中国のEVメーカーXpengが支援する都市型エアモビリティHT Aeroが約570億円を調達

中国の電気自動車メーカーXpeng(シャオペン)の関連会社である都市型エアモビリティ(UAM)企業のHT Aero(HTエアロ)は、5億ドル(約571億円)のシリーズA調達を発表した。同社の創業者兼社長であるDeli Zhao(デリ・ジャオ)氏は、この資金を、トップクラスの人材の獲得、研究開発の推進、次世代の車両に向けた「耐空性の規定と認証の取得の継続」に使用すると述べている。

ジャオ氏は声明の中で「当社の次世代モデルは、低空飛行と道路走行の両方に対応した、飛行機と自動車が完全に統合されたものになるでしょう。我々は、2024年に正式に展開することを計画しています」と述べている。

HT Aeroは先日、第5世代の飛行車である「Xpeng X2」を公開した。この飛行車は、特定の都市シナリオを想定した自律飛行による離着陸、バックエンドのスケジューリング、充電、飛行制御を行うことができる。同社は、企業ではなく個人の消費者向けにUAMソリューションを提供したいと述べているが、これは確かにXpengの目標に沿っているといえるだろう。

Xpengは、IDG Capital(IDGキャピタル)および5Y Capital(5Yキャピタル)とともに、今回の資金調達を主導した。HT Aeroによると、この資金調達は、アジアの低空飛行車分野における最大のシングル・トランシェ資金調達とのことだ。このラウンドには、Sequoia China(セコイア・チャイナ)、Eastern Bell Capital(イースタン・ベル・キャピタル)、GGV Capital(GGVキャピタル)、GL Ventures(GLベンチャーズ)、Yunfeng Capital(ユンフェン・キャピタル)などの投資家組織も参加している。Xpengは、純粋な金融投資家グループの中で唯一の戦略的投資家であり、本気でモビリティの未来を掴もうとしていることを示唆している。

Xpengは、HT Aeroへの投資の一環として、同社の強みである自律走行技術に関する知識の共有や、物流・サプライチェーンマネジメントの支援を行うことができる。また、HT AeroはXpengの製造能力を活用することができると、同社のスポークスマンはTechCrunchに語っている。

HT AeroのUAM車両は、運転と飛行の統合を目指すXpengのモビリティ・エコシステムにおいても役割を果たすことになる。XpengのCEOであるHe Xiaopeng(ホー・シャオペン)氏は、10月24日に開催される同社のイベント「Tech Day」で自律走行技術、飛行車、スーパーチャージング技術、ユニコーンロボットなどの最新情報とともに、このエコシステムについてさらに詳しく説明する予定だ。

本田技研工業(HMC)も最近、さまざまな形態のモビリティを1つのエコシステムに統合する計画を発表した。HMCのコーポレートコミュニケーションマネージャーであるMarcos Frommer(マルコス・フロマー)氏は、未来の消費者がアプリを使って、ロボタクシーからeVTOL(電動垂直離着陸機)まであらゆるものを予約できるようになる、さまざまなシナリオを明らかにした。

シャオペン氏は声明の中で「私たちの使命は、スマートEVにとどまらず効率的で安全かつカーボンニュートラルなモビリティソリューションを探求することです。私たちが見ているのは、スマートモビリティの3つの原動力である、破壊的技術、新しいエネルギー源、大量生産の統合です。私たちはこのチャンスを逃しません。それは、現代の交通機関の歴史上、前例のないことです」と述べている。

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画像クレジット:HT Aero

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Akihito Mizukoshi)

フォックスコンがSUV、高級セダン、路線バスのEVプロトタイプを公開

Foxconn(フォックスコン)は現地時間10月18日に開催した「HHTD21」イベントで、SUVとセダン、そして路線バスを含む3台の電気自動車のプロトタイプを発表した。YouTubeで公開されている公式動画Nikkei Asia(日経アジア)の報道によると、同社はEVに関して「もはや新参者ではない」と述べ、最大で年間1兆新台湾ドル(年間約4兆円)のビジネス展開を目指すという。

FoxconnはこれらのEVを「Foxtron(フォックストロン)」というブランドのもと、台湾のYulon Motor(裕隆汽車)と共同で開発した。裕隆汽車はLuxgen(ラクスジェン)という自社ブランドで高級車を展開している他、Nissan(日産自動車)やMitsubishi(三菱自動車)の車種を現地生産している自動車会社だ。今回公開されたプロトタイプは、高級セダン、SUV、路線バスの3車種で、それぞれ「Model E(モデルE)」「Model C(モデルC)」「Model T(モデルT)」と名付けられている。

これらの車両は、Foxconnが開発したソフトウェア / ハードウェアのオープンプラットフォーム「MIH」をベースとしている。基本的にはキットとして設計されており、EVブランドが独自の仕様で量産できるリファレンスデザインとして提供されるものだ。

Model Tバスは、早ければ2022年(できれば別の名前になることを願いたい)路上に登場する可能性があり、一度の満充電で走行可能な航続距離は400km、最高速度は120km/hとなる見込みだ。Taiwan News(台湾英文新聞)によると、このバスには、歩行者に注意を促す警告音を発する機能や、高度な温度管理、高い衝突安全性などの技術が搭載されているという。

Foxtron Model Cは、2023年までに台湾で販売が予定されている電気自動車のSUVで、高い効率性と停止状態から100km/hまで3.8秒で加速する動力性能を備える。FoxconnのYoung Liu(劉揚偉)会長によれば、価格は100万新台湾ドル(約400万円)以下になる見込みだという。2台より遅れて市場に投入される予定のModel Eは、イタリアのPininfarina(ピニンファリーナ)と共同でデザインされた高級パフォーマンスセダンで、最高出力750馬力、0-100km/h加速2.8秒、航続距離750kmという高い性能を発揮することになっている。発売時期は未定だ。Yulon Motorは、このデザインを採用する最初のEVメーカーの1つになるだろうと、同社のLilian Chen(嚴陳莉蓮)会長は述べている。

Foxtronが目指すのは、EVを販売する市場の近くで生産することによってコストを抑えるというトレンドを利用することだという。Foxconnは米国内にEV工場の建設を計画しており、先には資金繰りに苦しむLordstown Motors(ローズタウン・モーターズ)からオハイオ州の製造工場を買収すると発表した。この工場では、Lordstown Motorsの電動ピックアップトラック「Endurance(エンデュランス)」を製造するとともに、Foxconnが提携を結んでいるFisker(フィスカー)と開発したEVの生産を2023年末までに開始することを目指している。Foxconnは、欧州におけるEV生産計画の詳細も、近日中に発表するとしている。

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編集部注:この記事はEngadgetに掲載されている。本稿を執筆したSteve Dentは、Engadgetの共同編集者。

画像クレジット:Fabian Hamacher / reuters

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(文:Steve Dent、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

自動車メーカーにクラウドベースの分析を備えたダッシュボードを提供するUpstreamがセキュリティ強化のため約68億円調達

少し前のことになるが2015年に、研究者であるCharlie Miller(チャーリー・ミラー)氏とChris Valasek(クリス・バラセク)氏が、ソフトウェアの潜在的な落とし穴について自動車業界に警告し、自動車のサイバーセキュリティに関する法律作りを促すことを目的として、WiredのレポーターであるAndy Greenberg(アンディ・グリーンバーグ)氏が運転するJeep Cherokeeを遠隔操作でハッキングしたことがあった。ことはそれだけでは済まなかった。結果として、Jeepを所有するFiat Chryslerは140万台の車両をリコールし、さらに米国運輸省道路交通安全局に対し、1億500万ドル(約115億5000万円)の罰金 を支払うことになったのだ。

自動車サイバーセキュリティ企業Upstreamの共同創設者兼CEOのYoav Levy(ヨアブ・レビー)氏は、この出来事はJeepのブランドイメージに大きな打撃を与えただけではなく、同社にリコールにかかった費用として10億ドル(約1101億円)以上の損失を与えたと考えている。2021年8月下旬、イスラエルに拠点をおくUpstreamは、こうした遠隔操作によるハッキングが起きないよう保証するため、同社の自動車クラウドベースセキュリティを強化する資金として、6200万ドル(約68億円)のシリーズC資金調達を発表した。

「当社は、車両に送られるあらゆるデータを、メーカーのクラウドから、車両が受信する前の段階でモニターします。よい仕事ができた場合には、当社はそれらが車両に到達する前にブロックすることができます。当社は車両からアップロードされるコネクテッドデータやテレマティクスデータを分析し、携帯電話のアプリケーションや無線アップデートからデータを分析し、そのデータに異常が含まれているかどうかを探します」とレビー氏はTechCrunchに語った。

またUpstreamは、セキュリティオペレーションを強化するだけでなく、この資金を使ってデータ分析、保険テレマティクス、予測分析、ビジネスインテリジェンスにおけるサービスを拡充したいと考えている。レビー氏は、Upstreamが分析するデータの中にサイバーセキュリティとは無関係の異常を見つけることがよくあると言い、これをOEMを対象としたアプリケーションを立ち上げるさらなるインサイトを提供するチャンスだと考えている。

とはいえ、自動車のサイバーセキュリティ市場は2020年の19億ドル(約2162億)から2025年には40億ドル(約4400億)に増加すると予測されており、Upstreamはこの市場に専念するだけで、十分なのではないかと思われる。この成長の要因の1つとなっているのが、強化義務である。自動車基準調和世界フォーラム(WP 29)は、ヨーロッパ、日本、韓国で自動車を販売する自動車メーカーに、車両セキュリティオペレーションセンター(VSOC)で24時間年中無休で車両を監視することを要求するサイバー車両規制コンプライアンスを発行した。VSOCとは、インフラ、クラウド、データ、ファイヤーウォールを常時監視しているアナリストが大勢詰めている制御室である。米国にはそうした自動車業界へのサイバーセキュリティ関連の義務はないが、自動車メーカーはChrysler-Fiatと同じ運命をたどらならないよう、製品とブランドイメージを作りたいと望むようになっている。

Upstreamは自動車メーカーにクラウドベースの分析を備えたダッシュボードを提供する(画像クレジット:Upstream)

