Google Cloudに安価な汎用仮想マシン「E2ファミリー」を追加

米国時間12月11日、Google(グーグル)はGoogle Cloud PlatformE2シリーズのバーチャルマシンタイプを追加したことを発表した。新しい汎用コンピュートインスタンスは大幅なコスト削減を可能にする。料金は現在のN1インスタンスと比較して最大31%安くなるという。

E2ファミリーは標準的なIntel(インテル)およびAMDのCPUをサポートするが、グーグルによれば独自のCPUスケジューラにより「仮想CPU、メモリをダイナミックに物理的CPU、メモリにマッピングし可用性を最大限に高める」ことができるという。さらに新システムは仮想マシンの作動場所についても柔軟であり、必要があれば別のホストに簡単に移動できる。これらの特徴を実現するため、グーグルは専用のCPUスケジューラを構築し、「レイテンシーの大幅な低減をもたらし、並列処理に必須なコ・スケジューラとしてLinuxのデフォルトシステムより優れている」という。新しいスケジューラのウェイクアップレイテンシーはマイクロ秒以下であり、コンテキストスイッチも高速だという。

グーグルがここで強調している効率化は他のマシンタイプにも適用できそうだ。 おそらく今後のアップデートでGoogle Cloudの他のインスタンスファミリーにも同様の改善がなされていくだろう。

グーグルは新しいインスタンスがライバルの同種のプロダクトより優れていると断言しているのが興味深い。同社は本日の発表で「他のクラウドベンダーの同種のプロダクトと比較してい、E2バーチャルマシンは複雑な料金計算や人為的なスロットリングの必要なしにCPUを連続的に高負荷で稼働させるこことができる。これが可能となったのはCompute Engine仮想化テクノロジーとダイナミックなリソース管理能力の長年にわたる積み重ねによるものだ」と述べている。AWS、Azureの同種のマシンとE2ファミリーを比較したベンチマークの結果を見たいものだ。

これまでの例と同様、Googleでは事前に設定したコンフィグレーションのインスタンスのセットを提供する。最小構成はvCPUx2、メモリ8GB、最大はvCPUx16、メモリ128GB。さらに負荷の小さいワークロードの場合、Google Cloudは新たにE2ベースで既存のf1-micro、g1-smallのマシンタイプを提供する。構成はvCPUx2、メモリは1GBから4GBでof RAMでCPUのベースラインパフォーマンスは0.125 vCPUから0.5 vCPUまでとなっている。

【Japan編集部追記】 E2マシンタイプは米国、ヨーロッパでは提供されているが、まだ東京、大阪リージョンでは提供されていない。アジアでは台湾、シンガポール・リージョンで提供されている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

医療プラットフォーム事業展開のメドレーが東証マザーズ上場、公開価格1300円で初値1270円

複数の医療プラットフォーム事業を展開しているメドレーは12月12日、東証マザーズ市場に上場した。主幹事証券会社は大和証券で、公募253万株、売り出し1123万株、オーバーアロットメントによる売り出しが206万4000株となる。オーバーアロットメントとは、当初の募集・売出予定株数を超える需要があった場合に実施される株式の販売方法。主幹事証券会社が対象会社の株主から一時的に株式を借り、売出予定株数を超える株式を、募集・売出しと同じ条件で追加販売すること。

公開価格は1300円で初値はそれを30円下回る1270円をつけた。12月12日午前9時18分現在の最高値は1350円で時価総額361億500万円となり、株価は1310円前後で推移している。

同社の具体的な事業内容は、人材採用システムの「ジョブメドレー」、クラウド診療支援システムの「CLINICS」、医療メディアの「MEDLEY」、介護施設検索サイト「介護のほんね」など。累計登録会員数は2019年9月末時点で53.3万人。顧客事業所数は17.5万カ所となっている。

直近の業績は、2018年12月を決算期とする2018年度(2018年1月〜12月、単独)は売上高17億1200万円、営業損失1000万円、経常損失8700万円、当期純損失は1億5300万円。2019年度(2019年1月〜12月、連結)の予想は、売上高46億7700万円、営業利益8000万円、経常利益8100万円、当期純損失4億1400万円。

なお、2019年度の業績予想が連結になっているのは、同年3月に日本医師会標準レセプトソフト「ORCA」(医事会計ソフトウエア)を開発していたNaClメディカルを買収したことによるもの。この買収後、ORCA事業の継続性および保険請求基盤の維持発展という目的で、従来は無料で使えていたORCAの一部機能有償化が決定し、2020年1月以降は月額利用料の支払いが必要になっている。実際にはORCA自体はオープンソースで開発されており無償で利用できるが、その周辺サービスが有償になる。

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無料のフォトストック事業運営のUnsplashが課金や広告に頼らない収益化手法を考案

100万枚の写真をストックし、すべて無料で提供しているUnsplashは、同社の収入になり、かつフォトグラファーの収入増加にもつながるプロセスを開始する。

画像:Boxed Water is Better / Unsplash

と言っても、写真の使用に課金するわけではないのでご心配なく。同社のMikael Cho(ミカエル・チョウ)CEOは、写真への課金は「創造性の足を引っぱる」リスクがあると述べている。

ウェブサイトのすべてのページにバナー広告を設置しようというわけでもない。そう、デジタル広告ビジネスなのだが、Unsplashは独自のアプローチをとっている。企業と提携してブランドの写真を作り、それを検索結果に表示させようとしているのだ。

例えば、決済サービス企業のSquareが、Square Registerの写真をアップロードする。するとUnsplashの利用者が「cash register」などの語で検索したときに、その写真が表示される。

Unsplashと提携するブランドは、検索結果の目立つ位置に表示され、そのブランドのチャンネルも表示される。しかし実際の効果はUnsplashのウェブサイトにはとどまらないとチョウ氏は言う。

同氏は筆者に対し「これは、1カ所だけで効果を発揮するものではない。広告のプラットフォームが増えウォールドガーデンとなって閉じていくが、(Unsplashの)目的は広めることだ。人々は写真をプレゼンに使い、ブログにも使うようになる」と述べた。

Squareの例で説明すると、誰かが「レジの未来」に関する記事を書く際に、トップのイメージの候補としてSquare Registerがいきなり出てくる。

SquareのブランドマーケティングマネージャーのLeann Livingston(リアン・リビングストン)氏は発表の中で「Squareは特徴的な『白い小さなカードリーダー』で知られているが、当社のハードウェアはあらゆる規模の企業の経営者を支援する製品のエコシステムへと進化している。Squareのハードウェアの写真がレストラン、サロン、小売店などにわたって使われたため、オーガニックの画像を通じてブランドを広めることができた」と述べている。

チョウ氏は、これまでのキャンペーンのおよそ半数で、ブランドはUnsplashのフォトグラファーに仕事を発注していることも説明した。例えばBoxed Water Is Betterは、楽しい場面での製品写真を発注した。

Boxed Water Is BetterのRob Koenen(ロブ・ケーネン)CEOは発表の中で「当社に合うフォトグラファーの方々に発注することで、持続可能性の新たな基準を提唱し、地球環境に有害なペットボトルが写っていない画像を世界中のクリエイターが利用できるようにする」と述べている。

ブランドと提携したUnsplashは、現在のところ招待制だ。同社は、Kantar Millward Brownの調査結果についても言及している。それによれば、Unsplashのブランドイメージはテレビやデジタル広告のベンチマークを最大で5倍上回り、「マススケール」に達する可能性があるという。

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(翻訳:Kaori Koyama)

オープンソースプロジェクトを収益化するサブスク方式のプラットフォーム「xs:code」

オープンソースは、デベロッパーにとって無料で手に入る優れたツールの供給源だ。しかし、その中のプロジェクトが拡まり、人気が出ると、作成者は成功したものを収益化する方法を模索したくなることもある。その場合に問題となるのは、サブスクリプションベースのデュアルライセンス方式で運営するのが難しく、ほとんどの開発者は、どこから始めればよいかさえわからない。そこに登場したのが、イスラエルのスタートアップであるxs:code。このような問題を解決するために開発者を支援するプラットフォームだ。

