6500万円で落札されたこともありました。

それに続けてウォズ氏は「修復する権利をもっと全面的に認めるべき時が来ている」と述べ、「企業がそれを邪魔するのは、彼らに権力を与え、すべてを支配することに繋がるからだと思う」と語っています。締めくくりの言葉は「自分のコンピュータなのか、それともどこかの会社のコンピュータなのか。それを考えてみてください。正しいことを始める時が来たのです」というものです。

ウォズ氏の考えは「修復する権利」の阻止に動くと噂されるアップルの方針とは真逆にも思えますが、一方でアップルは独立系修理業者の認定プログラムを日本を含むグローバルに拡大するなど歩み寄りの姿勢も見せています。アップルが「修復する権利」に恩返しをするのか、今後の展開を見守りたいところです。

(Source:Steve Wozniak speaks on Right to Repair。via 9to5MacEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Apple / アップル(企業)オープンソース / Open Source(用語)修理する権利 / Right to Repair(用語)Steve Wozniak / スティーブ・ウォズニアック(人物)

深度・色情報を取得できるAIカメラ「OAK-D OpenCV DepthAIカメラ」を2万5179円でスイッチサイエンスが発売

深度・色情報を取得できるAIカメラ「OAK-D OpenCV DepthAIカメラ」が2万5179円で日本発売、オープンソースハードウェアとして仕様公開

「OAK-D OpenCV DepthAIカメラ」

スイッチサイエンスは7月5日、Luxonis(ルクソナス)Holding Corporationのコンピュータービジョン用ハードウェア「OAK-D OpenCV DepthAIカメラ」(OAK-D)の発売開始を発表した。スイッチサイエンスのウェブショップでの直販価格は2万5179円(税込)。オープンソースハードウェア(MITライセンス)としてGitHub上含め仕様が公開されている。「OAK-1 OpenCV AIカメラ」(OAK-1)も近日発売される(価格未発表)。

OAK-D OpenCV DepthAIカメラ

OAK-Dは、ステレオカメラ2基と4Kカメラ1基を搭載し、深度情報と色情報を取得できるAIカメラ。インテルのVPU(visual processing unit:視覚処理装置)「Movidius Myriad X」を採用しており、顔認証、オブジェクト検知、オブジェクトトラッキングに利用可能。製品名にある「OpenCV」とは、オープンソースのコンピュータービジョン用ライブラリーのこと。また、Luxonisが開発した組み込み型空間AIプラットフォーム「DepthAI」は、MITライセンスのもと公開されており、Pythonなどですぐに利用できる。

OAK-D OpenCV DepthAIカメラの特徴

  • リアルタイムバックグラウンド演算により動きの予測が可能
  • 12メガピクセル JPEGエンコーディング(静止画)
  • H.264/H.265エンコーディング(4Kビデオ3.125MB/秒。Raspberry Pi Zeroでは4K/30fpsで録画可能)
  • 歪み除去。魚眼レンズに対応
  • オブジェクト検知、画像認識、セマンティックセグメンテーション
  • 対象のトラッキングが可能
  • MJPGエンコーディング
  • 3Dでオブジェクトのトラッキング可能
  • ステレオカメラ

「OAK-D OpenCV DepthAIカメラ」仕様

メインカメラ

  • 最大フレームレート:60fps
  • 最大フレームレート(4K):30fps
  • 解像度:12MP(4056×3040px)
  • モデル:MX378
  • FOV:81DFOV° 68.8HFOV°
  • F値:2.0
  • レンズサイズ:1/2.3インチ
  • オートフォーカス:8cm〜∞

ステレオカメラ

  • 最大フレームレート:120fps
  • 解像度:1280×800px
  • モデル:OV9289
  • ピクセルサイズ:3um×3um
  • F値:2.2
  • レンズサイズ:1/2.3インチ
  • FOV:81DFOV° 71.8HFOV°
  • フォーカス:19.6cm〜∞

インテル Movidius Myriad Xイメージプロセスユニット

  • 処理速度:4兆ops/秒
  • ベクター処理:16shaves
  • メモリ帯域:450GB/秒
  • ビジョンアクセレレータ:20+
  • Neural Compute Engine:2×ニューラルコンピュートエンジン(1.4tops)

また、OAK-Dモジュール(アルミシェル付き)、1m長のUSB3.0 Type-A – Type-Cケーブル、
ACアダプター(日本の電気用品安全法に準拠)が含まれる。

OAK-1 OpenCV AIカメラ

 

深度・色情報を取得できるAIカメラ「OAK-D OpenCV DepthAIカメラ」が2万5179円で日本発売、オープンソースハードウェアとして仕様公開OAK-1は、演算回数4兆ops(1秒間に4兆回の処理。operations-per-second)という高度なニューラルネットワークを作動させながらデータをUSBに出力可能というAIカメラ。12メガピクセルカメラとオンボード2.1Gbps MIPIインターフェイスを搭載。

「OAK-1 OpenCV AIカメラ」の特徴

  • オブジェクトトラッキング
  • Apriltag(ミシガン大学AprilTags Visual Fiducial Systemプロジェクトで開発されたARマーカー)対応
  • リアルタイムバックグラウンド演算により動きの予測が可能
  • 12メガピクセル JPEGエンコーディング(静止画)
  • H.264/H.265エンコーディング(4Kビデオ3.125 MB/秒。Raspberry Pi Zeroでは4K/30 fpsで録画可能)
  • 歪み除去。魚眼レンズに対応
  • オブジェクト検知、画像認識、セマンティックセグメンテーション
  • 対象のトラッキングが可能
  • MJPGエンコーディング
  • 3Dでオブジェクトのトラッキング可能
  • ロスレスズーム

「OAK-1 OpenCV AIカメラ」仕様

ステレオカメラ

  • 最大フレームレート:60fps
  • 最大フレームレート(4K):30fps
  • 解像度:12MP(4056×3040px)
  • モデル:IMX378
  • FOV:81DFOV° 68.8HFOV°
  • F値:2.0
  • レンズサイズ:1/2.3インチ
  • オートフォーカス:8cm〜∞

インテル Movidius Myriad Xイメージプロセスユニット

  • 処理速度:4兆ops
  • ベクター処理:16shaves
  • メモリ帯域:450GB/秒
  • ビジョンアクセレレーター:20+
  • Neural Compute Engine:2×ニューラルコンピュートエンジン(1.4tops)