クラウドベスの分析ツールとダッシュボードに加え、VSOCサービスもUpstreamが提供するサービスだ。レビー氏によると、Upstreamは現在同社のプラットフォームで米国、ヨーロッパ、日本の6つのOEMのコネクテッドカー400万台近くにサービス提供しており、路上を走るコネクテッドカーが増えるに従ってこの数字は増え続けると同氏は期待している。

「コネクテッドカーは毎年どんどん増えており、OEMが収集するデータは毎年倍増しています。これは車両やクラウドだけの話ではなく、車両対車両のインフラ、はるかに洗練されたモジュールや、車両内部でエッジコンピューティングを行っているコンピューター、ADASシステム、コンピュータービジョン、レベル2の自動運転、これはまもなくレベル3になりますが、これらを含めた話しです。こうしたコネクティビティーの複雑さにより、ハッカーが車両を乗っ取り彼ら自身のコードを注入しようとする際に、付け入る隙となるソフトウェアバグが生じるのは避けることができません」とレビー氏は語った。

誰かが車両を遠隔操作で乗っ取り、大音響で音楽を開始したり、車両を壁に衝突させる、といったことを考えると恐ろしく感じるが、レビー氏によると、ほとんどのハッカーは暴力を振るいたいのではなく、また車両に興味があるわけでさえないという。彼らが欲しいのはデータである。これは特に荷物を運ぶフリートに顕著で、ランサムウェア攻撃という形をとる。

「これは、あなたがクリスマスイブに配達会社で働いていて、突然ドアのロックが解除できなくなったり、エンジンをかけることができなくなる、といった状態だと想像してみてください。これはビジネスにとって好ましい事態ではありません」。

レビー氏は、こういう事態にこそ、クラウドベースのセキュリティが役立つという。車両を一度に1台づつ見るのではなく、フリートとコネクテッドデバイスのすべて、そしてインターネットから入ってくるデータに悪意のあるものがないかを俯瞰的に見ることができるのだ。

Upstreamのビジネスの進め方は、自動車メーカーに対しこの技術が必要であると説得することが中心となっているが、レビー氏はフリートが来年以降同社にとって大きなチャンスになるという。

今回のラウンドで、同社は2017年の設立以来、総額1億500万ドル(約115億7000万円)を調達した。シリーズCは、三井住友海上保険が主導し、I.D.I.Insurance、57 StarsのNextGen Mobility Fund、La Maison Partnersが新規に参加している。既存の投資家であるGlilotCapital、Salesforce venture、Volvo Group Venture Capital、Nationwide、DelekUSなどもこのラウンドに参加した。

レビー氏は、今まで関わりのあった投資家の一部は顧客でもあると述べた。Upstreamは、Alliance Ventures(Renault、Nissan、Mitsubishi)、Volvo Group Venture Capital、Hyundai、Nationwide Insurance、Salesforce Ventures、MSI、CRV、Glilot Capital Partners、およびManivMobilityからもプライベートに資金提供を受けている。

画像クレジット:Upstream

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

トヨタが米国でも車載用電池生産に約3800億円投資を発表、新会社を設立し2025年稼働を目指す

Toyota Motor(トヨタ自動車)は、他の大手自動車メーカーと同様に、電動化に向けて巨額の資金を投入している。同社は米国時間10月18日、米国での車載用電池生産に、今後約10年間で約34億ドル(約3800億円)を投資すると発表した。

この投資はトヨタの北米部門を通じて行われるもので、その第一歩としてトヨタの北米事業体であるToyota Motor North America, Inc.(TMNA)が、トヨタグループの総合商社である豊田通商とともに、米国で車載用バッテリー工場を新会社として設立する。2025年の生産開始を目指すというこの工場には、2031年までに約12億9000万ドル(約1430億円)の投資が予定されており、現地で1750人の従業員を新規雇用する見込みだという。なお、工場の場所は現時点では発表されていない。

今回の計画は、トヨタが2030年までに世界全体における電池供給体制の整備と研究開発を行うため、約1兆5000万円(約135億ドル)を投資するという大きな目標の一部であり、すでに電池開発の促進とラインナップの電動化に向けて巨額の投資を約束している他の自動車メーカーに追いつくためのものでもある。General Motors(ゼネラルモーターズ、GM)など他の大手自動車メーカーも同様の、しかしさらに大きな投資を発表している。例えばGMは、2025年までに350億ドル(約4兆円)を投じて、電気自動車の生産能力を増強し、30車種の新型EVを世界市場に投入することを計画している。

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トヨタはこの新工場で、まずはハイブリッド車用のバッテリーを製造すると述べている。新工場の生産能力は明らかにされていない。

トヨタの新工場建設計画は、他の自動車会社が最近発表した計画と足並みを揃えるものだ。Ford(フォード)は電池メーカーのSK Innovation(SKイノベーション)と共同で、114億ドル(約1兆3000万円)を投じて、米国内に2カ所のEV用バッテリーの製造拠点を設けると発表している。また、Fiat Chrysler(フィアット・クライスラー)とGroupe PSA(グループPSA)の合併により誕生した自動車会社のStellantis(ステランティス)も、LG Energy Solution(LGエナジーソリューション)と予備的な契約を結び、北米でバッテリーセルとモジュールを生産すると発表したばかりだ。

しかし、今回のトヨタの発表は、これら他の自動車メーカーとは少々異なる印象を与える。トヨタが他の電池メーカーと提携せず、車載バッテリーの完全な内製化を計画していることを明確に示すものだからだ。

トヨタは他の自動車メーカーと比べると、電気自動車の展開で遅れを取っている。同社は現在、米国でBEV(内燃機関を搭載せず、バッテリーだけで走る純粋な電気自動車)を販売しておらず、いくつかのプラグインハイブリッド車やハイブリッド車をラインナップに揃えているだけだ。しかし、2021年6月にはクロスオーバーSUV型BEVのコンセプトカー「bZ4X」を公開し、2022年にその量産モデルを発売すると発表した。同社は2025年まで世界全体でBEVのラインナップを15車種へと拡大することを目指している。

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画像クレジット:HECTOR RETAMAL/AFP / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アマゾンのZooxが自律走行車の運用テストをシアトルに拡大

Amazon(アマゾン)に2020年買収された自律走行車のスタートアップZoox(ズークス)が、シアトルに進出する。同社は、自律走行車のテストの拠点となるエンジニアリングオフィスとオペレーション施設を2022年にオープンする予定だ。

現在、1300人以上の従業員を擁するZooxは、サンフランシスコ、ラスベガス、そして本社近くのカリフォルニア州フォスターシティで自律走行車のテストを行っている。同社は、2019年にラスベガスで自律走行車の公道テストを開始した。

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共同創業者でCTOのJesse Levinson(ジェシー・レビンソン)氏によると、オペレーション施設とエンジニアリングオフィスには、ほとんど新入社員が配属されるという。シアトルでの正確な従業員数は明らかにされていないが、レビンソン氏は、2021年に450人の新規雇用を創出することが同社の目標の1つであると述べている。

Zooxは、Amazonが拠点を置くシアトルで事業を立ち上げているが、レビンソン氏はTechCrunchに対し、2つの会社はまだ別々に運営していると述べている。例えば、Zooxのオフィスとオペレーションハブは、Amazonのキャンパス内には設置されない。レビンソン氏は、ZooxがAmazonに近いという利点を生かして、将来的にはAmazonとさまざまなコラボレーションを行っていくと述べ、それを「特別ボーナス」と表現した。

Zooxは何年も前からシアトルをテストサイトとして注目していたとレビンソン氏はいう。同社は、2019年末に同市で小規模なパイロットを完了させたほどだ。この地域の雨の頻度は、Zooxがシアトルを選んだ主な理由の1つだとのことだ。

「良くも悪くも、サンフランシスコではあまり雨が降らないし、ラスベガスはさらに雨が少ない。我々はテストのために、かなりの量の雨が降り、頻繁に雨が降るODD(運行設計領域)を求めています」。

Zooxでは、センサーのために「アクティブ・レイン・ミティゲーション」と呼ばれる高度な耐候性を発展させてきた。「我々は、その耐候性を雨の中でテストし、確認したいと考えており、シアトルはそのために完璧な場所なのです」とLevinson氏は語った。

Zooxがシアトルに興味を持ったのは、そのトンネルや、他とは異なる道路網、自律走行車に対する政策、さらにはロボットタクシーの商用サービスを開始するのに理想的な都市であると考えたからだ。

レビンソン氏は「サンフランシスコとラスベガスは、我々が取り組んでいる商用化のターゲットとなる都市であることはすでに発表しましたし、それは今も変わりません。しかし、今後の展開として、シアトルは我々の候補地の中でもかなり上位に位置しています」と述べた。

Zooxは、シアトルで「Level 3(レベル3)」と呼ばれる車両のテストを、自律走行システムを搭載したトヨタのSUVハイランダーで行う。Level 3のセンサーは、時速75マイル(約時速120km)で4人を運ぶことができる、ハンドルがなくムーンルーフがついている電気自律走行ロボタクシーのものと同じものだ。このLevel 3のテストと検証が「L5」車両に直結するとレビンソン氏は語った。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Yuta Kaminishi)

【レビュー】2022年のフォード・マーベリックは可能性を秘めたコンパクトトラック

Ford(フォード)のFシリーズピックアップは、米国のトラックである。少なくとも数字を見る限りその事実は間違いない。

半世紀近くにわたって米国で最も売れているトラック、それがフォードのFシリーズピックアップだ。Chevrolet Silverado(シボレー・シルバラード)やRam(ラム)のピックアップシリーズも立派な競争相手ではあるが、フォードはいまだにそのどちらよりも数万台多く販売している。

一度実際に乗ってみると、その魅力がわかるかもしれない。大きくてパワフルなトラックは、モバイルオフィスとしても作業台としても機能し、あらゆるタスクやあらゆる地形に対応することができるからだ。しかしフォードも、このオールインワンのユーティリティービークルがすべての人に向いているわけではないことくらいわかっている。