画像クレジット:Luis Alvarez/Getty Images

「xs:codeは、オープンソースプロジェクトを収益化するプラットフォームです。現在非常に人気のある寄付方式のプラットフォームとは異なり、xs:codeでは、オープンソースの開発者は支払いに対して付加価値を提供できます。無料で提供しているものに追加できるのです。追加するのは、異なるライセンス、付加機能、サポートのサービス、その他、考えつくもの何でもかまいません」と、xs:codeの共同創立者兼CEOであるNetanel Mohoni(ネタネル・モホニ)氏はTechCrunchに語った。

そのようにしても、オープンソースとしての性格が失われることはない。自分の仕事を収益化したいと考えている開発者にプラットフォームを提供しているだけだ、とモホニ氏は言う。「多くの企業が、コードにアクセスするためにお金を払っています。自分たちの仕事に対して対価が得られることで、モチベーションも高まった開発者が作成し、品質も向上したソフトウェアを利用できるからです。私たちの方法では、コードが確実にオープンソースであり続けるようにするため、開発者は引き続きコードへの貢献を受け入れることができます。そのため、コミュニティはこれまで以上に優れたコードを利用できるのです」と彼は説明した。

写真:xs:code

さらに、プロジェクトのオーナーが望めば、コミュニティの貢献者に、サブスクリプションから得た資金を分配することもできる。それにより、プロジェクトの改善を手助けしてくれた貢献者に報いる方法を提供できるのだ。

一般的にうまくいくのは、オープンソース開発者がデュアルライセンスのモデルを作成する方法だ。1つのライセンスは、純粋なオープンソースコードとし、もう1つは営利目的のライセンスにする。後者には、顧客がサブスク方式で料金を支払いたくなるような追加機能や、サポートを含めることができる。

開発者はGitHub上にプライベートリポジトリを作成し、有料版にアクセスするためのxs:codeへのリンクも張っておく。ユーザーは、そのペイウォールにアクセスしてサブスクライブする。xs:codeは料金を徴収し、開発者があらかじめ指定した方法で支払う。同社は、プラットフォームを維持し、料金を徴収するための手数料として25%を受け取る。

このプラットフォームは、米国時間12月10日からベータ版として初公開される。登録は無料だ。xs:codeは、これまでに50万ドル(約5400万円)の事前シード資金を調達している。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

有料ユーザー400万人を擁する写真共有サービス運営のVSCOが360度カメラ開発のRyloを買収

2019年のミームとなった「VSCO girls」を作りだした写真共有アプリ開発のVSCOが、ビデオ編集アプリを開発するスタートアップであるRyloを買収した。Ryloは、Instagram(インスタグラム)のHyperlapse(ハイパーラプス)を作ったオリジナルデベロッパーによって設立された。

設立8年のVSCOはサブスクリプションベースのサービスを展開しており、有料ユーザーは400万人を超えようとしている。VSCOの広報は、買収案件の詳細の公開は拒否した。PitchBookのデータによると、Ryloはベンチャーキャピタルファンディングで3800万ドル(約41億円)を調達し、2018年10月に発表した2000万ドル(約22億円)のシリーズBで評価は1億2025万ドル(約130億円)に達している。

サンフランシスコを拠点とするRyloSequoia CapitalAlumni Ventures Group、Icon VenturesAccelを含む多くの機関投資家の支援を受けている。Accelはシリコンバレーのベンチャーキャピタルファンドでオークランドが拠点であるVSCOの主要株主でもある。

2015年に設立されたRyloは、解像度5.8Kで映画のようなビデオが撮れる360度カメラで知られている。以前、このカメラは500ドル(約5万4000円)近くで販売されていたが、今ではBestBuy.comで250ドル(約2万7000円)ほどの低価格で売られている。VSCOの下で、Ryloはモバイル向けのビデオ編集ツールの作成に専念することになる。同社がTechCrunchに語ったところによると、デバイスの製造・販売は継続しないが、販売したカメラの保証には対応していくという。

RyloはAlex Karpenko(アレックス・カーペンコ)氏とChris Cunningham(クリス・カニンガム)氏によって設立された。CEOのカーペンコ氏は2013年にInstagramに買収されたビデオ撮影・スタビライゼーション・共有アプリのLuma Cameraを2011年に立ち上げた。これはInstagram初の買収だった。カーペンコ氏はソフトウェアエンジニアとしてInstagramのチームに加わったが、その後、このアプリはなくなった。そして同氏はInstagramのタイムラプスビデオアプリ、Hyperlapseの主要な開発者になった。

一方のカニンガム氏は2008年から2013年まで、Apple(アップル)でエンジニアとしてiLife、ApertureそしてiOS用のiPhotoに携わった。その後アップルを辞めてFacebook傘下のInstagramに移り、Instagram Direct専門のiOSエンジニアとして働いた。

VSCOは共同創業者でCEOのJoel Flory(ジョエル・フローリー)氏が率いている。モバイル写真編集ツールや高度な写真フィルター、チュートリアルなどアプリの全機能を利用するには年19.99ドル(約2200円)が必要だ。TechCrunchとの最近のインタビューでフローリー氏は、写真共有・編集だけでなくビデオやイラストレーションにも手を広げるという野望を描いてみせた。2015年のMoving SciencesArtifact Uprising以来となる今回の買収は、事業の成長と新たな収入源の確保が狙いだ。

「VSCOとDSCOでビデオ編集ツールが倍になったように思われていますが、我々のGIF作成ツールは最も人気のある機能の1つであることにかわりはありません」とフローリー氏は同社のブログに書いている。「我々のユーザーが、より多くのビデオツールや、クリエイティブな自己表現を通じて自分たちのストーリーを伝えるための新たな方法を欲しているのは明らかです」。

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(翻訳:Mizoguchi)

クラウドファンディングサイトのMakuakeが東証マザーズ上場、公開価格1550円で初値2710円

クラウドファンディングプラットフォーム「Makuake」を運営するマクアケは12月11日、東証マザーズ市場に上場した。同社は、2013年5月にサイバーエージェント内の新規事業を担う子会社としてサイバーエージェント・クラウドファンディングという社名で設立され、2017年10月に社名を現在のマクアケに変更して現在に至る。

マザーズ上場時には98万株を公募し、156万5000株を売り出す。主幹事証券会社は大和証券。公募・売り出し価格は1550円で12月11日の初値は2710円、最高値は2750円で、11日11時15分現在2710円前後で推移している。ちなみに上場前の同社の株式は、親会社のサイバーエージェントが71.36%、プロサッカー選手である本田圭佑氏が設立したKSK ANGEL FUNDが13.71%、同社社長の中山 亮太郎氏5.05%を保有している。いずれの株主も90日間のロックアップ、つまり株式を売買できない期間が設けられている。

Makuakeは、国内有数のクラウドファンディングプラットフォームであり、現在では海外製品やハードウェアスタートアップ企業のテストマーケティングの場としても活用されること多い。最近では、海外企業の進出を支援するMakuake Global Planや、大企業のオープンイノベーション戦略に参画したりと活躍の場を広げてきた。

直近の業績としては、2018年9月を決算月とする2018年度(2017年10月〜2018年9月)は、売上高が9億5800万円、経常利益が1億5600万円。当期純利益は1億1300万円だった。2019年度(2018年10月〜2019年9月)は売上高が13億4400万円、経常利益が1億2700万円。当期純利益は8900万円。2017年9月期の決算以降は黒字経営を続けている。

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tenki.jp共同運営元のALiNKインターネットが東証マザーズ上場、公開価格1700円で初値4020円

ALiNKインターネットは12月10日、東証マザーズ市場に上場した。公募・売り出し価格は1700円で初値は4020円となった。12月11日9時30分時点の最高値は4170円で時価総額は85億2500万円。現在、4000円前後で推移している。主幹事証券会社は野村證券。