Luxnoisは、「あたたのデバイスに人間に匹敵する視覚を埋め込む」をモットーに、イチから開発する手間を省き、組み込み型の機械学習とコンピュータービジョンを提供する企業。DepthAIを核とした、API、GUI、ハードウェアを提供している。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Intel / インテル(企業)OpenCV(製品・サービス)オープンソース / Open Source(用語)オープンソースハードウェアOpenVINO(製品)カメラ(用語)コンピュータービジョン(用語)スイッチサイエンス(企業)DepthAI(製品・サービス)Python(製品・サービス)MovidiusLuxonis Holding Corporation(企業)日本(国・地域)

国内初IEOの「Palette Token」が開始から6分で調達目標金額9.3億円を突破、コインチェック「Coincheck IEO」発表

国内初IEOの「Palette Token」が購入申し込み開始から6分で調達目標金額9.3億円を突破、コインチェック「Coincheck IEO」発表

コインチェックは7月2日、日本初のIEO(Initial Exchange Offering)プラットフォーム「Coincheck IEO」において、7月1日より購入申し込みを開始した「Palette Token」(PLT)が、開始から6分間で申し込み金額の総額が調達目標金額9億3150万円を突破したと発表した。Palette Tokenは、HashPort子会社Hashpalette(ハッシュパレット)発行によるもの。申し込み金額の総額が調達目標金額を上回ったことから、抽選(申し込みの順番は関係ない)での販売となる。

Hashpalette代表取締役の吉田世博氏は、「Paletteは今回のIEOを起点に、日本発のグローバルなNFT特化ブロックチェーンとして成長しいく所存です」とコメントしている。

「Palette Token」(PLT)関連スケジュール

  • 7月1日 12:00:購入申し込み開始
  • 7月15日 18:00:購入申し込み終了
  • 7月20日 順次:抽選およびPalette Token受渡し
  • 7月27日 12:00:取引所においてPalette Tokenの取扱いを開始

IEOは、トークン発行によるコミュニティの形成・強化や資金調達を暗号資産交換業者(取引所)が支援するという仕組み。企業・プロジェクトなどの発行体がユーティリティ・トークンを電子的に発行することで資金調達を行う仕組み「ICO」(Initial Coin Offering)の中でも、暗号資産取引所が主体となって発行体のトークンの販売を行うモデルとなっている。

コインチェックのCoincheck IEOでは、企業やプロジェクトなどが発行したユーティリティ・トークンの審査・販売をコインチェックが行う。

HashpaletteのPalette(ホワイトペーパー)は、オープンソースの「Quorum」(GoQuorum。GitHub)を基盤とするコンソーシアム型プライベートチェーン。Quorumは、ブロックチェーン企業Consensys(コンセンシス)が手がけているもので、ブロックチェーンネットワークへのアクセス権限を管理可能なほか、許可を得た特定の企業によって運営できるようになっている。

Palette Token(PLT)は、Ethereum上で発行するERC-20規格準拠の暗号資産。クロスチェーン技術(他ブロックチェーンとの接続機能)を用いてPaletteチェーン上でも利用できるようにしているという。同社は、Paletteについてエンターテインメント領域に特化したNFTプラットフォームとしており、PLTは「コンセンサスノード運営報酬」「スマートコントラクトの発行手数料(GAS)」「NFT売買の決済」といった用途の支払いに使用できるユーティリティ性の高いトークンと位置付けている。なおNFTの発行には、EthereumのERC-721規格と同様の仕様として実装した「PRC721」規格を用いるという。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:IEO(用語)暗号資産 / 仮想通貨(用語)ERC-20(用語)Ethereum / イーサリアム(製品・サービス)NFT / 非代替性トークン / クリプトアート(用語)オープンソース / Open Source(用語)Quorumコインチェック(企業・サービス)Hashpaletteブロックチェーン(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

Appleシリコン「M1チップ」搭載MacでLinuxのネイティブ動作がついに実現、Linuxカーネル5.13が公式サポート

Appleシリコン「M1チップ」搭載MacでLinuxのネイティブ動作がついに実現、Linuxカーネル5.13が公式サポート

Linux Kernel 5.13がリリースされ、M1チップ搭載Macの公式サポートが表明されました。これは4月に可能性が言及され、5月にはLinux Kernel 5.13 RC(リリース候補)がリリースされたことに続くもので、足かけ数か月にわたる苦闘の末にこぎ着けたかっこうです。

今回の発表は、前回のRCと同じくLinux生みの親であるリーナス・トーバルズ氏が自らメーリングリストで行ったものです。そのなかでトーバル氏はKernel 5.13全体の規模はかなり大きく、2000人以上の開発者から 1万6000以上のコミット(マージを含めると1万7000以上)が行われるほどだったと振り返っています。

そんなKernel 5.13では、AppleシリコンM1チップを含むArmアーキテクチャに基づく複数のチップがサポートされています。これによりM1搭載のMacBook Air、MacBook Pro、Mac miniおよび24インチiMacでLinuxをネイティブに実行できるようになります。

これまでにもParallelsの仮想環境Corellium社の移植版によりM1 Mac上でLinuxを実行することは可能でしたが、いずれもネイティブ動作ではないため、M1チップの性能を最大限に引き出すことはできませんでした。それがAsahi LinuxプロジェクトのHector Martin氏ほか多数の開発者が力を合わせたことで、ようやく現実のものとなりました。

しかしLinux情報サイトPhoronixによると、Linux 5.13では「Apple M1に対する初期のサポートとして、基本的な機能は提供されるが、グラフィックスのアクセラレーションはまだ提供されず、さらに多くのことを解決しなければならない」とのことです。M1の仕組み、特にGPUの仕様が非公開で独特すぎるために移植が苦戦していることは、早い時期から伝えられていました。

最新の Linux Kernel 5.13 では、Landlocked LSM、Clang CFI のサポート、システムコールごとにカーネルのスタックオフセットをランダム化するオプションなどのセキュリティ機能が搭載。ほかFreeSync HDMIもサポートされており、いつの日かM1内蔵GPUの力も発揮できるようになることを祈りたいところです。