このトラックに対して否定的な人にとって、Fシリーズは大きすぎて面倒で無駄が多い。不愉快な気持ちにさえしてしまうかもしれない。フォードが必要としていたのは、フォードのNo.1セラーに嫌悪感を抱いている人たちのために向けたトラックであり、ピックアップのあるべき姿という一般的な期待から外れた、常識にとらわれないクルマだったのである。

そこで登場したのが、Ford Maverick(フォード・マーベリック)である。

フォードはおよそ10年間にわたって北米のコンパクトピックアップトラック市場を放棄してきたが、同社はマーベリックによってそのブランクを破り市場に戻ってきた。先代モデルのRanger(レンジャー)は中型トラックに改良されて戻ってきたが、新型マーベリックはこれまでの流れを継承している。ちなみにマーベリックという名前は、1970年代にフォードがコンパクトセダンのシリーズに初めて使用したものである。

基本概要

画像クレジット:Alex Kalogianni

ユニボディ構造の同新型トラックは、4ドア5人乗り の「SuperCrew」キャビンと約54.4インチ(140cm強)の荷台を備えている。比較のために書くと、この長さはSuperCrewキャビンを持つレンジャーよりも15cmほど短いものとなっている。

TechCrunchが試乗したマーベリックは、ハイブリッド化された2.5リッター4気筒エンジンを標準搭載し、191馬力と155ポンドフィートのトルクを発揮。無段変速機と組み合わされて、前輪にパワーを送る仕組みだ。

標準的な構成を持ちながらも、この小さなトラックは優れた燃費性能を実現している。都市部では推定40mpg、1タンクで500マイルの航続距離となっている。また、1500ポンド(約680kg)の荷物を積み、2000ポンド(約900kg)の荷物を牽引することが可能だ。

さらなるパワーを求めるなら、オプションの2.0リッターEcoBoostエンジンにアップグレードすることで最高出力250馬力、最大トルク277ポンドフィートを発揮する。このエンジンはより伝統的な8速オートマチックギアボックスと組み合わされ、前輪または4輪を駆動できる。性能面ではペイロードの数値は変わらないものの、単体で2000ポンドの荷物を牽引し、オプションの「4K Tow Package」(AWDモデルのみ)を付ければその2倍の荷物を引くことができるという。

EcoBoostを搭載したマーベリックのAWD(全輪駆動)車には、オフロードでの活動をサポートするアンダーボディプロテクション、サスペンションのチューニングの調整、オフロードに特化した追加のドライブモードを揃えたFX4パッケージを加えることも可能だ。

XL、XLT、Lariatの各トリムレベルは、フォードファミリーらしい馴染みのあるものだ。マーベリックではXLとXLTに大きな違いはないが、XLTにはより豊富なアクセサリーが装備されている。どちらも布製シートで、パワートレインは好みのものを選択できる。

Lariatトリムでは複数の付属品が追加されている他「activeX」と呼ばれる合成素材を使用してキャビンに若干のプレミアム感を与えている。マーベリックの初値はベースとなるハイブリッド車で2万ドル(約223万円)を下回り、その他のトリムは2万ドルから3万ドル(約335万円)の範囲に収まっている。フル装備の場合でも最大で3万5500ドル(約396万円)程度となっている。

搭載テクノロジー

画像クレジット:Alex Kalogianni

同社の大型版と同様に、このコンパクトトラックにも最新の安全技術や便利なテクノロジーが搭載されている。しかし感心させられるような技術はほとんどがオプションだ。歩行者検知機能つきの自動緊急ブレーキや衝突警告機能は標準装備されているものの、アダプティブクルーズコントロールやレーンキープアシスト、ヒルディセントコントロールなどの、さまざまな運転支援機能を希望する場合は追加のテクノロジーパッケージとして装備する必要がある。

車内にはApple CarPlayとAndroid Autoに対応した8インチのタッチスクリーンが搭載されている。内蔵のWi-Fiホットスポットでは、最大10台のデバイスがFordPass Connectを介してインターネットにアクセス可能だ。ちなみにFordPass Connectは契約が必要になる前の3カ月間、無料トライアルが用意されている。

一方で、スマートフォンのアプリを使ってクルマにアクセスできるなど、便利な機能を備えているFordPassは無料だ。スマートフォンのアプリでクルマにアクセスすると、クルマの始動やドアのロック解除、クルマの状態の更新などが遠隔操作で行える。

マーベリックの真骨頂は、多様なニーズに対応するために構築された標準装備の荷台「Flexbed(フレックスベッド)」にある。マルチポジションのテールゲートや内蔵式の収納スペース、フォルスロードフロア用のスロット、リアカーゴを固定するための複数のアタッチメントポイントなど、細やかな工夫が施されている。

マーベリックは柔軟性を重視し、あらゆる面で実用性を高められるように設計されている。例えばユニボディ構造を採用したことで、燃料タンクを後方に移動させることができ、後部座席の下にかなりの量の収納を確保することができた。また、今人気のマルチユースのドリンクボトルを想定してドアを設計したり、空いているスペースをすべて収納機能として活用したりしているのである。

マーベリックのデザインには、フォードのトラックオーナーのDIY精神が反映されている。

ユーザーたちが自分のトラックを最大限に活用するために考え出したユニークなソリューションを観察した同社。その結果としてマーベリックは、ユーザーが配線するためにテールランプをハッキングしたり、ブラケットを取り付けるためにトラックの荷台にドリルで穴を開けたりする必要がないよう改めてレイアウトされたのである。マーベリックオーナーは車内各所に設置されたQRコードから、ハウツー動画が掲載されたサイトにアクセスすることが可能だ。また、一部の部品のCADファイルもアップロードされ、3Dプリンターでオリジナルのアクセサリーを作ることもできるようになる。

ユーザーエクスペリエンス

F-150のような大型トラックの走りを敬遠してしまう人にも、マーベリックはフレッシュな親しみやすさを感じさせてくれる。半分はクルマ、半分はトラックというデザインのため、ボディオンフレーム車のような走りではなく、シートポジションを高くしたサブコンパクトカーのような感覚になっている。ユニボディ構造のサスペンションにはしっかりとした安定感があり、重厚なピックアップにありがちな車体のロールはない。スポーツカーではないが乗り心地は良く、楽しい道も無駄なく楽しむことができる。

前輪駆動のこのハイブリッド車は、ノーマルモードでもスポーツモードでもよく走る。後者は効率を重視したアトキンソンサイクルエンジンにもう少しスロットルレスポンスを求める人のためのものだ。また、CVTトランスミッションとの相性も良く、良い意味で普通である。ハイブリッドのマーベリックのドライビングエクスペリエンスを表現するには「無難」という言葉が最適かもしれない。マーベリックは日常の足として期待を裏切らずに仕事をこなしてくれるが、特に何かが優れているわけではない。期待を裏切らないという意味では勝利と言えるだろう。

ある意味十分なパフォーマンスを発揮してくれたため、EcoBoostを搭載したマーベリックのパワーに大きな期待を抱く必要もなかったが、クルマを乗り換えたときに良く分かった。ちょっとしたパワーがあるのはいいことだが、ハイブリッドを差し置いて選ぶほど路上でのダイナミクスが劇的に変化することはなかったのだ。オフロードでは別の話だろうが、それはまた複雑な話になってくる。

ハイブリッドへのためらい

フォードはマーベリックのオフロード性能に対して慎重に言葉を選んでいる。「Built Ford Tough」ではあるものの、このトラックはドライバーを冒険のスタート地点に連れて行くためのものであり、トラック自体が冒険なのではない。これは、マーベリックがフォードのオフロード性能ランクの下の方に位置することを遠回しな言葉で伝えているのである。

どこまでも旅をしたい冒険家はBroncoを、また放浪好きなドライバーにはBronco Sportがおすすめだ。マーベリックと同じプラットフォームを採用していながら、ホイールベースの短さとクリアランスの面で、コンパクトトラックよりも優れている。

実際には、スロットルとホイールのスリップを制御するドライブモードが追加され、より高性能なタイヤと組み合わされたマーベリックは、試乗会のオフロードでも活躍を見せた。大きな岩がゴロゴロしたヒルクライムを除けば、平坦な砂利道と草原の中のよく整備された道では特に難しいことはなかった。

マーベリックは荒れた道でも問題なく走破した。オフロード経験者にとってはなんてことのない道だろうが、まだ慣れないクルマに乗っているドライバーにとっては一瞬躊躇するほどの岩場である。

全輪駆動のEcoBoostバージョンのマーベリックが、軽い障害物を乗り越えられるというのは疑う余地もない。しかしハイブリッドは別の話である。今のところフォードは全輪駆動のハイブリッドを提供していない。また、前輪バージョンをオフロードで走らせることはできなかった。

メカニズム的には、マイルドハイブリッドシステムは非常にインパクトの少ないシステムだ。大雑把に言えば、大容量のパワーパックを搭載したマルチモーターのPHEVとは逆に、ドライブトレインに組み込まれた小型モーターと小型バッテリーを組み合わせて、軽快な動力回復を実現するというものである。ハイブリッドマーベリックに独自の全輪駆動を搭載することは、不可能ではなさそうではないか。オフロードではEcoBoostよりも性能が落ち、燃費が下がるのは間違いないだろうが、その落差はごくわずかなものだろう。

例として燃費を見てみよう。フォードは前輪駆動のハイブリッドマーベリックで40mpgの燃費を実現したと大々的に発表している。より重く、よりパワーを必要とする全輪駆動システムは、このリターンを下回る可能性が高いが、とは言え30または25といったところだろう。40とはいかなくとも、コンパクトトラックとしてはかなり良い数値だと言えるのではないだろうか。

フォード自身も認めている通り、最もたくましいマーベリックでもオフロード機能に関しては限界がある。オフロードで最も重要な数値である277ポンドフィートのトルクというのは、150ポンドフィートに比べれば間違いなく優れているが、それでもマーベリックが必要とするパラメーターを考えれば十分である。

FX4を搭載したEcoBoost AWDマーベリックの方が優れていることは間違いないが、ハイブリッドシステムが標準搭載され、かつ最も魅力的であることを考えると、ハイブリッドのマーベリックが最も売れるであろうことは明らかであり、ドライバーたちが試乗しようと思うのはまずはハイブリッドだろう。