同社は、日本気象協会と共同で天気専門メディアの「tenki.jp」を運営している2013年3月設立のスタートアップ。現在の天気を調べられるアプリ「tenki.jp」、登山者向けの天気情報アプリ「tenki.jp登山天気」のスマートフォン向けアプリも提供している。2018年12月には、首都圏や福岡市などで1日70円からの傘のシェアリングサービス「アイカサ」を提供しているNature Innovation Groupへ出資するなど天気関連事業を進めている。ちなみに、同社の従業員は9名、役員を入れても14名と非常に上場企業としてはかなりの少数精鋭である点も特徴だ。

関連記事:傘シェアサービス「アイカサ」がtenki.jp共同運営元から資金調達

直近の業績としては、2019年2月を決算月とする2019年度(2018年3月〜2019年2月)は、売上高が6億9400万円、営業利益が3億4900万円、経常利益が3億4400万円。当期純利益は2億3200万円だった。2020年度(2019年3月〜2020年2月)の予想は、売上高が6億9400万円、営業利益が3億1700万円、経常利益が2億9200万円。当期純利益は1億8300万円。売上高は前年と同じだが、純利益は少し減っている。

同社の事業の9割以上はtenki.jp関連サービスが占めており、売上の大半は広告収入だ。内訳は、アドネットワークを利用した運用型広告と枠売りやタイアップ広告等の純広告による収入だが、現在のところ運用型広告が90%以上を占めているとのこと。なお、tenki.jp の広告収入(売上高)については、一般財団法人である日本気象協会との業務提携契約に基づき、アドネットワーク業者や広告主との主要な契約手続きを日本気象協会が担当。広告収入は、まず日本気象協会に入金され、同社にはレベニューシェアとして、ALiNKインターネット49.5:日本気象協会50.5の割合で配分されているとのこと。

日本国内ではここ数年、地震や津波だけでなく大型の台風の接近や直撃により、全国各地で甚大な被害が広がっている。また、アジアの急速な工業化によって大陸から飛散するPM2.5(微小粒子状物質)の量も増えている。tenki.jpの運営を通して、天気や大気、地震などデータを活用して、日常生活はもちろん、被災時にも欠かせない情報を日々届けているALiNKインターネット。少数精鋭の同社が描く上場後の戦略がどういったものになるのか注目していきたい。

電子契約「クラウドサイン」がセールスオートメーション領域でサービス開始

弁護士ドットコムの電子契約サービス「クラウドサイン」が、今度はセールスオートメーションの領域に乗り出した。12月10日、同社が提供開始したのは「クラウドサイン Sales Automation(以下クラウドサインSA)」。契約の電子化だけでなく、前後の営業プロセスについても電子化・自動化を取り入れ、企業の営業活動を支援しようというサービスだ。

クラウドサインは、2015年10月のリリースから約4年が経ち、11月時点で利用社数は6万社に達した。弁護士ドットコム取締役/クラウドサイン事業部長の橘大地氏は「電子契約の本格的な普及が始まった」と見ている。一方で、契約締結以外の部分について営業活動の業務フローを見ると、問い合わせ受付から始まって、見込み客の管理や取引先審査、申込書などの帳票作成といったプロセスがそれぞれ、手作業も交えてバラバラに行われている。橘氏は「一連のプロセスに全て対応できるようにしたいと思っていた」とクラウドサインSA開発の動機について説明する。

「電子契約はさまざまなシーンで使われるようになり、インサイドセールスの浸透に見られるように、営業業務の効率化には注目が集まっている。しかし、Salesforceの調査(Salesforce Research 第3回年次レポート『セールス最新事情』)によれば、営業担当者が営業活動に費やす時間は全体の34%。事務作業や書類の作成、データの入力といった営業以外の業務に追われているのが実態だ。本来なら、見込み顧客の発掘や営業ノウハウの共有、マネジャー層であれば営業戦略の立案など、より意義ある活動に時間を割くべきなのに」(橘氏)

クラウドサインSAは、契約書回収業務より前のプロセスである、顧客からの問い合わせ対応、営業プロセスの進捗管理、取引先審査、契約書の作成といった業務フローを支援する。

具体的な機能としては、問い合わせフォーム作成や顧客管理(CRM)、帳票作成、マネジャー向けのダッシュボード、ワークフロー、掲示板、カレンダーやメール送信といったものが含まれており、もちろん電子契約の締結も行える。CRMのバックグラウンドでベースとなっているのはSalesforceのシステム(PaaS)。フォームで入力された内容は自動的にCRMに取り込まれ、帳票作成や申込書・契約書にも反映されるので再入力の手間は不要だ。

橘氏はクラウドサインSAにより「受注率向上と営業リードタイムの短縮、見込み顧客の発掘、セールスイネーブルメント(受注・失注情報の共有、受注理由の要素分解による担当者への教育・伝達)を図ることができる」と語る。9月に同社がローンチした「クラウドサインNOW」は、実店舗での対面・手書きの申込みを電子化することで顧客管理につなげるという発想だったが、クラウドサインSAは営業パーソンのエンパワーメントを中心に設計されているプロダクトと言えるだろう。

サービス開始時点で既にマネーフォワード、リノベるの利用が決まっているという、クラウドサインSA。橘氏は「中小企業や店舗など、元々CRMを使っていないという事業者でも、ワンパッケージで全ての機能が使えるので、そうしたところへも販売していきたい」と話している。

Salesforce連携により契約書を自動作成し、契約締結(電子サイン)まで完結できる仕組みとしては、DocuSignが提供する「DocuSign Gen for Salesforce」などもあるが、中小企業・店舗も取り込んで展開することを考えると、日本での導入社数の多さや日本の商習慣への対応の面では、クラウドサインSAに強みがあるのかもしれない。

利用料金は、SalesforceやKintoneを導入済みで、CRM/SFA機能や業務アプリ機能の追加が不要な企業を対象にした「Basic」では月額2万円(5ID)から。CRM/SFA機能の付いた「Standard」が月額固定費5万円+IDごとに8000円、全ての機能が含まれる「Business」で月額固定費5万円+IDごとに8800円となる。月額固定費にはクラウドサインの月額固定費も含まれる。

マイクロソフトは2020年5月6日にWunderlistを閉鎖

これまでずっとMicrosoft(マイクロソフト)は、2015年に買収したTo DoアプリであるWnderlist(ワンダーリスト)について、自社開発のTo Doアプリで遜色のない体験を提供できるようになったときに、Wundelistを閉鎖し置き換えることを宣言してきた。米国時間12月9日、同社はついに2020年5月6日(日本時間2020年5月7日)にWunderlistを閉鎖することを発表した。この日以降、Wunderlist中の予定は同期されなくなるが、ユーザーは引き続き、マイクロソフト自身のTo Doアプリにコンテンツをインポートできる。

一部のWunderlistユーザーは失望するだろうが、公平を期するために言うなら、マイクロソフトはこの手の買収時に期待される期間よりも、はるかに長期にわたって同アプリの運営を続けてきた。そして同社は 2017年4月の段階から、アプリの将来的な閉鎖に向けて、Wunderlistユーザーのための準備を進めていたのだ。

その間マイクロソフトは、リストグループ(フォルダー)、ステップ(サブタスク)、添付ファイル、共有、タスク割り当てといった、ユーザーお気に入りの機能が、Microsoft To Doに確実に取り込まれるように作業を続けてきた。

9月には、同社はTo Doに、新しい背景、スマートリスト、そして日々の計画スマートに提案してくれる、個人デイリープランナーなどのアップグレードを追加したが、これはWunderlistの閉鎖が近づいていることを示唆していた。また、Outlook、Microsoft Planner、Cortana、Android上のMicrosoft Launcherなどのほかの自社アプリとTo Doを統合した。

 