(Source:LKML Archive on lore.kernel.org。Via:9to5MacEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Asahi LinuxApple / アップル(企業)Apple M1(製品・サービス)Appleシリコン / Apple Silicon(製品・サービス)Arm(企業)OS / オペレーティングシステム(用語)オープンソース / Open Source(用語)Linux(製品・サービス)Linus Torvalds / リーナス・トーバルズ(人物)

誰もがオープンソースのスタートアップに投資したいと思っている

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。

準備OK?ここではお金の話、スタートアップの話、IPOの噂話などをお伝えする。

みなさん良い週末は過ごせただろうか。先週があまり慌ただし過ぎず、週末にしっかりと充電できていることを願っている。といいつつ、お話したいことはてんこ盛りだ。

私のメール受信箱やSMSフォルダー、Twitter(ツイッター)のDMにどんどん積み上がっているのが、オープンソースをバックボーンにしたスタートアップの調達ラウンドの知らせだ。基本的にスタートアップ企業はオープンソースプロジェクトにルーツを持ち、多くの場合そのオープンテックの創始者がその企業内にいる。

スタートアップの世界での、最新の良い例がConfluent(コンフルーエント)だ。同社は先週公開されたが、その結果はすばらしいもので、IPOレンジを上回る価格が付けられて、その後さらに上昇した。Confluentは、オープンソース技術であるKafka(カフカ)をベースにしている。おそらくKafkaを耳にしたことのある人は多いだろう。

The Exchangeは同社のIPO当日に、Confluentの初期からの支援者であるIndex VenturesのMike Volpi(マイク・ボルピ)氏に、インタビューを行った。そのインタビューを通して、ボルピ氏がいうところの、この数年で劇的に変化したオープンソース(OSS)スタートアップの世界を垣間見ることができた。彼の話によれば、2015年頃のベンチャー投資家たちは、オープンソースのスタートアップにあまり興味を示しておらず、すでに1社(Red Hat、レッドハット)があるし、それでほぼ十分だろうと話していたという。

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私の計算が正しければ、Index VenturesはConfluentの今回のIPO価格から株価にして10億ドル(約1108億円)を超える価値を得たことになる。つまりOSSを嫌っていた者たちは間違っていたということだ。

とはいえ、ボルピ氏は、オープンソースに特化したスタートアップに対して相変わらず強気であるものの、より多くの投資家がこのモデルを支持するようになったことで、市場は徐々に選別が必要になってきていると付け加えた。投資家たちがより多くの資金を投入していることは、スタートアップの資金調達に関する報道を読んでいれば、驚くようなことではない。その例の1つが、2020年12月に書いたBuildBuddy(ビルドバディ)だ。また同僚のRon Miller(ロン・ミラー)記者は最近、Tecton(テクトン)とAirbyte(エアバイト)を取り上げている。

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ベンチャーキャピタルがOSSに関心を持つ傾向は以前から見られていた。実際2017年には、VCたちがTechCrunchのために、オープンソーススタートアップの隆盛についての記事を書いている。しかし、ConfluentのIPOや、この領域のスタートアップ企業の最近の相次ぐ資金調達は、このような企業に対する市場の需要が、新たな高みに達したことを示しているように思える(もしOSSに特化したスタートアップを立ち上げていて、最近資金調達をしたのであれば、ひと声かけていただければ幸いだ)。

ConfluentのIPOについてさらに詳しく

また、同社のIPO当日にはConfluentのCEOであるJay Kreps(ジェイ・クレプス)氏にも話を聞いた。そこから残されたメモのいくつかは、取り上げる価値がある。ここでは、そのキーポイントをご紹介しよう。

  • 投資は決して「普通」には戻らない:ベンチャーキャピタルがZoom(ズーム)で取引を始められたことは、それだけで大変な驚きだった。つまり、平均的なVCはテクノロジーに精通しているのだろうと思うだろう。クレプス氏によれば、IPOロードショーはデジタルチャネルでうまく機能し、ジェット機で全国を飛び回って対面式のミーティングを行うよりも、より多くの人々と迅速に話をすることができたという。もしさらに保守的な公開市場の投資家たちがZoomを良しとすれば、デジタルピッチングはそれで決まりだ。
  • 公開市場はまだ熱い: Confluentは急成長しているソフトウェア企業だが、まだ利益を出していない。このIPOの高評価は、現在の市場では損をしてもまだまったく問題ないことを示している。クレプス氏によれば、もし巨大な市場(彼はConfluentの市場を500億ドル(約5兆5000億円)規模とみなしている)があり、非効率な事業とコスト構造に完全に苦しめられていないCEOの証として、資本がきちんと投資されていることを示すことができれば、損失は問題ないという。これは、現在第3四半期のIPOを希望している、当期純利益よりも成長率が高い企業にとって重要なことだ。ほとんどの企業に当てはまる。
  • 一般投資家もオープンソースを好んでいる:The Exchangeはクレプス氏に対して、公開市場にアプローチするオープンソース企業であることについても質問をした。それはプラス要因だったのかマイナス要因だったのか?CEOはプラスだったという。テクノロジーにはオープンスタンダードに基づいて構築されてきた歴史があり、OSSはそうした歴史的な流れにうまく合致している、とCEOは付け加えた。また、オープンソース・プロジェクトには有機的な強い勢いがあるため、一般投資家が企業レベルでの将来の成長を見極めるのに役立つと付け加えた。すばらしい。

OK、さらにオープンソースのニュースはいかがだろう?

実はさらにオープンソースソフトウェアのニュースがあるので、聞いていただきたい。2021年6月初めに、Prefect(プレフェクト)は3200万ドル(約35億5000万円)のシリーズBを行った。このラウンドはそのときには記事にしなかったが、先週同社に簡単に話を聞くことができた。

同社は、オープンソースプロジェクトであるPrefectCore(プレフェクトコア)を中心に活動している。PrefectCoreは、スケジューリング、モニタリング、ロギングなどに注目し、企業のデータ流入が正しく設定されているかどうかの確認をサポートしている。同社は、このような作業をネガティブエンジニアリングと呼んでおり、ある種の盲点になっている。スタートアップによれば、この種の作業は誰も本気で取り組みたいとは思っていない種類のものなのだという。