ライバルたち

フォードはマーベリックをデザインするにあたり、トラックからダウングレードしようと考えている人に向けてというよりは、乗用車をアップグレードしたい人に向けてデザインしている。中型のレンジャーとマーベリックの間には顧客がオーバーラップする部分があるかもしれないが、厳密には対立するものではないだろう。

都市部や郊外での使用を想定しているため、マーベリックの最も近いライバルとなるピックアップは、Honda Ridgeline(ホンダ・リッジライン)と言ったところだろうか。洗練されたクルマのような中型トラックとしての実績は、今のところ他の追随を許していないが、マーベリックや新型Hyundai Santa Cruz(ヒュンダイ・サンタクルス)がその地位を揺るがす可能性もある。

フォード・マーベリックは、その実力というよりも、可能性を秘めた「白紙状態」のクルマとしての魅力が高いトラックである。

このトラックは、コストパフォーマンスに優れた低燃費のコンパクトユーティリティービークルであるのと同時に、そこそこの性能を持つオフローダーでもあるわけだ。新たな家族にと犬を探す際、セントバーナードではなくテリアを選ぶのと同様、トラックのような実用性を持ちながらも価格や物理的な制約が少ないクルマを探している人の目に留まるのだろう。

乗用車のように扱えるため、初めて運転する人にも、重厚なSUVやフルサイズのピックアップを運転するのが苦手だという人にも親しみやすいのがこのトラックだ。フォード・マーベリックは 極めて「無難」であり、またその可能性は無限大なのである。

画像クレジット:Alex Kalogianni

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(文:Alex Kalogiannis、翻訳:Dragonfly)

テスラ、「リアルタイムの運転行動」が価格を左右する自動車保険をテキサス州でスタート

Tesla(テスラ)は、カリフォルニア州での販売開始から数年を経て、新たな本拠地であるテキサス州で自動車保険提供をスタートした。Electrekによると、テキサス州で提供されている保険は、カリフォルニア州で提供されているものとはかなり異なっているという。この保険は、顧客のリアルタイムの運転行動をもとに保険料を算出する。他の保険会社が一般的に使用する、クレジット、年齢、性別などの情報は、Teslaにとってはどうでもいいことのようだ。Teslaによれば、顧客の保険金請求履歴や運転記録も考慮しないという。

その代わりにTeslaは、9月に同社がリリースした「フル セルフドライビング(FSD)」ベータ版で導入した機能である「セーフティスコア」を見ることにしている。そのため、ドライバーが道路上で遭遇する状況に応じて、支払う必要のある保険料が毎月変わる可能性があり、かなり複雑なことになるかもしれない。強いられた衝突警告やオートパイロット解除は、すべてスコアに影響する。また、危険な距離で他の車に追従したり、急ブレーキをかけたり、アグレッシブに角を曲がったりすると、スコアが下がる可能性がある。セーフティスコアは現時点ではまだベータ機能であり、Teslaは時間の経過とともに改善されるだろうと述べている。

現在、Teslaオーナーは見積もりを申し込むことができ、同社は90点のセーフティスコアを前提に保険契約を開始する。その後の価格は顧客のパフォーマンスに応じて決まり、従来のプロバイダーの料金よりも高くなることも低くなることもあり得る。Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、Teslaの株主総会で新たな本拠地が明らかにされた際に、カリフォルニア州で提供するサービスも、リアルタイムの運転行動に基づいてアップグレードする予定だと述べた。この変更を実装することはまだ許されていないが、現在、規制当局に許可を求めているという。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Mariella Moon(マリエラ・ムーン)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Tesla

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(文:Mariella Moon、翻訳:Aya Nakazato)

ポルシェのEV「タイカン」の販売台数がフラッグシップスポーツカー「911」を超える

Porsche(ポルシェ)の電気自動車Taycan(タイカン)の2021年1月〜9月の販売台数が、内燃機関を搭載した同ブランドを代表するスポーツカーであるポルシェ911の販売台数を上回った。2019年末に発売されたTaycanにとってマイルストーンとなる。

10月15日に発表された販売台数をみると、ポルシェは第1〜3四半期に全世界で21万7198台を販売し、前年同期比で13%増となった。タイカンの販売台数が約3倍に増加したことに加え、人気の高いガソリン車Macan(マカン)の販売増も貢献した。こうした数字は、ポルシェが2019年から2020年にかけての9カ月間に経験した販売台数5%減から回復したことを示している。

ガソリン車であるPorsche Cayenne(カイエン)の2021年1〜9月の販売台数は6万2451台で、ポートフォリオの中で最も多いが、実際には前年同期比2.8%減となっている。カイエンより小型のマカン SUVに対する需要は強く、販売台数は12%増の6万1944台となった他、タイカンや911も全体的な販売台数増加に貢献した。

ポルシェは1月〜9月に2万8640台のタイカンを販売し、この数字は同社の長年のフラッグシップスポーツカーポルシェ911を上回った。911の販売台数は2万7972台で、前年同期比10%増だった。

その他Panamera(パナメーラ)を2万275台、718Boxster(ボクスター)と718Cayman(ケイマン)を1万5916台販売し、いずれも前年比で約1%の増加となった。

ポルシェの販売台数の大部分は内燃機関搭載の車両で占められているが、タイカンの成功により同社はEVへの取り組みを強化する可能性がある。同社は2023年にマカンの全電動バージョンを導入する計画だ。

画像クレジット:Porsche

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

前人未到の自動操縦貨物飛行機運行を目指してReliable Roboticsが114億円を調達

世界のある地域から別の地域へ貨物を空輸する場合、普通は2カ所でパイロットが必要となる。離陸と着陸の部分だ。1980年に公開されたJim Abrahams(ジム・エイブラハムズ)監督の映画「Airplane! (フライングハイ)」でも、離着陸以外の時間は、ほとんど計器に頼っていることが見事に表現されている。Reliable Robotics(リライアブル・ロボティクス)は、この「飛行機にはパイロットが必要だ」という厄介な問題を解決することを目指している。パイロットが搭乗する代わりに、必要なときだけ地上のパイロットを使い、あとは飛行機自身に自力で目的地を見つけさせるのだ。Coatue Ventures、Lightspeed Ventures、Eclipse Ventures、Teamworthy Ventures、Pathbreaker Venturesの各社は、いずれもこれこそが未来だと信じ、カリフォルニア州マウンテンビューを拠点とするReliable Roboticsに総額1億3000万ドル(約148億円)の資金を提供している。そのReliable Roboticsが本日、Coatue Managementの主導する1億ドル(約114億円)のシリーズC資金調達ラウンドを発表した。

この資金は、チームの規模を拡大し、最初の航空機認証プログラムをサポートするために使用されて、商業貨物運用を目指す。同社はまず、既存の航空機の自動化システムに取り組んでいる。数年前からはセスナ172を使って、無人飛行の実験・開発を始めている。

2019年9月には、Reliable Roboticsは、カリフォルニア州サンノゼのすぐ近くの空域で、誰も乗っていないセスナ172を飛ばした

同社は2017年に創業され、2020年まではステルス状態で運営されていた。その技術は、地上滑走、離陸、着陸、駐機など、飛行に関わるすべてのステップを処理するが、同時にライセンスを持ったパイロットがコントロールセンターから遠隔で飛行を監視している。Reliable Roboticsによれば、同社が開発したシステムは、空港に新たなインフラや技術を設置することなく、農村部や遠隔地の小規模な滑走路での自動着陸を行うことができるという。

ビジネスケースは単純だ。パイロットは、道路を利用するトラック運送事業と同様の制約を抱えた、貨物輸送事業を運営する上で最もコストのかかる場所なのだ。トラックの運転の大半は退屈で単調な仕事であり、ドライバーが最も多くの失敗を起こす場所になっている。空の上に目を向けると、資格を持ったパイロットを地上から操作できる自律型システムに置き換えることで、コストは下がり、航空機の利用率は急上昇する。

パイロットって本当に必要?画像クレジット:Reliable Robotics

Coatue Venturesのシニア・マネージング・ディレクターであるJaimin Rangwalla(ジャイミン・ラングワラ)氏は「Reliable Roboticsは、民間航空会社向けの航空機自動化のリーダーであると確信しています。私たちは、彼らのチームの明確なビジョン、定量化された認証の進捗状況、業界での達成実績に感銘を受けました。私たちは、FAA認証を取得した遠隔操縦システムを最初に市場に投入するというReliableの目標を支援できることを誇りに思い、とても期待しています」と述べている。

同社の最大のセールスポイントは、全国の地方空港や自治体空港同士を結ぶことだ。まず効率を高め、貨物を運ぶコストを下げることに注力している。また、Reliable Roboticsは、遠隔操縦された飛行機に乗客が搭乗する未来の可能性も示唆している。また、新しい電気とのハイブリッド航空機のプラットフォームも評価している。

もちろん、自動運転車の安全性については、多少不安を感じているひとは多い。そして飛行機はその不安に文字通り新しい次元を追加することになる。米連邦航空局(FAA)は、Reliableをはじめとするこの分野の民間企業の動向を注視しているが、実験用無人航空機の認可はすでに多数下している。

Reliable Roboticsの共同創業者でCEOのRobert Rose(ロバート・ローズ)氏は「FAAとNASAとの官民パートナーシップを得て、遠隔操作航空機システムの航空機への統合を進めています。私たちは、現在の商用航空機に、かつてない安全性と信頼性をもたらすつもりです」と語る。「公的機関との緊密な連携、先見性のある投資家からの力強い支援、そして貨物業界からの高い関心が、すべての人に航空輸送へのアクセスを拡大させるという私たちの使命をさらに加速させるでしょう」。

画像クレジット:Reliable Robotics

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:sako)

現代自動車が独自の半導体チップ開発を計画、世界的不足対策で

Hyundai Motor(現代自動車)のグローバルCOOであるJosé Munoz(ホセ・ムニョス)氏によると、同社は半導体メーカーへの依存度を下げるため、独自の半導体チップ開発計画を発表する。