このときには、Wunderlistのオリジナル開発者であるChristian Reber(クリスチャン・リーバー)氏が、TwitterでWunderlistの閉鎖への憂慮を表明し、もし可能ならアプリを買い戻すことを提案した。リーバー氏は必ずしも負け惜しみを言いたかったわけではなく、共有フォルダーやチーム間のコラボレーションといったオリジナルの構想を実現したいという希望を表明したのだ。実際には、現在リーバー氏は彼が共同創業した新しいコンテンツコラボレーションスタートアップのPitchに関与しており、Wunderlistに戻ることは実際には現実的な話とは思えなかった。

マイクロソフトは、すでにWunderlistに対する新機能のリリースが停止していることや、アプリが古くなるにつれて保守が難しくなることを理由に、Wunderlistを終了することにしたと発表している。さらに、To DoアプリをWunderlistに代わる最良の選択肢にすることに、全力を注いでいきたいと考えている。

2020年5月6日以降、Wunderlistは同期されなくなるが、その時までアプリのサポートは継続される。時間の経過とともに、終了日以降はマイクロソフトはすべてが適切に機能し続けることを保証しなくなる。同社はまた、本日の時点で、アプリの閉鎖に備えてWunderlistの新しいサインアップを受け付けなくなったと述べている。

切り替えを行うには、To DoユーザーならiOS、Android、Mac、PC、またはウェブアプリにアクセスしてWunderlistインポーターを使用することができる(インポーターへのリンクは設定の中にある)。もしその方がお好みなら、必要に応じて、WunderlistアプリからTo Doにリストをエクスポートすることもできる。

コンテンツが適切にインポートされた後は、ユーザーはTo Doに切り替えることができる。To Doは、秋のアップデートを受けてデザインがWunderlistsと似通ったものとなったが、個人用にカスタマイズされたMy Dayホーム画面などの新機能も導入されている。さらに、Microsoft Outlookの電子メールおよびPlannerタスクがTo Doに送信できるようになった。一方、「今後の予定」リストにはすべての期日が表示されるが、必要に応じて今日のタスクのみを表示するようにも設定できる。

「最初からこの旅にお付き合いしていただいている方もいらっしゃいます」とマイクロソフトは発表の中で述べている。「ユーザーである皆さまが、私たちにとってすべてです。引き続き私たちのビジョンを分かち合い、旅の次のステップへお付き合いいただけるようお願い致します。皆さまに現在のWunderlistの実現へのご助力を頂きました。私たちはTo Doに対しても同じご助力をいただけることを期待しております。お好みの機能、追加して欲しい、アップデートして欲しい機能などがございましたら、ぜひお知らせください。印刷、今後の予定、そしてダークモードなどの最新の追加機能によって、私たちが新しい機能を構築する際につねに皆さまのフィードバックを考慮に入れていることがおわかりいただけたのではないかと思います」と同社は語る。

Sensor Towerのデータによれば、2014年1月1日以降、WunderlistはiOSおよびAndroidプラットフォーム全体のインストール件数は2600万件。アプリが2015年6月1日にマイクロソフトに買収されてからのダウンロード数は約1860万回。そして、2019年にはアプリは300万人のユーザーによってインストールされたが、2018年の400万人からは減少している。

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(翻訳:sako)

RokuがHBOの「ゲーム・オブ・スローンズ」シーズン1を無料配信

ストリーミングサービスを運営するRokuは、HBOのプレミアム・ コンテンツを初めて無料配信する。同サービスの第2回毎年恒例ホリデーストリーミングフェストであるStream-a thonの一環で行われる。

このプロモーションでRokuは、Rokuデバイスを持っている人なら誰でもHBOの「ゲーム・オブ・スローンズ」のシーズン1を全編無料で見られるようにする。ほかにも、Cinemax、Showtime、Starzなどの有料チャンネル番組のフルシーズンあるいは一部エピソードをイベント中に見ることができる。

Stream-a-thonは、多くの人が自宅でくつろぎテレビを見ている時期に視聴者を獲得することを狙ったプロモーションだ。今年のStream-a-thonは2019年12月26日から2020年1月1日まで行われる。

Rokuがこのイベントを開催するのは二度目で、最終目的はRokuユーザーに同プラットフォームが提供するプレミアムチャンネルのサブスクリプションに登録してもらうことだ。プレミアム番組を選んで無料配信することによって、視聴者をそのコンテンツにはまらせたり、広告型無料コンテンツハブのThe Roku Channelのユーザーを獲得することを目的としている。

「ゲーム・オブ・スローンズ」シーズン1のほかに、最初のシーズンの全エピソードが無料公開されるのは、Cinemaxの「Warrior」、Starzの「Power」、Showtimeの「Billions」「The Affair」「Ray Donovan」など。個別のエピソードもいくつか無料化される。HBOの「バリー」「チェルノブイリ」「ユーフォリア」「セサミストリート」「サクセション」、Showtimeの 「Kidding」、EPIXの「GetShorty」「Pennyworth」「Punk」など多数。

プロモーションに参加するのは、Cinemax、CONtv、Dove Channel、EPIX、FitFusion、The Great Course Signature、HBO、Hallmark Movies Now、Pantaya、Smithsonian Channel Plus、Starz、Showtime、Stingray Karaoke、UP Faith & Familyの各社となる。

HBOは米国Amazonとも提携し、過去の番組の中から、「ザ・ソプラノズ」「ザ・ワイヤー」「トゥルーブラッド」「デッドウッド」「ボードウォーク・エンバイア 欲望の街」「オズ」「シックス・フィート・アンダー」などがプライムメンバーに無料で配信される。ただし、これは厳密には無料ではなく、見るためにはAmazonプライムのメンバーになる必要がある。

Stream-a-thonに関連して、Rokuは初めてHBO+Cinemaxを組み合わせたバリューパックを月額20.99ドルで提供開始する。別々に契約した場合はHBOが14.99ドル、Rokuが9.99ドル

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

オリジナルキャストの新「ゴーストバスターズ:アフターライフ」予告編

短いティーザー予告編が公開されてからはや1年。ついにゴースト退治のステーションワゴンであるEcto-1が謎の納屋から姿を現わした。タイトルはこれまで「Ghostbusters 2020」という仮題だったが、「Ghostbusters: Afterlife」(ゴーストバスターズ:アフターライフ)』と正式に決定された。予告編をご覧いただこう。

監督はJason Reitman(ジェイソン・ライトマン)。オリジナルの「ゴーストバスターズ」の監督を務めたアイバン・ライトマンの子息だ。なお、アイバン本人もプロデューサーに名前を連ねている。

今回のAfterlifeは2016年の女性版のリメイクとはまったく別物。リメイクは批評家からは生ぬるい評価を受け、興行成績もぱっとしなかった。オンラインではオリジナルの熱狂的ファンからの怒りの投稿も目立った。

今回の作品はリメイクは無視しており、1984年、1989年に公開されたオリジナルの世界観による続編だ。しかも主要キャストもカムバックしている。ビル・マーレー(作品の終わりの声はマーレー)、ダン・エイクロイド、アーニー・ハドソン、シガニー・ウィーバー、アニー・ポッツも登場する。残念ながらハロルド・ライミスは2014年に亡くなっているが、新作の主役の一人はライミスが演じたイゴン・スパングラーの孫娘という設定だ。コメディアンのリック・モラニスは引退して20年近く経つ。

ポール・ラッドはゴーストトラップとともに頻繁に登場する。ラッドが演じる教師と生徒たちは、「ストレンジャー・シングス」的な奇妙なエネルギーを探る。実際、「ストレンジャー・シングス」でスターになったFinn Wolfhard(フィン・ウォルフハルト)が生徒の一人だ。全編を通してノスタルジックな空気が流れている。

オリジナルから30年、「アフターライフ」が製作されるまでには数々の苦難があったと聞くが、ついに登場だ。公開は来年7月10日の予定。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