注目すべきなのは、Prefectは、オープンソースプロジェクトのホスティングバージョンを提供するのではなく、モニタリングサービスを販売している点だ。私はOSSプロジェクトそのもののホスティングは、そうしたプロジェクトを収益化するためにはやや古臭い方法であると考えている。そのため、ホスティングやフィーチャーゲーティングを販売するのではなく、PrefectCoreが管理しているものを追跡するAPIそのものが同社の製品となっている。オールグリーンなら問題がない状態だということで、そうでなければ、何か問題があるという意味だ。

今回取り上げた重要なポイントは、Confluentが、OSSスタートアップが巨大なスケールに達し、大きなIPOになることができる可能性を示したことだ。そしてPrefectが示したのは、オープンソース・ソフトウェアでお金を稼ぐための方法が、さらにあるかもしれないということである。

ということで、2021年はより多くのOSS VC案件が期待される。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:The TechCrunch Exchangeオープンソース

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文: Alex Wilhelm、翻訳:sako)

【コラム】オープンソースとオープン標準の統合を再評価しよう

編集部注:本稿の著者Guy Martin(ガイ・マーティン)氏は、世界で最も尊敬されている非営利標準化団体の1つOASIS Openの事務局長。ソフトウェアエンジニアおよびオープンソースストラテジストとして25年以上の経験をOASIS Openにもたらした。

ーーー

この世には解決すべき大きな問題があるが、是が非でも必要なのはオープンソース(open source)コミュニティとオープン標準(open standard)コミュニティの提携だ。

2020年の厳しい現実からの例を挙げよう。米国は2020年、およそ6万件におよぶ山火事が発生し、1000万エーカー(約4万500平方キロメートル)以上が焼き尽くされ、9500棟以上の家屋が全焼して、43人の命が失われた

私は10年間カリフォルニア州でボランティアの消防士をしており、消防士が効果的かつ迅速にセーフティクリティカルな情報をやり取りできる技術の決定的な重要性をじかに感じた。通常は複数の消防機関が火事現場に向かうのだが、それぞれさまざまなメーカーのラジオを携帯している。これらのラジオは専用ソフトウェアで周波数が設定されているので、チームがお互いにコミュニケーションを図れるようにするには、ラジオを再プログラミングする必要が生じる。このプロセスは不必要な遅延を生み、命を危険にさらす可能性もある。

すべてのラジオメーカーが標準に沿ったオープンソースの実装を採用すれば、ラジオはすぐに同じ周波数に調整できるだろう。ラジオメーカーは時間の無駄になる障壁ではなく、貴重な人命救助ツールを提供でき、そうしたソフトウェアの開発コストを共有できる。この状況では、他の多くの場合と同様に、独自の無線プログラミングソフトウェアから得られる競合上の利点や標準化によって得られる多くの貴重な利点はない。

一貫した標準とそれに相応するオープンソースの実装による利点は、山火事などのセーフティクリティカルな状況に特化したものではない。標準とオープンソースのより良い統合から多大なメリットを得られる分野は数多く存在する。

オープンソースとオープン標準の違い

「オープンソース」とは公的にアクセスでき、誰もが自由に使用、変更、共有できるソフトウェアを指す。またオープンなアイデアの交換、オープンな参加、ラピッドプロトタイピング、オープンなガバナンスと透明性を備えた、共同的なコミュニティ指向のソフトウェア開発哲学を指す。

それとは対照に「標準(standard)」という言葉は、取り決められた機能の定義を指す。要件、仕様、ガイドラインにより、製品やサービス、システムが品質、安全性、効率性を実現する相互運用可能な方法で実行されるようにする。

標準を制定し、管理するための組織は数多く存在する。例えば国際標準化機構(International Organization for Standardization、ISO)、欧州電気通信標準化機構(European Telecommunications Standards Institute、ETSI)、ワールドワイド・ウェブ・コンソーシアム (World Wide Web Consortium、W3C)がある。OASIS Open(OASISオープン) もこのカテゴリーに属する。標準はオープンかつ公平で透明性の高い組織が指導する、合意形成プロセスを介して開発される場合「オープン」となる。ほとんどの人は標準作成プロセスは慎重かつ計画的であり、妥協を通じた合意を得て、長期的な仕様と技術的な境界に達していることに同意するだろう。

合意点について

オープンソースとオープン標準は明らかに異なるが、これらのコミュニティの目的は同じ「相互運用性、イノベーション、選択」だ。主な違いは目標の達成方法で、私がここで主に言及するのは、文化とペースについてだ。

IBMフェローであり、Open Technology(オープンテクノロジー)のCTOであるChris Ferris(クリス・フェリス)氏は、標準化機構では、物事を遅くすることが重要だと考えているように見えることが多いと話してくれた。時には正当な理由がある場合もあるだろうが、競合によって出し抜かれているようにも見える。オープンソースの場合は、より共同的で、論争や競合は少なく見える。だかこれは同じ分野で取り組まれる競合的なプロジェクトがないということではない。

ペースに影響を及ぼすもう1つの文化的特徴として、オープンソースはコードの記述に関するもので、標準化機構は散文の記述に関するものである。長期的な相互運用可能性に関しては言葉がコードを上回るため、標準の文化は標準を定義する散文を作成することからさらに計画的で考え込まれたものである。標準は技術的に静的ではないが、標準における意図は、長期的に重大な変更をせずに機能することに到達することだ。逆にオープンソースコミュニティでは反復的な考え方でコードを記述し、コードは基本的に継続的な進化の状態にある。この2つの文化はコミュニティが協調的に動こうとすると、衝突することがある。

もしそうなら、どうして調和しようとするのであろうか?