パンデミックの影響で自動車の販売台数が減少し、自動車メーカーは一時、受注を停止した。同時期に、電子機器メーカーは、ノートパソコンやゲーム機などの需要増に対応するために生産を拡大しており、チップを買い漁っていた。消費者が再び自動車購入に向かうと、自動車メーカーは世界的な半導体不足に見舞われ、Tesla(テスラ)とトヨタを除くほとんどのOEMメーカーが生産ラインを休止し、自動車販売の低迷を招いた。また、ほとんどの自動車メーカーが電気自動車への移行を積極的に計画しているため、チップの必要性がかつてないほど高まっている。現代自動車以外では、TeslaGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)が自社でチップを生産し、中間業者を排除する計画を発表した。

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ロイター通信によると、現代自動車の前四半期の販売はそれほど苦戦しなかったものの、ムニョス氏は「最も厳しい月」は8月と9月だったという。同社は2021年、複数の工場で一時的な閉鎖に追い込まれたが、同氏は、Intel(インテル)が生産能力拡大に向けた大規模な投資を行ったため、チップ不足の最悪の事態を脱したと述べた。

だが、同氏は記者団に対し、現代自動車は再び半導体供給不足に直面することを望んでおらず、この分野で自給能力を高める必要があると述べた。同氏は、チップの自社開発には多大な時間と投資が必要であることを認めた上で、これは「我々が取り組んでいること」であり、おそらく現代自動車の部品関連会社であるHyundai Mobis(現代モービス)と共同で取り組むことになるだろうと述べた。

「供給を確保できるかどうかが、今後の業界再編・統合を生き抜き、成功するOEM企業の特徴になるかもしれません」とソフトウェア開発会社Real-Time Innovationsのコマーシャルマーケット担当シニア・マーケット・ディベロップメント・ディレクターであるBob Leigh(ボブ・リー)氏はTechCrunchの取材に対して述べた。「OEM企業が供給を確保できる企業を買収したり、そうした企業と提携する可能性は高くなりそうです。しかし、供給不足により、業界はより経済的に生産できる新しいチップ技術を採用するようになるでしょう。チップメーカーは、自動車メーカーが求めるような従来のチップを作りたがらないのです」。

リー氏はまた、多くの自動車メーカーがチップの自社開発へと進むだろうが、専門知識がないため実現可能とは限らず、規模も大きくならないと考えている。

ムニョス氏は、現代自動車が自社で半導体を生産しないとしても、2022年に米国で電気自動車を製造する予定は変わらず、アラバマ工場を強化して生産能力を高める計画もあると話す。Hyundai Motor North America(現代自動車ノースアメリカ)の社長でもある同氏は、米政府から提案を受けた4500ドル(約51万円)の電気自動車税額控除の優遇措置を、労働組合がある工場だけでなく、ない工場で生産された車にも適用するよう働きかけた。現代自動車の米国工場以外では、Rivian(リビアン)、Tesla、トヨタ自動車の工場が組合に加入していない。

画像クレジット:DIRK WAEM/AFP / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

米道路交通安全局がテスラに対し、秘密保持契約と無線ソフトウェアアップデートについて説明を要求

米国道路交通安全局(NHTSA)が、同国の電気自動車メーカーであるTesla(テスラ)宛に2通の書簡を送った。1つは同社が「フルセルフドライビング」ソフトウェアのベータ版に早期アクセスするオーナーに、秘密保持契約を要求していること、そしてもう1件は、規制当局がリコールを届け出る必要があるとしている問題を修正するために、無線ソフトウェアアップデートを使用したこと、以上の2点を同局は問題視している。

今回送られた書簡は、NHTSAがテスラの先進運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」の自動運転機能や、ソフトウエアの無線アップデートに関連するテスラの慣行について、監視の目を強めていることを示している。

テスラの製造販売する車両には「Autopilot」と呼ばれる運転支援システムが標準装備されている。さらに購入者が1万ドル(約113万円)の追加料金を支払うと、より高度な機能が利用できる「フルセルフドライビング(FSD)」システムにアップグレードすることができる。このソフトウェアは、Elon Musk(イーロン・マスク)CEOが繰り返し約束しているように、いつかは完全な自動運転走行が可能になると言われているものだ。

FSDは数年前からオプションとして用意されており、これまで着実に値上げと新機能の追加が行われてきた。しかしながら、現状ではテスラのクルマは完全な自動運転ではない。FSDには、自動駐車場機能「Summon(サモン)」や、高速道路の入り口から出口まで、インターチェンジや車線変更を含めてクルマを導くアクティブガイダンス運転支援システム「Navigate on Autopilot(ナビゲート・オン・オートパイロット)」が含まれる。さらにFSDの最新ベータ版では、高速道路や市街地での運転を自動化するとされている。しかし、これはまだレベル2の運転支援システムであり、ドライバーが注意を払い、ハンドルから手を離さず、常に車両をコントロールできる状態でいることが求められる。

米国時間10月12日付の1通目の書簡では、テスラが先進運転支援システム「Autopilot」で、低照度下における緊急車両の検知方法をソフトウェアアップデートで修正した際に、リコールを届け出なかった理由を説明するよう求めている。NHTSAの見解では、車両の安全性に関わる部分を修正するために、無線ソフトウェアアップデートを使用する場合は、リコールを届け出る必要があるとしている。

「テスラも認識しているように、米国の安全法は、自動車および自動車機器の製造者に対し、製造した自動車または機器に自動車の安全性に関わる欠陥があると判断した場合、または適用される自動車安全基準に適合していないと判断した場合、NHTSAに通知してリコールを実施する義務を課している」と、NHTSAは記している。

NHTSAの記述によれば、リコール通知は、メーカーが安全上の欠陥や不適合を知った時点から、または知るべきであった時点から、5営業日以内にNHTSAに届け出なければならないとされている。

「車両の安全性に不合理なリスクをもたらす欠陥を緩和するために無線アップデートを配信する製造者は、それにともなうリコール通知をNHTSAに適時提出する必要がある」と、この書簡は続いている。

同じく10月12日付の2通目の書簡は、テスラがいわゆるFSDのベータ版早期アクセスプログラムに、秘密保持契約を用いていることに言及したものだ。FSDの購入者はすでに料金を支払っているが、テスラはオーナーがベータ版ソフトウェアにアクセスするためには、秘密保持契約を結ぶことを要求している。さらに9月には、マスク氏がさらに別の要件も制定した。それは最新のベータ版にアクセスできるオーナーを選定するために、個人の運転データを使用して安全スコアを算出するというものだ。

「NHTSAは、潜在的な安全上の欠陥を評価するための重要な情報源として、消費者からの報告に依存している。そのため、ベータ版早期アクセスプログラムの参加者が、NHTSAに安全上の懸念を報告することを妨げたり、思いとどまらせたりするような合意は容認できない」と、同局は書簡に記している。

「さらに、特定の情報を公開することを制限する行為は、NHTSAの安全性に関連する情報を取得する能力に悪影響を与える。FSDのベータ版早期アクセスにともなう秘密保持契約が、NHTSAの監督責任の遂行を妨げないことを保証するため、当局はテスラに対して添付の特別命令を発行する」。

なお、マスク氏は今週、Twitter(ツイッター)で、テスラが秘密保持契約の要求を取り下げることを示唆している。

イーロン・マスク氏へ。FSDベータ版の秘密保持契約が解除されました。

Whole Mars Catalog

パンチングロールによる提供を予定しています。

Elon Musk

しかしながら、NHTSAはさらなる情報を求めており、テスラは11月1日までに両方の要求に答える必要があると、同局は述べている。

画像クレジット:Christopher Goodney/Bloomberg / Getty Images

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Birdスクーターが危険な歩道走行を正確に検知し、ゆっくり停止させる新機能を発表

共有型マイクロモビリティを運営するBird(バード)は、スクーターのADAS(先進運転支援システム)化に乗り出した。Birdは、3年間の研究を経て、スクーターの歩道走行を検知し、ゆっくりと停止させることができる新技術を発表した。

この新技術は、現在、ミルウォーキーとサンディエゴで数百台のスクーターに搭載して試験的に運用されており、2022年初頭にはマドリッド、さらに数カ月後には世界の他の都市にも導入される予定だ。Birdのチーフ・ビークル・オフィサーであるScott Rushforth(スコット・ラッシュフォース)氏は、すべての新車にこの技術が搭載されることになり、現在から2022年初めにかけて「数万台から数十万台」の歩道検知機能付き車両が製造ラインから出荷されるだろうと述べている。

この新機能は、世界中の都市で最も不愉快で危険な、共有型マイクロモビリティの問題を解決するために設計されたもので、無線半導体や高精度測位モジュールを製造するスイスのu-blox(ユーブロックス)との提携により実現した。Birdによると、両社は共同でu-bloxのZED-F9Rモジュールの独自バージョンを開発し、特に共有型マイクロモビリティ業界のニーズに合わせて調整が施されたという。

ラッシュフォース氏はTechCrunchの取材に対し「このモジュールはGPSセンサーからの入力情報を用います。またデュアルバンドのGPSセンサーを使用しているため、GPSの中でも最も優れた性能を誇ります。その上に加えたのがRTKと呼ばれるシステムで、これはリアルタイムキネマティクス(real-time kinematics)の略です。さらにその上に、センサーフュージョンを用いたシステムを追加しました。このシステムは、車輪の移動距離やスクーターが傾いている角度など、車両自体からのデータだけでなく、これらすべてのデータを取得し、GPSの位置情報と融合させることで、GPS信号がうまく機能しない場合でも、車両の位置を極めて正確に把握することができるのです」と語っている。

歩道を走っているライダーは、モバイルアプリケーションと新しい16ビットのカラーディスプレイを介して、違反行為を音声と映像で警告されることとなり、その後スクーターはスロットルを外してスムーズに停止する仕様だ。

Birdは、2019年からさまざまな歩道検知技術を検討してきたというが、それは決してBirdだけではなかった。マイクロモビリティのライダーアシスタンスシステムの世界では、2つのグループがあるようだ。1つ目のグループは、超精密な測位とセンサーフュージョンに頼って、悪質な乗車行動を検出し、それをリアルタイムで修正する技術に頼るグループだ。Superpedestrian(スーパーペデストリアン)は最近Navmatic(ナブマティック)を買収し、同社の代表的なソフトウェアを同様の方法で活用している。