イーロン・マスクが英国人潜水夫への暴言に法的責任はないと裁定

米国時間12月7日、ロサンゼルス連邦裁判所は3日間の裁判を終え、Elon Musk(イーロン・マスク)氏に名誉毀損の法的責任はないと評決を下した。マスク氏はロサンゼルス近郊に住宅6戸を所有していると言われており、SpaceXとTeslaの両社をここで経営している。

英国の潜水夫であるVernon Unsworth(ヴァーノン・ウンズワース)氏は、2018年にマスク氏が同氏について、小児愛好者を意味する「ペド野郎」とツイートしたことに対して裁判を起こした。何がおきたのか?2018年7月にタイの洞窟で洪水に取り残された少年サッカーチームを救うために、マスク氏と社員がミニ潜水艦/脱出カプセルを作った後、マスク氏と面識のない潜水夫で洞窟に関して特に知識を有するウンズワース氏が、CNNのインタビューでマスク氏の行動について聞かれ「売名行為だ」と発言した。

ウンズワース氏は記者に対して、マスク氏は「その潜水艦を自分の痛い部分に差し込むといい」と話した。その直後にマスク氏は「ツイート」ボタンを押し、今や悪名高いあの侮辱的言動を発信した。
マスク氏が自らの行動に輪をかけるように、2018年にBuzzFeed宛てのメールでウンズワース氏を「小児強姦魔」と評したことで、ウンズワース氏は裁判を起こした。同氏は今週法廷で、マスク氏に「小児愛好者の烙印を押されて」以来、「傷つけられ、英国にいても孤独を感じる」と訴えた。

ウンズワース氏は潜水夫であると共に英国とタイの両国で金融コンサルタントとして活動しており、この裁判で実際の損害に加えて想定および懲罰賠償金としてマスク氏に1.9億ドル(200億円)を要求していた。実際、原告側は今週の裁判中にマスク氏の純資産をTeslaとSpaceXの持ち株から約200億ドル(約2兆1700億円)と推計し、要求している額はマスク氏にとって雀の涙ほどであることを指摘した。

裁判中マスク氏は自身の「ベド野郎」(Pedo Guy)ツイートについて謝罪を繰り返し、本当は「気味の悪いじいさん」と言いたかったのだと語った。マスク氏の弁護人はマスク氏の短気を擁護し、ある時ウンズワース氏に向かって「あなたはマスク氏がこの潜水艦を子供たちの命のことを考えずに送るほど冷徹な人間だと本当に思いますか?これが単なる売名行為だったと言ったことをマスク氏に謝罪する気持ちはありますか?」と話した。ウンズワース氏はこれを拒絶し、彼の侮辱は「潜水艦に対してでありマスク氏個人ではない」と語った。

最終的に法廷は、マスク氏の爆発は事実の表明ではなかったと結論を下した。CNBCは別の記事で、この裁定はツイートに対する一般個人による初めての訴訟であり「オンラインでの誹謗中傷に関する先例」となる可能性があると報じた。これがマスク氏をつけ上がらせるかどうかは別の問題だ。マスク氏は熱烈なTwitterユーザーであり、自身のツイートで窮地に陥ったのはこれが初めてではない。

昨年の証券取引委員会(SEC)とのツイートに関わる戦いで、マスク氏は2000万ドル(約21億7100万円)とTeslaの会長職を最低3年間を失うことになった。

当時の示談の一環としてマスク氏は、Tesla投資家にとって「重要な」情報を含むソーシャルメディア投稿を発信する前に、事前承諾をとることを規定する条件にも同意した。そして今年4月に両者は条件を改定し、マスク氏が外部の承認を得ることなくツイートしてはならない内容の範囲を狭めた。

ウンズワース氏は裁判中には泣かないよう努めたと報じられており、「事実上、執行猶予のない終身刑を言い渡されたようなもの」だと語った。「非常につらい。屈辱的で恥ずかしく汚された思いだ」。同氏は地図を作成し、最終的に英国の潜水夫チームが少年サッカーチームを救出するのに役立った。同氏の栄誉はタイ政府および186名の人々から讃えられた。イーロン・マスク氏もその1人だった。

【訂正】当初の記事でウンズワース氏が救出チームの一員であったと報じたが、これは別の誤報に基づいたものだった。ワシントンポスト紙によると、実際には同氏の作った地図が潜水夫チームを洞窟の奥4 kmの少年たちが取り残された場所に導いた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Canvaがビデオ編集を導入、2020年に向け大きな計画も

これまでに約2億5000万ドル(約270億円)を調達したデザイン会社のCanvaは12月6日、ビデオ編集ツールなど数々の新機能を発表した。

同社はまた、開発者・ユーザー問わず同じようにCanva上で開発できるCanva Appsを発表した。これまでのところ、Dropbox、Google Drive、PhotoMosh、Instagramは既にCanva Appsスイートに含まれており、起動時に合計30個のアプリが利用可能だ。

ビデオ編集ツールにより、経験がなくても簡単に編集できるほか、ビデオや音楽などのコンテンツライブラリ、ビデオテンプレート、使いやすいアニメーションツールも利用できる。

Canva for Educationの立ち上げにより若いユーザーの獲得も狙っている。完全無料の製品であり、オーストラリアの学校でベータ版としてリリースされた。GSuiteやGoogle Classroomと統合しており、学生が進めるプロジェクトを先生が閲覧・加筆修正できる。

Canva for Desktopの立ち上げも発表した。

組織を経営し機能させるためにデザインの重要性が高まると、成長を阻害する要因となるのは、新しいデザイナーが登場し労働市場に参加するスピードとなる。

Canvaは、非デザイナー向けデザインツールとしての地位を確立した。デザインの経験がほとんど、あるいは全くなくても、何かを美しく簡単に作成できる。ビデオ編集ツールとCanva for Educationの立ち上げによりその特徴が強化され、プラットフォーム自体のユーザーが増えるだけでなく、エコシステムに参加する新しいデザイナーが成熟するための環境が整う。

Canva CEOのMelanie Perkins(メラニー・パーキンス)氏は発表と同時に、同社がPledge 1%に参加し、世界をより良くするために、株式、利益、就業時間、その他の経営資源の1%を社会に還元することも明らかにした。

パーキンス氏が声明で述べた内容は次のとおりだ。

企業は、我々が住む世界を形成する大きな役割を担っている。Pledge 1%は、就業時間、経営資源、製品、株式を活用する素晴らしいプログラムだと思う。「悪いことをしない」という古い格言は今日ではもはや不十分だと考えており、「善きことの力になる」という我々の価値感に沿って行動したい。

興味深いことに、Canvaがデザインの流れの最上位に位置したことによって成長が遅れることはなかった。実際、同社は最近、企業向けの製品を立ち上げ、デザイン部門以外の組織のあらゆる人々が、デザインシステムやブランド美学といった分野で、独自のスライド、プレゼンテーション、素材などを作成できるようにした。

2019年にはCanvaで10億のデザインが作成され、プラットフォームの立ち上げ以来20億のデザインが作成された。

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(翻訳:Mizoguchi)

Snapchatは自分の顔でディープフェイクできるCameoをテスト中

Snapchatはビデオクリップの人物の顔を自分のセルフィーに入れ替えられる機能を準備中だ。このCameo機能は簡単にいえば、現在話題になっているディープフェイクの簡易版で、テンプレートのショートビデオから簡単に自分の顔のGIFを作って共有できる。いわばBitmojiのビデオ版というところで、エモーティコンとして自分の感情や状況をユーモラスに表現できる。Cameoが一部フランスのユーザーに公開されていることをSnapのウォッチャーである@Mtatsisが発見した。

Snapchat Cameoであなたもビデオ・スターになれる

TechCrunchがSnapに取材したところ、同社はCameo機能を一部の外国でテスト中であることを認めた。Snapは「Cameoはまだ一般公開の段階ではないが、近く世界デビューする。期待していただきたい」と述べた。以下にフランスのSnapユーザーからのツイートを紹介する。