オープンソースとオープン標準の協調により、イノベーションに拍車がかかる

インターネットはオープンソースコミュニティとオープン標準コミュニティ間の調和により達成できることの最適な例だ。インターネットがARPANET(アーパネット)として始まったとき、TCP/IPより前の一般的な共有通信標準に依存していた。時間の経過、標準、オープンソースの実装とともに、TCP/IP、HTTP、NTP、XML、SAML、JSONなどが採用され、災害警報(OASIS CAP)や標準化されたグローバル取引インボイス(OASIS UBL)などのオープン標準とコードで実装される、主要グローバルシステムが作成できるようになった。

インターネットは完全に世界を変えた。オープン標準コミュニティとオープンソースコミュニティ間の協調精神を活性化できるのであれば、今後もこのレベルの技術的イノベーションや変化を遂げられる力はあるだろう。

調和と統合の自然な道を見つける

現在、リポジトリにはすべての重要なオープンソースプロジェクトがあり、そのソフトウェアの長期的な運用可能性を実現するには関連する標準で協力する機会が数多くある。OASIS Openのミッションの一部は、そのようなオープンソースプロジェクトを特定し、共同的な環境と、困難なプロセスにならずに標準が作成できるすべての足場を提供することである。

フェリス氏はこの統合への道の成長の必要性についても話してくれた。例えば、この必要性はアジアで技術を使用したい場合に顕著である。国際標準がなければ、アジアの企業は話も聞かないだろう。欧州共同体も標準に対して強い選好を主張しているように見える。これは確実にエコシステムで手強い相手と応戦できるオープンソースプロジェクトの推進力になる。

オープンソースプロジェクトがそれ自体よりも大きくなる場合も、統合の必要性が増していることが認識できる。つまりオープンソースプロジェクトが他のさまざまなシステムに影響を及ぼし始め、そうしたシステム間で調整が必要になる場合である。例えば遠隔測定データの標準がある。遠隔測定データは現在、可観測性からセキュリティまでさまざまな目的で使用されている。ソフトウェア部品表(SBOM)もまた別の例として挙げられる。ソフトウェアの出所を追跡する課題に対処するためにオープンソースの世界でなんらかのことが行われていることは分かっているが、これは成功するためには標準が必要になるまた別のケースだ。

チームとしての協力が必須

幸いなことに、オープンソースコミュニティとオープン標準コミュニティの最終的な目標は同じ「相互運用性、イノベーション、選択」だ。またインターネットからTopology and Orchestration Specification for Cloud Applications(TOSCA)などに至るまで、提携すべき方法とその理由は見事に証明されている。さらに主な利害関係者は特定のオープンソースプロジェクトでは戦略的な長期的観点が必要で、それには標準が含まれることを支持し、認識している。

これはチームとして協力する上で大切な開始点であり、各団体は進んでお互いや利害関係者と協力するときが来ている。

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カテゴリー:その他
タグ:オープンソースオープン標準コラム

画像クレジット:David Malan / Getty Images

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(文:Guy Martin、翻訳:Dragonfly)

暗号資産取引所コインチェックが国内初のIEOを7月1日提供開始、第1弾はハッシュパレット発行のPalette Token

暗号資産取引所コインチェックが国内初のIEOを7月1日実施、第1弾はハッシュパレット発行のPalette Token

コインチェックは6月24日、IEO(Initial Exchange Offering)プラットフォーム「Coincheck IEO」の提供を7月1日に開始すると発表した。またその第1弾として、HashPort子会社Hashpalette(ハッシュパレット)発行の「Palette Token」(PLT)の購入申し込みを7月1日より実施すると明らかにした(購入申し込み参加には暗号資産取引所の口座開設が必要)。IEOによる資金調達は、国内初の試みとなる。同日、HashpaletteがPaletteのホワイトペーパー(PDF)を正式公開した。

  • 7月1日 12:00:購入申込み開始
  • 7月15日 18:00:購入申込み終了
  • 7月20日 順次:抽選およびPalette Token受渡し
  • 7月27日 12:00:取引所においてPalette Tokenの取扱いを開始

暗号資産取引所コインチェックが国内初のIEOを7月1日実施、第1弾はハッシュパレット発行のPalette Token

暗号資産取引所コインチェックが国内初のIEOを7月1日実施、第1弾はハッシュパレット発行のPalette Token

IEOは、トークン発行によるコミュニティの形成・強化や資金調達を暗号資産交換業者(取引所)が支援するという仕組み。企業・プロジェクトなどの発行体がユーティリティ・トークンを電子的に発行することで資金調達を行う仕組み「ICO」(Initial Coin Offering)の中でも、暗号資産取引所が主体となって発行体のトークンの販売を行うモデルとなっている。

コインチェックのCoincheck IEOでは、企業やプロジェクトなどが発行したユーティリティ・トークンの審査、また販売をコインチェックが行う。Coincheck IEOにより、日本の暗号資産投資家が国内外の有望なプロジェクトに参加できる環境を提供することで、暗号資産・ブロックチェーン関連のプロジェクトを支援し、暗号資産市場の発展に貢献するとしている。

オープンソースのブロックチェーン「Quorum」を基盤とする「Palette」と、ERC-20規格の暗号資産「Palette Token」(PLT)

HashpaletteのPaletteは、オープンソースの「Quorum」(GoQuorum。GitHub)を基盤とするコンソーシアム型プライベートチェーン。Quorumは、ブロックチェーン企業Consensys(コンセンシス)が手がけているもので、ブロックチェーンネットワークへのアクセス権限を管理可能なほか、許可を得た特定の企業によって運営できるようになっている。またPaletteは、Quorumで利用できるコンセンサスアルゴリズムのうち「プルーフ・オブ・オーソリティ」(Proof of Authority、PoA)を採用しており、信頼できる複数企業による安定した運⽤を行うとしている。

Palette Token(PLT)は、Ethereum上で発行するERC-20規格準拠の暗号資産となっており、クロスチェーン技術(他ブロックチェーンとの接続機能)を用いてパレットチェーン上でも利用できるようにしているという。同社は、Paletteについてエンターテインメント領域に特化したNFTプラットフォームとしており、PLTは「コンセンサスノード運営報酬」「スマートコントラクトの発行手数料(GAS)」「NFT売買の決済」といった用途の支払いに使用できるユーティリティ性の高いトークンと位置付けている。なおNFTの発行には、EthereumのERC-721規格と同様の仕様として実装した「PRC721」規格を用いるという。

Palette Token(PLT)の用途例

  • 発行されたNFT(Non-fungible token)の購入費
  • Paletteにおけるノード運用報酬の支払い
  • Paletteコンソーシアムメンバーへの委任
  • スマートコントラクトやNFT発行の手数料

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暗号資産取引所コインチェックが企業独自の電子トークンで資金調達可能なIEOプロジェクト発足、Hashpaletteとタッグ

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:IEO(用語)暗号資産 / 仮想通貨(用語)ERC-20(用語)ERC-721(用語)Ethereum / イーサリアム(製品・サービス)NFT / 非代替性トークン / クリプトアート(用語)オープンソース / Open Source(用語)Quorumコインチェック(企業・サービス)Hashpaletteブロックチェーン(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