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もう一方のグループでは、Spin(スピン)Voi(ボイ)、そして最近ではHelbiz(ヘルビズ)などが、Drover AI(ドローバーAI)やLuna(ルナ)などのスタートアップと協力して、歩道や自転車レーン、歩行者などを検知するカメラを搭載している。

コンピュータビジョン企業は、位置情報を利用したスクーターのADASは、都市の峡谷や地下駐車場のようなGPSのない場所では役に立たないとしばしば主張してきたが、ラッシュフォース氏はその主張に反対している。同氏によると、u-bloxのモジュールは進化したデッドレコニング(推測航法)機能を搭載しているという。これは、基本的には以前にとらえた位置を使用して移動体の現在の位置を計算するプロセスだ。GPSが出発点となる可能性が高いため、車両が衛星の受信を完全に失った場合でも、他のセンサーに頼って、どの方向にどれだけ進んだかを判断することができる。

Birdによると、このモジュールは、車輪の速度、加速度、空間的な方向性、運動学などのデータを処理し、それらを融合することで「恐ろしいほど正確な」位置情報とセンチメートルレベルのマッピングを導き出すそうだ。これらの情報は、車両の回路基板を経由して、同社独自のOSであるBird OSに送られ、Bird OSがデータをどう扱うかを判断する。

これにより、Birdの車両は、市が定めたエリア内に正確に留まることができるだけでなく、高い位置精度を持つことで、関連するさまざまな他の機能にも対応することができる。

「もし、このような追加技術なしで、GPSだけでエリアにいると、駐車場の外にいるのに、車両はその中にいると認識してしまうかもしれません。だからこそ、このように高い精度が得られれば、駐車場での体験が確実に向上するはずです」とラッシュフォース氏はいう。

また、マイクロモビリティ企業の最大のコストの1つであるオペレーションも、車両の位置を正確に把握することで、ゴミ箱の後ろに隠れているかもしれない車両を探す時間や、GPSでは北西に位置しているのに実際には南西の角に位置しているかもしれない車両を探す時間を削減することができ、大きなメリットを得ることができるだろう。

「車両の位置を正確に把握することで、我々のビジネス全体が測定可能な形で改善されると言っても過言ではありません」とラッシュフォース氏は語る。

Birdによると、カメラを使ったものやウルトラワイドバンド(無線技術の一種で、短距離・広帯域の無線通信を行う)など、いくつかのソリューションも検討したが、拡張性の点でこのソリューションが最適であると判断したという。

ラッシュフォース氏は「これで、あまり訓練をしなくても済むソリューションができました。バックエンド側で歩道の位置データを表示するだけで、すぐに拡張することができ、1台あたり10~12ドル(約1100〜1300円)程度の追加費用で済みます」。と語る。

一方、カメラを使ったソリューションでは、ハードウェアとサービスのコストが車両1台あたり約200ドル(約2万2000円)になり、時間の経過とともに1台あたり80ドル(約9000円)まで落とせる可能性はあるが、利益を上げる方法をまだ見いだせていないビジネスにとっては、かなりの金額だ。

「もし私が未来を読める水晶玉を持っているとしたら、今後24カ月の間に誰もがこの方法を真似するだろうというと思いますよ。費用対効果を考えれば、これしかありませんから」とラッシュフォード氏は語っている。

画像クレジット:Bird

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Wazeが運転中のストレス軽減のために瞑想アプリHeadspaceと提携

米国時間10月12日、ナビアプリWazeが、瞑想アプリHeadspaceと提携して通勤時のストレスを軽減することを目的とした「Drive with Headspace」を立ち上げた。同社は、この新しい統合により、ドライバーが「道路上でより多くの楽しさと意味を見出す」方法を学ぶことができるようになるという。Headspaceの体験でユーザーは「意識的(aware)」「明るい(bright)」「希望(hopeful)」「喜びに満ちた(joyful)」「開放的(open)」といった5つのムードから選択することができる。

ドライバーは、Wazeのオーディオプレーヤーから利用できるHeadspaceの音楽やコンテンツを含むSpotifyのカスタムプレイリストを聴くこともできる。また、ユーザーはアプリ内のクルマのアイコンを「熱気球での穏やかな旅」に変更することもできる。さらに、Headspaceの瞑想担当ディレクターEve Lewis Prieto(イブ・ルイス・プリエト)氏によるとカスタムナビゲーションプロンプトも利用できる。

「渋滞は最悪です。長時間いればいるほど、血圧、睡眠、腰痛、うつ病のリスクが増えます。通学や通勤が日常化するにつれて、多くの人が再び渋滞に巻き込まれるようになってきました。世界メンタルヘルスデーを前に、交通渋滞の悪影響に立ち向かい、ドライバーに運転を楽しんでもらうための方法を見つけるために、私たちは友人であるHeadspaceに注目しました」とWazeはブログで述べている。

このHeadspace体験は、英語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語で本日より期間限定で提供される。「My Waze」をタップして「Drive with Headspace」バナーを見つけることで、有効にできる。

Wazeはここ数年、通勤を楽しくするためにいろいろな運転体験を提供してきた。最近のものでは、Paw PatrolFraggle Rock、 夏のPrideテーマの体験などがある。またAudibleSpotify、Pandora、YouTube Music、iHeartRadioなどのサブスクリプションサービスもある。好きなアプリがあれば運転も快適、というわけだ。

画像クレジット:Waze

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

自治体・企業向けEV導入支援・運用システムやEVカーシェアを提供するREXEVが約6.3億円のシリーズB調達

自治体・企業向けEV導入支援・運用システムやEVカーシェアを提供するREXEVが約6.3億円のシリーズB調達

自治体と企業に向けた電気自動車(EV)の導入支援・運用システムの提供や、EVカーシェアリング・サービスの「eemo」(イーモ)を展開するREXEV(レクシヴ)は10月13日、シリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資による約6億3000万円の資金調達を発表した。引受先は、ジャフコ グループ、芙蓉総合リース、住友三井オートサービス、三菱UFJキャピタル、北陸電力ビジネス・インベストメント(北陸電力)など。技術面・営業面において引受先各社との協力体制を強化する。

調達した資金は、電気設備や電力契約の最適化支援、大規模導入時における充電制御の高度化などの「自治体や企業のEV転換を支援するソリューションサービスの開発」、多数のEVの同時制御による大規模調整、蓄電池の周波数制御、電力のダイナミックプライシングへの対応といった「再生可能エネルギーの大量導入を支える、EVエネルギー・マネジメント技術の強化」、多様な移動ニーズに応えるための技術開発、非常時にEVを蓄電池や移動電源として活用するユースケース拡大などにあてられる。

レクシヴは、カーボン・ニュートラル社会の実現を目指し、EVの普及促進と車載バッテリーを活用した新たなエネルギー・マネジメントを推進する。拡大するEV市場において電力関連の課題にも着目し、EVの利便性の向上や有効な活用方法の提案、EV導入の拡大と再生可能エネルギーの普及拡大にも貢献したいという。

VanMoofが最高速度50km/hの電動アシスト自転車「VanMoof V」発表、日本では45万円で2023年に発売予定

EバイクメーカーのVanMoofは最近、1億2800万ドル(約145億円)の資金調達を行った。そして、同社はすでにその資金の一部を使って、新製品となるハイスピードEバイク「VanMoof V」の開発を進めている。

このVanMoof Vはまだ発売されていない。代わりにVanMoofは、YouTubeのライブ動画でこの新製品を予告した。同社では、2022年末までにVanMoof Vを発売することを計画している(日本市場向けには2023年に導入予定)。公式ウェブサイトによると、価格は3598ドル3498ユーロ2998ポンド、そして日本では税込45万円になると予想されるとのこと。

関連記事:今後5年で1000万台、世界をリードするスマートeバイクを目指すVanMoofが約141億円調達

この価格で手に入れられるのは、前輪と後輪にそれぞれ1基ずつ、計2基のモーターを搭載した2輪駆動の電動自転車だ。前後にサスペンションを装備し、凹凸のある道でも安心して走行できる。安全性を高めるために、太いタイヤも装着されている。

画像クレジット:VanMoof

YouTubeの動画によると、この自転車は最高50km/hの速度に達することができるとのこと。しかし、すでに電動アシスト自転車をお持ちの方はご存知のように、自転車のモーターアシストには規制がある。公道を走る場合、欧州では25km/h、日本では30km/hまでの速度に制限される。米国では州によって異なるが、いずれにせよVanMoof Vの最高速度よりは低い。

それ以上の速度で走れないというわけではない。管轄地域の最高速度に達すると、モーターがアシストを停止するということだ。メーカーではあらかじめ「VanMoof Vは法を犯すことを助長するものではありません」と述べている。

「Vがどのようなものになりえるかという想像を始めたとき、私たちはすぐに、道路の使い方に対するまったく新しいアプローチになるということで合意しました。VanMoof Vには、各国の規制に合わせた速度設定が組み込まれています。しかし、このバイクは50km/hまでのスピードを出せる技術と能力を持っています。現状では、世界各地のローカル規制がこのカテゴリーの最高速度に上限を設けています。しかし、長期的にはもっと大きな考え方が必要です」と、VanMoofの共同設立者でCEOを務めるTies Carlier(ティーズ・カーリエ)氏は、発表会で語った。

「私たちのビジョンでは、現在の政策はこの種の交通手段の普及を妨げているということです。私たちは、自動車ではなく人間のための政策を求めています。だからこそ、私たちは都市政府と協力して、ジオフェンシングの導入を検討しながら、時代に合った速度規制を推進していきます」と、同氏は続けた。

つまり、VanMoof Vは、VanMoofのビジョンを共有するためのコンセプトバイクであると同時に、世界中の政策立案者に向けたロビー活動の手段でもあると考えるべきなのだ。25km/hに達するために2輪駆動は必要ないので、同社は事前に計画を明らかにする必要があった。