Cameoを使うにはまず自分のセルフィーを撮ってSnapchatに「自分がどんなふうに見えたいか」を教える。ここで男性または女性ぽい体型を選べる。

Cameoはメッセージ・キーボードのBitmojiボタンからオプションとして選択できる。Snapchatではテンプレートとなるサウンド入りビデオクリップを多数用意しているので好みのビデオを選ぶ。Snapchatは先ほどのセルフィーから得た顔情報をビデオクリップの顔に埋め込む。ビデオクリップの俳優の顔がユーザーの顔に置き換わるわけだ。ユーザーは他のエモーティコンを送信するのと同様、状況に合わせて好みのテンプレートを選ぶだけでよい。

CameoはSnapchatがアメリカでインスタント・メッセージの首位を守るために重要な手段になるだろう。FacebookグループのInstagramとWhatsAppがSnapchatがパイオニアだったストーリー機能をコピーして大成功を収めているため、Snapとしては急追するこうしたサービスとの差別化を図る必要に迫られていた。

もっともCameoのケースはSnapは中国の顔交換アプリ、Zaoをコピーしたと言われるかもしれない。これは中国で大人気となったセルフィー・ビデオをスターやセレブの顔に変えるディープフェイク・アプリだ。またJibJabが何年も前に導入したクリスマスの妖精のGIFにユーザーのアバターを貼り付ける機能も方向としては似ている。

Snapは最近ソーシャル・ゲーム中のSnapchatに広告を導入して収益化を図り始めた。 SnapはARレンズと同様の仕組みで広告主にCameoクリップを販売して収益化を試みるかもしれない。

Cameoはショートビデオの人物の顔を自分の顔に入れ替えて面白い効果を上げようとするテクノロジーだ。 しかしディープフェイクはフェイク情報の拡散やネットいじめにも利用されやすい。ポルノや政治家のビデオなどを自由に加工させるのではなく、Snapでは無害なビデオだけをテンプレートとして提供することで危険を避けようとしている。SnapchatのCameoはディープフェイクのユーモラスな利用法として成功するかもしれない。

画像:Jeff Higgins]

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

スマホでニキビの診察や薬の処方を受けられるApostropheが約6.5億円を調達

Ben Holber(ベン・ホルバー)氏とRyan Hambley(ライアン・ ハンブリー)氏は一緒に育った。皮膚科医の息子のハンブリー氏はいつも肌がきれいだった。しかしホルバー氏は10代のころからニキビに悩まされていた。2人は、すぐに皮膚科医に診てもらえるかどうかが差を生むことを身をもって知った。そうしてApostrophe(アポストロフィ)が誕生した。

ニキビ薬の処方や診察を簡単に受けられるようにするスタートアップのApostropheは12月5日、600万ドル(約6億5000万円)のシードラウンドのクローズを発表した。本ラウンドはSignalFireがリードし、FJ Labsが参加した。

Apostropheは、認定を受けた皮膚科医とユーザーを結びつけ、皮膚科医は患者それぞれに合った治療法を提案する。そうした治療に使う処方薬のメールオーダーに対応できる薬局も備えている。最終的な目標は、皮膚科医の診察を受けるための行き来や待合室での長い待ち時間、よくありがちな薬局での面倒をなくすことだ。

Apostropheは患者に皮膚科医を紹介するのに医師のグループと契約を結んでいるが、医師と直接的な雇用関係にあるわけではない。Apostropheの薬局としての立場を考えたとき、患者の健康という観点でApostropheがいつでも皮膚科医にアクセスでき、そしてその逆の状態も維持することがベストだ、ホルバー氏は説明する。

サインアップ時、ユーザーは写真の提供と質問への回答を求められる。Apostropheのプラットフォームはアシストする役割を持つ組織として、またコミュニケーションをする場として機能する。しかし診断のための分析にテクノロジーは使われていない。診断プロセスに機械学習を利用することを避けるという決断は難しいものだったが、重要だったと語った。

「オンラインでなんでもそろう世界にあって、本当に個人的なことで個人的なやり取りをするとき、そこにはプレミアムな価値が伴う。あなたが気にかけていることを考える人がいること、質問に答えてくれる人がいることを知っているというのにはかなりの価値がある」とホルバー氏は話した。

このようにApostropheは、皮膚科医に取って代わるためにデータや機械学習を使うのではなく、テキストによる会話で皮膚科医とユーザーを結びつけることにピンポイントでフォーカスしている。ホルバー氏は、素晴らしい皮膚科医はわずか数秒で問題を見抜いて治療法を考えることができると指摘し、「皮膚科医の頭の中のマシーンは実際かなり早い」と付け加えた。

診察を受けるのにユーザーは20ドル(約2200円)を払う。この20ドルはApostropheによってパーソナライズされた治療プランに当てられる。Apostropheは処方事業で利益を得る。Apostropheは設立以来、計650万ドル(約7億円)を調達している。

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(翻訳:Mizoguchi)

ファッションレンタルのStyle Theoryがソフトバンク系ファンドなどから16億円調達

インドネシアとシンガポールでデザイナーアパレルをレンタルできるプラットフォームのStyle Theory(スタイルセオリー)は12月5日、シリーズBで1500万ドル(約16億円)を調達したことを発表した。同社によると、これはシリーズBの最初のクロージングだ。ソフトバンクグループのアーリーステージベンチャー部門であるSoftBank Ventures Asiaがラウンドをリードし、Alpha JWC VenturesやParadise Groupなどが参加した。SoftBank Ventures AsiaとAlpha JWC Venturesはともに既存株主でもあり、シリーズAにも参加した。

2016年にRaena Lim(レーナ・リム)氏とChris Halim(クリス・ハリム)氏が創業した。ファストファッションが生み出す無駄に対抗するのが狙いだ。Style Theoryは、現在5万点以上の衣類と2000点以上のデザイナーバッグを扱う。アプリに加え、先月シンガポールのオーチャードロードに旗艦店をオープンした。Style Theoryのユーザーは平均して月に最大20枚の衣類と2つのデザイナーバッグをレンタルし、同社は創業以来100万以上のアイテムを配送した、と創業者は語る。

写真に向かって左から、Style Theoryの共同設立者であるRaena Lim氏とChris Halim氏

資金の一部をStyle Theoryの技術プラットフォームの開発継続に使う。電子メールのインタビューで、リム氏とハリム氏はTechCrunchに、同社の機械学習アルゴリズムが服装をパーソナライズし、ウェブ閲覧とレンタルの履歴に基づきどのデザイナーとスタイルをユーザーに推奨すべきか決定すると語った。また、カスタマイズされた倉庫管理システム、流通ネットワーク、独自の宅配業者によってコスト削減を実現した。同社は、新市場に進出するなど規模を拡大する際の在庫管理に備え、各レンタル商品にパッシブRFIDタグ(電源を内蔵しない無線ICタグ)を取り付けることも計画している。

リム氏とハリム氏は、2020年に次の国に進出する前に、シンガポールとインドネシアで新しいアパレルカテゴリーを立ち上げる予定だと言う。Rent the RunwayとLe Toteは米国で最も有名なファッションレンタルアプリだが、Style Theoryのオペレーティングモデルには、東南アジア市場のサービスに求められる重要な違いがいくつかある。労働時間が米国よりに長く、多くのユーザーが配達時に家にいない。またたいていの米国人より公共交通機関に依存している。利便性を高めるため、同社は実店舗の他に、自動ロッカープロバイダー、コワーキングスペース、デパートとの提携店をオープンした。展開する地域のクレジットカード普及率が比較的低いため、アプリにはさまざまな支払いソリューションを備える。

Style Theoryでは、ユーザーの多様性を考えて商品を選択する。「文化のるつぼでは、職場や社会における正式さや控え目さの度合いに関するさまざまな基準を考慮して商品選択に臨む必要がある」とリム氏とハリム氏は述べた。「当社の品揃えは1年を通した熱帯気候に対応する必要があるだけでなく、旅行の際の季節ごとの選択や、異なる文化や好みに対応する必要もある。インドネシアでは控えめなウェアのラインナップを、今年のお祝いシーズンにはもっと華やかなウェアを用意した」と同氏。