Google協力、QunaSysが量子プログラミングや量子アルゴリズムを学ぶイベント「Cirq Bootcamp」開催

Google協力、QunaSysが量子プログラミングや量子アルゴリズムを学ぶイベント「Cirq Bootcamp」開催

QunaSys(キュナシス)は、Googleの協力のもと、量子プログラミングや量子アルゴリズムを学ぶイベント「Cirq Bootcamp」を開催すると発表した。開催期間は6月26日午前9時から14時(JST)。参加費は無料。対象は、量子コンピューティングに興味がある大学生・大学院生だが、高校生や社会人も参加可能としている。開催形態はオンラインのみ(Zoom)。申し込みの際登録したメールアドレスにZoomの招待リンクを送付する。

同イベントでは、Googleがオープンソースで開発している、量子プログラミングフレームワーク「Cirq」を解説する。NISQ(Noisy Intermidiate Scale Quantum)デバイスに特化したPython用ライブラリーにあたり、基本的な使い方から研究事例まで採り上げ、量子アルゴリズムの理解を深めることを目的としている。

イベント前半ではCirqの使い方を学び、後半では「Google Quantum AI」の研究者がCirqを活用した実際の研究を紹介する。

NISQデバイスとは、中規模の誤り訂正無しの量子コンピューターを指す。2019年にGoogleがNISQデバイスによる量子超越性を示して以来、NISQデバイス上で実行可能なアルゴリズム開発や誤り訂正の実現に向けた研究が加速している。

「Cirq Bootcamp」開催概要

  • 開催期間:6月26日午前9時から14時(JST)。途中抜け・途中参加可
  • 対象:大学生・大学院生。高校生・社会人などの参加も可能
  • 参加費:無料
  • 開催形態:オンラインのみ。申し込みの際登録したメールアドレスにZoomの招待リンクを送付
  • 申し込みCirq Bootcampの「Cirq Bootcamp 応募フォーム」より行う

プログラム概要

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横浜FCコラボの「サッカー×テクノロジー」アイデアソンで横浜の地域課題を解決したい参加者を募集、CCC U-22が実施

横浜FCコラボの「サッカー×テクノロジー」アイデアソンで横浜の地域課題を解決したい参加者を募集、学生向けシビックテック開発コンテストCCC U-22が実施

Code for Japan(コード・フォー・ジャパン)は6月9日、学生向け開発コンテスト「Civictech Challenge Cup U-22」(CCC U-22)において、横浜のシビックテック(Civic Tech)コミュニティーCode for YOKOHAM(コード・フォー・ヨコハマ)およびJリーグ横浜FCの協力の下、学生向けアイデアソンを開催すると発表した。開催日時は6月20日午後1時から午後4時までで、Zoomを使った完全オンライン開催となっている(途中参加、途中退出も可能)。参加費は無料。

アイデアソンの目的は、サッカー、ファン、クラブチームの関係性、ホームタウンの町作りなどにITを活かすアイデアを競い、新しい価値を生み出すこと。「横浜とサッカーを切り口に、地域課題やコロナの影響を受けているスポーツ領域の課題解決策を考える」という。

横浜FCは、以前から地元社会との連携を強めるためのホームタウン活動を行っている。またJリーグ・Jクラブは、教育、ダイバーシティー、町作りなどの課題に、企業、自治体、学校などと連携して取り組む「シャレン!」(社会連携活動)を展開している。そこでCode for Japanは、横浜の人たちにシビックテックをもっと身近なものとして認知してもらおうと横浜FCの協力を仰ぎ、このアイデアソンが実現した。

このアイデアソンは、5月から始まったCode for Japanが主催する学生向け開発コンテスト「Civictech Challenge Cup U-22」(CCC U-22)期間中のイベントのひとつとして、6月20日午後1時から、Zoomを使った完全オンラインで開催される(途中参加、途中退出も可能)。CCC U-22参加者以外の学生、サッカーファン、横浜にゆかりのある人も参加可能。参加費用は無料だが、学生生活応援チケットという個人寄付付きチケットを5000円で購入することもできる。

CCC U-22は、社会課題にシビックテックで取り組もうという学生のためのコンテスト。コロナ禍の影響で就職活動が思うに任せず、サマーインターンにも参加できないという学生の苦悩に対処すべく、旭川の高専生が発案し、東京、関西、北海道の学生の賛同を受けて2020年に始まった。2021年も開催が決まり、5月にエントリー募集が始まっている。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:オープンソース / Open Source(用語)Code for Japan(組織)シビックテック / Civic Tech(用語)新型コロナウイルス(用語)日本(国・地域)

複数ブロックチェーン間の取引を実現する相互運用性プロジェクト「YUI」がHyperledger Labsプロジェクトとして承認

Datachainは6月7日、Linux Foundationが運営するエンタープライズ向けブロックチェーン・オープンソースソフトウェア(OSS)・コミュニティ「Hyperledger」において、インターオペラビリティ(相互運用性)プロジェクト「YUI」(ユイ)がHyperledger Labsのプロジェクトとして承認されたと発表した。

Datachainはこれまで、ブロックチェーンのインターオペラビリティに関する研究開発を行なってきた。そして同社CTOの木村淳氏を中心にYUIを立ち上げ、Hyperledger Labsのプロジェクトに承認された。

YUIでは、複数ブロックチェーン間におけるアプリケーション開発やコミュニケーションを可能にするためのモジュールやミドルウェアが提供される。ブロックチェーン間の通信プロトコルとしては、IBC(Inter-blockchain communication protocol)を採用。また、Hyperledger Fabric(ファブリック)、Hyperledger Besu(ベイス)、Corda(コルダ)といった主要なエンタープライズ向けブロックチェーンに対応している。

YUIの技術を活用することで、複数ブロックチェーン間において、トークン転送やDvP(Delivery versus Payment)決済を含むアトミックスワップ(Atomic Swap)などの連携を実現できる。具体的には、デジタル通貨・地域通貨などの決済領域、STO(Security Token Offering)・国際貿易などの決済関連領域、NFT(ノン・ファンジブル・トークン)などの複数のブロックチェーン基盤間での取引が発生する領域など、様々なシーンでの応用が期待される。

Datachainは今後、YUIの研究開発を進めるとともに、Hyperledgerコミュニティとの連携を深め、国内外の企業へのインターオペラビリティソリューションの提供を推進するとしている。