とは言いながらも、すでにVanMoofは同社の顧客とクラウドファンディングの支援者たちに招待状を送っている。これらの招待状では、20ドル(約2270円)の前金を払うことでVanMoof Vを予約することができる。予約受付はすでに始まっており、納車は前述したとおり、2022年後半から2023年になる見込みだ。

画像クレジット:VanMoof

画像クレジット:VanMoof

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GMのシボレー・ボルトEVのリコール費用はLGがほぼ全額負担

GM(ゼネラルモーターズ)は、何万個ものBolt EVのバッテリーを交換することになるかもしれないが、その費用の大半を負担する必要はなさそうだ。同社は、Chevy Bolt(シボレー・ボルト)EVとEUVのリコールにかかる費用のほぼ全額をLGが負担するという約束を取り付けた。GMは、費用20億ドル(約2270億円)のうち19億ドル(約2155億円)をLGが「補填する」と見積もっている。第3四半期決算でその費用は回収される見込みだ。

「高く評価され、そして尊敬されているサプライヤー」と契約に至ったことをうれしく思う、とGMは述べた。とはいえ、GMがこの契約を責任転嫁のために利用していることは間違いない。同社は、リコールの原因がLG製バッテリーの「製造上の欠陥」であることを強調した。LGは、陽極と陰極-陽極セパレータの問題を指摘し、これらの問題が重なるとバッテリーが発火する可能性が高くなることを突き止めた。

その後、LGはバッテリーの問題に対処し、生産を再開した。しかし、このリコールによる直接的なコストは二次的なものかもしれない。電気自動車の分野では比較的脆弱な両社の評判は打撃を受けた。特にGMにとっては、主力の2つのEVが一時的にでも路上から姿を消すというのは良いことではない。GMのHummer EVと電動ピックアップはそのイメージを回復させるかもしれないが、短期的にはあまり役に立たなさそうだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:GM

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(文:Jon Fingas、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMがリコール対象となったシボレー・ボルトEVの交換用バッテリーモジュールの出荷を開始

General Motors(ゼネラルモーターズ)が、半導体不足の影響で複数の製造工場が操業を停止したことにより製造が遅れていた、リコール対象となった電気自動車「Chevrolet Bolt(シボレー・ボルト)」の交換用バッテリーモジュールを、販売店へ向けて出荷し始めた。

ミシガン州のホランドとヘイゼルパークにある2つのバッテリー組立工場は、9月末に生産を再開している。その際、GMは交換用バッテリーモジュールを、早ければ10月中旬に販売店へ出荷すると述べていた

関連記事:GMがシボレー・ボルトEVの生産停止を10月中旬まで延長

GMは「特定のビルドタイムフレーム」の車両、つまり欠陥が集中していると思われる車両の一群を、優先させていくと述べている。交換作業は販売店で2日程度で完了し、新しいバッテリーには8年または10万マイル(約16万キロメートル)の限定保証が付く。また、GMは11月中旬までに、EVのバッテリーをモニターするための新しい診断ソフトウェアの提供も始める予定で、これも販売店でのインストールが必要になる。

今回のリコールは、バッテリーに陽極タブの破損とセパレーターの折れという2つの製造上の欠陥が発見されたため届け出されたもので、これらの欠陥が重なると火災発生のリスクが高くなる。GMが同車のリコールを行うのは3度目で、今回は2017年以降に製造されたBolt EVおよびBolt EUVの全車両が対象という、最も広範囲なものとなった。

火災のリスクに備えて自宅から離れた場所に駐車するようにと、米国運輸省道路交通安全局から勧告されていたBoltのドライバーにとって、今回のニュースはきっと歓迎されるだろう。GMもまた、Boltの所有者に対し、他の車両から50フィート(約15メートル)以内に駐車しないように忠告していたと、Bloomberg(ブルームバーグ)が報じている

GMは、欠陥の見つかったBoltのバッテリーの修理に関連する費用を、全体で約18億ドル(約2041億円)と見積もっている。同自動車メーカーは、バッテリー製造パートナーであるLG Chem(LG化学)に、約10億ドル(約1134億円)の補償を求めると述べている。

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画像クレジット:GM

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GMがリコール対象となったシボレー・ボルトEVの交換用バッテリーモジュールの出荷を開始

General Motors(ゼネラルモーターズ)が、半導体不足の影響で複数の製造工場が操業を停止したことにより製造が遅れていた、リコール対象となった電気自動車「Chevrolet Bolt(シボレー・ボルト)」の交換用バッテリーモジュールを、販売店へ向けて出荷し始めた。

ミシガン州のホランドとヘイゼルパークにある2つのバッテリー組立工場は、9月末に生産を再開している。その際、GMは交換用バッテリーモジュールを、早ければ10月中旬に販売店へ出荷すると述べていた

関連記事:GMがシボレー・ボルトEVの生産停止を10月中旬まで延長

GMは「特定のビルドタイムフレーム」の車両、つまり欠陥が集中していると思われる車両の一群を、優先させていくと述べている。交換作業は販売店で2日程度で完了し、新しいバッテリーには8年または10万マイル(約16万キロメートル)の限定保証が付く。また、GMは11月中旬までに、EVのバッテリーをモニターするための新しい診断ソフトウェアの提供も始める予定で、これも販売店でのインストールが必要になる。

今回のリコールは、バッテリーに陽極タブの破損とセパレーターの折れという2つの製造上の欠陥が発見されたため届け出されたもので、これらの欠陥が重なると火災発生のリスクが高くなる。GMが同車のリコールを行うのは3度目で、今回は2017年以降に製造されたBolt EVおよびBolt EUVの全車両が対象という、最も広範囲なものとなった。

火災のリスクに備えて自宅から離れた場所に駐車するようにと、米国運輸省道路交通安全局から勧告されていたBoltのドライバーにとって、今回のニュースはきっと歓迎されるだろう。GMもまた、Boltの所有者に対し、他の車両から50フィート(約15メートル)以内に駐車しないように忠告していたと、Bloomberg(ブルームバーグ)が報じている

GMは、欠陥の見つかったBoltのバッテリーの修理に関連する費用を、全体で約18億ドル(約2041億円)と見積もっている。同自動車メーカーは、バッテリー製造パートナーであるLG Chem(LG化学)に、約10億ドル(約1134億円)の補償を求めると述べている。

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画像クレジット:GM

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Gogoroが中国で電気二輪車用バッテリー交換ステーションを開設、サービス開始

中国の二輪車メーカー大手2社との提携を発表してから5カ月「Gogoro(ゴゴロ)」は米国時間10月11日、杭州に45カ所のバッテリー交換ステーションを開設し、サービスを正式に開始した。同社の共同設立者であり最高経営責任者であるHorace Luke(ホレス・ルーク)氏は、TechCrunchの取材に対し、年内に80カ所のステーションを開設することを目標としており、その後、パートナーであるYadea(ヤデア)とDachangjiang Group(大長江グループ-DCJ)とともに他の主要都市にも拡大していくと述べている。

中国では、Gogoroのバッテリー交換技術はGogoro、Yadea、DCJが提携するHuan Huanブランドで運営されることになる。

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YadeaとDCJは、Gogoroのバッテリー交換技術を搭載した車両の開発を進めており、Yadeaは本日、杭州を皮切りに2モデルの販売を開始した。

両社は、とりわけ電気二輪車において、鉛蓄電池ではなくリチウム電池の使用が義務づけられていることなどから、政府の規制が消費者の需要を動かしてくれることを期待している。2025年までに、この規制に対応していない2億7千万台の車両が廃車になると言われている。

Gogoroは2021年9月、Poema Global(ポエマ・グローバル)との23億5000万ドル(約2600億円)のSPAC取引(2022年第1四半期に完了予定)を経て、NASDAQに上場することを発表した。同社は、バッテリー交換ネットワークに加えて、独自のハイエンド2輪スクーターのシリーズでもよく知られているが、Yamaha(ヤマハ)、Suzuki(スズキ)、AeonMotor(イオンモーター)など、同社のバッテリーや充電ステーションを使用する車両を生産する他のメーカーとの契約を結んでいる。

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このパートナーシップは、Gogoroの技術へのアクセス性を拡大させるための重要な要素となっており、2021年はインドの二輪車市場のリーダーであるHero MotoCorp(ヒーロー・モトコープ)との契約も発表している。

「私たちは『Gogoroは高級すぎて、主要都市で本当に必要としている人たちには届かない』という目で見られてきましたが、YadeaとDCJの協力があれば、これから誰もが乗れるようになり、これまで販売されてきた大衆車よりも安価な車両を購入できるようになります」とルーク氏は語った。

画像クレジット:Gogoro

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(文:Catherine Shu、翻訳:Akihito Mizukoshi)

AuroraがSPAC合併を控えた戦略として自動運転トラック技術に光を当てる、テキサス州でテストを拡大中

テキサス州の州間高速道路45号線沿いに立つ、上部に「Aurora(オーロラ)」と白く巨大な文字で刻まれた広告看板は、謎めいたメッセージを投げかけている。「新しい運転方法の兆しが見えている」。

この道路を走る何千人ものドライバーの中でどれだけの人が、それが何を意味し、Auroraとは何かを知っているのかを見極めるのは難しい。自動運転車技術を手がける同社は(複数の競合企業と肩を並べ)AポイントからBポイントへの人や荷物の移動方法を恒久的に変えようとしているが、その知名度は低いといえよう。

しかし、ブランクチェックカンパニー(白紙小切手会社、SPAC)との合併により株式市場への参入を計画しているAuroraは、自社のプロダクトにスポットライトを当てた。報道陣、アナリスト、そしてPACCAR(パッカー)、Toyota(トヨタ自動車)、Volvo(ボルボ)などのパートナー企業に加え、既存投資家や潜在的な新規投資家を招き、自動運転トラックの乗車体験とともに同社の技術をより深く知る機会を提供した。同社はまた、テキサス州で新しいルートのマッピングとテストを開始することなど、同社のオペレーションに関する最新情報も共有している。