SoftBank Ventures AsiaのシニアパートナーであるSean Lee(ショーン・リー)氏は、プレスリリースで次のように述べた。「ファッションはシェアリングエコノミーの最後のフロンティアの1つだ。魅力的なビジネスモデルにより、Style Theoryは人々のファッションの消費方法を変えられることを東南アジアで証明した。同社の地域全体への拡大と継続的なディスラプションをサポートできることをうれしく思う」。

画像クレジット:Style Theory  

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(翻訳:Mizoguchi)

Netflixがディズニーに対抗、インドでのコンテンツ制作に460億円投資

Netflix(ネットフリックス)は、世界最大のエンターテイメントマーケットであるインドで引き続き攻勢をかける。インドで同社はディズニーを含む36社超のライバルと競っている。

Netflix最高責任者であるReed Hastings(リード・ヘイスティングス)氏は12月6日、同社が今年から来年にかけてインドでのコンテンツ制作とライセンシングに300億インドルピー(約460億円)を投入すると述べた。「今年と来年、我々はコンテンツ制作とライセンス交付に300億インドルピーをあてる計画で、多くのコンテンツを提供する」とニューデリーであったカンファレンスで述べた。

この稀な発表はたちまち街の噂になった。同業トップ5社に入る企業の幹部は「我々がここ数年コンテンツに投資してきた額を大幅に上回る」とTechCrunchに語った。別の業界筋は「コンテンツだけにこの規模の投資をするインドのストリーミングサービスは他にない」と話した。

他のストリーミングサービスが一体いくらコンテンツに注ぎ込んでいるのか正確なところは明らかではないが、会計・コンサルティング会社のKPMGの最近のレポートではHotstarが今年7本のオリジナル番組の制作に約1700万ドル(約18億円)を使い、Eros Nowが5000万ドル(約54億円)をかけて新番組100本を制作したとしている。レポートではコンテンツのライセンシングの費用については触れていない。

200カ国・地域を超えるグローバル展開の一環として2016年初めにインドマーケットに参入したNetflixはこれまでに24本を超える番組・映画をインドで制作し、俳優Shah Rukh Khan(シャー・ルク・カーン)氏のRed Chillies Entertainmentを含む多くの現地スタジオと提携した。

ヘイスティングス氏は、スリラー「Sacred Games」やアニメ番組「Mightly Little Bheem」など、Netflixがインドで制作した番組のいくつかは「世界で放映された」と話した。子供向けの番組「Mightly Little Bheem」にいたってはインド国外の2700万世帯が視聴している、とした。

来年グローバルでコンテンツに150億ドル(約1兆6300億円)をつぎ込む予定のNetflixは、インドの購読者数を明らかにしていない。ちなみにグローバルでは1億5800万人を超える。しかし100人を雇用するインドでの同社の財政状況はこのところ改善してきている。3月末年間決算で同社は売上高6500万ドル(約70億円)を計上し、インドでの事業は72万ドル(約7800万円)の黒字だった。

巨大なインドマーケット

グローバルテクノロジーとエンターテーメントの企業にとってインドは最新の急成長マーケットの1つとなっている。Boston Consulting Groupによると、インドの人口13億人のおおよそ半分がインターネットを使用していて、インドのオンデマンドビデオマーケットは今後4年間で50億ドル(約5400億円)に成長することが見込まれている。

しかしサービス購読料を払うインターネットユーザーの割合、あるいは潜在的な有料ユーザーの数は極めて少ない。インドで展開されているほとんどのサービスは広告で収入の大半を稼いでいる。リカーリングモデルに頼っているサービスはインドでの提供コンテンツに大幅に手を加えている。

インドでサービスをより浸透させるために、Netflixは今年初め、新たな月間料金サービスを導入した。月2.8ドル(約300円)払えばモバイルデバイスでストリーミングをスタンダード画質で楽しめるというものだ(その後Netflixはこのサービスをマレーシアにも拡大した)。

Netflixはインドで、オンデマンドビデオストリーミングサービス36社以上と競争を展開している。中でもインドでの主なライバルは、ディズニーのHotstarだ。Hotstarのコンテンツには、ライブのテレビ番組、スポーツイベントのストリーミング、何千もの映画や番組、HBOやShowtimeなど提携しているグローバルのネットワークやスタジオのものなどが含まれる。

広告付きのサービスでは、ユーザーはコンテンツの80%以上を無料で閲覧でき、プレミアムなサービスの購読料は年間999インドルピー(約1500円)だ。

Hotstar(あるいはオペレーターのStar India)がインドで抱えているライセンスありのコンテンツにはクリケットトーナメントのストリーム権が含まれる。クリケットはインドではかなりの人気で、Hotstarの過去最多となったグローバルストリームに貢献<している。/span>

今年5月、Hotstarはプラットフォーム上で2500万人が同時にクリケットの試合を観戦したと発表した。これは世界記録だ。当時、同社のサービスの月間アクティブユーザーは3億人超だった。

他社との競争についてヘイスティングス氏は、コンテンツ制作に「信じられないような無敵レベルの投資」をすることで、今後5〜10年が「テレビの黄金時代」になるだろう、と語った。そして「オンラインストリーミングサービス各社ともインドに投資している。これまでになく多くのコンテンツが制作されることになる。素晴らしいエクスポートだ」と付け加えた。

グローバル企業であるディズニーがつい最近立ち上げたストリーミングサービス「Disney+」は、Hotstar提供の情報として先月TechCrunchが報じたように、インドと東南アジアでは来年から利用できるようになる見込みだ。

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

1つのダッシュボードから300種超のストリーミングサービスを利用できるReelgood

ストリーミングのアグリゲーターのReelgood(リールグッド)は米国時間12月6日、ストリーミングの過剰ブームに乗じて、一般消費者が自分が今見ているものについて調べたり、次のお楽しみを見つけることを助ける総合的なダッシュボードを提供している。しかもその1000万件あまりのユーザーのアクティビティのデータを、Roku(ロク)やMicrosoft(マイクロソフト)、スマートテレビのメーカー、ニューヨーク・ポスト紙などの大企業、そしてさらにヘッジファンドにもライセンスしている。同社はこのほど、シリーズAで675万ドル(7億3300万円)の資金を調達し、その成長を今後も維持しようとしている。

そのラウンドをリードしたのはRuna Capitalで、Reelgoodにシード資金を提供したAugust Capitalが参加した。これでReelgoodの調達総額は1100万ドル(約11億9400万円)になる。

同社のアプリは、視聴者がストリーミングサービスで視ているテレビ番組を調べるTV TimeiTVJustWatchなどとある部分では競合するが、Reelgoodの方がカバー範囲は広い。同社のウェブサイトによると、調べるストリーミングサービスは336社、そして映画とテレビ番組の両方を調べる。TubiやCrackleのような無料サービス、テレビのメジャーなキー局、有料テレビの定期購読者のための「TV Everywhere」サービス(要認証)、そしてNetflix、Hulu、HBO、Amazon Primeなどのサブスクリプションサービスも含まれる。レンタルオプションの料金比較もできる。

検索とフィルタリングの機能が強力なので、新作、近未来作、そして廃版も含めてどんなタイトルでも見つけられる。ジャンルや制作と封切りの年度、Rotten Tomatoesにおける格付け、IMDBのスコアなど、いろんなものでフィルターできる。どんどん利用してサービスが個人化されると、次に見たいものを適切に推薦してくれる。

視たいものを見つけたら、単純にReelgoodのダッシュボード上で「play」を押せば、そのストリーミングサービスのアプリやWebサイトが立ち上がる。ユーザー自身は、そこへ行く努力をしなくてもいい。