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タグ:アトミックスワップ(用語)オープンソース / Open Source(用語)CordaDatachainHyperledgerHyperledger FabricHyperledger Besuブロックチェーン(用語)Linux Foundation(組織)日本(国・地域)

世界最大の在庫品目を誇る電子部品通販サイト「Digi-key」がスタートアップ支援サイトを開設

世界最大の在庫品目を誇る電子部品通販サイト「Digi-key」がスタートアップ支援サイトを開設

世界最大の在庫品目を有し、世界各地で事業を展開する電子部品通販サイトDigi-Key Electronics(ディジキー・エレクトロニクス)は、6月7日、スタートアップ企業の成功を支援するマイクロサイト開設と、アメリカのスタートアップ専門誌「STARTUP Magazine」とのパートナーシップで制作された「Startups Survival Guide, 2nd Edition」(スタートアップ企業サバイバルガイド」マニュアル第2版)の公開を発表した(英語での提供)。

Digi-key自身が、もともとアマチュア無線用部品を生産するスタートアップ企業だったことから、その経験と、さらにこれまでに数千社のスタートアップ企業を支援してきた中で蓄積されたリソース、ツール、知識を活用して、コンセプト段階から、試作、製造、サポートに至るまで10のステップに沿ってスタートアップ企業を支えようという活動だ。「その夢の実現を可能にするDigi-keyのコミットメントと献身」を強固にするためだとDigi-keyは話している。

このマイクロサイトは、スタートアップ企業が成功するまでの10ステップ(コンセプト、研究、評価、デザイン、プロトタイピング、資金調達、マーケティング、生産、流通、サポート)を示す「Startup Roadmap」(スタートアップ企業ロードマップ)を中心に構成されている。各ステップでは、アメリカのオープンソース・ハードウェア・メーカーの草分けAdafruit Industries(エイダフルーツ・インダストリーズ)の創設者であり、2018年のForbes誌「テック業界のアメリカ人女性トップ50」にも選ばれたLimor “Ladyada” Fried(リモア・レディーエイダ・フリード)氏が語るスタートアップ体験談の動画も視聴できる。

また、ロードマップの各ステップの完了をサポートするインタラクティブなツール「Roadmap Dashboard」(ロードマップ・ダッシュボード)も用意されている。ここでは、各ステップで有用となるツールやリソースが紹介され、「革新的なトラッキングシステム」も利用できる。たとえば、短時間でコンセプトをまとめることができるツール「Scheme-it」、プリント基板の設計から発注まで行えるツール「PCB Builder」と「DK RED」、そのほか部品表管理ツールや技術フォーラム、さらにDigi-keyを通じて販売が行えるマーケットプレイスなどが用意されている。

Digi-Keyテクニカルマーケティング担当ディレクターのDavid Sandys(デイビッド・サンディス)氏は「Digi-Keyはこれまで数万社のスタートアップ企業と関わってきており、スタートアップ企業の願望や目標実現の妨げとなる一般的な落とし穴や、見えにくい落とし穴をいかに回避するかを学んできました。新しいマイクロサイトとガイドは、こうした障害を克服するための最も優れたリソースのひとつです」と語っている。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:IoT(用語)Adafruit Industries(企業)オープンソース / Open Source(用語)Digi-Key Electronics(企業・サービス)電子工作(用語)メディア(用語)

ファーウェイ独自OS「HarmonyOS 2.0」のオープンソース版がIoT機器向けに公開、Linuxか独自カーネルを選択可能

  1. ファーウェイ独自OS「HarmonyOS 2.0」のオープンソース版が開発者向けに公開、Linuxと独自カーネルを選択可能

中国初のオープンソース財団OpenAtom Foundationは6月1日、「OpenHarmony 2.0 Canary」(カナリア版)をリリースした。ライセンスはApache License 2.0(アパッチ・ライセンス 2.0)。Huawei(ファーウェイ)の独自OS「HarmonyOS 2.0」のオープンソースソフトフェア(OSS)版最新バージョンにあたる。中国のソースコードホスティングサービス「Gitee」上で公開している

また6月2日、開発者向けドキュメントをまとめた「Develop devices – HUAWEI HarmonyOS Device」に関連ドキュメントも公開された。

Huaweiは、2020年9月開催の開発者向けイベント「HUAWEI DEVELOPER CONFERENCE 2020」においてOpenAtom Foundationに対してソースコードを寄贈することを発表しており、以来公開が続けられている。

新たにリリースされたOpenHarmony 2.0のライセンスは、Apache License 2.0。すべての機器がネットワーク接続された世界における、あらゆるスマートデバイスに適用可能なOSSのOSとして、IoE(Internet of Everything)を促進するとうたっている。

カーネルとしてはLinux、HarmonyOSマイクロカーネル、Huawei LiteOSを利用できるマルチカーネルデザインを採用。ターゲットとするハードウェア環境によって開発者がカーネルを選択できるようにしており、カーネル抽象化層(KAL。Kernel Abstraction Layer)を設けることで実装の違いを隠し、基本的なカーネル機能を上位層に提供するという。

Linuxについては、LTS版カーネルを基にCVEパッチやOpenHarmonyの上位層に適合させるための機能をマージさせたものを利用するという(記事執筆時点では、バージョン4.19を基にしている)。

HarmonyOSマイクロカーネルについては、記事執筆時点ではソースコードおよびドキュメントとも公開されていない。Huawei LiteOSは、記事執筆時点ではOpenHarmony LiteOS Cortex-AおよびLiteOS Cortex-Mとしてソースコードが公開済みで、ライセンスはBSDライセンス(2条項BSDライセンス)を採用。LiteOS Cortex-Aは、Arm Cortex-A7ベースSoCの中国HiSilicon Technology製Hi3518E V300またはHi3516D V300搭載ボードをサポートしている。LiteOS Cortex-MをCortex-M3(STM32F103)/M4(STM32F429IG)/M7(STM32F767ZI)、RISC-Vに対応しているという。

ファーウェイ独自OS「HarmonyOS 2.0」のオープンソース版が開発者向けに公開、Linuxと独自カーネルを選択可能

OpenHarmony LiteOS Cortex-Aのアーキテクチャ

ファーウェイ独自OS「HarmonyOS 2.0」のオープンソース版が開発者向けに公開、Linuxと独自カーネルを選択可能

LiteOS Cortex-Mのアーキテクチャ

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タグ:IoT(用語)Android(製品・サービス)OS / オペレーティングシステム(用語)OpenAtom Foundation(組織)オープンソース / Open Source(用語)OpenHarmony(製品・サービス)Gitee(企業・サービス)GitHub(企業)Google / グーグル(企業)HarmonyOS(製品・サービス)Fuchsia(製品・サービス)

オープンソースのコントリビューター行動規範がエシカルソース推進団体へ移管

オープンソースのプロジェクトにおいて技術の管理は往々にして問題となる。しかもコントリビューター間の対立が避けられない場合、各自が自分が正しいと信じているだけに状況はさらに悪化する。オープンソースコミュニティのグランドルールを作ろうとする努力の1つが、2014年のCoraline Ada Ehmke(コラリーヌ・エイダ・エームケ)氏によるContributor Covenantコントリビューター行動規範)だ。オープンソースのプロジェクトの多くがそうであるように、Contributor Covenantもエームケ氏の情熱が込められていた。数年間にわたる最初の2回の改訂の間に、その規範書をCNCFやCreative Commons、Apple、Google、Microsoft、Linuxプロジェクトなどが採用し、他にも数百のプロジェクトが彼らに続いた。

今度バージョン3.0に取り組むにあたり同規範書は、 エームケ氏が共同創業者で事務局長でもあるOrganization for Ethical Source(OES、エシカルなソースのための団体)にその管轄を任せることになった。

このことについてエームケ氏は次のように語っている。「Contributor Covenantは、オープンソースプロジェクトの行為規範としてこの世界で初めてのドキュメントですが、それは信じられないほどの議論を誘発し、今でもそれらの議論は鎮まっていません。私がいたのはRubyのコミュニティでしたが、そのコミュニティは規範書のコンセプトと文書そのものを真剣に受け入れていました。そしてそこから、多くのオープンソースプロジェクトやオープンソースのコミュニティに広がっていきました」。

ドキュメントの中核にあるのは「年齢、体の大きさ、目に見えるまたは目に見えない障害、民族性、性別、 性同一性、表現、経験のレベル、教育、社会経済的地位、国籍、人格、人種、宗教、または性的同一性と性的指向性に関係なく、コミュニティへの参加を誰にとってもハラスメントのない体験にする」という誓いだ。そしてコントリビューターは、多様で開放的で誰でも歓迎するコミュニティに貢献すべく、行動しなければならない。

Ehmke氏によると、これまでの数年間で進化したのは、メンバーが行動規範に違反したときの結果をどうすべきか、コミュニティのリーダーが判断できるための、規約の執行指針を加えたことだ。

「この文書が批判を浴びたとき私が考えたのは、そんなにまじめでない議論も含めて、そこには、何らかの具体的な行動に結びつくべきフィードバックがあるのではないか、ということだ」、とEhmke氏は語る。「これまで何年間も、Contributor Covenantに対する批判の多くは、『何か間違ったことを言ったらプロジェクトから永久追放になるのかい?厳しすぎるし不合理だよ』というものだ。つまり、違反に対してプロジェクトリーダーに何をされるか、という結果を心配している。その心配はもっともだ、と私も感じた」。

エームケ氏はCovenantをOESに置くことを「コミュニティへの出口」と呼ぶ。それは企業などが、成熟したオープンソースプロジェクトをファウンデーションの傘下に置くようなものだ。彼女によると、OESにはコミュニティ管理やプロジェクト統轄のエキスパートが多い。彼らなら、このプロジェクトをもっとフォーマルなかたちにしてくれるだろう。「Contributor Covenantの進化には今後も関与していきますが、開発はOESのワーキンググループが担当することになるでしょう」と彼女は説明した。

バージョン3.0に関してエームケ氏が期待するのは、Covenantが「ツールキット」のようなものになり、OESが定めている倫理原則は堅持しつつ、さまざまなコミュニティが自分たちの目標と価値に合ったかたちに変えていくことだ。

MicrosoftのOpen Source Program OfficeのプログラムマネージャーEmma Irwin(エマ・アーウィン)氏は、次のように語る。「MicrosoftがContributor Covenantを採用したことは、私たちが本気で、健全で多様性と包容力のあるコミュニティを築き、エコシステムの多くのメンバーとともに貢献し構築して行きたいと考えていることの表れです。会社のこの意図と私の能力をOESのContributor Covenant 3.0ワーキンググループに持参できることは、名誉です」。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:オープンソースContributor Covenant

画像クレジット:Yuichiro Chino/Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Googleの新OS「Fuchsia」が第1世代「Nest Hub」向けに配信開始

Googleの新OS「Fuchsia」が第1世代「Nest Hub」向けに配信開始

Googleの新OS「Fuchsia」が、第1世代のNest Hub向けに配信が開始されました。9to5GoogleがGoogleに確認したとして伝えており、まずはプレビュープログラムを対象にリリースされ、今後数か月で広く展開予定とのことです。

2016年にその存在が明らかになったFucshiaは、あまり公に語られることもなく、どういった立ち位置のOSなのかも不明なままでした。しかし、2020年には開発者サイトがオープンし、プロジェクトが一般公開されたほか、5月初めには、Bluetooth SIGでFucshia 1.0を搭載するGoogle Home Hub(第1世代のNest Hub)が見つかるなど、正式リリースも近いのではと考えられていました。

Fuchsiaの特徴は、LinuxベースのAndroidとは異なり、独自のマイクロカーネルZircon(以前はMagentaと呼ばれていました)を採用していること。Googleは公式ブログの中で、汎用のオープンソースOSを作成するための長期プロジェクトだと説明されていました。

肝心のNest Hubのアップデートですが、見た目や機能に変化はなく、アップデートに気づかない可能性も指摘されています。というのも、Nest Hub自身はCast OSで動作していますが、その上でオープンソースのアプリ開発プラットフォームFultterが動作しています。Fultterはクロスプラットフォームを特徴としており、Fuchsiaもサポート済み。このため、ベースとなるOSが変わっても、見た目や動作に影響はないというわけです。

今後、他の機種へのアップデートも行われると考えられますが、最終的にAndroidやChrome OSを置き換えるものになるのか、あくまでもスマート機器向けに留まるのか、注目しておきたいところです。

(Source:9to5GoogleEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ソフトウェア
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