「Aurora Illuminated(オーロラ・イルミネイテッド)」と銘打ったこのイベントは、同社にとって幸先の良い時期に開催された。2017年にSterling Anderson(スターリング・アンダーソン)氏、Drew Bagnell(ドリュー・バグネル)氏、Chris Urmson(クリス・アームソン)氏の3人によって設立されたAuroraは、Uber(ウーバー)の自動運転部門を買収したことで規模が倍増し、1年足らずで1600人を超える従業員を抱えるまでに成長している。

同社は、特別買収目的会社(SPAC)であるReinvent Technology Partners Y(リインベント・テクノロジー・パートナーズY)との合併を通じて130億ドル(約1兆4470億円)の評価額を持つ株式公開企業になろうとしている。この買収は7月に発表され、TechCrunchがそれより前の報道で確認していたものだが、2021年中に株主投票が行われる見込みだ。承認され次第、AuroraはNASDAQに上場する。同社はいずれの日程も公表していない。

関連記事:自律走行技術のAuroraがリード・ホフマン氏の最新SPACとの合併に向けて最終交渉中か

Auroraが本格的に「成功した」というのは、推定的で時期尚早である。しかし同社は、相当の資金調達、主要パートナーシップの確保、テストの拡充など、商業化に向けた多くのハードルを乗り越えている。また、Waymo(ウェイモ)や上場企業のTuSimple(トゥーシンプル)、さらにはGatik(ガティック)やKodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)といった小規模スタートアップのような、豊富な資金と提携を持つ他企業が競合する自動運転トラックの勢力図でも、大きな進歩を遂げている。

進捗レポート

Auroraがテキサス州に初上陸したのは1年前のことだ。現在同社は、テキサス州のダラス、パーマー、ヒューストンのターミナル間のルートで、スパイシーなポテトチップスやスナックを製造するBarcel(バルセル)の荷物を運ぶための自動運転トラック(常にセーフティドライバー2名が同乗)を運用している。また、今月初めに発表されたパイロットプログラムの一環として、テキサス州ダラスとヒューストンの間でFedEx(フェデックス)の貨物輸送を開始した。FedExによると、Auroraの技術を搭載したPaccarのトラックは週に数回使用され、州間高速道路45号線沿いの500マイル(約804km)近くのルートを走行するという。

計画ではエルパソとサンアントニオにターミナルを追加し、西はフェニックスとロサンゼルスまで、南はラレドまで、東はニューオーリンズまで拡張する予定である。Auroraが構想しているネットワークは西部と東部の沿岸地域を網羅しており、最終的には米国全土を視野に入れている。

Auroraはテキサス州外への進出がいつになるかは明らかにしていない。同社は先頃、エルパソとダラスを結ぶ全長630マイル(約1014km)のルートの貨物輸送を含まない試験運行を開始したところだ。

共同創業者で最高プロダクト責任者のスターリング・アンダーソン氏によると、商品を輸送するルートにおいて、同社は常に割り当てられたタイムフレーム内に配送してきたという。

「これはすばらしい、エキサイティングなオペレーショナル・エクセレンスの事例です」と共同創業者で最高経営責任者のクリス・アームソン氏はイベントのインタビューで語っている。「長期的な展望として、ドライバーを乗せずに車両を運転できるようになったときにサービス時間の制限はなくなるでしょう。それは飛躍的な前進の瞬間です」。

画像クレジット:Aurora

乗車

TechCrunchが2回試した乗車は、テキサス州パーマーにある、Aurora所有のSouth Dallas Terminal(サウス・ダラス・ターミナル)の駐車場から始まった。

トラックはPeterbilt(ピータービルト)579で、Auroraの自動運転システムと統合され、Paccarの協力を得てカスタマイズされている。同社が「Aurora Driver(オーロラ・ドライバー)」と呼ぶこのシステムには、カメラとレーダーの他、LiDAR(ライダー)と称される、長距離および中距離の検知と測距を行う光学式レーダーセンサーが組み込まれている。長距離LiDARは、Blackmore(ブラックモア)を買収後に自社開発された。Auroraは同社にとって2つ目のLiDAR企業となるOURS Technology(アワーズ・テクノロジー)を買収済みだ。中距離LiDARセンサーは、非公開のサプライヤーから提供されている。

関連記事:自動運転のAuroraがLiDARスタートアップを買収、自動運転トラックの普及へ向け開発加速

冷却装置を備えた巨大なコンピューターがキャビン後部に配備されている。他にも、走行中の車両、目的経路、道中の画像分類などを表示するディスプレイがキャビン内に設置されている。車内にはセーフティオペレーター2名が待機。いわゆる操縦士は商用トラックの運転免許、すなわちCDL(商用運転免許証)を保有しており、目的経路の確認や呼び出しを行う副操縦士は、他の車両、歩行者、道路上の物体を監視するスポッターのような役割も果たす。

画像クレジット:Kirsten Korosec

「私たちは彼らを単なるテスターとは見ていません。技術に関すること、そして彼らがどのように感じるかということだけでなく、道路のルールについても、非常に優れたガイダンスやアドバイスを数多く提供してくれます」と、Auroraのパートナーおよびプログラム担当VPであるLia Theodosiou-Pisanelli(リア・テオドシユー・ピサネリ)氏はトラック乗車前のセーフティブリーフィングで語っている。「例えば、トラックのドライバーであればしないようなこととして、あなたは大きくターンすることを選んでいる、これはあなたのやり方である、これはあなたのオペレーション方式である、これは他のドライバーが想定するようなことである、といった指摘です。また、顧客が期待することを本当によく理解しています」。

すべてのオペレーターはAuroraの従業員であり、契約社員ではない。彼らは数週間にわたって、車両制御、防衛運転、そしてクローズドトラックでのシナリオ実践の訓練を受ける。12名の「操縦士」が6週間から8週間の訓練を終え、現在トラックに同乗している。他にも準備中の操縦士たちが控えている。

2回の試乗のいずれにおいても、トラックは始めから自動運転でターミナル区画から側道まで走行し、続いて州間高速道路45号線へのオンランプを通過した。45号線を13マイル(約21km)ほど走ってから、左に曲がって高速道路の下に入った。一時停止の標識の後、トラックはもう一度左に曲がり、州間高速道路に再び入ってターミナルに戻った。往復で約28マイル(約45km)の行程だった。

画像クレジット:Kirsten Korosec

この種のデモでAV技術の完全な評価を提供するのは難しいことだが、同社は実際にシステムの寸評を提供し、さらに重要なことに、企業がどのような「ドライバー」を開発しようとしているのかを伝えている。

Auroraの場合、会社は慎重なアプローチをとっている。同社のトラックは、高速道路で掲示制限速度が時速75マイル(120km)であっても、時速65マイル(約105km)を超えることはない。合流車両のスペースを確保するか、低速車両を追い越すため以外は、一番右の車線に留まる。また州の法律に基づき、車両が路肩に停車している場合は、常に他の車線に移動する。

Auroraはさらにセーフティオペレーターに対して、テオドシユー・ピサネリ氏が説明するように、作業員がいる稼働中の建設現場や、緊急車両がライトを点滅させて近づいてきたとき、そしてあらゆる「クレイジーな動作主体」に対応する場合に、手動制御に切り替えることを意味する「解除」を行うよう指示している。

「解除するときは常に、その体験から学習します」と同氏はいう。「私たちはオペレーターに、積極的に解除するよう伝えています。そのことが、体験から学ぶ能力にインパクトを及ぼすことはありません。シミュレーターを通して、システムが何をするかを見ることができるからです」。

同社によると、すでに路上走行距離は450万マイル(約724万km)を超え、仮想テストスイートでは数十億マイルを走行しているという。

筆者が乗車中、側道沿いの区間をセーフティオペレーターが一旦制御した。車道に停車していたピックアップトラックが前方に進入し、セミトレーラーの前を曲がろうとしているように見えたためだ。2回の走行の残りの部分では、トラックは自律的かつスムーズに走行し、減速した車両が前方に来たときには、やや積極的にブレーキをかけることができた。

彼らが示したもの

Tesla(テスラ)の発表イベントを彷彿とさせる、洗練された照明、カーペット、座席、装飾を備えた仮設構造の中で、同社はその戦略を明らかにするとともに、LiDARやシミュレーションを含む同社技術を説明する試作品や教育的資料を披露した。その目的は、2023年末までに自動運転トラック事業を展開し、2024年末には配車サービスを開始する計画の背景を示すことだった。

同社は2種類の試作車を公開した。最終的には世界中で物や人を自律的に移動させる車両を提供すると同社は説明する。Volvo VNL(ボルボVNL)トラックは、Volvo初の自動運転トラックの設計試作品で、商用生産を想定している。VNLの路上テストは2022年に開始される。

Auroraは量産向けのAV対応試作車 Toyota Sienna(トヨタ・シエナ)も紹介した。Auroraは自社のAVシステムをこの車両に統合しており、ピッツバーグ、サンフランシスコのベイエリア、そしてテキサスで、約10台の車両をテストおよび検証用に配備する予定だという。

この先にある道筋

Auroraは将来のパートナーについて話す準備はできていなかった。しかし戦略的に言えば、市場は巨大であるとアンダーソン氏は指摘し、次のように語った。「多くのプレイヤーが存在しており、その多くと話をしています」。

2人はテレアシスタンス技術についても詳しく触れた。これは、人間がオフサイトのロケーションモニターを使って、必要に応じて自動運転車に経路計画の指示を送るというもので、これまで詳細には語られていなかった。

「当初から、技術の一環としてテレアシストを考えていました」とアームソン氏。

「端末の内部や周辺で起きていることを、極めて微細な粒度でモデル化しました」とアンダーソン氏はこれまでの進捗について語り、すべてのステップをチャート化したことに言及した。「私たちは、エンド・ツー・エンドのサポート要件が何であるかを十分に理解しています。トラックにドライバーが乗っていないときに、どのくらいの頻度でテレアシスタンスイベントやロードサイドアシスタンスが必要になるかについて、これから明らかになっていくでしょう」。

アームソン氏とアンダーソン氏は、同社がクローズドトラックや公道でテレアシスト技術をテストしており、商業運転に最適なアプローチを決定するためにパートナーと協働していくことを明言した。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Dragonfly)