Reelgoodによると、ストリーミングの総合ダッシュボードというコンセプトは極めて単純だが、実装は相当難しいそうだ。

Reelgoodのデータ担当ディレクターであるPablo Lucio Paredes(パブロ・ルシオ・パレデス)氏は「多様なストリーミングサービスとそれらのライブラリを一望化するサービスは、何百というデータソースから膨大な量の非定型データを収集し、機械学習と人間キュレーターを併用してリアルタイムでマッチングや組み合わせをやることだ」と語る。

しかもReelgoodは、データの質をアピールしている。300種あまりのサービスのうち、その98%は正確だそうだ。同社はそのデータを、パブリッシャーや検索エンジン、メディアプレーヤー、テレビ局、音声アシスタントなどのスマートデバイス、などなどにライセンスしている。今同社提供の生データやデータ分析の結果を有料で利用している企業は約50社だ。

例えばRokuは、Reelgoodのデータを使って自分の総合検索機能を提供している。ニューヨーク・ポスト紙は、その日のストリーミングの可利用性データをウィジェット記事で提供している。ヘッジファンドはストリーミングサービスに対する消費者の行動と、複数のカタログ間のコンテンツの移動を知るためにこのデータを見ている。

今年Reelgoodは、視聴率調査のNielsen(ニールセン)でグローバル測定の上級副社長だったMark Green(マーク・グリーン)氏をスカウトして、Reelgood Insightsと呼ばれるB2Bのデータライセンス事業を任せた。そのグリーン氏は「今後ますます、人が見るものは何でもネット配信になっていくので、その未来には巨大な収益機会がある。Reelgoodはそれを掴もうとしている企業だから移籍を決意した」と語る。

今回の資金を使って同社は、対象となるストリーミングのプラットホーム数を増やしていく。今回新たに契約した5社のスマートTVは、2020年に展開が始まる。でもReelgoodが名前を明かしたのは、LGだけだった。Reelgoodの本社はサンフランシスコにある。社員数は18名で、中にはリモートの社員もいる。目下、さまざまな役職を求人中だ。

関連記事:複数のストリーミングサービスからコンテンツを検索し、見たものを管理してくれるReelgoodが正式ローンチ

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Delphiaはユーザー全体の振る舞いに関するデータを投資資本に変える

多くの企業が個人データの価値について語り、データを誰かに共有するなら管理は当社に任せてほしいと言う。トロントに拠点を置くDelphia(デルフィア)は、個人データを真の金銭的利益に変える方法の開発を目指す。開発しているのは、実効性があり持続的な成長が可能な手法だ。Delphiaは、ソーシャルグラフ(ウェブ上の人間関係やその情報)に値札をつけるのではなく、人を集めて資源として蓄え、集団の振る舞いから真の経済力を引き出したいと考えている。

「データから価値を効果的に生み出す仕組みを作るには、データをまとめ、集合体として機能させなければならない」と、DelphiaのCEOであるAndrew Peek(アンドリュー・ピーク)氏がインタビューで答えた。

ピーク氏によると、一般的には広告主にとっての価値という観点から個々のデータに焦点が当てられることが多く、それぞれの個人データの価値は非常に低い。 Delphiaは対照的に資本市場に目を向けており、機能し続ける仕組みを複製・改善したいと考えている。ヘッジファンドなどの大規模機関投資家は、ユーザーのデータに基づいた機械学習アルゴリズムを常に使っているが、ユーザー自身は報酬や提供するデータいずれの点からも、機関投資家の投資プロセスに積極的に関わっているわけではない。

Delphiaはアプリを開発してこの状況を変えたいと思っている。ユーザーがデータを駆使した投資に積極的に関わり、他のユーザーとも協力できるアプリだ。ユーザーはもっと情報を提供することで、ヘッジファンドにもできないことができるようになる。従来、個人投資家はオンラインで得た売買のシグナルに基づき受動的に投資の判断をしていたが、新しいアプリによって、投資判断で優位に立てる。

「当社からユーザーに毎日いくつか質問を送る。だいたいはユーザーが今何をしているかに関するものだ」とピーク氏は言う。「Appleが新しいAirPodsを発表する。NikeがColin Kaepernick(コリン・カペルニック)の広告を出す。毎日何かが起こっている。ここに当社が関与する。当社はユーザーを知るための質問をいくつか投げ、ユーザーは回答するとポイントが付与される。他のサービスのアカウントに接続して付与されるポイントもある。Twitterのプロフィール、Venmoのアカウント、携帯電話の位置情報履歴、Amazonの購入履歴、YouTube、Redditなどだ」。

集めたデータに基づいて、Delphiaはユーザー全員に代わって、株式市場で戦略的に銘柄選択を行う。手数料を徴収するが、データを投資(提供)するユーザーには半分を再分配する。ピーク氏によると、この仕組みによりユーザーは資金なしでも参加できる。もちろん従来の投資手段と同様に、資金を預けることもできる。Delphiaは当面リテール(個人投資家向け)のみを取り扱う。機関投資家向けの商品は複雑な問題を伴うため、規制当局と協議中だ。今のところリテール投資環境で運用されるということは、あらゆるユーザーが特別な要件なしで参加できることを意味する。

前述のように、Delphiaの仕組みがデータサイエンティストの設計通りに機能するには、プラットフォームに一定数のユーザーが必要だ。正式にアプリの運用を開始する前に、10万人の事前登録ユーザーのクリティカルマスを達成すべく、サインアップページで12月3日に募集を開始した。同社は下にあるような計算機も開発し、従来のリテールの投資アドバイザーやロボアドバイザーと比較して、同社の仕組みが登録ユーザー数に応じてどう機能するかを表示している。


Delphiaの仕組みは間違いなく野心的であり、ピーク氏が全面的に認めているように、ユーザーにしっかりと信頼してもらう必要がある。同社の仕組みはユーザーの信頼を獲得し続ける限り機能し、ユーザーがこの仕組みの優位性を維持するためには参加し続ける必要がある点が新しい。これは断っておく価値があると思うが、データの生成と共有に関して魔神をランプに戻す現実的な方法はないように思われるものの、Delphiaのビジョンは、情報管理の概念をまた取り入れたのみならず、 従来株式市場への投資から締め出されてきた人々に真の経済力を生み出す機会を提供したことは確かだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

ベンチャーキャピタリストを笑いものにするツイート生成ボットが出現

「Airbnbのユニットエコノミクスは実に伝説的だ。同社のS-1は今後(3年間)で(最も)破壊的で(最速)なものになるだろう」。

誰がこれをツイートしたのか?Initialized CapitalのGarry Tan(ガリー・タン)氏か?HomebrewのHunter Walk(ハンター・ウォーク)氏か?それともY Combinator共同創業者のPaul Graham(ポール・グレアム)氏?あるいはTwitterでアクティブなその他何十人かのベンチャーキャピタリストか。

実際にこれをツイートしたのは、Parrot.VCというTwitterアカウントとウェブサイトで、VCたちのTwitterをからかうことに特化している。Samantha Loui(サマンサ・ルーイ)氏とNick Loui(ニック・ルーイ)氏の兄妹デュオは新しいツールを作り、数十人のベンチャーキャピタリストが書いたツイートを機械学習ボットに学習させた。こうして出来上がった自動ツイート生成器は、どこか無意味な(あるいはまったく無意味な)280文字以下の文を作り出す。

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ニック・ルーイ氏がこのプロジェクトの概要を投稿したHacker Newsによると、ボットはテキスト予測を使って、例えば人気の風刺コメディードラマ「シリコンバレー」のセリフを引用した「ギャビン・ベルソン、連絡をくれ、今がHooliを買収する完璧なタイミングだ」といった「驚くような新しいスタートアップのアドバイス」を生成すると説明した。

人工知能を使ってITコミュニティーを笑いの種にしたのはこれが初めてではない。個人的に好きなのがBodegaBotで、2017年に起きたボデガの大失敗からヒントを得て、何でもITで置き換えたがるシリコンバレーの歪んだ欲求を笑いものにしている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook